以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1に示すように、本実施形態のパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて各構成を保持する構造を有している。外枠51の左側上下にはヒンジ53が設けられており、ヒンジ53により、板ガラス61が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)52及び後述の内枠が、外枠51に対し開閉可能に保持される。また、前枠52の板ガラス61の奥には、内枠に保持された遊技盤1(図2)が設けられている。
前枠52の上部の左右両側にはスピーカ66が設置されており、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向性を向上させる。また、前枠52には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65のほか、遊技の異常を報知するLEDが設けられている。前枠52の下部には、上皿55と下皿63とが一体に形成されている。また、下皿63の右側には発射ハンドル64が設けられており、発射ハンドル64を時計回りに操作することにより発射装置が作動し、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
下皿63は、上皿55から溢れた賞球を受けるよう構成されており、球抜きレバーを操作することで、下皿63に溜まった遊技球を遊技店に備えられたドル箱に移すことができる。また、上皿55の中央には、演出ボタン67及びジョグダイヤル68が設けられている。
本パチンコ機50は、いわゆるCR機であり、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属されていると共に、上皿55の右側には球貸ボタン57,精算ボタン58,精算表示装置59が設けられている。なお、図1の49は、前枠52及び前記内枠を外枠51にロックするシリンダ錠であり、該シリンダ錠49に所定の鍵を挿入して鍵を時計回りに操作すると、内枠が開放され、反時計回りに操作すると、前枠52が開放される。
また、図2に示すように、遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。
センターケース5の右方には、ゲート17と第1始動口13とがユニット化された複合入賞装置が配置され、第1始動口13は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は規制部材40に阻害され、第1始動口13に入球できない構成となっている。センターケース5の下には、交互振分式作動装置100が配置されている。交互振分式作動装置100は、その入球口27から入った遊技球を第1始動口11、第2始動口12に交互に入球させるもので、いずれかの始動口に必ず入球する。交互振分式作動装置100については後述する。
センターケース5の右方やや下には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7・普通図柄保留数表示装置8・第1特別図柄保留数表示装置18・および第2特別図柄保留数表示装置19と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9・第2特別図柄表示装置10が配置されている。
交互振分式作動装置100の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。なお、複合入賞装置を狙って遊技領域3の右側を狙って打っても(いわゆる右打ちをしても)、大入賞口14や入球口27には入球させることができない釘4配列となっている。また、交互振分式作動装置100の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、及び第3左入賞口33が設けられ、複合入賞装置の下方には右入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、右入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
交互振分式作動装置100について図3に示す。図3(a)〜図3(g)はいずれも交互振分式作動装置100の前面を切断した断面図となっている。なお、該前面は透明にされており、切断せずとも交互振分式作動装置100の内部は図2に示したように遊技者から視認可能となっている。交互振分式作動装置100の内部には3枚の羽根を有し、点Pを軸として回転可能な回転体102が設けられている。符号104,106は本図の手前に向かって柱状に突設されたストッパーであり、回転体102の羽に当接することにより、回転体102の回転角度を規制する。そして回転体102の左下に第1始動口11、回転体102の右下に第2始動口12が設けられている。
図3(a)の状態から入球口27に遊技球Qが入った状態が図3(b)である。遊技球Qは回転体102を右回りに回転させつつ、交互振分式作動装置100内の左側の区域に入っていく(図3(c))。遊技球Qは自身の重みにより回転体102を左回りに回転させて第1始動口11に入る(図3(d))。このとき、回転体102はストッパー104によりそれ以上の回転が妨げられるので、回転体102は図3(d)の姿勢で止まる。
図3(d)の状態から入球口27に遊技球Qが入ると(図3(e))、回転体102の上にある羽根が左に寄っていることにより、遊技球Qは交互振分式作動装置100内の右側の区域に入っていく(図3(f))。そして遊技球Qは自身の重みにより回転体102を右回りに回転させて第2始動口12に入る(図3(g))。このとき、回転体102はストッパー106によりそれ以上の回転が妨げられ、回転体102は図3(g)の姿勢で止まる。図3(g)の状態から入球口27に遊技球Qが入ると(図3(e))、回転体102の上にある羽根が右に寄っていることにより、交互振分式作動装置100内の左側の区域に入っていき(図3(b))、以下同様となる。つまり、交互振分式作動装置100は、入球口27から入った遊技球を、第1始動口11、又は第2始動口12へと、交互に入球させていく。なお、図3(a)の状態では回転体102の上の羽根は左右のほぼ中央に位置しているので、入球口27に遊技球Qが入った場合に、図3(b)の状態ではなく、図3(e)の状態になる可能性もある。どちらの状態になるかは、入球口27に入って来た遊技球Qの勢いや回転などによる。図3(a)の状態から図3(e)の状態になると、第2始動口12への入球が先に発生するだけで、交互振分式作動装置100が、第1始動口11、又は第2始動口12へと、交互に入球させていくものであることに変わりはない。
このパチンコ機50の電気的構成は、図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、第1始動口13に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ13a、普通図柄を作動させるゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、右入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31aの検出信号が入力される。なお、左入賞口スイッチ31aの名称および符号は第1左入賞口31に対応しているが、前記各一般入賞口、すなわち第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、右入賞口34に対してそれぞれ入賞口スイッチが設けられており、各一般入賞口に遊技球が入ったことを個別に検出可能に構成されている。
主制御装置80は搭載されたプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、及び普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出センサ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出センサ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
また、払出制御装置81は裏配線中継端子板75を介して払出中継端子板76と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払い出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット56と交信する。CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。
なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
発射制御装置84は発射モータ30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67やジョグダイヤル68が接続されている。これらはいずれも遊技機前面に設けられ、遊技者からの操作を受けるためのものであり、遊技者がこれらを操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
メインルーチンを図5に従って説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより繰り返し実行される。本実施形態では、当該メインルーチンが1回起動されるごとにS10〜S65までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS70の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、たいていが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄および普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(S70)に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理が実行される(S20)。この処理は、初期値乱数の値についてこの処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「299」のときには次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。
S20に続く大当り決定用乱数更新処理(S25)については、初期値乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、最大値である「299」のときは次回の処理で初めの値である「0」に戻り、「0」〜「299」までの300個の整数を繰り返し昇順に作成する。なお、大当り決定用乱数の最初の値は、初期値乱数設定処理で設定された値となる。この値が150であったとすると、大当り決定用乱数は「150」「151」「152」・・・「299」「0」「1」・・・と更新されていく。
なお、大当り決定用乱数が一巡(300回、更新されること)すると、そのときの前記初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする。大当り決定用乱数は、その初期値から+1されていく。そして、再び大当り決定用乱数が一巡すると、その時の初期値乱数の値を大当り決定用乱数の初期値にする動作を行なう。つまり、この一連の動作を繰り返し続けることになる。前述の例では大当り決定用乱数が「149」になると一巡であるから、「149」の次は前記初期値乱数の値となる。仮に初期値乱数の値が「87」だったとすると、「149」「87」「88」・・・「299」「0」「1」・・・「86」と変化していき、「86」の次は新たな前記初期値乱数の値となる。
大当り図柄決定用乱数更新処理(S30)は「0」〜「99」の100個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。S30に続く当り決定用乱数更新処理(S35)は、「0」〜「9」の10個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。なお、当選することとなる値は、常に「7」である。この当り決定用乱数は普通図柄の抽選に使用し、初期値乱数、大当り決定用乱数、リーチ判定用乱数は特別図柄の抽選に使用し、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数は、普通図柄の抽選・特別図柄の抽選の双方に用いる。
リーチ判定用乱数更新処理(S40)は、「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。変動パターン決定用乱数更新処理(S45)は、「0」〜「119」の120個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初めの値である「0」に戻る。続く入賞確認処理(S50)では、第1始動口11、第2始動口12、第1始動口13の入賞の確認、ゲート17の遊技球の通過の確認、及び本実施例のパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。
本実施例では、遊技球が第1始動口11、第2始動口12、第1始動口13に入賞すると大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数、リーチ判定用乱数など複数の乱数が取得されるのだが、保留記憶できる数は、第1始動口11と第1始動口13を合わせて4個まで、第2始動口12は4個までの計8個としており、各保留記憶が満タンである4個のときに遊技球が対応する始動口に入賞しても賞球が払出されるだけで、前記複数の乱数は保留記憶されない構成になっている。
続いて、大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての当否判定処理(S55)を行う。当否判定処理(S55)では、特別図柄および普通図柄のそれぞれに対応した当否判定や、当否判定に付随する図柄変動や特別遊技処理などの処理を行なう。この当否判定処理(S55)に続く不正監視処理(S60)は、一般入賞口に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。つまり、不正判断手段は、主制御装置80に設けている。
続く各出力処理(S65)では、遊技の進行に応じて主制御装置80は演出図柄制御装置82、払出制御装置81、発射制御装置84、サブ統合制御装置83、大入賞口ソレノイド14b等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S50)により遊技盤1上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置81に賞球信号を送信する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置83に出力する処理を、パチンコ機50に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置82にエラー信号を出力する処理を各々実行する。
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数更新処理(S70)から構成されるが、前述したS20と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S65までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数に更新される値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数が大当り決定用乱数と同期する可能性は極めて小さくなる。大当り決定用乱数が一巡したときの、初期値乱数の値(0〜299の300通り)が、同程度に発生するとすれば、同期する確率はわずか1/300である。また、前述した当り決定用乱数更新処理(S35)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
主制御装置80が実行する始動入賞確認処理の概要を図6に示す。当処理はタイマ割込みにより起動されるメインルーチン(図示省略)のサブルーチンの一つとして起動され、該起動が行なわれると、まず第1始動口スイッチ11aまたは第1始動口スイッチ13aの検出信号に基づいて、第1始動口11または第1始動口13に遊技球が入球したか否かを判断する(S100)。肯定判断なら(S100:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第1特別図柄の保留記憶(第1保留記憶または第1保留ともいう)が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S105)。
第1保留記憶が満杯でなければ(S105:no)、上記の各乱数を第1保留として記憶し、第1特別図柄保留数表示装置18の点灯態様を1増加させる(S110)。なお、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19は、それぞれ4個のLEDの点灯または消灯させることにより保留記憶されている数を表すものである。また、S110では第1特別図柄の保留個数が更新されたことを示すコマンド(保留個数コマンド)をサブ統合制御装置83に送信し、S115に移行する。第1始動口11にも第1始動口13にも遊技球が入球していない場合(S100:no)、又は第1保留が満杯の場合(S105:yes)は、そのままS115に移行する。
S115では、第2始動口スイッチ12aの検出信号に基づいて、第2始動口12に遊技球が入球したか否かを判断する。肯定判断なら(S115:yes)、大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を該当の各カウンタから読み込んで、第2特別図柄の保留記憶(第2保留記憶または第2保留ともいう)が満杯(本実施例では4個)か否かを判断する(S120)。
第2保留記憶が満杯でなければ(S120:no)、上記の各乱数を第2保留として記憶し、第2特別図柄保留数表示装置19の点灯態様を1増加させる(S125)。また、S125では第2特別図柄の保留個数が更新されたことを示すコマンド(保留個数コマンド)をサブ統合制御装置83に送信し、先読み判定処理(S130)を行なって、当処理を終了(リターン)する。先読み判定処理(S130)とは、直前のS125で記憶した大当り決定用乱数を当否判定して、その結果を示すコマンドをサブ統合制御装置83に送信する処理である。本来、当否判定はその大当り決定用乱数を使用(消化ともいう)際に行なうので、S130で行なう処理を先読み判定処理と呼んでいる。該コマンドを受信したサブ統合制御装置83では、コマンドに応じて、演出図柄表示装置6に表示する保留記憶の個数表示を変化させるか否かを判断し、該判断結果に応じた個数表示を行なう。図6に戻る。第2始動口12に遊技球が入球していない場合(S115:no)、又は第2特図(特別図柄のこと。以下同様)の保留記憶が満杯の場合(S120:yes)は、そのまま当処理を終了する。
主制御装置80により実行される当否判定処理の内、特別図柄に係る当否判定などを行なう処理の概要を、図7〜9に示す。主制御装置80は、特別電動役物が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S200)。S200の判定が否定判断で、特別図柄が変動中でなく(S205:no)、確定図柄の表示中でもなければ(S210:no)、図8のS250に移行し、第2特図の保留記憶(S125による保留記憶)があるか否かを判断する。この保留記憶があれば(S250:yes)、第2特図の保留記憶数をデクリメントし(S255)、S270に進む。第2保留がない場合(S250:no)は、S260に進み、第1特図の保留記憶(S110による保留記憶)があるか否かを判断する。この保留記憶があれば(S260:yes)、第1特図の保留記憶数をデクリメントし(S265)、S270に進む。S270では保留記憶の中で最も古いもの(但し第2保留が存在する場合は、第1保留の方が古い場合でも第2保留を優先)を読み込んで(その保留記憶は消去する)、確変フラグがセットされている(すなわち1)か否かを判定する。ここで確変フラグが1とは、現在のパチンコ機50が高確率遊技状態であることを意味する。肯定判断であれば(S270:yes)、読み込んだ大当り決定用乱数を確変テーブルに記録されている当り値と照合する(S275)。ここで当り値の数は10で、7〜16である。大当り決定用乱数の値域が0〜299であれば、当り確率は1/30となる。S270が否定判断された場合(S270:no)は、S280にて当り決定用乱数を通常テーブルに記録されている当り値と照合する。ここで当り値は7のみである。つまり当り確率は1/300となる。
S275またはS280の判定が行なわれると、S285にて大当りか否かを判定(当否判定)し、肯定判定であれば(S285:yes)、大当り図柄決定用乱数によって大当り図柄(当り図柄ともいう)を決定する(S290)。次に変動パターン決定用乱数によって変動パターンを決定し(S295)、大当り設定処理を行う(S300)。大当り設定処理とは、S290で決定した当り図柄に応じて、大当り遊技の内容(大入賞口14の開放パターンなど)を決定する処理である。なお、S285において外れと判定された場合は、変動パターン決定用乱数等によって変動パターンを決定し(S305)、ハズレ設定処理(S310)を行なう。S310のハズレ設定処理では、遊技状態が確変または開放延長の状態であれば、各々のカウンタの値を減算する処理が行なわれる。具体的には、確変状態であれば、確変における最大の変動回数(例えば10000)から減算し、開放延長状態であれば、開放延長における最大の変動回数(例えば100)から減算する。なお、S295及びS305の変動パターン決定処理は、大当り遊技の終了後には特殊な決定の仕方をするが、これについては後述する。
S300、又はS310に続いては、上述の抽選結果を示すデータ、具体的には通常大当り、確変大当り、リーチ外れ(外れであるがリーチ表示有り)、リーチ表示無しの外れのいずれかを示すデータと変動時間を指定する変動パターンのデータが含まれる変動開始コマンド(表示制御コマンド)をサブ統合制御装置83に出力し(S315)、特別遊技処理に移行する。なお、S315の処理により演出図柄表示装置6では演出図柄を設定し、その変動表示を開始するが、ほぼ同時に特別図柄の変動も主制御装置80によって開始される。また、特別図柄が変動する際には必ず演出図柄も変動され、且つ演出図柄が変動されるときには特別図柄も変動されるので、これらの図柄が変動することを単に「図柄が変動する」とも言う。
図7において特別図柄が変動中(S205:yes)と判定された場合には、図9のS350に移行し、図柄変動時間(S295、又はS305の変動パターンに基づく)が経過したか否かを判定する。否定判断(S350:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断(S350:yes)であれば確定図柄表示処理(S355)を行なってから特別遊技処理を行う。
図7において確定図柄を表示中と判定された場合(S210:yes)には、図10のS400に移行し、確定図柄の表示時間が終了したか否かを判定する。否定判断(S400:no)であれば特別遊技処理を行い、肯定判断であれば確定図柄表示終了処理(S405)を行なってから大当りになる組合せや否かを判定する(S410)。肯定判断なら確変フラグが1か否かを判定し(S415)、肯定判断なら(S415:yes)確変フラグを0にし(S420)、S425に移行する。否定判断なら(S415:no)そのまま、S425に移行する。
S425では、時短フラグが1か否かを判定する。時短フラグが1であれば(S425:yes)、S430にて時短フラグを0にし、S435に移行する。時短フラグが1でなければ(S425:no)、そのままS435に移行する。時短フラグを1にすると本実施例では特別図柄の平均変動時間短縮、普通図柄の平均変動時間短縮、普通電動役物の開放延長機能をセットする。
S435では、条件装置作動開始処理により、大当りフラグをセットする。そしてS440にて役物連続作動装置を作動させ、S445にて大当り開始演出処理を行なう。大当り開始演出処理では、大当り遊技を開始するコマンド及び大当り遊技に係る情報(大当りのオープニング時間、開放パターン、大当りのエンディング時間、ラウンド数等)をサブ統合制御装置83に送信する。大当り開始演出処理が終了すると、特別遊技処理を行なう。
S410で、確定表示させた特別図柄が大当りになる表示でないと判定された場合は、S450に移行して確変フラグが1か否かを判定する。肯定判断(S450:yes)であれば、確変回数が0か否かを判定する(S455)。確変回数が0であれば(S455:yes)、S460にて確変フラグを0にし、S465に進む。確変フラグが1でないとき(S450:no)、または確変回数が0ではないとき(S455:no)は、そのままS465に移行する。S465では、時短フラグが1か否かを判定し、1であれば(S465:yes)、時短回数が0か否かを判定する(S470)。時短回数が0であれば(S470:yes)、S475にて時短フラグを0にしてS480に進む。時短回数が0ではないとき(S470:no)又は時短フラグが1でないとき(S465:no)はそのままS480に移行する。S480では、現在の遊技状態が確変中であるか否か、時短中であるか否か等の状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、特別遊技処理を実行する。
図11〜12に示す特別遊技処理では、主制御装置80は、役物連続作動装置が作動中か否かを大当りフラグに基づいて判断する(S500)。役物連続作動装置が作動中なら(S500:yes)、大入賞口14が開放中か否かを判断する(S505)。大入賞口14の開放中ではない場合は(S505:no)、ラウンド間のインターバル中により大入賞口14が閉鎖しているのか判断する(S510)。インターバル中でもない場合は(S510:no)、大当り終了演出中であるか判断する(S515)。これも否定判断の場合は(S515:no)、大当り遊技を開始する演出に要する時間が経過したか否かを判定する(S520)。大当り開始演出時間が経過した場合は(S520:yes)、大入賞口開放処理(S525)を行なって当処理を終了(リターン)する。大当り開始演出時間が経過していない場合は(S520:no)、そのまま当処理を終了する。
S505で大入賞口14が開放中であると判定された場合は、図12のS550に進み、大入賞口14に10個入賞したか否かを判定する。なお、本実施例では10個だが、9個、8個でもよく、特に限定するものではない。大入賞口14に10個入賞した場合(S550:yes)にはS560に進み、大入賞口閉鎖処理を行う。そして大当りインターバル処理(S565)を行なって、特別遊技処理を終了する。大入賞口14に10個入賞していない場合(S550:no)にはS555に進み、大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定する。本実施例では、各ラウンドの最大開放時間は29秒に設定している。無論、この秒数に限定するものではない。開放時間が終了した場合(S555:yes)には、S560に合流し、終了していない場合(S555:no)は特別遊技処理を終了する。
図11のS510でインターバル中であると判定された場合は、図12のS570に進み、大当りインターバル時間が経過したか否かを判定する。インターバル時間が経過している場合(S570:yes)は、直前に大入賞口14が開いていたのが最終ラウンドか否かを判定する(S575)。最終ラウンドであれば(S575:yes)、大当り終了演出処理(S580)を行い、特別遊技処理を終了する。最終ラウンドでなければ(S575:no)、再び大入賞口14を開放する処理(S585)を行い、特別遊技処理を終了する。なお、大当りインターバル時間が経過していないと判定された場合(S570:no)には、そのまま特別遊技処理を終了する。なお、大入賞口14を開放・閉鎖する処理においては、サブ統合制御装置83にも信号を送信する。サブ統合制御装置83は、その信号に基づいて、現在のラウンドを把握し、該ラウンドに応じた演出を行なう。
図11のS515で大当りの終了演出中であると判定された場合は、図13のS600に進み、大当り終了演出時間が経過したか否かを判定する。大当り終了演出時間が経過した場合には(S600:yes)、役物連続作動装置の作動を停止し(S605)、条件装置の作動を停止する(S610)。そしてS615にて大当り終了後に確変状態に移行するか否かを判定し、当り図柄が15ラウンド特定時短有図柄、または2ラウンド特定時短有図柄(これらを確変図柄と呼ぶことにする)のいずれかであれば肯定判断(S615:yes)され、確変回数設定処理(S620)を行なう。ここでは確変回数として10000回が設定される。そして確変フラグに1をセット(S625)し、S630に移行する。当り図柄が15ラウンド通常短有図柄であればS615は否定判断され、そのままS630に移行する。S630では大当り終了後に時短状態に移行するか否かを判定する。当り図柄が15ラウンド特定時短有図柄であれば時短回数は10000回であり、当り図柄が10ラウンド通常時短有図柄であれば時短回数は100回である。そして時短フラグに1をセット(S640)し、S645に移行する。当り図柄が2ラウンド特定時短有図柄だった場合については後述する。S630が否定判断された場合は、そのままS645に移行する。そして、大当り終了コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S645)、状態指定コマンド送信処理を実行(S650)し、特別遊技処理を終了する。状態指定コマンド送信処理(S650)の内容は、S480の処理と同様である。S600にて大当り終了演出時間が経過していないと判断された場合には、そのまま特別遊技処理を終了する。図11で役物連続作動装置が作動していないと判定された場合(S500:no)には特別遊技処理を終了(リターン)する。
S290の当り図柄の決定方法を図14に示す。図14(a)が第1特別図柄、図14(b)が第2特別図柄である。本図に示すように、大当り図柄は10種類あり、図柄1〜図柄4が15ラウンド(本図ではRと記載)特定時短有図柄、図柄5〜図柄6が2ラウンド特定時短有図柄、図柄7〜図柄10が15ラウンド通常時短有図柄となっている。第1特別図柄の場合、大当り図柄決定用乱数(図14(a)では特図1決定用乱数1と記載)が0〜14であれば図柄1、15〜29であれば図柄2、30〜44であれば図柄3、45〜59であれば図柄4、60〜69であれば図柄7、70〜79であれば図柄8、80〜89であれば図柄9、90〜99であれば図柄10が決定される。第2特別図柄の場合、大当り図柄決定用乱数(図14(b)では特図2決定用乱数1と記載)が0〜9であれば図柄1、10〜19であれば図柄2、20〜29であれば図柄3、30〜39であれば図柄4、40〜49であれば図柄5、50〜59であれば図柄6、60〜69であれば図柄7、70〜79であれば図柄8、80〜89であれば図柄9、90〜99であれば図柄10が決定される。つまり、第1特別図柄では、2ラウンド特定時短有図柄が存在せず、確変となる割合が60%となっている。一方、第2特別図柄では、確変となる割合は40%+20%=60%で、第1特別図柄と同じであるが、2ラウンド特定時短有図柄が存在するので、1回の大当りで期待できる出球の平均値が、第2特別図柄により大当りとなった場合に比べて少なくなる。なお、図柄11はハズレ図柄である。
15ラウンド特定時短有図柄が特別図柄表示装置9,10に表示されたことにより発生する大当りは、最大28秒の大入賞口14の開放を15回行なうもので、その終了後には、確率変動機能の作動、特別図柄および普通図柄の変動時間の短縮機能(時間短縮機能または時短機能ともいう)の作動、及び普通電動役物の開放延長機能(単に開放延長機能ともいう)の作動を、いずれも次回の大当りまで継続する。なお、本実施例の遊技機においては、開放延長機能と時短機能は、必ずセットで付与・非付与がなされるので、これらが付与された状態を開放延長状態(あるいは時短状態)という。開放延長機能が作動していない状態で普通図柄が当選すると、第1始動口13の翼片は0.2秒間開放し、開放延長機能が作動している状態で普通図柄が当選すると、第1始動口13の翼片は1秒間の開放を3回繰り返す。15ラウンド通常時短有図柄が特別図柄表示装置9,10に表示されたことにより発生する大当りは、最大28秒の大入賞口14の開放を15回行なうもので、その終了後には、時間短縮機能の作動、及び開放延長機能の作動を、特別図柄が100回変動するまで継続する。なお、確率変動機能は作動しない。2ラウンド特定時短有図柄が特別図柄表示装置10に表示されたことにより発生する大当りは、2ラウンド突確ともいい、最大2秒の大入賞口14の開放を2回行なうもので、その終了後には、確率変動機能が次回の大当りまで作動する。
図柄変動の時間短縮機能、及び普通電動役物の開放延長機能については共に、図柄5〜6が表示されることとなった特別図柄が変動を開始した際の遊技状態によって作動・非作動が変化する。すなわち、該変動時の状態が時短が作動した状態であれば、時間短縮機能及び開放延長機能はいずれも次回の大当りまで作動する。一方、該変動時の状態が時短が作動していない状態であれば、時間短縮機能及び開放延長機能はいずれも作動しない。なお、時短機能及び開放延長機能は、これらの作動時に時短回数というカウンタに上限値を設定し、これを特別図柄が変動するごとにカウントダウンし、ゼロになったときに作動を停止させる。15ラウンド通常大当りの際には、時短回数として100がセットされる。時短機能及び開放延長機能を次回の大当りまで作動させる際には、時短回数として1万をセットすることにより、実質的に実現している。なお、前述した「次回の大当りまで確変」は、確変回数として1万をセットすることにより実現している。確変回数は時短回数と同様、特別図柄が変動するごとにカウントダウンされていき、ゼロになったときに確率変動機能の作動が停止される。
当実施例のパチンコ機50の遊技方法について説明する。なお、まずは特別図柄を変動させるために、入球口27を狙って遊技球を発射させる。前述したように、第1始動口13を狙って、遊技領域3の右側に遊技球を発射(右打ち)しても、普通図柄が当って翼片が開放しない限り、第1始動口13に入賞させることができないし、また、右打ちをしても釘4に阻害されて入球口27に入球させることができない。そこで遊技領域3の左側を狙って発射することになる。
入球口27に入った遊技球は第1始動口11、第2始動口12に交互に入球していく。例えば最初に入球口27に入った遊技球は第1始動口11に入賞し、次に入球口27に入った遊技球は第2始動口12に入賞し、更にその次に入球口27に入った遊技球は第1始動口11に入賞するといった具合である。但し、前述したように、第1始動口11,13に係る保留記憶よりも第2始動口12に係る保留記憶の方が優先的に消化されるので、第1特図の保留の方が消化されずに記憶されている時間が長くなりがちとなる。しかも図14に示したように、第1特図の保留記憶に基づいて発生した大当り遊技の方が、第2特図の保留記憶に基づいて発生した大当りの方が有利な内容となっているので、遊技者は入球口27に入球させつつも、できる限り第1特図の保留を消化させようとする。このために、第1特図の保留がある程度たまると、遊技球の発射を停止して、新たな第2特図の保留発生を防止し、第1特図の保留を消化させようとする。
こうして遊技球の発射および停止を繰り返すうち、大当り遊技が発生したとする。大当り遊技において演出図柄表示装置6に表示される演出画像の例を図15に示す。当実施例のパチンコ機50では、15ラウンド特定時短有図柄または15ラウンド通常時短有図柄にて大当り遊技が発生した場合には、図15(a)に示すように、大当り遊技中は演出図柄表示装置6に格闘技の様子を演出画像として表示する。そして、大当り遊技中も、特別図柄の保留記憶の数を演出図柄表示装置6の画面に出力する。図15(a)の左下に符号92で示されている菱形は、第1特図の保留を表しており、右下に符号93で示されている四角い突起を持った丸形の図形は、爆弾を図案化したもので、第2特図の保留を表している。つまり、図15(a)では、第1特図の保留が3個、第2特図の保留が1個、存在することを表している。第2特図の保留を爆弾で表している理由は、それが当った場合に遊技者にとって不利な大当り遊技(具体的には、2ラウンド特定時短有図柄が第2特別図柄保留数表示装置19に表示されたことに基づく、賞球を期待できない大当り遊技)が発生する可能性があることによる。なお、2ラウンド特定時短有図柄で当選した場合には、確変状態に移行したことを遊技者に告知する演出画像が演出図柄表示装置6に出力される。
大当り遊技中は大入賞口14を狙って遊技球を発射することになるが、前述したように当実施例のパチンコ機50では、右打ちをすると大入賞口14に入賞させることができない仕様となっているので、大当り遊技中も引き続き左打ちをすることになる。既に大当りとなっており、更に保留記憶も存在するので、遊技者としては当面、始動口11,12に入球させる必要は無いのだが、左打ちをすると、発射した遊技球の何個かは入球口27に入る可能性がある。図15(b)は、第1特図の保留92、第2特図の保留が1個ずつ発生した様子を示している。特に大当り遊技中に第2特図の保留記憶が発生すると、サブ統合制御装置83の処理により、演出図柄表示装置6に表示されたキャラクタが、先読み判定処理(S130)により送信されたコマンドの内容に応じたリアクションをする。例えば図15(b)では、新たに第2特図の保留記憶94が発生したことに対応して、キャラクタが帯を結び直すリアクションをしている。
また、サブ統合制御装置83は、該コマンドに応じて保留記憶数を表す爆弾の色を変化させる。具体的には、大当り決定用乱数が当りであることを示すコマンドを主制御装置80から受信した場合には黒い爆弾を、大当り決定用乱数がハズレであることを示すコマンドを主制御装置80から受信した場合には白い爆弾を、保留記憶を示す図柄として演出図柄表示装置6に表示する。但し、サブ統合制御装置83は、大当り決定用乱数がハズレであることを示すコマンドを主制御装置80から受信した場合であっても、予め定められた確率で黒い爆弾を演出図柄表示装置6に表示する。つまり、白い爆弾にて示された第2特図の保留記憶はハズレであるが、黒い爆弾にて示された第2特図の保留記憶は、当りかハズレか分からない。図15(b)に示されている第2特図の保留記憶93,94はいずれも白い爆弾である。
図15(c)は、第2特図の保留記憶として黒い爆弾95が表示された様子を示している。この場面では、キャラクタは図15(b)と同様、帯を締め直すものの、頭上に「!」が表示され、冷や汗を流すリアクションをする。図15(d)では更に黒い爆弾96が増えているが、本図は黒い爆弾96が発生した時点の演出を示すものではなく、大当り遊技の最終ラウンドの様子を示すものである。なお、第2特図の保留が増えたということは、交互振分式作動装置100の仕組み上、第1始動口11にも入球が少なくとも1回発生していることになるが、図15(b)の時点で既に第1特図の保留が4個になっているので、第1始動口11への入球に伴う乱数は記憶されていない。
出球のない2ラウンド大当り遊技を含む第2特図の保留記憶は、遊技者としては避けたいので、大当り遊技中は、できるかぎり交互振分式作動装置100には入球しないように発射すると考えられる。交互振分式作動装置100に入球した個数が多いほど、2ラウンド大当り遊技が発生する可能性が高まる。そこでこれに対する演出を大当り遊技の終了後に演出図柄表示装置6上で行なう。これについて図16に示す。
まず図16(a)は、大当り遊技(開放延長の未作動時に発生した2ラウンド大当り遊技は除く)の終了後に表示される画面の一例である。当実施例の遊技機では第1特図の保留よりも第2特図の保留の方が優先して消化されるので、その第2特図の保留を全て消化すれば、遊技者にとって不利な大当り遊技が発生する可能性は当面なくなる。そこで第2特図の保留を消化する過程を「チャレンジタイム」と称して遊技上の演出を行なう。そして、第2特図の保留が図15に示したものよりも大きく表示され、第1特図の保留は演出図柄表示装置6には表示されず、第1特別図柄保留数表示装置18に表示されるのみとなる。図16(a)で「今回は4個!」と表示されている箇所には、大当り遊技の終了時における第2特図の保留記憶(大当り遊技の開始時から存在した含む第2特図の保留も含む)の個数が表示される。ここでは、たまたま4個であるが、第2特図の保留が2個であれば、「今回は2個!」と表示される。そして図15(d)の続きという設定で、第2特図の保留記憶は4個となっている。爆弾の色も図15(d)と同じである。そしてチャレンジタイムにおいては、第2特図の変動パターンが固定(例えば変動時間は全て5秒)される。
なお、チャレンジタイム中に遊技者が交互振分式作動装置100を狙って遊技球を発射させて、2ラウンド大当り遊技が発生する危険を増大させるとは考え難いが、仮に交互振分式作動装置100の入球口27に入球しても、チャレンジタイム中に演出図柄表示装置6に表示される第2特図の保留記憶の数は変化せず、第2特別図柄保留数表示装置19の表示が変化するのみとなる。また変動パターンが固定される変動も、「今回は○個!」などと演出図柄表示装置6に表示された個数(図16(a)では4個)のみであり、チャレンジタイム中に新たに発生した第2特図の保留記憶に対する変動パターンは変動パターン決定用乱数を用いて決定され、固定はされない。以下、大当り遊技の終了後に遊技者は交互振分式作動装置100を狙って遊技球を発射させず、これにより第2特図の保留は、時短状態が終了するまで新たに発生しないものとする。なお、符号98で表示されているのは、保留記憶93に対応して変動されている第2特図の演出図柄である。
図16(b)は、1個目の保留記憶93の変動が停止して、箇所98に「446」と表示されて当らなかった様子を示している。キャラクターは「ホッ」と安堵の表情になり、保留記憶93で燃えていた火花が消えて煙が昇る演出画像が演出図柄表示装置6に表示される。なお、保留記憶を示す図柄(保留記憶93〜96や図15に示した保留記憶92)は、通常は消化されると画面に表示されなくなり、保留記憶が減ったこと及び残りの保留記憶の数を遊技者に報知するが、チャレンジタイムにおいては、火花が消えるだけで、爆弾の図柄は表示されたままとなる(図16(c)の保留記憶93など参照)。この表示はチャレンジタイムが終了すると通常の保留記憶表示(図15の下部に示したようなもの)となる。
そして図16(a)に示された全ての第2特図の保留記憶93〜96が消化されると(図16(d))、チャレンジタイムが終了したことを報知する演出画像(図16(e))が表示される。該演出画像で「右打ちしてね!」とあるのは、時短状態に移行することにより、第1始動口13の翼片が頻繁に開放し、しかも第2始動口12に入賞する可能性がないことにより、2ラウンド大当り遊技が発生しないことを告げるものである。大当り遊技の終了により、時短状態のみが発生した場合には、右打ちを、特別図柄(ここでは第1特図)が100回変動するまで継続する。但し100回変動するまでに再び大当り遊技が発生した場合には、改めて特別図柄(ここでは第1特図)が100回変動するまで継続する。時短状態だけでなく、確変状態も発生した場合には、実質的に次回大当りするまで右打ちの状態が継続する。右打ちの状態では、第2特図の保留を消化し終えており、しかも新たに第2特図の保留や変動が発生しないので、2ラウンド大当り遊技が発生する心配がない。従って、トイレなどのために安心して中座することができる。
チャレンジタイム中に第2特図の保留93〜94を消化して当った場合には、図16(f)のような演出画像が演出図柄表示装置6に表示される。大当り遊技は、遊技者にとって喜ばしい内容のものが多いが、ここでは2ラウンド特定時短有図柄で当った可能性を示唆するために、キャラクターがショックを受けた表情をしている。2ラウンド特定時短有図柄以外の図柄で当った場合には、再び図15に例示したような格闘技をモチーフにした大当り演出が展開される。2ラウンド特定時短有図柄の図柄で当った場合には、開放延長状態が作動中に当ったのなら確変状態の発生(既に発生していた場合は継続)を告知した後、再びチャレンジタイムとなる。開放延長状態が未作動中に当ったのなら、確変状態の発生(既に発生していた場合は継続)を告知するのみとなり、チャレンジタイムとはならない。なお、前述したように、チャレンジタイム中は、変動パターンが固定されるが、開放延長状態(当遊技機では時短状態の発生・停止と同期)か否かは、大当り遊技を発生させた大当り図柄により判定する。つまり、チャレンジタイムであるが故に変動パターンが固定されて、それが通常状態の平均変動時間よりも短かったとしても、それをもって「開放延長状態が作動していた」とは判定しないものとする。
以上の様に構成された遊技機によれば、遊技者にとって不利な大当り遊技が発生する虞のある第2始動口12への入賞が、大当り遊技中に発生する可能性があるので、大当り遊技中にできるだけ第2始動口12(ひいては入球口27)に入球させないように遊技者が努力するという新たな遊技性を持ったものとなる。なお、従来の、第1特図および第2特図を有し、第1特図に係る大当り遊技の方が第2特図に係る大当り遊技よりも遊技者にとって不利に構成されている遊技機の多くも、第1始動口が常時入賞可能に構成されているので、大当り遊技中に、第1始動口への入賞が発生する。しかし、こうした遊技機では第2始動口が普通電動役物として構成され且つ第2特図の方が優先的に変動されるよう構成されているものが多いため、開放延長状態の発生時に第2始動口へ入賞させることにより、第1特図が始動するのを防ぐことができる。これに対し、当実施例の遊技機では、不利な側の特図が優先変動されるので、有利な側の入賞を発生させて不利な側の特図の変動を防ぐことができない。これにより前述した、大当り遊技中に始動口(交互振分式作動装置100の入球口27)に入球させないように努力するという、これまでにない遊技興趣が発生する。
そして大当り遊技中にも保留記憶の個数を表示するので、第2始動口12へ入球して保留記憶が発生したことを確認することができる。しかも第2図柄の保留記憶が発生すると先読み判定処理を行なって、表示する保留記憶の図柄を白い爆弾にしたり黒い爆弾にしたりすることにより、遊技者にスリルを味わわせることができる。そして大当り遊技の終了後には、第2特図の保留が優先的に消化される様子を演出(チャレンジタイム)するので、として無事消化された後は、新たに第2特図の保留が発生する可能性がなく、安心して遊技を中断することができる。
ここで本実施例の構成・状態と、本発明の構成要件との対応関係を示す。第1始動口11および第1始動口13が本発明の第1始動口に相当し、S110の処理が本発明の「第1保留手段」に相当し、S125の処理が本発明の「第2保留手段」に相当し、S290およびS310の処理が本発明の「特別図柄設定手段」に相当し、第1特別図柄表示装置9および第2特別図柄表示装置10が本発明の「特別図柄表示装置」に相当し、S250〜S265の処理が本発明の「優先変動手段」に相当し、特別遊技処理が本発明の「大当り遊技発生手段」に相当し、S630〜S640の処理が本発明の「開放状態延長手段」に相当し、回転体102が本発明の「振分手段」に相当し、交互振分式作動装置100が本発明の「交互振分入賞装置」に相当し、図15において、第2特図の保留記憶93〜96を表示させているサブ統合制御装置83の処理が本発明の「第2保留記憶数表示手段」に相当し、S130の処理が本発明の「崎判定手段」に相当し、図15において、第2特図の保留記憶93および94と第2特図の保留記憶95および96の表示態様を変えているサブ統合制御装置83の処理が本発明の「特別保留表示手段」に相当し、図16に示した画像を演出図柄表示装置6に表示するサブ統合制御装置83の処理が本発明の「第2保留消化演出実行手段」に相当する。
[他の実施例]
前記実施例では、チャレンジタイムの第2特図の保留を消化する間、変動パターンを固定したが、該固定を取りやめて、リーチアクション等の演出を行なっても良い。また、前記実施例は、払出制御装置81を備え、払出制御装置81により所定数の遊技球を払い出すものであったが、このような実体のある遊技球を払い出さずに、賞球数に対応する数値データを遊技者に付与する遊技機に本発明を適用しても良い。
前記実施例のパチンコ機50は、第1特図の当り図柄が表示されたことによる大当り遊技と、第2特図の当り図柄が表示されたことによる大当り遊技の差は、出球のない大当り遊技の有無であったが、これ以外の事項により、第1特図による大当り遊技の方が有利に構成しても良い。例えば、第2特図には小当りが存在して、しかもこれと2ラウンド大当りとでは、演出図柄表示装置6を見ているだけでは見分けがつかないように構成しても良い。これは所謂潜伏状態を有する遊技機として構成することになる。つまり、第2特図では確変状態にあるか否かが分からなくなる可能性があるのに対し、第1特図では確変状態か通常状態かがはっきり分かると言う差がある。更に第1特図も潜伏状態を有するが、潜伏状態となる確率が第2特図よりも低い仕様にすることにより、第1特図の方が第2特図よりも有利な内容にしてもよい。また、第1特図で当った場合は、第2特図で当った場合よりも、確変状態に移行する確率が高い構成としてもよい。或いは、第1特図で当った場合は、大当り遊技の終了後に必ず時短状態となるが、第2特図で当った場合は、所定の条件が整っていないと大当り遊技の終了後に時短状態とならない構成としてもよい。また、時短状態が維持される特図の変動回数が、第1特図で当った場合の方が第2特図で当った場合よりも多い構成としてもよい。
交互振分式作動装置100は、図3に示したような構成でなくともよく、共通の入球口27から入った遊技球を、第1始動口11と第2始動口12とに交互に振り分けるように構成されたものであればよい。また、交互振分式作動装置100を廃して、左打ちをしていれば常時、第1始動口11および第2始動口12に入球可能な構成にしても良い。こうすると、第1始動口11のみを狙って遊技することが可能になったり、またこれにより大当り遊技中に第2始動口12に入球が発生するというスリルがなくなったりする虞があるが、これら始動口や釘4の配置を工夫することにより、前記実施例に近い遊技興趣が得られる可能性もある。
サブ統合制御装置83が、第2特図の保留記憶を示す図柄として白い爆弾を表示するのは、大当り決定用乱数がハズレであることを示すコマンドを主制御装置80から受信した場合のみであったが、大当り決定用乱数が当りであることを示すコマンドを主制御装置80から受信した場合にも、所定の確率で白い爆弾を表示するように構成し直してもよい。その際には、白い爆弾と、黒い爆弾とで当りになる確率(いわゆる信頼度)を変えておくと良い。こうすると、白い爆弾を消化する際にもスリルを味わうことが可能となる。