以下、本発明を具体化した実施例1〜9を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の車両用ドアロック装置1(以下、単に「ドアロック装置1」と呼ぶ。)は、自動車、バス、産業車両等の車両に適用されるものである。ドアロック装置1は、車体の左側面に設けられた開口9を開閉するドア2の後端側に配設されている。
より詳しくは、ドア2の後部外面には外部ドアハンドル8が配設され、ドア2の内面には内側ドアハンドル7が配設されている。ドアロック装置1は、ドア2の内部において外部ドアハンドル8の下方に配設されている。ドア2の後端面には、ドアロック装置1の進入口91が露出している。進入口91には、ドア2の開閉に伴ってドアロック装置1が移動する際、略「U」字形状のストライカ99が相対的に進入するようになっている。ドアロック装置1は、ロッド71を介して外部ドアハンドル8と連結され、ケーブル72を介して内側ドアハンドル7と接続されている。
なお、図2以降に示す前後方向、上下方向及び内外方向は、すべて図1に対応させて表示している。また、本実施例では、左側ドアに設けられるドアロック装置1を例示するが、右側ドアの場合は勝手違いになるだけである。さらに、ドアロック装置1は、スライド式に開閉する車両用ドアやテールゲート等にも設けられ得る。
以下、ドアロック装置1の構成について詳述する。図2に示すように、ドアロック装置1は、ドア2の後端側内部に配設されるハウジング80を備える。ハウジング80は、図2に示す樹脂製のメインハウジング81、図2及び図3に示す金属鋼板製のベースプレート82、及び図3に示す金属鋼板製のバックプレート83等が組み合わされてなる。
メインハウジング81内には、後ろ側に開口する図示しない内部空間が形成されており、その内部空間の後ろ側は、図2に示すように、ベースプレート82により塞がれている。ベースプレート82には、車両内側から外側に向けて深く溝状に切り欠かれた進入口91が形成されている。図3に示すように、バックプレート83は、メインハウジング81内において、ベースプレート82に対して前方から対向するように固定されている。
メインハウジング81内には、前後方向に延在するフォーク揺動軸11S及びポール揺動軸12Sが設けられている。フォーク揺動軸11Sは、進入口91に対して上方に位置し、ポール揺動軸12Sは、進入口91に対して下方に位置する。ポール揺動軸12Sは、その後端(図3の紙面奥側の端部)がベースプレート82に固定され、その前端(図3の紙面手前側の端部)がバックプレート83に固定されている。フォーク揺動軸11Sも、その後端(図3の紙面奥側の端部)がベースプレート82に固定され、その前端(図3の紙面手前側の端部)がバックプレート83に固定されている。
また、ドアロック装置1は、メインハウジング81内に設けられたフォーク11、ポール12、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20を備える。
フォーク11は、メインハウジング81内において、フォーク揺動軸11Sに揺動可能に支持されている。そして、フォーク11は、図示しない捩じりコイルバネにより、フォーク揺動軸11S周りにD1方向に揺動するように付勢されている。
フォーク11の進入口91側に位置する部位は、内側凸部11Aと外側凸部11Bとに分岐している。そして、内側凸部11Aと外側凸部11Bとの間に形成された凹部11Cには、進入口91内に進入したストライカ99が収まるようになっている。図3に示す状態では、フォーク11が進入口91の底部でストライカ99を保持している。内側凸部11Aのポール12に対面する先端側には、後述するストッパ面12Aと当接可能なラッチ面11Dが形成されている。
ポール12は、メインハウジング81内において、ポール揺動軸12Sに揺動可能に支持されている。そして、ポール12は、図示しない捩じりコイルバネにより、ポール揺動軸12S周りにD2方向に揺動するように付勢されており、通常は、図3に示す姿勢を保持している。
ポール12における進入口91の底部側に位置する部位には、ストッパ面12Aが形成されている。ストッパ面12Aは、ポール揺動軸12Sの軸心を中心として円弧状にカーブする曲面であり、上述のラッチ面11Dに対面するように形成されている。ストッパ面12Aを構成する円弧は、フォーク11側で途切れており、そこからポール揺動軸12S側に延びる摺動面12Cが形成されている。一方、ポール12におけるポール揺動軸12Sを挟んでストッパ面12Aとは反対側には、図3及び図4に示すように、前方に向かって柱状に突出する被当接部12Bが形成されている。
図3に示すように、ポール12は、フォーク11が進入口91の底部でストライカ99を保持した状態で、内側凸部11Aのラッチ面11Dにストッパ面12Aが当接することにより、フォーク11をD1方向に揺動させないように固定する。これにより、フォーク11は、進入口91内においてストライカ99を係止するラッチ状態となる。
また、図5に示すように、後述するコントロールレバー20の上端がポール12の被当接部12Bに当接して押し上げると、ポール12は、図示しない捩じりコイルバネの付勢力に抗しつつ、ポール揺動軸12S周りにD2方向とは逆方向に揺動する。この際、ストッパ面12Aがラッチ面11Dから離反するので、ポール12がフォーク11の揺動を開放する。そして、フォーク11が図示しない捩じりコイルバネの付勢力によりフォーク揺動軸11S周りにD1方向に揺動して、ストライカ99を進入口91から離脱する方向に変位させる。その結果、フォーク11が進入口91内においてストライカ99の係止を解除するアンラッチ状態に切り替わる。
逆に、ストライカ99が進入口91内に進入する場合、ストライカ99が外側凸部11Bを押すので、フォーク11も追従してD1方向とは逆方向に揺動し、図5に示す状態から図3に示す状態に復帰する。この際、外側凸部11B及び内側凸部11Aの先端が順次、摺動面12Cに摺接する。そして、内側凸部11Aが摺動面12Cから離反すると、ポール12は、D2方向に揺動して、図3に示す元の状態に復帰するので、ストッパ面12Aがラッチ面11Dと対面して、フォーク11の揺動を固定する。その結果フォーク11がラッチ状態に切り替わる。
図3及び図4に示すように、メインハウジング81内において、ポール12の下方には、オープンレバー88、89と、コントロールレバー20とが設けられている。オープンレバー88、89は金属鋼板製であり、オープンレバー揺動軸88Sに支持されて、図3に示すオープンレバー軸心X88周りに揺動可能とされている。コントロールレバー20は樹脂製であり、上下方向に細長く延在している。図3及び図4に示すように、コントロールレバー20の下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。
図3に示すように、オープンレバー89は、図示しない捩じりコイルバネにより、オープンレバー軸心X88周りにD3方向に揺動するように付勢されて、図示しないストッパに当て止まっている。これにより、オープンレバー89及びコントロールレバー20は、通常は、図3に示す姿勢を保持している。この状態では、コントロールレバー20の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置している。コントロールレバー20の上端と被当接部12Bとの間には、充分な隙間が確保されている。
図3及び図4に示すように、コントロールレバー20の上下方向の中間部には後方に向けて段状に膨出しており、その上方を向く傾斜面が被拘束部20Aとされている。被拘束部20Aは、車両外側から車両内側に向かって下り傾斜している。また、図示は省略するが、コントロールレバー20は、その側面の一部がメインハウジング81に形成されたガイド面と摺接することにより、上下方向のみに変位するように規制されている。
図3に示すように、ロッド71の下端部は、オープンレバー88の外側端部に形成された連結穴88Aに連結されている。外側ドアハンドル8が開操作されてロッド71が下降すると、図5に示すように、オープンレバー88がオープンレバー89の係合部89Bに係合するので、オープンレバー88、89がD3方向とは逆方向に一体的に揺動する。そうすると、オープンレバー89の先端部89Aが上昇して、コントロールレバー20を押し上げる。
また、図示は省略するが、ケーブル72は、図3及び図4に示す可動部材87に連結されている。そして、内側ドアハンドル7が開操作されてケーブル72が作動すると、可動部材87が上昇して、コントロールレバー20の下端に当接し、コントロールレバー20を押し上げる。この際、オープンレバー89は、オープンレバー88とは独立してD3方向とは逆方向に揺動するので、可動部材87及びコントロールレバー20の変位を妨げない。
こうして、コントロールレバー20は、外側ドアハンドル8又は内側ドアハンドル7の開操作によって上方に変位するようになっている。
図3及び図4に示すように、ベースプレート82におけるポール12の被当接部12Bより車両内側には、慣性レバー揺動軸30Sが固定されている。慣性レバー揺動軸30Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X1を軸心として、ベースプレート82から前方に向けて突出している。ベースプレート82における慣性レバー揺動軸30Sより車両内側かつ下方の角部には、細板状をなして前方に向けて突出するストッパ部82Qが形成されている。
ベースプレート82には、慣性レバー30と、捩じりコイルバネ41とが設けられている。慣性レバー30は、慣性レバー揺動軸30Sに挿通されて、枢軸X1周りに揺動可能とされている。慣性レバー30は、本実施例では、亜鉛ダイキャスト製とされている。図4に示すように、捩じりコイルバネ41は、慣性レバー30より前方に位置するように、慣性レバー揺動軸30Sに挿通されて、枢軸X1と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ41は、本発明の「付勢部材」の一例である。
図3に示すように、慣性レバー30は、枢軸X1の径外方向である下方に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が拘束部30Aとされている。捩じりコイルバネ41の一端は慣性レバー30に係止され、捩じりコイルバネ41の他端はベースプレート82のストッパ部82Qに係止されている。これにより、慣性レバー30は、枢軸X1周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ストッパ部82Qに当て止まって、下方に垂れ下がった状態となっている。図3に示す慣性レバー30の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、図3に示すように、コントロールレバー20の被拘束部20Aに対して、第1位置にある慣性レバー30の拘束部30Aが車両内側に離間している。
ここで、捩じりコイルバネ41の付勢力と、慣性レバー30の重量(特に、拘束部30Aの重量)とは、図6に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー30に作用することにより、慣性レバー30が捩じりコイルバネ41の付勢力に抗しつつ、ベースプレート82に対して枢軸X1周りで第1位置から図6に示す位置まで揺動するように設定されている。図6に示す慣性レバー30の位置は、本発明の第2位置である。設定値は、例えば、車両の側面衝突等の際の実測データ等に基づいて適宜設定される。
このような構成である実施例1のドアロック装置1では、図3に示すように、ラッチ状態のフォーク11がドア2を閉じた状態で保持する場合において、搭乗者が外側ドアハンドル8又は内側ドアハンドル7を操作して、ロッド71又はケーブル72が動作すると、オープンレバー88、89を介してコントロールレバー20が上方に変位する。この際、図5に示すように、第1位置にある慣性レバー30の拘束部30Aは、コントロールレバー20の被拘束部20Aとの当接を回避する。
そして、コントロールレバー20の上端がポール12の被当接部12Bに当接して押し上げるので、上述した通り、ポール12がポール揺動軸12S周りにD2方向とは逆方向に揺動して、フォーク11の揺動を開放し、フォーク11がアンラッチ状態に切り替わる。その結果、ドアロック装置1は、ドア2を保持しなくなり、搭乗者がドア2を開くことができる。
逆に、搭乗者がドア2を閉めようとすることにより、ストライカ99が進入口91内に進入すると、上述したように、フォーク11がストライカ99に押されてD1方向とは逆方向に揺動して、図5に示す状態から図3に示す状態に復帰する。それに伴って、ポール12がD2方向に揺動して、図3に示す元の状態に復帰し、フォーク11の揺動を固定するので、フォーク11がラッチ状態に切り替わる。その結果、ドアロック装置1は、ドア2を閉じた状態で保持する。なお、図5では、ロッド71が下降し、オープンレバー88、89が揺動した状態が図示されているが、搭乗者がドア2を閉めようとする場合は外側ドアハンドル8の開操作は終わっているので、実際には、ロッド71及びオープンレバー88、89は図3に示す元の位置に復帰している。
また、車両に対する衝突等により、図1に示すように、ドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図6に示すように、慣性レバー30に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー30は、捩じりコイルバネ41の付勢力に抗しつつ、枢軸X1周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー30の拘束部30Aと、コントロールレバー20の被拘束部20Aとが対向する。
ここで、ロッド71は剛直な棒体であり、ドア2の外面に露出する外側ドアハンドル8と連結されている。このため、衝撃F0に伴ってドア2が変形し、外側ドアハンドル8とハウジング80との相対位置関係が短縮された場合、ロッド71がハウジング80に対して相対的に下方に変位しようとする。また、外側ドアハンドル8も質量体であることから、車両が衝撃F0を受けると、外側ドアハンドル8にも衝撃方向とは反対方向に慣性力(図示しない)が作用する。そうすると、搭乗者がドア2の開操作を行う場合と同様に外側ドアハンドル8が変位し、外側ドアハンドル8と連結されたロッド71が下方に変位しようとする。そして、仮に、衝撃F0によりロッド71が下方に変位すれば、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20が意に反して変位するという不具合が生じることとなる。しかしながら、このような場合であっても、上述したように、慣性レバー30は第2位置まで揺動して、拘束部30Aと被拘束部20Aとが対向しているので、オープンレバー89が図6に示す状態からオープンレバー軸心X88周りに揺動しようとしても、図7に示すように、拘束部30Aが被拘束部20Aに当接して、コントロールレバー20を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20が意に反して変位することが阻止される。
こうして、衝撃等時、衝撃F0によりロッド71が下方に変位しようとしても、オープンレバー88、89及びコントロールレバー20の変位が阻止されるので、ポール12がフォーク11の揺動を固定したままとなり、フォーク11がラッチ状態からアンラッチ状態に切り替わらない。説明は省略するが、ケーブル72及び可動部材87が衝突等時のドア2の変形等により意に反して変位する場合も同様である。こうして、このドアロック装置1は、衝撃等時における意に反するドア2の開放を防止できる。
また、このロック装置1において、慣性レバー30の拘束部30Aは、衝突等時にのみ、コントロールレバー20の被拘束部20Aに当接する。このため、コントロールレバーに慣性レバーが設けられ、その慣性レバーがドアの開操作のたびにポールに当接する上記従来技術と比較して、このドアロック装置1は、ベースプレート82に揺動可能に支持される慣性レバー30と、ベースプレート82との間に、より詳しくは、慣性レバー30と慣性レバー揺動軸30Sとの間や、慣性レバー揺動軸30Sとベースプレート82との間等に、ガタつき等の不具合が発生し難い。
したがって、実施例1のドアロック装置1は、衝撃等時における意に反するドア2の開放を確実に防止できるとともに、耐久性の低下を抑制できる。
また、このドアロック装置1において、慣性レバー30は、強固な金属鋼板製のベースプレート82に設けられているので、耐久性の低下を確実に抑制できる。
さらに、このドアロック装置1において、ベースプレート82には、慣性レバー30を第1位置に保持する付勢力を有する捩じりコイルバネ41が枢軸X1と同軸に設けられている。この構成により、このドアロック装置1は、慣性レバー30を第1位置から第2位置に変位させる設定値を調整し易いとともに、捩じりコイルバネ41の占有スペースを小さくし易いので、装置の小型化を実現できる。
(実施例2)
図8及び図9に示すように、実施例2のドアロック装置では、実施例1におけるコントロールレバー20の代わりにコントロールレバー220を採用している。そして、バックプレート83に慣性レバー230を設けている。実施例2のドアロック装置のその他の構成は、実施例1のドアロック装置1と同様である。このため、実施例1のドアロック装置1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
実施例2のドアロック装置において、コントロールレバー220は、実施例1のコントロールレバー20と同様に、上下方向に細長く延在しており、その下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。また、コントロールレバー220の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置しており、双方の間には充分な隙間が確保されている。また、コントロールレバー220の上端側は、前方に柱状に膨出しており、その上面が被拘束部220Aとされている。
バックプレート83には、ポール12の上方で車両内側に向けて延びる慣性レバー支持部283Pが一体に形成されている。慣性レバー支持部283Pには、慣性レバー揺動軸230Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸230Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X21を軸心として、慣性レバー支持部283Pから前方に向けて突出している。慣性レバー支持部283Pにおける慣性レバー揺動軸230Sより車両内側かつ下方の角部には、細板状をなして下方に向けて突出するストッパ部283Qが形成されている。
バックプレート83の慣性レバー支持部283Pには、慣性レバー230と、捩じりコイルバネ241とが設けられている。慣性レバー230は、慣性レバー揺動軸230Sに挿通されて、枢軸X21周りに揺動可能とされている。図9に示すように、捩じりコイルバネ241は、慣性レバー230より前方に位置するように、慣性レバー揺動軸230Sに挿通されて、枢軸X21と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ241も、本発明の「付勢部材」の一例である。
図8及び図9に示すように、慣性レバー230は、枢軸X21の径外方向である下方に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が拘束部230Aとされている。また、慣性レバー230には、拘束部230Aとは反対側から後方に突出する突起230Qが形成されている。捩じりコイルバネ241の一端は慣性レバー30に係止され、捩じりコイルバネ241の他端はバックプレート83の慣性レバー支持部283Pに係止されている。これにより、慣性レバー230は、枢軸X21周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、慣性レバー支持部283Pのストッパ部283Qに、慣性レバー230の突起230Qが当て止まって、下方に垂れ下がった状態となっている。図8に示す慣性レバー230の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、コントロールレバー220の被拘束部220Aに対して、第1位置にある慣性レバー230の拘束部230Aが車両内側に離間している。
ここで、捩じりコイルバネ241の付勢力と、慣性レバー230の重量(特に、拘束部230Aの重量)とは、図10に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー230に作用することにより、慣性レバー230が捩じりコイルバネ241の付勢力に抗しつつ、バックプレート83の慣性レバー支持部283Pに対して枢軸X21周りで第1位置から図10に示す位置まで揺動するように設定されている。図10に示す慣性レバー230の位置は、本発明の第2位置である。
このような構成である実施例2のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図10に示すように、慣性レバー230に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー230は、捩じりコイルバネ241の付勢力に抗しつつ、枢軸X21周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー230の拘束部230Aと、コントロールレバー220の被拘束部220Aとが対向する。
図示は省略するが、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー220が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー230の拘束部230Aと、コントロールレバー220の被拘束部220Aとが対向しているので、拘束部230Aが被拘束部220Aに当接して、コントロールレバー220を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー220が意に反して変位することが阻止される。
したがって、実施例2のドアロック装置も、実施例1のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
また、このドアロック装置において、慣性レバー230は、強固な金属鋼板製のバックプレート83に設けられているので、耐久性の低下を確実に抑制できる。
(実施例3)
図11及び図12に示すように、実施例3のドアロック装置では、実施例1におけるコントロールレバー20の代わりにコントロールレバー320を採用している。そして、メインハウジング81のボディ85に慣性レバー330を設けている。実施例3のドアロック装置のその他の構成は、実施例1のドアロック装置1と同様である。このため、実施例1のドアロック装置1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
実施例3のドアロック装置において、コントロールレバー320は、実施例1のコントロールレバー20と同様に、上下方向に細長く延在しており、その下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。また、コントロールレバー320の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置しており、双方の間には充分な隙間が確保されている。コントロールレバー320の上下方向の中間部には後方に向けて段状に膨出しており、その上方を向く傾斜面が被拘束部320Aとされている。被拘束部320Aは、車両外側から車両内側に向かって下り傾斜している。
図12に示すように、メインハウジング81の一部であって、ベースプレート82等が組み付けられるボディ85は、ベースプレート82に対して前方に位置している。図11に示すように、ボディ85におけるポール12の被当接部12Bより車両内側には、慣性レバー揺動軸330Sが固定されている。慣性レバー揺動軸330Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X31を軸心として、ボディ85から前方に向けて突出している。図11及び図12に示すように、ボディ85には、慣性レバー揺動軸330Sの下方で長穴状に開口するストッパ部385Qが形成されている。
ボディ85には、慣性レバー330と、捩じりコイルバネ341とが設けられている。慣性レバー330は、慣性レバー揺動軸330Sに挿通されて、枢軸X31周りに揺動可能とされている。図12に示すように、捩じりコイルバネ341は、慣性レバー330より後方に位置するように、慣性レバー揺動軸330Sに挿通されて、枢軸X31と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ341も、本発明の「付勢部材」の一例である。
図11及び図12に示すように、慣性レバー330は、枢軸X31の径外方向である下方に延びており、その下端側が拘束部330Aとされている。また、慣性レバー330には、拘束部330Aから後方に突出する突起330Qが形成されている。捩じりコイルバネ341の一端は慣性レバー330に係止され、捩じりコイルバネ341の他端はボディ85に係止されている。これにより、慣性レバー330は、枢軸X31周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ボディ85のストッパ部385Qの車両内側の端縁に、慣性レバー330の突起330Qが当て止まって、下方に垂れ下がった状態となっている。図11に示す慣性レバー330の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、コントロールレバー320の被拘束部320Aに対して、第1位置にある慣性レバー330の拘束部330Aが車両内側に離間している。
ここで、捩じりコイルバネ341の付勢力と、慣性レバー330の重量(特に、拘束部330Aの重量)とは、図13に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー330に作用することにより、慣性レバー330が捩じりコイルバネ341の付勢力に抗しつつ、ボディ85に対して枢軸X31周りで第1位置から図13に示す位置まで揺動するように設定されている。図13に示す慣性レバー330の位置は、本発明の第2位置である。
このような構成である実施例3のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図13に示すように、慣性レバー330に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー330は、捩じりコイルバネ341の付勢力に抗しつつ、枢軸X31周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー330の拘束部330Aと、コントロールレバー320の被拘束部320Aとが対向する。
図示は省略するが、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー320が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー330の拘束部330Aと、コントロールレバー320の被拘束部320Aとが対向しているので、拘束部330Aが被拘束部320Aに当接して、コントロールレバー320を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー320が意に反して変位することが阻止される。
したがって、実施例3のドアロック装置も、実施例1、2のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例4)
図14及び図15に示すように、実施例4のドアロック装置では、実施例1におけるコントロールレバー20の代わりにコントロールレバー420を採用している。そして、ベースプレート82に慣性レバー430を設けている。実施例4のドアロック装置のその他の構成は、実施例1のドアロック装置1と同様である。このため、実施例1のドアロック装置1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
実施例4のドアロック装置において、コントロールレバー420は、実施例1のコントロールレバー20と同様に、上下方向に細長く延在しており、その下端部には、オープンレバー89の先端部89Aが係合している。また、コントロールレバー420の上端は、ポール12の被当接部12Bの真下に位置しており、双方の間には充分な隙間が確保されている。
オープンレバー89には、先端部89Aとオープンレバー揺動軸88Sとの中間の上端縁から後方に折り曲げられてなる被拘束部489Aが形成されている。被拘束部489Aは、車両外側から車両内側に向かって下り傾斜している。
ベースプレート82におけるポール12の被当接部12Bより車両内側かつ下方には、慣性レバー揺動軸430Sが固定されている。慣性レバー揺動軸430Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X41を軸心として、ベースプレート82から前方に向けて突出している。ベースプレート82における慣性レバー揺動軸430Sより車両内側かつ下方の角部には、細板状をなして前方に向けて突出するストッパ部482Qが形成されている。
ベースプレート82には、慣性レバー430と、捩じりコイルバネ441とが設けられている。慣性レバー430は、慣性レバー揺動軸430Sに挿通されて、枢軸X41周りに揺動可能とされている。図15に示すように、捩じりコイルバネ441は、慣性レバー430より前方に位置するように、慣性レバー揺動軸430Sに挿通されて、枢軸X41と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ441も、本発明の「付勢部材」の一例である。
図14及び図15に示すように、慣性レバー430は、枢軸X41の径外方向である下方に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が拘束部430Aとされている。捩じりコイルバネ441の一端は慣性レバー430に係止され、捩じりコイルバネ441の他端はベースプレート82のストッパ部482Qに係止されている。これにより、慣性レバー430は、枢軸X41周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ベースプレート82のストッパ部482Qに当て止まって、下方に垂れ下がった状態となっている。図14に示す慣性レバー430の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、オープンレバー89の被拘束部489Aに対して、第1位置にある慣性レバー430の拘束部430Aが車両内側に離間している。
ここで、捩じりコイルバネ441の付勢力と、慣性レバー430の重量(特に、拘束部430Aの重量)とは、図16に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー430に作用することにより、慣性レバー430が捩じりコイルバネ441の付勢力に抗しつつ、ベースプレート82に対して枢軸X41周りで第1位置から図16に示す位置まで揺動するように設定されている。図16に示す慣性レバー430の位置は、本発明の第2位置である。
このような構成である実施例4のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図16に示すように、慣性レバー430に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー430は、捩じりコイルバネ441の付勢力に抗しつつ、枢軸X41周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー430の拘束部430Aと、オープンレバー89の被拘束部489Aとが対向する。
図示は省略するが、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー420が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー430の拘束部430Aと、オープンレバー89の被拘束部489Aとが対向しているので、拘束部430Aが被拘束部489Aに当接して、オープンレバー89を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー420が意に反して変位することが阻止される。
したがって、実施例4のドアロック装置も、実施例1〜3のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
また、このドアロック装置において、慣性レバー430は強固な金属鋼板製のベースプレート82に設けられ、被拘束部489Aは強固な金属鋼板製のオープンレバー89に設けられているので、耐久性の低下を確実に抑制できる。
(実施例5)
図17及び図18に示すように、実施例5のドアロック装置では、実施例4を変更して、バックプレート83に慣性レバー530を設けている。実施例5のドアロック装置のその他の構成は、実施例4のドアロック装置と同様である。このため、実施例4のドアロック装置と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
実施例5のドアロック装置において、バックプレート83には、ポール12の下方まで延びる慣性レバー支持部583Pが一体に形成されている。慣性レバー支持部583Pには、慣性レバー揺動軸530Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸530Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X51を軸心として、慣性レバー支持部583Pから前方に向けて突出している。慣性レバー支持部583Pにおける慣性レバー揺動軸530Sより車両内側かつ下方の角部には、細板状をなして下方に向けて突出するストッパ部583Qが形成されている。
バックプレート83の慣性レバー支持部583Pには、慣性レバー530と、捩じりコイルバネ541とが設けられている。慣性レバー530は、慣性レバー揺動軸530Sに挿通されて、枢軸X51周りに揺動可能とされている。図18に示すように、捩じりコイルバネ541は、慣性レバー530より前方に位置するように、慣性レバー揺動軸530Sに挿通されて、枢軸X51と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ541も、本発明の「付勢部材」の一例である。
図17及び図18に示すように、慣性レバー530は、枢軸X51の径外方向である下方に延び、さらに前方に屈曲して角柱状に突出しており、その柱状部分が拘束部530Aとされている。また、慣性レバー530には、拘束部530Aとは反対側から後方に突出する突起530Qが形成されている。捩じりコイルバネ541の一端は慣性レバー530に係止され、捩じりコイルバネ541の他端はバックプレート83の慣性レバー支持部583Pに係止されている。これにより、慣性レバー530は、枢軸X51周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、慣性レバー支持部583Pのストッパ部583Qに、慣性レバー530の突起530Qが当て止まって、下方に垂れ下がった状態となっている。図17に示す慣性レバー530の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、オープンレバー89の被拘束部489Aに対して、第1位置にある慣性レバー530の拘束部530Aが車両内側に離間している。
ここで、捩じりコイルバネ541の付勢力と、慣性レバー530の重量(特に、拘束部530Aの重量)とは、図19に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー530に作用することにより、慣性レバー530が捩じりコイルバネ541の付勢力に抗しつつ、バックプレート83の慣性レバー支持部583Pに対して枢軸X51周りで第1位置から図19に示す位置まで揺動するように設定されている。図19に示す慣性レバー530の位置は、本発明の第2位置である。
このような構成である実施例5のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図19に示すように、慣性レバー530に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー530は、捩じりコイルバネ541の付勢力に抗しつつ、枢軸X51周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー530の拘束部530Aと、オープンレバー89の被拘束部489Aとが対向する。
図示は省略するが、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー520が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー530の拘束部530Aと、オープンレバー89の被拘束部489Aとが対向しているので、拘束部530Aが被拘束部489Aに当接して、オープンレバー89を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー520が意に反して変位することが阻止される。
したがって、実施例5のドアロック装置も、実施例1〜4のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
また、このドアロック装置において、慣性レバー530は強固な金属鋼板製のバックプレート83に設けられ、被拘束部489Aは強固な金属鋼板製のオープンレバー89に設けられているので、耐久性の低下を確実に抑制できる。
(実施例6)
図20及び図21に示すように、実施例6のドアロック装置では、実施例4を変更して、メインハウジング81のボディ85に慣性レバー630を設けている。実施例6のドアロック装置のその他の構成は、実施例4のドアロック装置と同様である。このため、実施例4のドアロック装置と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
実施例6のドアロック装置において、ボディ85におけるポール12の被当接部12Bより車両内側には、慣性レバー揺動軸630Sが固定されている。慣性レバー揺動軸630Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向)に延びる枢軸X61を軸心として、ボディ85から前方に向けて突出している。図20及び図21に示すように、ボディ85には、慣性レバー揺動軸630Sの下方で長穴状に開口するストッパ部685Qが形成されている。
ボディ85には、慣性レバー630と、捩じりコイルバネ641とが設けられている。慣性レバー630は、慣性レバー揺動軸630Sに挿通されて、枢軸X61周りに揺動可能とされている。図21に示すように、捩じりコイルバネ641は、慣性レバー630より後方に位置するように、慣性レバー揺動軸630Sに挿通されて、枢軸X61と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ641も、本発明の「付勢部材」の一例である。
図20及び図21に示すように、慣性レバー630は、枢軸X61の径外方向である下方に延びており、その下端側が拘束部630Aとされている。また、慣性レバー630には、拘束部630Aから後方に突出する突起630Qが形成されている。捩じりコイルバネ641の一端は慣性レバー630に係止され、捩じりコイルバネ641の他端はボディ85に係止されている。これにより、慣性レバー630は、枢軸X61周りにD4方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、ボディ85のストッパ部685Qの車両内側の端縁に、慣性レバー630の突起630Qが当て止まって、下方に垂れ下がった状態となっている。図20に示す慣性レバー630の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、オープンレバー89の被拘束部489Aに対して、第1位置にある慣性レバー630の拘束部630Aが車両内側に離間している。
ここで、捩じりコイルバネ641の付勢力と、慣性レバー630の重量(特に、拘束部630Aの重量)とは、図22に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー630に作用することにより、慣性レバー630が捩じりコイルバネ641の付勢力に抗しつつ、ボディ85に対して枢軸X61周りで第1位置から図22に示す位置まで揺動するように設定されている。図22に示す慣性レバー630の位置は、本発明の第2位置である。
このような構成である実施例6のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図22に示すように、慣性レバー630に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー630は、捩じりコイルバネ641の付勢力に抗しつつ、枢軸X61周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー630の拘束部630Aと、オープンレバー89の被拘束部489Aとが対向する。
図示は省略するが、衝撃F0によりオープンレバー88、89及びコントロールレバー620が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー630の拘束部630Aと、オープンレバー89の被拘束部489Aとが対向しているので、拘束部630Aが被拘束部489Aに当接して、オープンレバー89を拘束する。その結果、オープンレバー88、89及びコントロールレバー620が意に反して変位することが阻止される。
したがって、実施例6のドアロック装置も、実施例1〜5のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例7)
図23に示すように、実施例7のドアロック装置は、ハウジング780を備える。ハウジング780は、進入口791が形成されたベースプレート782と、ベースプレート782と対向するバックプレート783と、ベースプレート782及びベースプレート783が組み付けられるメインハウジング781とを有する。ベースプレート782は図23の紙面奥側に位置し、バックプレート783は図23の紙面手前側に位置し、メインハウジング781は、ベースプレート782とバックプレート783との間に位置している。
また、このドアロック装置は、フォーク711と、ポール712と、オープンレバー789と、コントロールレバー720とを備える。
フォーク711は、ハウジング780における進入口791の上方に揺動可能に設けられている。フォーク711は、実施例1のフォーク11と同様の構成であるので説明は簡略するが、進入口791内においてストライカ799を係止するラッチ状態、又は進入口791内においてストライカ799の係止を解除するアンラッチ状態に切り替わるものである。
ポール712は、ハウジング780における進入口791の下方に揺動可能に設けられている。ポール712は、実施例1のポール12と同様の構成であるので説明は簡略するが、図23に示す状態では、ストッパ面712Aがフォーク711に当接して、フォーク711の揺動を固定している。その一方、ポール712は、D5方向に揺動することにより、ストッパ面712Aがフォーク711から外れて、フォーク711の揺動を開放する。ポール712の前方(すなわち、図23の紙面手前側)、かつバックプレート783の後方には、ポール712と一体回転する被当接部712Bが設けられている。
オープンレバー789は、バックプレート783に設けられており、オープンレバー揺動軸789S周りに揺動可能に支持されている。図示しないドアハンドルの開操作があった場合、ロッド771等によりその変位が伝達されて、オープンレバー789がオープンレバー揺動軸789S周りにD6方向に揺動するようになっている。
オープンレバー789の端部には、コントロールレバー720の下端側が連結されている。コントロールレバー720は上方に延びており、その上端側に長穴720Hが形成されている。長穴720Hには、ガイド軸720Jが挿入されている。ガイド軸720Jは、図示しないロック機構の施錠動作及び開錠動作に連動して変位するものであるが、本実施例では説明は省略する。コントロールレバー720における長穴720Hの下方には、車両内側に向かって突出する作用部720Bが形成されている。また、コントロールレバー720の下端側には、後述する慣性レバー揺動軸730Sに対向するように傾斜する傾斜面である被拘束部720Aが形成されている。
オープンレバー789がD6方向に揺動する際、ガイド軸720Jが長穴720H内を摺動することにより、オープンレバー789がその姿勢を維持しながら下降する。そうすると、作用部720Bが被当接部712Bに当接してD5方向に回転させるので、ポール712も被当接部712Bと一体回転する。その結果、フォーク711の揺動を開放する。
ベースプレート782には、進入口791の下側から下方に向けて突出する慣性レバー支持部782Pが形成されている。慣性レバー支持部782Pには、慣性レバー揺動軸730Sが嵌入されている。慣性レバー揺動軸730Sは、前後方向(開口9に進退する方向に直交する方向、すなわち、図23の紙面手前側から紙面奥側に向かう方向)に延びる枢軸X71を軸心として、慣性レバー支持部782Pから前方に向けて突出している。
ベースプレート782の慣性レバー支持部782Pには、慣性レバー730と、捩じりコイルバネ741とが設けられている。慣性レバー730は、慣性レバー揺動軸730Sに挿通されて、枢軸X71周りに揺動可能とされている。捩じりコイルバネ741は、慣性レバー730より前方に位置するように、慣性レバー揺動軸730Sに挿通されて、枢軸X71と同軸に配設されている。捩じりコイルバネ741も、本発明の「付勢部材」の一例である。
慣性レバー730は、枢軸X71の径外方向である上方に延びており、その上端側が拘束部730Aとされている。また、慣性レバー730には、拘束部730Aの下方から後方に突出する突起730Qが形成されている。捩じりコイルバネ741の一端は慣性レバー730に係止され、捩じりコイルバネ741の他端は慣性レバー支持部782Pに係止されている。これにより、慣性レバー730は、枢軸X71周りに反時計方向に揺動するように付勢されており、通常状態(図1に示す衝撃F0が作用しない状態)では、慣性レバー支持部782Pに、慣性レバー730の突起730Qが当て止まって、上方に立ち上がる状態となっている。図23に示す慣性レバー730の位置は、本発明の第1位置である。この状態では、コントロールレバー720の被拘束部720Aに対して、第1位置にある慣性レバー730の拘束部730Aが車両内側に離間している。
ここで、捩じりコイルバネ741の付勢力と、慣性レバー730の重量(特に、拘束部730Aの重量)とは、図24に示すように、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー730に作用することにより、慣性レバー730が捩じりコイルバネ741の付勢力に抗しつつ、ベースプレート782の慣性レバー支持部782Pに対して枢軸X71周りで第1位置から図24に示す位置まで揺動するように設定されている。図24に示す慣性レバー730の位置は、本発明の第2位置である。
このような構成である実施例7のドアロック装置では、車両に対する衝突等により、図1に示すようにドア2や車両が車外から衝撃F0を受けると、図24に示すように、慣性レバー730に対して、衝撃方向とは反対方向に慣性力が作用する。そして、その慣性力が設定値を超える慣性力F1である場合、慣性レバー730は、捩じりコイルバネ741の付勢力に抗しつつ、枢軸X71周りで、第1位置から衝撃方向とは反対方向である第2位置まで揺動する。これにより、慣性レバー730の拘束部730Aと、コントロールレバー720の被拘束部720Aとが対向する。
図示は省略するが、衝撃F0によりオープンレバー789及びコントロールレバー720が意に反して変位しようとする場合、第2位置に揺動した慣性レバー730の拘束部730Aと、コントロールレバー720の被拘束部720Aとが対向しているので、拘束部730Aが被拘束部720Aに当接して、コントロールレバー720を拘束する。その結果、オープンレバー789及びコントロールレバー720が意に反して変位することが阻止される。
したがって、実施例7のドアロック装置も、実施例1〜6のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例8)
図25及び図26に示すように、実施例8のドアロック装置は、実施例7におけるベースプレート782の慣性レバー支持部782Pを無くす代りに、バックプレート783に慣性レバー支持部783Pを設けている。そして、実施例7の慣性レバー揺動軸730S、慣性レバー730及び捩じりコイルバネ741が慣性レバー支持部783Pに設けられている。実施例8のドアロック装置のその他の構成は、実施例7のドアロック装置と同様である。このため、実施例7のドアロック装置と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
図25に示す慣性レバー730の位置は、本発明の第1位置である。そして、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー730に作用することにより、慣性レバー730が捩じりコイルバネ741の付勢力に抗しつつ、バックプレート783の慣性レバー支持部783Pに対して枢軸X71周りで第1位置から図26に示す位置まで揺動する。図26に示す慣性レバー730の位置は、本発明の第2位置である。
このような構成である実施例8のドアロック装置も、実施例1〜7のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
(実施例9)
図27及び図28に示すように、実施例9のドアロック装置は、実施例7におけるベースプレート782の慣性レバー支持部782Pを無くす代りに、メインハウジング781のボディ785に慣性レバー支持部785Pを設けている。そして、実施例7の慣性レバー揺動軸730S、慣性レバー730及び捩じりコイルバネ741が慣性レバー支持部785Pに設けられている。実施例9のドアロック装置のその他の構成は、実施例7のドアロック装置と同様である。このため、実施例7のドアロック装置と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
図27に示す慣性レバー730の位置は、本発明の第1位置である。そして、設定値を超える慣性力F1が慣性レバー730に作用することにより、慣性レバー730が捩じりコイルバネ741の付勢力に抗しつつ、メインハウジング781のボディ785に対して枢軸X71周りで第1位置から図28に示す位置まで揺動する。図28に示す慣性レバー730の位置は、本発明の第2位置である。
このような構成である実施例9のドアロック装置も、実施例1〜8のドアロック装置1と同様の作用効果を奏することができる。
以上において、本発明を実施例1〜9に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜9に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。