以下、本発明に係る実施の形態として誘導加熱調理器について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明の誘導加熱調理器は、以下の実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的思想と同等の技術的思想および当技術分野における技術常識に基づいて構成される誘導加熱調理器および誘導加熱装置を含むものである。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の全体を示す斜視図である。図2は本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器をキッチンキャビネットに組み込んだ設置状態を示す断面図である。図3は本発明に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の水平断面図であり、図2におけるIII−III線による断面図である。
図1において、誘導加熱調理器1の上面には被加熱物である調理容器3などを載置するトッププレート4が設けられている。実施の形態1におけるトッププレート4には2つの加熱領域12a,12bが形成されている。誘導加熱調理器1において、トッププレート4における加熱領域12a,12bの直下には調理容器3などを誘導加熱するための加熱コイル5(図2参照)がそれぞれ設けられている。
加熱コイル5の下方には耐熱樹脂性のコイルベース6が設けられている。コイルベース6に放射状に設けられた複数の貫通穴には集磁性を有するフェライト7がそれぞれに内包されており、加熱コイル5から下方へ向かう磁束をフェライト7により抑制している。
実施の形態1において、フェライト7がコイルベース6に内包された状態のとき、コイルベース6の下面とフェライト7との下面が同一平面となるよう構成されている。フェライト7はコイルベース6に接着剤により固定されている。
加熱コイル5およびフェライト7、並びに加熱コイル5およびコイルベース6の間には絶縁部材としてのマイカ板(図示せず)が挟持されている。マイカ板における加熱コイル5に対向する領域の両面には熱伝導部材を兼ねた接着剤(図示せず)が塗布されている。加熱コイル5とマイカ板、マイカ板とフェライト7、およびマイカ板とコイルベース6のそれぞれは接着されて、熱的に連結状態となっている。
上記のように接着剤が用いられているため、加熱コイル5における複数の素線による凹凸や、フェライト7の厚みの寸法のばらつきが吸収されている。また、コイルベース6の下面とフェライト7の下面が同一平面に保持された状態で接着剤により一体化されているため、コイルベース6とフェライト7を、後述する放熱板10に対して隙間無く密接させることができる。
実施の形態1においては、コイルベース6とフェライト7との結合に用いた接着剤により、加熱コイル5とマイカ板、マイカ板とフェライト7、およびマイカ板とコイルベース6が結合されている。接着剤は熱伝導部材としての機能を有するものを用いている。
なお、マイカ板とフェライト7とを接着する際にコイルベース6とフェライト7を同時に接着することができるように、接着剤が塗布される接着部分の形状と容積を設定して、その接着部分に塗布する接着剤の量を調節してもよい。このように接着部分の形状や容積を設定して、接着剤の使用量を調節することにより、複数部材を一度に接着することが可能となり、組立性の向上を図ることができる。
マイカ板における加熱コイル5とコイルベース6の双方に対向する領域の一部には複数の開口(図示せず)が形成されている。これらの開口内に接着剤が充填されることにより加熱コイル5とコイルベース6はマイカ板を間にして直接的に接着固定される。
上記のように、実施の形態1においては、加熱コイル5とコイルベース6が、剥離しやすく比較的機械的強度の劣るマイカ板を間にして直接固定され、同時にコイルベース6とフェライト7も接着固定されている。このため、加熱コイル5、コイルベース6、フェライト7およびマイカ板を有して構成されているコイルユニット8は、全体としての機械的強度が向上しており、輸送中の振動や落下等に対して強い構造を有する。
また、絶縁部材としてマイカ板を用いることにより、確実な絶縁状態を確保しつつ、加熱コイル5とフェライト7との間の距離を縮めることができる。この結果、コイルユニット8の薄型化を図ることができる。さらに、加熱コイル5において異常発熱が生じた場合には、他の部品への急激な熱伝導を防止して、他の部品の温度上昇を抑制することができる。
また、加熱コイル5とトッププレート4との間には加熱された調理容器3から加熱コイル5への熱影響を軽減するために、セラミックファイバー等で構成された断熱材9が設けられている。
コイルユニット8は、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属で構成された放熱板10の上に直接載置される。前述のように、コイルベース6とフェライト7の双方の下面が同一平面で構成されているため、コイルベース6とフェライト7の双方の下面が放熱板10と全体的に接触した状態となり、一体的な構成となる。この結果、加熱コイル5において発生した熱は、熱伝導率が比較的高いフェライト7を主として経由して放熱板10へと伝達される。
コイルユニット8を載置する皿状の放熱板10は、加熱コイル5の垂直投影面積より広く形成されており、複数のバネ11により上方に押圧されている。このように、放熱板10がバネ11により上方に押圧されることにより、加熱コイル5はトッププレート4の裏面(下面)に対して断熱材9を介して押し付けられる構成である。
ただし、コイルベース6上に設けられたスペーサ(図示せず)により、加熱コイル5とトッププレート4との間は、一定の距離となるように、所定の寸法に設定されている。
放熱板10においては、加熱コイル5によって発生する磁界の作用により、加熱コイル5を周回するような電流がコイルベース6より外側の外周領域に流れる。このように放熱板10の外周領域に流れる電流により励磁された磁界は、加熱コイル5によって発生する磁界の向きと反対に作用する。この結果、コイルベース6より外側の外周領域に流れる放熱板10の電流により、加熱コイル5の外周から外側方向への磁界が低減される。
したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、トッププレート4の加熱領域12a,12bに載置された被加熱物である調理容器3の誘導加熱に用いられずに、加熱コイル5の外側方向に漏洩する磁界が低減されている。
実施の形態1の誘導加熱調理器1は、トッププレート4における前後の領域に形成された2つの加熱領域12に対応して、手前側(図2における左側)の第1のコイルユニットおよび背面側(図2における右側)の第2のコイルユニットが共通の放熱板10上に配設されている。
したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、放熱板10の表面積が、1つのコイルユニットのみを配設した放熱板に比べて、当然広くなり、放熱板10の冷却性能は高くなる。また、2つのコイルユニットが1つの放熱板10を共用する構成であるため、放熱板10を介してコイルユニット8を所定位置に保持するための支持部材を削減することができ、組立性も大幅に向上する。さらに、実施の形態1の構成においては、誘導加熱調理器1における省スペース化を図ることができる。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、トッププレート4における手前側の加熱領域12aの下方には赤外線センサ13が設けられている。赤外線センサ13は、加熱領域12a上に載置される調理容器3の底面の下方となる位置に配置されている。赤外線センサ13は、調理容器3の底面から放射された赤外線をトッププレート4を介して検知し、調理容器3の底面の温度に対応した温度検知信号を出力する。
また、実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、手前側および背面側のそれぞれの加熱領域12a,12bに載置される調理容器3の底面の略中央部分に対向して、トッププレート4の裏面に押し付けられるようにサーミスタ14が設けられている。これらのサーミスタ14により各調理容器3の底面に対向するトッププレート4の温度が検知され、その検知温度に対応する温度検知信号を出力する。
実施の形態1の誘導加熱調理器1の内部には、赤外線センサ13およびサーミスタ14の近傍には赤外線センサ13およびサーミスタ14から出力された温度検知信号、および使用者が操作部36において設定した出力設定信号などの信号に基づいて、加熱コイル5の出力制御などを行う制御回路15が設けられている。ここで、制御回路15には、加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路、インバータ回路を駆動する駆動部、および駆動部を制御する制御部などを有して構成されている。
図3に示すように、誘導加熱調理器内部の制御回路15は、スイッチング素子27、共振コンデンサ28などの発熱部品16を含んでいる。また、誘導加熱調理器内部には、これらの発熱部品16を冷却するための送風装置17と、送風装置17からの冷却風Cを制御回路15の発熱部品16に導くためのダクト18が設けられている。送風装置17とダクト18は、樹脂製の上方が開口した箱形状のサブケース19の内部に納められている。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、送風装置17としてシロッコファンを採用している。このシロッコファンの回転方向は、図3において矢印Aで示すように、鉛直上方向から見て時計回りの方向である。
図2に示すように、誘導加熱調理器1の内部において、赤外線センサ13および制御回路15は、フェライト7の配設位置より下方に配置されている。このように赤外線センサ13および制御回路15を配置することにより、フェライト7の防磁効果により磁束の影響が軽減されている。更に磁束漏れの影響を無くすために、赤外線センサ13および制御回路15が放熱板10より下方となるよう配置されている。加熱コイル5の投影面積より広い放熱板10の下側に赤外線センサ13および制御回路15を配置することにより、誘導加熱調理器1の内部空間は、放熱板10により、加熱コイル5などが配置された上方空間と、赤外線センサ13、制御回路15およびダクト18などが配置された下方空間とを仕切られた構成となる。このように加熱コイル5の投影面積より広い放熱板10より、誘導加熱調理器1の内部空間が仕切られることにより、上方空間における加熱コイル5の磁束の影響が、下方空間においては大幅に軽減されている。
実施の形態1の誘導加熱調理器1における内部空間は、上面となるトッププレート4、およびトッププレート4の下方に設けられて四方の側面壁と底面板により構成された樹脂製のメインケース22により形成される。
誘導加熱調理器1における内部空間に対する空気の吸入および排気を行うための吸気口20および排気口21が、メインケース22の背面側(図3における上側)に設けられている。メインケース22の吸気口20および排気口21は、キッチンキャビネット2の内部空間に開口している。キッチンキャビネット2の内部空間には、背面側に沿って細長い換気口23が形成されている。したがって、メインケース22の吸気口20および排気口21は、換気口23の近傍に形成されており、換気口23に対してスムーズな空気流となるよう配置されている。したがって、誘導加熱調理器1において、吸気口20により換気口23からの冷却風Cを吸引する時に生じる圧力損失は低減されている。
図3に示すように、メインケース22の吸気口20は底面板22cにおける背面側の右側領域に形成されており、排気口21はメインケース22の背面壁22dの左端に形成されている。メインケース22の内部においては、吸気口20と対向する位置に送風装置17の吸い込み口26が配置されている。
したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、キッチンキャビネット2の内部空間における比較的に温度の低い下方の空気を吸気口20から冷却風Cとして吸引している。また、排気口21からは温度の高い空気をキッチンキャビネット2の内部空間の上方に排気するよう構成されている。
実施の形態1の誘導加熱調理器1における内部空間において、制御回路15は吸気口20の形成位置より手前側の空間に配置されている。制御回路15の発熱部品16の中でも発熱量が大きいスイッチング素子(IGBT)27などは、送風装置17の送風口24から比較的近い位置に配置されている。スイッチング素子27の冷却性能をより高めるために、スイッチング素子27はヒートシンク28に接合されて冷却される構成である。
送風装置17の送風口24からの冷却風Cはダクト18により所定の冷却空間に案内されており、このダクト18により形成される冷却空間内にスイッチング素子(IGBT)27および共振コンデンサ29などのような制御回路15における発熱部品16、および赤外線センサ13などが配置されている。ダクト18の内側には分岐板30が設けられており、送風装置17の送風口24からの冷却風Cがダクト18内の各部品に確実に接触して、各部品が確実に冷却される。
ダクト18内において各部品を冷却した冷却風Cは、ダクト18から排出された後、加熱コイル5などが配置された上部空間と、制御回路15などが配置された下部空間とを仕切る放熱板10を冷却する。送風装置17の送風口24の近傍には冷却風検知用サーミスタ(図示せず)が配置されている。このサーミスタにより検知された冷却風Cの温度を示す冷却風温度検知信号は、制御回路15に入力される。制御回路15は、冷却風Cの温度が所定の温度を超えたことを検出したとき、加熱コイル5への出力を制御して、電子部品の発熱抑制を制御する。
図3に示すように、サブケース19の手前側にある前面壁19aと、メインケース22の手前側にある側面壁(前面壁)22aとの間は、所定距離を有しており、前面排気流路が形成されている。この前面排気流路が第1の排気流路32である。また、サブケース19の左側面壁19bと、メインケース22の左側面壁22bとの間は、所定距離を有しており、左側面排気流路が形成されている。この左側面排気流路が第2の排気流路34である。実施の形態1においては、サブケース19およびメインケース22の平面断面は長方形であり、それぞれの前面壁19a,22aと左側面壁19b,22bは直交して配置されている
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、放熱板10上に載置された2つのコイルユニット8a,8b、これらのコイルユニット8a,8bの出力を駆動制御する制御回路15、および制御回路15における発熱部品16を冷却する送風装置17により、1つの誘導加熱ブロック33が構成されている。
実施の形態1の誘導加熱調理器1の操作部36は、トッププレート4の手前側に配置された操作領域に設けられており、操作領域の直下に操作部36のスイッチ機構が設けられている。操作部36のスイッチ機構は、トッププレート4の操作領域に印刷された複数の操作ボタンのそれぞれに対向して配置されている。操作部36のスイッチ機構の電極は、トッププレート4の裏面に押し当てられている。トッププレート4の操作ボタンを指で接触することによりスイッチ機構の静電容量が変化し、その静電容量の変化を制御回路15が検知して、操作部36の指令に応じた制御が行われる。したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、静電容量式のタッチスイッチ構成を有する操作部36となっている。
操作部36のスイッチ機構は操作基板とタッチスイッチで構成されるため、操作部36の高さ方向の長さは比較的短く形成される。そのため、前述の前面排気流路である第1の排気流路32の少なくとも一部は、操作部36の下方に配置されている。
なお、実施の形態1においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17から制御回路15に送られる冷却風Cの風向き方向に対向するように配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路34が構成されている。吸気口20は、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21は、メインケース22の背面壁22dに形成されている。実施の形態1の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の左側面壁22bが第2の側面壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態1の誘導加熱調理器1における動作について説明する。
送風装置17により吸気口20から吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15を冷却するために、送風装置17の送風口24から手前側の方向に吹き出される。送風装置17から手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18により案内されて、制御回路15の各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、サブケース19の前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路32へと至る。
サブケース19からの排気された冷却風Cは、第1の排気流路32において、冷却風Cはメインケース22の前面壁22aに当接して、冷却風Cの流れが略90度曲げられる。第1の排気流路32の右端部は閉鎖されているため、冷却風Cは左側面排気流路である第2の排気流路34の方向に向かって流れる。このように第1の排気流路32を左方向に流れ、第2の排気流路34へと至る。
第2の排気流路34においては、メインケース22の左側面壁22bに当接して、さらに略90度曲げられて、第2の排気流路34に沿って流れて、背面側の背面壁22dに形成された排気口21から後方へ排出される。即ち、排気口21から排気された冷却風の排出方向は、サブケース19の内部において制御回路15を冷却した後の冷却風Cの流れ方向に逆行する方向となる。このように、サブケース19から排出された冷却風Cは、第1の排気流路32および第2の排気流路34を流れることにより、排気口21から排出された冷却風Cの排気方向は、制御回路15を冷却してサブケース18から排出された冷却風の排出方向と逆行しており、略180度曲げられている。
冷却風Cが第2の排気流路34(左側面側流路)に沿って流れているとき、冷却風Cの流れベクトルは、背面側方向の流れが主流となっている。このため、メインケース22の背面壁22dにある排気口21からの排出される冷却風Cの流れは、メインケース22から後方へ向かうものとなる。すなわち、排気口21から排出された空気は、キッチンキャビネット2の換気口23が形成されている方向に排気される。上記のように第2の排気流路34を通り、排気口21から排出された空気は、ある程度の速さを有する流速となっており、かつメインケース22の排気口21から後方へ排気されるという明確に流れ方向が定まった排気となっている。このように、排気口21からの排気方向がメインケース22の底面板22cの右側領域に形成された吸気口20の配置されている方向とは異なる方向であり、吸気口20から遠ざかる方向である。このため、実施の形態1の構成においては、排気口21から排出された空気が吸気口20から再吸引され難い構成となっており、冷却性能が大幅に向上したものとなっている。
誘導加熱調理器1の内部において、冷却風Cを略180度の方向転換する場合、少なくとも冷却が必要な制御回路15を冷却した後、当該制御回路15が配設されている領域を迂回する必要がある。このため、冷却風Cは、制御回路15を冷却した後、まず水平方向に略90度方向転換する。その後、再度水平方向に略90度の方向に転換して、排気口へと至る。
上記のように、冷却風Cが略180度の方向転換する際に生じた乱れた流れは、排気口へと至る第2の排気流路34において、第1の側面壁である前面壁22aに対して略垂直方向の流れベクトルを主流とする流れに整流されている。
以上のように排気流路が構成されているため、実施の形態1の誘導加熱調理器1では、排気口21から排出された空気が吸気口20から再吸引され難い構成となっている。
仮に、サブケース19から排出された冷却風Cが当たる第1の側面壁に排気口が形成されていた場合、その排気口からは排出される冷却風は流れ方向が一定ではなく、あらゆる方向に流れていく。その結果、例えば、排気口と対向して障害物などがある場合、冷却風Cがその障害物などに当たって流れが澱んだ後、折り返して吸気口の方向へ流れていく。その冷却風Cの流れ方向もまちまちであり、流速も小さい流れとなっている。したがって、排気口から排出された冷却風Cの多くが吸気口から吸気されることになる。
実施の形態1の誘導加熱調理器1における排気流路構成においては、前述のように、冷却風Cが排気口から排出されるまでに、メインケース22の排気流路を流れることにより、ある程度の流速に成長し、第1の側面壁である前面壁22aに対して略垂直方向といった明確に流れ方向が定まった流れとなっている。このため、吸気口と排気口との間に遮蔽板がなく、また仮に排気口の近傍に吸気口があったとしても、排気口から排出された冷却風Cが吸気口から再吸引されづらい構成となっている。
実施の形態1における排気流路構成においては、第1の側面壁以外に排気口が形成されているため、制御回路15を冷却した後、サブケース19から排出された冷却風Cが水平方向に略90度方向転換されて、第1の側面壁22aに沿って流れている。このように、冷却風Cの流れの方向が、吸気口20から第1の側面壁22aに向かう方向に対して少なくとも略90度折り返したある程度一定方向への流れとなっている。このため、排気口と対向する位置に障害物があり、その障害物に冷却風Cが当たったとしても、排出された冷却風全体が第1の側面壁22aに対して垂直方向に曲がって流れやすく、吸気口から再吸引されづらいものとなる。
したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器1は、排気口と対向して障害物がない場合はもとより、仮に障害物があったとしても吸気口から再吸引されづらいものとすることができる。このように、実施の形態1の誘導加熱調理器1がキッチンキャビネットに組み込んだ場合、また他の装置の近傍に設置した場合などにおいて、排気口に対向して障害物があったとしても、排気された冷却風Cの再吸引による温度上昇が低減され、誘導加熱調理器内部の部品に対して温度による信頼性の劣化を加速させることがない。また、実施の形態1の誘導加熱調理器1は、キッチンキャビネット2の後方位置で吸気―排気を行う構成の場合においても、特別な遮蔽板などの部材を使用しなくても、適用できる。このため、実施の形態1の構成によれば、使用者にとっては、安心して且つ排気による不快感を伴うことのない快適な作業を行うことができる誘導加熱調理器とすることができる。
上記のように構成された実施の形態1の誘導加熱調理器1がキッチンキャビネット2に組み込まれているため、メインケース22の排気口21からの排気方向がキッチンキャビネット2の内部空間におけるキッチンキャビネット2の背面側方向(後方)であり、換気口23が形成されている方向である。このため、メインケース22の排気口21から排出された空気は、そのままキッチンキャビネット2の換気口23に流れていき、誘導加熱調理器1のメインケース22の吸気口20から再吸引され難い空気流となる。
なお、メインケース22の吸気口20から吸入された冷却風Cは、サブケース19の内部の制御回路15などを冷却して前方に流れ、第1の排気流路32および第2の排気流路34を通って、排気口21から排気される。このように冷却風Cの流路は、鉛直上方向からみて略180度時計回りの方向に曲がっている。このため、実施の形態1の構成においては、排気流路の屈曲部分において圧力損失が生じ、送風装置17の回転数が落ち、冷却風Cの流量が減少して、冷却性能が低下するという懸念がある。
しかしながら、実施の形態1の構成においては、送風装置17としてシロッコファンを用いており、シロッコファンから吹き出される冷却風Cの流れにはシロッコファンの回転方向である時計方向と同じ回転方向のベクトル成分を有している。
このため、実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、シロッコファンから吹き出される冷却風Cが有する回転方向のベクトル成分と同じ回転方向に曲がる排気流路が形成されている。この排気流路に沿って冷却風Cが流れて、メインケース22の背面壁22dに形成された排気口21から排気されるよう構成されている。したがって、実施の形態1の誘導加熱調理器1のように、冷却風Cの排気流路が大きく流れを曲げる屈曲部を有する構成であっても、屈曲部において空気流の乱れが少なく、流路全体の圧力損失を低減することができ、冷却風Cの流量低減を大幅に抑制することができる。また、実施の形態1の誘導加熱調理器1の構成によれば、排気流路における流れの乱れが低減されているため、その流れの乱れから生じる騒音が低減されている。
さらに、実施の形態1の構成においては、キッチンキャビネット2の内部空間における背面側に吸気口20、排気口21、および換気口23が形成されているため、使用者にとって冷却風により生じる騒音が聞こえにくい構造を有している。
なお、実施の形態1の誘導加熱調理器1が設けられているキッチンキャビネット2においては、キッチンキャビネット2の内部と外部とを連通する換気口23が、キッチンキャビネット2の手前側や上面側に設けられておらず、誘導加熱調理器1の吸気口20および排気口21が配置されているキッチンキャビネット2の背面側にのみ設けられている。このように、キッチンキャビネット2の内部と外部とを連通する換気口23を背面側に設けることにより、キッチンキャビネット2の内部を介して誘導加熱調理器1における冷却風Cのキッチンキャビネット2の内部と外部との換気動作がスムーズとなる。このため、キッチンキャビネット2に実施の形態1の誘導加熱調理器1を設けることにより、利用者に直接換気風が当たることなく、快適な操作、および調理が可能となる。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、吸気口20および排気口21が背面側に配置されて、キッチンキャビネット2の上面に開口部分を形成する必要のない構成である。このため、水蒸気および油煙などがキッチンキャビネット2や誘導加熱調理器1の内部に浸入し難い構成となるとともに、吸排気時に生じる風切り音も低減された構成となる。
実施の形態1の誘導加熱調理器1において、トッププレート4には吸気口20および排気口21などの開口が形成されていないため、トッププレート4のデザイン性の自由度が大幅に向上している。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、吸気口20がメインケース22の底面板22cに設けられているため、比較的温度が低いキッチンキャビネット2の内部空間の下側の空気を吸気する構成となっている。また、排気口21がメインケース22の底面板22cではなく背面壁22dにおける左端に形成されているため、排気口21からの高温度の空気がキッチンキャビネット2の内部空間における上側に排気される構成であり、キッチンキャビネット2の背面側に向かって排出されている。したがって、実施の形態1の構成においては、排気口21から排出された冷却風Cが吸気口20から再吸引し難い吸排気構成を有している。
なお、キッチンキャビネット2の内部において、誘導加熱調理器1の吸気口20と排気口21との間の空間を分離する遮蔽板を設けて、より確実に再吸引の防止を図ってもよい。
また、第1の排気流路32および第2の排気流路34は、サブケース19とメインケース22における前面壁19a,22aおよび左側面壁19b,22bを用いて特別な空間を形成して構成した例で説明したが、別途ダクトなどを設けることなく、同様の効果を奏する第1の排気流路32および第2の排気流路34を形成してもよい。例えば、メインケース22における前面壁22a、左側面壁22b、および底面板22cの一部を利用して、またはコイルユニット8を載置した放熱板10の下面、およびサブケース19における側面壁の一部を利用して、同様の排気流路を形成してもよい。このように、放熱板10、サブケース19、またはメインケース22などの一部を利用して排気流路を形成することにより、省スペース化を図ることが可能となる。
放熱板10の下面を利用して排気流路を形成することは、放熱板10の冷却効果をさらに高めることができ、加熱コイル5の温度を下げることができる構成となる。この結果、加熱コイル5を直接冷却する構成が不要となり、加熱コイル5へ至る冷却風Cの流路を形成する必要がなくなる。したがって、放熱板10の冷却効果を向上させることは、誘導加熱調理器1の薄型化および省スペース化に繋がるものである。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、加熱コイル5および発熱部品16などを冷却して温度上昇した冷却風Cが、他の電子部品には触れることなく直ちにメインケース22の外部に排気する構成となる。このため、当該誘導加熱調理器1においては、温度上昇した冷却風Cによって他の電子部品などが加熱されて温度上昇することが防止されており、温度上昇に起因する電子部品の劣化が無くなり、信頼性の高い誘導加熱調理器となる。
実施の形態1の誘導加熱調理器1の排気流路には、冷却風Cの流れを阻害するような大きな部品などが配置されていないため、サブケース19から排出された冷却風Cの流れをスムーズに変更することができる構成を有する。このように、実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、冷却風の流路において圧力損失の低減が図られている。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、第1の排気流路32として操作部36の下側の空間を利用することができ、誘導加熱調理器1の内部空間におけるデッドスペースを活用して、省スペース化を図ることができる。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、背面側の送風装置17からの冷却風Cがダクト18およびサブケース19の側面壁により手前側の方向に向かって流れて第1の排気流路32に至る流れと、略180度方向転換して手前側から背面側の排気口21に向かうように、第2の排気流路34を流れる流れとの間で冷却風Cが混流しないように構成されている。このため、誘導加熱調理器1の内部において送風装置17の送風口24から排気口21へ至るショートサーキットが生じることがなく、誘導加熱調理器内部の各発熱部品16を確実に安定して冷却することができる。また、誘導加熱調理器内部において混流による流れの乱れが生じないため、誘導加熱調理器1において手前側から背面側の方向への流れベクトルの大きさが大幅に減衰されることなく排気される。この結果、実施の形態1の誘導加熱調理器1は、排気口21から排出された冷却風が吸気口20から再吸引され難い構成となっており、冷却性能の向上が図られている。
なお、誘導加熱調理器1において特に強制空冷が必要となる部品がヒートシンク28に取り付けられた発熱部品16だけの場合、冷却風Cを案内するダクト18の代わりに放熱板10およびヒートシンク28を利用することが可能である。例えば、放熱板10の下面をダクトにおける上壁として利用し、ヒートシンク28の一番外側のフィンを延ばしてダクトの側面壁として利用する構成でもよい。
上記のように放熱板10およびヒートシンク28を利用することにより、サブケース19の側面壁やダクト18がない場合であっても、誘導加熱調理器内部において背面側の送風装置17から手前側の方向に向かって第1の排気流路32に至る流れと、略180度方向転換した手前側から背面側の方向に向かう第2の排気流路34を流れる流れとの間で冷却風Cが混流することがない。このため、誘導加熱調理器内部において送風装置17の送風口24から排気口21へ至るショートサーキットが生じることがなく、誘導加熱調理器内部の各部品を確実に安定して冷却することができる。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、キッチンキャビネット2の内部空間に開口した吸気口20と排気口21との間には何も設けていない構成であっても、排気口21からの排気が吸気口20に吸気されがたい構成である。但し、吸気口20と排気口21との間に、冷却風Cの流れを遮断するような仕切り板を設けることにより、排気口20から排気された空気を吸気口20により再吸引されることが確実に防止されたなり、冷却性能の更なる向上を図ることができる。
なお、仕切り板としては、キッチンキャビネット2の内部空間において吸気口20が設けられている領域と、排気口21が設けられている領域とを完全に分断する構成が望ましい。但し、仕切り板としては、吸気口20が設けられている領域と、排気口21が設けられている領域との間を完全に遮断するのではなく、その内部空間の一部に仕切り板を設けて空気流の流れをガイドするような構成でも効果を発揮する。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、送風装置17の送風口24からの冷却風Cを制御回路15内の発熱部品16や赤外線センサ13などに導くように流路を形成するダクト18を用いた構成で説明したが、本発明はこのようなダクト18の構成に限定されるものではなく、単なる平板なガイド板で構成してもよい。
なお、上記のようなガイド板としてはメインケース22の底面板22cから立ち上がるように構成してもよい。また、その他の構成としては、制御回路15などの上方に配設される放熱板10の下面にガイド板を設けることにより、放熱板10とガイド板を一体化して構成することが可能となる。
実施の形態1の構成においては、吸気口20を誘導加熱調理器1の底面板22cにおける背面側に1つ、排気口21を誘導加熱調理器1の背面壁22dに1つだけ設けた例で説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、実施の形態1における吸気口20および排気口21を主要な吸気口および主要な排気口として、それより吸気量および排気量が少ない補助の吸気口および排気口を誘導加熱調理器1における他の側面壁や底面板に追加してもよい。
誘導加熱調理器1におけるメインケース22における左側面壁22b、底面板22c、背面壁22dなどに補助の吸気口および排気口を複数に設けることにより、仮に当該誘導加熱調理器1を組み込んだキッチンキャビネットの内壁の一部がそれらの吸気口および排気口のひとつと近接する設置状況であっても、他の箇所に設けた吸気口および排気口から吸気および排気することが可能となり、圧力損失の上昇を防止することができる。
また、誘導加熱調理器1におけるメインケース22において、内側へ凹んだ窪み、若しくは傾斜をつけて、その窪ませた面若しくは傾斜面に吸気口および排気口を形成してもよい。このように吸気口および排気口を設けることにより、キッチンキャビネット2の内壁やキッチンの壁がメインケース22に近接している設置状況においても、吸気口および排気口と対向する壁面までの距離を確実に確保することができ、設置状況に起因する圧力損失の上昇を防止することができる。
なお、キッチンキャビネット2における換気口23は、背面側の下方向に開口した例で説明したが、それに限るものではなく、背面側の上方向に開口してもよい。また、キッチンキャビネット2を設置したキッチンの壁面に開口した換気孔を形成して、その換気孔を介してキッチンの外部と連結し、換気を行うよう構成してもよい。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、ダクト18からの冷却風Cにより放熱板10を冷却する構成で説明したが、本発明はそのような構成に限るものではない。例えば、放熱板10を冷却するための冷却ファンを別途設けてもよい。また、送風装置17がメインケース22の外部から空気を吸い込むように構成したが、メインケース22の内部からも若干吸込むよう構成することにより、放熱板10に沿って循環する空気の流れを形成して、放熱板10を冷却するよう構成してもよい。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、赤外線センサ13やサーミスタ14がそれぞれ1個ずつ配設された例で説明したが、本発明はそのような構成に限るものではない。例えば、赤外線センサ13およびサーミスタ14をそれぞれ2個以上配設してもよいし、どちらか一方だけでもよい。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、放熱板10の材質としてアルミニウムを用いた例で説明したが、それに限るものではなく、黄銅や銅などの他の非磁性金属材料を用いて形成してもよい。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、操作部36のスイッチが静電容量式のタッチスイッチを用いた例で説明したが、それに限るものではなく、プッシュ式のタクトスイッチ、スライドスイッチ、ロータリースイッチなどを用いてもよい。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、送風装置17としてシロッコファンを用いた構成で説明したが、それに限るものではなく、プロペラファン、クロスフローファン、ターボファンなどを用いてもよい。
実施の形態1の誘導加熱調理器1においては、トッププレート4における加熱領域12a,12bを前後1つずつ一列に並んだ例で説明したが、それに限るものではない。例えば、加熱領域はトッププレートにおける前後左右の任意の位置に設けることが可能である。また、加熱領域の数においても、2つに限定されるものではなく増減させることが可能であり、トッププレートの略中央部分に1つ設ける構成としてもよいし、3つ以上設ける構成としてもよい。
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図4は、本発明に係る実施の形態2の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態2の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器1と基本構成は同じであるため、異なる点を中心に説明する。以下の実施の形態2の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器1における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
図4に示すように、実施の形態2の誘導加熱調理器は、その内部において、送風装置17からの冷却風Cがダクト18に案内されて、発熱部品16などを冷却して第1の排気流路32へ流れるよう構成されている。実施の形態2の誘導加熱調理器においては、冷却風Cがサブケース19から第1の排気流路32に流れる領域、即ち、冷却風Cの流れが略90度曲がる領域に、複数の流路案内板31a,31bが設けられている。また、第1の排気流路32から第2の排気流路34へ流れる領域、即ち、冷却風Cの流れが略90度曲がる領域に、流路案内板31cが設けられている。
流路案内板31aは、サブケース19の前面側の側面壁である前面壁19aと一体的に形成されており、前面壁19aに形成された開口を通過する冷却風Cを略90度曲げるよう設けられている。流路案内板31aは、送風装置17により背面側から手前側に流れる冷却風Cの流れ方向(図4の矢印参照)に対して略45度傾斜した面を有して配置されている。同様に、流路案内板31bは、サブケース19の前面壁19aにおける開口の右端に斜行して形成されており、開口の右端近傍を通過する冷却風Cが略90度曲げて、左側方向に流れるように配置されている。流路案内板31cは、第1の排気流路32から第2の排気流路34へ曲がるコーナ部分に設けられており、第1の排気流路32における流れ方向(図4の矢印参照)に対して略45度傾斜した面を有して配置されている。流路案内板31b,31cはメインケース22の底面板22cに取り付けられて固定されている。
実施の形態2の誘導加熱調理器において、サブケース19の内部には、送風装置17、ダクト18、および制御回路15の中でも大きな発熱量を有する発熱部品16などが配置されている。また、制御回路15において発熱量の小さい部品はサブケース19の側面壁の外側となる符号B(図4参照)で示す領域に配置されている。
なお、実施の形態2の誘導加熱調理器においては、メインケース22の前面壁22aが、背面側に設けられた送風装置17から制御回路15に送られる冷却風Cの風向き方向に設けられている。また、前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。また、メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路34が構成されている。吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側に設けられており、排気口21はメインケース22の背面壁22dに設けられている。実施の形態2の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の左側面壁22bが第2の側面壁に相当する。
次に、以上のように構成された実施の形態2の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、送風装置17からの冷却風Cがダクト18に案内されて、制御回路15の各発熱部品16を冷却し、サブケース19の前面壁19aの開口を通過して第1の排気通路32に流れる。サブケース19の前面壁19aの開口には、サブケース19における冷却風Cの流れ方向に対して斜行した複数の流路案内板31a,31bが所定間隔を有して設けられている。このため、サブケース19の前面壁19aの開口から排気された冷却風Cはスムーズに第1の排気流路32の流路方向(図4の左向き方向)に流れていく。また、第1の排気流路32の流路方向を流れた冷却風Cは、流路案内板31cにより屈曲部分で淀むことなくスムーズに第2の排気流路34を流れる。
上記のように、冷却風Cの流れが大きく曲げられる領域に流路案内板31a,31b,31cが設けられているため、冷却風Cの流れがスムーズなものとなり、圧力損失が大幅に低減されている。したがって、冷却風Cにおける流れの乱れ発生がより抑制されており、第2の排気流路34を通って排気口21から排気された冷却風Cの流れは、後方へ向かう流れベクトルが主流となって、より大きな流速に成長している。さらに、第2の排気流路34を冷却風Cが流れることにより、誘導加熱調理器における手前側から背面側へ流れるという明確に流れ方向が定まった排気となっている。このため、メインケース22の背面壁22dの左端側における排気口21から排気され加熱された空気は、底面板22cの右側にある吸気口20から再吸引されることが困難な構成となり、冷却性能の向上が図られている。
実施の形態2の誘導加熱調理器においては、第2の排気流路34の近傍に制御回路15の一部(図4において符号Bにて示す領域の部品)が配設されており、第2の排気流路34の途中を開口して、その開口から冷却風Cの一部が制御回路15の一部に流れるように構成されている。このように、冷却風Cが第2の排気流路34を流れているとき、第2の排気流路34の途中から制御回路15の一部に冷却風Cが流れるよう構成されているため、特に第2の排気流路34に近い制御回路15およびその制御回路上の電子部品が冷却風Cに接触して冷却されている。
また、第2の排気流路34に冷却風Cが流れているとき、図4において符号Bにて示す領域において、第2の排気流路34から離れた奥まった位置では負圧となり、若干の空気が排気口21へと流れていく。このため、まったく空気が流れず澱んだ状態と比べて、サブケース19の外側に配置された制御回路15およびその制御回路上の各電子部品の温度を低減できる構成となる。
なお、実施の形態2の構成においては、流路案内板31aをサブケース19の前面壁19aと一体的に形成し、流路案内板31b,31cをメインケース22の底面板22cに取り付けた構成で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、流路案内板を放熱板10の下面に形成してもよいし、操作部36を構成するスイッチ機構の下面に形成してもよい。
一般的に操作部36はタッチスイッチを搭載した基板と、その基板を内包保持する樹脂製の基板ケースで構成されているため、基板ケースの下面と一体的に流路案内板を設けることにより、組立が簡便になるとともに、低コストを図ることができる。
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図5は、本発明に係る実施の形態3の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態3の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器1と基本構成は同じであるため、異なる点を中心に説明する。以下の実施の形態3の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器1における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
図5に示すように、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、排気口21がメインケース22の左側面壁22bにおける背面側に形成されている。また、第2の排気流路34に流れている冷却風Cを排気口21へスムーズに導くように流路案内板31dが設けられている。流路案内板31dは、第2の排気流路34に流れている冷却風Cの流れ方向(図5の矢印参照)に対して略45度傾斜した面を有して配置されている。流路案内板31dが設けられている位置は、メインケース22の奥行き方向の長さの半分より背面側である。このように、第2の排気流路34に流れている冷却風Cは、手前側から背面側への流れの方向が確定した後に流路案内板31dにより排気口21に導かれている。
なお、実施の形態3の誘導加熱調理器においては、メインケース22の前面壁22aが、背面側に設けられた送風装置17から制御回路15に送られる冷却風Cの風向き方向に設けられている。また、前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。また、メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路34が構成されている。また、吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側に設けられており、排気口21はメインケース22の左側面壁22bに設けられている。実施の形態3の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の左側面壁22bが第2の側面壁に相当する。
次に、以上のように構成された実施の形態3の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態3の誘導加熱調理器においては、送風装置17からの冷却風Cがダクト18に案内されて、制御回路15の発熱部品16を冷却し、サブケース19の前面壁19aの複数の開口を通過して、第1の排気通路32および第2の排気流路34を流れていく。
冷却風Cは直線状の流路である第2の排気流路34を流れている間に整流されて、より大きな流速に成長していくとともに、第2の排気流路34における冷却風Cは誘導加熱調理器の手前側から背面側へという明確に方向が定まった流れとなっている。このように流れている冷却風Cは、第2の排気流路34の途中において斜行した流路案内板31dにより流れ方向が斜め後方となり、排気口21から後方へスムーズに排気されている。このように排気口21から排気された冷却風Cにおいては、流れ方向のベクトルの主成分が略背面側の方向(後方向)となっている。このため、仮に排気口21と対向する位置にキッチンキャビネット2の内壁やキッチンの壁などの障害物があったとしても、排気された冷却風Cの大部分は背面側の方向(後方)に流れるため、実施の形態3の誘導加熱調理器は吸気口20からの再吸引がされ難い構成である。したがって、実施の形態3の誘導加熱調理器は、冷却性能が向上した構成を有するものとなっている。
なお、左側面壁22bに排気口21を形成した実施の形態3の誘導加熱調理器は、前述の図3に示した実施の形態1の誘導加熱調理器のように背面壁22dに排気口21を設けた場合と比べて、流路案内板31dの背面側の空間である第2の排気流路34の背面側部分が流路として不要となる。この空間を他の用途、例えば制御回路15を配置するなどに用いることが可能となるため、実施の形態3の誘導加熱調理器は、誘導加熱調理器全体として省スペース化を図ることができる構成となる。
ただし、排気口21の形成位置を手前側に近づけるほど、背面側の余剰スペースは大きくなるが、その分、冷却風Cの流れが整流されにくくなり、手前側から背面側への流れベクトルの大きさも成長しづらくなる。したがって、排気口21の形成位置は、冷却風Cによる冷却性能を考慮して設定される。
なお、実施の形態3の構成においては、排気口21を第2の排気流路34における左側面壁22bに形成した例で説明したが、それに限るものではなく、例えば第2の排気流路34における底面板22cに排気口を形成し、同様に、当該排気口に冷却風Cをスムーズに後方へ排気する流路案内板を設けてもよい。
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図6は、本発明に係る実施の形態4の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態4の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器1と基本構成は同じであるため、異なる点を中心に説明する。以下の実施の形態4の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器1における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
図6に示すように、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、背面側の略中央に設けられた送風装置17からの冷却風Cがダクト18にガイドされて、発熱部品16などを冷却して第1の排気流路32へと流れ込むよう構成されている。送風装置17に吸入するための吸気口20は、メインケース22の底面板22cにおける背面側の略中央に形成されている。第1の排気流路32に到達した冷却風Cは、左右に分かれて流れ、第2の排気流路34および第3の排気流路35をそれぞれ流れる。第2の排気流路34は、サブケース19の左側面壁19bとメインケース22の左側面壁22bとの間に形成された流路である。第3の排気流路35は、サブケース19の右側面壁19eとメインケース22の左側面壁22eとの間に形成された流路である。第2の排気流路34および第3の排気流路35の背面側のそれぞれの端部に排気口21a,21bが形成されており、排気口21a,21bはメインケース22の背面壁22dの左右の端部に形成されている。
また、冷却風Cがサブケース19の内部から第1の排気流路32に流れ込むとき、冷却風Cの流れが略90度曲がる領域に複数の流路案内板31e,31fが設けられている。流路案内板31e,31fは、誘導加熱調理器の背面側から手前側への流れの方向に対して略45度斜行して配設されており、サブケース19からの冷却風Cがスムーズに略90度曲がって第1の排気流路32を流れるよう構成されている。また、複数の流路案内板31e,31fは、サブケース19の前面壁19aの開口部分に配置されており、左側領域の流路案内板31eと右側領域の流路案内板31fが異なる向きに斜行している。左側領域の流路案内板31eは、サブケース19において分岐板30の左側領域の冷却風Cの大部分を左側にある第2の排気流路34に流すように斜行している。また、右側領域の流路案内板31fは、サブケース19において分岐板30の右側領域の冷却風Cの大部分を右側にある第3の排気流路35に流すように斜行している。
以上のように、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、図6の水平断面図に示されているように、メインケース22の底面板22cの吸入口20が略中央に形成されており、2つの排気口21a,21bが吸入口20の中心を含む、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略左右対称の位置に形成されている。また、第2の排気流路34および第3の排気流路35は、前記の中心線Xに対して略左右対称となるよう配設されている。
なお、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、メインケース22の前面壁22aが、背面側に設けられた送風装置17から制御回路15に送られる冷却風Cの風向き方向に設けられている。また、前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路34が構成され、右側面壁22eにより第3の排気流路35が構成されている。吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側の略中央に設けられており、排気口21a,21bはメインケース22の背面壁22dの両側に設けられている。実施の形態4の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の左側面壁22bが第2の側面壁に相当し、そしてメインケース22の右側面壁22eが第3の側面壁に相当する。
次に、以上のように構成された実施の形態4の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態4の誘導加熱調理器においては、略中央の背面側に設けられた送風装置17からの冷却風Cがダクト18に案内されて、制御回路15の各発熱部品16を冷却し、サブケース19の前面壁19aの開口を通過して第1の排気通路32に流れる。
サブケース19の前面壁19aの開口には、サブケース19における冷却風Cの流れ方向に対して斜行した複数の流路案内板31e,31fが設けられている。サブケース19の前面壁19aの開口において、略中央から左領域に配置された左側の流路案内板31eは、サブケース19からの冷却風Cが第1の排気流路32を左方向に流れるように、サブケース19における背面側から手前側への流れ方向に対して左に略45度斜行して配置されている。
一方、前面壁19aの開口における略中央から右領域に配置された右側の流路案内板31fは、サブケース19からの冷却風Cが第1の排気流路32を右方向に流れるように、サブケース19における背面側から手前側への流れ方向に対して右に略45度斜行して配置されている。なお、左側の流路案内板31eと右側の流路案内板31fとの分岐位置は、サブケース19におけるダクト18の内側に配設された分岐板30の略延長線上となる。
上記のように、サブケース19の前面壁19aの開口に複数の流路案内板31e,31fが設けられているため、サブケース19の前面壁19aの開口から排気された冷却風Cはスムーズに左右に分かれて第1の排気流路32を流れる。
上記のように、実施の形態4の構成においては、サブケース19から冷却風Cが第1の排気流路32をスムーズに左右に流れて、左側の第2の排気流路34および右側の第3の排気流路35に導かれる。第2の排気流路34および第3の排気流路35における冷却風Cは、誘導加熱調理器の手前側から背面側へ流れてそれぞれの排気口21a,21bから後方へ排気される。
第2の排気流路34および第3の排気流路35を流れる冷却風Cにおいては、流れにおける乱れが抑制されて整流され、後方へ向かう流れベクトルが主流となっている。このため、第2の排気流路34および第3の排気流路35を通って各排気口21a,21bから排出された空気の流れは、より大きな流速に成長している。さらに、第2の排気流路34および第3の排気流路35を冷却風Cが流れることにより、誘導加熱調理器における手前側から背面側へ流れるという明確に流れ方向が定まった排気となっている。このため、メインケース22の背面22dの両端側における排気口21a,21bから排気され加熱された空気は、メインケース22の中央部分にある吸気口20から再吸引されることが抑制されており、冷却性能の向上が図られている。
また、実施の形態4の誘導加熱調理器において排気口21a,21bからの排気の方向は、キッチンキャビネット2における背面側の方向(後方)であるため、排気された空気はそのままキッチンキャビネット2の背面側に形成されている換気口23へと至る。このため、誘導加熱調理器の排気口21a,21bから排気された空気が、吸気口20から再吸引され難い構成となっている。
さらに、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、冷却風Cの流路構成(第1の排気流路32、第2の排気流路34および第3の排気流路35)が当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略対称である。このため、加熱された空気が左右の排気口21a,21bから略半分ずつ分散して排気されている。したがって、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、キッチンキャビネット2の内部空間における背面側の領域での局所的な温度上昇が抑制されおり、キッチンキャビネット2の内部空間全体がむらなく、略均一して温度上昇する構成となる。
実施の形態4の誘導加熱調理器の構成においては、加熱された空気となった冷却風Cがメインケース22の両側面壁22b,22eに沿って流れる構成であるため、冷却風Cの熱が両側面壁22b,22eおよび底面板22cに伝わり、メインケース22の温度が上昇する。しかし、冷却風Cが分割されており、両側面壁22b,22eおよび底面板22cへの熱伝導も中心線Xに対して略対称になっている。このため、実施の形態4の誘導加熱調理器は、両側面壁22b,22eおよび底面板22cで構成されるメインケース22において局所的な温度上昇は抑制されている。
なお、実施の形態4の誘導加熱調理器においては、サブケース19を流れた冷却風Cを第2の排気流路34と第3の排気流路35に分離するため、サブケース19の前面壁19aに複数の流路案内板31e,31fを設けた構成であるが、より確実に冷却風Cを分離するために、第1の排気流路32の略中央に冷却風Cを左右に分離する仕切り板を設けてもよい。なお、この仕切り板は、冷却風Cを左右に分離してスムーズに流れるように、冷却風Cの流れ方向に対して斜行した構成が好ましい。
ダクト18の内側に配置された各発熱部品16における発熱量が中心線Xに対して非対称である場合には、ダクト18から排出される冷却風Cの温度が左右の領域で異なる。このため、左右の排気口21a,21bから排出される冷却風Cの温度、および両側面壁22b,22eおよび底面板22cの温度も左右で不均一になる。
したがって、ダクト18内の発熱部品16の発熱量が中心線Xに対して非対称である場合には、流路案内板31e,31fの傾き角度、形状および個数を調整して、第2の排気流路34と第3の排気流路40に流れる冷却風Cの熱量を略同等とすることが好ましい。例えば、ダクト18の左右領域から排出された冷却風Cの双方が第1の排気流路32の中央部分(当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xの近傍部分)に向かうように、流路案内板31e,31fの傾き角度を調整する。このように流路案内板31e,31fの傾き角度を調整することにより、第1の排気流路32の中央部分において冷却風Cの少なくとも一部が混合される。その後に、第2の排気流路34および第3の排気流路35の各方向へ分離されて、第2の排気流路34および第3の排気流路35に流れていく。このように構成することにより、左右に分かれた冷却風Cの温度差を緩和することが可能となる。
(実施の形態5)
以下、本発明に係る実施の形態5の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図7は、本発明に係る実施の形態5の誘導加熱調理器をキッチンキャビネットに設置した状態の要部断面図である。なお、実施の形態5の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器1と基本構成は同じであるため、異なる点を中心に説明する。以下の実施の形態5の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器1における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
実施の形態5の誘導加熱調理器が設置されるキッチンキャビネット2には、内部と外部との換気を行うために、背面側に第1の換気口41が形成されており、手前側に第2の換気口42が形成されている。誘導加熱調理器のメインケース22における前面壁22aには、キッチンキャビネット2の内部空間とメインケース22の内部空間とを連通する通気口43が形成されている。通気口43の開口面積は、キッチンキャビネット2における第2の換気口42と略同じであり、通気口43は第2の換気口42に略対向して配置されている。
実施の形態5の誘導加熱調理器において、サブケース19の内部構成、および排気流路構成(第1の排気流路32および第2の排気流路34)は、前述の図3に示した実施の形態1の誘導加熱調理器1と同じである。
次に、以上のように構成された実施の形態5の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態5の誘導加熱調理器において、サブケース19の内部から第1の排気流路32に至る冷却風Cの流れに関しては、実施の形態1の誘導加熱調理器における動作と同じである。
第1の排気流路32に到達した冷却風Cの一部は通気口43を通ってキッチンキャビネット2の内部に排出される。第1の排気流路32に到達した冷却風Cにおける残りは、第1の排気流路32および第2の排気流路34を通ることにより180度方向転換して、メインケース22の背面壁22dにおける左側に設けられた排気口21から排出される。
上記のように、第1の排気流路32に到達した冷却風Cの少なくとも大部分は、第2の排気流路34に流れていき、第2の排気流路34を流れている間に手前側から背面側への方向の流れベクトルを主流とする流れに整流される。したがって、冷却風Cが排気口21から排出される際にはある程度の流速に成長しており、誘導加熱調理器の手前側から背面側へという明確に方向が定まった流れとなる。排気口21から排気される流れの方向は吸気口20から遠ざかる方向であるため、排気口21から排気され加熱された空気が吸気口20から再吸引され難く、冷却性能が向上している。
なお、メインケース22の背面壁22dに形成された排気口21の排気量を、メインケース22の前面壁22aに形成された通気口43の排気量より多くするほど、当該誘導加熱調理器の冷却性能は向上する。
前述のように、実施の形態5の誘導加熱調理器においては、サブケース19に流れている冷却風Cの一部が、第1の排気流路32を横断して、メインケース22の前面壁22aに形成された隙間である通気口43を通って排気されるよう構成されている。
実施の形態5の構成においては、メインケース22の通気口43と対向する位置に、キッチンキャビネット2の第2の換気口42が形成されている。このため、通気口43から排出された冷却風Cの大部分は、第2の換気口42を通ってキッチンキャビネット2の外部に排出される。したがって、通気口43から排気された冷却風Cが、キッチンキャビネット2の前面壁に当たり方向転換して、キッチンキャビネット2の外部に排出されずにキッチンキャビネット2の内部に留まる量が最小限となっている。
上記のように、実施の形態5の構成においては、メインケース22の通気口43と対向する位置に、キッチンキャビネット2の第2の換気口42が配置されるように誘導加熱調理器がキッチンキャビネット2に設置されるため、通気口43から排気された冷却風Cが第2の換気口42から外部へ排出される構成である。したがって、誘導加熱調理器から排出される冷却風Cの全体としては、吸気口20から再吸引される冷却風Cが最小限となるよう構成でき、冷却性能の向上を図ることができる。
なお、実施の形態5における構成では、メインケース22に形成された通気口43を常時開口した形態であるが、それに限るものではなく、通気口43を完全に遮蔽できる遮蔽板をメインケースの外側から取り付けられるよう構成してもよい。
上記のように通気口43を遮蔽可能な構成とすることにより、誘導加熱調理器をキッチンキャビネット2に設置する際、キッチンキャビネット2の仕様に応じて遮蔽板の取付けの要否を決定することができる。即ち、キッチンキャビネット2における手前側に第2の換気口42が開口している仕様では、遮蔽板を取り付けずに通気口43と第2の換気口42とを連通させることにより、実施の形態5の構成のように第2の換気口42を介して冷却風Cの一部をキッチンキャビネット2の外部へ排出することができる。その結果、当該誘導加熱調理器は、排気された冷却風Cが吸気口20から再吸引されることを低減した吸気−排気構成となる。
一方、キッチンキャビネット2における手前側には換気口が設けられておらず、キッチンキャビネット2の背面側にのみ第1の換気口41が形成されて、キッチンキャビネット2の内部と外部との換気を行うよう構成されたキッチンキャビネット2の仕様では、遮蔽板により通気口43を塞ぐことにより対応できる。遮蔽版により通気口43を塞ぐことにより、すべての冷却風Cは背面壁22dに設けられた排気口21から排出され、後方への流れ方向が明確な排気となる。したがって、当該誘導加熱調理器は、排気された冷却風Cが吸気口20から再吸引されることを低減した吸気−排気構成となる。
実施の形態5の構成においては、様々な換気構成を有するキッチンキャビネットに設置できるため、より汎用性の高い誘導加熱調理器となる。
また、通気口43の開口面積や開口位置を調節できるように、遮蔽板を複数の異なる位置に固定できるように構成してもよい。このように通気口43の開口面積や開口位置を調節できるように構成することにより、設置できるキッチンキャビネットに対する汎用性をさらに向上させることができる。
(実施の形態6)
以下、本発明に係る実施の形態6の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図8は本発明に係る実施の形態6の誘導加熱調理器の全体を示す斜視図である。図9は本発明に係る実施の形態6の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、4つの加熱領域を有する構成であるが、前述の図6に示した実施の形態4の誘導加熱調理器と基本構成は同じである。以下の実施の形態6の説明においては、実施の形態1および実施の形態4の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1および実施の形態4の説明を適用する。
図8に示すように、トッププレート4には4つの加熱領域12a,12b,12c,12dが形成されており、それぞれの加熱領域12a,12b,12c,12dに対応して、各加熱領域12a,12b,12c,12dの直下にはコイルユニット8a,8b,8c,8dがそれぞれ設けられている。
図9に示す誘導加熱調理器の内部構成において、制御回路15a,15bは大きく左側領域と右側領域とに別れている。左側領域の制御回路15aで左側の2個の加熱領域12a,12bと対応した前後2個のコイルユニット8a,8bを制御し、右側の制御回路15bで右側の2個の加熱領域12c,12dと対応した前後2個のコイルユニット8c,8dを制御する。
吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側の略中央に形成されている。吸気口20と対向する位置に送風装置17の吸込み口が設けられている。左右の制御回路15a,15bと送風装置17は1つのサブケース19の内部に配設されている。
送風装置17から左右の制御回路15a,15bにおける各発熱部品16に対しては冷却風Cを導くようにダクト18が設けられている。制御回路15a,15bにおける発熱部品16において、特に発熱量が大きいスイッチング素子(IGBT)27は、より冷却性能を高めるためにヒートシンク28を接合するとともに、さらに冷却性能を高めるために、中央側に配置されている。図9に示すように、左右の制御回路15a,15bのそれぞれにおいて、ヒートシンク28を接合したスイッチング素子27は、ともに中央側に配設されており、送風装置17の送風口24から比較的近い位置に配置されている。実施の形態6の構成においては、左右の制御回路15a,15bの実装構成が当該誘導加熱調理器における中心軸が前後方向となる中心線X(図9参照)に対して対称的に配置されている。
したがって、制御回路15a,15bにおけるスイッチング素子(IGBT)27および共振コンデンサ29などの発熱部品16の配置は、中心線Xに対して略対称となる。
なお、実施の形態6の構成において、送風装置17の送風口24の中心が中心線X上に配置されており、送風装置17の送風口24に連続するダクト18が中心線Xに対して対称に設けられている。また、ダクト18の内側には2枚の分岐板30が中心線Xに対して略対称に配置されており、左右の制御回路15a,15bにおけるヒートシンク28を接合したスイッチング素子27に送風装置17からの冷却風Cが効率高く接触するように、ダクト18および分岐板30が設けられている。
図9に示すように、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、背面側の略中央に設けられた送風装置17からの冷却風Cがダクト18にガイドされて、発熱部品16などを冷却して第1の排気流路32へと流れ込むよう構成されている。第1の排気流路32に到達した冷却風Cは、左右に分かれて流れ、第2の排気流路34および第3の排気流路35をそれぞれ流れる。第2の排気流路34は、サブケース19の左側面壁19bとメインケース22の左側面壁22bとの間に形成された流路である。第3の排気流路35は、サブケース19の右側面壁19eとメインケース22の左側面壁22eとの間に形成された流路である。第2の排気流路34および第3の排気流路35の背面側のそれぞれの端部が排気口21a,21bとなっており、排気口21a,21bはメインケース22の背面壁22dの左右の端部に形成されている。
また、冷却風Cがサブケース19の内部から第1の排気流路32に流れ込むとき、冷却風Cの流れが略90度曲がる領域に複数の流路案内板31e,31fが設けられている。流路案内板31e,31fは、誘導加熱調理器の背面側から手前側への流れの方向に対して略45度斜行して配設されており、サブケース19からの冷却風Cがスムーズに略90度曲がるよう構成されている。また、複数の流路案内板31e,31fは、サブケース19の前面壁19aの開口部分に配置されており、左側領域の流路案内板31eと右側領域の流路案内板31fが異なる向きに斜行している。左側領域の流路案内板31eは、サブケース19における左側の制御回路15aを冷却した冷却風Cの大部分を左側にある第2の排気流路34に流すように斜行している。また、右側領域の流路案内板31fは、サブケース19における右側の制御回路15bを冷却した冷却風Cの大部分を右側にある第3の排気流路35に流すように斜行している。
第2の排気流路34と左側の排気口21aとは連通しており、第3の排気流路35と右側の排気口21bとは連通している。左右の排気口21a,21bは当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略対称となるように配置されている。
なお、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、メインケース22の前面壁22aが、背面側に設けられた送風装置17から制御回路15a,15bに送られる冷却風Cの風向き方向に設けられている。前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。また、メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路34が構成され、右側面壁22eにより第3の排気流路35が構成されている。吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側の略中央に設けられており、排気口21a,21bはメインケース22の背面壁22dの両側に設けられている。実施の形態6の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の左側面壁22bが第2の側面壁に相当し、そしてメインケース22の右側面壁22eが第3の側面壁に相当する。
次に、以上のように構成された実施の形態6の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態6の誘導加熱調理器においては、略中央に背面側に設けられた送風装置17からの冷却風Cがダクト18に案内されて、制御回路15a,15bの各発熱部品16を冷却し、サブケース19の前面壁19aの開口を通過して第1の排気通路32に流れる。
サブケース19の前面壁19aの開口には、サブケース19における冷却風Cの流れ方向に対して斜行した複数の流路案内板31e,31fが設けられている。サブケース19の前面壁19aの開口において、略中央から左領域に配置された左側の流路案内板31eは、サブケース19からの冷却風Cが第1の排気流路32を左方向に流れるように、サブケース19における背面側から手前側への流れ方向に対して左に略45度斜行して配置されている。
一方、前面壁19aの開口における略中央から右領域に配置された右側の流路案内板31fは、サブケース19からの冷却風Cが第1の排気流路32を右方向に流れるように、サブケース19における背面側から手前側への流れ方向に対して右に略45度斜行して配置されている。なお、左側の流路案内板31eと右側の流路案内板31fとの分岐位置は、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線X上となる。
上記のように、サブケース19の前面壁19aの開口に複数の流路案内板31e,31fが設けられているため、サブケース19の前面壁19aの開口から排気された冷却風Cはスムーズに左右に分かれて第1の排気流路32を流れる。
上記のように、実施の形態6の構成においては、サブケース19から冷却風Cが第1の排気流路32をスムーズに左右に流れて、左側の第2の排気流路34および右側の第3の排気流路35に導かれる。第2の排気流路34および第3の排気流路35における冷却風Cは、誘導加熱調理器の手前側から背面側へ流れてそれぞれの排気口21a,21bから後方へ排気される。
第2の排気流路34および第3の排気流路35を流れる冷却風Cにおいては、流れにおける乱れが抑制されており、後方へ向かう流れベクトルが主流となっている。このため、第2の排気流路34および第3の排気流路35を通って各排気口21a,21bから排気された空気の流れは、より大きな流速に成長している。このように、第2の排気流路34および第3の排気流路35を冷却風Cが流れることにより、誘導加熱調理器における手前側から背面側へ流れるという明確に流れ方向が定まった排気がなされる。このため、メインケース22の背面壁22dの両端側における排気口21a,21bから排気され加熱された冷却風Cは、メインケース22の中央部分にある吸気口20から再吸引されることが抑制されており、冷却性能の向上が図られている。
また、実施の形態6の誘導加熱調理器において排気口21a,21bからの排気の方向は、キッチンキャビネット2における背面側の方向であるため、排気された冷却風Cはそのままキッチンキャビネット2の背面側に形成されている換気口23へと至る。このため、誘導加熱調理器の排気口21a,21bから排気された冷却風Cが、誘導加熱調理器の吸気口20から再吸引され難い構成となっている。
実施の形態6の誘導加熱調理器は、発熱部品16をそれぞれが有する制御回路15a,15bが左右の領域にそれぞれ別々に配設された構成である。この構成において、それぞれの発熱部品16を中央側に集約して配置して、中央部分に設けた1つの送風装置17からの冷却風Cにより冷却するよう構成されている。このように、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、底面板22cに形成した1つの吸気口20から吸気された冷却風Cにより2つの制御回路15a,15bにおけるそれぞれの発熱部品16を冷却して、背面壁22dの両側にある排気口21a,21bから排気する構成である。したがって、実施の形態6の構成においては、左右それぞれの制御回路ごとに吸気口とそれに対応する送風装置を設けた構成と比べて、背面壁22dの両端に設けた排気口21a,21bと吸気口20との距離が長くなり、排気口21a,21bからの排気が吸気口20から再吸引され難い構成となる。
また、実施の形態6の構成においては、送風装置17を1つに集約することができるため、省スペース化を図ることができる。また、送風装置17を1つに集約することができるため、吸気口20を大きく設計することができ、大口径の送風装置17を採用することが可能となる。この結果、実施の形態6の誘導加熱調理器においては冷却風量の増大を図り、冷却性能の向上を達成することができる。
なお、実施の形態6の誘導加熱調理器においては、加熱領域12a,12b,12c,12dが左側の領域に2個、右側の領域に2個、合計4個を設けた構成で説明したが、加熱領域の数は実施の形態6における数に限るものではなく、例えば加熱領域が3個の構成であってもよい。その場合には、左右のどちらか一方の領域を1個の加熱領域として、全体で3個の加熱領域としてもよいし、トッププレート4の手前側の領域に2個、背面側の領域の略中央に1個を設けて、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略対称となるように配置してもよい。
また、本発明の誘導加熱調理器においては、制御回路などをさらに追加して、加熱領域を5個以上の設けた構成としてもよい。この場合においても、1つの送風装置によりガイドなどを設けて全体の制御回路における発熱部品を冷却して、排気流路を通って、背面壁の両側にある排気口から排気されるように構成することが好ましい。
(実施の形態7)
以下、本発明に係る実施の形態7の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図10は本発明に係る実施の形態7の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態7の誘導加熱調理器は、前述の図8に示した実施の形態6のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。また、実施の形態7の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器1(図3参照)におけるサブケース19を2組並設した構成である。各サブケース19A,19Bの内部構成は、実施の形態1の誘導加熱調理器1におけるサブケース19と同じである。以下の実施の形態7の説明においては、実施の形態1および実施の形態6の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1および実施の形態6の説明を適用する。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、前述の図8に示した実施の形態6のように、トッププレート4には4つの加熱領域12a(左領域手前側),12b(左領域背面側),12c(右領域手前側),12d(右領域背面側)が形成されている。これらの加熱領域12a,12b,12c,12dに対応して、4つのコイルユニット8a(左領域手前側),8b(左領域背面側),8c(右領域手前側),8d(右領域背面側)がトッププレート4の直下に設けられている(図10において一点鎖線にて示す)。各コイルユニット8a,8b,8c,8dは、前述の実施の形態1において説明したように、加熱コイル5、コイルベース6、フェライト7およびマイカ板を有して構成されている(図2参照)。
左領域のコイルユニット8a,8bは左領域の放熱板の上に載置されており、右領域のコイルユニット8c,8dは左領域の放熱板の上に載置されている。実施の形態7の構成においては、複数のコイルユニット8a,8bおよび8c,8dが放熱板を共用して用いることにより、放熱板の表面積が広くなるため冷却性能が向上している。また、放熱板を介してコイルユニット8a,8b,8c,8dを支える支持部材を削減できるため、組立性が向上し、省スペース化を図ることができる。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、手前側に配設された加熱領域12a,12cの下方にはそれぞれ赤外線センサ13が設けられている(図2参照)。赤外線センサ13は、加熱領域12a,12c上に載置される被加熱物である調理容器3の底面の下方となる位置に配置されている。赤外線センサ13は、調理容器3の底面から放射された赤外線をトッププレート4を介して検知し、調理容器3の底面の温度に対応した温度検知信号を出力する。
また、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、加熱領域12a,12b,12c,12dに載置される調理容器3の底面の略中央部分に対向する各位置に、トッププレート4の裏面に押し付けられるようにサーミスタ14がそれぞれ設けられている(図2参照)。これらのサーミスタ14により各調理容器3の底面に対向するトッププレート4の温度が検知され、その検知温度に対応する温度検知信号を出力する。
実施の形態7の誘導加熱調理器の内部には、赤外線センサ13およびサーミスタ14の近傍には赤外線センサ13およびサーミスタ14から出力された温度検知信号、および使用者が操作部36において設定した出力設定信号などの信号に基づいて、コイルユニット8a,8b,8c,8dにおける加熱コイル5を駆動制御する制御回路15a,15bが設けられている。
誘導加熱調理器内部の制御回路15a,15bは、スイッチング素子27、共振コンデンサ28などの発熱部品16をそれぞれ含んでいる。また、誘導加熱調理器内部には、これらの発熱部品16を冷却するための2つの送風装置17a,17bと、送風装置17a,17bからのそれぞれの冷却風Cを制御回路15a,15bの発熱部品16に導くためのダクト18a,18bが設けられている。送風装置17a,17bとダクト18a,18bは、樹脂製の上方開口した箱体形状のサブケース19A,19Bの内部に納められている。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、送風装置17a,17bとしてシロッコファンを採用している。このシロッコファンの回転方向は、図10において矢印Aで示すように、鉛直上方向から見て時計回りの方向である。
実施の形態7の誘導加熱調理器における内部空間は、上面となるトッププレート4、およびトッププレート4の下方に設けられて四方の側面壁と底面板で構成された樹脂製のメインケース22により形成される。
誘導加熱調理器における内部空間に対する空気の吸入および排気を行うための吸気口20a,20bおよび排気口21は、メインケース22の背面側に設けられている。メインケース22の吸気口20a,20bおよび排気口21は、キッチンキャビネット2の内部空間に開口している。キッチンキャビネット2の内部空間には、背面側に沿って細長い換気口23が形成されている。したがって、メインケース22の吸気口20a,20bおよび排気口21は、換気口23に対してスムーズな空気流となるよう連通可能な状態である。したがって、吸気口20a,20bにより冷却風Cを吸引する時に生じる圧力損失は低減されている。
実施の形態7の誘導加熱調理器において、メインケース22および各サブケース19A,19Bの底面板に形成された吸気口20a,20bは、各底面板における背面側の右側領域に形成されている。一方、排気口21は、2つのサブケース19A,19Bを覆うメインケース22の背面壁22dの左端に形成されている。メインケース22の内部においては、各吸気口20a,20bと対向する位置に送風装置17a,17bの吸い込み口26(図2参照)が配置されている。
実施の形態7の誘導加熱調理器における内部空間において、各制御回路15a,15bは吸気口20a,20bの形成位置より手前側の空間に配置されている。制御回路15a,15bの発熱部品16の中でも発熱量が大きいスイッチング素子(IGBT)27などは、それぞれの送風装置17a,17bの送風口24a,24bから比較的近い位置に配置されている。
送風装置17a,17bの各送風口24a,24bからの冷却風Cは、ダクト18a,18bにより所定の冷却空間に案内されており、このダクト18a,18bにより形成される冷却空間内には、スイッチング素子(IGBT)27や共振コンデンサ29などの制御回路15a,5bにおける発熱部品16、および赤外線センサ13などが配置されている。ダクト18a,18bには分岐板30a,30bが設けられており、各送風装置17a,17bの送風口24a,24bからの冷却風Cがダクト18a,18b内の各部品に確実に接触して、各部品が所望の温度に冷却される。
ダクト18a,18b内において各部品を冷却した冷却風Cは、ダクト18a,18bから排出された後、加熱コイル5などが配置された上部空間と、制御回路15a,15bなどが配置された下部空間とを仕切る各放熱板を冷却する。送風装置17a,17bの送風口24a,24bの近傍には冷却風検知用サーミスタ(図示せず)が配置されている。冷却風検知用サーミスタにより検知された冷却風Cの温度を示す冷却風温度検知信号は、制御回路15a,15bに入力される。それぞれの制御回路15a,15bは、冷却風Cの温度が所定の温度を超えたことを検出したとき、対応する加熱コイル5への出力を抑制して、電子部品の発熱を抑制する制御を行う。
上記のように、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、第1のサブケース19Aを有する第1の誘導加熱ブロック33aと、第2のサブケース19Bを有する第2の誘導加熱ブロック33bが、メインケース22の内部に設けられている。
第1の誘導加熱ブロック33aにおいては、放熱板上に載置された2つのコイルユニット8a,8b、およびコイルユニット8a,8bの出力を制御する制御回路15a、制御回路15aにおける発熱部品16などを冷却するために冷却風Cを導くダクト18a、および冷却風Cを形成する送風装置17aなどが第1のサブケース19A内に設けられている。
同様に、第2の誘導加熱ブロック33bにおいては、放熱板上に載置された2つのコイルユニット8c,8d、およびコイルユニット8c,8dの出力を制御する制御回路15b、制御回路15bにおける発熱部品16などを冷却するために冷却風Cを導くダクト18b、および冷却風Cを形成する送風装置17bなどが第2のサブケース19B内に設けられている。
第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bは、メインケース22内に並設されており、各サブケース19A,19B内の制御回路15a,15bが同じ実装構成を有しており、制御回路15a,15bを冷却する冷却風Cの流れ方向は同一方向である。
図10に示すように、第1のサブケース19Aの前面壁19aと、メインケース22の手前側の側面壁である前面壁22aとの間は、所定距離を有しており、前面排気流路が形成されている。この前面排気流路が第1の排気流路320に含まれる。また、第2のサブケース19Bの前面壁19aと、メインケース22の手前側の側面壁である前面壁22aとの間は、所定距離を有しており、前面排気流路が形成されている。この前面排気流路が前記の第1の排気流路320に含まれる。したがって、第1の排気流路320は、第1のサブケース19Aの前面排気流路および第2のサブケース19Bの前面排気流路により構成されている。
第1のサブケース19Aにおける左側面壁19bと、メインケース22の左側面壁22bとの間は、所定距離を有しており、左側面排気流路が形成されている。この左側面排気流路が第2の排気流路34である。
実施の形態7の誘導加熱調理器の操作部36は、実施の形態1における操作部36と同じ構成を有しており、トッププレート4の手前側に配置されている。
操作部36は操作基板とタッチスイッチで構成されるため、操作部36の高さ方向の長さは比較的短く形成される。そのため、前述の前面排気流路である第1の排気流路320の少なくとも一部は、操作部36の下方に配置された構成となる。
なお、実施の形態7においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17a,17bから制御回路15a,15bに送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路320が構成されている。メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路34が構成されている。、吸気口20a,20bは、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21は、メインケース22の背面壁22dに形成されている。実施の形態7の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の左側面壁22bが第2の側面壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態7の誘導加熱調理器における動作について説明する。
第1の誘導加熱ブロック33aにおいて、送風装置17aにより吸気口20aから吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15aを冷却するために、送風装置17aから手前側の方向に吹き出される。送風装置17aから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18aにより案内されて制御回路15aの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第1のサブケース19Aの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
一方、第2の誘導加熱ブロック33bにおいては、送風装置17bにより吸気口20bから吸い込まれた冷却風Cが、制御回路15bを冷却するために、送風装置17bから手前側の方向に吹き出される。送風装置17bから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18bにより案内されて制御回路15bの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第2のサブケース19Bの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
第1の排気流路320において、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからの冷却風Cは、メインケース22の前面壁22aに当接して、冷却風Cの流れが略90度曲げられる。第1の排気流路320の右端部は閉鎖されているため、冷却風Cは左側面排気流路である第2の排気流路34の方向に曲がられて、第2の排気流路34へと至る。第2の排気流路34においては、冷却風Cがメインケース22の左側面壁22bに当接して、さらに略90度曲げられて、第2の排気流路34に沿って流れて、背面側にある排気口21から排出される。
冷却風Cが第2の排気流路34(左側面排気流路)に沿って流れているとき、冷却風Cの流れベクトルは、背面側方向の流れが主流である。このため、メインケース22の背面壁22dにある排気口21からの排出される空気の流れは、メインケース22から後方へ向かうものとなる。すなわち、排気口21から排出された空気は、キッチンキャビネット2の換気口23が形成されている方向に排気される。上記のように第2の排気流路34を通り、排気口21から排出された空気は、ある程度の速さを有する流速となっており、かつメインケース22の排気口21から後方へ排気される明確に流れ方向が定まった排気となっている。このように排気口21からの排気方向は、メインケース22の底面板に形成された吸気口20a,20bの配置された方向とは異なる方向であり、吸気口20から遠ざかる方向である。このため、実施の形態7の構成においては、排気口21から排出された空気が吸気口20a,20bから再吸引され難い構成となっており、冷却性能が大幅に向上した構成となっている。
上記のように構成された実施の形態7の誘導加熱調理器がキッチンキャビネット2に組み込まれているため、メインケース22の排気口21からの排気方向がキッチンキャビネット2の内部空間におけるキッチンキャビネット2の背面側方向(後方)であり、換気口23が形成されている方向である。このため、メインケース22の排気口21から排出された空気は、そのままキッチンキャビネット2の換気口23に流れていき、誘導加熱調理器のメインケース22の吸気口20a,20bから再吸引され難い空気流となっている。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック35bの双方における冷却風Cの一部が、第1の排気流路32において混流する構成である。一方の誘導加熱ブロック33aまたは33bにおける加熱領域のみを使用する場合や、それぞれの誘導加熱ブロック33a,35bにおける各加熱領域の負荷を変更して使用する場合のように、それぞれの制御回路15a,15bにおける発熱量が異なる場合がある。このような場合においては、これらの制御回路15a,15bを冷却した後の冷却風の温度上昇は異なるものとなる。しかし、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック35bの双方における冷却風Cの一部が第1の排気流路320において混流するよう構成されている。このため、第1の排気流路320においては、高温側の冷却風Cと低温側の冷却風Cが混合されて、高温側の温度を低下させている。
上記のように、第1の排気流路320においては、冷却風Cの温度を均一化する機能を有するため、誘導加熱調理器のメインケース22における局部的な発熱が抑制されている。このように、実施の形態7の構成においては、キッチンキャビネット2内部の局部的な温度上昇が抑制されているため、結果的に吸気温度上昇が抑制される構成となる。したがって、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、高出力の加熱調理を長時間実施することが可能な構成である。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、排気流路には余分な障害物が配置されていない構成であるため、冷却風Cの流れを所望の方向にスムーズに変更できると共に、冷却風Cの混合領域としての効果をより一層向上させている。
なお、冷却風Cの第1の排気流路320および第2の排気流路34への流入口に別途流路案内板などを配置してもよい。このような流路案内板により冷却風の流れをさらにスムーズに曲げることができ、圧力損失が低減され、流れの乱れがより抑制される。この結果、排気口21から排出される排気の流れは、より大きな流速に成長し、かつ明確に流れ方向が定まった排気となる。このため、排気口21から排出された空気が吸気口20a,20bから再吸引され難い構成となり、冷却性能が向上する。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、それぞれの制御回路15a,15bに対応して独立した吸気口20a,20bおよび送風装置17a,17bが設けられている。したがって、各々の送風装置17a,17bの小型化を図ることができ、冷却風Cの流路を比較的簡単な形状とすることができる。また、冷却風Cの流路における圧力損失の増大を抑制することができる。このため、各々の送風装置17a,17bのさらなる小型化を図ることができ、誘導加熱調理器全体として省スペースとなる。
実施の形態7における構成によれば、複数の加熱領域に対して誘導加熱するための構成要素をブロック化(誘導加熱ブロック)することができるため、部品などの共用化を図ることができる。また、広いキッチン空間に対応して加熱領域の数を増やした場合においても、誘導加熱ブロックを増やすことにより容易に対応することができる。
なお、メインケース22の吸気口20a,20bから吸入された冷却風Cは、各サブケース19A,19Bの内部の制御回路15a,15bなどを冷却して前方に流れ、第1の排気流路320および第2の排気流路34を通って、排気口21から排気される。このように冷却風Cの流路は、鉛直上方向からみて略180度時計方向に曲がっている。このため、実施の形態7の構成においては、排気流路の屈曲部分において圧力損失が生じ、送風装置17a,17bの回転数が落ち、冷却風Cの流量が減少して、冷却性能が低下するという懸念がある。
しかしながら、実施の形態7の構成においては、送風装置17a,17bがシロッコファンを用いており、シロッコファンから吹き出される冷却風Cの流れにはシロッコファンの回転方向である時計回りの方向と同じ回転方向のベクトル成分を有している。
このため、実施の形態7の誘導加熱調理器においては、シロッコファンから吹き出される冷却風Cが有するベクトル成分と同じ回転方向に冷却風Cの流れを曲げる排気流路が形成されている。このため、その排気流路に沿って冷却風Cが流れて排気口21へと至る構成となっている。したがって、実施の形態7の誘導加熱調理器のように、冷却風Cの排気流路が略180度と大きく流れを曲げる屈曲部を有する構成でも、流路の曲がる屈曲部で空気流の乱れが少なく、流路全体の圧力損失を低減することができ、冷却風Cの流量低減を大幅に抑制することができる。また、実施の形態7の誘導加熱調理器の構成によれば、排気流路における流れの乱れが抑制されているため、その乱れにより生じる騒音も低減される。
なお、実施の形態7の誘導加熱調理器が設けられているキッチンキャビネット2においては、キッチンキャビネット2の内部と外部とを連通する換気口23が、キッチンキャビネット2の手前側や上面側に設けられておらず、誘導加熱調理器の吸気口20a,20bおよび排気口21が配置されているキッチンキャビネット2の背面側にのみ設けられている。このように、キッチンキャビネット2の内部と外部とを連通する換気口23を背面側に設けることにより、キッチンキャビネット2の内部を介して誘導加熱調理器における冷却風Cのキッチンキャビネット2の内部と外部との換気動作がスムーズとなる。このため、キッチンキャビネット2に実施の形態7の誘導加熱調理器を設けることにより、利用者に直接換気風が当たることがなく、快適な操作および調理が可能となる。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、吸気口20a,20bおよび排気口21が背面側に配置されて、キッチンキャビネット2の上面に開口部分を形成する必要のない構成である。このため、水蒸気および油煙などがキッチンキャビネット2や誘導加熱調理器の内部に浸入し難い構成となり、かつ吸排気時の風切り音も低減された構成となる。
実施の形態7の誘導加熱調理器において、トッププレート4には吸気口20a,20bおよび排気口21などの開口が形成されていないため、トッププレート4のデザイン性の自由度が向上している。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、吸気口20a,20bがメインケース22の底面板22cに設けられているため、比較的温度が低いキッチンキャビネット2の内部の下側の空気を吸気する構成となっている。また、排気口21がメインケース22の底面板22cではなく背面壁22dにおける左端に形成されているため、高温の排気はキッチンキャビネット2の背面側に向かって排出されることとなり、吸気口20a,20bから再吸引し難い吸気−排気構成である。
なお、キッチンキャビネット2の内部において、誘導加熱調理器の吸気口20a,20bと排気口21との間を遮蔽するような遮蔽板を設けて、より確実に再吸引の防止を図ってもよい。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、排気口21を背面壁22dにおける左側面壁22bの近傍に形成した例で説明したが、本発明はそのような構成に限るものではない。例えば、第2の排気流路34における底面板22cの背面側や左側面壁22bの背面側に形成しても同様の効果を得ることができる。また、第2の排気流路34および排気口21は、メインケース22の左側領域ではなく、逆にメインケース22の右側領域に形成してもよく、例えば背面壁22dの右側面壁近傍に排気口21を形成し、メインケース22の右側面壁22eに沿って第2の排気流路34を形成してもよい。
また、第1の排気流路32および第2の排気流路34は、サブケース19とメインケース22と間の隙間を特別に形成して構成したが、別途ダクトなどを設けることなく、メインケース22の側面壁(前面壁22a、左側面壁22b、右側面壁22e)および底面板22c、コイルユニットを載置した放熱板10の下面、および各サブケース19A,19Bの側面壁(前面壁19a、左側面壁19b、右側面壁19e)などの一部を利用して、同様の排気流路を構成してもよい。このように、放熱板10や、制御回路15a,15bを実装するサブケース19A,19Bや、装置全体をカバーするメインケース22の一部を利用して排気通路を形成することにより、省スペース化を図ることが可能となる。
さらに、放熱板10の下面を利用して排気流路を形成することにより、放熱板10の冷却効果を高めることができ、加熱コイル5の温度を下げることができる。この結果、直接加熱コイル5を直接的に冷却する必要がなくなるため、加熱コイル5へ至る冷却風Cの流路を形成する必要がなくなり、誘導加熱調理器の薄型化および省スペース化を図ることができる。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、加熱コイル5および発熱部品16などを冷却して温度上昇した冷却風Cが、他の電子部品には触れることなく直ちにメインケース22の外部に排気する構成となる。このため、当該誘導加熱調理器においては、温度上昇した冷却風Cによって他の電子部品などが加熱されて温度上昇することが防止されている。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、冷却風Cの流れを阻害するような特に大きな部品などを用いない構成であり、サブケース19A,19Bの内部を冷却風Cが背面側から手前側の方向にスムーズに流れるよう構成されている。このため、実施の形態7の構成においては、圧力損失の低減が図られている。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、第1の排気流路32として操作部36の下側の空間を利用することができ、誘導加熱調理器の内部空間におけるデッドスペースを活用して、省スペース化を図ることができる。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、排気口21が第2の誘導加熱ブロック33bより第1の誘導加熱ブロック33aの方に近い位置に形成されている。すなわち、排気口21は第1の誘導加熱ブロック33aの吸気口20aに比べて第2の誘導加熱ブロック33bの吸気口20bからの方が遠い位置にある。したがって、吸気口20bは吸気口20aに比べて排気口21から排出され温度上昇した空気を再吸引し難い位置にある。
上記のように構成されているため、第2の誘導加熱ブロック33bにおける冷却風Cの温度上昇は、第1の誘導加熱ブロック33aにおける冷却風Cの温度上昇に比べてさらに抑制されている。また、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bの消費電力が同じである場合には、第2の誘導加熱ブロック33bにより誘導加熱される加熱領域12c,12dの方が長時間稼動可能となる。逆に、各誘導加熱ブロック33a,33bの稼働時間を合わせて設計した場合には、第2の誘導加熱ブロック33bは第1の誘導加熱ブロック33aと比べて、より大きな消費電力の誘導加熱を行うことが可能となる。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、背面側の送風装置17a,17bからの冷却風Cがダクト18a,18bおよびサブケース19A,19Bの側壁により手前側の方向に向かって流れて第1の排気流路32に至る流れと、略180度方向転換して手前側から背面側の排気口21に向かう第2の排気流路34を流れる流れとの間で冷却風Cが混流しないように構成されている。このため、誘導加熱調理器の内部において送風装置17a,17bの各送風口24a,24bから排気口21へ至るショートサーキットが生じることがなく、誘導加熱調理器内部の各発熱部品16を確実に安定して冷却することができる。また、誘導加熱調理器内部において混流による流れの乱れが生じないため、誘導加熱調理器において手前側から背面側の方向への流れベクトルの大きさが減衰されることなく排気される。この結果、実施の形態7の誘導加熱調理器は、排気口21から吐出した排気が吸気口20a,20bから再吸引され難い構成となっており、冷却性能の向上が図られている。
実施の形態7の誘導加熱調理器においては、トッププレート4における加熱領域12a,12b,12c,12dを前後2つずつ並んだ例で説明したが、それに限るものではない。例えば、加熱領域はトッププレート4における前後左右の任意の位置に設けることが可能である。また、加熱領域の数に関しても限定されるものではなく、増減させることが可能であり、大口径のコイルを含んだ2〜3つの加熱領域を有する構成としてもよいし、5つ以上設ける構成としてもよい。
(実施の形態8)
以下、本発明に係る実施の形態8の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図11は本発明に係る実施の形態8の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態8の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態7のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。また、実施の形態8の誘導加熱調理器は、実施の形態7の誘導加熱調理器のように第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを有する構成であり、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを2組並設した構成である。第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bの構成は、実施の形態7の誘導加熱調理器と同じである。以下の実施の形態8の説明においては、実施の形態7の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態7の説明を適用する。
実施の形態8の誘導加熱調理器においては、図11に示すように、排気口21がメインケース22の左側面壁22bにおける前面壁22aの近傍に形成されている。即ち、排気口21は、左側面壁22bにおける手前側に形成されており、第1の排気流路320における流路方向(図11における左方向)に設けられて、第1の排気流路320と連通している。
なお、実施の形態8においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17a,17bから制御回路15a,15bに送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路320が構成されている。吸気口20a,20bは、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21は、メインケース22の左側面壁22bに形成されている。実施の形態8の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態8の誘導加熱調理器における動作について説明する。
第1の誘導加熱ブロック33aにおいて、送風装置17aにより吸気口20aから吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15aを冷却するために、送風装置17aから手前側の方向に吹き出される。送風装置17aから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18aにより案内されて制御回路15aの各々の発熱部品16(スイッチング素子27,共振コンデンサ29など)を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第1のサブケース19Aの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
一方、第2の誘導加熱ブロック33bにおいては、送風装置17bにより吸気口20bから吸い込まれた冷却風Cが、制御回路15bを冷却するために、送風装置17bから手前側の方向に吹き出される。送風装置17bから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18bにより案内されて制御回路15bの各々の発熱部品16(スイッチング素子27,共振コンデンサ29など)を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第2のサブケース19Bの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
第1の排気流路320において、第1のサブケース19Aおよび第2のサブケース19Bからのそれぞれの冷却風Cは、メインケース22の前面壁22aに当接し、冷却風Cの流れは略90度曲げられる。第1の排気流路320の右端部は閉鎖されているため、冷却風Cは第1の排気流路320において左方向に流れる流れ方向が一定の流れとなり、メインケース22の左側面壁22bに形成された排気口21から排出される。
排気口21からの排出された冷却風Cは、第1の排気流路320において左方向に流れていたため、左方向の流れベクトルが主流の流れとなっている。このため、排気口21からの排出された冷却風Cは、排気口21と対向するキッチンキャビネット2の内壁面に当たる。キッチンキャビネット2の内壁面に当たった冷却風は、手前側が塞がっており、背面側に換気口23が設けられているため、略90度曲がって背面側の方向に流れる。このとき、冷却風Cはキッチンキャビネット2の内壁面と当該誘導加熱調理器のメインケース22の左側面壁22bとの間の空間に沿って流れる。このように、排気口21からの排出される冷却風Cは、略90度曲げられただけで、背面側の方向への流れとなり、ある程度の流速を保ったまま流れる。したがって、メインケース22の底面板22cに形成された吸気口20a,20bから再吸引され難く、実施の形態8の誘導加熱調理器は冷却性能が向上している。さらに、キッチンキャビネット2の内壁面に当たり、背面側の方向の流れとなった排気はそのまま換気口23へと至るため、吸気口20a,20bから再吸引され難いものとなっている。
(実施の形態9)
以下、本発明に係る実施の形態9の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図12は本発明に係る実施の形態9の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態7のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。また、実施の形態9の誘導加熱調理器は、実施の形態7の誘導加熱調理器のように、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを有する構成であり、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを2組並設した構成である。第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bの構成は、実施の形態7の誘導加熱調理器と同じである。以下の実施の形態9の説明においては、実施の形態7の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態7の説明を適用する。
実施の形態9の誘導加熱調理器においては、図12に示すように、排気口21がメインケース22の背面壁22dにおける略中央に形成されている。実施の形態9においては、並設された第1のサブケース19Aと第2のサブケース19Bと間に第2の排気流路340が形成されており、第2の排気流路340が排気口21と連通している。
なお、実施の形態9においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17a,17bから制御回路15a,15bに送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路320が構成されている。サブケース19A,19Bの間の空間により第2の排気流路340が構成されている。吸気口20a,20bは、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21は、第2の排気流路340に連通し、メインケース22の背面壁22dの略中央に形成されている。実施の形態9の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の背面壁22dが第2の周壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態9の誘導加熱調理器における動作について説明する。
第1の誘導加熱ブロック33aにおいて、送風装置17aにより吸気口20aから吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15aを冷却するために、送風装置17aから手前側の方向に吹き出される。送風装置17aから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18aにより案内されて制御回路15aの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第1のサブケース19Aの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
一方、第2の誘導加熱ブロック33bにおいては、送風装置17bにより吸気口20bから吸い込まれた冷却風Cが、制御回路15bを冷却するために、送風装置17bから手前側の方向に吹き出される。送風装置17bから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18bにより案内されて制御回路15bの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第2のサブケース19Bの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
第1の排気流路320において、第1のサブケース19Aからの冷却風Cは、メインケース22の前面壁22aに当接し、冷却風Cの流れは略90度曲げられる。このとき、第1の排気流路320の左端部は閉鎖されているため、冷却風Cは第1の排気流路320を右方向に流れていく。一方、第2のサブケース19Bからの冷却風Cは、メインケース22の前面壁22aに当接し、冷却風Cの流れは略90度曲げられる。このとき、第1の排気流路320の右端部は閉鎖されているため、冷却風Cは第1の排気流路320を左方向に流れていく。
第1のサブケース19Aからの冷却風Cおよび第2のサブケース19Bからの冷却風Cは、第1の排気流路320の略中央部分において混流する。混合された冷却風Cは、第1のサブケース19Aと第2のサブケース19Bの間に形成された第2の排気流路340を背面側の方向に流れて排気口21より排出される。第2の排気流路340に流れた冷却風Cは、背面側の方向への流れベクトルが主流となる流れとなっているため、排気口21から排出される際にはある程度の流速に成長して、キッチンキャビネット2の背面側の方向(後方)という明確に流れ方向が定まった排気となる。その排気の方向は、吸気口20a,20bから遠ざかる方向であるため、排気口21から排出された空気は吸気口20a,20bから再吸引され難いものであり、当該誘導加熱調理器の冷却性能は向上している。
さらに、実施の形態9の誘導加熱調理器の構成においては、排気口21からの排気の方向がキッチンキャビネット2の背面側方向であり、そのままキッチンキャビネット2の換気口23へと至るため、排気口21から排気された冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引され難い構成である。
実施の形態9の誘導加熱調理器においては、第2の排気流路340および排気口21が当該誘導加熱調理器の略中央部分に配置されているため、第1の誘導加熱ブロック33aにおける左領域の冷却風Cと、第2の誘導加熱ブロック33bにおける右領域の冷却風Cが、第2の排気流路340の流入口において確実に混流する構成である。このため、左右の領域の冷却風Cが混流して、排気温度の均一化が図られている。したがって、実施の形態9の誘導加熱調理器は、キッチンキャビネット2の内部に排出された排気温度の局所的な温度上昇が防止されており、結果として吸気温度の上昇が抑制されており、高出力の加熱調理を長時間実施できる構成となる。
上記のように、実施の形態9の誘導加熱調理器においては、排気口21がメインケース22の背面壁22dの略中央に設けられ、吸気口20a,20bが底面板22cの設けられており、排気口21からそれぞれの吸気口20a,20bへの距離が大きく異ならない構成である。このため、実施の形態9の誘導加熱調理器は、排気口21から排気された冷却風Cが吸気口20a,20bのどちらからも再吸引されにくく、キッチンキャビネット2の背面側に設けられた換気口23から確実に排出される。
(実施の形態10)
以下、本発明に係る実施の形態10の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図13は本発明に係る実施の形態10の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態10の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態7のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。また、実施の形態10の誘導加熱調理器は、実施の形態7の誘導加熱調理器のように、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを有する構成であり、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを2組並設した構成である。第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bの構成は、実施の形態7の誘導加熱調理器と同じである。以下の実施の形態10の説明においては、実施の形態7の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態7の説明を適用する。
実施の形態10の誘導加熱調理器においては、図13に示すように、2つの排気口21a,21bがメインケース22の背面壁22dに設けられており、背面壁22dにおける左側面壁22bの近傍と右側面壁22eの近傍に形成されている。実施の形態10においては、第1のサブケース19Aの左側面壁19bとメインケース22の左側面壁22bとの間に第2の排気流路340が形成されており、第2のサブケース19Bの右側面壁19eとメインケース22の右側面壁22eとの間に第3の排気流路350が形成されている。
第2の排気流路340はメインケース22の背面壁22dの左端側に形成された排気口21aと連通しており、第3の排気流路350はメインケース22の背面壁22dの右端側に形成された排気口21bと連通している。2つの排気口21a,21bは、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線X(図13参照)に対して対称に配置されている。また、第1の排気流路320,第2の排気流路340および第3の排気流路350おいても、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して対称となっている。
なお、実施の形態10においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17a,17bから制御回路15a,15bに送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路320が構成されている。メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路340が構成され、右側面壁22eにより第3の排気流路350が構成されている。吸気口20a,20bは、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21a,21aは、メインケース22の背面壁22dの左右の端部に形成されている。実施の形態10の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の左側面壁22bが第2の側面壁に相当し、そしてメインケース22の右側面壁22eが第3の側面壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態10の誘導加熱調理器における動作について説明する。
第1の誘導加熱ブロック33aにおいて、送風装置17aにより吸気口20aから吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15aを冷却するために、送風装置17aから手前側の方向に吹き出される。送風装置17aから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18aにより案内されて制御回路15aの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第1のサブケース19Aの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
一方、第2の誘導加熱ブロック33bにおいては、送風装置17bにより吸気口20bから吸い込まれた冷却風Cが、制御回路15bを冷却するために、送風装置17bから手前側の方向に吹き出される。送風装置17bから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18bにより案内されて制御回路15bの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第2のサブケース19Bの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
第1の排気流路320において、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからの冷却風Cは、メインケース22の前面壁22aに当接して、略90度曲げられる。第1の誘導加熱ブロック33aからの冷却風Cの一部は、さらに時計回りの方向に略90度曲げられて、左側面排気流路である第2の排気流路340へと至る。また、第2の誘導加熱ブロック33bからの冷却風Cの一部は、さらに反時計回りの方向に略90度曲げられて、右側面排気流路である第3の排気流路350へと至る。このとき、第1の排気流路320における第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからのそれぞれの冷却風Cの一部は、略中央部分において混流する。
第1の排気流路320において左右に分かれたそれぞれの冷却風Cは、第2の排気流路340および第3の排気流路350を手前側から背面側の方向へ流れる。このように、第2の排気流路340および第3の排気流路350を流れている冷却風Cは、手前側から背面側方向の流れベクトルが主流の流れとなるため、各排気口21a,21bから排出される際にはある程度の流速に成長して、キッチンキャビネット2の背面側の方向(後方)という明確に流れ方向が定まった排気となる。その排気の方向は、吸気口20a,20bから遠ざかる方向であるため、排気口21a,21bから排出された空気は、吸気口20a,20bから再吸引され難いものであり、当該誘導加熱調理器の冷却性能は向上している。
実施の形態10の誘導加熱調理器の構成においては、排気口21a,21bからの排気の方向がキッチンキャビネット2の背面側方向であり、そのままキッチンキャビネット2の換気口23へと至るため、排気口21a,21bから排気された冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引され難い構成である。
実施の形態10の誘導加熱調理器の構成においては、冷却風Cの排気流路構成が当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して左右が略対称であるため、各排気口21a,21bからの排気の量は左右ごとに略半分ずつ分散して排出する。したがって、キッチンキャビネット2の内部空間において、背面側の領域での局所的な温度上昇が抑制されており、温度上昇のムラがなく、温度が略均一化することになる。結果として、実施の形態10の誘導加熱調理器においては、吸気温度上昇が抑制され、高出力の加熱調理を長時間実施することができる。
また、実施の形態10の誘導加熱調理器においては、冷却風Cがメインケース22の側面壁(22a,22b,22e)および底面板(22c)に沿って流れるように構成されているため、温度上昇した冷却風Cの熱が側面壁(22a,22b,22e)および底面板(22c)に伝導して、メインケース22の温度は上昇する。しかし、実施の形態10における構成では、冷却風Cからの側面壁(22a,22b,22e)および底面板(22c)への熱伝導が中心線Xに対して略対称であり、排気流路構成が3つの側面壁に沿って形成されているため、側面壁(22a,22b,22e)および底面板(22c)で構成されるメインケース22の局所的な温度上昇は抑制されている。
なお、実施の形態10の誘導加熱調理器では、第1の排気流路320において冷却風Cを第2の排気流路340の方向と、第3の排気流路350の方向とに分離するため、サブケース19A,19Bにおける前面壁19aに冷却風Cを分離する方向へ導くための流路案内板を設けてもよい。また、第1の排気流路320における冷却風Cをさらに確実に分離するために、第1の排気流路320の中央部に仕切り板を設けてもよい。上記のように、第1の排気流路320に仕切り板を設けることにより、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからのそれぞれの冷却風Cがスムーズに各排気流路に流れて、圧力損失の低減を図ることができる。
なお、逆に第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからの冷却風Cの温度差を緩和させるために、それぞれの冷却風Cを第1の排気流路320において積極的に混流させてもよい。前述のようにサブケース19A,19Bの前面壁19aに設けた流路案内板の向きをそれぞれの冷却風Cの双方が略中心方向Xへと導くような向きにすることにより、第1の排気流路320の中央部分で冷却風Cがより混流しやすくなり、冷却風Cの温度の略均一化を図ることができる。このように構成することにより、第1の排気流路320において冷却風Cの温度が略均一化された後、冷却風Cは第2の排気流路340および第3の排気流路350へとそれぞれ分かれて流れていく。このため、左右の排気口21a,21bから排気される空気の温度差が緩和される。このように構成された実施の形態10の誘導加熱調理器は、キッチンキャビネット2の内部空間における背面側の領域での局所的な温度上昇が抑制され、キッチンキャビネット2の内部空間全体における温度上昇のムラが防止され、キッチンキャビネット2の内部空間における温度の略均一化を図ることができる。
(実施の形態11)
以下、本発明に係る実施の形態11の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図14は本発明に係る実施の形態11の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態11の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態7のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。また、実施の形態11の誘導加熱調理器は、実施の形態7の誘導加熱調理器のように、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを有する構成であり、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを2組並設した構成である。第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bの構成は、実施の形態7の誘導加熱調理器と同じである。以下の実施の形態11の説明においては、実施の形態7の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態7の説明を適用する。
実施の形態11の誘導加熱調理器においては、図14に示すように、2つの排気口21a,21bがメインケース22の背面壁22dに設けられており、背面壁22dにおける左側面壁22bの近傍と右側面壁22eの近傍に形成されている。実施の形態11においては、第1の排気流路320、第2の排気流路340および第3の排気流路350の排気流路構成が前述の実施の形態10の誘導加熱調理器と同じである。2つの排気口21a,21bは、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線X(図14参照)に対して対称に配置されている。また、第1の排気流路320,第2の排気流路340および第3の排気流路350おいても、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して対称となっている。
実施の形態11の誘導加熱調理器においては、図14に示すように、第1の誘導加熱ブロック33aにおける第1の制御回路150aの実装配置と、第2の誘導加熱ブロック33bにおける第2の制御回路150bの実装配置が異なっている。
第1の制御回路150aにおいては、発熱量が大きい発熱部品であるスイッチング素子27およびこのスイッチング素子27に接合されたヒートシンク28などが、ダクト18aの略中央を前後方向に延設された分岐板30aより右側の領域に設けられている。第1の制御回路150aにおける発熱部品である共振コンデンサ29などは分岐板30aより左側の領域に設けられている。
一方、第2の制御回路150bにおいては、発熱量が大きい発熱部品であるスイッチング素子27およびこのスイッチング素子27に接合されたヒートシンク28などが、ダクト18bの略中央を前後方向に延設された分岐板30bより左側の領域に設けられている。第2の制御回路150bにおける発熱部品である共振コンデンサ29などは分岐板30bより右側の領域に設けられている。
上記のように、第1の制御回路150aの実装構成と、第2の制御回路150bの実装構成が、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略対称となるよう各発熱部品が実装されている。
また、第1の制御回路150aを冷却するための送風装置17aは、サブケース19Aにおける背面側の右側の領域に設けられている。送風装置17aの送風口24aは第1の制御回路150aにおけるヒートシンク28に冷却風Cが直接的に当たるよう右側に配置されている。一方、第2の制御回路150bを冷却するための送風装置17bは、サブケース19Bにおける背面側の左側の領域に設けられている。送風装置17bの送風口24bは第2の制御回路150bにおけるヒートシンク28に冷却風Cが直接的に当たるよう左側に配置されている。
なお、実施の形態11においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17a,17bから制御回路150a,150bに送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路320が構成されている。メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路340が構成され、右側面壁22eにより第3の排気流路350が構成されている。吸気口20a,20bは、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21a,21aは、メインケース22の背面壁22dの左右の端部に形成されている。実施の形態11の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当し、メインケース22の左側面壁22bが第2の側面壁に相当し、そしてメインケース22の右側面壁22eが第3の側面壁に相当する。
上記のように、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bにおけるそれぞれの制御回路150a,150bにおいて、冷却風Cの流れ方向が略同一方向となるように、メインケース22の内部に第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bが並設されている。メインケース22において、吸気口20a,20bおよび排気口21a,21bは当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略対称となるよう形成されている。また、吸気口20a,20bおよび排気口21a,21bの配置構成に応じて、送風装置17a,17bおよび制御回路150a,150bが同様に略対称に配置されている。ダクト18a,18bは、送風装置17a,17bの送風口24a,24bの位置に応じて、それぞれの制御回路150a,150bに冷却風Cを導くよう形成されている。
次に、上記のように構成された実施の形態11の誘導加熱調理器における動作について説明する。
第1の誘導加熱ブロック33aにおいて、送風装置17aにより吸気口20aから吸い込まれた冷却風Cは、第1の制御回路150aを冷却するために、送風装置17aから手前側の方向に吹き出される。送風装置17aから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18aにより案内されて制御回路150aの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第1のサブケース19Aの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
一方、第2の誘導加熱ブロック33bにおいては、送風装置17bにより吸気口20bから吸い込まれた冷却風Cが、第2の制御回路150bを冷却するために、送風装置17bから手前側の方向に吹き出される。送風装置17bから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18bにより案内されて第2の制御回路150bの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第2のサブケース19Bの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320へと至る。
第1の排気流路320において、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからの冷却風Cは、メインケース22の前面壁22aに当接して、略90度曲げられる。第1の誘導加熱ブロック33aからの冷却風Cの一部は、時計回りの方向に略90度曲げられて、左側面排気流路である第2の排気流路340へと至る。また、第2の誘導加熱ブロック33bからの冷却風Cの一部は、反時計回りの方向に略90度曲げられて、右側面排気流路である第3の排気流路350へと至る。このとき、第1の排気流路320において、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからのそれぞれの冷却風Cの一部が略中央部分において混流する。
第1の排気流路320において左右に分かれたそれぞれの冷却風Cは、第2の排気流路340および第3の排気流路350に流れる。第2の排気流路340および第3の排気流路350のそれぞれの排気流路においては、冷却風Cが手前側から背面側の方向へ流れる。このように、第2の排気流路340および第3の排気流路350を流れている冷却風Cは、手前側から背面側の方向の流れベクトルが主流の流れとなる。このため、各排気口21a,21bから排出された冷却風Cは、ある程度の流速に成長して、キッチンキャビネット2の背面側の方向(後方)という明確に流れ方向が定まった排気となる。その排気の方向は、吸気口20a,20bから遠ざかる方向であるため、排気口21a,21bから排出された空気は、吸気口20a,20bから再吸引され難いものであり、当該誘導加熱調理器の冷却性能は向上している。
実施の形態11の誘導加熱調理器の構成においては、排気口21a,21bからの排気の方向がキッチンキャビネット2の背面側方向であり、そのままキッチンキャビネット2の換気口23へと至る。このため、実施の形態11の誘導加熱調理器においては、排気口21a,21bから排気された冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引され難い構成を有する。
また、実施の形態11の誘導加熱調理器は、前述の図13に示した実施の形態10と比べて、吸気口20a,20bおよび排気口21a,21bの配置が中心軸X(図14参照)に対して略対称であるため、排気口21a,21bから吸気口20a,20bまでのそれぞれの間の距離が略同じであり、排気口21a,21bから排気されたいずれの冷却風Cも吸気口20a,20bに再吸引されづらいものとなっている。
(実施の形態12)
以下、本発明に係る実施の形態12の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図15は本発明に係る実施の形態12の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態12の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態7のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。また、実施の形態12の誘導加熱調理器は、実施の形態7の誘導加熱調理器のように、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを有する構成であり、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを2組並設した構成である。第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bの構成は、実施の形態7の誘導加熱調理器と同じである。以下の実施の形態12の説明においては、実施の形態7の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態7の説明を適用する。
実施の形態12の誘導加熱調理器においては、図15に示すように、2つの排気口21a,21bがメインケース22の背面壁22dに設けられており、背面壁22dにおける左側端部と略中央部に形成されている。実施の形態12においては、第1のサブケース19Aの左側面壁19bとメインケース22の左側面壁22bとの間に第2の排気流路340が形成されており、第1のサブケース19Aの右側面壁19eと第2のサブケース19Bの左側面壁19bとの間に第3の排気流路350が形成されている。
第2の排気流路340はメインケース22の背面壁22dの左端側に形成された排気口21aと連通しており、第3の排気流路350はメインケース22の略中央部に形成された排気口21bと連通している。
実施の形態12の誘導加熱調理器においては、メインケース22の前面壁22aにより形成される第1の排気流路320a,320bが仕切り板44により左右に分断されている。第1の誘導加熱ブロック33aから第1の排気流路320aに流れ込んだ冷却風Cは、第1の排気流路320aから第2の排気流路340aを経由して排気口21aへと流れている。また、第2の誘導加熱ブロック33bから第1の排気流路320bに流れ込んだ冷却風Cは、第1の排気流路320bから第3の排気流路350を経由して排気口21bへと流れている。
なお、実施の形態12においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17a,17bから制御回路15a,15bに送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路320a,320bが構成されている。メインケース22の左側面壁22bにより第2の排気流路340が構成されている。メインケース22の中央部において、第1のサブケース19Aの右側面壁19eと第2のサブケース19Bの左側面壁19bとにより第3の排気流路35が構成されている。吸気口20a,20bは、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21a,21aは、メインケース22の背面壁22dにおける左端部および中央部に形成されている。
次に、上記のように構成された実施の形態12の誘導加熱調理器における動作について説明する。
第1の誘導加熱ブロック33aにおいて、送風装置17aにより吸気口20aから吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15aを冷却するために、送風装置17aから手前側の方向に吹き出される。送風装置17aから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18aにより案内されて制御回路15aの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第1のサブケース19Aの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320aへと至る。
一方、第2の誘導加熱ブロック33bにおいては、送風装置17bにより吸気口20bから吸い込まれた冷却風Cが、制御回路15bを冷却するために、送風装置17bから手前側の方向に吹き出される。送風装置17bから手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18bにより案内されて制御回路15bの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第2のサブケース19Bの前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路320bへと至る。
第1の排気流路320a,320bにおいて、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからのそれぞれの冷却風Cは、メインケース22の前面壁22aに当接して、時計回りの方向に略90度曲げられる。したがって、第1の誘導加熱ブロック33aからの冷却風Cは、第1の排気流路320aを通って、時計回りの方向に略180度曲げられて、左側面排気流路である第2の排気流路340へと至る。また、第2の誘導加熱ブロック33bからの冷却風Cは、同様に、第1の排気流路320bを通って、時計回りの方向に略180度曲げられて、左側面排気流路である第3の排気流路350へと至る。このとき、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからのそれぞれの冷却風Cは、混流することなく、それぞれの排気口21a,21bから排気される。
上記のように、第2の排気流路340および第3の排気流路350を流れている冷却風Cは、手前側から背面側への方向の流れベクトルが主流の流れとなる。このため、各排気口21a,21bから排出される際にはある程度の流速に成長しており、キッチンキャビネット2の背面側の方向(後方)という明確に流れ方向が定まった排気となる。その排気の方向は、吸気口20a,20bから遠ざかる方向である。このため、実施の形態12の誘導加熱調理器は、排気口21a,21bから排出された空気が吸気口20a,20bから再吸引され難いものであり、当該誘導加熱調理器の冷却性能は向上している。
実施の形態12の誘導加熱調理器においては、排気口21a,21bからの排気の方向がキッチンキャビネット2の背面側方向であり、そのままキッチンキャビネット2の換気口23へと至る構成である。このため、実施の形態12の誘導加熱調理器は、排気口21a,21bから排気された冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引され難い構成を有する。
実施の形態12の誘導加熱調理器の構成においては、誘導加熱ブロック33a,33bにおける実装構成および、吸入口20a,20bから排気口21a,21bまでの排気流路構成が、同じ配置構成である。このため、実施の形態12の誘導加熱調理器においては、排気流路構成まで含めたブロック設計が可能となり、冷却設計まで含めたさらなる共用化を図ることができる。したがって、実施の形態12の誘導加熱調理器の構成は、それぞれの誘導加熱ブロック33a,33bの間の距離を所望の間隔とすることが容易となり、左右の加熱領域の間隔を大きく設定した構成や、誘導加熱ブロックを追加して加熱領域の数をさらに増やした構成など、様々な構成を有する誘導加熱調理器に展開が容易な構成となる。
(実施の形態13)
以下、本発明に係る実施の形態13の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図16は本発明に係る実施の形態13の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態13の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態7のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。また、実施の形態13の誘導加熱調理器は、実施の形態7の誘導加熱調理器のように第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを有する構成であり、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを2組並設した構成である。第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bの構成は、実施の形態7の誘導加熱調理器と同じである。但し、実施の形態13の誘導加熱調理器における第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bは、図16に示すように、冷却風Cが当該誘導加熱調理器の右側から左側へ流れるようにメインケース22の内部に配置されている。
以下の実施の形態13の説明においては、実施の形態7の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態7の説明を適用する。
実施の形態13の誘導加熱調理器においては、制御回路15a,15bを冷却する冷却風Cの流れ方向が同一方向(図16においては右側から左側への方向)となるように、2つの誘導加熱ブロック33a,33bがメインケース22の内部において背面側と手前側に並設されている。背面側の第1の誘導加熱ブロック33aはトッププレート4の背面側に形成された加熱領域12b,12d(図8参照)に対応しており、手前側の第2の誘導加熱ブロック33bはトッププレート4の手前側に形成された加熱領域12a,12c(図8参照)に対応する。
実施の形態13の誘導加熱調理器においては、図16に示すように、排気口21がメインケース22の背面壁22dにおける左端部に形成されている。即ち、排気口21は、第1の排気流路320における流路方向(図16における背面側の方向)に設けられて、第1の排気流路320と連通している。
それぞれのサブケース19A,19Bへの吸気口20a,20b、およびメインケース22の排気口21は、キッチンキャビネット2の内部に開口している。吸気口20a,20bはメインケース22の底面板22cにおける右側領域に形成されており、排気口21はメインケース22の背面壁22dにおける左側端部に形成されている。
上記のように、実施の形態13においては、制御回路15a,15bが吸気口20a,20bより左側に設けられて、送風装置17a,17bからの冷却風Cが右から左に流れて制御回路15a,15bを冷却している。サブケース19A,19Bとメインケース22の左側面壁22bとの間には隙間が設けられており、この隙間が第1の排気流路320となっている。この第1の排気流路320には各誘導加熱ブロック33a,33bからの冷却風Cが流れ込み、排気口21から排気されている。
当該誘導加熱調理器が組み込まれるキッチンキャビネット2には、キッチンキャビネット2の内部と外部とを連通して、換気を行う換気口23が背面側に設けられている。
なお、実施の形態13においては、メインケース22の左側面壁22bが、送風装置17a,17bから制御回路15a,15bに送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、左側面壁22bにより第1の排気流路320が構成されている。吸気口20a,20bは、メインケース22の底面板22cにおける右側領域に形成されており、排気口21は、メインケース22の背面壁22dの左端部に形成されている。実施の形態13の構成においては、メインケース22の左側面壁22bが第1の側面壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態13の誘導加熱調理器における動作について説明する。
第1の誘導加熱ブロック33aにおいて、送風装置17aにより吸気口20aから吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15aを冷却するために、送風装置17aから左方向に吹き出される。送風装置17aから左方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18aにより案内されて制御回路15aの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま左方向に向かって流れて、第1のサブケース19Aから第1の排気流路320へと至る。
一方、第2の誘導加熱ブロック33bにおいては、送風装置17bにより吸気口20bから吸い込まれた冷却風Cが、制御回路15bを冷却するために、送風装置17bから左方向に吹き出される。送風装置17bから左方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18bにより案内されて制御回路15bの各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま左方向に向かって流れて、第2のサブケース19Bから第1の排気流路320へと至る。
第1の排気流路320において、第1のサブケース19Aおよび第2のサブケース19Bからのそれぞれの冷却風Cは、メインケース22の左側面壁22bに当接し、冷却風Cの流れが略90度曲げられる。このとき、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bからの冷却風Cは混流する。第1の排気流路320における手前側の端部は閉鎖されているため、冷却風Cは第1の排気流路320を背面側の方向に流れていき、メインケース22の背面壁22dに形成された排気口21から排出される。
排気口21からの排出された冷却風Cは、第1の排気流路320において背面側の方向に流れていたため、手前側から背面側への方向の流れベクトルが主流の流れとなっている。このため、排気口21から排出される際にはある程度の流速に成長して、キッチンキャビネット2の背面側の方向(後方)という明確に流れ方向が定まった排気となる。その排気の方向は、吸気口20a,20bから遠ざかる方向である。このため、排気口21から排出された空気は、吸気口20a,20bから再吸引され難いものであり、当該誘導加熱調理器の冷却性能は向上している。
実施の形態13の誘導加熱調理器の構成においては、排気口21からの排気の方向がキッチンキャビネット2の背面側の方向であり、そのままキッチンキャビネット2の換気口23へと至る。このため、実施の形態13の誘導加熱調理器は、排気口21から排気された冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引され難い構成である。
また、実施の形態13の誘導加熱調理器においては、吸気口20a,20bがメインケース22の右側の領域に形成され、排気口21がメインケース22の左側の領域に形成されている。このように、吸気口20a,20bと排気口21が左右に大きく離れて形成されているため、排気口21から排出される冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引しづらい構成となっている。
なお、実施の形態13においては、吸気口20a,20bを右側の領域に形成し、排気口21を左側の領域に構成した例で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、左右逆に構成してもよい。また、キッチンキャビネット2の換気口23が手前側にある場合に対応するように、排気口21をメインケース22の前面壁22aに形成してもよい。
さらに、排気口21をメインケース22における背面壁22dと前面壁22aのそれぞれに形成して、どちらか一方の排気口21を遮蔽できる遮蔽板をメインケース22の外面から取り付けられるように構成してもよい。
このように構成することにより、誘導加熱調理器をキッチンキャビネット2に設置する際に、当該キッチンキャビネット2の背面側に換気口23が設けられている場合には、メインケース22の前面壁22aに形成されている排気口21を遮蔽する。逆に、当該キッチンキャビネット2の手前側に換気口23が設けられている場合には、メインケース22の背面壁22dに形成されている排気口21を遮蔽する。キッチンキャビネット2の手前側および背面側の双方に換気口23が設けられている場合には、双方の排気口21を開口する。このように、排気口21がメインケース22の背面壁22dおよび前面壁22aに形成されている構成は、様々な換気構成のキッチンキャビネット2に対して設置でき、より汎用性の高い誘導加熱調理器となる。
また、排気口21の開口面積や開口位置を調節できるように、遮蔽板を複数の異なる位置に固定できるように構成してもよい。このように排気口21の開口面積や開口位置を調節できるように構成することにより、それぞれの排気口21から排出される冷却風Cの流量を調節することができる。したがって、キッチンキャビネット2の手前側と背面側の双方に換気口23が設けられており、その開口面積が異なる場合などにもそれぞれの換気口23に合わせた排気が可能となる。このような構成の誘導加熱調理器は、設置できるキッチンキャビネット2に対する汎用性がさらに向上する。
なお、図16に示す実施の形態13の誘導加熱調理器の構成においては、キッチンキャビネット2の内部と外部との換気を行う換気口23がキッチンキャビネット2の背面側にのみ設けた例で説明したが、前述にようにそのような構成に限るものではない。例えば、キッチンキャビネット2の背面側と手前側に換気口23が設けられた構成でもよい。そのような構成の場合には、キッチンキャビネット2の手前側の換気口23から取り入れた外気が吸気口20a,20bにより吸い込まれ、それぞれの制御回路15a,15bを冷却した後、背面側の排気口21から吐き出される。そのとき吐き出された冷却風Cは、キッチンキャビネット2の背面側の換気口23から排気される。キッチンキャビネット2の内部において、上記のような空気の流れにすることが可能となり、吸気温度上昇を最小限に抑制することができる。
なお、実施の形態13においては、第1の誘導加熱ブロック33aがトッププレート4の背面側領域に設けられた加熱領域12b,12dに対応し、第2の誘導加熱ブロック33bがトッププレート4の手前側領域に設けられた加熱領域12a,12cに対応する構成としたが、本発明はそのような構成に限るものではない。
実施の形態13の誘導加熱調理器の構成においては、手前側の加熱領域12a,12cが第1の誘導加熱ブロック33aにおける制御回路15aにより共用されており、背面側の加熱領域12b,12dが第2の誘導加熱ブロック33bにおける制御回路15bにより共用されている。このような構成の場合には、加熱領域12a,12cと加熱領域12b,12dとの総消費電力は等しくなる。仮に、加熱領域12aを高出力にした場合には、必然的に加熱領域12cは低出力となる。したがって、このような構成においては、利用者がよく使う手前側の加熱領域12a,12cを共に高出力とすることが難しい。
手前側の加熱領域12a,12cを共に高出力となる他の実施の形態としては、背面側の第1の誘導加熱ブロック33aがトッププレート4の左領域に設けられた加熱領域12a,2bと対応し、手前側の第2の誘導加熱ブロック33bがトッププレート4の右領域に設けられた加熱領域12c,12dと対応する構成としてもよい。
このように構成することにより、制御回路15a,15bおよび送風装置17a,17bのそれぞれが内部に配設されたサブケース19A,19Bは、メインケース22に対して前後の位置に配置される。一方、コイルユニット8を載置するそれぞれの放熱板10a,10bは、メインケース22に対して左右の位置に並列に配置される。このため、メインケース22の内部構成は難しくなるが、制御回路15aに対応した加熱領域12aおよび制御回路15bに対応した加熱領域12cをそれぞれ高出力の加熱領域とすることが可能となる。この結果、利用者がよく使う手前側の加熱領域12a,12cを共に高出力とすることが可能となる。
また、実施の形態13においては、必然的に吸気口20a,20bがメインケース22の左右のいずれかの領域に形成されることになる。吸気口20a,20bを底面板22cに形成する場合、ある程度の吸気するための空間を確保する必要がある。このため、各吸気口20a,20bの下側には、例えばロースターやオーブンなどの他のユニットを配設することは困難である。
仮に、吸気口20a,20bをメインケース22の底面板22cにおける背面側の領域に形成した場合、他のユニットを配設するために活用できる領域は、メインケース22の手前側の領域となる。このような場合において、ある一定容積以上の内容積を持つロースターを実現しようとすると、ロースターの取り出し口は幅が広くなるが、奥行きが短くなり、使いづらいものとなる。
また、メインケース22の手前側に補助的な操作を行う補助操作部を設けた場合には、ロースターの幅を確保することができず、ロースターの内容積が削減されることになる。
一方、実施の形態13の誘導加熱調理器のように、例えば、底面板22cにおける右側領域に吸気口20a,20bを形成し、排気口21を背面壁22dの左端部に形成し、そして第1の排気流路320をメインケース22の左側領域に形成した場合、吸気口および排気口が底面板22cにおける左側領域に形成する必要がなくなる。このため、第1の排気流路320の下側には、ロースターやオーブンなどの他のユニットを構成することが可能となる。
なお、第1の排気流路320の下側にロースターを設けた場合、第1の排気流路320を流れる冷却風Cにより、下側のロースターのケースを冷却することが可能となる。
(実施の形態14)
以下、本発明に係る実施の形態14の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図17は、本発明に係る実施の形態14の誘導加熱調理器をキッチンキャビネットに設置した状態を示す要部断面図である。なお、実施の形態14の誘導加熱調理器においては、前述の実施の形態7のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。また、実施の形態14の誘導加熱調理器は、実施の形態7の誘導加熱調理器のように、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを有する構成であり、第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bを2組並設した構成である。第1の誘導加熱ブロック33aおよび第2の誘導加熱ブロック33bの構成は、実施の形態7の誘導加熱調理器と同じである。以下の実施の形態14の説明においては、実施の形態7の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態7の説明を適用する。
実施の形態14の誘導加熱調理器が設置されるキッチンキャビネット2には、内部と外部との換気を行うために、背面側に第1の換気口41が形成されており、手前側に第2の換気口42が形成されている。誘導加熱調理器のメインケース22における前面壁22aには、キッチンキャビネット2の内部空間とメインケース22の内部空間とを連通する通気口43が形成されている。第2の換気口42は、メインケース22の前面壁22aの中央より左側の領域に形成されている。通気口43の開口面積は、キッチンキャビネット2における第2の換気口42と略同じであり、通気口43は第2の換気口42に略対向して配置されている。
実施の形態14の誘導加熱調理器において、サブケース19A,19Bの内部構成、および排気流路構成(第1の排気流路320および第2の排気流路34)は、前述の図10に示した実施の形態7の誘導加熱調理器と同じである。
次に、以上のように構成された実施の形態14の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態14の誘導加熱調理器において、サブケース19A,19Bの内部から第1の排気流路320に至るそれぞれの冷却風Cの流れに関しては、図10に示した実施の形態7の誘導加熱調理器における動作と同じである。
第1の排気流路320に到達した冷却風Cの一部は通気口43を通ってキッチンキャビネット2の内部に排出される。第1の排気流路320に到達した冷却風Cにおける残りは、第1の排気流路320および第2の排気流路340を通ることにより180度方向転換して、メインケース22の背面壁22dにおける左側に設けられた排気口21から排出される。
上記のように、第1の排気流路320に到達した冷却風Cの少なくとも一部は、第2の排気流路340を流れている間に整流されて、手前側から背面側への方向の流れベクトルを主流とする流れに整流される。したがって、冷却風Cが排気口21から排出される際にはある程度の流速に成長しており、誘導加熱調理器の手前側から背面側へという明確に方向が定まった流れとなる。排気口21から排気される流れの方向は吸気口20a,20bから遠ざかる方向であるため、排気口21から排気され加熱された空気が吸気口20a,20bから再吸引され難く、冷却性能が向上している。
また、排気口21から排気された空気の流れの方向がキッチンキャビネット2の背面側の方向であり、そのまま第1の換気口41へと至るため、排気口21から排気された空気は吸気口20a,20bから再吸引されづらい構成となっている。
前述のように、実施の形態14の誘導加熱調理器においては、サブケース19A,19Bに流れている冷却風Cの一部が、第1の排気流路320を横断して、メインケース22の前面壁22aに形成された隙間である通気口43を通って排気されるよう構成されている。
実施の形態14の構成においては、メインケース22の通気口43と対向する位置に、キッチンキャビネット2の第2の換気口42が形成されている。このため、通気口43から排出された冷却風Cの大部分は、第2の換気口42を通ってキッチンキャビネット2の外部に排出される。したがって、通気口43から排気された冷却風Cが、キッチンキャビネット2の前面壁に当たり方向転換して、キッチンキャビネット2の外部に排出されずにキッチンキャビネット2の内部に留まる量が最小限となるよう構成されている。
上記のように、実施の形態14の構成においては、メインケース22の通気口43と対向する位置にキッチンキャビネット2の第2の換気口42が配置されるように誘導加熱調理器がキッチンキャビネット2に設置されている。このため、誘導加熱調理器から排出される冷却風全体としては、吸気口20a,20bから再吸引される冷却風Cが最小限となるよう構成でき、冷却性能の向上を図ることができる。
また、実施の形態14の構成においては、通気口43がメインケース22の前面壁22aの中央部よりは左側に形成されているため、第1の排気流路320において冷却風Cの一部が混流した後の一部を排出する。そのため、ある程度均一化されて温度上昇が抑制された冷却風Cが通気口43から排出され、第2の換気口42を通じてキッチンキャビネット2の外部に排出される。このため、キッチンにいる使用者に当たる排気の温度上昇が抑制されており、使用者は快適に当該誘導加熱調理器を利用できる。
また、実施の形態14の構成においては、キッチンキャビネット2の前面壁の内面に当たり180度方向転換して、キッチンキャビネット2の外部に排気されずに内部に留まることが防止されている。このため、キッチンキャビネット2の内部における局部的な温度上昇が抑制されており、結果として吸気温度の上昇が抑制されることになり、高出力の加熱調理を長時間実施することが可能となる。
なお、実施の形態14においては、通気口43を常時開口した構成で説明したが、それに限るものではなく、通気口43を完全に遮蔽できる遮蔽板をメインケース22の外側から取り付けることができる構成としてもよい。
このように構成することにより、誘導加熱調理器をキッチンキャビネット2に設置する際に、キッチンキャビネット2の手前側に第2の換気口42が設けられている場合には、遮蔽板を取り付けず通気口43を開口させればよい。このように構成することにより、実施の形態14の誘導加熱調理器のように第2の換気口42を介して冷却風Cの一部をキッチンキャビネット2の外部へ排出することができ、吸気口20からの再吸引を低減できる吸気−排気構成となる。
また、キッチンキャビネット2の手前側には換気口が設けられておらず、キッチンキャビネット2の背面側にのみ第1の換気口41が設けられている場合には、遮蔽板を取り付けて通気口43を遮蔽すればよい。このように、キッチンキャビネット2の内部と外部との換気を、背面側の第1の換気口41により行う構成のキッチンキャビネット2の場合には、遮蔽板を用いて通気口43を塞ぐことにより、すべての冷却風Cがメインケース22の背面壁22dに設けられた排気口21から排出されることになる。この結果、排気口21から排気された冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引されづらい、吸気−排気構成となる。
上記のように、遮蔽板を取り付け可能な構成とすることにより、様々な換気構成のキッチンキャビネット2に設置できるため、より汎用性の高い誘導加熱調理器となる。また、メインケース22における複数の異なる位置に遮蔽板を固定できるように構成し、通気口43の開口面積や開口位置を調節できるようにしてもよい。このように構成することにより、さらにキッチンキャビネット2の設置に対する汎用性を向上させることができる。
複数の加熱領域を有する誘導加熱調理器の構成において、それぞれの加熱領域に対応して複数の制御回路が配設される場合、メインケース内の複数箇所を冷却する必要性から本体内部を流れる冷却風の流路が複雑になって圧力損失が増大する。その結果、大型の送風装置が必要となり、装置全体が大型化するという問題がある。しかし、本発明によれば、特に実施の形態7から実施の形態14に示す複数の加熱領域を有する誘導加熱調理器の構成によれば、効率的な吸気−排気が可能となり、小型の送風装置で対応可能な構成となる。
(実施の形態15)
以下、本発明に係る実施の形態15の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図18は本発明に係る実施の形態15の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態15の誘導加熱調理器においては、前述の図1に示した実施の形態1のように、2つの加熱領域12a,12bを有する構成である。また、実施の形態15の誘導加熱調理器は、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器(図3参照)における誘導加熱ブロック33と同じ構成の誘導加熱ブロック33を有して構成されている。実施の形態15の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器と基本構成は同じであるため、異なる点を中心に説明する。以下の実施の形態15の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
実施の形態15の誘導加熱調理器においては、図18に示すように、排気口21がメインケース22の左側面壁22bにおける前面壁22aの近傍に形成されている。即ち、排気口21は、左側面壁22bにおける手前側に形成されており、第1の排気流路32における流路方向(図18における左方向)に設けられて、第1の排気流路32と連通している。
なお、実施の形態15においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17から制御回路15に送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。吸気口20は、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21は、メインケース22の左側面壁22bに形成されている。実施の形態15の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態15の誘導加熱調理器における動作について説明する。
誘導加熱ブロック33において、送風装置17により吸気口20から吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15を冷却するために、送風装置17から手前側の方向に吹き出される。送風装置17から手前側の方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18により案内されて制御回路15の各々の発熱部品16(スイッチング素子27,共振コンデンサ29など)を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま手前側の方向に向かって流れて、第1のサブケース19の前面壁19aの通気口を通り、前面排気流路である第1の排気流路32へと至る。
第1の排気流路32において、第1のサブケース19からの冷却風Cは、メインケース22の前面壁22aに当り、冷却風Cの流れは略90度曲げられる。第1の排気流路32の右端部は閉鎖されているため、冷却風Cは第1の排気流路32を左方向に流れていき、メインケース22の左側面壁22bに形成された排気口21から排出される。
排気口21からの排出された冷却風Cは、第1の排気流路32において左方向に流れていたため、左方向の流れベクトルが主流の流れとなっている。このため、排気口21からの排出された冷却風Cは、排気口21と対向するキッチンキャビネット2の内壁面に当たる。キッチンキャビネット2の内壁面に当たった冷却風は、手前側が塞がり、背面側に換気口23が設けられているため、略90度曲がって背面側の方向に流れる。このとき、冷却風Cはキッチンキャビネット2の内壁面と当該誘導加熱調理器のメインケース22の左側面壁22bとの間の空間に沿って流れる。このように、排気口21からの排出された冷却風Cは、略90度曲げられただけで、背面側の方向への流れとなり、ある程度の流速を保ったまま流れる。したがって、メインケース22の底面板22cに形成された吸気口20から再吸引され難く、実施の形態15の誘導加熱調理器は冷却性能が向上している。さらに、キッチンキャビネット2の内壁面に当たり、背面側の方向の流れとなった排気はそのまま換気口23へと至るため、吸気口20から再吸引され難いものとなっている。
実施の形態15の構成においては、送風装置17により吸気口20から吸引されて背面側から手前側に送り込まれた冷却風Cが、制御回路15を冷却して、左側面壁22bの排気口21へと至る流路は、鉛直上方向からみて略90度時計回りに曲がる構成となる。したがって、この流路においては圧力損失が生じて、送風装置17の回転数が落ち、冷却風Cの流量が減少して、冷却性能が低下するという懸念がある。
しかし、実施の形態15においては、送風装置17としてシロッコファンを用いており、シロッコファンから吹き出す冷却風Cの流れにはシロッコファンの回転方向である時計回り方向の流れベクトル成分を有する。
そのため、吸気口20から排気口21へと至る時計回りの方向に曲がる流路は、シロッコファンから吹き出される冷却風Cが有する流れベクトルと同一の回転方向である。したがって、実施の形態15のように、略90度と流れが曲がる流路とした場合においても、その流路において流れの乱れが生じることが少ない。このように、実施の形態15の誘導加熱調理器においては、流路全体の圧力損失が低減されており、冷却風流量の低減を抑制することができる。
また、実施の形態15の誘導加熱調理器においては、上記のように冷却風Cにおける流れの乱れが低減されているため、流路における流れの乱れにより生じる騒音が低減されている。
また、排気口21から排気された冷却風Cが排気口21と対向するキッチンキャビネット2の内壁面に当たった際にも、冷却風Cがシロッコファンの回転方向である時計回り方向の流れベクトル成分を有するため、そのまま時計回りに曲がり、背面側の方向への流れとなりやすくなっている。これにより、実施の形態15の誘導加熱調理器においては、冷却風Cにおける流速の低下が抑制されており、排気口21からの冷却風Cが吸気口20から再吸引され難い構成となっている。
なお、実施の形態15の誘導加熱調理器が設けられているキッチンキャビネット2においては、キッチンキャビネット2の内部と外部とを連通する換気口23が、キッチンキャビネット2の手前側や上面側に設けられておらず、吸気口20の近傍であるキッチンキャビネット2の背面側にのみ設けられている。このように、キッチンキャビネット2の内部と外部とを連通する換気口23を背面側に設けることにより、誘導加熱調理器におけるキッチンキャビネット2の内部空間を介しての換気動作がスムーズとなる。このため、キッチンキャビネット2に実施の形態15の誘導加熱調理器を設けることにより、利用者に直接換気風が当たることなく、快適な操作および調理が可能となる。
実施の形態15の誘導加熱調理器は、キッチンキャビネット2の上面に開口部分を形成する必要のない構成である。このため、水蒸気および油煙などがキッチンキャビネット2や誘導加熱調理器の内部に浸入し難い構成となり、かつ吸排気時の風切り音も低減された構成となる。
実施の形態15の誘導加熱調理器において、トッププレート4には吸気口20および排気口21などの開口が形成されていないため、トッププレート4のデザイン性の自由度が向上している。
実施の形態15の誘導加熱調理器においては、吸気口20がメインケース22の底面板22cに設けられているため、比較的温度が低いキッチンキャビネット2の内部空間における下側の空気を吸気する構成となっている。また、排気口21がメインケース22の底面板22cではなく左側面壁22bに形成されているため、高温の排気はキッチンキャビネット2の内部空間における上側に流れることとなる。この結果、実施の形態15の誘導加熱調理器は、排気口21から排出された冷却風Cは吸気口20から再吸引し難い吸気−排気構成である。
なお、キッチンキャビネット2の内部において、誘導加熱調理器の吸気口20と排気口21との間を遮蔽するような遮蔽板を設けて、より確実に再吸引の防止を図ってもよい。
また、実施の形態15の構成においては、排気口21をメインケース22の左側面壁22bの前面壁22aの近傍に形成した例で説明したが、そのような構成に限定されるものではない。例えば、排気口21を底面板22cにおける手前側であり、かつ左側面壁22bの近傍に形成してもよい。このように構成した場合においても、、冷却風Cが略90度曲げられて第1の排気流路32を左方向に流れた後に排気口21から排気されることとなり、同様の効果を得ることができる。なお、排気口21は左側面壁22bにではなく、逆に右側面壁22eに形成することも可能である。
また、第1の排気流路32は、サブケース19とメインケース22と間の隙間を特別に形成して構成したが、別途ダクトなどを設けることなく、メインケース22の側面壁(前面壁22a,左側面壁22b,底面板22cおよび右側面壁22e)、コイルユニット8を載置した放熱板10の下面、およびサブケース19の側面壁(前面壁19a,左側面壁19bおよび右側面壁)の一部を利用して、同様の排気流路を構成してもよい。このように、放熱板10や、制御回路15を実装するサブケース19や、装置全体をカバーするメインケース22の一部を利用して排気流路を形成することにより、省スペース化を図ることが可能となる。
さらに、放熱板10の下面を利用して排気流路を形成することにより、放熱板10の冷却効果を高めることができ、加熱コイル5の温度を下げることができる。このような構成は、直接加熱コイル5を冷却する必要がないため、加熱コイル5へ至る冷却風Cの流路を形成する必要がなくなる。その結果、誘導加熱調理器の薄型化および省スペース化を図ることができる。
実施の形態15の誘導加熱調理器においては、加熱コイル5および発熱部品16などを冷却して温度上昇した冷却風Cが、他の電子部品には触れることなく直ちにメインケース22の外部に排気する構成となる。このため、当該誘導加熱調理器においては、温度上昇した冷却風Cによって他の電子部品などが加熱されて温度上昇することが防止されている。
実施の形態15の誘導加熱調理器においては、冷却風Cの流れを阻害するような特に大きな部品などを用いていない構成であり、サブケース19の内部を冷却風Cが手前側の方向にスムーズに流れるよう構成されている。このため、実施の形態15の誘導加熱調理器は、圧力損失の低減が図られている。
実施の形態15の誘導加熱調理器においては、第1の排気流路32として操作部36の下側の空間を利用することができる。このため、誘導加熱調理器の内部空間におけるデッドスペースを活用して、省スペース化を図ることができる。
実施の形態15の誘導加熱調理器においては、背面側の送風装置17からの冷却風Cがダクト18およびサブケース19の側面壁により手前側の方向に向かって流れて第1の排気流路32に至る流れと、略180度方向転換して手前側から背面側に向かう流れとの間で冷却風Cが混流しないように構成されている。このため、誘導加熱調理器の内部においてショートサーキットが生じることがなく、誘導加熱調理器内部の各発熱部品16を確実に安定して冷却することができる。また、誘導加熱調理器内部において混流による流れの乱れが生じないため、誘導加熱調理器において手前側から背面側の方向への流れベクトルの大きさが減衰されることなく排気される。この結果、実施の形態15の誘導加熱調理器は、排気口21から吐出した排気が吸気口20から再吸引され難い構成となっており、冷却性能の向上が図られている。
なお、誘導加熱調理器において特に強制空冷が必要となる部品がヒートシンク28に取り付けられた発熱部品16だけの場合、冷却風Cを案内するダクト18の代わりに放熱板10およびヒートシンク28を利用することが可能である。例えば、放熱板10の下面をダクトにおける上壁として利用し、ヒートシンク28の一番外側のフィンを延ばしてダクトの側壁として利用する構成でもよい。
上記のように放熱板10およびヒートシンク28を利用することにより、サブケース19の側壁やダクト18がない場合であっても、誘導加熱調理器内部において背面側の送風装置17から手前側の方向に向かって第1の排気流路32に至る流れと、略180度方向転換した手前側から背面側の方向に向かう流れとの間で冷却風Cが混流することがない。このため、誘導加熱調理器内部においてショートサーキットが生じることがなく、誘導加熱調理器内部の各部品を確実に安定して冷却することができる。
実施の形態15の誘導加熱調理器においては、キッチンキャビネット2の内部空間に開口した吸気口20と排気口21との間には何も設けていない構成であっても、排気口21から排気された冷却風Cが吸気口20に吸気されがたい構成である。但し、吸気口20と排気口21との間に、冷却風Cの流れを遮断するような仕切り板を設けることにより、排気口20から排気された空気を吸気口20によりさらに再吸引され難い構成となり、冷却性能の更なる向上を図ることができる。
なお、仕切り板としては、キッチンキャビネット2の内部空間において吸気口20が設けられている領域と、排気口21が設けられている領域とを完全に分断する構成が望ましい。但し、仕切り板としては、吸気口20が設けられている領域と、排気口21が設けられている領域との間を完全に遮断するのではなく、その内部空間の一部に仕切り板を設けてそれぞれの空気流の流れをガイドするような構成でも効果を発揮する。
実施の形態15の誘導加熱調理器においては、送風装置17の送風口24からの冷却風Cを制御回路15内の発熱部品16や赤外線センサ13などに導くように流路を形成するダクト18を用いた構成で説明したが、本発明はこのようなダクト18の構成に限定されるものではなく、単なる平板なガイド板で構成してもよい。
なお、上記のようなガイド板はメインケース22の底面板22cから立ち上がるように構成してもよい。また、その他の構成としては、制御回路15などの上方に配設される放熱板10の下面にガイド板を設けることにより、放熱板10とガイド板を一体化して構成することが可能となる。
実施の形態15の構成においては、吸気口20を誘導加熱調理器の底面板22cにおける背面側に1つ、排気口21を誘導加熱調理器の左側面壁22bに1つだけ設けた例で説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、実施の形態15における吸気口20および排気口21を主要な吸気口および主要な排気口として、それより吸気量および排気量が少ない補助の吸気口および排気口を誘導加熱調理器における他の側面壁や底面板などに追加してもよい。
誘導加熱調理器におけるメインケース22における左側面壁22b、底面板22c、背面壁22dなどに補助の吸気口および排気口を複数に設けることにより、仮に当該誘導加熱調理器を組み込んだキッチンキャビネットの内壁の一部がそれらの吸気口および排気口のひとつと近接する設置状況であっても、他の箇所に設けた吸気口および排気口から吸気および排気を行うことが可能となり、圧力損失の上昇を防止することができる。
(実施の形態16)
以下、本発明に係る実施の形態16の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図19は、本発明に係る実施の形態16の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態16の誘導加熱調理器において、前述の実施の形態1の誘導加熱調理器1と基本構成は同じであるため、異なる点を中心に説明する。以下の実施の形態16の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器1における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
図19に示すように、実施の形態16の誘導加熱調理器においては、背面側の略中央に設けられた送風装置17からの冷却風Cがダクト18にガイドされて、発熱部品16などを冷却して第1の排気流路32へと流れ込むよう構成されている。送風装置17に吸気する吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側の略中央に形成されている。第1の排気流路32に到達した冷却風Cは、左右に分かれて流れて排気口21a,21bから排気される。排気口21a,21bはメインケース22の左側面壁22bおよび右側面壁22eにおける前面壁22aの近傍(手前側)に形成されている。
また、冷却風Cがサブケース19の内部から第1の排気流路32に流れ込むとき、冷却風Cの流れが略90度曲がる領域に複数の流路案内板31e,31fが設けられている。流路案内板31e,31fは、誘導加熱調理器の背面側から手前側への流れの方向に対して略45度斜行して配設されている。サブケース19からの冷却風Cがスムーズに略90度曲がって第1の排気流路32を流れるよう構成されている。また、複数の流路案内板31e,31fは、サブケース19の前面壁19aの開口部分に配置されており、左側領域の流路案内板31eと右側領域の流路案内板31fが異なる向きに斜行している。左側領域の流路案内板31eは、サブケース19において分岐板30の左側領域の冷却風Cの大部分を左側にある排気口21aの方向に流すように斜行している。
また、右側領域の流路案内板31fは、サブケース19において分岐板30の右側領域の冷却風Cの大部分を右側にある排気口21bの方向に流すように斜行している。
さらに、第1の排気流路32において、メインケース22の前面壁22aと左側面壁22bとで構成される左側手前のコーナ部分には、流路案内板31gが設けられている。この流路案内板31gは、メインケース22の前面壁22aと左側面壁22bとのコーナ部分に冷却風Cが流れ込まずに、第1の排気流路32の冷却風Cが左側の排気口21aからスムーズに排気されるように斜行して配設されている。同様に、第1の排気流路32において、メインケース22の前面壁22aと右側面壁22eとで構成される右側手前のコーナ部分に流路案内板31hが設けられている。この流路案内板31hは、メインケース22の前面壁22aと右側面壁22eとのコーナ部分に冷却風Cが流れ込まずに、第1の排気流路32の冷却風Cが右側の排気口21bからスムーズに排気されるように斜行して配設されている。
以上のように、実施の形態16の誘導加熱調理器においては、図19の水平断面図に示されているように、メインケース22の底面板22cの吸入口20が略中央に形成されており、2つの排気口21a,21bが吸入口20の中心を含む、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略左右対称の位置に形成されている。また、複数の流路案内板31e,31f,31g,31hの位置および角度においても、前記の中心線Xに対して基本的に略左右対称となるよう構成されている。
なお、実施の形態16の誘導加熱調理器においては、メインケース22の前面壁22aが、背面側に設けられた送風装置17から制御回路15に送られる冷却風Cの風向き方向に設けられている。また、前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側の略中央に設けられており、排気口21a,21bはメインケース22の左側面壁22bおよび右側面壁22eに設けられている。実施の形態16の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当する。
次に、以上のように構成された実施の形態16の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態16の誘導加熱調理器においては、略中央に背面側に設けられた送風装置17からの冷却風Cがダクト18に案内されて、制御回路15の各発熱部品16を冷却し、サブケース19の前面壁19aの開口を通過して第1の排気通路32に流れる。
サブケース19の前面壁19aの開口には、サブケース19における冷却風Cの流れ方向に対して斜行した複数の流路案内板31e,31fが設けられている。サブケース19の前面壁19aの開口において、略中央から左領域に配置された左側の流路案内板31eは、サブケース19からの冷却風Cが第1の排気流路32を左方向に流れるように、サブケース19における背面側から手前側への流れ方向に対して左に略45度斜行して配置されている。
一方、前面壁19aの開口における略中央から右領域に配置された右側の流路案内板31fは、サブケース19からの冷却風Cが第1の排気流路32を右方向に流れるように、サブケース19における背面側から手前側への流れ方向に対して右に略45度斜行して配置されている。なお、左側の流路案内板31eと右側の流路案内板31fとの分岐位置は、サブケース19におけるダクト18の内側に配設された分岐板30の略延長線上であり、前記の略中心線X上となる。
上記のように、サブケース19の前面壁19aの開口に複数の流路案内板31e,31fが設けられているため、サブケース19の前面壁19aの開口から排気された冷却風Cはスムーズに左右に分かれて第1の排気流路32を流れる。
また、実施の形態16の構成においては、第1の排気流路32の両端部分に斜行した流路案内板31e,31gが設けられているため、第1の排気流路32を左右に流れている冷却風Cのそれぞれを左右の排気口21a,21bからスムーズに排気される。
第1の排気流路32を左右に分かれて流れている冷却風Cは、左方向あるいは右方向へ向かう流れベクトルが主流となっている。このため、排気口21a,21bと対向するキッチンキャビネット2の内壁面に当接したとしても、冷却風Cはさらに90度曲げられるだけで背面側の方向(後方)の流れとなり、ある程度の流速を保ったまま流れる。この結果、実施の形態16の誘導加熱調理器は、排気口21a,21bから排出された冷却風Cがメインケース22の中央部分にある吸気口20から再吸引され難い構成を有しており、高い冷却性能が有している。
また、実施の形態16の誘導加熱調理器において排気口21a,21bから排気された空気は、メインケース22の左側面壁22bおよび右側面壁22eの外面に沿って流れ、キッチンキャビネット2の背面側に形成されている換気口23へと至る。このため、実施の形態16の誘導加熱調理器は、排気口21a,21bから排気された空気は、吸気口20から再吸引され難い構成となっている。
実施の形態16の誘導加熱調理器においては、冷却風Cの流れが大きく曲げられる部分に流路案内板31e,31f,31g,31hを設けることにより、冷却風Cの流れがスムーズなものとなり、圧力損失が低減されている。このため、冷却風Cにおいては、流れの乱れの発生が低減されており、排気口21a,21bから排出された空気の流れは、より大きな流速に成長し、かつ明確に流れ方向が定まった排気となっている。この結果、排気口21a,21bから排気され加熱された空気は、メインケース22の中央部分にある吸気口20から再吸引されることが抑制されており、冷却性能の向上が図られている。
また、実施の形態16の誘導加熱調理器においては、冷却風Cの流路構成(第1の排気流路32および排気口21a,21b)が当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略対称であるため、加熱された空気が左右の排気口21a,21bから略半分ずつ分散して排気される。この結果、キッチンキャビネット2の内部空間における背面側の領域での局所的な温度上昇が抑制され、キッチンキャビネット2の内部空間全体がむらなく、略均一して温度上昇する。
さらに、実施の形態16の誘導加熱調理器の構成においては、加熱された空気となった冷却風Cがメインケース22の両側面壁22b,22eに沿って流れる構成であるため、冷却風Cの熱が両側面壁22b,22eおよび底面板22cに伝わり、メインケース22の温度が上昇する。しかし、冷却風Cが分割されており、両側面壁22b,22eおよび底面板22cへの熱伝導も中心線Xに対して略対称になる。このため、実施の形態16の誘導加熱調理器は、両側面壁22b,22eおよび底面板22cで構成されるメインケース22において局所的な温度上昇が抑制される構成を有する。
なお、実施の形態16の誘導加熱調理器においては、サブケース19の前面壁19aに複数の流路案内板31e,31f,31g,31hを設けた構成であるが、第1の排気流路32においてより確実に冷却風Cを分離するために、第1の排気流路32の略中央に冷却風Cを左右に分離する仕切り板を設けてもよい。なお、この仕切り板は、冷却風Cを左右に分離してスムーズに流れるように、冷却風Cの流れ方向に対して斜行した構成が好ましい。
ダクト18の内側に配置された各発熱部品16における発熱量が前記の中心線Xに対して非対称である場合には、ダクト18から排出される冷却風Cの温度が左右の領域で異なる。このため、左右の排気口21a,21bから排出される冷却風Cの温度、および両側面壁22b,22eおよび底面板22cの温度においても左右で不均一になるおそれがある。
したがって、ダクト18内の発熱部品16の発熱量が中心線Xに対して非対称である場合には、流路案内板31e,31fの傾き角度、形状および数量を調整して、排気口21a,21bから排出される空気の熱量を略同等とすることが好ましい。例えば、ダクト18の左右領域から排出された冷却風Cの双方が第1の排気流路32の中央部分(当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xの近傍部分)に向かうように、流路案内板31e,31fの傾き角度を調整する。このように流路案内板31e,31fの傾き角度を調整することにより、第1の排気流路32の中央部分において冷却風Cの少なくとも一部が混合され、その後に、左右方向に分離されて排気口21a,21bから排出される。このように構成することにより、第1の排気流路32において左右に分かれた冷却風Cの温度差を緩和することができる。
(実施の形態17)
以下、本発明に係る実施の形態17の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図20は、本発明に係る実施の形態17の誘導加熱調理器をキッチンキャビネットに設置した状態を示す要部断面図である。なお、実施の形態17の誘導加熱調理器においては、前述の図18に示した実施の形態15の誘導加熱調理器と基本構成は同じであり、2つの加熱領域12a,12bを有する構成である。以下の実施の形態17の説明においては、実施の形態15の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態15の説明を適用する。
実施の形態17の誘導加熱調理器が設置されるキッチンキャビネット2には、内部と外部との換気を行うために、背面側に第1の換気口41が形成されており、手前側に第2の換気口42が形成されている。誘導加熱調理器のメインケース22における前面壁22aには、キッチンキャビネット2の内部空間とメインケース22の内部空間とを連通する通気口43が形成されている。通気口43の開口面積は、キッチンキャビネット2における第2の換気口42と略同じであり、通気口43は第2の換気口42に略対向して配置されている。
実施の形態17の誘導加熱調理器において、サブケース19の内部構成、および排気流路構成(第1の排気流路320および排気口21a,21b)は、前述の図18に示した実施の形態15の誘導加熱調理器と同じである。
なお、実施の形態17においては、メインケース22の前面壁22aが、送風装置17から制御回路15に送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。吸気口20は、メインケース22の底面板22cの背面側に形成されており、排気口21は、メインケース22の左側面壁22bに形成されている。実施の形態17の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態17の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態17の誘導加熱調理器において、サブケース19の内部から第1の排気流路32に至るそれぞれの冷却風Cの流れに関しては、図18に示した実施の形態15の誘導加熱調理器における動作と同じである。
第1の排気流路32に到達した冷却風Cの一部は通気口43を通ってキッチンキャビネット2の内部に排出される。第1の排気流路32に到達した冷却風Cにおける残りは、第1の排気流路32を左方向に流れて、排気口21から排出される。
上記のように、第1の排気流路32に到達した冷却風Cの少なくとも一部は、第1の排気流路32を流れている間に整流されて、左方向への流れベクトルが主流となる流れに整流される。したがって、冷却風Cが排気口21から排出される際にはある程度の流速に成長しており、誘導加熱調理器の手前側から背面側へという明確に方向が定まった流れとなる。排気口21から排気された空気が、排気口21と対向するキッチンキャビネット2の内壁面に当たったとしても、冷却風Cはさらに90度曲げられるだけで背面側の方向(後方)への流れとなり、ある程度の流速を保ったまま流れる。この流れの方向は吸気口20a,20bから遠ざかる方向であるため、排気口21から排気された冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引され難く、冷却性能が向上している。
また、排気口21から排気された冷却風Cの流れの方向がキッチンキャビネット2の背面側の方向であり、そのまま第1の換気口41へと至るため、排気口21から排気された冷却風Cは吸気口20a,20bから再吸引されづらい構成となっている。
実施の形態17の構成においては、メインケース22の通気口43と対向する位置に、キッチンキャビネット2の第2の換気口42が形成されている。このため、通気口43から排出された冷却風Cの大部分は、第2の換気口42を通ってキッチンキャビネット2の外部に排出される。したがって、通気口43から排気された冷却風Cが、キッチンキャビネット2の前面壁に当たり方向転換して、キッチンキャビネット2の外部に排出されずにキッチンキャビネット2の内部に留まる量を最小限にすることができる。
上記のように、実施の形態17の構成においては、メインケース22の通気口43と対向する位置にキッチンキャビネット2の第2の換気口42が配置されるように誘導加熱調理器がキッチンキャビネット2に設置される。このため、誘導加熱調理器から排出される冷却風Cの全体としては、吸気口20から再吸引される冷却風Cを最小限とすることができる構成となり、冷却性能の向上を図ることができる。
なお、実施の形態17においては、通気口43を常時開口した形態で説明したが、それに限るものではなく、通気口43を完全に遮蔽できる遮蔽板をメインケース22の外側から取り付けることができる構成としてもよい。
このように構成することにより、誘導加熱調理器をキッチンキャビネット2に設置する際に、キッチンキャビネット2の手前側に第2の換気口42が設けられている場合には、遮蔽板を取り付けず通気口43を開口させればよい。このように構成することにより、実施の形態17の誘導加熱調理器のように第2の換気口42を介して冷却風Cの一部をキッチンキャビネット2の外部へ排出することができ、吸気口20からの再吸引を低減できる吸気−排気構成となる。
また、キッチンキャビネット2の手前側には換気口が設けられておらず、キッチンキャビネット2の背面側にのみ第1の換気口41が設けられている場合には、遮蔽板を取り付けて通気口43を遮蔽すればよい。このように、キッチンキャビネット2の内部と外部との換気を、背面側の第1の換気口41により行う構成のキッチンキャビネット2の場合には、遮蔽板を用いて通気口43を塞ぐことにより、すべての冷却風Cがメインケース22の左側面壁22bに設けられた排気口21から排出される。この結果、当該誘導加熱調理器は排気口21から排気された冷却風Cが吸気口20a,20bから再吸引されづらい、吸気−排気構成となる。
上記のように、遮蔽板を取り付け可能な構成とすることにより、様々な換気構成を有するキッチンキャビネット2に設置できるため、より汎用性の高い誘導加熱調理器となる。また、メインケース22における複数の異なる位置に遮蔽板を固定できるように構成し、通気口43の開口面積や開口位置を調節できるようにしてもよい。このように構成することにより、キッチンキャビネット2の設置に対する汎用性がさらに向上する。
(実施の形態18)
以下、本発明に係る実施の形態18の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図21は本発明に係る実施の形態18の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態18の誘導加熱調理器は、前述の図8に示した実施の形態6のように、4つの加熱領域12a,12b,12c,12dを有する構成である。以下の実施の形態18の説明においては、実施の形態1および実施の形態6の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1および実施の形態6の説明を適用する。
実施の形態18の誘導加熱調理器において、トッププレート4には4つの加熱領域12a,12b,12c,12dが形成されており(図8参照)、それぞれの加熱領域12a,12b,12c,12dに対応して、各加熱領域12a,12b,12c,12dの直下にはコイルユニット8a,8b,8c,8dがそれぞれ設けられている。
図21に示す誘導加熱調理器の内部構成において、制御回路15a,15bは大きく左側領域と右側領域とに別れている。左側領域の制御回路15aで左側の2個の加熱領域12a,12bと対応した前後2組のコイルユニット8a,8bを制御し、右側の制御回路15bで右側の2個の加熱領域12c,12dと対応した前後2組のコイルユニット8c,8dを制御する。
吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側の略中央に形成されている。吸気口20と対向する位置に送風装置17の吸込み口が設けられている。左右の制御回路15a,15bと送風装置17は1つのサブケース19の内部に配設されている。
送風装置17から左右の制御回路15a,15bにおける各発熱部品16に対しては冷却風Cを導くようにダクト18が設けられている。制御回路15a,15bにおける発熱部品16において、特に発熱量が大きいスイッチング素子(IGBT)27は、より冷却性能を高めるためにヒートシンク28を接合するとともに、さらに冷却性能を高めるために、中央側に配置されている。図21に示すように、左右の制御回路15a,15bのそれぞれにおいて、ヒートシンク28を接合したスイッチング素子27は、ともに中央側に配設されており、送風装置17の送風口24から比較的近い位置に配置されている。実施の形態18の構成においては、左右の制御回路15a,15bが当該誘導加熱調理器における中心軸が前後方向となる中心線Xに対して対称的に配置されている。
したがって、制御回路15a,15bにおけるスイッチング素子(IGBT)27および共振コンデンサ29などの発熱部品16の配置は、前記の中心線Xに対して略対称となる。
なお、実施の形態18の構成において、送風装置17の送風口24の中心が中心線X上に配置されており、送風装置17の送風口24に連続するダクト18が中心線Xに対して対称位置に設けられている。また、ダクト18の内側には2枚の分岐板30が中心線Xに対して略対称的に配置されており、左右の制御回路15a,15bにおけるヒートシンク28を接合したスイッチング素子27に送風装置17からの冷却風Cが効率高く接触するように、ダクト18および分岐板30が設けられている。
図21に示すように、実施の形態18の誘導加熱調理器においては、背面側の略中央に設けられた送風装置17からの冷却風Cがダクト18にガイドされて、発熱部品16などを冷却して第1の排気流路32へと流れ込むよう構成されている。第1の排気流路32に到達した冷却風Cは、左右に分かれて流れ、左右の排気口21a,21bから排気される。左側の排気口21aはメインケース22の左側面壁22bの手前側に形成されており、右側の排気口21bはメインケース22の右側面壁22eの手前側に形成されている。
また、冷却風Cがサブケース19の内部から第1の排気流路32に流れ込むとき、冷却風Cの流れが略90度曲がる領域に複数の流路案内板31e,31fが設けられている。流路案内板31e,31fは、誘導加熱調理器の背面側から手前側への流れの方向に対して略45度斜行して配設されており、サブケース19からの冷却風Cがスムーズに略90度曲がって第1の排気流路32を流れるよう構成されている。また、複数の流路案内板31e,31fは、サブケース19の前面壁19aの開口部分に配置されており、左側領域の流路案内板31eと右側領域の流路案内板31fが異なる向きに斜行している。左側領域の流路案内板31eは、サブケース19における左側の制御回路15aを冷却した冷却風Cを左側にある排気口21aに流すように斜行している。また、右側領域の流路案内板31fは、サブケース19における右側の制御回路15bを冷却した冷却風Cを右側にある排気口21bに流すように斜行している。
さらに、第1の排気流路32において、メインケース22の前面壁22aと左側面壁22bとにより構成される左側手前のコーナ部分に流路案内板31gが設けられている。この流路案内板31gは、メインケース22の前面壁22aと左側面壁22bとのコーナ部分に冷却風Cが流れ込まずに、第1の排気流路32の冷却風Cが左側の排気口21aからスムーズに排気されるように斜行して配設されている。同様に、第1の排気流路32において、メインケース22の前面壁22aと右側面壁22eとにより構成される右側手前のコーナ部分に流路案内板31hが設けられている。この流路案内板31hは、メインケース22の前面壁22aと右側面壁22eとのコーナ部分に冷却風Cが流れ込まずに、第1の排気流路32の冷却風Cが右側の排気口21bからスムーズに排気されるように斜行して配設されている。
なお、実施の形態18の誘導加熱調理器においては、メインケース22の前面壁22aが、背面側に設けられた送風装置17から制御回路15a,15bに送られる冷却風Cの風向き方向に設けられている。また、前面壁22aにより第1の排気流路32が構成されている。吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける背面側の略中央に設けられており、排気口21a,21bはメインケース22の左側面壁22bおよび右側面壁22eに設けられている。実施の形態18の構成においては、メインケース22の前面壁22aが第1の側面壁に相当する。
次に、以上のように構成された実施の形態18の誘導加熱調理器における動作について説明する。
実施の形態18の誘導加熱調理器においては、略中央に背面側に設けられた送風装置17からの冷却風Cがダクト18に案内されて、左右の制御回路15a,15bの各発熱部品16を冷却し、サブケース19の前面壁19aの開口を通過して第1の排気通路32に流れる。
サブケース19の前面壁19aの開口には、サブケース19における冷却風Cの流れ方向に対して斜行した複数の流路案内板31e,31fが設けられている。サブケース19の前面壁19aの開口において、略中央から左領域に配置された左側の流路案内板31eは、サブケース19からの冷却風Cが第1の排気流路32を左方向に流れるように、サブケース19における背面側から手前側への流れ方向に対して左に略45度斜行して配置されている。
一方、前面壁19aの開口における略中央から右領域に配置された右側の流路案内板31fは、サブケース19からの冷却風Cが第1の排気流路32を右方向に流れるように、サブケース19における背面側から手前側への流れ方向に対して右に略45度斜行して配置されている。なお、左側の流路案内板31eと右側の流路案内板31fとの分岐位置は、当該誘導加熱調理器における中心軸が前後方向となる中心線Xの略延長線上となる。
上記のように、サブケース19の前面壁19aの開口に複数の流路案内板31e,31fが設けられているため、サブケース19の前面壁19aの開口から排気された冷却風Cはスムーズに左右に分かれて第1の排気流路32を流れる。
また、実施の形態18の構成においては、第1の排気流路32の両端部分に斜行した流路案内板31e,31gが設けられているため、第1の排気流路32を左右に流れている冷却風Cのそれぞれを左右の排気口21a,21bからスムーズに排気される。
第1の排気流路32を左右に分かれて流れている冷却風Cは、左方向あるいは右方向へ向かう流れベクトルが主流となっている。このため、排気口21a,21bと対向するキッチンキャビネット2の内壁面に当接したとしても、冷却風Cはさらに90度曲げられるだけで背面側の方向(後方)の流れとなり、ある程度の流速を保ったまま流れる。この結果、実施の形態18の誘導加熱調理器は、排気口21a,21bから排出された冷却風Cがメインケース22の中央部分にある吸気口20から再吸引され難い構成を有しており、冷却性能が向上している。
実施の形態18の誘導加熱調理器において排気口21a,21bから排気された冷却風Cは、キッチンキャビネット2の背面側に形成されている換気口23へと至るため、排気口21a,21bから排気され高温度となった空気が、吸気口20から再吸引され難い構成となっている。
また、実施の形態18の誘導加熱調理器においては、それぞれが発熱部品16を有する2つの制御回路15a,15bが、1つのサブケース19の内部において左右に配設された構成である。この構成において、発熱部品16をサブケース19の中央側に集約して、1つの送風装置17により1つの吸気口20から吸い込まれた冷却風Cを用いて冷却している。したがって、実施の形態18の構成においては、2つの制御回路を2つのサブケースのそれぞれに配設して、それぞれのサブケースに吸気口とその吸気口に対応する送風装置17を設けた構成と比べて、左側面壁22bおよび右側面壁22eに設けたそれぞれの排気口21a,21bと吸気口20との間の距離が長くなり、排気口21a,21bから排気された空気を吸気口20から再吸引しづらい構成となる。
また、実施の形態18の誘導加熱調理器の構成においては、送風装置17を1つに集約することができるため、省スペース化を図ることができる。また、送風装置17を1つに集約することができるため、吸気口20を大きく設計することができ、大口径の送風装置17を採用することが可能となる。この結果、実施の形態18の誘導加熱調理器においては冷却風量の増大を図り、冷却性能の向上を達成することができる。
なお、実施の形態18の誘導加熱調理器においては、加熱領域12a,12b,12c,12dが左側領域に2個、右側領域に2個、合計4個を設けた構成で説明したが、加熱領域の数は実施の形態18における数に限るものではなく、例えば加熱領域が3個の構成であってもよい。その場合には、左右のどちらか一方の領域を1個の加熱領域として、全体で3個の加熱領域としてもよいし、トッププレート4の手前側の領域に2個、背面側の領域の略中央に1個を設けて、当該誘導加熱調理器における中心軸方向が前後方向となる中心線Xに対して略対称となるように配置してもよい。
また、本発明の誘導加熱調理器においては、制御回路などをさらに追加して、加熱領域を5個以上の設けた構成としてもよい。
(実施の形態19)
以下、本発明に係る実施の形態19の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図22は本発明に係る実施の形態19の誘導加熱調理器の外観構成を示す斜視図である。図23は実施の形態19の誘導加熱調理器の内部構成を示す水平断面図である。なお、実施の形態19の誘導加熱調理器においては、図22に示すように、2つの加熱領域12a,12bを横一列に配置した構成である。以下の実施の形態19の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
図22において、トッププレート4には2つの加熱領域12a(左側),12b(右側)が左右に並ぶように設けられており、それぞれの加熱領域12a,12bに対応して2つのコイルユニット8a(左側),8b(右側)が設けられている。
実施の形態19の誘導加熱調理器においては、図23に示すように、排気口21がメインケース22の背面壁22dにおける左端部に形成されている。即ち、排気口21は、第1の排気流路32における流路方向(図23における背面側の方向)に設けられて、第1の排気流路32と連通している。
サブケース19への吸気口20、およびメインケース22の排気口21は、キッチンキャビネット2の内部に開口している。吸気口20はメインケース22の底面板22cにおける右側領域に形成されており、排気口21はメインケース22の背面壁22dにおける左側端部に形成されている。
上記のように、実施の形態19においては、制御回路15が吸気口20より左側に設けられて、送風装置17からの冷却風Cが右から左に流れて制御回路15を冷却している。サブケース19とメインケース22の左側面壁22bとの間には隙間が設けられており、この隙間が第1の排気流路32となっている。この第1の排気流路32に誘導加熱ブロック33からの冷却風Cが流れ込み、第1の排気流路32を流れて排気口21から排気される構成である。
当該誘導加熱調理器が組み込まれるキッチンキャビネット2には、キッチンキャビネット2の内部と外部とを連通して、換気を行う換気口23が背面側に設けられている。
なお、実施の形態19においては、メインケース22の左側面壁22bが、送風装置17から制御回路15に送られる冷却風Cの風向き方向に配置されている。また、左側面壁22bにより第1の排気流路32が構成されている。吸気口20は、メインケース22の底面板22cにおける右側領域に形成されており、排気口21は、メインケース22の背面壁22dに形成されている。実施の形態19の構成においては、メインケース22の左側面壁22bが第1の側面壁に相当する。
次に、上記のように構成された実施の形態19の誘導加熱調理器における動作について説明する。
誘導加熱ブロック33において、送風装置17により吸気口20から吸い込まれた冷却風Cは、制御回路15を冷却するために、送風装置17から左方向に吹き出される。送風装置17から左方向に吹き出された冷却風Cは、ダクト18により案内されて制御回路15の各々の発熱部品16を冷却する。各発熱部品16を冷却した冷却風Cは、そのまま左方向に向かって流れて、サブケース19から第1の排気流路32へと至る。
第1の排気流路32において、サブケース19からの冷却風Cは、メインケース22の左側面壁22bに当接し、冷却風Cの流れが略90度曲げられる。第1の排気流路32の手前側の端部が閉鎖されているため、冷却風Cは第1の排気流路32を背面側の方向に流れていき、メインケース22の背面壁22dに形成された排気口21から排出される。
排気口21からの排出された冷却風Cは、第1の排気流路32において背面側の方向に流れているため、背面側への方向の流れベクトルが主流の流れとなっている。このため、排気口21から排出される際にはある程度の流速に成長して、キッチンキャビネット2の背面側の方向(後方)という明確に流れ方向が定まった排気となる。その排気の方向は、吸気口20から遠ざかる方向であるため、排気口21から排出された冷却風Cは、吸気口20から再吸引され難いものであり、当該誘導加熱調理器の冷却性能は向上している。
実施の形態19の誘導加熱調理器においては、加熱領域12a,12bが左右に配置された構成であるため、吸気口20と排気口21をメインケース22における右側の領域と左側の領域に大きく離して形成することができる。この結果、実施の形態19の誘導加熱調理器は、より一層、排気口21から排出された高温度の空気を吸気口20から再吸引し難い構成となっている。
なお、実施の形態19においては、吸気口20を右側領域に形成し、排気口21を左側領域に形成した構成で説明したが、そのような構成に限るものではなく、左右逆の構成でもよい。
また、キッチンキャビネット2の換気口23が背面側に設けられた例について説明したが、キッチンキャビネット2の手前側に換気口がある場合に対応できるように、誘導加熱調理器の排気口21をメインケース22の前面壁22aに形成してもよい。
さらに、排気口21をメインケース22における背面壁22dと前面壁22aのそれぞれに形成して、どちらか一方の排気口21を遮蔽できる遮蔽板をメインケース22の外面から取り付けられるように構成してもよい。
このように構成することにより、誘導加熱調理器をキッチンキャビネット2に設置する際に、当該キッチンキャビネット2の背面側に換気口23が設けられている場合には、メインケース22の前面壁22aに形成されている排気口21を遮蔽する。逆に、当該キッチンキャビネット2の手前側に換気口23が設けられている場合には、メインケース22の背面壁22dに形成されている排気口21を遮蔽する。キッチンキャビネット2の手前側および背面側の双方に換気口23が設けられている場合には、双方の排気口21を開口する。このように、排気口21がメインケース22の背面壁22dおよび前面壁22aに形成されている構成は、様々な換気構成を有するキッチンキャビネット2に対して設置可能であり、より汎用性の高い誘導加熱調理器となる。
また、排気口21の開口面積や開口位置を調節できるように、遮蔽板を複数の異なる位置に固定できるように構成してもよい。このように排気口21の開口面積や開口位置を調節できるように構成することにより、それぞれの排気口21から排出される冷却風Cの流量を調節することができる。したがって、キッチンキャビネット2の手前側と背面側の双方に換気口23が設けられており、その開口面積が異なる場合などにもそれぞれの換気口23に合わせた排気が可能となる。さらに、このような構成の誘導加熱調理器は、設置できるキッチンキャビネット2に対する汎用性がさらに向上する。
なお、図23に示す実施の形態19の誘導加熱調理器の構成においては、キッチンキャビネット2の内部と外部との換気を行う換気口23がキッチンキャビネット2の背面側にのみ設けた例で説明したが、前述にようにそのような構成に限るものではない。例えば、キッチンキャビネット2の背面側と手前側に換気口23が設けられた構成でもよい。そのような構成の場合には、キッチンキャビネット2の手前側の換気口23から取り入れた外気が吸気口20により吸い込まれ、制御回路15を冷却した後、背面側の排気口21から吐き出される。そのとき吐き出された冷却風Cは、キッチンキャビネット2の背面側の換気口23から排気される。キッチンキャビネット2の内部において、上記のような空気の流れにすることが可能となり、吸気温度の上昇を最小限に抑制することができる。
(実施の形態20)
以下、本発明に係る実施の形態20の誘導加熱調理器について添付の図面を参照して説明する。図24は本発明に係る実施の形態20の誘導加熱調理器の外観構成を示す斜視図である。図25は実施の形態20の誘導加熱調理器における送風装置およびダクトなどを示す水平断面図である。以下の実施の形態20の説明においては、実施の形態1の誘導加熱調理器における構成要素と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略して実施の形態1の説明を適用する。
図24に示すように、実施の形態20の誘導加熱調理器において、トッププレート4に3つの加熱領域12a(手前左側),12b(手前右側),12c(背面側中央)が設けられている。トッププレート4における手前側の2つの加熱領域12a,12bは左右に並ぶように設けられている。また、前述の各実施の形態と同様に、それぞれの加熱領域12a,12b,12cに対応して3つのコイルユニット8(図2参照)が設けられている。
また、トッププレート4に形成された加熱領域12a,12b,12cに対応して、トッププレート4の下部には被加熱物である調理容器3を誘導加熱する加熱コイル5a,5b,5c(図25において円形の破線にて示す)がそれぞれ設けられている。加熱コイル5a,5b,5cの下方には、それぞれの加熱コイル5a,5b,5cの出力を制御する制御回路15が設けられている。
実施の形態20の誘導加熱調理器において、加熱コイル5a,5b,5cおよび制御回路15などを冷却するための送風装置17としてはシロッコファンが設けられている。送風装置17はメインケース22の右側領域の背面側に回転軸が鉛直方向となるように配設されている。送風装置17のファンの回転方向は、図25において矢印Aで示すように、鉛直上方向からみて時計回りの方向となっている。
実施の形態20の誘導加熱調理器においては、吸気口20および排気口21が当該誘導加熱調理器における上面であるトッププレー4の背面側にそれぞれ設けられている。図24に示すように、吸気口20が上面における右側であり、排気口21が左側である。実施の形態20において、吸気口20の直下に送風装置17の吸い込み口が配置されており、外部からの空気の取り入れがスムーズな構成となっている。なお、実施の形態20においては、吸気口20および排気口21を誘導加熱調理器の上面に設けた例で説明するが、他の実施の形態のようにメインケース22の側面壁や底面板に形成してもよい。
実施の形態20の誘導加熱調理器においては、メインケース22の内部空間における上側領域に配置された加熱コイル5a,5b,5cと、メインケース22の内部空間における下側領域に配置された制御回路15との両方を冷却するために、送風装置17からの冷却風Cが上下に分かれるように案内されている。
メインケース22の下側領域に配置された制御回路15における発熱部品16などの冷却は、前述の各実施の形態において説明したダクト18(例えば、図3参照)および排気流路構成を用いて行われる。即ち、送風装置17からの冷却風Cを、ダクト18を用いて制御回路15に流して発熱部品16を冷却する。その後、冷却風Cはメインケース22の側面壁、例えば左側面壁22bに形成された排気流路を通って排気口21から排気される。
一方、メインケース22の上側領域に配置された3つの加熱コイル5a,5b,5cなどを冷却するためにダクト180a,180b,180cが設けられている。即ち、図25に示すように、送風装置17からの冷却風Cがそれぞれの加熱コイル5a,5b,5cに向かうように、送風装置17の送風口24から各加熱コイル5a,5b,5cの略中心位置まで延びるダクト180a,180b,180cが設けられている。
次に、上記のように構成された実施の形態20の誘導加熱調理器における動作について説明する。
送風装置17から吹き出された冷却風Cは、ダクト18,180a,180b,180cにより制御回路15および加熱コイル5a,5b,5cなどに導かれ、制御回路15および加熱コイル5a,5b,5cを冷却した後は、排気口21より当該誘導加熱調理器の外部へ排出される。
実施の形態20の誘導加熱調理器においては、吸気口20から吸い込まれた冷却風Cが制御回路15および加熱コイル5a,5b,5cなどを冷却した後、排気口21へと至る流路が、鉛直上方向からみて略180度時計回りの方向に曲がる構成となっている。したがって、この流路においては圧力損失が生じて、送風装置17の回転数が落ち、冷却風Cの流量が減少して、冷却性能が低下するという懸念がある。
しかし、実施の形態20においては、送風装置17としてシロッコファンを用いており、シロッコファンから吹き出す冷却風Cの流れにはシロッコファンの回転方向である時計回り方向の流れベクトル成分を有する。そのため、吸気口20から排気口21へと至る時計回りの方向に曲がる流路は、シロッコファンから吹き出される冷却風Cが有する流れベクトルと同一の回転方向である。したがって、実施の形態20のように、略180度と大きく流れが曲がる流路構成とした場合においても流路において流れの乱れが生じることが少なく、流路全体の圧力損失が低減されており、冷却風流量の低減を抑制することができる。
また、実施の形態20の誘導加熱調理器においては、上記のように冷却風Cにおける流れの乱れが低減されているため、流路における流れの乱れにより生じる騒音が低減されている。
なお、実施の形態20の誘導加熱調理器においては、1つの送風装置17により加熱コイルおよび制御回路の両方を冷却する構成で説明したが、そのような構成に限定されるものではない。例えば、加熱コイル冷却用の送風装置と制御回路冷却用の送風装置とを設けてもよいし、メインケース22における左半分と右半分というように左右の領域を分けて、それぞれの領域に送風装置を設けてもよい。このように、複数の送風装置を用いて冷却することにより、冷却風Cの流路の簡素化を図ることができ、流路における圧力損失を低減することができる。
実施の形態20の誘導加熱調理器においては、ダクト180a,180b,180cにより送風装置17の送風口24から各加熱コイル5a,5b,5cまで導かれるよう構成されており、それぞれの加熱コイル5a,5b,5cまで導かれた冷却風Cは、その流れに沿って排気口21へと至る構成となっている。しかし、本発明は、そのような構成に限るものではなく、加熱コイル5a,5b,5cを冷却した後の冷却風Cをスムーズに排気口21へと導くように、流路案内板を設けてもよい。
上記のように、本発明の誘導加熱調理器においては、キッチンキャビネットに組み込んだ場合や、他の装置の近傍に設置した場合などにおいて、当該誘導加熱調理器の排気口に対向して障害物が存在していたとしても、排気された空気が再吸引されることが低減される構成を有している。この結果、排気された高温度の空気が吸気されにくい構成であるため、吸気温度の上昇を低減して、誘導加熱調理器内の各部品に対して確実に冷却することができる構成となる。本発明の誘導加熱調理器においては、各部品に対する冷却風の高温度に起因する故障を防止して、信頼性の高い調理機器を提供することができる。
また、本発明においては、吸排気の換気を後方位置において行うキッチンキャビネットに対して誘導加熱調理器を設置する場合であっても、特別な遮蔽板などの部材を使用することなく設置可能な構成である。本発明の誘導加熱調理器も用いることは、使用者にとって安心であり、排気による不快感を間実ことがなく、快適な調理を行うことができる。
本発明の誘導加熱調理器は、キッチンキャビネットに組み込んだ場合や、他の装置の近傍に設置した場合などにおいて、誘導加熱調理器の排気口に対向して障害物が存在していたとしても、排気口から排出された空気が吸気口から再吸引されることが低減されており、冷却風の温度上昇が抑制されている。本発明によれば、誘導加熱調理器内の各部品に対して温度による信頼性の劣化を抑制する構成を有しており、信頼性の高い誘導加熱調理器の提供することができる。また、本発明においては、吸排気の換気を後方位置において行う各種のキッチンキャビネットに対して、誘導加熱調理器を設置する場合であっても、分離板などの特別な部材を用いることなく設置可能な構成とすることができる。また、本発明によれば、使用者にとって安心であり、排気による不快感のない、快適な調理を行うことができる誘導加熱調理器を提供することができる。