以下、本発明に係る加熱調理器を、ビルトイン型の誘導加熱調理器に適用した場合の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の各実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す加熱調理器は、本発明の加熱調理器が適用される機器の一例を示すものであり、図面に示された加熱調理器によって本発明の適用機器が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(たとえば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において「上流側」、「下流側」というときには、冷却風の流れにおける上流側、下流側をいうものとする。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100が設置されたキッチン家具200の斜視図である。図1に示すように、加熱調理器100は、キッチン家具200に組み込まれて使用される。キッチン家具200は、作業台として使用される平板状のキッチン家具天板201を有し、このキッチン家具天板201の上に、加熱調理器100のトッププレート1が露出している。キッチン家具200には、加熱調理器100の下側に、収納庫202が設けられている。なお、本明細書において加熱調理器100の「前面」、キッチン家具200の「前面」というときには、加熱調理器100またはキッチン家具200の使用者と対向する面をいい、図1の例では収納庫202の扉側が、「前面」である。
本実施の形態の加熱調理器100は、筐体10(図2参照)の中にグリル加熱庫を備えておらず、この筐体10がキッチン家具天板201に形成された開口に挿入されて、加熱調理器100がキッチン家具200に据え付けられる。なお、加熱調理器100の、キッチン家具天板201の開口に挿入される部分の厚みは、キッチン家具天板201の厚み203以下であることが望ましい。加熱調理器100の、キッチン家具天板201の開口に挿入される部分の厚みが、キッチン家具天板201の厚み203よりも大きいと、収納庫202の高さに制限が加わり、収納庫202の収納量を低減させてしまうからである。また、収納庫202内の収納物と加熱調理器100とが接触してしまうおそれもある。なお、キッチン家具の業界標準においては、キッチン家具天板201の前端の厚みは、40mmである。したがって、加熱調理器100の、キッチン家具天板201の開口に挿入される部分の厚みは、40mm以下とするのが望ましい。このようにすることで、収納庫202の収納量を確保し、また、収納庫202の収納物と加熱調理器100との接触を抑制できる。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100の斜視図である。加熱調理器100は、筐体10を有し、この筐体10の上には被加熱物である調理容器が載置されるトッププレート1が設けられている。トッププレート1には、本実施の形態では2つの加熱口2が設けられている。
加熱調理器100の後側には、筐体10からの排気を流出させる筐体排気口4(図4参照)の上を覆う排気口カバー5が設けられている。
加熱調理器100の前側には、使用者からの操作入力を受け付ける操作部6が設けられている。操作部6は、たとえば、押しボタン、ダイヤルスイッチ、静電容量式タッチスイッチ等で構成される。トッププレート1の手前側には、表示部7が設けられている。表示部7は、液晶ディスプレイやLED等の視覚的に情報を報知する装置を有し、加熱調理器100の火力、タイマーの時間等の動作状態や、使用者が操作部6で入力するための選択肢、使用者への警告及び注意喚起の報知を行う。
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器100の下側からの斜視図である。筐体10は、底板101と、前板102と、後板103(図6参照)と、左右一対の側板104を有し、これらで矩形の箱形の形状を成している。底板101には、前側の位置に、筐体吸気口3が設けられている。筐体吸気口3は、本実施の形態では加熱口2と同数、すなわち2個設けられている。本実施の形態の筐体吸気口3は、底板101に形成された複数の穴で構成されているが、筐体吸気口3を構成する穴の数及び形状は図示のものに限定されない。
筐体10の後部には、後カバー106が取り付けられている。後カバー106は、筐体10の後板103(図6参照)を後方から覆う部材である。後カバー106は、筐体10と概ね同じかやや小さい左右幅を有し、筐体10の高さと概ね同じ高さを有する。後カバー106の底面には、排水口8が形成されている。排水口8は、筐体10内に浸入した吹きこぼれ液等の液体を、筐体10から排出するための開口である。本実施の形態の排水口8は、後カバー106の左右端にそれぞれ設けられているが、筐体10の底板101に排水口8を設けてもよく、排水口8の数も図示のものに限定されない。
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、トッププレート1及び排気口カバー5が取り外された状態の斜視図である。筐体10の中には、加熱口2と同数の加熱コイル9が設けられている。加熱コイル9は、筐体10内において左右に並んで配置されている。加熱コイル9の下側には、前側から順に、送風機13と、駆動基板18とが設けられている。駆動基板18の上側であって加熱コイル9の下側には、駆動基板18の一部を覆うダクト14が設けられている。
ここで、説明の便宜上、加熱コイル9、送風機13、ダクト14、導風部15(図6参照)、及び駆動基板18に実装された駆動素子11(図6参照)をまとめて、ユニットと称する。本実施の形態では、筐体10内の左側に第1ユニットが、右側に第2ユニットが、並んで配置されており、第1ユニットと第2ユニットとはそれらを構成する部品の基本的な構造が同じである。さらに、送風機13、ダクト14及び導風部15は、第1ユニットと第2ユニットとで同一形状である。第1ユニットと第2ユニットを構成する部品を同一のものとすることで、製造コストの低減につながる。なお、本実施の形態では、第1ユニットと第2ユニットを構成する部品を説明するときには、第1ユニットのものであるか第2ユニットのものであるかを区別せずに説明する。ここで、第1ユニットと第2ユニットを構成する部品のすべてが同じ構造でなくてもよく、たとえば、2つの加熱口2同士で最大出力を異ならせる場合には、2つの加熱コイル9及び駆動基板18の仕様を異ならせてもよい。
左右方向における第1ユニットと第2ユニットとの間には、電源基板25と、制御基板26とが設けられている。本実施の形態では、制御基板26が前側、電源基板25が後側に位置するようにして、制御基板26と電源基板25とが前後に並んで配置されている。電源基板25は、駆動基板18を含む加熱調理器100の電気部品に電源を供給する回路が実装された基板である。制御基板26は、操作部6及び表示部7に接続され、操作部6からの入力に基づいて、表示部7並びに駆動基板18及び電源基板25に実装された回路を制御する。
筐体10の上端には、外側に向かって張り出すフランジ105が設けられている。筐体10の後側に位置するフランジ105には、筐体10内と連通する筐体排気口4が設けられている。筐体排気口4は、本実施の形態では加熱口2と同数、すなわち2個設けられている。本実施の形態の筐体排気口4は、左右方向に長い矩形の一つの穴で構成されているが、筐体排気口4を構成する穴の数及び形状は図示のものに限定されない。
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、トッププレート1、排気口カバー5及びフランジ105が取り外された状態の背面側斜視図である。後カバー106の中には、2つの庇107が左右に並べて配置されている。庇107は、庇107の上側に位置する筐体排気口4から液体が浸入した際に、その液体をより後方へ導くための部材である。庇107は、後カバー106の前側の壁に取り付けられており、その上面が前から後ろに向かって下降している。庇107の上に滴下した液体は、庇107の上面に導かれて、後カバー106の後方に落下し、後カバー106に形成された排水口8(図3参照)から流出する。
図6は、実施の形態1に係る加熱調理器100の内部構造を説明する斜視図である。図6は、図5から、加熱コイル9、右側の送風機13及び右側のダクト14が取り外された状態を示している。
送風機13は、ファン131と、ファン131を収容するケーシング132とを有する。本実施の形態のファン131は遠心ファンであり、ケーシング132はファン131の外周を囲むスクロールケーシングである。ケーシング132の下面には、吸込口133が形成され(図14、図15参照)、ケーシング132の後側には吹出口134が形成されている。本実施の形態のファン131は平面視で時計回り(右回り)に回転し、吹出口134はケーシング132の左側に設けられている。送風機13は、その吸込口133が、筐体10の底板101に形成された筐体吸気口3と対向するようにして、筐体10内に設置されている。
ダクト14の前側でかつ送風機13の後側には、送風機13からの冷却風を導く導風部15が設けられている。送風機13からの冷却風の流れ方向でみると、導風部15は、送風機13の吹出口134の下流側であってダクト14の上流側に位置している。導風部15は、送風機13の吹出口134と概ね対向する位置に設けられている。
ダクト14は、前後方向に延びる概ね直線状の流路を内部に有する。ダクト14は、駆動基板18に実装された駆動素子11及びこの駆動素子11に熱的に接続されたヒートシンク12を、上方から覆う。ダクト14は、たとえば合成樹脂又は金属で構成される。
駆動素子11は、加熱コイル9に高周波電流を供給するインバータ回路に含まれる、スイッチング素子などの発熱量の大きい素子である。駆動素子11は、たとえばIGBT及びダイオードブリッジを含む。
ヒートシンク12は、駆動素子11が取り付けられる接続部121と、接続部121を介して駆動素子11と熱的に接続されるフィン122とを有する。本実施の形態では、接続部121は、左側から右側に向かって下降する斜面121aを上面として有し、この斜面121aの上に駆動素子11が取り付けられている。接続部121は、好ましくは金属で構成される。フィン122は、金属製の複数の平板で構成され、この複数の平板は概ね水平になるようにして上下に間隔をあけて配置されている。冷却風がフィン122を構成する平板同士の間を通過すると、接続部121を介して伝わる駆動素子11の熱が、フィン122から冷却風へと伝わり、駆動素子11が冷却される。
筐体10の後板103には、排気風路流入口21が形成されている。排気風路流入口21は、送風機13と同数、すなわち2個設けられている。排気風路流入口21は、筐体10内と、後カバー106内に形成された排気風路20とを連通させる開口である。本実施の形態の排気風路流入口21は、左右方向に長い矩形の一つの穴で構成されているが、排気風路流入口21を構成する穴の数及び形状は図示のものに限定されない。
送風機13からの冷却風は、大まかには、導風部15によって導かれて一部がダクト14内に流入し、他の一部はダクト14の上及び周囲を流れる。これらの冷却風は、排気風路流入口21を介して後カバー106内の排気風路20に流入し、筐体排気口4(図4)を介して筐体10の外部に流出する。
図7は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、ダクト14、導風部15及び駆動基板18の斜視図である。ダクト14は、概ね水平な第1上壁141と、第1上壁141の右端に接続され、左から右に向かって下降する第2上壁142を有する。第2上壁142の傾斜は、ヒートシンク12の接続部121の上面の斜面121a(図6参照)に概ね沿っており、この第2上壁142の下側に駆動素子11(図6参照)が位置している。
導風部15は、冷却風をダクト14の上側の少なくとも2方向に導く。図7に符号F1及びF2で示す矢印は、導風部15が導くダクト14の上側への冷却風の方向を、概念的に示したものである。第1方向F1と第2方向F2とは、左右方向において異なるとともに、上下方向においても異なる。導風部15は、上下方向を主なパラメータとして導風する部位と、左右方向を主なパラメータとして導風する部位と、を有する。導風部15を構成するこれらの部位の作用より、第1方向F1と第2方向F2とに冷却風が導かれる。また、導風部15は、冷却風をダクト14の内側へも導く。図7に符号F3で示す矢印は、ダクト14の内側に導かれる冷却風の方向を概念的に示したものである。
導風部15は、第1傾斜板151と、第2傾斜板152と、第1側面153と、第2側面154と、第3側面155とを有する。第1傾斜板151と第2傾斜板152は、吹出口134(図6参照)の左右幅方向に並べて配置されており、水平面に対して、後側ほど上昇するように傾斜している。第1傾斜板151と第2傾斜板152の上面に沿って、冷却風が流れる。第1傾斜板151は、第1方向F1の上下方向を主に規定し、第2傾斜板152は第2方向F2の上下方向を主に規定する。
第1側面153は、第1傾斜板151の左端に設けられた概ね垂直の壁の、第1傾斜板151側の面である。第1側面153は、第1傾斜板151の上面から起立し、ダクト14の延びる前後方向と同じ方向に延びている。第1側面153は、第1方向F1の左右方向を主に規定する。
第2側面154は、第2傾斜板152の左端に設けられた概ね垂直の壁の、第2傾斜板152側の面である。第2側面154は、第1傾斜板151の上面と第2傾斜板152の上面とを接続している。第2側面154は、ダクト14の延びる前後方向と同じ方向に延びている。第3側面155は、第2傾斜板152の右端に設けられた概ね垂直の壁の、第2傾斜板152側の面である。第3側面155は、前側に対して後側の方が右側に向かうように、左右方向に傾斜している。第2側面154及び第3側面155は、第2方向F2の左右方向を主に規定する。
第1側面153はダクト14の延びる方向と平行であるのに対し、第3側面155は上述のように後側ほど右に向かっていてダクト14の延びる方向に対して傾斜している。このため、第1傾斜板151の上を流れる第1方向F1の冷却風と、第2傾斜板152の上を流れる第2方向F2の冷却風とは、左右における方向が異なる。また、第1傾斜板151と第2傾斜板152とで傾斜角度が異なることにより、第1傾斜板151の上を流れる冷却風の第1方向F1と、第2傾斜板152の上を流れる冷却風の第2方向F2とは、上下方向において異なる。
さらに本実施の形態では、第1傾斜板151は、前側(上流側)から後側(下流側)まで、冷却風の流れ方向に沿って左右幅が均一であるのに対し、第2傾斜板152は、前側に対して後側の方が左右幅が大きい。第2傾斜板152の上側における冷却風の風路の左右幅の、前側(上流側)に対する後側(下流側)の拡大率は、第1傾斜板151における同拡大率よりも大きい。第2傾斜板152の上側の風路の左右幅を、上流側から下流側に向かって拡大することで、冷却風を導くことのできる左右幅の領域を大きくしている。すなわち、第2傾斜板152の下流側の、左右幅のより広い範囲に、冷却風を導くことができる。
第1側面153の上端と第3側面155の上端とを、左右方向に接続する上枠156が設けられている。上枠156の下側に形成される開口が、第1傾斜板151及び第2傾斜板152に流入する冷却風の入口となる。なお、上枠156を設けなくてもよいし、上枠156に相当する部材を送風機13の一部で構成してもよい。
なお、第1傾斜板151の右端にも、第1傾斜板151の上面から起立する他の面を設けてもよい。そうすると、第1側面153と他の面との間を、冷却風が第1方向F1に流れる。第1側面153と他の面とにより、第1方向F1の左右方向が主に規定される。このように対向する2つの面を設けることで、冷却風の第1方向F1への指向性が高まる。また、第2側面154と第3側面155のいずれか一方のみを設けることもできる。たとえば、第2側面154を設け、第3側面155に相当する位置は開放状態とする。このようにしても、第2側面154によって冷却風の第2方向F2の左右方向を規定することができる。
駆動基板18は、基板ケース19に収容されている。基板ケース19は、たとえば合成樹脂で構成され、駆動基板18が載置される底とその周囲を囲む周壁とを有している。本実施の形態では、好ましい態様として、基板ケース19の前端部に、第1入口傾斜板191及び第2入口傾斜板192が設けられている。第1入口傾斜板191は、第1傾斜板151の下側に、第1傾斜板151との間に隙間を介して設けられており、この両者の隙間を通って冷却風がダクト14内に流入する。第1入口傾斜板191は、水平面に対して、後側ほど上昇するように傾斜している。第1入口傾斜板191は、ダクト14に流入する冷却風の第3方向F3の上下方向を主に規定する。第2入口傾斜板192は、第2傾斜板152の下端と接触している。第2入口傾斜板192は、水平面に対して、後側ほど上昇するように傾斜している。第2入口傾斜板192は、第2傾斜板152に冷却風を導く。
なお、本実施の形態では、第1入口傾斜板191及び第2入口傾斜板192が基板ケース19の位置によって構成されている例を示すが、導風部15の一部によって構成されていてもよいし、導風部15あるいは基板ケース19とは別部材で構成されていてもよい。
図8は、実施の形態1に係るダクト14及び導風部15の下側からの斜視図である。ダクト14の内部には、第1上壁141、第2上壁142、及び側壁143で囲まれた流路144が形成されている。この流路144の中に、ヒートシンク12及び駆動素子11が収容される。流路144のその入口145から出口146に至るまで、直線状に構成されている。
ダクト14の内部には、板状の第1遮蔽部16が設けられている。第1遮蔽部16は、その平板面が左右に向くようにして、概ね垂直に設けられている。第1遮蔽部16の前側及び後側のそれぞれに、駆動素子11が取り付けられたヒートシンク12の接続部121が配置される。ダクト14の前端部であって、入口145の左右に並ぶ位置には、平板状の第2遮蔽部17が設けられている。第2遮蔽部17は、ダクト14の前端の一部を閉塞しているといえ、ダクト14内に配置される駆動素子11及びヒートシンク12の接続部121の前端を覆う。
なお、本実施の形態では、第1遮蔽部16及び第2遮蔽部17が、ダクト14の一部によって構成されている例を示すが、ダクト14とは別部材で構成されていてもよい。
図9は、実施の形態1に係る導風部15の構成を説明する断面模式図である。図9は、第1傾斜板151、第2傾斜板152及び第2入口傾斜板192の前後方向における縦断面を、重ねて示したものである。また、一点鎖線Kは、水平面を表している。
第1傾斜板151の上面を第1面151a、第2傾斜板152の上面を第2面152aと称する。また、第1傾斜板151の下面を第3面151bと称する。第1面151aの水平面に対する傾斜角度θ1と、第2面152aの水平面に対する傾斜角度θ2とは、異なり、傾斜角度θ2の方が傾斜角度θ1よりも大きい。このため、冷却風の向きを上下方向でみると、第2傾斜板152の第2面152aの上を流れる冷却風の方が、より垂直に近い向きで流れる。図9では、冷却風の冷却対象物が配置される仮想面を、符号Lで示している。第1面151aと第2面152aの傾斜角度が異なることにより、図9に破線で示す第1面151aと第2面152aの延長線と仮想面Lとが交わる位置も異なる。このため、第1面151aと第2面152aとによって導かれる冷却風が、仮想面Lに到達する位置も異なる。このように、第1面151aに導かれる冷却風と、第2面152aに導かれる冷却風とは、冷却対象物の前後方向における異なる位置を冷却対象とすることができる。
第2入口傾斜板192の水平面に対する傾斜角度θ3は、傾斜角度θ2と概ね同じであることが好ましい。より好ましくは、傾斜角度θ3は、傾斜角度θ2の±5度以内である。このように構成することで、第2入口傾斜板192の上面と第2傾斜板152の第2面152aとが、概ね同一平面を構成し、両者の接続部分が直線的になる。このため、第2入口傾斜板192から第2傾斜板152に、圧力損失の少ない状態でスムースに冷却風を導くことができ、冷却性能を高めることができる。
第3面151bは、水平面に対し、ダクト14の入口145に近づくほど上昇するように傾斜している。本実施の形態では、第3面151bは、第1傾斜板151の下面であり、水平面に対する第3面151bの傾斜角度は、傾斜角度θ1と同じである。第3面151bの端部は、ダクト14の入口145の上側の縁に接続されている。
図10は、実施の形態1に係る送風機13、ダクト14、導風部15及び駆動基板18の横断面模式図である。ダクト14内には、ヒートシンク12とこれに取り付けられた駆動素子11からなる組が少なくとも2組、前後方向に並んで配置されている。この前後方向に並んだヒートシンク12の接続部121と接続部121との間に、第1遮蔽部16が配置されている。第1遮蔽部16を設けることにより、ヒートシンク12同士が接触することによる短絡を抑制することができ、また、電気的な絶縁性を高めて加熱調理器100の信頼性を高めることができる。第1遮蔽部16は、フィン122が配置された領域には設けられていないため、第1遮蔽部16が流路144内を通る冷却風の妨げになることはない。
ダクト14内には複数の駆動素子11が収容されており、説明の便宜上、図10では符号11a、11b、11cと区別して表示している。発熱量の大きい駆動素子11ほど、冷却風の上流側に配置するのが好ましい。たとえば、駆動素子11として、2つのIGBT11a、11bと1つのダイオードブリッジ11cとが設けられている場合には、IGBT11a、11bを上流側に配置し、ダイオードブリッジ11cを下流側に配置する。このようにすることで、より少ない冷却風量で、駆動素子11を使用上限温度以下とすることができる。ここで、使用上限温度とは、駆動素子11を使用可能なジャンクション温度であり、本実施の形態ではすべての駆動素子11のジャンクション温度はたとえば120℃である。
図10に示されるように、第1側面153、第2側面154及び第3側面155は、送風機13の吹出口134の左右幅方向の範囲に配置されている。したがって、吹出口134からの冷却風は、第1側面153によって直線的に後方へ導かれ、また、第2側面154及び第3側面155によって右後方へ導かれる。
図11は、実施の形態1に係る加熱調理器100のトッププレート1が取り外された状態の平面図である。破線で示す領域Xは、ダクト14の出口146、筐体排気口4(図4参照)、及び排気口カバー開口5aが、左右幅方向において重なる範囲を示している。このように、ダクト14の出口146、筐体排気口4(図4参照)、及び排気口カバー開口5aを、左右幅方向において重なる位置に配置することで、出口146から流出した冷却風は、排気口カバー開口5aに向かって後ろへ直線的に流れて、排気される。直線的に流れることで、冷却風の圧力損失が少なくなるため、冷却風量を相対的に増加させて冷却性能を高めることができ、また、送風機13の騒音を低減することができる。
図12は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、トッププレート1、一方の加熱コイル9及びフランジ105が取り外された状態の平面図である。破線で示す領域Yは、筐体吸気口3(図6参照)、送風機13の吹出口134、ヒートシンク12のフィン122(図6参照)、ダクト14の入口145及び出口146、並びに後板103に形成された排気風路流入口21(図6参照)が、左右幅方向において重なる範囲を示している。ここで示した構成要素を左右幅方向に重なる位置に配置することで、送風機13の吹出口134から送出された冷却風は、前後方向において直線的に後ろへ向かって流れ、その過程でヒートシンク12のフィン122(図6参照)を冷却する。直線的に流れることで、冷却風の圧力損失が少なくなるため、冷却風量を相対的に増加させて冷却性能を高めることができ、また、送風機13の騒音を低減することができる。
図13は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、左右方向における縦断面模式図である。図13は、図10に示した駆動素子11bを通る位置における加熱調理器100の断面を示している。ヒートシンク12に設けられた接続部121の斜面121aは、鉛直方向に対し、左右の一方が高く他方が低くなるように傾斜している。そして、この斜面121aに、駆動素子11が実装されている。また、ヒートシンク12のフィン122を構成する複数の平板は、表面が水平になるようにして、接続部121を介して駆動素子11に熱的に接続されている。このような斜面121aを備えた接続部121及びフィン122の構成により、駆動素子11が実装されたヒートシンク12からなるアセンブリの高さが抑制される。このため、このアセンブリを収容する筐体10及び加熱調理器100を薄型化することができる。
図14は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、第2傾斜板152を通る位置における前後方向の縦断面模式図である。図14では、冷却風を矢印で概念的に示している。図14を参照して、冷却風の流れを説明する。送風機13のファン131が回転すると、筐体吸気口3に対向するようにして配置された送風機13の吸込口133から、ケーシング132内に空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、ファン131によって冷却風として吹出口134から送出される。
ファン131から送出された冷却風は、第2傾斜板152の第2面152aに沿って上昇する。第2面152aの下部は、ヒートシンク12の接続部121と同じ高さ位置にあり、第2面152aの上部は接続部121よりも高い位置にある。第2面152aに沿って流れる冷却風は、ヒートシンク12及びダクト14の上側まで上昇し、第2面152aの下流側端部の延長線上にある加熱コイル9に衝突して、熱伝達により加熱コイル9を冷却する。加熱コイル9を冷却した冷却風は、筐体10の後方に向かって流れ、後板103に形成された排気風路流入口21を介して排気風路20に流入する。ここで、排気風路流入口21の下流側の上縁には、後カバー106内に庇107が設けられており、庇107の下面に沿って冷却風はいったん下降し、その後、筐体排気口4から出て、排気口カバー5内を通り、排気口カバー開口5aを介して排気される。
筐体吸気口3は、筐体10の前後方向の中心よりも前側に配置されている。筐体10内の発熱部品を冷却した後の比較的高温の排気は後方の筐体排気口4から排出されるため、前方における加熱調理器100の周囲の温度は相対的に低く、低温の空気で筐体10内を冷却できる。また、キッチン家具200に加熱調理器100が組み込まれた態様の場合、キッチン家具200の収納庫202の扉の隙間などを介して、キッチン家具200の外側の比較的低温の空気を吸い込むことができ、低温の空気で筐体10内を冷却できる。
また、ダクト14内に冷却風の流れ方向に沿って設置された複数のヒートシンク12の接続部121同士の隙間に、第1遮蔽部16が設けられている。また、送風機13の吹出口134と駆動素子11との間には、吹出口134に対して駆動素子11を遮蔽する第2遮蔽部17が設けられている。このため、吹出口134からの冷却風は、接続部121及び駆動素子11には直接的には供給されず、冷却風は専らダクト14内のフィン122が配置された領域(図13参照)に供給される。このように、駆動素子11の冷却への寄与度合いが低い冷却風の流れを抑制し、フィン122という駆動素子11の冷却に寄与する部品により多くの冷却風を供給することで、効率よく駆動素子11を冷却することができる。
また、筐体吸気口3と、送風機13の吹出口134と、上下に配置された加熱コイル9及び駆動素子11と、排気風路流入口21と、筐体排気口4とが、前後方向の直線上に配置されている。このため、筐体10に吸い込まれて排出される冷却風の流れは、直線的である。したがって、冷却風が筐体10内を流れる過程における圧力損失が低減されて冷却風量が増える。また、筐体10内に高温空気の淀みが形成されるのが抑制され、筐体10内の冷却性能を高めることができる。
図15は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、第1傾斜板151を通る位置における前後方向の縦断面模式図である。図15では、冷却風を矢印で概念的に示している。図15を参照して、冷却風の流れを説明する。ここでは、図14で説明した冷却風の流れと異なる点を中心に説明する。
送風機13の吹出口134から送出された冷却風の一部は、第1傾斜板151の第1面151aに沿って上昇する。第1面151aの下部は、ヒートシンク12のフィン122と同じ高さにある。第1面151aに沿って流れる冷却風は、第1面151aの下流側端部の延長線上にある加熱コイル9に衝突し、熱伝達により加熱コイル9を冷却する。加熱コイル9を冷却した冷却風は、筐体10の後方に向かって流れ、後板103に形成された排気風路流入口21を介して排気風路20に流入し、筐体排気口4、排気口カバー5内、及び排気口カバー開口5aを経て排気される。
ファン131から送出された冷却風の他の一部は、第1傾斜板151の第3面151bの下側を通ってダクト14内に流入する。ダクト14内に流入した冷却風は、フィン122に衝突し、熱伝達によりフィン122を冷却する。フィン122を冷却した冷却風は、筐体10の後方に向かって流れ、後板103に形成された排気風路流入口21を介して排気風路20に流入し、筐体排気口4、排気口カバー5内、及び排気口カバー開口5aを経て排気される。
このように、送風機13からの冷却風の一部は、第1傾斜板151によって上下に分かれて流れる。したがって、送風機13から送出された比較的低温の冷却風を、加熱コイル9とヒートシンク12の両方に供給できるため、加熱コイル9とヒートシンク12の両方を効率よく冷却することができる。
また、図14、図15に示すように、第1傾斜板151の第1面151a及び第2傾斜板152の第2面152aは、上下方向においてヒートシンク12の少なくとも一部と重なる高さに設けられている。ヒートシンク12と第1面151a又は第2面152aとの合計の高さ寸法を抑えることができるので、筐体10を薄型化することができる。
以上述べたように本実施の形態の加熱調理器100は、吹出口134を有する送風機13と、ヒートシンク12の少なくとも一部を収容するダクト14とを備える。ダクト14は、少なくとも一部が加熱コイル9の下に配置されており、また、送風機13の吹出口134の下流側に配置された入口145及び出口146、並びに送風機13の吹出口134と交差する方向に延びる流路144を有している。送風機13の吹出口134の下流側かつダクト14の入口145の上流側には、導風部15が設けられている。この導風部15は、ダクト14の上側に向かう方向である第1方向F1に、吹出口134からの冷却風を導く第1導風部として、第1側面153及び第1傾斜板151の第1面151aを備える。また導風部15は、ダクト14の上側に向かう方向であって、左右方向及び上下方向において第1方向F1と異なる第2方向F2に、吹出口134からの空気を導く第2導風部として、第2側面154、第3側面155及び第2傾斜板152の第2面152aを備える。また導風部15は、ダクト14の内部に向かう方向である第3方向F3に、吹出口134からの冷却風を導く第3導風部として、第1傾斜板151の第3面151bを備える。すなわち、導風部15によって、送風機13からの冷却風は、左右方向及び上下方向に異なる2つの方向(第1方向F1及び第2方向F2)に分流する。また、導風部15によって、送風機13からの冷却風は、ダクト14内(第3方向F3)とダクト14外(第1方向F1及び第2方向F2)とに分流する。このため、送風機13から送出された比較的低温の冷却風で、ダクト14の上に配置された加熱コイル9の異なる部位をそれぞれ冷却することができる。また、送風機13から送出された比較的低温の冷却風で、加熱コイル9とダクト14内のヒートシンク12の両方を冷却することができる。このように加熱コイル9とヒートシンク12を冷却する性能を向上させることができる。
そして、本実施の形態によれば、上下に重なる位置に配置された加熱コイル9とヒートシンク12とをバランスよく冷却でき、また筐体10内に高温空気の淀みが発生するのを抑制できるため、筐体10を薄型化することができる。このように、本実施の形態によれば、加熱コイル9とヒートシンク12の冷却性能の確保と、筐体10の薄型化とを、両立させることができる。
なお、第1ユニットの加熱コイル9の中心と第2ユニットの加熱コイル9の中心との間であって、第1ユニットの駆動素子11と第2ユニットの駆動素子11(図6参照)との間には、駆動素子が実装されていない回路基板を配置するのが望ましい。すなわち、本実施の形態の電源基板25が配置されている位置には、高発熱素子である駆動素子が実装されていない回路基板を配置するのがよい。このように隣り合う加熱コイル9同士と駆動素子11同士との間に、駆動素子を備えない比較的発熱量の小さい基板を配置することで、発熱部品である加熱コイル9と駆動素子11の隣接するもの同士の間に、熱がこもるのを抑制することができる。また、隣り合う加熱コイル9同士と駆動素子11同士との間のスペースを、回路基板の実装スペースとして利用することで、加熱調理器100の筐体を小型化することができる。
実施の形態2.
本実施の形態は、筐体10内に左右に並んで配置された第1ユニットと第2ユニットとを構成する一部の部品の構造が、第1ユニットと第2ユニットとで異なる。本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。また、本実施の形態では、説明のため、平面視で左側の第1ユニットを構成する部材の符号には添え字Aを付け、右側の第2ユニットを構成する部材の符号には添え字Bを付ける。
図16は、実施の形態2に係る加熱調理器100、トッププレート1、排気口カバー5、操作部6及び表示部7が取り外された状態の斜視図である。本実施の形態の一方の送風機13Bは、基本的な構造は実施の形態1と同じであるが、実施の形態1の図4及び図11と比較してわかるように、実施の形態1よりも筐体10の右の側板104に近い位置に配置されている。その結果、送風機13Aと送風機13Bとの間には、実施の形態1と比べて左右方向に大きいスペースが形成されている。このような大きいスペースには、実施の形態1よりも大きな制御基板26を配置することができるため、制御基板26を高機能化することができる。
図17は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、加熱コイル9及び送風機13A、13Bが取り外された状態の斜視図である。送風機13B(図16参照)に対応して設けられた導風部15Bは、第1方向、第2方向、及び第3方向に冷却風を導くという基本的な機能及び構造は、実施の形態1の導風部15と同じである。しかし、本実施の形態の導風部15Bにより導かれる冷却風の少なくとも第1方向は、左右方向において実施の形態1と異なり、また左側の導風部15Aの第1方向とも異なる。送風機13Bが右側の側板104に近い位置に配置されたことに伴い、送風機13Bの吹出口134B(図18参照)も右寄りに配置されたため、導風部15Bの上流側の端部が右寄りに設けられている。導風部15Bの下流側の端部は、実施の形態1と概ね同じ位置に配置されているため、導風部15Bの上流側の端部から下流側の端部まで、前後方向を基準として左右に比較的大きな角度で傾斜している。
右側のダクト14Bと右側の基板ケース19Bは、基本的な構造は実施の形態1と同じであるが、両者の位置関係が実施の形態1とは異なる。具体的には、ダクト14Bの側壁143Bと、基板ケース19Bの側壁193Bとは、平面視したときに重なるようにして配置されている。さらに好ましくは、側壁143Bの下端面と側壁193Bの上端面とに、互いに嵌合する凹凸形状を設けるとよい。側壁143Bの側壁193Bの凹凸形状を互いに嵌め合わせることで、ダクト14Bと基板ケース19Bとの間の気密性を高めることができ、ダクト14B内からの冷却風の漏れを抑制することができる。冷却風の漏れを抑制することで、冷却性能を高めることができる。なお、左側のダクト14A及び基板ケース19Aの側壁に対しても、ダクト14B及び基板ケース19Bと同様の構成を採用することができる。
図18は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、加熱コイル9が取り外された状態の平面図である。また、破線T1は、加熱コイル9の前後方向の中心位置を、破線T2は、加熱コイル9の左右方向の中心位置を示している。ダクト14A、14B及び駆動基板18A、18Bの上側には、加熱コイル9(図16参照)を下方から支持するコイルベース27が設けられている。本実施の形態のコイルベース27は、合成樹脂、金属、あるいはこれらの組み合わせによって構成され、環状の周壁と、この周壁と中央とを放射状に接続する帯状の部材とを有する。コイルベース27の下側に、ダクト14A、14B及び導風部15A、15Bが配置される。図18では、説明のため、導風部15A、15Bの第1傾斜板151A、151B及び第2傾斜板152A、152Bの位置を網掛けで示している。
第1傾斜板151A、151B及び第2傾斜板152A、152Bは、平面視において、加熱コイル9の前後方向の中心位置T1と重なるようにして設けられている。すなわち、第1傾斜板151A、151B及び第2傾斜板152A、152Bの下流側の端部は、中心位置T1と同じ位置かあるいはそれよりも後方に位置している。このように構成することで、加熱コイル9の前後方向の中心位置まで、冷却風を導くことができる。第1傾斜板151A、151B及び第2傾斜板152A、152Bの上を流れる冷却風は、コイルベース27の放射状に配置された帯状の部材同士の隙間を通って、加熱コイル9(図16参照)に接触する。加熱コイル9に冷却風が直接接触するため、加熱コイル9が効率よく冷却される。
また、右側の送風機13Bが実施の形態1と比べて筐体10の右側に寄せて配置されたことに伴い、右側の第2ユニットの第1側面153B、第2側面154B及び第3側面155Bは、左側の第1ユニットの第1側面153A、第2側面154A及び第3側面155Aと構造が異なる。具体的には、ダクト14Aの流路と平行な方向に対する第1側面153Aの傾斜角度と、ダクト14Bの流路と平行な方向に対する第1側面153Bの傾斜角度とは、異なり、後者の方が角度が大きい。このため、筐体10の右側に寄せて配置された送風機13Bから、ダクト14B及びその上方に冷却風を導くことができる。
第1傾斜板151B及び第2傾斜板152Bは、平面視において、加熱コイル9の左右方向の中心位置T2と重なるようにして設けられている。このため、加熱コイル9(図16参照)の左右にバランスよく冷却風を供給することができ、加熱コイル9をまんべんなく冷却することができる。また、加熱コイル9は二重環状の巻き線で構成されており(図16参照)、中央側の巻き線と外周側の巻き線との間に隙間があるため、この隙間を通る冷却風が巻き線に直接接触して、中央側と外周側の巻き線も効率よく冷却される。
図19は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、横断面模式図である。図19は、第2傾斜板152A、152Bを通る水平断面を示している。第1傾斜板151Aは、左右の幅が上流側の端部から下流側の端部まで同じであり、第1傾斜板151Aの上に形成される冷却風の流路の幅も上流側から下流側まで同じである。このため、第1傾斜板151Aの上を通る冷却風の圧力損失が低減され、この冷却風による冷却性能が高まる。また、第1傾斜板151Aの左右の幅は、フィン122Aの左右の幅と概ね同じである。このため、第1傾斜板151Aにおける冷却風の風路幅と、フィン122Aを通るときの冷却風の風路幅とが概ね同じとなり、風路幅の拡大縮小が少ないため、冷却風の圧力損失が低減され、この冷却風による冷却性能が高まる。なお、これらのことは、第1傾斜板151B及びフィン122Bにも当てはまる。
図20は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、第1傾斜板151Aを通る位置における前後方向の縦断面模式図である。図20では、第1傾斜板151Aの上側を流れる冷却風の流入口の高さ、すなわち、第1傾斜板151Aの第1面151Aaと吹出口134Aの上端との間の高さを、H1と称している。また、第1面151Aaの前後方向における長さを、L1と称している。本実施の形態では、L1は、H1よりも長い。このため、吹出口134Aからの冷却風が、第1面151Aaに沿って第1方向に流れる過程において整流される効果が高まり、冷却風の拡散が抑制されてより多くの冷却風が加熱コイル9に導かれる。また、第3面151Abの前後方向の長さも、第1傾斜板151Aの第3面151Abと吹出口134Aの下端との間の高さよりも長い。このため、吹出口134Aからの冷却風が、第3面151Abの下側を第3方向に流れる過程において整流される効果が高まり、冷却風の拡散が抑制されてより多くの冷却風がフィン122Aに導かれる。また、第1面151Aaの上側には、加熱コイル9に至るまでの間に遮蔽物が無く、加熱コイル9に風速の速い冷却風を導くことができる。
図21は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、第2傾斜板152Aを通る位置における前後方向の縦断面模式図である。図21では、第2傾斜板152Aの上側を流れる冷却風の流入口の高さ、すなわち、第2傾斜板152Aの第2面152Aaと吹出口134Aの上端との間の高さを、H2と称している。また、第2面152Aaの前後方向における長さを、L2と称している。本実施の形態では、L2は、H2よりも長い。このため、吹出口134Aからの冷却風が、第2面152Aaに沿って第2方向に流れる過程において整流される効果が高まり、冷却風の拡散が抑制されてより多くの冷却風が加熱コイル9に導かれる。また、第2面152Aaの上側には、加熱コイル9に至るまでの間に遮蔽物が無く、加熱コイル9に風速の速い冷却風を導くことができる。
以上述べたように本実施の形態では、左右に並んで配置された送風機13A、13Bのうち、送風機13Bを、実施の形態1よりも筐体10の右側の側板104に近い位置に配置した。そして、導風部15Bは、上流側の端部から下流側の端部に向かって、前後方向に対して左右に傾いた直線的な流路を形成している。このため、送風機13Bからの冷却風を、加熱コイル9に効率よく送ることができる。
実施の形態3.
本実施の形態は、加熱庫50を備えた点が、実施の形態1、2と異なる。本実施の形態では、実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。また、本実施の形態では、説明のため、平面視で左側の第1ユニットを構成する部材の符号には添え字Cを付け、右側の第2ユニットを構成する部材の符号には添え字Dを付ける。また、本実施の形態は、実施の形態1、2のそれぞれと組み合わせることができる。
図22は、実施の形態3に係る加熱調理器100が設置されたキッチン家具200の斜視図である。図22に示すように、加熱調理器100は、キッチン家具200に組み込まれたときにキッチン家具天板201よりも下側となる位置に、加熱庫50を備える。加熱庫50は、前面側に扉51を有し、加熱庫50内には加熱手段を備える。加熱手段の具体例としては、抵抗発熱体、誘導加熱コイル、マイクロ波加熱手段、又は過熱水蒸気が挙げられる。加熱庫50は、たとえば、グリル庫、電子レンジ、あるいは炊飯器として利用されうる。また、加熱庫50の左側には操作部28を備え、右側には操作部29を備える。操作部28及び操作部29は、加熱庫50における操作指示を入力するためのものである。
図23は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、トッププレート1及び排気口カバー5が取り外された状態の斜視図である。筐体10の下側には、加熱庫50を収容した第2筐体40が設けられている。第2筐体40の前側には、第2筐体吸気口41が形成されている。また、第2筐体40の前側には、操作部28及び操作部29の周囲を覆う操作部カバー42が取り付けられている。
図24は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、内部構造を説明する斜視図である。図24は、図23から加熱コイル9及び操作部カバー42が取り外された状態を示している。第2筐体吸気口41は、第2筐体40の上板401と前板402の双方に、設けられている。本実施の形態の第2筐体吸気口41は、複数の丸穴で構成されているが、第2筐体吸気口41を構成する穴の数及び形状は、図示のものに限定されない。前述の図23に示した操作部カバー42は、前板402に形成された第2筐体吸気口41との間に隙間が形成されるようにして取り付けられ、この隙間及び第2筐体吸気口41を介して、空気が第2筐体40の中に吸い込まれる。前板402は、操作部カバー42で覆われるため、第2筐体吸気口41の総開口面積を大きくしても外観を損なうことがない。このため、第2筐体吸気口41の総開口面積を大きくして吸気に伴う圧力損失を低減することができ、かつ加熱調理器100の前面側の意匠性を高めることができる。
また、右側の送風機13Dは、吹出口134Dの向きが、実施の形態1とは異なる。具体的には、吹出口134Dは、後方ではなく左側を向いている。ダクト14の流路の延びる方向に対して交差する方向に向かって、吹出口134Dが開口している。図24の例では、ダクト14の流路の延長線と直交する方向に向かって、吹出口134Dが開口している。吹出口134Dと導風部15Dとの間には、曲がった流路を内部に有する接続ダクト60が設けられている。本実施の形態の接続ダクト60内の流路は、入口から出口まで概ね90度曲がっている。接続ダクト60の左右の側壁のうち、接続ダクト60の流路の曲げ中心から遠い側の側壁は、曲面で構成されている。接続ダクト60内の曲がりを曲面で構成することで、流路を流れる冷却風の圧力損失を低減することができる。圧力損失を低減することで、送風機13Dの騒音を低減することができる。
図25は、実施の形態3に係る加熱調理器100の下側からの斜視図である。筐体10は、実施の形態1と同じ構成である。前述の図24に示した第2筐体40は、この筐体10の下側に取り付けられる。筐体10の下側に第2筐体40を設けなければ、構造的には実施の形態1、2で示した薄型のビルトイン加熱調理器を得ることもできる。このため、実施の形態1、2のような薄型の加熱調理器100と、実施の形態3の加熱庫50を備えた加熱調理器100の、両方を製造する場合であっても、筐体10を共用できるため、製造コストを低減することができる。
後カバー106は、実施の形態1とは異なり、下面に開口108を有する。この開口108は、後カバー106内に形成される排気風路20と、第2筐体40の内部とを連通させるためのものである。第2筐体40からの排気は、この開口108を介して後カバー106内の排気風路20に流入する。後カバー106は、筐体10に対してねじ等によって着脱可能に取り付けられるのが好ましい。このようにすることで、第2筐体40が取り付けられる場合(本実施の形態)と、第2筐体40が取り付けられない場合(実施の形態1、2)とで、共通の筐体10を用いながら必要な排気を実現することができる。
図26は、実施の形態3に係る第2筐体40の斜視図である。加熱庫50の後部には、加熱庫排気ダクト52が設けられている。加熱庫排気ダクト52は、加熱庫50内と連通し、加熱庫50内の排気を外部に導く。加熱庫排気ダクト52は、後カバー106の開口108(図25参照)を介して、排気風路20と連通する。
第2筐体40の前側には、左右に吸気風路43が設けられている。吸気風路43は、第2筐体40の第2筐体吸気口41と連通し、第2筐体吸気口41から吸い込まれた冷却風の一部を、筐体10の筐体吸気口3(図25参照)に導く。本実施の形態の吸気風路43は、底と、この底から起立する壁によって囲まれた空間である。第2筐体の吸気風路43により導かれる冷却風は、専ら筐体10内の冷却に用いられる。なお、図26に符号41aで示すように、第2筐体40の側面にも第2筐体吸気口41aを設けてもよい。
図27は、実施の形態3に係る加熱調理器100のトッププレート1及び排気口カバー5が取り外された状態の平面図である。左側の送風機13Cと右側の送風機13Dとは、基本的な構造は同じであるが、配置されている向きが異なる。右側の送風機13Dは、平面視で反時計回り(左回り)に、送風機13Cを90度回転させたのと同じ向きである。
破線で示す領域Y1は、接続ダクト60の出口61、ヒートシンク12のフィン122D(図28参照)、ダクト14の入口145D及び出口146D(図27参照)、後板103に形成された排気風路流入口21(図24参照)が、左右幅方向において重なる範囲を示している。ここで示した構成要素を左右幅方向に重なる位置に配置することで、接続ダクト60から送出された冷却風は、前後方向において直線的に後ろへ向かって流れ、その過程でヒートシンク12のフィン122D(図28参照)を冷却する。直線的に流れることで、冷却風の圧力損失が少なくなるため、冷却風量を相対的に増加させて冷却性能を高めることができ、また送風機13Dの騒音を低減することができる。
図28は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、横断面模式図である。図28は、第2傾斜板152C、152Dを通る水平断面を示している。前述したように、右側の送風機13Dは、送風機13Cを基準にすると反時計回りに90度回転させた向きであるが、このような構成を採用しているのは、送風機13Dを筐体10の右側の側板104に寄せるのが目的である。送風機13Dを右側の側板104に寄せることで、送風機13Dの吸込口133D(図31参照)も右側の側板104に近づく。そうすると、吸込口133Dと連通する筐体吸気口3及び第2筐体吸気口41も、右側の側板104に近い位置に形成することができる。第2筐体吸気口41を、右側の側板104に近い位置に配置すると、第2筐体40内の左右の中央付近への部品の配置の自由度が高まる。このため、第2筐体40の左右の中央付近に、左右幅の広い加熱庫50を配置することも可能になる。
図29は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、送風機13Cを通る位置における前後方向の縦断面模式図である。図30は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、電源基板25及び制御基板26を通る位置における前後方向の縦断面模式図である。図29及び図30では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。
第2筐体40の内部には、第2送風機53が設けられている。本実施の形態の第2送風機53は、その吸込口531が第2筐体吸気口41と対向する位置に設けられている。このため、第2送風機53に吸い込まれる空気の圧力損失が低減される。第2送風機53は、本実施の形態では遠心ファンを有しており、第2送風機53の吹出口532は、図30に示すように、第2筐体40の左右の中心側に向いて開口している。また、図29に示すように、吸気風路43は、筐体10の筐体吸気口3と上下に対向する位置に設けられている。
第2送風機53が動作すると、図29に白抜き矢印で示すように、第2筐体40の前板402と操作部カバー42との間に形成された隙間から、上板401及び前板402に設けられた第2筐体吸気口41に空気が吸い込まれる。第2筐体吸気口41から吸い込まれた空気は、図30に白抜き矢印で示すように第2送風機53の吹出口532から送出され、加熱庫50の上側を流れて加熱庫50及びその周囲を冷却する。また、図示されていないが、第2送風機53からの冷却風は、加熱庫50の底と第2筐体40の底との間の空間を流れ、加熱庫50及びその周囲を冷却する。このように、加熱庫50及びその周囲に冷却風を送ることで、加熱庫50から筐体10及び第2筐体40への伝熱による温度上昇を抑制して、加熱調理器100の動作の安定と熱による劣化を軽減することができる。
また、図29に示すように、送風機13Cが動作すると、上板401及び前板402に設けられた第2筐体吸気口41に空気が吸い込まれる。第2筐体吸気口41から吸い込まれた空気は、図29に塗りつぶし矢印で示すように、吸気風路43及び筐体吸気口3を介して送風機13Cに吸い込まれる。送風機13Cに吸い込まれた空気は、冷却風として送風機13Cから送出される。送風機13Cから送出された冷却風の作用は、実施の形態1で述べたとおりである。第2筐体吸気口41を介して、加熱調理器100の前面側の比較的低温の空気を吸い込むことができ、この低温の空気で筐体10内を効率よく冷却できる。
図31は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、送風機13Dを通る位置における前後方向の縦断面模式図である。図31では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。送風機13Dが動作すると、上板401及び前板402に設けられた第2筐体吸気口41に空気が吸い込まれる。第2筐体吸気口41から吸い込まれた空気は、吸気風路43及び筐体吸気口3を介して送風機13Dに吸い込まれる。送風機13Dに吸い込まれた空気は、冷却風として送風機13Dから送出される。送風機13Dから送出された冷却風の作用は、実施の形態1で述べたとおりである。
本実施の形態では、筐体10の下側に、加熱庫50を有する第2筐体40を設けた。このため、トッププレート1の上での加熱調理に加え、加熱庫50内での加熱調理も可能となり、使用者の利便性が向上する。
なお、実施の形態1~3では、2つのユニット(加熱コイル9、送風機13、ダクト14、導風部15(図6参照)、並びに駆動基板18及びこれに実装された部品)を設けた例を説明したが、ユニットの数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
また、実施の形態1~3では、ダクト14内にヒートシンク12の全体を収容した例を示したが、ヒートシンク12の一部がダクト14外に配置されていてもよい。たとえば、ヒートシンク12のフィン122の下流側の一部が、ダクト14の外に配置されていてもよい。
なお、実施の形態1~3では、時計回り(右回り)に回転する遠心式の送風機13を例に説明したが、反時計回り(左回り)に回転する送風機を採用することもできる。その場合には、上述した送風機13、ダクト14、及び導風部15の左右の配置が逆になる。