JP5841990B2 - 耐火材層支持状態検出方法及び加熱炉 - Google Patents
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Description
そして、それらの耐火材層が運転中に脱落しないように、炉ケーシングの内面に取付けられた鉄材やステンレスなどの金属製のアンカー部材で支持されている。
そのアンカー部材の取り付けは、その根元部を全周に亘って肉盛り溶接やスタッド溶接などにより行っており、加熱炉の運転に伴って、アンカー部材が腐食などにより経年劣化して支持力を失い、耐火材層の一部が脱落してしまうことがある。
そのために、一般的には2〜3年ごとに加熱炉の運転を停止して定期点検を行い、加熱炉の内部に人が入って目視などにより耐火材層の状態を点検して、脱落箇所があれば2〜3週間かけて補修している(周知慣用技術であり、適切な文献を示すことができない)。
また、定期点検後であっても、特に耐火材層にクラックが発生したりすると、アンカー部材の劣化が進んで耐火材層の支持力が低下し、耐火材層が脱落したりすることがあり、その脱落を予測するのはかなり困難であった。
つまり、導線の他端部と炉ケーシングとの間に電気的導通があれば、金属製のアンカー部材が、金属製の炉ケーシングに一体に取り付いていることを示し、その結果、アンカー部材と一体となっている耐火材層は、炉ケーシング内で支持されていてその機能が維持されていると判断できる。
また、電気的導通がなければ、炉ケーシングからアンカー部材が離れていて、アンカー部材による耐火材層の支持能力がなくなり、その結果、耐火材層による炉ケーシングの内面を保護する機能が低下していることを示す。
従って、早期に耐火材層の少なくとも一部の脱落または脱落予測が判断でき、炉の損傷部分が大きくなる前に炉の保全を早期にできる。
図1(a),(b)に示すように、バーナー1からの可燃性ガスの燃焼空間Sを、炉ケーシング2の内部に形成し、炉ケーシング2の内面で炉内燃焼空間Sに面してキャスタブル耐火材により形成された断熱性の耐火材層3を設けると共に、炉内燃焼空間Sにバーナー1によって形成される燃焼火炎の輻射熱を受ける加熱反応管4を、配置する輻射部5を設け、その輻射部5の後流側に対流部6を接続し、前記対流部6には、断熱性の耐火材層3で囲まれた対流空間に熱回収用の対流管7を配管し、対流部6からの排ガスを大気放出する煙突8を連接して石油精製等の石油化学系加熱処理に使用される加熱炉を構成してある。
そして、導線10の他端部と前記炉ケーシング2との間での電気的導通の有無を、テスター等の測定器11により調べて、電気的導通がある場合に、アンカー部材9により耐火材層3が支持状態であると判断する(図2(a))。
これに対し、図2(b)に示すように、アンカー部材9が炉ケーシング2から外れて電気的導通がなくなったり、導線10が断線して電気的導通がなくなった場合には、アンカー部材9による耐火材層3の支持が不良状態であると判断し、その結果、耐火材層3が脱落しているか、もしくは脱落しそうであると推測できる。
従って、電気抵抗の経時的変化によってアンカー部材9による耐火材層3の支持状態の変化が推測でき、メンテナンス時期の判断材料になる。
以下に他の実施の形態を説明する。
〈2〉 前記アンカー部材9と一体となる耐火材層3の一部が脱落した場合に、導線10が切断されるように、図3(a)、(b)に示すように、一端部がアンカー部材9と電気接続した導線10の中間部を、電気接続したアンカー部材9とは異なるアンカー部材9に係止しておき(図3(a))、耐火材層3の一部の脱落によってアンカー部材9に係止した導線10に張力が作用して切断されるように(図3(b))構成してあってもよい。尚、この場合、導線10は、耐火材層3に埋設しておいても、あるいは、埋設せずに耐火材層3と炉ケーシング2との間に配線してあってもよい。
〈3〉 前記導線10を、その一端部をアンカー部材9に電気接続しておく代わりに、図4に耐火材層の正常時(図4(a))と脱落時(図4(b))とを示すように、炉ケーシング2と電気絶縁した導線10を、予め耐火材層3の層厚内に埋設して一体化した状態で、その両端部を炉ケーシング2の外側に延設しておいてもよい。
〈4〉 前記導線10を、図5(a),(b)に示すように、縦方向に沿って耐火材層3に埋設させた導線10を横に複数列ならべた縦導線群と、横方向に沿って耐火材層3に埋設させた導線10を縦に複数行並べた横導線群とを設け、それら碁盤の目のように配設した状態の導線10で、夫々の電気導通の状態を調べて、耐火材層3の一部の脱落箇所を知るのに、縦方向と横方向との2次元方向の位置を特定できるようにしてあってもよい。
3 耐火材層
9 アンカー部材
10 導線
Claims (8)
- 金属製の炉ケーシングの内側で炉内燃焼空間に面した耐火材層を設け、前記耐火材層に埋設した状態で炉内方に突設する方向に前記炉ケーシングと一体に取り付けてある金属製の耐火材支持用アンカー部材を、前記炉ケーシングの面に沿って所定間隔置きに多数配設してある加熱炉に対して、前記アンカー部材による前記耐火材層の支持状態を検出する耐火材層支持状態検出方法であって、
多数の前記アンカー部材の内の少なくとも一部に、予め導線の一端部を電気接続すると共に、前記導線を前記炉ケーシングと電気絶縁した状態でその他端部を前記炉ケーシングの外側に延設し、前記アンカー部材と前記耐火材層とが一体となる状態で、前記導線の他端部と前記炉ケーシングとの間での電気的導通の有無を調べて、電気的導通がある場合に、前記アンカー部材により耐火材層が支持状態であると判断し、電気的導通がない場合に、前記アンカー部材による前記耐火材層の支持が不良であると判断する耐火材層支持状態検出方法。 - 前記電気的導通がある場合に、予め調べておいた初期導線取り付け時の電気抵抗との比較をしてその電気導通における経時的な電気抵抗の変化を調べ、前記アンカー部材による耐火材層に対する支持力のなくなる時期を予測する請求項1に記載の耐火材層支持状態検出方法。
- 前記耐火材層がキャスタブル耐火材によって形成されたものであって、そのキャスタブル耐火材による耐火材層を形成する際に、一端部を前記アンカー部材に接続した前記導線の他端部を、前記炉ケーシングの外側に延設しておく請求項1または2に記載の耐火材層支持状態検出方法。
- 一端部が前記アンカー部材と電気接続した前記導線の中間部を、前記電気接続したアンカー部材とは異なるアンカー部材に係止しておき、前記耐火材層の一部の脱落によって前記アンカー部材に係止した前記導線に張力が作用するように構成してある請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐火材層支持状態検出方法。
- 前記アンカー部材と一体となる耐火材層の一部が脱落した場合に、前記導線が切断されるように前記導線を前記耐火材層中に埋設しておく請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐火材層支持状態検出方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐火材層支持状態検出方法を実行可能な加熱炉であって、
金属製の炉ケーシングの内側で炉内燃焼空間に面した耐火材層を設け、前記耐火材層に埋設した状態で炉内方に突設する方向に前記炉ケーシングと一体に取り付けてある金属製の耐火材支持用アンカー部材を、前記炉ケーシングの面に沿って所定間隔置きに多数配設して、前記アンカー部材によって前記耐火材層を支持させてあり、前記多数のアンカー部材の内の少なくとも一部に、導線の一端部を電気接続すると共に、その導線の他端部を前記炉ケーシングと電気絶縁した状態で前記炉ケーシングの外側に延設してある加熱炉。 - 金属製の炉ケーシングの内側で炉内燃焼空間に面した耐火材層を設け、
前記炉ケーシングと一体に取り付けて炉内方に突設する方向に前記耐火材層に埋設した金属製の耐火材支持用アンカー部材を、前記炉ケーシングの面に沿って所定間隔置きに多数配設してある加熱炉に対して、前記アンカー部材による耐火材層の支持状態を検出する耐火材層支持状態検出方法であって、
前記炉ケーシング及び前記アンカー部材と電気絶縁した導線を、予め前記耐火材層の層厚内で、前記炉ケーシングの面に沿って埋設して一体化した状態で、その両端部を前記炉ケーシングの外側に延設しておき、前記導線の一端部と他端部との間での電気的導通の有無を調べて、電気的導通がある場合に、前記アンカー部材により耐火材層が支持状態であると判断し、電気的導通がない場合に、前記アンカー部材による前記耐火材層の支持が不良状態であると判断する耐火材層支持状態検出方法。 - 請求項7に記載の耐火材層支持状態検出方法を実行可能な加熱炉であって、
金属製の炉ケーシングの内側で炉内燃焼空間に面した耐火材層を設け、
前記炉ケーシングと一体に取り付けて炉内方に突設する方向に前記耐火材層に埋設した金属製の耐火材支持用アンカー部材を、前記炉ケーシングの面に沿って所定間隔置きに多数配設して、前記アンカー部材により耐火材層を支持させてあり、
前記炉ケーシング及び前記アンカー部材と電気絶縁した導線を、前記耐火材層の層厚内で前記炉ケーシングの面に沿って埋設して一体化した状態で、その両端部を前記炉ケーシングの外側に延設してある加熱炉。
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