JP2015132453A - ボイラ水壁管の過熱損傷診断装置および過熱損傷診断方法 - Google Patents

ボイラ水壁管の過熱損傷診断装置および過熱損傷診断方法 Download PDF

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【課題】ポーラスで熱伝導率の低い微粒へマタイトスケールによる過熱に基づく損傷診断を広範囲でかつ高精度に行うことのできる水壁管の過熱損傷診断装置を提供する。【解決手段】給水の複合水処理法を実施するボイラ水壁管内に付着する微粒へマタイトスケールによるボイラ水壁管の過熱損傷を診断する過熱損傷診断装置において、ボイラ水壁管1またはそれに一体に接続されているメンブレンバー3の表面温度を、火炉外側からサーモグラフィ4を用いて計測してボイラ水壁管の過熱損傷を診断することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、事業用火力発電用ボイラの水壁管内面に付着するスケールによって生じるボイラ水壁管の過熱損傷診断装置および過熱損傷診断方法に関する。
最近、事業用火力発電用ボイラの給水処理方法としてCWT(Combined Water Treatment 複合水処理法)があり、ボイラ装置への給水中に酸素を注入して溶存酸素とし、給水を弱アルカリ性にして、ボイラ装置の給水配管内や伝熱管内に溶解度の極めて低い3価の鉄水酸化物(FeOOH)または鉄酸化物(α−Fe)で不動態被膜を安定的に形成させることにより、給水配管内や伝熱管内の腐食量を低減して、長寿命化できるという特長を有している(非特許文献1参照)。
また、管内に付着するスケール量が低減でき、スケール除去のための化学洗浄の時間間隔を延長できる。さらに、スケールの付着形態として不動態被膜およびそこに付着するスケールの表面が比較的平滑であるため、管内の差圧上昇が抑制できる。
しかし最近、CWTを採用している水壁管内に熱伝導率の低い微粒のへマタイトスケールが付着し、それによる水壁管の過熱損傷が発生する事象が報告されている(非特許文献2参照)。
図8はCWTを採用している火力発電用ボイラの概略構成図である。
図8において、図示しない給水配管を通って水壁入口管寄せ14からボイラ9へ給水され、その後、下部火炉水壁管10においてそれに設けられているバーナ12およびアフターエアポート(AAP)13での燃料燃焼により加熱され、高温水となり管内を上昇し、上部火炉水壁管1に至る。
図中の符号7はボイラケーシング、11は節炭器管、15はウィンドボックス、16はペントハウスである。
図9は、本発明者らが見出した火炉水壁管内に付着する微粒へマタイトスケールの付着状態を示す図であり、図9(b)は図9(a)円内の拡大図である。
図9(a)は下部火炉水壁管10と上部火炉水壁管1との切り替え部を示しており、ここでは傾斜管である下部火炉水壁管10の1本から垂直管である2本の上部火炉水壁管1に分岐されている。
CWTを採用することにより、ボイラ装置への給水中に酸素を注入して溶存酸素とし、給水を弱アルカリ性にすることにより、下部火炉水壁管10と上部火炉水壁管1の内面に硬質酸化スケール17が形成され、その上にへマタイトスケール18が付着する。
このへマタイトスケール18は火炉水壁のうち特に傾斜管で構成される下部火炉水壁管10と垂直管で構成される上部火炉水壁管1との切り替え部位近くの上部火炉水壁管1で多く付着することを本発明者らは確認しており、この部位はボイラ運転中には管内の高温水は超臨界水の状態にある。
この上部火炉水壁管1の母材(以下、メタルと称することもある)2の内面に生成するへマタイトスケールは、0.2〜2μm径の微粒状のスケールで、その見かけ密度は0.8〜1.5mg/cmで、へマタイト単体と比較して1/5以下の極めてポーラスな物質である。
このため付着スケールは熱伝導率が低く、スケールが付着すると管内の流体と管外の高温ガス(燃焼ガスと称することもある)との熱交換が悪くなり、火炉内の熱負荷およびスケール厚さに比例してメタル温度が局所的に上昇する。
図10は、微粒へマタイトスケール18が付着した場合のメタル温度上昇を示すモデル図である。
この図において、微粒へマタイトスケール18が付着していない場合の熱履歴線(点線表示)を「スケールなし」と表記し、微粒へマタイトスケール18が付着した場合の熱履歴線(実線表示)を「スケール生成後」と表記している。また、この図に示されているように、上部火炉水壁管1内には過熱蒸気20が流通して、高温ガスとの間で熱交換が行われる。
火炉内の燃焼ガスによりメタルに熱負荷がかかると、母材2の内側に微粒へマタイトスケール18が付着していない場合は、メタル外面およびメタル内面の熱の移動が容易であり、流通する過熱蒸気20によって熱が奪われるから、点線で示すようにメタル温度は全体的に低い。
これに対してポーラスな微粒へマタイトスケール18が付着している場合は、それが熱抵抗体となって伝熱性が阻害されるため、実線で示すようにメタル温度が上昇して、上部火炉水壁管1が過熱損傷することがある。なお、硬質酸化スケール17は薄く、ポーラスでないから、硬質酸化スケール17による伝熱性の影響は殆どない。
特開2013−185764号公報
日本工業規格「ボイラ給水及びボイラ水の水質」JIS B−8223(2006) 「超臨界圧ボイラの給水化学」(社)火力原子力発電技術協会講演会 仲尾ほか2名 ♯3(2010−10)
こうした水壁管内での微粒へマタイトスケールの付着によるメタルの過熱を抑制し、管理する手段として、微粒へマタイトスケールの付着要因を究明し、その因子を取り除くことが考えられる。しかし、給水のFe濃度、温度、流速などの数種の因子が複合的に影響していると考えられ、現在、微粒へマタイトスケールの付着を著しく低減する技術は確立されていない。
また、微粒へマタイトスケールの除去方法として、ボイラ運転停止中に給水流量を大きく増減させる流量スイングや水抜きによるスケール除去法が考えられるが、大型構造物のボイラ装置に適用するには、十分な流量や流速が得られず、適用が難しく効果も少ない。
CWTを採用したボイラ装置での微粒へマタイトスケール付着による昇温の影響を考慮した過熱による損傷診断について、管内に付着した微粒へマタイトスケール厚さの直接計測とボイラ運転時間からメタル温度履歴を推定し、過熱時間および火炉水壁の強度よりクリープ損傷率を算出し、火炉水壁の残余寿命を診断する提案がある(特許文献1参照)。
しかし、この方法では枝管および試料作成に時間や工数がかかり、火炉水壁全体を広範囲にわたって微粒へマタイトスケールの厚さを精度よく計測することは困難である。また、ボイラ運転時間後に検査を行う場合は、法律などで定められた定期検査毎(例えば2年毎)しか検査できないなどの課題がある。
パウダー状の微粒へマタイトスケールによる過熱に基づく損傷診断を、水壁管の炉内側に埋め込んだ熱電対の計測に基づいて行う方法がある。しかしこの方法では、管表面への熱電対取り付け部材の加工、高所での熱電対の取り付け作業となるため足場の設置などにコストが掛かり過ぎる。また、熱電対を取り付けた部分しか損傷診断ができず、全体的な損傷診断ができないという課題がある。
本発明の目的は、ポーラスで熱伝導率の低い微粒へマタイトスケールによる過熱に基づく損傷診断を広範囲でかつ高精度に行うことのできるボイラ水壁管の過熱損傷診断装置および過熱損傷診断方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の第1の手段は、
給水の複合水処理法を実施するボイラ水壁管内に付着する微粒へマタイトスケールによるボイラ水壁管の過熱損傷を診断する過熱損傷診断装置において、
前記ボイラ水壁管またはそのボイラ水壁管と一体に接続されているメンブレンバーの表面温度を、火炉外側からサーモグラフィを用いて計測して前記ボイラ水壁管の過熱損傷を診断することを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記ボイラ水壁管が、傾斜管で構成された下部火炉水壁管と、その下部火炉水壁管の上部に連設された垂直管で構成された上部火炉水壁管を有し、
前記下部火炉水壁管と上部火炉水壁管の切り替え部の前記上部火炉水壁管側の水壁管またはメンブレンバーの表面温度を計測することを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第2の手段において、
前記下部火炉水壁管と上部火炉水壁管の切り替え部の前記上部火炉水壁管側に位置するノーズ部に前記サーモグラフィを設置したことを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は、
給水の複合水処理法を実施するボイラ水壁管内に付着する微粒へマタイトスケールによるボイラ水壁管の過熱損傷を診断する過熱損傷診断方法において、
前記ボイラ水壁管またはそのボイラ水壁管と一体に接続されているメンブレンバーの表面温度を、火炉外側からサーモグラフィを用いて計測して前記ボイラ水壁管の過熱損傷を診断することを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第4の手段において、
前記ボイラ水壁管が、傾斜管で構成された下部火炉水壁管と、その下部火炉水壁管の上部に連設された垂直管で構成された上部火炉水壁管を有し、
前記下部火炉水壁管と上部火炉水壁管の切り替え部の前記上部火炉水壁管側の水壁管またはメンブレンバーの表面温度を計測することを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第5の手段において、
前記下部火炉水壁管と上部火炉水壁管の切り替え部の前記上部火炉水壁管側に位置するノーズ部に前記サーモグラフィを設置したことを特徴とするものである。
本発明は前述したような構成になっており、ポーラスで熱伝導率の低い微粒へマタイトスケールによる過熱に基づく損傷診断を広範囲でかつ高精度に行うことのできるボイラ水壁管の過熱損傷診断装置および過熱損傷診断方法を提供することができる。
本発明の実施例に係る火炉水壁管の過熱診断装置のシステム図である。 本発明の実施例に係るボイラ装置のノーズ部付近の概略構成図である。 本発明の実施例に係る赤外線サーモグラフィの設置図である。 本発明の実施例に係る赤外線サーモグラフィによる診断例を説明するためのフローチャートである。 微粒へマタイトスケールの厚さとそれによるメタル温度上昇の関係を示す特性図である。 微粒へマタイトスケール付着前後の上部火炉水壁管におけるメンブレンパーでの温度上昇を示した図である。 微粒へマタイトスケールの付着モデルを示す図である。 CWTを採用している火力発電用ボイラの概略構成図である。 本発明者らが見出した火炉水壁管内での微粒へマタイトスケールの付着状態を示す図である。 微粒へマタイトスケールが付着した場合のメタル温度上昇を示すモデル図である。
前述したように本発明の特徴部は、ボイラ水壁管またはそのボイラ水壁管と一体に接続されているメンブレンバーの表面温度を、火炉外側からサーモグラフィを用いて計測してボイラ水壁管の過熱損傷を診断することにある。
このようにボイラ水壁管またはメンブレンバーの表面温度をサーモグラフィを用いて計測しているから、微粒へマタイトスケールによる過熱に基づく損傷診断を広範囲でかつ高精度に行うことができる。
また、管内に付着した微粒へマタイトスケール厚さの直接計測とボイラ運転時間からメタル温度履歴を推定し、過熱時間および火炉水壁の強度よりクリープ損傷率を算出して、火炉水壁の残余寿命を診断する方法。あるいは、水壁管の炉内側に埋め込んだ熱電対の計測に基づいて微粒へマタイトスケールによる過熱に基づく損傷診断を行う方法に比べると、ボイラ水壁管の損傷診断が簡便であり、しかも信頼性が高いなどの特長も有している。
本発明の実施例を図面と共に説明する。図1は、本発明の実施例に係る火炉水壁管の過熱診断装置のシステム図である。
この過熱診断装置は図1に示すように、上部火炉水壁管1の温度を監視する赤外線サーモグラフィ(赤外線温度計とも称される)4と、赤外線サーモグラフィ4のカメラ部4aを冷却するカメラ冷却装置5と、赤外線サーモグラフィ4からのデータを格納・処理するデータ処理装置6から主に構成されている。
赤外線サーモグラフィ4は、対象物から出てくる赤外線エネルギーを検出して、それを温度に変換して温度分布を画像表示する装置であり、対象物から離れた所から非接触且つリアルタイムで温度計測が可能な特長を有している。
現在市販されている赤外線サーモグラフィの仕様は、−40〜500℃の範囲で温度計測可能であり、しかも検出精度は0.03℃であるから、上部火炉水壁管1(メンブレンパー3)の炉外側からの温度監視が高精度に行われる。
先でも説明したように、本発明者らは微粒へマタイトスケール18は火炉水壁管のうち、特に傾斜管で構成される下部火炉水壁管10と垂直管で構成される上部火炉水壁管1との切り替え部位近くの上部火炉水壁管1の部位で多く付着することを見出した。
この微粒へマタイトスケール18の付着は全部の上部火炉水壁管1に均等に析出(付着)するとは限らないため、赤外線サーモグラフィ4をできるだけ多数、上部火炉水壁管1を検出対象とする位置に設置することが望ましい。
しかし、上部火炉水壁管1の炉外側には数十cmの所にボイラケーシング7が設けられており、上部火炉水壁管1とボイラケーシング7の間には図示されていないが保温材が充填されている。この保温材としては、例えばシリカ系の原料を繊維状または綿状にして積層したケイ酸カルシウム保温材やロックウール保温材(JIS A9501A〜9514)などが用いられている。
従って、赤外線サーモグラフィ4により上部火炉水壁管1を火炉の外側から監視するには保温材を部分的に除去して、保温効果については外部保温材の施工により補完することになるが、この工事を広範囲に行うのは困難である。
本発明者らは、下部火炉水壁管10と上部火炉水壁管1との接続部の上部火炉水壁管1側に該当する上部火炉水壁管1のノーズ部21に着目した。この部位に赤外線サーモグラフィ4を設置することにより、保温材を部分的に除去したり、外部保温材の施工などが必要なく、上部火炉水壁管1の火炉外側温度を広い範囲で検出できることを確認した。
ノーズ部21は火炉内に突出した特有の構造になっており、この構造は上部火炉水壁管1の後壁部に特有の理由によるものであるが、特に火炉内の燃焼ガスが火炉から後流側のガス流路に流れる場合の経路を適正にする目的などのためにノーズ部21が設けられている。
下部火炉水壁管10と上部火炉水壁管1との切り替え部は、管寄せを介さない場合は、図9のような構造になるが、最近のものは、内部流体の流れ状態をより均一にするため、図2に示すように、下部火炉水壁管10の上部が一旦火炉を離れて火炉外に引き出されて上部火炉水壁管入口管寄せ23に接続し、その上部火炉水壁管入口管寄せ23から再び火炉内に戻って上部火炉水壁管1となる構造を採用しているものが多い。
ここで、ノーズ部21は図2に示すように、上部火炉水壁管入口管寄せ23からの上部火炉水壁管1が、火炉内に突出した上部火炉水壁管1aと、後壁の位置を上下に上るスクリーン管1bとに分岐したものからなる。
そして火炉内に突出した上部火炉水壁管1aとスクリーン管1bの間には、保温材が施工されていない空間部が形成されている。この部位は、下部火炉水壁管10と上部火炉水壁管1との切り替え部位の上部火炉水壁管1側に該当するため、この部位を火炉外部から検出するように赤外線サーモグラフィ4を設置することにより、上部火炉水壁管1の火炉外側温度を広い範囲で検出することができる。
さらに、ボイラケーシング7には検査用のマンドアが取り付けられていることが多く、その場合は水壁管とボイラケーシング7の間に保温材が施工されていないため、赤外線サーモグラフィ4の設置には最適である。
ボイラケーシング7は100℃以上に昇温しているため、赤外線サーモグラフィ4(カメラ部4a)を保護のためにカメラ冷却装置5(図1参照)を設けることが望ましい。
また本実施例では、2次元の温度分布およびその温度変化データを記録するため、パソコンなどのデータ処理装置6(図1参照)が設置されている。
赤外線サーモグラフィ4の測定角度を変化させる構成にすることにより、さらに広範囲の計測が可能となる。図3は赤外線サーモグラフィ4の設置図で、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。
赤外線サーモグラフィ4の測定可能な範囲は、赤外線サーモグラフィ4の仕様、上部火炉水壁管1とボイラケーシング7の距離などに依存し、通常の場合は2〜6mであり、炉幅10mのボイラ装置では赤外線サーモグラフィ4は5〜9台ほど必要となる。しかし、ボイラ装置の熱負荷分布から高温になるゾーンは予め想定できるから、そのゾーンに対応するように赤外線サーモグラフィ4は3台程度で十分である。
赤外線サーモグラフィ4は、秒オーダの時間変化で温度分布の測定が可能であり、連続監視できるが、パウダー状へマタイトスケール18による過熱は、時間または日のオーダで進行するので、データ量の軽減のため、1日1回から数回の測定で十分である。
図4は、赤外線サーモグラフィ4による診断例を説明するためのフローチャートである。
ステップ(以下、Sと略記する)1で上部火炉水壁管1の赤外線サーモグラフィ4による温度計測を行い、S2で前回からの上部火炉水壁管1の昇温度(昇温した温度差)が30℃(第1の判定基準温度)以上かどうかの判定がなされる。昇温度が30℃未満であった場合は(S2でNo)、ボイラ装置の運転はそのまま継続でき(S3)、所定時間経過後に再び赤外線サーモグラフィ4による温度計測が行われる(S1)。
上部火炉水壁管1の昇温度が30℃以上であった場合(S2でYes)、S4で上部火炉水壁管1の昇温度が50℃(第2の判定基準温度)以上かどうかの判定がなされる。昇温度が50℃未満であった場合は(S4でNo)、該当する火炉水壁管あるいは火炉水壁管全体の化学洗浄を行ない(S5)、洗浄の結果、上部火炉水壁管1の昇温度が30℃未満に下がったことを赤外線サーモグラフィ4で確認するとボイラ装置の運転を継続する(S3)。
上部火炉水壁管1の昇温度が50℃以上であった場合(S4でYes)、S6で上部火炉水壁管1を含む火炉水壁管の更新を行う。
本実施例では上部火炉水壁管1の昇温度が30℃以上で50℃未満の場合、S5で火炉水壁管の化学洗浄を行なったが、昇温度が30℃以上になったゾーンの抜管調査による過熱損傷診断を行い、その診断結果に基づいてボイラ装置の運転継続か火炉水壁管の更新かを判断しても良い。
このように、長期的な温度変化の監視により、火炉水壁管の過熱損傷診断や限界温度までの予測により微粒へマタイトスケールの化学洗浄時期も想定できる。また、スケールブローやスケール除去運転での効果も赤外線サーモグラフィ4による監視で把握できる。
前述したように、CWTを採用したボイラ装置の火炉水壁管内面に付着する微粒へマタイトスケールは、ポーラスで熱伝導率が低く、へマタイト微粒子と超臨界水の混合層モデルで熱伝導率を解析した結果、0.4〜1W/mKと推定された。
図5は、微粒へマタイトスケールの厚さとそれによるメタル温度上昇の関係を調べて、それをまとめた特性図である。この図から微粒へマタイトスケールによるメタル昇温度は、下式で表される。
ΔT=Q×(tps/λps)
ここで式中、ΔT:メタル昇温度(℃)
Q:熱負荷(kW/m
tps:微粒へマタイトスケールの厚さ(m)
λps:微粒へマタイトスケールの熱伝導率(W/mK)。
微粒へマタイトスケールの熱伝導率(λps)を0.6W/mK、熱負荷(Q)を300kW/mとすると、微粒へマタイトスケールが0.1mmの厚さ付着すると、メタル温度は約50℃昇温することになり(図5参照)、スケール厚さが薄くても伝熱管材料は過熱損傷を引き起こすことになるため、より程度の高い監視が必要となる。
図4のS4で昇温度が50℃以上かどうかの判定は、この図5の特性に基づいて設定された第2の判定基準値である。また、図4のS2で昇温度が30℃以上かどうかの判定は、S4の前段階の安全値を見込んだ第1の判定基準値である。このように本発明の実施例では、火炉水壁管の過熱損傷診断を2重構えで行っており、信頼性の向上が図れる。
図6は、微粒へマタイトスケール付着前後の上部火炉水壁管1におけるメンブレンパー3での温度上昇を示した図であり、図6(a)は微粒へマタイトスケール付着前の状態、図6(b)は微粒へマタイトスケール付着後の状態を、それぞれ示す図である。
図6に示すように上部火炉水壁管1は、外径が20〜80mm程度の伝熱管どうしをメンブレンバー3と称する板厚が3〜10mm、板幅が10〜100mm程度の平鋼を介して溶接して、火炉水壁パネルとして使用される。従って、メンブレンバー3は上部火炉水壁管1に溶接により接続され、上部火炉水壁管1と一体化されており、温度履歴を上部火炉水壁管1と共有する。
図6(a)に示すように、上部火炉水壁管1の管内面に微粒へマタイトスケール18が付着していない前の状態では、メンブレンパー3の温度は450〜500℃である。
微粒へマタイトスケール18は、初めに熱負荷21を受けた管内面炉内側の特定の部位に付着する傾向があるが、一定量付着すると飽和する傾向があり、母材2の温度が上昇するため付着域は管内面炉外側へ徐々に広がって行き (特に図6(b)の最も手前側の上部火炉水壁管1参照)、メンブレンパー3の温度も上昇して、480〜530℃になる。
上部火炉水壁管1の炉外側管表面やメンブレンパー3のメタル温度変化は赤外線サーモグラフィ4を用いて検知できるので、検知した計測値によって微粒へマタイトスケール18付着による上部火炉水壁管1の過熱を高精度の監視できる。
図7は微粒へマタイトスケール18の付着モデルを示す図であり、図7(a)は上部火炉水壁管1に対する熱負荷21の当たり方を示す図、図7(b)は微粒へマタイトスケール18が上部火炉水壁管1の炉内側から炉外側へと付着する状態を示す図、図7(c)はさらにメタル温度が上昇して微粒へマタイトスケール18の付着範囲が広がっていく状態を示す図である。
微粒へマタイトスケール18は、炉内側の燃焼ガスからの熱負荷21により、まず上部火炉水壁管1の炉内側の一部に付着し、次いで上部火炉水壁管1の炉外側の方へも付着する(図7(b)参照)。さらにメタル温度が上昇すると、微粒へマタイトスケール18の付着範囲が拡大する。
本実施例によれば、赤外線サーモグラフィにより2次元面の温度とその変化が測定でき、上部火炉水壁管1に対する赤外線サーモグラフィの設置角度を変化させることにより広い範囲の測定ができる。そのため、予測が困難な突発的な微粒へマタイトスケール18の付着による過熱診断に適している。
図1に示すデータ処理装置6には、予め定められたサンプリング周期で計測された各赤外線サーモグラフィ4からの上部火炉水壁管1あるいはメンブレンパー3の計測温度データの他に、微粒へマタイトスケールの熱伝導率(λps)、燃焼ガスによる熱負荷(Q)、前記第1の判定基準値ならびに第2の判定基準値など、過熱損傷診断に必要な各種データが記憶されている。
1:上部火炉水壁管、
1a:火炉内に突出した上部火炉水壁管、
1b:スクリーン管、
2:母材、
3:メンブレンバー、
4:赤外線サーモグラフィ、
6:データ処理装置、
7:ボイラケーシング、
9:ボイラ、
10:下部火炉水壁管、
17:硬質酸化スケール、
18:微粒へマタイトスケール、
21:熱負荷、
22:ノーズ部、
23:上部火炉水壁管入口管寄せ。

Claims (6)

  1. 給水の複合水処理法を実施するボイラ水壁管内に付着する微粒へマタイトスケールによるボイラ水壁管の過熱損傷を診断する過熱損傷診断装置において、
    前記ボイラ水壁管またはそのボイラ水壁管と一体に接続されているメンブレンバーの表面温度を、火炉外側からサーモグラフィを用いて計測して前記ボイラ水壁管の過熱損傷を診断することを特徴とするボイラ水壁管の過熱損傷診断装置。
  2. 請求項1に記載のボイラ水壁管の過熱損傷診断装置において、
    前記ボイラ水壁管が、傾斜管で構成された下部火炉水壁管と、その下部火炉水壁管の上部に連設された垂直管で構成された上部火炉水壁管を有し、
    前記下部火炉水壁管と上部火炉水壁管の切り替え部の前記上部火炉水壁管側の水壁管またはメンブレンバーの表面温度を計測することを特徴とするボイラ水壁管の過熱損傷診断装置。
  3. 請求項2に記載のボイラ水壁管の過熱損傷診断装置において、
    前記下部火炉水壁管と上部火炉水壁管の切り替え部の前記上部火炉水壁管側に位置するノーズ部に前記サーモグラフィを設置したことを特徴とするボイラ水壁管の過熱損傷診断装置。
  4. 給水の複合水処理法を実施するボイラ水壁管内に付着する微粒へマタイトスケールによるボイラ水壁管の過熱損傷を診断する過熱損傷診断方法において、
    前記ボイラ水壁管またはそのボイラ水壁管と一体に接続されているメンブレンバーの表面温度を、火炉外側からサーモグラフィを用いて計測して前記ボイラ水壁管の過熱損傷を診断することを特徴とするボイラ水壁管の過熱損傷診断方法。
  5. 請求項4に記載のボイラ水壁管の過熱損傷診断方法において、
    前記ボイラ水壁管が、傾斜管で構成された下部火炉水壁管と、その下部火炉水壁管の上部に連設された垂直管で構成された上部火炉水壁管を有し、
    前記下部火炉水壁管と上部火炉水壁管の切り替え部の前記上部火炉水壁管側の水壁管またはメンブレンバーの表面温度を計測することを特徴とするボイラ水壁管の過熱損傷診断方法。
  6. 請求項5に記載のボイラ水壁管の過熱損傷診断方法において、
    前記下部火炉水壁管と上部火炉水壁管の切り替え部の前記上部火炉水壁管側に位置するノーズ部に前記サーモグラフィを設置したことを特徴とするボイラ水壁管の過熱損傷診断方法。
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