JP5841006B2 - 燃料濾過装置 - Google Patents
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Description
ところで、特許文献1に記載の燃料濾過装置は、燃料中に含まれる異物を除去すると共に、燃料の比重差を利用してハウジングの底部へ水を沈降させて燃料中に存在する水分を分離するフィルタエレメントを備えている。
したがって、フィルタエレメントに集中的にダストが捕捉されてしまい、フィルタエレメントで捕捉されるダスト量が多くなる。これにより、大量のダストがフィルタエレメントに捕捉されると、フィルタエレメントに目詰まりが生じ易くなり、燃料濾過装置の耐久性を低下させるという可能性がある。
このチャンバは、フィルタエレメントよりも燃料流方向の上流側で、且つフィルタエレメントの重力方向の下方に設けられている。
請求項1に記載の発明によれば、ケースの底面付近に設けられるチャンバに、ダストを重力により沈降させることにより、フィルタエレメントで捕捉されるダスト捕捉量を減らすことができる。これにより、フィルタエレメントに目詰まりが生じ難くなるので、フィルタエレメントを長寿命化させることができる。
この結果、燃料濾過装置の耐久性を向上させることができる。
そして、燃料濾過装置に、ケースの外部からフィルタエレメントを迂回してケースの底面中央に燃料を導き、ケースの底面中央から重力方向の上方向へ向かって燃料を流出させるバイパス流路を形成する流路形成部材を設ける。
これにより、フィルタエレメントで捕捉されるダスト捕捉量を減らすことができるので、フィルタエレメントを長寿命化させることができる。
図1ないし図6は、本発明を適用した燃料濾過装置(実施例1)を示したもので、燃料濾過装置に、ダストを重力でフィルタケースの底部に沈降または堆積させる構造、およびチャンバ内に沈降したダストが再び舞い上がるのを抑制する構造を備えている。
燃料供給システムは、燃料タンクから汲み上げた燃料中に含まれる異物を取り除く燃料濾過装置1と、この燃料濾過装置1から吸入した燃料を加圧して高圧化する燃料ポンプ(サプライポンプ)と、このサプライポンプの吐出口から吐出された高圧燃料が導入されるコモンレールと、このコモンレールの各燃料出口から高圧燃料が分配供給される複数のインジェクタとを備え、コモンレールの内部に貯蔵(蓄圧)された高圧燃料を各インジェクタを介してエンジンの各気筒内に噴射供給するように構成されている。
複数のインジェクタは、燃料噴射を行う噴孔を開閉するニードルと、このニードルの開閉動作を制御する電磁弁とをそれぞれ備えている。
サプライポンプの電磁弁および複数のインジェクタの各電磁弁は、エンジン制御ユニット(電子制御装置:以下ECU)によって電子制御されるポンプ駆動回路およびインジェクタ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続される。
燃料濾過装置1は、燃料タンクから燃料ポンプへ燃料を導く燃料供給配管の途中に接続される有底円筒状のフィルタケース2と、燃料中に含まれる水滴を分離するフィルタエレメント3と、燃料中に混入したダストを捕集、捕捉するフィルタエレメント4と、ダストを重力により沈降させるチャンバ5と、このチャンバ5に対する燃料の流入方向を制御する燃料方向制御手段とを備えている。
なお、本実施例の燃料方向制御手段の詳細は、後述する。
フィルタケース2は、合成樹脂または金属によって形成されている。このフィルタケース2の中心軸線上には、燃料供給配管を介して燃料タンクに接続する円筒状の燃料導入管(センターパイプ)6が設けられている。このセンターパイプ6の図示下端部には、内部にフィルタエレメント3を収容するフィルタ支持部材7が例えば宙づり状態で固定されている。
フィルタケース2には、燃料供給配管を介して、外部の燃料タンクから燃料を吸い込む(吸入する)ための燃料吸入口を形成する1つの入口(インレット)ポート10が形成されている。
なお、本実施例のフィルタケース2の詳細は、後述する。
フィルタエレメント4は、フィルタエレメント3に対して目が細かく、濾過性の高い繊維等の濾過材を円筒状または渦巻き状またはハニカム状または菊花状に成形した第1フィルタ(ダストフィルタ)であり、フィルタケース2の上部(円筒状のフィルタ収容部B)に収容されている。本実施例は、ハニカム型フィルタである。
チャンバ5の上方のフィルタ支持部材7の周囲には、円筒状のフィルタ外周空間13が形成されている。フィルタ外周空間13は、フィルタケース2の周壁部とフィルタ支持部材7の外周との間に形成された燃料流路(経路)である。
ここで、センターパイプ6の周囲には、円筒状のフィルタ入口空間(燃料流路)26、フィルタエレメント4および円筒状のフィルタ出口空間(燃料流路)27が形成されている。
フィルタケース2は、その中心軸線方向が車両上下方向(重力方向)に一致するように車両に設置される。このフィルタケース2は、例えば2分割された上部ケースと下部ケースとを備え、下部ケース内にフィルタエレメント3、4、チャンバ5および燃料方向制御手段を収容(または形成)した後、上部ケースと下部ケースとの結合部を溶接や溶着等の接合手段によって一体化することで構成される。
なお、上部ケース側に、プライミングポンプを設ける構成を採用しても良い。プライミングポンプは、ダイヤフラムと、このダイヤフラムを上下方向に揺動させるためのノブとを備えており、ノブを把持して手動で揺動させることにより、燃料タンク内の燃料を、燃料濾過装置1内の燃料経路を経由して、燃料噴射装置(サプライポンプ、コモンレール、インジェクタ等)側へ圧送する周知構造の手動式燃料ポンプである。
また、インレットポート10と燃料供給配管との間に、内部に燃料導入流路が形成されたインレットパイプを介在しても良く、また、インレットパイプをフィルタケース2に一体的に形成しても良い。
これらのアウトレットポート14は、センターパイプ6の上流端の周囲を円周方向に取り囲むように所定の間隔で設けられている。つまり複数のアウトレットポート14は、フィルタケース2の天壁周縁で円周方向に所定の間隔で開口している。
また、アウトレットポート14と燃料供給配管との間に、内部に燃料導出流路が形成されたアウトレットパイプを介在しても良く、また、アウトレットパイプをフィルタケース2に一体的に形成しても良い。
フィルタケース2の上部には、フィルタエレメント4を収容するフィルタ収容部Bが設けられている。フィルタエレメント4は、センターパイプ6の周囲を円周方向に取り囲むように設置されている。フィルタエレメント4の中心部には、センターパイプ6が嵌合する貫通孔が形成されている。フィルタエレメント4は、センターパイプ6によって燃料導入流路16と液密的に隔てられている。
また、フィルタケース2の底部には、手動操作が可能なドレンコック(図示せず)が設けられており、フィルタケース2の下部のダスト堆積空間12に溜まった水とダストをフィルタケース2の下方(外部)に排出可能となっている。
具体的に、チャンバ5の内部を流れる燃料の経路は、フィルタ支持部材7から燃料が流入すると共に、フィルタエレメント4へ燃料を流出するケース下部空間11等により構成されている。すなわち、フィルタ支持部材7からケース下部空間11へ流入した燃料は、先ず重力方向の上方向から下方向(ダスト堆積空間12側)へ向けて流れ、その後に、重力方向の下方向から上方向(フィルタエレメント4側)へ向けて流れる。
チャンバ5は、燃料中の水分を燃料から分離する水分離機能を有している。すなわち、チャンバ5に流入した燃料と水との比重差を利用してケース下部空間11やダスト堆積空間12に水を沈降させることにより、フィルタケース2の底面上に貯留している。
燃料方向制御手段は、フィルタエレメント3、フィルタ支持部材7、第1、第2燃料経路8、9および経路切替手段を備えている。
フィルタエレメント3は、フィルタ支持部材7のフィルタ収容部A内に収容されている。フィルタエレメント3の中心部には、燃料導入流路16の燃料流方向の下流端に接続する燃料導入流路17が形成されている。
下板の中央には、流れ方向変更部材を構成する円板状のバッフルプレート18が設けられている。このバッフルプレート18は、燃料導入流路17の燃料流方向の下流端を閉塞している。これにより、燃料導入流路17を流れる燃料の流れ方向が、フィルタケース2の中心軸線方向の流れから放射方向(半径方向外側)への流れに変更される。
したがって、バッフルプレート18によって燃料導入流路17からチャンバ5のダスト堆積空間12へ向けて燃料が直接流出しないようにすることができるので、チャンバ5のダスト堆積空間12に沈降したダストが、フィルタ支持部材7からチャンバ5内に流入した燃料の流れにより再び舞い上がらないようにすることができる。
また、バッフルプレート18の閉塞部19の周囲には、フィルタエレメント3を係止する円環状の係止部20が設けられている。
側板には、フィルタ支持部材7からチャンバ5へ燃料を流出させる複数の燃料出口22が形成されている。これらの燃料出口22は、側板の円周方向に所定の間隔(等間隔)で開口している。なお、複数の燃料出口22は、燃料が通過可能な長円形状または楕円形状または多角形状の開口部を有している。この開口部は、円周方向に延びるように設けられている。
第1燃料経路8は、燃料入口15から燃料が導入される燃料導入流路17、フィルタエレメント3、およびチャンバ5へ燃料を流出する複数の燃料出口21等により構成されている。
燃料方向制御手段においては、複数の燃料出口21からチャンバ5へ流入する燃料が、重力方向の下方向へ向けて流れるように構成されている。
燃料方向制御手段においては、複数の燃料出口22からチャンバ5へ流入する燃料が、重力方向下側以外(図1において図示左右(横、水平)方向)へ燃料が流れるように構成されている。
複数のフラップ軸受23は、対応した各フラップ24の円周方向の一端部を回転自在に支持する軸支部である。これらのフラップ軸受23は、各燃料出口22の円周方向の一端縁に設けられている。
複数のフラップ24は、円周方向(円弧状)に延びるように開口した各燃料出口22に対応した形状(円弧形状)の可動板である。
フラップ戻し機構25は、各フラップ24を燃料出口22を閉じる側に付勢する板バネ等により構成されている。
次に、本実施例の燃料濾過装置1の作用を図1ないし図6に基づいて簡単に説明する。
これにより、燃料タンクに貯蔵されている燃料が、燃料供給配管の燃料流方向の上流端で開口した吸い込み口から吸い込まれて燃料濾過装置1の内部に吸い込まれる。
燃料タンクから燃料供給配管を経て燃料濾過装置1に流入した燃料は、インレットポート10からフィルタエレメント4を迂回して燃料導入流路16に流入する。
燃料導入流路16に流入した燃料は、図3および図5に示したように、重力方向の上方向から下方向へ向けて流れて、燃料方向制御手段のフィルタ支持部材7内に流入する。
これによって、燃料導入流路17からフィルタエレメント3内に燃料が流入する。ここで、フィルタエレメント3を燃料が通過する際に、燃料中に含まれた異物(水滴)が分離除去される。また、粒径の大きい異物がフィルタエレメント3に捕捉される。
フィルタ外周空間13に流入した燃料は、チャンバ5よりも上方に配置されるフィルタエレメント4側へ向かう。つまりケース下部空間11内で流れ方向がUターンした燃料は、図3および図5に示したように、重力方向の下方向から上方向へ向けて流れて、フィルタエレメント4内に流入する。ここで、フィルタエレメント4を燃料が通過する際に、燃料中に含まれた粒径の小さい異物(ダスト等)が捕捉および捕集される。
その後、フィルタエレメント4を通過した燃料は、アウトレットポート14を通ってサプライポンプへ送られる。
フィルタ支持部材7の内部(フィルタ収容部A)とチャンバ5との間の圧力差が少ない、つまりチャンバ5に流入する燃料流量が所定値以下の時には、フラップ戻し機構25のバネ力が勝ち、各フラップ24が各燃料出口22を閉塞した状態となる(図3および図4参照)。
そして、フィルタ支持部材7からチャンバ5に流入する燃料流量が増加し、フィルタ収容部Aとチャンバ5との間の圧力差が増加すると、フラップ戻し機構25のバネ力が負け、各フラップ24が各燃料出口22を開放した状態となる(図5および図6参照)。
また、チャンバ5のケース下部空間11内に流入した燃料に含まれる粒径の小さいダストDは、ダスト堆積空間12内に沈降してフィルタケース2の底面上に堆積または沈殿される(図3および図5参照)。
本実施例の燃料濾過装置1のチャンバ5よりも重力方向の上方側には、フィルタ支持部材7の内部の燃料の経路を制御する燃料方向制御手段が設けられている。
燃料方向制御手段は、フィルタエレメント3、フィルタ支持部材7、第1、第2燃料経路8、9および経路切替手段(フラップ軸受23、フラップ24、フラップ戻し機構25)を備え、燃料濾過装置1を流れる燃料の流量(またはこの流量に応じて変化する燃料圧力)に対応してフィルタ支持部材7の内部の燃料の経路を制御している。
また、高流量時には、チャンバ5に対する流入方向が重力方向の下方向と水平方向(横方向)とに分配される。
したがって、燃料濾過装置1を通り抜ける燃料の総流量が増加した場合においても、重力方向の下方向へ向かう燃料の流量が所定値以上になることはない。この結果、フィルタ支持部材7よりも下方のダスト堆積空間12において、高流量で燃料が流入した場合に発生する問題、つまりそれまで沈降して堆積または沈殿していたダストDが再び舞い上がることを抑制することができる。
この結果、燃料濾過装置1の耐久性を向上させることができる。
図7および図8は、本発明を適用した燃料濾過装置(実施例2)を示したもので、燃料濾過装置に、ダストを重力でフィルタケースの底部に沈降または堆積させる構造、およびチャンバ内に沈降したダストが再び舞い上がるのを抑制する構造を備えている。
ここで、実施例1と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。なお、燃料濾過装置1には、実施例1の燃料方向制御手段が設けられていない。
本実施例のフィルタエレメント3は、実施例1と同様に、フィルタ支持部材7の内部空間(フィルタ収容部A)内に収容保持されている。
本実施例のフィルタ支持部材7には、燃料導入流路17の燃料流方向の下流端を閉塞して燃料導入流路17から燃料がチャンバ5のダスト堆積空間12へ向けて流出しないようにするバッフルプレート18、およびフィルタ支持部材7の下方のチャンバ5へ向けて燃料を流出させるための複数の燃料出口21が設けられている。
第1〜第4円環部31は、チャンバ5のダスト堆積空間12よりも重力方向の上方に設置されている。また、第1〜第4円環部31は、ケース下部空間11とダスト堆積空間12とを分離するように配置されている。また、第1〜第4円環部31は、フィルタケース2の中心軸線を中心にした同心円状に配置されている。また、第1〜第4円環部31は、円環板形状に形成されて、内周(半径方向内径側)ほど、内径および外径が小さくなっている。
第2〜第4円環部31は、それぞれ第1〜第3円環部31の周囲を所定の隙間を隔てて円周方向に取り囲むように配置されている。また、第4円環部31は、第1〜第4円環部31の中で最も外周側、つまりフィルタケース2の周壁部34の周壁面寄りに配置されている。
隣接する第1、第2円環部31間、隣接する第2、第3円環部31間、隣接する第3、第4円環部31間には、同様に、フィルタケース2の底面側(ダスト堆積空間12内)へのダストの沈降を可能とする円周開口35がそれぞれ形成されている。
第4円環部31と周壁部34との間には、同様に、フィルタケース2の底面側(ダスト堆積空間12内)へのダストの沈降を可能とする円周開口36が形成されている。
第1〜第4円環部31は、内周(半径方向内径側)ほど、半径方向の隙間が広くなるように配置されている。
なお、第1〜第4円環部31を、重力方向(車両上下方向)において互いに重なる(オーバーラップする)ように配置しても良い。
複数の支持部32は、フィルタケース2の中心軸線を中心にした放射方向に配置されている。これらの支持部32は、フィルタケース2の周壁部34に第1〜第4円環部31を固定する。
従来の燃料濾過装置は、エンジン回転速度が高い条件で、高い流速の燃料が舞い上げた、フィルタケースの底面上に沈降していたダストがフィルタエレメント(ダストフィルタ)に捕集され、フィルタエレメントの寿命低下を招くことがあった。
本実施例の燃料濾過装置1では、ダストが沈降して堆積または沈殿するダスト堆積空間12の上方を部分的に覆うようにダスト沈降構造物(第1〜第4円環部31)を、フィルタケース2の中心軸線を中心にした同心円状に配置したことより、ダスト堆積空間12内での燃料の流動がし難くなる。これにより、エンジン回転速度が高く、流速が高い条件においても、フィルタケース2の底面上に沈殿したダストが燃料の流れによって巻き上がることがない。
したがって、沈殿したダストがフィルタエレメント4まで到達しない。つまりフィルタエレメント4まで舞い上がることがない。
この結果、フィルタエレメント4で捕捉されるダスト捕捉量が少なくなり、燃料濾過装置1の寿命を長期化することが可能となる。
以上のように、本実施例の燃料濾過装置1においては、実施例1と同様な効果を奏する。
図9および図10は、本発明を適用した燃料濾過装置(実施例3)を示したもので、燃料濾過装置に、ダストを重力でフィルタケースの底部に沈降または堆積させる構造、およびチャンバ内に沈降したダストが再び舞い上がるのを抑制する構造を備えている。
ここで、実施例1及び2と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
本実施例のダスト沈降構造物は、ダスト堆積空間12に沈降したダストの舞い上がりを抑制する複数の板状部材(板状の第1〜第6円筒部41)、およびこれらの第1〜第6円筒部41を支持する複数の構造物支持部材(支持部42)を備えている。
第1〜第6円筒部41は、チャンバ5のダスト堆積空間12よりも重力方向の上方に設置されている。また、第1〜第6円筒部41は、ケース下部空間11とダスト堆積空間12とを分離するように配置されている。また、第1〜第6円筒部41は、フィルタケース2の中心軸線を中心にした同心円状に配置されている。また、第1〜第6円筒部41は、円筒形状に形成されて、フィルタケース2の底面側(重力方向の下方)ほど、および内周(半径方向内径側)ほど、内径および外径が小さくなっている。
第2〜第6円筒部41は、それぞれ第1〜第5円筒部41の周囲を所定の隙間を隔てて円周方向に取り囲むように配置されている。また、第6円筒部41は、第1〜第6円筒部41の中で最も外周側、つまりフィルタケース2の周壁部44の周壁面寄りに配置されている。
隣接する第1、第2円筒部41間、隣接する第2、第3円筒部41間、隣接する第3、第4円筒部41間、隣接する第4、第5円筒部41間、隣接する第5、第6円筒部41間には、同様に、フィルタケース2の底面側(ダスト堆積空間12内)へのダストの沈降を可能とする円周開口45がそれぞれ形成されている。
第6円筒部41と周壁部44との間には、同様に、フィルタケース2の底面側(ダスト堆積空間12内)へのダストの沈降を可能とする円周開口46が形成されている。
なお、第1〜第6円筒部41は、内周(半径方向内径側)ほど、円周開口45が広くなるように配置しても良い。
複数の支持部42は、フィルタケース2の中心軸線を中心にした放射方向に配置されている。これらの支持部42は、フィルタケース2の周壁部44に第1〜第6円筒部41を固定する。
以上のように、本実施例の燃料濾過装置1においては、実施例2と同様な効果を奏する。
図11は、本発明を適用した燃料濾過装置(実施例4)を示したもので、燃料濾過装置に、ダストを重力でフィルタケースの底部に沈降または堆積させる構造、およびチャンバ内に沈降したダストが再び舞い上がるのを抑制する構造を備えている。
ここで、実施例1〜3と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
本実施例のフィルタケース2は、フィルタエレメント3、4を収容する円筒状の周壁部51、この周壁部51よりも下方に設けられて、燃料中に含まれるダストを沈降させて堆積させる凹部(中央底部)52、およびこの凹部52の開口周縁の周囲を取り囲む円環状の段部(周縁底部)53を備えている。
凹部52は、フィルタケース2の底面中央を凹ませることで設けられており、内部にダスト堆積空間12が形成されている。この凹部52は、フィルタケース2の段部53に対して脱着可能となっている。
段部53は、凹部52の開口周縁側(内周側)ほど底面高さが低くなるように傾斜した円錐面(テーパ面)を有している。
バッフルプレート54は、凹部52内のダスト堆積空間12を覆うように配置されている。このバッフルプレート54の外周と段部53の円錐面との間には、フィルタケース2の底面側(ダスト堆積空間12内)へのダストの沈降を可能とする円周開口56が形成されている。
本実施例のダスト沈降構造物は、流速の遅いダスト堆積空間12の中心部にダストを堆積させることで、ダストの舞い上がりを防止すると共に、凹部52を脱着可能とすることで、堆積した沈殿物(ダストや水分等)のみが除去可能となる。
以上のように、本実施例の燃料濾過装置1においては、実施例1〜3と同様な効果を奏する。
ここで、本実施例のダスト沈降構造物を、実施例1〜3に示すダスト堆積空間12の上方に配置することで、ダストの舞い上がりを防止する効果をより向上することができる。
図12ないし図16は、本発明を適用した燃料濾過装置(実施例5)を示したもので、燃料濾過装置に、ダストを遠心力で燃料から分離してフィルタケースの底部に沈降または堆積させる構造、およびチャンバ内に沈降したダストが再び舞い上がるのを抑制する構造を備えている。
ここで、実施例1〜4と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
フィルタケース2の上部に設けられる上部ケース63には、図示しないインレットポートが開口したインレットパイプ64が接続されている。また、上部ケース63は、フィルタケース2の上部の周壁部61の周囲を円周方向に取り囲むように設置されている。
フィルタ支持部材62の内部には、フィルタエレメント4を収容するフィルタ収容部Bが設けられている。このフィルタ支持部材62の内部には、フィルタ収容部Bに連通すると共に、フィルタケース2の上部から燃料をエンジンへと流出させる燃料出口流路65が形成されている。この燃料出口流路65は、重力方向の下方の燃料入口(開口部)66から流入した燃料をフィルタ収容部Bを経てフィルタケース2の上部(天壁)中央で開口したアウトレットポート14へ導く流路である。
また、フィルタケース2の底部を形成する底部プレート68の中央部には、ダストが流れの淀み点(中央底面の周囲の周辺底面)に沈降し易くなるように球面形状の凸部69が設けられている。
なお、凸部69は、球面形状の底面を有する突起部であって、フィルタケース2の底面形状を半球形状や錐形状とすることも考えられる。
旋回流発生手段は、インレットパイプ64内に形成される燃料入口流路71、およびインレットパイプ64からフィルタケース2内に流入した燃料が旋回流になることを促進する旋回流生成室72等により構成されている。
燃料入口流路71は、上部ケース63の周壁部63aの周壁面の接線方向に真っ直ぐに延びるストレート部(直線流路)73、および上部ケース63の周壁部63aの周壁面に沿うように円弧状に湾曲し、フィルタケース2の円周方向に延びる湾曲部(曲線流路)74を有している。
フィルタケース2の下方には、フィルタケース2の周壁部61よりも円筒径の大きいダスト堆積空間12が設置されており、燃料中に混入するダストは、旋回流生成室72から旋回しながら図示下方に移動する燃料の流れの中で旋回流の外側へと遠心分離され、燃料の流れがダスト堆積空間12に流入した時点で、更に外側までダストが分離される。
以上で説明したような作動により、燃料の流れで分離できるダストは、フィルタエレメント4での捕集量を少なくすることができるため、その分フィルタエレメント4の長寿命化につながることが期待できる。
以上のように、本実施例の燃料濾過装置1においては、実施例1〜4と同様な効果を奏する。
そこで、図13および図14に示したように、燃料濾過装置1の下部にダスト移動用のキャッチタンク81を設置する構造を説明する。
フィルタケース2の底部を形成する底部プレート68には、ダスト堆積空間12およびダスト沈殿空間77とダスト貯留室82とを連通する連通路である開口83が設けられている。また、底部プレート68のダスト貯留室82側には、開閉弁が設けられている。
開閉弁は、燃料の圧力に応じて開閉動作を行う圧力応動弁であって、開口83とこれに連通する開口84を開閉するバルブ85、このバルブ85を往復摺動可能に支持するバルブケース86、およびバルブ85を閉弁側(開口83、84を閉じる側)に付勢するコイルスプリング87等により構成されている。
バルブ85およびコイルスプリング87は、ダスト堆積空間12の燃料圧力が所定値を超えた時(燃料の流量が増加した時、エンジン回転速度が高回転の時)に、コイルスプリング87の付勢力に打ち勝ってバルブ85を押し下げ、開口83、84を開く(開閉弁を開弁する)ように設計されている。
なお、開口83は、ダスト堆積空間12の底面(底部プレート68)に形成されているため、エンジンに対する安定した燃料供給という観点から、エンジンの停止直前または始動直後のみ開くことが望ましい。
燃料供給装置は、燃料タンク91から燃料を汲み上げるモータ駆動式のフィードポンプ92と、このフィードポンプ92から吸入した燃料中に含まれる異物を取り除く燃料濾過装置1と、この燃料濾過装置1から吸入した燃料を加圧して高圧化するサプライポンプ93と、このサプライポンプ93の吐出口から吐出された高圧燃料が導入されるコモンレール(図示せず)と、このコモンレールの各燃料出口から高圧燃料が分配供給される複数のインジェクタ(図示せず)とを備えている。
ECU94は、エンジンの運転状態(運転状況)を検出するセンサの出力信号が入力するように構成されている。センサとしては、クランク角度センサ(エンジン回転速度センサ)、アクセル開度センサや燃料圧力センサ等の運転状態検出手段が使用される。
燃料濾過装置1とサプライポンプ93とを接続する燃料供給配管の途中には、電磁開閉弁95が設置されている。
電磁開閉弁95は、ECU94によって電子制御される電磁弁駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続される。この電磁開閉弁95は、通電(ON)されると開弁し、通電が停止(OFF)されると閉弁するように構成されている。 フィードポンプ92および電磁開閉弁95は、エンジンの停止直前または始動直後に、燃料濾過装置1の内部圧力(チャンバ5内の燃料圧力)が所定値を超えるように連動して制御される。これにより、燃料濾過装置1のチャンバ5内のダストがキャッチタンク81のダスト貯留室82内に沈降して貯留される。
燃料供給装置には、サプライポンプ93で生成された高圧燃料の一部を燃料濾過装置1のチャンバ5内に戻すためのリターン配管96、およびこのリターン配管96を開閉する電磁開閉弁97が設置されている。
電磁開閉弁97は、ECU94によって電子制御される電磁弁駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続される。この電磁開閉弁97は、通電(ON)されると開弁し、通電が停止(OFF)されると閉弁するように構成されている。 この燃料供給装置は、燃料のリターンに問題がない時期(例えばエンジンの停止直前)で電磁開閉弁97を開弁して、高圧燃料を燃料濾過装置1のチャンバ5内に戻すように構成されている。
なお、図13ないし図16に示した実施例5の構造は、重力でダストを沈降させる方式、遠心力でダストを沈降させる方式の両方において有効である。
以上のように、本実施例の燃料濾過装置1においては、実施例1〜4と同様な効果を奏する。
図17ないし図20は、本発明を適用した燃料濾過装置1(実施例6)を示したもので、燃料濾過装置に、燃料と水との界面にチャンバ内で重力により沈降したダストを吸着させる構造、およびチャンバ内に沈降したダストが再び舞い上がるのを抑制する構造を備えている。
ここで、実施例1〜5と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
また、ダスト堆積空間12におけるフィルタケース2の底部上には、予めフィルタケース2の底部より上方に盛り上がるように水Wが入れてある。これにより、チャンバ5のダスト堆積空間12は、フィルタケース2の底面中央を周方向に取り囲むように、燃料以外の液体(水W)を保持する円筒状の液体保持空間を兼ねている。
バイパスパイプ102は、フィルタケース2の外壁面との間に、フィルタケース2の外部からフィルタエレメント3、4を迂回してフィルタケース2の底面中央に燃料を導き、フィルタケース2の底面中央から重力方向の上方向のチャンバ5内へ向かって燃料を流出させるバイパス流路103を形成する凹状壁部である。
バイパスパイプ102の燃料流方向の上流端には、インレットポート10付近で開口した燃料入口104が設けられている。また、バイパスパイプ102の燃料流方向の下流端には、チャンバ5のダスト堆積空間12に臨むように開口した燃料出口105が設けられている。燃料出口105は、フィルタケース2の底面中央よりも重力方向の上方で、且つ燃料以外の液体(水W)と燃料との界面よりも重力方向の下方で開口している。
フィルタケース2の底面中央には、燃料出口105がある。この燃料出口105は、少なくともダスト堆積空間12の最底面よりも上方側にあり、沈降したダストDが再度舞い上がることを防止している。
燃料中のダストDは、ダスト堆積空間12の中で重力により沈降し、水Wと接触することにより吸着される。
さらに、水Wがあるため、燃料の流量が多いときも、水Wが防護壁となり、燃料の流れによるダストDの舞い上がりを防止できる。
この結果、フィルタエレメント4へ行くダストDの割合を低減させることが可能となり、フィルタエレメント4の寿命を延長することができる。
ここで、燃料・水・ダストの挙動を図19に示す。また、従来品に対する発明品(実施例6)の効果を図20に示す。
「ダスト舞い上がり率」とは、「燃料流れにより舞い上がったダスト」/「既に沈降しているダスト」のことである。
以上のように、本実施例の燃料濾過装置1においては、実施例1〜5と同様な効果を奏する。
本実施例では、本発明の燃料濾過装置を、ディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)に燃料を供給する燃料供給装置に組み込まれる燃料濾過装置1に適用したが、本発明の燃料濾過装置を、ガソリンエンジン等の内燃機関(エンジン)に燃料を供給する燃料供給装置に組み込まれる燃料濾過装置(燃料フィルタ)に適用しても良い。
また、燃料濾過装置1を燃料タンク内に設置しても良い。
また、チャンバ5のダスト堆積空間12、このダスト堆積空間12の周囲を取り囲む周壁部、およびダスト堆積空間12の底面を形成する底部プレートにより構成されるダスト保持部(ダスト沈殿部)を、フィルタケース2のフィルタ収容部に対して脱着可能としても良い。
また、燃料濾過装置1で濾過する燃料、つまり燃料タンクから吸入されてエンジン側へ供給される燃料は、ガソリンまたはディーゼル油(軽油)だけでなく、エタノール等のアルコールとガソリンとを混合したアルコール混合燃料、バイオエタノールやエタノール100%燃料を用いても良い。
2 フィルタケース
3 フィルタエレメント(水分離機構)
4 フィルタエレメント(ダストフィルタ)
5 チャンバ
6 センターパイプ
7 フィルタ支持部材(流れ方向変更部材、流入方向制御手段)
11 ケース下部空間
12 ダスト堆積空間
18 バッフルプレート(流れ方向変更部材)
Claims (13)
- 燃料中のダスト(D)を捕捉するフィルタエレメント(4)と、このフィルタエレメント(4)を収容する有底筒状のケース(2)とを備えた燃料濾過装置(1)において、
前記燃料濾過装置(1)は、前記ケース(2)の底面付近に、ダスト(D)を保持するチャンバ(5)を備え、
前記チャンバ(5)は、前記フィルタエレメント(4)よりも燃料流方向の上流側で、且つ前記フィルタエレメント(4)よりも重力方向の下方に設けられているとともに、
前記チャンバ(5)は、前記ケース(2)の底面中央を周方向に取り囲むように、燃料以外の液体(W)を保持する筒状の液体保持空間(5、12)を有しており、
さらに、前記燃料濾過装置(1)は、外部から前記フィルタエレメント(4)を迂回して前記ケース(2)の底面中央に燃料を導き、前記ケース(2)の底面中央から重力方向の上方向へ向かって燃料を流出させるバイパス流路(103)を形成する流路形成部材(102)を備えたことを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項1に記載の燃料濾過装置(1)において、
前記燃料濾過装置(1)は、前記ケース(2)内における燃料の流れ方向を変更する流れ方向変更部材(7、18)を備えたことを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料濾過装置(1)において、
前記燃料濾過装置(1)は、前記チャンバ(5)に対する燃料の流入方向を制御する流入方向制御手段(3、7、8、9、23、24、25)を備えたことを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項3に記載の燃料濾過装置(1)において、
前記流入方向制御手段は、前記チャンバ(5)に対する燃料の流入方向を、前記ケース(2)の重力方向の上方向から下方向のみとする第1燃料経路(8)、
前記チャンバ(5)に対する燃料の流入方向を、前記ケース(2)の重力方向の上方向から下方向及びこの下方向以外の方向とする第2燃料経路(9)、
および前記チャンバ(5)に流入する燃料流量に基づいて、前記第1燃料経路(8)と前記第2燃料経路(9)とを切り替える経路切替手段(23、24、25)
を有していることを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の燃料濾過装置(1)において、
前記チャンバ(5)は、前記ケース(2)の底面上にダスト(D)を堆積または沈殿させる堆積空間(12)を有していることを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項5に記載の燃料濾過装置(1)において、
前記ケース(2)は、前記堆積空間(12)に沈降したダスト(D)の舞い上がりを抑制する構造物(31、32、41、42、54、55)を有し、
前記構造物(31、32、41、42、54、55)は、前記堆積空間(12)よりも重力方向の上方に設置されていることを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項6に記載の燃料濾過装置(1)において、
前記構造物は、前記ケース(2)の中心軸線の周囲を周方向に取り囲む複数の板状部材(31、32、41、42)であって、
前記複数の板状部材(31、32、41、42)は、前記ケース(2)の中心軸線を中心にした同心円状に配置されていることを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の燃料濾過装置(1)において、
前記ケース(2)は、燃料中に含まれるダスト(D)を沈降させて堆積させる凹部(52)、およびこの凹部(52)の開口周縁の周囲を取り囲む環状の段部(53)を有し、
前記凹部(52)は、前記ケース(2)の底面中央を凹ませることで設けられており、
前記段部(53)は、前記凹部(52)の開口周縁側ほど底面高さが低くなるように傾斜していることを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の燃料濾過装置(1)において、
前記ケース(2)は、その中心軸線方向に延びる周壁面を有し、
前記燃料濾過装置(1)は、前記チャンバ(5)よりも燃料流方向の上流側に、前記チャンバ(5)に流入する燃料の流れに前記ケース(2)の周壁面に沿うように旋回する旋回流を発生させる旋回流発生手段(71、72)を備えたことを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の燃料濾過装置(1)において、
前記燃料濾過装置(1)は、前記チャンバ(5)の重力方向の下方側に設けられて、前記チャンバ(5)に沈降したダスト(D)を前記チャンバ(5)に流入する燃料の流れから分離して貯留するキャッチタンク(81)と、
前記チャンバ(5)と前記キャッチタンク(81)とを連通する連通路(83)と、
この連通路(83)を開閉する開閉弁(85、86、87)と
を備えたことを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項10に記載の燃料濾過装置(1)において、
前記開閉弁(85、86、87)は、前記チャンバ(5)内の燃料圧力または前記チャンバ(5)に流入する燃料流量が所定値を超えた場合に、前記連通路(83)を開弁するように構成されていることを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の燃料濾過装置(1)において、
前記燃料濾過装置(1)は、前記ケース(2)内に流入する燃料中の水を分離する水分離機構(3、7)を備えたことを特徴とする燃料濾過装置。 - 請求項1ないし請求項12のうちのいずれか1つに記載の燃料濾過装置(1)において、
前記流路形成部材(102)は、前記ケース(2)の底面中央よりも重力方向の上方で、且つ燃料以外の液体(W)と燃料との界面よりも重力方向の下方で開口した燃料出口(105)を有していることを特徴とする燃料濾過装置。
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