[式中、
XおよびYは、XおよびYの少なくとも1がCHであるという条件で、独立にCHまたはNを表し、
R1は、基C(O)OR4(ここでR4はC1−4アルキルまたはC3−7シクロアルキルを表す)を表し、または
R1は、ハロゲン、C1−4アルキルおよびCNから選択される1または2の置換基により置換されていてもよい、フェニル、ピリジル、ピラジニルおよびピリミジニルから選択される基を表し、
R2は、C1−4アルキルを表し、
R3は、C1−4アルキルを表し、
R5およびR6は、独立にC1−4アルキル基を表し、または、
R5およびR6は、それらが結合するNと一緒に5または6員ヘテロシクリルを形成し、
R7は、存在しない、またはC1−4アルキルを表し、
mは、0、1または2を表し、
nは、1または2を表す]
に関する。
1つの実施形態では、本発明は、テトラヒドロキノリン環の2位および4位における置換基に関してcisの相対的な立体化学を有する式(I)の化合物を提供する。1つの実施形態では、式(I)の化合物またはその塩は(2S,4R)光学異性体である。
1つの実施形態では、XおよびYは両方ともCHを表す。さらなる実施形態では、XはCHを表し、YはNを表す。
1つの実施形態では、R1は、基C(O)OR4(ここでR4はイソプロピルを表す)を表す。
さらなる実施形態では、R1は、ハロゲン、C1−4アルキルおよびCNから選択される1または2の置換基により置換されていてもよいフェニルまたはピリジルを表す。さらに、さらなる実施形態では、R1は、4−クロロフェニルまたはR1は、5−シアノピリジン−2−イルを表す。
1つの実施形態では、R2は、メチルを表す。
1つの実施形態では、R3は、メチルを表す。
1つの実施形態では、mは0を表す。
1つの実施形態では、nは0を表す。さらなる実施形態では、nは1を表す。
1つの実施形態では、R5およびR6は、両方ともメチルを表す。
R7がC1−4アルキルを表す時は、4級アンモニウム部分を形成することがわかるであろう。1つの実施形態では、R7は、存在しない。
それぞれの可変基に関する実施形態を、各可変基について一般に別々に上に記載したが、本発明は、それらの塩を含めて上記の実施形態の全ての組み合わせを包含するものとする。
本発明に係る特定の化合物は、
2−(ジメチルアミノ)エチル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート;
2−((4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾイル)オキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム;
3−((4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾイル)オキシ)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウム;
3−(ジメチルアミノ)プロピル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート;
3−(ジメチルアミノ)プロピル 6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート;
2−(ジメチルアミノ)エチル 6−((2R,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート;
3−(ジメチルアミノ)プロピル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート;および
2−(ジメチルアミノ)エチル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート
またはそれらの塩である。
本明細書においては、特に明記しない限り、
・用語「ハロゲン」はフッ素、塩素または臭素から選択される基を記載する為に使用される。
・用語「C1−4アルキル」および「C1−6アルキル」は、それぞれ、1〜4または1〜6の炭素原子を含む線状又は分岐状のアルキル基を有する基またはそのような基の一部を記載する為に使用される。これらの基の好適な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。
・用語「C3−7シクロアルキル」は、少なくとも3、多くとも7の炭素原子を含む芳香族ではないカルボシクリル環を記載する為に使用される。C3−7シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを含む。
・用語「5または6員ヘテロシクリル」は、非芳香族性であり、O、NおよびSから選択される1、2または3のヘテロ原子を含む飽和環を示す。これらの基の例は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニルおよびピペラジニルを含む。
本発明が、遊離塩基としての、およびその塩としての、例えばその薬学上許容可能な塩としての式(I)の化合物を包含することは理解されるであろう。1つの実施形態では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩に関する。
式(I)の化合物の塩は医薬において使用される可能性が高いため、式(I)の化合物の塩は、望ましくは薬学上許容可能なものである。好適な薬学上許容可能な塩としては、酸付加塩または塩基付加塩を含み得る。本明細書において使用される用語「薬学上許容可能な塩」は、本発明の化合物の全ての薬学上許容可能な塩または水和物を意味し、レシピエントへの投与の際に(直接的にまたは間接的に)与えることができる。好適な塩に関する総説として、Bergeら、J.Pharm.Sci.,66:1−19,(1977)を参照されたい。典型的には、薬学上許容可能な塩は、所望の酸または塩基を適宜使用することにより、容易に調製され得る。得られる塩は、溶液から沈殿され、濾過によって集められてもよく、または溶媒の蒸発によって回収されてもよい。
薬学上許容可能な塩基付加塩は、好適な溶媒の中で行われてもよい、式(I)の化合物と、好適な無機または有機の塩基(例えばトリエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、コリン、アルギニン、リジンまたはヒスチジン)との反応で形成され得、この塩は通常、例えば結晶化および濾過によって単離される。薬学上許容可能な塩基塩としては、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムの塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムの塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンなどの第一級、第二級および第三級アミンの塩を含めた有機塩基との塩が挙げられる。
薬学上許容可能な酸付加塩は、有機溶媒などの好適な溶媒の中で行われてもよい、式(I)の化合物の、好適な無機または有機の酸(例えば、臭化水素酸、塩化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、コハク酸、マレイン酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸などのナフタレンスルホン酸、またはヘキサン酸)との反応で形成され得、この塩は通常、例えば結晶化および濾過によって単離される。式(I)の化合物の薬学上許容可能な酸付加塩は、例えば、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば2−ナフタレンスルホン酸塩)またはヘキサン酸塩を含み得、またはこれらであり得る。
他の薬学上許容可能でない塩、例えばギ酸塩、シュウ酸塩またはトリフルオロ酢酸塩は、例えば式(I)の化合物の単離において使用され得るため、本発明の範囲内に含まれる。
本発明は、その範囲内に、式(I)の化合物の塩のすべての可能な化学量論形態および非化学量論形態を含む。
多くの有機化合物が、その反応が行われるかまたは沈殿もしくは結晶化する際に使用される溶媒と複合体を形成し得ることは理解されるであろう。これらの複合体は「溶媒和物」として知られる。例えば、水との複合体は「水和物」として知られる。高沸点を有しおよび/または水素結合を形成することができる溶媒、例えば水、キシレン、N−メチルピロリジノン、メタノールおよびエタノールは、溶媒和物を形成するために使用され得る。溶媒和物の同定のための方法は、NMRおよび微量分析を含むが、これらに限定されない。式(I)の化合物の溶媒和物は本発明の範囲内にある。
本発明は、その範囲内に、式(I)の化合物の溶媒和物のすべての可能な化学量論形態および非化学量論形態を含む。
式(I)の化合物は、結晶性形態または非晶性形態であり得る。さらに、式(I)の化合物の結晶性形態のうちのいくつかは、多形として存在し得、この多形は本発明の範囲内に含まれる。式(I)の化合物の多形形態は、特に限定されないが、X線粉末回折(XRPD)パターン、赤外(IR)スペクトル、ラマンスペクトル、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)および固体状態核磁気共鳴(SSNMR)を含むいくつかの従来の分析技法を使用して特徴づけおよび区別され得る。
本明細書に記載される化合物はキラル原子を含有し、その結果、光学異性体、例えば鏡像異性体またはジアステレオ異性体が形成され得る。従って、本発明は、実質的に他の異性体を含まないもの(すなわち純粋である)として単離された個々の異性体としてであろうと、または混合物(すなわちラセミ化合物およびラセミ混合物)としてであろうと、式(I)の化合物のすべての異性体を包含する。実質的に他の異性体を含まないもの(すなわち純粋である)として単離された個々の異性体は、他の異性体が10%未満、特に約1%未満、例えば約0.1%未満存在するように単離され得る。
異性体の分離は、当業者に公知の従来の技法によって、例えば分別晶出、クロマトグラフィーまたはHPLCによって達成され得る。
特定の式(I)の化合物は、いくつかの互変異性体のうちの1つとして存在し得る。本発明は、個々の互変異性体としてであろうと、またはこれらの混合物としてであろうと、式(I)の化合物のすべての互変異性体を包含することは理解されるであろう。
特定の式(I)の化合物は、いくつかの互変異性体のうちの1つとして存在し得る。本発明は、個々の互変異性体としてであろうと、またはこれらの混合物としてであろうと、式(I)の化合物のすべての互変異性体を包含することは理解されるであろう。
式(I)の化合物およびその塩は、標準的な化学を含めた様々な方法によって製造され得る。特段の記載がない限り、これまでに定義された変更要素のいずれも、これまでに定義された意味を持ち続ける。例示的な一般的な合成方法が以下に示され、その後、具体的な式(I)の化合物またはその塩が、実施例で調製される。
本発明はさらに、式(I)の化合物またはその塩の製造方法を提供し、この方法は、以下の(a)および(b)から選択される工程を含み、
(a)は、式(II)の化合物
(式中、R
1、R
2、R
3、X、Yおよびmは、式(I)において定義した通りである)を、式(III)の化合物
(式中、R
5、R
6およびnは、式(I)において定義した通りである)
と反応することを含み、
(b)は、式(II)の化合物またはその塩を、式(IV)の化合物
(式中、R5、R6、R7およびnは、式(I)において定義した通りであり、Halはハロゲンを表す)と反応することを含む。
工程(a)
式(II)と式(III)の化合物の間の反応は、好適な活性化剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC))および好適なアシル移動触媒(例えば、4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはDMF)において実施され得る。
式(II)の化合物は、本明細書に記載されている方法、またはそれに類似の方法により製造することができる。式(III)の化合物は市販されている。
工程(b)
工程(b)について、好適なHal基はブロモである。式(II)と式(IV)の化合物の間の反応は、典型的には、好適な溶媒(例えば、DMF)において、好適な塩基(例えば炭酸カリウム)の存在下で実施される。
式(II)の化合物は、本明細書に記載されている方法、またはそれに類似の方法により製造することができる。式(IV)の化合物は市販されている。
上記の化合物の1以上の官能基を保護することが好都合であり得ることは、当業者によって理解されるであろう。保護基およびそれら保護基の除去のための手段の例は、T.W.Greene「Protective Groups in Organic Synthesis」(4th edition,J.Wiley and Sons,2006)に見出され得る。好適なアミン保護基は、アシル(例えば、アセチル、カルバメート(例えば、2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはt−ブトキシカルボニル))およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)を含み、これらの基は、適宜、加水分解(例えば、ジオキサン中の塩化水素酸またはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸などの酸を使用する)によって、または還元的に(例えばベンジルもしくはベンジルオキシカルボニル基の水素化分解または酢酸中で亜鉛を使用する2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル基の還元的除去)除去され得る。他の好適なアミン保護基は、塩基触媒による加水分解によって除去され得るトリフルオロアセチル(−COCF3)を含む。
本明細書により記載された合成方法のいずれにおいても、種々の基および部分が分子へと導入される合成工程の正確な順序は変わり得ることは理解されるであろう。このプロセスの1つの段階で導入される基または部分が、その後の変換および反応によって影響を受けないことを確実にすること、およびそれに応じて合成工程の順序を選択することは、当業者の技能の範囲内であろう。
式(II)の特定の中間体化合物は、新規であると考えられ、従って本発明のなおさらなる態様を形成する。
式(I)の化合物およびその塩はブロモドメイン阻害剤であり、従って、ブロモドメイン阻害剤が適応される疾患または病態の治療において潜在的な有用性を有すると考えられる。
従って、本発明は、治療に使用するための式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩を提供する。式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩は、ブロモドメイン阻害剤が適応される疾患または病態の治療において使用され得る。
従って、本発明は、ブロモドメイン阻害剤が適応されるすべての疾患または病態の治療に使用するための式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩を提供する。
ブロモドメイン阻害剤が適応される疾患または病態の治療のための薬剤の製造における式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩の使用もまた提供される。
治療有効量の、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩を投与する工程を含む、それを必要としている被験体におけるブロモドメイン阻害剤が適応される疾病または病態の治療方法もまた提供される。
好適には、それを必要としている被験体は哺乳動物、特にヒトである。
本明細書で使用する用語「有効量」は、例えば研究者または臨床医によって求められている組織、系、動物またはヒトの生物学的応答または医学的応答を引き出すであろう、薬物または医薬品の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」は、そのような量を投与されたことがない対応する被験体と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の改善された治療、治癒、予防、もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行の速度の低下を生じるいずれかの量を意味する。また、この用語は、その範囲内に、正常な生理学的機能を高めるために有効な量を包含する。
ブロモドメイン阻害剤は、全身性炎症または組織の炎症、感染または低酸素症に対する炎症反応、細胞の活性化および増殖、脂質代謝、線維症に関連する様々な疾患または病態の治療、ならびにウイルス感染症の予防および治療において有用であると考えられる。
ブロモドメイン阻害剤は、慢性関節リウマチ、変形性関節症、急性痛風、乾癬、全身性紅斑性狼瘡、多発性硬化症、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、喘息、慢性閉塞性気道疾患、間質性肺炎、心筋炎、心膜炎、筋炎、湿疹、皮膚炎(例えば、アトピー皮膚炎)、脱毛症、白斑、水疱性皮膚症、腎炎、血管炎、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、うつ病、シェーグレン症候群、唾液腺炎、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、アーヴァイン−ガス症候群(白内障後および手術後)、網膜色素変性、扁平部炎、バードショット網膜脈絡膜症、網膜前膜、嚢胞様黄斑浮腫、傍中心窩毛細血管拡張症、牽引性黄斑症、硝子体黄斑牽引症候群、網膜剥離、視神経網膜炎、突発性黄斑浮腫疾患、網膜炎、涙液減少症(乾性角結膜炎)、春季角結膜炎、萎縮性角結膜炎、前部ブドウ膜炎、全ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、ブドウ膜炎関連黄斑浮腫、強膜炎、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、加齢黄斑変性症、肝炎、膵炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、アジソン病、下垂体炎、甲状腺炎、I型糖尿病および移植された臓器の急性拒絶反応などの実に様々な慢性の自己免疫性のおよび/または炎症性の病態の治療において有用であり得る。
ブロモドメイン阻害剤は、急性痛風、巨細胞性動脈炎、ループス腎炎を含む腎炎、糸球体腎炎などの臓器障害を伴う血管炎、巨細胞性動脈炎を含む血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、ベーチェット病、川崎病、高安動脈炎、壊疽性膿皮症、臓器障害を伴う血管炎および移植された臓器の急性拒絶反応などの実に様々な急性の炎症性の病態の治療において有用であり得る。
ブロモドメイン阻害剤は、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物またはそれらの毒素による感染に対する炎症反応を伴う疾患または病態、例えば、敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショック、内毒血症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器不全症候群、毒素性ショック症候群、急性肺傷害、ARDS(成人呼吸促迫症候群)、急性腎不全、劇症肝炎、熱傷、急性膵炎、手術後症候群、サルコイドーシス、ヘルクスハイマー反応、脳炎、脊髄炎、髄膜炎、マラリア、ならびにインフルエンザ、帯状疱疹、単純ヘルペスおよびコロナウイルスなどのウイルス感染症と関連するSIRSの予防または治療において有用であり得る。
ブロモドメイン阻害剤は、心筋梗塞、脳血管虚血(発作)、急性冠症候群、腎臓再灌流傷害、臓器移植、冠動脈バイパス移植、心肺バイパス術、肺、腎臓、肝臓、胃腸内または肢末梢部の塞栓症などの虚血再灌流傷害と関連する病態の予防または治療において有用であり得る。
ブロモドメイン阻害剤は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症およびアルツハイマー病などのAPO−A1の調節を介する脂質代謝の障害の治療において有用であり得る。
ブロモドメイン阻害剤は、特発性肺線維症、腎臓の線維化、術後狭窄、ケロイド傷生成、強皮症(斑状強皮症を含む)および心臓繊維化などの繊維性の病態の治療において有用であり得る。
ブロモドメイン阻害剤は、ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルスおよびポックスウイルスならびに他のDNAウイルスなどのウイルス感染症の予防および治療において有用であり得る。
ブロモドメイン阻害剤は、血液癌(例えば、白血病、リンパ腫および多発性骨髄腫)、上皮癌(肺癌、乳癌および結腸癌を含む)、正中線悪性腫瘍(midline carcinoma)、間葉系腫瘍、肝腫瘍、腎腫瘍および神経腫瘍を含む癌の治療において有用であり得る。
ブロモドメイン阻害剤は、悪性でない黒色腫(紫外線角化症および基底細胞)などの真皮の病態、上皮内黒色腫、扁平上皮癌および皮膚T細胞リンパ腫の治療において有用であり得る。
1つの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤が適応される疾患または病態は、全身性炎症反応症候群に関連する疾患、例えば敗血症、熱傷、膵炎、重症外傷、出血および虚血から選択される。この実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、SIRS、ショック発症、多臓器不全症候群(これは、急性肺傷害、ARDS、急性の腎臓、肝臓、心臓および胃腸内の傷害の発症を含む)の発生率および死亡率を低下させるために、診断の時点で投与されるであろう。別の実施形態では、このブロモドメイン阻害剤は、高いリスクの敗血症、出血、広範囲の組織の損傷、SIRSまたはMODS(多臓器不全症候群)に関連する手術または他の処置に先だって投与されるであろう。特定の実施形態では、ブロモドメイン阻害剤が適応される疾患または病態は、敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショックまたは内毒血症である。別の実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、急性膵炎または慢性膵炎の治療に適応される。別の実施形態では、ブロモドメインは熱傷の治療に適応される。
1つの実施形態では、ブロモドメイン阻害剤が適応される疾患または病態は、単純ヘルペスの感染および再賦活、口唇ヘルペス、帯状疱疹(herpes zoster)の感染および再賦活、水痘、帯状疱疹(shingles)、ヒトパピローマウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、頸部新生物、アデノウイルス感染(急性呼吸器疾患を含む)、牛痘および天然痘などのポックスウイルス感染およびアフリカブタ熱ウイルスから選択される。1つの特定の実施形態では、ブロモドメイン阻害剤は、皮膚または子宮頸部上皮のヒトパピローマウイルス感染の治療に適応される。
用語「ブロモドメイン阻害剤が適応される疾患または病態」は、上記の病状のいずれかまたはすべてを包含することが意図されている。
1つの実施形態では、ブロモドメインを式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩と接触する工程を含む、ブロモドメインを阻害するための方法が提供される。
治療に使用するため、式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩はそのままの化学物質として投与され得ることが可能であるが、一方で、活性成分を医薬組成物として提供することが一般的である。
従って、さらなる態様では、本発明は、式(I)の化合物または薬学上許容可能な塩および、1以上の薬学上許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩は上記のとおりである。担体(1または複数)、希釈剤(1または複数)または賦形剤(1または複数)は、その組成物の他の成分と適合性でありかつ組成物のレシピエントにとって有害ではないという意味で許容できるものである必要がある。本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩を、1以上の薬学上許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と混合する工程を含む、医薬組成物の製造方法も提供される。この医薬組成物は、本明細書に記載される病態のいずれかの治療において使用され得る。
式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩は医薬組成物に使用することが意図されるため、それらは、各々、実質的に純粋な形態、例えば少なくとも60%純粋、より好適には少なくとも75%純粋、好ましくは少なくとも85%純粋、特に少なくとも98%純粋(重量基準に対する重量%)で与えられることが好ましいことはすぐに理解されるであろう。
医薬組成物は、単位用量あたり所定の量の活性成分を含む単位用量形態で提供され得る。好適な単位投薬組成物は、1日用量もしくは分割日量、またはその適切な一部分、の活性成分を含む組成物である。従ってこのような単位用量は、1日1回よりも多く投与され得る。好適な単位投薬組成物は、本明細書中ですでに記載したように、1日用量もしくは(1日1回よりも多い投与のための)分割日量、またはその適切な一部分、の活性成分を含む組成物である。
医薬組成物は、いずれかの適切な経路による、例えば経口(口腔内または舌下を含む)、経直腸、吸入、鼻腔内、局所(口腔内、舌下または経皮を含む)、眼(局所、眼内、結膜下、強膜上またはテノン嚢下を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)経路による投与のために適応し得る。このような組成物は、薬学の技術分野で公知のいずれかの方法によって、例えばこの活性成分を担体(1または複数)または賦形剤(1または複数)と合わせることによって調製され得る。
1つの実施形態では、この医薬組成物は、非経口投与、特に静脈内投与に適応している。
1つの実施形態では、この医薬組成物は経口投与に適応している。
1つの実施形態では、この医薬組成物は局所投与に適応している。
ブロモドメイン化合物の全身曝露を増加または減少ために閉塞及び皮膚浸透の改良が得られる好適な剤型は、限定されないが、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩(アルギン酸エステル)、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンの薬学上許容可能な形態を含む。
非経口投与に適応させた医薬組成物は、抗酸化剤、バッファー、静菌薬、および組成物を意図されたレシピエントの血液と等張性であるようにする溶質を含有し得る水性および非水性の滅菌注射液、ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液を含む。この組成物は、単位用量容器または複数用量容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアルに入れて提供され得、使用直前に、注入のために、滅菌した液体担体、例えば水の添加だけを必要とするフリーズドライの(凍結乾燥された)状態で保存され得る。すぐに使用できる注射液および懸濁液は、滅菌された粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
経口投与に適応させた医薬組成物は、カプセルもしくは錠剤、粉末もしくは顆粒、水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤、食用フォームもしくはホイップ、または水中油型エマルションもしくは油中水型エマルションなどの個別単位として提供され得る。
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与のために、活性薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などの、経口用の、無毒な薬学上許容可能な不活性な担体と組み合わされ得る。錠剤またはカプセルの中へと組み込むのに好適な粉末は、その化合物を(例えば微粉化によって)好適な微細サイズへと細かく砕き、例えば、デンプンまたはマンニトールなどの食用炭水化物などの、同様に調製した薬学上の担体と混合することにより調製され得る。着香剤、保存剤、分散剤および着色剤も存在し得る。
カプセルは、粉末混合物を上記のように調製し、形成されたゼラチンシースに充填することにより作製され得る。コロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体ポリエチレングリコールなどの滑剤および潤滑剤が、充填操作の前に、この粉末混合物に添加され得る。カプセル剤が服用されるときの薬剤の利用能を改善するために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または溶解補助剤も、加えられ得る。
さらに、所望される場合または必要な場合、好適な結合剤、滑剤、潤滑剤、甘味剤、香料、崩壊剤および着色剤も当該混合物の中へと組み込まれ得る。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβ−ラクトースなどの天然の糖、トウモロコシ甘味料、アラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成のガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを含む。これらの剤形の中で使用される潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに限定されない。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒にするかまたは小塊にし、潤滑剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤へと押し固めることにより製剤化される。粉末混合物は、その化合物、好適には細かく砕いた化合物を上記のような希釈剤またはベースと、そして必要に応じてカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩もしくはアルギン酸エステル、ゼラチン、もしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解遅延剤、第四級塩などの再吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリンもしくはリン酸二カルシウムなどの吸収剤と混合することにより調製される。この粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液、またはセルロース誘導体もしくは高分子材料の溶液などの結合剤を用いて湿らせ、ふるいに押し通すことにより顆粒化され得る。顆粒化に代わるものとして、粉末混合物は錠剤機に通され得、その結果物は不完全に形成された小塊であり、これが顆粒へと破壊される。この顆粒は、錠剤形成押型への付着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油の添加によって潤滑され得る。この潤滑された混合物は、その後、錠剤へと圧縮される。また、式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩は、自由流動性の不活性な担体と組み合わされて、顆粒化または小塊化の工程を経ることなく直接錠剤へと圧縮され得る。セラックの封止被膜、糖または高分子材料のコーティング、およびワックスの艶出しコーティングからなる透明または不透明な保護コーティングが設けられ得る。異なる単位投薬量を区別するために、色素がこれらのコーティングに添加され得る。
液剤、シロップおよびエリキシル剤などの経口用液体は、所与の量が所定の量の化合物を含むように、投薬単位形態で調製され得る。シロップは、化合物を好適に風味付けされた水性溶液に溶解させることにより調製され得るのに対し、エリキシル剤は、無毒なアルコール性のビヒクルの使用によって調製される。懸濁剤は、化合物を無毒なビヒクルに分散させることにより製剤化され得る。エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存剤、ペパーミント油などの香料添加物、または天然甘味料もしくはサッカリンもしくは他の人工甘味料なども、添加され得る。
適宜、経口投与のための投薬単位組成物はマイクロカプセル化され得る。この製剤は、例えば、微粒子物質をポリマー、ワックスなどでコーティングするかまたは微粒子物質をポリマー、ワックスなどの中に埋め込むことにより、放出を長期化または持続させるようにも調製され得る。
式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩は、小型単層小胞体(small unilamellar vesicle)、大型単層小胞体(large unilamellar vesicle)および多層小胞体(multilamellar vesicle)などのリポソーム送達システムの形態でも投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成され得る。
局所投与に適応させた医薬組成物は、軟膏剤、クリーム、懸濁剤、エマルション、ローション、粉末、液剤、ペースト、ゲル、スプレー、泡状物質、エアロゾルまたはオイルとして製剤化され得る。このような医薬組成物は、限定されないが、保存剤、薬剤浸透を助ける溶媒、共溶媒、皮膚軟化剤、噴霧剤、粘度調整剤(ゲル化剤)、界面活性剤および担体を含む従来の添加剤を含有し得る。一つの実施形態では、組成物の重量の0.01〜10%、または0.01〜1%の式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩を含む局所投与に適応させた医薬組成物が提供される。
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療のために、組成物は、好適には、局所用の溶剤、懸濁剤、エマルション、軟膏剤、クリーム、ゲル、スプレーまたは泡状物質として適用される。軟膏剤として製剤化されるとき、活性成分は、パラフィン系軟膏基剤または水混和性軟膏基剤のいずれかとともに用いられ得る。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤とともにクリームとして製剤化され得る。泡状物質として製剤化されるとき、活性な薬剤は、噴霧剤、界面活性剤、溶媒、共溶媒および粘度調整剤と共に製剤化され得る。
目への局所投与に適応させた医薬組成物は、活性成分が好適な担体、特に水性溶媒中に溶解または懸濁されている点眼薬を含む。目への投与のための組成物は、目に適合可能なpHおよびオスモル濃度(浸透圧)を有するであろう。1以上の目に適合可能なpH調整剤および/または緩衝剤を本発明の組成物中に含むことができ、例えば酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩化水素酸などの酸、例えば水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび乳酸ナトリウムなどの塩基、例えばクエン酸塩/ブドウ糖、炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝液を含む。このような酸、塩基および緩衝液は、組成物のpHを目に許容可能な範囲に維持するために必要な量を含むことができる。1以上の目に許容可能な塩は、組成物のオスモル濃度を目に許容可能な範囲にするために十分な量を組成物中に含めることができる。このような塩は、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムカチオンおよび塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、炭酸水素、硫酸、チオ硫酸または重亜硫酸アニオンを有する塩を含む。
眼科供給装置は、複数の決まった放出速度並びに持続投薬の動力学および浸透性で1以上の治療薬を制御放出するように設計され得る。制御した放出は、生物分解性/生体侵食性のポリマー(例えばポリ(エチレンビニル)アセテート(EVA)、超加水分解PVA)、ヒドリキシアルキルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳酸)、ポリ無水物、ポリマー分子量、ポリマー結晶度、コポリマー比率、加工処理条件、表面仕上げ、幾何学、賦形剤の添加およびポリマー被覆についての異なる選択肢および特性を組み込んだ高分子マトリックスの設計を通して得ることができ、これは、薬物の拡散、侵食、溶解および浸透を高める。
眼科供給のための医薬組成物はまた、その場でゲル化する水性組成物を含む。このような組成物は、目または涙液と接触してゲル化が促進するために効果的な濃度のゲル化剤を含む。好適なゲル化剤は、限定されないが、熱硬化性ポリマーを含む。本明細書で使用する用語「その場でゲル化する」は、目または涙液と接触してゲルを形成する低粘度の液体だけではなく、目への投与の際に実質上増加した粘度またはゲル剛性を示す、例えば半流動体およびチキソトロピー性のゲルなどのより粘性の高い液体も含む。例えば、Ludwig(2005)Adv.Drug Deliv.Rev.3;57:1595−639を参照されたい。この文献は、眼科薬物の供給において使用するポリマーの例の教示のために参照により本明細書に援用される。
鼻内投与または吸入投与のための剤形は、エアロゾル、液剤、懸濁剤、ゲルまたは乾燥粉末として製剤化されることが便利であり得る。
吸入投与に好適および/または吸入投与に適応させた組成物について、式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩は、例えば微粉化によって得られる粒子サイズを小さくした形態にあることが好ましい。サイズを小さくした(例えば、微粉化した)化合物または塩の好適な粒子サイズは、約0.5〜約10ミクロン(例えば、レーザー回折を使用して測定される)のD50値によって規定される。
例えば吸入投与のためのエアロゾル製剤は、薬学上許容可能な水性または非水性の溶媒の中の活性物質の溶液または微細懸濁液を含み得る。エアロゾル製剤は、噴霧装置もしくは吸入器と共に使用するためのカートリッジまたは詰め替え容器の形態をとり得る密閉容器中の滅菌された形態で単回用量または複数用量の量で提供され得る。あるいは、この密閉容器は、容器の内容物を使い尽くすと処分することが意図されている、計量弁(定量吸入器)が内蔵された単回投与の鼻吸入器またはエアロゾルディスペンサーなどの単一の分注デバイスであり得る。
剤形がエアロゾルディスペンサーを含む場合、その剤形は、好適には、圧縮空気、二酸化炭素またはヒドロフルオロカーボン(HFC)などの有機噴霧剤などの加圧下の好適な噴霧剤を含む。好適なHFC噴霧剤は、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンおよび1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含む。このエアロゾル剤形はポンプ噴霧器の形態も取り得る。加圧されたエアロゾルは、活性化合物の溶液または懸濁液を含有し得る。これは、懸濁液製剤の分散特性および均質性を改善するために、さらなる賦形剤、例えば共溶媒および/または界面活性剤の組み込みを必要とし得る。液剤製剤は、エタノールなどの共溶媒の添加も必要とし得る。
吸入投与に好適および/または吸入投与に適応させた医薬組成物について、医薬組成物は、乾燥粉末吸入用組成物であり得る。このような組成物は、ラクトース、グルコース、トレハロース、マンニトールまたはデンプンなどの粉末基剤と、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩(好適には、粒子サイズを小さくした形態、例えば微粉化した形態にある)および、必要に応じて性能調整剤(performance modifier)、例えばL−ロイシンもしくは別のアミノ酸および/またはステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸の金属塩を含み得る。好適には、この乾燥粉末吸入用組成物は、ラクトース、例えばラクトース一水和物および式(I)の化合物またはその塩の乾燥粉末混合物を含む。このような組成物は、例えば英国特許出願公開第2242134(A)号に記載されている、GlaxoSmithKlineによって販売されているDISKUS(登録商標)デバイスなどの好適なデバイスを使用することによって、患者に投与され得る。
式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩は、液体ディスペンサー、例えば、使用者が加えた力が液体ディスペンサーのポンプ機構に加えられた際に定量の液体製剤が分注されるときに通る分注用ノズルまたは分注用オリフィスを有する液体ディスペンサーからの送達のための液体製剤として製剤化され得る。このような液体ディスペンサーは、一般に、液体製剤の複数定量のタンクを具え、用量は連続的なポンプ操作によって分注することができる。分注用のノズルまたはオリフィスは、鼻腔の中への液体製剤のスプレー分注のために、使用者の鼻孔の中へと挿入するように構成され得る。上述のタイプの液体ディスペンサーは、国際公開第2005/044354(A1)号に記載、説明されている。
式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩の治療有効量は、例えば動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な病態、病態の重症度、製剤の性質、および投与経路を含むいくつかの要因に依存し、最終的には、この治療有効量は、主治医または主治獣医の判断によることになろう。医薬組成物では、経口投与または非経口投与のための各投薬量単位は、遊離塩基として算出して、好適には0.01〜3000mg、より好適には0.5〜1000mgの本発明の化合物を含む。鼻内投与または吸入投与のための各投薬量単位は、遊離塩基として算出して、好適には0.001〜50mg、より好適には0.01〜5mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩を含む。
薬学上許容可能な式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩は、遊離塩基として算出して、例えば、1日あたり0.01mg〜3000mgもしくは1日あたり0.5〜1000mgの式(I)の化合物もしくはその薬学上許容可能な塩の経口用量もしくは非経口用量、または1日あたり0.001〜50mgもしくは1日あたり0.01〜5mgの式(I)の化合物もしくはその薬学上許容可能な塩の鼻内用量もしくは吸入用量の(成人の患者についての)1日用量で投与され得る。この量は、1日あたり単回投与で、またはより通常は、合計の1日用量が同じであるように1日あたりある数(例えば、2、3、4、5または6)の分割用量で与えられ得る。その塩の有効量は、式(I)の化合物自体の有効量のある割合として決定され得る。
式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩は、単独でまたは他の治療薬と組み合わせて用いられ得る。従って、本発明に係る併用治療は、少なくとも1の式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩の投与、および少なくとも1の他の薬学的に活性な薬剤の使用を含む。好適には、本発明に係る併用治療は、少なくとも1の式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩、および少なくとも1の他の薬学的に活性な薬剤の投与を含む。式(I)の化合物(1または複数)およびその薬学上許容可能な塩、ならびに他の薬学的に活性な薬剤(1または複数)は、単一の医薬組成物として一緒に、または別々に投与され得、別々に投与されるとき、これは、同時にまたは任意の順序で連続的に行われ得る。式(I)の化合物(1または複数)およびその薬学上許容可能な塩、および他の薬学的に活性な薬剤(1または複数)の量ならびに相対的な投与のタイミングは、所望の複合的な治療効果を成し遂げるように選択されるであろう。従って、さらなる態様では、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩および少なくとも1の他の薬学的に活性な薬剤を含む組合せ医薬製品が提供される。
従って、1つの態様では、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩、および式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩を含む医薬組成物は、例えば抗生物質、抗ウイルス薬、グルココルチコステロイド、ムスカリンアンタゴニスト、β−2アゴニストおよびビタミンD3類似体から選択される1以上の他の治療薬と組み合わせて使用され得、またはこのような1以上の他の治療薬を含み得る。さらなる態様では、本発明に係る式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩は、癌の治療に好適なさらなる治療薬と組み合わせて使用され得る。
吸入経路、静脈内経路、経口経路または鼻腔内経路によって通常投与される他の治療薬と組み合わせて式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩が投与されるとき、得られる医薬組成物は同じ経路によって投与され得ることは理解されるであろう。あるいは、その組成物の個々の構成成分は、異なる経路によって投与され得る。
本発明の1つの実施形態は、1または2の他の治療薬を含む組み合わせを包含する。
適宜、他の治療成分の活性および/または安定性および/または例えば溶解性などの物理的特性を最適化するために、その治療成分(1または複数)は、例えばアルカリ金属塩もしくはアミン塩として、または酸付加塩としての塩の形態で、またはプロドラッグ、または例えば低級アルキルエステルなどのエステルとして、または例えば水和物などの溶媒和物として使用され得ることは、当業者には明らかであろう。適宜、この治療成分は光学的に純粋な形態で使用され得ることも明らかであろう。
上記の組み合わせは、医薬組成物の形態で使用のために提供されることが便利であり得、従って、薬学上許容可能な希釈剤または担体と一緒に、上で定義された組み合わせを含む医薬組成物は本発明のさらなる態様を表す。
式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩は、以下に記載される方法によって、または類似の方法によって調製され得る。従って、以下の中間体および実施例は、式(I)の化合物およびその薬学上許容可能な塩の調製を例証する働きをするが、決して、本発明の範囲を限定すると考えられるべきではない。
すべての温度は℃で表す。
以下の化合物の名前は、化合物命名プログラム「ACD Name Pro 6.02」または Chem Draw Ultra 12.0を使用して得た。
略語
AcOHは、酢酸を示し、
BINAPは、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチルを示し、
BOCは、tert−ブトキシカルボニルを示し、
CVは、カラム容量を示し、
DCMは、ジクロロメタンを示し、
1,2−DCEは、1,2−ジクロロエタンを示し、
DCCは、ジシクロヘキシルカルボジイミドを示し、
DIPEAは、ジイソプロピルエチルアミンを示し、
DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンを示し、
DMSOは、ジメチルスルホキシドを示し、
DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドを示し、
エーテルは、ジエチルエーテルを示し、
Et2Oは、ジエチルエーテルを示し、
EtOAcは、酢酸エチルを示し、
FMOCは、9−フルオレニルメトキシカルボニルを示し、
HATUは、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを示し、
HPLCは、高速液体クロマトグラフィーを示し、
IPAは、プロパン−2−オールを示し、
i−Pr2Oは、ジ−イソプロピルエーテルを示し、
LiAlH4は、水素化アルミニウムリチウムを示し、
MDAPは、質量基準自動分取(Mass directed autoprep)、分取質量基準HPLCを示し、
MeCNは、アセトニトリルを示し、
MeOHは、メタノールを示し、
MgSO4は、硫酸マグネシウムを示し、
Mpは、融点を示し、
r.t.は、室温を示し、
Rtは、保持時間を示し、
Na2SO4は、硫酸ナトリウムを示し、
TMEDAは、テトラメチルエチレンジアミンを示し、
TFAは、トリフルオロ酢酸を示し、
THFは、テトラヒドロフランを示し、
TLCは、薄層クロマトグラフィーを示す。
LC/MS方法論(特定の中間体および基準化合物に使用)
本明細書において参照されるLC−MS法A〜Fの実験詳細は以下の通りである。
LC/MS(方法A)は、アンモニア溶液でpH10に調整した10mM炭酸水素アンモニウム水溶液(溶媒A)およびアセトニトリル(溶媒B)を用いて、40℃で、1mL/分の流速で、以下の溶出グラジエント、0〜1.5分 1−97%B、1.5〜1.9分 97%B、1.9〜2.0分 100%Bで溶出する、Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)で実施した。UV検出は210nm〜350nmの波長から総和したシグナルであった。質量スペクトルは、Alternate−scan正および負のエレクトロスプレーを使用してWaters ZQ質量分析計で記録した。イオン化データは整数に四捨五入した。
LC/MS(方法B)は、0.1%v/vギ酸水溶液(溶媒A)および0.1%v/vギ酸のアセトニトリル溶液(溶媒B)を用いて、40℃で、1mL/分の流速で、以下の溶出グラジエント、0〜1.5分 3−100%B、1.5〜1.9分 100%B、1.9〜2.0分 3%Bで溶出する、Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)で実施した。UV検出は210nm〜350nmの波長から総和したシグナルであった。質量スペクトルは、Alternate−scan正および負のエレクトロスプレーを使用してWaters ZQ質量分析計で記録した。イオン化データは整数に四捨五入した。
LC/MS(方法C)は、0.1%v/vトリフルオロ酢酸水溶液(溶媒A)および0.1%v/vトリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液(溶媒B)を用いて、40℃で、1mL/分の流速で、以下の溶出グラジエント、0〜1.5分 3−100%B、1.5〜1.9分 100%B、1.9〜2.0分 3%Bで溶出する、Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)で実施した。UV検出は210nm〜350nmの波長から総和したシグナルであった。質量スペクトルは、正エレクトロスプレーを使用してWaters ZQ質量分析計で記録した。イオン化データは整数に四捨五入した。
LC/MS(方法D)は、0.1% HCO2Hおよび0.01M酢酸アンモニウム水溶液(溶媒A)ならびに95%アセトニトリルおよび0.05%HCO2H水溶液(溶媒B)用いて、3mL/分の流速で、以下の溶出グラジエント、0〜0.7分 0%B、0.7〜4.2分 0→100%B、4.2〜5.3分 100%B、5.3〜5.5分 100→0%Bをで溶出する、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3μm、3.3cm×内径4.6mm)で実施した。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレー陽イオン化[([M+H]+および[M+NH4]+分子イオンを得るためのES+ve]またはエレクトロスプレー陰イオン化[([M−H]−分子イオンを得るためのES−ve]モードを使用してFisons VG Platform質量分析計で記録した。この装置からの分析データは以下のフォーマット:[M+H]+または[M−H]−で与えられる。
LC/MS(方法E)は、0.01M酢酸アンモニウム水溶液(溶媒A)および100%アセトニトリル(溶媒B)を用いて、5ml/分の流速で、以下の溶出グラジエント、0〜4分 0−100%B、4〜5分 100%Bで溶出する、Chromolith Performance RP 18カラム(100×内径4.6mm)で実施した。質量スペクトル(MS)は、大気圧化学陽イオン化[MH+分子イオンを得るためのAP+ve]または大気圧化学陰イオン化[(M−H)−分子イオンを得るためのAP−ve]モードを使用してmicromass Platform−LC質量分析装置で記録した。この装置からの分析データは以下のフォーマット:[M+H]+または[M−H]−で与えられる。
LC/MS(方法F)は、0.1%v/vトリフルオロ酢酸水溶液(溶媒A)および0.1%v/vトリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液(溶媒B)を用いて、30℃で、3ml/分の流速で、以下の溶出グラジエント、0〜0.1分 3%B、0.1〜4.2分 3−100%B、4.2〜4.8分 100%B、4.8〜4.9分 100−3%B、4.9〜5.0分 3%Bで溶出する、Sunfire C18カラム(30mm×内径4.6mm、充填直径3.5μm)で実施した。UV検出は210nm〜350nmの波長から平均化したシグナルであり、質量スペクトルは、陽イオンエレクトロスプレーイオン化を使用して質量分析計で記録した。イオン化データは整数に四捨五入した。
LC/MS(方法G)は、0.1%v/vギ酸水溶液(溶媒A)および0.1%v/vギ酸のアセトニトリル溶液(溶媒B)を用いて、40℃で、1ml/分の流速で、以下の溶出グラジエント、0〜1.5分 1−97%B、1.5〜1.9分 97%B、1.9〜2.0分 97−100%Bで溶出する、Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)で実施した。UV検出は210nm〜350nmの波長から総和したシグナルであった。質量スペクトルは、Alternate−scan正および負のエレクトロスプレーを使用してWaters ZQ質量分析計で記録した。イオン化データは整数に四捨五入した。
LC/HRMS:分析用HPLCは、0.01M酢酸アンモニウム水溶液(溶媒A)および100%アセトニトリル(溶媒B)を用いて、1.3mL/分の流速で、以下の溶出グラジエント、0〜0.5分 5%B、0.5〜3.75分 5→100%B、3.75〜4.5 100%B、4.5〜5 100→5%B、5〜5.5 5%Bで溶出する、Uptisphere−hscカラム(3μm 33×内径3mm)で実施した。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレー陽イオン化[MH+分子イオンを得るためのES+ve]またはエレクトロスプレー陰イオン化[(M−H)−分子イオンを得るためのES−ve]モードを使用して、micromass LCT質量分析計で記録した。
TLC(薄層クロマトグラフィー)は、シリカゲル60F254でコーティングしたMerckによって販売されているTLCプレートの使用を指す。
「質量基準自動分取(mass directed auto-prep)」/「分取用質量基準HPLC(preparative mass directed HPLC)」は例えば、Waters 600 Gradient pump、Waters 2767 inject / collector、Waters Reagent manager、Gilson Aspec − waste collector、Gilson 115 post−fraction UV detectorおよびComputer Systemを含むWaters FractionLynx systemで実行された。使用したカラムは典型的に、内径20mm×長さ100mmの寸法を有するSupelco LCABZ++カラムである。固定相粒子サイズは5μmである。流速は、適切な溶出グラジエントを使用する0.1%ギ酸またはトリフルオロ酢酸のいずれかの水溶液(溶媒A)および0.1%ギ酸またはトリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液(溶媒B)で、20mL/分を使用した。質量スペクトルは、エレクトロスプレー正および負モード、Alternate scanを使用するMicromass ZQ質量分析装置で記録した。使用したソフトウエアはMassLynx4.0または等価な代わりのシステムであった。
LCMS方法論
ギ酸法(ギ酸修飾子)
LC条件
UPLC分析は、40℃で、Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)で行った。
用いた溶媒は以下の通りであった。
A=0.1% v/v ギ酸水溶液
B=0.1% v/v ギ酸アセトニトリル溶液
用いたグラジエントは以下の通りである。
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの総和シグナルであった。
MS条件
MS : Waters ZQ
イオン化モード : Alternate−scan正および負のエレクトロスプレー
スキャン範囲 : 100〜1000 AMU
スキャン時間 : 0.27秒
インタースキャンディレイ : 0.10秒。
HpH法(炭酸水素アンモニウム修飾子)
LC条件
UPLC分析は、40℃で、Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)で行った。
用いた溶媒は以下の通りであった。
A=アンモニア溶液を用いてpH10に調整した10mM炭酸水素アンモニウム水溶液
B=アセトニトリル
用いたグラジエントは以下の通りである。
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの総和シグナルであった。
MS条件
MS : Waters ZQ
イオン化モード : Alternate−scan正および負のエレクトロスプレー
スキャン範囲 : 100〜1000 AMU
スキャン時間 : 0.27秒
インタースキャンディレイ : 0.10秒。
MDAP方法論
ギ酸法(ギ酸修飾子)
LC条件
HPLC分析は、周囲温度で、Sunfire C18カラム(100mm×内径19mm、充填直径5μm)またはSunfire C18カラム(150mm×内径30mm、充填直径5μm)のいずれかで行った。
用いた溶媒は以下の通りであった。
A=0.1% v/v ギ酸水溶液
B=0.1% v/v ギ酸アセトニトリル溶液
20ml/分(100mm×内径19mm、充填直径5μm)または40ml/分(150mm×内径30mm、充填直径5μm)の流速で、15または25分(延長したラン)のいずれかにわたるグラジエントとして実行した。
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの総和シグナルであった。
MS条件
MS : Waters ZQ
イオン化モード : Alternate−scan正および負のエレクトロスプレー
スキャン範囲 : 100〜1000 AMU
スキャン時間 : 0.50秒
インタースキャンディレイ : 0.20秒。
HpH法(炭酸水素アンモニウム修飾子)
LC条件
HPLC分析は、周囲温度で、Xbridge C18カラム(100mm×内径19mm、充填直径5μm)またはXbridge C18カラム(100mm×内径30mm、充填直径5μm)のいずれかで行った。
用いた溶媒は以下の通りであった。
A=アンモニア溶液を用いてpH10に調整した10mM炭酸水素アンモニウム水溶液
B=アセトニトリル
20ml/分(100mm×内径19mm、充填直径5μm)または40ml/分(100mm×内径30mm、充填直径5μm)の流速で、15または25分(延長したラン)のいずれかにわたるグラジエントとして実行した。
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの総和シグナルであった。
MS条件
MS : Waters ZQ
イオン化モード : Alternate−scan正および負のエレクトロスプレー
スキャン範囲 : 100〜1000 AMU
スキャン時間 : 0.50秒
インタースキャンディレイ : 0.20秒。
中間体1
1−((2S,4R)−4−アミノ−6−ブロモ−2−メチル−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)エタノン
DCM(480mL)中の塩化アルミニウム(41.2g、309mmol)の懸濁液を、0℃、窒素下で、DCM(80mL)中のイソプロピル((2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)カルバメート(30g、81mmol)の溶液でカニューレにより処理し、得られた混合物をこの温度で、30分間撹拌した。その後、反応混合物を、トリエチルアミン(136mL、975mmol)とメタノール(48mL)の混合物でカニューレによりゆっくりと処理した。得られた形成ケーキを酢酸エチル(800mL)中で撹拌し、濾過により分離し、その後、DCM(800mL)と飽和NaHCO3水溶液(800mL)に分配した。酒石酸カリウムナトリウム(300g)を加え、得られた混合物を2時間、勢いよく撹拌した。層を分離し、DCM層を焼結漏斗に通して濾過した。ろ液を乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮し、第1のバッチの1−((2S,4R)−4−アミノ−6−ブロモ−2−メチル−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)エタノン(19.6g、69.2mmol、収率85%)を黄色の泡状物として得た。水相を、さらにDCM(800mL)で処理し、二相の混合物を一晩撹拌した。その後、層を分離し、有機層を乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮して、第2のバッチの1−((2S,4R)−4−アミノ−6−ブロモ−2−メチル−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)エタノン(3.4g、12.01mmol、収率14.78%)を得た。LCMS(HpH、2分)、Rt=0.77分、MH+=283(1Br)。
中間体2
6−(((2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル
1−((2S,4R)−4−アミノ−6−ブロモ−2−メチル−3,4−ジヒドロキノリン−1(2H)−イル)エタノン(調製については、中間体1を参照)(2.28g、8.05mmol)および6−クロロニコチノニトリル(2.231g、16.10mmol)の混合物に、NMP(20mL)を加え、混合物をDIPEA(4.22mL、24.16mmol)で処理した。混合物を2つのフラスコに分配し、それぞれのフラスコを窒素でフラッシュし、密封し、マイクロ波照射下、200℃で2時間撹拌した。反応混合物を合わせて、水とEtOAcに分配した。水層をEtOAc(×4)で抽出し、合わせた有機層を、水(×3)、その後、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空下で濃縮した。茶色の固体残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン中EtOAcグラジエント)により精製し、6−(((2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル(1.940g、5.04mmol、収率62.5%)を淡黄色の泡状物として得た。LCMS(HpH、2分)、Rt=1.02分、MH+=386(1Br)。
中間体3
メチル4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート
6−(((2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル(調製については、中間体2を参照)(1000mg、2.60mmol)、(4−(メトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸(561mg、3.11mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(300mg、0.260mmol)および炭酸カリウム(1076mg、7.79mmol)を装填したフラスコに、DME(20mL)および水(4.0mL)を加えた。得られた混合物を100℃、窒素下で1時間撹拌し、その後、室温へと冷却し、真空下で濃縮した。残渣をEtOAcと水に分配し、層を分離した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮し、残渣をクロマトグラフィー(10gカラム、MeOH/DCMグラジエント)により精製し、メチル4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(1002mg、2.275mmol、収率88%)をオレンジ色の泡状物として得た。LCMS(HpH、2分)、Rt=1.09分、MH+=441。
中間体4
4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)安息香酸
室温において、MeOH(15mL)中のメチル4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(調製については、中間体3を参照)(1.0g、2.270mmol)の溶液を水酸化ナトリウム水溶液(2N、2.27mL、4.54mmol)で処理し、得られた混合物をこの温度で24時間撹拌した。メタノールの大半を真空下で蒸発させ、水性残渣を酢酸(0.39mL、6.81mmol)で処理し、得られた沈殿を濾過により分離し、真空下40℃で乾燥することで、4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)安息香酸(820mg、1.923mmol、収率85%)を黄色の固体として得た。LCMS(HpH、2分)、Rt=0.64分、MH+=427。
中間体5
6−(((2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル
6−(((2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル(調製については、中間体2を参照)(847mg、2.199mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1228mg、4.84mmol)、PdCl2(dppf)(161mg、0.220mmol)および酢酸カリウム(324mg、3.30mmol)を装填したフラスコに、DMSO(7mL)を加え、混合物を窒素下で脱気し、窒素下で1時間、80℃で撹拌した。ビス(ピナコラト)ジボロン(1g)、PdCl2(dppf)(100mg)および酢酸カリウム(150mg)の追加部分を加え、混合物を45分間撹拌した。ビス(ピナコラト)ジボロン(1g)、PdCl2(dppf)(100mg)および酢酸カリウム(150mg)の追加部分を加え、混合物を45分間撹拌した。反応混合物を室温へと冷却し、EtOAcと水で処理した。二相混合物をCeliteTM(10g)のパッドを通して濾過し、層を分離した。水層をEtOAc(×2)で抽出し、合わせた有機層を、水(×4)、その後、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(50gカラム、EtOAc/ヘキサングラジエント)により精製し、6−(((2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル(800mg、1.850mmol、収率84%)を赤色のガム状物として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=1.08分、MH+=433。
中間体6
メチル6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート
6−(((2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル(調製については、中間体5を参照)(800mg、1.850mmol)、メチル6−ブロモニコチネート(440mg、2.036mmol)、炭酸カリウム(767mg、5.55mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(214mg、0.185mmol)を装填したフラスコに、トルエン(8mL)およびエタノール(8mL)を加えた。得られた混合物を90℃、窒素下で3時間撹拌し、その時点で、炭酸カリウム(384mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(107mg)およびメチル6−ブロモニコチネート(220mg)の部分を加え、反応混合物の撹拌を5時間続けた。その後、混合物を室温へと冷却し、真空下で濃縮した。残渣をEtOAcと水に分配した。相を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(25gカラム、EtOAc/ヘキサングラジエント)により精製し、メチル6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート(600mg、1.317mmol、収率71.2%)を白色の泡状物として得た。LCMS(HpH、2分)、Rt=1.07分、MH+=456。
中間体7
6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチン酸
エタノール(10mL)中のメチル6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート(調製については、中間体6を参照)(580mg、1.273mmol)の溶液を水酸化リチウム水溶液(1N、2.55mL、2.55mmol)で処理し、得られた混合物を2時間撹拌した。エタノールの大半を真空下で蒸発させ、残渣を水(約5mL)で希釈した。混濁した混合物を酢酸(0.146mL、2.55mmol)で処理し、形成した沈殿物を濾過により分離し、Et2Oで洗浄し、60℃で16時間乾燥させて、6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチン酸(410mg、0.959mmol、収率75%)を淡黄色の固体として得て、さらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS(HpH、2分)、Rt=0.63分、MH+=428。
中間体8
エチル2−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)アセテート
トルエン(10mL)およびエタノール(10.0mL)中の6−(((2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル(調製については、中間体5を参照)(1.67g、3.86mmol)、エチル2−(4−ブロモフェニル)アセテート(1.127g、4.64mmol)および炭酸カリウム(1.602g、11.59mmol)の溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.446g、0.386mmol)を窒素雰囲気下で加えた。反応混合物を100℃で1時間加熱し、その後、EtOAcと水に分配した。層を分離し、水相をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をEtOAc/シクロヘキサングラジエント(10〜80%)で溶出するシリカゲル(25g)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせて、真空下で濃縮して、エチル2−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)アセテート(752mg、42%)を粘着性の無色の油として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=1.10分、MH+=469。
中間体9
2−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)酢酸リチウム塩
メタノール(5mL)中のエチル2−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)アセテート(調製については、中間体8を参照)(300mg、0.640mmol)の溶液に、水酸化リチウム溶液(0.768mL、0.768mmol)を加えた。得られた混合物を40℃で2時間撹拌し、その後、真空下で濃縮し、2−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)酢酸の粗製カルボン酸リチウム塩(286mg、100%)を白色固体として得て、さらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=1.10分、MH+=433。
中間体10
3−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)プロパン酸
トルエン(6mL)およびエタノール(6mL)中の6−(((2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)アミノ)ニコチノニトリル(調製については、中間体5を参照)(382mg、0.884mmol)および3−(4−ブロモフェニル)プロパン酸(243mg、1.060mmol)の溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(102mg、0.088mmol)および炭酸カリウム(366mg、2.65mmol)を連続して加えた。得られた混合物を80℃、2時間撹拌し、その後、水とEtOAcに分配した。層を分離し、水相をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空下で濃縮した。粗製残渣をシクロヘキサン中のEtOAc(10〜70%)で溶出するシリカゲル(25g)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせて、減圧下で濃縮して、3−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)プロパン酸(209mg、52%)を白色の固体として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.91分、MH+=455。
中間体11
1−メチルエチル(2E)−2−ブテノイルカルバメート
イソプロピルカルバメート(30g、291mmol、TCIから市販)を3LのLara容器に装填し、乾燥テトラヒドロフラン(THF)(150ml)を加えた。(2E)−2−塩化ブテノイル(31.2ml、326mmol、Aldrichから市販)を窒素下で加え、ジャケットを−30℃まで冷却した。溶液の温度が−17℃に達した時に、リチウムtert−ブトキシド(1M、655mL、655mmol)を2時間にわたりぜん動ポンプによって加え、反応物を−10℃から−18℃の温度に維持した。添加が完了してから、混合物を30分間撹拌し、0℃にした。ジエチルエーテル(450ml)および塩酸(1M、375mL)を加え、混合物を勢いよく撹拌しながら20℃にした。撹拌を停止し、層を分離させ、水層を流した。ブライン(375mLl)を加え、混合物を勢いよく撹拌した。撹拌を停止し、層を分離し、水層を流出させた。有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、茶色の油(60g)を得た。これをシリカカラム(40+M Biotage)に適用し、DCM/酢酸エチル(1:1〜0:1、10CV)で溶出した。生成物を含む画分を乾燥するまで蒸発させ、Redisep Iscoシリカカラム(1500g)上に載せ、シクロヘキサン中の酢酸エチルグラジエント(0〜40%)で溶出した。透明な、生成物を含む画分を蒸発させて、オフホワイト色の固体(15.41g)を得た。LCMS(方法C)、Rt=0.68、MH+=172。
中間体12
1−メチルエチル{(3S)−3−[(4−ブロモフェニル)アミノ]ブタノイル}カルバメート
1−メチルエチル(2E)−2−ブテノイルカルバメート(調製については、中間体11を参照)(9.38g、54.8mmol)をトルエン(281mL)中で、窒素下で撹拌し、(R−BINAP)ジトリフレートビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(中間体24、3.35g、3.01mmol)を加えた。触媒は粘着性のボールを形成し、溶液は不透明な黄色の混合物に変わり、これを20分間撹拌した。4−ブロモアニリン(14.14g、82mmol)を加ると、溶液は透明の淡茶色に変わり、粘着性の触媒がさらに溶解した。混合物を16時間撹拌した。同様に、第2のバッチの1−メチルエチル(2E)−2−ブテノイルカルバメート(中間体11、8.51g、49.7mmol)を、トルエン(255mL)中で、窒素下で撹拌し、(R−BINAP)ジトリフレートビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(3.04g、2.73mmol)を加えた。触媒は粘着性のボールを形成し、溶液は不透明な黄色の混合物に変わり、これを20分間撹拌した。4−ブロモアニリン(12.83g、74.6mmol)を加えたところ、溶液は透明の淡茶色に変わり、粘着性の触媒がさらに溶解した。混合物を16時間撹拌した。
2つの反応混合物を合わせて、1.5kgのIscoシリカRedisepカラムに載せた。カラムをDCM:MeOH(0%→0.5%、19CV)で溶出した。透明の、生成物を含む画分を蒸発させて、淡茶色の油を得た。混合物を、真空オーブン中で、一晩40℃で、乾燥させて、白色の固体(24.2g、全体で67%)を得た。LCMS(方法C)、Rt=0.91、MH+=343.ee=92%。
中間体13
1−メチルエチル[(2S,4R)−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート
1−メチルエチル{(3S)−3−[(4−ブロモフェニル)アミノ]ブタノイル}カルバメート(調製については、中間体12を参照)(17.9g、52.2mmol)をエタノール(150mL)中に取り、CO2/アセトン槽中で−10℃(内部温度)より低い温度に冷却した。NaBH4(1.381g、36.5mmol)を加え、その後、−5℃より低い温度を維持しながら、水中(25mL)の塩化マグネシウム六水和物(11.35g、55.8mmol)を加えた。混合物を<0℃で1時間撹拌し、その後、室温まで加温し、1時間、撹拌した。得られた濃厚な懸濁液を、クエン酸(25.05g、130mmol)、HCl(水中1M、205mL、205mmol)およびDCM(205mL)の混合物に注いだ。二相の混合物を室温で1時間撹拌した。層を分離し、有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、生成物を淡茶色の固体(14.1g)として得た。LCMS(方法B)、Rt=1.13、MH+=327。
中間体14
1−メチルエチル[(2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート
1−メチルエチル[(2S,4R)−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート(調製については、中間体13を参照)(14.1g、43.1mmol)を、窒素下で、室温にてDCM(400mL)中に取った。ピリジン(10.46mL、129mmol)、その後、塩化アセチル(4.60mL、64.6mmol)を加え、反応物を室温で16時間撹拌し、その後、EtOAc(2000mL)と飽和NaHCO3水溶液(800mL)に分配した。層を分離し、有機相を、水、その後、ブライン(各1500mL)で洗浄し、その後、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮し、紫色の固体を得た。この粗製生成物を、最小限のDCM中に取り、330gのCompanion XLカラムに適用し、シクロヘキサン中の12〜63%の酢酸エチルのグラジエントで溶出し、オフホワイト色の固体(12.37g)として生成物を得た。LCMS(方法B)、Rt=1.03、MH+=369。[アルファ]D=+281.1025°(T=20.7℃、10mmセル、c=0.508g/100ml、エタノール)。
中間体15
エチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−4−({[(1−メチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート
1−メチルエチル[(2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート(調製については、中間体14を参照)(39.0g、106mmol)、{4−[(エチルオキシ)カルボニル]フェニル}ボロン酸(22.5g、116mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.83g、1.58mmol)を、DME(430mL)中で混合し、得られた混合物をNa2CO3水溶液(2N、210mL、420mmol)で処理した。混合物を、家庭用掃除機下で、窒素で数度クエンチして脱気し、その後、105℃にて窒素下で約6時間撹拌し、その後、室温へと冷却させた。混合物をEtOAcと水とに分配し、層を分離した。水相をEtOAcで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄した。その後、有機相を、70gのシリカカートリッジを通して濾過し、EtOAcでカートリッジを洗浄した。合わせた濾液および洗浄液を真空下で濃縮した。残渣を、Et2Oで摩砕し、その後、濾過した。得られた固体を空気乾燥し、エチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−4−({[(1−メチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート(35.2g、80.2mmol、76%)を灰色の固体として得た。濾液を真空下で濃縮し、得られた残渣をEt2Oで摩砕した(約30mL)。形成した固体を濾過により分離し、空気乾燥して、エチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−4−({[(1−メチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート(5.96g、13.5mmol、13%)を灰色の固体として得た。LCMS(ギ酸、2分)、保持時間1.16分、MH+=439。
中間体16
エチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート
エチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−4−({[(1−メチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート(調製については、中間体15を参照)(8.90g、20.30mmol)を、氷/水槽で冷却したDCM中(160mL)中の塩化アルミニウム(10.3g、77mmol)の懸濁液に加えた。添加後、温度が0℃から約6℃に上昇した。得られた混合物を、約0℃で20分間攪拌し、その後、〜30秒にわたり、メタノール(18mL)およびトリエチルアミン(34mL、245mmol)の溶液で処理した。得られた混合物を、0℃で〜30分間撹拌し、その後、EtOAcと飽和NaHCO3水溶液に分配した。
同じ反応を、エチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−4−({[(1−メチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート(調製については、中間体15を参照)(0.89g、2.030mmol)、塩化アルミニウム(1.03g、7.72mmol)、トリエチルアミン(3.4mL、24.53mmol)、DCM(16mL)およびMeOH(1.3mL)を用いて並行して行った。双方の反応の生成物をこの段階で合わせ、得られた混合物を、室温で約10分間、撹拌した(総体積:約1L)。混合物をCeliteTMを通して濾過し、不溶性の残渣を、EtOAcおよび飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、層を分離した。水相をEtOAcで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(疎水性フリット)、真空下で濃縮し、エチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート(6.6g、84%−さらなる並行の実験が可能)をクリーム色の固体として得た。LCMS(ギ酸、2分)、保持時間0.73分、[M−NH2]+=336。
中間体17
エチル4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}ベンゾエート
エチル4−[(2S,4R)−1−アセチル−4−アミノ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]ベンゾエート(調製については、中間体16を参照)(6.6g、18.73mmol)、1−ブロモ−4−クロロベンゼン(3.94g、20.60mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(690mg、1.2mmol)および[2’−(ジシクロヘキシルホスファニル)−2−ビフェニリル]ジメチルアミン(Dave−phos)(590mg、1.499mmol))を、トルエン(120mL)中に混合し、得られた混合物を、ナトリウムt−ブトキシド(2.52g、26.2mmol)で処理した。反応物を家庭用掃除機下で、窒素で数度クエンチして脱気し、70℃にて窒素下で16時間加熱し、その後、室温まで冷却させ、濾過した。不溶性の残渣をトルエン、その後、Et2Oで洗浄した。合わせた濾液および洗浄液を水(×2)で洗浄し、その後、塩酸(2N、×2)で抽出し、オレンジ色の油を沈殿させ、これを酸性水性相と共に回収した。酸性抽出物をEt2Oで洗浄し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(疎水性フリット)、真空下で濃縮した。残渣を、EtOAc/シクロヘキサングラジエント(5〜45%)で溶出するシリカカートリッジ(330g)のクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせて、真空下で乾燥し、淡黄色の泡状物を得た。この泡状物をEtOAc(50mL)中に溶解させ、機能性のチオ尿素シリカ(0.56g、パラジウムスカベンジャー)で処理した。混合物を室温(空気雰囲気)で、〜20分間撹拌し、その後、室温で16時間放置した。混合物を濾過し、不溶性の残渣をEtOAcで洗浄した。合わせた濾液および洗浄液を真空下で濃縮し、エチル4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}ベンゾエート(3.7g、8.0mmol、32%)を黄色の油として得た。
中間体18
4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}安息香酸
エチル4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}ベンゾエート(調製については、中間体17を参照)(5.41g、11.69mmol)をエタノール(100mL)中に溶解させ、NaOH水溶液(2M、50mL、100mmol)で処理した。得られた混合物を、室温(空気雰囲気)で約2時間撹拌し、その後、エタノールの殆どを真空で取り除いた。得られた黄色の溶液を水で希釈した(油状の黄色の沈殿物を形成した)。水相を2度、DCMで洗浄し(これは、先に形成された沈殿物を溶解しなかった)、その後、塩酸(2N)でpH1まで酸性化し、EtOAc(×2)で抽出した。合わせたEtOAc相をブラインで洗浄し、乾燥させ(疎水性フリット)、真空下で濃縮した。残渣の黄色の泡状物を約1時間にわたりEt2Oで摩砕した。得られた固体を濾過により分離し、Et2Oで洗浄し、空気乾燥させ、4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}安息香酸(4.41g、10.1mmol、87%)をクリーム色の固体として得た。LCMS(HpH)、保持時間1.08分、[M−H]−=433。
中間体19
メチル4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート
DME(50mL)および水(10.0mL)中のイソプロピル((2S,4R)−1−アセチル−6−ブロモ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)カルバメート(5g、13.54mmol)およびメチル4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエート(3.90g、14.89mmol)の溶液に、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(1.565g、1.354mmol)および炭酸カリウム(5.61g、40.6mmol)を連続して加えた。得られた混合物を100℃で、1時間撹拌し、その後、反応物を室温へと冷却させ、CeliteTMを通して濾過した。濾液を真空下で濃縮し、残渣をEtOAcと水に分配した。水相をEtOAc(×3)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗製化合物を、シクロヘキサン中のEtOAc(5〜60%)で溶出するシリカゲルカートリッジ(50g)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせて、減圧下で濃縮して、メチル4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(4.64g、81%)を白色のガム状物として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=1.09分、MH+=425。
中間体20
リチウム4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート
メタノール(20mL)中のメチル4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(調製については、中間体19を参照)(1.63g、3.84mmol)の溶液に、水酸化リチウム(4.61mL、4.61mmol)を加えた。得られた混合物を40℃で6時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮して、リチウム4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(1.65g、100%)を得て、これを、精製をせずに、続く工程に直接使用した。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.87、MH+=411。
中間体21
4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)安息香酸
リチウム4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(1.05g、2.52mmol)(調製については、中間体47参照)をEtOAcと塩酸(2M)に分配した。相を分離し、水相をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)安息香酸(898mg、87%)を白色の固体として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.87、MH+=411。
中間体22
エチル2−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)アセテート
エチル(4−ブロモフェニル)アセテート(0.174mL、1.000mmol)、1−メチルエチル[(2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−キノリニル]カルバメート(416mg、1mmol)、炭酸カリウム(415mg、3.00mmol)およびPdCl2(dppf)(73.2mg、0.100mmol)を装填したフラスコに、1,4−ジオキサン(6mL)および水(2.0mL)を加え、フラスコを窒素でフラッシュした。得られた混合物を、マイクロ波照射下、120℃で30分間撹拌し、その後、室温へと冷却した。ジオキサンの大半を真空下で除去し、残渣をEtOAcと水に分配した。層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(25gカラム、MeOH/DCM)により精製して、エチル2−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)アセテート(270mg、収率59.7%)を得た。この化合物は、さらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS(HpH、2分)、Rt=1.16、MH+=453。
中間体23
2−(4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)フェニル)酢酸
メタノール(6mL)および水(2.0mL)中のエチル{4−[(2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−4−({[(1−メチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]フェニル}アセテート(調製については、中間体22を参照)(270mg、0.597mmol)の溶液に、室温で水酸化ナトリウム水溶液(2N、0.597mL、1.193mmol)を加え、得られた混合物を6時間撹拌した。水酸化ナトリウム水溶液(2N、0.5mL)を加え、混合物を一晩静置した。メタノールの大半を真空下で除去し、得られた残渣を、水とEt2Oに分配し、層を分離した。水層を塩酸(2N、2mL)で酸性化し、2回EtOAcで抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、真空下で濃縮して、{4−[(2S,4R)−1−アセチル−2−メチル−4−({[(1−メチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル]フェニル}酢酸(200mg、0.471mmol、収率79%)を茶色の泡状物として得た。この化合物は、さらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS(HpH、2分)、Rt=0.65、MH+=425。
中間体24
(R−BINAP)ジトリフレートビス(アセトニトリル)パラジウム(II)
R−(+)−BINAP(6.08g、9.76mmol、Avocadoから市販)をDCM(626ml)中で撹拌し、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(2.5g、9.64mmol、Aldrichから市販)を加えた。混合物を窒素下で30分間撹拌し、懸濁液は溶液とはならず、さらにDCM(100ml)を加えた。混合物をさらに30分撹拌し、アセトニトリル(250ml)中に溶解した銀トリフレート(5.00g、19.47mmol、Aldrichから市販)を加えた。混合物はオレンジ色の混濁した懸濁液から黄色の懸濁液へと変化した。混合物を1時間撹拌し、CeliteTMを通して濾過し、蒸発させてオレンジ色の固体を得た。残渣を真空下(約14mbar)、室温で週末の間乾燥させて、目的の生成物を得た(10.69g)。1H NMR(400MHz、MeCN−d3) δ ppm 2.0(s,6H)、6.7(d,2H)、6.9(br m,4H)、7.1(br t,2H)、7.2(t,2H)、7.5−7.9(m,22H)。
実施例1
2−(ジメチルアミノ)エチル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート塩酸塩
4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}安息香酸(調製については、中間体18を参照)(100mg、0.230mmol)をDCM(1mL)中に懸濁させた。DMAP(33.7mg、0.276mmol)およびDCC(52.2mg、0.253mmol)を加え、混合物を5分間撹拌し、透明な黄色の溶液を生成した。DCM(0.5mL)中の2−(ジメチルアミノ)エタノール(20.5mg、0.230mmol)を続けて加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物をDCM(8.5ml)で希釈し、NaOH(2N)、水およびブライン(それぞれ10ml)で洗浄し、その後、Na2SO4で乾燥させ、濾過して、真空下で濃縮して、オフホワイト色の半固体を生成した。粗製生成物を最小容量のDCM(溶解を助けるために数滴のMeOHを含む)中に溶解し、25gのカートリッジに適用した。カートリッジを真空下、40℃で1時間乾燥し、その後、2CVに対して1%の2Mのメタノール中のNH3/DCMで溶出し、その後、10CVにわたってDCM中1〜5%の2Mのメタノール中のアンモニアで溶出し、その後、5CVに対して5%で保持した。適切な画分を真空下で濃縮して、アミンのない生成物(18.8mg)を透明な油として得た。後者を最小のDCM中に溶解し、Et2O中のHCl(1N、0.19mL、0.190mmol)を加え、溶媒を窒素気流下で蒸発させた。少量のEt2O(〜1mL)を加え、窒素下で蒸発させて、2−(ジメチルアミノ)エチル 4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル)ベンゾエート塩酸塩(76.7mg、0.135mmol、収率58.6%)を白色の固体として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.91分、MH+=506。1H NMR(DMSO−d6): δ 1.16 (3H,d)、1.30(1H,m)、2.21(3H,s)、2.65−2.74(7H,m)、3.24(2H,m)、4.36(1H,m)、4.56(2H,m)、4.76(1H,m)、6.38(1H,d)、6.80(2H,d)、7.19(2H,d)、7.52(1H,s)、7.54(1H,d)、7.72(1H,dd)、7.77(2H,d)、8.13(2H,d)、9.92(1H,bs)。
実施例2
2−((4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾイル)オキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムギ酸塩
DMF(5mL)中の4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}安息香酸(調製については、中間体18を参照)(200mg、0.460mmol)の溶液に、連続的に、K2CO3(95mg、0.690mmol)および(2−ブロモエチル)トリメチルアンモニウムブロミド(170mg、0.690mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、その後、減圧下で濃縮した。残渣を1:1MeOH/DMSO混合物中に溶解し、MDAP(ギ酸)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、2−((4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾイル)オキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムギ酸塩(133mg、51%)をオフホワイト色の固体として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.89分、MH+=520。
実施例3
3−((4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾイル)オキシ)−N,N,N−トリメチルプロパン−1−アミニウムギ酸塩
4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}安息香酸(調製については、中間体18を参照)(150mg、0.345mmol)をDMF(3mL)中に溶解し、K2CO3(47.7mg、0.345mmol)、その後、3−ブロモ−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムブロミド(90mg、0.345mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、その後、反応混合物を真空下で濃縮し、MDAP(ギ酸)により精製して、3−{[4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}フェニル)カルボニル]オキシ}−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムギ酸塩(41mg、0.064mmol、収率19%)を黄色の油として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.86分、MH+=534。
実施例4
3−(ジメチルアミノ)プロピル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート
DMF(10mL)中の4−{(2S,4R)−1−アセチル−4−[(4−クロロフェニル)アミノ]−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリニル}安息香酸(調製については、中間体18を参照)(250mg、0.575mmol)の溶液に、連続的に、3−(ジメチルアミノ)−1−プロパノール(71.2mg、0.690mmol)、EDC(220mg、1.150mmol)およびDMAP(7.0mg、0.057mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、その後、減圧下で濃縮し、1:1MeOH/DMSO混合物中に溶解し、MDAP(HpH)により精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、3−(ジメチルアミノ)プロピル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((4−クロロフェニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(41mg、17%)を粘着性の無色の油として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.94分、MH+=520。
実施例5
3−(ジメチルアミノ)プロピル 6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート
DMF(5mL)中の6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチン酸(調製については、中間体7を参照)(100mg、0.234mmol)の溶液に、3−(ジメチルアミノ)−1−プロパノール(121mg、1.170mmol)、EDC(90mg、0.468mmol)およびDMAP(2.86mg、0.023mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、反応混合物を真空下で濃縮し、1:1MeOH/DMSO混合物中に溶解し、MDAP(HpH)により精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、3−(ジメチルアミノ)プロピル 6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート(23mg、19%)を無色の油として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.70分、MH+=513。
実施例6
2−(ジメチルアミノ)エチル 6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート
DMF(5mL)中の6−((2S,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチン酸(調製については、中間体7を参照)(54mg、0.126mmol)の溶液に、K2CO3(26.2mg、0.189mmol)および2−ブロモ−N,N−ジメチルエタンアミン(28.8mg、0.189mmol)を加えた。得られた混合物を室温で3時間撹拌し、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を1:1MeOH/DMSO混合物中に溶解し、MDAP(ギ酸)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、2−(ジメチルアミノ)エチル 6−((2R,4R)−1−アセチル−4−((5−シアノピリジン−2−イル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ニコチネート(16.5mg、24%)を粘着性の無色の油として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.69分、MH+=499。
実施例7
3−(ジメチルアミノ)プロピル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート
DMF(3mL)中の4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)安息香酸(調製については、中間体21を参照)(164mg、0.400mmol)および3−(ジメチルアミノ)プロパン−1−オール(206mg、1.998mmol)の溶液に、N1−((エチルイミノ)メチレン)−N3,N3−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン塩酸塩(153mg、0.799mmol)およびN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(4.88mg、0.040mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、反応混合物を水で希釈し、EtOAcを加えた。層を分離し、水相をEtOAc(×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を1:1MeOH/DMSO混合物中に溶解し、MDAP(HpH)により精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、3−(ジメチルアミノ)プロピル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(29.3mg、15%)を粘着性の無色の油として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.75分、MH+=476。
実施例8
2−(ジメチルアミノ)エチル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート
DMF(5mL)中のリチウム4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(調製については、中間体20を参照)(246mg、0.591mmol)および2−ブロモ−N,N−ジメチルエタンアミン(135mg、0.886mmol)の溶液に、炭酸カリウム(122mg、0.886mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を1:1MeOH/DMSO混合物中に溶解し、MDAP(ギ酸)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、2−(ジメチルアミノ)エチル 4−((2S,4R)−1−アセチル−4−((イソプロポキシカルボニル)アミノ)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンゾエート(14.5mg、5%)を粘着性の無色の油として得た。LCMS(ギ酸、2分)、Rt=0.72分、MH+=482。
基準化合物
基準化合物A:
2−メチル−6−(メチルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン
5−メトキシアントラニル酸(Lancaster)(41.8g、0.25mol)の溶液を、3.5時間、無水酢酸(230mL)中で還流し、その後、減圧下で濃縮した。その後、粗製化合物を、トルエンの存在下で2回濃縮し、その後、濾過して、エーテルで2回洗浄し、標題化合物(33.7g、収率71%)を茶色の固体として得た。LC/MS(方法D)、m/z 192[M+H]+、Rt 1.69分。
基準化合物B:
[2−アミノ−5−(メチルオキシ)フェニル](4−クロロフェニル)メタノン
0℃において、トルエン/エーテル(2/1)混合物(760mL)中の2−メチル−6−(メチルオキシ)−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン(調製については、基準化合物Aを参照)(40.0g、0.21mol)の溶液に、4−クロロフェニルマグネシウムブロミド(170mL、Et2O中1M、0.17mol)の溶液を滴下して加えた。反応混合物を室温まで加温して、1時間撹拌し、その後、1NのHCl(200mL)でクエンチした。水層をEtOAc(3×150mL)で抽出し、合わせた有機物をブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。その後、粗製化合物を、EtOH(400mL)中に溶解し、6NのHCl(160mL)を加えた。反応混合物を、2時間還流し、その後、1/3の体積に濃縮した。得られた固体を濾過し、2回エーテルで洗浄し、その後、EtOAc中に懸濁させ、1NのNaOHで中和した。水層を、EtOAc(3×150mL)で抽出し、合わせた有機物をブライン(150mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。標題化合物を黄色の固体(39g、収率88%)として得た。LC/MS(方法D)、m/z 262[M+H]+、Rt 2.57分。
基準化合物C:
メチルN
1
−[2−[(4−クロロフェニル)カルボニル]−4−(メチルオキシ)フェニル]−N
2
−{[(9H−フルオレン−9−イルメチル)オキシ]カルボニル}−L−α−アスパラギネート
メチルN−{[(9H−フルオレン−9−イルメチル)オキシ]カルボニル}−L−α−アスパルチルクロリド(Int.J.Peptide Protein Res.1992、40、13−18)(93g、0.24mol)をCHCl3(270mL)中に溶解し、[2−アミノ−5−(メチルオキシ)フェニル](4−クロロフェニル)メタノン(調製については、基準化合物Bを参照)(53g、0.2mol)を加えた。得られた混合物を、60℃で1時間撹拌し、その後、冷却して、60%の体積に濃縮した。エーテルを0℃で加え、得られた沈殿物を濾過し、取り除いた。濾液を減圧下で濃縮し、さらに精製せずに用いた。
基準化合物D:
メチル[(3S)−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート
DCM(500mL)中のメチルN1−[2−[(4−クロロフェニル)カルボニル]−4−(メチルオキシ)フェニル]−N2−{[(9H−フルオレン−9−イルメチル)オキシ]カルボニル}−L−α−アスパラギネート(調製については、基準化合物Cを参照)(推定0.2mol)の溶液に、Et3N(500mL、3.65mol)を加え、得られた混合物を、24時間還流し、その後、濃縮した。得られた粗製アミンを、1,2−DCE(1.5L)中に溶解し、AcOH(104mL、1.8mol)を注意して加えた。その後、反応混合物を60℃で2時間撹拌し、真空下で濃縮し、DCM中に溶解した。有機層を、1NのHClで洗浄し、水層をDCM(×3)で抽出した。合わせた有機層を2回水、およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製固体を、MeCN中で再結晶化し、標題化合物(51g)を淡黄色の固体として得た。濾液を濃縮し、MeCN中で再結晶化し、別の10gの所望の生成物を得た。Rf=0.34(DCM/MeOH:95/5)。HRMS(M+H)+ C19H18 35ClN2O4についての計算値373.0955;実測値373.0957。
基準化合物E:
メチル[(3S)−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート
室温において、1,2−DCE(700mL)中のP4S10(36.1g、81.1mmol)およびNa2CO3(8.6g、81.1mmol)の懸濁液を、2時間撹拌し、その後、メチル[(3S)−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート(調製については、基準化合物Dを参照)(16.8g、45.1mmol)を加えた。得られた混合物を70℃で2時間撹拌し、その後、冷却して、濾過した。固体を、2回DCMで洗浄し、濾液を、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製生成物を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH:99/1)により精製して、標題化合物(17.2g、収率98%)を、黄色がかった固体として得た。LC/MS(方法D)、m/z 389[M(35Cl)+H]+、Rt 2.64分。HRMS(M+H)+ C19H18 35ClN2O3Sについての計算値389.0727;実測値389.0714。
基準化合物F:
メチル[(3S)−2−[(1Z)2−アセチルヒドラジノ]−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−3H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート
0℃において、THF(300mL)中のメチル[(3S)−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート(調製については、基準化合物Eを参照)(9.0g、23.2mmol)の懸濁液に、ヒドラジン一水和物(3.4mL、69.6mmol)を滴下して加えた。反応混合物を5℃から15℃の間で5時間撹拌し、0℃に冷却した。その後、Et3N(9.7mL、69.6mmol)をゆっくりと加え、塩化アセチル(7.95mL、69.6mmol)を滴下して加えた。その後、混合物を16時間で室温まで加温し、その後、減圧下で濃縮した。粗製生成物をDCM中に溶解し、水で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製標題化合物(9.7g、収率98%)を得て、これをさらに精製せずに用いた。Rf=0.49(DCM/MeOH:90/10)。
基準化合物G:
メチル[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセテート
粗製メチル[(3S)−2−[(1Z)−2−アセチルヒドラジノ]−5−(4−クロロフェニル)−7−(メチルオキシ)−3H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]アセテート(調製については、基準化合物Fを参照)(推定9.7g)を、THF(100ml)中に懸濁し、AcOH(60mL)を室温で加えた。反応混合物をこの温度で2日間撹拌し、その後、減圧下で濃縮した。粗製固体を、i−Pr2O中で摩砕し、濾過して、標題化合物(3工程にわたって、8.7g、91%)をオフホワイト色の固体として得た。HRMS(M+H)+ C21H20ClN4O3についての計算値411.1229;実測値411.1245。
基準化合物H:
[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]酢酸
室温において、THF(130mL)中のメチル[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセテート(調製については、基準化合物Gを参照)(7.4g、18.1mmol)の溶液に、1NのNaOH(36.2mL、36.2mmol)を加えた。反応混合物をこの温度で5時間撹拌し、その後、1NのHCl(36.2mL)でクエンチし、真空下で濃縮した。その後、水を加え、水層をDCM(×3)で抽出し、合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物(7g、収率98%)を淡黄色の固体として得た。LC/MS(方法D):m/z 397[M+H]
+
基準化合物I:
1,1−ジメチルエチル[5−({[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセチル}アミノ)ペンチル]カルバメート
[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]酢酸(調製については、基準化合物Hを参照)(1.0g、2.5mmol)、HATU(1.9g、5mmol)およびDIPEA(0.88ml、5mmol)の混合物を、80分間室温で撹拌し、これに、1,1−ジメチルエチル(4−アミノブチル)カルバメート(1.05ml、5.0mmol、Aldrichから市販)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、その後、濃縮した。残渣をジクロロメタン中に取り、1NのHClで洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出した。有機層を、1Nの水酸化ナトリウムで洗浄し、その後、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、ジクロロメタン/メタノール(95/5)を用いて、シリカのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を、黄色の固体(1.2g)として得た。LC/MS(方法D)、Rt=3.04分。
基準化合物J:
N−(5−アミノペンチル)−2−[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセトアミドトリフルオロアセテート
ジクロロメタン(3ml)中の1,1−ジメチルエチル[5−({[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセチル}アミノ)ペンチル]カルバメート(調製については、基準化合物Iを参照)(0.2g、0.34mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(0.053ml、0.68mmol)を0℃で滴下して加えた。反応混合物を、3時間、0℃から室温で撹拌した。反応混合物を乾燥するまで濃縮して、標題化合物を吸湿性の黄色の油(200mg)として得た。LC/MS(方法D)、Rt=2.33分。HRMS(M+H)+ C25H29ClN6O2についての計算値481.2119;実測値481.2162。
基準化合物K:
Alexa Fluor 488−N−(5−アミノペンチル)−2−[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセトアミドの5−および6−異性体の混合物
N−(5−アミノペンチル)−2−[(4S)−6−(4−クロロフェニル)−1−メチル−8−(メチルオキシ)−4H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]アセトアミドトリフルオロアセテート(調製については、基準化合物Jを参照)(7.65mg、0.013mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(300μl)中に溶解し、エッペンドルフ遠心チューブ中のAlexa Fluor 488 カルボン酸スクシンイミジルエステル(5mg、7.77μmol、Invitrogenから市販の5および6の異性体の混合物、製造番号A−20100)に加えた。ヒューニッヒ塩基(7.0μl、0.040mmol)を加え、混合物を一晩、ボルテックスで混合した。18時間後、反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、残渣をDMSO/水(50%、合計<1ml)中に再溶解し、分取Phenomenex Jupiter C18カラムに適用して、150分にわたって、10ml/分の流速で、95%A:5%Bから100%B(A=0.1%のトリフルオロ酢酸水溶液、B=0.1%TFA/90%アセトニトリル/10%水)のグラジエントで溶出した。同じ系を用いて、不純物画分を合わせて、再精製した。画分を合わせ、蒸発させて、標題生成物(2.8mg)を、示した2つの位置異性体の混合物として得た。LC/MS(方法F)、MH+=999、Rt=1.88分。
生物学的試験方法
蛍光異方性結合アッセイ
ブロモドメインBRD2、BRD3およびBRD4に対する式(I)の化合物の結合は、蛍光異方性結合アッセイを用いて評価し得る。
ブロモドメインタンパク質、蛍光リガンド(上記の基準化合物Kを参照)および種々の濃度の試験化合物を一緒にインキュベートして、試験化合物の非存在下で蛍光リガンドが有意に(>50%)結合し、十分な濃度の有効な阻害剤の存在下で結合していない蛍光リガンドの異方性が結合値と測定可能な程度に異なるような条件下で熱力学的平衡に到達させる。
全てのデータを、各プレートで16の高いおよび16の低いコントロールウェルの平均に正規化した。その後、以下の式の4つのパラメータ曲線フィットを適用した:
式中、「a」は最小であり、「b」はヒル勾配(Hill slope)であり、「c」はpIC50であり、「d」は最大である。
組換えヒトブロモドメイン(BRD2(1−473)、BRD3(1−435)およびBRD4(1−477))を、N末端の6個のHis標識と共に大腸菌細胞(pET15bベクター内)で発現させた。His標識化ブロモドメインを、0.1mg/mlリゾチームおよび超音波処理を用いて大腸菌細胞から抽出した。その後、ブロモドメインを、20Cvにわたり、線形10〜500mMイミダゾールグラジエントで溶出する、HisTRAP HPカラムでのアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。さらなる精製を、Superdex200分取グレートサイズ排除カラムにより完了した。精製したタンパク質を20mM HEPES pH7.5および100mM NaCl中で−80℃にて保存した。
ブロモドメイン BRD2についてのプロトコル:
全ての成分を、BRD2、75nM、蛍光リガンド 5nMの最終濃度で、50mMのHEPES pH7.4、150mmのNaClおよび0.5mMのCHAPSのバッファー組成中に溶解した。10μlのこの反応混合物を、マイクロマルチドロップを用いて、Greiner384ウェルブラック低容量マイクロタイタープレート中で100nlの種々の濃度の試験化合物またはDMSOビヒクル(最終1%)を含有するウェルに加え、暗所で室温にて60分平衡化した。蛍光異方性をEnvision(λex=485nm、λEM=530nm;二色性−505nM)で読み取った。
ブロモドメイン BRD3についてのプロトコル:
全ての成分を、BRD3、75nM、蛍光リガンド 5nMの最終濃度で、50mMのHEPES pH7.4、150mmのNaClおよび0.5mMのCHAPSのバッファー組成中に溶解した。10μlのこの反応混合物を、マイクロマルチドロップを用いて、Greiner384ウェルブラック低容量マイクロタイタープレート中で100nlの種々の濃度の試験化合物またはDMSOビヒクル(最終1%)を含有するウェルに加え、暗所で室温にて60分平衡化した。蛍光異方性をEnvision(λex=485nm、λEM=530nm;二色性−505nM)で読み取った。
ブロモドメイン BRD4についてのプロトコル:
全ての成分を、BRD4、75nM、蛍光リガンド 5nMの最終濃度で、50mMのHEPES pH7.4、150mmのNaClおよび0.5mMのCHAPSのバッファー組成中に溶解した。10μlのこの反応混合物を、マイクロマルチドロップを用いて、Greiner384ウェルブラック低容量マイクロタイタープレート中で100nlの種々の濃度の試験化合物またはDMSOビヒクル(最終1%)を含有するウェルに加え、暗所で室温にて60分平衡化した。蛍光異方性をEnvision(λex=485nm、λEM=530nm;二色性−505nM)で読み取った。
時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)アッセイ
式(I)の化合物のブロモドメインBRD2、BRD3およびBRD4への結合を、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移結合アッセイを使用して評価した。この方法は、アセチル化ヒストンペプチドのブロモドメイン蛋白質への結合を測定する。
プロモドメイン蛋白質、ヒストンペプチドおよび様々な濃度に調整した試験化合物を、熱力学平衡状態に達するまで一緒にインキュベートする。このアッセイは、試験化合物がない状態ではブロモドメインとぺプチドが十分に結合(〜30%)し、効能のある阻害剤が十分な濃度で存在するとこの相互作用が乱されて、蛍光共鳴エネルギー転移に測定可能な低下が生じるように設定されている。
ヒストンペプチド
H−Ser−Gly−Arg−Gly−Lys(Ac)−Gly−Gly−Lys(Ac)−Gly−Leu−Gly−Lys(Ac)−Gly−Gly−Ala−Lys(Ac)−Arg−His−Gly−Ser−Gly−Ser−Lys(Biotin)−OH.3TFA。
この保護ペプチドは、予めロードしたWangレジンを使用し、標準のFmoc合成プロトコルを利用して固相合成機で組み立てた。C末端リジンは、酸に対して非常に不安定な基によって保護し、組立の最後に選択的に除去されビオチンを結合できるようにした。トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシランおよび水(95:2.5:2.5)の混合物により室温で3時間かけてレジンから切り離すことによって粗製ペプチドを得、その後、0.1%TFAで緩衝された水/アセトニトリルグラジエントを利用したC18逆相カラムを使用して精製した。得られた画分を分析し、分析HPLCによって>95%純粋であり正しい分子量(MALDiTOF質量分析法による)を示す画分をプールし、フリーズドライした。最終的な物質は、HPLCによって分析して純粋なことを確認した。
蛋白質の産生:
組換えヒトブロモドメイン(BRD2(1−473)、BRD3(1−435)およびBRD4(1−477))は、大腸菌細胞(pET15bベクター)でN末端に6つのHisのタグが付いて発現される。Hisタグを持つブロモドメインを、超音波処理を使用して大腸菌細胞から抽出し、ニッケルセファロース6FFカラムを使用して精製し、その蛋白質を洗浄し、その後、50mM Tris−HCl pH8.0 300mM NaCl、1mMβ‐メルカプトエタノールおよび20mMイミダゾールで溶出した。0−500mMの塩化ナトリウムのリニアグラジエントにて20カラム容積にわたり溶出するHisTRAP HPカラムのアフィニティークロマトグラフィーによりさらに精製した。最終的な精製は、Superdex 200 prep gradeサイズ排除カラムによって完了した。精製した蛋白質は−80℃で20mM HEPES pH7.5および100mM NaCl中に保存した。蛋白質はペプチドマスフィンガープリンティングによって同定し、質量分析法によって予測分子量を確かめた。
ブロモドメインBRD2、3および4アッセイのプロトコル:
全てのアッセイ成分を50mMのHEPES、pH7.4、50mMのNaClおよび0.5mMのCHAPSのバッファー組成物中に溶解した。ブロモドメイン蛋白質の最終濃度は100nM、ヒストンペプチドは300nMであった。これらの成分を、プレミックスし、1時間、暗所で平衡化させた。8μlのこの反応混合物を、Greiner384ウェルブラック小容積マイクロタイタープレートの様々な濃度に調整した試験化合物またはDMSOビヒクル(最終0.5%)50nlを含む全てのウェルに加え、暗所、60分間、室温でインキュベートした。抗−6his XL665標識抗体およびユーロピウムクリプテートで標識されたストレプトアビジンを含む2μlの検出混合物を全てのウェルに加え、さらに少なくとも30分の暗所インキュベーションを行った。その後、プレートをEnvisionプレートリーダーで読み取った(λex=317nm、ドナーλEM=615nm、アクセプターλEM=665nm;Dichroic LANCE dual)。時間分解蛍光強度測定を両方の発光波長で行い、アクセプター/ドナーの比を計算し、データ分析に使用した。全てのデータは、それぞれのプレートにおいて16の高コントロールウェルおよび16の低コントロールウェルの平均に対して規格化した。その後、次式の4パラメータ曲線に当てはめた。
ここで、「a」は最小であり、「b」はヒル勾配(Hill slope)であり、「c」はpIC50であり、「d」は最大である。
実施例1〜8を、それぞれの上記アッセイにおいて試験し、pIC50が6.3〜7.2の範囲を有することが判明した。
全血からのLPS誘導IL−6分泌の測定
細菌性リポ多糖(LPS)などのtoll様受容体のアゴニストによる単球細胞の活性化は、IL−6を含む重要な炎症性メディエータの産生を生じる。このような経路は、様々な自己免疫および炎症性疾患の病態生理学に重要であると広く認められている。
試験する化合物を希釈し、様々な適切な濃度を得て、その1μlの希釈ストックを96ウェルプレートに加える。全血(130μl)の添加後、プレートを37℃(5% CO2)にて30分間インキュベートし、その後、10μlの2.8μg/ml LPSを加え、完全RPMI 1640(最終濃度=200ng/ml)中で希釈して、1つのウェル当たり140μlの全体積を得る。37℃にて24時間のさらなるインキュベーションの後、140μlのPBSを各ウェルに加える。プレートを密閉し、10分間振盪し、その後、遠心分離する(2500rpm×10分)。100μlの上清を取り出し、即座に、または−20℃での保存後のいずれかで、免疫学的検定(典型的にメソスケールディスカバリー技術)によりIL−6レベルを評価する。各化合物についての濃度反応曲線をデータから生成し、IC50値を算出した。
実施例1、2、3、5、6、7および8を、上記のアッセイにおいて試験し、pIC50が5.5〜6.7の範囲を有することが判明した。
これらのデータは、上記の全血アッセイにおいて試験したブロモドメイン阻害剤が、重要な炎症性メディエータIL−6の産生を阻害したことを示す。
インビボでのマウス内毒素血モデル
動物に投与した高用量のエンドトキシン(細菌性リポ多糖)は、強力な炎症反応、心臓血管機能の異常調節、臓器不全および最終的に死亡を含む深刻なショック症候群を生じる。このパターンの反応は、ヒトの敗血症および敗血性ショックと非常に類似しており、顕著な細菌感染に対する身体の反応は同様に生命を脅かす危険性がある。
本発明において使用する化合物を試験するために、8匹のBalb/cオスのマウスの群に、腹腔内注射により致死量の15mg/kg LPSを与える。90分後、動物にビヒクル(非発熱性水中の20%シクロデキストリン 1%エタノール)または化合物(10mg/kg)を静脈内投与した。動物の生存を4日目にモニターする。
腫瘍細胞増殖アッセイ
ヒト細胞株(15個のheme細胞株、14個の乳腺細胞株および4個の他の細胞株を含むn=33)を、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI−1640中で培養し、1つのウェルあたり1000個の生存細胞を、48μlの培地入りの384ウェルブラック平底ポリスチレンプレート(Greiner #781086)に播種した。全てのプレートを5%CO2、37℃にて一晩静置した。次の日に、1つのプレートを、0(T0)測定に等しい時間、CellTiter−Glo(CTG,Promega #G7573)を用いて収集し、化合物(14.7μM〜7pMの20点滴定)を残りのプレートに添加した。全てのウェル中のDMSOの最終濃度は0.15%であった。細胞を72時間または示した時間インキュベートし、各プレートを、ウェル中の細胞培養体積に等しい体積を用いてCellTiter−Glo試薬で発色させた。プレートを約2分間振盪し、化学発光シグナルを、Analyst GT(Molecular Devices)またはEnvision Plate Reader(Perkin Elmer)で読み取った。
結果をT0の割合として表し、化合物濃度に対してプロットする。T0値を100%に正規化し、化合物添加の時間の細胞数を表し、XLフィットソフトウェア(モデル205)を用いて濃度反応データを4パラメーター曲線フィットにフィットさせた。細胞増殖を50%阻害した濃度(gIC50)は「増殖窓(growth window)」の中間点である(T0とDMSOコントロールとの間)。Ymin−T0値を、濃度反応曲線のフィットから決定したYmin値(%)からT0値(100%)を減算することによって決定する。細胞を含まないウェルからの値を、バックグラウンド補正のために全てのサンプルから減算した。
限定されないが、本明細書に記載した特許および特許出願を含む全ての文献は、各々の個々の文献が具体的かつ個々に完全に記載されているように本明細書に参照として組み込まれる。