[第1実施形態]
以下、図面を参照して本実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報提供システム10の構成を示した図である。情報提供システム10は、情報提供装置12、複数の車両の各々に搭載された少なくとも1つの車載器14(図1では2台図示されている)、及び少なくとも1つの情報端末装置16(図1では2台図示されている)の各々がWeb等のネットワーク18を介して接続されて構成されている。情報端末装置16は、例えば、表示手段及び入力手段を備えた携帯電話やスマートフォン等の携帯端末装置とすることができる。
図2は、情報提供装置12、車載器14、及び情報端末装置16の構成を機能的に示した図である。なお、情報提供装置12、車載器14、及び情報端末装置16の各々は、ネットワーク18を介して接続されているため、各々、ネットワーク18に接続するための通信部を備えているが、ここでは図示を省略した。
まず、情報提供装置12について説明する。
情報提供装置12は、車両走行情報取得部20、車両走行情報データベース(DB)22、車載情報生成部24、基本情報DB26、クラウドワーカ情報収集部28、評価値算出部30、及び評価値受付部32を備えている。
車両走行情報取得部20は、車両に搭載された車載器14から車両の走行中に車両の走行に関する車両走行情報を取得する。車両走行情報は、例えば、車両の走行速度及び加速度などのCAN(Controller Area Network)システムを通じて自動で獲得(検出)できる情報、位置情報などのGPS(Global Positioning Systems)を通じて自動で獲得できる情報、及び車両の走行中に撮影された撮影画像を表わす画像情報などをいう。車両走行情報は、車載器14の車両走行情報検出システム40(後述)により自動的に検出される。
車両走行情報DB22は、車両走行情報取得部20により取得された車両走行情報の各々を記憶するデータベースである。
車載情報生成部24は、車両走行情報DB22に記憶された車両走行情報に基づいて、道路に関する情報及び道路の周辺施設に関する情報の少なくとも一方を含む第1道路関連情報を生成する。第1道路関連情報は、例えば、道路交通上危険であると予測される地点、道路交通上安全であると予測される地点、抜け道、おすすめスポットなどを示す情報をいう。当然ながら、第1道路関連情報には、どこが危険(或いは安全)と推定される道路なのか、どこが抜け道と推定される道路なのか、どこがおすすめスポットなのか等が特定できる位置情報が含まれるものとする。
また、車載情報生成部24は、上記生成した第1道路関連情報の有用度も生成する。有用度とは、例えば、第1道路関連情報が危険であると予測される地点の情報である場合には、危険の程度を示す危険度とすることができ、第1道路関連情報が安全であると予測される地点の情報である場合には、有用度を安全の程度を示す安全度とすることができる。また、第1道路関連情報が抜け道の情報である場合には、有用度を抜け道として利用可能な度合いとすることができ、第1道路関連情報がおすすめスポットの情報である場合には、有用度を該スポットのおすすめ度とすることができる。有用度は、第1道路関連情報がどの程度役に立つのか、すなわち、役に立つ度合いを示す値であるともいえる。なお、以下では、車載情報生成部24により生成された第1道路関連情報及びその有用度の組み合わせの各々を、車載情報と呼称する。車載情報生成部24により生成された車載情報は、基本情報DB26に記憶される。
クラウドワーカ情報収集部28は、情報端末装置16から、道路に関する情報及び道路の周辺施設に関する情報の少なくとも一方を含む第2道路関連情報及び第2道路関連情報の有用度を収集する。第2道路関連情報は、第1道路関連情報と同様に、例えば、危険であると予測される地点の情報、安全であると予測される地点の情報、抜け道の情報、おすすめスポットの情報、等とすることができる。なお、第2道路関連情報にも、第1道路関連情報と同様に位置情報が含まれるものとする(詳細は後述する)。
ここで、クラウドワーカは、ネットワークを介して営利又は非営利のプロジェクト(本実施形態では、情報提供システム10)に参加して、労力を提供する人達をいうが、本実施形態では、クラウドワーカが、情報端末装置16のクラウドワーカ情報入力部50(後述)を使用して第2道路関連情報及び有用度を入力し、これをクラウドワーカ情報収集部28が収集するため、以下では、クラウドワーカ情報収集部28により収集される第2道路関連情報及びその有用度の組み合わせの各々を、クラウドワーカ情報と呼称する。
また、以下では、第1道路関連情報及び第2道路関連情報を特に区別せずに説明する場合には、単に道路関連情報と呼称する。
なお、本実施形態において、クラウドワーカ情報収集部28は、情報端末装置16からクラウドワーカ情報を収集する例について説明するが、例えば、車両に、車両走行情報検出システム40とは別に、運転者等が手動でクラウドワーカ情報を入力するための入力装置が備えられている場合には(図示省略)、該入力装置から入力されたクラウドワーカ情報も収集するようにしてもよい。なお、クラウドワーカ情報入力部50(及び車両にクラウドワーカ情報を入力するため入力装置が設けられている場合には車両の入力装置)を、第1入力手段と総称する場合もある。
クラウドワーカ情報収集部28により収集されたクラウドワーカ情報は基本情報DB26に記憶される。
基本情報DB26には、車載情報及びクラウドワーカ情報が記憶されるが、各々道路関連情報の内容毎に分類されて記憶される。道路関連情報の内容とは、例えば、危険であると予測される地点、抜け道、おすすめスポットなどをいう。また、分類された車載情報及びクラウドワーカ情報には、道路関連情報の各々を区別するためのID(本実施形態では、位置IDと呼称する)が付与される。
評価値算出部30は、基本情報DB26に記憶された道路関連情報に対して、車両走行情報DB22に記憶された車両走行情報に基づいて評価値を算出する。
ここで、評価値とは、車載情報生成部24により生成された或いはクラウドワーカ情報収集部28により収集された道路関連情報に対して、該道路関連情報がどの程度役に立つのか、どの程度有用であるかを評価した値である。従って、車載情報生成部24により生成された或いはクラウドワーカ情報収集部28により収集された有用度とは区別して扱われる。
評価値受付部32は、基本情報DB26に記憶された道路関連情報に対して、情報端末装置16の評価値入力部54及び車載器14の評価値入力部44から入力された評価値を受け付ける。この評価値も、評価値算出部30で算出される評価値と同様に、車載情報生成部24により生成された或いはクラウドワーカ情報収集部28により収集された道路関連情報に対して、該道路関連情報がどの程度役に立つのか、どの程度有用であるかを評価した値であるが、評価値受付部32により受け付けられる評価値は、クラウドワーカの主観的な評価値となる。
なお、以下では、評価値を入力するための情報端末装置16の評価値入力部54及び車載器14の評価値入力部44を総称して、第2入力手段と総称する場合もある。
情報提供部34は、車載情報生成部24より生成された車載情報、クラウドワーカ情報収集部28により収集されたクラウドワーカ情報、評価値算出部30により算出された評価値、及び評価値受付部32により受け付けた評価値の少なくとも1つの値に基づいて、基本情報DB26に記憶された道路関連情報から提供すべき情報を選択し利用者に提供(送信)する。利用者に対して提供される情報を提供情報と呼称する。本実施形態では、情報提供部34は、基本情報DB26に、評価値の数が閾値以上蓄積された道路関連情報の有用度を算出し、算出された有用度が閾値以上の情報を正式な提供情報として利用者に提供するものとする。以下、情報提供部34により算出された有用度は、車載情報生成部24により生成された初期の有用度或いはクラウドワーカ情報収集部28により受け付けられた初期の有用度と区別するため、評価後の有用度と呼称する。
基本情報DB26にある程度の数の評価値が蓄積されるまでは、道路関連情報の信頼性が十分に担保されないため、該道路関連情報を提示情報としては送信せず、評価フィードバックの対象としてのみ扱われる。すなわち、該道路関連情報の評価値が第2入力手段により入力されるように、該評価対象である道路関連情報の情報を含む評価フィードバック用の情報(以下、評価対象情報と呼称する)を、車載器14及び情報端末装置16に送信する。送信された評価対象情報に応じて、基本情報DB26に、ある程度の数の評価値が蓄積された後は、評価対象情報の送信を停止し、代わりに評価後の有用度に基づいた提供情報を送信する。評価対象情報の送信タイミングは、車両に対しては、提示情報の送信タイミングと同じタイミングとしてもよい。具体的には、危険地点やおすすめスポットについての評価対象情報の場合には、該危険地点やおすすめスポットの位置情報を含む予め定められた範囲のエリアに車両或いは情報端末装置16が進入したタイミングとしてもよい。また、車両の運転者や情報端末装置16の操作者が希望した日時等に希望する内容の評価対象情報を送信することもできる。なお、評価対象情報と提供情報とを区別するため、評価対象情報と提供情報とで提示する内容は同じであっても、評価対象情報の提示形態と提供情報の提示形態とを異ならせることが好ましい。
次に、車載器14について説明する。
車載器14は、車両走行情報検出システム40、情報提示部42、及び評価値入力部44を備えている。
図3に、車両走行情報検出システム40の構成を示す。車両走行情報検出システム40は、カメラ60、CANシステム62、GPSセンサ64、及びノイズ除去部66を備えている。カメラ60は、車両の周辺環境を撮影する。撮影された周辺環境の画像を示す情報(周辺環境情報)は、ノイズ除去部66に出力される。CANシステム62は、車両に搭載される様々な電子機器の情報・制御伝達網(すなわち、周知のCAN)を利用したシステムであって、車両の走行速度や加速度、操舵角等、走行中の車両の制御に用いられる様々なデータ(車両の状態情報)が検出される。これら情報も、ノイズ除去部66に出力される。GPSセンサ64は、複数の衛星からの電波を受信してこの電波を用いて自車両の位置を測定する。測定されて得られた位置情報は、ノイズ除去部66に出力される。
ノイズ除去部66は入力された情報のノイズを除去する。ノイズ除去後の情報は、車両走行情報として車両走行情報取得部20により取得される。なお、周辺環境情報や車両の状態情報の各々が車両走行情報として車両走行情報取得部20に送信される際には、周辺環境情報や車両の状態情報の各々が検出されたときの車両の位置を示す位置情報と共に送信され、車両走行情報取得部20により取得される。なお、車両走行情報取得部20が取得する車両走行情報に、周辺環境情報、車両の状態情報、及び位置情報の各々が検出されたときの時刻を含めてもよい。
情報提示部42は、情報提供装置12の情報提供部34から送信された提供情報及び評価対象情報を提示する。情報提示部42は、液晶ディスプレイ等の表示手段であってもよいし、表示手段に加えて音声を出力する音声出力手段が備えられていてもよい。
評価値入力部44は、前述したように、道路関連情報に対して車両の運転者が考える主観的な評価値を入力する。評価値入力部44により入力された評価値は情報提供装置12に送信され、情報提供装置12の評価値受付部32により受け付けられる。評価値入力部44は、押下することにより電気信号を発生させるスイッチやボタンとしてもよい。
また、タッチパネルディスプレイの形態で情報提示部42及び評価値入力部44が一体的に形成されていてもよい。
次に、情報端末装置16について説明する。情報端末装置16は、クラウドワーカ情報入力部50、情報提示部52、及び評価値入力部54を備えている。
クラウドワーカ情報入力部50は、前述したクラウドワーカ情報を入力するための第1入力手段である。クラウドワーカは、クラウドワーカ情報入力部50を操作して、クラウドワーカ情報を入力する。なお、クラウドワーカ情報入力部50は、キーボードや、ボタン、タッチパネルディスプレイであってもよいし、撮影画像をクラウドワーカ情報に含める場合には、カメラがクラウドワーカ情報入力部50に含まれていても良い。
情報提示部52は、情報提供装置12の情報提供部34から送信された提供情報及び評価対象情報を提示する。情報提示部52は、液晶ディスプレイ等の表示手段であってもよいし、表示手段に加えて音声を出力する音声出力手段が備えられていてもよい。
評価値入力部54は、前述したように道路関連情報に対して、情報端末装置16を操作する操作者が考える主観的な評価値を入力する。評価値入力部54により入力された評価値は情報提供装置12に送信され、情報提供装置12の評価値受付部32により受け付けられる。なお、評価値入力部54も、キーボードや、ボタン、タッチパネルディスプレイであってもよい。
更に又、タッチパネルディスプレイの形態で、クラウドワーカ情報入力部50、情報提示部52、及び評価値入力部54が一体的に形成されていてもよい。
なお、本実施形態においては、情報提供装置12を構成する各構成要素(ただし、車両走行情報DB22及び基本情報DB26を除く)は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えたコンピュータにより構成されているものとする。例えば、ROMを、車両走行情報取得部20、車載情報生成部24、クラウドワーカ情報収集部28、評価値算出部30、及び評価値受付部32の各機能を実行するためのプログラムを記憶した記憶媒体とし、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMをワークエリアとして用いて実行することにより情報提供装置12の各機能を実現するようにしてもよい。プログラムを記憶する記憶媒体は、ROMに限定されるものではなく、例えば、HDD(ハードディスク装置)や、CD−ROM、フラッシュメモリ等の記録媒体であってもよい。車両走行情報DB22及び基本情報DB26は、HDDやフラッシュメモリ等、読み書き可能な記憶手段により構成されることができる。なお、情報提供装置12は、上記説明した各々の機能を有する電子回路等のハードウェアにより構築されていてもよい。
以下、図4〜図8のフローチャートを参照して、本実施形態の情報提供処理の一例について説明する。
図4は、情報提供装置12により行なわれる車載初期投稿処理を示す処理ルーチンのフローチャートである。車載初期投稿処理は、予め定められたタイミングが到来したとき(例えば、予め定められた時間が経過する毎、システム管理者の指令が入力されたとき等)、行なわれる。
ステップS100において、情報提供装置12の車両走行情報取得部20は、ネットワーク18を介して、車両に搭載された車載器14から車両走行情報を取得する。
ステップS102において、車両走行情報取得部20は、取得した車両走行情報を、車両を識別する識別情報に対応させて、車両走行情報DB22に記憶する。
ステップS104において、情報提供装置12の車載情報生成部24は、車両走行情報DB22に記憶された車両走行情報に基づいて、車載情報を生成する。
ステップS106において、車載情報生成部24は、生成した車載情報を基本情報DB26に記憶する。このとき、車載情報生成部24は、生成した車載情報を道路関連情報の内容に応じて分類し、生成した車載情報の各々に対して位置IDを付与して、該位置IDと車載情報とを対応付けて記憶する。また、車載情報生成部24は、生成した車載情報を、該車載情報を生成する基となった車両走行情報を取得した車載器14を搭載した車両を識別する車両識別情報或いは該車両を運転する運転者を識別する運転者識別情報と共に、基本情報DB26に記憶するようにしてもよい。
車載初期投稿処理により、新規の内容の車載情報が記憶されることとなり、該記憶された車載情報は初期投稿情報として扱われ、後述する評価フィードバックの対象となる。
ここで、車載情報の生成処理及び記憶処理の具体例を説明する。
まず、第1道路関連情報として、危険であると予測される地点(以下、危険地点という)の情報を生成する場合には、周知の方法、例えば、“畠中秀人、平沢隆之、真部泰幸、渡邊寧、井上洋、竹中憲郎、川崎弘太/国土交通省 国土技術制作総合研究所、技術研究組合 走行支援道路システム開発機構(第6回ITSシンポジウム2007論文集、pp.321-325、2007)”に記載の技術を用いてもよい。具体的には、車両の区別は行なわず、複数車両の加速度を用いて急ブレーキ多発地点(例えば、+0.3G以上の急制動が、ある閾値以上の回数発生した地点)を示す情報を、危険地点を示す情報として生成してもよい。ここで生成する車載情報は、後述するようにクラウドワーカ等により評価される初期投稿情報として扱われるため、厳密性は問わず、ある程度の精度を有していればよい。このように簡単な手法を用いる場合、計算量が削減できる。有用度としての危険度は、例えば、+0.3G以上の急制動が発生した回数に応じた危険度を予め定めておき(急制動の回数が多いほど危険度が高くなるように定める)、上記急ブレーキ多発地点に対応する危険度を導出してもよい。
例えば、危険度が0.6と推定されると、車載情報は図9に示すような形で基本情報DB26に記憶される。図9に示すように、位置IDと、位置情報と、画像情報と、危険度とが対応付けて記憶される。
また、ここでは、危険地点を求めたが、危険区間或いは危険エリアであってもよい(後述する第2道路関連情報も同様)。
ここでは安全と推定される地点や安全度の導出方法についての説明は省略するが、例えば、上記危険度が所定値未満の地点を安全と推定される地点としてもよいし、危険度が高いほど、安全度が低くなる対応関係を予め求めておき、該対応関係から求められた安全度が閾値より高い地点を、安全と推定される地点の安全度を求めてもよい。
次に、第1道路関連情報として、抜け道の情報を生成する場合について説明する。抜け道は、例えば、A地点からB地点に到達するまでの経路が複数存在する場合、該経路の各々について、交通量、及び複数の車両の走行時の平均速度などを取得し、これらの情報から複数の経路の各々が抜け道か否かを推定できる。より具体的には、単位時間あたりの通行台数がある閾値台数よりも少なく、平均速度が閾値速度よりも速い場合に、抜け道であると推定される。ここで、平均速度が閾値より低ければ、渋滞していると予測されるため、平均速度が遅い経路は抜け道として抽出しないようにすることができる。
また、到達時間を予測して、複数の経路の各々について抜け道か否かを判断するようにしてもよい。すなわち、A地点からB地点までの距離を、複数の車両の平均速度で除算して平均到達時間を求め、該平均到達時間が予め定められた閾値未満であれば、抜け道として判断するようにしてもよい。
また、上記交通量及び平均速度の条件に加え、道路幅が予め定められた幅以上の道路を抜け道として抽出するようにしてもよい。例えば、スクールゾーンや住宅街エリア等の道幅の狭い道路が抜け道として地域住民以外にも情報提供されると、地域住民以外の車両の通行が増加し、地域住民にとって迷惑となり得るためである。従って、通行台数や平均速度の算出の前に、道路幅によるフィルタリングを行なうようにしてもよい。なお、道路幅に代えて(或いは道路幅に加え)、エリア属性に基づいて、抜け道を抽出してもよい。すなわち、エリア属性が、住宅街エリアか、スクールゾーンであるエリアの道路は抜け道として抽出されないようにしてもよい。
なお、道路幅やエリア属性は、CAN及びGPSの地図情報により把握できる。
更に又、上記情報に加え、車幅情報も車両走行情報として車両走行情報取得部20により取得され、車載情報生成部24が車載情報の生成に用いるようにしてもよい。例えば、車載器14が搭載された車両の平均的な車幅よりも所定値以上広い道路幅を有する道路を抜け道として、該抜け道を示す抜け道情報を生成してもよい。
なお、該抜け道の情報の有用度である「抜け道度」は、例えば、平均速度に対応した値、或いは平均到達時間に対応した値を抜け道度として求めてもよい。具体的には、平均速度が速いほど、或いは平均到達時間が短いほど、抜け道度が高くなるようにする。
次に、第1道路関連情報として、おすすめスポットの情報を生成する場合について説明する。おすすめスポットは、車両の位置情報と、地図情報とから、単位時間あたりに閾値台数以上の車両が集まる地点や区間或いはエリア(本実施形態では、これらをスポットという)であって、レストランやレジャー施設のような施設情報が地図情報に記憶されている地点を「おすすめスポット」として推定できる。おすすめ度は、例えば、単位時間あたりに集まった車両台数及び平均滞在時間の少なくとも一方に応じた値とすることができる。具体的には、車両台数が多いほど及び平均滞在時間が長いほど、おすすめ度が高くなるようにする。なお、駐車場などをおすすめスポットとして抽出する場合には、逆に閾値台数未満の車両が集まる駐車場をおすすめスポットとしてもよいし、平均滞在時間が閾値未満の駐車場をおすすめスポットとしてもよい。すなわち、施設情報の種類に応じておすすめスポットとして抽出する条件を異ならせるようにしてもよい。
ここでは、第1道路関連情報として、おすすめスポットの情報を例に挙げたが、おすすめではなく、車両台数や平均滞在時間に拘わらず、特定の用途に使用される地点の情報であってもよい(第2道路関連情報においても同様)。
また、ここでは、地点情報と称したが、地点に限らず、所定の広さを有するエリア情報、ある地点からある地点までの区間情報としてもよい。
次に、クラウドワーカ情報を収集して記憶する処理(クラウドワーカ初期投稿処理)について説明する。図5は、情報提供装置12により行なわれるクラウドワーカ初期投稿処理を示す処理ルーチンのフローチャートである。クラウドワーカ初期投稿処理は、予め定められたタイミングで行なわれるか、或いは情報端末装置16から要求があったときに行なわれるようにしてもよい。
ステップS110において、情報提供装置12のクラウドワーカ情報収集部28は、ネットワーク18を介して、第1入力手段(ここでは、情報端末装置16のクラウドワーカ情報入力部50)により入力されたクラウドワーカ情報を収集する。
ステップS112において、クラウドワーカ情報収集部28は、収集したクラウドワーカ情報に位置IDを付与し、該位置IDとクラウドワーカ情報とを対応付けて記憶する。また、クラウドワーカ情報収集部28は、収集したクラウドワーカ情報を、該クラウドワーカ情報が入力された情報端末装置16を識別する端末識別情報或いは該端末を利用する利用者を識別する利用者識別情報と共に、基本情報DB26に記憶するようにしてもよい。
クラウドワーカ初期投稿処理により、新規の内容のクラウドワーカ情報が記憶されることとなり、該記憶されたクラウドワーカ情報も上記車載情報と同様に初期投稿情報として扱われ、後述する評価フィードバックの対象となる。
ここで、クラウドワーカ情報の収集例について図を参照しながら説明する。
図10(A)及び(B)に、情報端末装置16のクラウドワーカ情報入力部50により入力されたクラウドワーカ情報の一例を示す。
この例では、クラウドワーカ情報入力部50がタッチパネルディスプレイ及びカメラにより構成されているが、図10には、タッチパネルディスプレイのみが図示されている。
クラウドワーカは、クラウドワーカ情報入力部50により、以下の情報をクラウドワーカ情報として入力する。
・位置情報
・有用度
・撮影画像情報
・分類タグ情報
・コメント
位置情報は、地点の位置を示す情報であってもよいし、区間を示す情報であってもよいし、範囲(エリア)を示す情報であってもよい。有用度は、クラウドワーカが主観的に判断した有用度であり、例えば、道路関連情報の内容に応じて、危険度や、おすすめ度、抜け道度として、予め定められた範囲内の数値が入力される。撮影画像情報は、位置情報が示す位置の環境を撮影した撮影画像の画像とすることができる。分類タグ情報とは、例えば、「危険地点、抜け道、おすすめ、その他」などのように、第2道路関連情報の内容を示す情報であって、例えば複数のタグに予め定められた内容が付与されており、該複数のタグから1つを選択することで、第2道路関連情報の内容が選択され入力される。コメントは、クラウドワーカの短い簡単な批評や意見であって、必要に応じて入力される。
ここで、位置情報、分類タグ情報、及び有用度は、必須の入力情報とするが、撮影画像情報及びコメントは必須の情報ではなく、付随的な情報とする。有用度以外の情報は第2道路関連情報となる。
図10(A)には、クラウドワーカ情報入力部50により、第2道路関連情報として、おすすめの駐車場の情報が入力された状態が示され、図10(B)には、クラウドワーカ情報入力部50により、第2道路関連情報として、抜け道の情報が入力された状態が示されている。また、図11(A)には、クラウドワーカ情報入力部50により、第2道路関連情報として、危険な交差点の情報が入力された状態が示され、図11(B)には、クラウドワーカ情報入力部50により、第2道路関連情報として、危険な直進路の情報が入力された状態が示されている。なお、図10及び図11において、有用度の図示は省略した。
ここで、例えば、クラウドワーカ情報として、危険地点の情報を例に挙げると、有用度は、危険度と考えられる。仮にクラウドワーカにより「危険度8」と入力されると、基本情報DB26には、図12に示すような形で記憶される。ただし、ここでは、危険度8に関して、正規化したスコア0.8が危険度として記憶されている。
なお、互いに位置情報及び内容が等しい第1道路関連情報及び第2道路関連情報が存在する場合には、基本情報DB26において、各々が関連付けされるように、同じ位置IDに対応付けて記憶されるようにしてもよい。ここで、車載情報及びクラウドワーカ情報において、有用度のみが異なる場合には、先に記憶(投稿)された方の有用度が初期投稿情報に含まれる情報として扱われ、後に記憶された方が後述する評価フィードバックの評価値として扱われるように記憶してもよい。また、予め定められたいずれかの有用度のみが記憶されるようにしてもよいし、値が高い方の有用度又は低い方の有用度のみが記憶されるようにしてもよいし、2つの有用度の平均値が記憶されるようにしてもよい。
上記のように車載情報やクラウドワーカ情報が初期投稿情報として記憶された後は、情報提供部34は、該記憶された初期投稿情報が評価フィードバックの対象とされるように、前述した評価対象情報を車載器14及び情報端末装置16に送信する。また、ある程度の数の評価値が蓄積された後は、情報提供部34は、評価対象情報に代えて提供情報を送信する。
その後、後述するように、車両の運転者により車載器14の評価値入力部44から評価値が入力されると共に、情報端末装置16の利用者により評価値入力部54から評価値が入力され、各々情報提供装置12に送信される。送信された評価値は情報提供装置12の評価値算出部30により受け付けられる(図7の評価値受付処理のフローチャートも参照)。
その後、初期投稿情報に対する評価フィードバックとして、評価値算出処理及び評価値受付処理が行なわれる。
図6は、情報提供装置12により行なわれる評価値算出処理を示す処理ルーチンのフローチャートである。
ステップS200において、情報提供装置12の評価値算出部30は、基本情報DB26に記憶された第1道路関連情報及び第2道路関連情報の少なくとも一方に対して、評価値を算出する。
ステップS202において、評価値算出部30は、算出した評価値を、基本情報DB26に、該当の位置IDに対応付けて記憶する。
例えば、評価値算出部30は、第1道路関連情報として記憶された危険地点に対しては、該第1道路関連情報に関連付けられている危険度とは別に評価値としての危険度を算出する。
評価値算出部30による危険度の算出方法は、車載情報生成部24による算出方法と異ならせ、車載情報生成部24による算出方法よりも精度の高い算出方法を採用すればよい。車載情報生成部24で生成される危険度は、初期投稿情報として、ある程度の精度が担保されていればよく、初期投稿情報として危険度が高いとされている地点のみに対して、評価値算出部30により、より精度高く評価値を算出すればよい。
一例を挙げれば、評価値算出部30は、事前に、車両の走行状態、ドライバが車両を操作したときの操作状態、又は車両の周辺の走行環境を示す環境状態等の車両走行情報を複数種類に分類し、その分類毎に学習データに基づいて、車両走行情報と危険度との対応関係を学習して記憶しておく。複数の車両が存在する場合には、車両の走行状態、及び操作状態については複数の状態を平均した平均的な状態を用いるようにしてもよい。そして、車両走行情報取得部20により取得した車両走行情報と該記憶した対応関係とに基づいて、分類毎に、対応する危険度を求め、総合的な危険度の値を推定する。このように精度高く推定された危険度を評価値として基本情報DB26に記憶する。より具体的な例を挙げれば、例えば、ある地点において検出された後ろ向きの平均加速度が大きければ、急ブレーキをかける車両が多いと推定でき、平均ハンドルの操作量が大きければ、蛇行が急な地点であると推定できる。このように、様々な車両走行情報を予め定められた数式に当てはめる等により組み合わせて用いて、危険度を求める。
もともと初期投稿で危険度が高いとして記憶されている地点のみを抽出して、その地点に関する走行データ(走行速度など)から、上記のように精度高く危険度を算出するため、区間を決めずに例えば日本全国の全ての道に対して上記のように危険度を算出する場合に比べて、算出コストが低くなり、現実的な時間での算出が可能となる。
また、評価値算出部30は、第2道路関連情報として記憶された危険地点に対しても、上記と同様に評価値を算出して基本情報DB26に記憶する。
なお、車載情報生成部24が、評価値算出部30と同様の方法で精度高く危険地点の危険度を推定した場合には、該危険地点の評価値算出部30による評価値の算出を省略してもよい。
また、評価値算出部30は、第2道路関連情報の抜け道に関する初期投稿情報に対して、車載情報生成部24による抜け道度の生成方法と同様に抜け道度を評価値として算出する。ここでは、抜け道という主観的な判断により人手で入力された情報に対して、実際の車両走行情報という客観的な情報を用いて評価値を算出することで、客観的に役に立つ度合いを導出できる。ここでは、評価値算出部30は、車両走行情報に基づいて生成した第1道路関連情報については、抜け道度を算出しないものとする。導出方法が同じだからである。ただし、車載情報生成部24と導出方法が異なる場合には、評価値算出部30により抜け道度を算出してもよい。
また、評価値算出部30は、第2道路関連情報のおすすめスポットに関する初期投稿情報に対して、車載情報生成部24によるおすすめ度の生成方法と同様におすすめ度を評価値として算出する。ここでは、おすすめ度という主観的な判断により人手で入力された情報に対して、実際の車両走行情報という客観的な情報を用いて評価値を算出することで、より客観的に役に立つ度合いを導出できる。ここでは、評価値算出部30は、車両走行情報に基づいて生成した第1道路関連情報については、おすすめ度を算出しないものとする。導出方法が同じだからである。ただし、車載情報生成部24と導出方法が異なる場合には、評価値算出部30によりおすすめ度を算出してもよい。
ここでは、評価値算出部30が、危険度、抜け道度、おすすめ度の各々についての評価値を算出する例について説明したが、これ以外の道路関連情報の有用度(例えば、安全度等)が記憶されている場合には、該道路関連情報の評価値を算出すればよいし、また、これらのうち1つの道路関連情報が記憶されている場合には、該記憶されている道路関連情報を算出すればよい。
図7は、情報提供装置12により行なわれる評価値受付処理を示す処理ルーチンのフローチャートである。
ステップS210において、情報提供装置12の評価値受付部32は、情報端末装置16の評価値入力部54から入力されて情報提供装置12に送信され、基本情報DB26に記憶された第1道路関連情報及び第2道路関連情報の少なくとも一方に対する評価値、及び車載器14の評価値入力部44から入力されて情報提供装置12に送信され、基本情報DB26に記憶された第1道路関連情報及び第2道路関連情報の少なくとも一方に対する評価値を受け付ける。
図13に、車載器14の情報提示部42及び評価値入力部44がタッチパネルディスプレイにより一体的に構成され、該タッチパネルディスプレイに表示された評価対象情報58の表示例を示す。評価対象情報58には、道路関連情報90、及びボタン92、94が含まれている。図13に示す例では、「休日でも比較的空いている駐車場で穴場です」という道路関連情報に対して、車両の運転者は、提示された情報が役に立ったら「良い」のボタン92、役に立たなければ「悪い」のボタン94を押すことにより、車載器14の情報提示部42に提示された情報に対する即座の評価フィードバックをすることができる。ここで、タッチパネルディスプレイを構成するタッチパネルセンサにおいて、ボタン92、94に対応する部分が評価値入力部44に該当する。各ボタンには、評価値が対応付けられていてもよい。例えば、評価値が-1から1の間の値をとる場合には、「良い」と押された場合には、評価値として1が送信され、「悪い」として-1が送信されるようにしてもよい。また、評価値を更に細かく分類して、例えば、10段階程度の評価値が入力できるように構成してもよい。入力された評価値は、位置IDと共に情報提供装置12に送信される。
また、評価値入力部54が音声認識などの機能を有しており、車両の運転者は、音声により評価値を入力するようにしてもよい。このような構成により、図15に示すように、音声認識により、コメントをつけた評価もできる。該コメントは、位置ID及び評価値と共に情報提供装置12に送信される。
図14に、情報端末装置16の情報提示部52に表示された評価対象情報或いは提示情報に対し、情報端末装置16の評価値入力部54から入力された評価値の具体例を示す。図14に示す例は、図12に示す初期投稿情報としての危険地点の情報に対する評価であって、コメントや危険度(例えば-10〜10の数値)などで評価されている。この危険度が「評価値」に相当し、情報端末装置16の操作者の主観で判断された結果が入力される。コメントが危険度と共に入力された場合には、該コメントも危険度と共に情報提供装置12に送信される。
なお、ここでは、評価値として数値を入力する例について説明したが、数値でなくてもよい。例えば、「あまり危険ではない」、「少し危険」、「危険」、「とても危険」、等のように文字により複数の評価レベルを提示して、操作者により選択させるようにしてもよい。複数の評価レベルの各々には、予め評価値を対応付けておき、選択結果に応じた評価値が情報提供装置12に送信されるように評価値入力部54を構成することもできる。或いは、選択結果そのものが評価値として情報提供装置12に送信され、情報提供装置12の評価値受付部32が、該選択結果を数値で表わされた評価値に置換えて基本情報DB26に記憶するようにしてもよい。
そして、ステップS212において、評価値受付部32は、受け付けた評価値を、該当の位置IDに対応する基本情報DB26の記憶領域に記憶する。評価値受付部32は、評価値と共にコメント等の付随情報も受け付けた場合には、該付随情報も対応付けて記憶する。
なお、提示された第1道路関連情報及び第2道路関連情報のうち、同じ情報に対して複数人が評価値やコメントを送信した場合には、図14、図15に示したように、評価値受付部32は、同じ位置IDの評価値及びコメントとして基本情報DB26に記憶して管理する。
以下、評価値算出部30により算出された評価値を「車載自動評価の評価値」と呼称し、評価値受付部32により車載器14から受け付けた評価値を「車載人手評価の評価値」と呼称し、評価値受付部32により情報端末装置16から受け付けた評価値を「Web人手評価の評価値」と呼称して説明する。また、以下では、評価フィードバックにおいて入力された評価値及び評価値以外の評価データ(評価コメント等)の各々を評価情報と呼称する。
ところで、車両の運転者は、車載情報の基となる車両走行情報を、車両を運転することにより間接的に生成して情報提供装置12に送信(投稿)したり、評価情報を送信(投稿)する者であり、情報端末装置16の操作者は、クラウドワーカ情報を入力して情報提供装置12に送信(初期投稿)したり、評価情報を送信(投稿)する者であるため、以下では、車両の運転者及び情報端末装置16の操作者を投稿者と称する場合もある。この場合、車載情報生成部24により生成された車載情報については、車両走行情報取得部20により取得された車両走行情報が検出された車両の運転者が投稿者として扱われる。
図16(A)に、基本情報DB26の記憶例を示す。図16(A)には、危険地点に分類された位置ID「000351」の道路関連情報に対する危険度及びコメントが記憶されている。なお、位置情報や撮影画像等の他の道路関連情報は、ここでは図示を省略した。図16(A)に示すように、投稿者P1の初期投稿に対して、投稿者A〜Dの評価情報が追加的に記憶され(図16(A)のWeb人手評価及び車載人手評価の欄も参照)、また、評価値算出部30により自動的に算出された評価情報(図16(A)の車載自動評価の欄も参照)も記憶されている。
図16(A)に示すように、同じ分類(内容)且つ同じ地点に対する初期投稿情報及び評価情報の各々は、同じ位置IDに対応付けられて管理される。
情報提供装置12の情報提供部34は、予め定められたタイミングにおいて(例えば、評価値受付部32により新たな評価値を受け付けたとき、予め定められた時刻が到来したとき等)、閾値以上の数の評価値が記憶された道路関連情報について、図16(A)に例示した有用度及び評価値の少なくとも1つを用いて評価後の有用度を算出する。
ここで、情報提供装置12の情報提供部34により行なわれる情報提供処理について説明する。図8は、情報提供設定処理を示す処理ルーチンのフローチャートである。情報提供設定処理は、情報提供装置12により上記予め定められたタイミングで行なわれる。
ステップS300において、情報提供装置12の情報提供部34は、基本情報DB26に記憶されている位置IDを1つ抽出する。
ステップS302において、情報提供部34は、抽出した位置IDに対応付けられた評価値の数が予め定められた閾値以上か否かを判断する。情報提供部34は、ステップS302において否定判断した場合には、ステップS304において、抽出した位置IDの道路関連情報が評価対象情報として提示されるように設定し、ステップS312に進む。
一方、情報提供部34は、ステップS302において肯定判断した場合には、ステップS306において、抽出した位置IDの道路関連情報の「評価後の有用度」を算出する。例えば、図16(A)に示す例では、初期投稿情報の有用度、Web人手評価の評価値、車載人手評価の評価値、車載自動評価の評価値の各々が位置IDに対応付けられて記憶されているが、これらの値の少なくとも1つに基づいて、評価後の有用度を算出する。
例えば、評価後の有用度を、初期投稿情報の有用度、Web人手評価の評価値、車載人手評価の評価値、及び車載自動評価の評価値の平均値としてもよい。この場合、図16(A)に示す例では、(0.8-0.3+0.7+1-1+0.5)/6の小数第2位以下を四捨五入して0.3となる。
また、初期投稿情報の有用度には、ノイズが多いことなどが予めわかっている場合には、初期投稿情報の有用度を除く評価値の平均値を、評価後の有用度として算出しても良い。更に又、Web人手評価の評価値、車載人手評価の評価値、及び車載自動評価の評価値の各々が全て記憶されるとは限らない。例えば、Web人手評価の評価値、車載人手評価の評価値、及び車載自動評価の評価値のうち、Web人手評価の情報が集まらない場合もある。このような場合には、記憶されている評価値(或いは、記憶されている評価値及び初期投稿情報の有用度)のみを用いて評価後の有用度を算出するようにしてもよい。
ステップS308において、情報提供部34は、上記算出した評価後の有用度が予め定められた閾値以上か否かを判断する。ここで用いられる閾値は、道路関連情報の内容に応じて予め設定しておくとよい。情報提供部34は、ステップS308において肯定判断した場合には、ステップS310において、抽出した位置IDの道路関連情報が提供情報として提示されるように設定し、ステップS312に進む。また、情報提供部34は、ステップS308において否定判断した場合には、ステップS310の処理は行なわず(すなわち、評価対象情報としての設定を変えず)に、ステップS312に進む。
ステップS312において、情報提供部34は、全位置IDの処理が終了したか否かを判断する。情報提供部34は、ステップS312において否定判断した場合には、ステップS300に戻り、未処理の位置IDを抽出して上記と同様に処理する。また、情報提供部34は、ステップS312において肯定判断した場合には、本処理ルーチンを終了する。
以上のように提供情報として設定された道路関連情報は、情報提供部34により、車載器14や情報端末装置16に送信される。これにより、車載器14の情報提示部42により道路関連情報が提示され、情報端末装置16の情報提示部52により道路関連情報が提示される。また、情報提供部34は、提供情報を送信するタイミングや提示する内容を、記憶された道路関連情報に応じて調整する。
例えば、危険地点として記憶された道路関連情報については、該危険地点から予め定められた距離だけ手前の地点を車両が通過したタイミングで提供する等のタイミング調整が行なわれる。提示内容は、「この先○mで危険地点です」などのように、危険地点の情報そのものを提示してもよい。また、位置IDに対応付けて記憶されたコメントのうち、上記算出した有用度に最も近い有用度(或いは評価値)に対応するコメントを提示するようにしてもよい。また、該危険地点は通過しないように経路選択を行なう等、車両に搭載されたナビゲーションシステムの目的地設定において提示する情報の選択に利用することもできる。これにより、提供情報が間接的に提供される。更に又、危険地点の周辺では、音楽の音量を下げる、危険地点周辺では、経路案内のアナウンスをしない(危険地点から○m離れた安全なエリアで経路案内のアナウンスをする)などのように、危険地点の情報以外の情報を提示する際の提示方法やタイミングなどの制御に用いることもできる。
また、抜け道やおすすめスポット等の道路関連情報については、その情報そのものを提示したり、おすすめスポットを通るように経路選択したりするなど、ナビゲーションシステムの目的地設定で提示する経路情報の選択に利用することもできる。
以上説明したように、本実施形態によれば、車載情報及びクラウドワーカ情報を初期投稿情報として、該初期投稿情報に対して評価フィードバックを行ないつつ、提供情報を選択して提供するようにしたため、利用者に対して有用な道路関連情報を提供することができる。
なお、上記例では、車載自動評価の評価値を、複数車両の平均を利用して算出する例について説明したが、図16(B)に示すように、車両毎にそれぞれの評価値を求めてもよい。
まず、基本情報DB26に記憶された初期投稿情報に含まれる位置情報が示す地点を投稿者の車両が通過した場合に、該通過時の車両走行情報が情報提供装置12に送信されるように車載器14の評価値入力部54を構成する。なお、初期投稿情報に含まれる位置情報は、車載器14が評価対象情報の受信時に取得して保存しておくことができる。
送信された車両走行情報は、車両走行情報DB22に記憶されるか、或いは基本情報DB26に位置IDと共に記憶されるようにしてもよい。評価値算出部30は、該送信された車両走行情報から、車載自動評価の評価値を求める。具体的には、例えば、評価値算出部30は、事前に、該投稿者である運転者が運転する車両の走行状態、ドライバが車両を操作したときの操作状態、又は車両の周辺の走行環境を示す環境状態等の車両走行情報を複数種類に分類し、その分類毎に学習データに基づいて、車両走行情報と危険度との対応関係を学習して記憶しておく。学習データは、投稿者毎に記憶する。そして、初期投稿情報に含まれる位置情報が示す地点を投稿者の車両が通過したときに検出され車両走行情報取得部20により取得された投稿者の車両走行情報と該記憶した対応関係とに基づいて、分類毎に、対応する危険度を求め、総合的な危険度の値を推定する。
このように車両毎に車載自動評価の評価値を求めた場合も、上記と同様に、他の評価値や有用度との平均値を求めて、提供情報を選択することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態では、投稿者の信用度を求め、該信用度を重み付けとして用いて、評価後の有用度を求める例について説明する。図17に、第2実施形態の情報提供システム80の構成を示す。第2実施形態の情報提供システム80は、情報提供装置70、少なくとも1つの車載器14、及び少なくとも1つの情報端末装置16を備えている。情報提供装置70、車載器14及び情報端末装置16は、各々ネットワーク18を介して接続されるが、ここでは図示を省略した。車載器14及び情報端末装置16の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態の情報提供装置70は、第1実施形態の情報提供装置12の構成に加え、信用度算出部36を備えている。信用度算出部36は、基本情報DB26に記憶されている情報から投稿者の信用度を算出する。算出した信用度は基本情報DB26に記憶される。
ここで、投稿者の信用度とは、投稿者が投稿した初期投稿情報及び評価情報がどの程度信用できるか、という投稿者の信用度合いをいう。
信用度は、例えば、次のように算出する。ある地点について、投稿者Aが過去に投稿した有用度或いは評価値と、該有用度及び評価値と同じ位置IDに対する(最新の)評価後の有用度と、の差を求め、その差が大きいほど信用度を低くする。他の地点についても、同様に行ない、投稿者Aについて求めた複数地点の信用度の平均値を、投稿者Aの信用度として算出する。他の投稿者についても同様に信用度を求める。信用度の算出は、予め定められたタイミング(予め定められた時間が経過する毎、システム管理者が算出命令を入力したとき、予め定められた時刻が到来したとき、等)において行なう。従って、信用度の算出には、当該タイミングより前に投稿された有用度や評価値が用いられる。このように、信用度の計算は一度きり行なわれるものではなく、何度も行なわれるため、時間の経過に伴い投稿された初期投稿情報や評価情報に応じて信用度が変化する可能性がある。従って、信用度を重み付けとして用いる場合には、最新の信用度を用いるものとする。
なお、信用度の算出タイミングであるが、例えば、投稿者Aに関する信用度を算出する場合、投稿者Aの投稿量が少なすぎると、精度の高い信用度を算出できないため、投稿者Aの投稿量が予め定められた閾値以上となるまでは、投稿者Aの信用度は算出しないこととしてもよい。
更に又、投稿者Aの投稿量が予め定められた閾値未満の期間は、投稿者Aの有用度や評価値をどの程度信じればよいのかわからないため(信用度を精度高く算出できないため)、投稿者Aの初期投稿情報や評価情報は使用しないか、或いは、投稿者Aの信用度を、最低値或いは基準値に設定して用いるようにしてもよい。
図18に、ある位置IDに対する投稿者の信用度のリストの一例を示す。投稿者P1が初期投稿情報の投稿者であり、A〜Fが評価値の投稿者である。信用度は、投稿者Aが最も高い。逆に投稿者P1及びFの信頼度は最も低い。
仮に、位置ID000351に対して図16(B)に示すように初期投稿情報及び評価情報が記憶されている場合において、図18に示す信用度を重み付け係数として用いて重み付けを行ない、評価後の有用度(ここでは評価後の危険度)を算出すると、
評価後の危険度 = 各投稿者の信用度を重み付けとして用いた危険度の平均値
= {(0.8*0.6)+(-0.3*0.98)+(0.7*0.99)+(1*0.89)+(-1*0.89)+(0.6*0.78)+(0.7*0.6)}/7
= 0.25
となる。
また、信用度が0.7以上の投稿者の危険度のみを利用する場合には、以下に示すように、投稿者A、B、C、D、Eの評価値だけが評価後の有用度の算出に用いられる。
評価後の危険度
= 信用度0.7以上の投稿者の危険度を信用度で重み付けした値の平均値
= {(-0.3*0.98)+(0.7*0.99)+(1*0.89)+(-1*0.89)+(0.6*0.78)}/5
= 0.17
また、比較例として、信用度を用いずに評価後の危険度を算出すると、
評価後の危険度 = 各投稿者の危険度の平均値
=(0.8-0.3+0.7+1-0.6+0.7)/7
=0.36
となる。
このように、評価後の有用度の算出方法として、様々な方法を採用することができるが、情報提供部34の算出方法は予め設定されているものとする。従って、第2実施形態では、情報提供部34は、該設定されている算出方法により評価後の有用度を算出して、該算出した評価後の有用度に基づいて、提供情報を選択して提供する。また、システム管理者等が、情報提供部34における評価後の有用度の算出方法を変更可能に構成してもよい。
また、車載初期投稿処理及びクラウドワーカ初期投稿処理において、信用度を用いて重み付けした有用度が予め定められた閾値より低ければ、初期投稿情報として記憶しないようにしてもよい。
図19は、第2実施形態に係る車載初期投稿処理を示す処理ルーチンのフローチャートである。
ステップS400において、情報提供装置12の車両走行情報取得部20は、ネットワーク18を介して、車両に搭載された車載器14から車両走行情報を取得する。
ステップS402において、車両走行情報取得部20は、取得した車両走行情報を、車両(又は車両を運転する運転者)を識別する識別情報に対応させて、車両走行情報DB22に記憶する。
ステップS404において、情報提供装置12の車載情報生成部24は、車両走行情報DB22に記憶された車両走行情報に基づいて、車載情報を生成する。
ステップS406において、車載情報生成部24は、生成した車載情報の有用度に対して、該車両を運転する運転者(投稿者)の信用度を重み付け係数として用いて重み付けした値(信用度を考慮した有用度と呼称する)を算出する。具体的には、有用度に信用度を乗算した値を、信用度を考慮した有用度として算出する。
ステップS408において、車載情報生成部24は、信用度を考慮した有用度が予め定められた閾値以上であるか否かを判断する。車載情報生成部24は、ステップS408において肯定判断した場合には、ステップS410において、該生成した車載情報に位置IDを付与して基本情報DB26に記憶する。一方、車載情報生成部24は、ステップS408において否定判断した場合には、ステップS410の処理は行なわずに本処理ルーチンを終了する。
なお、ステップS406において使用された信用度は、後述する該運転者の車両許容信用度或いは初期投稿の信用度としてもよい。
図20は、第2実施形態に係るクラウドワーカ初期投稿処理を示す処理ルーチンのフローチャートである。
ステップS420において、情報提供装置12のクラウドワーカ情報収集部28は、ネットワーク18を介して、第1入力手段(ここでは、情報端末装置16のクラウドワーカ情報入力部50)により入力されたクラウドワーカ情報を取得する。
ステップS422において、クラウドワーカ情報収集部28は、取得したクラウドワーカ情報に含まれる有用度に対して、該投稿者の信用度を重み付け係数として用いて重み付けした値(信用度を考慮した有用度)を算出する。信用度を考慮した有用度の算出方法は、上記車載初期投稿処理における算出方法と同様である。なお、ステップS422において使用された信用度は、後述する該投稿者の初期投稿の信用度としてもよい。
ステップS424において、クラウドワーカ情報収集部28は、信用度を考慮した有用度が予め定められた閾値以上であるか否かを判断する。クラウドワーカ情報収集部28は、ステップS424において肯定判断した場合には、ステップS426において、クラウドワーカ情報に位置IDを付与して基本情報DB26に記憶する。一方、クラウドワーカ情報収集部28は、ステップS424において否定判断した場合には、ステップS426の処理は行なわずに本処理ルーチンを終了する。
このように、信用度の影響を考慮した有用度に基づいて初期投稿情報の記憶の可否を判断することにより、信用度の低い投稿者からの初期投稿を避けたり、スパム投稿の掲載を避けたりすることができる。
なお、上記では信用度を投稿者毎に求める例について説明したが、投稿者毎に、初期投稿、Web人手評価、車載人手評価、車載自動評価のそれぞれについての信用度を求めてもよい。
具体的には、まず、投稿者Aが過去に投稿した有用度或いは評価値と、該有用度或いは評価値と同じ位置IDに対する(最新の)評価後の有用度と、の差を求め、その差に応じて、投稿した有用度及び評価値毎に信用度を求める(差が大きいほど信用度を低くする)。そして、求めた信用度の各々を、初期投稿、Web人手評価、車載人手評価、及び車載自動評価に分類し、分類毎に平均値を求める。この分類毎の平均値が、投稿者毎の、初期投稿、Web人手評価、車載人手評価、及び車載自動評価のそれぞれについての信用度である。
ところで、危険地点の情報についての有用度として危険度を用いる場合に、評価後の有用度として算出された危険度と、個々の車両挙動とに基づいて、運転者がどのくらい危険度に合わせて運転しているかを示す度合い(車両挙動信用度)を算出し、初期投稿、Web人手評価、車載人手評価、及び車載自動評価の各々の信用度と共に用いて、評価後の有用度を算出するようにしてもよい。また、車載自動評価の信用度に代えて車両挙動信用度を用いて評価後の有用度を算出してもよい。
ここで、車両挙動信用度の算出方法について説明する。
まず、本実施形態において、基本情報DB26に記憶された初期投稿情報に含まれる位置情報が示す地点を投稿者の車両が通過した場合に、該通過時の車両走行情報が情報提供装置12に送信されるように車載器14の評価値入力部54を構成する。なお、初期投稿情報に含まれる位置情報は、車載器14が評価対象情報の受信時に取得して保存してくことができる。
そして、情報提供装置12の車両走行情報取得部20は、車載器14から該車両走行情報を受け付けると、基本情報DB26に、位置IDに対応付けて、投稿者(車両の運転者)毎に、上記取得した車両走行情報に含まれる車両挙動情報を記憶する。図21に、道路関連情報の記憶状態の一例を示す。本実施形態では、車両挙動情報を、位置IDに対応する位置情報が示す地点で検出された、車両毎の平均加速度及び平均速度を示す情報とするが、車両の挙動が把握できる情報であれば、これらに限定されない。図21に示す例では、投稿者Eの平均速度20km/hと、平均加速度-0.05Gとが車両挙動情報として記憶されており、投稿者Fの平均速度40km/hと、平均加速度-0.35Gとが車両挙動情報として記憶されている。なお、基本情報DB26に記憶される車両挙動情報は、車両走行情報として車両走行情報DB22に記憶されてもよいが、ここでは、基本情報DB26に、位置IDに対応付けて記憶した。
そして、信用度を算出するタイミングが到来したときに、信用度算出部36は、初期投稿、Web人手評価、車載人手評価、及び車載自動評価の信用度を算出する。算出方法は前述した通りである。更に、信用度算出部36は、基本情報DB26に記憶されている車両挙動情報から、車両許容信用度を算出する。具体的に例を挙げて説明すると、位置ID000351の位置情報に示される地点(以下、地点000351という)が危険地点であるという道路関連情報が基本情報DB26に記憶されている場合に、地点000351を走行しているAさんの通行履歴としての車両走行情報が示す後ろ向き方向の平均加速度が大きいほど、また平均速度が遅いほど、Aさんはブレーキを踏んで速度を落として危険地点を走行したことが推定できる。すなわち、危険地点に対応して適切な運転がなされていると推定できる。従って、ここでは、Aさんの車両挙動情報が示す平均速度と平均加速度との組み合わせに応じた算出式或いは平均速度と平均加速度との組み合わせに応じて信用度が登録されたマトリクステーブルから、車両許容信用度を求める。そして、信用度算出部36は、他の地点についても、同様にAさんの車両許容信用度を求め、各地点で求めた車両許容信用度の平均値を最終的なAさんの車両許容信用度として基本情報DB26に記憶する。なお、ここでは車両挙動情報として平均速度及び平均加速度を用いて車両許容信用度を求める例について説明したが、平均加速度及び平均速度のいずれか一方を用いて車両許容信用度を求めてもよい。
なお、ここでは危険地点での車両挙動情報に基づいて車両許容信用度を算出したが、安全地点での車両挙動情報に基づいて車両許容信用度を算出してもよい。例えば、安全地点において、急ブレーキを踏む回数が多い車両の運転者の車両許容信用度を低くする等の算出方法が挙げられる。
車両許容信用度が高いほど、Aさんの車載自動評価の評価値の信頼性が増すため、車載自動評価の評価値に対して、車載自動評価の信用度と共に、或いは車載自動評価の信用度に代えて、車両許容信用度を重み付けに用いることができる。具体的には、車載自動評価の評価値に車両許容信用度を乗算する。
図22に、投稿者毎の各信用度の算出結果を示す。
ここで、図21に示す投稿形式と、図22に示す信用度を照らし合わせると、利用すべき信用度は図22のハッチングをしている信用度となる。従って、情報提供部34は、各投稿者に対応する危険度に対して、ハッチングされた信用度を乗算して、評価後の危険度を算出することができる。また、他のバリエーションとして、評価値算出部30は、投稿者毎に、初期投稿の信用度、Web人手評価の信用度、車載人手評価の信用度、車載自動評価の信用度(車載自動評価の信用度に代えて、或いは車載自動評価の信用度と共に車両許容信用度を用いてもよい)等のような個別の信用度と共に、図18に例示した投稿者毎の信用度(総合信用度という)を更に用いて評価後の危険度を算出することができる。
例えば、総合信用度が0.7以上の投稿者の危険度のみを利用し、個別信用度を重み付け係数として用いて評価後の危険度を算出する場合、以下のように算出される。
評価後の危険度 = {(-0.3*0.98)+(0.7*0.99)+(1*0.98)+(-1*0.98)}/4 = 0.1
このように、例えば、Web人手評価の信用度は高くても、急ブレーキが多く車載器14からの車両走行情報による車載自動評価の信用度或いは車両許容信用度が低い投稿者や、逆にWeb人手評価の信用度は低くても、運転は適切で車両許容信用度が高い投稿者など、挙動に合わせた信用度の設定が可能となり、評価後の危険度をきめ細やかに算出できる。
なお、上記では危険地点の危険度を例に挙げて、車両毎に車載自動評価の評価値としての危険度を求めたり車両許容信用度を求めたりする例について説明したが、抜け道度についても、車両毎に抜け道度を求めたり車両許容信頼度を求めることができる。
例えば、評価値算出部30は、車両Fが経路Aを走行する際の車両走行情報としての(平均速度、経路Aの距離)と、経路Bを走行する際の車両走行情報としての(平均速度、経路Bの距離)とに基づいて、投稿者Fの車両の抜け道度を求める。
図23に、経路A及び経路Bの各々について、平均速度と経路の距離とから、平均到達時間を計算したときのグラフを示す。図23において、縦軸は「経路Aを走行した場合の平均到達時間」、図23の横軸は「経路Bを走行した場合の平均到達時間」を示す。以下、グラフ上の線の各々について説明する。
1)実線3上に平均到達時間がプロットされる場合は、経路Aと経路Bとの平均到達時間に全く差がないことを示すため、経路Aも経路Bも抜け道ではない。
2)破線2から実線3の間に平均到達時間がプロットされる場合は、経路Aに比べて経路Bの方が平均到達時間が短いことを示すので、経路Bは抜け道ではあるが、経路Bの抜け道度は低い。
3)破線1から破線2の間に平均到達時間がプロットされる場合は、経路Aに比べて経路Bの方が2)の場合よりも更に平均到達時間が短いことを示すので、経路Bは抜け道であって、経路Bの抜け道度は中程度である。
4)縦軸から破線1の間に平均到達時間がプロットされる場合は、経路Aに比べて経路Bの方が3)の場合よりも更に平均到達時間が短いことを示すので、経路Bは抜け道であって、経路Bの抜け道度は大きい。
5)破線4から実線3の間に平均到達時間がプロットされる場合は、経路Bに比べて経路Aの方が平均到達時間が短いことを示すので、経路Aは抜け道ではあるが、経路Aの抜け道度は低い。
6)破線4から破線5の間に平均到達時間がプロットされる場合は、経路Bに比べて経路Aの方が5)の場合よりも更に平均到達時間が短いことを示すので、経路Aは抜け道であって、経路Aの抜け道度は中程度である。
7)横軸から破線5の間に平均到達時間がプロットされる場合は、経路Bに比べて経路Aの方が6)の場合よりも更に平均到達時間が短いことを示すので、経路Aは抜け道であって、経路Aの抜け道度は大きい。
なお、抜け道度の大中小は、それぞれ下記のように数値化してもよい。
・抜け道度大=抜け道度90%
・抜け道度中=抜け道度75%
・抜け道度小=抜け道度60%
また、信用度算出部36により、車両毎にエリアを限定して、「車両挙動信用度」を求めることもできる。図24は、投稿者Cの車両の走行エリアを表わした図である。
a)最も濃い網点で表現された部分A1は、投稿者Cの車両が頻繁に走行するエリアを表わす。
b)A1より薄い網点で表現された部分A2は、投稿者Cの車両が比較的よく走行するエリアを表わす。
c)A2より薄い網点で表現された部分A3は、投稿者Cの車両が時々走行するエリアを表わす。
d)A3より外側の網点表現がなされていない部分A4は、投稿者Cの車両がほとんど走行しないエリアを表わす。
このように、A1からA4にいくに従って走行頻度が低くなる。そして、それぞれのエリアに対して、車両挙動信用度を付与する。
車両許容信用度の数値は、例えば、a)90%、b)70%、c)60%、d)50%とする。すなわち、本例では、車両が通行するエリアの情報を、車両許容信用度を導き出すための車両走行情報として用いている。
ここで、図25に示す道路が、「抜け道」として基本情報DB26に記憶された場合を考える。図25に示される区間を、図24の各エリアと照らし合わせると、投稿者Cの車両挙動信用度は90%である。同様にして、他の車両に対しても、車両挙動信用度を求める。そして、図22に示す結果が得られたと仮定する。
この結果を用いて、車両挙動信用度70%以上の車両のデータのみを使って「評価後の有用度」としての抜け道度を求める場合には、投稿者P1と投稿者Cの抜け道度のみを用いて、例えば、平均値を算出する等の方法により求める。
このような方法で、あるエリアをよく走行する車両のデータのみを用いて評価することにより、その場所に不慣れな車両の走行データを加えずに抜け道度を評価できる。
なお、おすすめスポットについての、評価フィードバックの具体例は、単位時間あたりに集まった車両台数及び平均滞在時間の少なくとも一方に基づいて、おすすめ度を算出する等の手法が挙げられる。更に又、他の道路関連情報、例えば、安全と推定される道路の安全度などについても、例えば、車両毎に評価値を入力したり、平均速度や平均加速度等に基づいて(平均速度が速いほど信用度が高い、等、危険度と逆方向に捉えることができる)、車両挙動信用度を求めたりすることができ、それらを評価後の評価値の算出に使用することができる。