従来のゲームシステムでは、接続異常が生じた端末装置をオンラインで進行しているゲームから切り離し、残された端末装置間でゲームを続行させる一方で、切り離された端末装置では、ゲームを強制的に終了させるか、あるいは、オフライン状態でコンピュータが対戦相手に成り代わってゲームが進められるといった例が大半である。このような取り扱いは、接続異常が解消するまで他のユーザを待たせることが適当でない場合等にはやむを得ないものである。しかしながら、場合によってはそのような処理がユーザに不利益をもたらすおそれがある。一例として、サーバ装置におけるゲーム処理が他のユーザに対して影響を及ぼさないか、あるいは及ぼしてもその影響が軽微である場合、あるいは接続異常が生じた端末装置のユーザがゲームから脱退することが他のユーザにとって不利益をもたらす場合等には、従来の処理が必ずしも適当とは言い難い。
そこで、本発明はサーバ装置に対する接続に異常が生じた端末装置のユーザの利益と、接続が確保されている他の端末装置のユーザとの利益とを合理的に調和させることが可能なゲームシステム等を提供することを目的とする。
本発明のゲームシステムは、ネットワーク(5)を介して相互に接続可能な複数の端末装置(4)及びサーバ装置(2)を含み、前記サーバ装置におけるゲーム処理に従って前記複数の端末装置のユーザを共通のゲームに参加させて該ゲームをプレイさせることが可能とされたゲームシステム(1)において、各端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じているか否かを判別する接続判別手段(23(S1、S6、S33);23(S51、S58))と、いずれかの端末装置に関して前記接続に異常が生じたと判別された場合、前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されている前記サーバ装置のゲーム処理を中断して前記接続の回復を待つべきか否かを前記ゲームの状況に応じて判別する中断判別手段(23(S3、S4);21(S71、S72))と、前記ゲーム処理を中断すべきと判断された場合には、前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理を中断させるとともに、前記接続の回復に対応して中断されたゲーム処理を再開させ、前記ゲーム処理を中断すべきはないと判断された場合には前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理を所定の代替処理を利用して続行させる中断制御手段(23(S5、S8、S10)、21(S22、S24、S26);21(S73、S74、S78)、23(S54、S56、S60、S81、S84、S85))とを備えたものである。
また、本発明のゲーム処理中断制御方法は、ネットワーク(5)を介して相互に接続可能な複数の端末装置(4)及びサーバ装置(2)を含み、前記サーバ装置におけるゲーム処理に従って前記複数の端末装置のユーザを共通のゲームに参加させて該ゲームをプレイさせることが可能とされたゲームシステム(1)に適用されるゲーム処理中断制御方法であって、各端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じているか否かを判別する手順(S1、S6、S33;S51、S58)と、いずれかの端末装置に関して前記接続に異常が生じたと判別された場合、前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されている前記サーバ装置のゲーム処理を中断して前記接続の回復を待つべきか否かを前記ゲームの状況に応じて判別する手順(S3、S4;S71、S72)と、前記ゲーム処理を中断すべきと判断された場合には、前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理を中断させるとともに、前記接続の回復に対応して中断されたゲーム処理を再開させ、前記ゲーム処理を中断すべきはないと判断された場合には前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理を所定の代替処理を利用して続行させる手順(S5、S8、S10、S22、S24、S26;S73、S74、S78、S54、S56、S60、S81、S84、S85)とを備えたものである。
さらに、本発明に係るコンピュータプログラムは、ネットワーク(5)を介して相互に接続可能な端末装置(4)及びサーバ装置(2)としてそれぞれ機能する複数のコンピュータ装置を含み、前記サーバ装置におけるゲーム処理に従って前記複数の端末装置のユーザを共通のゲームに参加させて該ゲームをプレイさせることが可能とされたゲームシステムに適用されるコンピュータプログラムであって、前記複数のコンピュータ装置のうち、少なくとも一部のコンピュータ装置を、各端末装置と前記サーバ装置との間の接続に異常が生じているか否かを判別する接続判別手段(23(S1、S6、S33);23(S51、S58))、いずれかの端末装置に関して前記接続に異常が生じたと判別された場合、前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されている前記サーバ装置のゲーム処理を中断して前記接続の回復を待つべきか否かを前記ゲームの状況に応じて判別する中断判別手段(23(S3、S4);21(S71、S72))、及び前記ゲーム処理を中断すべきと判断された場合には、前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理を中断させるとともに、前記接続の回復に対応して中断されたゲーム処理を再開させ、前記ゲーム処理を中断すべきはないと判断された場合には前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理を所定の代替処理を利用して続行させる中断制御手段(23(S5、S8、S10)、21(S22、S24、S26);21(S73、S74、S78)、23(S54、S56、S60、S81、S84、S85))として機能させるように構成されたものである。
本発明によれば、いずれかの端末装置とサーバ装置との間にて接続に異常が生じた場合、その時点でのゲームの状況に応じてサーバ装置のゲーム処理を中断させるべきか否かが判別され、中断させるべきと判断された場合には接続に異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているサーバ装置のゲーム処理が中断される。そして、接続の回復に対応して中断されたゲーム処理が再開される。一方、中断させるべきではないと判断された場合には、接続に異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているサーバ装置のゲーム処理が所定の代替処理を利用して続行される。このように、接続に異常が生じた時点でのゲームの状況に応じてゲーム処理の中断の要否を判別しているので、ゲームの状況の判断基準を適切に設定することにより、接続が確保されている端末装置のユーザの利益を過度に損なわない範囲で接続異常が生じた端末装置のユーザに対してゲーム処理の中断によって一定の利益を保証することができる。それにより、接続に異常が生じた端末装置のユーザの利益と、接続が確保されている他の端末装置のユーザとの利益とを合理的に調和させることが可能である。
本発明の一形態において、前記中断判別手段(23(S3、S4))は、前記異常が生じたと判別された場合、前記異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理の中断が他のユーザに与える影響の大小を前記ゲームの状況として判別し、前記影響が相対的に小さい場合には前記ゲーム処理を中断すべきと判断し、前記影響が相対的に大きい場合には前記ゲーム処理を中断すべきではないと判断するものとしてもよい。これによれば、接続に異常が生じた端末装置に関するゲーム処理を中断させても他のユーザに与える影響が相対的に小さい場合には異常が生じているユーザの利益が優先されてゲーム処理が中断し、中断の影響が相対的に大きいときは他のユーザの利益が優先されてゲーム処理が中断されない。それにより、ユーザ間の利益を好適に調和させることができる。
上記の形態において、前記中断判別手段は、前記異常が生じたと判別された時点で該異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理が、当該異常が生じたユーザと他の端末装置のユーザとの間に関わりが生じない第1の段階(図2の処理段階A)であるときは前記影響が相対的に小さいと判別し、前記関わりが生じる第2の段階(図2の処理段階B)であるときは前記影響が相対的に大きいと判別してもよい。これによれば、ゲーム処理が、他のユーザとの関わりが生じない段階にあるときはそのゲーム処理が中断され、他のユーザには中断の影響が及ばない。一方、ゲーム処理が他のユーザとの関わりが生じる段階にあるときは、そのゲーム処理それ自体は所定の代替処理を通じて続行される。これにより、他のユーザは引き続きゲームをプレイすることができ、看過できない不利益が生じるおそれはない。
さらに、前記ゲーム処理における各段階が、前記第1の段階又は前記第2の段階のいずれに区分されるかを記述した区分情報が前記サーバ装置上に記録され、前記中断判別手段は、前記区分情報に従って、前記異常が生じたと判別された時点で該異常が生じた端末装置に関連付けて実行されているゲーム処理が前記第1の段階又は前記第2の段階のいずれにあるかを判別してもよい。これによれば、予め設定された区分に従って中断の可否を確実に判別することができる。
本発明の他の形態において、前記中断判別手段(21(S71、S72))は、前記共通のゲームに参加している特定のユーザのユーザ端末装置に関して前記接続の異常が生じた場合、当該特定のユーザを前記共通のゲームから脱退させることが同一の共通ゲームに参加している他のユーザに与える影響の大小を前記ゲームの状況として判別し、前記影響が相対的に大きい場合には前記ゲーム処理を中断すべきと判断し、前記影響が相対的に小さい場合には前記ゲーム処理を中断すべきではないと判断するものとしてもよい。この形態によれば、接続に異常が生じた端末装置のユーザが脱退すると、他のユーザに大きな影響が生じる場合、ゲーム処理を中断して接続の回復によるユーザの復帰を待ち、ユーザの脱退が与える影響が小さい場合にはゲーム処理を続行させることができる。それにより、ユーザ間の利益を好適に調和させることができる。
上記の形態において、前記中断判別手段は、前記共通のゲームにおけるユーザの成績を参照して、該特定のユーザの成績が優れているほど前記影響が相対的に大きく評価されるように前記影響の大小を判別してもよい(S71)。例えば協力型のゲームを共通のゲームとして実行している場合には、成績が優れたユーザが脱退すると他のユーザが思うようにゲームを進めることができない。あるいは対戦型のゲームであっても、成績が優れたユーザが脱退すればゲームの興趣が損なわれる。したがって、脱退するユーザの成績が優れているほど影響が相対的に大きく評価されるものとすれば、ユーザの脱退が他のユーザに与える不利益を低減することができる。
また、前記中断制御手段は、前記中断後の経過時間が所定の待機時間に達しても前記接続が回復しない場合、前記代替処理へと移行するように構成されてもよい(S77)。これによれば、中断に伴う他のユーザの待機が無制限に続くおそれを排除し、待機が長引くことによって生じ得る不利益の増大を抑え、あるいは不利益の発生を阻止することができる。
さらに、前記中断制御手段は、前記影響が相対的に大きいほど前記待機時間が長くなるように前記影響の大小に応じて前記待機時間を変化させてもよい(S73)。この形態においては、ユーザが脱退した場合の影響が大きいほど他のユーザはゲーム処理の再開をより長く待つことができる傾向を利用して待機時間を適切に設定することができる。
また、前記中断制御手段は、前記ゲーム処理を中断すべきと判断された場合、前記共通のゲームに参加している全てのユーザに関連付けられたゲーム処理を中断させるものとしてもよい。この場合は脱退したユーザが復帰するまで共通のゲームを停止させ、待機中に意図せずにゲームが進むおそれを排除することができる。
本発明の一形態において、前記中断制御手段は、前記代替処理として、前記異常が生じた端末装置のユーザに代わる仮想的なユーザをコンピュータ(2B)により生成し、該仮想的なユーザの指示に従って前記ゲーム処理を続行させるものとしてもよい。これによれば、中断をさせるべきではないと判断された場合に、コンピュータの処理を利用して他のユーザにゲームを遅滞なく続行させることができる。
上記の形態においては、前記代替処理の開始後に前記接続が回復した場合、前記仮想的なユーザに代わって前記接続が回復した端末装置の実在のユーザを前記共通のゲームに復帰させる復帰手段(23(S34))をさらに備えてもよい。これによれば、接続の異常によって共通のゲームから切り離されたユーザに対してゲームに復帰する機会を与えることができる。
本発明の一形態において、前記サーバ装置は、前記端末装置を遠隔入出力装置として利用しつつ該端末装置のユーザに前記ゲームをプレイさせるために必要な演算処理を実行する主体となる仮想ゲーム機サーバ部(2B)を含み、前記接続判別手段は、前記端末装置と前記仮想ゲーム機サーバ部との間の接続に異常が生じているか否かを判別するものとしてもよい。これによれば、接続に異常が生じた場合でも、その端末装置に対応するゲームの演算処理の主体がサーバ装置側に存在するため、代替処理を通じたゲーム処理の続行を容易に実現することができる。
本発明の一形態においては、前記端末装置がユーザの個人用途に供されるユーザ端末装置(4)であってもよい。ユーザ端末装置は商業用途のゲーム機と相違して稼動率の制約がないため、中断によって各ユーザを待たせても比較的差し支えがない。そのため、本発明を好適に適用することができる。
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
以上に説明したように、本発明によれば、接続に異常が生じた時点でのゲームの状況に応じてゲーム処理の中断の要否を判別しているので、ゲームの状況の判断基準を適切に設定することにより、接続が確保されている端末装置のユーザの利益を過度に損なわない範囲で接続異常が生じた端末装置のユーザに対してゲーム処理の中断によって一定の利益を保証することができる。それにより、接続に異常が生じた端末装置のユーザの利益と、接続が確保されている他の端末装置のユーザとの利益とを合理的に調和させることが可能である。
(第1の形態)
以下、本発明の一形態に係るゲームシステムを説明する。まず、図1を参照して、ゲームシステムの全体構成を説明する。ゲームシステム1は、サーバ群2と、サーバ群2に所定のネットワーク5を介して接続可能な多数のゲーム機3と、同じくサーバ群2にネットワーク5を介して接続可能な多数のユーザ端末装置4とを含む。サーバ群2は本発明のサーバ装置として機能するコンピュータ装置の集合である。そのサーバ群2には、ゲーム機3やユーザ端末装置4に対して提供すべき機能に応じて、ゲーム管理サーバ部2A、仮想ゲーム機サーバ部2B等といった各種のサーバ部が含まれている。サーバ部2A、2Bが提供する機能については後述する。なお、サーバ部2A、2B…のそれぞれは、単一の物理的なサーバユニットによって構成されてもよいし、複数の物理的なサーバユニットを組み合せた論理的な装置として構成されてもよい。
ゲーム機3は、所定のプレイ料金の支払いと引き換えに、そのプレイ料金に対応した範囲でユーザにゲームをプレイさせる商業用(業務用)のゲーム機として構成されている。この種のゲーム機3は、アーケードゲーム機と呼ばれることがある。ゲーム機3は、多数のユーザにゲームを繰り返しプレイさせて収益を上げることを主たる目的として店舗6等の所定の施設に設置されるコンピュータ装置である。なお、店舗6には一以上の適宜数のゲーム機3が設置される。図1では、ゲーム機3を区別せずに描いているが、そのハードウエア構成やゲームの内容は適宜に選択されてよい。ゲーム機3は、特定のゲームに適合する物理的構成(例えば操作部等)を備えた専用機として構成されてもよいし、ソフトウエアの書き換えにより種々のゲームに対応可能な汎用機として構成されてもよい。
一方、ユーザ端末装置4は、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供されるコンピュータ装置である。例えば、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ(以下、PCと表記する。)4a、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)のようなモバイル端末装置4bがユーザ端末装置4として利用される。その他にも、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末装置といった、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供される各種のコンピュータ装置がユーザ端末装置4として利用されてよい。ユーザ端末装置4は、各種のコンピュータソフトウエアを実装することにより、サーバ群2が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。
ネットワーク5は、サーバ群2の各サーバ部2A、2B…に対してゲーム機3及びユーザ端末装置4をそれぞれ接続させることができる限り、適宜に構成されてよい。一例として、ネットワーク5は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成される。典型的には、WANとしてのインターネット5Aと、サーバ群2及びゲーム機3のそれぞれとインターネット5Aとを接続するLAN5B、5Cとがルータ5Dを介して接続されることにより構築される。ユーザ端末装置4も適宜の構成によりインターネット5Aに接続される。なお、ゲーム機3と店舗6のルータ5Dとの間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機3がサーバ群2と通信可能に接続されてもよい。サーバ群2のサーバ部2A、2B…は、LAN5Cに代えて、又は加えてWAN5Aにより、相互に接続されてもよい。
ゲーム管理サーバ部2Aは、ゲーム機3及びユーザ端末装置4のそれぞれのユーザに対して、所定のゲームをプレイするために必要な各種のサービスを提供する。例えば、ゲーム管理サーバ部2Aは、ゲーム機3等からユーザの識別情報を受け取ってそのユーザを識別するサービス、ユーザがゲームをプレイした結果(進行状況、成績、スコア、獲得アイテム等)を記録したプレイデータをゲーム機3から受け取って保存し、あるいはゲーム機3のユーザに提供するサービス、ネットワーク5を介して複数のユーザが共通のゲームをプレイする際にユーザ同士をマッチングさせるサービス、ネットワーク5を介してゲーム機3のプログラムあるいはデータを更新するサービス等を提供することができる。なお、ユーザの識別情報は、ユーザを一意に識別できるものであればよい。例えば、ユーザ毎にユニークに設定されるユーザID、ユーザが所持するカード等の記憶媒体に記録された媒体ID等がユーザの識別情報として利用される。
一方、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、ゲーム機3にてプレイ可能なゲームと同一のゲームをユーザ端末装置4のユーザにプレイさせるサービスを提供する。そのサービスの実現のため、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、サーバ用のオペレーティングシステム上にゲーム機3と同一のアプリケーション動作環境を構築し、その動作環境にてゲーム機3と同一のゲームを実行するためのアプリケーションプログラムを動作させる。アプリケーションの動作により、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、ユーザ端末装置4からユーザの入力操作の情報を受け取り、その情報を参照しつつゲームの進行に必要な演算処理を実行する。さらに、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、演算処理の結果として得られたゲーム画像や音声のデータをユーザ端末装置4に送信し、ユーザ端末装置4の表示装置や音声再生装置にゲーム画像やゲーム音声を出力させる。つまり、仮想ゲーム機サーバ部2Bは、ユーザ端末装置4を遠隔入出力端末として利用しつつ、ゲーム機3と同様の仮想的なゲーム機を論理的装置として生成し、その仮想的なゲーム機の制御の下でユーザ端末装置4のユーザにゲーム機3と同様のゲームをプレイさせる機能を備えている。ユーザ端末装置4のユーザは、仮想ゲーム機サーバ部2Bによって生成される仮想ゲーム機を介して、ゲーム機3と同様にゲーム管理サーバ部2Aが提供する上述したサービスを享受することができる。したがって、ユーザ端末装置4のユーザは、ゲーム機3のユーザと同様に、ゲーム管理サーバ部2Aのサービスを利用して他のユーザと共通のゲームに参加し、対戦プレイや強力プレイを楽しむことができる。
さらに、図示を省略したが、サーバ群2には、ユーザ端末装置4からアクセスするユーザに対して各種のWebサービスを提供するサーバ部、ユーザに対して、有償サービスを提供する対価としての料金を徴収するサービスを提供するサーバ部も設けられている。Webサービスとしては、例えば、Webサイトを通じてゲームに関する各種の情報をユーザに提供するゲーム情報サービス、ユーザによる情報発信、交換、共有といった交流の場を提供するコミュニティサービスといったサービスがある。また、課金サービスは、例えば、ユーザ毎の仮想通貨の口座をサーバ群2上に開設し、ユーザが現金やクレジットカード等の決済手段を利用して所定の代金を支払うと、その代金に相当する量の仮想通貨をそのユーザの口座に加算される。一方、ユーザが有償サービスを利用する場合には、そのユーザの口座から利用料金に相当する量の仮想通貨を消費する、といった手法により実現される。ゲームのプレイ料金もその利用料金の一種に含まれている。したがって、ユーザは自己の口座に保持されている仮想通貨を消費させることによりゲームのプレイ料金を支払うことが可能である。
上述したゲームシステム1においては、サーバ群2と、ゲーム機3あるいはユーザ端末装置4との間の接続に異常が生じると、ゲームの進行に不都合が生じることがある。特に、ユーザ端末装置4と仮想ゲーム機サーバ部2Bとの間の接続に異常が生じた場合、仮想ゲーム機サーバ部2Bがユーザの操作情報を取得できず、またユーザ端末装置4は仮想ゲーム機サーバ部2Bからの映像データ等を取得できないため、ゲームを進行させることができない。ユーザ端末装置4は遠隔入出力端末装置であり、ゲームの進行を自ら制御する手段を有しない。そのため、ゲームを進行させるためには、仮想ゲーム機サーバ部2Bとの接続の回復を待つしかない。一方、ユーザ端末装置4のユーザを含む複数のユーザが共通のゲームに参加しているといった状況では、ユーザ端末装置4に関して接続の回復を待つことが必ずしも適当ではないこともある。そこで、ゲームシステム1では、ユーザ端末装置4と仮想ゲーム機サーバ部2Bとの間の接続に異常が生じた場合、その時点でのゲームの状況に応じてサーバ群2のゲーム処理を中断させるか否かを切り替え制御する仕組みが実装されている。以下、図2を参照してその一例を説明する。
図2では、サーバ群2のゲーム処理に従ってゲームが進行する様子の一例を示している。サーバ群2では、ゲーム管理サーバ部2Aと仮想ゲーム機サーバ部2Bとが協働して各種の処理が所定の手順に従って実行されるが、ここでは特定のユーザ端末装置4に関連付けてサーバ群2が実行するゲーム処理を処理段階A、処理段階Bで区分して示している。処理段階Aは、他のユーザ(つまり特定のユーザ端末装置4のユーザとは異なるユーザ)との関わりが生じない段階の処理である。例えば、ゲームの開始時に実行されるべきユーザ認証処理が処理段階Aに該当する。ユーザ認証処理は、仮想ゲーム機サーバ部2Bがユーザ端末装置4からユーザ認証に必要な情報(例えばユーザの識別情報とパスワード)を取得し、それらをゲーム管理サーバ部2Aに通知してユーザを特定し、そのユーザに対応するプレイデータ等を仮想ゲーム機サーバ部2Bに呼び込む処理である。したがって、その一連の手順において、他のユーザが関わることはない。また、ユーザにゲームに関する説明や告知の画面を閲覧させる処理、ユーザにゲームのモードを選択させるといった処理も処理段階Aに含み得る。
一方、処理段階Bは、他のユーザとの関わりが生じる段階の処理である。例えば、ユーザ端末装置4のユーザを他のユーザとマッチングさせる処理、あるいはマッチングされたユーザ同士で麻雀ゲーム等の対戦ゲームをプレイさせるといった処理が処理段階Bに該当する。それらの処理は、特定のユーザ端末装置4と関連付けて実行される処理であるが、その処理の手順では他のユーザの操作情報、あるいは他のユーザのスキル、レベルといったパラメータが処理結果に影響を及ぼす。言い換えれば、処理段階Bでは、特定のユーザ端末装置4のユーザに関する情報のみでゲーム処理を進めることができない。
処理段階A、処理段階Bの区分は、特定のユーザ端末装置4に関して接続異常が生じた場合に、そのユーザ端末装置4に関連付けて実行されているゲーム処理を中断させても他のユーザに与える影響が相対的に小さい(つまり、影響が及ばないか、あるいは、許容し得る程度の軽微な影響しか及ばない)場合には処理段階A、影響が相対的に大きい場合には処理段階Bとして定めればよい。処理段階A、Bの時間的前後関係は問わない。つまり、図2では処理段階Aを経て処理段階Bが実行されるが、その後に処理段階Aに区分される処理が存在することもあり得る。
ゲーム処理の開始後、ユーザ端末装置4と仮想ゲーム機サーバ部2Bとの間に回線切断等の異常が生じた場合、異常が生じたユーザ端末装置4に関連付けて実行されているゲーム処理が処理段階A、処理段階Bのいずれであるかによってゲーム処理を中断すべきか否かが変化する。例えば、処理段階Aにあるときに回線が切断された場合、ゲーム管理サーバ部2A及び仮想ゲーム機サーバ部2Bはゲーム処理を中断し、接続の回復に備えて待機する。そして、接続が回復すると、ゲーム処理を中断時点の状態から再開する。一方、処理段階Bにあるときに回線が切断された場合、ゲーム管理サーバ部2A及び仮想ゲーム機サーバ部2Bは所定の代替処理を実行することによりゲーム処理それ自体は続行させる。
代替処理の内容は適宜に設定することができる。例えば、マッチング処理の実行中に回線が切断された場合、仮想ゲーム機サーバ部2Bによってユーザに代わる仮想的なユーザを生成し、その仮想的なユーザの指示を参照しつつ仮想ゲーム機サーバ部2Bとゲーム管理サーバ部2Aとの間でマッチング処理を続行させることによって代替処理を実現してもよい。マッチングが完了してもなお接続が回復しない場合、仮想ゲーム機サーバ部2Bが生成した仮想的なユーザが、ユーザ端末装置4の実在するユーザに代わってゲームをプレイし、ゲーム管理サーバ部2Aは仮想ゲーム機サーバ部2Bとの間で操作情報等を送受信しつつゲームを進行させてもよい。例えば、麻雀ゲームであれば、仮想ゲーム機サーバ部2Bが生成した仮想的なユーザが実在のユーザに代わって牌を入れ替えるといった処理を行うことにより、ゲーム処理を続行させることができる。代替処理による続行中に接続が回復すると、仮想ゲーム機サーバ部2Bは代替処理を中止し、回復時点の状態から、実在のユーザをゲームに復帰させる。ただし、待機不可能と判断された時点で、接続異常が生じたユーザ端末装置4のユーザを共通のゲームから切り離し、接続が確保されているユーザ間で共通のゲームを代替処理によって続行させる一方で、異常が生じたユーザ端末装置4のユーザに対しては、接続の回復後にいわゆるスタンドアローン状態でゲームを進行させてもよい。この場合、一旦ゲームから切り離されたユーザが共通のゲームに復帰することはない。なお、接続異常が生じたユーザ端末装置4のユーザに代わる仮想ユーザを生成しない場合、ゲーム管理サーバ部2Aあるいは仮想ゲーム機サーバ部2Bは、代替処理として、接続に異常が生じたユーザ端末装置4のユーザを共通のゲームから脱退させ、接続が確保されている残りのユーザのみを参加者として共通のゲームを実行させる処理を実行してもよい。
以上のように、ゲームシステム1では、接続異常の発生時点におけるゲームの状況として、サーバ群2におけるゲーム処理の内容を参照し、処理を中断して待機すべきか否かを切り替えている。したがって、接続異常の発生によりユーザ端末装置4のユーザを直ちにサーバ群2によるゲーム処理の対象から切り離すのではなく、他のユーザに許容限度を超える不利益的な影響を与えない範囲で接続の回復を待ってサーバ群2のゲーム処理を続行させることができる。それにより、接続異常が生じたユーザ端末装置4のユーザの利益と、サーバ群2のゲーム処理に従ってゲームに参加し、又は参加しようとしている他のユーザの利益とを合理的に調和させることができる。
次に、図3を参照して、上述したゲーム処理の中断又は続行を切り替え制御するためのゲームシステム1の制御系の要部を説明する。図3に示すように、ゲーム管理サーバ部2Aには、ゲームサービス管理部21及び記憶部22が設けられている。ゲームサービス管理部21は、ゲーム管理サーバ部2Aのコンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)と所定のサーバ用コンピュータプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。ゲームサービス管理部21は上述した各種のゲームサービス(ユーザの認証やマッチング等のサービス)をゲーム機3及びユーザ端末装置4のユーザに対して提供する。
記憶部22はハードディスクアレイ等の記憶ユニットによって実現される外部記憶装置である。記憶部22は、一の記憶ユニット上に全てのデータを保持するように構成されてもよいし、複数の記憶ユニットにデータを分散して記憶するように構成されてもよい。記憶部22には各種のデータが記録されるが、図3ではプレイデータD1のみが示されている。プレイデータD1は、上述したように、各ユーザのゲームのプレイ状況(履歴、進度、結果、成績、レベル等を含む。)を保存したユーザ毎のデータである。プレイデータD1は、ユーザがゲームを前回の続きからプレイする場合に参照されるが、レベルが近似したユーザ同士をマッチングさせるといった目的から、サーバ群2のゲーム処理においても適宜に参照される。
一方、仮想ゲーム機サーバ部2Bには、仮想ゲーム機制御部23が設けられている。仮想ゲーム機制御部23は、仮想ゲーム機サーバ部2Bのコンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)と所定のサーバ用コンピュータプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。仮想ゲーム機制御部23は、上述したように、ゲーム機3と同様の仮想的なゲーム機を生成し、ユーザ端末装置4から取得したユーザの操作情報に従って仮想ゲーム機を動作させてゲームに必要な演算制御等を実行する主体となる装置である。また、仮想ゲーム機制御部23は、ゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービスをユーザ端末装置4のユーザに提供するために、ゲーム機3と同様にゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービス管理部21に適宜にアクセスする。それにより、ユーザ端末装置4のユーザもゲーム機3のユーザと同様にゲーム管理サーバ部2Aの処理に従ってユーザ認証を受け、マッチングサービス等を利用することができる。
なお、ゲーム機3には、コンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)と所定のゲーム用アプリケーションプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置としてゲーム制御部31が設けられる。ゲーム制御部31は、ゲーム機3にてユーザにゲームをプレイさせるために必要な各種の演算処理を実行するとともに、必要に応じてゲームサービス管理部21にアクセスしてプレイデータの送受信等を実行する。一方、ユーザ端末装置4には、ゲーム入出力制御部(図ではゲームIO制御部と表記する。)41が設けられる。ゲーム入出力制御部41は、ユーザ端末装置4のコンピュータハードウエア(CPU及びその動作に必要な内部記憶装置としてのメモリを含む。)と所定のアプリケーションプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。ゲーム入出力制御部41は、ユーザ端末装置4を仮想ゲーム機制御部23に対する入出力端末装置として動作させるために必要な処理を実行する。
次に、図4及び図5を参照して、接続異常の発生に対応してサーバ群2のゲーム処理を中断させるか否かを切り替え制御するためにゲームシステム1にて実行される処理を説明する。図4は、接続異常に対応するために仮想ゲーム機制御部23が実行する接続監視処理及びその接続監視処理に対応してゲーム管理サーバ部2Aが実行する中断制御処理を示している。ユーザ端末装置4のユーザが仮想ゲーム機サーバ部2Bに対してゲーム開始を要求すると、仮想ゲーム機サーバ部2Bはそのユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23を生成する。仮想ゲーム機制御部23は所定の手順に従ってゲーム処理を進めるが、そのゲーム処理中において図4の接続監視処理を所定の周期で繰り返し実行する。接続監視処理において、仮想ゲーム機制御部23は、まずユーザ端末装置4との間の接続に異常が生じていないか否かを判別する(ステップS1)。異常が生じていなければ仮想ゲーム機制御部23は今回の接続監視処理を終える。一方、接続に異常が生じている場合、仮想ゲーム機制御部23は接続に異常が生じていることをゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービス管理部21に通知する(ステップS2)。その後、仮想ゲーム機制御部23は、ゲームの状況として、現時点で実行されているゲーム処理の段階を判別する(ステップS3)。
続いて、仮想ゲーム機制御部23は、ステップS3で判別したゲーム処理の段階が待機可能な段階にあるか否かを判別する(ステップS4)。この処理では、現在のゲーム処理の段階が、上述した図2において処理段階A、処理段階Bのいずれの区分に属するかが判別される。処理段階A、Bの判別は、仮想ゲーム機制御部23が実行するゲーム処理に含まれている各段階の処理が段階A、Bのいずれに区分されるかを記述した区分情報を予めサーバ群2の例えば記憶部22に記憶させ、その区分情報を参照して判別すればよい。仮想ゲーム機制御部23を生成するためのコンピュータプログラムに区分情報を予め記述しておいてもよい。
ステップS4にて待機可能な段階にあると判断された場合、言い換えれば、サーバ群2のゲーム処理を中断させるべきと判断された場合、仮想ゲーム機制御部23は自らのゲーム処理を中断して待機状態に入るとともに、ゲームサービス管理部21に対して待機を指示する(ステップS5)。その後、仮想ゲーム機制御部23は接続が回復したか否かを判別する(ステップS6)。回復していなければ、仮想ゲーム機制御部23はタイムアウト、すなわち接続異常の発生から所定時間が経過したか否かを判別し(ステップS7)、タイムアウトでなければステップS6に戻って接続の回復を待つ。接続が回復した場合、仮想ゲーム機制御部23は自らのゲーム処理を再開するとともに、ゲームサービス管理部21に対して再開を指示し(ステップS8)、その後、接続監視処理を終える。
ステップS4にて、ゲーム処理が待機可能な段階ではないと判断された場合、仮想ゲーム機制御部23はゲームサービス管理部21に対して所定のエラー通知を送信し(ステップS9)、その後、自らのゲーム処理を続行すべく代替処理を開始する(ステップS10)。ステップS7にてタイムアウトと判断された場合にも、仮想ゲーム機制御部23はステップS9へと処理を進める。ステップS10にて代替処理を開始した場合、仮想ゲーム機制御部23は今回の接続監視処理を終える。代替処理が開始された後に接続が回復した場合については後述する。
一方、ゲームサービス管理部21は、仮想ゲーム機制御部23から接続の異常が通知されると図4の中断制御処理を開始する。その中断制御処理において、ゲームサービス管理部21はまず仮想ゲーム機制御部23から待機が指示されたか否かを判別し(ステップS21)、待機が指示されていれば自らのゲーム処理を中断する(ステップS22)。この場合のゲーム処理は、接続異常を通知した仮想ゲーム機制御部23に関連付けて実行されているゲーム処理である。続いて、ゲームサービス管理部21は、仮想ゲーム機制御部23から再開が指示されたか否かを判別し(ステップS23)、再開が指示された場合には、ステップS22で中断したゲーム処理を再開させる(ステップS24)。これにより、ゲームサービス管理部21は図4の中断制御処理を終える。
一方、ステップS21で待機が指示されていない場合、又はステップS23で再開が指示されていない場合、ゲームサービス管理部21は仮想ゲーム機制御部23からエラー通知が送られたか否かを判別する(ステップS25)。エラー通知が送られていなければ、ゲームサービス管理部21はステップS21へと戻り、一方、エラー通知が送られていればゲームサービス管理部21は代替処理を開始する(ステップS26)。その後、ゲームサービス管理部21は図4の中断制御処理を終える。なお、仮想ゲーム機制御部23の代替処理が、実在のユーザに代わる仮想的なユーザを生成してゲームを続行させるものであった場合、ゲームサービス管理部21からみて仮想ゲーム機制御部23のゲーム処理は接続異常の前後を通じて何らの変化もない。そのような場合には、ステップS25及びステップS26の処理を省略することも可能である。
図5は、仮想ゲーム機制御部23が図4のステップS10の処理を受けて実行する代替処理の一例を示す。図5の代替処理において、仮想ゲーム機制御部23はまずユーザ端末装置4の実在のユーザに代わる仮想的なユーザを生成する(ステップS31)。この際、仮想ゲーム機制御部23は、ゲームサービス管理部21を介して取得したユーザのプレイデータを参照して、実在のユーザと同程度のレベルの仮想ユーザを生成する。続いて、仮想ゲーム機制御部23は、代替的に発生させた仮想ユーザの指示に従って自らのゲーム処理を続行する(ステップS32)。この場合のゲーム処理には、ゲームサービス管理部21、あるいは共通のゲームをプレイするゲーム機3や他の仮想ゲーム機制御部23に必要に応じてアクセスしてゲームを進行させるために必要な情報をやり取りする処理も含まれる。続いて、仮想ゲーム機制御部23は、ユーザ端末装置4との接続が回復したか否かを判別し(ステップS33)、回復していなければステップS32の処理を続行する。接続が回復した場合、仮想ゲーム機制御部23は、仮想ユーザを実在のユーザに交代させる(ステップS34)。以降は、ユーザ端末装置4を遠隔入出力端末装置として利用され、実在のユーザの指示に従ってゲームが進行する。以上の処理によれば、異常発生時から再開までの間、仮想ユーザによりゲームが進められる。したがって、複数のユーザが対戦あるいは協力してゲームが進んでいる場合でも、接続異常が生じたユーザ以外のユーザがいたずらに待たされることがない。異常が生じたユーザに関しては、接続が回復すれば、一時的に仮想ユーザによって進められているにせよ、異常発生時点でプレイしていたゲームに復帰することができる。これにより、ユーザ間の利益の調和が図られる。
第1の形態においては、仮想ゲーム機制御部23が図4のステップS1、ステップS6及び図5のステップS33を実行することにより本発明の接続判別手段として機能し、図4のステップS3及びステップS4を実行することにより本発明の中断判別手段として機能する。また、仮想ゲーム機制御部23が図4のステップS5、ステップS8及びステップS10を実行し、かつゲームサービス管理部21が図4のステップS22、ステップS24及びステップS26を実行することにより本発明の中断制御手段が実現される。さらに、仮想ゲーム機制御部23は、図5のステップS34を実行することにより本発明の復帰手段として機能する。
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態に係るゲームシステムを説明する。ただし、以下では第1の形態との相違点を中心に説明し、第1の形態と共通する部分については図1〜図5の参照符号を適宜に使用して説明を省略する。
図6は第2の形態における共通のゲームの概念を示している。図6では、複数のユーザ端末装置4のそれぞれのユーザがサーバ群2のゲーム処理に従って共通のゲームとしての協力型ゲームに参加し、そのゲーム内で各ユーザA〜Dが協力して共通の敵Xと戦う例が示されている。そのゲームの進行途中において、いずれかのユーザのユーザ端末装置4と仮想ゲーム機サーバ部2Bとの間の接続に異常が生じた場合、そのユーザ端末装置4のユーザは協力型ゲームを続けることができない。以下では、そのような状態をゲームからの脱退と表現することがある。一部のユーザが脱退した場合、ゲーム状況として、脱退したユーザが協力型ゲームに参加している他のユーザに与える影響が評価される。そして、影響が所定の限度を超える場合には協力型ゲームに参加している全てのユーザに関してゲーム処理が中断される。一方、限度を超えない場合には、ゲーム処理が中断されることなく続行される。一部のユーザの脱退が他のユーザに与える影響は、脱退したユーザの協力型ゲームにおける成績(スキルやレベルによって表現される。)によって評価される。成績が優秀なユーザほど、その脱退が他のユーザに与える影響が大きいと評価され、成績が低いユーザほどその脱退が他のユーザに与える影響が小さいと評価される。
図6の例では、ユーザAに関して影響が大きいと評価され、ユーザB、Cに関しては影響が中程度と評価され、ユーザDに関しては影響が小さいと評価される。したがって、ユーザA〜Cのいずれかが脱退した場合には全てのユーザA〜Dに関してゲーム処理が中断され、ユーザDが脱退した場合には、残されたユーザA〜Cに関してゲーム処理が中断されることなく続行される。ゲーム処理が中断した後、脱退したユーザのユーザ端末装置4と仮想ゲーム機制御部23との接続が所定の待機時間内に回復すれば、そのユーザが再びゲームに参加して中断したゲームが中断時の状態から再開される。その待機時間はユーザの脱退が他のユーザに与える影響の大小に応じて変化する。脱退したユーザの影響が大きいほど、待機時間が長く設定される。例えば、ユーザAの脱退時には待機時間が比較的長く設定され、ユーザB、Cの脱退時には待機時間が比較的短く設定される。
なお、いずれのユーザが脱退しても、共通の敵Xを倒す上で差し支えがない場合には、ユーザの脱退が他のユーザに与える影響が所定の限度を超えないと判断し、脱退したユーザが与える影響の大小に関わりなくゲーム処理を続行させてもよい。また、待機時間が長引くと、他のユーザがより長時間待たされるという不利益が生じる場合がある。この場合には、一部のユーザが脱退することによって他のユーザに与える影響と、中断が発生することによって他のユーザに与える影響(つまり、待機することの不利益。)とを比較考量して待機時間が決定されてもよい。
次に、図7及び図8を参照して、接続異常の発生に対応してサーバ群2のゲーム処理を中断させるか否かを切り替え制御するために第2の形態に係るゲームシステム1にて実行される処理を説明する。図7は、接続異常に対応するために仮想ゲーム機制御部23が実行する接続監視処理及びその接続監視処理に対応してゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービス管理部21が実行する中断制御処理を示している。仮想ゲーム機制御部23は、ユーザが共通のゲームに参加している間、図7の接続監視処理を所定の周期で繰り返し実行する。接続監視処理において、仮想ゲーム機制御部23は、まずユーザ端末装置4との間の接続に異常が生じていないか否かを判別する(ステップS51)。異常が生じていなければ仮想ゲーム機制御部23は今回の接続監視処理を終える。一方、接続に異常が生じている場合、仮想ゲーム機制御部23は接続に異常が生じていることをゲーム管理サーバ部2Aのゲームサービス管理部21に通知する(ステップS52)。その後、仮想ゲーム機制御部23は、ゲームサービス管理部21からゲームの中断が指示されたか否かを判別する(ステップS53)。
ゲームの中断が指示された場合、仮想ゲーム機制御部23は自らが実行しているゲーム処理を中断し(ステップS54)、その後、ゲームサービス管理部21からゲームの再開が指示されたか否かを判別する(ステップS55)。再開が指示されている場合、仮想ゲーム機制御部23は中断していたゲーム処理を再開させ(ステップS56)、その後、図7の接続監視処理を終える。一方、ステップS53にて中断が指示されていない場合、又はステップS55で再開が指示されていない場合、仮想ゲーム機制御部23はゲームサービス管理部21から代替処理の開始が指示されたか否かを判別する(ステップS57)。代替処理の開始が指示されていない場合、仮想ゲーム機制御部23はユーザ端末装置4の接続が回復したか否かを判別する(ステップS58)。接続が回復してない場合、仮想ゲーム機制御部23はステップS53の処理へと戻る。一方、接続が回復した場合、仮想ゲーム機制御部23はゲームサービス管理部21に対して接続の回復を通知する(ステップS59)。その後、仮想ゲーム機制御部23はステップS55の処理に進む。一方、ステップS57にて代替処理の開始が指示されている場合、仮想ゲーム機制御部23は代替処理を開始する(ステップS60)。この場合の代替処理も、脱退したユーザに成り代わって仮想ゲーム機制御部23が仮想的なユーザを生成し、その仮想的なユーザに指示に従って自らのゲーム処理を続行させ、それにより協力型ゲームを続行させるものとすることができる。
一方、ゲームサービス管理部21は、仮想ゲーム機制御部23から異常通知(ステップS52参照)を受けた場合、図7の中断制御処理を開始する。中断制御処理において、ゲームサービス管理部21は、異常通知を送信した仮想ゲーム機制御部23に対応するユーザが協力型ゲームから脱退したものとして、その脱退したユーザが共通の協力型ゲームに参加している他のユーザに与える影響を評価する(ステップS71)。その評価は、上述したように脱退したユーザのゲーム成績に基づいて行われる。ユーザのゲーム成績は、脱退したユーザに対応付けられたプレイデータD1を参照することにより把握される。異常通知を送信した仮想ゲーム機制御部23からユーザのプレイデータD1が取得されてもよい。脱退したユーザが与える影響を、ユーザ間における相対的な成績の優劣に基づいて評価する場合には、協力型ゲームに参加している他のユーザのプレイデータD1も参照される。
続いて、ゲームサービス管理部21は、接続異常が発生した時点でのゲームの状況としてステップS71の評価結果を参照し、ゲーム処理を中断させる必要があるか否かを判別する(ステップS72)。一例として、図6で説明したように、ユーザの脱退が他のユーザに与える影響が大きい、又は中程度のゲーム状況であれば中断が必要と判断され、それ以外の場合には中断不要と判断される。共通の敵Xを脱退ユーザが不在でも倒せるか否か、といったさらなる要素がゲーム状況の一つとして中断の要否判別に考慮されてもよい。ゲームサービス管理部21は、中断が必要と判断された場合、中断の待機時間を決定する(ステップS73)。ここでは一律に待機時間が決定されてもよいし、上記のようにユーザが脱退することによって他のユーザに与える影響の大小に応じて待機時間が変更されてもよい。さらには、第1の形態に例示されているように、ゲーム処理が中断することによってユーザに与える影響の大小をも考慮して待機時間が変更されてもよい。
待機時間の決定後、ゲームサービス管理部21は、脱退したユーザが参加していたゲームに関する自らのゲーム処理を中断させるとともに、脱退したユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23及びそのユーザと共通のゲームに参加していた他のユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23にゲーム処理の中断を指示する(ステップS74)。脱退したユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23は、ステップS74の指示を受けてステップS54でゲーム処理を中断する。また、他のユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23は、中断指示を受けて図8の中断制御処理を開始する。図8の中断制御処理を開始した仮想ゲーム機制御部23は、自らのゲーム処理を中断し(ステップS81)、続いてゲームサービス管理部21から再開が指示されたか否か、及び代替処理の開始が指示されたか否かを順次判別し(ステップS82、S83)、いずれかの指示があるまでそれらの判別を繰り返す。
図7の中断制御処理に戻って、中断を指示したゲームサービス管理部21は、次に、脱退したユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23から、ステップS59の処理に従って接続の回復が通知されたか否かを判別する(ステップS75)。接続の回復が通知された場合、ゲームサービス管理部21は、中断していた自らのゲーム処理を再開させるとともに、中断を指示した仮想ゲーム機制御部23に対してゲーム処理の再開を指示する(ステップS76)。脱退したユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23は、その指示に従ってステップS56でゲーム処理を再開する。他のユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23は、図8の中断制御処理に従って自らのゲーム処理を再開し(ステップS84)、その後、図8の処理を終える。
一方、図7のステップS75にて接続回復が通知されていないと判断された場合、ゲームサービス管理部21は、タイムアウトか否か、つまり中断開始からの経過時間がステップS73で決定した待機時間に達したか否かを判別する(ステップS77)タイムアウト出なければゲームサービス管理部21はステップS75の処理に戻る。タイムアウトの場合、ゲームサービス管理部21は代替処理を開始し、かつ協力型ゲームに参加していたユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23に対して代替処理の開始を指示する(ステップS78)。その指示を受けて、脱退したユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23は代替処理へと移行する(ステップS60)。他のユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23も代替処理を開始し(図8のステップS85)、その後、図8の処理を終える。図7のステップS76で再開を指示し、又はステップS78にて代替処理を指示した後、ゲームサービス管理部21は図7の処理を終える。
なお、脱退したユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23が、代替処理として仮想的なユーザを生成し、その指示の下でゲーム処理を続行する場合、他のユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23は中断前と同様にしてゲーム処理を進めることができる。その場合、図8のステップS82及びS85の処理は省略可能である。ゲームサービス管理部21に関しても同様に代替処理(ステップS78)を省略することができる。脱退したユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23がゲームを終了させる場合には、協力型ゲームに参加するユーザ数が変化するため、他のユーザに対応する仮想ゲーム機制御部23はユーザ数の変更に対応した処理を代替処理として行う必要がある。
第2の形態においては、仮想ゲーム機制御部23が図7のステップS51及びステップS58を実行することにより本発明の接続判別手段として機能する。また、ゲームサービス管理部21は、図7のステップS71及びステップS72を実行することにより本発明の中断判別手段として機能する。さらに、ゲームサービス管理部21が図7のステップS73、ステップS74及びステップS78を実行し、かつ仮想ゲーム機制御部23が図7のステップS54、ステップS56、ステップS60、図8のステップS81、ステップS84及びステップS85を実行することにより本発明の中断制御手段が実現される。さらにまた、接続に異常が生じたユーザ端末装置4に対応する仮想ゲーム機制御部23が、代替処理として仮想的なユーザを生成する場合、図5の例と同様に、接続回復に伴って仮想的なユーザを実在のユーザに交代させ、脱退したユーザを共通のゲームに復帰させることにより本発明の復帰手段がさらに実現されてもよい。
本発明は上述した各形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、中断すべきか否かを判断するために参照されるべきゲームの状況としては、第1の形態における他のユーザの関わりの有無、あるいは、第2の形態における脱退が他のユーザに与える影響の大小に限らない。例えば、共通のゲームが佳境に達し、その中断がユーザの興趣を削ぐおそれがある場合には中断すべきではないと判断するといったように、ゲームの内容それ自体を考慮して中断の可否を判断する形態への変形が可能である。接続が確保されているユーザに中断の可否を確認する手順を設け、確認結果をゲームの状況の一種として考慮して中断の可否を判断してもよい。
第1の形態では、中断の可否を仮想ゲーム機制御部23が判断し、第2の形態ではゲームサービス管理部21が判断したが、本発明の中断判別手段はそれらの形態に限らない。中断の可否の判別は、ネットワークを介して接続が確保されているコンピュータ装置であれば適宜にこれを担当させることができる。例えば、共通のゲームのプレイが開始された後は、いずれかの仮想ゲーム機制御部23がホスト装置として機能し、他の仮想ゲーム機制御部23がクライアント装置として機能する場合には、そのホスト装置としての仮想ゲーム機制御部23を本発明の中断判別手段等として機能させることが可能である。さらに、本発明のサーバ装置は、ゲーム管理サーバ部2A及び仮想ゲーム機サーバ部2Bに限定されることなく、適宜のコンピュータ装置を含めることができる。例えば、いずれかのゲーム機3をサーバ装置の一部として機能させることができ、その場合には当該ゲーム機3を中断判別手段等として機能させてもよい。共通のゲームは第2の形態に示したような協力型のゲームに限らず、対戦ゲームその他、複数のユーザが参加してプレイできるものであればよい。
上記の形態では、接続に異常が生じた場合の一例として、接続が絶たれた場合について説明したが、接続の異常はこれに限らない。例えば、端末装置とサーバ装置との間の帯域(通信速度)がゲームの進行に支障が生じるほど低下した場合、接続に異常が生じたと判断して上記の形態と同様の処理を行ってもよい。
上記の形態では、ゲームの進行に必要な演算処理を実行する主体となるゲーム制御手段(仮想ゲーム機制御部)をサーバ装置側に設け、端末装置を遠隔入出力端末装置として利用される場合における端末装置とサーバ装置との間に接続異常が生じる場合を例として説明したが、本発明はそのような例に限らない。例えば、端末装置とサーバ装置とが協働することによりゲーム制御手段が構成される場合、あるいはゲーム制御手段の全部が端末装置側に設けられている場合であっても本発明は適用可能である。本発明における端末装置は、ユーザの個人用途に供されるユーザ端末装置に限定されず、サーバ装置にネットワークを介して接続され、かつユーザがゲームをプレイする際の入力装置及び出力装置として利用される限りにおいて各種のコンピュータ装置を含み得る。例えば図1のゲーム機3を端末装置として本発明を適用してもよい。