以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明のプラズマ処理装置の第1の実施の形態にかかるプラズマ処理装置100の概略構成を模式的に示す断面図である。また、図2Aは、図1の要部を拡大して示す断面図である。図2Bは、プラズマ処理装置100の構成部材である蓋部材の外観斜視図である。また、図3Aは、図1のプラズマ処理装置100の平面アンテナを示す平面図である。
プラズマ処理装置100は、複数のスロット状の孔を有する平面アンテナ、特にRLSA(Radial Line Slot Antenna;ラジアルラインスロットアンテナ)にて処理容器内にマイクロ波を導入して処理容器内で高密度かつ低電子温度のマイクロ波励起プラズマを発生させ得るRLSAマイクロ波プラズマ処理装置として構成されている。プラズマ処理装置100では、1×1010〜5×1012/cm3のプラズマ密度で、かつ0.7〜2eVの低電子温度を有するプラズマによる処理が可能である。従って、プラズマ処理装置100は、各種半導体装置の製造過程において、例えば被処理体のシリコンを酸化してシリコン酸化膜(例えばSiO2膜)を形成したり、窒化してシリコン窒化膜(例えばSiN膜)を形成したりする目的で好適に利用できる。
プラズマ処理装置100は、気密に構成され、被処理体である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と記す)Wを収容するための略円筒状の処理容器1を有している。この処理容器1は、接地電位であり、例えばアルミニウムもしくはその合金、又はステンレス鋼等の金属材料から構成されている。なお、処理容器1は、単一の容器ではなく、複数の部分に分割されていてもよい。また、処理容器1の上部には、プラズマ生成空間Sにマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入部26が開閉可能に設けられている。つまり、処理容器1の上端部にマイクロ波導入部26が配置されている。また、処理容器1の下部には、排気室11が連結されている。処理容器1には、複数の冷却水流路3aが形成されて処理容器1の壁を冷却できるようになっている。従って、プラズマの熱による熱膨張によってマイクロ波導入部26との接面部の位置ずれやプラズマダメージが生じることを抑制し、シール性の低下やパーティクルの発生が防止されている。
処理容器1内にはウエハWを水平に支持するための載置台5が、排気室11の底部中央から上方に延びる円筒状の支持部4により支持された状態で設けられている。載置台5および支持部4を構成する材料としては、例えば石英やAlN、Al2O3等のセラミックス材料を挙げることができるが、これらの中でも熱伝導性の良好なAlNが好ましい。また、載置台5には、抵抗加熱型のヒーター5aが埋め込まれており、例えば200Vの交流電源であるヒーター電源6から給電されることにより載置台5を加熱して、その熱で被処理体であるウエハWを加熱する。ヒーター5aとヒーター電源6とを接続する給電線6aには、RF(高周波)をフィルタリングするフィルタボックス45が設けられている。載置台5の温度は、載置台5に挿入された図示しない熱電対によって測定され、熱電対からの信号に基づいてヒーター電源6が制御され、例えば室温から800℃までの範囲で安定した温度制御が可能となっている。
また、載置台5の内部の表面側には、ヒーター5aより上方に、第1の電極としてのバイアス用の電極7が埋設されている。この電極7は、載置台5に載置されるウエハWに略対応する領域に埋設されている。電極7の材質としては、例えばモリブデン、タングステンなどの導電性材料を用いることができる。電極7は、例えば網目状、格子状、渦巻き状等の形状に形成されている。また、載置台5の表面及び側壁の全面を覆うようにカバー8aが設けられる。カバー8aは、載置台5にプラズマが作用してスパッタされ、金属汚染の原因となることを防止する。このカバー8aの表面にはウエハWをガイドするため、ウエハサイズより大きく、略ウエハWの厚みと同じ深さの窪み(溝)が設けられている。この窪みにウエハWが配置される。また、載置台5の周囲には、処理容器1内を均一排気するため、石英製のバッフルプレート8bが環状に設けられている。このバッフルプレート8bは、複数の孔8cを有し、支柱(図示せず)により支持されている。さらに、載置台5には、ウエハWを支持して昇降させるための複数のウエハ支持ピン(図示せず)が載置台5の表面に対して突没可能に設けられている。
処理容器1の底壁1aの略中央部には円形の開口部10が形成されており、底壁1aには、この開口部10と連通し、下方に向けて突出して処理容器1内部を均一に排気するための排気室11が連設されている。排気室11の側面には排気口11bが形成され、そこに排気管23が接続されている。この排気管23には真空ポンプを含む排気装置24が接続されている。そしてこの排気装置24を作動させることにより処理容器1内のガスが、排気室11の空間11a内へ均一に排出され、排気管23を介して排気される。これにより処理容器1内は所定の真空度、例えば0.133Paまで高速に減圧することが可能となっている。なお、排気管23は、排気室11の底面に接続されていてもよい。なお、排気室11は、処理容器1の内部に形成してもよい。
なお、処理容器1の側壁1bには、ウエハWの搬入出を行うための搬入出口と、この搬入出口を開閉するゲートバルブとが設けられている(いずれも図示せず)。
処理容器1の上部は開口部となっており、この開口部を塞ぐようにマイクロ波導入部26が気密に配置可能となっている。このマイクロ波導入部26は、図示しない開閉機構により開閉可能となっている。マイクロ波導入部26は、主要な構成として、載置台5の側から順に、蓋部材27、マイクロ波透過板28、平面アンテナ31、遅波材33を有しており、さらに、遅波材33を覆うように、例えばSUS、アルミニウム、その合金等の材質からなる導電性のカバー34によって覆われている。カバー34の外周部は、固定部材36を介して環状の押えリング35により蓋部材27に固定されている。
蓋部材27は、接地電位であり、処理容器1と同様の材質で形成されている。本実施の形態において、環状の蓋部材27には、開口部が形成されている。蓋部材27の内周部分は処理容器1内のプラズマ生成空間Sに露出しており、下部電極である載置台5の電極7に対向する第2の電極としての対向電極を構成している。環状の蓋部材27の内周面は、処理容器1の内壁面よりもプラズマ生成空間Sへ向けて突出する突出部60を形成する。図2A,図2Bに示すように、突出部60は、その上面にマイクロ波透過板28に当接して支持する当接支持部60Aと、該当接支持部60Aよりもさらに処理容器1内のプラズマ生成空間Sに向けて大きく突出する拡張突出部60Bとを有している。当接支持部60Aと拡張突出部60Bとは段差を形成し、当接支持部60Aにマイクロ波透過板28を配置した際、マイクロ波透過板28と拡張突出部60Bの間に環状の空間S1が形成される。本実施の形態では、この拡張突出部60Bが対向電極として中心的に機能する部分である。なお、空間S1はプラズマ生成空間Sの一部分を構成している。
また、蓋部材27の当接支持部60Aの内周面には、複数箇所(例えば32箇所)にガス導入口15aが均等に設けられている。つまり、当接支持部60Aと拡張突出部60Bとの間で段差を形成している当接支持部60Aの壁に、環状に点在してガス導入口15aが開口している。各ガス導入口15aは、それぞれ空間S1に処理ガスを導入できるように、空間S1に臨んで開口している。これらガス導入口15aのそれぞれから蓋部材27の内部に斜めに延びるガス導入路15bが設けられている。なお、ガス導入路15bは、水平に形成しても良い。各ガス導入路15bは、蓋部材27と処理容器1の上部の間に水平方向に形成された環状通路13と連通している。これにより、処理ガスを処理容器1内のプラズマ生成空間S及び空間S1に均一に供給することができる。
処理容器1と蓋部材27との当接部には、例えばOリングなどのシール部材9a,9bが環状通路13に沿ってその外側及び内側に配備されており、これにより当接部の気密状態が保たれる。すなわち、マイクロ波導入部26が閉じられた状態においては、処理容器1の側壁1bの上端面と、開閉機能を持つ蓋部材27との間がシール部材9a及び9bによりシールされた状態となる。シール部材9a,9bは、例えばカルレッツ(商品名;デュポン社製)などのフッ素系ゴム材料からなっている。また、蓋部材27の外周面には、複数の冷媒流路27aが形成されている。冷媒流路27aに冷媒を流すことにより、蓋部材27及びマイクロ波透過板28の外周部を冷却できるようになっている。これにより、プラズマの熱に起因する熱膨張による接面部位の位置ずれの発生が防止され、シール性低下やパーティクルの発生が防止されている。
誘電体板としてのマイクロ波透過板28は、誘電体、例えば石英やAl2O3、AlN、サファイヤ、SiN等のセラミックスにより構成されている。マイクロ波透過板28は、平面アンテナ31からのマイクロ波を透過し処理容器1内のプラズマ生成空間Sに導入するマイクロ波導入窓として機能する。マイクロ波透過板28の下面(載置台5側)は平坦状に限らず、マイクロ波を均一化してプラズマを安定化させるため、例えば凹部や溝を形成してもよい。
マイクロ波透過板28の外周部は、蓋部材27の突出部60の当接支持部60Aの上に、シール部材29を介して気密状態で支持されている。したがって、マイクロ波導入部26が閉じられた状態で処理容器1とマイクロ波透過板28とによりプラズマ生成空間Sが画成され、かつ、プラズマ生成空間Sが気密に保持される。
平面アンテナ31は、円板状をなしており、マイクロ波透過板28の上方において、カバー34の外周部により係止されている。この平面アンテナ31は、例えば表面が金又は銀メッキされた銅板、アルミニウム板、ニッケル板、真鍮板等の金属板からなり、マイクロ波などの電磁波を放射するための多数のスロット孔32を有している。このスロット孔32は、平面アンテナ31を貫通して形成されており、二つの孔が対をなして所定のパターンに配列されている。
スロット孔32は、例えば図3Aに示すように長溝状をなし、典型的には隣接するスロット孔32同士が「T」字状に配置され、これら複数のスロット孔32が同心円状に配置されている。スロット孔32の長さや配列間隔は、導波管37内のマイクロ波の波長(λg)に応じて決定され、例えばスロット孔32の間隔は、λg/4からλgとなるように配置される。なお、図3Aにおいては、同心円状に形成された隣接するスロット孔32同士の間隔をΔrで示している。また、スロット孔32は、円形状、円弧状等の他の形状であってもよい。さらに、スロット孔32の配置形態は特に限定されず、同心円状のほか、例えば、螺旋状、放射状に配置することもできる。
遅波材33は、真空よりも大きい誘電率を有しており、平面アンテナ31の上面に設けられている。この遅波材33は、例えば、石英、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂やポリイミド系樹脂により構成される。そして、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短くしてプラズマを調整する機能を有している。なお、平面アンテナ31とマイクロ波透過板28との間、また、遅波材33と平面アンテナ31との間は、それぞれ密着させても離間させてもよいが、密着させることが好ましい。
カバー34には、冷媒流路34aが形成されており、そこに冷媒を通流させることにより、カバー34、遅波材33、平面アンテナ31、マイクロ波透過板28及び蓋部材27を冷却するようになっている。これにより、これらの部材の変形や破損を防止し、安定したプラズマを生成することが可能である。なお、平面アンテナ31及びカバー34は接地されている。
カバー34の上部の中央には、開口部34bが形成されており、この開口部34bには導波管37が接続されている。この導波管37の端部には、マッチング回路38を介してマイクロ波発生装置39が接続されている。これにより、マイクロ波発生装置39で発生した、例えば周波数2.45GHzのマイクロ波が導波管37を介して上記平面アンテナ31へ伝搬されるようになっている。マイクロ波の周波数としては、8.35GHz、1.98GHz等を用いることもできる。
導波管37は、上記カバー34の開口部34bから上方へ延出する断面円筒状の同軸導波管37aと、この同軸導波管37aの上端部にモード変換器40を介して接続された水平方向に延びる矩形導波管37bとを有している。矩形導波管37bと同軸導波管37aとの間のモード変換器40は、矩形導波管37b内をTEモードで伝播するマイクロ波をTEMモードに変換する機能を有している。同軸導波管37aの中心には内導体41がモード変換器40から平面アンテナ31へかけて延在しており、内導体41は、その下端部において平面アンテナ31の中心に接続固定されている。また、平面アンテナ31とカバー34により偏平導波路が形成されている。これにより、マイクロ波は、同軸導波管37aの内導体41を介して平面アンテナ31の中央部へ導入され、そこから放射状に効率よく均一に伝播される。
次に、プラズマ処理装置100におけるガス供給構造について説明する。図2Aに拡大して示したように、処理容器1の側壁1bの任意の箇所(例えば均等な4箇所)には、垂直方向に側壁1bの内部及び底壁1aを貫通して複数のガス供給路12が形成されている。ガス供給路12は、処理容器1の側壁1bの上端部と、蓋部材27の下端部との接面部に形成された環状通路13に接続している。環状通路13は、ガス供給路12、ガス供給管12aを介してガス供給装置16と接続されている。なお、ガス供給路を水平方向に形成することにより、ガス供給装置16を処理容器1の側面から環状通路13に接続する構成としてもよい。
環状通路13は、処理容器1の上端面と、蓋部材27の下端面との当接部分において、段部18と段部19とによって形成されたガスの流路である。段部18は蓋部材27の下面に設けられている。段部19は、処理容器1の側壁1bの上端面に設けられている。この環状通路13は、処理容器1内のプラズマ生成空間Sを囲むように略水平方向に環状に形成されている。なお、処理容器1の側壁1bの上端面又は蓋部材27の下面に溝(凹部)を形成することによって環状通路13を形成してもよい。環状通路13は、各ガス導入路15bへガスを均等配分して供給するガス分配手段としての機能を有しており、処理ガスが特定のガス導入口15aに偏って供給されて処理容器1内に不均一に供給されることを防ぐように機能する。このように本実施形態では、ガス供給装置16からの処理ガスを、各ガス供給路12、環状通路13、各ガス導入路15bを介して例えば32箇所のガス導入口15aから均一に処理容器1内のプラズマ生成空間S及び空間S1に導入できるので、処理容器1内のプラズマの均一性を高めることができる。
次に、載置台5に載置されたウエハWにバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段について説明する。載置台5に埋設された電極7には、支持部4の中を通る給電線42、マッチングボックス(M.B.)43を介してバイアス印加用の高周波電源44が接続されており、ウエハWに高周波バイアスを印加できる構成となっている。前記のとおり、ヒーター電源6からの電力をヒーター5aへ供給する給電線6aには、フィルタボックス45が設けられている。そして、マッチングボックス43とフィルタボックス45が、シールドボックス46を介して連結されてユニット化され、排気室11の底部に装着されている。シールドボックス46は、例えばアルミニウム、SUSなどの導電性材料で形成されている。シールドボックス46内には、給電線42に接続された銅などの材質の導電板47が配備されてマッチングボックス43内のマッチャー(図示せず)に接続されている。導電板47を用いることによって、給電線42との接触面積を大きくとることができ、接触抵抗を少なくして接続部分での電流損失を低減できる。このように、本実施の形態のプラズマ処理装置100では、マッチングボックス43とフィルタボックス45を、シールドボックス46を介して連結してユニット化し、処理容器1の排気室11の下部に直接接続する構成としたので、高周波電源44から電極7へ供給する高周波電力の損失を低減し、電力消費効率を高め、電力を安定して供給できる。これにより、載置台5に載置されたウエハWに高周波バイアスを安定して印加できるため、処理容器1内で生成するプラズマが安定化され、均一なプラズマ処理が可能である。
上述のように、上記蓋部材27の内周側には、蓋部材27の一部分として、当接支持部60Aと拡張突出部60Bとを有する突出部60が形成されている。このように、蓋部材27と突出部60を一体に形成することにより、熱伝導性と導通性を確保できる。突出部60の拡張突出部60Bは、その上面60B1、先端面60B2及び下面60B3を有している。これらの突出部60は、プラズマ生成空間Sに臨んで形成されており、第1の電極である載置台5の電極7に対してプラズマ生成空間Sを隔てて対向する対向電極(第2の電極)として機能する主要部分である。具体的には、図2A中の蓋部材27の当接支持部60Aとマイクロ波透過板28との当接部位の端である図中に丸で示す部位Aから、突出部60の露出した表面(つまり、当接支持部60Aの表面及び拡張突出部60Bの上面60B1、先端面60B2及び下面60B3)を迂回して当接支持部60Aの露出した下面の端である図中に丸で示す部位B(上部ライナー49aとの当接端)に至る表面が対向電極として機能する部分である。本実施の形態では、部位Aから部位Bに至る環状の蓋部材27の内周表面が、プラズマ生成空間Sに露出して環状に対向電極を形成している。このように、主に対向電極となる環状の部材をプラズマ生成空間に突出させて設けることにより、マイクロ波透過板28を備えているために載置台5の直上位置に対向電極を配備することが困難なRLSA方式のプラズマ処理装置100においても、対向電極の表面積を十分に広く確保できる。
本実施の形態のプラズマ処理装置100において、下部電極に対して対向電極として機能する部分は、プラズマ生成空間Sに露出しており、かつ接地電位にある導電性部材である、と定義することができる。なお、後述するように、対向電極の表面には保護膜48を設けることができるため、「プラズマ生成空間Sに露出している」ことには、保護膜48に覆われた状態も含む。また、対向電極として機能するためのより具体的な定義として、例えば、対向電極は、載置台5のウエハ載置面より上方においてプラズマ生成空間Sに臨む露出表面を有し、かつ処理容器1内にプラズマを生成させた場合に1×1011/cm3以上の電子密度のプラズマに曝される導電性部材であること、を一つの目安にすることもできる。ただし、上記電子密度の値はあくまで例示であり、この数字に限定されるものではない。例えば、図3Bは、プラズマ処理装置100において、処理圧力とギャップG(ウエハWの表面からマイクロ波透過板28までの距離)を変化させた場合に、処理容器1内のマイクロ波透過板28の中心部直下の部位において電子密度と電子温度を計測した結果を示している。このように、処理容器1内で生成するプラズマの電子密度や電子温度は、処理圧力や、ギャップGによっても変化するので、処理圧力やギャップGに応じて対向電極表面積を調節することが好ましい。なお、ギャップGは、例えば50mm〜150mmの範囲内が好ましく、70mm〜120mmの範囲内がより好ましい。
プラズマ生成空間Sに露出している対向電極として機能する部分の面積(本明細書において「対向電極表面積」と記すことがある)は、載置台5における電極7の埋設領域の面積(本明細書において「バイアス用電極面積」と記すことがある)に対する面積比として、1以上であることが好ましく、1以上5以下の範囲内であることがより好ましく、1以上4以下の範囲内であることがさらに好ましく、2以上4以下の範囲内であることが望ましい。バイアス用電極面積に対する対向電極表面積の比(対向電極表面積/バイアス用電極面積)が1未満であると、プラズマ電位の振動が大きくなって処理容器1内で安定したプラズマを生成することができなくなるとともに、対向電極近傍でのプラズマによるスパッタ作用が強くなって対向電極の表面が削られ、アルミコンタミネーションの原因となることがある。また、バイアス用電極面積に対する対向電極表面積の比(対向電極表面積/バイアス用電極面積)は、大きいほど好ましいといえるが、装置サイズ及び構造上の制約から、上限を5とすればよく、4以下とすることが好ましい。なお、載置台5における電極7の埋設領域の面積とは、例えば網目状、格子状、渦巻き状等の開口や隙間を有する形状の電極7を、開口や隙間の部分を含めて一つの平面と考えた場合の該平面領域の面積を意味する。
対向電極として機能する突出部60の先端部(拡張突出部60Bの先端面60B2)は、載置台5に載置されたウエハWの上方(ウエハWの周縁端の位置PWE)に達しない突出長さであることが好ましい。突出部60の先端が、ウエハWの周縁端の位置PWEより内側に達すると、処理容器1内で生成する高密度で均一なプラズマの大きさがウエハサイズより小さくなり、ウエハWの周縁部のプラズマ密度が減少して、ウエハWの外周部における処理内容の均一性に悪影響がでることがある。一方、対向電極として機能する突出部60は、その先端部(先端面60B2)の反対側(処理容器1の側壁1b側)では、側壁1bとの当接端が基端部となるが、本実施の形態ではその途中にある部位Bまでがプラズマ生成空間Sに露出していればよい。すなわち、本実施の形態においては、対向電極として機能する突出部60の露出した下面60B3の端は、図2Aに部位Bで示す上部ライナー49aとの接点になっている。
また、空間S1に臨む拡張突出部60Bの上面60B1は、マイクロ波透過板28の下面から離間して配置されている。つまり、拡張突出部60Bは、プラズマ生成空間Sに向けて、マイクロ波透過板28との間に間隔L1をあけて突出している。このように、マイクロ波透過板28と拡張突出部60Bとの間に間隔L1をあけることによって、マイクロ波透過板28のマイクロ波導入のための有効面積を狭めずに、対向電極としての表面積を充分に広く確保できる。また、空間S1はプラズマ生成空間Sの一部分となり、空間S1でもプラズマが生成されるので、処理容器1内のプラズマを安定に維持することが出来る。これに対し、従来のプラズマ処理装置のように間隔L1を設けずに、マイクロ波透過板28と拡張突出部60Bとを密着させて配備した場合、処理容器1内で対向電極の表面積を大きくしようとすると、マイクロ波透過板28の中心側への突出量を大きくする必要がある。そうすると、プラズマを生成する際に、マイクロ波透過板28の有効面積が拡張突出部60Bの上面60B1との接触面積分だけ減少するので、処理容器1内へのマイクロ波パワーの供給量が低下してプラズマが生成しないか、生成しても不安定になってしまう。これを解決するには、処理容器1を大きくする必要があるが、設置面積が増大し、装置の製造コストも大きくなる。また、マイクロ波透過板28と拡張突出部60Bとを密着させて配備した場合、マイクロ波透過板28と対向電極の接点近傍(つまり、拡張突出部60Bの先端)の対向電極表面が高密度のプラズマでスパッタされて金属コンタミネーションを発生させやすくなる。
この間隔L1は、マイクロ波透過板28の直下で生成するプラズマとマイクロ波透過板28との間のシースの厚みよりも大きいことが好ましく、また、電子の平均自由行程よりも十分に大きい距離であることが好ましい。例えば、図1のプラズマ処理装置100では、処理圧力が6.7Paのときに高周波バイアス電圧を50V印加した場合のシースの厚みは0.25mm程度、電子の平均自由行程は8mm程度である。従って、間隔L1は例えば10mm以上30mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。間隔L1を上記範囲とすることにより、処理容器1内で安定したプラズマを保つことが出来る。間隔L1が10mm未満では、空間S1内で異常放電が生じるなどプラズマが安定化しないことがあり、特に間隔L1がシース厚以下である場合には、処理容器1内でのプラズマの生成が困難になる場合がある。一方、間隔L1が30mmを超えると、拡張突出部60Bが載置台5の電極7に近づきすぎるため、対向電極として機能し難くなり、さらに載置台5の熱によって拡張突出部60Bが熱ダメージを受ける可能性もある。
また、同様に、拡張突出部60Bが載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、拡張突出部60Bの厚み(つまり、上面60B1と下面60B3との距離)L2の上限は、例えば20mmとすることが好ましい。ただし、拡張突出部60Bの厚みL2が小さすぎると対向電極としての効果が低下するので、厚みL2の下限は例えば5mmとすることが好ましい。従って、拡張突出部60Bの厚みL2は、5mm以上20mm以下の範囲内とすることが好ましく、7mm以上17mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
さらに、拡張突出部60Bの下面60B3から載置台5の上面までの距離L3(ここでは、両部材の高さ位置の差を意味する)は、拡張突出部60Bを対向電極として機能させながら、拡張突出部60Bが載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、例えば15mm以上60mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
また、本実施の形態のプラズマ処理装置100では、ガス導入口15aを拡張突出部60Bよりも上方位置に設け、拡張突出部60Bとマイクロ波透過板28との間の空間S1に処理ガスを供給する構成とした。かかる構成によって、マイクロ波透過板28直下の空間S1のガスの置換と排出を促すことができるとともに処理ガスが活性化されやすくなる。その結果、マイクロ波透過板28の直下の空間S1の全域で効率よくプラズマを生成させることができる。なお、空間S1はプラズマ生成空間Sの一部分である。さらに別の効果として、後記実施例に示すように、マイクロ波透過板28の直下の空間S1に処理ガスを供給することによって、プラズマ処理装置100でプラズマ窒化プロセスを行う場合などに、石英製のマイクロ波透過板28から放出される酸素の処理容器1外への排出を促すことができるので、成膜される窒化膜中の窒素濃度の低下を抑制できる。なお、マイクロ波透過板28から酸素が放出される原因としては、石英製のマイクロ波透過板28中に元々存在する酸素が放出される場合と、プラズマ処理装置100において過去に酸化膜を有するウエハWへのプラズマ処理を行った際に、ウエハWから放出された酸素が、マイクロ波透過板28に一旦吸着され、その酸素がプラズマ窒化処理の際に放出される場合と、が考えられる。
本実施の形態のプラズマ処理装置100では、対向電極を構成する蓋部材27の突出部60の露出した表面に、保護膜48を設けている。すなわち、蓋部材27は、例えばアルミニウム又はその合金などの金属製であるため、プラズマに曝され、スパッタリングされてメタルコンタミネーションやパーティクルが発生することを防止するために、図2Aに拡大して示したように、保護膜48がコーティングされている。保護膜48は、当接支持部60Aの表面及び拡張突出部60Bの上面60B1、先端面60B2及び下面60B3に形成されている。保護膜48の材質としては、保護膜48が削られることによるコンタミネーションやパーティクル発生を考慮して、シリコンが好ましい。シリコンとしては、例えば単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶構造を有していてもよいし、アモルファス構造であってもよい。突出部60に保護膜48を形成しても対向電極としての機能は維持され、安定なプラズマが生成されて均一なプラズマ処理が可能である。保護膜48は、載置台5からプラズマ生成空間Sを隔てて対向電極である突出部60を介して蓋部材27へと流れる高周波電流経路を効率的に形成して他の部位における短絡や異常放電を抑制すると同時に、対向電極の表面をプラズマによる酸化作用やスパッタ作用から保護し、対向電極の構成材質であるアルミニウム等の金属によるコンタミネーションの発生を抑制する。また、保護膜48としてシリコン膜を形成した場合は、プラズマの酸化作用によってシリコン膜が酸化されて二酸化珪素膜(SiO2膜)となっても、非常に薄く、かつ誘電率と抵抗率の積が小さな材質であるため、載置台5からプラズマ生成空間Sを隔てて対向電極である蓋部材27へと流れる電流経路を妨げることが少なく、安定した適正な高周波電流経路を維持できる。
また、保護膜48としてのシリコン膜は、膜中の気孔率が小さく緻密で低抵抗率の膜であることが好ましい。膜中の気孔率が大きくなると体積抵抗率も大きくなることから、例えば気孔率が1〜10%の範囲内で、体積抵抗率が5×104〜5×105Ω・cm2の範囲内であることが好ましい。このようなシリコン膜は、例えばプラズマ溶射法で形成することが好ましい。また、保護膜48の厚さは、例えば10〜800μmの範囲内が好ましく、50〜500μmの範囲内がより好ましく、50〜150μmの範囲内が望ましい。保護膜48の厚さが10μm未満であると十分な保護作用が得られず、800μmを超えると応力によりクラックやはがれ等が生じやすくなる。
保護膜48は、例えばプラズマ溶射法のほか、PVD(物理気相成長)、CVD(化学気相成長)等の薄膜形成技術で形成することができる。その中でも比較的安価で、加工し易く、容易に上記気孔率、体積抵抗率が良好な範囲内になるように制御可能な保護膜48を形成することができる溶射法が好ましい。溶射法には、フレーム溶射、アーク溶射、レーザー溶射、プラズマ溶射等があるが、制御性良く高純度の膜を形成できるプラズマ溶射が好ましい。また、プラズマ溶射法としては、大気圧プラズマ溶射法、真空プラズマ溶射法が挙げられ、どちらでも使用可能である。
なお、保護膜48としては、シリコンに代えて、例えばTiN、Y2O3、Al2O3、SiO2等を用いることもできる。
また、本実施の形態に係るプラズマ処理装置100では、処理容器1の内周に石英からなる円筒状のライナーが設けられている。ライナーは、主に処理容器1の上部の内面を覆う第1の絶縁板としての上部ライナー49aと、この上部ライナー49aに連なって主に処理容器1の下部の内面を覆う第2の絶縁板としての下部ライナー49bとを含む構成となっている。上部ライナー49a及び下部ライナー49bは、処理容器1の壁とプラズマとの接触を防止し、処理容器1の構成材料による金属汚染を防止するとともに、載置台5から処理容器1の側壁1bへ向かって高周波電流の短絡や異常放電が生じないにように作用する。載置台5との間隔が小さく近接した位置に配備される下部ライナー49bは上部ライナー49aに比べて厚みが大きく形成されている。上部ライナー49a及び下部ライナー49bの厚みは、高周波電流の短絡や異常放電が生じない程度の厚みにするとともに、インピーダンスも考慮して設定すればよい。例えば2mm〜30mmの厚みの範囲内から、上部ライナー49aより下部ライナー49bが厚くなるように設定することが好ましい。
また、下部ライナー49bは、電極7が埋設された載置台5の高さより低い高さ位置の処理容器1と排気室11の内面の少なくとも一部分、好ましくはほぼ全部を覆うように設けられている。載置台5の下方部分において、載置台5と処理容器1との距離が最も短くなることに対応して、この部位での異常放電を防ぐためである。なお、上部ライナー49a及び下部ライナー49bの材質としては、石英が好ましいが、Al2O3、AlN、Y2O3等のセラミックスなどの誘電体を適用することもできる。なお、上部ライナー49a及び下部ライナー49bは、上記材料をコーティングすることによって形成してもよい。また、例えばアルミニウム製の上部ライナー49a,下部ライナー49bの表面に、例えばSiO2膜をプラズマ溶射法でコーティングして用いてもよい。
プラズマ処理装置100の各構成部は、コンピュータを有する制御部50に接続されて制御される構成となっている。制御部50は、例えば図4に示したように、CPUを備えたプロセスコントローラ51と、このプロセスコントローラ51に接続されたユーザーインターフェース52および記憶部53を備えている。プロセスコントローラ51は、プラズマ処理装置100において、例えば温度、圧力、ガス流量、マイクロ波出力、バイアス印加用の高周波電力などのプロセス条件に関係する各構成部(例えば、ヒーター電源6、ガス供給装置16、排気装置24、マイクロ波発生装置39、高周波電源44など)を統括して制御する制御手段である。
ユーザーインターフェース52は、工程管理者がプラズマ処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有している。また、記憶部53には、プラズマ処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ51の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピなどが保存されている。
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース52からの指示等にて任意のレシピを記憶部53から呼び出してプロセスコントローラ51に実行させることで、プロセスコントローラ51による制御の下でプラズマ処理装置100の処理容器1内で所望の処理が行われる。また、前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリ、DVD、ブルーレイディスクなどに格納された状態のものを利用できる。さらに、前記レシピを他の装置から例えば専用回線を介して伝送させて利用することも可能である。
このように構成された本発明のプラズマ処理装置100では、例えば室温(25℃程度)以上600℃以下の低温で下地膜や基板(ウエハW)等へのダメージフリーなプラズマ酸化処理やプラズマ窒化処理等を行うことができる。また、プラズマ処理装置100は、プラズマの均一性に優れていることから、大口径のウエハW(被処理体)に対してもプロセスの均一性を実現できる。
次に、プラズマ処理装置100の動作について説明する。まず、ウエハWを処理容器1内に搬入し、載置台5上に載置する。そして、ガス供給装置16から、処理ガスをガス供給路12、環状通路13、ガス導入口15aを介して処理容器1内に導入する。処理ガスとしては、例えばAr、Kr、Heなどの希ガスに加え、プラズマ酸化処理の場合は例えばO2、N2O、NO、NO2、CO2などの酸化ガス、あるいはプラズマ窒化処理の場合は例えばN2、NH3等の窒素含有ガスを所定の流量で供給する。なお、プラズマ酸化処理の場合は必要に応じてH2を添加してもよい。
次に、マイクロ波発生装置39からのマイクロ波を、マッチング回路38を経て導波管37に導き、矩形導波管37b、モード変換器40、および同軸導波管37aを順次通過させて内導体41を介して平面アンテナ31に供給し、平面アンテナ31のスロット孔32からマイクロ波透過板28を介して処理容器1内に放射させる。この間、マイクロ波は、矩形導波管37b内ではTEモードで伝搬し、このTEモードのマイクロ波はモード変換器40でTEMモードに変換されて、同軸導波管37a内を平面アンテナ31に向けて伝搬されていく。平面アンテナ31からマイクロ波透過板28を経て処理容器1に放射されたマイクロ波により処理容器1内で電磁界が形成され、処理ガスがプラズマ化する。
このプラズマは、マイクロ波が平面アンテナ31の多数のスロット孔32から放射されることにより、略1×1010〜5×1012/cm3の高密度で、かつウエハW近傍では、略1.5eV以下の低電子温度プラズマとなる。したがって、このプラズマをウエハWに対して作用させることにより、プラズマダメージを抑制した処理が可能になる。
また、本実施の形態では、プラズマ処理を行なっている間、高周波電源44から所定の周波数で高周波電力を載置台5の電極7に供給する。高周波電源44から供給される高周波電力の周波数は、例えば100kHz以上60MHz以下の範囲内が好ましく、400kHz以上13.5MHz以下の範囲内がより好ましい。高周波電力の周波数を上記範囲内とすることによって、負バイアスが効率的に載置台5に印加される。
高周波電力は、ウエハWの面積当たりのパワー密度として例えば0.2W/cm2以上2.3W/cm2以下の範囲内で供給することが好ましく、0.35W/cm2以上1.2W/cm2以下の範囲内で供給することがより好ましい。高周波のパワー密度を上記範囲内とすることによって、負バイアスが効率的に載置台5に印加される。
また、高周波のパワーは200W以上2000W以下の範囲内が好ましく、300W以上1200W以下の範囲内がより好ましい。高周波のパワーを上記範囲内とすることによって、負バイアスが効率的に載置台5に印加される。
載置台5の電極7に供給された高周波電力は、プラズマの低い電子温度を維持しつつ、プラズマ中のイオン種をウエハWへ引き込む作用を有している。従って、電極7に高周波電力を供給して、ウエハWにバイアスを印加することにより、プラズマ酸化処理やプラズマ窒化処理のレートを速め、かつウエハ面内における処理の均一性を高めることができる。
この場合、高周波電源44から、ユニット化された高周波電力の導入部(マッチングボックス43およびシールドボックス46内の導電板47)と給電線42を介して、電力損失が少ない状態で載置台5の電極7へ効率良く高周波電力が供給される。電極7へ供給された高周波電力は、載置台5からプラズマ生成空間Sを介して対向電極として機能する中心的な部分である突出部60を有する蓋部材27へ伝わり、処理容器1の側壁1b、さらに排気室11の壁を介して高周波電源44のアースへと伝わる高周波電流経路(RFリターン回路)を形成する。本実施の形態では、拡張突出部60Bを設けたことにより、プラズマ電位(Vp)の振動を抑制して処理容器1内で安定したプラズマを生成することが可能であり、プラズマのスパッタ作用によって対向電極の表面が削られ、金属コンタミネーションの発生原因となることを防止できる。
また、対向電極である突出部60のプラズマ生成空間Sに臨む露出表面には、導電性の保護膜48(シリコン膜又はシリコンが酸化されてなるSiO2膜)が設けられているので、対向電極の表面を保護できるとともに、載置台5からプラズマ生成空間Sを隔てて対向電極である蓋部材27へと高周波電流が適正に流れる高周波電流経路の形成が妨げられることがない。また、保護膜48に隣接して処理容器1の内面には、上部ライナー49aおよびこれよりも肉厚の下部ライナー49bが設けられているので、これらの部位への短絡や異常放電を確実に抑制することができる。つまり、保護膜48によって、異常放電を抑制できるとともに、金属コンタミネーションを防止することができる。
以上のように、本実施の形態にかかるプラズマ処理装置100では、対向電極である突出部60の拡張突出部60Bによって対向電極表面積を十分に広く確保し、適正な高周波電流経路を形成していることにより、ウエハWを載置する載置台5の電極7に供給されたバイアス用の高周波電力の電力消費効率を向上させることができる。また、拡張突出部60Bとマイクロ波透過板28の間に空間S1を形成して対向電極をプラズマ生成空間Sに突出して配置することで、プラズマ生成空間S及び空間S1において、安定したプラズマを生成することが出来る。また、異常放電を防止してプロセスの効率化と安定化を図ることができる。また、拡張突出部60Bをマイクロ波透過板28から間隔L1をあけて設けているので、マイクロ波透過板28の有効面積を縮小させずにすみ、十分なマイクロ波パワーの導入が可能であり、処理容器1内で形成されるプラズマを安定化できる。
[第2の実施の形態]
次に、図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係るプラズマ処理装置について説明する。なお、第2の実施の形態のプラズマ処理装置101は、その特徴部分以外は第1の実施の形態のプラズマ処理装置100と同様であるため、全体的な構成についての説明(図1、図3A、図4)を省略するとともに、図5において図2Aと同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態のプラズマ処理装置101において、蓋部材27の内周側には、蓋部材27の一部分として、突出部61が形成されている。このように、蓋部材27と突出部61を一体に形成することにより、熱伝導性と導通性を確保できる。突出部61は、当接支持部61Aと拡張突出部61Bとを有している。突出部61の拡張突出部61Bは、上面61B1、先端面61B2及び下面61B3を有している。突出部61は、プラズマ生成空間Sに臨んで形成されており、第1の電極である載置台5の電極7に対してプラズマ生成空間Sを隔てて対をなす対向電極(第2の電極)として機能する主要部分である。具体的には、図5中の蓋部材27の当接支持部61Aとマイクロ波透過板28との当接部位の端である図中に丸で示す部位Aから、突出部61の露出した表面(つまり、当接支持部61Aの表面及び拡張突出部61Bの上面61B1、先端面61B2及び下面61B3)を迂回して当接支持部61Aの露出した下面の端である図中に丸で示す部位B(上部ライナー49aとの当接端)に至る内周表面が対向電極として機能する部分である。本実施の形態では、部位Aから部位Bに至る表面が、プラズマ生成空間Sに露出して環状に対向電極を形成している。このように、主に対向電極となる環状の部材をプラズマ生成空間に突出させて設けることにより、マイクロ波透過板28を備えているために載置台5の直上位置に対向電極を配備することが困難なRLSA方式のマイクロ波プラズマ処理装置101においても、対向電極の表面積を十分に広く確保できる。
そして、本実施の形態のプラズマ処理装置101では、対向電極として中心的に機能する突出部61の拡張突出部61Bの表面(つまり、上面61B1、先端面61B2及び下面61B3)を、断面形状が凹凸になるように形成し、対向電極の表面積を十分広く確保できるようにしている。このように、対向電極を構成する拡張突出部61Bの形状を工夫することにより、処理容器1内の限られたスペースの中で対向電極の面積を広く確保することができる。本実施の形態においても、プラズマ生成空間Sに露出している対向電極表面積は、プラズマ電位の振動を抑制して処理容器1内で安定したプラズマを生成させるとともに、対向電極近傍でのプラズマによるスパッタ作用を弱めるために、バイアス用電極面積に対する面積比として、1以上であることが好ましく、1以上5以下の範囲内であることがより好ましく、1以上4以下の範囲内であることがさらに好ましく、2以上4以下の範囲内であることが望ましい。なお、図5に示したプラズマ処理装置101で上記面積比が約5となっている。
また、対向電極として機能する突出部61の先端面61B2は、載置台5に載置されたウエハWの周縁端の位置PWEに達しない突出量であることが好ましい。突出部61の先端が、ウエハWの周縁端の位置PWEより内側に達すると、処理容器1内で生成する高密度のプラズマ領域がウエハサイズより小さくなり、ウエハWの周縁部のプラズマ密度が減少して、ウエハWの外周部における処理内容の均一性に悪影響がでることがある。一方、対向電極として機能する突出部61は、先端部(先端面61B2)の反対側(処理容器1の側壁1b側)では、側壁1bとの当接端が基端部となるが、本実施の形態ではその途中にある部位Bまでが、プラズマ生成空間Sに露出していればよい。すなわち、本実施の形態においては、対向電極として機能する突出部61の当接支持部61Aの露出した下面の端は、図5に部位Bで示す上部ライナー49aとの接点になっている。
また、空間S1に臨む拡張突出部61Bの上面61B1は、マイクロ波透過板28の下面から離間して配置されている。つまり、拡張突出部61Bは、プラズマ生成空間Sに向けて、マイクロ波透過板28との間に間隔L1をあけて突出している。このように、マイクロ波透過板28と拡張突出部61Bとの間に間隔L1をあけることによって、マイクロ波透過板28のマイクロ波導入のための有効面積を狭めずに、対向電極としての表面積を充分に広く確保できる。また、空間S1はプラズマ生成空間Sの一部分となり、そこでもプラズマが生成されるので、ウエハWへのプラズマ処理を均一にすることが出来る。これに対し、間隔L1を設けずに、マイクロ波透過板28と拡張突出部61Bとを密着させて配備した場合、処理容器1内で対向電極の表面積を大きくしようとすると、マイクロ波透過板28の中心側への突出量を大きくする必要が有る。そうすると、プラズマを生成する際にマイクロ波透過板28の有効面積が拡張突出部61Bの分だけ減少するので、処理容器1内へのマイクロ波パワーの供給量が低下してプラズマが生成しないか、生成しても不安定になってしまう。これを解決するには、処理容器1を大きくする必要があるが、設置面積が増大し、装置の製造コストも大きくなる。
この間隔L1は、マイクロ波透過板28の直下で生成するプラズマとマイクロ波透過板28との間のシースの厚みよりも大きいことが好ましく、また、電子の平均自由行程よりも十分に大きい距離であることが好ましい。例えば間隔L1は10mm以上30mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。間隔L1が10mm未満では、空間S1内で異常放電が生じるなどプラズマが安定化しないことがあり、特に間隔L1がシース厚以下である場合には、処理容器1内でのプラズマの生成が困難になる場合がある。一方、間隔L1が30mmを超えると、拡張突出部61Bが載置台5の電極7に近づきすぎるため、対向電極として機能し難くなり、さらに載置台5の熱によって拡張突出部61Bが熱ダメージを受ける可能性もある。
また、同様に、拡張突出部61Bが載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、拡張突出部61Bの厚み(つまり、上面61B1と下面61B3との距離)L2の上限は、例えば20mmとすることが好ましい。ただし、拡張突出部61Bの厚みL2が小さすぎると対向電極としての効果が低下するので、厚みL2の下限は例えば5mm以上とすることが好ましい。従って、拡張突出部61Bの厚みL2は、5mm以上20mm以下の範囲内とすることが好ましく、7mm以上17mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
さらに、拡張突出部61Bの下面61B3から載置台5の上面までの距離L3(ここでは、両部材の高さ位置の差を意味する)は、拡張突出部61Bを対向電極として機能させながら、拡張突出部61Bが載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、例えば15mm以上60mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
また、本実施の形態のプラズマ処理装置101では、ガス導入口15aを拡張突出部61Bよりも上方位置の当接支持部61Aに設け、拡張突出部61Bとマイクロ波透過板28との間の空間S1に処理ガスを供給する構成とした。かかる構成によって、プラズマ生成空間Sの一部分であるマイクロ波透過板28直下の空間S1のガスの置換と排出を促すことができるとともに処理ガスが活性化されやすくなる。その結果、マイクロ波透過板28の直下の空間S1の全域で効率よくプラズマを生成させることができる。さらに別の効果として、マイクロ波透過板28の直下の空間S1に処理ガスを供給することによって、プラズマ処理装置101で例えばプラズマ窒化プロセスを行う場合などに、石英製のマイクロ波透過板28から放出される酸素の排出を促すことができるので、成膜される窒化膜中の窒素濃度の低下を抑制できる。
また、本実施の形態においても、突出部61の露出した表面に保護膜48を設けている。保護膜48は、突出部61がプラズマに曝され、スパッタリングされてメタルコンタミネーションやパーティクルが発生することを防止する。突出部61に保護膜48を形成しても対向電極としての機能は維持され、安定なプラズマを生成して均一なプラズマ処理が可能である。
なお、拡張突出部61Bの凹凸は、図5に示したような波形に限るものではなく、表面積を拡大できる形状として、例えば溝形状、ホール形状等の任意の形状とすることができる。ただし、プラズマ生成空間Sに臨む拡張突出部61Bの表面での異常放電の防止やパーティクル発生防止の観点から、図5に示すような角部を丸めた波形が好ましい。なお、凹凸は、必ずしも拡張突出部61Bの全面に形成する必要はなく、例えば、拡張突出部61Bの上面61B1のみ、あるいは下面61B3のみに設けることもできる。
本実施の形態の他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図6を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係るプラズマ処理装置について説明する。なお、第3の実施の形態のプラズマ処理装置102は、その特徴部分以外は第1の実施の形態のプラズマ処理装置100と同様であるため、全体的な構成についての説明(図1、図3A、図4)を省略するとともに、図6において図2Aと同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第1及び第2の実施の形態のプラズマ処理装置では、蓋部材27の突出部60,61に拡張突出部60B,61Bを設け、主に対向電極として機能する部分としていたが、本実施の形態のプラズマ処理装置102では、処理容器1の上部に、処理容器1の一部分として内側に突出する拡張突出部62を設け、対向電極として機能する部分の面積を広げている。このように、処理容器1と拡張突出部62を一体に形成することにより、熱伝導性と導通性を確保できる。拡張突出部62は、蓋部材27においてマイクロ波透過板28を支持する当接支持部60’に部分的に当接し、電気的に接続されている。
拡張突出部62は、処理容器1の側壁1bの上端に設けられている。拡張突出部62は、蓋部材27の当接支持部60’に当接した当接部分62Aと、露出した上面62B1、先端面62B2及び下面62B3を有する露出部分62Bを備えている。当接支持部60’及び拡張突出部62は、ともにプラズマ生成空間Sに臨んで形成されており、第1の電極である載置台5の電極7に対してプラズマ生成空間Sを隔てて対をなす対向電極(第2の電極)として機能する主要部分である。具体的には、図6中の蓋部材27の当接支持部60’とマイクロ波透過板28との当接部位の端である図中に丸で示す部位Aから、当接支持部60’の露出した表面及び拡張突出部62の表面(つまり、拡張突出部62の露出した上面62B1、先端面62B2及び下面62B3)を迂回して拡張突出部62の露出した下面の端である図中に丸で示す部位B(上部ライナー49aとの当接端)に至る内周表面が対向電極として機能する部分である。本実施の形態では、部位Aから部位Bに至る表面が、プラズマ生成空間Sに露出して環状に対向電極を形成している。このように、対向電極は、プラズマ生成空間Sに臨む表面を有する複数の部材(蓋部材27と処理容器1)により形成することができる。そして、主に対向電極となる環状の部材をプラズマ生成空間に突出させて設けることにより、マイクロ波透過板28を備えているために載置台5の直上位置に対向電極を配備することが困難なRLSA方式のマイクロ波プラズマ処理装置102においても、対向電極の表面積を十分に広く確保できる。また、本実施の形態では、対向電極の拡張部分ともいうべき拡張突出部62を処理容器1の上部に設けているので、載置台5に載置されたウエハWの表面からマイクロ波透過板28までの距離(ギャップG;図1参照)を小さくしたい場合に有効である。
本実施の形態においても、プラズマ生成空間Sに露出している対向電極表面積は、プラズマ電位の振動を抑制して処理容器1内で安定したプラズマを生成させるとともに、対向電極近傍でのプラズマによるスパッタ作用を弱めるために、バイアス用電極面積に対する面積比として、1以上であることが好ましく、1以上5以下の範囲内であることがより好ましく、1以上4以下の範囲内であることがさらに好ましく、2以上4以下の範囲内であることが望ましい。
また、対向電極として機能する拡張突出部62の先端面62B2が、載置台5に載置されたウエハWの周縁端の位置PWEに達しない突出量であることが好ましい。拡張突出部62の先端が、ウエハWの周縁端の位置PWEより内側に達すると、処理容器1内で生成する高密度のプラズマ領域がウエハサイズより小さくなり、ウエハWの周縁部のプラズマ密度が減少して、ウエハWの外周部における処理内容の均一性に悪影響がでることがある。一方、対向電極として機能する拡張突出部62は、先端部(先端面62B2)とは反対側(処理容器1の側壁1b側)では、側壁1bから折曲した角部が基端部となるが、本実施の形態ではその途中にある部位Bまでがプラズマ生成空間Sに露出していればよい。すなわち、本実施の形態においては、対向電極として機能する拡張突出部62の露出した下面の端は、図6に部位Bで示す上部ライナー49aとの接点になっている。
また、空間S1に臨む拡張突出部62の上面62B1は、マイクロ波透過板28の下面から離間して配置されている。つまり、拡張突出部62は、プラズマ生成空間Sに向けて、マイクロ波透過板28との間に間隔L1をあけて突出している。このように、マイクロ波透過板28と拡張突出部62との間に間隔L1をあけることによって、マイクロ波透過板28のマイクロ波導入のための有効面積を狭めずに、対向電極としての表面積を充分に広く確保できる。また、空間S1はプラズマ生成空間Sの一部分となり、そこでもプラズマが生成されるので、ウエハWへのプラズマ処理を均一にすることが出来る。これに対し、間隔L1を設けずに、マイクロ波透過板28と拡張突出部62とを密着させて配備した場合、処理容器1内で対向電極の表面積を大きくしようとすると、マイクロ波透過板28の中心側への突出量を大きくする必要が有る。そうすると、プラズマを生成する際に、マイクロ波透過板28の有効面積が拡張突出部62の上面62B1との接触面積分だけ減少し、処理容器1内へのマイクロ波パワーの供給量が低下してプラズマが生成しないか、生成しても不安定になってしまう。これを解決するには、処理容器1を大きくする必要があるが、設置面積が増大し、装置の製造コストも大きくなる。
この間隔L1は、マイクロ波透過板28の直下で生成するプラズマとマイクロ波透過板28との間のシースの厚みよりも大きいことが好ましく、例えば間隔L1は10mm以上30mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。間隔L1が10mm未満では、空間S1内で異常放電が生じるなどプラズマが安定化しないことがあり、特に間隔L1がシース厚以下である場合には、処理容器1内でのプラズマの生成が困難になる場合がある。一方、間隔L1が30mmを超えると、拡張突出部62が載置台5の電極7に近づきすぎるため、対向電極として機能し難くなり、さらに載置台5の熱によって拡張突出部62が熱ダメージを受ける可能性もある。
また、同様に、拡張突出部62が載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、拡張突出部62の厚み(つまり、上面62B1と下面62B3との距離)L2の上限は、例えば20mmとすることが好ましい。ただし、拡張突出部62の厚みL2が小さすぎると対向電極としての効果が低下するので、厚みL2の下限は例えば5mmとすることが好ましい。従って、拡張突出部62の厚みL2は、5mm以上20mm以下の範囲内とすることが好ましく、7mm以上17mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
さらに、拡張突出部62の下面62B3から載置台5の上面までの距離L3(ここでは、両部材の高さ位置の差を意味する)は、拡張突出部62を対向電極として機能させながら、拡張突出部62が載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、例えば15mm以上60mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
また、本実施の形態のプラズマ処理装置102では、ガス導入口15aを拡張突出部62よりも上方位置の当接支持部60’に設け、拡張突出部62とマイクロ波透過板28との間の空間S1に処理ガスを供給する構成とした。かかる構成によって、プラズマ生成空間Sの一部分であるマイクロ波透過板28直下の空間S1のガスの置換と排出を促すことができるとともに処理ガスが活性化されやすくなる。その結果、マイクロ波透過板28の直下の空間S1の全域で効率よくプラズマを生成させることができる。さらに別の効果として、マイクロ波透過板28の直下の空間S1に処理ガスを供給することによって、プラズマ処理装置102で例えばプラズマ窒化プロセスを行う場合などに、石英製のマイクロ波透過板28から放出される酸素の排出を促すことができるので、成膜される窒化膜中の窒素濃度の低下を抑制できる。
本実施の形態のプラズマ処理装置102では、対向電極を構成する当接支持部60’及び拡張突出部62の表面に、保護膜48を設けている。すなわち、図6に示したように、アルミニウム製の蓋部材27の当接支持部60’のプラズマに曝される露出した表面には、保護膜48がコーティングされている。また、処理容器1に設けられた拡張突出部62のプラズマに曝される露出した表面にも、保護膜48がコーティングされている。保護膜48は、当接支持部60’及び拡張突出部62がプラズマに曝され、スパッタリングされてメタルコンタミネーションやパーティクルが発生することを防止する。当接支持部60’や拡張突出部62に保護膜48を形成しても対向電極としての機能は維持され、安定なプラズマを生成して均一なプラズマ処理が可能である。
本実施の形態の他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、図7を参照しながら、本発明の第4の実施の形態に係るプラズマ処理装置について説明する。なお、第4の実施の形態のプラズマ処理装置103は、その特徴部分以外は第1の実施の形態と同様であるため、全体的な構成についての説明(図1、図3A、図4)を省略するとともに、図7において図2Aと同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態のプラズマ処理装置103では、蓋部材27の当接支持部60’に、付加的に環状の補助電極部材を着脱可能に装着して拡張突出部63を設けている。このように、対向電極の一部又は全部を、付加的な部材を装着することにより形成してもよい。拡張突出部63を蓋部材27や処理容器1とは別部材とすることで、消耗品として容易に交換が可能になる。拡張突出部63は、上面63a、先端面63b及び下面63cを有している。
拡張突出部63を構成する補助電極部材は、導電体であれば特に制限はなく、例えばアルミニウムもしくはその合金、又はステンレス鋼等の金属材料のほか、例えばシリコンなどを用いることもできる。特に拡張突出部63をシリコンにより形成する場合には、表面に保護膜を設ける必要がないので有利である。拡張突出部63は、例えば図示しない螺子等の任意の固定方向によって蓋部材27の当接支持部60’の内周面に固定することができる。
本実施の形態のプラズマ処理装置103では、拡張突出部63は、プラズマ生成空間Sに臨んで形成されており、第1の電極である載置台5の電極7に対してプラズマ生成空間Sを隔てて対をなす対向電極(第2の電極)として機能する主要部分である。具体的には、図7中の蓋部材27の当接支持部60’とマイクロ波透過板28との当接部位の端である図中に丸で示す部位Aから当接支持部60’の露出した表面及び拡張突出部63の表面(つまり、拡張突出部63の露出した上面63a、先端面63b及び下面63c)を迂回して当接支持部60’の露出した下面の端である図中に丸で示す部位Bに至る内周表面が対向電極として機能する部分である。本実施の形態では、部位Aから部位Bに至る表面が、プラズマ生成空間Sに露出して環状に対向電極を形成している。このように、対向電極は、プラズマ生成空間Sに臨む表面を有する複数の部材(蓋部材27と拡張突出部63の補助電極部材)により形成することができる。そして、主に対向電極となる環状の部材をプラズマ生成空間Sに突出させて設けることにより、マイクロ波透過板28を備えているために載置台5の直上位置に対向電極を配備することが困難なRLSA方式のマイクロ波プラズマ処理装置103においても、対向電極の表面積を十分に広く確保できる。
本実施の形態では、蓋部材27の当接支持部60’に、付加的に拡張突出部63を装着することによって、対向電極として機能する部分の表面積を十分確保できるようにしている。このように、対向電極を複数の部材で組み合わせて構成することにより、処理容器1内の限られたスペースの中で対向電極の面積を充分な広さで確保することができる。本実施の形態においても、プラズマ生成空間Sに露出している対向電極表面積は、プラズマ電位の振動を抑制して処理容器1内で安定したプラズマを生成させるとともに、対向電極近傍でのプラズマによるスパッタ作用を弱めるために、バイアス用電極面積に対する面積比として、1以上であることが好ましく、1以上5以下の範囲内であることがより好ましく、1以上4以下の範囲内であることがさらに好ましく、2以上4以下の範囲内であることが望ましい。
また、対向電極として機能する拡張突出部63の先端部(先端面63b)は、載置台5に載置されたウエハWの周縁端の位置PWEに達しない突出長さであることが好ましい。拡張突出部63の先端が、ウエハWの周縁端の位置PWEより内側に達すると、処理容器1内で生成する高密度のプラズマ領域がウエハサイズより小さくなり、ウエハWの周縁部のプラズマ密度が減少して、ウエハWの外周部における処理内容の均一性に悪影響がでることがある。一方、拡張突出部63の先端部(先端面63b)とは反対側では、拡張突出部63と当接支持部60’との接合部位を越えて、部位Bまでがプラズマ生成空間Sに露出している。すなわち、本実施の形態においては、対向電極として機能する当接支持部60’の露出した下面の端が、図7に部位Bで示す上部ライナー49aとの接点になっている。
また、拡張突出部63の上面63aは、マイクロ波透過板28の下面から離間して配置されている。つまり、拡張突出部63は、プラズマ生成空間Sに向けて、マイクロ波透過板28との間に間隔L1をあけて突出している。このように、マイクロ波透過板28と拡張突出部63との間に間隔L1をあけることによって、マイクロ波透過板28のマイクロ波導入のための有効面積を狭めずに、対向電極としての表面積を充分に広く確保できる。また、空間S1はプラズマ生成空間Sの一部分となり、そこでもプラズマが生成されるので、ウエハWへのプラズマ処理を均一にすることが出来る。これに対し、間隔L1を設けずに、マイクロ波透過板28と拡張突出部63とを密着させて配備した場合、処理容器1内で対向電極の表面積を大きくしようとすると、マイクロ波透過板28の中心側への突出量を大きくする必要がある。そうすると、プラズマを生成する際に、マイクロ波透過板28の有効面積が拡張突出部63の上面63aとの接触面積分だけ減少し、処理容器1内へのマイクロ波パワーの供給量が低下してプラズマが生成しないか、生成しても不安定になってしまう。これを解決するには、処理容器1を大きくする必要があるが、設置面積が増大し、装置の製造コストも大きくなる。
この間隔L1は、マイクロ波透過板28の直下で生成するプラズマとマイクロ波透過板28との間のシースの厚みよりも大きいことが好ましく、例えば間隔L1は10mm以上30mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。間隔L1が10mm未満では、空間S1内で異常放電が生じるなどプラズマが安定化しないことがあり、特に間隔L1がシース厚以下である場合には、処理容器1内でのプラズマの生成が困難になる場合がある。一方、間隔L1が30mmを超えると、拡張突出部63が載置台5の電極7に近づきすぎるため、対向電極として機能し難くなり、さらに載置台5の熱によって拡張突出部63が熱ダメージを受ける可能性もある。
また、同様に、拡張突出部63が載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、拡張突出部63の厚み(つまり、上面63aと下面63cとの距離)L2の上限は、例えば20mmとすることが好ましい。ただし、拡張突出部63の厚みL2が小さすぎると対向電極としての効果が低下するので、厚みL2の下限は例えば5mmとすることが好ましい。従って、拡張突出部63の厚みL2は、5mm以上20mm以下の範囲内とすることが好ましく、7mm以上17mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
さらに、拡張突出部63の下面63cから載置台5の上面までの距離L3(ここでは、両部材の高さ位置の差を意味する)は、拡張突出部63を対向電極として機能させながら、上記と同様に拡張突出部63が載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、例えば15mm以上60mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
また、本実施の形態のプラズマ処理装置103では、ガス導入口15aを拡張突出部63よりも上方位置の当接支持部60’に設け、拡張突出部63とマイクロ波透過板28との間の空間S1に処理ガスを供給する構成とした。かかる構成によって、プラズマ生成空間Sの一部分であるマイクロ波透過板28直下の空間S1のガスの置換と排出を促すことができるとともに処理ガスが活性化されやすくなる。その結果、マイクロ波透過板28の直下の空間S1の全域で効率よくプラズマを生成させることができる。さらに別の効果として、マイクロ波透過板28の直下の空間S1に処理ガスを供給することによって、プラズマ処理装置103で例えばプラズマ窒化プロセスを行う場合などに、石英製のマイクロ波透過板28から放出される酸素の排出を促すことができるので、成膜される窒化膜中の窒素濃度の低下を抑制できる。
なお、拡張突出部63の形状は、図7に示したような断面形状に限るものではなく、表面積を拡大できる形状として例えば断面L字状としたり、表面に凹凸や溝を設けた形状等の任意の形状とすることができる。ただし、プラズマ生成空間Sに臨む拡張突出部63の表面での異常放電の防止やパーティクル発生防止の観点から、図7に示すような角部を丸めた形状とすることが好ましい。また、本実施の形態においても、当接支持部60’及び拡張突出部63のプラズマ生成空間Sに臨む露出した表面に保護膜48を設けている。保護膜48は、当接支持部60’及び拡張突出部63がプラズマに曝され、スパッタリングされてメタルコンタミネーションやパーティクルが発生することを防止する。当接支持部60’及び拡張突出部63に保護膜48を形成しても対向電極としての機能は維持され、安定なプラズマを生成して均一なプラズマ処理が可能である。なお、拡張突出部63の全体をシリコンにより形成する場合は、保護膜は設けなくてもよい。
本実施の形態の他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第5の実施の形態]
次に、図8を参照しながら、本発明の第5の実施の形態に係るプラズマ処理装置について説明する。なお、第5の実施の形態のプラズマ処理装置104は、その特徴部分以外は第1の実施の形態と同様であるため、全体的な構成についての説明(図1、図3A、図4)を省略するとともに、図8において図2Aと同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第4の実施の形態のプラズマ処理装置103では、拡張突出部63(補助電極部材)を蓋部材27に装着したが、本実施の形態のプラズマ処理装置104では、拡張突出部64(環状の補助電極部材)を処理容器1の上部に着脱可能に装着した。このように、対向電極の一部又は全部を、付加的な部材を装着することにより形成してもよい。拡張突出部64を蓋部材27や処理容器1とは別部材とすることで、消耗品として容易に交換が可能になる。拡張突出部64は、上面64a、先端面64b及び下面64cを有している。拡張突出部64の上面64aには、蓋部材27の当接支持部60’の形状にあわせて段差が設けられている。また、拡張突出部64の下面64cは、複数(図8では2重)の環状の溝64dを有している。
拡張突出部64は、導電体であれば特に制限はなく、例えばアルミニウムもしくはその合金、又はステンレス鋼等の金属材料のほか、例えばシリコンなどを用いることもできる。拡張突出部64をシリコンにより形成する場合には、表面に保護膜を設ける必要がないので有利である。拡張突出部64は、例えば図示しない螺子等の任意の固定方向によって処理容器1の側壁1bの内面に固定することができる。
本実施の形態のプラズマ処理装置104では、拡張突出部64は、プラズマ生成空間Sに臨んで形成されており、第1の電極である載置台5の電極7に対してプラズマ生成空間Sを隔てて対をなす対向電極(第2の電極)として機能する主要部分である。具体的には、図8中の蓋部材27の当接支持部60’とマイクロ波透過板28との当接部位の端である図中に丸で示す部位Aから当接支持部60’の露出した表面及び拡張突出部64の表面(つまり、拡張突出部64の上面64a、先端面64b及び下面64c)を迂回して拡張突出部64の露出した下面の端である図中に丸で示す部位Bに至る内周表面が対向電極として機能する部分である。本実施の形態では、部位Aから部位Bに至る表面が、プラズマ生成空間Sに露出して環状に対向電極を形成している。このように、対向電極は、プラズマ生成空間Sに臨む表面を有する複数の部材(蓋部材27と拡張突出部64)により形成することができる。そして、主に対向電極となる環状の部材をプラズマ生成空間に突出させて設けることにより、マイクロ波透過板28を備えているために載置台5の直上位置に対向電極を配備することが困難なRLSA方式のマイクロ波プラズマ処理装置104においても、対向電極の表面積を十分に広く確保できる。
本実施の形態では、蓋部材27の当接支持部60’に、付加的に拡張突出部64を装着することによって、対向電極として機能する部分の表面積を十分確保できるようにしている。このように、対向電極を複数の部材で組み合わせて構成することにより、処理容器1内の限られたスペースの中で対向電極の面積を確保することができる。本実施の形態においても、プラズマ生成空間Sに露出している対向電極表面積は、プラズマ電位の振動を抑制して処理容器1内で安定したプラズマを生成させるとともに、対向電極近傍でのプラズマによるスパッタ作用を弱めるために、バイアス用電極面積に対する面積比として、1以上であることが好ましく、1以上5以下の範囲内であることがより好ましく、1以上4以下の範囲内であることがさらに好ましく、2以上4以下の範囲内であることが望ましい。
また、対向電極として機能する拡張突出部64の先端部(先端面64b)は、載置台5に載置されたウエハWの周縁端の位置PWEに達しない突出長さであることが好ましい。拡張突出部64の先端が、ウエハWの周縁端の位置PWEより内側に達すると、処理容器1内で生成する高密度のプラズマ領域がウエハサイズより小さくなり、ウエハWの周縁部のプラズマ密度が減少して、ウエハWの外周部における処理内容の均一性に悪影響がでることがある。一方、拡張突出部64の先端部(先端面64b)とは反対側では、側壁1bとの当接端が拡張突出部64の基端部となっているが、本実施の形態ではその途中にある部位Bまでがプラズマ生成空間Sに露出している。すなわち、本実施の形態においては、対向電極として機能する拡張突出部64の露出した下面64cの端は、図8に部位Bで示す上部ライナー49aとの接点になっている。
また、拡張突出部64の上面64aは、マイクロ波透過板28の下面から離間して配置されている。つまり、拡張突出部64は、プラズマ生成空間Sに向けて、マイクロ波透過板28との間に間隔L1をあけて突出している。このように、マイクロ波透過板28と拡張突出部64との間に間隔L1をあけることによって、マイクロ波透過板28のマイクロ波導入のための有効面積を狭めずに、対向電極の表面積を充分に広く確保できる。また、空間S1はプラズマ生成空間Sの一部分となり、そこでもプラズマが生成されるので、ウエハWへのプラズマ処理を均一にすることが出来る。これに対し、間隔L1を設けずに、マイクロ波透過板28と拡張突出部64とを密着させて配備した場合、処理容器1内で対向電極の表面積を大きくしようとすると、マイクロ波透過板28の中心側への突出量を大きくする必要が有る。そうすると、プラズマを生成する際に、マイクロ波透過板28の有効面積が拡張突出部64の上面64aとの接触面積分だけ減少し、処理容器1内へのマイクロ波パワーの供給量が低下してプラズマが生成しないか、生成しても不安定になってしまう。これを解決するには、処理容器1を大きくする必要があるが、設置面積が増大し、装置の製造コストも大きくなる。
この間隔L1は、マイクロ波透過板28の直下で生成するプラズマとマイクロ波透過板28との間のシースの厚みよりも大きいことが好ましく、例えば間隔L1は10mm以上30mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。間隔L1が10mm未満では、プラズマが安定化しないことがあり、特に間隔L1がシース厚以下である場合には、処理容器1内でのプラズマの生成が困難になる場合がある。一方、間隔L1が30mmを超えると、拡張突出部64が載置台5の電極7に近づきすぎるため、対向電極として機能し難くなり、さらに載置台5の熱によって拡張突出部64が熱ダメージを受ける可能性もある。
また、同様に、拡張突出部64が載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、拡張突出部64の厚み(ここでは、上面64aと下面64cの下端までの距離)L2の上限は、例えば20mmとすることが好ましい。ただし、拡張突出部64の厚みL2が小さすぎると対向電極としての効果が低下するので、厚みL2の下限は例えば5mm以上とすることが好ましい。従って、拡張突出部64の厚みL2は、5mm以上20mm以下の範囲内とすることが好ましく、7mm以上17mm以下の範囲内とすることがより好ましい。なお、溝64dの深さは任意である。
さらに、拡張突出部64の下面64cの下端から載置台5の上面までの距離L3(ここでは、両部材の高さ位置の差を意味する)は、拡張突出部64を対向電極として機能させながら、上記と同様に拡張突出部64が載置台5の電極7に近づきすぎることを避けるため、例えば15mm以上60mm以下の範囲内とすることが好ましく、20mm以上25mm以下の範囲内とすることがより好ましい。
また、本実施の形態のプラズマ処理装置104では、ガス導入口15aを拡張突出部64よりも上方位置の当接支持部60’に設け、拡張突出部64とマイクロ波透過板28との間の空間S1に処理ガスを供給する構成とした。かかる構成によって、プラズマ生成空間Sの一部分であるマイクロ波透過板28直下の空間S1のガスの置換と排出を促すことができるとともに処理ガスが活性化されやすくなる。その結果、マイクロ波透過板28の直下の空間S1の全域で効率よくプラズマを生成させることができる。さらに副次的な効果として、マイクロ波透過板28の直下の空間S1に処理ガスを供給することによって、プラズマ処理装置104で例えばプラズマ窒化プロセスを行う場合などに、石英製のマイクロ波透過板28から放出される酸素の排出を促すことができるので、成膜される窒化膜中の窒素濃度の低下を抑制できる。
図8の拡張突出部64は、表面積を確保するため、下面64cに環状の溝64dを2重に設けているが、表面積を拡大させ得る形状は、図8に示したような断面形状に限るものではない。拡張突出部64の形状は、例えば環状、複数の穴部が任意の配置で形成された形状等の任意の形状とすることができる。ただし、プラズマ生成空間Sに臨む拡張突出部64の表面での異常放電の防止やパーティクル発生防止の観点から、図8に示すような角部を丸めた形状とすることが好ましい。なお、図8では、拡張突出部64を蓋部材27の当接支持部60’に当接させているが、当接支持部60’から離間させて設けてもよい。
本実施の形態においては、当接支持部60’のプラズマ生成空間Sに臨む露出表面に保護膜48を設けている。一方、拡張突出部64は例えば全体をシリコンで形成することにより、保護膜を設けていない。ただし、拡張突出部64をアルミニウム等の金属材料により形成する場合は、例えばその表面にSiO2膜をプラズマ溶射でコーティングするなどして保護膜を設けることが出来る。なお、保護膜48を形成しても対向電極としての機能は維持され、安定なプラズマを生成して均一なプラズマ処理が可能である。
本実施の形態の他の構成及び効果は、第1の実施の形態と同様である。
上記第1〜第5の実施の形態で説明した特徴的構成は、相互に組み合わせることができる。例えば、第1の実施の形態(図1、図2A、図2B)における拡張突出部60Bや、第3の実施の形態(図6)における拡張突出部62に、第2の実施の形態のように凹凸を設けて表面積をさらに拡大させてもよい。同様に、第4の実施の形態(図7)、第5の実施の形態(図8)の拡張突出部63、64においても、第2の実施の形態のように凹凸を設けて表面積をさらに拡大させてもよい。
また、蓋部材27と処理容器1の両方に、対向電極として機能する突出部を設けてもよいし、蓋部材27と処理容器1の両方に、対向電極として機能する補助電極部材(拡張突出部63,64)を設けてもよい。
次に、本発明の作用効果について、実験結果に基づき説明する。図1のプラズマ処理装置100と同様の構成のプラズマ処理装置において、載置台5の電極7へ高周波電圧を印加した時に載置台5の電位を測定すると、図9A及び図9Bに模式的に示すような交流波形が発生する。図9Aは、対向電極表面積がバイアス用電極面積に対して不十分な大きさである場合を示し、図9Bは、対向電極表面積がバイアス用電極面積に対して十分な大きさである場合を示している。図中のVmaxは、載置台5の高周波電圧の振幅の最大値であり、一般的に、Vmax―GND(接地電位)の電位差がプラズマ電位(Vp)の振動の振幅に対応するものと考えられる。対向電極表面積がバイアス用電極面積に対して不十分な大きさである図9Aでは、Vpが高周波によって振動し、Vmaxが大きくなっている。一方、対向電極表面積がバイアス用電極面積に対して十分な大きさである図9Bでは、プラズマ電位をほとんど変化させずに、セルフバイアス(Vdc)を発生させることが可能になっている。
次に、図10は、プラズマ処理装置において、処理条件を変えてプラズマ酸化処理を行った場合に発生するアルミニウム(Al)コンタミネーションの量とVmaxとの関係を調べた結果を示している。処理条件は次のとおりである。処理圧力は6.67Pa、20Pa、又は40Paとした。処理ガスとしてArガスとO2ガスを用い処理ガス中の酸素ガスの流量比率を0.5体積%、1体積%、25体積%、又は50体積%とした。また、載置台5の電極7に供給するバイアス用の高周波電力の周波数は13.56MHzで、高周波パワーは450W、600W、又は900Wとした。図10から、処理条件に係わりなく、Vmaxが上昇すると、それに正比例してAlコンタミネーションが増加している。Alコンタミネーションは、Al製の蓋部材27がスパッタされたことが原因と考えられる。Alコンタミネーションを抑制するには、Vmaxの値を小さく抑えることが有効であり、例えばAlコンタミネーションを7×1010[atoms/cm2]以下に抑えるには、Vmaxを70V以下にすればよいことが理解される。そして、Vmaxを抑制するには、図9Bに示すように、対向電極表面積をバイアス用電極面積よりも大きくすることが有効である。
そこで、バイアス用電極面積を一定にし、対向電極表面積を変化させた場合のVmaxの変化を調べるための実験を行った。図11〜図16は、図1のプラズマ処理装置100と同様の構成のプラズマ処理装置において、種々の処理条件でプラズマ酸化処理を行った場合の対向電極面積比(横軸)とVmax(縦軸)との関係を示すグラフである。ここで、対向電極面積比は、対向電極表面積をバイアス用電極面積で除した値を意味する。なお、処理ガスとしてはArガスと酸素ガスを用いた。また、載置台5の電極7に供給するバイアス用の高周波電力の周波数は13.56MHz、高周波パワーは0W(印加せず)、300W、450W、600W又は900Wとした。
図11は、処理圧力を6.67Pa、酸素ガス流量比率を0.5体積%とし、プラズマを生成させるためのマイクロ波パワーを1200Wに設定した条件での実験結果である。図12は、処理圧力を6.67Pa、酸素ガス流量比率を50体積%とし、マイクロ波パワーを3400Wに設定した条件での実験結果である。図13は、処理圧力を20Pa、酸素ガス流量比率を0.5体積%とし、マイクロ波パワーを1200Wに設定した条件での実験結果である。図14は、処理圧力を20Pa、酸素ガス流量比率を50体積%とし、マイクロ波パワーを3400Wに設定した条件での実験結果である。図15は、処理圧力を40Pa、酸素ガス流量比率を0.5体積%とし、マイクロ波パワーを1200Wに設定した条件での実験結果である。図16は、処理圧力を40Pa、酸素ガス流量比率を50体積%とし、マイクロ波パワーを3400Wに設定した条件での実験結果である。対向電極表面積は、500cm2、1400cm2、1800cm2、2200cm2、又は3150cm2とし、バイアス用電極面積は、855cm2とした。
図11〜16のグラフから、対向電極面積比が大きくなるに従い、Vmaxは低下していくことがわかる。また、この傾向は、処理圧力が6.67Paの場合に一番顕著であり、圧力が低いほど、対向電極面積比を増加させることによるVmaxの抑制効果が大きく得られることが判明した。図1のプラズマ処理装置100と同様の構成のプラズマ処理装置において、対向電極面積比を増加させることによるVmaxの抑制効果を確実に得るためには、40Pa以下の処理圧力でプラズマ処理を行うことが好ましいと考えられる。
以上の結果を踏まえ、図1のプラズマ処理装置100と同様の構成のプラズマ処理装置において、対向電極表面積を変えてプラズマ酸化処理を行った場合に発生するアルミニウム(Al)コンタミネーションの量を調べた。この実験では、対向電極表面積を2200cm2(面積比:大)、1800cm2(面積比:中)、500cm2(面積比:小)とし、バイアス用電極面積は、855cm2とした。また、処理圧力は、6.67Pa〜40Paの範囲内で異なる圧力条件に設定した。その結果を図17に示した。なお、図17中の「5.0E10」、「1.8E11」等の表記は、それぞれAlコンタミネーション量が「5.0×1010個」、「1.8×1011個」等であることを意味する。この結果から、対向電極表面積が2200cm2(面積比:大)又は1800cm2(面積比:中)である場合は、40Pa以下の処理圧力でVmaxを70V以下(図10参照)に抑えることができており、Alコンタミネーションも十分に抑制された値となっている。しかし、対向電極表面積が500cm2(面積比:小)では、20Pa以下の処理圧力のときにVmaxを70V以下(図10参照)に抑えることができておらず、Alコンタミネーションも大幅に増加している。この結果から、Vmaxを70V以下に抑えるためには、対向電極表面積を1800cm2(面積比:中)以上にすることが有効である。従って、対向電極面積比(対向電極表面積/バイアス用電極面積)は、1以上5以下が好ましく、2以上5以下とすることがより好ましく、2以上4以下とすることが望ましいことが示された。
次に、図1のプラズマ処理装置100と同様の構成のプラズマ処理装置において、処理ガスの導入位置の違いによる効果を検証するための実験を行った。この実験では、プラズマ窒化処理において、図1のガス導入口15aから処理ガスを導入した場合(実施例;図1の態様)と、突出部60より下方の側壁1bに環状にガスリングを設けて処理ガスを導入した場合(比較例;図示省略)と、によるシリコン窒化膜中の酸素量を比較した。プラズマ窒化処理の対象は、300mm径ウエハWの表面のシリコンである。シリコン窒化膜中の酸素量は、X線光電子分析装置(XPS)により、ウエハWの中央部とエッジ部について測定した。
プラズマ窒化処理条件は以下のとおりであり、N2流量比率、処理圧力及び高周波バイアス電力を変化させた。
<N2流量比率17%>
N2流量;333mL/min(sccm)、Ar流量;1667mL/min(sccm)
<N2流量比率40%>
N2流量;800mL/min(sccm)、Ar流量;1200mL/min(sccm)
処理圧力;6.67Pa、20Pa、又は133Pa
マイクロ波パワー;1500W
高周波バイアス電力;0W(印加せず)、450W、又は900W
処理時間;90秒
図18Aに、ウエハWの中央部のシリコン窒化膜中の酸素量の測定結果を、図18BにウエハWのエッジ部のシリコン窒化膜中の酸素量の測定結果をそれぞれ示した。ガス導入口15aから処理ガスを導入した実施例では、突出部60より下方の位置から処理ガスを導入した比較例に比べて、処理圧力6.67Pa〜133Paの範囲内でシリコン窒化膜中の酸素濃度が低下していることが確認出来た。実施例の酸素濃度の低下は、高周波バイアス印加の有無に関わらず認められ、ウエハWの中央部でもエッジ部でも同じような傾向を示した。元々酸素濃度が高い処理圧力133PaのウエハWエッジ部の測定結果では、比較例に比べて実施例は最大で8%程度もの酸素濃度の低減を確認することができた。
対向電極面積を拡張するために、拡張突出部60Bを設けた図1と同様の構成のプラズマ処理装置では、拡張突出部60Bとマイクロ波透過板28との間の閉鎖的な空間S1がガス溜まりとなり、プラズマ窒化処理の際にシリコン窒化膜中への酸素混入の原因となりやすい。酸素混入は、マイクロ波透過板28中に存在していた酸素がプラズマの作用でプラズマ生成空間Sに放出され、プラズマ窒化処理によって形成されるシリコン窒化膜中に混入する現象である。比較例では、突出部60より下方の位置から処理ガスを導入したため、マイクロ波透過板28の直下の空間S1においてガスの滞留が生じる。その結果、マイクロ波透過板28から放出された酸素が長時間空間S1に留まり、処理容器1内から排出されにくくなって、ウエハW表面のシリコン窒化膜中への酸素の混入確率が高まってしまったものと考えられる。一方、実施例では、ガス導入口15aからマイクロ波透過板28の直下の空間S1に処理ガスを導入することにより、マイクロ波透過板28から排出された酸素を空間S1から速やかに移動させることができる。その結果、酸素を効率よく処理容器1外へ排出できるため、ウエハW上のシリコン窒化膜中への酸素の混入を低減できたものと考えられる。
以上、詳述したように、本発明の各実施の形態のプラズマ処理装置は、処理容器1又は蓋部材27からプラズマ生成空間Sに向けてマイクロ波透過板28との間に間隔L1をあけて突出し、電極7に対してプラズマ生成空間Sを隔てて対をなす対向電極の少なくとも一部分を構成する拡張突出部60B,61B,62,63,64を備えているので、対向電極の面積が十分に確保されており、プラズマ電位(Vp)の振動を抑制できる。また、対向電極の面積を大きくすることによって、プラズマの作用で対向電極の表面がスパッタされることも抑制され、コンタミネーションを防止できる。また、対向電極の面積を十分な広さで確保することによって、他の部位における短絡や異常放電も抑制できる。さらに、マイクロ波透過板28との間に間隔をあけて拡張突出部60B,61B,62,63,64を設けているため、マイクロ波透過板28の有効面積を縮小させずにすみ、十分なマイクロ波パワーを導入して処理容器1内で形成されるプラズマを安定化できる。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。例えば、上記実施の形態では、マイクロ波透過板28を支持する蓋部材27がマイクロ波導入部26の一部である構成を例示したが、マイクロ波透過板28を支持する蓋部材27は処理容器1の一部分をなすものであってもよい。
また、上記実施の形態では、蓋部材27にガス導入口15aを設けたが、蓋部材27以外の部材にガス導入口15aを設けてもよい。例えば、図19は、処理容器1の側壁1bと一体に拡張突出部62を設けた態様(第3の実施の形態;図6参照)の変形例のプラズマ処理装置102Aを示す要部断面図である。図19に示したように、処理容器1の側壁1bの上端に設けた溝形の環状通路13Aを形成し、この環状通路13Aと連通するガス導入路15bを側壁1b内に形成することにより、側壁1bの上部にガス導入口15aを設けることができる。このようにしても、ガス導入口15aからマイクロ波透過板28と拡張突出部62との間の空間S1に処理ガスを供給することが可能である。
また、上記実施の形態では、プラズマに曝される部材としての蓋部材27の本体の材質にアルミニウムを用いた場合の実験結果を示したが、ステンレス鋼等の他の金属を用いた場合であっても同様の効果を得ることができる。
また、拡大突出部は、必ずしも環状に限らず、互いに分離した複数の拡大突出部がプラズマ生成空間Sへ向けて突出する形状としてもよい。
また、プラズマ処理の内容も、載置台5の電極7に高周波電力を供給するプロセスであれば、プラズマ酸化処理又はプラズマ窒化処理に限るものではなく、例えば、プラズマCVD処理、エッチング処理などの種々のプラズマ処理を対象とすることができる。さらに、被処理体についても、半導体ウエハに限らず、FPD用ガラス基板などの他の基板を対象にすることができる。