以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。しかしながら、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一眼レフカメラ200の模式的断面図である。一眼レフカメラ200は、レンズユニット100およびカメラボディ300を含む。レンズユニット100は、固定筒110と、固定筒110の周面に配されたピントリング120およびズームリング130と、固定筒110の内部に配されたレンズ群L1、L2、L3、L4、L5とを有する。
固定筒110の一端には、レンズマウント113が配される。レンズマウント113は、後述するカメラボディ300のボディマウント320と嵌合する。これにより、レンズユニット100は、カメラボディ300に対して着脱自在に取り付けられる。
レンズ群L1、L2、L3、L4、L5の各々は、レンズ枠60、190、70、80、90に保持されて、共通の光軸Xに沿って配列される。これにより、レンズ群L1、L2、L3、L4、L5は、レンズユニット100の光学系をなす。当該光学系には、レンズ群L4と共にレンズ枠80に保持された絞り装置222も含まれる。
レンズ群L1、L2、L3、L4、L5の各々は、ズームリング130を回転させて光学系を変倍する場合に、光軸Xに沿って個々に移動する。また、レンズ群L2は、ピントリング120を回転させて光学系を合焦させる場合にも光軸Xに沿って移動する。即ち、レンズ群L2とそれを保持するレンズ枠190は、レンズユニット100を変倍する場合も、合焦する場合も、いずれの場合にも移動する。
レンズ枠190は、一対のガイドバー102に結合されている。ガイドバー102の各々は、固定筒110の内面に配された支持部114により支持され、且つ、案内される。これにより、レンズ枠190の移動方向は、光軸Xと平行な方向に制限される。よって、レンズL2は、光軸Xから逸れることなく移動する。
なお、レンズユニット100は、固定筒110に固定されたモータ121および鏡筒側制御部123を更に有する。モータ121は、オートフォーカスによりレンズユニット100を合焦させる場合に、レンズユニット100の合焦機構を駆動する。
鏡筒側制御部123は、カメラボディ300のシステム制御部372と通信して、レンズユニット100側の撮影情報を伝える。また、システム制御部372の指令に従ってレンズユニット100の動作を制御する。
カメラボディ300は、レンズマウント113に結合されるボディマウント320に隣接して、メインミラー332およびサブミラー336を収容したミラーボックス330を筐体310の内部に備える。また、ミラーボックス330の下方に配された合焦光学系340と、ミラーボックス330の上方に配されたピント板352、ペンタプリズム350およびファインダ光学系360を備える。
更に、カメラボディ300は、レンズユニット100と反対側になるミラーボックス330の後方に順次配列された、フォーカルプレーンシャッタ390、ローパスフィルタ384および撮像素子382を備える。また更に、撮像素子382の背後には、システム制御部372、画像処理部374等が実装された主基板370が配される。
ミラーボックス330において、メインミラー332は、一端を揺動軸334により軸支されて、カメラボディ300に対して揺動する。メインミラー332の裏面に配されたサブミラー336は、メインミラー332の揺動に伴って昇降すると共に、揺動軸338により軸支されてメインミラー332に対して揺動する。
メインミラー332は、レンズユニット100から入射した被写体光束の光路上に傾斜して配置される斜設状態と、被写体光束を避けて上昇した退避位置との間を揺動する。斜設状態にあるメインミラー332は、入射光の大半をピント板352に向かって反射する。ピント板352は、レンズユニット100の光学系が合焦した場合に画像を形成する位置に配されて当該画像を可視化する。
ピント板352に結ばれた画像は、ペンタプリズム350およびファインダ光学系360を通して一眼レフカメラ200のユーザから観察される。ペンタプリズム350を通すことにより、ピント板352上の画像は、正立正像としてユーザに観察される。
また、メインミラー332は、入射した被写体光束の一部を透過するハーフミラー領域を反射面の一部に有する。ハーフミラー領域を透過した被写体光束の一部は、サブミラー336により反射され、合焦光学系340に入射する。合焦光学系340は、入射した被写体光束の一部を合焦センサ342に導くので、カメラボディ300は、レンズユニット100を合焦させることができる。
なお、メインミラー332が退避状態になった場合は、サブミラー336も、被写体光束の光路から退避する。よって、入射した被写体光束は、フォーカルプレーンシャッタ390に入射する。フォーカルプレーンシャッタ390が開いている場合は、被写体光束は、ローパスフィルタ384を通過して撮像素子382に入射する。
撮像素子382は、CCDセンサ、CMOSセンサなどの光電変換素子により形成される。撮像素子382は、受光した被写体像を電気信号に変換して出力する。撮像素子382から出力された電気信号は、画像処理部374において画像データに変換される。こうして、被写体光束に対応した画像データが得られる。
システム制御部372は、メインミラー332、サブミラー336、フォーカルプレーンシャッタ390等の動作シーケンスを制御する。また、システム制御部372は、合焦センサ342から出力される位相差信号からレンズユニット100の合焦位置を算出して、鏡筒側制御部123と協働してレンズユニット100を合焦させる。
図2は、レンズユニット100単独の断面図である。同図は、レンズユニット100が広角端側に変倍された状態を示す。また、図1と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
レンズマウント113は、ボディマウント320に結合される。レンズマウント113がボディマウント320に結合された状態では、固定筒110の後端面115がカメラボディ300に密着する。これにより、固定筒110は、カメラボディ300に対して正確且つ強固に位置決めされる。
固定筒110の後部(図中右側)外周には、モータ121および鏡筒側制御部123を収容する空洞が配される。モータ121の外側には、ピントリング120が回転自在に装着される。ピントリング120およびモータ121は、いずれか一方が選択的に伝達部材122を駆動する。駆動された伝達部材122は、固定筒110の外周に沿って光軸Xの回りを回転する。
固定筒110の前部側には、同軸状の内筒140、中筒150および外筒160が、内側からこの順序で配される。外筒160の更に外側には、ズームリング130が回転自在に配される。ズームリング130は、光軸X方向に直線的に延在する案内溝132を内面に有する。
外筒160の前端は、レンズL1を保持するレンズ枠60と結合される。また、外筒160の後端近傍には、レンズユニット100の径方向内側に向かって突出するカムフォロワ162が配される。
中筒150は、後端付近に、レンズユニット100の径方向外側に向かって突出するカムフォロワ152を有する。カムフォロワ152は、ズームリング130の内面に形成された案内溝132と係合する。これにより、ズームリング130が回転した場合、ズームリング130および中筒150は、光軸Xの回りを共に回転する。
また、中筒150は、光軸X方向中程に、カムフォロワ162に係合するカム溝154を有する。更に、中筒150は、前端付近内側に、周方向に連続する係合溝158を有する。また更に、中筒150は、図中下側において、光軸X方向中程に案内溝156を有する。案内溝156は、光軸X方向に直線的に延在する。
内筒140は、後端部において、固定筒110に直接に形成された案内部111に係合する。これにより,内筒140は、光軸Xの方向に限って移動する。また、内筒140は、先端部近傍に、係合溝158に係合する係合突起148を有する。これにより、中筒150および内筒140は、光軸X方向には共に並進する。
更に、内筒140は、カムフォロワ162と係合する案内溝144を有する。案内溝144は、光軸Xの方向に直線的に延在する。これにより、カムフォロワ162の周方向への移動は規制され、外筒160は、専ら光軸Xの方向に移動する。
また、内筒140は、図中下側の中程において、後述するカムフォロワ173との干渉を避ける目的で形成された逃げ穴146を有する。更に、内筒140は、図中下側の後端付近に、レンズユニット100の径方向内側に向かって突出するカムフォロワ142を有する。
固定筒110の内側には、固定筒110と同軸のカム筒170が、固定筒110の内面に沿って配される。カム筒170は、固定筒110の内面に沿って、光軸Xの回りに回転する。
カム筒170は、複数のカム溝172、174、176を有する。光軸X方向についてカム筒170の中程に配されたカム溝172は、固定筒110内側に固定されたカムフォロワ112に係合する。光軸X方向についてカム筒170の先端側に配されたカム溝174は、連動筒180のカムフォロワ182に係合する。光軸X方向についてカム筒170の後端付近に配されたカム溝176は、内筒140のカムフォロワ142と係合する。
また、カム筒170は、図中下側において、連結部材171を介して結合されたカムフォロワ173を前端に有する。カムフォロワ173は、レンズユニット100の径方向外側に突出して、内筒140の逃げ穴146を貫通して、中筒150の案内溝156に係合する。
更に、カム筒170は複数の逃げ穴178を有する。これにより、カム筒170が光軸Xの周りを回転する場合、および、カム筒170自体が光軸方向に並進した場合に、後述するガイドバー102の支持部114との干渉が避けられる。
レンズユニット100において、固定筒110前端の周囲には、連動筒180が配される。即ち、連動筒180は、固定筒110の前端から、固定筒110の外側および内側にそれぞれ延在する。
固定筒110の外側において、連動筒180の外周面には、光軸X方向に直線的に延在する伝達溝186が配される。伝達溝186は、伝達部材122の前端と係合して、ピントリング120により伝達部材122が回転駆動された場合に伝えられた駆動力により、連動筒180自体を光軸Xの回りに回転させる。
なお、伝達溝186は、伝達部材122の先端部よりも長い。よって、連動筒180が光軸X方向に変位した場合も、伝達部材122から伝達溝186への駆動力の伝達は維持される。
固定筒110の内側において、連動筒180の前端寄りの内面に周溝184が配される。周溝184は、レンズユニット100の周方向に連続して形成される。また、固定筒110の内側において、連動筒180の後端より外面にカムフォロワ182を有する。カムフォロワ182は、カム筒170のカム溝174に係合する。
固定筒110は、カム筒170を貫通して径方向内側に突出した複数の支持部114を内面に有する。図示の状態では、固定筒110の上側に一対の支持部114が、固定筒110の下側に単一の支持部114が配される。
上側の一対の支持部114は、ガイドバー102の外形と相補的な形状を有する嵌合穴116をそれぞれが有する。即ち、例えば、ガイドバー102の断面形状が円形の場合、嵌合穴116は丸穴である。一対の嵌合穴116には、1本のガイドバー102が挿通される。これにより、ガイドバー102は、光軸Xの方向に限って移動して、他の方向には変位しない。
ガイドバー102の先端は、レンズ枠190の上端付近に結合される。これにより、レンズ枠190は、ガイドバー102と共に、光軸Xの方向に移動可能に支持される。ガイドバー102は、光軸Xの方向に間隔をおいて配された一対の嵌合穴116により支持されているので、ガイドバー102と連結されたレンズ枠190が光軸Xに対して傾くことが抑制される。
更にレンズ枠190の下端付近には、もう1本のガイドバー102が結合される。この下側のガイドバー102は、下側の支持部114に形成されたU溝118に挿通される。U溝は、光軸Xの方向に拡がる互いに平行な一対の面を有して、ガイドバー102が紙面に垂直に変位することを規制する。これにより、レンズ枠190が、上側のガイドバー102を回転軸として回転することが規制される。
レンズ枠190の外周面には、連動筒180の周溝184に係合する係合ピン192が配される。これにより、レンズ枠190は、連動筒180が光軸Xの方向に移動した場合に、連動筒180に連れ従って光軸Xの方向に移動する。これにより、レンズ枠190に保持されたレンズL2は、傾くことなく、また、光軸Xからずれることなく、光軸X方向に移動する。
図3は、レンズユニット100の縦断面図である。この図では、レンズユニット100が望遠端まで変倍された状態を示す。図1および図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
レンズユニット100を望遠側に変倍すべくズームリング130が回転した場合、ズームリング130に係合したカムフォロワ152を通じて、中筒150も光軸Xの回りに回転する。ただし、中筒150が回転しても内筒140は回転しない。
よって、カム溝154と案内溝144の相互作用により、カムフォロワ162が光軸Xの方向に駆動される。これにより外筒160が前方に繰り出されるので、外筒160の先端に結合されたレンズ枠60も前方に移動する。従って、レンズ枠60に保持されたレンズL1が前方に移動する。
また、中筒150が回転すると、案内溝156により駆動されて、カムフォロワ173に、光軸Xの回りを回転する駆動力が作用する。これにより、カム筒170は光軸Xの回りを回転する。カム筒170が回転すると、カム筒170自体のカム溝172と、固定筒110に固定されたカムフォロワ112との相互作用により、カム筒170自体が前方に繰り出される。
また、カム筒170が回転すると、回転しない内筒140に固定されたカムフォロワ142と、カム筒170のカム溝176との相互作用により、内筒140が前方に押し出される。更に、回転しないピントリング120に連結されて回転を規制された伝達部材122が、連動筒180の回転を規制しているので、カム筒170のカム溝172からカムフォロワ182に伝えられる駆動力により連動筒180が前方に移動する。
このように、ズームリング130が回転した場合、内筒140、中筒150、外筒160、カム筒170、連動筒180およびガイドバー102が全て繰り出され、それに伴ってレンズ群L1、L2が前進する。ただし、内筒140、中筒150、外筒160、カム筒170および連動筒180のそれぞれの移動量は、カム溝154、172、174、176のプロファイルに依存する。よって、カム溝154、172、174、176のプロファイルに応じて、レンズユニット100の光学系の倍率が変化する。
なお、外筒160およびズームリング130の間には、固定筒110に対して同軸に、カバー筒165が配される。カバー筒165は、外筒160に連れ従って進退して、外筒160およびズームリング130の間を封止する。これにより、レンズユニット100の内部に塵芥が浸入することが防止される。
上記の例では図示を省いたが、レンズユニット100の倍率を変化させる目的で、カム筒170に設けた他のカム溝により、他のレンズL3、L4、L5を保持するレンズ枠70、80、90を移動させてもよい。また、他のレンズL3、L4、L5のレンズ枠70、80、90を、ガイドバー102に案内させてもよい。更に、他のレンズL3、L4、L5のレンズ枠70、80、90を案内する目的で他の案内部材および駆動部材を設けることもできる。これにより、レンズL1、L2、L3、L4、L5の全てが移動して、レンズユニット100の光学系の焦点距離が変化する。
図4は、レンズユニット100の断面図である。同図では、図3に示した状態から、更にピントリング120が回転してレンズユニット100が合焦動作した場合について説明する。図1から図3までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
レンズユニット100においてピントリング120またはモータ121により伝達部材122が駆動された場合、伝達部材122は、固定筒110の外周面に沿って、光軸Xの周りに回転する。伝達部材122の回転駆動力は、伝達溝186の側壁を通じて連動筒180に伝達される。
連動筒180が光軸Xの回りに回転した場合、レンズ枠190は、ガイドバー102により周方向の変位を拘束されて回転しない。また、周溝184は、連動筒180の周方向に連続して形成されるので、連動筒180の光軸X周りの回転がレンズ枠190に伝達されることはない。
一方、駆動力を伝達されていないカム筒170は何等変位しないので、連動筒180のカムフォロワ182は、カム筒170のカム溝174の内部を移動する。カム溝174は、光軸Xの方向に対して傾斜して形成されているので、カムフォロワ182の変位に応じて、連動筒180は光軸Xの方向に移動する。連動筒180の光軸X方向への移動は、周溝184および係合ピン192を通じてレンズ枠190に伝えられるので、レンズ枠190も光軸Xの方向に移動する。
こうして、レンズ枠190を光軸X方向に移動させることができる。レンズ枠190の移動によりレンズL2も光軸X方向に移動するので、レンズユニット100の光学系の焦点位置は移動する。よって、ピントリング120またはモータ121を適宜回転させることにより、レンズユニット100を合焦させられる。
上記一連の動作において、レンズL1を保持するレンズ枠60と一体の外筒160は全く移動しない。また、駆動機構の図示を省いた他のレンズ枠70、80、90についても、これらのレンズ枠70、80、90の駆動がカム筒170の回転に依存しているならば、上記の動作で他のレンズ枠70、80、90が移動することはない。
更に、連動筒180の周溝184は、光軸Xに直交する面に対して交差するカム溝として形成してもよい。これにより、連動筒180がレンズ枠190に対して回転した場合に、レンズ枠190を光軸X方向に個別に駆動できる。従って、レンズユニット100を合焦させる場合に、変倍と兼用のカム溝174上を移動することによる焦点調節の誤差を補正できる。
図5は、ガイドバー102および係合ピン192の位置関係を示す図である。レンズ枠190は、その外周面上に、レンズ群L2の径方向に突出する係合ピン192および緩衝ピン194を有する。
図示の例では、1本の係合ピン192と2本の緩衝ピン194との合計3本のピンが、レンズ枠190の周方向について、120°間隔で配される。このように、係合ピン192および緩衝ピン194は、レンズ枠190の周方向について、互いに等間隔に配されてもよい。
係合ピン192および緩衝ピン194は、連動筒180の周溝184と係合する。周溝184は、連動筒180の内側に全周にわたって形成される。ただし、周溝184が全周にわたることは必須ではない。即ち、周溝184は、係合ピン192および緩衝ピン194の移動範囲に形成されていれば足りる。
ここで、係合ピン192は、レンズ枠190の周方向について、図中で上側のガイドバー102と同じ位置に配される。これにより、係合ピン192が連動筒180から駆動力を受けた場合に、光軸Xに対してレンズ枠190を傾ける力が生じ難い。また、レンズ枠190の駆動効率が向上される。よって、レンズ群L2のチルトが抑制されると共に、レンズ群L2の光軸X方向への移動が円滑になる。緩衝ピン194に関しては、他の図を参照して後述する。
連動筒180は、その外周面上に、レンズ群L2の径方向に突出する複数のカムフォロワ182を有する。図示の例では、3本のカムフォロワ182が、連動筒180の周方向について120°間隔で配される。このように、カムフォロワ182は、連動筒180の周方向について、互いに等間隔に配されてもよい。また、3本のカムフォロワ182のうちの1本は、レンズ枠190の周方向について、係合ピン192の近傍に配される。
既に説明したように、係合ピン192は、レンズ枠190の周方向について、ガイドバー102の近傍に配される。よって、連動筒180のカムフォロワ182のうちの1本も、連動筒180の周方向についてガイドバー102の近傍に配される。これにより、カム筒170のカム溝174により連動筒180のカムフォロワ182が駆動された場合に、連動筒180を傾ける力が生じ難くなる。よって、連動筒180の駆動効率が向上されると共に、レンズ群L2のチルトも抑制される。
なお、連動筒180は、レンズユニット100が合焦動作する場合に、レンズ枠190に対して、光軸Xの周りに回転する。これにより、カムフォロワ182および係合ピン192の位置関係も変化する。しかしながら、例えば、カムフォロワ182の周方向の移動範囲を、図中に矢印Nにより示すように、係合ピン192を中心として対称になるように設定することにより、カムフォロワ182を常に係合ピン192の近傍に配し、延いてはガイドバー102の近傍に配することができる。
図6は、固定筒110の内側における連動筒180周りの構造を模式的に示す展開図である。既出の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
固定筒110の内側における連動筒180は、径方向外側に向かって突出した複数のカムフォロワ182を有する。カムフォロワ182の各々は、カム筒170に形成されたカム溝174に内側から入り込んで係合する。
また、連動筒180は内面に周溝184を有する。周溝184には、レンズ枠190から径方向外側に向かって突出した係合ピン192および緩衝ピン194が入り込む。
図7は、レンズユニット100の変倍動作における連動筒180の作用を示す模式的展開図である。既出の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
レンズユニット100のズームリング130が回転された場合、既に説明したように、また、図中に矢印Zにより示すように、カム筒170は、光軸X周りに回転しつつ、光軸X方向に並進する。連動筒180において、カムフォロワ182の各々の径は、いずれもカム溝174の幅に略等しく、カムフォロワ182およびカム溝174の間にがたが生じることはない。
よって、伝達部材122により連動筒180の回転が規制された状態で生じたカム筒170の回転運動は、連動筒180の光軸X方向の並進運動に変換される。また、カム筒170の並進に連れ従って、連動筒180も並進する。これらの作用により、カム溝174が並進しつつ回転した場合、連動筒180は光軸Xの方向に大きく並進する。
連動筒180の内面では、係合ピン192が、周溝184に入り込んで係合する。係合ピン192の径は、周溝184の幅に略等しく、係合ピン192および周溝184の間にがたが生じることはない。よって、連動筒180の並進運動は、係合ピン192を通じてレンズ枠190に伝達され、レンズ枠190も並進する。これにより、レンズ枠190に保持されたレンズL2が大きく移動するので、レンズユニット100の光学系の倍率が変化する。
図8は、レンズユニット100の合焦動作における連動筒180の作用を示す模式的展開図である。既出の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
レンズユニット100のピントリング120が回転された場合、あるいは、合焦用のモータ121が動作した場合、既に説明したように、連動筒180は光軸X周りに回転する。カム筒170が回転しない状態で連動筒180が回転した場合、カムフォロワ182は、カム溝174の内部をカム溝174に沿って移動する。これにより、連動筒180は、図中に矢印Fで示すように、回転しつつ光軸X方向に並進する。
連動筒180が回転した場合、係合ピン192は周溝184の内部を移動するので、連動筒180の回転運動は、レンズ枠190には伝わらない。しかしながら、連動筒180の光軸X方向の並進運動は、係合ピン192を通じてレンズ枠190に伝達される。これより、レンズ枠190に保持されたレンズL2も光軸方向に移動して、レンズユニット100の焦点位置が移動する。
図9は、レンズ枠190に設けられた係合ピン192および緩衝ピン194の形状を示す模式的展開図である。既出の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
連動筒180の内面では、レンズ枠190に設けられた緩衝ピン194も、周溝184に入り込んでいる。ただし、緩衝ピン194の各々の径は、周溝184の幅よりも短い。これにより、周溝184の内面と緩衝ピン194の側面との間には、光軸X方向について前後に、略等しい間隙が生じている。よって、緩衝ピン194は周溝184の内面に接していない。
しかしながら、光軸X方向の衝撃がレンズユニット100に対して作用してレンズ枠190が光軸X方向に垂直な面に対して倒れるような力を受けて傾いた場合は、緩衝ピン194も周溝184に当接して、係合ピン192および緩衝ピン194の合わせて3本のピンで衝撃を受ける。これにより、係合ピン192が受ける衝撃が緩和される。
なお、図9までに示したレンズユニット100においては、係合ピン192と緩衝ピン194の外径を相互に異なるものとした。しかしながら、係合ピン192および緩衝ピン194を同径とする一方、係合ピン192および緩衝ピン194のそれぞれが位置する範囲の周溝184の幅を変化させてもよい。
また、緩衝ピン194および周溝184の間隔は、衝撃を受けたレンズユニット100において、係合ピン192の変形が弾性変形の範囲にあるうちに緩衝ピン194が衝撃を分担するように設定してもよい。これにより、衝撃を受けた場合の係合ピン192の恒久的な損傷を防止して、レンズユニット100の耐衝撃性能を向上させることができる。
なお、緩衝ピン194は、レンズユニット100が衝撃を受けてレンズ枠190が傾いた場合に限って周溝184に当接する。よって、周溝184に対する間隔を維持していれば、緩衝ピン194の形状に制限はない。図示の例では、緩衝ピン194は、レンズ枠190の径方向外側から見た場合に円形の形状を有するが、このような形状に限られるわけではない。
また、緩衝ピン194は、レンズ枠190と同じ材料でレンズ枠190と一体的に形成してもよい。あるいは、レンズ枠190と同じ材料または他の材料により作成したピン部材を、別途作製された環状のレンズ枠190に取り付ける構造としてもよい。
図10は、他の構造を有するレンズユニット100の構造を示す断面図である。なお、図10は、レンズユニット100が広角端にある状態を示す。また、図10に示すレンズユニット100は、以下に説明する部分を除くと、図9までに示したレンズユニット100と共通の構造を有する。そこで、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図示のレンズユニット100において、レンズ枠190は、周方向に連続して形成された周溝198を外周面に有する。また、連動筒180は、レンズL2の径方について内面に突出した係合ピン188を有する。係合ピン188は、周溝198の幅と略同じ径を有して周溝198に入り込む。これにより、連動筒180およびレンズ枠190は係合する。
図9までに示したレンズユニット100においては、周溝184が連動筒180側に形成され、係合ピン192がレンズ枠190側に形成されていた。これに対して、図10に示した例では、周溝198がレンズ枠190側に形成され、係合ピン188が連動筒180側に配される。
上記のような構造によっても、図9までに示したレンズユニット100と同じ作用が得られる。即ち、周溝198内を移動自在な係合ピン188により連動筒180およびレンズ枠190を係合させることにより、連動筒180の回転運動はレンズ枠190に伝達されず、並進運動に限って連動筒180の運動がレンズ枠190に伝達される。これにより、回転するピントリング120およびズームリング130の操作により、ガイドバー102により案内されて並進するレンズ枠190を移動させることができる。
また、図示は省いたが、レンズユニット100において、周溝198の内面に接することなく、周溝198に入り込む複数の緩衝ピンを連動筒180に設けることができる。このような緩衝ピンは、レンズユニット100が衝撃を受けた場合に限って周溝198の内面に当接して、係合ピン192にかかる負荷を分散する。これにより、係合ピン188の耐衝撃性が向上される。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示していない限り、また、前の処理の出力を後の処理で用いない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。