JP5833999B2 - 積層多孔性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
一方、大型の二次電池はロードレベリング、UPS、電気自動車をはじめ、エネルギー/環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められ、大容量、高出力、高電圧および長期保存性に優れている点より非水電解液二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池の用途が広がっている。
非水電解液用の溶媒としては、より多くのリチウムイオンを存在させることができる高誘電率有機溶媒が用いられ、該高誘電率有機溶媒としてポリプロピレンカーボネートやエチレンカーボネート等の有機炭酸エステルが主に使用されている。溶媒中でリチウムイオン源となる支持電解質として、6フッ化リン酸リチウム等の反応性の高い電解質を溶媒中に溶かして使用している。
電池用セパレータの安全に寄与する特性として、ブレイクダウン特性(以後、BD特性)がある。このBD特性は、電池が異常を起こし熱暴走して160℃程度以上高温の状態となった場合でも、フィルムが破膜せず、正極と負極を隔て続けるという機能である。BD特性を有すれば高温になっても絶縁を保ち、電極間の広範囲な短絡を防止することができるため、電池の異常発熱による発火等の事故を防止できる。そのため、電池用セパレータとして使用する場合はこのBD特性も具備していることが好ましく、破膜が生じる最低温度を指すブレイクダウン温度はより高い温度であることが好ましい。
当該製造方法により製造されたセパレータは従来のポリエチレン単層のセパレータに比べて結晶融解ピーク温度がより高いポリプロピレン層が積層されているため耐熱性を有しBD特性の観点からは有利である。しかしながら、最近の電池の高エネルギー密度化に伴い、ポリプロピレンでは耐熱性が十分とは言い難くなってきており、より高い温度でもBD特性を発揮できることが求められている。
さらに、当該製造方法により製造されたセパレータは延伸方向と直角な方向の引裂きに非常に弱く、延伸方向に裂け目が生じやすいという強度面からの問題点もある。
また、当該製造方法は厳密な製造条件の制御を必要とし、かつ生産性が良いとは言い難い。
しかしながら、いずれの多孔性フィルムも電池用セパレータとして使用するには耐熱性が十分とは言えず、電池の安全性を確保するという点で問題があり、ブレイクダウン温度がより高温となるように改良することが要望されている。
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂に、結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂を混合した組成物からなり、β活性及び/又はβ晶生成力を有する前記第1層と、
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂に、前記結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂は混合していない組成物からなり、β活性及び/又はβ晶生成力を有する前記第2層と、
を積層して積層無孔膜状物を作製し、
ついで、前記積層無孔膜状物を多孔化することを特徴とする積層多孔性フィルムの製造方法を提供している。
前記第一の発明では、共押出で前記第1層と前記第2層の少なくとも2層からなる積層無孔膜状物を作製することが好ましい。
また、第二の発明では、少なくとも第1層と第2層の多孔質層を積層した積層多孔性フィルムの製造方法であって、
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂に、結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂を混合した組成物で、β活性及び/又はβ晶生成力を有する前記第1層を作製し、
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂に、前記結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂は混合していない組成物で、β活性及び/又はβ晶生成力を有する前記第2層を作製し、
前記第1層および第2層の各層をそれぞれ多孔化し、
ついで、前記多孔化された第1層と第2層をラミネートもしくは接着剤で積層することを特徴とする積層多孔性フィルムの製造方法を提供している。
これにより、耐熱性に優れた第1層と機械的強度を有する第2層との組み合わせで、機械的強度とブレイクダウン特性を兼ね備えた積層多孔性フィルムとしている。
「結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂」とは、ポリプロピレン系樹脂とは異なる樹脂で、かつ、JIS K7121に準拠して、示差走査型熱量計を用いて、25℃〜400℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、検出される結晶融解温度のピーク値が170℃以上である樹脂を示す。
結晶融解ピーク温度が170℃以上の熱可塑性樹脂の結晶融解ピーク温度の上限は特に限定されないが、350℃である。
特に、β晶を含有する樹脂組成物から成形した膜状物を逐次2軸延伸を行うことにより製造すると、フィラー等の添加剤を使用しない場合においても、容易に微細孔を多数設けて多孔化することができる。
また、「β晶生成力」の有無は、後述するX線解析装置を用いたβ晶生成力の測定により、β晶に由来する回析ピークが検出された場合、β晶生成力を有すると判断している。 前記β活性及び/又はβ晶生成力は、本発明の積層多孔性フィルムが前記第1層及び第2層のみで構成される場合、他の多孔質層が積層される場合のいずれにおいても積層多孔性フィルムの状態で測定している。
本発明において、「ブレイクダウン温度」とは、積層多孔性フィルムが破膜する温度のうち最も低い温度であり、具体的には実施例に記載の方法で測定している。
さらに、JIS P8117に準拠して測定した透気抵抗が1〜10000秒/100mlであることが好ましい。
前記電池用セパレータを組み込んだ電池は従来よりも高い安全性を確保することができる。
本発明の積層多孔性フィルムの製造方法は、厳密な製造条件の制御を必要とせず、簡便にかつ効率よく生産することができる。
さらに、本発明の積層多孔性フィルムは、β活性および/又はβ晶生成力を有するので、微細孔を有し、十分な連通性を確保することができ、透気特性にも優れている。
また、電池製造における電極とセパレータを捲回する際、あるいは充放電において電極が膨張・収縮を繰り返す際に、電極凹凸やバリによってセパレータが破膜し、両電極間の短絡を生じせしめるということが起こりにくくすることができる。
本発明の製造方法で製造した積層多孔性フィルムは、いずれの実施形態においても、少なくとも第1層の多孔質層と第2層の多孔質層の2層の多孔質層を備えた構成としている。
第1実施形態の積層多孔性フィルムは、β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂(以下「PP樹脂」と称す)と結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂(以下「HM樹脂」と称す)との混合樹脂を含む組成物から形成した第1層と
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂を含み、前記結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂(HM樹脂)を含まず、結晶融解ピーク温度が100℃以上170℃未満である第2層とを備えている。
前記第1層は特にブレイクダウン特性を奏する層とし、第2層は機械的強度を付与する層としている。
β活性とβ晶生成力はいずれも、延伸前の膜状物においてポリプロピレン系樹脂がβ晶を生成していたことを示す一指標と捉えることができる。延伸前の膜状物中のポリプロピレン系樹脂がβ晶を生成していれば、その後延伸を施すことで微細孔が形成されるため、透気特性を有する積層多孔性フィルムを得ることができる。
具体的には、示差走査型熱量計で積層多孔性フィルムを25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃から25℃まで冷却速度10℃/分で降温後1分間保持し、更に25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で再昇温させた際に、ポリプロピレン系樹脂のβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)が検出された場合、β活性を有すると判断している。
β活性度(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
例えば、ポリプロピレン系樹脂がホモポリプロピレンの場合は、主に145℃以上160℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に160℃以上175℃以下に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。また、例えばエチレンが1〜4モル%共重合されているランダムポリプロピレンの場合は、主に120℃以上140℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に140℃以上165℃以下の範囲に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。
β活性度の上限値は特に限定されないが、β活性度が高いほど前記効果がより有効に得られるので100%に近いほど好ましい。
詳細には、ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂)の融点を超える温度である170℃〜190℃の熱処理を施し、徐冷してβ晶を生成・成長させた積層多孔性フィルムについて広角X線測定を行い、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の(300)面に由来する回折ピークが2θ=16.0°〜16.5°の範囲に検出された場合、β晶生成力が有ると判断している。
ポリプロピレン系樹脂のβ晶構造と広角X線回折に関する詳細は、Macromol.Chem.187,643−652(1986)、Prog.Polym.Sci.Vol.16,361−404(1991)、Macromol.Symp.89,499−511(1995)、Macromol.Chem.75,134(1964)、及びこれらの文献中に挙げられた参考文献を参照することができる。β晶生成力の詳細な評価方法については、後述の実施例にて示す。
本発明では、前記第1層の組成物及び/又は第2層の組成物にβ晶核剤を添加してβ活性および/又はβ晶生成力を得ている。β晶核剤を添加することで、より均質に効率的にポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成を促進させることができ、β活性および/又はβ晶生成力を有する積層多孔性フィルムを得ることができる。
本発明において、第1層と第2層のそれぞれでβ晶核剤の添加量は同じであっても、異なっていても良い。β晶核剤の添加量を変更することで各層の多孔構造を適宜調整することができる。
PP樹脂とHM樹脂との混合質量比は、PP樹脂/HM樹脂=10〜90/90〜10であることが好ましく、20〜80/80〜20がより好ましく、30〜70/70〜30が更に好ましい。HM樹脂の含有量がPP樹脂とHM樹脂との総和質量100質量%中10質量%以上であれば、適度な温度でBD特性を発現することが可能である。一方、HM樹脂の含有量がPP樹脂とHM樹脂との総和質量100質量%中90質量%以下であれば、第1層の多孔化が容易となり好ましい。
なかでもPP樹脂の含有量が多い方が好ましく、特にPP樹脂/HM樹脂=60〜90/40〜10であることがより好ましく、60〜70/40〜30であることがさらに好ましい。
それ以外の層におけるPP樹脂とHM樹脂との混合質量比は、PP樹脂/HM樹脂=10〜99/90〜1であることが好ましく、30〜99/70〜1がより好ましく、60〜99/40〜1が更に好ましく、60〜90/40〜10が特に好ましい。
BD特性を発現する層は少なくとも1層存在すればよいから、それ以外の第1層についてはBD特性を必ずしも必要とされない。ゆえに、それ以外の第1層についてはHM樹脂の含有量がPP樹脂とHM樹脂との総和質量100質量%中1質量%以上であればよい。もちろん第1層の全てがBD特性を発現してもなんら問題はなく、むしろその方が好ましい。一方、HM樹脂の含有量がPP樹脂とHM樹脂との総和質量100質量%中90質量%以下であれば、第1層の多孔化が容易となり好ましい。
[ポリプロピレン系樹脂(PP樹脂)の説明]
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、積層多孔性フィルムの機械的強度の観点からはホモポリプロピレンがより好適に使用される。
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules8,687,(1975))に準拠している。
本発明で用いるβ晶核剤としては以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば特に限定される訳ではなく、また2種類以上を混合して用いても良い。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられるが、その中でも特に好ましいものを以下に示す。
RIb―NHCO―RIa―CONH―RIc (I)
一般式(II);
RIIb―CONH―RIIa―CONH―RIIc (II)
または、一般式(III);
RIIIb―CONH―RIIIa―NHCO―RIIIc (III)
(各式中、RIa、RIIaおよびRIIIaは同一または異なって炭素数1〜28の置換されていてもよい二価の炭化水素基を表し、
RIb、RIc、RIIb、RIIc、RIIIbおよびRIIIcは同一または異なって炭素数1〜18の置換されていてもよい炭化水素基を表す。)
で示されるアミド化合物が挙げられる。
前記一般式(I)に含まれる一般式(1)で表されるアミド化合物は、
R2―NHCO―R1―CONH―R3 (1)
(式中、R1は炭素数1〜28の飽和または不飽和の脂肪族、脂環族または芳香族のジカルボン酸残基を表し、
R2およびR3は同一または異なって良く、炭素数3〜18のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、
下記式(a);
で示される化合物である。
R8―CONH―R9―CONH―R10 (2)
(式中、R8は炭素数1〜28の飽和または不飽和の脂肪族、脂環族または芳香族のアミノ酸残基を表し、
R9およびR10は同一または異なって良く、炭素数3〜12のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、
下記式(e);
で示される化合物である。
なお、R8で示される「アミノ酸残基」におけるアミノ酸としては、天然のアミノ酸に限らず非天然のアミノ酸であってもよく、D−体またはL−体のいずれでもよく、α−、β−、γ−、ε−型のいずれのものでもよい。
R15―CONH―R16―NHCO―R17 (3)
(式中、R15は炭素数1〜24の脂肪族ジアミン残基、脂環族ジアミン残基または芳香族ジアミノ酸残基を表し、
R16およびR17は同一または異なって良く、それぞれ炭素数3〜12のシクロアルケニル基、シクロアルキル基、
下記式(i);
で示される化合物である。
前記ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジフェニルマロン酸、コハク酸、フェニルコハク酸、ジフェニルコハク酸、グルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸、p−フェニレンジ酢酸、p−フェニレンジエタン酸、フタル酸、4−tert−ブチルフタル酸、イソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、テレフタル酸、1,8−ナフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビナフチルジカルボン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)メタン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、3,3’−スルホニルジ安息香酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、3,3’−オキシジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、3,3’−カルボニルジ安息香酸、4,4’−カルボニルジ安息香酸、3,3’−チオジ安息香酸、4,4’−チオジ安息香酸、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジ安息香酸、4,4’−イソフタロイルジ安息香酸、4,4’−テレフタロイルジ安息香酸、ジチオサリチル酸等が挙げられる。
前記アミノ酸としては、例えば、アミノ酢酸、α−アミノプロピオン酸、β−アミノプロピオン酸、α−アミノアクリル酸、α−アミノブタン酸、β−アミノブタン酸、γ−アミノブタン酸、α−アミノ−α−メチルブタン酸、γ−アミノ−α−メチレンブタン酸、α−アミノイソブタン酸、β−アミノイソブタン酸、α−アミノ−n−ペンタン酸、δ−アミノ−n−ペンタン酸、β−アミノクロトン酸、α−アミノ−β−メチルペンタン酸、α−アミノイソペンタン酸、2−アミノ−4−ペンテノイック酸、α−アミノ−n−カプロン酸、6−アミノカプロン酸、α−アミノイソカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、α−アミノ−n−カプリル酸、8−アミノカプリル酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、p−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノ−2−ノルボルナンカルボン酸、α−アミノフェニル酢酸、α−アミノ−β−フェニルプロピオン酸、2−アミノ−2−フェニルプロピオン酸、3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸、α−アミノ桂皮酸、2−アミノ−4−フェニルブタン酸、4−アミノ−3−フェニルブタン酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、2−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−6−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−3−メチル安息香酸、2−アミノ−5−メチル安息香酸、4−アミノ−2−メチル安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、2−アミノ−3−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−メトキシ安息香酸、4−アミノ−2−メトキシ安息香酸、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸、2−アミノ−4,5−ジメトキシ安息香酸、o−アミノフェニル酢酸、m−アミノフェニル酢酸、p−アミノフェニル酢酸、4−(4−アミノフェニル)ブタン酸、4−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチルフェニル酢酸、o−アミノ桂皮酸、m−アミノ桂皮酸、p−アミノ桂皮酸、p−アミノ馬尿酸、2−アミノ−1−ナフトエ酸、3−アミノ−1−ナフトエ酸、4−アミノ−1−ナフトエ酸、5−アミノ−1−ナフトエ酸、6−アミノ−1−ナフトエ酸、7−アミノ−1−ナフトエ酸、8−アミノ−1−ナフトエ酸、1−アミノ−2−ナフトエ酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、4−アミノ−2−ナフトエ酸、5−アミノ−2−ナフトエ酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、7−アミノ−2−ナフトエ酸、8−アミノ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
前記ジアミンとしては、例えば、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
前記モノカルボン酸としては、一般式(2)で表されるアミド系化合物の原料であるモノカルボン酸と同様のものが挙げられる。
で示されるテトラオキサスピロ化合物が挙げられる。
なかでも、周期律表のIIa族からの金属と式(5);
R51は水素原子、カルボキシル基、炭素数1〜12の置換されていてもよい炭化水素基、好ましくは水素原子、カルボキシル基、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を表し、
Xは炭素数1〜12の置換されていてもよい二価の炭化水素基、好ましくは置換されていてもよい炭素数6〜12の二価の芳香族炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭素数6〜12のアリール基で置換されていてもよい炭素数6〜12の二価の芳香族炭化水素基を表す。)
で示されるイミド酸との塩が特に好ましい。
当該塩としては、例えば、フタロイルグリシン、ヘキサヒドロフタロイルグリシン、N−ナフタロイルアラニンまたはN−4−メチルフタロイルグリシンのカルシウム塩が例示できる。
で示される化合物である。
で示される化合物である。
で示される化合物である。
これら環状リン化合物の単独使用はもちろんのこと2種以上の環状リン化合物を併用することもできる。
これらマグネシウム化合物の単独使用はもちろんのこと2種以上のマグネシウム化合物を併用することもできる。
これら環状リン化合物の単独使用はもちろんのこと2種以上の環状リン化合物を併用することもできる。
一般式(9)で示される環状リン化合物とマグネシウム化合物との混合物の質量比率は特に限定されないが、通常環状リン化合物1質量部に対してマグネシウム化合物を0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜10質量部の比率である。
飽和の直鎖状の二価の炭化水素基としては、直鎖状のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル等のC1-10アルキル基等)からその末端の水素原子を1個取り除いた基が挙げられ、具体的には例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンなどの直鎖状のC1-6アルキレンなどが挙げられる。
不飽和の直鎖状の二価の炭化水素基としては、直鎖状のアルケニル基(例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等のC2-6アルケニル基等)等または直鎖状のアルキニル基(例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のC2-6アルキニル基等)等からその末端の水素原子を1個取り除いた基が挙げられ、具体的には例えば直鎖状のC2-6アルケニレンまたはC2-6アルキニレンなどが挙げられる。
不飽和の環状の二価の炭化水素基としては、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1−シクロブテン−1−イル、1−シクロペンテン−1−イル等のC3-6シクロアルケニル基等)、シクロアルカンジエニル基(例えば、2,4−シクロペンタンジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサンジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサンジエン−1−イル等のC4-6シクロアルカンジエニル基等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等のC6-12アリール基等)等の任意の位置(好ましくは、結合手を有する炭素原子と異なる炭素原子、さらに好ましくは最も離れた位置の炭素原子)の水素原子を1個取り除いた基(例えばC6-12アリレーンなど)が挙げられる。
炭化水素基の例としての「脂肪族鎖式炭化水素基」としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルプロピル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、n−オクチル、1−メチルヘプチル、ノニル等のC1-10アルキル基(好ましくはC1-6アルキル等)等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等のC2-6アルケニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のC2-6アルキニル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル等のC3-9シクロアルキル等が挙げられる。
「シクロアルケニル基」としては、例えば2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1−シクロブテン−1−イル、1−シクロペンテン−1−イル等のC3-6シクロアルケニル基等が挙げられる。
「シクロアルカンジエニル基」としては、例えば2,4−シクロペンタンジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサンジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサンジエン−1−イル等のC4-6シクロアルカンジエニル基等が挙げられる。
炭化水素基の例としての「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、2−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルメチル、4−ビフェニリルメチル等のC7−19アラルキル基等が挙げられる。
前記結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂(HM樹脂)は結晶融解ピーク温度が170℃以上であることが重要であり、該熱可塑性樹脂を第1層に含むことにより、本発明の積層多孔性フィルムに優れた耐熱性を付与し、優れたブレイクダウン特性を発現することができるようになる。前記熱可塑性樹脂(HM樹脂)の結晶融解ピ−ク温度の上限については特に制限しないが350℃以下であれば、成形加工時に樹脂が劣化することが抑制され、得られる積層多孔性フィルムの機械的強度が保持できるため好ましい。上限はより好ましくは300℃以下である。
ここでHR樹脂は、JIS K7121に準拠して、示差走査型熱量計を用いて、25℃〜400℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、検出される結晶融解温度のピーク値が170℃以上である樹脂を示す。
具体的には、例えば、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホンもしくはポリフェニレンサルファイド等のポリエーテル系樹脂;6ナイロン、6−6ナイロンもしくは6−12ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;フッ素系樹脂;ポリエステル系樹脂;アラミド樹脂等の耐熱性熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上混合してもよい。
中でも、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリメチルペンテンからなる群から選択される1種以上の樹脂を好適に使用することができる。
混合するポリプロピレン系樹脂との相溶性の観点から、ポリメチルペンテンが特に好ましい。
前記ポリエステル系樹脂は公知の方法で製造することもできるし、市販品を使用してもよい。例えば、ポリブチレンテレフタレートとしては商品名「ジュラネックス」(ポリプラスチックス株式会社製)、商品名「ノバデュラン」(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)が市販品として入手できる。
これらの中でも、本発明のリチウムイオン電池用セパレータの耐熱性の向上の観点から、結晶性の高いシンジオタクチックポリスチレンがより好適に使用される。
前記ポリスチレン系樹脂は公知の方法で製造することもできるし、市販品を使用してもよい。例えば、シンジオタクチックポリスチレンとしては商品名「ザレック」(出光興産株式会社製)が市販品として入手できる。
前記フッ素系樹脂は公知の方法で製造することもできるし、市販品を使用してもよい。例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体としては商品名「フルオン」(旭硝子株式会社製)、ポリテトラフロオロエチレンとしては「ポリフロン」(ダイキン株式会社製)が市販品として入手できる。
第1層および第2層のいずれにおいても前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および積層多孔性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤または着色剤などの添加剤が挙げられる。具体的には、「プラスチックス配合剤」のP154〜P158に記載されている酸化防止剤、P178〜P182に記載されている紫外線吸収剤、P271〜P275に記載されている帯電防止剤としての界面活性剤、P283〜294に記載されている滑剤などが挙げられる。
第1実施形態の積層多孔性フィルムの構成は、基本的な構成となる第1層と第2層が少なくとも存在すれば特に限定されるものではない。本発明の積層多孔性フィルムの機能を妨げない範囲で、他の層を積層してもよいし、公知の処理を適宜施すなどしてもよい。
最も単純な構造は、第1層/第2層と積層した2層構造である。
次に単純な構造は、第1層/第2層/第1層、第2層/第1層/第2層として積層した3層構造である。前者の構成の場合、2つある第1層においてHM樹脂の含有量は同じであってもよいし、異なっていても良い。
また、他の機能を持つ層と組み合わせて3種3層の様な形態も可能である。この場合、第1層と第2層と他の機能を持つ層との積層順序は特に問わない。
更に層数としては4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしても良い。第1層が2つ以上ある場合、それぞれの第1層でHM樹脂の含有量が同じであってもよいし、異なっていても良い。
特に好適な実施形態のひとつとして第2層/第1層/第2層の3層構成が例示できる。この3層構成を採用することにより、優れた透気特性と機械的強度を有し、かつBD特性を具備した積層多孔性フィルムを、より一層生産性、経済性よく得ることができる。
第1実施形態の積層多孔性フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、幅方向に製品として数丁取りが可能であることから生産性がよく、さらに内面にコートなどの処理が可能できること等の観点から、平面状がより好ましい。
本発明の積層多孔性フィルムの厚みは1〜500μmであり、好ましくは5〜300μm、更に好ましくは7〜100μmである。特に電池用セパレータとして使用する場合は1〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。電池用セパレータとして使用する場合、厚みが1μm以上、好ましくは10μm以上であれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば大きな電圧がかかった場合にも短絡しにくく安全性に優れる。また、厚みが50μm以下、好ましくは30μm以下であれば、積層多孔性フィルムの電気抵抗が小さくできるので電池の性能を十分に確保することができる。
本発明の積層多孔性フィルムは200℃以上でBD特性を発現することが好ましい。すなわち、本発明の積層多孔性フィルムのブレイクダウン温度は200℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、240℃以上であることがさらに好ましい。ブレイクダウン温度が200℃以上であれば、例えば本発明の積層多孔性フィルムを電池用セパレータとして電池に組み込んだ際に、電池が蓄熱または発熱し電池用セパレータが高温下に晒された際にも当該電池用セパレータは破膜せず、電池として安全性に優れる。一方、ブレイクダウン温度の上限は特に制限されるものではないが、原材料の加工温度等の関係から400℃程度である。
ここで、「ブレイクダウン温度」とは、実施例に記載の方法で加熱したときに本発明の積層多孔性フィルムが破膜する温度のうち最も低い温度をいう。
ブレイクダウン温度の調整は、HM樹脂の質量比率を増加させる、第1層の層比を大きくするなどして行うことができる。
透気抵抗はフィルム厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mlの空気が該フィルムを通過するのに必要な秒数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方がフィルムの厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とはフィルム厚み方向の孔のつながり度合いである。本発明の積層多孔性フィルムの透気抵抗が低ければ様々な用途に使用することができる。例えばリチウムイオン二次電池のセパレータとして使用した場合、透気抵抗が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
例えば、空孔率を増加する手段としては、第1層におけるHM樹脂の質量比率を増加させる手段があるほか、延伸温度を本発明で規定する範囲内でより低い温度とする手段が有効である。
なお、空孔率は実施例に記載の方法で測定している。
ピン刺し強度は、積層多孔性フィルムの面へ針を突き刺した際の破断強度の値であり、フィルムの機械的強度の指標となる値である。具体的には、実施例に記載の方法で測定している。
ピン刺し強度は、特に本発明の積層多孔性フィルムを電池用セパレータとして使用する場合、電池作製時の短絡、生産性に大きく寄与する。ピン刺し強度が1.5Nより低いと電池作製時に金属エッジ、突起物に接触した際にフィルムが破れやすく、結果として正極と負極が直接接触することによる短絡の発生確率が高くなる。
一方、ピン刺し強度の上限値は特に規定するものではないが、ハンドリングなどの観点から通常10N以下のものが使用される。
例えば、引張強度を例に挙げると、その比率の割合としては「MD強度/TD強度比」の下限値は、0.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上である。「MD強度/TD強度比」が0.05以上であれば、物性的なバランスが取れており、ハンドリングの他、最終的には多孔構造もより異方性が小さいフィルムとなる。また、「MD強度/TD強度比」の上限値は20以下、好ましくは10以下、より好ましくは7以下である。「MD強度/TD強度比」が20以下であれば、物性的なバランスが取れており、ハンドリングの他、最終的には多孔構造もより異方性が小さいフィルムとなる。
次に本発明の積層多孔性フィルムの製造方法について説明する。
本発明の積層多孔性フィルムの製造方法は、多孔化と積層の順序によって次の2つに大別される。
(a)各層を多孔化したのち、多孔化された各層をラミネートしたり接着剤等で接着したりして積層する方法。(請求項3に相当する前記第二の発明の製造方法)
(b)各層を積層して積層無孔膜状物を作製し、ついで当該無孔膜状物を多孔化する方法。(請求項1に相当する前記第一の発明の製造方法)
本発明においては、その工程の簡略さ、生産性の観点から(b)の方法を用いることが好ましく、なかでも2層の層間接着性を確保するため共押出で直接積層無孔膜状物を作製した後多孔化する方法が特に好ましい。
また、前記製造方法においても、共押出における層間接着性を確保するためには、各層のPP樹脂の比率が50質量%以上であることが好ましい。
積層無孔膜状物の延伸方法については、ロール延伸法、圧延法、テンター延伸法、同時二軸延伸法などの手法があり、これらを単独あるいは2つ以上組み合わせて一軸延伸あるいは二軸延伸を行う。中でも、多孔構造制御の観点から二軸延伸が好ましい。
まず、第1層を構成することになるPP樹脂およびHM樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を作製する。
例えば、ポリプロピレン系樹脂、β晶核剤、HM樹脂および所望によりその他添加物等の原材料を、好ましくはヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて、または袋の中に全成分を入れてハンドブレンドにて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等、好ましくは二軸押出機で溶融混練後、ペレット化し、第1層用樹脂組成物のペレットとする。
例えば、ポリプロピレン系樹脂、β晶核剤および所望によりその他添加物等の原材料を、好ましくはヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて、または袋の中に全成分を入れてハンドブレンドにて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等、好ましくは二軸押出機で溶融混練後、ペレット化し、第2層用樹脂組成物のペレットとする。
使用するTダイのギャップは、最終的に必要なフィルムの厚み、延伸条件、ドラフト率、各種条件等から決定されるが、一般的には0.1〜3.0mm程度、好ましくは0.5〜1.0mmである。0.1mm未満では生産速度という観点から好ましくなく、また3.0mmより大きけれドラフト率が大きくなるので生産安定性の観点から好ましくない。
キャストロールによる冷却固化温度は本発明において非常に重要であり、PP樹脂のβ晶を生成・成長させ、膜状物中のPP樹脂のβ晶の比率を調整することができる。キャストロールの冷却固化温度は好ましくは80〜150℃、より好ましくは90〜140℃、更に好ましくは100〜130℃である。冷却固化温度を80℃以上とすることで冷却固化させた膜状物中のβ晶の比率を十分に増加させることができ好ましい。また、150℃以下とすることで押出された溶融樹脂がキャストロールへ粘着し巻き付いてしまうなどのトラブルが起こりにくく、効率よく膜状物化することが可能であるので好ましい。
延伸前の膜状物中のβ晶比率は、示差走査型熱量計を用いて、該膜状物を25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、検出されるポリプロピレン系樹脂のα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)とβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)を用いて下記式で計算される。
β晶比率(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
縦延伸での延伸温度は概ね20℃〜130℃、好ましくは40℃〜120℃、更に好ましくは60℃〜110℃の範囲で制御される。また、縦延伸倍率は好ましくは2〜10倍、より好ましくは3〜8倍、更に好ましくは3〜7倍である。前記範囲内で縦延伸を行うことで、延伸時の破断を抑制しつつ、適度な空孔起点を発現させることができる。
縦延伸における延伸温度が20℃以上であれば、延伸時の破断が抑制され、均一な延伸が行われるため好ましい。一方、縦延伸における延伸温度が130℃以下であれば、PP樹脂中の空孔形成と、PP樹脂とHM樹脂の界面剥離による空孔形成の2種の空孔形成が起こるため、効率よく空孔形成を行うことができる。また、このようにして形成された空孔は後の横延伸によって閉塞され難く、例えば横延伸温度を高くした場合にも透気特性を発現することができ、生産上非常に有用である。縦延伸における延伸温度を110℃以下にすれば、当該効果がより顕著に表れる。
特に、前記のように比較的低い温度で縦延伸をすれば空孔が閉塞されにくくなっているため、横延伸での延伸温度は120℃以上とするほうが延伸性に優れ、生産性が向上する点から好ましい。
参考第2実施形態は、第2層もPP樹脂とHM樹脂との混合樹脂とし、該HM樹脂の配合割合を第1層よりも小さくしている点で、第1実施形態と相違する。即ち、参考第2実施形態ではPP樹脂とHM樹脂との混合樹脂を含む層を複数層設け、これらの層のHM樹脂の配合割合を相違させている。
前記第1層と第2層以外の層におけるPP樹脂とHM樹脂との混合質量比は、PP樹脂/HM樹脂=10〜99/90〜1であることが好ましく、30〜99/70〜1がより好ましく、60〜99/40〜1が更に好ましく、60〜90/40〜10が特に好ましい。
BD特性を発現する層は第1層の少なくとも1層存在すればよいから、それ以外の層についてはBD特性を必ずしも必要とされない。ゆえに、HM樹脂の含有量がPP樹脂とHM樹脂との総和質量100質量%中1質量%以上であればよい。一方、HM樹脂の含有量がPP樹脂とHM樹脂との総和質量100質量%中90質量%を超えると多孔化が難しくなる。
他の成分および構成は第1実施形態と同様のため説明を省略する。
前記電池用セパレータとして使用する場合は、透気抵抗を5〜3000秒/100mlにすることが好ましく、より好ましくは20〜2000秒/100mlであり、更に好ましくは50〜1000秒/100mlであり、最も好ましくは50〜500秒/100mlである。
透気抵抗が3000秒/100mlより大きければ、測定上、透気抵抗の数値は出るものの、連通性のかなり乏しい構造であることを意味しているので、実質的には電池用セパレータとして利用できる程度の連通性は無い場合が多い。すなわち、透気抵抗が3000秒/100ml以下であればイオン伝導性を確保し十分な電池特性を得ることができるため好ましい。一方、透気抵抗が5秒/100ml以上であれば孔径が適度に小さく、積層多孔性フィルムの機械的強度が維持できるため好ましい。
透気抵抗はセパレータの厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mlの空気が該セパレータを通過するのに必要な秒数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がセパレータの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方がセパレータの厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とはセパレータの厚み方向の孔のつながり度合いである。本発明のリチウムイオン電池用セパレータの透気抵抗が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
次に、前記積層多孔性フィルムを電池用セパレータとして収容している非水電解液電池について、図1を参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極は電池用セパレータ10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体としている。この渦巻き状に巻回する際、電池用セパレータ10は厚みが5〜40μmであることがなかでも好ましく、5〜30μmであることが特に好ましい。厚みを5μm以上とすることにより電池用セパレータが破れにくくなり、40μm以下にすることにより所定の電池缶に捲回して収納する際電池面積を大きくとることができ、ひいては電池容量を大きくすることができる。
なかでも、エチレンカーボネート1質量部に対してメチルエチルカーボネートを2質量部混合した溶媒中に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.4mol/Lの割合で溶解した電解質が好ましい。
負極に炭素材料を用いる場合、炭素材料としてはリチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、例えば黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などを用いることができる。
次に実施例、参考例および比較例を示し、本発明の積層多孔性フィルムについて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、積層多孔性フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向、その直角方向を「横」方向と記載する。
表1に示すように、第1層の各原材料をテクノベル株式会社製の同方向2軸押出機(口径30mmφ、L/D=30)に、第2層の各原材料を東芝機械株式会社製の同方向2軸押出機(口径40mmφ、L/D=32)に投入し、290℃で溶融混合後、表1に記載の層構成に応じて単層、2種2層または2種3層のフィードブロックを通じてTダイより押出し、表1に記載の温度のキャストロールで引き取り、冷却固化させて、幅300mm、厚み180μmの未延伸膜状物を得た。この際、溶融樹脂膜状物とキャストロールの(冷却)接触時間は12秒であった。
次いで、得られた未延伸膜状物に対し、フィルムロール縦延伸機を用い、ロール間で表1に記載の延伸温度および延伸倍率で縦方向に延伸を行った後、次いで京都機械社製フィルムテンター設備にて、表1に記載の延伸温度および延伸倍率で横方向に延伸した。更に表1に記載の条件で熱弛緩を行い、積層多孔性フィルムを得た。
なお、各ポリプロピレン系樹脂(PP−1、βPP−1、βPP−2)については、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−7)を用いて、25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃から25℃まで冷却速度10℃/分で降温後1分間保持し、更に25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で再昇温させた場合に、再昇温時に145℃以上160℃未満の範囲にβ晶由来の結晶融解ピーク(Tmβ)が検出されるか否かを併記した。
・PP−1:プライムポリプロ社製「プライムPP F300SV(商品名)」(MFR3.0g/10分)
再昇温時には166℃にポリプロピレンのα晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmα)のみが検出され、β晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)は検出されなかった。すなわち、PP−1のみではβ活性を有していなかった。
・βPP−1
前記ポリプロピレン系樹脂(PP−1)100質量部にβ晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミドを0.1質量部添加した後、ハンドブレンドし、東芝機械株式会社製の2軸押出機(口径40mmφ、L/D=32)に投入し、設定温度280℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂(PP−1)とβ晶核剤の混合ペレットを作製した。
再昇温時には、ポリプロピレンのβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)が154℃に、α晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmα)が168℃に検出された。
すなわち、βPP−1はβ活性を有しており、下記式から算出したβ活性度は80%であった。
β活性度(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
ΔHmβ:145℃以上160℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量
ΔHmα:160℃以上175℃以下に検出されるα晶由来の結晶融解熱量
・βPP−2:β晶核剤の配合されたポリプロピレン樹脂であるAristech社製「Bepol B−022SP(商品名)」(MFR0.3g/10分)のペレットを用いた。
再昇温時には、ポリプロピレンのβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)が151℃に、α晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmα)が169℃に検出された。
すなわち、βPP−2はβ活性を有しており、前記式から算出したβ活性度は78%であった。
・SPS:出光興産社製 シンジオタクチックポリスチレン「ZAREC 90Z(商品名)」(Tm272℃、密度1.04g/cm3)
・PBT:ポリプラスチックス社製 ポリブチレンテレフタレート「ジュラコン 600FP(商品名)」(Tm224℃、密度1.43g/cm3)
・PMP:三井化学社製 ポリメチルペンテン「TPX 18R(商品名)」
(Tm237℃、密度0.833g/cm3)
(c)HM樹脂以外の熱可塑性樹脂
・HDPE:プライムポリマ−社製 高密度ポリエチレン「ハイゼックスHZ2200J(商品名)」(Tm134℃、密度0.964g/cm3)
積層多孔性フィルムの断面を切り出し、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、S−4500)にて観察し、その層構成及び厚みから層比を測定した。
得られたフィルムを縦60mm×横60mm角に切り出し、図2(A)に示すように、中央部に40mmΦの円状の穴を空けたアルミ板(材質:JIS規格A5052、サイズ:縦60mm、横60mm、厚み1mm)2枚の間にはさみ、図2(B)に示すように周囲をクリップ(KOKUYO社製、ダブルクリップ『クリ−J35(商品名)』)で拘束した。
アルミ板2枚に拘束した状態のフィルムを150℃以上の5℃刻みの各温度(150℃,155℃,160℃,165℃・・・)に設定したオ−ブン(タバイエスペック社製、タバイギヤオ−ブン『GPH200』、ダンパー閉状態)に入れ、オーブン内部温度が各温度に上がってから、3分間保持した後、取り出して冷却し、フィルムの破膜状態を観察した。破膜が認められた温度をブレイクダウン温度とした。
なお、フィルム片が60mm×60mm角に切り出せない場合は、中央部に40mmΦの円状の穴にフィルムが設置されるように調整し、試料を作成しても構わない。
日本農林規格告示1019号に準じ、ピン径1.0mm、先端部0.5R、ピン刺し速度300mm/分の条件で測定した。
ピン刺し強度が3.0N以上の場合を「◎」と、ピン刺し強度が1.5N以上3.0N未満の場合を「○」と、ピン刺し強度が1.5N未満の場合を「×」と評価した。
JIS P8117に準拠して透気抵抗(秒/100ml)を測定した。
透気抵抗が500秒/100ml以下の場合を「◎」と、透気抵抗が500秒/100mlを超えて2000秒/100ml以下の場合を「○」と、透気抵抗が2000秒/100mlを超える場合を「×」と評価した。
1/1000mmのダイアルゲージにて、面内の厚みを不特定に30箇所測定しその平均を厚みとした。
空孔率は多孔性フィルム中の空間部分の割合を示す数値である。空孔率は、多孔性フィルムの実質量W1を測定し、樹脂組成物の密度と厚みから空孔率0%の場合の質量W0を計算し、それらの値から下記式に基づき算出した。
空孔率Pv(%)={(W0−W1)/W0}×100
フィルムをパ−キンエルマ−社製の示差走査型熱量計(DSC−7)を用いて、25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温後1分間保持し、次に240℃から25℃まで冷却速度10℃/分で降温後1分間保持し、更に25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で再昇温した。再昇温時にポリプロピレンのβ晶に由来する結晶融解ピーク温度(Tmβ)である145℃〜160℃にピークが検出されるか否かにより、以下のようにβ活性の有無を評価をした。
○:Tmβが145℃〜160℃の範囲内に検出された場合(β活性有り)
×:Tmβが145℃〜160℃の範囲内に検出されなかった場合(β活性なし)
なお、β活性の測定は、試料量10mgで、雰囲気ガスを窒素として行った。
前記ブレイクダウン温度の測定の場合と同様に、フィルムを縦60mm×横60mm角に切り出し、図2(A)(B)に示すように固定した。
アルミ板2枚に拘束した状態のフィルムを設定温度180℃、表示温度180℃である送風定温恒温器(ヤマト科学株式会社製、型式DKN602)に入れ3分間保持した後、設定温度を100℃に変更し、10分以上の時間をかけて100℃まで徐冷を行った。表示温度が100℃になった時点でフィルムを取り出し、アルミ板2枚に拘束した状態のまま25℃の雰囲気下で5分間冷却して得られたフィルムについて、以下の測定条件で、中央部の40mmΦの円状の部分について広角X線測定を行った。
・広角X線測定装置:マックサイエンス社製 型番XMP18A
・X線源:CuKα線、出力:40kV、200mA
・走査方法:2θ/θスキャン、2θ範囲:5°〜25°、走査間隔:0.05°、走査速度:5°/min
得られた回折プロファイルについて、ポリプロピレンのβ晶の(300)面に由来するピークより、β晶生成力の有無を以下のように評価した。
○:ピークが2θ=16.0°〜16.5°の範囲に検出された場合(β晶生成力有り)
×:ピークが2θ=16.0°〜16.5°の範囲に検出されなかった場合(β晶生成力なし)
なお、フィルム片が60mm×60mm角に切り出せない場合は、中央部に40mmΦの円状の穴にフィルムが設置されるように調整し、試料を作成しても構わない。
ポリプロピレン系樹脂と結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂との混合樹脂を混合した組成物で形成された第1層のみからなる比較例3は、ピン刺し強度が1.10Nと低く、機械的強度が低かった。
これに対し、本発明で規定する範囲内で構成された実施例の積層多孔性フィルムは、ブレイクダウン温度が235℃以上と優れたブレイクダウン特性を具備し、かつ、機械的強度を有し、優れた透気特性も備えており、優れていた。
20 非水電解質電池
21 正極板
22 負極板
Claims (12)
- 少なくとも第1層と第2層の多孔質層を積層した積層多孔性フィルムの製造方法であって、
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂に、結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂を混合した組成物からなり、β活性及び/又はβ晶生成力を有する前記第1層と、
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂に、前記結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂は混合していない組成物からなり、β活性及び/又はβ晶生成力を有する前記第2層と、
を積層して積層無孔膜状物を作製し、
ついで、前記積層無孔膜状物を延伸して多孔化し、
前記β晶核剤はアミド化合物からなり、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0001〜5.0質量部の割合で配合されていることを特徴とし、透気抵抗が1〜10000秒/100mlである積層多孔性フィルムの製造方法。 - 共押出で前記第1層と前記第2層の少なくとも2層からなる積層無孔膜状物を作製する請求項1に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- 少なくとも第1層と第2層の多孔質層を積層した積層多孔性フィルムの製造方法であって、
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂に、結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂を混合した組成物で、β活性及び/又はβ晶生成力を有する前記第1層を作製し、
β晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂に、前記結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂は混合していない組成物で、β活性及び/又はβ晶生成力を有する前記第2層を作製し、
前記第1層および第2層の各層を延伸して多孔化し、
ついで、前記多孔化された第1層と第2層をラミネートもしくは接着剤で積層し、
前記β晶核剤はアミド化合物からなり、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0001〜5.0質量部の割合で配合されていることを特徴とし、透気抵抗が1〜10000秒/100mlである積層多孔性フィルムの製造方法。 - 前記ポリプロピレン系樹脂は、ホモプロピレンである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- 前記ポリプロピレン系樹脂は、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが2.0〜10.0であり、メルトフローレート(MFR)が0.5〜15g/10分である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- 前記β晶核剤がN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミドである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- 前記第1層では、前記ポリプロピレン系樹脂と前記熱可塑性樹脂との混合質量比が、10〜90/90〜10である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- 前記結晶融解ピーク温度が170℃以上である熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂およびポリメチルペンテン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- 前記フッ素系樹脂がポリフッ化ビニリデンである請求項8に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- 前記第1層を中間層とし、前記第2層を両外層とする3層構造としている請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- 破膜するブレイクダウン温度が、200℃以上である請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
- ピン刺し強度が1.5N以上である請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法。
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