JP2012089243A - 非水系二次電池用のセパレータ及びそれを用いた非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池用のセパレータ及びそれを用いた非水系二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】透気度と機械強度を高度にバランスさせたセパレータ及び、それを用いた非水系二次電池を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂とβ晶核剤とを含有する非水系二次電池用のセパレータにおいて、該セパレータは、少なくとも一種類以上の透気度上昇剤を含んでおり、該透気度上昇剤は該セパレータを270℃に加熱した時に該セパレータの素材中で相溶状態であり、かつ相溶状態から130℃へ10℃/minで降温する間に析出し、さらに析出した形状が非球状であり、該セパレータのβ晶形成能が50%以上である事を特徴とする非水系二次電池用のセパレータ及び非水系二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、透気度特性が良好でありかつ機械強度とのバランスが改善された非水系二次電池用のセパレータとそれを用いた非水系二次電池に関する。
近年、電気自動自動車等に搭載されるリチウムイオン二次電池に代表されるように、非水系二次電池の研究が活発に行われている。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、及びセパレータから構成されており、正極、負極間のリチウムイオン移動により電池としての役割を果たす。
セパレータは、ポリエチレン及びポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂を用いた微細孔をもつフィルムであり、リチウムイオンの電極間での移動の通路であると同時に正極負極間の絶縁を行う役割を果たしている。
セパレータの微細孔形成技術としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂にβ晶核剤を添加し、延伸によりポリプロピレンの結晶形態がβからαに変換する際に、その密度差を利用して微細孔を形成する方法(例えば、特許文献1参照)がある。しかしながら、β晶核剤を使用して形成したセパレータにおいては、個別の微細孔が連結せずにイオン透過性能を発揮しない独立孔の存在があり、機械強度を低下させる要因の一つとなっていた。
また、他のセパレータの微細孔形成技術として、例えば、ポリオレフィン樹脂を高ドラフト比で流延急冷する事により、ラメラ晶の高配向状態を作り出し、さらに延伸により、ラメラと非晶の開裂による微細孔形成技術(例えば、特許文献2参照)もある。この手法においても、独立孔の存在が機械強度の低下の要因となるため、前記特許文献2において微小なフィラーを添加する事により連通孔率を上げているもののその効果は未だ十分ではなかった。
特許第4102894号明細書 特開2009−211943号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、透気度と機械強度を高度にバランスさせたセパレータ及び、それを用いた非水系二次電池を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.ポリプロピレン樹脂とβ晶核剤とを含有する非水系二次電池用のセパレータにおいて、該セパレータは、少なくとも一種類以上の透気度上昇剤を含んでおり、該透気度上昇剤は該セパレータを280℃に加熱した時に該セパレータの素材中で相溶状態であり、かつ相溶状態から100℃へ10℃/minで130℃に降温した時に析出状態であり、さらに析出した形状が非球状であり、該セパレータのβ晶形成能が50%以上であることを特徴とする非水系二次電池用のセパレータ。
2.前記析出した形状が繊維状もしくは針状であることを特徴とする前記1に記載の非水系二次電池用のセパレータ。
3.前記透気度上昇剤が、アミド化合物、分子内にエステル結合とアミド結合を少なくとも一つ以上持つエステルアマイド類、分子内にウレア結合を持つ置換尿素化合物、ソルビトール系化合物、アミノ酸誘導体、環状ペプチド誘導体、シクロヘキサン誘導体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1又は2に記載の非水系二次電池用のセパレータ。
4.前記透気度上昇剤が、直鎖の炭素原子を、6〜26持つアルキル基で置換された化合物であることを特徴とする前記3に記載の非水系二次電池用のセパレータ。
5.前記アミド化合物が、置換又は無置換のフェニルアミド或いは、置換又は無置換のシクロヘキシルアミドであることを特徴とする前記3に記載の非水系二次電池用のセパレータ。
6.前記1〜5のいずれか1項に記載のセパレータを用いることを特徴とする非水系二次電池。
本発明によれば、透気度と機械強度が高度にバランスされた非水系二次電池用のセパレータ及びそれを用いた非水系二次電池を提供することができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ポリプロピレン樹脂]
本発明におけるポリプロピレン樹脂としては、具体的には、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、セパレータとしての機械的強度の観点からはホモポリプロピレンがより好適に使用される。
また、ポリプロピレン樹脂は、立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が80〜99%であることが好ましい。より好ましくは83〜98%、更に好ましくは85〜97%である。アイソタクチックペンタッド分率が低すぎるとセパレータとしての機械的強度が低下するおそれがある。一方、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合についてはこの限りではない。
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules8,687,(1975))に準拠している。
また、ポリプロピレン樹脂は、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが2.0〜10.0であることが好ましい。より好ましくは2.0〜8.0、更に好ましくは2.0〜6.0である。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnが2.0未満であると押出成形性が低下する等の問題が生じるほか、工業的に生産することも困難である。一方、Mw/Mnが10.0を超えた場合は低分子量成分が多くなり、セパレータとしての機械的強度が低下しやすい。Mw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって得られる。
また、ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFRは0.5〜15g/10分であることが好ましく、1.0〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分未満では成形加工時の樹脂の溶融粘度が高く生産性が低下する。一方、15g/10分を超えるとフィルムの機械的強度が不足するため実用上問題が生じやすい。MFRはJIS K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定している。
なお、前記ポリプロピレン樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた重合方法等が挙げられる。
[β晶核剤]
本発明の非水系二次電池用のセパレータは、β晶核剤を含有することを特徴とする。
本発明で用いることのできるβ晶核剤としては、以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレン樹脂のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば、特に限定されるものではなく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物、テトラオキサスピロ化合物、キナクリドン類、ナノスケールのサイズを有する酸化鉄、1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物、二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類、フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料、有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物、環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。
これら特に好ましいβ晶核剤の具体例としては新日本理化社製β晶核剤「エヌジェスターNU−100」、β晶核剤の添加されたポリプロピレン系樹脂の具体例としては、Aristech社製ポリプロピレン「Bepol B−022SP」、Borealis社製ポリプロピレン「Beta(β)−PP BE60−7032」、mayzo社製ポリプロピレン「BNX BETAPP−LN」などが挙げられる。
(透気度上昇剤)
本発明における透気度上昇剤は、非水系二次電池用のセパレータに含有され、セパレータ構成要素を280℃に加熱した時にはセパレータ構成素材中で相溶状態であり、かつ相溶状態から10℃/minで降温した時に100〜200℃の範囲で析出する素材である。さらに本発明の透気度上昇剤は130℃に降温した時にその析出形状が非球状である事を特徴とする。また、該セパレータを構成する素材のβ晶形成能は50%以上であるが、連通孔の形成率の観点から60%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
通常、β晶核剤を用いたセパレータの製造においては、ポリプロピレン樹脂のβ晶を形成した後に延伸によりβからαへの結晶変換に伴う密度変化により微細孔の起点を形成する。延伸倍率を高倍率にする事や温度条件等の調整により、この微細孔の起点から微細孔の拡大をコントロールし、各微細孔を連結孔へと導きセパレータフィルムを製造する。
しかしながら、これら微細孔の連結は比較的大延伸条件を必要とするため、破断による歩留まりの低下を引き起こす要因となっていた。また、独立した孔が連結孔を形成出来ずに取り残されてしまい機械強度を落とす原因となっていた。
前記した特許文献1や特許文献2では、微小なフィラーを含有させる事により連結孔の形成を促進しているが未だ不十分な結果に終わっている。これは、含有するフィラーが球状であるため延伸による連結孔の形成孔率が低い事に起因すると考えたため、本発明に至った。
本発明の透気度上昇剤は、セパレータ製造の過程において溶融製膜における押し出し時(例えばTダイ内)には相溶しており、冷却によるフィルム形状の固定化の段階で膜内に方向がランダムな状態であり、かつ非球状(より好ましくは繊維状もしくは針状)で析出していると考えられる。
延伸によるポリプロピレンの結晶形態の変換による微細孔起点の形成とそれに続く微細孔連結の過程において、透気度上昇剤とポリプロピレン樹脂間での開裂が起こり微細孔連結をより効率的に行う事が出来ると考えている。
本発明の透気度上昇剤は、冷却過程で非球状に析出する機能を持てばその構造に限定はされない。
透気度上昇剤の例としては、モノアマイド、ビスアマイド、トリスアマイドに代表されるアミド化合物、分子内にエステル結合とアミド結合を少なくとも一つ以上持つエステルアマイド類、分子内にウレア結合を持つ置換尿素化合物、ソルビトール系化合物、アミノ酸誘導体、環状ペプチド誘導体、シクロヘキサン誘導体、などの内前記冷却過程で非球状に析出する機能を有するものが挙げられる。
特に、直鎖の炭素原子を6〜26持つアルキル基で置換された化合物、ソルビトール系化合物、置換又は無置換のフェニルアミド或いは、置換又は無置換のシクロヘキシルアミドが好ましい。
これらの化合物は、新日本理化社、日本化成株式会社等から市販品として提供されている。
(非水系二次電池)
本発明における非水系二次電池は、正極、セパレータ、負極をこの順に積層した単位電極を少なくとも一組、正極及び負極から電気を取り出すリード、正極と負極の間でイオンの伝達物質である電解液、これらの構成物を内包する外装材から構成される。複数組みの単位電極を、セパレータを介して積層し構成された積層型電極群を含んでもよい。
〔正極〕
本発明の非水系二次電池を構成する正極としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウムもしくはクロム酸化物などの金属酸化物、二硫化モリブデンなどの金属硫化物などが活物質として用いられ、これらの正極活物質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、ステンレス鋼製網などの集電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。
正極の形成方法の例としては、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)に導電助剤としてリン状黒鉛を、(リチウムコバルト酸化物:リン状黒鉛)の質量比90:5で加えて混合し、この混合物と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液とを混合してスラリーにする。この正極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きな粒子を取り除いた後、厚み20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、その後、ロールプレス機により圧縮成形した後、切断し、帯状の正極板とする方法が挙げられる。
〔負極〕
負極の形成材料としては、アルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物をステンレス鋼製網などの集電材料と一体化させたものが用いられる。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどが挙げられる。アルカリ金属を含む化合物としては、例えば、アルカリ金属とアルミニウム、鉛、インジウム、カリウム、カドミウム、スズもしくはマグネシウムなどとの合金、さらにはアルカリ金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ金属と金属酸化物もしくは硫化物との化合物などが活物質として挙げられる。
負極に炭素材料を用いる場合、炭素材料としてはリチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などを用いることができる。
負極の形成方法の例として、フッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液に、平均粒径が10μmの炭素材料を混合してスラリーとし、この負極合剤のスラリーを70メッシュの網を通過させて大きな粒子を取り除いた後、厚み18μmの帯状の銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、その後、ロールプレス機により圧縮成形した後、切断し、帯状の負極板とする方法を挙げることができる。
〔電解液〕
電解液としては、リチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した電解液が用いられる。有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート、プロピオン酸メチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランもしくは4−メチル−1,3−ジオキソランなどのエーテル類、またはスルホランなどが挙げられ、これらを単独でまたは二種類以上を混合して用いることができる。
電解液の例として、エチレンカーボネート1質量部に対してメチルエチルカーボネートを2質量部混合した溶媒中に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.4mol/Lの割合で溶解したものを挙げることができる。
(非水系二次電池用のセパレータの製造方法)
まず、β晶法を用いたリチウムイオンセパレータの製造法として、本発明のリチウムイオン電池用のセパレータの製造方法について説明するが、本発明はかかる製造方法により製造されるリチウムイオン電池用のセパレータのみに限定されるものではない。
[製膜全体]
本発明の非水系二次電池用のセパレータは、ポリプロピレン系樹脂とβ晶核剤及び透気度上昇剤からなるセパレータ組成物を製膜し、β晶を有するセパレータ原反を得る。セパレータ原反を延伸する事により多数の微細孔を有する非水二次電池用のセパレータを得る事が出来る。
(原料の製造とペレタイズ)
本発明の非水系二次電池用のセパレータを製造するには、所望の該樹脂組成物が得られる限り、特に限定されることなく、常法を用いることができる。例えば、ポリプロピレン樹脂(粉末又はフレーク)とβ晶核剤、透気度上昇剤、及び必要に応じて前記他の添加剤を混合することにより製造される。
混合方法には特に制限はなく、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、スーパーミキサー、タンブラー型等の公知の混合機を用いて混合する方法等が挙げられる。この場合の、混合温度は通常室温〜100℃程度であり、混合時間は、装置の回転速度などにもよるが、一般に1〜20分間程度である。その後、通常の一軸あるいは二軸スクリュー押出機、タンデム型混練押出機等によって180〜300℃、好ましくは250〜300℃で混練し、ペレット化する。
(β晶核剤配合量)
β晶核剤の配合量としては、採用されるβ晶核剤の種類により適宜調整する事が出来る。一般的には、ポリプロピレン樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部が推奨され、より好ましくは、0.01〜1質量部である。0.01質量部未満では、原反シートのβ晶含量が低い。また、5質量部を越えて含有しても効果上の優位差が認められず、更には延伸工程時の破断の原因となり得るので好ましくない。
(製膜工程)
本発明に係る原反シートは、上記ポリプロピレン樹脂組成物から、Tダイ等が装着された押出成形機、円形ダイが装着されたインフレーション成形機等の公知の成形機を用いて製造することができる。特に、上記ポリプロピレン樹脂組成物をTダイ等が装着された押出成形機を用いて溶融混練し、Tダイから押し出された溶融シートを所定温度のチルロール上で冷却固化することにより製造することが推奨される。
Tダイを使用する場合、ギャップは最終的に必要なフィルムの厚み、延伸条件、ドラフト率、各種条件等から決定されるが、一般的には0.1〜3.0mm程度、好ましくは0.5〜1.0mmである。0.1mm以上では生産速度という観点からこのましく、また3.0mmより小さいと、ドラフト率が小さく出来るので生産安定性の観点から好ましい。
押出成形において、押出加工温度は樹脂組成物の流動特性や成形性等によって適宜調整されるが、概ね150〜300℃が好ましく、180〜280℃の範囲であることが更に好ましい。150℃以上の場合、樹脂溶融粘度が十分に低く成形性に優れて好ましい。一方、300℃以下では樹脂組成物の低分子量化を抑制できる。
(キャストロール温度)
キャストロールによる冷却固化温度により、延伸前の膜状物中のβ晶を生成・成長させ、膜状物中のβ晶比率を調整することができる。キャストロールの冷却固化温度は好ましくは80〜150℃、より好ましくは90〜140℃、更に好ましくは100〜130℃である。冷却固化温度を80℃以上とすることで冷却固化させた膜状物中のβ晶比率を十分に増加させることができ好ましい。また、150℃以下とすることで押出された溶融樹脂がキャストロールへ巻きつきを抑制し、効率よく膜状物化することが可能であるので好ましい。
前記温度範囲にキャストロールを設定することで、得られる延伸前の膜状物のβ晶比率は50〜100%に調整することが好ましい。60〜100%がより好ましく、80〜100%が特に好ましい。延伸前の膜状物のβ晶比率を50%以上とすることで、その後の延伸操作により多孔化が行われやすく、透気特性が優れるフィルムを得ることができる。
延伸前の膜状物のβ晶比率は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて、該膜状物を25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、検出されるポリプロピレンのα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)とβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)を用いて下記式で計算される。
β晶比率(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
[延伸]
得られた膜状物の延伸方法については、ロール延伸法、圧延法、テンター延伸法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法などの手法があり、これらを単独あるいは2つ以上組み合わせて一軸延伸あるいは二軸延伸を行う。中でも、多孔構造制御の観点からフィルム搬送(MD)方向及びフィルム搬送方向に対して垂直(TD)方向への逐次二軸延伸が好ましい。
逐次二軸延伸を用いる場合、延伸温度は用いる樹脂組成物の組成、結晶融解ピーク温度、結晶化度等によって適時選択する必要があるが、多孔構造の制御が容易であり、機械強度や収縮率など他の諸物性とのバランスがとりやすい。縦延伸での延伸温度は概ね20℃〜130℃、好ましくは40℃〜120℃、更に好ましくは60℃〜110℃の範囲で制御される。また、縦延伸倍率は好ましくは2〜10倍、より好ましくは3〜8倍、更に好ましくは4〜7倍である。前記範囲内で縦延伸を行うことで、延伸時の破断を抑制しつつ、適度な空孔起点を発現させることができる。一方、横延伸での延伸温度は概ね100〜160℃、好ましくは110〜150℃、更に好ましくは120〜140℃である。また、横延伸倍率は好ましくは2〜10倍、より好ましくは3〜8倍、更に好ましくは4〜7倍である。前記範囲内で横延伸することで、縦延伸により形成された空孔起点を適度に拡大させ、微細な多孔構造を発現させることができる。前記延伸工程の延伸速度としては、500〜12000%/分が好ましく、1500〜10000%/分がより好ましく、2500〜8000%/分であることが更に好ましい。
[緩和]
このようにして得られた多孔性フィルムは、寸法安定性の改良等を目的として好ましくは100℃〜150℃程度、さらに好ましくは110℃〜140℃程度の温度で熱処理を行う。熱処理工程中には、必要に応じて1〜30%の緩和処理を施しても良い。この熱処理後均一に冷却して巻き取ることにより、多孔性フィルムが得られる。
(セパレータの物性)
(膜厚)
本発明のセパレータの厚みは電池の体積エネルギー密度が上がり、内部抵抗が小さくなるという点で、機械的強度が保たれる限り薄くした方がよく、通常5〜200μm程度、好ましくは5〜40μm程度である。セパレータの膜厚分布としては平均膜厚の5%以内の変動が好ましく、3%以内が更に好ましい。
(ガーレー値)
本発明のセパレータの、ガーレー透気度は10〜600秒/100mlであることが好ましい。ガーレー透気度が10秒/100ml未満では空孔率が高くなる、もしくは孔径が大きくなりすぎてしまい、強度が十分保てなくなる場合がある、または、セパレータとして用いたとき電池の寿命が短くなる場合がある。一方、600秒/100mlを超えるとセパレータとして用いた際の特性が不十分となる。より好ましくは10〜300秒/100mlであり、さらに好ましくは10〜200秒/100mlであることが、セパレータ特性の観点から好ましい。ここで、ガーレー透気度とは、シートの空気透過率の指標であり、JIS P 8117(1998)に示されるものである。ガーレー値(透気度)の測定には、市販の東洋精機製 ガーレーデンソメータを用いて測定する事が出来る。
ガーレー透気度は、フィルムを構成するポリプロピレンに含有せしめるβ晶核剤もしくはβ晶核剤添加ポリプロピレンや、核形成補助成分の添加量のバランス、フィラーの粒径やその添加量、製造工程においては、キャスト工程における溶融ポリマーを固化させる際の結晶化条件(金属ドラム温度、金属ドラムの周速、得られる未延伸シートの厚みなど)や延伸工程における延伸条件(延伸方向(縦もしくは横)、延伸方式(縦もしくは横の一軸延伸、縦−横もしくは横−縦逐次二軸延伸、同時二軸延伸、二軸延伸後の再延伸など)、延伸倍率、延伸速度、延伸温度など)などにより制御できる。
(孔径および孔径分布)
本発明のセパレータの多孔質膜の孔径は、最大孔径が0.01〜3μmの範囲内であることが好ましく、0.01〜0.5μmの範囲内であることがより好ましい。最大孔径が0.01μm未満では、電解液の拡散が不十分となる傾向がみられ、電池の内部抵抗が高くなるおそれがある。また、最大孔径が3μmを超えると、例えばリチウムイオン二次電池のセパレータとして用いた場合に、リチウムデンドライド(電池反応時に発生成長するリチウムの針状結晶)の発生を抑制することが困難となり、短絡が生じるおそれがある。
平均孔径が好ましくは0.01〜0.1μm、より好ましくは0.03〜0.1μmである。
ここで、セパレータに形成されている細孔の平均値(平均孔径)は、例えばバブルポイント法(JIS K 3832、あるいはJIS B 8356−2)によって得られる。バブルポイント法に基づく細孔径(平均細孔径や細孔径分布)の測定は、例えば市販される日本ベル株式会社製のPorometer3G装置を用いて容易に行うことができる。
(気孔率)
本発明のセパレータの多孔膜の気孔率は40〜70%が好ましく、より好ましくは40〜65%、更に好ましくは40〜60%である。気孔率が40%以上の場合、透過性能に優れる傾向にあり、70%以下の場合、機械的強度に優れ、スリット時の捲回性が良好となる傾向にある。気孔率の測定には、ASTM D−2873に準じて、例えばヘキサデカン溶媒に試料を浸漬前後の質量の測定と試料の体積から測定する事が出来る。
(密度)
本発明のセパレータに使用される素材の密度はJISK−7112に準じて濃度勾配管中で試料の位置により測定する事が出来る。
(刺突強度)
本発明のセパレータの膜突刺強度としては、電極間の短絡による電池不良を改善する観点から、好ましくは2〜10N、より好ましくは3〜10Nである。刺突強度は、ASTM D3763に準じて測定する事が出来る。
(破断強度、弾性率)
本発明のセパレータの破断強度は、電池の組立の観点からMD方向、TD方向ともに好ましくは500kg/cm以上が好ましい。電池組み立て時のセパレータの裂けや蛇行などの観点から、MD方向とTD方向の破断強度の比は0.1以上8.0以下が好ましい。より好ましくは0.1以上5.0以下、さらに好ましくは0.5以上2.0以下である。
また、セパレータの弾性率は、好ましくは10MPa以上600MPa以下、より好ましくは20MPa以上550MPa以下、さらに好ましくは40MPa以上500MPa以下の範囲である。引張弾性率が10MPa以上では電池用セパレータとして使用した際に、電極と共に捲回する際等に破膜等の不具合が起こり難く捲回性に優れ、600MPa以下では、捲回後に巻締まり等の不具合が起こり難いので好ましい。
破断強度及び弾性率は、JIS K−7127に準じて例えば、23℃、55%RHの環境下で24時間調湿し、市販の引っ張り試験器オリエンテック(株)製テンシロンRTA−100を使用し、試験片の形状は1号形試験片で、試験速度は10mm/分の条件で測定する事が出来る。
(熱収縮)
本発明のセパレータの多孔膜の熱収縮率は90℃条件において、MD方向、TD方向ともに0%以上5%以下であることが好ましい。近年のリチウムイオン電池の高容量化に伴い、150℃条件において、MD方向、TD方向ともに0%以上15%以下であることがさらに好ましく、より好ましくは0%以上10%以下、さらに好ましくは0%以上5%以下である。熱収縮率がMD方向、TD方向ともに15%以下であると、電池の異常発熱時の多層多孔膜の破膜が抑制され、短絡を防止する観点から好ましい。
(ネジレ・直線性)
本発明のセパレータの多孔膜の直線性は0.5mm/mである事が好ましく、0.2mm/mである事が好ましい。例えば、円筒型電池として組み立てを行う際に、電極と共に捲回する際等に蛇行が起こる等の不具合が起こり難いので好ましい。
セパレータ用多孔膜の直線性の評価としては、25℃50%で調湿した条件下で平面な台の上で測定する事が出来る。
(シャットダウン特性、メルトダウン耐性)
本発明のセパレータは、安全性を確保するために、シャットダウン(SD)機能が求められる場合がある。SD機能とは、短絡等を起因として電池内部温度が過度に上昇した場合に、セパレータの電気抵抗を急激に上昇させることにより、電池反応を停止させて、温度上昇を防止する機能である。上記SD機能の発現機構としては、例えば、微多孔性フィルム製のセパレータの場合、所定の温度まで電池内部温度が上昇した場合、その多孔質構造を喪失して無孔化し、イオン透過を遮断することがあげられる。しかし、このように無孔化してイオン透過を遮断しても、温度がさらに上昇してフィルム全体が溶融し破膜してしまった場合は、電気的絶縁性を維持できなくなってしまう。したがって、このフィルムがその形態を保持できなくなりイオン透過を遮断することができなくなる温度をメルトダウン温度といい、この温度が高いほどセパレータの耐熱性が優れているといえる。また上記メルトダウン温度とSD開始温度との差が大きいほど、安全性に優れているといえる。
(電解液吸収性)
本発明のセパレータの電解液吸収性は、電池生産性時の電解液工程において迅速に組み立てを行うために迅速吸収性が求められる。電解液の吸収速度は、例えば使用する電解液をセパレータ表面に一滴滴下し、目視により電解液が吸収される時間(透明化する時間)を計測する手法等により測定する事が出来る。
毛細管内を浸透する液体と毛細管直径との関係は、Lucas−Washburn式(数1)で表される(l:浸透深さ、d:毛細管直径、γ:表面張力、θ:接触角、η:液体粘度、t:時間)事が知られている。当該数式によれば、浸透深さは毛細管直径の平方根および時間の平方根に比例し、液体粘度の平方根に反比例することとなる。従って、これを微多孔膜に当てはめた場合、大孔径である方が液体浸透に優れることが理論的には推測される。
Figure 2012089243
(保液性)
本発明の非水系二次電池の電極は、リチウムの挿入及び脱離に伴い膨張及び収縮するが、電池の高容量化に伴い、膨張率が大きくなる傾向にある。充放電に伴い電極の膨張及び収縮に伴ってパレータは電極により圧迫されるので、セパレータには圧迫による電解液保持量の減少が小さいことが求められている。
(化学安定性)
本発明の非水系二次電池の高充電電圧化を図ると正極は高い電位となるため、セパレータは強い酸化環境にさらされ、酸化分解を受けやすくなる。酸化分解によって分子量が低下すると、機械的物性が著しく低下し、破膜などが起こりやすくなる。特に、高温環境下ではセパレータの酸化がさらに進行しやすいため、高温保存した場合には破膜などが一層起こりやすくなるため、化学安定性の高いセパレータが求められている。
(動摩擦係数)
本発明の非水系二次電池の組み立て工程でのしわや折れ等の不具合を起こさずに安定的な生産を行う観点から、セパレータ同士の(セパレータ両面を重ね合わせたときの)静摩擦係数μsが、0.3〜1.8の範囲であることが好ましい。静摩擦係数μsが0.3未満では、セパレータが滑り過ぎて、長尺に巻き取る際に巻きずれやしわが発生することがある。一方、μsが1.8を超えると、フィルム製造(製膜)ならびに二次加工工程で、セパレータ同士あるいはセパレータとロール等との摩擦により、表層のポリマーの脱落やセパレータ破れが起こり、生産性が低下することがある。セパレータの動摩擦係数は0.3〜1.5であることがより好ましく、0.5〜1.5であることが更に好ましい。
(非水系二次電池の作製)
セパレータを介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するように、正極板、セパレータおよび負極板を重ね合わせて単位電極を作製した。単位電極と単位電極との間にセパレータを介在させて、単位電極9枚を積層し、積層型電極群を作製した。この積層型電極群にポリプロピレン(PP)樹脂からなるタブを有するアルミニウム製正極リードおよびニッケル製負極リードを接続した後、アルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入し、封口部にPPタブが配置されるようにして、熱溶着させた。その後、非水電解質を注液し、外装ケース内部を真空減圧しながら、外装ケースの開口を溶着させて、リチウムイオン二次電池を作製した。
[初回充放電]
上記で得られたリチウムイオン二次電池に、プレス加圧を行いながら、初回の充放電を行い、本発明のリチウムイオン二次電池を作製した。加圧条件は、温度25℃、圧力2×10N/mあった。なお、プレス機の加圧子の加圧面は、捲回型電極群の厚み方向の側面全面によりも面積が大きいものを用い、厚み方向の側面全面を均一に加圧した。また、初回充放電条件は、次に示す通りである。
25℃環境温度において、設計容量(1200mAh)に対し、時間率0.2C(240mA)の定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、4.2Vの定電圧で時間率0.05C(60mA)の電流値に減衰させる定電圧充電を行い、その後、20分間休止させた。その後、時間率0.2C(240mA)の電流値で、電池電圧が2.5Vに低下するまで定電流で放電させた。充放電が終了した後に、加圧を開放した。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(非水系二次電池用のセパレータ1〜10の作製)
ポリプロピレン系樹脂として、サンアロマーPL500A(サンアロマー(株)製)(MFR:3.3、Tm:162℃)の100質量%と、β晶核剤として、エヌジェスターNU−100(新日本理化製)の0.2質量%(但し、セパレータ10は0.005質量%)と、表1記載の透気度上昇剤を、表1記載量加え、東芝機械株式会社製の同方向二軸押出機(口径φ40mm、L/D=32)を用いて280℃にて溶融混練してペレット状に加工した樹脂組成物を得た。
上記樹脂組成物を押し出し機にてTダイより押出し、120℃のキャスティングロールで30秒冷却、MD方向及びTD方向に逐次二軸延伸を行った後、100℃で4%熱弛緩して非水二次電池用のセパレータ1〜10を作製した。
(評価方法)
[相溶性・析出温度・形状観察]
セパレータ1〜10について、偏光顕微鏡(BX51−P(オリンパス株式会社製))と顕微鏡用ホットステージ(形式:10033L(ジャパンハイテック株式会社製))とを用いて、室温から、10℃/分の昇温速度で280℃まで昇温させた後、水平なガラス板上で厚さ5.0μmの条件で、−10℃/分の条件で130℃まで降温させ、偏光顕微鏡により280℃における相溶性、降温析出を確認した。
280℃における相溶性は、280℃で5分保持した後の観察で判断を行った。相溶したものを○、相溶しなかったものを×とした。析出の温度は、280℃から130℃へ10℃/minで降温した時に目視にて析出が確認されたものを○、析出しなかったものを×とした。
[β晶形成能]
示差走査型熱量計(DSC)を用いて、25℃から240℃まで加熱速度10℃/分で昇温させた際に、検出されるポリプロピレンのα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)とβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)を用いて下記式で計算される。
β晶比率(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
なおβ晶形成能測定に用いた試料は、セパレータ組成物を室温から280℃まで10℃/minの昇温速度で昇温し、280℃で5分保持した後に−10℃/minで120℃まで降温。120℃で5分保持した後に、室温まで−10℃/minの降温速度で降温し作製した試料により測定を行い、結果を表1に示す。
[析出形状]
なお、析出形状は130℃において観察される析出物の面積から円相当径を求め、観察される形状の最小及び最大径が円相当径に対して50%以内に収まっている場合には、球状とし、この条件を満足しない場合には非球状であると判断した。
観察する析出形状は、偏光顕微鏡の視野を動かし10個を観察対象とし、そのいずれもが球状である場合に球状析出であるとした。
[透気度・(ガーレー透気度)]
ガーレー透気度とは、シートの空気透過率の指標の1つであり、JIS P 8117(1998)に示されるものである。ガーレー値(透気度)の測定には、市販の東洋精機製 ガーレーデンソメータを用いて測定を行い、以下の評価をした。
◎:400〜499(秒/100ml)
○:500〜599(秒/100ml)
△:600〜699(秒/100ml)
×:700以上(秒/100ml)
[刺突強度]
刺突強度は、ASTM D3763に準じて測定しい、以下の評価をした。
◎:2.2N以上
○:2.0N以上
△:1.8N以上
×:1.8N未満
[破断点強度]
破断点強度は、JIS K−7127に準拠した方法で測定した。23℃、55%RHの環境下で24時間調湿し、市販の引っ張り試験器、オリエンテック(株)製のテンシロンRTA−100を使用し、試験片の形状は1号形試験片で、試験速度は10mm/分の条件で測定しい、以下の評価をした。
◎:33MPa以上
○:30MPa以上
△:27MPa以上
×:27MPa未満
Figure 2012089243
(非水系二次電池用のセパレータ21〜25の作製)
非水系二次電池用のセパレータ1〜12と同様にして非水系二次電池用のセパレータ21〜25を作製した。但し、透気度上昇剤は0.2質量%で、セパレータ21〜23の透気度上昇剤は、Journal of Polymer Science Part B: Polymer Physics, Volume 46, Issue 11 (p 1067−1078)記載の方法で合成した。
また、セパレータ24のアルミナは住友化学株式会社製、23のシリカは日本アエロジル株式会社製を用いた。
得られた非水系二次電池用のセパレータ21〜25について、セパレータ1〜10と同様に評価し結果を表2に示す。
Figure 2012089243
表1、2から本発明セパレータが優れていることが判る。
実施例2
(二次電池製造方法)
各非水二次電池用セパレータを介して正極活物質の層と負極活物質の層とが対向するように、正極板、非水二次電池用セパレータおよび負極板を重ね合わせて単位電極を作製した。単位電極と単位電極との間に非水二次電池用セパレータを介在させて、単位電極9枚を積層し、積層型電極群を作製した。この積層型電極群に、ポリプロピレン(PP)樹脂からなるタブを有するアルミニウム製正極リードおよびニッケル製負極リードを接続した後、アルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入し、封口部にPPタブが配置されるようにして、熱溶着させた。その後、非水電解質を注液し、外装ケース内部を真空減圧しながら、外装ケースの開口を溶着させて、リチウムイオン二次電池を作製した。
(評価手法)
(サイクル特性)
リチウムイオン二次電池について、25℃環境下において800mAで4.2Vまで定電流充電した後、800mAで2.5Vまで定電流放電する工程を繰り返した。100サイクル後に、240mAで4.2V〜2.5Vの範囲で定電流充放電を行い、0.2C放電での放電容量を調べた。そして、初期の0.2C放電容量に対する100サイクル後の0.2C放電容量の比をサイクル容量維持率(%)として求め、結果を表3に示す。
Figure 2012089243

Claims (6)

  1. ポリプロピレン樹脂とβ晶核剤とを含有する非水系二次電池用のセパレータにおいて、該セパレータは、少なくとも一種類以上の透気度上昇剤を含んでおり、該透気度上昇剤は該セパレータを280℃に加熱した時に該セパレータの素材中で相溶状態であり、かつ相溶状態から100℃へ10℃/minで130℃に降温した時に析出状態であり、さらに析出した形状が非球状であり、該セパレータのβ晶形成能が50%以上であることを特徴とする非水系二次電池用のセパレータ。
  2. 前記析出した形状が繊維状もしくは針状であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用のセパレータ。
  3. 前記透気度上昇剤が、アミド化合物、分子内にエステル結合とアミド結合を少なくとも一つ以上持つエステルアマイド類、分子内にウレア結合を持つ置換尿素化合物、ソルビトール系化合物、アミノ酸誘導体、環状ペプチド誘導体、シクロヘキサン誘導体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系二次電池用のセパレータ。
  4. 前記透気度上昇剤が、直鎖の炭素原子を、6〜26持つアルキル基で置換された化合物であることを特徴とする請求項3に記載の非水系二次電池用のセパレータ。
  5. 前記アミド化合物が、置換又は無置換のフェニルアミド或いは、置換又は無置換のシクロヘキシルアミドであることを特徴とする請求項3に記載の非水系二次電池用のセパレータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のセパレータを用いることを特徴とする非水系二次電池。
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