以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明の実施例に係る平面研削盤100の側面図であり、図2は、その上面図である。平面研削盤100は、主に、本体ベッド1、X軸テーブル2、横軸砥石用コラム3、横軸砥石ヘッド4、砥石ヘッド回転用モータ5、砥石ヘッド上下送り用モータ6、砥石ヘッド左右送り用モータ7、テーブル駆動用モータ8、及び制御装置9を含む。
本体ベッド1は、X軸テーブル2をX軸方向に往復移動可能に支持する台座である。具体的には、本体ベッド1は、X軸テーブル2の下面から突出するガイドレールを受け入れるレール溝1AL、1ARをその上面に有する。
X軸テーブル2は、本体ベッド1上をX軸方向に摺動可能な可動テーブルであり、その上面で被研削物(ワーク)Wを支持する。
横軸砥石用コラム3は、横軸砥石ヘッド4を上下方向(Z軸方向)及び左右方向(Y軸方向)に移動可能に支持する装置である。
横軸砥石ヘッド4は、砥石軸40を有する砥石ヘッドである。本実施例では、砥石軸40の先端には、砥石車41が取り付けられる。
砥石ヘッド回転用モータ5は、横軸砥石ヘッド4の砥石軸40を回転させるモータであり、例えば、サーボモータが用いられる。
砥石ヘッド上下送り用モータ6は、横軸砥石ヘッド4を上下方向(Z軸方向)に移動させるための砥石ヘッド上下移動機構を駆動するモータである。本実施例では、砥石ヘッド上下送り用モータ6は、横軸砥石ヘッド4をZ軸方向に移動させるボールねじ機構におけるボールねじ軸又はボールねじナットを回転させるためのサーボモータである。
砥石ヘッド左右送り用モータ7は、横軸砥石ヘッド4を左右方向(Y軸方向)に移動させるための砥石ヘッド左右移動機構を駆動するモータである。本実施例では、砥石ヘッド左右送り用モータ7は、横軸砥石ヘッド4をY軸方向に移動させるボールねじ機構におけるボールねじ軸又はボールねじナットを回転させるためのサーボモータである。
なお、上下移動機構及び左右移動機構は、ラックアンドピニオン機構等の他の機構であってもよい。
テーブル駆動用モータ8は、X軸テーブル2をX軸方向に移動させるためのテーブル移動機構を駆動するモータである。本実施例では、テーブル駆動用モータ8は、閉回路油圧システムであるテーブル移動機構を構成する双方向油圧ポンプを回転させるためのサーボモータである。
制御装置9は、平面研削盤100の動きを制御する装置であり、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータである。
具体的には、制御装置9は、テーブル駆動用モータ8を制御してX軸テーブル2上のワークWを所定位置に移動させる。また、制御装置9は、砥石ヘッド上下送り用モータ6及び砥石ヘッド左右送り用モータ7を制御して横軸砥石ヘッド4を所定位置に移動させる。
その後、制御装置9は、砥石ヘッド回転用モータ5を制御して横軸砥石ヘッド4の回転を開始させ、且つ、テーブル駆動用モータ8を制御してX軸テーブル2を+X方向に移動させ、砥石車41をワークWに接触させて1回目の研削加工を開始する。
テーブル駆動用モータ8によりX軸テーブル2を+X方向の所定位置まで移動させると、すなわち砥石車41によるワークWに対する1回目の研削加工が終了すると、制御装置9は、X軸テーブル2を−X方向に移動させて元の位置に戻す。その際、制御装置9は、砥石ヘッド上下送り用モータ6により横軸砥石ヘッド4を上昇させてもよい。X軸テーブル2を元に戻すときに横軸砥石ヘッド4がワークWと接触しないようにするためである。このとき、制御装置9は、砥石ヘッド回転用モータ5を一旦停止させてもよい。
その後、制御装置9は、砥石ヘッド回転用モータ5により横軸砥石ヘッド4を回転させ、砥石ヘッド上下送り用モータ6により横軸砥石ヘッド4を下降させる。そして、制御装置9は、テーブル駆動用モータ8を制御してX軸テーブル2を+X方向に移動させ、砥石車41をワークWに接触させて2回目の研削加工を開始する。
上述の動きを繰り返すことによって、制御装置9は、ワークWの研削を実行する。なお、制御装置9は、X軸テーブルを−X方向に移動させる際に砥石車41をワークWに接触させて研削加工を行ってもよい。
次に、図3〜図5を参照しながら、テーブル移動機構20について説明する。なお、図3は、図1及び図2のそれぞれにおける一点鎖線を含む鉛直面を矢印IIIで示す方向から見た正断面図であり、図4は、図2及び図3のそれぞれにおける二点鎖線を含む鉛直面を矢印IVで示す方向から見た側断面図である。図5は、テーブル移動機構20の構成例を示す概略図である。なお、図5では、明瞭化のため、本体ベッド1の図示を省略している。
図5に示すように、テーブル移動機構20は、X軸テーブル2をX軸方向に往復移動させる機構であり、主に、シリンダ21、ピストン22、第1軸23F、第2軸23B、及び双方向油圧ポンプ24を含む閉回路油圧システムで構成される。
シリンダ21は、X軸テーブル2の下面に固定され、X軸テーブル2と共に本体ベッド1上をX軸方向に移動する。また、シリンダ21は、内部に圧力室21S(図4参照。)を備え、ピストン22が圧力室21Sの内壁に対して相対的にスライドできるようにピストン22を圧力室21S内に受け入れる。なお、圧力室21Sは、図4に示すように、ピストン22によって、第1圧力室21SFと第2圧力室21SBに分離される。
第1軸23Fは、一端がピストン22の+X側の面に固定され、他端が外部の静止物23Faに固定される円筒部材である。同様に、第2軸23Bは、一端がピストン22の−X側の面に固定され、他端が外部の静止物23Baに固定される円筒部材である。なお、静止物23Fa、23Baは、X軸テーブル2を移動させる場合にシリンダ21、第1軸23F、及び第2軸23Bを静止したまま保持できる物体であればよく、例えば、本体ベッド1であってもよい。
ピストン22は、シリンダ21の圧力室21S内で、圧力室21Sの内壁に対して相対移動できるように圧力室21S内に収容される円板部材である。また、ピストン22は、+X側の面が第1軸23Fに接続され、−X側の面が第1軸23Fに接続される。
このような構成により、シリンダ21は、X軸テーブル2と共に、本体ベッド1に対して往復移動可能であるのに対し、第1軸23F、第2軸23B、及びピストン22は、本体ベッド1に対して静止するように配置される。
X軸テーブル2は、図3に示すように、その下面から−Z方向に突出する2つのV字型のガイドレール2BL、2BRを備える。また、X軸テーブル2は、静圧軸受機構、動圧軸受機構、若しくはそれらの組み合わせ又はその他の軸受機構を用い、本体ベッド1上をX軸方向に往復移動できるように、本体ベッド1によって支持される。なお、ガイドレール形状は必ずしもV字型である必要はない。
また、X軸テーブル2のX軸方向の往復移動は、テーブル駆動用モータ8によって駆動される双方向油圧ポンプ24によって制御される。具体的には、図4及び図5に示すように、X軸テーブル2を矢印ARで示す方向(−X方向)に移動させる場合、双方向油圧ポンプ24の第2ポート24Bが吐出する作動流体としての作動油は、点線で示すように、第2軸23Bを通ってシリンダ21の第2圧力室21SBに流入する。一方で、シリンダ21の第1圧力室21SF内の作動油は、第1軸23Fを通って双方向油圧ポンプ24の第1ポート24Fに至る。その結果、第2圧力室21SBの体積が増大し、第1圧力室21SFの体積が減少して、X軸テーブル2は、−X方向に移動させられる。
図示は省略するが、X軸テーブル2を+X方向に移動させる場合には、双方向油圧ポンプ24の第1ポート24Fが吐出する作動油は、第1軸23Fを通ってシリンダ21の第1圧力室21SFに流入する。一方で、シリンダ21の第2圧力室21SB内の作動油は、第2軸23Bを通って双方向油圧ポンプ24の第2ポート24Bに至る。その結果、第1圧力室21SFの体積が増大し、第2圧力室21SBの体積が減少して、X軸テーブル2は、+X方向に移動させられる。
双方向油圧ポンプ24は、図5に示すように、テーブル駆動用モータ8によって回転駆動され、テーブル駆動用モータ8の回転方向及び回転数に応じた流量の作動油を第1ポート24F又は第2ポート24Bから吐出する。
テーブル駆動用モータ8は、モータドライバ8Aが供給する電流に応じて駆動される。モータドライバ8Aは、制御装置9の主制御器9Aからの流量指令(例えば、モータ回転数指令又はトルク指令である。)に応じてテーブル駆動用モータ8に電流を供給する。
主制御器9Aは、双方向油圧ポンプ24の回転数を制御する。例えば、主制御器9Aは、制御装置9からの各種指令値と各種センサからの各種センサ出力とに基づいてモータ回転数指令又はトルク指令を生成する。具体的には、各種指令値は、操作者の入力等に応じて制御装置9が生成する指令値であり、テーブル位置指令、テーブル速度指令、テーブル加速度指令、テーブル駆動用モータ回転数指令(モータ速度指令)等の値を含む。また、各種センサ出力は、変位センサ30、第1シリンダ圧センサ31F、第2シリンダ圧センサ31B、回転角センサ32等の出力を含む。
変位センサ30は、X軸テーブル2の変位を検出する変位センサであり、例えば、X軸テーブル2の所定の基準位置に対する直線変位を検出し、検出結果を制御装置9に対して出力する。本実施例では、変位センサ30として例えばリニアスケールが用いられる。
第1シリンダ圧センサ31Fは、シリンダ21における第1圧力室21SFの圧力を検出するセンサであり、例えば、第1軸23Fと双方向油圧ポンプ24の第1ポート24Fとを接続する管路内の作動油の圧力を検出し、検出結果を制御装置9に対して出力する。
同様に、第2シリンダ圧センサ31Bは、シリンダ21における第2圧力室21SBの圧力を検出するセンサであり、例えば、第2軸23Bと双方向油圧ポンプ24の第2ポート24Bとを接続する管路内の作動油の圧力を検出し、検出結果を制御装置9に対して出力する。
なお、第1シリンダ圧センサ31F、第2シリンダ圧センサ31Bは、第1圧力室21SF、第2圧力室21SBに取り付けられてもよく、第1軸23F、第2軸23Bに取り付けられてもよい。
回転角センサ32は、テーブル駆動用モータ8の回転を検出するセンサであり、例えば、テーブル駆動用モータ8の回転方向及び回転角度を検出し、検出結果を制御装置9に対して出力する。本実施例では、回転角センサ32として例えばレゾルバが用いられる。
図6は、平面研削盤100がX軸テーブル2を移動させる際の制御の流れを示す図である。図6に示すように、主制御器9Aは、テーブル位置指令、テーブル速度指令、テーブル加速度指令、モータ速度指令の少なくとも1つを含む各種指令値を制御装置9から取得する。そして、主制御器9Aは、必要に応じて各種センサ出力を取得する。各種センサ出力は、変位センサ30が出力するテーブル位置信号、シリンダ圧センサ31F、31Bが出力するシリンダ圧信号、回転角センサ32が出力するモータ回転角度信号の少なくとも1つを含む。
その後、主制御器9Aは、取得した各種指令値及び各種センサ出力に基づいてモータ回転数指令又はトルク指令を生成し、生成したモータ回転数指令又はトルク指令をモータドライバ8Aに対して出力する。
その後、モータドライバ8Aは、主制御器9Aからのモータ回転数指令又はトルク指令に応じてテーブル駆動用モータ8に対して電流を供給する。
ここで、テーブル移動機構20を構成する閉回路油圧システムにおける、双方向油圧ポンプ24が吐出する作動油の流量QからX軸テーブル2のテーブル速度vまでの伝達関数v/Qについて説明する。
X軸テーブル2の中心とピストン22の中心とが同じ鉛直線上にある場合、伝達関数v/Qは、以下の式(1)で表される。
ここで、sはラプラス演算子を表し、A
cylはピストン22の受圧面積を表し、V
cylは圧力室21Sの容積を表し、MはX軸テーブル2の質量を表し、BはX軸テーブル2の粘性摩擦係数を表し、K
oilは作動油の体積弾性係数を表す。
流量Qは、テーブル駆動用モータ8のモータ回転数ωmに比例するので、単位回転数当たりの押し退け容積をWPとおけば、モータ回転数ωmからテーブル速度vまでの伝達関数は、以下の式(2)で表される。
ここで、ω
n、ζ
nは、それぞれ、X軸テーブル2の固有振動数、減衰係数であり、以下の式(3)、(4)で表される。
また、K
HSTは、閉回路油圧システムによるゲインであり、以下の式(5)で表される。
なお、固有振動数ω
nは、ζ
n=0の場合に、X軸テーブル2の加減速時に生じるX軸テーブル2の固有振動数を意味する。また、減衰係数ζ
nは、X軸テーブル2の振動の減衰性を表す係数であり、ζ
n<1の場合にあっては、値が1に近いほど振動が短時間で減衰することを表す。
また、X軸テーブル2の速度及び加速度のフィードバックを行う場合、速度指令vdirからテーブル速度vまでの伝達関数は、上述の式(2)に基づき、以下の式(6)で表される。
ここで、ω
c、ζ
cは、それぞれ、X軸テーブル2の速度及び加速度のフィードバックが行われる場合のX軸テーブル2の制御固有振動数、制御減衰係数であり、以下の式(7)、(8)で表される。
なお、K
v、K
aは、それぞれ、速度フィードバックゲイン、加速度フィードバックゲインであり、以下の式(9)、(10)で表される。
上述の関係は、所望の制御減衰係数ζ
cの値に応じて加速度フィードバックゲインK
aを決定できること、すなわち、加速度フィードバックゲインK
aを調節することによって所望の制御減衰係数ζ
cの値を実現できることを意味する。なお、制御減衰係数ζ
cの値は、例えば、0.7(=1/√2)〜1.0の間の値が選択されることが望ましい。
次に、図7を参照しながら、主制御器9Aの構成例について説明する。
図7の構成例では、主制御器9Aは、テーブル位置指令及びテーブル速度指令とテーブル位置信号とを取得し、モータドライバ8Aに対してモータ回転数指令又はトルク指令を出力する。
具体的には、主制御器9Aは、先ず、比例制御則により、制御装置9からのテーブル位置指令が表す値から、変位センサ30からのテーブル位置信号が表す値PLを減算し、所定のゲインKpを乗算して第1制御値V1を導き出す。なお、主制御器9Aは、比例制御則の代わりに比例積分制御則を用いてもよい。具体的には、主制御器9Aは、テーブル位置指令が表す値から値PLを減算した値と、その減算した値の積分値を所定の時定数で除算した値とを加算した上で、所定のゲインKpを乗算して第1制御値V1を導き出してもよい。
その後、主制御器9Aは、制御装置9からのテーブル速度指令が表す値に速度フィードフォーワードゲインKvffを乗算した速度フィードフォワード値VFFと第1制御値V1とを加算する。そして、主制御器9Aは、加算後の値(V1+VFF)から、テーブル位置信号を疑似微分して得られるテーブル速度信号が表す値に速度フィードバックゲインKvを乗算した速度フィードバック値VFBを減算して、第2制御値V2を導き出す。
さらにその後、主制御器9Aは、第2制御値V2から、テーブル速度信号を疑似微分して得られる、すなわち、テーブル位置信号を二階疑似微分して得られるテーブル加速度信号が表す値に加速度フィードバックゲインKaを乗算した加速度フィードバック値AFBを減算して、モータ回転数指令又はトルク指令を導き出す。
なお、主制御器9Aは、制御装置9からのテーブル加速度指令が表す値に速度フィードフォーワードゲインKaffを乗算した加速度フィードフォワード値AFF(図示せず。)と第2制御値V2とを加算した上で加速度フィードバック値AFBを減算してモータ回転数指令又はトルク指令を導き出してもよい。また、主制御器9Aは、速度フィードバック値VFBの算出、及び、第一制御値V1と速度フィードフォワード値VFFの合計値からの速度フィードバック値VFBの減算を省略してもよい。
このように、図7に示す主制御器9Aは、式(6)で表される伝達関数を有する制御モデルの下で、加速度フィードバックゲインKaを調節することによって、所望の制御減衰係数ζcを実現することができる。その結果、図7に示す主制御器9Aを備える平面研削盤100は、X軸テーブル2の加速又は減速の際に生じるX軸テーブル2の振動を早期に減衰させることができる。
次に、図8を参照しながら、主制御器9Aの別の構成例について説明する。
図8の構成例では、主制御器9Aは、テーブル位置信号の代わりに、第1シリンダ圧センサ31F及び第2シリンダ圧センサ31Bから第1シリンダ圧信号及び第2シリンダ圧信号を取得する点で、図7の場合と相違する。すなわち、圧力室間の差圧から導き出されるテーブル加速度信号をフィードバックする点で、テーブル位置信号を二階微分して得られるテーブル加速度信号をフィードバックする図7の制御と相違する。
また、主制御器9Aは、テーブル位置指令に基づいて第1制御値V1を導き出すことなく、速度フィードフォワード値VFFに基づいてモータ回転数指令又はトルク指令を導き出す点で図7の制御と相違する。
具体的には、主制御器9Aは、先ず、制御装置9からのテーブル速度指令が表す値に速度フィードフォーワードゲインKvffを乗算した速度フィードフォワード値VFFから加速度フィードバック値AFBを減算して、モータ回転数指令又はトルク指令を導き出す。
なお、図8に示す制御では、主制御器9Aは、第1シリンダ圧信号と第2シリンダ圧信号とに基づいて加速度フィードバック値AFBを導き出す。
具体的には、主制御器9Aは、第1シリンダ圧信号と第2シリンダ圧信号との差を導き出し、導き出した値にローパスフィルタ及びハイパスフィルタを適用する。ローパスフィルタは、その差に含まれるノイズを除去するための機能要素であり、ハイパスフィルタは、その差に含まれる摩擦力の影響を除去するための機能要素である。なお、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタを適用した後の信号は、例えば、X軸テーブル2の固有振動数の3分の1〜5倍程度の周波数を有する。
その後、主制御器9Aは、差圧信号にAcyl/Mを乗算してテーブル加速度信号を得る。すなわち、主制御器9Aは、運動方程式に基づいて、差圧信号が表す値にピストン22の受圧面積Acylを乗算して双方向油圧ポンプ24による駆動力を導き出し、その駆動力をX軸テーブル2の質量Mで除算してX軸テーブル2の加速度を導き出す。なお、式(9)による速度フィードバックゲインの決定、式(10)による加速度フィードバックゲインの決定、並びに、差圧信号からのX軸テーブル2の加速度の導出の際に用いる質量Mは、ワークWの質量に応じて変化する場合がある。この場合、実際の質量ではなく、ノミナルの質量を質量Mの値として用いてもよい。ノミナルの質量には、X軸テーブル2に搭載可能なワークWの最大質量を用いることが望ましい。
さらにその後、主制御器9Aは、テーブル加速度信号が表す値に加速度フィードバックゲインKaを乗算して加速度フィードバック値AFBを導き出す。
なお、図8に示す制御においても、主制御器9Aは、制御装置9からのテーブル加速度指令が表す値に速度フィードフォーワードゲインKaffを乗算した加速度フィードフォワード値AFF(図示せず。)と速度フィードフォワード値VFFとを加算した上で加速度フィードバック値AFBを減算してモータ回転数指令又はトルク指令を導き出してもよい。
また、図8に示す主制御器9Aは、第1シリンダ圧センサ31F及び第2シリンダ圧センサ31Bのそれぞれからシリンダ圧信号を取得する代わりに、第1圧力室21SFと第2圧力室21SBとの間の差圧を検出する差圧センサ(図示せず。)から差圧信号を取得してもよい。
このように、図8に示す主制御器9Aは、図7に示す場合と同様、式(6)で表される伝達関数を有する制御モデルの下で、加速度フィードバックゲインKaを調節することによって、所望の制御減衰係数ζcを実現することができる。その結果、図8に示す主制御器9Aを備える平面研削盤100は、X軸テーブル2の加速又は減速の際に生じるX軸テーブル2の振動を早期に減衰させることができる。
次に、図9を参照しながら、主制御器9Aのさらに別の構成例について説明する。
図9の構成例では、主制御器9Aは、テーブル位置信号の代わりに、タコジェネレータ等のテーブル速度センサ(図示せず。)からテーブル速度信号を取得する点で、図7の場合と相違する。すなわち、テーブル速度信号を一階微分して得られるテーブル加速度信号をフィードバックする点で、テーブル位置信号を二階微分して得られるテーブル加速度信号をフィードバックする図7の制御と相違する。
また、主制御器9Aは、テーブル位置指令に基づいて第1制御値V1を導き出すことなく、速度フィードフォワード値VFFに基づいてモータ回転数指令又はトルク指令を導き出す点で図7の制御と相違する。
具体的には、主制御器9Aは、先ず、制御装置9からのテーブル速度指令が表す値に速度フィードフォーワードゲインKvffを乗算した速度フィードフォワード値VFFを導き出す。
その後、主制御器9Aは、速度フィードフォワード値VFFから、テーブル速度信号が表す値に速度フィードバックゲインKvを乗算した速度フィードバック値VFBを減算して、第2制御値V2を導き出す。
さらにその後、主制御器9Aは、第2制御値V2から、テーブル速度信号を一階疑似微分して得られるテーブル加速度信号が表す値に加速度フィードバックゲインKaを乗算した加速度フィードバック値AFBを減算して、モータ回転数指令又はトルク指令を導き出す。
なお、図9に示す制御においても、主制御器9Aは、制御装置9からのテーブル加速度指令が表す値に速度フィードフォーワードゲインKaffを乗算した値AFF(図示せず。)と第2制御値V2とを加算した上で加速度フィードバック値AFBを減算してモータ回転数指令又はトルク指令を導き出してもよい。また、主制御器9Aは、速度フィードバック値VFBの算出、及び、速度フィードフォワード値VFFからの速度フィードバック値VFBの減算を省略してもよい。
このように、図9に示す主制御器9Aは、図7に示す場合と同様、式(6)で表される伝達関数を有する制御モデルの下で、加速度フィードバックゲインKaを調節することによって、所望の制御減衰係数ζcを実現することができる。その結果、図9に示す主制御器9Aを備える平面研削盤100は、X軸テーブル2の加速又は減速の際に生じるX軸テーブル2の振動を早期に減衰させることができる。
次に、図10を参照しながら、主制御器9Aのさらに別の構成例について説明する。
図10の構成例では、主制御器9Aは、テーブル位置信号の代わりに、テーブル加速度センサ(図示せず。)からテーブル加速度信号を取得する点で、図7の場合と相違する。すなわち、テーブル加速度センサから直接的に得られるテーブル加速度信号をフィードバックする点で、テーブル位置信号を二階微分して得られるテーブル加速度信号をフィードバックする図7の制御と相違する。
また、主制御器9Aは、テーブル位置指令に基づいて第1制御値V1を導き出すことなく、速度フィードフォワード値VFFに基づいてモータ回転数指令又はトルク指令を導き出す点で図7の制御と相違する。
具体的には、主制御器9Aは、先ず、制御装置9からのテーブル速度指令が表す値に速度フィードフォーワードゲインKvffを乗算した速度フィードフォワード値VFFを導き出す。
その後、主制御器9Aは、速度フィードフォワード値VFFから加速度フィードバック値AFBを減算して、モータ回転数指令又はトルク指令を導き出す。
なお、図10に示す制御においても、主制御器9Aは、制御装置9からのテーブル加速度指令が表す値に速度フィードフォーワードゲインKaffを乗算した加速度フィードフォワード値AFF(図示せず。)と速度フィードフォワード値VFFとを加算した上で加速度フィードバック値AFBを減算してモータ回転数指令又はトルク指令を導き出してもよい。
このように、図10に示す主制御器9Aは、図7に示す場合と同様、式(6)で表される伝達関数を有する制御モデルの下で、加速度フィードバックゲインKaを調節することによって、所望の制御減衰係数ζcを実現することができる。その結果、図10の主制御器9Aを備える平面研削盤100は、X軸テーブル2の加速又は減速の際に生じるX軸テーブル2の振動を早期に減衰させることができる。
なお、図8〜図10に示す主制御器9Aは、実際のテーブル位置の値とテーブル位置指令が表す値との差を打ち消すように、或いは、実際のテーブル速度の値とテーブル速度指令が表す値との差を打ち消すように、モータ回転数指令又はトルク指令を導出してもよい。例えば、図8〜図10に示す主制御器9Aは、図7の場合と同様に、テーブル位置指令が表す値とテーブル位置信号が表す値PLとに基づいて算出する第1制御信号V1を速度フィードフォワード値VFFに加算するようにしてもよい。
また、図7〜図10のそれぞれにおける主制御器9Aの構成は、デジタル制御を行うためのデジタル回路で構成されるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、主制御器9Aは、オペアンプ等を含むアナログ回路、アナログコンピュータ等で構成されてもよい。
次に、図11を参照しながら、主制御器9Aによって制御されるX軸テーブル2の振動減衰特性について説明する。なお、図11は、X軸テーブル2のテーブル位置、テーブル速度、及びテーブル加速度の時間推移を示す図であり、図11(A)が加速度フィードバック値AFBを用いない場合の推移を示し、図11(B)が加速度フィードバック値AFBを用いた場合の推移を示す。また、テーブル位置の時間推移は、図11(A)及び図11(B)で共通する。
また、図11中のハッチング領域は、テーブル加速度の値が所定値未満となりテーブル速度が整定してから再びテーブル加速度の値が所定値以上となりテーブル速度が変動するまでの時間を表す。反対に、図11中の非ハッチング領域(白領域)は、テーブル加速度の値が所定値以上となりテーブル速度の変動が開始してからテーブル加速度の値が所定値未満となりテーブル速度が整定するまでの時間を表す。以下では、ハッチング領域をテーブル速度安定期と称し、非ハッチング領域(白領域)をテーブル速度変動期と称する。
図11に示すように、加速度フィードバック値AFBを用いた場合のテーブル速度変動期(図11(B)の白領域)は、加速度フィードバック値AFBを用いない場合のテーブル速度変動期(図11(A)の白領域)に比べて短い。また、加速度フィードバック値AFBを用いた場合のテーブル速度安定期(図11(B)のハッチング領域)は、加速度フィードバック値AFBを用いない場合のテーブル速度安定期(図11(A)のハッチング領域)に比べて長い。これは、X軸テーブル2の1回のストロークのうち、ワークWの研削に利用できる部分が長くなることを意味する。また、X軸テーブル2に載せられるワークWのX軸方向の許容最大長さをより大きくできることを意味する。すなわち、研削効率、エネルギ効率、及び加工対象受け入れ可能性の何れもが改善されることを意味する。
以上の構成により、主制御器9Aを備えた平面研削盤100は、X軸テーブル2の加減速に伴って引き起こされるX軸テーブル2の振動を早期に減衰させ、研削効率、エネルギ効率、及び加工対象受け入れ可能性を向上させることができる。
また、主制御器9Aを備えた平面研削盤100の操作者は、加速度フィードバックゲインKaを適切に調節することによって、X軸テーブル2のテーブル速度の整定時間を短縮することができる。
また、操作者は、制御減衰係数ζcの値を1に近づけるように加速度フィードバックゲインKaを調節することによって、X軸テーブル2のテーブル速度が速度指令の値をオーバーシュートするのを低減或いは防止することができる。
なお、一般的な閉回路油圧システムは、開回路油圧システムと比較すると、作動油の流れを制御するバルブがなく、油路における圧力損失が小さいため、振動の減衰性が悪くなり易い。しかしながら、主制御器9Aによって制御されるテーブル移動機構20は、制御減衰係数ζcの値を所望の値に設定できるため、このような一般的な閉回路油圧システムの欠点を克服することができる。
次に、図12及び図13を参照しながら、テーブル移動機構の別の実施例について説明する。なお、図12は、テーブル移動機構20Vの構成例を示す概略図であり、図5に対応する。また、図13は、テーブル移動機構20Vを搭載する平面研削盤100がX軸テーブル2を移動させる際の制御の流れを示す図であり、図6に対応する。
テーブル移動機構20Vは、片方向油圧ポンプ24u、方向制御弁25、リリーフ弁26、逆止弁27、28を含む開回路油圧システムである点で、双方向油圧ポンプ24を含む図5のテーブル移動機構20と相違する。しかしながら、テーブル移動機構20Vは、その他の点で図5のテーブル移動機構20と共通する。そのため、共通点の説明を省略しながら相違点を詳細に説明する。
片方向油圧ポンプ24uは、図12に示すように、テーブル駆動用モータ8によって回転駆動され、テーブル駆動用モータ8の回転数に応じた流量の作動油を吐出ポートから吐出する。
テーブル駆動用モータ8は、モータドライバ8Aが供給する電流に応じて駆動される。モータドライバ8Aは、制御装置9の主制御器9Aからの流量指令に応じてテーブル駆動用モータ8に電流を供給する。
方向制御弁25は、開回路油圧システム内の作動油の流れの方向を切り換える弁であり、例えば、ソレノイドによるスイッチングを利用した4ポート2位置の電磁弁である。なお、方向制御弁25は、比例弁又はサーボ弁であってもよい。具体的には、方向制御弁25は、第1位置及び第2位置の2つの弁位置を有する。第1位置は、片方向油圧ポンプ24uの吐出ポートとシリンダ21の第1圧力室21SFとを連通させ、且つ、シリンダ21の第2圧力室21SBとタンクTとを連通させる。第2位置は、片方向油圧ポンプ24uの吐出ポートとシリンダ21の第2圧力室21SBとを連通させ、且つ、シリンダ21の第1圧力室21SFとタンクTとを連通させる。なお、図12は、方向制御弁25が第2位置にあり、片方向油圧ポンプ24uが吐出する作動油が第2圧力室21SBに流入し、第1圧力室21SFの作動油がタンクTに流出する状態を示す。また、図12は、X軸テーブル2が矢印ARで示す方向(−X方向)に移動する状態を示す。
リリーフ弁26は、管路C1を流れる作動油の圧力が所定圧(例えば、2MPa)を上回るのを防止しながら、その圧力を所定圧に維持する弁である。なお、管路C1は、方向制御弁25のタンクポートとタンクTとを接続する管路である。リリーフ弁26は、管路C1内の作動油の圧力を所定圧に維持することによって、シリンダ21から流出する作動油の流量を安定化させ、ひいては、X軸テーブル2の動きを安定化させることができる。
また、リリーフ弁26は、管路C1を流れる作動油の圧力を所定圧に維持することによって、圧力室21Sから流出する作動油を、管路C2を介して管路C3に合流させる。管路C2を介してシリンダ21から流出する作動油を片方向油圧ポンプ24uの吸入ポートに戻すことで背圧の有効利用を図るためである。なお、管路C2は、管路C1と管路C3とを接続する管路であり、管路C3は、片方向油圧ポンプ24uの吸入ポートとタンクTとを接続する管路である。
逆止弁27は、管路C2上に設置され、管路C3から管路C1への作動油の流れを禁止する弁である。また、逆止弁28は、管路C3上に設置され、片方向油圧ポンプ24uからタンクTへの作動油の流れを禁止する弁である。逆止弁27、28は、管路C2を介して、シリンダ21から流出する作動油をシリンダ21に戻す場合に必要とされる。
なお、シリンダ21から流出する作動油を片方向油圧ポンプ24uに戻す機能は省略されてもよい。この場合、管路C2、逆止弁27、28は省略される。また、管路C2が省略された場合には、リリーフ弁26が省略されてもよい。
また、図13に示すように、主制御器9Aは、テーブル位置指令、テーブル速度指令、テーブル加速度指令、モータ速度指令の少なくとも1つを含む各種指令値を制御装置9から取得する。そして、主制御器9Aは、必要に応じて各種センサ出力を取得する。各種センサ出力は、変位センサ30が出力するテーブル位置信号、シリンダ圧センサ31F、31Bが出力するシリンダ圧信号、回転角センサ32が出力するモータ回転角度信号の少なくとも1つを含む。
その後、主制御器9Aは、取得した各種指令値及び各種センサ出力に基づいて流量指令を生成する。なお、主制御器9Aは、例えば、図7〜図10の何れかに記載される構成を用いて流量指令を生成する。そして、主制御器9Aは、流量指令の符号が正であるか負であるかに応じた二者択一の所定の大きさの電流が方向制御弁25に供給されるようにする。方向制御弁25が弁位置を切り換えるようにするためである。具体的には、主制御器9Aは、方向制御弁操作用のI/Oポートから、図示しない電流源と方向制御弁25との間を接続・遮断するリレー9Bに対して流量指令の符号に関する情報を出力する。そして、リレー9Bは、流量指令の符号が正の場合に電流源と方向制御弁25とを接続し、方向制御弁25の弁位置が第1位置となるようにする。一方、リレー9Bは、流量指令の符号が負の場合に電流源と方向制御弁25とを遮断し、方向制御弁25の弁位置が第2位置となるようにする。なお、主制御器9Aは、リレー9Bを介さずに、方向制御弁25に対して直接的に電流を供給してもよい。また、二者択一の所定の大きさの電流の一方は、ゼロであってもよい。
また、主制御器9Aは、テーブル駆動用モータ操作用のI/Oポートから、モータドライバ8Aに対して流量指令の絶対値に関する情報を出力する。モータドライバ8Aは、主制御器9Aからの流量指令の絶対値に応じた大きさの電流をテーブル駆動用モータ8に供給する。テーブル駆動用モータ8は、モータドライバ8Aが供給する電流に応じた回転速度で回転し、片方向油圧ポンプ24uを回転させる。片方向油圧ポンプ24uは、吐出ポートから作動油を吐出し、方向制御弁25を介してシリンダ21の圧力室21Sの何れか一方に作動油を供給する。
以上の構成により、テーブル移動機構20Vは、片方向油圧ポンプ24u及び方向制御弁25を用いることにより、双方向油圧ポンプ24を用いる場合と同様の効果を実現できる。具体的には、テーブル移動機構20Vは、X軸テーブル2のテーブル速度が速度指令の値をオーバーシュートするのを低減或いは防止することができる。また、テーブル移動機構20Vは、X軸テーブル2のテーブル速度の整定時間を短縮することができる。
また、片方向油圧ポンプ24uは、双方向油圧ポンプ24に比べて廉価であり、大容量のものが製造し易いため、片方向油圧ポンプ24uを含むテーブル移動機構20Vの設計の柔軟性を高めることができる。
次に、図14を参照しながら、テーブル移動機構のさらに別の実施例について説明する。なお、図14は、テーブル移動機構20Wの構成例を示す概略図であり、図12に対応する。
テーブル移動機構20Wは、方向制御弁25の代わりに方向制御弁25Aを採用する点、並びに、管路C2、リリーフ弁26、逆止弁27、及び逆止弁28を省略した点で、図12のテーブル移動機構20Vと相違する。しかしながら、テーブル移動機構20Wは、その他の点で図12のテーブル移動機構20Vと共通する。そのため、共通点の説明を省略しながら相違点を詳細に説明する。
方向制御弁25Aは、開回路油圧システム内の作動油の流れの方向を切り換える弁であり、例えば、ソレノイドによるスイッチングを利用した4ポート3位置の電磁弁である。なお、方向制御弁25Aは、比例弁又はサーボ弁であってもよい。具体的には、方向制御弁25Aは、第1位置、第2位置、及び第3位置の3つの弁位置を有する。第1位置及び第2位置は、図12の方向制御弁25の第1位置及び第2位置と同じ構成である。第3位置は、片方向油圧ポンプ24uの吐出ポートとシリンダ21の圧力室21Sとを遮断し、且つ、シリンダ21の圧力室21SとタンクTとを遮断する。なお、図14は、方向制御弁25が第3位置にあり、X軸テーブル2が静止した状態を示す。
以上の構成により、テーブル移動機構20Wは、テーブル移動機構20、テーブル移動機構20Vと同様の効果を実現できる。
また、テーブル移動機構20Wは、方向制御弁25Aを第3位置にすることによって、X軸テーブル2を確実に静止させることができる。
なお、テーブル移動機構20Wは、管路C2、逆止弁27、及び逆止弁28を含んでいてもよく、或いは、リリーフ弁26を含んでいてもよく、或いは、それらの全てを含んでいてもよい。
次に、図15及び図16を参照しながら、テーブル移動機構のさらに別の実施例について説明する。なお、図15は、テーブル移動機構20Xの構成例を示す概略図であり、図12に対応する。また、図16は、テーブル移動機構20Xを搭載する平面研削盤100がX軸テーブル2を移動させる際の制御の流れを示す図であり、図13に対応する。
テーブル移動機構20Xは、可変速モータであるテーブル駆動用モータ8の代わりにテーブル駆動用定速モータ8ufを備える点で図12のテーブル移動機構20Vと相違する。また、テーブル移動機構20Xは、片方向油圧ポンプ24uの代わりに、斜板式可変容量型の片方向油圧ポンプ24uv及び斜板駆動部29を備える点で図12のテーブル移動機構20Vと相違する。しかしながら、テーブル移動機構20Xは、その他の点で図12のテーブル移動機構20Vと共通する。そのため、共通点の説明を省略しながら相違点を詳細に説明する。
テーブル駆動用定速モータ8ufは、一方向に所定速度で回転するモータであり、モータドライバ8Aが供給する電流に応じて駆動される。モータドライバ8Aは、主制御器9Aからのオン指令に応じてテーブル駆動用定速モータ8ufを回転させ、オフ指令に応じてテーブル駆動用定速モータ8ufを停止させる。なお、テーブル駆動用定速モータ8ufは、電源から直接供給される電流によって駆動されてもよい。この場合、モータドライバ8Aは不要である。また、テーブル駆動用定速モータ8ufの代わりに可変速モータが用いられてもよい。
片方向油圧ポンプ24uvは、斜板式可変容量型の油圧ポンプであり、斜板傾転角の変化に応じて1回転当たりの吐出量を変化させる。本実施例では、片方向油圧ポンプ24uvは、斜板傾転角が大きくなるほど1回転当たりの吐出量が増大する。したがって、片方向油圧ポンプ24uvは、回転速度が一定であっても、斜板傾転角の変化に応じて単位時間当たりの吐出量を変化させることができる。
斜板駆動部29は、片方向油圧ポンプ24uvの斜板を駆動制御するための機能要素である。本実施例では、斜板駆動部29は、モータドライバ29A及び斜板駆動用モータ29Bを含む。
モータドライバ29Aは、主制御器9Aからの流量指令の絶対値に応じて斜板駆動用モータ29Bの位置決めを行うことで片方向油圧ポンプ24uvの斜板の傾転角を変化させる。斜板駆動用モータ29Bは、例えば、ステッピングモータであり、モータドライバ29Aからの駆動パルスに応じて片方向油圧ポンプ24uvの斜板の傾転角を変化させる。
ここで、図16を参照すると、主制御器9Aは、各種指令値を制御装置9から取得する。そして、主制御器9Aは、必要に応じて各種センサ出力を取得する。その後、主制御器9Aは、取得した各種指令値及び各種センサ出力に基づいて流量指令を生成する。なお、主制御器9Aは、例えば、図7〜図10の何れかに記載される構成を用いて流量指令を生成する。そして、主制御器9Aは、流量指令の符号が正であるか負であるかに応じた二者択一の所定の大きさの電流が方向制御弁25に供給されるようにする。方向制御弁25が弁位置を切り換えるようにするためである。なお、主制御器9Aは、リレー9Bを介さずに、方向制御弁25に対して直接的に電流を供給してもよい。また、二者択一の所定の大きさの電流の一方は、ゼロであってもよい。
また、主制御器9Aは、テーブル駆動用モータ操作用のI/Oポートから、モータドライバ8Aに対してオン・オフ指令を出力する。モータドライバ8Aは、主制御器9Aからのオン指令に応じて、テーブル駆動用定速モータ8ufに電流を供給する。テーブル駆動用定速モータ8ufは、モータドライバ8Aが供給する電流に応じて回転し、片方向油圧ポンプ24uvを所定方向に所定速度で回転させる。
また、主制御器9Aは、斜板駆動用モータ操作用のI/Oポートから、モータドライバ29Aに対して流量指令の絶対値に関する情報を出力する。モータドライバ29Aは、主制御器9Aからの流量指令の絶対値に応じて斜板駆動用モータ29Bを位置決めする。斜板駆動用モータ29Bは、モータドライバ29Aからの駆動パルスに応じて回転し、片方向油圧ポンプ24uvの斜板傾転角を変化させる。片方向油圧ポンプ24uvは、斜板傾転角の大きさに応じた作動油を吐出ポートから吐出し、方向制御弁25を介してシリンダ21の圧力室21Sの何れか一方に作動油を供給する。
以上の構成により、テーブル移動機構20Xは、テーブル駆動用定速モータ8ufによって回転駆動され且つ斜板駆動部29によって斜板傾転角が調整される片方向油圧ポンプ24uvと方向制御弁25とを用いることにより、図5に示すような双方向油圧ポンプ24を用いる場合と同様の効果を実現できる。また、図12、図14に示すような可変速モータによって回転駆動される固定容量型の片方向油圧ポンプ24uと方向制御弁25、25Aとを用いる場合と同様の効果を実現できる。
また、片方向油圧ポンプ24uvは、双方向油圧ポンプ24に比べて廉価であり、大容量のものが製造し易いため、片方向油圧ポンプ24uvを含むテーブル移動機構20Xの設計の柔軟性を高めることができる。
次に、図17及び図18を参照しながら、テーブル移動機構のさらに別の実施例について説明する。なお、図17は、テーブル移動機構20Yの構成例を示す概略図であり、図5に対応する。また、図18は、テーブル移動機構20Yを搭載する平面研削盤100がX軸テーブル2を移動させる際の制御の流れを示す図であり、図6に対応する。
テーブル移動機構20Yは、可変速モータであるテーブル駆動用モータ8の代わりにテーブル駆動用定速モータ8bfを備える点で図5のテーブル移動機構20と相違する。また、テーブル移動機構20Yは、双方向油圧ポンプ24の代わりに、斜板式可変容量型の双方向油圧ポンプ24bv及び斜板駆動部29を備える点で図5のテーブル移動機構20と相違する。しかしながら、テーブル移動機構20Xは、その他の点で図5のテーブル移動機構20と共通する。そのため、共通点の説明を省略しながら相違点を詳細に説明する。
テーブル駆動用定速モータ8bfは、双方向に所定速度で回転可能なモータである。本実施例では、テーブル駆動用定速モータ8bfは、三相交流モータであり、モータドライバ8Aが供給する電流に応じて駆動される。モータドライバ8Aは、主制御器9Aからの流量指令に応じてテーブル駆動用定速モータ8bfに電流を供給する。また、テーブル駆動用定速モータ8bfは、二相の入れ換えにより、正転と逆転とが切り換えられる。なお、テーブル駆動用定速モータ8bfの正転・逆転の切り換えは、モータドライバ8Aを用いて行われてもよい。また、テーブル駆動用定速モータ8bfの代わりに可変速モータが用いられてもよい。
双方向油圧ポンプ24bvは、斜板式可変容量型の油圧ポンプであり、斜板傾転角の変化に応じて1回転当たりの吐出量を変化させる。本実施例では、双方向油圧ポンプ24bvは、斜板傾転角が大きくなるほど1回転当たりの吐出量が増大する。したがって、双方向油圧ポンプ24bvは、回転速度が一定であっても、斜板傾転角の変化に応じて単位時間当たりの吐出量を変化させることができる。
斜板駆動部29は、双方向油圧ポンプ24bvの斜板を駆動制御するための機能要素である。本実施例では、斜板駆動部29は、モータドライバ29A及び斜板駆動用モータ29Bを含む。
モータドライバ29Aは、主制御器9Aからの流量指令の絶対値に応じて斜板駆動用モータ29Bを位置決めする。斜板駆動用モータ29Bは、例えば、ステッピングモータであり、モータドライバ29Aからの駆動パルスに応じて双方向油圧ポンプ24bvの斜板の傾転角を変化させる。
ここで図18を参照すると、主制御器9Aは、各種指令値を制御装置9から取得する。そして、主制御器9Aは、必要に応じて各種センサ出力を取得する。その後、主制御器9Aは、取得した各種指令値及び各種センサ出力に基づいて流量指令を生成する。なお、主制御器9Aは、例えば、図7〜図10の何れかに記載される構成を用いて流量指令を生成する。そして、主制御器9Aは、テーブル駆動用モータ操作用のI/Oポートから、モータドライバ8Aに対して流量指令の符号に関する情報を出力する。モータドライバ8Aは、主制御器9Aからの流量指令の符号が正であるか負であるかに応じた二者択一の所定の大きさの電流をテーブル駆動用定速モータ8bfに供給する。テーブル駆動用定速モータ8bfは、モータドライバ8Aが供給する電流に応じて所定速度で所定方向に回転し、双方向油圧ポンプ24bvを所定方向に所定速度で回転させる。
また、主制御器9Aは、斜板駆動用モータ操作用のI/Oポートから、モータドライバ29Aに対して流量指令の絶対値に関する情報を出力する。モータドライバ29Aは、主制御器9Aからの流量指令の絶対値に応じて斜板駆動用モータ29Bを位置決めする。斜板駆動用モータ29Bは、モータドライバ29Aからの駆動パルスに応じて回転し、双方向油圧ポンプ24bvの斜板傾転角を変化させる。双方向油圧ポンプ24bvは、斜板傾転角の大きさに応じた作動油を第1ポート24F及び第2ポート24Bの何れか一方から吐出し、シリンダ21の圧力室21Sの何れか一方に作動油を供給する。
以上の構成により、テーブル移動機構20Yは、テーブル駆動用定速モータ8bfによって回転駆動され且つ斜板駆動部29によって斜板傾転角が調整される斜板式可変容量型の双方向油圧ポンプ24bvを用いることにより、図5に示すような可変速モータによって回転駆動される固定容量型の双方向油圧ポンプを用いる場合と同様の効果を実現できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例において、平面研削盤100は、横軸砥石ヘッド4を採用するが、立軸砥石ヘッドを採用してもよい。また、砥石ヘッドは、傾斜可能な軸を備えていてもよい。
また、上述の実施例において、主制御器9Aは、平面研削盤100のテーブル移動機構としての油圧システムにおける作動油の流量及び流れ方向を制御する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、主制御器9Aは、建設機械、射出成形機、工作機械等に搭載される、重量物を移動させる油圧システムにおける作動油の流量及び流れ方向を制御するものであってもよい。
また、上述の実施例では、油圧システムは、作動油の圧力(油圧)を用いる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。油圧システムは、例えば、油圧の代わりに水等の圧縮性の低い液体の圧力(液圧)を用いてもよい。
また、上述の実施例では、主制御器9Aは、電動モータによって油圧システムにおける作動油の流量及び流れ方向を制御する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。主制御器9Aは、例えば、内燃機関によって油圧システムにおける作動油の流量及び流れ方向を制御してもよい。