JP5832946B2 - インクジェットインク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットインク組成物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また、熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ、廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、かつ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
近年、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインク組成物(放射線硬化型インク組成物)を、インクジェットにより描画した後、紫外線などの放射線を照射して、インクを硬化する、無溶剤型のインクジェット記録方式が注目されている。
一般に、水を希釈剤として含む水性インクや有機溶剤を希釈剤として含む溶剤型インクと比較して、放射線硬化型インクによるインクジェット記録方式は、ガラス、金属、プラスチック被記録媒体といった非吸収性被記録媒体への描画が可能であり、被記録媒体の適応範囲が広い、描画画像の耐擦過性や耐溶剤性に優れる、感度が高く、生産性に優れる、揮発性の溶剤を含まないので、環境への負荷が小さいといったメリットを有する。
放射線硬化型インクの硬化機構としては、ラジカル重合型とカチオン重合型に大別されるが、ラジカル重合型は、カチオン重合型と比較して、保存安定性に優れる、安価といったメリットを有しているため、市場で広く使用されている。
従来のインクジェットインク組成物としては、特許文献1〜4に記載されたものが挙げられる。
特表2004−514014号公報 特開2006−131884号公報 特開2007−314632号公報 特開2010−222387号公報
本発明の目的は、硬化性が良好であり、得られる画像の被記録媒体への密着性に優れ、高光沢な印刷物を得ることができるインクジェットインク組成物を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<13>と共に以下に記載する。
<1>(成分A)ラジカル重合性化合物、(成分B)ラジカル重合開始剤、及び、(成分C)着色剤を含有し、成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)〜式(IV)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含み、前記式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、5〜35質量%であり、前記式(II)〜式(IV)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、10〜80質量%であることを特徴とするインクジェットインク組成物、
Figure 0005832946
(式(I)〜(IV)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R1及びR2の両方が水素原子であることはなく、R1とR2とは互いに連結して環を形成してもよく、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、A1及びA2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、nは2〜6の整数を表す。)
<2>前記式(I)で表される化合物が、式(V)で表される化合物である、上記<1>に記載のインクジェットインク組成物、
Figure 0005832946
(式(V)中、R1は水素原子又はアルキル基を表し、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R5、R6及びR7の2つ以上が水素原子であることはなく、また、R5、R6及びR7のいずれか2つが結合して環を形成してもよい。)
<3>前記式(I)で表される化合物が、式(VI)で表される化合物である、上記<1>又は<2>に記載のインクジェットインク組成物、
Figure 0005832946
(式(VI)中、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R5、R6及びR7の2つ以上が水素原子であることはなく、また、R5、R6及びR7のいずれか2つが結合して環を形成してもよい。)
<4>前記式(I)で表される化合物が、N−イソプロピルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、又は、N−tert−ブチルアクリルアミドである、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<5>前記式(I)で表される化合物が、N−シクロヘキシルアクリルアミド、又は、N−tert−ブチルアクリルアミドである、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<6>成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)〜式(IV)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも2種の化合物とを含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<7>成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物及び/又は式(III)で表される化合物とを含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<8>成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(III)で表される化合物とを含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<9>成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(III)で表される化合物とを含む、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<10>成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(III)で表される化合物と、式(IV)で表される化合物とを含む、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<11>(成分D)増感剤を更に含有する、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物、
<12>成分Dが、イソプロピルチオキサントンである、上記<11>に記載のインクジェットインク組成物、
<13>前記式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、15〜25質量%であり、前記式(II)〜式(IV)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、40〜80質量%である、上記<1>〜<12>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物。
本発明によれば、硬化性が良好であり、得られる画像の被記録媒体への密着性に優れ、高光沢な印刷物を得ることができるインクジェットインク組成物を提供することができた。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。また、「(成分A)式(1)で表される光重合開始剤」等を単に「成分A」等ともいう。
「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本発明のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(成分A)ラジカル重合性化合物、(成分B)ラジカル重合開始剤、及び、(成分C)着色剤を含有し、成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)〜式(IV)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含み、前記式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、5〜35質量%であり、前記式(II)〜式(IV)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、10〜80質量%であることを特徴とする。
Figure 0005832946
(式(I)〜(IV)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R1及びR2の両方が水素原子であることはなく、R1とR2とは互いに連結して環を形成してもよく、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、A1及びA2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、nは2〜6の整数を表す。)
活性放射線硬化型のインクジェット印刷により得た印刷物は、水性インクジェット、溶剤インクジェットにより得た印刷物に比べ、硬化膜の光沢性が低いといわれている。光沢が低くなる1つの要因は、インクジェット着弾直後に打滴が活性放射線によって硬化されることで、打滴の着弾形状が保存され、印刷物表面が凹凸になることが考えられる。
一方、本発明のインク組成物は、式(I)で表される化合物と、式(II)〜式(IV)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とをそれぞれ特定の量で含有することにより、硬化性が良好であり、得られる画像の被記録媒体への密着性に優れ、高光沢な印刷物を得ることができる。理由は定かではないが、式(I)で表される化合物と、式(II)〜式(IV)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とをそれぞれ特定の量に含有することにより、本発明のインク組成物は、着弾直後の活性放射線照射によって、特に打滴内部で高い硬化性が得られるため、不必要な打滴の融合を抑制し、かつ適度な打滴の拡がりも兼ね備えることで、比較的平滑な印刷物表面が得られ、高光沢な画像が得られ、かつ硬化性及び得られる画像の被記録媒体への密着性にも優れると推定される。
特に酸素溶存量が高いと推定される式(II)〜(IV)で表される化合物の存在により、硬化膜の最表面が酸素重合阻害をうけ、初期反応速度を低下させることで、打滴の最表面が長時間液状に保たれ、打滴最表面が濡れ拡がり、合一が促進され、高光沢な画像が得られると推定される。
本発明のインク組成物は、活性放射線により硬化可能な油性のインク組成物である。「活性放射線」とは、その照射によりインク組成物中に開始種を発生させるエネルギーを付与できる放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
また、本発明のインク組成物は、活性放射線硬化型のインク組成物であり、水性インク組成物や溶剤インク組成物とは異なる。本発明のインク組成物は、水及び揮発性溶剤をできるだけ含有しないことが好ましく、含有していたとしても、インク組成物の全質量に対し、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
(成分A)ラジカル重合性化合物
本発明のインク組成物は、(成分A)ラジカル重合性化合物を含有し、成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)〜式(IV)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含み、前記式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、5〜35質量%であり、前記式(II)〜式(IV)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、10〜80質量%である。
Figure 0005832946
(式(I)〜(IV)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R1及びR2の両方が水素原子であることはなく、R1とR2とは互いに連結して環を形成してもよく、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、A1及びA2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、nは2〜6の整数を表す。)
成分Aは、式(I)で表される化合物と、式(II)〜式(IV)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも2種の化合物とを含むことが好ましく、式(I)で表される化合物と、式(II)〜式(IV)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも3種の化合物とを含むことがより好ましい。上記態様であると、硬化性に優れ、また、得られる画像の被記録媒体への密着性に優れる。
また、成分Aは、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物及び/又は式(III)で表される化合物とを含むことが好ましく、式(I)で表される化合物と、式(III)で表される化合物とを含むことがより好ましく、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(III)で表される化合物とを含むことが更に好ましく、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(III)で表される化合物と、式(IV)で表される化合物とを含むことが特に好ましい。上記態様であると、硬化性及び保存安定性に優れ、得られる画像が高光沢であり、また、得られる画像の被記録媒体への密着性に優れる。
以下、式(I)〜式(IV)で表される化合物について、詳述する。
<式(I)で表される化合物>
本発明のインク組成物は、成分Aとして、式(I)で表される化合物を含み、かつ、前記式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、5〜35質量%である。
Figure 0005832946
(式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R1及びR2の両方が水素原子であることはなく、R1とR2とは互いに連結して環を形成してもよい。)
前記式(I)のR1及びR2におけるアルキル基の炭素数としては、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、3〜10であることが更に好ましく、3〜6であることが特に好ましい。
また、前記式(I)のR1及びR2の総炭素数は、1〜40であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、3〜10であることが更に好ましく、3〜6であることが特に好ましい。
前記式(I)のR1及びR2におけるアルキル基は、直鎖であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよく、また、置換基を有していてもよい。
前記置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基等が挙げられる。
1及びR2におけるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ブトキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等が例示できる。
また、R1とR2とは互いに連結して環を形成する場合、例えば、アクリロイルモルホリン等のように、前記環の環員の一部が酸素原子であってもよい。
前記式(I)で表される化合物が、式(V)で表される化合物であることが好ましく、式(VI)で表される化合物であることがより好ましい。上記態様であると、硬化性により優れ、得られる画像がより高光沢である。
Figure 0005832946
(式(V)及び式(VI)中、R1は水素原子又はアルキル基を表し、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R5、R6及びR7の2つ以上が水素原子であることはなく、また、R5、R6及びR7のいずれか2つが結合して環を形成してもよい。)
これらの中でも、前記式(I)で表される化合物は、N−イソプロピルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、又は、N−tert−ブチルアクリルアミドであることが更に好ましく、N−シクロヘキシルアクリルアミド、又は、N−tert−ブチルアクリルアミドであるが特に好ましい。上記態様であると、硬化性により優れ、得られる画像がより高光沢である。
本発明のインク組成物における式(I)で表される化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対し、5〜35質量%であり、7〜32質量%であることが好ましく、8〜30質量%であることがより好ましく、12〜27質量%であることが更に好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、硬化性、インクジェット吐出性及び保存安定性に優れ、得られる画像が高光沢であり、また、得られる画像の柔軟性及び被記録媒体への密着性に優れる。
<式(II)で表される化合物>
本発明のインク組成物は、式(II)で表される化合物を含有することが好ましい。
本発明のインク組成物は、式(II)で表される化合物を含有することにより、より高光沢な画像が得られ、また、被記録媒体への密着性により優れる。
Figure 0005832946
(式(II)中、R3は水素原子又はメチル基を表し、A1は単結合又は二価の連結基を表す。)
式(II)におけるR3は、水素原子又はメチル基を表し、硬化速度の点で、水素原子が好ましい。
式(II)におけるA1は、単結合又は二価の連結基を表す。
1における二価の連結基としては、本発明の効果を大きく損なうものでない限り特に制限はないが、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基及びエーテル結合を組み合わせた二価の基であることが好ましく、二価の炭化水素基、ポリ(アルキレンオキシ)基、又は、ポリ(アルキレンオキシ)アルキル基であることがより好ましい。また、前記二価の連結基の炭素原子数は、1〜60であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
1としては、インク組成物の硬化速度、及び、被記録媒体への密着性の観点から、単結合が好ましい。また、柔軟性の観点から、A1としては、−R6−O−、−R6−COO−、−R6−NR7COO−、又は、これらを組み合わせた基であることが好ましく、R6が炭素数1〜5の直鎖又は分枝のアルキル基である−R6−O−、−R6−COO−、又は、これらを2以上組み合わせた基であることがより好ましい。
以下に式(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005832946
Figure 0005832946
Figure 0005832946
また、式(II)で表される化合物は、例えば、SR285、CD611、SR203(以上サートマー・ジャパン(株)製)、KAYARAD TC−110S(日本化薬(株)製)等として入手可能である。
本発明のインク組成物が式(II)で表される化合物を含有する場合、式(II)で表される化合物の含有量は、インク組成物全体の質量に対して、1〜40質量%の範囲であることが好ましく、3〜35質量%の範囲がより好ましく、8〜30質量%の範囲が更に好ましく、12〜25質量%の範囲が特に好ましい。上記範囲であると、より高光沢な画像が得られ、被記録媒体への密着性により優れ、また、硬化性により優れる。
<式(III)で表される化合物>
本発明のインク組成物は、式(III)で表される化合物を含有することが好ましい。
本発明のインク組成物は、式(III)で表される化合物を含有することにより、より高光沢な画像が得られ、また、被記録媒体への密着性により優れる。
Figure 0005832946
(式(III)中、R4は水素原子又はメチル基を表し、A2は単結合又は二価の連結基を表す。)
前記式(III)で表される化合物は、アクリレート化合物であっても、メタクリレート化合物であってもよいが、アクリレート化合物、すなわち、R4が水素原子であることが好ましい。
式(III)のA2における二価の連結基としては、本発明の効果を大きく損なうものでない限り特に制限はないが、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基及びエーテル結合を組み合わせた二価の基であることが好ましく、二価の炭化水素基、ポリ(アルキレンオキシ)基、又は、ポリ(アルキレンオキシ)アルキル基であることがより好ましい。また、前記二価の連結基の炭素原子数は、1〜60であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
また、A2としては、単結合、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基及びエーテル結合を組み合わせた二価の基であることが好ましく、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基であることがより好ましく、炭素原子数1〜8の二価の炭化水素基であることが更に好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
式(III)で表される化合物の具体例としては、以下に示す化合物(III−1)〜(III−4)を好ましく例示できるが、これらに限定されるものではないことは言うまでもない。
Figure 0005832946
これらの中でも、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(III−1)及びサイクリックトリメチロールプロパンフォーマルメタクリレート(III−2)が好ましく、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(III−1)が特に好ましい。
本発明のインク組成物が式(III)で表される化合物を含有する場合、式(III)で表される化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対し、1〜50質量%であることが好ましく、4〜45質量%であることがより好ましく、8〜40質量%であることが更に好ましく、12〜40質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、被記録媒体への密着性及び得られる画像の光沢性により優れ、また、硬化性により優れる。
<式(IV)で表される化合物>
本発明のインク組成物は、式(IV)で表される化合物を含有することが好ましい。
本発明のインク組成物は、式(IV)で表される化合物を含有することにより、より高光沢な画像が得られ、また、硬化性及び被記録媒体への密着性により優れる。
Figure 0005832946
式(IV)中、nは2〜6の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、被記録媒体との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、nは3〜5の整数であることが好ましく、nが3又は5であることがより好ましく、nが5である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び、硬化膜の被記録媒体への良好な密着性が得られるので好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上の水素原子がアルキル基、アリール基等の置換基により置換されていてもよく、ラクタム環と飽和又は不飽和環構造とが連結していてもよい。
式(IV)で表される化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物が式(IV)で表される化合物を含有する場合、式(IV)で表される化合物の含有量は、インク組成物全体の質量に対して、1〜40質量%であることが好ましく、4〜35質量%であることがより好ましく、8〜30質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、より高光沢な画像が得られ、また、硬化性及び被記録媒体への密着性により優れる。
本発明のインク組成物における式(II)〜式(IV)で表される化合物の総含有量は、インク組成物の全質量に対して、10〜80質量%であり、20〜80質量であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、高光沢な画像が得られ、また、硬化性及び被記録媒体への密着性に優れる。
<他のラジカル重合性化合物>
本発明のインク組成物は、式(I)〜式(IV)で表される化合物以外の、他のラジカル重合性化合物を含有していてもよい。
他のラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物が好ましい。
他のラジカル重合性化合物としては、公知のラジカル重合性化合物を用いることができ、式(I)〜式(IV)で表される化合物以外の(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、N−ビニル化合物、不飽和カルボン酸類等が例示できる。例えば、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載の重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
他のラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、アクリレート化合物であることがより好ましい。
他のラジカル重合性化合物の具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及び、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、その他のラジカル重合性化合物として、多官能ラジカル重合性化合物を含有することが好ましく、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することがより好ましい。
他のラジカル重合性化合物としては、芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物の芳香族基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物が有していてもよい芳香環構造としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデン、フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェン、ビフェニル、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアデン、フラン、チオフェン、ピロリン、ピラゾリン、イミダゾリン、イソオキサゾリン、イソチアゾリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール及びテトラゾールよりなる群から選ばれた環構造が好ましく例示できる。
これらの中でも、芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましく例示できる。
また、他のラジカル重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物も挙げられる。
更に具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、(株)シーエムシー出版);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品又は業界で公知のラジカル重合性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
他のラジカル重合性化合物の分子量は、80〜2,000であることが好ましく、80〜1,000であることがより好ましく、80〜800であることが更に好ましい。
本発明のインク組成物が他のラジカル重合性化合物を含有する場合、本発明のインク組成物における他のラジカル重合性化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対し、1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。
また、本発明のインク組成物が多官能ラジカル重合性化合物を含有する場合、多官能ラジカル重合性化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対し、1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることが特に好ましい。
(成分B)ラジカル重合開始剤
本発明のインク組成物は、(成分B)ラジカル重合開始剤を含有する。
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。上記ラジカル重合開始剤の詳細については、例えば、特開2009−185186号公報の段落0090〜0116に記載されているものが例示できる。
本発明におけるラジカル重合開始剤は、1種単独又は2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては、アシルホスフィン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物及び/又はα−アミノケトン化合物を含むことが好ましく、アシルホスフィン化合物とα−ヒドロキシケトン化合物とを含むことがより好ましい。上記態様であると、硬化性により優れる。
式アシルホスフィン化合物の好適な例としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−メトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2−メトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペンチルオキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4−ジペンチルオキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル(4−ペンチルオキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイル(4−ペンチルオキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
また、ラジカル重合開始剤としては、硬化性の観点から、芳香族ケトン類が好ましい。
芳香族ケトン類としては、α−ヒドロキシケトン化合物及び/又はα−アミノケトン化合物が好ましい。
α−ヒドロキシケトン化合物としては、公知のものを用いることができるが、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられ、中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物が好ましい。なお、本発明において、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン化合物には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが任意の置換基で置換された化合物も含まれる。置換基としては、ラジカル重合開始剤としての能力を発揮し得る範囲で任意に選択することができ、具体的には炭素数1〜4のアルキル基が例示できる。
また、α−アミノケトンとしては、公知のものを用いることができ、具体的には例えば、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等が挙げられる。また、BASFジャパン社製IRGACURE907、IRGACURE369、IRGACURE379等の如き市販品も好ましく例示できる。
本発明のインク組成物中におけるラジカル開始剤の総含有量は、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%が更に好ましい。上記範囲であると、インク組成物を十分硬化させることができ、硬化度が均一な硬化膜を得ることができる。
(成分C)着色剤
本発明のインク組成物は、(成分C)着色剤を含有する。
本発明のインク組成物は、ホワイト、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックよりなる群から選択される少なくとも1種の着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用できる。着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物、特にラジカル重合を禁止しない化合物を選択することが好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機顔料及び無機顔料などが挙げられ、また、染料で染色した樹脂粒子、市販の顔料分散体や表面処理された顔料(例えば、顔料を分散媒として水、液状有機化合物や不溶性の樹脂等に分散させたもの、並びに樹脂や顔料誘導体等で顔料表面を処理したもの等)も挙げられる。例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年、朝倉書店発行)、橋本勲著「有機顔料ハンドブック」(2006年、カラーオフィス発行)、W.Herbst,K.Hunger編「Industrial Organic Pigments」(1992年、Wiley−VHC発行)、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載のものが挙げられる。
有機顔料及び無機顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、紫色顔料、褐色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。
黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、10、65、73、74、75、97、98、111、116、130、167、205等のモノアゾ顔料、61、62、100、168、169、183、191、206、209、212等のモノアゾレーキ顔料、12、13、14、16、17、55、63、77、81、83、97、83、124、126、127、152、155、172、174、176、214、219等のジスアゾ顔料、24、108、193、199等のアントラキノン顔料、60等のモノアゾピラゾロン顔料、93、95、128、166等の縮合アゾ顔料、109、110、139、173、185等のイソインドリン顔料、120、151、154、175、180、181、194等のベンズイミダゾロン顔料、117、150、153等のアゾメチン金属錯体顔料、138等のキノフタロン顔料、213等のキノキサリン顔料等が好ましい。
赤色又はマゼンタ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 3等のモノアゾ系顔料、193等のモノアゾレーキ顔料、38等のジスアゾ顔料、2、5、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、22、23、31、32、112、114、146、147、150、170、187、188、210、213、238、245、253、256、258、266、268、269等のナフトールAS顔料、3、4、6等のβ−ナフトール顔料、49、53、68等β−ナフトールレーキ顔料、237、239、247等のナフトールASレーキ顔料、41等のピラゾロン顔料、48、52、57、58、63、64:1、200等のBONAレーキ顔料、81:1、169、172等のキサンテンレーキ顔料、88、181等のチオインジゴ顔料、122、202(C.I.ピグメントバイオレット 19との混晶を含む。)、123、149、178、179、190、224等のペリレン顔料、144、166、214、220、221、242、262等の縮合アゾ顔料、168、177、263等のアントラキノン顔料、83等のアントラキノンレーキ顔料、171、175、176、185、208等のベンズイミダゾロン顔料、207、209、262等のキナクリドン顔料、254、255、264、270、272等のジケトピロロピロール顔料、257、271等のアゾメチン金属錯体顔料等が挙げられる。
青又はシアン顔料としては、例えば、C.I.プグメントブルー 25、26等のナフトールAS顔料、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1等のフタロシアニン顔料、1、24:1、56等の染付けレーキ顔料、60等のアントラキノン系顔料等が好ましい。
緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 1、4等の染付けレーキ顔料、7、36等のフタロシアニン顔料、8等のアゾメチン金属錯体顔料等が好ましい。
橙色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ 1等のモノアゾ顔料、2、3、5等のβ−ナフトール顔料、4、24、38、74等のナフトールAS顔料、13、34等のピラゾロン顔料、36、60、62、64、72等のベンズイミダゾロン顔料、15、16等のジスアゾ顔料、17、46等のβ−ナフトールレーキ顔料、19等のナフタレンスルホン酸レーキ顔料、43等のペリノン顔料、48、49等のキナクリドン顔料、51等のアントラキノン系顔料、61等のイソインドリノン顔料、66等のイソインドリン系顔料、68等のアゾメチン金属錯体顔料、71、73、81等のジケトピロロピロール顔料等が好ましい。
褐色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン 5等のBONAレーキ顔料、23、41、42等の縮合アゾ顔料、25、32等のベンズイミダゾロン顔料等が好ましい。
紫色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット 1、2、3、27等の染付けレーキ顔料、13、17、25、50等のナフトールAS顔料、5:1等のアントラキノンレーキ顔料、19等のキナクリドン顔料、23、37等のジオキサジン顔料、29等のペリレン顔料、32等のベンズイミダゾロン顔料、38等のチオインジゴ顔料等が挙げられる。
黒色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック 1等のインダジン顔料、7であるカーボンブラック、10であるグラファイト、11であるマグネタイト、20等のアントラキノン顔料、31、32等のペリレン顔料等が好ましい。
白色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 4である酸化亜鉛、6である酸化チタン、7である硫化亜鉛、12である酸化ジルコニウム(ジルコニウムホワイト)、18である炭酸カルシウム、19である酸化アルミ・酸化ケイ素(カオリンクレー)、21又は22である硫酸バリウム、23である水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、27である酸化ケイ素、28であるケイ酸カルシウム等が好ましい。白色顔料に使用される無機粒子は単体でもよいし、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であってもよい。中でも酸化チタンは、他の白色顔料と比べて比重が小さい、屈折率が大きい、隠蔽力や着色力が大きい、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れていることから、好適に使用される。なお、酸化チタンに加えて他の白色顔料(上述した白色顔料以外のものであってもよい。)を併用してもよい。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。したがって、油溶性染料とは、いわゆる水に不溶性の油溶性色素を意味する。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
本発明に適用可能な油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、第四級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で、分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9等が挙げられる。
本発明に用いることができる(成分C)着色剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、着色剤の含有量は、着色剤の物性(比重、着色力や色味等)、インク組成物を何色組み合わせて印刷物を作製するかといった条件により適宜選択することができるが、隠蔽力や着色力の点から、インク組成物全体の質量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.2〜25質量%であることが更に好ましく、0.3〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明において、着色剤は、インク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、予め汎用の有機溶剤(メチルエチルケトン、トルエン、ブタノール、酢酸ブチル等)あるいは本発明に使用するラジカル重合性化合物のような液体の媒体に添加し、分散又は溶解させた後、配合することもできる。媒体が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化、及び、残留するVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、ラジカル重合性化合物に予め添加して配合することが好ましい。また、配合時の作業性を考慮すると、使用する媒体は、低粘度のラジカル重合性化合物を選択することがより好ましい。
本発明において、着色剤に顔料を使用する場合には、顔料と分散剤とを混合した後、ラジカル重合性化合物に添加して分散する、又は、ラジカル重合性化合物と分散剤とを混合した後、顔料を添加して分散することが好ましい。分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、ソルトミル、アトライター、ロールミル、アジテーター、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることが好ましい。
なお、着色剤として顔料を使用する場合には、顔料粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、顔料、分散剤、媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。平均粒径が上記の範囲であると、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、透明性及び硬化速度を維持することができるので好ましい。
(成分D)増感剤
本発明のインク組成物は、硬化性及び光沢性の観点から、(成分D)増感剤を含有することが好ましい。
増感剤としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン等)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン等)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン等)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム等)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等)、チオキサントン類(例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等)、チオクロマノン類(例えば、チオクロマノン等)等が挙げられる。
また、増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物は、(成分D)増感剤として、チオキサントン類、及び/又は、チオクロマノン類を含有することが好ましく、チオキサントン類を含有することがより好ましい。上記態様であると、硬化性及び光沢性が向上する。
これらの中でも、表面硬化性、密着性、画質及び耐ブロッキング性の観点から、ジエチルチオキサントン又はイソプロピルチオキサントンが更に好ましく、イソプロピルチオキサントン(2位、4位及び/又はその混合物を含む。)が特に好ましい。
本発明のインク組成物中における増感剤の総含有量は、使用するインク組成物の色、組み合わされるラジカル重合開始剤の種類、含有量、及び、使用する増感剤の種類等により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対して、0.05〜15質量%が好ましく、0.1〜12質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が更に好ましく、3.5〜9.5質量%が特に好ましく、4〜8質量%が最も好ましい。上記範囲であると、より高光沢な画像が得られ、また、硬化性により優れる。
(成分E)オリゴマー
本発明のインク組成物は、(成分E)オリゴマーを含有することが好ましい。
オリゴマーは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーが結合した重合体であり、オリゴマーと称される公知の化合物を任意に選択可能であるが、本発明においては、重量平均分子量が400〜10,000(より好ましくは500〜5,000)の重合体を選択することが好ましい。
前記オリゴマーは、ラジカル重合性基を有していてもよい。前記ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
本発明におけるオリゴマーとしては、いかなるオリゴマーでもよいが、例えば、オレフィン系(エチレンオリゴマー、プロピレンオリゴマー、ブテンオリゴマー等)、ビニル系(スチレンオリゴマー、ビニルアルコールオリゴマー、ビニルピロリドンオリゴマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー等)、ジエン系(ブタジエンオリゴマー、クロロプレンゴム、ペンタジエンオリゴマー等)、開環重合系(ジ−,トリ−,テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチルイミン等)、重付加系(オリゴエステルアクリレート、ポリアミドオリゴマー、ポリイソシアネートオリゴマー)、付加縮合オリゴマー(フェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂等)等を挙げることができる。この中で、オリゴエステル(メタ)アクリレートが好ましく、その中では、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートがより好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートが更に好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく挙げられるが、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましく挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、4官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましく、2官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートを含有することにより、被記録媒体への密着性に優れ、硬化性に優れるインク組成物が得られる。
オリゴマーについて、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)も参照することができる。
また、オリゴマーの市販品としては、以下に示すものが例示できる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、第一工業製薬(株)製のR1204、R1211、R1213、R1217、R1218、R1301、R1302、R1303、R1304、R1306、R1308、R1901、R1150等や、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL230、270、4858、8402、8804、8807、8803、9260、1290、1290K、5129、4842、8210、210、4827、6700、4450、220)、新中村化学工業(株)製のNKオリゴU−4HA、U−6HA、U−15HA、U−108A、U200AX等、東亞合成(株)製のアロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960、Sartomer社製のCN964 A85等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL770、IRR467、81、84、83、80、675、800、810、812、1657、1810、IRR302、450、670、830、870、1830、1870、2870、IRR267、813、IRR483、811等)、東亞合成(株)製のアロニックスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050等が挙げられる。
また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL600、860、2958、3411、3600、3605、3700、3701、3703、3702、3708、RDX63182、6040等)等が挙げられる。
オリゴマーは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物におけるオリゴマーの含有量としては、インク組成物の全質量に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。
<分散剤>
本発明のインク組成物において、着色剤として顔料を使用する場合には、インク組成物中に安定に顔料を分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤の主鎖骨格は、特に制限はないが、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリウレア骨格等が挙げられ、インク組成物の保存安定性の点で、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格が好ましい。また、高分子分散剤の構造に関しても特に制限はないが、ランダム構造、ブロック構造、くし型構造、星型構造等が挙げられ、同様に保存安定性の点で、ブロック構造又はくし型構造が好ましい。
高分子分散剤としては、ビックケミー社より市販されている湿潤分散剤DISPERBYKシリーズの101、102、103、106、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、161、162、163、164、166、167、168、170、171、174、180、182、183、184、185、2000、2001、2020、2050、2070、2096、2150、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より市販されているEFKAシリーズの4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4340、4400、4401、4402、4403、4406、4800、5010、5044、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、5244、ルーブリゾール社より市販されているSolsperseシリーズの3000、11200、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、36000、36600、37500、38500、39000、53095、54000、55000、56000、71000、楠本化成(株)より市販されているDISPARLONシリーズの1210、1220、1831、1850、1860、2100、2150、2200、7004、KS−260、KS−273N、KS−860、KS−873N、PW−36、DN−900、DA−234、DA−325、DA−375、DA−550、DA−1200、DA−1401、DA−7301、味の素(株)より市販されているアジスパーシリーズのPB−711、PB−821、PB−822、PN−411、PA−111、エアープロダクツ社より市販されているサーフィノールシリーズの104A、104C、104E、104H、104S、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、420、440、DF110D、DF110L、DF37、DF58、DF75、DF210、CT111、CT121、CT131、CT136、GA、TG、TGE、日信化学工業(株)より市販されているオルフィンシリーズのSTG、E1004、サンノプコ(株)製SNスパースシリーズの70、2120、2190、ADEKA社より市販されているアデカコール及びアデカトールシリーズ、三洋化成工業(株)より市販されているサンノニックシリーズ、ナロアクティーCLシリーズ、エマルミンシリーズ、ニューポールPEシリーズ、イオネットMシリーズ、イオネットDシリーズ、イオネットSシリーズ、イオネットTシリーズ、サンセパラー100が挙げられる。
インク組成物中の分散剤の好ましい添加量は、インク組成物中における顔料の質量をP、インク組成物中における分散剤の質量をDとした場合、その質量比(D/P)が、0.01≦D/P≦2.0であることが好ましく、0.03≦D/P≦1.5であることがより好ましく、0.05≦D/P≦0.6であることが更に好ましい。上記範囲であると、顔料の凝集・沈降、インク粘度上昇が生じず、保存安定性に優れるインク組成物が得られ、インク組成物の粘度が低粘度で吐出安定性にも優れるインク組成物が得られる。
更に、分散時には、分散剤に加えて、一般にシナジストと呼ばれる分散助剤(例えば、ルーブリゾール社より市販されているSOLSPERSEシリーズの5000、12000、22000、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より市販されているEFKA6745等)や、各種界面活性剤、消泡剤を添加して、顔料の分散性、濡れ性を向上させることも好ましい。
本発明のインク組成物には、必要に応じて、前記各成分以外に、界面活性剤、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2009−221416号公報に記載されているものが挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、保存性、及び、ヘッド詰まりの抑制という観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
重合禁止剤の含有量は、本発明のインク組成物の全質量に対し、200〜20,000ppmであることが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤や、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
<インク組成物の物性>
本発明のインク組成物は、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であることが好ましく、5〜40mPa・sであることがより好ましく、7〜30mPa・sであることが更に好ましい。また、吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温(25℃)での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となるので好ましい。更に、インク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の25℃における表面張力は、20〜40mN/mであることが好ましく、23〜39mN/mであることがより好ましい。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点では40mN/m以下が好ましい。
(インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び印刷物)
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。
より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(a)本発明のインクジェットインク組成物をインクジェット方式により吐出して被記録媒体上に画像を形成する画像形成工程、及び、(b)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する硬化工程を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a)及び(b)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明の別の観点は、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物である。
本発明のインクジェット記録方法における(a)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることができるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性エネルギー線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、本発明のインク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが好ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いて、本発明のインク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、(b)吐出されたインク組成物、すなわち得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性エネルギー線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性エネルギー線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性エネルギー線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性エネルギー線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、320〜420nmであることが更に好ましく、活性エネルギー線が、ピーク波長が340〜400nmの範囲の紫外線であることが特に好ましい。
また、本発明のインク組成物の、重合開始系は、低出力の活性エネルギー線であっても十分な感度を有するものである。したがって、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
活性エネルギー線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性エネルギー線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性エネルギー線源はUV−LEDであり、特に好ましくは340〜400nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は、10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、このような活性エネルギー線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性エネルギー線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性エネルギー線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインク組成物のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインク組成物から順に重ねることにより、下部のインク組成物まで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性エネルギー線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインク組成物は、複数のインクジェット記録用インクからなるインクセットとして使用することが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法において、吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の低い着色インク組成物から被記録媒体に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインク組成物との計7色が少なくとも含まれる本発明のインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。
本発明において、被記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の被記録媒体を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。また、本発明における被記録媒体として、非吸収性被記録媒体が好適に使用することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示すものとする。
実施例及び比較例で使用したインク組成物の素材は、下記に示す通りである。
・N−イソプロピルアクリルアミド
・4−アクリロイルモルホリン
・N−tert−ブチルアクリルアミド
・N−(ブトキシメチル)アクリルアミド
・N,N−ジメチルアクリルアミド
・N,N−ジエチルアクリルアミド
・N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド
・N−シクロヘキシルアクリルアミド
・INKJET YELLOW 4GC(イエロー顔料、C.I.ピグメントイエロー155、クラリアントジャパン(株)製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−355−D(マゼンタ顔料、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド202との混晶、BASFジャパン(株)製)
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、C.I.ピグメントブルー15:4、BASFジャパン(株)製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、C.I.ピグメントブラック7、エボニック デグサ ジャパン(株)製)
・KRONOS 2300(ホワイト顔料、C.I.ピグメントホワイト6、クロノス社製)
・SOLSPERSE 32000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SOLSPERSE 41000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SR506D(イソボルニルアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製)
・SR531(サイクリックトリメチロールプロパンホルマールアクリレート、CTFA、サートマー・ジャパン(株)製)
・NVC(N−ビニルカプロラクタム、BASFジャパン(株)製)
・SR285(テトラヒドロフルフリルアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製)
・SR339A(2−フェノキシエチルアクリレート、サートマー・ジャパン(株)製)
・SR9003(プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(ネオペンチルグリコールのプロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、サートマー・ジャパン(株)製)
・SR454(エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド3モル付加物をトリアクリレート化した化合物)、サートマー・ジャパン(株)製)
・CN964A85(ウレタンアクリレートオリゴマー、平均官能基数2、サートマー・ジャパン(株)製)
・LUCIRIN TPO(ラジカル重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製)
・IRGACURE 819(ラジカル重合開始剤、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製)
・IRGACURE 184(ラジカル重合開始剤、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、BASFジャパン(株)製)
・IRGACURE 369(ラジカル重合開始剤、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、BASFジャパン(株)製)
・IRGACURE 907(ラジカル重合開始剤、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASFジャパン(株)製)
・FIRSTCURE ITX(増感剤、イソプロピルチオキサントン、ChemFirst社製)
・FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、ChemFirst社製)
・FLORSTAB UV−12(重合禁止剤、Kromachem社製)
(ミルベースの調製)
シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック、ホワイトの各ミルベースを表1の組成にて混合し、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて10分撹拌した。その後、ビーズミル分散機DISPERMAT LS(VMA社製)に入れ、直径0.65mmのYTZボール((株)ニッカトー製)を用い、2,500回転/分で6時間分散を行った。
Figure 0005832946
(実施例1)
<インク組成物の調製>
下記の成分を、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌した。その後、日本ポール(株)製カートリッジフィルター(製品名:プロファイルII AB01A01014J)を用いてろ過し、シアンインクC1を得た。
東機産業(株)製TVE−22LTを用いて測定した25℃における粘度は18.4mPa・s、協和界面科学(株)社製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定した25℃における表面張力は37.4mN/mであった。
また、得られたシアンインクC1を用い、保存安定性の評価を後述する基準で行った。
−シアンインクC1−
・シアンミルベースCM :8.4質量部
・N−イソプロピルアクリルアミド:7.0質量部
・NVC:15.5質量部
・SR531:26.0質量部
・SR339A:31.1質量部
・IRGACURE 184:3.0質量部
・IRGACURE 819: 3.4質量部
・FIRSTCURE ITX: 0.8質量部
・FIRSTCURE ST−1 :0.4質量部
・CN964A85:4.4質量部
作製したシアンインクC1を富士フイルム(株)製UVインクジェットプリンターLuxelJet UV350GTWに装填し、ファインアートモード、ランプ5の条件で、王子製紙(株)製コート紙(製品名OKトップコート+)上に0〜100%まで(5%刻み)の濃度を有するトーン画像からなるA1サイズのテスト画像を印刷し、硬化性、光沢、柔軟性及びインクジェット吐出性の評価を下記基準で行った。また、被記録媒体を森野化工(株)製ポリ塩化ビニルシート(製品名:エムロンカレンダーシート(白)、厚み220μm)に替えてテスト画像を印刷し、密着性の評価を下記基準で行った。結果を表2に示す。
<硬化性評価>
硬化性は、100%濃度部の触感による印刷物表面のべたつきと、印刷物を重ねて1日放置した時の画像部の転写の有無を下記基準で評価した。
A:印刷物表面にべたつきは全く無く、転写も無かった。
B:印刷物表面が僅かにべたついているが、転写は無かった。
C:印刷物表面にべたつきがあり、僅かに転写が生じた。
D:印刷物表面が非常にべたついており、酷い転写を生じた。
<光沢評価>
100%濃度部の光沢度を(株)堀場製作所製光沢計(製品名:IG−331)を用いて60°光沢を測定した。値が高いほど高光沢であり、鮮やかな印刷物が得られる。光沢値が20を下回ると、コントラストの低い画像となりやすく、鮮やかさが損なわれる。
<柔軟性評価>
100%濃度部の同じ場所を5回往復して折り曲げた後に、印刷物に生じた亀裂の程度を下記の基準で評価した。
A:全く亀裂を生じなかった。柔軟性は極めて高い。
B:わずかに亀裂を生じた。柔軟性は高い。
C:やや大きな亀裂を生じた。柔軟性はやや低い。
D:完全に亀裂を生じた。柔軟性は低い。
<インクジェット吐出性評価>
テスト画像を20枚連続して印刷した後、ノズルチェック画像を印刷して不吐出となったノズル数を求めた。不吐出ノズル数が少ないほどインクジェット吐出性は良い。不吐出ノズル数が4本以上になると、ノズル欠けに起因するスジが際立って目立つようになり、印刷物の価値を著しく損なう。評価基準を以下に示す。
A:不吐出ノズル数が0本
B:不吐出ノズル数が1本
C:不吐出ノズル数が2又は3本
D:不吐出ノズル数が4本以上
<被記録媒体への密着性評価>
ISO2409:2007(JIS K5600−5−6)に準拠し、クロスカット法にて評価を行った。0〜3の密着性であれば、実用上大きな問題を生じない
0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれが見られる。クロスカット部分で影響を受けるのは、5%を上回ることはない。
2:塗膜のカットの縁に沿って、及び/又は、交差点においてはがれる。クロスカット部分で影響を受けるのは、5%を超えるが、15%を上回ることはない。
3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、15%を超えるが、35%を上回ることはない。
4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、35%を超えるが、65%を上回ることはない。
5:はがれの程度が4を超える。
<保存安定性>
得られたインク組成物をガラス製バイアル瓶に入れ、60℃、4週間保管後の粘度の上昇率を評価した。上昇率が小さいものほど保存安定性は良好であり、概ね20%以下であれば実用上の問題を生じない。
上昇率(%)=(保管後の粘度−保管前の粘度)/保管前の粘度×100
(実施例2〜6、並びに、比較例1及び2)
実施例1と同様にして表2記載のシアンインクC2〜C6、CC1及びCC2をそれぞれ作製し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 0005832946
(実施例7〜17、及び、比較例3〜7)
実施例1と同様にして表3に記載の組成のシアンインクC7〜C17及びCC3〜CC7をそれぞれ作製し、評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005832946
(実施例18〜24)
実施例1と同様にして表4に記載の組成のシアンインクC18〜C24をそれぞれ作製し、評価した。結果を表4に示す。
Figure 0005832946
(実施例25〜28)
実施例1と同様にして表5に記載の組成のシアンインクC25、マゼンタインクM1、イエローインクY1、ブラックインクK1及びホワイトインクW1をそれぞれ作製し、評価した。結果を表5に示す。
Figure 0005832946

Claims (12)

  1. (成分A)ラジカル重合性化合物、
    (成分B)ラジカル重合開始剤、及び、
    (成分C)着色剤を含有し、
    成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(III)で表される化合物とを含み、
    前記式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、5〜35質量%であり、
    前記式(II)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、8〜30質量%であり、
    前記式(III)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、8〜40質量%であり、
    前記式(II)〜式(IV)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、20〜80質量%であることを特徴とする
    インクジェットインク組成物。
    Figure 0005832946
    (式(I)〜(IV)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R1及びR2の両方が水素原子であることはなく、R1とR2とは互いに連結して環を形成してもよく、R3及びR4 は水素原子を表し、A1 は単結合を表し、2メチレン基を表し、nは2〜6の整数を表す。)
  2. 前記式(I)で表される化合物が、式(V)で表される化合物である、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
    Figure 0005832946
    (式(V)中、R1は水素原子又はアルキル基を表し、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R5、R6及びR7の2つ以上が水素原子であることはなく、また、R5、R6及びR7のいずれか2つが結合して環を形成してもよい。)
  3. 前記式(I)で表される化合物が、式(VI)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
    Figure 0005832946
    (式(VI)中、R5、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R5、R6及びR7の2つ以上が水素原子であることはなく、また、R5、R6及びR7のいずれか2つが結合して環を形成してもよい。)
  4. 前記式(I)で表される化合物が、N−イソプロピルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、又は、N−tert−ブチルアクリルアミドである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記式(I)で表される化合物が、N−シクロヘキシルアクリルアミド、又は、N−tert−ブチルアクリルアミドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記式(I)で表される化合物が、N−イソプロピルアクリルアミド、又は、N−tert−ブチルアクリルアミドである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 成分Cの含有量が、インク組成物の全質量に対し、2.17〜15.0質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 成分Aが、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(III)で表される化合物と、式(IV)で表される化合物とを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  9. 前記式(IV)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、4〜35質量%である、請求項8に記載のインクジェットインク組成物。
  10. (成分D)増感剤を更に含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  11. 成分Dが、イソプロピルチオキサントンである、請求項10に記載のインクジェットインク組成物。
  12. 前記式(I)で表される化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し、15〜25質量%であり、前記式(II)〜式(IV)で表される化合物の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、40〜80質量%である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
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