JP5830423B2 - 杭式海洋構造物の施工方法及び杭式海洋構造物 - Google Patents

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本発明は、例えば離島や海上の波浪の激しい場所等で構築可能な杭式海洋構造物の施工方法及びこの施工方法で用いる杭式海洋構造物に関する。
従来、離島などの遠隔地や海上領域で、杭を海底に打設することで杭に構造物を固着して施工するようにした杭式の構造物が提案されている。
例えば、第一の杭式の構造物の施工方法は、現地でまず杭を海上から海底に打設して杭の上でコンクリート上部工を製作するようにしている。また、海中に仮受け杭を打設して、その上に上部桁と一体になった鋼管トラス構造を据え付け、この鋼管トラス構造を導枠にして鋼管杭を打設して上部工を製作するようにしたものもある。
また、第二の杭式の構造物の施工方法として、例えば特許文献1に開示されたものがある。この施工方法では、予め杭打設用孔を形成した海洋構造物である躯体を先行して製作し、この躯体を海上に浮かせた状態で設置予定場所に仮固定する。そして、海上に浮いた躯体を導枠として杭打設用孔に鋼管杭を挿入して海底に打設することで躯体を海上に設置するようにしている。
そして、躯体に埋め込んだ吊り込みアンカーボルトにPC棒鋼を取り付けて杭頭部の溝形鋼に固定し、更にPC棒鋼を締め付けて躯体全体を引き上げるようにした。
また、第三の杭式の構造物の施工方法は、海上の波浪の激しい場所で躯体を施工する仮設構造として自己昇降式作業台(SEP)を用い、このSEPを躯体として所定の場所に曳航してスパッドと呼ばれる脚を海底に設置し、スパッド上部に設けたジャッキで躯体を波力の作用しない範囲まで上昇させて、躯体の作業台上から施工するようにしたものが知られている。
このような施工方法の一例として特許文献2に記載されたものがある。特許文献2に記載された水上杭打ち装置は、四隅にスパッドを装着したSEPの躯体に杭打設用孔を所定間隔で形成して導枠とし、SEPを所定の作業場所に曳航する。そして、スパッドを海底まで降ろし、所定位置の杭打設孔に杭を挿入して海底に打ち込むようにした。
特開平5−118015号公報 特開2003−232036号公報
しかしながら、打設した杭に構造物やコンクリート上部工を製作する第一の杭式の構造物では、現場での施工期間が長く、風や波等の海象の影響で作業稼働率が著しく低下する欠点がある。また、鋼管トラス構造を用いる工法では、鋼管トラスを持ち込む分だけ現場での施工期間を短縮できる効果はあるが、離島等の高波浪地域では施工途中に鋼管トラスを安定して保持することが困難であった。
また、特許文献1に記載された第二の杭式の構造物は、その躯体を海上に浮かせて杭打設用孔に杭を打設する構造であるため、波浪の厳しい海域では波浪の影響を受けて躯体が動揺するため、躯体の杭打設用孔を通した杭打ち等の作業の稼働効率が著しく低下するという欠点がある。
また、特許文献2に記載された第三の杭式の構造物では、海洋構造物として仮設構造物のSEPを用いて、施工時に仮設構造物の躯体をジャッキで海上から波浪の影響を受けない高さまで上昇させて杭打ち等を施工する工法であるため、波浪に対しては安全であるが、杭の打設後にスパッドを引き抜く必要があるため、海底への根入れを深くできない欠点があった。そのため、躯体はより高い波浪に対してまで抵抗できるほどの安定性や支持力を確保できない欠点がある。また、仮設構造物の躯体を長期間の使用に提供するには防食が不十分であるという不具合もあった。
本発明は、このような課題に鑑みて、波浪の厳しい水域であっても波浪の悪影響を受けることなく施工期間を短くできて高い作業効率を得られるようにした杭式海洋構造物の施工方法及び杭式海洋構造物を提供することを目的とする。
本発明による杭式海洋構造物の施工方法は、スパッドを嵌挿させた孔と杭打設用孔とを備えた躯体を水上の所定位置に保持する工程と、スパッドを躯体に対して降下させて打設することで躯体を水面より上方に上昇させる工程と、躯体にバラスト水を注入して重量を増大させる工程と、躯体に設けた杭打設用孔から杭を打設して杭を躯体に固定する工程とを備え、杭打設用孔には該杭打設用孔を液密に封止する封止材が固定されていて、該封止材は前記杭打設用孔内に杭を挿入することで破れるようにしたことを特徴とする。
また、本発明による杭式海洋構造物は、躯体と、躯体に形成されていて杭を打設可能な杭打設用孔と、杭打設用孔を液密に封止すると共に杭打設用孔内に杭を挿入することで破れるようにした封止材と、躯体に形成した孔に昇降ジャッキによって昇降可能に挿入されていて上昇位置では躯体は水上にあり且つ降下位置では躯体は水上より上昇した波が当たらない高さ位置にあるようにしたスパッドと、躯体内に設けられていてバラスト水を注入して躯体の重量を増大可能なバラスト水容器とを備えていて、スパッドを降下させることで躯体を水面より上昇した波の当たらない高さ位置に保持し、杭打設用孔から杭を打設して躯体に固定するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、杭式海洋構造物の施工に際し、スパッドを水底に降下させることで躯体を波の当たらない高さ位置に上昇させて支持することができて波浪の影響を受けずに作業を行うことができ、しかも高い位置で躯体にバラスト水を注入することで重量を増大させて躯体を安定させた状態で支持して、杭打ち等の作業を効率的に行える。
しかも、躯体に杭打設用孔を多数形成すると浮体としての浮力不足になるおそれがあるが、杭打設用孔に封止材を固定して水が浸入しないようにすることで浮力を増大させることができる。
更に、杭の打設に際し、杭打設用孔内に杭を挿入することで封止材が破れるため、封止材を除去する作業が不要になり水上での作業が効率的になる。
本発明による杭式海洋構造物の施工方法は、スパッドを嵌挿させた孔と杭打設用孔とを備えた躯体を水上の所定位置に保持する工程と、スパッドを躯体に対して降下させて打設することで躯体を水面より上方に上昇させる工程と、躯体にバラスト水を注入して重量を増大させる工程と、躯体に設けた杭打設用孔から杭を打設して該杭を躯体に固定する工程と、杭打設用孔に杭を打設した後、スパッドを孔から引き抜いて杭を打設する工程と、を備えたことを特徴とする。
これによって、躯体あたりの杭打設本数が増大すると共に比較的コストの高いスパッドを回収して再利用できる。
また、躯体の杭打設用孔は他の杭打設用孔及び/またはスパッド用の孔と隔壁によって相互に連結されていることが好ましい。
躯体に設けた隔壁によって杭打設用孔同士や杭打設用孔とスパッド用の孔を連結できるため杭頭断面力に抵抗することができる躯体を本設構造物として利用可能になる。
また、スパッドを挿入する孔とスパッドとの間にスペーサを装着するようにしてもよい。
スパッド用の孔にスペーサを設けてスパッドを嵌挿するようにしたことで、孔に対してスパッドを昇降させた状態、例えばスパッドを上昇させた状態で、スパッドを固定支持できるからスパッドが変形したりすることを防止でき、スパッドとその孔との溶接等の接合作業が高精度で容易になる。
また、杭打設用孔と杭との間にスペーサを装着し、杭打設用孔と杭とをグラウトによるシアキー接合または溶接によって接合するようにしてもよい。
スペーサによって杭打設用孔に対する杭の芯出しを容易に行うことができ、その後のシアキー接合や溶接を精度よく行える。
また、躯体の外面には、橋梁上部工等の他の部材を連結するための受け部を設けてもよい。
橋梁上部工等の他の部材を比較的大きなスパンで手延べ式送り出し工法で施工する際、海洋構造物の躯体をベースとして受けることができるため、送り出しする橋梁上部工等の他の部材の張り出しを大きく設けることができる。
また、躯体の表面に防食塗装または金属ライニングを行ったか、或いはクラッド鋼を用いてもよい。
この場合、杭式海洋構造物の水上での供用期間を長く設定できるため本設構造物として利用できる。
本発明による杭式海洋構造物の施工方法及び杭式海洋構造物によれば、波浪の厳しい水域であってもスパッドによって躯体を高い位置に支持することで、波浪の悪影響を受けることなく短期間で施工できると共に高い作業効率を得られる。
しかも、躯体を高い位置に支持して躯体にバラスト水を注入することで躯体の重量を増大させて安定させた状態で効率的な作業を行える。また、杭打設用孔に封止材を固定して水が浸入しないようにすることで浮力を増大させることができる上に、杭の打設に際し、杭打設用孔内に杭を挿入することで封止材が破れるため、封止材を除去する作業が不要になり水上での作業が効率的になる。
本発明の実施形態に用いるSEPの縦断面図である。 図1に示すSEPのスパッドと杭打設用孔と隔壁とを備えた躯体の平面図である。 図2に示す躯体の上面に杭打ち機を設置した平面図である。 躯体に設けた杭打設孔にダイアフラムを設置した状態の要部断面図である。 躯体の杭打設孔とレグウェルに杭を打設した状態を示す縦断面図である。 (a)、(b)、(c)は躯体を用いて杭を打設して杭式海洋構造物を施工する本発明の実施形態による施工方法を示す図である。 (a)、(b)、(c)、(d)は躯体を用いて杭を打設して杭式海洋構造物を施工する本発明の実施形態による施工方法を示す図である。 杭式海洋構造物の施工方法のフローチャートである。 躯体に設けた杭打設孔に杭を挿入してグラウトで躯体に固定した状態を示す断面図である。 躯体に設けたレグウェルの断面図を示すものであり、(a)はレグウェル内にスペーサを介してスパッドを挿入した状態を示す断面図、(b)はレグウェル内に杭を挿入した状態の断面図である。 海洋構造物を橋梁の一部として用いるために受け部を設けた状態の説明図である。 実施形態による杭式海洋構造物の施工方法の変形例を示すものであり、台船に躯体を積載して移送する工程を示す図である。 実施形態による杭式海洋構造物の施工方法の変形例を示すものであり、躯体に形成した斜めの杭打設用孔に杭を打設する工程を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による杭式海洋構造物とその施工方法について説明する。
図1乃至図5は本発明の実施形態による杭式海洋構造物を示す図である。
図1及び図2に示す杭式海洋構造物1は、SEP(自動昇降式作業台船)と同様な構成を備えた躯体2を示すものである。この躯体2は例えば図1及び図2に示すように鋼材の骨組みからなる長方形枠板状を有している。そして、躯体2の上面2aの四隅にはスパッド5挿入用の孔としてレグウェル3が下面2bを貫通してそれぞれ形成され、これらレグウェル3内には脚状のスパッド5が嵌挿されている。
スパッド5には躯体2の上側に昇降ジャッキ6が取り付けられており、昇降ジャッキ6によって躯体2に対してスパッド5をレグウェル3を通して昇降移動させるようになっている。
そして、躯体2において、左右方向の隅部に設けた各一対のレグウェル3の間には上下面2a、2bを貫通する杭打設用孔7が所定間隔で複数個それぞれ形成されている。
また、図2に示す躯体2において、レグウェル3と杭打設用孔7を連結するように隔壁9が格子状に配列されている。隔壁9は躯体2の高さと同等の高さを有しており、各レグウェル3と杭打設用孔7の壁面に溶接等によって連結されている。図2に示す例では隔壁9は平面視で躯体2内に格子状に構成されているが、X字状等、隔壁9の配列構成は杭打設用孔7同士または杭打設用孔7とレグウェル3とを連結する構成であれば任意でよい。
また、図3に示すように、躯体2の上面2aには杭打設用孔7を通して杭10を海底に打設するための杭打ち機11が設置可能である。そして、図4に示すように、各杭打設用孔7の底部(下面2b)には杭打設用孔7を液密に封止するための封止材としてダイアフラム12が固着されている。躯体2に杭打設用孔7を多数設けることで浮体としての浮力が不足する場合でも、杭打設用孔7の下端にダイアフラム12を設けて海水の浸入を防ぐことができて躯体2の浮力を増大させることができる。ダイアフラム12は杭10を杭打設用孔7に挿入することで破れるように強度が比較的小さく柔軟性のあるゴム等の弾性シートで形成されている。
また、図5は躯体2の杭打設用孔7内に杭10を打設した状態を示す図であり、レグウェル3にもスパッド5を取り除いて杭10を打設することができるようになっている。
本実施形態による杭式海洋構造物1は上述の構成を概略で備えており、次に躯体2を用いた杭式海洋構造物1の施工方法について、図6及び図7の工程図と図8のフローチャートを中心に説明する。
まず、図1乃至図3に示すSEPと同様な構成を備えた躯体2を浮体構造物として先行して製作する。躯体2にはその四隅に形成したレグウェル3内にスパッド5の下端を装着して上方に延ばすと共に、スパッド5における躯体2の上面2a近傍に昇降ジャッキ11を設置する。そして、躯体2の上面2aに杭打ち機11またはクレーン等の施工機械を設置する。
この状態で、図6(a)に示すように、躯体2をシンキングバージ13に積載し、曳航船14によって海上を曳航する。そして、図6(b)に示すように、作業位置である所定の海域に輸送する(ステップ1)。躯体2を所定の海域に輸送した後、シンキングバージ13を沈下させて躯体2を浮遊させ、シンキングバージ13を回収する(ステップ2)。
なお、図6(c)に示すように、シンキングバージ13を使用せずに、躯体2を海上に直接浮遊させた状態で直接曳航船14で所定の海域まで曳航させてもよい(ステップ3)。
次に、図7(a)において、所定の場所で海上に浮遊する躯体2において、昇降ジャッキ11を使用してスパッド5をレグウェル3を通して降下させ(ステップ4)、スパッド5の降下によって躯体2を海面から所定の高さまで上昇させ、水切りする(ステップ5)。なお、後述する杭打ち作業のし易さからいえば、躯体2の高さは少なくとも波がかからない高さまで上昇して保持すればよく、杭打ち作業の終了後に予め設定した所定の高さまで躯体2を更に上昇させるようにしてもよい。
躯体2を所定の高さまで上昇させた後、図7(b)に示すように、図示しないポンプを使用して躯体2の内部に設けた容器16内に海水Wをバラスト水として注入することで躯体2の重量を増大させる。これによって、スパッド5によって躯体2の海面からの高さを大きく設定しても、躯体2の重量が大きいために波浪の影響を受けることなく躯体2を安定して支持させることができる。
次に、図7(c)、(d)に示すように、躯体2上に搭載しておいた杭打ち機11またはクレーン等の施工機械を用いて、杭10を杭打設用孔7を通して海底に打設する。このとき、杭打設用孔7の下面2b側に設けたダイヤフラム12は、鋼材からなる杭10を杭打設用孔7内に挿入することで分断され、杭10をそのまま杭打設用孔7をガイドとして精度よく垂直に打設することができる。
また、スパッド5は仮設であるため次の工程で引き抜くために海底への根入れを深くできないが、杭10は躯体2と共に本設構造物として用いるためにスパッド5よりも深く海底に打設するようにした(図7(d)参照)。
なお、図9において、杭10を打設した後、躯体2の杭打設用孔7と杭10との間隙にグラウト(モルタルまたはセメントペースト)17を充填してシアキー接合する。或いは杭10の頭部と杭打設用孔7とを溶接によって固定してもよい。
杭10の打設終了後に、昇降ジャッキ6によってスパッド5をレグウェル3から引き抜き、更に昇降ジャッキ6を撤去する。そして、図7(e)に示すように、スパッド5用のレグウェル3に杭10を打設してレグウェル3を通して躯体2と連結固定する。
ここで、図10(a)に示すように、レグウェル3にスパッド5が挿入された状態で、レグウェル3の内面にスパッド5を位置決め固定するために着脱式のスペーサ19aを予め固定しておくものとする。スペーサ19によってスパッド5を支持できるためスパッド5ががたつくことがなく、昇降ジャッキ6によってスパッド5を昇降させる際にスパッド5の上端部や下端部の変形等を防止できる。
また、レグウェル3からスパッド5を引き抜いて杭10を打設する際、例えばスパッド5と杭10の径が異なる場合、レグウェル3に杭10の外径に応じた内径を有する着脱式のスペーサ19bを固定することが好ましい。これによって、図10(b)に示すように、レグウェル3内に杭10を打設するときにレグウェル3に対して杭10をセンターリングすることができて芯ずれを防止できる。杭10の芯ずれを防ぐことで、杭10の頭部とレグウェル3との溶接が容易になる。また、杭打設用孔7にもスペーサを装着しておいてもよい。
なお、海洋構造物1を構成する躯体2や杭10等の各部材には構造物の供用年数に応じた防食を予め施しておくものとする。
こうして、杭10を打設した躯体2からなる海洋構造物1を施工することができる。なお、必要に応じてこの躯体2の上にコンクリート上部工等を製作することができる。
このようにして得られた海洋構造物1を橋梁の一部として利用する場合を図11により説明する。図11において、海洋構造物1は躯体2を海底に打設された複数の杭10で支持してなり、躯体2の外面に受け部21が連結されている。そして、海洋構造物1に隣接する位置には橋梁上部工22が設置され、橋梁上部工22の一端部が躯体2の受け部21上に載置され、ボルト等で連結固定されている。
このようにすれば、橋梁上部工22について例えば手延べ式送り出し工法を用いて比較的大きなスパンで施工できると共に、海洋構造物1をベースとして利用できる。これに対し、従来の仮設SEPを利用したものでは、仮設SEPの支持力が不足するため、転倒の危険があるために橋梁上部工22の張り出しを大きく設けることができなかった。
上述のように本実施形態による海洋構造物1及びその施工方法によれば、起重機船等を用いることなく杭10で支持された躯体2を備えた海洋構造物1を製作することができ、しかも離島や海上の波浪の厳しい位置で躯体2から杭10を打設して本設構造物を施工することができる。
いま、昇降ジャッキ6とスパッド5によって波がかからない高さまで躯体2を上昇させて杭10の打設等の作業を行うことができるため、波の悪影響を受けないので作業稼働率が高くなる。しかも、躯体2を上昇させた後で躯体2内部にバラスト水を注入するため昇降ジャッキ6の昇降能力はバラスト水の重量を考慮しないで設定できると共に、バラスト水重量によって躯体2の重量が増大して高波浪域であっても安定し支持させることができて、倒壊する等被災することがない。
また、躯体2の杭打設用孔7の底部にダイアフラム12を設置したことで、躯体2に杭打設用孔7を多数設けても杭打設用孔7から海水が浸入することを防止して浮力不足を補うことができる。しかも、このダイアフラム12をゴム等の弾性シートで形成すれば、杭打設用孔7内に杭10を挿入することでダイアフラム12を破ってそのまま海底に打設することができて効率的である。
また、躯体2に対して杭打設用孔7だけでなくレグウェル3においてもスパッド5に代えて杭10を打設して躯体2に増し杭することができるため、供用中に受ける波浪に対して打設した杭10で抵抗することができ、また、躯体2の杭打設用孔7やレグウェル3に隔壁9を連結して配置したから、大きな杭頭断面力に抵抗することができて本設構造物として利用できる。しかも、相対的にコストの高いスパッド5や昇降ジャッキ6を取り外して再利用することができる。
また、着脱式のスペーサ19a、19bをレグウェル3の内面またはスパッド5や杭10の外面に取り付けることでレグウェル3の内径との関係でスパッド5や杭10の外径の調整が不要になって芯ずれを防止できる。更に、レグウェル3だけでなく、杭打設用孔7にもスペーサを設けることでも、杭10の芯出しをおこなうことができて、グラウトによるシアキー接合や溶接を効率的に行うことができる。
また、海洋構造物1は、海上に橋梁を施工する際、橋梁上部工22を比較的大きなスパンによって手延べ式送り出し工法で施工することができると共に、受け部21に載置して連結するためのベースとして利用でき、橋梁の施工を高い作業効率で行うことができる。
また、躯体2や杭10に必要な防食を施しておくことで、海洋構造物1を本設構造物として長期間にわたって利用可能である。
本発明による海洋構造物1及びその施工方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り適宜の変更や置換が可能である。
上述の実施形態では、躯体2の杭打設用孔7に杭10を打設した後、スパッド5を引き抜いてレグウェル3に杭10を打設するようにしたが、必ずしもレグウェル3に杭10を打設する必要はない。
また、上述の実施形態では、躯体2の杭打設用孔7の底部にゴム等の弾性シート等からなるダイアフラム12を固定して海水が浸入しないようにシールすることとしたが、ダイアフラム12は弾性シート等の弾性部材に限定されるものではなく、合成樹脂等のシートでもよい。或いはダイアフラム12に代えて杭打設用孔7に嵌合する蓋を着脱可能に取り付けて封止するようにしてもよい。この場合、蓋を取り除いて杭10を打設するようにしてもよいし、或いは杭打設用孔7内に係止された蓋を杭10で押圧することで、下方に落下させて杭10を打設するようにしてもよい。
また、杭打設用孔7を封止するダイアフラム12や蓋等は封止材であり、この封止材の固定位置は底部(下面2b)に限定されることなく、上部(上面2a)との間のどこでもよい。
なお、上述の実施形態による杭式海洋構造物1の施工方法では、躯体2をシンキングバージ13に積載して海上の所定の海域へ搬送する場合と、シンキングバージ13を使用しないで搬送する場合とついて説明したが、躯体2の曳航方法は上述の方法に限定されることはなく、適宜の方法で曳航または移送するようにしてもよい。例えば、図12に示すように、躯体2を台船24に積載して所定の海域まで搬送または曳航させるようにしてもよい。
この場合、台船24をレグウェル3よりも内側の狭い範囲に配設すれば、躯体2が台船24に載置された状態で、スパッド5を昇降ジャッキ6によって降下させて海底に打ち込むことができる。
また、上述の実施形態による杭式海洋構造物1の施工方法において、所定の海域で躯体2の杭打設用孔7を躯体2に垂直に形成して杭10を直杭として打設するようにしたが、このような構成に代えて、図13に示すように、杭打設用孔7aを鉛直方向に対して角度をつけて斜め方向に形成してもよく、この場合には杭10を斜杭として斜め方向に打設することができる。
また海洋構造物1の施工方法において、上述の実施形態では、躯体2を所定の高さまで上昇させた後、躯体2の容器16内に海水Wをバラスト水として注入するようにしたが、先にバラスト水を躯体2内に注水して、その後に躯体2を所定高さまで上昇させるようにしてもよい。
なお、上述の実施形態による海洋構造物1の施工方法において、打設は鋼管杭等の杭10やスパッド5の打撃に用いられるものとして用いたが、本発明では、打設は杭10やスパッド5の打撃の意味に限定されるものではなく、圧入や埋め込み等の意味も含むものとし、掘削グラウト杭等の埋め込み杭や場所打ち杭等のあらゆる工法を含むものとする。
また、上述した実施形態による杭式海洋構造物1とその施工方法では、SEP(自動昇降式作業台船)と同様な構成を備えた躯体2を用いたが、躯体2としてSEPそのものを用いてもよいことはいうまでもない。また、本発明による杭式海洋構造物1とその施工方法は海上だけでなく湖等の淡水上でも適用することができる。
1 海洋構造物
2 躯体
3 レグウェル
5 スパッド
6 昇降ジャッキ
7,7a 杭打設用孔
9 隔壁
10 杭
11 杭打ち機
12 ダイアフラム
16 容器
19a、19b スペーサ
21 受け部
22 橋梁上部工
W バラスト水

Claims (8)

  1. スパッドを嵌挿させた孔と杭打設用孔とを備えた躯体を水上の所定位置に保持する工程と、
    前記スパッドを躯体に対して降下させて打設することで前記躯体を水面より上方に上昇させる工程と、
    前記躯体にバラスト水を注入して重量を増大させる工程と、
    前記躯体に設けた杭打設用孔から杭を打設して該杭を前記躯体に固定する工程と
    を備え
    前記杭打設用孔には該杭打設用孔を液密に封止する封止材が固定されていて、該封止材は前記杭打設用孔内に杭を挿入することで破れるようにしたことを特徴とする杭式海洋構造物の施工方法。
  2. スパッドを嵌挿させた孔と杭打設用孔とを備えた躯体を水上の所定位置に保持する工程と、
    前記スパッドを躯体に対して降下させて打設することで前記躯体を水面より上方に上昇させる工程と、
    前記躯体にバラスト水を注入して重量を増大させる工程と、
    前記躯体に設けた杭打設用孔から杭を打設して該杭を前記躯体に固定する工程と、
    前記杭打設用孔に杭を打設した後、前記スパッドを孔から引き抜いて杭を打設する工程と、
    を備えたことを特徴とする杭式海洋構造物の施工方法。
  3. 前記躯体の杭打設用孔は他の杭打設用孔及び/または前記スパッド用の孔と隔壁によって相互に連結されている請求項1または2に記載された杭式海洋構造物の施工方法。
  4. 前記スパッドを挿入する孔と前記スパッドとの間にスペーサを装着するようにした請求項1から3のいずれか1項に記載された杭式海洋構造物の施工方法。
  5. 前記杭打設用孔と杭との間にスペーサを装着し、前記杭打設用孔と杭とをグラウトによるシアキー接合または溶接によって接合するようにした請求項1乃至4のいずれか1項に記載された杭式海洋構造物の施工方法。
  6. 前記躯体の外面には、橋梁上部工等の他の部材を受けて連結するための受け部を設けた請求項1乃至5のいずれか1項に記載された杭式海洋構造物の施工方法。
  7. 前記躯体の表面に防食塗装または金属ライニングを行ったか、或いはクラッド鋼を用いた請求項1乃至6のいずれか1項に記載された杭式海洋構造物の施工方法。
  8. 躯体と、
    該躯体に形成されていて杭を打設可能な杭打設用孔と、
    前記杭打設用孔を液密に封止すると共に前記杭打設用孔内に杭を挿入することで破れるようにした封止材と、
    前記躯体に形成された孔に昇降可能に挿入されていて上昇位置では前記躯体は水上にあり且つ降下位置では前記躯体は水上より上昇した波が当たらない高さ位置にあるようにしたスパッドと、
    前記躯体内に設けられていてバラスト水を注入して前記躯体の重量を増大可能なバラスト水容器とを備えていて、
    前記スパッドを降下させることで前記躯体を水面より上昇した波の当たらない高さ位置に保持し、前記杭打設用孔から杭を打設して前記躯体に固定するようにしたことを特徴とする杭式海洋構造物。
JP2012077907A 2012-03-29 2012-03-29 杭式海洋構造物の施工方法及び杭式海洋構造物 Active JP5830423B2 (ja)

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