JP5830312B2 - 端子付き電線 - Google Patents
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Description
この接続端子は、電池ケースの開口部にガスケットを介して封着される封口板の上方に突出した部分に接続する接続部(溶接部)と、リード線を取付ける取付け部、及びこれらを連結する連結部とで構成されている(特許文献1参照)。
この端子圧着装置は、端子金具の一対の電線圧着片と、電線とを圧着接続する、押圧側のクリンパと台座側のアンビルとを対向して備え、該クリンパには、該アンビルが進入するガイド溝が設けられ、該ガイド溝は、両側のテーパ状の内側面と加締部とを有し、該加締部は、一対のアーチ部と、該一対のアーチ部の交差稜線部に形成された突起部とを有する。
従って、電線圧着片に加わった力や衝撃に対する反力は、全てクリンパに跳ね返り、端子金具を圧着接続するたびに、大きな力がクリンパに伝わることとなる。
更には、電線圧着片における逃げ場を失った余肉部に対しては、高い圧力が掛かって発熱するため、高温となったクリンパと端子金具とが焼き付く等の問題も生じる。この焼付きを防ぐための油を、クリンパと端子金具との間に塗布しなくてはならず、その油の分だけコスト高になったり、塗布工程が増えて作業効率が落ちる。
電線圧着片における余肉部も逃げ場がなく、当然に電線圧着片自体にも大きな応力を掛けることとなり、更には、電線圧着片のうちクリンパと接触する部分に応力が集中し、この応力集中により加締めた電線圧着片に割れや亀裂、端子金具の歪みが生じる。
上述したような、クリンパや電線圧着片の割れ等を防止するために、圧着する力を小さくすると、電線圧着片の加締具合が甘くなり、電線が端子金具から抜け易くなる。
前記電線接続端子1を支持するアンビル型刃31と、このアンビル型刃31に電線接続端子1を上下方向に沿って押圧するクリンパ型刃32とを有し、
このクリンパ型刃32は、前記電線接続端子1とこの電線接続端子1を支持したアンビル型刃31とを押圧方向に沿って出入させるガイド溝34が形成されており、
このガイド溝34は、前記電線接続端子1及びアンビル型刃31を溝奥へ案内する左右一対の溝内壁35a、35bと、これらの溝内壁35a、35b間の溝奥に位置し且つ前記電線接続端子1の左右一対のワイヤ起立片4a、4bを押圧して湾曲状に加締めるように凹んだ左右一対のアーチ溝底36a、36bと、この左右一対のアーチ溝底36a、36bとクリンパ型刃32における前後方向の刃表面37との稜線に沿った左右一対の面取部38a、38bとを備え、
これらの面取部38a、38bは、前記ガイド溝34の溝内壁35a、35bとクリンパ型刃32の刃表面37との稜線まで延設されていて、
前記左右一対の面取部38a、38bの左右幅W1は、前記左右一対のアーチ溝底36a、36bの左右幅W2より幅広である場合もある。
前記クリンパ型刃32は、前記電線接続端子1及びアンビル型刃31に上から接近して前記左右一対のワイヤ起立片4a、4b間で電線Eの導通芯材Sを圧着固定した加締位置Uにおける面取部38a、38bの下端G1が、前記ガイド溝34に進入したアンビル型刃31のワイヤ支持部39の上端G2より下方に位置している場合もある。
前記クリンパ型刃32は、前記電線接続端子1及びアンビル型刃31に上から接近して前記面取部38a、38bの下端G1がワイヤ支持部39の上端G2より下方位置までアンビル型刃31を溝奥に進入させる溝幅W3でガイド溝34が形成されている場合もある。
この隙間dは、クリンパ型刃32に押圧されてワイヤ起立片4a、4bの前後方向における端部に生じる余肉部Aを、クリンパ型刃32側とは反対側(アンビル型刃31側)へ逃がすことが出来ると同時に、クリンパ型刃32からワイヤ起立片4a、4bに加わった力や衝撃も、隙間dを通って余肉部Aと共にアンビル型刃31側へ逃がすことが可能となる。
その結果、クリンパ型刃32に金属疲労や、内部構造の損傷などが蓄積することを抑制し、クリンパ型刃32の割れ防止や、長寿命化を図ることが可能となる。
更には、圧着されるワイヤ起立片4a、4bに掛かる応力集中を防ぐ、つまり、余肉部Aと共に隙間dを通ってアンビル型刃31側へ応力を分散させることが出来、加締めたワイヤ起立片4a、4bにおける割れ、亀裂及び歪みを抑えられる。
又、電線接続端子1及びアンビル型刃31に上から接近するクリンパ型刃32がワイヤ起立片4a、4b間で導通芯材Sを圧着固定した加締位置Uにある時に、面取部38の下端G1がアンビル型刃31のワイヤ支持部39上端G2より下方に位置している場合には、圧着される左右一対のワイヤ起立片4a、4bの左右外方の隙間dは、ワイヤ起立片4a、4bの下方位置まで延び、この隙間dが延びた分だけ、余肉部Aで生じた反力をより多く低減できる。
これは、クリンパ型刃32の押圧によって生じた余肉部Aや反力は、ワイヤ起立片4a、4bと面取部38a、38bとの間の隙間dを通ってワイヤ起立片4a、4bの下方まで回り込めることを意味し、より確実にクリンパ型刃32への反力を低減させ、ワイヤ起立片4a、4bの応力を分散させ、焼付きを防止し、電線Eの引張強度を向上できる。
尚、ガイド溝34の溝幅W3とは、左右一対の面取部38a、38bにおける溝幅であり、更に詳しくは、左面取部38aの下端G1から、右面取部38bの下端G1までの長さとなる。又、「ガイド溝34を、面取部38の下端G1がワイヤ支持部39の上端G2より下方位置までアンビル型刃31を溝奥に進入させることが可能となる溝幅W3で形成する」とは、この溝幅W3が、アンビル型刃31のワイヤ支持部39における左上端G2から右上端G2までの長さW6より大きいことの意である。
前記電線接続端子1を支持するアンビル型刃31との間で前記電線接続端子1を上下方向に沿って押圧し、この押圧方向に沿って電線接続端子1及びアンビル型刃31を出入させるガイド溝34が形成されており、
このガイド溝34は、前記電線接続端子1及びアンビル型刃31を溝奥へ案内する左右一対の溝内壁35a、35bと、これらの溝内壁35a、35b間の溝奥に位置し且つ前記電線接続端子1の左右一対のワイヤ起立片4a、4bを押圧して湾曲状に加締めるように凹んだ左右一対のアーチ溝底36a、36bと、この左右一対のアーチ溝底36a、36bと前後方向の刃表面37との稜線に沿った左右一対の面取部38a、38bとを備え、
これらの面取部38a、38bは、前記ガイド溝34の溝内壁35a、35bと前記刃表面37との稜線まで延設されていて、
前記左右一対の面取部38a、38bの左右幅W1は、前記左右一対のアーチ溝底36a、36bの左右幅W2より幅広である場合もある。
又、面取部38の下端G1をアーチ溝底36の下端G3より下方に位置させる場合には、隙間dをより下方まで延ばし、隙間dからより多くの力を逃がすことが出来、これに加えて、面取部38の面取表面40を、曲面R’を介してアーチ溝底36の底表面41と連続させる場合には、加締められたワイヤ起立片4a、4bの前後端部に形成されるベルマウス11の立ち上がりを緩やかに出来、更に応力集中を抑えること可能となる。
電線Eと、この電線Eの導通芯材Sを導電部材Bと接続させる電線接続端子1とを有する端子付き電線であって、
少なくとも表裏両面がニッケルで構成される金属板Kを加工成形した端子本体2に、この端子本体2の前端部に成形された前記導電部材Bとの溶着部3と、前記端子本体2の前後方向の中途部に成形された左右一対のワイヤ起立片4a、4bとが設けられ、
この左右一対のワイヤ起立片4a、4bは湾曲しており、前記左右一対のワイヤ起立片4a、4b間で、前記電線Eの導通芯材Sが圧着されており、
圧着された左右一対のワイヤ起立片4a、4bにおける前後方向の端部に、前後方向外方に行くにつれて拡開するベルマウス11が形成され、
このベルマウス11の左右幅W4は、前記圧着された左右一対のワイヤ起立片4a、4bにおける前後方向の中途部の左右幅W5より幅広であり、
前記端子本体2の表面は、所定の表面粗さRaを有する所定部位42と、この所定部位42より表面粗さRaが大きい非所定部位43とに分けられ、
前記ワイヤ起立片4a、4bは、このワイヤ起立片4a、4bにおける前後方向の中途部及びベルマウス11の表面に、前記所定部位42を有していることを特徴とする。
尚、本発明は、あくまで導電部材Bに溶接される溶着部3を有する電線接続端子1付きの電線E’であって、このような溶着部3を有さないコネクタハウジングのキャビティに挿入される端子金具とは、適用場面、技術思想が異なる。
本発明のような応力分散は、たとえば、ベルマウスの表面には押圧部位がない場合の応力分散と比べて、応力の分散具合が高い。
尚、ベルマウス11の表面に押圧部位がない場合、すなわち、ベルマウス11に相当する余肉部Aが、押圧するクリンパ型刃32の前後方向からはみ出て隆起した場合には、クリンパ型刃32の押圧部位と、押圧されずに生じたベルマウス11との間の境界に、応力が集中することとなる。
すなわち、ワイヤ起立片4a、4bの応力分散を行って、割れ、亀裂及び歪みを抑えると同時に、同じ金属板Kから加工成形した電線接続端子であっても、応力を分散させた方がワイヤ起立片4a、4b全体として耐え得る押圧力が上がり、より強い力でワイヤ起立片4a、4bを加締めることが可能となって、電線接続端子1に対する電線Eの引張強度を向上できる。
この「略同一」とは、本発明では、例えば、余肉部Aがクリンパ型刃32の面取部38a、38bに当って左右外方に逃げ得るのであれば、多少値が異なっても実質的に同じ値とみなせることを言う。
前記電線接続端子1を支持するアンビル型刃31と、このアンビル型刃31に電線接続端子1を上下方向に沿って押圧するクリンパ型刃32と、このクリンパ型刃32を電線接続端子1に押圧させる押圧手段33とが配備され、
前記クリンパ型刃32は、前記電線接続端子1とこの電線接続端子1を支持したアンビル型刃31とを押圧方向に沿って出入させるガイド溝34が形成されており、
このガイド溝34は、前記電線接続端子1及びアンビル型刃31を溝奥へ案内する左右一対の溝内壁35a、35bと、これらの溝内壁35a、35b間の溝奥に位置し且つ前記電線接続端子1の左右一対のワイヤ起立片4a、4bを押圧して湾曲状に加締めるように凹んだ左右一対のアーチ溝底36a、36bと、この左右一対のアーチ溝底36a、36bとクリンパ型刃32における前後方向の刃表面37との稜線に沿った左右一対の面取部38a、38bとを備え、
これらの面取部38a、38bは、前記ガイド溝34の溝内壁35a、35bとクリンパ型刃32の刃表面37との稜線まで延設されていて、
前記左右一対の面取部38a、38bの左右幅W1は、前記左右一対のアーチ溝底36a、36bの左右幅W2より幅広である場合もある。
端子付き電線E’の製造装置100には、電線Eに電線接続端子1を圧着固定する端子圧着機30が装備され、この端子圧着機30は、アプリケータとも呼ばれ、所望長さの電線Eの端部で露出した導通芯材Sに電線接続端子1を圧着固定して、電線接続端子1を電線Eの端部に電気的に接続するものである。
アプリケータ30自体は、材料である端子帯体21’を送る機構を有し且つ加締加工をするものであるから、電線接続端子1の形状やサイズ、電線Eのサイズ等に応じて製造される。
図1〜5に示されたように、電線接続端子1は、導通芯材S(導体部W)が被覆部Zで覆われた電線Eを、乾電池やボタン電池等の導電部材Bに接続する端子である。
電線Eの被覆部Zは、素材が電子線架橋ポリオレフィンや難燃架橋ポリオレフィン等である絶縁体であり、導体部Wを所定厚さで一様に覆っている。
キャリア21は、端子本体2(被覆圧着部7)後端と、キャリア連結部22によって連結されており、このキャリア連結部22の基端部近傍で、端子本体2の前後軸X上にパイロットホール(キャリアホール)23が形成されている。
尚、上述したニッケルやSUS304等は、従来の接続端子に用いられていた黄銅(真鍮)やリン青銅などの素材より硬いため、この端子本体2を加締める圧着金具(後述するワイヤクリンパ型刃32等)には、より耐久性が必要となる。
又、ニッケルメッキステンレス板の芯材であるSUS304やSUS316は、HVが180以上300以下で、HRCに換算すれば6以上30以下となるが、表面にニッケルメッキを施すことによって、無電解ニッケルメッキでは、そのメッキのHVが500以上800以下となり、HRCは49以上64以下となる。又、ワット浴、スルファミン酸浴等による電解ニッケルメッキを施した場合でも、そのメッキのHVが500近い値となり、HRCでは49前後となる。
これに対して、従来の接続端子に用いられていた黄銅のHVは、85以上145以下で、HRCに換算すれば0未満である。又、リン青銅のHVは、125以上170以下であって、HRCは0以上4以下となる。
又、上述したような高い硬度を有する金属板Kを加工成形することによって、電線Eと導電部材B(電池等)との導電性を確保しながら、端子としての強度を有するため、電池Bに溶着後、電線Eを引っ張る等をされても、曲げ応力が働き、端子本体2は容易に曲がらない。
溶着部3は、平板状(タブ状)であって、平面視で円形状に成形された円形部と、この円形部の左右幅より狭い細首状に成形された導体圧着部5との連結部分とを有している。
従って、本発明に係る電線接続端子1は、あくまで乾電池等の導電部材Bに溶接される溶着部3を有する電線接続端子1付きの電線E’である。
このセレーション凸部9には、ワイヤ起立片4a、4bを加締めた際に、導体圧着部5で電線Eに作用する押圧応力が集中し、そのセレーション凸部9に噛み合った形状の凹凸が導体部Wの導通芯材Sの表面に出来るので、電線Eは、引き抜くことは出来ない程度に導体圧着部5に確り圧着される。
更に、左右ワイヤ起立片4a、4bは、その上前端部及び上後端部(ワイヤ起立片4a、4bの起立方向先端における前後方向の端部)の両方に成形された円弧部10を有している。
このような余肉部Aが生じるのは、電線Eが押し潰されて変形して左右ワイヤ起立片4a、4b間を充填して塞ぎ、ワイヤ起立片4a、4bと導体圧着部5の底部との間で強く締めつけられるときは、導体圧着部5における前後両端縁間の中間部分が強く押し潰されて窪み、その窪み対してワイヤ起立片4a、4bの前後両端縁が、アプリケータ30の圧着工具(具体的には、後述のワイヤクリンパ型刃32の面取部38a、38b)に沿って、相対的に隆起するからである。
尚、このベルマウス11は、後述する圧着固定によって、適切なベルマウス11が形成される。
図6(a)、(b)に示すように、製造装置100は、電線E端部の被覆部Zの剥離から、電線接続端子1の圧着固定、排出までを全て自動で行う全自動式と、端部の被覆部Zが既に剥離された電線Eを、手で持って端子圧着機30にセットし電線接続端子1を圧着固定する手動式とがある。
図6(a)に示された全自動式の製造装置100は、電線送給手段101、クランプ手段102、電線切断手段103、皮むき手段104、端子供給手段105、端子圧着機30(アプリケータ)、押圧手段33(プレス)及び排出手段106とを有し、これらは、機台107上に配置されている。
電線送給手段101は、所定の長さずつ電線Eを送り出すものであって、電線Eはロール状に巻かれている。クランプ手段102は、前記電線送給手段101から送り出された電線Eを把持し、把持した電線Eを、電線切断手段103や皮むき手段104、アプリケータ30まで搬送する(後に詳解)。
この皮むき手段104で導通芯材Sが露出された電線Eに、端子供給手段105から端子帯体21’が巻回されたロールから所定長さごとに側方から供給された電線接続端子1を圧着固定するものが、アプリケータ30であって、このアプリケータ30の圧着工具(各クリンパ型刃32、53)を昇降させるものが、プレス33である。
尚、アプリケータ30によって電線接続端子1が圧着された電線E’は、排出手段106によって、製造装置100から排出される。
又、全自動式の製造装置100は、電線Eにおける片側の端部に電線接続端子1を圧着固定するだけでなく、両端に圧着固定するタイプであっても良い。
一方、図6(b)は、手動式の製造装置100を示し、別工程にて、電線Eの所定長さの切断や端部の被覆部Zの剥離を行うため、全自動式における電線送給手段101、クランプ手段102、電線切断手段103、皮むき手段104、排出手段106を有していない。
図7、8に示すように、アプリケータ30は、各部を搭載する基板であるベース51、このベース51上に立設された柱状の構造体であるホルダ柱体52、このホルダ柱体52で保持され電線接続端子1を支持するアンビル型刃31と、このアンビル型刃31に近接離反可能でワイヤ起立片4a、4bを湾曲状に加締めるクリンパ型刃32(ワイヤクリンパ型刃)と、このワイヤクリンパ型刃32に隣接配置されてインスレーション起立片6a、6bを湾曲状に加締めるインスクリンパ型刃53と、前記アンビル型刃31に隣接配置されて端子帯体21’におけるキャリア21から電線接続端子1を切断するスライドカッタ54と、このスライドカッタ54を押し下げるカットオフパンチ55と、前記アンビル型刃31と各クリンパ型刃32、53とで加締固定する加締位置Uへ端子帯体21’を送り出す端子フィード機構56とを有している。
又、アプリケータ30は、電線Eの供給や位置決めをする上述のクランプ手段102と一緒に用いられる。
又、アプリケータ30の上下方向は加締位置Uにおける電線接続端子1の上下方向と略同一方向であり、アプリケータ30の左右方向は加締位置Uにおける電線接続端子1の左右方向と略同一方向であり、アプリケータ30の前後方向は加締位置Uにおける電線接続端子1の前後方向と略同一方向である。
ホルダ柱体52後面には、上下にスライド可能なシャンク59が取付けられており、このシャンク59は、ラム60を介して押圧手段33(プレス)に連結され、このプレス33によってシャンク59が昇降される。
従って、シャンク59がプレス33によってラム60を介して昇降されると、昇降するシャンク59と一体的に、リホーマ62、スペーサ63、ワイヤクリンパ型刃32、インスクリンパ型刃53、電線押え部材64及びカットオフパンチ55も昇降する。
図10(a)に示すように、アンビル型刃31は、金属製で平板状の型刃であって、正面視で略矩形状のアンビル基部65と、このアンビル基部65上面の左右方向中央から上方へ直線状に延設されたアンビル上部66とを有しており、これらアンビル基部65及びアンビル上部66全体で正面視逆T字状に形成されている。
アンビル上部66の上前部には電線接続端子1のワイヤ起立片4a、4bを支持するワイヤ支持部39が形成され、このワイヤ支持部39の後方に左右方向に延びる横溝66aが形成され、この横溝66aの後方で且つアンビル上部66の上後部には電線接続端子1のインスレーション起立片6a、6bを支持するインス支持部67が形成されている。
尚、各ワイヤ凸部39bの上面は、平面状であって、アンビル型刃31をアプリケータ30に取り付けた際に略水平状となるように形成されている(図10(b))。
インス支持部67の上面にも、湾曲状の凹みが前後方向に延びるインス中央溝67aと、このインス中央溝67aの左右両側に隆起したインス凸部67bとが形成され、インス中央溝67a及び左右のインス凸部67bを合わせたインス支持部67の左右幅は、加締めた後の電線接続端子1における被覆圧着部7の左右幅と略同一である。
このようなアンビル型刃31は、加締める電線接続端子1を下から支持可能に構成されている。
又、ワイヤクリンパ型刃32は、上述したように、そのロックウェル硬度HRCが、少なくとも52以上、好ましくは60以上70以下の非常に高い硬度の素材であることが求められる。
超硬合金は、硬質の金属炭化物の粉末を焼結して作られる合金であって、代表的なものとしては、炭化タングステン(WC、タングステン・カーバイド)と結合剤(バインダ)であるコバルト(Co)とを混合して焼結したWC−Co合金や、WC−TiC−Co合金、WC−TaC−Co合金などがある。
超硬合金の耐摩擦性を一層高めるために、ワイヤクリンパ型刃32において特に応力が掛かる部分(後述のワイヤクリンパ下部69や、ガイド溝34周辺など)の表面に、他の硬質物質をコーティング(化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD))しても良い。この硬質物質としては、例えば、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)、チタンアルミナイトライド(TiAlN)などがある。
高速度鋼の種類としては、タングステン系高速度工具鋼鋼材(JIS−G−4403におけるSKH2〜4、10)や、モリブデン系高速度工具鋼鋼材(JIS−G−4403におけるSKH40、50〜59)等がある。
ワイヤクリンパ型刃32は、正面視で略矩形状のワイヤクリンパ上部68と、このワイヤクリンパ上部68下端から下方へ延設されたワイヤクリンパ下部69とを有している。
ワイヤクリンパ上部68には、中央を前後方向に貫通するビス孔68aが設けられており、このビス孔65aを通るビス等の固定手段は、前方にあるスペーサ63、リホーマ62及びリホーマガイド61も通って、ワイヤクリンパ型刃32がホルダ柱体52に取り付けられている。
ガイド溝34は、左右一対の溝内壁35a、35bと、これらの溝内壁35a、35b間の溝奥に位置した左右一対のアーチ溝底36a、36bと、この左右一対のアーチ溝底36a、36b及び溝内壁35a、35bの前後の角を面取りした左右一対の面取部38a、38bとを備えている。
又、溝内壁35a、35bによって案内された電線接続端子1のワイヤ起立片4a、4bがスムースに加締められるように、溝内壁35a、35bの上端と、アーチ溝底36a、36bの下端G3とは滑らかに連続している。
又、左右のアーチ溝底36a、36bの間の稜線に沿って、下方へ突出する中央突起36cが形成されており、この中央突起36cの下端G4は、左右アーチ溝底36a、36bの下端G3(つまり、アーチ溝底36a、36bと溝内壁35a、35bとの交点G3)よりも上方に位置している。
従って、このクリンプワイドW’と左右のアーチ溝底36a、36bの左右幅W2は、略同一である。
この面取部38a、38bは、アーチ溝底36a、36b及び溝内壁35a、35bとワイヤクリンパ型刃32における前後方向の刃表面37との稜線に沿った角を面取りして円弧状に形成されている。
つまり、左右の面取部38a、38bは、アーチ溝底36a、36bの下端G3までに止まらず、この下端G3よりも更に下方まで延びており、ガイド溝34の溝内壁35a、35bとワイヤクリンパ型刃32の刃表面37との稜線まで延設されている。
又、正面視において、面取部38a、38bの上縁(刃表面37との境界縁)が成す円弧と、アーチ溝底36a、36bが成す円弧との間の距離(半径の差Δr)は、中央突起36c付近からアーチ溝底36a、36bの下端G3の左右外方位置G5まで、所定の値で略一定となっている。
つまり、左面取部38aの左外方位置G5から右面取部38bの右外方位置G5までの距離が、左右一対の面取部38a、38bの左右幅W1となり、この左右幅W1は、左右一対のアーチ溝底36a、36bの左右幅W2(左のアーチ溝底36aの左下端G3から右のアーチ溝底36bの右下端G3までの距離)より幅広である。
更に、後述する圧着第4工程にて詳解するが、図12(a)に示した如く、ワイヤクリンパ型刃32と電線接続端子1の左右ワイヤ起立片4a、4bが加締位置Uにある時において、ワイヤクリンパ型刃32の面取部38の下端G1は、ワイヤ支持部39の上端G2より下方に位置するように、面取部38a、38bが形成されている。
更に、これは当然に、ワイヤクリンパ型刃32の面取部38a、38bの下端G1が、アーチ溝底36a、36bの下端G3より下方に位置していることも表している。
このように、面取部38a、38bの面取表面40と、アーチ溝底36a、36bの底表面41とを滑らかに連続させた場合には、面取部38a、38bを切削や研磨等をした後、もう一度、切削や研磨等をすることとなる。
このインスクリンパ型刃53の下部にも、電線接続端子1及びアンビル型刃31とが出入可能なガイド溝70が形成されており、このガイド溝70も、溝奥に左右一対のアーチ溝底が備えられている。
スライドカッタ54の上面には、圧着時に電線Eが置かれる溝部54bと、カットオフパンチ55下部から下方突出した突出部55aが当たる当接面54cとが形成されている。
送り溝54dの上方の部分は切断刃54eとなっており、この切断刃54eの下エッジ54fによって、端子帯体21’におけるキャリア連結部22を切断して、キャリア21から電線接続端子1(端子本体2)を切り離す。
図13に示したように、クランプ手段102は、アプリケータ30の正面に配置され、電線Eが保持されるクランプ102aと、クランプ開閉用のカム機構や同カム機構を駆動するシリンダ等が収容されているクランプ駆動機構102bと、クランプ102aやクランプ駆動機構102bを保持するクランプ搬送テーブル102cを有している。
クランプ102a及びクランプ駆動機構102bは、搬送テーブル102cに上下移動可能に取付けられており、電線Eは、端子圧着のために、クランプ102aによりアプリケータ30内に搬送される。
次に、製造装置100におけるアプリケータ30やクランプ手段102を用いて電線接続端子1を圧着する工程について詳しく説明する。
第1工程:アンビル型刃31と各クリンパ型刃32、53との間に、電線Eの端部における露出した導通芯材S及び被覆部Zを送り込む。
第2工程:アンビル型刃31と各クリンパ型刃32、53との間に、電線接続端子1を位置させる。
第3工程:電線Eを加締位置Uまで下降させる。
第4工程:各クリンパ型刃32、53及びカットオフパンチ55を下降させて電線接続端子1を圧着すると共に、キャリア21から電線接続端子1を切り離す。
第5工程:各クリンパ型刃32、53及びカットオフパンチ55を上昇させると共に、アンビル型刃31と各クリンパ型刃32、53との間から、電線接続端子1付きの電線Eを送り出す。
図13に示すように、クランプ102aにより、電線Eをアプリケータ30内へ送りこむ。
このとき、電線Eにおいて被覆部Zが剥ぎ取られた導通芯材S(導体部W)は、アンビル型刃31のワイヤ支持部39とワイヤクリンパ型刃32との間に位置し、電線E端部における被覆部Zの非剥離部分は、アンビル型刃31のインス支持部67とインスクリンパ型刃53との間に位置している。
図14(a)、(b)に示したように、電線Eを送り込んだ後に、プレス33が下降し始めてシャンク59が下方にスライドする。
このシャンク59の下降に伴なって、端子フィード機構56(図7参照)が作動して、端子帯体21’に連結された電線接続端子1をアプリケータ30内に送り込む。
そして、端子帯体21’におけるキャリア連結部22は、送り溝54d上方の切断刃54eにおける下エッジ54fの下方に位置する。
図15に示すように、プレス33が更に下降することによって、ワイヤクリンパ型刃32、インスクリンパ型刃53及びカットオフパンチ55も一体的に下降すると共に、クランプ手段102における押し棒33aがクランプ102aに当接して、電線Eが下降し始める。
下降する電線Eは、電線接続端子1における各起立片4a、4b、6a、6bによる加締位置Uまで降りた際に停止する。このとき、電線Eの露出した導通芯材Sは、左右ワイヤ起立片4a、4b間に位置し、電線Eの被覆部Zの非剥離部分は、左右インスレーション起立片6a、6b間に位置している。
図16に示すように、電線E及び電線接続端子1が加締位置Uで停止した後も、プレス33が更に下降し、カットオフパンチ55の突起部55aが、当接面54cに当接してスライドカッタ54を押し下げ始める。
このスライドカッタ54の押下げと平行して、ワイヤクリンパ型刃32におけるガイド溝34内へ、電線接続端子1(特に、ワイヤ起立片4a、4b)及びアンビル型刃31のワイヤ支持部39が進入する。
更に、ワイヤクリンパ型刃32が下降することで、左右のワイヤ起立片4a、4bは、先端部が溝奥にある左右アーチ溝底36a、36bに当接し、左右ワイヤ起立片4a、4b全体が湾曲状に加締められる。このとき、各ワイヤ起立片4a、4bにおける前後軸Xに直交する断面の形状は、略F字状となっている(Fクリンプ)。
この隙間dは、平面視において、ワイヤ起立片4a、4bの左右外側面と、面取部38a、38bの面取表面40とに囲まれた略くさび形の空隙である(図12(b)参照)。
このような隙間dが、電線接続端子1をワイヤクリンパ型刃32で押圧した際に生じることで、ワイヤ起立片4a、4bの前後方向における端部に生じる余肉部Aが、隙間dを通って、アーチ溝底36a、36bの下端G3よりも下方へ移動することが可能となり、余肉部Aがワイヤクリンパ型刃32から離れる方向(アンビル型刃31側)へ逃がすことが出来る。
従って、ワイヤ起立片4a、4bに加わった力や衝撃によって生じる力(反力)のうち、ワイヤクリンパ型刃32に跳ね返る反力を低減させることが出来、ワイヤクリンパ型刃32への反力の低減は、何万回、何十万回と押圧させた際には、積み重なって大きな差となる。
従って、ワイヤクリンパ型刃32の飛躍的な長寿命化が図れると同時に、メンテナンスの容易化や、ワイヤクリンパ型刃32の取替頻度の低下による経済性の向上が図れる。
ワイヤクリンパ型刃32への反力が、ワイヤクリンパ型刃32に金属疲労や、内部構造の損傷などとして蓄積されることを抑制し、ワイヤクリンパ型刃32の割れ防止や、長寿命化を図ることが可能となる。
更には、余肉部Aをワイヤ起立片4a、4bの左右外方からアンビル型刃31側へ逃がせば、当然に、余肉部Aに掛かる圧力も下がって発熱も抑えられるため、焼付き防止を実現でき、塗布する油を減らす又は無くすることが可能となるため、油コストの低減や作業効率の向上が図れる。
これによって、上述した隙間dは、ワイヤ起立片4a、4bの下方位置まで延び、この隙間dが延びた分だけ、余肉部Aで生じた反力をより多く低減できる。
これは、ワイヤクリンパ型刃32の押圧によって生じた余肉部Aや反力は、ワイヤ起立片4a、4bと面取部38a、38bとの間の隙間dを通ってワイヤ起立片4a、4bの下方の空間Cまで回り込めることを意味し、より確実にワイヤクリンパ型刃32への反力を低減させことが可能となる(回り込んだ力F”)。
1つは、圧着されるワイヤ起立片4a、4bにおいても応力集中を防ぎ、余肉部Aと共に隙間dを通ってアンビル型刃31側へ応力を分散させることも可能となるので、加締められる側のワイヤ起立片4a、4bにおける割れ、亀裂及び歪みも抑えられる。
これに加え、ワイヤクリンパ型刃32の面取部38a、38bによって、電線接続端子1のワイヤ起立片4a、4bに形成されるベルマウス11にもメリットがある。
逆に、半径Rが大き過ぎる場合、円弧部10は、左右ワイヤ起立片4a、4bの合わせ目近くの左右中央に位置しており、この合わせ目付近では、円弧部10の分だけ、ベルマウス11の余肉部Aが余計に余ることとなる。
尚、半径Rは、適切にベルマウス11が形成されるのであれば、何れの値でも良いが、端子本体2を形成する金属板Kの厚さTが0.10mm以上0.30mm以下である場合には、ワイヤ起立片4a、4bに成形された円弧部10は、半径Rを0.10mm以上0.40mm以下の範囲内で設定すると良い。
つまり、ベルマウス11の左右幅W4は、ワイヤ起立片4a、4bにおける前後方向の中途部の左右幅W5より幅広となり、ワイヤクリンパ型刃32の押圧によって生じるワイヤ起立片4a、4b前後端の余肉部Aは、面取部38a、38bに沿って、アーチ溝底36a、36bの上方へ逃がされるだけでなく、左右外方にも逃がされることとなる。
尚、本発明は、あくまで導電部材Bに溶接される溶着部3を有する電線接続端子1付きの電線E’であって、このような溶着部3を有さないコネクタハウジングのキャビティに挿入される端子金具とは、適用場面、技術思想が異なり、ベルマウス11の左右幅W4を、ワイヤ起立片4a、4bにおける前後方向の中途部の左右幅W5より幅広としても、コネクタハウジングのキャビティ内壁に引っ掛かる等の不都合は生じない。
このような面取部38a、38bの左右幅W1を有するが故に、ワイヤ起立片4a、4bと左右一対の面取部38a、38bとの間に隙間dが生じ、この隙間dを通って、ワイヤ起立片4a、4bの余肉部Aが、面取部38a、38bに当たりながら左右外方に逃げることとなり、余肉部Aを逃がした分だけ、ワイヤ起立片4a、4bの応力集中を防ぐことが出来る。
詳しく述べれば、電線接続端子1の元と成る金属板Kの厚さTが同一であれば、押圧力への耐久性も本来同一であるが、ワイヤ起立片4a、4bの左右外方に隙間dがある場合は、余肉部Aを下方へ逃がすことが出来るため、ワイヤ起立片4a、4bに掛かる応力を分散できる。
従って、隙間dがない場合に、隙間dがある場合と同じ押圧力を掛けたとすると、応力集中が起こる分だけ、ワイヤ起立片4a、4bに亀裂や割れ等が生じる。
又、電線Eの引張強度や押圧力への耐久性は、ワイヤ起立片4a、4bに残る押圧部位42の範囲からも判断できる。
尚、表面粗さRaとは、輪郭曲線の算術平均高さであって、基準長さにおける高さ(Z)の絶対値の平均であって、さらに詳しくは、輪郭曲線を高さの中心線(高さの平均値)から折り返し、輪郭曲線と中心線によって得られた面積を基準長さで割った値を、マイクロメートル(μm) で表わしたものである。
又、表面粗さRaは、表面における凹凸差とも言え、押圧部位42は、非押圧部位43に比べて、表面における凹凸差が小さい。
従って、端子本体2の表面粗さRaは、0.1μm以上10μm以下、好ましくは、0.2μm以上1.0μm以下、更に好ましくは、0.3μm以上0.8μm以下である。
当然に、ワイヤクリンパ型刃32で押圧されていない非押圧部位43における端子本体2の表面粗さRaも、端子本体2本来の表面粗さRaと等しくなる。
又、実際の端子本体2の表面粗さRaは、上述した範囲内に入る値であっても、個々の端子本体2ごとに多少異なるが、1つの端子本体2における押圧部位42の表面粗さRaは、同じ端子本体2における非押圧部位43の表面粗さRaよりも、ワイヤクリンパ型刃32等の圧着工具によって押圧された分だけ、表面粗さRaの値が小さくなる。
従って、端子本体2の表面には、ワイヤクリンパ型刃32に接触せず表面が押圧されない部位(非押圧部位43)も存在するため、端子本体2の表面は、ワイヤクリンパ型刃32の押圧によって、押圧部位42と、この押圧部位42より表面粗さRaが大きい非押圧部位43とに分けられる。
このベルマウス11表面に生じた押圧部位42は、ワイヤクリンパ型刃32における面取部38a、38bに当って形成されており、ワイヤ起立片4a、4bを加締め且つベルマウス11を形成する時に掛かる押圧力Fを、ワイヤ起立片4a、4b及びベルマウス11における押圧部位42全体で受け止めることとなり、ワイヤ起立片4a、4bに生じる応力が分散される。
尚、ベルマウス11の表面には押圧部位が生じない場合、つまり、ワイヤクリンパ型刃32の厚さtが、ワイヤ起立片4a、4bの前後長さLより薄く、ベルマウス11に相当する余肉部Aが押圧するワイヤクリンパ型刃32の前後方向からはみ出て隆起した場合には、ワイヤクリンパ型刃32の押圧部位と、押圧されずに生じたベルマウス11との間の境界に、応力が集中する。
例えば、前後のベルマウス11のうち溶着部3側(前側)の前ベルマウス11について詳解すれば、図4、5に示すように、ワイヤ起立片4a、4bの前後中途部の左右幅W5と、溶着部3の左右幅には幅の差がある。
このような幅の拡がり具合を電線接続端子1が持つため、ワイヤ起立片4a、4bを加締められても、圧着による金属板Kの変形を前ベルマウス11が吸収することとなり、圧着固定時の溶着部3の歪みを抑制することが出来る。
これと同様に、後ベルマウス11が、ワイヤ起立片4a、4bの前後中途部とインスレーション起立片6a、6bの間に位置するため、ワイヤ起立片4a、4bからインスレーション起立片6a、6bにかけて緩やかに幅広となり、圧着固定による歪みがインスレーション起立片6a、6b側に伝わるのを抑えている。
インスクリンパ型刃53におけるガイド溝70内へ、電線接続端子1のインスレーション起立片6a、6b及びアンビル型刃31のインス支持部67が進入し、インスクリンパ型刃53の左右一対のアーチ溝底がインスレーション起立片6a、6bに当たって、電線Eにおける被覆部Zの非剥離部分を加締めることが出来る。
キャリア連結部22が切断されることで、送り溝54d内のキャリア21と、アンビル型刃31上の電線接続端子1及び電線Eに分かれる。
このようにカットオフタブの長さが抑えられるのは、キャリア21に形成されたパイロットホール23によって端子本体2及びキャリア21の位置がコントロールされており、加締及び切断時における端子本体2の位置ズレがほぼ無いためである。
圧着完了後、プレス33がシャンク59を上昇させることによって、シャンク59に一体的に取り付けられている各クリンパ型刃32、53及びカットオフパンチ55も上昇する。
この各クリンパ型刃32、53及びカットオフパンチ55の上昇と同期して、電線Eを把持するクランプ102aも所定距離だけ上昇し、電線接続端子1が圧着固定された電線E’を、アンビル型刃31と各クリンパ型刃32、53との間から送り出す。
その際、端子圧着機30,アンビル型刃31、クリンパ型刃32における上方、下方、上端、下端等の上下関係は、上下逆となる。
セレーション凸部9は、1つでも良く、ワイヤ起立片4a、4bの前後長さL、又は導体圧着部5の前後長さ内に成形可能であるならば、3つ以上でも良い。
又、ベルマウス11は、電線Eの導体部Wが導通芯材Sを撚り合わせた撚線である場合には、導通芯材Sから離れるように拡径しており、導通芯材Sが適度に歪むことを妨げないため、導通芯材Sに自然な撚り目を持たせることが可能となる。
2 端子本体
3 溶着部
4a、4b 左右一対のワイヤ起立片
10 ワイヤ起立片の円弧部
11 ワイヤ起立片のベルマウス
30 端子圧着機(アプリケータ)
31 アンビル型刃
32 クリンパ型刃(ワイヤクリンパ型刃)
33 押圧手段(プレス)
34 ガイド溝
35a、35b 溝内壁
36a、36b アーチ溝底
37 クリンパ型刃の刃表面
38a、38b 面取部
39 ワイヤ支持部
40 面取部の面取表面
41 アーチ溝底の底表面
42 押圧部位
43 非押圧部位
100 端子付き電線の製造装置
E 電線
E’ 端子付き電線
W 電線の導通芯材
B 導電部材
K 金属板
W1 左右一対の面取部の左右幅
W2 左右一対のアーチ溝底の左右幅
W3 ガイド溝の溝幅
W4 ベルマウスの左右幅
W5 左右一対のワイヤ起立片における前後方向の中途部の左右幅
L ワイヤ起立片の前後長さ
t クリンパ型刃の厚さ
Claims (2)
- 電線(E)と、この電線(E)の導通芯材(S)を導電部材(B)と接続させる電線接続端子(1)とを有する端子付き電線であって、
少なくとも表裏両面がニッケルで構成される金属板(K)を加工成形した端子本体(2)に、この端子本体(2)の前端部に成形された前記導電部材(B)との溶着部(3)と、前記端子本体(2)の前後方向の中途部に成形された左右一対のワイヤ起立片(4a、4b)とが設けられ、
この左右一対のワイヤ起立片(4a、4b)は湾曲しており、前記左右一対のワイヤ起立片(4a、4b)間で、前記電線(E)の導通芯材(S)が圧着されており、
圧着された左右一対のワイヤ起立片(4a、4b)における前後方向の端部に、前後方向外方に行くにつれて拡開するベルマウス(11)が形成され、
このベルマウス(11)の左右幅(W4)は、前記圧着された左右一対のワイヤ起立片(4a、4b)における前後方向の中途部の左右幅(W5)より幅広であり、
前記端子本体(2)の表面は、所定の表面粗さRaを有する所定部位(42)と、この所定部位(42)より表面粗さRaが大きい非所定部位(43)とに分けられ、
前記ワイヤ起立片(4a、4b)は、このワイヤ起立片(4a、4b)における前後方向の中途部及びベルマウス(11)の表面に、前記所定部位(42)を有していることを特徴とする端子付き電線。 - 前記ワイヤ起立片(4a、4b)は、この起立方向の先端における前後方向の端部に円弧部(10)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線。
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