JP5828809B2 - 加熱調理可能な介護食用加工食品材料 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱調理が可能で、ユニバーサルデザインフード3(UDF3)区分のやわらかさを持つ、介護食用途に使用可能な通常の食品材料を代替し得るゼリータイプの加工食品材料(食材)に関する。
加齢や疾病などにより咀嚼や嚥下機能が低下する場合があり、特に嚥下機能の低下は誤嚥性肺炎や脱水などの原因となる。これらの理由から高齢者、要介護者向けの食べやすい、飲みやすい食品の開発が求められている。
現在用いられている、高齢者用食品及び咀嚼・嚥下困難者用食品としては、やわらか食・きざみ食、ミキサー食、とろみ調整食品、濃厚流動食等が例として挙げられる(非特許文献1等を参照)。これらの食品においては、やわらかく、咀嚼物が程よく凝集し、飲み込みやすいこと等が重要な要素として求められる。
このような食品の1つとして、寒天やグアーガムなどの食用多糖類を利用したゼリー状食品がある。このような食用多糖類は比較的柔らかく、適度な保水性を持つことから咀嚼・嚥下困難者用食品用途に適しており、食感の柔らかい果物を寒天等で固めたゼリー状食品は高齢者、要介護者にも好まれる。
しかし室温下でも食感が柔らかい食材、スジや繊維カスの生じにくい食材については応用可能であるが、例えば繊維の多い野菜類等を用いた場合、咀嚼後に口内に残存した繊維カスを睡眠中に誤嚥し、それが原因で肺炎を生じる等の事故も起こりうる。肺炎を原因とした65歳以上の死亡率は90%以上にも達し、誤嚥性肺炎はその主要因であることからも、高齢者や要介護者用途の食品開発で対策が重要なことが伺える。
また、従来のゼリー状食品の多くは加熱調理等の、強い加熱に耐えることができなかった。このため嗜好品としては十分であっても食事における通常の食材の代替食材とするには不十分であった。一方、特許文献1(特許第3182543号公報)ではグルコマンナンを用いた耐熱性のゼリーに関する報告がなされているが、従来のゲル化剤の代わりにグルコマンナンを用いて作成した場合、加熱には耐えるものの高齢者食、介護食用途で重要となるやわらかさや口内での凝集性等が不十分であり、嚥下時に喉につまり窒息を招くなどの危険性があった。
特許第3182543号公報
日本食品化学工学会誌, 55(11), 522-528
本発明は、加熱調理耐性があり、UDF3区分に適用するゼリータイプの介護用途に使用可能な、通常の食品材料を代替し得る代替加工食品材料(食材)を提供することを目的とする。本発明の加工食品材料は、加熱調理後でも立体形状を保ちつつ、ゼリータイプ介護用食品で問題となりがちな、口内残渣の誤嚥に起因する誤嚥性肺炎等の防止等にも、存物誤嚥等の介護上のトラブルにも配慮しており、本発明の加工食品材料の提供は高い産業応用性を持つと考えられる。
本発明者は、従来のゼリー状食品の問題点を踏まえ、加熱調理が可能なゼリータイプの介護食用途に用いることができる食品材料の新たな開発について鋭意検討を行った。
食品原材料をいったん完全冷凍した後、−20℃以上2℃以下の条件下で食材を半冷凍/半解凍状態とし、食材の繊維が一定の大きさ以上にならないように押し出し・剪断式粉砕方式で裁断、ペースト化した食品原材料を、膨潤処理済みマンナンを主体とするゲル化剤、加工デンプンからなる補助ゲル化剤及びその他副原料と適正比で混合し、完全に均一化したものを60℃以上、100℃以下で加熱し、さらに再度冷凍処理することで、最終形態のやわらかさがUDF3区分を満たし、かつ、加熱調理時の立体形状を保つゼリー状加工食品材料を製造し得ることを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 加熱調理可能なゼリータイプの介護食用加工食品材料であって、
食品原材料を裁断して得られるペースト状食品原材料、マンナンを主体としたゲル化剤、及び補助ゲル化剤である加工デンプンを混合して含み、加熱調理しても崩れることなく元の形状及びかたさを保持する、介護食用加工食品材料。
[2] 加熱調理可能なゼリータイプの介護食用加工食品材料であって、
食品原材料を裁断して得られるペースト状食品原材料、マンナンを主体としたゲル化剤、及び補助ゲル化剤である加工デンプンを混合して含み、150℃以上の温度で加熱調理しても崩れることなく元の形状及びかたさを保持する、[1]の介護食用加工食品材料。
[3] 加熱調理可能なゼリータイプの介護食用加工食品材料であって、
該加工食品材料の重量に対して5〜60重量%の食品原材料を裁断して得られるペースト状食品原材料、前記加工食品材料の重量に対して0.1〜2重量%のマンナンを主体としたゲル化剤、及び前記加工食品材料の重量に対して1〜10重量%の補助ゲル化剤である加工デンプンを混合して含み、150℃以上の温度で加熱調理しても崩れることなく元の形状及びかたさを保持する、[1]の介護食用加工食品材料。
[4] テクスチャーアナライザーを用い、介護食用加工食品材料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込んだ際の荷重値が20,000 N/m2以下であるという特性を有する、[1]〜[3]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[5] 食品原材料を裁断して得られるペースト状食品原材料の裁断粒子がマンナンを主体としたゲル化剤及び補助ゲル化剤である加工デンプンを介して結合している、[1]〜[4]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[6] 食品原材料に含まれる繊維質が平均粒径500μm以下の大きさに剪断されている、[1]〜[5]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[7] 150℃以上の温度で煮る、蒸す、焼く、又は揚げることにより加熱調理することができる、[1]〜[6]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[8] テクスチャーアナライザーを用い、介護食用加工食品材料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込むことにより測定したときの凝集性が0〜1.0であり、付着性が1,000J/m3以下であり、口腔内に誤嚥性肺炎の原因となる食品残渣が残存しにくい、[1]〜[7]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[9] マンナンを主体としたゲル化剤が、こんにゃく粉又はグルコマンナンである、[1]〜[8]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[10] 食品原材料が、青果物、魚介類の肉、畜肉、卵、芋類、穀物及び海藻からなる群から選択される、[1]〜[9]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[11] 加熱調理可能なゼリータイプの介護食用加工食品材料の製造方法であって、
食品原材料を裁断して得られるペースト状食品原材料、マンナンを主体としたゲル化剤、補助ゲル化剤である加工デンプン及びその他の副原料を、前記ペースト状食品原材料が5〜60重量%、前記マンナンを主体としたゲル化剤が0.1〜2重量%、及び補助ゲル化剤である加工デンプンが1〜10重量%含まれるように混合し、加熱し凝固させることを含む、製造方法。
[12] 食品原材料を完全に冷凍した後に半冷凍状態とし、押し出し・剪断式粉砕方式を用いて10mm以下のメッシュを通過させることにより食品原材料をペースト状にする、[11]の製造方法。
[13] マンナンを主体としたゲル化剤が、こんにゃく粉又はグルコマンナンである、[11]又は[12]の製造方法。
[14] 食品原材料が、青果物、魚介類の肉、畜肉、卵、芋類、穀物及び海藻からなる群から選択される、[11]〜[13]のいずれかの製造方法。
[15] [11]〜[14]のいずれかの方法で製造される、150℃以上の温度で加熱調理しても崩れることなく元の形状及びかたさを保持する、介護食用加工食品材料。
[16] テクスチャーアナライザーを用い、介護食用加工食品材料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込んだ際の荷重値が20,000 N/m2以下であるという特性を有する、[15]の介護食用加工食品材料。
[17] 食品原材料を裁断して得られるペースト状食品原材料の裁断粒子がマンナンを主体としたゲル化剤及び補助ゲル化剤である加工デンプンを介して結合している、[15]又は[16]の介護食用加工食品材料。
[18] 食品原材料に含まれる繊維質が平均粒径500μm以下の大きさに剪断されている、[15]〜[17]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[19] 150℃以上の温度で煮る、蒸す、焼く、又は揚げることにより加熱調理することができる、[15]〜[18]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[20] テクスチャーアナライザーを用い、介護食用加工食品材料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込むことにより測定したときの凝集性が0〜1.0であり、付着性が1,000J/m3以下であり、口腔内に誤嚥性肺炎の原因となる食品残渣が残存しにくい、[15]〜[19]のいずれかの介護食用加工食品材料。
[21] [1]〜[10]及び[15]〜[19]のいずれかの介護食用加工食品材料を材料として用いて調理した介護食用食品。
本発明のゼリータイプの加工食品材料は、加熱調理可能であり、加熱調理後でも立体形状を保つ。また、原材料として用いる青果物や肉の配合比が高く、原材料が元々有する風味や栄養成分を保持している。さらに、ユニバーサルデザインフード3(UDF3)区分のやわらかを有する。また、咀嚼後の口腔内での凝集性に優れ、残渣が口腔内に残りにくいので、誤嚥の危険性が小さく、誤嚥性肺炎を引き起こす危険も小さい。従って、咀嚼及び嚥下能力が低下した要介護者のための介護用食品の材料として用いることができる。
凝集性及び付着性の算出方法を示す図である。 障害の程度と食品物性を示す図である。 食品原材料としてダイコンを含むゼリータイプの介護食用加工食品材料を180℃に加熱した油で揚げた加熱調理食品の様子を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ゼリータイプの加工された加工食品材料であり、咀嚼困難者及び高齢者向けの介護食用の、通常用いている食品材料(食材)の代替材料として用い得る加工食品材料である。該加工食品材料は加熱調理可能であり、加熱調理後でも形状が崩れることなく、一定のかたさを維持しつつ形状を保つ。ここで、介護食とは、高齢者や病人等の介護を必要とする者であって、咀嚼や嚥下が困難な者に供する咀嚼や嚥下が容易な食事をいう。また、本発明の方法で製造した加工食品材料は、適度な歯ごたえも有し、生後5、6ヶ月〜1歳半程度の離乳期の乳幼児の離乳食用の材料として用いることもできる。
本発明において、「ゼリータイプの加工食品材料」は植物や藻類系の精製された食物繊維をゲル化剤として用いて、食品原材料を凝固させたゲル状の形態を有する加工食品材料をいう。植物や藻類系の精製された食物繊維としては、マンナンを主体とした食物繊維が挙げられ、こんにゃく(Amorphophallus konjac)の粉末、こんにゃくの食物繊維であるグルコマンナン等を含む。「ゼリー」はゲル状の形態を有する点で、ペースト状の「ムース」とは異なる。
本発明のゼリータイプの加工食品材料は、食品原材料を裁断しペースト化したものを、上記のゲル化剤、加工デンプンからなる補助ゲル化剤、その他の副原料及び水と混合し、凝固させることにより製造できる。原材料の配合は、最終的に得られるゼリータイプの加工食品材料が、最終形態のやわらかさがUDF3区分を満たし、かつ、加熱調理時の立体形状を保つという特徴を有するような配合である。
用いる食品原材料は、限定されず、食用となるすべてのものを含む。好ましくは、青果物(野菜類及び果物類)、魚肉等の魚介類の肉、畜肉、卵、芋類、穀物、海藻、キノコ等であり、さらに好ましくは青果物、特に好ましくは野菜類である。青果物の種、魚介類の種、畜肉の種、品種には制限はない。具体的には、例えば、野菜類として、ダイコン、タマネギ、ハクサイ、長ネギ、ニンジン、ブロッコリー、カリフラワー、トマト、ホウレンソウ、キャベツ、ゴボウ、サトイモ、レンコン、インゲン、カボチャ、コマツナ等が挙げられ、果物として、リンゴ、ナシ等が挙げられ、魚介類として、アジ、エソ、ヒメジ、紅鮭、さば、ホキ等の魚類、アワビ、サザエ、ミルガイ、エビ、カニ、タコ、イカ、ナマコ、クラゲ等の貝類やその他の水産動物等が挙げられ、畜肉として、鶏肉、牛肉、豚肉、羊肉等が挙げられ、卵は、卵製品も含む。芋類として、ジャガイモ、サツマイモ等が挙げられ、穀類としてダイズ、ソラマメ等が挙げられ、海藻としてワカメ、コンブ、ヒジキ等が挙げられ、キノコとしてシイタケ、シメジ、マツタケ、マイタケ、エリンギ等が挙げられる。
上記の食品原材料は、余分な水分を除去した後、一旦完全に冷凍(凍結)した後、食品原材料の温度を上昇させ半冷凍又は半解凍状態とする。ここで、「完全に冷凍」とは食品材料の繊維内に氷の結晶が生成される温度(最大氷結晶生成帯温度)よりはるかに低い温度で貯蔵することをいう。最大氷結晶生成帯温度は食品材料により異なるが、一般的に0℃から-5〜-7℃の範囲をいう。本発明においては、冷凍は、具体的には-30℃以下の温度での貯蔵をいう。半冷凍又は半解凍状態とは、食品原材料が完全に冷凍されていない状態をいい、-20℃以上2℃以下、例えば0℃前後の条件に一定時間置くことにより達成される。この際、冷凍状態から温度を段階的に上昇させてもよい。以下の裁断処理を行う際に、半冷凍又は半解凍状態の食品原材料を用いた場合、裁断がスムースに行われ食品材料に含まれる繊維質も裁断破壊され、一定以下の大きさとなる。食品に大きな繊維質が残っていると、飲み込みにくく、口腔内や咽頭付近に繊維質が口内残渣として残る場合があり、残った繊維質が気管に浸入し、誤嚥性肺炎を引き起こすことがある。従って、介護食として用いる加工食品材料中には、大きな繊維質が残っていないことが必要である。本発明においては、一旦、完全に冷凍した食品材料を半冷凍又は半解凍状態にしてから、裁断するため、得られた加工食品材料中に一定の大きさ以上の繊維質が残らない。具体的には、本発明の加工食品材料中の繊維質の平均粒径は500μm以下、好ましくは300μm以下である。平均粒径は、例えばレーザ回折式粒度分布測定装置で測定することができる。なお、繊維質の平均粒径が前記値を超えると舌触りのざらつき感等が生じ、この点でも一定の大きさ以上の繊維質が残らないようにすることが好ましい。
裁断の仕方は限定されず、最終的に食品原材料が平均粒径1〜5mm程度の食品原材料粉砕粒子からなるペースト状の状態にすればよい。好ましくは、押し出し・剪断式粉砕方式で裁断する。押し出し・剪断式粉砕方式とは、細切りした材料をスクリューにより回転させかつ押し出しながら、多数の細孔を有するプレートを通して、材料を裁断する方式をいう。多数の細孔を有するプレートの孔サイズ(メッシュ)を変えることにより、粗くあるいは細かく裁断することができる。本発明においては、10mm以下のメッシュを通過させることにより食品材料をペースト状にする。押し出し・剪断式粉砕方式により食品原材料を裁断するには、押し出し・剪断式粉砕機(チョッパー)を用いればよく、市販の押し出し・剪断式粉砕機を用いることができる。また、食品原材料の裁断は、食品材料が平均粒径1〜5mm程度の食品材料粉砕粒子からなるペースト状の状態になる限り他の方法で行ってもよく、ミキサー、粉砕機、摩砕機等を用いて行うこともできる。
ゲル化剤としては、上記のようにマンナンを主体としたゲル化剤が挙げられる。マンナンを主体としたゲル化剤は、マンナンが主に含まれているゲル化剤であり、他の物質が混入していてもよい。このようなゲル化剤としては、こんにゃく(Amorphophallus konjac)の粉末、こんにゃくの食物繊維であるグルコマンナンが挙げられる。また、ガラクトマンナンを用いることもできる。さらに、キサンタン、カラギーナン等を併用してもよい。上記のマンナンを主体としたゲル化剤は市販のものを用いることができる。ゲル化剤は、24時間以上水に入れ膨潤させたものを用いる。
さらに、加工デンプンを補助ゲル化剤として用いる。加工デンプンは担体でゲル化剤として用い得るが、本発明においては、主要なゲル化剤としてマンナンを主体とするゲル化剤を用いており、加工デンプンはマンナンを主体とするゲル化剤の欠点を補い、最終製品であるゼリータイプの加工食品材料に適切な凝集性等を付与するために用いられる。その観点から、本発明においては、加工デンプンを補助ゲル化剤と呼ぶ。加工デンプンとは、デンプンに種々の官能基の導入等により加工処理したものをいい、デンプンの由来植物は限定されず、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、馬鈴薯デンプン等いずれの由来のデンプンも用いることができる。また、架橋デンプンも含まれる。本発明において用い得る加工デンプンとして、食品添加物として認められている、アセチルリン酸化架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化アジビン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(オクテニルコハク酸デンプンNa)、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン等が挙げられる。
副原料としては、デンプン以外の多糖類が挙げられる。デンプン以外の多糖類としては、グアーガム、イヌリン、グリコーゲン、カードラン、デキストリン等が挙げられる。また、製造した加工食品材料に味や風味を付与するためのしょうゆ、酢、ポン酢、塩、砂糖、香辛料等の調味料、カラメル等の着色剤、風味剤、油、卵白、肉やその他の食品材料の抽出物なども副原料に含まれる。着色剤は、得られた加工食品材料が、用いる食品原材料の有する色になるように添加すればよい。好ましくは天然の着色剤を用いればよく、食品原材料の有する色素を濃縮したものを用いてもよい。例えば、食品原材料として、ニンジンを用いる場合、別途ニンジンから色素を抽出し、その色素を用いることができる。また、しょうが、にんにく、ハーブ等の、加工食品材料に辛味や香りを付与するための香草などを用いてもよい。さらに、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルやビタミン等の栄養成分を混合してもよい。
マンナンを主体とするゲル化剤は、本発明の加工食品材料を製造するための配合材料全体に対して、膨潤前の乾燥重量を基準として、0.1〜2重量%、好ましくは0.2〜2重量%混ぜる。
補助ゲル化剤としての加工デンプンは、本発明の加工食品材料を製造するための配合材料全体に対して、1〜10重量%、好ましくは1〜7重量%混ぜる。
ペースト状食品原材料は、元々の水分含量により異なるが、本発明の加工食品材料を製造するための配合原材料全体に対して、5〜60重量%、好ましくは8〜50重量%混ぜる。水分含量の多い青果類は、30〜60重量%程度、水分含量の少ない畜肉は5〜20重量%程度混ぜればよい。
水は、30〜80%混ぜればよく、ペースト状食品原材料として水分含量の多い青果類を用いる場合は、40〜70重量%程度、水分含量の少ない畜肉を用いる場合は50〜80重量%程度混ぜればよい。
その他、副原料は達成しようとする風味等に応じて、適材を適当量混ぜればよい。
上記のように、本発明の加工食品材料の主原料は、マンナンを主体とするゲル化剤、補助ゲル化剤である加工デンプン及びペースト状食品原材料である。水を除いた場合、配合原材料の中で、ペースト状食品原材料の混合比が多い。特に、食品原材料として、野菜類等の青果物を用いた場合、その重量混合比は40%以上となる。この点で、ペースト状食品原材料は第1の主原料であると言うことができ、ゲル化剤や補助ゲル化剤は第2、第3の主原料であると言うことができる。
上記の配合材料を均一混合し、Brix(混合物中の可溶性固形分濃度)及びpHを測定する、Brixは市販のBrix計を用いて測定することができる。上記の配合材料を混合したとこのBrixは0.5〜10、好ましくは0.5〜5である。また、pHは5.0〜9.0である。pHがこの範囲を外れる場合、乳酸等を用いて上記範囲内に調整するのが望ましい。
配合原材料を均一に混合した後、型(容器)に充填し、60℃以上に加熱しゲル化剤を凝固させる。この際、60℃以上、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上で、10分以上、好ましくは10〜30分加熱し、凝固させる。加熱は、オーブン、蒸し器等を用いる。加熱後、冷却することにより、本発明のゼリータイプの加工された加工食品材料を得ることができる。このときの冷却は、-25℃以下で40分間以上行うことが好ましい。最終製品としての、加工食品材料は、冷凍保存しておき、使用時に解凍して用いることができる。得られた加工食品材料の大きさは、凝固させるときの型の大きさで調節することができる。例えば、直径30〜60mm、高さ20〜30mmの円筒状である。また、それぞれの食品原材料の形態に加工してもよい。この場合、形態を目視することにより、ユーザーは食品原材料として何が含まれているかを知ることができる。また、凝固した加工食品材料の全体にわたって、配合原料が均一に混ざっている。
上記の方法で得られたゼリータイプの加工された加工食品材料は以下の特性を有する。
本発明の加工食品材料は、食品原材料の混合比が多く、裁断された食品原材料の粒子同士がゲル化剤及び補助ゲル化剤である加工デンプンを介して結合した形状を有しており、単に食品をゲル化剤で固めた食品のように、ゼリーの中に食品材料が埋め込まれて存在する形態をとらない。また、含まれる食物繊維の大きさは一定以下となっている。食物繊維の大きさが一定以下であるため、食物繊維が口内残存物として口腔内に残り難いので、誤嚥性肺炎を引き起こしにくい。
本発明の加工食品材料は、適度の軟らかさを有する。軟化程度は、物性としてのかたさで表すことができる。かたさは、例えば、日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード自主規格の方法あるいはそれに準ずる方法で測定することができる。日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード自主規格の方法は以下のとおりである。
試料を直径40mmの容器に高さ15mmに充填し、直径20mmのプランジャーで圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで測定する。測定は20±2℃で行う。ただし、測定容器に移すことで、物性が変化するもの、測定容器に移せないもの、不定形なものなどは測定に支障のないことを確認して、クリアランスを試料の厚さ30%として直接測定してもよい。プランジャーの材質には規定はなく、測定機器としては、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置を用いる。例えば、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置としてテクスチャーアナライザー(例えば、TA Xt plus(英光精機社製))を用い、凝固させた加工食品材料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込んだ際の荷重値を測定することにより行えばよい。荷重値は、N/m2で表すことができ、本発明の加工食品材料を、上記方法で測定したときのかたさは、20,000 N/m2以下、好ましくは5,000〜18,000 N/m2である。日本介護食品協議会では、介護食を咀嚼の容易さにより、4つの区分に分けている。すなわち、「容易にかめる」ものを区分1(UDF1)とし、「歯ぐきでつぶせる」ものを区分2(UDF2)とし、「舌でつぶせるもの」を区分3(UDF3)とし、「かまなくてもよい」ものを区分4(UDF4)としている。区分1から区分4の上記方法で測定したときのかたさ上限値は、区分1が5×105 N/m2、区分2が5×104 N/m2、区分3が2×104 N/m2(ゲルの場合)、区分4が5×103 N/m2(ゲルの場合)である。本発明の方法により製造されたゲルであるゼリータイプの加工食品材料は上記の区分3(UDF3)に属する。
凝固した加工食品材料のやわらかさは均一であり、例えば上記方法で加工食品材料の複数点のかたさを測定した場合、測定値のばらつきは少なく、例えば、複数点の測定値の変動係数(標準偏差/平均×100)は、20%以下、好ましくは15%以下である。
また、本発明の加工食品材料は、一般に「こんにゃくゼリー」として流通しているコンニャク粉を原料とするゼリータイプの食品よりも高い凝集性及び良好な付着性を有している。これは、本発明のゼリータイプの加工食品材料は、マンナンを主体とするゲル化剤の他に加工デンプンを補助ゲル化剤として含んでいるからであり、マンナンを主体とするゲル化剤と加工デンプンを併用することによりマンナンのみを用いた場合の欠点を補い、高い凝集性及び付着性を有することになる。ここで、「凝集性」とは舌で押しつぶされた食物が結着し合って飲み込みやすい食塊を形成する能力のことをいう。食塊を形成しにくいと、気管に入りこみ誤嚥となる可能性が高くなる。また、「付着性」とは食物が口腔内にベタつく度合いのことをいい、この付着性が高過ぎると口腔内や咽頭などに食物が張り付き、後に唾液に溶け出して誤嚥する可能性が高くなる。そのため、適度な粘度があって食塊形成しやすく、ベタつかずに軟らかく変形しながら咽頭を滑らかに通過するものが嚥下障害を有する物に適した介護食の物性条件となる。本発明の加工食品材料は、介護食として適切は凝集性と付着性を有しているため、咀嚼したときの咀嚼物がまとまりやすく、食塊を形成し易い。従って、本発明の加工食品材料は、咀嚼後飲み込みやすく、咀嚼後の繊維カス等が口内残存物として残りにくいので、誤嚥性肺炎を引き起こしにくい。凝集性や付着性は、上記のユニバーサルデザインフード自主規格によるかたさ測定法を2回繰り返すことにより測定することができる。凝集性及び付着性の算出法は、厚生労働省通知食安発第0212001号「特別用途食品の表示許可等について」(平成21年2月12日)に示されており、具体的には、凝集性及び付着性は以下の方法で算出する。
凝集性、付着性はテクスチャアナライザークリープメータ(RE2-3305B:山電(株))を用いて測定する。図1に凝集性及び付着性を算出方法を示す。凝集性は所定の負荷を連続2回加え、1回目と2回目の負荷面積(エネルギー)の比を求めることで算出することができる。付着性は図1中A3の面積を求めることで算出することができる。
本発明の凝固した加工食品材料の凝集性は、0〜1.0、好ましくは0〜0.9である。また、付着性は1,000J/m3以下、好ましくは500J/m3以下、さらに好ましくは450J/m3以下である。
さらに、本発明の加工食品材料は、耐熱性が高く、加熱調理をすることができ、加熱調理をした場合でも溶けて崩れることがなく元の形態やかたさを維持する。ここで、元の形態を維持するとは、形が崩れて原形をとどめない状態にならないことをいい、形態が完全同一であることまでは要求されず、加熱による収縮や吸水による膨張等による変形は許容される。例えば、実質的な同一の形状を維持している限り、円筒状の本発明の加工食品原料が加熱や吸水により直径が30%、或いは20%程度変化しても元の形状を維持しているという。また、元のかたさを維持するとは、加熱調理後の加工食品材料が日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード自主規格の区分3のかたさを維持していることいい、加熱や吸水により、多少軟らかくなったり、かたくなることは許容される。例えば、加熱調理後の加工食品材料が加熱や吸水によりユニバーサルデザインフード自主規格によるかたさ測定法による測定値で測定して区分3のかたさを維持している限り元のかたさが保持されているという。このように、本発明の加工食品材料は、加熱調理耐性を有する。ここで、加熱調理とは、熱水中で煮ること、蒸し器中で蒸すこと、フライパン等で焼くこと、揚げたり炒めたりの油調理(油ちょう)を行うことをいう。また、電子レンジを用いて調理することも可能である。すなわち、本発明の加工食品材料は、100℃以上の熱をかけても溶けて元の形状やかたさを失うことはなく、通常調理に用いる野菜や肉類と同様の方法で調理することができる。従来から耐熱性のゼリー状食品は知られており、例えば、60℃で30〜60分保温しても形状を保つものがあった。しかしながら、その耐熱性はあくまでも加温が可能なレベルにとどまっていた。本発明の加工食品材料は、焼いたり、揚げたり、炒める等、80℃以上、100℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは170℃以上、特に好ましくは180℃以上の温度で加熱調理することができる。この点で、オートクレーブ処理によるレトルト殺菌(例えば、121℃で20分間処理)よりも過酷な条件に対しても耐性を有する。本発明の加工食品材料が、加熱調理可能な耐熱性を有するのは、ゲル化剤としてマンナンを主体とするゲル化剤及び補助ゲル化剤として加工デンプンを用いたこと、及び原材料として、ペースト状食品原材料が最も多く含まれていることによる。本発明の加工食品材料は上記のように、第1の主原料であるペースト状食品原材料が第2、第3の主原料であるマンナンを主体としたゲル化剤や加工デンプンを含む補助ゲル化剤を介して結合した形状を有している。また、この形状の状態は、大量のペースト状食品原材料の間に、ゲル化剤や補助ゲル化剤が埋もれるように存在している状態であるとも言える。すなわち、外部から熱を加えた場合であっても、ペースト状食品原材料中に埋もれたゲル化剤や補助ゲル化剤は、ペースト状食品原材料に保護されており直接熱の影響を受けにくく、溶解等の変性が起こりにくい。
本発明の加工食品材料は、青果類等の食品原材料の配合比が高いため、原材料の風味が残っている。また、原材料が元々有している栄養成分も多く含まれている。さらに、任意の形状、大きさにカットして食事の材料として用いることができる。通常の食品材料の代わりに用いて調理できるという点で、本発明の加工食品材料は、介護食用の代替食品材料と言うことができる。上記のように本発明の加工食品材料は、加熱調理して食事に供することもできるし、調理せずそのまま食することもできる。
例えば、食品原材料としてダイコンを用いた場合、得られた加工食品材料をカットし、調味料中で加熱することによりふろふき大根に似た食品を調製することができる。また、食品原材料としてダイコン、ハクサイ及びニンジンをそれぞれ用いた場合、それぞれ得られた加工食品材料をカットし、器に盛り調味料を添加することで浅漬けに似た食品を調製することができる。さらに、食品原材料として鶏肉を用いた場合、得られた加工食品材料をカットし、揚げ粉をまぶし、油で揚げることにより、鶏の唐揚げに似た食品を調製することができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 野菜を食品原材料として用いたゼリータイプの介護食用加工食品材料の製造
長ネギを食品原材料として用いてゼリータイプの介護食用加工食品材料を製造した。洗浄後、余分な水分を除去した長ネギ40kgを−30℃以下で内部まで完全に冷凍したものを、0℃前後に置くことで半冷凍/半解凍状態とし、−20℃以上2℃以下の条件下で押し出し・剪断式粉砕装置で細切りにした。押し出し・剪断式粉砕装置は日本キャリア社の野菜チョッパー機を用いた。細切りにした長ネギはさらに10mm以下のメッシュを通過させることでペースト化した。これとは別に、440gのこんにゃく粉を十分量の水で24時間以上膨潤処理したもの、5kgの加工デンプン、840gの醤油、250gの市販チキンエキス(仙見エキス)、及び53.5kgの水と混合し、完全に均一化したものを中心温度が80℃以上達温後、10分以上加熱する。加熱には、株式会社ニッコー社の連続スチーマー装置(NS0011-20000型)を用いた。その後、−25℃以下で40分以上冷却処理することで長ネギのゼリータイプの介護食用加工食品材料を製造した。
原材料の配合量を表1に示す。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(長ネギ)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、40.0重量%、0.44重量%、5.0重量%及び53.5重量%であった。
その他食品原材料(ダイコン、ニンジン、タマネギ、ハクサイ)を用いて、上記の長ネギと同様の製法にてゼリータイプの介護食用加工食品材料を製造した。ダイコン、ニンジン、タマネギ及びハクサイを用いたとこの原材料の配合量をそれぞれ表2、表3、表4及び表5に示す。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(ダイコン)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、48.0重量%、0.45重量%、5.1重量%及び46.5重量%であった。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(タマネギ)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、31.2重量%、0.32重量%、5.0重量%及び62.7重量%であった。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(タマネギ)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、35.9重量%、0.45重量%、4.5重量%及び48.2重量%であった。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(ハクサイ)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、38.9重量%、0.49量%、4.9重量%及び54.8重量%であった。
実施例2 畜肉及び魚肉を食品原材料として用いたゼリータイプの介護用加工食品材料の製造
実施例1の野菜の代わりに、鶏肉、豚肉及び魚肉を用いて、ゼリータイプの介護用加工食品材料を製造した。また、押し出し・剪断式粉砕装置はfatosa社のミートチョッパー(PSA-160)を用いた。鶏肉及び豚肉を用いたときの原材料の配合量をそれぞれ表6及び表7に示す。また、魚肉を用いたときの原材料の配合量をそれぞれ表8及び表9に示す。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(チキンプレスミート)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、9.5重量%、0.36量%、3.6重量%及び67.0重量%であった。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(豚モモ肉)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、15.4重量%、0.22量%、1.9重量%及び65.9重量%であった。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(魚肉)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、22.5重量%、0.53量%、2.57重量%及び64.3重量%であった。
Figure 0005828809
上記の配合量全体に対する食品原材料(魚肉)、こんにゃく粉、加工デンプン及び水の配合比はそれぞれ、21.4重量%、0.53量%、2.57重量%及び65.3重量%であった。
実施例3 ゼリータイプの介護食用加工食品材料の物性の測定
実施例1で得られた長ネギ、ダイコン、ニンジン、タマネギ及びハクサイを用いて製造したゼリータイプの介護食用加工食品材料の物性を測定した。測定した測定はかたさ、凝集性及び付着性であった。
物性測定(かたさ測定)には、テクスチャーアナライザー(TA XT plus、英光精機社製)を用い該アナライザー附属のφ20mm円柱型プランジャーを1mm/secでサンプル厚みの70%まで押し込んだ際の荷重値を記録した。測定検体は最低でも製造後1日以上経過したものを用い、測定温度は20℃±2℃とした。
なお本測定方法は、厚生労働省通知 食安発第0212001号に基づく、日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード自主規格の測定方法に準じている。
凝集性、付着性はテクスチャーアナライザー(クリープメータ 〔RE2-3305B:山電(株)〕)により測定した。図1に凝集性及び付着性を算出方法を示す。凝集性は所定の負荷を連続2回加え、1回目と2回目の負荷面積(エネルギー)の比を求めることで算出した。付着性は図1中A3の面積を求めることで算出した。
それぞれのゼリータイプの介護食用加工食品材料のかたさ、凝集性及び付着性は以下のとおりであった。データは、N=5の平均である。
ダイコン
かたさ(N/m2) 15,017 L4
凝集性 0.690 L1〜L4
付着性(J/m3) 307.7 L3〜L4
レベル L4

ナガネギ
かたさ(N/m2) 18,000 L4
凝集性 0.681 L1〜L4
付着性(J/m3) 334.9 L3〜L4
レベル L4

ハクサイ
かたさ(N/m2) 16,467 L4
凝集性 0.653 L1〜L4
付着性(J/m3) 307.7 L2〜L4
レベル L4

タマネギ
かたさ(N/m2) 15,817 L4
凝集性 0.628 L1〜L4
付着性(J/m3) 417.4 L3〜L4
レベル L4

ニンジン
かたさ(N/m2) 9,546 L1〜L4
凝集性 0.737 L3〜L4
付着性(J/m3) 3261.2 L2〜L4
レベル L3
各数値の右のL1等は、浜松大学 金谷 節子教授が提唱する、障害の程度に関連した食品物性のレベルを示す(坂井真奈美,江頭文江,金谷節子,栢下淳: 日摂食嚥下リハ会誌, 10(3):239-248, 2006;坂井真奈美,江頭文江,金谷節子,栢下淳: 日本病態栄養学会誌, 10(3):269-279, 2007)。障害の程度に関連した食品物性のレベルは、「障害の程度と食品物性」に関する図2に示される。また、各加工食品材料の最下行に記載のレベルは総合判定を示す。図2に示すように、嚥下や咀嚼に関する障害の程度により許容できる食品の物性が定められており、L0〜L4で表されている。
本発明のゼリータイプの介護食用加工食品材料は、総合判定でL3又はL4であり、軽度嚥下障害を有する者や主に咀嚼障害を有する物に適している。
また、Brixは市販のBrix計((株)アタゴ MASTER-α他)で測定した。Brix測定値を表10に示す。
Figure 0005828809
実施例4 ゼリータイプの介護食用加工食品材料の加熱調理
実施例1で製造した、食品原材料としてダイコンを含むゼリータイプの介護食用加工食品材料を180℃に加熱した油で揚げた。図3に加熱調理品の写真を示す。図の中央に位置するものが揚げた加工食品材料であり、その上に位置するものが加熱調理していない加工食品材料である。加熱調理品は、形が崩れることなく元の形状を維持し、またかたさも維持していた。なお、加熱調理品は加熱により若干縮むこともあるが、本発明においては、この場合も元の形状を維持しているという。
本発明の、ゼリータイプの加熱調理可能な加工食品材料は、介護食の材料として用いることができる。

Claims (11)

  1. 加熱調理可能なゼリータイプの介護食用加工食品材料であって、
    (a) 食品原材料を冷凍後裁断して得られる繊維質の平均粒径が500μm以下であるペースト状食品原材料を加工食品材料の重量に対して5〜60重量%含み、さらに
    (b) ゲル化剤及び補助ゲル化剤として、マンナンを主体としたゲル化剤、及び補助ゲル化剤である加工デンプンのみを混合して含み、マンナンを主体としたゲル化剤は前記加工食品材料の重量に対して0.1〜2重量%含み、補助ゲル化剤である加工デンプンは前記加工食品材料の重量に対して1〜10重量%含み、
    (c) 加熱凝固させた後に、テクスチャーアナライザーを用い、介護食用加工食品材料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込んだ際の荷重値が20,000 N/m2以下であり、
    (d) 加熱凝固させた後に、テクスチャーアナライザーを用い、介護食用加工食品材料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込むことにより測定したときの凝集性が0〜1.0であり、付着性が1,000J/m3以下であり、口腔内に誤嚥性肺炎の原因となる食品残渣が残存しにくい、
    (d) 加熱調理しても崩れることなく元の形状及びかたさを保持する、
    介護食用加工食品材料。
  2. 150℃以上の温度で加熱調理しても崩れることなく元の形状及びかたさを保持する、請求項1記載の介護食用加工食品材料。
  3. 食品原材料を裁断して得られるペースト状食品原材料の裁断粒子がマンナンを主体としたゲル化剤及び補助ゲル化剤である加工デンプンを介して結合している、請求項1又は2に記載の介護食用加工食品材料。
  4. 150℃以上の温度で煮る、蒸す、焼く、又は揚げることにより加熱調理することができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の介護食用加工食品材料。
  5. マンナンを主体としたゲル化剤が、こんにゃく粉又はグルコマンナンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の介護食用加工食品材料。
  6. 食品原材料が、青果物、魚介類の肉、畜肉、卵、芋類、穀物及び海藻からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の介護食用加工食品材料。
  7. テクスチャーアナライザーを用い、介護食用加工食品材料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの70%まで押し込んだ際の荷重値が20,000 N/m2以下であるという特性を有し、加熱調理可能なゼリータイプの介護食用加工食品材料の製造方法であって、
    (a) 食品原材料を冷凍後裁断して得られる繊維質の平均粒径が500μm以下であるペースト状食品原材料、
    (b) マンナンを主体としたゲル化剤及び補助ゲル化剤である加工デンプンのみからなるゲル化剤及び補助ゲル化剤の混合物、並びにその他の副原料を、前記ペースト状食品原材料が5〜60重量%、前記マンナンを主体としたゲル化剤が0.1〜2重量%、及び補助ゲル化剤である加工デンプンが1〜10重量%含まれるように混合し、加熱し凝固させることを含む、製造方法。
  8. 食品原材料を完全に冷凍した後に半冷凍状態とし、押し出し・剪断式粉砕方式を用いて10mm以下のメッシュを通過させることにより食品原材料をペースト状にする、請求項7記載の製造方法。
  9. マンナンを主体としたゲル化剤が、こんにゃく粉又はグルコマンナンである、請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 食品原材料が、青果物、魚介類の肉、畜肉、卵、芋類、穀物及び海藻からなる群から選択される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の介護食用加工食品材料を材料として用いて調理し介護食用食品を製造する方法
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