JP5828706B2 - ダイシング・ダイボンドフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ダイシング・ダイボンドフィルムに関する。
従来の半導体装置の製造において、回路パターン形成された半導体ウェハは、必要に応じて裏面研磨による厚さ調整(バックグラインド工程)後、半導体チップにダイシングされ(ダイシング工程)、この半導体チップを接着剤にてリードフレーム等の被着体に固定(ダイボンディング工程)し、さらにワイヤーボンディング工程が行われている。
リードフレーム等への半導体チップの効率的な固定に、ダイシング工程で半導体ウェハを保持するとともに、ダイアタッチ工程に必要なチップ固定用の接着剤層をも付与するダイシング・ダイボンドフィルムが提案されている(特許文献1)。このダイシング・ダイボンドフィルムは、ダイシングフィルム上に接着剤層を剥離可能に設けてなるものであり、その接着剤層による保持下に半導体ウェハをダイシングしたのち、ダイシングフィルムを延伸して形成チップを接着剤層とともに剥離し、これを個々に回収してその接着剤層を介してリードフレーム等の被着体に固定させるようにしたものである。
他方、半導体製造のプロセス中に外部から、ウェハの結晶基板に金属イオン(例えば、銅イオンや鉄イオン)が混入し、この金属イオンがウェハ上に形成された回路形成面に到達すると、電気特性が低下することが判明している。また、製品使用中に回路やボンディングワイヤーから金属イオンが発生し、同様に電気特性が低下することがある。
これに対して、ウェハの裏面を加工して破砕層(歪み)を形成し、この破砕層により金属イオンを捕捉して除去するエクストリンシック・ゲッタリング(以下、「EG」ともいう)や、ウェハの結晶基板中に酸素析出欠陥を形成し、この酸素析出欠陥により金属イオンを捕捉して除去するイントリンシック・ゲッタリング(以下、「IG」ともいう)が試みられている。
しかしながら、半導体装置の高容量化のためのウェハの薄型化に伴い、IGの効果が小さくなるとともに、ウェハの割れや反りの原因となる裏面歪みが除去されることにより、EGの効果が得られなくなり、ゲッタリング効果を充分に発揮しにくい状況になりつつある。こうした中、近年の技術革新に伴って、携帯電話や携帯オーディオ機器用のメモリパッケージチップを多段に積層したスタックドMCP(Multi Chip Package)が普及し、また、画像処理技術や携帯電話等の多機能化に伴い、パッケージの高密度化・高集積化・薄型化が推し進められているという背景もあり、ゲッタリング効果が発揮されにくくなるという状況が顕在化する傾向にある。
そこで、ゲッタリング効果を補完するための方策が種々提案されている。例えば、特許文献1には、陰イオン交換体を含有させ、ワイヤーの腐食の原因となる塩化物イオンを捕捉し、接続信頼性を向上させた接着シートが開示されている。また、特許文献2には、銅イオンと錯形成し得る骨格を有する樹脂を含有する銅イオン吸着層を備えるフィルム状接着剤が開示されており、銅イオン吸着層の樹脂内部に銅イオンを化学的に吸着させることができ、銅を素材とする部材から発生する銅イオンの影響を従来よりも大幅に低減することができる旨が記載されている。
特開平2−248064号公報 特開2009−256630号公報 特開2011−52109号公報
しかしながら、イオン捕捉性を有する接着シートとダイシングフィルムとを組み合わせてダイシング・ダイボンドフィルムとして用いると、接着シートのイオン捕捉性が低下する場合があることが判明した。
従って、本発明の目的は、イオン捕捉性の接着シートを採用してもその接着シートのイオン捕捉性の低下を防止することができるとともに、半導体装置の製造プロセスにおいて半導体チップに混入してくる金属イオンを捕捉して半導体装置の電気特性の低下を防止可能なダイシング・ダイボンドフィルムを提供することにある。
本願発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得るに至った。すなわち、イオン捕捉性の接着シートとダイシングフィルムの粘着剤層とを積層してダイシング・ダイボンドフィルムを得た後、これを半導体装置の製造において使用するまでには相当の保管期間がある。その際、接着シートからのイオン捕捉成分の粘着剤層への移行や転写が生じたり、イオン捕捉成分と粘着剤層の構成材料との化学的反応が生じたりすること(以下、これらの現象を「移行等」と称する。)により、接着シートにおけるイオン捕捉成分の存在量の減少やイオン捕捉成分自体の劣化を招き、その結果、接着シートのイオン捕捉性が低下するという事態が起きてしまう。上述のように、半導体装置の高容量化のために接着シートの薄型化を進めると、接着シートにおけるイオン捕捉成分の絶対量が減少することから、接着シートのイオン捕捉性の低下がより顕著となる。
以上の知見に基づき、本願発明者らは接着シートにおけるイオン捕捉剤の移行等を防止可能な粘着剤層の構築に注力した結果、粘着剤層において適度な架橋構造を形成して粘着剤層中の自由体積を小さくし、接着シートから粘着剤層へのイオン捕捉剤の自由な移動を規制することにより上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させに至った。
すなわち、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムは、
基材及び該基材上に積層された粘着剤層を有するダイシングフィルムと、
上記粘着剤層上に積層された接着シートとを備え、
上記接着シートは、金属イオンを捕捉し得るイオン捕捉剤を含み、
上記粘着剤層の26℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下である。
当該ダイシング・ダイボンドフィルムでは、粘着剤層が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下の貯蔵弾性率を有しているので、該粘着剤層では適度な架橋構造が形成されていることになる。これにより、接着シートから粘着剤層へのイオン捕捉剤の移行等が規制され、その結果、接着シートのイオン捕捉性の低下を抑制することができる。また、接着シートが、金属イオンを捕捉し得るイオン捕捉剤(以下、単に「イオン捕捉剤」と称する場合がある。)を含むことから、半導体製造プロセスにおいて半導体チップへと混入し得る金属イオンを効率良く捕捉することができ、得られる半導体装置の電気特性の劣化を防止することができる。さらに、接着シートから粘着剤層へイオン捕捉剤の移行等が規制されて接着シートのイオン捕捉性を維持することができるので、半導体装置の高容量化に伴う接着シートのさらなる薄型化にも対応することができる。
当該ダイシング・ダイボンドフィルムによると、上記イオン捕捉剤が金属イオンと錯体形成し得る有機化合物であり、粘着剤層の構成材料との親和性を有する場合であっても、イオン捕捉剤の移行等を好適に抑制することができる。
当該ダイシング・ダイボンドフィルムでは、10ppmの銅イオンを有する水溶液50ml中に、上記接着シートから採取した重さ2.5gのサンプルを浸漬し、120℃で20時間放置した後の上記水溶液中の銅イオン濃度が、0〜9.8ppmであることが好ましい。接着シートがこのような銅イオン捕集性を有することにより、半導体装置の製造プロセスにおいて半導体チップ等に混入してくる金属イオンを捕捉することができる。その結果、外部から混入する金属イオンがウェハ上に形成された回路形成面に到達しにくくなり、電気特性の低下が抑えられて製品信頼性を向上させることができる。
当該ダイシング・ダイボンドフィルムでは、上記粘着剤層は、重量平均分子量が30万以上のアクリル樹脂を含むことが好ましい。また、上記アクリル樹脂は、水酸基含有アクリルモノマーを構成モノマーとすることが好ましい。さらに、上記粘着剤層はイソシアネート系架橋剤を含み、また、上記アクリル樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤を1〜5重量部含むことが好ましい。このような構成を単独で、又は組み合わせて採用することにより、粘着剤層においてイオン捕捉剤の移行等を規制し得る架橋構造を好適に形成することができる。
当該ダイシング・ダイボンドフィルムにおいて、上記粘着剤層は放射線硬化型であってもよい。その場合、粘着剤層の放射線照射前の26℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることが必要である。
当該ダイシング・ダイボンドフィルムでは、上述のように接着シートのイオン捕捉性の劣化を防止することができるので、上記接着シートの厚さを3μm以上150μm以下まで薄くすることができる。
本発明の実施の一形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。 本発明の他の実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。 本発明の実施の一形態に係る接着シートを介して半導体チップを実装した例を示す断面模式図である。 上記接着シートを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。
本発明の一実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルム、このダイシング・ダイボンドフィルムを用いて得られる半導体装置とその製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
<ダイシング・ダイボンドフィルム>
本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムは、図1に示すように基材1上に粘着剤層2が積層されてなるダイシングフィルム上に、接着シート3が積層された構成を有する。接着シート3は、粘着剤層2上に積層される。なお、接着シートの形成態様としては、図2に示すように、半導体ウェハ貼り付け部分3a(図1参照)にのみ接着シート3’を形成した構成であってもよい。
<ダイシングフィルム>
上記ダイシングフィルムとしては、例えば基材1上に粘着剤層2を積層したものが挙げられる。
[基材]
上記基材1はダイシング・ダイボンドフィルム10、11の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、基材1は紫外線に対し透過性を有するものが好ましい。
また基材1の材料としては、上記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。上記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2と接着シート3との接着面積を低下させて、半導体チップの回収の容易化を図ることができる。
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。
上記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。また、基材1には、帯電防止能を付与するため、上記の基材1上に金属、合金、これらの酸化物等からなる厚さが30〜500Å程度の導電性物質の蒸着層を設けることができる。基材1は単層又は2種以上の複層でもよい。
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
なお、基材1には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤等)が含まれていてもよい。
[粘着剤層]
粘着剤層2の26℃での貯蔵弾性率は、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下である。粘着剤層2がこのような範囲の貯蔵弾性率を有することにより、該粘着剤層において適度な架橋構造を形成することができる。これにより、接着シートから粘着剤層へのイオン捕捉剤の移行等が規制され、その結果、接着シートのイオン捕捉性の低下を抑制することができる。
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤は、粘着剤層形成後に所定の貯蔵弾性率を示し、接着シート3を剥離可能に制御できるものであれば特に制限されない。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性接着剤を用いることができる。上記感圧性接着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性などの点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
上記アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸エステルを主モノマー成分として用いたものが挙げられる。上記アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
上記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性などの改質を目的として、必要に応じ、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリルなどがあげられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
さらに、上記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマーなども、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。このような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
上記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましく、また、粘着剤層が所定の貯蔵弾性率を示すという点から、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。
アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、引き剥がし粘着力の点から、−70℃以上であることが好ましい。より好ましくは−60℃以上である。さらには、ガラス転移温度は−40〜15℃であることが好ましい。そのため、アクリル系ポリマーを形成する主モノマーは、ホモポリマーでのガラス転移温度が−70℃以上となるものが好適である。アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)の測定方法は実施例の記載による。
アクリル系ポリマーのヨウ素価は、好ましくは5〜10の範囲内であり、より好ましくは5.5〜9の範囲内である。上記ヨウ素価が5未満であると、粘着剤層2が放射線硬化型である場合の放射線照射後の粘着力の低減効果が不十分となる場合がある。一方、上記ヨウ素価が10を超えると、接着シートに対するダイシングフィルムの粘着力が高くなり、ピックアップが困難になる場合がある。なお、上記ヨウ素価の数値範囲は、JIS K 0070−1992に基づき測定した値であり、測定手順の詳細は実施例の記載による。
アクリル系ポリマーの水酸基価は7〜30の範囲内であることが好ましく、10〜25の範囲内であることがより好ましい。上記水酸基価が7未満であると、粘着剤層2が放射線硬化型である場合の放射線照射後の粘着力の低減効果が不十分となる場合がある。一方、上記水酸基価が30を超えると、ダイボンドフィルムに対するダイシングフィルムの粘着力が高くなり、ピックアップが困難になる場合がある。なお、上記水酸基価の数値範囲は、JIS K 0070−1992に基づくアセチル化法により測定した値であり、測定手順の詳細は実施例の記載による。
また、上記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の重量平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤などのいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法があげられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、さらには0.1〜5重量部配合するのが好ましい。また、粘着剤層への所定の貯蔵弾性率の付与の観点から、上記アクリル樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤を1〜5重量部含むことが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、上記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤などの添加剤を用いてもよい。
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。この場合、粘着剤層の放射線照射前の26℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることが必要である。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができる。例えば、図2に示す粘着剤層2において、ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分2aのみに放射線照射することにより、該部分2a以外の部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
また、接着シート3’に合わせて、放射線硬化型粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した部分2aに接着シート3’が貼付られているため、部分2aと接着シート3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、部分2bを形成する。
上述の通り、図1に示すダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2において、未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている上記部分2bは接着シート3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。このように放射線硬化型粘着剤は、半導体チップを基板等の被着体に固定するための接着シート3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム11の粘着剤層2においては、上記部分2bがウェハリングを固定することができる。
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、上記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化性粘着剤を例示できる。
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系など種々のオリゴマーがあげられ、その重量平均分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、上記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
また、放射線硬化型粘着剤としては、上記説明した添加型の放射線硬化性粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化性粘着剤があげられる。内在型の放射線硬化性粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
上記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。このようなベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、上記例示したアクリル系ポリマーがあげられる。
上記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させる方法があげられる。
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基などがあげられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、上記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと上記化合物のいずれの側にあってもよいが、上記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、上記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。また、アクリル系ポリマーとしては、上記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物などを共重合したものが用いられる。
上記内在型の放射線硬化性粘着剤は、上記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に上記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
上記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、部分2aの粘着力<部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を放射線照射するのが好ましい。図2のダイシング・ダイボンドフィルムでは、例えば、被着体としてSUS304板(#2000研磨)に対する関係で、部分2aの粘着力<部分2bの粘着力、となるようにする。
上記粘着剤層2に上記部分2aを形成する方法としては、基材1に放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後、上記部分2aに部分的に放射線を照射し硬化させる方法が挙げられる。部分的な放射線照射は、半導体ウェハ貼り付け部分3a以外の部分3b等に対応するパターンを形成したフォトマスクを介して行うことができる。また、スポット的に紫外線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。放射線硬化型の粘着剤層2の形成は、セパレータ上に設けたものを基材1上に転写することにより行うことができる。部分的な放射線硬化はセパレータ上に設けた放射線硬化型の粘着剤層2に行うこともできる。
また、粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、基材1の少なくとも片面の、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後に放射線照射して、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分を硬化させ、粘着力を低下させた上記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになりえるものを印刷や蒸着等で作成することができる。かかる製造方法によれば、効率よく本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10を製造可能である。
なお、放射線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、放射線硬化型の粘着剤層2の表面よりなんらかの方法で酸素(空気)を遮断するのが望ましい。例えば、上記粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の放射線の照射を行う方法等が挙げられる。
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の観点から1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、さらには好ましくは5〜25μmである。
なお、粘着剤層2には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、増粘剤、増量剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、架橋剤等)が含まれていてもよい。
<接着シート>
接着シート3、3’(以下、両者を併せて「接着シート3」と称する場合がある。)は、金属イオンを捕捉し得るイオン捕捉剤を含むとともに、好適には熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含み、さらにその他の成分を含んでいてもよい。まず、接着シート3全体についての構成について説明し、該イオン捕捉剤については後述する。
接着シート3の厚さは特に限定されないが、接着シート3からのイオン捕捉剤の粘着剤層への移行等が抑制されていることから、半導体装置の高容量化に対応するべく容易に薄型化を図ることができる。接着シートの厚さは、好ましくは3μm以上150μm以下の範囲まで薄型化することができ、より好ましくは4μm以上120μm以下の範囲まで、さらに好ましくは5μm以上100μm以下の範囲まで薄型化を進めることができる。
上記接着シート3は、85℃、85%RHの雰囲気下で120時間放置したときの吸水率が3重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。上記吸水率が3重量%以下であると、半導体パッケージ中において、接着シート中の金属イオンの運動が抑制され、より好適に金属イオンを捕捉することができる。
上記接着シート3は、シリコンウェハに対する熱硬化後の剪断接着力が、175℃の条件下において、0.02MPa以上50MPa以下であることが好ましく、0.03MPa以上40MPa以下であることがより好ましく、0.04MPa以上30MPa以下であることがさらに好ましい。上記剪断接着力が、175℃の条件下において、0.02MPa以上であると、半導体パッケージ中において、金属イオンが支持部材(例えば、ウェハ等)から接着シートへと拡散し易くなり、金属イオンをより好適に捕捉することができる。
接着シート3では、10ppmの銅イオンを有する水溶液50ml中に、重さ2.5gの接着シートを浸漬し、120℃で20時間放置した後の上記水溶液中の銅イオン濃度が、0〜9.8ppmであることが好ましく、0〜9.5ppmであることがより好ましく、0〜9.0ppmであることがさらに好ましい。接着シートがこのような銅イオン捕集性を有することにより、半導体装置の製造プロセスにおいて半導体チップ等に混入してくる金属イオンを捕捉することができる。その結果、外部から混入する金属イオンがウェハ上に形成された回路形成面に到達し難くなり、電気特性の低下が抑えられて製品信頼性を向上させることができる。本発明において、銅イオン捕捉後の銅イオン濃度を0〜9.8ppmとする方法としては、上述したように、イオン捕捉剤を接着シートに含有させる方法に加え、使用する樹脂成分にカルボン酸基等の金属イオンを捕捉する官能基を導入する方法や、ボロン又はn型ドーパントをイオン注入する方法なども採用することができる。
(イオン捕捉剤)
上記接着シート3に、金属イオンを捕捉し得るイオン捕捉剤を含有させると、半導体装置の製造における各種プロセス中に外部から半導体ウェハ又は半導体チップに混入した、又は混入し得る金属イオンをより好適に捕捉することができる。
上記イオン捕捉剤としては、金属イオンを捕捉し得る限り特に限定されないが、陽イオン交換体、又は、錯体形成化合物などを挙げることができる。なかでも、耐熱性に優れる点で、陽イオン交換体が好ましく、良好に金属イオンを捕捉することができる点で、錯体形成化合物がより好ましい。
上記陽イオン交換体としては、より好適に金属イオンを捕捉できるという観点から、無機陽イオン交換体が好ましい。
上記イオン捕捉剤が捕捉する金属イオンとしては、金属イオンであれば特に制限されないが、例えば、Na、K、Ni、Cu、Cr、Co、Hf、Pt、Ca、Ba、Sr、Fe、Al、Ti、Zn、Mo、Mn、V等のイオンを挙げることができる。
(無機陽イオン交換体)
上記無機陽イオン交換体は特に制限されるものではなく、従来公知の無機陽イオン交換体を用いることができ、例えば、より好適に金属イオンを捕捉できる観点から、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素の酸化水和物を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、マグネシウム及びアルミニウムの酸化水和物が好ましい。
上記無機陽イオン交換体の市販品としては、東亜合成株式会社製の商品名:IXE−700F、IXE−770、IXE−770D、IXE−2116、IXE−100、IXE−300、IXE−600、IXE−633、IXE−6107、IXE−6136等を挙げることができる。
上記無機陽イオン交換体の平均粒径は、0.05〜20μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。上記無機陽イオン交換体の平均粒径を20μm以下とすることにより、接着力の低下を抑制することができ、0.05μm以上とすることにより、分散性を向上させることができる。
(錯体形成化合物)
上記錯体形成化合物は、金属イオンと錯体を形成するものであれば、特に制限されるものではないが、金属イオンと錯体を形成し得る有機化合物であることが好ましく、好適に金属イオンを捕捉できるという観点から、窒素含有化合物、水酸基含有化合物、カルボン酸基含有化合物からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
(窒素含有化合物)
上記窒素含有化合物としては、微粉末状のもの、有機溶媒に溶解し易いもの、又は、液状のものが好ましい。このような窒素含有化合物としては、より好適に金属イオンを捕捉できる観点から、3級の窒素原子を有する複素環化合物が好ましく、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、又は、ビピリジル化合物を挙げることができるが、銅イオンとの間で形成される錯体の安定性の観点から、トリアゾール化合物がより好ましい。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
上記トリアゾール化合物としては、特に制限されないが、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−{N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル}ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−アミルフェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2‘−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル}ベンゾトリアゾール、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6‘−t−ブチル−4’−メチル−2,2‘−メチレンビスフェノール、1−(2’、3‘−ヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−(1’、2‘−ジカルボキシジエチル)ベンゾトリアゾール、1−(2−エチルヘキシアミノメチル)ベンゾトリアゾール、2,4−ジ−t−ベンチル−6−{(H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル}フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート、2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−[ 2’−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル ]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−メトラメチルブチル)フェノール]、(2‐[2‐ヒドロキシ‐3,5‐ビス(α,α‐ジメチルベンジル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、メチル 3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等があげられる。
上記トリアゾール化合物の市販品としては、特に制限はされないが、城北化学株式会社製の商品名:BT−120、BT−LX、CBT−1、JF−77、JF−78、JF−79、JF−80、JF83、JAST−500、BT−GL、BT−M、BT−260、BT−365、BASF社の商品名:TINUVIN PS、TINUVIN P、TINUVIN P FL、TINUVIN 99−2、TINUVIN 109、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 234、TINUVIN 329、TINUVIN 329 FL、TINUVIN 326、TINUVIN 326 FL、TINUVIN 571、TINUVIN 213、台湾永光化学公司製の製品名:EVESORB 81、EVESORB109、EVESORB 70、EVESORB 71、EVESORB 72、EVESORB 73、EVESORB 74、EVESORB 75、EVESORB 76、EVESORB 78、EVESORB 80等を挙げることができる。トリアゾール化合物は、防錆剤としても使用される。
上記テトラゾール化合物としては、特に限定されないが、5−アミノ−1H−テトラゾール等が挙げられる。
上記ビピリジル化合物としては、特に限定されないが、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリンなどが挙げられる。
(水酸基含有化合物)
上記水酸基含有化合物としては、特に制限されないが、微粉末状のもの、有機溶媒に溶解し易いもの、又は、液状のものが好ましい。このような水酸基含有化合物としては、より好適に金属イオンを捕捉できる観点から、1つの芳香環上に水酸基を2つ以上有する化合物が好ましく、具体的にはキノール化合物、ヒドロキシアントラキノン化合物、又は、ポリフェノール化合物を挙げることができるが、銅イオンとの間で形成される錯体の安定性の観点から、ポリフェノール化合物がより好ましい。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。なお、芳香環とは、π電子系が非局在化した共役環構造をいい、縮合していない芳香環(例えば、ベンゼン環)だけでなく、縮合している芳香環(例えば、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ピレン環等)、アントラキノン環等が含まれる。
上記キノール化合物としては、特に限定されないが、1,2−ベンゼンジオールなどが挙げられる。
上記ヒドロキシアントラキノン化合物としては、特に限定されないが、アリザリン、アントラルフィンなどが挙げられる。
上記ポリフェノール化合物としては、特に限定されないが、タンニン、タンニン誘導体(没食子酸、没食子酸アルキルエステル(アルキル基として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等)、ピロガロール)などが挙げられる。
(カルボン酸基含有化合物)
上記カルボン酸基含有化合物としては、特に限定されないが、カルボキシル基含有芳香族化合物、カルボキシル基含有脂肪酸化合物等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有芳香族化合物としては、特に限定されないが、フタル酸、ピコリン酸、ピロール−2−カルボン酸等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有脂肪酸化合物としては、特に限定されないが、高級脂肪酸、カルボン酸系キレート試薬、等が挙げられる。
上記カルボキシル酸系キレート試薬の市販品としては、特に制限はされないが、キレスト株式会社製の製品名:キレストA、キレスト110、キレストB、キレスト200、キレストC、キレストD、キレスト400、キレスト40、キレスト0D、キレストNTA、キレスト700、キレストPA、キレストHA、キレストMZ−2、キレストMZ−4A、キレストMZ−8を挙げることができる。
(その他のイオン捕捉剤)
上記の外、防錆剤であるVERZONE(大和化成(株)製)も好適に用いることができる。
上記イオン捕捉剤の含有量は、上記接着シートを構成する接着剤組成物(溶媒を除く)中、0.1〜50重量%であることが好ましく、0.3〜30重量%であることがより好ましく、0.5〜20重量%であることがさらに好ましい。0.1重量%以上とすることにより、金属イオン(特に、銅イオン)を効果的に捕捉することができ、50重量%以下とすることにより、耐熱性の低下やコストの増加を抑制することができる。
(熱可塑性樹脂)
接着シート3の形成に用いられる接着剤組成物は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPBT等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく耐熱性が高く、半導体素子の信頼性を確保できるアクリル樹脂が特に好ましい。
上記アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体(アクリル共重合体)等が挙げられる。上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。
上記アクリル樹脂のなかでも、酸価が5〜150のものが好ましく、10〜145のものがより好ましく、20〜140のものがさらに好ましく、20〜40のものが特に好ましい。上記接着シートに、酸価が5〜150のアクリル樹脂が含まれると、アクリル樹脂のカルボン酸基が錯体形成に寄与してイオン捕捉剤の捕捉効果を促進するという相乗効果により、さらに良好に金属イオンを捕捉することができる。本発明におけるアクリル樹脂の酸価とは、試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数のことをいう。
また、上記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
(熱硬化性樹脂)
また、上記接着剤組成物は、上記熱可塑性樹脂とともに熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。上記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を併用して用いることができ、特に、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の少なくともいずれか一方を用いることが好ましい。なかでも、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。硬化剤としてエポキシ樹脂を含有すると、高温において、接着シートとウェハとの高い接着力が得られる。その結果、接着シートとウェハとの接着界面に水が入りにくくなり、イオンが移動し難くなる。これにより、半導体装置の信頼性が向上する。
上記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。
さらに、上記フェノール樹脂は、上記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
上記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合割合は、例えば、上記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が上記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
上記熱硬化性樹脂の配合割合としては、所定条件下で接着シートを加熱した際に熱硬化型の接着シートとしての機能を発揮する程度であれば特に限定されないが、接着剤組成物の合計量に対して5〜95重量%の範囲内であることが好ましく、8〜90重量%の範囲内であることがより好ましい。
上記接着剤組成物のなかでも、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及び、アクリル樹脂を含有し、アクリル樹脂100重量部に対するエポキシ樹脂、及び、フェノール樹脂の合計量が5〜1000重量部であることが好ましく、10〜500重量部であることがより好ましく、10〜200重量部であることがさらに好ましい。アクリル樹脂100重量部に対するエポキシ樹脂、及び、フェノール樹脂の合計量を5重量部以上とすることにより、硬化による接着効果が得られ、剥離を抑制することができ、1000重量部以下とすることより、フィルムが脆弱化して作業性が低下することを抑制することができる。
(架橋剤)
上記接着剤組成物を用いて作成する接着シートを予めある程度架橋をさせておく場合には、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくのがよい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
上記架橋剤としては、従来公知のものを採用することができる。特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、多価アルコールとジイソシアネートの付加物等のポリイソシアネート化合物がより好ましい。架橋剤の添加量としては、上記の重合体100重量部に対し、通常0.05〜7重量部とするのが好ましい。架橋剤の量が7重量部より多いと、接着力が低下するので好ましくない。その一方、0.05重量部より少ないと、凝集力が不足するので好ましくない。また、この様なポリイソシアネート化合物と共に、必要に応じて、エポキシ樹脂等の他の多官能性化合物を一緒に含ませるようにしてもよい。
(フィラー)
また、上記接着剤組成物には、その用途に応じてフィラーを適宜配合することができる。フィラーの配合は、上記接着剤組成物より得られる接着シートへの導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を可能とする。上記フィラーとしては、無機フィラー、及び、有機フィラーが挙げられるが、取り扱い性の向上、熱電導性の向上、溶融粘度の調整、チキソトロピック性付与等の特性の観点から、無機フィラーが好ましい。上記無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウィスカ、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカ等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。熱電導性の向上の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶質シリカ、非晶質シリカが好ましい。また、上記各特性のバランスがよいという観点からは、結晶質シリカ、又は、非晶質シリカが好ましい。また、導電性の付与、熱電導性の向上等の目的で、無機フィラーとして、導電性物質(導電フィラー)を用いることとしてもよい。導電フィラーとしては、銀、アルミニウム、金、胴、ニッケル、導電性合金等を球状、針状、フレーク状とした金属粉、アルミナ等の金属酸化物、アモルファスカーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
上記フィラーの平均粒径は、0.005〜10μmとすることができる。上記フィラーの平均粒径を0.005μm以上とすることにより、被着体への濡れ性、及び、接着性を良好とすることができる。また、10μm以下とすることにより、上記各特性の付与のために加えたフィラーの効果を十分なものとすることができるとともに、耐熱性を確保することができる。なお、フィラーの平均粒径は、光度式の粒度分布計(HORIBA製、装置名;LA−910)により求めた値である。
(他の添加剤)
なお、上記接着剤組成物には、上記成分以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、陰イオン捕捉剤、分散剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、硬化促進剤などが挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
上記の実施形態では、接着剤組成物に含有させる接着剤主成分として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を用いる場合について説明したが、本発明においては、接着剤組成物に含有させる接着剤主成分として、上記のような熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂に代えて、又は加えて、セラミック系、セメント系、はんだ等の無機系のものを含有させることとしてもよい。
上記接着シートの用途としては特に限定されず、半導体装置の製造に好適に用いることができ、例えば、リードフレーム等の被着体に半導体チップを固定するためのダイボンドフィルムや、フリップチップ型半導体装置の半導体チップの裏面を保護する保護フィルムや、半導体チップを封止するための封止シートとして用いられるものが挙げられる。
上記接着シートは、熱硬化前における60℃での引張貯蔵弾性率が、0.01MPa以上1000MPa以下であることが好ましく、0.05MPa以上100MPa以下であることがより好ましく、0.1MPa以上50MPa以下であることがさらに好ましい。熱硬化前における60℃での引張貯蔵弾性率を、0.01MPa以上とすることにより、フィルムとしての形状を維持し、良好な作業性を付与することができる。また、熱硬化前における60℃での引張貯蔵弾性率を、1000MPa以下とすることにより、被着体に対する良好な濡れ性を付与することができる。
<ダイシング・ダイボンドフィルムの製造方法>
本実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルム10、11は、例えばダイシングフィルム及び接着シートを別々に作製しておき、最後にこれらを貼り合わせることにより作成することができる。具体的には、以下のような手順に従って作製することができる。
まず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
次に、粘着剤層形成用の粘着剤組成物を調製する。粘着剤組成物には、粘着剤層の項で説明したような樹脂や添加物等が配合されている。調製した粘着剤組成物を基材1上に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、上記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、基材1及び粘着剤層2を備えるダイシングフィルムが作製される。なお、ダイシングフィルムとしては、少なくとも基材及び粘着剤層を備えていればよく、セパレータ等の他の要素を有している場合もダイシングフィルムという。
本実施形態に係る接着シートは、例えば、次の通りにして作製される。まず、例えば、イオン捕捉剤と、必要に応じて、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、他の添加剤を容器に投入して、有機溶媒に溶解させ、均一になるように攪拌することによって接着剤組成物溶液として得ることができる。
上記有機溶媒としては、接着シートを構成する成分を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレン等が挙げられる。乾燥速度が速く、安価で入手できる点でメチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどを使用することが好ましい。
上記のようにして調製した接着剤組成物溶液を基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させる。基材セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等が使用可能である。また、塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間の範囲内で行われる。これにより、本実施形態に係る接着シートが得られる。
続いて、ダイシングフィルムからセパレータを剥離し、接着シートと粘着剤層とが貼り合わせ面となるようにして接着シートとダイシングフィルムとを貼り合わせる。貼り合わせは、例えば圧着により行うことができる。このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。次に、接着フィルム上の基材セパレータを剥離し、本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムが得られる。
<半導体装置>
本実施形態に係る半導体装置について図3を参照しつつ説明する。半導体装置は、被着体6と、上記被着体6上に積層された上記接着シート3と、上記接着シート3上に配置された半導体チップ5とを備える。被着体6としては、基板でもよく他の半導体チップであってもよい。図2では基板を被着体として用いている。図3に示した半導体装置では、さらに半導体チップ5と被着体6との電気的接続を担うボンディングワイヤー7が、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とを接続するように設けられ、ボンディングワイヤー7も含めて半導体チップ5が封止樹脂8により覆われている。
本実施形態に係る半導体装置では、半導体チップの被着体への固定に当該接着シートを用いているので、封止工程やリフロー工程等の高温処理を経ても接着シートと半導体チップとの密着性を維持しつつ、その製造プロセスにおいて混入してくる金属イオンを効率的に捕捉することができ、その結果、優れた製品信頼性を確保することができる。
<半導体装置の製造方法>
次に、上記ダイシング・ダイボンドフィルムを用いる半導体装置の製造方法の一実施形態について説明する。まず、図1に示すように、ダイシング・ダイボンドフィルム10における接着シート3の半導体ウェハ貼り付け部分3a上に半導体ウェハ4を圧着し、これを接着保持させて固定する(マウント工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。
次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する。ダイシングは、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイシング・ダイボンドフィルム10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハは、ダイシング・ダイボンドフィルム10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。
ダイシング・ダイボンドフィルム10に接着固定された半導体チップを剥離するために、半導体チップ5のピックアップを行う。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシング・ダイボンドフィルム10側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型の場合、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2の接着シート3に対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップを損傷させることなくピックアップが可能となる。
次に、図3に示すように、ダイシングにより形成された半導体チップ5を、接着シート3を介して被着体6にダイボンドする。ダイボンドは圧着により行われる。ダイボンドの条件としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。具体的には、例えば、ダイボンド温度80〜160℃、ボンディング圧力5N〜15N、ボンディング時間1〜10秒の範囲内で行うことができる。
次に、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続するワイヤーボンディング工程を行う。上記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、上記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着エネルギーの併用により行われる。
なお、ワイヤーボンディング工程は、加熱処理により接着シート3を熱硬化させることなく行う。この場合、接着シート3の25℃におけるせん断接着力は、被着体6に対し0.2MPa以上であることが好ましく、0.2〜10MPaであることがより好ましい。上記せん断接着力を0.2MPa以上にすることにより、接着シート3を熱硬化させることなくワイヤーボンディング工程を行っても、当該工程における超音波振動や加熱により、接着シート3と半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることがない。すなわち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことがなく、これにより、ワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行う。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護するために行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。以下の後硬化工程において接着シート3が熱硬化されない場合でも、本工程において封止樹脂8の硬化と共に接着シート3を熱硬化させて接着固定が可能になる。
次に、後硬化工程において、上記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。封止工程において接着シート3が熱硬化されない場合でも、本工程において封止樹脂8の硬化と共に接着シート3を熱硬化させて接着固定が可能になる。本工程における加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。以上の工程により、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
また、接着シートは、図4に示すように、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。図4は、接着シートを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。図4に示す3次元実装の場合、まず半導体チップと同サイズとなる様に切り出した少なくとも1つの接着シート3を被着体6上に貼り付けた後、接着シート3を介して半導体チップ5を、そのワイヤーボンド面が上側となる様にして貼り付ける。次に、接着シート13を半導体チップ5の電極パッド部分を避けて貼り付ける。さらに、他の半導体チップ15を接着シート13上に、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。
次に、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5及び他の半導体チップ15におけるそれぞれの電極パッドと、被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。なお、本工程は、接着シート3、13の加熱工程を経ることなく実施される。
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5等を封止する封止工程を行い、封止樹脂を硬化させる。次に、後硬化工程において、上記封止工程で封止樹脂8が硬化不足であれば完全に硬化させる。以上の工程により、複数の半導体チップを3次元実装した半導体装置を製造することができる。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の要旨をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味する。
(基材の準備)
基材として、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を準備した。
(アクリル系ポリマーAの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸−2−エチルヘキシル4部、アクリル酸ブチル3部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル100部、過酸化ベンゾイル0.2部、及び酢酸20部を入れ、窒素気流中で61℃にて6時間重合処理をし、アクリル系ポリマーAを得た。アクリル系ポリマーAに関し、重量平均分子量Mwは30万、ガラス転移温度(Tg)は−16℃、ヨウ素価は2、水酸基価(mgKOH/g)は30であった。
(アクリル系ポリマーBの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル80部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル20部、及びトルエン65部を入れ、窒素気流中で61℃にて6時間重合処理をしてアクリル系ポリマーBを得た。アクリル系ポリマーBに関し、重量平均分子量Mwは80万、ガラス転移温度(Tg)は−60℃、ヨウ素価は6、水酸基価(mgKOH/g)は30であった。
(アクリル系ポリマーCの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル100部、アクリロニトリル5部及びアクリル酸5部からなる数平均分子量約30万のアクリル系共重合体100部にポリイソシアネート5部とペンタエリスリトールトリアクリレート15部とα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1部とを配合し、アクリル系ポリマーCを得た。アクリル系ポリマーCに関し、重量平均分子量Mwは50万、ガラス転移温度(Tg)は10℃、ヨウ素価は1、水酸基価(mgKOH/g)は30であった。なお、各評価項目の測定方法は以下のとおりである。
(重量平均分子量Mwの測定)
アクリル系ポリマーA〜Cの重量平均分子量Mwの測定は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により行った。測定条件は下記の通りである。なお、重量平均分子量はポリスチレン換算により算出した。
測定装置:HLC−8120GPC(製品名、東ソー社製)
カラム:TSKgel GMH−H(S)×2(品番、東ソー社製)
流量:0.5ml/min
注入量:100μl
カラム温度:40℃
溶離液:THF
注入試料濃度:0.1重量%
検出器:示差屈折計
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
ガラス転移温度(Tg)の測定は、各モノマーのホモポリマーのTg1−n と各モノマーの重量分率W1−nから、1/Tg=W/Tg+−−−−+W/Tgにより測定した値である。
(水酸基価の測定)
アクリル系ポリマーA〜Cの水酸基価は、JIS K 0070−1992(アセチル化法)に準じて評価を行った。すなわち、乾燥させた各アクリル系ポリマー約3gにアセチル化試薬10mlを入れ、更に溶剤としてピリジン30ml及びジメチルホルムアミド30mlを加えた。この溶液を、冷却器を備えたウォーターバス中(95〜100℃)で1時間30分加熱を行った。更に、水3mlを加えた後、10分間加熱を行った。
その後、室温に冷却し、冷却器を5mlのエタノールで洗浄し加えた。この溶液に撹拌子を入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、0.5mol/lの水酸化ナトリウム溶液で電位差滴定装置を用いて滴定を行った。試料1gをアセチル化させたときに、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要な水酸化ナトリウムのmg数を水酸基価値として表した。
(ヨウ素価の測定)
アクリル系ポリマーA〜Cの酸価は、JIS K 0070−1992に準じて評価を行った。すなわち、乾燥させた各アクリル系ポリマー約3gにクロロホルム30mlを加え溶解させた。これにウィイス液25mlを加え撹拌した。その後、栓をして密閉状態にし、23℃で暗所に1時間放置した。この溶液にヨウ化カリウム溶液20ml及び水100mlを加え撹拌した。この溶液を0.1mol/lのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し、溶液が微黄色になったら、でんぷん溶液を数滴加え、青色が消えるまで滴定を行った。試料100gにハロゲンを反応させたとき、結合するハロゲンの量をヨウ素のg数に換算した値をヨウ素価値として表した。
(粘着剤組成物溶液A〜Cの調製)
アクリル系ポリマーA〜Cのそれぞれに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、以下、「MOI」ともいう。)24.1部を加え、空気気流中で50℃にて48時間、付加反応処理をし、アクリル系ポリマーA’〜C’を得た。
次に、アクリル系ポリマーA’〜C’各100部に対し、ポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)3部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3部を加え、これをトルエンに溶解させて、濃度20重量%の粘着剤組成物溶液A〜Cを得た。
(ダイシングフィルムA〜Cの作製)
準備した上記基材上に、得られた粘着剤組成物溶液A〜Cをそれぞれ塗布、乾燥して厚さ30μmの粘着剤層を形成することによりダイシングフィルムA〜Cを得た。
(接着シートAの作製)
下記(a)〜(e)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度20重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)アクリルゴム(ナガセケムテックス(株)製、SG−708−6) 33部
(b)エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製、YDF−8170C) 4.5部
(c)フェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851H) 4.5部
(d)シリカ((株)アドマテックス製、SC−2050) 55部
(e)イオン捕捉剤(大和化成(株)製、VERZONE) 3部
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ20μmの接着シートAを作製した。
(接着シートBの作製)
下記(a)〜(e)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度20重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)アクリルゴム(ナガセケムテックス(株)製、SG−708−6) 35部
(b)エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製、YDF−8170C) 5部
(c)フェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851H) 5部
(d)シリカ((株)アドマテックス製、SC−2050) 45部
(e)イオン捕捉剤(東亜合成(株)製、IXE−100) 10部
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ20μmの接着シートBを作製した。
(実施例1〜4)
ダイシングフィルムA〜Cと接着シートA〜Bとをそれぞれ表1に示した組み合わせで常温にて貼り合わせ、実施例1〜4に係るダイシング・ダイボンドフィルムを作製した。
(粘着剤層の貯蔵弾性率の測定)
粘着剤組成物溶液A〜Cを用い、剥離ライナー(三菱化学ポリエステル社製、MRF38、厚さ38μm)上に、粘着剤層を形成し、粘着剤層を厚さ3mm、直径8mmφに調製し、これを試験用サンプルとした。次いで、レオメトリックス社製粘弾性試験機ARESを用い直径7. 9mmのパラレルプレート(せん断試験用)で試験用サンプルを挟み込み、周波数1Hzの周波数のせん断歪みを与え、5℃/分の昇温速度で、26℃における貯蔵弾性率(G’:Pa)を測定した。結果を表1に示す。
(銅イオン捕捉量の変化率の評価)
接着シートA及びBのそれぞれを重さ約2.5gとなるように切り出し、切り出したサンプルを直径58mm、高さ37mmの円柱状の密閉式テフロン(登録商標)製容器にいれ、10ppmの銅(II)イオン水溶液50mlを加えた。その後、恒温乾燥機(エスペック(株)製、PV−231)に120℃で20時間放置した。フィルムを取り出した後、ICP−AES(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、SPS−1700HVR)を用いて水溶液中の銅イオンの濃度を測定した。これより、ダイシングフィルムとの貼り合わせ前の接着シートA及びBの各銅イオン捕捉量X(初期銅イオン濃度10ppm−試験後の銅イオン濃度ppm)を求めた。
別途、実施例1〜4に係るダイシング・ダイボンドフィルムを作製後、常温で30日間放置した。その後、ダイシング・ダイボンドフィルムに対して紫外線照射(400mJ/cm)を行い、ダイシングフィルムから貼り合わせ処理後の接着シートA’及びB’を剥離した。これら接着シートA’及びB’をサンプルとし、上記手順と同様にして銅イオン濃度を測定した。これより、ダイシングフィルムとの貼り合わせ処理後の接着シートA’及びB’の各銅イオン捕捉量Y(初期銅イオン濃度10ppm−試験後の銅イオン濃度ppm)を求めた。
下記式により、ダイシングフィルムとの貼り合わせ前後での接着シートの銅イオン捕捉量の変化率(%)を算出した。
{(銅イオン捕捉量X−銅イオン捕捉量Y)/銅イオン捕捉量X}×100(%)
銅イオン捕捉量の変化率が5%以下である場合を「○」、5%を超える場合を「×」として評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005828706
表1の結果より、実施例1〜4のいずれのダイシング・ダイボンドフィルムも粘着剤層の貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下の範囲内にあることから、接着シートからダイシングフィルムの粘着剤層へのイオン捕捉剤の移行等が抑制され、ダイシングフィルムとの貼り合わせ後であっても接着シートのイオン捕捉性を好適に発揮することができるといえる。

Claims (9)

  1. 基材及び該基材上に積層された粘着剤層(ただし、発泡剤を含有する活性エネルギー線硬化型熱膨張性粘着剤層を除く。)を有するダイシングフィルムと、
    上記粘着剤層上に積層された接着シートとを備え、
    上記接着シートは、金属イオンを捕捉し得るイオン捕捉剤を含み、
    上記粘着剤層の26℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であるダイシング・ダイボンドフィルム。
  2. 上記イオン捕捉剤は、金属イオンと錯体形成し得る有機化合物である請求項1に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
  3. 10ppmの銅イオンを有する水溶液50ml中に、上記接着シートから採取した重さ2.5gのサンプルを浸漬し、120℃で20時間放置した後の上記水溶液中の銅イオン濃度が、0〜9.8ppmである請求項1又は2に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
  4. 上記粘着剤層は、重量平均分子量が30万以上のアクリル樹脂を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
  5. 上記アクリル樹脂は、水酸基含有アクリルモノマーを構成モノマーとする請求項4に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
  6. 上記粘着剤層はイソシアネート系架橋剤を含む請求項4又は5に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
  7. 上記粘着剤層は、上記アクリル樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤を1〜5重量部含む請求項6に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
  8. 上記粘着剤層は放射線硬化型であり、かつ放射線照射前の26℃での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
  9. 上記接着シートの厚さは3μm以上150μm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
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