JP2013038408A - 半導体ウェハ固定用粘着テープ、半導体チップの製造方法及び接着フィルム付き粘着テープ - Google Patents

半導体ウェハ固定用粘着テープ、半導体チップの製造方法及び接着フィルム付き粘着テープ Download PDF

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悠樹 菅生
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Abstract

【課題】薄型化された半導体チップであっても、良好かつ容易にピックアップすることができる半導体ウェハ固定用粘着シート及びこれを用いた半導体チップの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る半導体チップ固定用粘着テープは、基材と、該基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、下記式により算出される曲げ剛性Sが、5.0×10以上7.0×10以下である。
S=E×I
(ただし、Eは、該粘着テープの25℃における引張貯蔵弾性率(Pa)であり、Iは、(b×T)/12で表される断面2次モーメントであり、bは、該引張貯蔵弾性率の測定の際の試験片の幅としての10mmを表し、Tは、該粘着テープの総厚さ(mm)である。)
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体ウェハ固定用粘着テープ、半導体チップの製造方法及び接着フィルム付き粘着テープに関する。
半導体装置の製造方法では、回路パターンを形成した半導体ウェハの裏面研磨により厚さを調整した後、半導体ウェハと半導体ウェハ固定用の粘着テープとを貼り付け、半導体チップを得るべくダイシングされる。次いで、半導体チップを貼り付けたまま粘着テープをエキスパンドし、上記半導体チップを粘着テープ側からニードルにより突き上げ、突き上げた半導体チップをピックアップする。この半導体チップを接着剤にてリードフレームなどの被着体上にダイボンディングするという手順を経て半導体装置が製造される。
上述の粘着テープには、半導体ウェハ又は個片化後の半導体チップに対する良好な保持力と、個片化した半導体チップのピックアップを容易に行うための剥離性とが要求される。このような粘着テープとして、例えば、基材フィルムと粘着剤層とからなり、基材フィルムが、ヤング率が10−1〜10MPaであり、寸法回復率が80%以上のゴム状弾性体により構成されている粘着シートが提案されている(特許文献1)。
特開平5−230426号公報号公報
しかし、近年、半導体装置の高容量化を目的に半導体チップの薄型化・大面積化が進んでいるところ、従来の粘着テープではそのような半導体チップのピックアップが困難となることが判明している。これは、より薄く大面積となった半導体チップではそれ自体の剛性が低下することから、半導体チップのピックアップに先んじて半導体チップを突き上げた際、半導体チップが撓んで半導体チップの粘着剤層からの剥離がほとんど生じないことに起因すると考えられる。
従って、本発明の目的は、薄型化された半導体チップであっても、良好かつ容易にピックアップすることができる半導体ウェハ固定用粘着シート及びこれを用いた半導体チップの製造方法を提供することにある。
本願発明者等は、鋭意検討した結果、以下の構成を採用することにより上述の目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る半導体チップ固定用粘着テープ(以下、「粘着テープ」と称する場合がある)は、基材と、該基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、下記式により算出される曲げ剛性Sが、5.0×10以上7.0×10以下である。
S=E×I
(ただし、Eは、該粘着テープの25℃における引張貯蔵弾性率(Pa)であり、Iは、(b×T)/12で表される断面2次モーメントであり、bは、該引張貯蔵弾性率の測定の際の試験片の幅としての10mmを表し、Tは、該粘着テープの総厚さ(mm)である。)
本発明の粘着テープは所定の曲げ剛性Sを有しているので、例えば200μm以下、あるいは100μm以下の厚さまで薄型化された半導体チップであっても良好にピックアップすることができる。この理由は以下に限定されないが、本発明の粘着テープでは、所定の曲げ剛性Sを有することにより引張貯蔵弾性率だけではなく厚さも同時に考慮した構成となっているので、粘着テープ全体の構成の最適化が図られ、半導体チップの突き上げ時に適度な反発力を発揮し、半導体チップと粘着テープとの剥離を促進することであると推測される。前記曲げ剛性Sが5.0×10未満であると粘着テープの剛性を保つことができず、突き上げ時の反発力も低減してピックアップ性能が低下する。一方、前記曲げ剛性Sが7.0×10を超えると剛性が高すぎ、突き上げ時に粘着テープが適度に湾曲することができなくなってピックアップ性能が低下する。
当該粘着テープでは、前記基材の厚さが35μm以上120μm以下であることが好ましく、当該粘着テープの総厚さが40μm以上150μm以下であることが好ましく、また、当該粘着テープの引張貯蔵弾性率が50×10Pa以上1200×10Pa以下であることが好ましい。このような構成を単独で又は組み合わせて有することにより、半導体チップをより効率良くピックアップすることができる。
当該粘着テープでは、前記基材の他方の面の表面粗さRaが、0.1〜3μmであることが好ましい。ピックアップ工程に先立つテープ拡張(エキスパンド)工程では、一般的に、同心円状の外リングと内リングのうちの外リングに粘着テープを固定しておき、外リングを押し下げて粘着テープを内リングに押し当てることにより粘着テープのエキスパンドを行う。上記表面粗さRaにより、このときの拡張させるための冶具(すなわち、内リング)と粘着テープとの接触面積が低下し拡張時に発生する粘着テープと冶具との摩擦抵抗を軽減し、粘着テープを拡張させやすくなる。表面粗さRaは、光干渉型表面形状粗さ測定システム(Wyko NT9100(Veeco社製))を用いて測定することができる。
本発明には、半導体ウェハと、当該半導体ウェハ固定用粘着テープの粘着剤層とを貼り合わせる工程、
上記半導体ウェハをダイシングして半導体チップを形成する工程、及び
上記半導体チップをピックアップする工程
を含む半導体チップの製造方法も含まれる。
本発明の製造方法では、当該粘着テープを用いていることから、薄型化された半導体チップであっても良好にピックアップすることができ、半導体チップの製造効率を向上させることができる。
本発明の製造方法では、当該粘着テープを用いているので、厚さが100μm以下の極めて薄い半導体ウェハであっても歩留まり良く半導体チップを作製することができる。
本発明には、当該半導体ウェハ固定用粘着テープと、
前記粘着テープの粘着剤層上に積層された接着フィルムと
を備える接着フィルム付き粘着テープも含まれる。
本発明の半導体ウェハ固定用粘着テープによれば、所定の曲げ剛性Sを有していることから、半導体チップの突き上げ時に適度な反発力を発揮することができ、薄型化・大面積化された半導体チップであっても良好にピックアップすることができる。また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、当該半導体固定用粘着テープを用いて半導体装置の製造を行うことにより、歩留まりの向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る半導体ウェハ固定用粘着テープを模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る半導体チップの製造方法の工程を模式的に示す工程図である。 本発明の一実施形態に係る接着フィルム付き粘着テープを模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図である。
<半導体ウェハ固定用粘着テープ>
半導体チップ固定用粘着テープ10は、図1に示したように、基材1と、該基材の一方の面上に設けられた粘着剤層2とを有する。粘着テープ10について、下記式により算出される曲げ剛性Sが、5.0×10以上7.0×10以下である。
S=E×I
(ただし、Eは、該粘着テープの25℃における引張貯蔵弾性率(Pa)であり、Iは、(b×T)/12で表される断面2次モーメントであり、bは、該引張貯蔵弾性率の測定の際の試験片の幅としての10mmを表し、Tは、該粘着テープの総厚さ(mm)である。)
粘着テープ10は所定の曲げ剛性Sを有しているので、粘着テープ10全体の構成により適度な反発力を発揮し、従来に比して薄型化されてピックアップが困難であった半導体チップであっても良好にピックアップすることができる。前記曲げ剛性Sが5.0×10未満であると粘着テープの剛性を保つことができず、突き上げ時の反発力も低減してピックアップ性能が低下する。一方、前記曲げ剛性Sが7.0×10を超えると剛性が高すぎ、突き上げ時に粘着テープが適度に湾曲することができなくなってピックアップ性能が低下する。
粘着テープ10の総厚さは特に限定されないものの、40μm以上150μmが好ましく50μm以上130μmがより好ましい。粘着テープ10の総厚さをこのような範囲とすることにより、曲げ剛性Sを適切に制御することができ、これにより粘着テープ10のピックアップ性を向上させることができる。
粘着テープ10の引張貯蔵弾性率は曲げ弾性率Sを考慮して決めることができ、50×10Pa以上1200×10Pa以下であることが好ましく、70×10Pa以上1000×10Pa以下であることがより好ましい。なお、粘着テープの引張貯蔵弾性率の測定方法は実施例の記載による。
(基材)
上記基材1は粘着テープ10の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、基材1は紫外線に対し透過性を有するものが好ましい。
また基材1の材料としては、上記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。上記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。
上記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。また、基材1には、帯電防止能を付与するため、上記の基材1上に金属、合金、これらの酸化物等からなる厚さが30〜500Å程度の導電性物質の蒸着層を設けることができる。基材1は単層又は2種以上の複層でもよい。
基材1の厚さは、粘着テープ10が上記曲げ剛性Sを満たす限り適宜に決定できるが、一般的には5μm以上200μm以下程度であり、好ましくは35μm以上120μm以下である。
なお、基材1には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤等)が含まれていてもよい。
当該粘着テープでは、前記基材の粘着剤層側とは反対側の面の表面粗さRaが、0.1〜3μmであることが好ましい。このような構成により、エキスパンド工程において、拡張させるための冶具(すなわち、内リング)と粘着テープとの接触面積が低下し拡張時に発生する粘着テープと冶具との摩擦抵抗を軽減し、粘着テープを拡張させやすくなる。
(粘着剤層)
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤は、ダイシングの際に半導体ウェハ又は半導体チップをしっかり保持し、ピックアップ時に半導体チップを剥離可能に制御できるものであれば特に制限されない。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性接着剤を用いることができる。上記感圧性接着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性などの点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
上記アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸エステルを主モノマー成分として用いたものが挙げられる。上記アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
上記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性などの改質を目的として、必要に応じ、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリルなどがあげられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
さらに、上記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマーなども、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。このような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
上記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。
また、上記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤などのいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法があげられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、さらには0.1〜5重量部配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、上記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤などの添加剤を用いてもよい。
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、ピックアップを容易に行うことができる。放射線としては、X線、紫外線、電子線、α線、β線、中性子線等が挙げられる。
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、上記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化性粘着剤を例示できる。
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系など種々のオリゴマーがあげられ、その重量平均分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、上記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
また、放射線硬化型粘着剤としては、上記説明した添加型の放射線硬化性粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化性粘着剤があげられる。内在型の放射線硬化性粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
上記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。このようなベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、上記例示したアクリル系ポリマーがあげられる。
上記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させる方法があげられる。
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基などがあげられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、上記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと上記化合物のいずれの側にあってもよいが、上記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、上記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。また、アクリル系ポリマーとしては、上記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物などを共重合したものが用いられる。
上記内在型の放射線硬化性粘着剤は、上記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に上記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
上記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェニル−1,2―プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
なお、放射線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、放射線硬化型の粘着剤層2の表面よりなんらかの方法で酸素(空気)を遮断するのが望ましい。例えば、上記粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の放射線の照射を行う方法等が挙げられる。
なお、粘着剤層2には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、増粘剤、増量剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、架橋剤等)が含まれていてもよい。
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、曲げ剛性Sやチップ切断面の欠け防止、接着層の固定保持の両立性等の観点から1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、さらには好ましくは5〜25μmである。
<半導体ウェハ固定用粘着テープの製造方法>
まず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
次に、粘着剤層形成用の粘着剤組成物を調製する。粘着剤組成物には、粘着剤層の項で説明したような樹脂や添加物等が配合されている。調製した粘着剤組成物を基材1上に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、上記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、基材1及び粘着剤層2を備える粘着テープ10が作製される。なお、粘着テープとしては、少なくとも基材及び粘着剤層を備えていればよく、セパレータ等の他の要素を有している場合も粘着テープという。
セパレータは、粘着剤層2の保護、ラベル加工、及び粘着剤層2の表面を平滑にする機能を有し、またそれらの目的のために、必要に応じて設けられるものである。
セパレータの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等が挙げられる。セパレータの表面には粘着剤層2からの剥離性を高める為、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。また、必要に応じて、粘着剤層2が環境紫外線によって反応するのを防止するために、紫外線防止処理が施されていてもよい。セパレータの厚みは、通常10〜200μm、好ましくは25〜100μm程度である。
<半導体チップの製造方法>
次に、本実施の形態に係る粘着テープ10を用いた半導体チップの製造方法について、図面を参照しつつ説明する。当該半導体チップの製造方法は、半導体ウェハと、当該半導体ウェハ固定用粘着テープの粘着剤層とを貼り合わせる工程、上記半導体ウェハをダイシングして半導体チップを形成する工程、及び上記半導体チップをピックアップする工程を含む。
まず、図2(a)に示したように、粘着テープ10における粘着剤層2上に半導体ウェハ3を圧着し、これを接着保持させて固定する。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。半導体ウェハ3の厚さは、後工程で得られる半導体チップの用途に応じて変更すればよく、一般的に5μm以上750μm以下である。当該製造方法では、所定の曲げ剛性Sを有する粘着テープ10を用いているので、薄型化された半導体チップを得るために100μm以下の半導体ウェハも好適に加工対象とすることができる。
次に、図2(b)に示したように、半導体ウェハ3のダイシングを行う。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ4を製造する。ダイシングは、例えば半導体ウェハ3の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えば粘着テープ10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハは、粘着テープ10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ3の破損も抑制できる。
続いて、図2(c)に示したように、半導体チップ4間の距離を広げてピックアップを容易に行うために粘着テープ10をエキスパンドする。エキスパンド量は、サンプルに応じて拡張する量を変化させるが、0.2〜15mmが好ましく、更には、0.5〜10mmが好ましい。
最後に、図2(d)に示したように、粘着テープ10に接着固定された半導体チップを剥離して回収するために、半導体チップ4のピックアップを行う。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ4を粘着テープ10の基材1側から図2(d)に示した矢印の方向でニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ4をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型の場合、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2の半導体チップ4に対する粘着力が低下し、半導体チップ4の剥離が容易になる。その結果、半導体チップ4を損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。また、紫外線照射に使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、低圧高出力ランプ、中圧水銀ランプ、無電極水銀ランプ、キセノン・フラッシュ・ランプ、エキシマ・ランプ、紫外LED等を用いることができる。
以上のようにして、本実施形態の半導体チップの製造方法により、薄型化・大面積化された半導体チップを効率良く製造することができる。
<接着フィルム付き粘着テープ>
図3に示すように、接着フィルム付き粘着テープ20は、上述の半導体チップ固定用粘着テープ10と、この粘着テープ10の粘着剤層2上に積層された接着フィルム5とを備える。接着フィルム付き粘着テープ20を用いることにより、ダイシング工程で半導体ウェハを接着保持するとともに、半導体チップを基板等の被着体に固定するマウント工程に必要なチップ固定用の接着フィルムをも付与することができる。従って、接着フィルム付き粘着テープを用いれば、半導体チップが被着体に固定された半導体装置を効率良く製造することができる。半導体チップ固定用粘着テープ10については既に説明しているので、以下接着フィルム5について説明する。なお、図3に示すように、接着フィルム5は、半導体ウェハに対応するサイズで粘着剤層2上に設けられていてもよく、粘着剤層2の全面に設けられていてもよい。
(接着フィルム)
接着フィルム5の構成材料としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用したものが挙げられる。又、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂単独でも使用可能である。また、接着フィルム5の積層構造は特に限定されず、例えば単層のみからなるものや、コア材料の片面又は両面に接着フィルムを形成した多層構造のもの等が挙げられる。前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PETやPBT等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく耐熱性が高く、半導体素子の信頼性を確保できるアクリル樹脂が特に好ましい。
前記アクリル樹脂としては、例えば、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体等が挙げられる。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。
また、前記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
更に、前記アクリル樹脂としてはアクリル共重合体が好ましい。当該アクリル共重合体に用いるモノマー成分としては特に限定されず、例えば、ブチルアクリレート、エチルアクリレート等が挙げられる。本実施形態に於いては、全モノマー成分に対し、10〜60重量%の範囲内のブチルアクリレートと、40〜90重量%の範囲内のエチルアクリレートとを含み構成される共重合体が好ましい。
また、前記モノマー成分と共重合可能な他のモノマー成分としては特に限定されず、例えば、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分の使用量は、全モノマー成分に対し1〜20重量%の範囲内であることが好ましい。当該数値範囲内の他のモノマー成分を含有させることにより、凝集力、接着性などの改質が図れる。
アクリル共重合体の重合方法としては特に限定されず、例えば、溶液重合法、隗状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の従来公知の方法を採用することができる。
前記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜20℃であることが好ましく、−25℃〜8℃であることがより好ましい。前記ガラス転移温度を−30℃以上にすることにより、接着フィルムの高温時(例えば、100〜200℃)の貯蔵弾性率を確保することができる。その一方、20℃以下にすることにより、半導体ウェハに対する良好な密着性・貼着性を発現させることができる。
前記アクリル共重合体の重量平均分子量は、10万以上であることが好ましく、60万〜120万であることがより好ましく、70万〜100万であることが特に好ましい。重量平均分子量を10万以上にすることにより、配線基板等の被着体や半導体素子、半導体ウェハ表面に対する高温時の接着性に優れ、かつ、耐熱性も向上させることができる。尚、重量平均分子量が120万以下にすることにより、容易に有機溶剤への溶解することができる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロトマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。特に、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ないエポキシ樹脂が好ましい。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。尚、エポキシ樹脂は、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ない。
更に、前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうち、下記化学式で表されるビフェニル型フェノールノボラック樹脂や、フェノールアラルキル樹脂が好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
尚、前記nは0〜10の自然数であることが好ましく、0〜5の自然数であることがより好ましい。前記数値範囲内にすることにより、接着フィルムの流動性の確保が図れる。
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
尚、本実施形態に於いては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を用いた接着フィルムが特に好ましい。これらの樹脂は、イオン性不純物が少なく耐熱性が高いので、半導体素子の信頼性を確保できる。この場合の配合比は、アクリル樹脂成分100重量部に対して、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合量が10〜200重量部である。
本実施形態の接着フィルムを予めある程度架橋をさせておく場合には、作製に際し、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくのがよい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
前記架橋剤としては、特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、多価アルコールとジイソシアネートの付加物等のポリイソシアネート化合物がより好ましい。架橋剤の添加量としては、前記の重合体100重量部に対し、通常0.05〜7重量部とするのが好ましい。架橋剤の量が7重量部より多いと、接着力が低下するので好ましくない。その一方、0.05重量部より少ないと、凝集力が不足するので好ましくない。また、この様なポリイソシアネート化合物と共に、必要に応じて、エポキシ樹脂等の他の多官能性化合物を一緒に含ませるようにしてもよい。
また、接着フィルムには、無機充填剤を適宜配合することができる。無機充填剤の配合は、接着フィルムの表面に凹凸を付与する。また、導電性の付与や熱伝導性の向上、貯蔵弾性率の調節等も可能にする。
前記無機充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田等の金属、又は合金類、その他カーボン等からなる種々の無機粉末が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、シリカ、特に溶融シリカが好適に用いられる。
無機充填剤の平均粒径は、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.2〜3μmの範囲内であることがより好ましい。尚、本実施形態に於いては、平均粒径が相互に異なる無機充填剤同士を組み合わせて使用してもよい。また、平均粒径は、光度式の粒度分布計(HORIBA製、装置名;LA−910)により求めた値である。
前記無機充填剤の配合量は、有機樹脂成分100重量部に対し20〜80重量部に設定することが好ましい。特に好ましくは20〜70重量部である。無機充填剤の配合量が20重量部未満であると、耐熱性が低下するため、長時間高温の熱履歴にさらされると接着フィルムが硬化し、流動性やチップや被着体の凹凸に対する埋め込み性が低下する場合がある。また、80重量部を超えると、接着フィルムの貯蔵弾性率が大きくなる。このため、硬化した接着剤が応力緩和しづらくなり、封止工程に於いてチップや被着体の凹凸に対する埋め込み性が低下する場合がある。
尚、接着フィルムには、前記無機充填剤以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
接着フィルムは、必要に応じて着色されていてもよい。接着フィルムにおいて、着色により呈している色としては特に制限されないが、例えば、黒色、青色、赤色、緑色などが好ましい。接着フィルムは、ダイボンドフィルムとして用いる場合には、通常、着色されていないが(着色されていても良いが)、フリップチップ型半導体裏面用フィルム(後述)として用いる場合には、通常、着色されている。着色に際しては、顔料、染料などの公知の着色剤の中から適宜選択して用いることができる。
接着フィルム5の厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、例えば、5〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。
なお、接着フィルム5は、チップ固定用のダイボンドフィルムとしてだけではなく、フリップチップ型半導体裏面用フィルムとしても用いることができる。ここで、フリップチップ型半導体裏面用フィルムは、半導体チップをフリップチップボンディングにより基板に実装する際に、半導体チップの裏面(露出している裏面)を保護するために用いられるものである。
<接着フィルム付き粘着テープの製造方法>
接着フィルム付き粘着テープ20は、例えば粘着テープ10及び接着フィルム5を別々に作製しておき、最後にこれらを貼り合わせることにより作成することができる。具体的には、以下のような手順に従って作製することができる。
粘着テープ10は上述の半導体ウェハ固定用粘着テープの製造方法の項で説明した手順に沿って作製することができる。
接着フィルム5は、例えば、以下のようにして作製される。まず、接着フィルム5の形成材料である接着剤組成物を調製する。当該接着剤組成物には、接着フィルムの項で説明した通り、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、各種の添加剤等が配合されている。
次に、調製した接着剤組成物を基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ、接着フィルム5を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に接着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、上記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて接着フィルム5を形成してもよい。その後、基材セパレータ上に接着フィルム5をセパレータと共に貼り合わせる。なお、本発明には、セパレータ等の他の要素を含む接着フィルムも含まれる。
続いて、接着フィルム5及び粘着テープ10からそれぞれセパレータを剥離し、接着フィルム5と粘着剤層2とが貼り合わせ面となる様にして両者を貼り合わせる。貼り合わせは、例えば圧着により行うことができる。このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。次に、接着フィルム5上の基材セパレータを剥離し、接着フィルム付き粘着テープ20が得られる。
<半導体装置の製造方法>
接着フィルム付き粘着テープ20を用いて半導体装置30(図4参照)を製造する代表的な手順は以下の通りである。まず、接着フィルム付き粘着テープ20の接着フィルム5と半導体ウェハとを貼り合わせる。次に、接着フィルムによる保持下に半導体ウェハを接着フィルムと共にダイシングした後、基材をエキスパンドし、半導体チップ4を接着フィルム5と共に粘着テープから剥離してこれを個々に回収する(ここまで、粘着剤層2上に接着フィルム5が積層されていること以外は、図2に示す各工程に対応する。)。さらに、図4に示すように、半導体チップ4を、接着フィルム5を介して、BT基板やリードフレーム等の被着体6に接着固定させる。被着体6の端子部の先端と半導体チップ4上の電極パッドとをボンディングワイヤー7で電気的に接続し、最後に、被着体6に搭載された半導体チップ4やボンディングワイヤー7を保護するために封止樹脂8により封止する。この封止工程で接着フィルム5が完全に硬化していない場合は、硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる後硬化工程を行ってもよい。なお、接着フィルム5の硬化は、接着フィルム5の弾性率やワイヤーボンディング容易性等を考慮し、マウント工程から後硬化工程の間の適宜の段階で行えばよい。これにより半導体装置30を製造することができる。なお、半導体チップを多段階に積層する場合は、接着フィルムを介して固定した半導体チップ上に、さらに接着フィルム付きの半導体チップを接着固定すればよい。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA):80重量部、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEA):20重量部及びトルエン:65重量部を入れ、窒素気流中で61℃にて6時間の重合処理をしアクリル系ポリマーXを得た。
このアクリル系ポリマーX:100重量部に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI):24.1重量部(HEAに対し90mol%)を加え、空気気流中で50℃にて48時間、付加反応処理をし、アクリル系ポリマーYを得た。
次に、アクリル系ポリマーY:100重量部に対し、ポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業株式会社製):8重量部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)5重量部を加えて、粘着剤溶液を調製した。
基材として厚さ100μmのポリエチレン(PE)フィルムを用い、前記で調製した粘着剤溶液をPEフィルム上に塗布し、80℃で3分間加熱乾燥して、厚さ10μmの粘着剤層を形成することにより半導体ウェハ固定用粘着テープ1を作製した。
(実施例2)
基材として厚さ40μmのポリプロピレン(PP)フィルムを用い、粘着剤層の厚さを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ2を作製した。
(実施例3)
基材として厚さ70μmのポリ塩化ビニル(PVC)フィルムを用い、粘着剤層の厚さを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ3を作製した。
(実施例4)
基材として厚さ70μmのPVCフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ4を作製した。
(実施例5)
基材として、PEとPPとで構成される厚さ80μmの2層フィルムを用い、粘着剤層の厚さを7μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ5を作製した。
(実施例6)
基材として厚さ115μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムを用い、粘着剤層の厚さを15μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ6を作製した。
(実施例7)
基材として厚さ60μmのPEフィルムを用い、粘着剤層の厚さを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ7を作製した。
(実施例8)
基材として厚さ60μmのPEフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ8を作製した。
(実施例9)
基材として、PEとPPとを溶融混合して得られた厚さ40μmのフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ9を作製した。
(実施例10)
基材として、PEとPPとで構成される厚さ100μmの2層フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ10を作製した。
(実施例11)
基材として、PEとPPとで構成される厚さ100μmの2層フィルムを用い、粘着剤層の厚さを30μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ11を作製した。
(実施例12)
<接着フィルムの作製>
エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名;EPPN501HY)50重量部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7800)50重量部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100重量部、及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;SO−25R、平均粒径0.5μm)70重量部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの接着フィルム1を作製した。
作製した接着フィルム1を実施例1と同様の方法で作製した半導体固定用粘着テープ1の粘着剤層上に積層し、接着フィルム付き粘着テープ1を作製した。
(実施例13)
実施例12で作製した接着フィルム1を実施例2と同様の方法で作製した半導体固定用粘着テープ2の粘着剤層上に積層し、接着フィルム付き粘着テープ2を作製した。
(実施例14)
実施例12で作製した接着フィルム1を実施例6と同様の方法で作製した半導体固定用粘着テープ6の粘着剤層上に積層し、接着フィルム付き粘着テープ3を作製した。
(実施例15)
実施例12で作製した接着フィルム1を実施例9と同様の方法で作製した半導体固定用粘着テープ9の粘着剤層上に積層し、接着フィルム付き粘着テープ4を作製した。
(比較例1)
基材として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、粘着剤層の厚さを35μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ12を作製した。
(比較例2)
基材として厚さ35μmのPEフィルムを用い、粘着剤層の厚さを5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして半導体ウェハ固定用粘着テープ13を作製した。
(曲げ剛性Sの測定)
まず、各実施例及び比較例で作製した半導体ウェハ固定用粘着テープ1〜13の総厚さを、HS−3412((株)小野測器製)を用い計測した。具体的には、各粘着テープについて2mm間隔おきに16点測定し、その平均値を粘着テープの総厚さとした。次いで、粘着テープ1〜13のそれぞれから10mm幅の試験片を切りだし、引張貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(RSA−III、レオメトリクスサイエンティフィク社製)を用いて、0〜120℃の温度域、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで測定し、25℃時の引張貯蔵弾性率の値E(単位[Pa])を読み取った。そして、S=E×Iにより算出される曲げ剛性Sを求めた。ここで、Eは、粘着テープの25℃における引張貯蔵弾性率(Pa)であり、Iは、b×T/12で表される断面2次モーメントであり、bは、粘着テープの引張貯蔵弾性率測定用試験片の幅である10(mm)であり、Tは、粘着テープの総厚さ(mm)である。結果を表1に示す。
(半導体チップの保持性及びピックアップの評価)
実施例1〜11及び比較例1〜2の粘着テープ1〜13、並びに実施例12〜15の接着フィルム付き粘着テープ1〜4を用いて、以下の要領で、実際に半導体ウェハの裏面研削工程からピックアップ工程までを行い、半導体チップの保持性及びピックアップ性を評価した。
[粘着テープ1〜13のチップ保持性]
半導体ウェハ(直径12インチ、厚さ0.6mm)を裏面研磨処理し、厚さ0.05mm(50μm)のミラーウェハをワークとして用いた。粘着テープの粘着剤層上にミラーウェハを40℃でロール圧着して貼り合わせした。さらにダイシングを行い、20個の半導体チップを形成した。ダイシングは10mm角のチップサイズとなるようにフルカットした。また、ダイシングは、半導体ウェハの厚さの半分までは下記ダイシングブレードZ1と用いた。さらに、粘着剤層の厚さの半分までは、下記ダイシングブレードZ2を用いた。また、ダイシングブレードZ1及びZ2の種類に応じて、ダイシング条件を下記の通りに変更した。ダイシングの際に半導体チップのチップ飛びが発生しなかった場合を「○」とし、チップ飛びが発生した場合を「×」として、チップ飛びの有無を基準として半導体チップの保持性を評価した。結果を表1に示す。
<ウェハ研削条件>
研削装置:ディスコ社製 DFG−8560
半導体ウェハ:12インチ径(厚さ0.6mmから0.05mmに裏面研削)
<ウェハ貼り合わせ条件>
貼り付け装置:日東精機製、MA−3000II
貼り付け速度:10mm/min
貼り付け圧力:0.15MPa
貼り付け時のステージ温度:40℃
<ダイシング条件>
ダイシング装置:ディスコ社製、DFD−6361
ダイシングリング:2−12−1(ディスコ社製)
ダイシング速度:30mm/sec
ダイシングブレード:
Z1;ディスコ社製NBC−ZH203O−SE27HCDD
ダイシングブレード回転数:40,000rpm
ブレード高さ:半導体ウェハの厚さの半分
Z2;ディスコ社製NBC−ZH103O−SE27HCBB
ダイシングブレード回転数:45,000rpm
ブレード高さ:粘着剤層の厚さの半分
カット方式:Aモード/ステップカット
ウェハチップサイズ:10.0mm角
[接着フィルム付き粘着テープ1〜4のチップ保持性]
半導体ウェハ(直径12インチ、厚さ0.6mm)を裏面研磨処理し、厚さ0.05mm(50μm)のミラーウェハをワークとして用いた。接着フィルム付き粘着テープの接着剤層上にミラーウェハを40℃でロール圧着して貼り合わせした。さらにダイシングを行い、20個の半導体チップを形成した。ダイシングは10mm角のチップサイズとなるようにフルカットした。また、ダイシングは、半導体ウェハの厚さの半分までは下記ダイシングブレードZ1と用いた。さらに、粘着剤層の厚さの半分までは、下記ダイシングブレードZ2を用いた。また、ダイシングブレードZ1及びZ2の種類に応じて、ダイシング条件を下記の通りに変更した。ダイシングの際に半導体チップのチップ飛びが発生しなかった場合を「○」とし、チップ飛びが発生した場合を「×」として、チップ飛びの有無を基準として半導体チップの保持性を評価した。結果を表1に示す。
<ウェハ研削条件>
研削装置:ディスコ社製 DFG−8560
半導体ウェハ:12インチ径(厚さ0.6mmから0.05mmに裏面研削)
<ウェハ貼り合わせ条件>
貼り付け装置:日東精機製、MA−3000II
貼り付け速度:10mm/min
貼り付け圧力:0.15MPa
貼り付け時のステージ温度:50℃
<ダイシング条件>
ダイシング装置:ディスコ社製、DFD−6361
ダイシングリング:2−12−1(ディスコ社製)
ダイシング速度:30mm/sec
ダイシングブレード:
Z1;ディスコ社製NBC−ZH203O−SE27HCDD
ダイシングブレード回転数:40,000rpm
ブレード高さ:半導体ウェハの厚さの半分
Z2;ディスコ社製NBC−ZH203O−SE27HCBB
ダイシングブレード回転数:45,000rpm
ブレード高さ:粘着剤層の厚さの半分
カット方式:Aモード/ステップカット
ウェハチップサイズ:10.0mm角
[ピックアップ性]
ダイシング後、粘着テープを引き伸ばして、各チップ間を所定の間隔とするエキスパンド工程を行った。さらに、各粘着テープの基材側からニードルによる突き上げ方式で半導体チップをピックアップしピックアップ性の評価を行った。具体的には、20個の半導体チップについて、ピックアップ高さを0μm〜600μmの範囲内として半導体チップのピックアップを行い、全てピックアップできた場合を「○」とし、1個でもピックアップできなかった場合を「×」として、ピックアップ性を評価した。結果を表1に示す。
<ピックアップ条件>
ピックアップ装置:SPA−300(新川(株)製)
ニードル数:5本
ニードルの種類:直径0.7mm、鋭角度15°、長さ10mm、先端R350μm
エキスパンド量:5mm
ピックアップ時間:1000msec
ピックアップ速度:5mm/秒
ピックアップ高さ:0μm〜600μm
(結果)
表1から分かるように、実施例に係る半導体固定用粘着テープ及び接着フィルム付き粘着テープは、半導体チップの保持力及びピックアップ性のいずにも優れていた。一方、比較例に係る粘着テープは、半導体チップの保持力は十分であったものの、ピックアップ性に劣る結果となった。
1 基材
2 粘着剤層
3 半導体ウェハ
4 半導体チップ
5 接着フィルム
10 半導体ウェハ固定用粘着テープ
20 接着フィルム付き粘着テープ

Claims (8)

  1. 基材と、該基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、
    下記式により算出される曲げ剛性Sが、5.0×10以上7.0×10以下である半導体ウェハ固定用粘着テープ。
    S=E×I
    (ただし、Eは、該粘着テープの25℃における引張貯蔵弾性率(Pa)であり、Iは、(b×T)/12で表される断面2次モーメントであり、bは、該引張貯蔵弾性率の測定の際の試験片の幅としての10mmを表し、Tは、該粘着テープの総厚さ(mm)である。)
  2. 前記基材の厚さが35μm以上120μm以下である請求項1に記載の半導体ウェハ固定用粘着テープ。
  3. 前記総厚さが40μm以上150μm以下である請求項1又は2に記載の半導体ウェハ固定用粘着テープ。
  4. 前記引張貯蔵弾性率が50×10Pa以上1200×10Pa以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体ウェハ固定用粘着テープ。
  5. 前記基材の他方の面の表面粗さRaが0.1〜3μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体ウェハ固定用粘着テープ。
  6. 半導体ウェハと、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体ウェハ固定用粘着テープの粘着剤層とを貼り合わせる工程、
    上記半導体ウェハをダイシングして半導体チップを形成する工程、及び
    上記半導体チップをピックアップする工程
    を含む半導体チップの製造方法。
  7. 前記半導体ウェハの厚さが100μm以下である請求項6に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体ウェハ固定用粘着テープと、
    上記粘着テープの粘着剤層上に積層された接着フィルムと
    を備える接着フィルム付き粘着テープ。
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