JP5828257B2 - 原稿画像読取装置、画像形成装置、原稿画像読取方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Description
このような広幅原稿画像読取装置では、文書に広く用いられている定形サイズ(例えば、A4,B5等)の原稿に対して通常用意される原稿トレイのように、原稿全面を安定して載せ、支えるトレイや台が存在せず、原稿搬送入り口に原稿を差し入れて、原稿の大部分がそこから垂れ下がった状態で、読み取りを開始する構成が一般的である。また、原稿を排出する側においても、排出された原稿を安定して載せ、支えるトレイや台が存在せず、排出された原稿は排紙部から垂れ下がり、最終的には下部にあるボックスに収まるという機構を用いている。
特許文献1には、搬送手段の構成部品のばらつきにより生じる搬送速度の変化による影響を打ち消す手段を備えることが記載されている。
以下に示す実施形態の原稿画像読取装置は、文書に広く用いられているサイズよりも大きいサイズの原稿を搬送手段によって搬送しながら読取るものである。
読取りは、原稿搬送を副走査とし、副走査方向に交わる主走査方向にラインイメージセンサの一種である広幅のCIS(密着イメージセンサ)を設け、主・副のラスタ走査によって原稿面を読取り、画素値を出力する。
このため、原稿は原稿テーブルからはみ出し、垂れ下がるといった状態になり、また搬送にともなって状態の変化が生じる。
この状態の変化が搬送手段の作動に影響して、原稿画像の読取結果を劣化させる。そこで、読取精度を適正に保つために、状態変化による影響を低減する後記で詳述する搬送制御機能を備える。
ただ、独立したスキャナ装置のように原稿画像読取機能を単機能として備えた形態で実施してもよいし、画像形成装置以外の他の画像処理装置に搭載された形態で実施してもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る原稿画像読取装置の構成の概要を示す図である。
図1において、図1全体は複写機、複合機等の画像形成装置であり、原稿画像読取装置11は、画像形成装置の上部に搭載されており、原稿画像読取装置11の下部に画像形成部19を有する。
画像形成部19は、作像部81、給紙部82よりなり、給紙部82から供給される記録用紙に作像部81によって画像を形成し、プリント出力を行う。なお、画像形成部19は、本発明の要旨とは直接関係がなく、既存の構成を採用するものであるから、説明を省略する。
原稿1の搬送手段は、上流側搬送ローラ13とこれに圧接する上流側従動ローラ23、下流側搬送ローラ14とこれに圧接する下流側従動ローラ24、排紙ローラ15及びこれらローラの駆動用モータ(不図示)等を要素として構成する。上記駆動用モータは、後述する原稿による負荷の影響を打ち消す動作を含め、原稿面の読取において副走査に求められる条件で原稿を搬送するため、コントローラによって駆動が制御される。この搬送手段の制御に用いる原稿1を検知するセンサとして、原稿挿入センサ22及び原稿レジストセンサ18が搬送路上に設けられている。
また、原稿1の搬送手段への挿入側には原稿テーブル25を設けるとともに、搬送手段からの原稿排紙側には前方排紙用トレイ12と後方排紙用の案内26を設ける。
次いで、原稿1の先端が原稿レジストセンサ18によって検知されると、この検知信号をトリガとして、原稿入り口の上流側搬送ローラ13は停止される。
この後、操作部51にて、ユーザーが読み取り開始を指示する入力操作を行うと、原稿入り口の上流側搬送ローラ13は駆動されて正転し、原稿1がCIS読取部17を通過して、CISによって原稿画像が読取られる。
下流側のローラ対14,24により引き出される原稿1は、前方排紙用トレイ12への排紙と後方排紙用の案内26を経て行う排紙のいずれかの排紙方法が選択される。前方排紙用トレイ12を選択した場合、下流側のローラ対14,24の後に設けた分岐爪等を用いて排紙ローラ15を通す搬送路(図1中、矢印bにて示す)に切替え、前方排紙用トレイ12に送る。他方、後方排紙用の案内26を経て行う排紙の場合、前記分岐爪等を用いることなく、同一面に設けた後方排紙用の案内26に向けて矢印a方向に送る。
上記の原稿画像読取装置11において、原稿テーブル25は、原稿全面を安定して載せ、支えるに十分な大きさではないため、大サイズの原稿であった場合、原稿テーブル25からはみ出した状態になる。
図2は、本実施形態の原稿画像読取装置(図1)において、大サイズ原稿を読取対象とした場合の原稿読取開始時における原稿の状態を説明する図である。
大サイズの原稿1が読取対象となっている場合、図2に示すように、読取開始時には、原稿1の後端側の部分1rが原稿テーブル25からはみ出し、垂れ下がった状態となる。この状態では、原稿の搬送手段に掛かる負荷として、垂れ下がった後端側の部分1rの重みによって、原稿全面がテーブル等に載って安定して支えられている小サイズ原稿の場合に比べ、極めて大きくなる。
また、上記の原稿による負荷は、原稿が搬送されるに連れて、原稿1の垂れ下がった後端側の部分1rの長さが減っていくため、画像の伸び具合は徐々に収まっていく、という変動を示す。
このように、原稿の原稿読取開始時に原稿による負荷が原稿搬送位置に応じて変動することによって、読取った画像が伸びる読取精度の劣化が生じる。
図3は、本実施形態の原稿画像読取装置(図1)において、大サイズ原稿を読取対象とした場合の原稿読取終了時における原稿の状態を説明する図である。
大サイズの原稿1が読取対象となっている場合、図3に示すように、読取終了に近づいた時には、原稿1の先端側の部分1fが後方排紙用の案内26からはみ出し、垂れ下がった状態となる。この状態では、垂れ下がった先端側の部分1fの重みが、原稿搬送を促進するように働くようになることで、原稿の搬送手段に掛かる負荷が、原稿前面がテーブル等に載って安定して支えられている小サイズ原稿の場合に比べ、極めて小さくなる。
また、上記の原稿による負荷は、原稿が搬送されるに連れて、垂れ下がった先端側の部分1fの長さが増えていくため、画像の縮み具合は徐々に著しくなる、という変動を示す。
このように、原稿の原稿読取終了時に原稿による負荷が原稿搬送位置に応じて変動することによって、読取った画像が縮まる読取精度の劣化が生じる。
なお、原稿排紙側には、前方排紙用トレイ12に排紙する場合がある。この場合、後方排紙用の案内26におけるほど負荷の変動が大きくならないが、大きな変動が生じる仕様である場合には、同様の対処が可能である。ただ、以下では、後方排紙用の案内26側で生じる負荷の変動へ対処する形態を例に説明をする。
上記〈原稿による負荷の変動〉で述べたように、大サイズ原稿を読取対象とした場合、原稿読取終了時において、先行技術におけると同様の搬送制御で対応すると、原稿搬送位置に応じて変動する原稿による負荷によって、搬送速度が変動してしまい、読取精度の劣化が生じる。
そこで、本実施形態では、原稿による負荷の変動の搬送速度への影響を予測し、負荷の影響を打ち消すよう搬送手段を動作させることによって、読取精度の劣化を低減する。
読取精度の劣化を低減する上記駆動制御を実行するためには、搬送原稿位置に対応する駆動制御値を用意する必要がある。この搬送原稿位置と駆動制御値との対応関係は、所定の原稿を所定の原稿搬送手段に通紙する実験などを予め行うことにより、適正な動作が得られる関係を経験値として求める。
搬送手段の駆動制御の際、搬送原稿位置を検出し、検出された搬送原稿位置に基づいて「原稿位置−制御値対応テーブル」を参照して、制御値を取得する。
搬送原稿位置の検出手段は、例えば、原稿の搬送手段の上流側搬送ローラ13もしくは下流側搬送ローラ14の回転を検出する(当該ローラの駆動モータの回転を検出してもよい)等、既存の検出手段を採用することで実施し得る。
原稿搬送速度を変更する制御は、実際には、上流側搬送ローラ13もしくは下流側搬送ローラ14の駆動用モータ(以下「搬送モータ」という)の駆動を制御することによる。搬送モータとして、例えば、ステッピングモータを使用する場合、速度変更量(%)に応じて、駆動パルスの周波数を調整することにより実施し得る。
「実施形態1」
本実施形態は、原稿後端もしくは先端側の部分1r、1fによる負荷変動により定速搬送が阻害される状態になるときの搬送原稿位置(以下「速度変更位置」という)を、搬送方向の原稿先端を基準(0)にして原稿後端までの距離(長さ)で表し、この位置との対応関係を表す「原稿位置−制御値対応テーブル」を用いて、搬送手段(搬送モータ)の駆動制御を行う。
図4の「原稿位置−制御値対応テーブル」により搬送手段の駆動制御を行う場合の原稿搬送手段の動作を説明する。
搬送される原稿1は、原稿レジストセンサ18の検出位置で一旦停止した後、レジスト位置を基準に再び搬送され、この搬送過程でCIS読取部17によって原稿画像の読取が行われる。
また、200mm〜400mmの間は、図4の「設定2」に該当し、速度を+0.2%変更する。上記と同じ速度条件であれば、80.00×1.002=80.16mm/sとなる。
また、400mm〜600mmの間は、上記と同様に計算でき、ここでは、速度変更量がさらに小さくなる「設定3」による。
「設定1」〜「設定3」は、原稿1の先端側の範囲に当たるので、速度変更量が+であり、本来の搬送モータ回転速度を速める制御値を設定する。
原稿1の後端側の始めの範囲である原稿位置が1400mm〜1600mmの間は、図4の「設定4」に該当し、速度を−0.1%変更する。この場合、上記と同じ速度条件であれば、80.00×0.999=79.92mm/sとなる。
また、「1600mm〜1800mm」、「1800mm〜2000mm」それぞれの間は、上記と同様に計算でき、ここでは、速度変更量が徐々に−方向に大きくなる「設定5」、「設定6」による。
「設定4」〜「設定6」は、原稿1の後端側の範囲に当たるので、速度変更量が−であり、本来の搬送モータ回転速度を遅くする制御値を設定する。
このような状況に対応し、適切な設定を可能とするために、「原稿位置−制御値対応テーブル」の速度変更位置と速度変更量を変更できるようにするとよい。
実施形態としては、操作部51からユーザーが入力できるようにする。つまり、実際に原稿画像読取装置11を使用して得られる読取結果に生じる画像の伸び縮みを確認しながら、最適な数値を設定できるようにする。この形態で実施する場合、操作部51の表示部に「原稿位置−制御値対応テーブル」のデータを変更するための入力操作用の画面を表示し、その画面に対するユーザーの入力操作により、画像の伸び縮みの確認結果が反映された最適な数値を設定する。
最適な数値とは、原稿による負荷の変動の影響を打ち消す搬送速度に制御値を変更することで、結果的に原稿搬送速度が本来あるべき一定速度、即ち、上記の例における80.00mm/s近くになるように制御する数値である。
本実施形態は、原稿後端もしくは先端側の部分1r、1fによる負荷変動により定速搬送が阻害される状態になる速度変更位置を、原稿1の先端側の範囲に対しては原稿先端を基準(0)にして原稿後端に向く方向の距離(長さ)で表し、他方、原稿1の後端側の範囲に対しては原稿後端を基準(0)にして原稿先端に向く方向の距離(長さ)で表し、これらの位置との対応関係を表す「原稿位置−制御値対応テーブル」を用いて、搬送手段(搬送モータ)の駆動制御を行う。
ただ、本実施形態の図5では、(A)、(B)の各テーブルは、上記のように、速度変更位置(mm)を表す距離(長さ)の基準(0)を原稿の先端、後端にそれぞれとっているので、3レベルの速度変更量に対応する速度変更位置の範囲は、「0〜200」、「200〜400」、「400〜600」と同じである。つまり、原稿1の先端側と後端側において負荷変動が生じる範囲が同じであり、変動量も、変動の生じる方向が逆であるが、同じである。なお、特殊な原稿ではない限り、多くの原稿は、このような対応で負荷変動の影響を打ち消す駆動制御を行うことになる。
駆動制御に適用できる速度変更位置(mm)にするためには、原稿長を知り、逆算する処理が必要になる。つまり、原稿長から図5(B)のテーブルにおける速度変更位置(mm)を逆算する(−する)ことで、駆動制御に適用できる数値になる。
例えば、原稿長が1800mmの場合、図5(B)のテーブルの「設定4」、「設定5」、「設定6」に対し、逆算処理をしてレジスト位置基準で表した後の速度変更位置(mm)に対する速度変更量(%)は、それぞれ
速度変更位置(mm)1200〜1400mm→速度変更量(%)−0.1%(設定6)
速度変更位置(mm)1400〜1600mm→速度変更量(%)−0.2%(設定5)
速度変更位置(mm)1600〜1800mm→速度変更量(%)−0.3%(設定4)
となる。
この逆算処理をすることで、レジスト位置基準で表した後の速度変更位置(mm)に対する速度変更量(%)により搬送手段の駆動制御を行うときの原稿搬送手段の動作は、上記「実施形態1」におけると同様であり、先の説明を参照することとして、ここでは、記載を省略する。
一つは、読取対象の原稿のサイズを測定することにより原稿長の入力を行う。ここでは、原稿画像読取装置11自身のCIS読取部17で原稿を読取らせる方法である。つまり、先に説明した読取時の動作と同様に、原稿を搬送手段で送りながらCIS読取部17で原稿面を読取って(以下、「予備読取動作」という)、画像信号として検出する。
このときの検出信号には、原稿のエッジ部分で変化する反射光量による信号の変化が現われるので、検出信号に対する閾値処理により原稿端部を判断し、両端間の搬送距離を紙の長さとして検出する。
上記予備読取動作を行う場合、通常の原稿読取とは違う原稿長測定モードとして、この動作モードを用意し、原稿を通紙して測定される原稿長データを管理する機能を備える必要がある。
ところで、上記二つの方法による原稿長の入力機能の両方を備えると、機器の利用性を高めることができる。
二つの方法による原稿長の入力機能の両方を備える場合、機器側は、ユーザーに対し操作部51の画面でこれらの機能の存在を知らせ、どちらの入力動作モードを選択して原稿長の入力を行うかを指示できる画面を表示して、ユーザーに設定操作を促す。この後、ユーザーの操作で指示された入力動作モードの設定に切替え、設定に従う動作モードの制御で対応する。
ここで、原稿読取の際、読取精度の劣化を低減する上述の原稿搬送制御動作を行う制御系を中心にしたデータ(信号)処理系の構成について、概要を説明する。
図6は、図1に示した原稿画像読取装置11に係る制御系の構成を示す概略図である。
原稿画像読取装置11の制御系は、図6に示すように、システム制御部としての主制御部100の制御下に、原稿画像読取装置11内の各動作部を制御するコントローラ111を有する。
主制御部100は、画像形成装置(図1、参照)全体を制御するので、原稿画像読取装置11のコントローラ111のほか、記録用紙にプリント出力を行う作像部81、給紙部82、操作部51を制御する。
具体的には、原稿1の搬送手段に係る原稿レジストセンサ18や、原稿挿入センサ22等の各種センサ117の検知信号の入力を受け、CIS読取部17、原稿搬送モータ(原稿搬送用のローラを駆動するモータ)115を制御下に置く。
また、コントローラ111は、CIS読取部17で読取った画像データに対し補正処理等を施し正規化し、画像形成装置等で用いるのに適した画像データとして主制御部100にデータ出力をする。このほか、コントローラ111は、上記「実施形態2」で述べた予備読取動作による原稿長測定、即ち、原稿長の測定をCIS読取部17の出力と、搬送原稿(副走査)位置の検出により行う機能を持つ。
コントローラ111を構成するコンピュータは、ソフトウェアプログラムの命令を実行するためのCPU(Central Processing Unit)と、CPUによって使用される制御プログラム、制御用データ等を格納するROM(Read Only Memory)と、前記制御プログラムによって生成される各種データなどを一時的に保存するメモリ或いはソフトウェアプログラムの動作に必要なデータを保存するワークメモリとして利用するRAM(Random Access Memory)と、機器に依存する処理条件等の設定データなどを保存しておく不揮発性メモリであるNV−RAM(Non Volatile RAM)を構成要素として有する。
本実施形態の原稿画像読取装置11における読取精度の劣化を低減する原稿搬送制御に係る動作は、この動作を実行するための手順(図7、参照)を記述した制御プログラムを上記コンピュータにより駆動することにより実施することができる。
コントローラ111が行う原稿画像読取の動作手順について説明する。
本実施形態の原稿画像読取装置11における原稿画像読取の基本動作手順として、読取精度の劣化を低減する上記「実施形態2」の原稿搬送制御を伴う動作を例に、以下に、その手順を動作フローに基づいて説明する。
図7は、本実施形態における原稿画像読取の動作手順を示すフロー図である。
コントローラ111は、原稿の読取を要求するユーザーの操作として、例えば、原稿テーブル25に読取対象原稿を載せ、原稿入り口の上流側搬送ローラ13に原稿先端を突き当て、原稿挿入センサ22によって原稿が検知されたとき、図7の動作フローを起動する。
この測定動作は、後段の原稿画像の読取時の動作と同様に、原稿を搬送手段で送りながらCIS読取部17で原稿を読取らせる。CIS読取部17で原稿を読取り、検出信号を基に原稿長を測定し(上記「実施形態2」の説明、参照)、測定結果を後段の原稿画像読取で用いるために管理する。なお、原稿長の測定を行うときに、実行する読取が原稿長を測定するための動作であること、並びに後段の原稿画像読取時に原稿の再セットが必要であることをユーザーに操作部51を通して知らせる。
また、原稿長の入力を操作部51からのユーザー操作によっても行う(上記「実施形態2」の説明、参照)ことができるようにした場合、このステップの始めに、入力動作モードの選択画面を操作部51で表示し、表示された選択画面に対応するユーザーの入力操作によって指示されたモードの動作を行う。このとき、原稿長の入力が、操作部51からのユーザー操作によって行われた場合、直ぐに後段の原稿画像読取を実行することができる。
ステップS102における原稿の再セットの確認を経て、次に、実際に原稿面の画像を読取る原稿画像読取を行う(ステップS103)。
ステップS103の動作が完了したところで、この動作フローを終了する。
なお、「実施形態1」に係る動作の場合、ステップS103に相当する原稿画像読取動作は、上記「実施形態1」で説明した動作を実行する。
「実施形態3」
本実施形態は、原稿1の負荷変動の影響を打ち消す原稿搬送手段の駆動制御を「原稿位置−制御値対応テーブル」を参照し、取得した制御値(速度変更量%)を設定して行う手法を用いる点で基本的に上記「実施形態1」、「実施形態2」と同じである。
そこで、本実施形態では、離散値間の中間値を補間演算する手段を備えることで、「原稿位置−制御値対応テーブル」を構成する離散値の数を少なくしてデータ量を小さくする。
同図(A)、(B)の各テーブルは、「設定1:0〜200(mm)」「設定2:600〜800(mm)」、「設定3:0〜200(mm)」「設定4:600〜800(mm)」の各2速度変更位置に対応して2レベルの速度変更量が対応付けられている。つまり、「原稿位置−制御値対応テーブル」には、原稿による負荷変動が生じる範囲である0〜800(mm)内における2点の設定しか登録していない。よって、最小限のデータ量となる。
図9のグラフに、先端側の図8(A)のテーブルの設定を表すと、グラフ中に示すように点「設定1」と点「設定2」の2点となる。なお、図示の点は、図8に示される「設定1:0〜200(mm)」「設定2:600〜800(mm)」それぞれの最小値、即ち、速度変更開始位置をとっている。
原稿による負荷変動が生じる範囲は、この2点の速度変更開始位置の範囲であるから、2点の中間値を補間する。ここでは、一次式で補間演算をするので、点「設定1」と点「設定2」の2点間が直線で結ばれている。この直線上に求める速度変更開始位置に対応する速度変更量(駆動制御値)が存在する。
速度変更開始位置(X):0の時、変更量(Y):+0.4
速度変更開始位置(X):600の時、変更量(Y):+0.1
であり、
この2点が、下記式(1)で表す一次式の直線上の点である。
Y=aX+b・・・式(1)
とみなして、式(1)中のa,bを求めると、図9のグラフの点「設定1」と点「設定2」の2点間を結ぶ直線は、下記式(2)で表すことができる。
Y=(0.1−0.4)/(600−0)X+0.4
=−X/2000+0.4・・・式(2)
速度変更位置200〜400(mm)の時、速度変更開始位置は200(mm)なので、変更量は+0.3(%)
速度変更位置400〜600(mm)の時、速度変更開始位置は400(mm)なので、変更量は+0.2(%)
と算出される。
Y=X/2000−0.4・・・式(3)
が得られる。
上記式(3)に基づいて、
速度変更位置200〜400(mm)の時、速度変更開始位置は200(mm)なので、変更量は−0.3(%)
速度変更位置400〜600(mm)の時、速度変更開始位置は400(mm)なので、変更量は−0.2(%)
と算出される。
本実施形態は、原稿1の負荷変動の影響を打ち消す原稿搬送手段の駆動制御を「原稿位置−制御値対応テーブル」を参照し、取得した制御値(速度変更量%)を設定して行う手法を用いる点で基本的に上記「実施形態1」、「実施形態2」と同じである。
ただ、上記「実施形態1」、「実施形態2」では、「原稿位置−制御値対応テーブル」は一つで、読取対象原稿の違いは考慮していない。例えば、原稿の材質の違いによって、比重が変わる。この変化によって、原稿による負荷が生じる範囲や大きさが変わってきても、対応することができず、誤差が生じることになり適切な制御が行えない。
図10は、異なる材質の原稿ごとの速度変更位置に対応する速度変更量(駆動制御値)の例を示すテーブルである。同図には、「紙種」として「普通紙」「厚紙」「トレーシングペーパ(トレペ)」を例示している。紙種ごとの「原稿位置−制御値対応テーブル」は、基本的に先の実施形態で示した同テーブル(図4及び図5)と同じ、速度変更位置に対応する速度変更量、という形式で設定1〜4の設定としている。
紙種の入力手段の一つは紙種を検出する手段を設けることである。この検出手段として、既存のメディアセンサ(不図示)を用いることができる。メディアセンサは、安定して原稿面を検出できる適当な位置に設け(例えば、レジスト位置で停止した状態の原稿を検出できるように設置して)、原稿から、通常の上質紙の他に、中質紙、ざら紙、ハガキなどの厚紙、薬品などよって漂白された再生紙、繊維質が多いラグ紙、OHPフィルムなどを検出する。
この場合に適応する手段としては、ユーザーインターフェースとして機能する操作部51からユーザーの操作によって原稿の紙種を指定する入力を行う手段を採用することができる。
Claims (11)
- 搬送原稿位置に応じて原稿による負荷が変化する原稿搬送手段で原稿を搬送し、搬送しながら原稿面の画像を走査方式で読み取る原稿画像読取装置であって、
前記原稿搬送手段は、駆動が制御可能であり、
前記原稿搬送手段によって搬送される原稿の搬送原稿位置を検出する原稿位置検出手段と、
前記搬送原稿位置と、前記搬送原稿位置において前記原稿搬送手段が受ける原稿による負荷変動の影響を打ち消す駆動制御値とを対応付けて記憶した制御値記憶手段と、
原稿画像読取時に前記原稿位置検出手段によって搬送原稿位置を検出させ、検出された搬送原稿位置に対応する駆動制御値を前記制御値記憶手段から取得し、取得した駆動制御値により前記原稿搬送手段を制御する制御手段と、
前記原稿位置検出手段によって検出される搬送原稿位置が、前記制御値記憶手段に離散値として記憶された値に対し中間値をとるときに、離散値間の中間値を補間演算する手段と
を有する原稿画像読取装置。 - 請求項1に記載された原稿画像読取装置において、
前記駆動制御値が、原稿による前記負荷の影響を受ける搬送速度を制御するための制御値である原稿画像読取装置。 - 請求項1又は2に記載された原稿画像読取装置において、
原稿を読取る際に読取対象となる原稿の長さを入力する原稿長入力手段を有し、
前記制御値記憶手段には、変量である原稿長が異なっても共通に使用可能な形式で搬送原稿位置と駆動制御値の対応関係を記憶しておくとともに、
前記制御手段は、前記制御値記憶手段から取得した搬送原稿位置と駆動制御値の前記対応関係と前記原稿長入力手段で入力された原稿長とに基づいて前記駆動制御値を求める
原稿画像読取装置。 - 請求項3に記載された原稿画像読取装置において、
前記原稿長入力手段は、予備読取動作として原稿の読取りを行い、得られる読取結果を基に原稿長を測定することにより、入力を行う手段である原稿画像読取装置。 - 請求項3に記載された原稿画像読取装置において、
前記原稿長入力手段は、外部からの操作によって原稿長の入力を行う手段である原稿画像読取装置。 - 請求項3に記載された原稿画像読取装置において、
前記原稿長入力手段は、予備読取動作として原稿の読取りを行い、得られる読取結果を基に原稿長を測定することにより、入力を行う第1入力手段と、外部からの操作によって原稿長の入力を行う第2入力手段とからなり、
前記第1入力手段、前記第2入力手段のいずれを用いるかを外部からの操作によって設定する設定操作手段と、
前記設定操作手段の設定に従い、原稿長の入力動作モードを切替える制御手段を有する
原稿画像読取装置。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載された原稿画像読取装置において、
原稿を読取る際に読取対象となる原稿の材質を入力する原稿材質入力手段を有し、
前記制御値記憶手段は、原稿材質が異なる場合の搬送原稿位置と駆動制御値の対応関係をそれぞれ記憶しておくとともに、
前記制御手段は、前記制御値記憶手段から、前記原稿材質入力手段で入力された原稿材質に応じた搬送原稿位置と駆動制御値の前記対応関係によって、前記駆動制御値を取得する
原稿画像読取装置。 - コンピュータを請求項1乃至7のいずれかに記載された原稿画像読取装置が有する前記制御手段として機能させるためのプログラム。
- 請求項8に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載された原稿画像読取装置を搭載するとともに、画像データを基に画像を形成する手段を有する画像形成装置。
- 搬送原稿位置に応じて原稿による負荷が変化する原稿搬送手段で原稿を搬送し、搬送しながら原稿面の画像を走査方式で読み取る原稿画像読取装置における原稿画像読取方法であって、
前記搬送原稿位置と、前記搬送原稿位置において前記原稿搬送手段が受ける原稿による負荷変動の影響を打ち消す駆動制御値とを対応付けて記憶する制御値記憶工程と、
原稿画像読取時に前記原稿搬送手段によって搬送される原稿の搬送原稿位置を検出する原稿位置検出工程と、
前記原稿位置検出工程で検出された搬送原稿位置に対応する駆動制御値を前記制御値記憶工程の記憶値から取得し、取得した駆動制御値により前記原稿搬送手段の駆動を制御する制御工程と、
前記原稿位置検出工程において検出される搬送原稿位置が、前記制御値記憶工程において離散値として記憶された値に対し中間値をとるときに、離散値間の中間値を補間演算する工程と
を有する原稿画像読取方法。
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