JP5828010B2 - 酵母エキスの製造方法 - Google Patents

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本発明は、チアミンやプリン体といった不要成分の含有量を低減又は除去することにより、酵母エキスを改質する方法、及び当該方法により改質された酵母エキスに関する。
酵母エキスとは、酵母の培養物から調製され、アミノ酸等を豊富に含むものであり、従来から、旨味やコクを付与するための調味料等のような食品添加剤や、酒類等の発酵原料として、食品や飲料に広く用いられている。特に昨今の天然志向の高まりから、調味料としての酵母エキスの需要は増加傾向にある。その他、酵母が産生する有用な化合物を有効成分とすべく、飲食品のみならず、化粧料や医薬品等の原料として酵母エキスを用いることも行われている。
また、酵母エキスそのものではなく、酵母エキスに様々な処理を施したものを有用成分とすることも行われている。例えば、皮膚の老化、しわの増大や弾性の低下等に関与しているマトリックスメタロプロテアーゼの阻害剤であって、活性炭処理をした酵母エキスを有効成分として含有することを特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ−1産生阻害剤が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方で、酵母エキスには、プリン体やチアミン等の不要成分も含まれており、これらの不要成分が問題となるケースもある。例えばプリン体は、体内に蓄積し、通風の原因となることが知られているが、酵母エキスを摂取することにより、プリン体をも摂取してしまうことになる。一方、チアミン(thiamin、thiamine) は、ビタミンBとも呼ばれている生理活性物質であるが、酵母エキス中の他の成分と反応し、褐変やオフフレーバーを形成する原因となる。このため従来では、最終製品中の不要成分の含有量を抑制するため、調味料や発酵原料として用いる際に、酵母エキスの配合比率に上限を設けて使用せざるを得なかった。
また、酵母エキスには酵母特有の臭い(酵母臭)があり、この酵母臭も、酵母エキスの飲食品等への利用量が制限される一因となっている。そこで、この酵母臭を除去する方法として、培養酵母あるいは乾燥酵母より得られた酵母エキスを、セラミックス製クロスフロー型精密濾過膜等の無機の濾過材で濾過する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。当該方法により、酵母臭が低減された酵母エキスを得ることができるものの、当該特許文献には、チアミン等の褐変の原因となる物質やプリン体については記載されていない。なお、当該方法は、無機濾過材を用いたクロスフロー型精密濾過膜を用いる方法であるが、この濾過方法では、酵母エキスからプリン体が除去されることは期待できない。
その他、ビール等の発酵麦芽飲料中のプリン体量を低減させる方法が幾つか開示されている。例えば、発酵麦芽飲料、又はその中間産物である麦汁中のプリン体を、活性炭に吸着させることにより除去する方法が開示されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。しかしながら、これらの方法では、発酵麦芽飲料の製造工程においてプリン体を除去するものであり、酵母エキス自体のプリン体含有量を低減させることについては一切記載されていない。
特開2008−24638号公報 特開2008−237126号公報 特許第4073342号公報 特許第3730935号公報 特許第4018576号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酵母エキス中の不要成分を低減させる方法、特に褐変やオフフレーバー生成に関与するチアミンの含有量を低減させる方法、及び当該方法により改質された酵母エキスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、酵母エキスの製造工程において、酵母エキスを活性炭と接触させることにより、酵母エキス中の不要成分、特にチアミンやプリン体を活性炭に吸着させて除去し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
) 液状の酵母エキス、比表面積が1500〜1900m2/gであり、かつ平均細孔直径が1.5〜2nmである活性炭を酵母エキス固形分あたり27〜40(重量/重量)%添加して活性炭処理することにより、酵母エキス中のチアミン含有量を、活性炭処理前のチアミン含有量の50%以下とすることを特徴とする、酵母エキスの製造方法、
) さらに、活性炭処理後の酵母エキスから活性炭を除去する活性炭除去工程を経て製造されることを特徴とする、前記(記載の酵母エキスの製造方法、
) 活性炭処理を、酵母エキスを、珪藻土及び前記活性炭がプリコートされた濾材を用いて濾過することによって行うことを特徴とする、前記(又は(2)に記載の酵母エキスの製造方法
を、提供するものである。
本発明の酵母エキスの改質方法により、酵母エキス中のチアミン含有量を顕著に低減させることができる。このため、当該改質方法により改質された酵母エキスを用いることにより、酵母エキスを原料として使用する飲食品の褐変やオフフレーバーの発生を著しく低減することが可能となる。
さらに、本発明の酵母エキスの改質方法は、チアミンに加えてプリン体の含有量も低減させることができるため、当該改質方法により改質された酵母エキスは、健康に配慮した飲食品の原料として用いる酵母エキスとしても好適である。
実施例1において、活性炭添加前の測定試料中の含有量を100%とした場合の、チアミン及びプリン体の除去率を示した図である。 実施例2において、活性炭添加前の測定試料中の含有量を100%とした場合の、酵母エキス固形分あたりの活性炭の添加量に対するチアミン及び総プリン体の除去率を示した図である。
本発明の酵母エキスの改質方法は、酵母エキスを活性炭処理することにより、酵母エキス中のチアミン含有量を低減させることを特長とする。具体的には、酵母エキスに活性炭を接触させ、酵母エキス中のチアミンを活性炭に吸着させることにより、酵母エキスからチアミンを除去する。
酵母エキスを活性炭に接触させると、チアミンに加えて、酵母エキス中のプリン体も活性炭に吸着される。すなわち、本発明の酵母エキスの改質方法により、酵母エキス中のチアミン含有量とプリン体含有量を共に低減させることができる。
本発明において、「プリン体」には、遊離プリン塩基、プリンヌクレオチド、プリンヌクレオシド及び高分子核酸が含まれる。プリン塩基とは、プリン(9H−イミダゾ〔4,5−d〕ピリミジン)の誘導体の総称であり、アデニン、キサンチン、グアニン等が含まれる。プリンヌクレオチドとは、プリンヌクレオシドの糖部分がリン酸とエステルを作っている化合物の総称であり、アデニル酸、イノシン酸、グアニル酸等が含まれる。プリンヌクレオシドとは、プリン塩基と糖の還元基とがN−グリコシド結合した配糖体化合物の総称であり、アデノシン、イノシン、グアノシン等が含まれる。
従来行われているように、発酵麦芽飲料等のような最終製品に近い半製品から、活性炭を用いてプリン体を除去する場合には、プリン体と同時に有用な香味成分も吸着除去されてしまうため、最終製品の香味特性が損なわれてしまうおそれがある。これに対して、本発明の酵母エキスの改質方法では、調味料や酒類の原料段階である酵母エキス自体からチアミンやプリン体を吸着除去するため、改質された酵母エキスを調味料や飲食品等に用いることにより、最終製品の香味特性への影響を最小限に抑えることができ、香味特性に優れ、かつ健康に配慮した調味料や飲食品を製造することができる。
本発明の酵母エキスの改質方法に供される酵母エキスは、いずれの酵母から調製された酵母エキスであってもよい。具体的には、酵母エキスの原料となる酵母としては、サッカロマイセス(Saccharomyces)属菌、シゾサッカロマイセス(Shizosaccharomyces)属菌、ピキア(Pichia)属菌、キャンディダ(Candida)属菌、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属菌、ウィリオプシス(Williopsis)属菌、デバリオマイセス(Debaryomyces)属菌、ガラクトマイセス(Galactomyces)属菌、トルラスポラ(Torulaspora)属菌、ロドトルラ(Rhodotorula)属菌、ヤロウィア(Yarrowia)属菌、ジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属菌等が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、可食性であることから、キャンディダ・トロピカリス(Candidatropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(Candida lypolitica)、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)、キャンディダ・サケ(Candida sake)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母から調製された酵母エキスが好ましく、サッカロマイセス・セレビシエ、キャンディダ・ユティリスから調製された酵母エキスであることがより好ましい。
本発明の酵母エキスの改質方法に供される酵母エキスは、公知のいずれの調製方法により調製された酵母エキスであってもよい。該調製方法として、例えば、酵母菌体内に本来あるタンパク質分解酵素等を利用して菌体を可溶化する自己消化法、微生物や植物由来の酵素製剤を添加して菌体を可溶化する酵素分解法、熱水中に一定時間浸漬することにより菌体を可溶化する熱水抽出法、種々の酸あるいはアルカリを添加して菌体を可溶化する酸・アルカリ分解法、凍結・融解を1回以上行うことにより菌体を破砕する凍結融解法、物理的な刺激により菌体を破砕する物理的破砕法等がある。物理的破砕法において用いられる物理的刺激としては、例えば、超音波処理、高圧下におけるホモジェナイズ、グラスビーズ等の固形物との混合による磨砕等がある。本発明においては、自己消化法、酵素分解法、熱水抽出法、又は酸・アルカリ分解法により調製された酵母エキスを用いることが好ましく、自己消化法により調製された酵母エキスを用いることがより好ましい。
酵母エキスの活性炭処理は、液状の酵母エキスに活性炭を接触させることにより行われる。酵母エキスが液状であれば、接触させた活性炭へのチアミンやプリン体の吸着反応が進行する。このため、液状の酵母エキスは、清澄な液体であってもよいが、懸濁液であってもよい。なお、酵母エキスがパウダー等の固体状である場合には、水や緩衝液等に溶解又は懸濁することにより、液状の酵母エキスとすることができる。
一般的には、自己消化法、酵素分解法、熱水抽出法、又は酸・アルカリ分解法では、酵母エキスは、各方法に応じた適当な溶媒、例えば、培養培地、水、緩衝液、適当なpHの溶媒等に懸濁させた培養酵母又は乾燥酵母から、酵母内のアミノ酸や核酸等を酵母外の溶液へ抽出させて粗抽出液(抽出粗エキス)を調製した後、細胞膜等の不溶成分を除去し、適当な濃度となるように濃縮される。活性炭処理される酵母エキスは、抽出粗エキスであってもよく、不溶成分を除去した後のエキスであってもよく、濃縮した後のエキスであってもよい。固形分当たりの反応液体積を最小限にし、効率的に活性炭処理を行うことが可能となるため、濃縮後の酵母エキスに対して活性炭処理を行うことが好ましい。
活性炭処理に用いる活性炭は、細孔直径が、チアミンやプリン体を吸着可能な大きさのものであれば、特に限定されるものではない。比表面積が大きい活性炭を用いることにより、チアミンやプリン体の除去効率を高めることができる。また、細孔直径が比較的小さいほうが、酵母エキス中の有用成分が過剰に活性炭に過剰に吸着されることを抑制することができる。本発明の酵母エキスの改質方法においては、用いる活性炭の比表面積は、1000m2/g以上であることが好ましく、1300〜2500m2/gであることがより好ましく、1500〜1900m2/gであることがさらに好ましい。また、用いる活性炭の平均細孔直径は、1〜5nmであることが好ましく、1.5〜2nmであることがより好ましい。このような活性炭は、LPN36やLPN37として日本エンバイロケミカルズから入手できる。
ここで、活性炭の比表面積は、例えば窒素ガス吸着等温線からBET式(慶伊富長:吸着、第95〜113ページ(1967)、共立出版)により計算される。また、平均細孔直径は、細孔を円筒形と仮定することによって、次式から求めることができる。なお、細孔容積は、例えば水銀圧入法、窒素ガス吸着法(慶伊富長:吸着、第95〜113ページ(1967)、共立出版)などの方法によって測定される。
Figure 0005828010
活性炭処理に用いる活性炭の量は、酵母エキス中のチアミンやプリン体を所望の程度まで低減することが可能な量であれば特に限定されるものではなく、活性炭を接触させる酵母エキスの濃度、調製段階(抽出粗エキスか濃縮後の酵母エキスか)や、活性炭の種類、比表面積、平均細孔直径等を考慮して、適宜決定することができる。同種の活性炭を用いる場合には、酵母エキスと接触させる活性炭量に依存して、除去されるチアミンやプリン体の量が多くなる。本発明においては、例えば、活性炭処理に用いられる活性炭が、処理する酵母エキス乾燥重量あたり5〜70(重量/重量)%であることが好ましく、5〜30(重量/重量)%であることがより好ましく、10〜20(重量/重量)%であることがさらに好ましい。なお、「酵母エキスの乾燥重量」とは、酵母エキスを乾燥させて得られる固形分の重量を意味する。
活性炭処理の方法は、溶液中で酵母エキスと活性炭を接触させることができれば、特に限定されるものではない。例えば、液状の酵母エキスに活性炭を投入することにより、酵母エキスと活性炭を接触させることができる。投入される活性炭は、活性炭単体であってもよく、固層に担持させた活性炭であってもよい。活性炭を担持させる固層としては、酵母エキス中の各種成分に対する影響が十分に抑制された材質からなる固体であれば特に限定されるものではない。
活性炭が吸着可能な最大量に達するまでは、酵母エキスと活性炭を接触させる時間が長くなるほど、酵母エキスから除去される(活性炭に吸着される)チアミンやプリン体の量が多くなる。このため、活性炭処理において、酵母エキスと活性炭を接触させる時間は、酵母エキス中のチアミンやプリン体を所望の程度まで低減することが可能であるように、活性炭を接触させる酵母エキスの濃度、調製段階(抽出粗エキスか濃縮後の酵母エキスか)や、活性炭の種類、比表面積、平均細孔直径等を考慮して、適宜決定することができる。
また、活性炭処理後には、酵母エキスから活性炭を除去することが好ましい。活性炭の除去方法は、特に限定されるものではなく、遠心分離、珪藻土濾過、限外濾過、精密濾過等の各種方法により行うことができる。
例えば、活性炭処理を、液状の酵母エキスに活性炭を接触させる活性炭処理工程と、活性炭処理工程において活性炭処理された酵母エキスから活性炭を除去する活性炭除去工程と、により行う場合には、酵母エキスに活性炭を投入した後、当該酵母エキスから活性炭を除去し終えるまでの時間が1分間以上であればよく、5分間以上であることが好ましく、1時間以上であることがさらに好ましい。なお、活性炭の大きさによっては、活性炭が酵母エキス中で沈殿してしまう場合がある。このため、活性炭処理工程は、活性炭が投入された酵母エキスを適宜攪拌しつつ行うことが好ましい。
その他、酵母エキスを液状の酵母エキスを、活性炭が固定化された装置に通過させる通液工程を行うことによっても、酵母エキスと活性炭を接触させることができる。活性炭が固定化された装置を用いることにより、活性炭除去工程を行わずとも、活性炭の混入を抑えつつ、酵母エキスからチアミンやプリン体を除去することができる。このような装置としては、液状の酵母エキスが通過可能な通液路を有し、当該通液路に活性炭が、当該通液路を通過する酵母エキスが活性炭と接触可能なように固定されている装置であればよく、特に限定されるものではない。このような装置としては、例えば、活性炭がプリコートされている濾材が、酵母エキスが当該濾材を通過するように設置されている通液路を有する装置や、内部表面に活性炭が固定されている通液路を有する装置等が挙げられる。
中でも、液状の酵母エキスを、珪藻土及び活性炭がプリコートされた濾材を用いて濾過することによっても、活性炭処理を行うことが好ましい。珪藻土及び活性炭がプリコートされた濾材は、フィルター形状であることが好ましい。
本発明の酵母エキスの改質方法により、酵母エキス中のチアミンやプリン体の含有量を効果的に低減させることができる。具体的には、本発明の酵母エキスの改質方法により、活性炭処理後の酵母エキス中のチアミン含有量を、重量比で、活性炭処理前の含有量の75%以下とすることができる。本発明においては、チアミン含有量を、活性炭処理前の50%以下とすることが好ましく、25%以下とすることがより好ましい。同様に、活性炭処理後の酵母エキス中のプリン体の含有量を、重量比で、活性炭処理前の含有量の75%以下とすることができる。本発明においては、プリン体含有量を、活性炭処理前の50%以下とすることが好ましく、25%以下とすることがより好ましい。
本発明の酵母エキスの改質方法において、活性炭処理に用いる活性炭の種類や量、処理時間等を適宜調整することにより、酵母エキス中のチアミン含有量が、乾燥重量当たり150μg/g以下、好ましくは100μg/以下、より好ましくは50μg/g以下となるように、酵母エキスを改質することができる。ここで、酵母エキス中のチアミン含有量は、例えば、タカジアスターゼにより遊離型とした総チアミン量を、蛍光検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。また、「酵母エキスの乾燥重量当たりの含有量」とは、酵母エキスを乾燥させて得られる固形分中に含まれる割合(重量%)を意味する。
本発明の酵母エキスの改質方法において、活性炭処理に用いる活性炭の種類や量、処理時間等を適宜調整することにより、酵母エキス中のプリン体含有量が、乾燥重量当たり1.5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下となるように、酵母エキスを改質することができる。ここで、酵母エキス中のプリン体含有量は、例えば、HPLCを用いた方法(藤本ら:「尿酸」第9巻、第128ページ、1985年)により測定することができる。
本発明の酵母エキスの改質方法により改質された酵母エキス(本発明の酵母エキス)は、従来法により調製された酵母エキスと同様に、調味料組成物として用いることができる。該調味料組成物は、本発明の酵母エキスのみからなるものであってもよく、本発明の酵母エキスの他に、安定化剤、保存剤等の他の成分を含有していてもよい。該調味料組成物は、他の調味料組成物と同様に、様々な飲食品に適宜用いることができる。
また、本発明の酵母エキスは、各種飲食品の原料として用いることができる。添加される飲食品は、特に限定されるものではなく、例えば、アルコール飲料、清涼飲料、発酵食品、調味料、スープ類、パン類、菓子類等を挙げることができる。その他、改質された酵母エキスは、ソフトカプセル剤やハードカプセル剤、打錠剤等に加工することにより、サプリメント等として摂食することもできる。その他、飲食品以外にも、例えば、培養細胞の培養培地等への添加剤として用いることもできる。
本発明の酵母エキスの改質方法により改質された酵母エキスは、従来法により調製された酵母エキスよりも、チアミン含有量やプリン体含有量が顕著に低減されている。このため、従来の酵母エキスに代えて、この改質された酵母エキスを調味料組成物や飲食品の原料として用いることにより、香味特性が良く、健康に配慮した飲食品を提供することができる。例えば、本発明の酵母エキスの改質方法により改質された酵母エキスを発酵原料として用いることにより、褐変やオフフレーバーの発生が顕著に低減され、かつプリン体含有量が十分に低減されたビール等の麦芽発酵飲料を製造することができる。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本発明の酵母エキスの改質方法により、市販の酵母エキスのチアミン含有量及びプリン体含有量を低減させた。
酵母エキスとしては、ミーストパウダーN(アサヒフードアンドヘルス株式会社製)を用いた。
また、活性炭としては、LPN37(日本エンバイロケミカルズ社製)、カルボフィラン(日本エンバイロケミカルズ社製)、PK−E(クラレケミカル社製)、PK−D(クラレケミカル社製)、太閤S(二村化学社製)、ホクエツAX(味の素ファインテクノ社製)、ホクエツBA(味の素ファインテクノ社製)、ホクエツBA−Z(味の素ファインテクノ社製)、ホクエツZN(味の素ファインテクノ社製)、ホクエツF−17(味の素ファインテクノ社製)、ホクエツSD(味の素ファインテクノ社製)を用いた。
[実施例1]
特許文献1に記載の方法により、ビール酵母エキス溶液(固形分7.5重量/重量%相当)を調製した。次いで、この酵母エキス溶液を100mLずつ12本に分注し、このうちの11本に、上記の11種類の活性炭を1gずつ、それぞれ添加した。残る1本には活性炭は添加しなかった。活性炭添加後の各サンプルを、室温(25℃)で1時間、180rpmにて攪拌した後、5000gで5分間遠心分離を行った。得られた上清を、珪藻土をプリコートしたメンブレンフィルターを用いて濾過し、活性炭を除去した。この活性炭を除去した酵母エキス溶液の一部を、測定試料として分取した。各サンプルから分取した測定試料中のチアミン含有量及びプリン体含有量を測定した。チアミン含有量は、具体的には、タカジアスターゼにより遊離型とした総チアミン量を、蛍光検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーにより定量した。一方、プリン体含有量は、HPLCを用いた方法(藤本ら:「尿酸」第9巻、第128ページ、1985年)により測定した。
測定結果を表1及び図1に示す。表1は、各サンプル中のチアミン及び総プリン体含有量の測定結果を示したものである。また、図1は、活性炭添加前の測定試料中の含有量を100%とした場合の、チアミン及び総プリン体の除去率を図示したものである。表1及び図1中、「未処理」は、活性炭を添加しなかった試料の結果を示す。この結果、活性炭処理を行った酵母エキスでは、活性炭の種類にかかわらず、未処理のものよりもチアミン含有量と総プリン体含有量が低下していた。
Figure 0005828010
[実施例2]
活性炭処理に用いる活性炭の量を変えた場合の、チアミン及びプリン体の低減効果を調べた。活性炭は、実施例1において最も低減効果に優れていたLPN37(日本エンバイロケミカルズ社製)を用いた。
実施例1と同様にして調製した酵母エキス溶液(固形分7.5重量/重量%相当)を、100mLずつ12本に分注した。活性炭をそれぞれ、0、0.5、1.0、2.0、3.0、5.0重量/重量%となるように添加したものを、各2本用意した。各サンプルにおける酵母エキス固形分あたりの活性炭の添加濃度は、それぞれ、0、6.8、13.6、27.3、40.9、68.2重量/重量%となる。これらの12本のサンプルを、80℃で1時間、180rpmにて攪拌した後、実施例1で用いた珪藻土をプリコートしたメンブレンフィルターを用いて濾過し、活性炭を除去した。この活性炭を除去した酵母エキス溶液の一部を測定試料として分取した。実施例1と同様にして、各サンプルから分取した測定試料中のチアミン含有量及びプリン体含有量を測定した。
測定結果を表2及び図2に示す。表2は、各サンプルの活性炭の添加濃度、並びにチアミン及び総プリン体含有量の測定結果を示したものである。また、図2は、活性炭添加前の測定試料中の含有量を100%とした場合の、活性炭添加濃度(酵母エキス固形分あたりの活性炭の添加量)に対するチアミン及び総プリン体の除去率を図示したものである。図2(A)がチアミン除去率を示し、図2(B)が総プリン体除去率を示す。この結果、チアミンと総プリン体のいずれも、酵母エキスに添加した活性炭の量依存的に含有量が低下することが確認された。特に、活性炭を酵母エキス固形分あたり27〜40重量/重量%添加することにより、チアミン含有量と総プリン体含有量のいずれも、活性炭処理前の酵母エキスの10%以下にまで低減し得ることが確認された。
Figure 0005828010
[実施例3]
実施例1と同様にして得られた酵母エキス溶液を、珪藻土ろ過、濃縮工程を経て固形分濃度38.2重量/重量%となるように調整した。得られた濃縮酵母エキス約560kgを、あらかじめ珪藻土をプリコートしたフィルタープレスに活性炭(LPN37同等品:水分40%含有)約77kgを積層させながら通液循環し、20分後に循環から払い出しに切り替え回収した液を処理液とした。この操作を5回繰り返して得られた処理液2510kg(固形分21重量/重量%)について、実施例1と同様にしてチアミン除去率及び総プリン体除去率を測定したところ、チアミン除去率は81%、プリン体除去率は54%であった。
本発明の酵母エキスの改質方法により、酵母エキス中のチアミン含有量やプリン体含有量を顕著に低減することができるため、特に食品分野等で利用が可能である。

Claims (3)

  1. 液状の酵母エキス、比表面積が1500〜1900m2/gであり、かつ平均細孔直径が1.5〜2nmである活性炭を酵母エキス固形分あたり27〜40(重量/重量)%添加して活性炭処理することにより、酵母エキス中のチアミン含有量を、活性炭処理前のチアミン含有量の50%以下とすることを特徴とする、酵母エキスの製造方法。
  2. さらに、活性炭処理後の酵母エキスから活性炭を除去する活性炭除去工程を経て製造されることを特徴とする、請求項に記載の酵母エキスの製造方法。
  3. 活性炭処理を、酵母エキスを、珪藻土及び前記活性炭がプリコートされた濾材を用いて濾過することによって行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の酵母エキスの製造方法。
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