JP5827779B2 - カステラの製造方法 - Google Patents
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Description
同構成にかかる層状菓子の製造方法では、密度の大きな生地の鉛直方向上方に当該生地よりも密度の小さい生地を積層させて、これを積層生地体とし、この積層生地体を焼成することで層状菓子を製造する。同構成では、各層を形成する生地の密度が異なるため、これら各層を形成する生地が混合することは抑制される。このため、同構成によれば、粘度が低い複数の生地を重ねて焼成することで、複数の層を備える層状菓子を製造することができるようになる。
より具体的には、本発明は、焼成前の粘度が8400mPa・s以下である複数の生地を重ねて、積層生地体を構成する積層工程と、前記積層生地体を焼成する焼成工程とを備えるカステラの製造方法であって、複数の生地を構成する下層の生地と上層の生地を各別に生成する生地生成工程と、前記下層の生地が前記上層の生地よりも密度が大きくなるように前記下層の生地に副素材を配合する下層調整工程とを備え、前記上層の生地の密度は、0.46〜0.53g/cm 3 であり、前記下層調整工程では、前記下層の生地の密度が0.60〜0.76g/cm 3 となるように前記副素材を配合するものであり、前記上層の生地と前記下層の生地の密度の差は0.10〜0.30g/cm 3 であることを特徴とする。
また、本発明は、上述したカステラの製造方法であって、前記焼成工程は、上火190〜200℃、下火215〜220℃で2〜3分焼成し、次に上火225〜230℃、下火220〜224℃で14〜15分焼成し、その後上火230〜233℃、下火130〜135℃で14〜15分焼成し、最後に、上火230〜233℃、下火120〜125℃で9〜10分焼成することを特徴とする。
さらに、本発明は、上述したカステラの製造方法であって、前記生地生成工程は、前記上層の生地に抹茶粉末を配合する着色工程を備え、前記焼成工程は、上火200〜210℃、下火215〜220℃で2〜3分焼成し、次に上火225〜230℃、下火220〜224℃で14〜15分焼成し、その後上火245〜250℃、下火125〜130℃で14〜15分焼成し、最後に、上火245〜250℃、下火120〜125℃で9〜10分焼成することを特徴とする。
同構成によれば、副素材を配合して下層の生地の密度を大きくすることで、下層の生地と上層の生地とが混合することをより確実に抑制することができるようになる。
より具体的には、本発明は、上述したカステラの製造方法であって、前記生地生成工程は、前記下層の生地に油脂を配合する油脂配合工程と、上白糖および白双糖を配合した鶏卵を泡立てる工程とを備え、前記鶏卵を泡立てる工程では、0.44〜0.45g/cm 3 となるまで前記鶏卵を泡立てることを特徴とする。
より具体的には、本発明は、上述したカステラの製造方法であって、前記生地生成工程は、前記上層の生地に油脂を配合する油脂配合工程を備えることを特徴とする。
本発明において、「生地」とは、小麦粉に種々の原料を加えて練ったものであって、成形や加熱する前の状態のものを示す。また「粘度の低い生地」としては、焼成直前の粘度(例えば、生地の温度が20〜35℃にあるときの粘度)が8400mPa・s以下である生地が好ましい。
上述した鶏卵としては、卵黄のみ使用する場合、全卵のみ使用する場合、および卵黄と全卵を併用する場合のいずれも含む。
またさらに、この水中油型乳化物としては、良好な火通りが得られやすいことから、水45.0〜50.0%重量中に、大豆油を18.0〜26.0重量%、バターを23.0〜29.0重量%含有するものが好ましく、水49〜50重量%中に大豆油26重量%およびバター23重量%を含有する水中油型乳化物がより好ましい。
このように、本発明では、上層の生地10の「生地生成工程」も、下層の生地11の「生地生成工程」と同様に「油脂配合工程」を備えるものとするが、これに限られるものではない。
また、上層の生地10と下層の生地11の間の密度の差は0.10〜0.30g/cm3の範囲が好ましく、0.15〜0.20g/cm3の範囲がより好ましく、0.20g/cm3程度が最も好ましい。
色素添加物の生地に対する配合量は、0.9〜1.3重量%が好ましく、0.9〜1.0重量%がより好ましい。
本発明の第一実施例を以下に説明する。
まず、上層の生地10と下層の生地11の製造方法についてそれぞれ詳細に説明する。
上層の生地10および下層の生地11の配合はそれぞれ<表1>および<表2>の通りとした。
<表1>
上層の生地
鶏卵(全卵) 1310g
上白糖 1021g
小麦粉 622g
水飴 281g
白双糖 255g
卵黄 130g
水中油型乳化物 98g
蜂蜜 11g
水 67g
3795g
<表2>
下層の生地
つぶあん 2000g
卵白 660g
上白糖 480g
小麦粉 440g
小豆 300g
水飴 288g
卵黄 160g
水中油型乳化物 40g
乾燥卵白 10g
4378g
まず、上白糖1021gと白双糖255gを加えた鶏卵(全卵)1310gと卵黄130gを、プレッシャーミキサーを用いて空気を送り込みながら、密度が0.39〜0.40g/cm3になるまで泡立てた。次に、水飴281gおよび蜂蜜11gを水67gに溶かし、これを生地に加え、全体が均一になるまで低速で混ぜ合わせた。全体が均一になったところで、小麦粉622gを加え、大きく撹拌して混合した。この生地に水中油型乳化物98gを加え、低速で混ぜ合わせた。なお、水飴、蜂蜜、水中油型乳化物、水および小麦粉を加えた後のミキサーによる撹拌時間は、1分以内となるようにした。
まず、上白糖480gを加えた卵白660gおよび乾燥卵白10gを、ミキサーを用いて空気を送り込みながら、へらですくったときに角が立つ状態になるまで泡立てて、メレンゲを作成した。このメレンゲに卵黄160gを加え、全体が均一になるまで混ぜ合わせた。そして、水飴288gを加えて混ぜ合わせ、全体が均一になったところで小麦粉440gを加えてミキサーの低速で混ぜ合わせた。このようにして生成した生地に、つぶあん2000g、および小豆300gを加え、全体が均一になるまで混ぜ合わせ、最後に水中油型乳化物40gを配合し、軽く混ぜ合わせた。なお、メレンゲ作成後のミキサーによる撹拌時間は、1分以内となるようにした。
このように、上層の生地10と下層の生地11の生成時間が略同じ時間になるようにするのは、以下の理由による。すなわち、生地を焼成するためには、所定の気泡が生地に含有されている必要があるが、仮に、生地の仕上がり時間に違いがあると、一方の生地の生成中に他方の生地を休ませておく必要が生じる。このように、生地を休ませると、その間に気泡が消失してしまい、生地の火の通りに違いが生じる。このため、本実施形態では、上層の生地10と下層の生地11が略同時に仕上がるようにした。
次に図3を参照しながら、本実施例にかかる積層生地体の焼成方法について説明する。
まず、同図3(a)に示されるように、下層の生地11を生地枠1に流し入れた。なお、生地枠1の寸法は、縦60cm、横54cm、高さ65cmとした。
次に、同図3(b)に示されるように、下層の生地11が均等になるようにへら2を用いて撹拌した。なお、下層の生地10の生地を生地枠1に流し入れ始めてから撹拌が終了するまでに要する時間は約5分とした。
本発明の第二実施例を以下に説明する。以下の実施例では、第一実施例とは異なる工程について説明し、実施例1と同一の工程については説明を省略する。
上層の生地10および下層の生地11の配合は、それぞれ<表3>および<表4>の通りとした。
<表3>
上層の生地
鶏卵(全卵) 1341g
上白糖 1019g
小麦粉 670g
水飴 288g
白双糖 254g
水中油型乳化物 107g
抹茶粉末 37g
蜂蜜 11g
水 69g
3796g
<表4>
下層の生地
つぶあん 2000g
卵白 660g
上白糖 480g
小麦粉 440g
小豆 300g
水飴 288g
卵黄 160g
水中油型乳化物 40g
乾燥卵白 10g
4378g
まず、鶏卵(全卵)1341gに、上白糖1019gと白双糖254gを加え、密度が0.39〜0.40g/cm3になるまで泡立てた。次に、水69gに水飴288gおよび蜂蜜11g溶かし、これを生地に加え、全体が均一になるまで混ぜ合わせた。全体が均一になったところで、小麦粉670gと抹茶粉末37gを加え、大きく撹拌して混合した。最後に、この生地に水中油型乳化物107gを加え、全体が均一になるまで混ぜ合わせた。
下層の生地11は、上記(第一実施例)と同様の製造方法で生成した。
(4)生地の焼成
次に、図3を参照しながら本実施例にかかる積層生地体の焼成方法について説明する。
まず、同図3(a)に示されるように、下層の生地11を生地枠1に流し入れた。次に、同図(b)に示されるように、生地枠1の生地が均等になるようにへら2を用いてまんべんなく均した。
・図4に示されるように、密度の異なる3層の生地を重ねて焼成し、これを層状菓子13としてもよい。この場合、上述した上層の生地よりも密度の低い生地を生成し、これを上層の生地の上部に重ねて焼成し、これを層状菓子13としてもよい。または、上述した下層の生地よりも密度の高い生地を生成し、この生地の上部に上述した上層の生地および下層の生地を重ねて焼成し、これを層状菓子13としてもよい。
または、上述した上層の生地よりも密度が高く、且つ上述した下層の生地よりも密度の低い中間生地層を生成し、この中間生地層を下層の生地の上部に重ねるとともに、この中間生地層の上部に上層の生地を重ねて焼成し、これを層状菓子13としてもよい。
2…へら
3A…オーブン
3B…オーブン
3C…オーブン
3D…オーブン
10…上層の生地
11…下層の生地
12…層状菓子
13…層状菓子
Claims (5)
- 焼成前の粘度が8400mPa・s以下である複数の生地を重ねて、積層生地体を構成する積層工程と、前記積層生地体を焼成する焼成工程とを備えるカステラの製造方法であって、
複数の生地を構成する下層の生地と上層の生地を各別に生成する生地生成工程と、前記下層の生地が前記上層の生地よりも密度が大きくなるように前記下層の生地に副素材を配合する下層調整工程とを備え、
前記上層の生地の密度は、0.46〜0.53g/cm 3 であり、
前記下層調整工程では、前記下層の生地の密度が0.60〜0.76g/cm 3 となるように前記副素材を配合するものであり、
前記上層の生地と前記下層の生地の密度の差は0.10〜0.30g/cm 3 である
ことを特徴とするカステラの製造方法。 - 請求項1に記載のカステラの製造方法であって、
前記焼成工程は、上火190〜200℃、下火215〜220℃で2〜3分焼成し、次に上火225〜230℃、下火220〜224℃で14〜15分焼成し、その後上火230〜233℃、下火130〜135℃で14〜15分焼成し、最後に、上火230〜233℃、下火120〜125℃で9〜10分焼成する
ことを特徴とするカステラの製造方法。 - 請求項1に記載のカステラの製造方法であって、
前記生地生成工程は、前記上層の生地に抹茶粉末を配合する着色工程を備え、
前記焼成工程は、上火200〜210℃、下火215〜220℃で2〜3分焼成し、次に上火225〜230℃、下火220〜224℃で14〜15分焼成し、その後上火245〜250℃、下火125〜130℃で14〜15分焼成し、最後に、上火245〜250℃、下火120〜125℃で9〜10分焼成する
ことを特徴とするカステラの製造方法。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のカステラの製造方法であって、
前記生地生成工程は、前記下層の生地に油脂を配合する油脂配合工程と、上白糖および白双糖を配合した鶏卵を泡立てる工程とを備え、
前記鶏卵を泡立てる工程では、0.44〜0.45g/cm 3 となるまで前記鶏卵を泡立てる
ことを特徴とするカステラの製造方法。 - 請求項4に記載のカステラの製造方法であって、
前記生地生成工程は、前記上層の生地に油脂を配合する油脂配合工程を備える
ことを特徴とするカステラの製造方法。
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