JP5825115B2 - プラグインハイブリッド車両 - Google Patents

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Description

本発明は、外部電源により走行用蓄電装置(以下、「走行用バッテリ」、または、単に「バッテリ」という場合もある)の充電が可能なプラグインハイブリッド車両に係る。特に、本発明は、電力消費率(以下、単に「電費」という場合もある)の算出手法の改良に関する。なお、本明細書でいう「1トリップ」とは、外部電源による走行用バッテリの充電(プラグイン充電)が完了し、車両の走行が開始してから、次回のプラグイン充電が開始されるまでの期間をいう。
近年、環境保護の観点から、車両に搭載された内燃機関(以下、「エンジン」と呼ぶ場合もある)からの排気ガスの排出量低減や燃料消費率(燃費)の改善が望まれており、これらを満足する車両として、ハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車両が実用化されている。このハイブリッド車両は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどのエンジンと、このエンジンの出力により発電された電力や走行用バッテリに蓄えられた電力により駆動する走行用モータ(例えばモータジェネレータまたはモータにより構成される)とを備え、これらエンジンおよび走行用モータのいずれか一方または双方を走行駆動力源として利用しながら走行する。
そして、近年、走行用モータに電力を供給する走行用バッテリに対し、家庭用電源などの車両外部の電源(外部電源)からの電力により充電することが可能なハイブリッド車両(いわゆるプラグインハイブリッド車両)が開発されている。
このプラグインハイブリッド車両は、燃料消費率の大幅な改善を図るべく、走行用バッテリの電力を優先的に用いて走行することを前提として設計されている。例えば、下記の特許文献1および特許文献2に開示されているように、プラグインハイブリッド車両の走行モードを、走行用バッテリの蓄電量が所定値に減少するまでは、走行用モータの動力のみを用いた走行を優先的に行うモード(一般に、「CD(Charge Depleting)モード」または「EV(Electric Vehicle)モード」と呼ばれる)とし、走行用バッテリの蓄電量が前記所定値未満となったときには、エンジンおよび走行用モータの両方の動力を用いた走行を優先的に行うモード(一般に、「CS(Charge Sustain)モード」または「HV(Hybrid Vehicle)モード」と呼ばれる)に移行させるようにしている。
また、このプラグインハイブリッド車両にあっては、前記CDモードにおいて走行用モータの動力のみで走行する場合に、現在の走行用バッテリの蓄電量(蓄電残量)での走行可能距離を算出し、その情報をメータパネル(インストルメントパネル)上に表示するようになっている。より具体的には、過去の走行状況(電力消費量と走行距離との関係)から電費を算出する(電費学習を行う)。この電費は、単位電力量あたりの走行距離である。そして、この電費に、走行用バッテリの蓄電量(前記CSモードに移行される所定値に達するまで使用可能な電力量)を乗算することによって走行可能距離が算出されることになる。
また、下記の特許文献3には、電費の算出手法として、特定の道路区間を走行する際の駆動力伝達系の仕事率に基づいて電費を算出することが開示されている。
特開2011−51395号公報 特開2011−225097号公報 特開2009−290940号公報
前述の如く電費を算出する場合、エンジンが駆動していると、そのエンジンの仕事量や、エンジンの動力の一部が発電電動機(モータジェネレータ)の発電に利用されてバッテリが充電された場合の充電量を算出せねばならないため、電費の算出が煩雑になったり十分な精度が得られなくなる可能性がある。このため、この電費の算出(電費を算出するための情報(電力消費量および走行距離)の取得のみを行う場合も含む)は、エンジン停止状態で車両が走行している場合における電力消費量と、その消費した電力で得られた走行距離とに基づいて行うことが望ましい。
しかしながら、このようにエンジンが停止している際の情報(電力消費量および走行距離)のみによって電費を算出する場合、以下に述べるような課題が生じる可能性があることを、本願発明の発明者は見出した。
以下、この課題について、図面を用いて具体的に説明する。
先ず、プラグインハイブリッド車両が加速した後に減速する場合について説明する。
図9は、プラグインハイブリッド車両の走行中に、運転者の加速要求(アクセルペダルの踏み込み量が大きくなったこと)に応じて車両が加速し、その後、減速要求(アクセルペダルの踏み込み量が小さくなったこと)に応じて車両が減速した場合における車速の変化、エンジンの駆動状態の変化、および、車両走行中における電費(それぞれのタイミングで電費(走行開始(トリップ開始)からの走行距離を電力消費量で除算した値)が算出されたと仮定した場合の値;上側ほど電費が良好であり、下側ほど電費は悪くなっている)の変化を示している。この電費の変化として、図中の実線は、エンジンが停止している際の情報(電力消費量および走行距離)のみによって算出された電費の変化を示し、一点鎖線は、本来得られるべき適正な電費の変化を示している。
プラグインハイブリッド車両が加速する際に、モータの動力とエンジンの動力とを併用している場合、その期間(図中のt1)では、エンジンが駆動しているため、電費を算出するための情報(電力消費量および走行距離)は取得しないことになる。つまり、この期間t1での電費は図中に実線で示すように一定(不変)となる。しかし、この期間t1では、実際には、モータは加速要求に応じた電力を消費しているため、単位走行距離あたりの電力消費量は比較的大きく、仮に電力消費量および走行距離の情報を取得して電費を算出したとすれば、その電費は比較的低いものとなる状況である(本来であれば期間t1において一点鎖線で示す電費の変化となる)。一方、この加速後、車両が減速すると、要求駆動力が低くなることでエンジンが停止するとともにモータの動力は殆ど使用されることなく走行が行われ、且つモータジェネレータの回生動作によって走行用バッテリは充電される状況となる。そして、この期間(図中のt2)では、エンジンの停止にともない、電費を算出するための情報(電力消費量および走行距離)を取得しているため、この期間での単位走行距離あたりの電力消費量は比較的小さく、その電費は比較的高いものとして算出されることになる。この期間t2では、図中に実線で示すように、走行にともなって電費は高くなっていくが、前記加速期間での電費の誤差分(図中のD1)を含んでいるため、最終的に得られる電費は、本来算出されるべき値に対して電費が良好となる側に偏差D1を生じており、走行可能距離(現在の走行用バッテリの蓄電量で走行可能な距離)を正確に求めることができなくなる(走行可能距離を長くする側に誤差が生じる)可能性がある。この誤差は、車両の加速によって高くなった車両の運動エネルギを減速時に使用しながら電費が算出されたことに起因する。
次に、プラグインハイブリッド車両が登坂路を走行した後に降坂路を走行した場合について説明する。
図10は、プラグインハイブリッド車両HVが登坂路を走行した後に降坂路を走行した場合における路面勾配の変化、エンジンの駆動状態の変化、および、車両走行中における電費(それぞれのタイミングで電費(走行開始(トリップ開始)からの走行距離を電力消費量で除算した値)が算出されたと仮定した場合の値)の変化を示している。この電費の変化として、図中の実線は、エンジンが停止している際の情報のみによって算出された電費の変化を示し、一点鎖線は、本来得られるべき適正な電費の変化を示している。
プラグインハイブリッド車両HVが登坂路を走行する際に、モータの動力とエンジンの動力とを併用している場合、その期間(図中のt3)では、エンジンが駆動しているため、電費を算出するための情報(電力消費量および走行距離)は取得しないことになる。つまり、この期間t3での電費は図中に実線で示すように一定(不変)となる。しかし、この期間t3では、実際には、登坂路を走行することで、単位走行距離あたりの電力消費量は比較的大きく、仮に電力消費量および走行距離の情報を取得して電費を算出したとすれば、その電費は比較的低いものとなる状況である(本来であれば期間t3において一点鎖線で示す電費の変化となる)。一方、この登坂路の走行の後、降坂路を走行すると、要求駆動力が低くなることでエンジンが停止するとともにモータの動力は殆ど使用されることなく走行が行われ、且つモータジェネレータの回生動作によって走行用バッテリは充電される状況となる。そして、この期間(図中のt4)では、エンジンの停止にともない、電費を算出するための情報(電力消費量および走行距離)を取得しているため、この期間での単位走行距離あたりの電力消費量は比較的小さく、その電費は比較的高いものとして算出されることになる。この期間t4では、図中に実線で示すように、走行にともなって電費は高くなっていくが、前記登坂路を走行していた期間での電費の誤差分(図中のD2)を含んでいるため、最終的に得られる電費は、本来算出されるべき値に対して電費が良好となる側に偏差D2を生じており、走行可能距離(現在の走行用バッテリの蓄電量で走行可能な距離)を正確に求めることができなくなる(走行可能距離を長くする側に誤差が生じる)可能性がある。この誤差は、登坂路を走行した際にエンジンの動力によって高くなった車両の位置エネルギを、降坂路を走行する際に使用しながら電費が算出されたことに起因する。
このように、エンジンが停止している際の情報(電力消費量および走行距離)のみによって電費を算出する場合、車両の運動エネルギや車両の位置エネルギの影響によって、電費が良好となる側に誤差を生じてしまう可能性があることを本願発明の発明者は見出した。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電費の算出精度の向上を図ることができるプラグインハイブリッド車両を提供することにある。
−発明の解決原理−
前記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、プラグインハイブリッド車両の電費学習において、内燃機関の駆動時には電費学習のための情報を取得しないことに起因し、この内燃機関の駆動中にエネルギ量(車両の運動エネルギや車両の位置エネルギ等のエネルギ量)が上昇した場合には、内燃機関の停止時にこの上昇したエネルギを使用しながら電費学習が行われることで、電費に誤差が生じる可能性があるとして、このエネルギ量が内燃機関の駆動開始時点のエネルギ量に戻るまでは、内燃機関が停止していても、その走行期間中における情報(電力消費量および走行距離の情報)を電費学習に反映させないようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、走行用の動力を出力可能な内燃機関および走行用の動力を出力可能な電動機を備え、これら内燃機関および電動機のうち少なくとも一つを走行駆動力源として走行可能であるとともに、蓄電装置に蓄電された電力を使用し前記電動機のみを走行駆動力源として走行した場合における電力消費率を算出することで電力消費率の学習が可能なプラグインハイブリッド車両を前提とする。このプラグインハイブリッド車両に対し、前記走行駆動力源として内燃機関を利用したことにより増加した車両運動エネルギおよび車両位置エネルギのうち少なくとも一方を電力消費率の学習に反映させないように、前記電力消費率の算出、または、その電力消費率を算出するための情報の取得を制限する構成となっている。
走行駆動力源として内燃機関を利用したことにより車両運動エネルギや車両位置エネルギが増加すると、その後に内燃機関が停止して、電力消費率を算出するための情報を取得する際には、上昇したエネルギを使用しながら電力消費率が算出されるため電力消費率が高くなる(良好になる)側への誤差が生じてしまう。そのため、本解決手段では、走行駆動力源として内燃機関を利用したことにより増加した車両運動エネルギおよび車両位置エネルギのうち少なくとも一方を電力消費率の学習に反映させないようにすることで、電力消費率の誤差が生じないようにしている。これにより、電力消費率の学習値を高い精度に維持することができる。
本発明では、プラグインハイブリッド車両の電力消費率の学習において、走行駆動力源として内燃機関を利用したことにより増加した車両運動エネルギおよび車両位置エネルギのうち少なくとも一方を電力消費率の学習に反映させないようにしている。このため、この増加したエネルギに起因する電力消費率の誤差が生じることがなくなり、電力消費率の学習値を高い精度に維持することができる。
実施形態に係るプラグインハイブリッド車両および外部電源の概略構成を示す図である。 プラグインハイブリッド車両の制御系の概略構成を示すブロック図である。 充電ケーブルの先端に設けられたコネクタを示す図である。 エンジンの動作点を説明するための図である。 CDモードおよびCSモードを説明するための図であって、CDモードとCSモードとの間で走行モードが切り換わる場合のSOCの時間的変化の一例を示す図である。 CDモードおよびCSモードの切り換え、および、各モードでのエンジン始動・停止の切り換えを行うためのマップの一例を示す図である。 電費学習情報取得動作の手順を示すフローチャート図である。 実施形態において、プラグインハイブリッド車両が加速した後に減速した場合における車速の変化、エンジンの駆動状態の変化、および、車両走行中における電費の変化を示す図である。 従来技術において、プラグインハイブリッド車両が加速した後に減速した場合における車速の変化、エンジンの駆動状態の変化、および、車両走行中における電費の変化を示す図である。 従来技術において、プラグインハイブリッド車両が登坂路を走行した後に降坂路を走行した場合における路面勾配の変化、エンジンの駆動状態の変化、および、車両走行中における電費の変化を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、2つのモータジェネレータ(発電電動機)を備え、且つFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車として構成されたプラグインハイブリッド車両を例に挙げて説明する。なお、プラグインハイブリッド車両は、走行用バッテリを充電するための充電装置を搭載し、家庭用電源からも充電可能な機能を備えたハイブリッド車両である。以下では、プラグインハイブリッド車両を単にハイブリッド車両という場合もある。
図1は本実施形態に係るプラグインハイブリッド車両1および外部電源OEの概略構成を示す図である。この図1に示すように、プラグインハイブリッド車両1は、前輪(駆動輪)6a,6bに駆動力を与えるための駆動系として、エンジン2と、エンジン2の出力軸としてのクランクシャフト2aにダンパ2bを介して接続された3軸式の動力分割機構3と、この動力分割機構3に接続された発電可能な第1モータジェネレータMG1と、動力分割機構3に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸3eにリダクション機構7を介して接続された第2モータジェネレータMG2(本発明でいう電動機)とを備えている。これらクランクシャフト2a、動力分割機構3、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2、リダクション機構7およびリングギヤ軸3eによって動力伝達系が構成されている。
また、前記リングギヤ軸3eは、ギヤ機構4および前輪用のデファレンシャルギヤ5を介して前輪6a,6bに接続されている。
また、このプラグインハイブリッド車両1は、車両の駆動系全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、ハイブリッドECU(Electronic Control Unit)という)10を備えている。
−エンジンおよびエンジンECU−
エンジン2は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン2の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)11によって、燃料噴射制御、点火制御、吸入空気量調節制御などの運転制御が行われる。
エンジンECU11は、ハイブリッドECU10と通信を行っており、このハイブリッドECU10からの制御信号に基づいてエンジン2を運転制御するとともに、必要に応じてエンジン2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU10に出力する。なお、エンジンECU11は、クランクポジションセンサ56や水温センサ57等が接続されている。クランクポジションセンサ56は、クランクシャフト2aが一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力する。このクランクポジションセンサ56からの出力信号に基づいてエンジンECU11はエンジン回転速度(回転数)Neを算出する。また、水温センサ57はエンジン2の冷却水温度に応じた検出信号を出力する。
−動力分割機構−
動力分割機構3は、図1に示すように、外歯歯車のサンギヤ3aと、このサンギヤ3aと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ3bと、サンギヤ3aに噛み合うとともにリングギヤ3bに噛み合う複数のピニオンギヤ3cと、これら複数のピニオンギヤ3cを自転かつ公転自在に保持するプラネタリキャリア3dとを備え、サンギヤ3aとリングギヤ3bとプラネタリキャリア3dとを回転要素とし差動作用を行う遊星歯車機構として構成されている。この動力分割機構3では、プラネタリキャリア3dにエンジン2のクランクシャフト2aが連結されている。また、サンギヤ3aに第1モータジェネレータMG1のロータ(回転子)が連結されている。さらに、リングギヤ3bに前記リングギヤ軸3eを介して前記リダクション機構7が連結されている。
そして、このような構成の動力分割機構3において、プラネタリキャリア3dに入力されるエンジン2の出力トルクに対して、第1モータジェネレータMG1による反力トルクがサンギヤ3aに入力されると、出力要素であるリングギヤ3bには、エンジン2から入力されたトルクより大きいトルクが現れる。この場合、第1モータジェネレータMG1は発電機として機能する。第1モータジェネレータMG1が発電機として機能するときには、プラネタリキャリア3dから入力されるエンジン2の駆動力が、サンギヤ3a側とリングギヤ3b側とにそのギヤ比に応じて分配される。
一方、エンジン2の始動要求時にあっては、第1モータジェネレータMG1が電動機(スタータモータ)として機能し、この第1モータジェネレータMG1の駆動力がサンギヤ3aおよびプラネタリキャリア3dを介してクランクシャフト2aに与えられてエンジン2がクランキングされる。
また、動力分割機構3において、リングギヤ3bの回転速度(出力軸回転速度)が一定であるときに、第1モータジェネレータMG1の回転速度を上下に変化させることにより、エンジン2の回転速度を連続的に(無段階に)変化させることができる。つまり、動力分割機構3が変速部として機能する。
−リダクション機構−
前記リダクション機構7は、図1に示すように、外歯歯車のサンギヤ7aと、このサンギヤ7aと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ7bと、サンギヤ7aに噛み合うとともにリングギヤ7bに噛み合う複数のピニオンギヤ7cと、これら複数のピニオンギヤ7cを自転自在に保持するプラネタリキャリア7dとを備えている。このリダクション機構7では、プラネタリキャリア7dがトランスミッションケースに固定されている。また、サンギヤ7aが第2モータジェネレータMG2のロータ(回転子)に連結されている。さらに、リングギヤ7bが前記リングギヤ軸3eに連結されている。
−パワースイッチ−
プラグインハイブリッド車両1には、ハイブリッドシステムの起動と停止とを切り換えるためのパワースイッチ51(図2参照)が設けられている。このパワースイッチ51は、例えば、跳ね返り式のプッシュスイッチあって、押圧操作される毎に、スイッチOnとスイッチOffとが交互に切り替わるようになっている。
ここで、ハイブリッドシステムとは、エンジン2およびモータジェネレータMG1,MG2を走行用の駆動力源とし、そのエンジン2の運転制御、モータジェネレータMG1,MG2の駆動制御、エンジン2およびモータジェネレータMG1,MG2の協調制御などを含む各種制御を実行することによってプラグインハイブリッド車両1の走行を制御するシステムである。
パワースイッチ51は、ドライバを含む搭乗者により操作された場合に、その操作に応じた信号(IG−On指令信号またはIG−Off指令信号)をハイブリッドECU10に出力する。ハイブリッドECU10は、パワースイッチ51から出力された信号などに基づいてハイブリッドシステムを起動または停止する。
具体的には、ハイブリッドECU10は、プラグインハイブリッド車両1の停車中に、パワースイッチ51が操作された場合には、後述するPポジションで前記ハイブリッドシステムを起動する。これにより車両が走行可能な状態となる。なお、停車中のハイブリッドシステムの起動時には、Pポジションでハイブリッドシステムが起動されることから、アクセルオン状態であっても、駆動力が出力されることはない。車両が走行可能な状態とは、ハイブリッドECU10の指令信号により車両走行を制御できる状態であって、ドライバがアクセルオンすれば、プラグインハイブリッド車両1が発進・走行できる状態(Ready−On状態)のことである。なお、Ready−On状態には、エンジン2が停止状態で、第2モータジェネレータMG2でプラグインハイブリッド車両1の発進・走行が可能な状態(EV走行が可能な状態)も含まれる。
また、ハイブリッドECU10は、例えば、ハイブリッドシステムが起動中で、停車時にPポジションであるときに、パワースイッチ51が操作(例えば、短押し)された場合にはハイブリッドシステムを停止する。
−モータジェネレータおよびモータECU−
モータジェネレータMG1,MG2は、いずれも、発電機として駆動できるとともに電動機として駆動できる周知の同期発電電動機により構成されており、インバータ21,22および昇圧コンバータ23を介してバッテリ(蓄電装置)24との間で電力のやりとりを行う。各インバータ21,22、昇圧コンバータ23およびバッテリ24を互いに接続する電力ライン25は、各インバータ21,22が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータジェネレータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ24は、モータジェネレータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータジェネレータMG1,MG2により電力収支がバランスしている場合には、バッテリ24は充放電されない。
モータジェネレータMG1,MG2は、いずれも、モータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)13により駆動制御される。このモータECU13には、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータジェネレータMG1,MG2のロータ(回転軸)の各回転位置を検出するMG1回転速度センサ(レゾルバ)26およびMG2回転速度センサ27からの信号や電流センサにより検出されるモータジェネレータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されている。また、モータECU13からは、インバータ21,22へのスイッチング制御信号が出力されている。例えば、モータジェネレータMG1,MG2のいずれかを発電機として駆動制御(例えば、第2モータジェネレータMG2を回生制御)したり、電動機として駆動制御(例えば、第2モータジェネレータMG2を力行制御)したりする。また、モータECU13は、ハイブリッドECU10と通信を行っており、このハイブリッドECU10からの制御信号にしたがって前述した如くモータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するとともに、必要に応じてモータジェネレータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU10に出力する。
−バッテリおよびバッテリECU−
バッテリ24は、複数のバッテリセルを一体化したバッテリモジュールを、さらに複数直列に接続して構成された組電池で成る。バッテリ24の電圧は、例えば200V程度である。バッテリ24には、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の他、車両外部の外部電源OEから供給される電力が充電可能となっている。なお、バッテリ24の代わりにもしくは加えてキャパシタを用いるようにしてもよい。
また、バッテリ24は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)14によって管理されている。このバッテリECU14には、バッテリ24を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ24の端子間に設置された電圧センサ24aからの端子間電圧、バッテリ24の出力端子に接続された電力ライン25に取り付けられた電流センサ24bからの充放電電流、バッテリ24に取り付けられたバッテリ温度センサ24cからのバッテリ温度Tbなどの信号が入力されており、必要に応じてバッテリ24の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU10に出力する。
また、バッテリECU14は、バッテリ24を管理するために、電流センサ24bにて検出された充放電電流の積算値に基づいて電力の残容量(蓄電量)SOC(State of Charge)を演算し、また、その演算した残容量SOCとバッテリ温度センサ24cにて検出されたバッテリ温度Tbとに基づいてバッテリ24を充放電してもよい最大許容電力である入力制限Win,出力制限Woutを演算する。なお、バッテリ24の入力制限Win,出力制限Woutは、バッテリ温度Tbに基づいて入力制限Win,出力制限Woutの基本値を設定し、バッテリ24の残容量SOCに基づいて入力制限用補正係数と出力制限用補正係数とを設定し、前記設定した入力制限Win,出力制限Woutの基本値に前記補正係数を乗じることにより設定することができる。
なお、前記バッテリECU14が前記ハイブリッドECU10に組み込まれ、これらによってパワーマネージメントECUが構成されていてもよい。
−充電装置およびプラグインECU−
前述した如くプラグインハイブリッド車両1は、家庭用電源等の外部電源OEを利用して前記バッテリ24の充電が可能となっている。
具体的に、プラグインハイブリッド車両1は、車体の側面等に受電部となるインレット28を備えている。このインレット28には、電力供給ライン28aを介して充電回路29が接続されている。
この充電回路29は、外部電源OEから供給された交流電流を直流電流に変換してバッテリ24へ供給する。また、この充電回路29にはプラグインECU15が接続されており、この充電回路29とプラグインECU15との間で、制御信号や充電状態の信号等が送受信されるようになっている。また、プラグインECU15は、前記ハイブリッドECU10との間でも、制御信号や充電状態の信号等を送受信する。また、プラグインECU15は、ハイブリッドECU10からの制御信号に応じてバッテリ24に充電される電力量を制御する。
また、前記インレット28は、外部電源OEに接続された充電ケーブル9の先端に設けられたコネクタ91が接続可能となっている。このコネクタ91は、図3に示すように、充電作業時に作業者が把持するハンドル92を備えていると共に、インレット28に接続された際に、このインレット28に係止する係止フック93を備えている。
前記コネクタ91の内部には、係止フック93がインレット28に係止するのに連動して閉鎖する図示しないスイッチが設けられており、このコネクタ91が前記インレット28に接続されると(差し込まれると)、このスイッチが閉鎖するとともに、外部電源OEからの電力が、充電ケーブル9、コネクタ91、インレット28、充電回路29を経てバッテリ24に給電されるようになっている。また、このようにコネクタ91がインレット28に接続されてバッテリ24の充電が開始されると、前記プラグインECU15が、そのことを検知し、充電開始信号であるコネクタ信号CNCTをハイブリッドECU10に出力するようになっている。後述するように、このハイブリッドECU10がコネクタ信号CNCTを受信するタイミングが、前回トリップ(前回の充電動作の後に車両が走行した期間(今回の充電までに走行した期間))で積算された電力消費量および走行距離を用いた電費(電力消費率)の算出タイミングおよび学習電費の学習タイミングとなる。
−ハイブリッドECUおよび制御系−
前記ハイブリッドECU10は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)40、ROM(Read Only Memory)41、RAM(Random Access Memory)42およびバックアップRAM43などを備えている。ROM41は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU40は、ROM41に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。RAM42は、CPU40での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM43は、例えばIG−Off時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
以上のCPU40、ROM41、RAM42およびバックアップRAM43は、バス46を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース44および出力インターフェース45と接続されている。
入力インターフェース44には、後述するシフト操作装置60のシフトレバー61の操作位置等を検出するシフトポジションセンサ50、前記パワースイッチ51、アクセルペダルの踏み込み量に応じた信号を出力するアクセル開度センサ52、ブレーキペダルの踏み込み量に応じた信号を出力するブレーキペダルセンサ53、車体速度に応じた信号を出力する車速センサ54等が接続されている。
これにより、ハイブリッドECU10には、シフトポジションセンサ50からのシフトポジション信号、パワースイッチ51からのIG−On信号やIG−Off信号、アクセル開度センサ52からのアクセル開度信号、ブレーキペダルセンサ53からのブレーキペダルポジション信号、車速センサ54からの車速信号等が入力されるようになっている。
ここで前記シフト操作装置60について簡単に説明する。シフト操作装置60は、運転席の近傍に配置され、変位操作可能なシフトレバー(シフトノブと呼ぶ場合もある)61と、押し込み操作可能なPスイッチ62と、ハイブリッドシステムの走行モードを手動により切り換え可能とするモード選択スイッチ63とを備えている。
シフトレバー61は、前進走行用のドライブレンジ(Dレンジ)、アクセルオフ時の制動力(エンジンブレーキ)が大きくなる前進走行用のブレーキレンジ(Bレンジ)、後進走行用のリバースレンジ(Rレンジ)、中立のニュートラルレンジ(Nレンジ)が設定されており、運転者が所望のレンジへシフトレバー61を変位させることが可能となっている。これらDレンジ、Bレンジ、Rレンジ、Nレンジの各位置はシフトポジションセンサ50によって検出される。シフトポジションセンサ50の出力信号はハイブリッドECU10に入力される。
また、Pスイッチ62は、運転者の押し込み操作によって駐車ポジション(Pポジション)を設定するものであり、このPスイッチ62の押し込み信号もシフトポジションセンサ50によって検出される。そして、このPスイッチ62の押し込み操作にともなって、ハイブリッドECU10からの指令信号を図示しないパーキングECUが受け、パーキングロック機構が作動して間接的に前輪6a,6bをロックする。
また、モード選択スイッチ63は、バッテリ24の残容量SOCが所定量以上である状況において、ハイブリッドシステムの走行モードを「CDモード(EVモードともいう)」と、「CSモード(HVモードともいう)」との間で切り換えるものであり、押し込み操作される毎に、ハイブリッドシステムの走行モードが、CDモードとCSモードとの間で交互に切り換わるようになっている。このモード選択スイッチ63の押し込み信号もシフトポジションセンサ50によって検出される。これらCDモードおよびCSモードについては後述する。
一方、入力インターフェース44および出力インターフェース45には、前記エンジンECU11、モータECU13、バッテリECU14、プラグインECU15等が接続されており、ハイブリッドECU10は、これらエンジンECU11、モータECU13、バッテリECU14およびプラグインECU15との間で各種制御信号やデータの送受信を行っている。
ハイブリッドECU10は、前記各種センサの出力信号に基づいて、エンジン2のスロットル開度制御(吸入空気量制御)、燃料噴射量制御、および、点火時期制御などを含むエンジン2の各種制御を実行する。また、ハイブリッドECU10は、車速やアクセル開度やバッテリ24の電力の残容量SOC等に応じ、前記CDモードとCSモードとを自動的に切り換えてプラグインハイブリッド車両1の走行を行わせるようにする。さらに、ハイブリッドECU10は、後述する電費算出のための情報取得動作、これら情報を使用した電費(トリップ電費)算出動作、および、電費学習動作も実行する。
−ハイブリッドシステムにおける駆動力の流れ−
次に、本プラグインハイブリッド車両1での駆動力の流れについて説明する。この駆動力の流れは、基本的には、前記CDモードおよびCSモードの何れにおいても共通であるので、ここでは各モードを区別することなく説明する。
プラグインハイブリッド車両1は、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて、駆動輪6a,6bに出力すべきトルク(要求トルク)を計算し、この要求トルクに対応する要求駆動力により走行するように、エンジン2とモータジェネレータMG1,MG2とが運転制御される。具体的には、燃料消費量の削減を図るために、要求駆動力が比較的低い運転領域にあっては、第2モータジェネレータMG2を利用して前記要求駆動力が得られるようにする。一方、要求駆動力が比較的高い運転領域にあっては、第2モータジェネレータMG2を利用すると共に、エンジン2を駆動し、これら駆動力源(走行駆動力源)からの駆動力により、前記要求駆動力が得られるようにする。
より具体的には、車両の発進時や低速走行時等であってエンジン2の運転効率が低い場合には、第2モータジェネレータMG2のみにより走行を行う。
一方、エンジン2の駆動力と第2モータジェネレータMG2の駆動力とを併用する時には、例えば前記動力分割機構3によりエンジン2の駆動力を2経路に分け、その一方の駆動力で駆動輪6a,6bの直接駆動(直達トルクによる駆動)を行い、他方の駆動力で第1モータジェネレータMG1を駆動して発電を行う。このとき、第1モータジェネレータMG1の駆動により発生する電力で第2モータジェネレータMG2を駆動して駆動輪6a,6bの駆動補助を行う(電気パスによる駆動)。
このように、前記動力分割機構3が差動機構として機能し、その差動作用によりエンジン2からの動力の主部を駆動輪6a,6bに機械的に伝達し、そのエンジン2からの動力の残部を第1モータジェネレータMG1から第2モータジェネレータMG2への電気パスを用いて電気的に伝達することにより、電気的に変速比が変更される電気式無段変速機としての機能が発揮される。これにより、駆動輪6a,6b(リングギヤ軸3e)の回転速度およびトルクに依存することなく、エンジン回転速度およびエンジントルクを自由に操作することが可能となり、駆動輪6a,6bに要求される駆動力を得ながらも、燃料消費率が最適化されたエンジン2の運転状態(後述する最適燃費動作ライン上の運転状態)を得ることが可能となる。
具体的に、図4を用いて説明する。この図4は横軸をエンジン回転速度とし、縦軸をエンジントルクとしたエンジン2の動作点を表す図である。図中の実線は最適燃費動作ラインであって、前述した動力分割機構3を利用した電気的変速機能によって、エンジン2を、この最適燃費動作ライン上の運転状態に制御することが可能となっている。具体的には、アクセル開度等に応じて決定される要求パワーライン(図中に二点鎖線で示すライン)と、前記最適燃費動作ラインとの交点(図中の点A)をエンジン2の目標動作点(目標運転点)としてハイブリッドシステムが制御されることになる。
また、高速走行時には、さらにバッテリ24からの電力を第2モータジェネレータMG2に供給し、この第2モータジェネレータMG2の出力を増大させて駆動輪6a,6bに対して駆動力の追加(駆動力アシスト;力行)を行う。
さらに、減速時には、第2モータジェネレータMG2が発電機として機能して回生発電を行い、回収した電力をバッテリ24に蓄える。なお、バッテリ24の蓄電量(前記残容量;SOC)が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン2の出力を増加して第1モータジェネレータMG1による発電量を増やしてバッテリ24に対する充電量を増加する(主にCSモードでの動作)。また、低速走行時においても必要に応じてエンジン2の出力を増加する制御を行う場合もある。例えば、前述のようにバッテリ24の充電が必要な場合や、エアコンディショナ等の補機を駆動する場合や、エンジン2の冷却水の温度を所定温度まで上げる場合などである。
また、本実施形態のプラグインハイブリッド車両1においては、車両の運転状態やバッテリ24の状態によって、燃費を向上させるために、エンジン2を停止させる。そして、その後も、プラグインハイブリッド車両1の運転状態やバッテリ24の状態を検知して、エンジン2を再始動させる。このように、プラグインハイブリッド車両1においては、パワースイッチ51がON位置であってもエンジン2は間欠運転(エンジン停止と再始動とを繰り返す運転)される。
−CDモードおよびCSモード−
次に、図5および図6を用いて、CD(EV)モードおよびCS(HV)モードについて説明する。CDモードおよびCSモードのうちいずれのモードを選択するかは、前記ハイブリッドECU10が、バッテリ24の残容量(蓄電量)SOCに応じて決定する。具体的には、バッテリ24の残容量SOCが所定量(閾値;例えば充電可能電力総量に対して25%)以上である場合にはCDモードが選択され、第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行を優先的に行うモードとなる。一方、バッテリ24の残容量SOCが前記所定量(閾値)未満となった場合にはCSモードが選択され、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いた走行を優先的に行うモードとなる。
具体的には、図5(CDモードとCSモードとの間で走行モードが切り換わる場合のSOCの時間的変化の一例を示す図)のように、CDモードでの走行が継続され、バッテリ24の蓄電量SOCが所定量(閾値)未満になると、CSモードに切り換えられる(図中のタイミングTA)。そして、このCSモードでは、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いた走行を優先的に行うことで、蓄電量SOCが更に低下してしまうことを抑制している。また、このCSモードでの走行中に、第2モータジェネレータMG2の回生動作等によって蓄電量SOCが所定量(図中のCDモード復帰値)まで増加するとCDモードに復帰されることになる(図中のタイミングTB)。このように、バッテリ24の蓄電量SOCに応じ、ハイブリッドECU10が、走行モードをCDモードとCSモードとの間で切り換える。
また、バッテリ24の蓄電量SOCが比較的多い場合(例えば、前記閾値以上である場合)には、ドライバによる前記モード選択スイッチ63の手動操作によってCDモードとCSモードとの間で走行モードの切り換えが可能となる。
これらCDモードおよびCSモードでは、いずれも第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行を行う走行状態と、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いて走行を行う走行状態とが存在する。そして、これらCDモードとCSモードとは、エンジン2を始動させる要求パワーが異なっている。具体的には、CDモードにおいてエンジン2を始動させる要求パワーは、CSモードにおいてエンジン2を始動させる要求パワーよりも大きな値に設定されている。このため、同一要求パワー(同一アクセル開度)であっても、CDモードにある場合にはエンジン2は始動せず、CSモードにある場合にはエンジン2が始動する場合がある。
図6は、CDモードおよびCSモードの切り換え、および、各モードでのエンジン始動・停止の切り換えを行うためのマップの一例を示している。この図6に示すように、アクセル開度等によって設定される要求パワー(エンジン回転数とエンジントルクとの積として表される)として、CDモードでのエンジン始動パワーラインとCSモードでのエンジン始動パワーラインとがそれぞれ設定されており、CDモードでのエンジン始動パワーラインの方がCSモードでのエンジン始動パワーラインよりも高パワー側に設定されている。例えばCDモードでのエンジン始動パワーラインは40kWであり、CSモードでのエンジン始動パワーラインは20kWである。これら値はこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
このため、バッテリ24の蓄電量SOCが所定量(閾値)以上であってCDモードで走行している場合、アクセル開度(図中の破線を参照)等によって設定される要求パワーが、このCDモードでのエンジン始動パワーラインよりも低い場合には、第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行(エンジン停止)が行われる一方、アクセル開度等によって設定される要求パワーが、このCDモードでのエンジン始動パワーラインよりも高い場合には、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いた走行が行われることになる。なお、このCDモードでのエンジン始動パワーラインよりも高い運転領域は比較的限られた運転領域(全開加速時(WOT時)など)であるため、このCDモードでは、第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行(エンジン停止)が優先的に行われることになる。
同様に、バッテリ24の蓄電量SOCが所定量(閾値)未満であってCSモードで走行している場合、アクセル開度(図中の破線を参照)等によって設定される要求パワーが、このCSモードでのエンジン始動パワーラインよりも低い場合には、第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行(エンジン停止)が行われる一方、アクセル開度等によって設定される要求パワーが、このCSモードでのエンジン始動パワーラインよりも高い場合には、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いた走行が行われることになる。なお、このCSモードでのエンジン始動パワーラインよりも低い運転領域は比較的限られた運転領域(アイドリング運転時や軽負荷運転時など)であるため、このCSモードでは、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いた走行が優先的に行われることになる。なお、このCSモードでの走行中にあっては、要求パワーが、CSモードでのエンジン始動パワーラインよりも低い場合であっても、バッテリ24の蓄電量SOCが更に低下した場合(前記所定量(閾値)からの偏差が所定量以上となるまで低下した場合)には、バッテリ24の充電(第1モータジェネレータMG1の回生運転による充電)のためにエンジン2を始動させることになる。
このようにして、CDモードでは、可能な限りエンジン2を停止し、第2モータジェネレータMG2の駆動力のみでプラグインハイブリッド車両1が走行するように制御されることで、燃料消費率の改善を図る。一方、CSモードでは、CDモードに比べてエンジン2が駆動する頻度が高くなり、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方を用いて効率よくプラグインハイブリッド車両1が走行するように制御され、要求パワーを満たしながらも、バッテリ24の蓄電量SOCの低下を抑制する。なお、このCSモードでの走行中にバッテリ24の蓄電量SOCが多くなり(第2モータジェネレータMG2の回生動作等によって蓄電量SOCが多くなり)、この蓄電量SOCが所定量(前述したCDモード復帰値)以上となった場合には、CDモードに復帰され、エンジン始動パワーラインが、CSモードでのエンジン始動パワーラインからCDモードでのエンジン始動パワーラインに切り換えられることになる。
−電費学習の基本動作−
本実施形態に係るプラグインハイブリッド車両1は、前記CDモードで走行している場合における単位電力量あたりの走行距離を電費として学習するようになっている。そして、この学習電費に、バッテリ24の蓄電量SOC(CSモードに移行される所定値に達するまで使用可能な蓄電量)を乗算することによって走行可能距離(第2モータジェネレータMG2の駆動力のみで走行が可能な距離)が算出され、この走行可能距離をメータパネル上に表示するようになっている。
この電費学習の基本動作について以下に説明する。この電費学習は、1トリップ(バッテリ24が外部電源OEにより充電されて車両1が走行を開始した後、再び外部電源OEにより充電されるまでの期間)における電費(以下、「トリップ電費」という場合もある)の算出を行い、この算出したトリップ電費を、過去に学習された学習電費に反映させることで行われる。
つまり、前記コネクタ91がインレット28に接続されてバッテリ24の充電が開始され(この際、ハイブリッドECU10がプラグインECU15から前記コネクタ信号CNCTを受信することで充電が開始されたことを認識する)、充電完了後に、前記パワースイッチ51がONされた時点から、1トリップ(今回トリップ)のトリップ電費の算出動作が開始される。具体的には、プラグインハイブリッド車両1の走行が開始され、CDモードで走行している場合であって、エンジン2が停止している期間中(第2モータジェネレータMG2の駆動力のみで走行している期間中)における電力消費量および走行距離を積算していく(実際には、後述するようにエンジン2が停止している期間中であっても、電力消費量および走行距離の積算を実行しない期間が存在する)。この電力消費量は、前記電流センサ24bによって検出された充放電電流等の情報に基づいて前記バッテリECU14が演算し、その演算信号がハイブリッドECU10に送信される。また、走行距離は、前記車速センサ54からの信号に基づいてハイブリッドECU10が算出する。
また、この電力消費量および走行距離の積算は、後述するように、走行モードがCSモードに切り換わった場合には終了され、また、CDモードであってもエンジン2が駆動している期間中には一時的に停止される。
そして、このようにして積算した電力消費量および走行距離を記憶しておき、トリップの終了後、つまり次回の充電時(前記コネクタ91がインレット28に接続された際;ハイブリッドECU10が前記コネクタ信号CNCTを受信した際)に、前記記憶していた走行距離を電力消費量(バッテリ24の充電可能電力総量に対して実際に消費された電力量の比率)で除算することにより、前回の走行(前回トリップ)でのトリップ電費(km/%)を算出する。
そして、このようにして求めたトリップ電費を、過去の電費学習動作によって学習した学習電費(km/%)に反映させることで、学習電費を更新する。そして、次回のCDモードでの走行時には、この学習電費にバッテリ24の蓄電量SOC(CSモードに移行される所定値に達するまで使用可能な蓄電量)を乗算することによって走行可能距離を算出し、この走行可能距離をメータパネル上に表示する。この次回のCDモードでの走行時にあっては、バッテリ24の蓄電量SOCの変化にともない走行可能距離(メータパネル上の表示)も変化していく。例えば、走行用エネルギとして電力が消費されて蓄電量SOCが低下した場合には走行可能距離は短くなる。逆に、第2モータジェネレータMG2の回生動作等によってバッテリ24が充電され、蓄電量SOCが上昇した場合には走行可能距離は長くなる。
また、前回のトリップに対して求められたトリップ電費を、過去の電費学習動作によって学習した学習電費に反映させて最新の学習電費を算出する手法としては種々のものが考えられる。本実施形態では、1/15なまし処理によって最新の学習電費を学習するようにしている。つまり、過去の電費学習動作によって学習した学習電費をREaとし、前回のトリップに対して求められたトリップ電費をREbとし、最新の学習電費をREcとした場合には、以下の式(1)によって最新の学習電費をREcが算出される。
REc=(14×REa/15)+(REb/15) …(1)
なお、この演算式は、バッテリ24の満充電(例えばSOC90%)からCDモードでの走行が可能な下限蓄電量SOC(例えば25%)まで電力が消費された場合の式である。このため、実際の電力消費量が、この場合(前述の場合には65%)よりも少ないときには、その比率に応じて前回トリップに対して求められたトリップ電費の影響度も低く設定されて最終学習電費(最新の学習電費)が求められることになる。なお、前記満充電の値や下限蓄電量SOCの値は、これらに限定されるものではない。
−車両の運動エネルギ量に応じた電費学習動作−
次に、本実施形態の特徴とする動作である車両1の運動エネルギ量に応じた電費学習動作について説明する。この電費学習動作では、前述した電費学習の基本動作にしたがって電費を学習している状況において、前記CDモード中において、車両加速要求等に応じ、エンジン2が停止状態から駆動状態に移った時点から増加した運動エネルギが、このエンジン始動時点における運動エネルギ量に低下するまでの期間中は、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費を算出するための情報)の取得を実行しないようにするものである。つまり、エンジン2の駆動にともなって一旦増加した運動エネルギが、元の運動エネルギ量(エンジン2が停止状態から駆動状態に移った時点(エンジン始動時点)での運動エネルギ量)に低下するまでの期間中にあっては電力消費量および走行距離の情報の取得を実行しないことで、この期間中における電力消費量および走行距離を電費学習に反映させないようにしている。これにより、加速によって高くなった車両1の運動エネルギを、減速時に使用しながら電費が算出されたことに起因する電費の誤差(電費が良好となる側の誤差)が生じないようにしている。
なお、本実施形態では、この車両1の運動エネルギは車速に相関があることを利用し、前記車速センサ54によって検出される車速を運動エネルギとして扱っている。
以下、図7のフローチャートに沿って、電費学習情報取得動作(前記トリップ電費を算出するための情報の取得動作)について説明する。この図7に示すフローチャートは、1トリップ中における電力消費量の積算動作および走行距離の積算動作を示している。つまり、このフローチャートにしたがって電力消費量および走行距離を取得していき、最終的に得られた電力消費量の積算値および走行距離の積算値を前記バックアップRAM43に記憶しておく。そして、次回の外部電源OEによる充電時(プラグイン充電時)には、前述したトリップ電費の算出(走行距離の積算値を電力消費量の積算値で除算することによるトリップ電費の算出)および学習電費の学習(前記なまし処理による最新の学習電費の学習)が行われることになる。また、この図7に示すフローチャートは、プラグインハイブリッド車両1の走行中、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
先ず、ステップST1において、プラグインハイブリッド車両1の現在の走行モードがCDモードであるか否かを判定する。この判定は、前記バッテリ24の蓄電量SOCが前記閾値以上であるか否かによって判定される。
走行モードがCDモードではなく、ステップST1でNO判定された場合、つまり、CSモードである場合には電費学習のための情報(トリップ電費を算出するための情報;電力消費量および走行距離)の取得を行うことなく(エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いた走行が優先的に行われるため、電費学習のための情報の取得を行うことなく)リターンされる。
走行モードがCDモードであり、ステップST1でYES判定されると、ステップST2に移り、現在、エンジン2は停止中であるか否かを判定する。この判定は、例えばエンジン2の始動要求時にONとなる種々のフラグ(例えばパワー要求によるエンジン始動フラグ(要求パワーを満たすためにエンジン2が始動された場合にONされるフラグ)、トルク要求によるエンジン始動フラグ(要求トルクを満たすためにエンジン2が始動された場合にONされるフラグ)、Win超過防止要求によるエンジン始動フラグ(前記Win制限が生じたことでエンジン2をモータリングさせるべく第1モータジェネレータMG1を駆動させた場合にONされるフラグ)が共にOFFであるか否かを判定することにより行われる。なお、エンジン2の始動要求としては、これらに限らず、エンジン2の暖機要求など種々のものがある。
エンジン2が駆動している場合には、ステップST2でNO判定され、トリップ電費算出のための情報(電力消費量および走行距離)の取得を行うことなくリターンされる。これは、従来と同様に、エンジン2の駆動中にはトリップ電費算出のための情報を取得しない動作である。
一方、エンジン2が停止中であり、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST3に移り、エンジン始動条件が成立したか否かを判定する。例えば運転者の加速要求(アクセルペダルの踏み込み)に応じてエンジン始動条件が成立したか否かを判定する。具体的には、前記アクセル開度センサ52によって検出されるアクセル開度等によって設定される要求パワーが、図6におけるCDモードでのエンジン始動パワーラインよりも高くなった場合に、エンジン始動条件が成立したと判定することになる。
エンジン始動条件が成立し、ステップST3でYES判定された場合には、ステップST4に移り、エンジン2を始動させるとともに、予め前記ハイブリッドECU10に備えられた情報取得フラグをOFFにする。また、このエンジン始動条件が成立した時点での車速(現車速)を車速閾値として前記ROM41に記憶する。
この場合、エンジン2の始動は、前述した如く、第1モータジェネレータMG1の動力が動力分割機構3を解してクランクシャフト2aに与えられてエンジン2がクランキングされ、この状態で、筒内への燃料噴射(インジェクタからの燃料噴射)および点火(点火プラグの点火)が行われる。
また、前記情報取得フラグは、トリップ電費算出のための情報(電力消費量および走行距離)の取得を行うか否かの判定に使用されるフラグであって、この情報取得フラグがONである期間中は、このトリップ電費算出のための情報の取得を行う一方、この情報取得フラグがOFFである期間中は、仮にエンジン2が停止していたとしてもトリップ電費算出のための情報の取得は行わないようにする。つまり、このステップST4では、エンジン2の始動にともなって情報取得フラグがOFFとなるため、その後、情報取得フラグがONとなるまでの期間中はトリップ電費算出のための情報の取得は行われないことになる。
その後、ステップST5に移り、エンジン停止条件が成立したか否かを判定する。例えば運転者の加速要求が解除され(アクセルペダルの踏み込み量が小さくなったこと)に応じてエンジン停止条件が成立したか否かを判定する。具体的には、前記アクセル開度センサ52によって検出されるアクセル開度等によって設定される要求パワーが、図6におけるCDモードでのエンジン始動パワーラインよりも低くなった場合に、エンジン停止条件が成立したと判定することになる。
エンジン停止条件が未だ成立していない場合には、ステップST5でNO判定され、リターンされる。つまり、エンジン2の駆動状態が継続しているので、トリップ電費算出のための情報は取得されないことになる(情報取得フラグがOFFに維持される)。
一方、エンジン停止条件が成立し、ステップST5でYES判定された場合には、ステップST6に移り、エンジン2を停止させる。つまり、燃料噴射(インジェクタからの燃料噴射)の停止および点火(点火プラグの点火)の停止によりエンジン2を停止させる。
その後、ステップST7に移り、車速が前記車速閾値まで低下したか否か、つまり、エンジン2が停止した後に、車速が、前記ROM41に記憶しておいた車速閾値(前記エンジン始動条件が成立した時点での車速)まで低下したか否かを判定する。
エンジン2が停止した後の車速が前記車速閾値まで低下しておらず、ステップST7でNO判定された場合には、リターンされる。つまり、エンジン2の駆動にともなって一旦増加した運動エネルギが、元の運動エネルギ量(エンジン2が停止状態から駆動状態に移った時点での運動エネルギ量)にまで未だ低下しておらず、このエンジン2の駆動にともなう運動エネルギの増加分の全量は未だ消費されていないとして、トリップ電費算出のための情報は取得しないようにする。これにより、このエネルギ量が低下するまでの期間中における電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費を算出するための情報)を電費学習に反映させないようにする。
この場合、次回のルーチンでは、エンジン始動条件が成立しない限り、ステップST3でNO判定され、ステップST10に移る。このステップST10では、現在、情報取得フラグがONであるか否かを判定する。今、情報取得フラグがOFFである(ステップST4においてOFF設定されている)ので、ステップST10ではNO判定され、ステップST7に戻る。つまり、エンジン2が停止した後の車速が前記車速閾値に低下するまでの間は、ステップST1、ST2、ST3、ST10、ST7の動作が繰り返され、トリップ電費算出のための情報は取得されない。
そして、エンジン2が停止した後の車速が前記車速閾値まで低下し、ステップST7でYES判定された場合には、ステップST8に移り、情報取得フラグがOFFからONに切り換えられる。つまり、トリップ電費算出のための情報の取得を行わない状態から、トリップ電費算出のための情報の取得を行う状態に切り換えられる。
その後、ステップST9に移り、今回のルーチンにおける電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費算出のための情報)を取得し、今回トリップの電力消費量および走行距離をそれぞれ積算する。
具体的には、前回ルーチンまでの電力消費量の積算値をSOCi(トリップ開始時点では「0」)とし、今回ルーチンで取得された電力消費量をΔSOCとした場合、下記の式(2)によって電力消費量の積算値SOCiが更新されることになる。
SOCi←SOCi+ΔSOC …(2)
また、前回ルーチンまでの走行距離の積算値をdisi(トリップ開始時点では「0」)とし、今回ルーチンで取得された走行距離をΔdisとした場合、下記の式(3)によって走行距離の積算値disiが更新されることになる。
disi←disi+Δdis …(3)
このようにして電力消費量の積算値(SOCi)および走行距離の積算値(disi)を更新した後にリターンされる。
そして、次回のルーチンでは、エンジン始動条件が成立しない限り、ステップST3でNO判定され、このステップST10でYES判定されることになる。つまり、走行モードがCDモードであり、エンジン始動条件が成立していない状態にあっては、ステップST1、ST2、ST3、ST10、ST9の動作が繰り返され、トリップ電費算出のための情報を取得していく。つまり、電力消費量の積算値(SOCi)および走行距離の積算値(disi)を更新していく。このようなトリップ電費算出のための情報を取得が、走行モードがCSモードとなるまで、または、エンジン2が始動するまで(情報取得フラグがOFFとなるまで)繰り返されることになる。
以上の動作が繰り返されることにより、CDモードにおいて情報取得フラグがONとなっている期間においてのみ、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費算出のための情報)を取得し、電力消費量の積算値(SOCi)および走行距離の積算値(disi)が更新される。
そして、1トリップが終了し、次回の外部電源OEによる充電時(プラグイン充電時)には、前述したトリップ電費の算出(走行距離の積算値を電力消費量の積算値で除算することによるトリップ電費の算出)および学習電費の学習(前記なまし処理による最新の学習電費の学習)が行われ、この学習電費にバッテリ24の蓄電量SOC(CSモードに移行される所定値に達するまで使用可能な蓄電量)を乗算することによって走行可能距離を算出し、この走行可能距離がメータパネル上に表示されることになる。
図8は、プラグインハイブリッド車両1の走行中に、運転者の加速要求(アクセルペダルの踏み込み量が大きくなったこと)に応じて車両が加速し、その後、減速要求(アクセルペダルの踏み込み量が小さくなったこと)に応じて車両が減速した場合における車速の変化、エンジンの駆動状態の変化、および、前記トリップ電費の変化を示している。
また、前述した如く、トリップ電費は、トリップ終了後の充電開始時(コネクタ91がインレット28に接続された際;プラグイン充電の開始時)に、前記記憶していた走行距離の積算値を電力消費量の積算値で除算することにより算出されるが、図8では、理解を容易にするために、CDモードでの走行中に、トリップ電費(現時点までのトリップ電費)を算出したと仮定した場合の値をトリップ電費として記載している。
プラグインハイブリッド車両1が加速する際に、モータの動力とエンジンの動力とを併用している場合、その期間(図中のT1)では、エンジンが駆動しているため、電費を算出するための情報(電力消費量および走行距離の情報)は取得しないことになる。つまり、この期間T1での電費は図中に示すように一定(不変)となる。
また、本実施形態では、車速が前記車速閾値(前記エンジン始動条件が成立した時点での車速)に低下するまでの期間は、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費算出のための情報)を取得しないことで、電費に反映させないようにしている。このため、図中の期間T2においても、電費を算出するための情報(電力消費量および走行距離の情報)は取得しないことになり、この期間T2での電費は図中に示すように一定(不変)となる。
そして、車速が車速閾値に一致した時点(図中のタイミングTA)で前記情報取得フラグがONとなり、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費算出のための情報)の取得が開始され、この情報が電費に反映されることになる。つまり、車両の加速によって高くなった車両の運動エネルギを減速時に使用しながら電費が算出されることによる誤差を生じさせることなく電費を算出することが可能になり、誤差を含んだトリップ電費の算出値が電力消費率の学習に反映されてしまうといったことがなくなり、電費学習値を高い精度に維持することができる。
(変形例)
次に、変形例について説明する。前述した実施形態では、エンジン2が停止状態から駆動状態に移った時点から増加した運動エネルギ(車速)が、このエンジン始動時点における運動エネルギ量に低下するまでの期間中は、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費を算出するための情報)の取得を実行しないようにしていた。
本変形例は、それに代えて、エンジン2が停止状態から駆動状態に移った時点から増加した車両の位置エネルギ(車両が走行している道路の標高)が、このエンジン始動時点における位置エネルギ量に低下するまでの期間中は、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費を算出するための情報)の取得を実行しないようにするものである。つまり、エンジン2の駆動にともなって一旦増加した位置エネルギが、元の位置エネルギ量(エンジン2が停止状態から駆動状態に移った時点(エンジン始動時点)での位置エネルギ量)に低下するまでの期間中にあっては電力消費量および走行距離の情報の取得を実行しないことで、この期間中における電力消費量および走行距離を電費学習に反映させないようにしている。これにより、登坂路の走行時に、エンジン2の駆動にともなって高くなった車両1の位置エネルギを、降坂路の走行時に使用しながら電費が算出されたことに起因する電費の誤差(電費が良好となる側の誤差)が生じないようにしている。
この変形例における電費学習情報取得動作(前記トリップ電費を算出するための情報の取得動作)の手順は、前述した実施形態で説明した図7のフローチャートにおけるステップST4で、エンジン始動条件が成立した時点での車速(現車速)を車速閾値として前記ROM41に記憶する動作に代えて、エンジン始動条件が成立した時点での標高(現在走行している道路の標高)を標高閾値として前記ROM41に記憶する動作を実行する。また、ステップST7で、車速が車速閾値まで低下したか否かの判定に代えて、標高が標高閾値まで低下したか否かの動作を実行することになる。その他の動作は前記実施形態の場合と同様である。
このため、本変形例においては、標高が前記標高閾値(前記エンジン始動条件が成立した時点での標高)に低下するまでの期間は、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費算出のための情報)を取得しないことで、電費に反映させないようにしている。そして、走行している道路の標高が標高閾値に一致した時点で前記情報取得フラグがONとなり、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費算出のための情報)の取得が開始され、この情報が電費に反映されることになる。このため、車両の加速によって高くなった車両の位置エネルギを減速時に使用しながら電費が算出されることによる誤差を生じさせることなく電費を算出することが可能になり、誤差を含んだトリップ電費の算出値が電力消費率の学習に反映されてしまうといったことがなくなり、電費学習値を高い精度に維持することができる。
なお、走行している道路の標高を検知するための手法としては、カーナビゲーションシステムの地図情報から道路の標高を認識するようにしたり、G(重力)センサおよび車速センサを用いて路面の傾斜角度および走行距離から標高を認識するようにしたり、外気圧センサにより検出される外気圧力の変化から標高の変化を認識するようにしたりすることが挙げられる。
(他の実施形態)
以上説明した実施形態および変形例は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式のプラグインハイブリッド車両1の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式のプラグインハイブリッド車両や、4輪駆動方式のプラグインハイブリッド車両の制御にも適用できる。
また、前記実施形態および変形例では、第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2の2つの発電電動機が搭載されたプラグインハイブリッド車両1の制御に本発明を適用した例を示したが、1つの発電電動機が搭載されたプラグインハイブリッド車両や3つ以上の発電電動機が搭載されたプラグインハイブリッド車両の制御にも本発明は適用可能である。
また、前記実施形態および変形例では、走行モードとして、第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行(エンジン停止)が優先的に行われるCDモードと、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いた走行が優先的に行われるCSモードが切り換えられるようにしていた。つまり、いずれのモードにおいても、第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行を行う走行状態と、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いて走行を行う走行状態とが存在するものであった。本発明は、これに限らず、これらモードを有しておらず、単に要求駆動力等に応じて、第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行を行う走行状態と、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いて走行を行う走行状態とが切り換えられるようにしたプラグインハイブリッド車両に対しても適用可能である。この場合、第2モータジェネレータMG2の動力のみを用いた走行を行う走行状態から、エンジン2および第2モータジェネレータMG2の両方の動力を用いて走行を行う走行状態に切り換わった時点の車速(または標高)が前記車速閾値(または標高閾値)に相当することになり、車速(または標高)が、この車速閾値(または標高閾値)に低下するまでの期間では電力消費量および走行距離の情報の取得およびこれらの積算は行わないことになる。
さらに、前記実施形態および変形例では、トリップ中に、電力消費量および走行距離をそれぞれ積算していき、次回の充電開始時にトリップ電費を算出して電費学習を行うようにしていた。本発明はこれに限らず、トリップ中に、電力消費量および走行距離をそれぞれ積算していきながら、逐次、トリップ電費を算出するようにした場合に対しても適用可能である。
また、前記実施形態および変形例は併用することも可能である。つまり、エンジン2が停止状態から駆動状態に移った時点から増加した車両の運動エネルギおよび位置エネルギが共に、このエンジン始動時点における運動エネルギおよび位置エネルギ量に低下するまでの期間中は、電力消費量および走行距離の情報(トリップ電費を算出するための情報)の取得を実行しないようにするものである。
本発明は、プラグインハイブリッド車両における電費を算出し、バッテリの残容量により走行可能距離を算出する制御に適用可能である。
1 プラグインハイブリッド車両
2 エンジン(内燃機関)
10 ハイブリッドECU
11 エンジンECU
13 モータECU
14 バッテリECU
15 プラグインECU
24 バッテリ(蓄電装置)
54 車速センサ
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ(電動機)

Claims (1)

  1. 走行用の動力を出力可能な内燃機関および走行用の動力を出力可能な電動機を備え、これら内燃機関および電動機のうち少なくとも一つを走行駆動力源として走行可能であるとともに、蓄電装置に蓄電された電力を使用し前記電動機のみを走行駆動力源として走行した場合における電力消費率を算出することで電力消費率の学習が可能なプラグインハイブリッド車両において、
    前記走行駆動力源として内燃機関を利用したことにより増加した車両運動エネルギおよび車両位置エネルギのうち少なくとも一方を電力消費率の学習に反映させないように、前記電力消費率の算出、または、その電力消費率を算出するための情報の取得を制限する構成となっていることを特徴とするプラグインハイブリッド車両。
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