JP5824180B1 - 低プリン体及び低糖質清酒 - Google Patents
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Abstract
Description
また、清酒についても、プリン体を低減する方法が報告されている。例えば、特許文献4は、清酒の製造において、発酵前の醸造液又は発酵液を活性炭と接触させることにより、得られる清酒のプリン体を低減できることを教えている。
また、特許文献5は、清酒の製造において、上槽後の何れかの段階で得られる液体画分を活性炭と接触させ、その活性炭として、比表面積が950〜1600m2/g、算術平均径が15〜80μmであるものを用いることにより、得られる清酒のプリン体を低減できることを教えている。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の低プリン体及び低糖質清酒、並びにその製造方法を提供する。
項1. プリン体濃度が0.5mg/dL以下であり、かつ糖質濃度が1.5g/dL以下である、低プリン体及び低糖質清酒。
項2. エキス分濃度が0.01〜1.75w/v%である項1に記載の清酒。
項3. アルコール度数1度当たりのプリン体濃度が0.037mg/dL以下であり、かつアルコール度数1度当たりの糖質濃度が0.11g/dL以下である、項1又は2に記載の清酒。
項4. アルコール度数1度当たりのエキス分濃度が0.00074〜0.13w/v%である、項1〜3の何れかに記載の清酒。
項5. アルコール度数7〜16、酸度0.2〜3、かつアミノ酸度0.2〜3である項1〜4の何れかに記載の清酒。
項6. 糖質濃度1.5g/dL以下の低糖質清酒と活性炭とを接触させる工程を含む、低プリン体及び低糖質清酒の製造方法。
項7. 低糖質清酒1Lに対する活性炭の使用量の合計が0.1〜20gである、項6に記載の方法。
項8. 低糖質清酒と活性炭とを複数回接触させる、項6又は7に記載の方法。
項9. 項1〜5の何れかに記載の低プリン体及び低糖質清酒を製造する、項6〜8の何れかに記載の方法。
特に、糖質濃度が0.5g/dL未満の場合には、「糖質ゼロ」と表示できることが健康増進法の栄養表示基準に定められている(平成15年厚生労働省告示第176号、3条1項六号、別表第2)。「糖質ゼロ」との表示も、消費者の健康志向に応えるものであるため、清酒産業上極めて有用なものである。
本発明の清酒は、プリン体濃度及び糖質濃度の双方が極めて低い点で、実用的価値及び商品価値が極めて高い。
(1)低プリン体及び低糖質清酒の製造方法
本発明の低プリン体及び低糖質清酒の製造方法は、糖質濃度が1.5g/dL以下の低糖質清酒と活性炭とを接触させる工程を含む方法である。
本発明における糖質は、健康増進法の栄養表示基準に基づく糖質をいう。具体的には、食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分、及び水分の各重量を控除した値である。
タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、及び水分の各測定方法は、健康増進法の栄養表示基準に従う。水分は加熱乾燥法、脂質はソックスレー抽出法、タンパク質はケルダール法、灰分は直接灰化法、食物繊維は酵素-重量法を採用して測定する。アルコール分は国税庁所定分析法(昭和36国税庁訓令第1号)に定められた方法である振動式密度計を用いる方法で測定する。食品重量から、これらの成分の重量の合計を差し引くことにより、糖質濃度を算出することができる(日本食品分析センター:「栄養成分」の「必須表示項目に関連する試験」の項目)。
また、国税庁が定める「清酒の製法品質表示基準」を満たす清酒が好ましく、吟醸酒、大吟醸酒、純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒、本醸造酒、及び特別本醸造酒であることがより好ましい。
糖質濃度が1.5g/dL以下の清酒を得る方法は、種々知られている。例えば、液化仕込みによる清酒の製造方法において、仕込み時にプルラナーゼとトランスグルコシダーゼを添加する方法が特開2009-100777号公報に詳細に説明されている。また、液化仕込みによる清酒の製造方法において、仕込み時に、原料白米1g当たり、50〜100Uのトランスグルコシダーゼを添加する方法が特開2010-104270号公報に詳細に説明されている。また、精米歩合80%以上の掛米を使用するか、仕込み時の汲水の添加量を掛米と麹米の合計量の1.7倍以上にするか、仕込み時に5’-ホスホジエステラーゼ、ホスファターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、リパーゼ、及び酸性エンドプロテアーゼの1種以上を添加するか、又はこれら方策の2以上を組み合わせて行う方法が特開2014-27913号公報に詳細に説明されている。
特開2009-100777号公報、特開2010-104270号公報、特開2014-27913号公報に記載された各方法によれば、糖質濃度0.5g/dL以下の清酒を得ることができる。
また、特開2006-61153号公報には、もろみ期間中に、αグルコシダーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、イソプルラナーゼ、トランスグルコシダーゼのような分岐オリゴ糖を切断する酵素を添加することにより、糖質濃度1.5g/dL以下の清酒を得る方法が記載されている。
また、糖質濃度が0.5g/dL未満であり、糖質ゼロと表示されている市販の低糖質清酒は、月桂冠社、白鶴社、及びいそのさわ社から市販されている。また、清酒風アルコール飲料として糖質ゼロと表示された商品も市販されているが、酒税法区分が清酒とは異なる。
吸着剤として用いる活性炭は、食品の製造において吸着剤として用いられるものであればよく、特に限定されない。好ましい活性炭は、清涼飲料用などの水処理に用いられる活性炭、あるいは食品添加物として認められる活性炭であり、より好ましくは醸造用の活性炭である。
活性炭としては、例えば、比表面積が950〜1600m2/g、算術平均径が15〜80μm、細孔容積が0.1〜2mL/g、及び/又は平均細孔直径が0.8〜4nmのものを用いることができる。
本発明において、活性炭の比表面積は、窒素ガス吸着等温線からBET式(慶伊富長:吸着、第95〜113頁(1967)、共立出版)により算出される。
活性炭の算術平均径は、前記活性炭の粒度分布を表すパラメータであり、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて、各粒子径の値に相対粒子量(差分%)を掛けて、相対粒子量の合計(100%)で割ることにより算出される。
活性炭の細孔容積は、窒素ガス吸着法(慶伊富長:吸着、第95〜113頁(1967)、共立出版)により測定される。
活性炭の平均細孔直径は、比表面積と細孔容積から、下記式により算出される。
平均細孔直径(nm)
=4×103×細孔容積(mL/g)/比表面積(m2/g)
活性炭は、市販品を購入してもよいし、自家調製してよい。市販品としては、品川炭素株式会社、セラケム株式会社、武蔵野商事株式会社、フタムラ化学株式会社、武田薬品工業株式会社、北村化学研究所、キリン協和フーズ株式会社、味の素ファインテクノ株式会社等の製品が挙げられる。また、活性炭を自家調製する方法は、例えば、特開2007−267695号公報に記載されている。
清酒は、一般に、酒母に、米麹、蒸米、及び仕込み水を添加して醪を仕込み、これを糖化、発酵させた後、上槽(もろみの液体画分と酒粕を分離して液体画分を採取する工程)、熱処理、オリの除去、濾過の各工程を経て製造される。上槽により得られた液体画分、又はその後の各工程で得られた液体画分が「清酒」であり、本発明では、これらの清酒と活性炭とを接触させる。上槽以降の各工程と同時に清酒と活性炭とを接触させてもよい。中でも、熱処理およびオリの除去工程後あるいは同時に清酒と活性炭とを接触させることが好ましい。
なお、上槽前の工程で活性炭と接触させてもよい。
以下、発明を明確にするために、活性炭と接触させる前の清酒を未処理清酒と称する。
接触を複数回行う場合は、合計の活性炭使用量が上記範囲になるようにすればよい。所定量の活性炭を複数回に分割して使用することにより、プリン体除去効率が一層向上する。
未処理清酒を活性炭と接触させた後は、清酒の製造において通常行う操作を行うことができる。例えば、上槽により得られた未処理清酒を活性炭と接触させた場合は、その後、熱処理、オリの除去、濾過などの各工程を行うことができる。
上記説明した本発明の製造方法により、プリン体濃度が0.5mg/dL以下であり、糖質濃度が1.5g/dL以下である本発明の低プリン体及び低糖質清酒を得ることができる。
本発明において、プリン体は、プリン骨格を有する物質の総称であり、例えば、プリン塩基、プリンヌクレオチド、プリンヌクレオシド、高分子核酸等が含まれる。プリン塩基とは、プリン(9H−イミダゾ〔4,5−d〕ピリミジン)の誘導体の総称であり、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、アデニン等が挙げられる。前記プリンヌクレオシドは、プリン塩基に糖が結合したものであり、アデノシン、グアノシン、キサントシン、イノシン等が挙げられる。前記プリンヌクレオチドは、プリンヌクレオシドにリン酸基が結合したものであり、アデニル酸、グアニル酸、キサンチル酸、イノシン酸等が挙げられる。 従って、本発明では、被験清酒に含まれるプリン体を加水分解して、例えばプリンヌクレオシド、プリンヌクレオチドなどに含まれて存在するプリン塩基を遊離のプリン塩基とした上で、プリン塩基の濃度を測定する。
清酒に含まれるプリン塩基の主なものは、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、及びキサンチンであり、その他のプリン塩基は寄与度が極めて小さい。従って、通常は、これらの合計濃度を清酒中のプリン塩基濃度と見なすことができる。
即ち、本発明のプリン塩基濃度は、被験清酒に含まれるプリン体を、過塩素酸などにより加水分解した後に、LC−MS/MSを用いて、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、及びキサンチンの合計濃度を定量する方法(日本食品分析センター:「酒類のプリン体の微量分析のご案内」)により測定することができる。
この測定方法での、アデニン、グアニン、キサンチン、及びヒポキサンチンの定量限界値は、それぞれ、0.02mg/100mLである。
プリン体が検出されないものが最も好ましいが、プリン体濃度は、例えば、清酒全体に対して、0.001mg/dL以上、0.005mg/dL以上、0.01mg/dL以上、0.05mg/dL以上、又は0.1mg/dL以上とすることができる。「食品衛生学雑誌、55巻、2号、110-116頁(2014年)」には、清酒中のプリン体の検出限界が0.005mg/dLであったことが記載されている。
また、プリン体濃度は、上記説明した清酒全体に対する濃度に加えて、又はこれとは別個に、アルコール度数1度当たり、0.000074mg/dL以上、0.00037mg/dL以上、0.00074mg/dL以上、0.0037mg/dL以上、又は0.0074mg/dL以上とすることができる。
本発明における糖質は上記説明した通りである。
糖質濃度の測定に当たっては、健康増進法の栄養表示基準が定める方法で、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分、及び水分の各重量を測定し、食品の全重量からこれらの合計重量を控除することにより糖質重量を求め、糖質濃度を算出する。タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分、及び水分の測定方法は上記説明した通りである。
糖質は検出されないことが最も好ましいが、糖質濃度は、清酒全体に対して、0.005g/dL以上、0.01g/dL以上、0.05g/dL以上、又は0.1g/dL以上とすることができる。糖質濃度が上記範囲であれば、プリン体濃度が低くても香味が悪くならない。
また、糖質濃度は、上記説明した清酒全体に対する濃度に加えて、又はこれとは別個に、アルコール度数1度当たり、0.00037g/dL以上、0.00074g/dL以上、0.0037g/dL以上、又は0.0074g/dL以上とすることができる。糖質濃度が上記範囲であれば、プリン体濃度が低くても香味が悪くならない。
「アルコール度数1度」は、「アルコール分1度」、「アルコール分1%」、「アルコール分1v/v%」等とも表記される。
本発明の清酒は、アルコール度数、即ち、アルコール分濃度(v/v%)が22v/v%以下であるが、18v/v%以下が好ましく、16v/v%以下がより好ましく、14v/v%以下がさらにより好ましい。
また、アルコール分濃度が1v/v%以上であるが、4v/v%以上が好ましく、7v/v%以上がより好ましく、10v/v%以上がさらにより好ましい。
アルコール分濃度(アルコール度数)は、アルコール飲料の全量に対するアルコール(エタノール)の体積濃度を百分率で表示した割合である。本発明において体積濃度の測定温度は、酒税法が定める通り、15℃とする。
本発明の清酒は、日本酒度が+6以上であることが好ましく、+10以上であることがより好ましく、+15以上であることがさらにより好ましく、+15.5以上であることがさらにより好ましく、+20以上であることがさらにより好ましい。また、日本酒度が+30以下であることが好ましく、+26以下であることがより好ましく、+25以下であることがさらにより好ましい。
日本酒度は、水に対する酒の比重を日本酒度計で計った値である。具体的には、15℃の清酒に日本酒度計と呼ばれる浮秤を浮かべて測定し、4℃の水と同じ重さの清酒の日本酒度を0とし、それより軽いものを+、重いものの−とする。+の度合が高い清酒は糖分が少なく辛口であり、+の度合が低い清酒は糖分が多く甘口である。
本発明の清酒は、酸度が0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらにより好ましく、0.6以上であることがさらにより好ましい。また、酸度が3以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることがさらにより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。
酸度は、清酒に含まれる、有機酸(乳酸、リンゴ酸、コハク酸など)の総量を示した値である。具体的には、酸度は、10mLの清酒を中和するのに要する、水酸化ナトリウム溶液のmLを指す。酸度が高い清酒は、酸味や旨味が強い。日本酒度が同じ場合、酸度が高い方が辛く、味は濃く感じられる。
本発明の清酒は、アミノ酸度が0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらにより好ましく、0.6以上であることがさらにより好ましい。また、アミノ酸度が3以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることがさらに好ましく、1以下であることがさらに好ましい。
アミノ酸度は、清酒10mLを0.1Nの水酸化ナトリウムで中和した後、中性ホルマリン液を5mL加え、再度0.1Nの水酸化ナトリウムで中和するのに要する0.1Nの水酸化ナトリウムの滴定mL数を指す。日本酒にはアルギニン、チロシン、セリン、ロイシン、グルタミン酸など約20種類のアミノ酸が含まれており、アミノ酸度として測定される成分は、主にごく味や旨味に寄与する。
本発明の清酒は、エキス分濃度が、0.01〜1.75w/v%であることが好ましく、0.1〜1.50w/v%であることがより好ましく、0.25〜1.00w/v%であることがさらにより好ましい。この範囲であれば、旨味、香味に優れた清酒となる。
また、本発明の清酒は、アルコール度数1度当たりのエキス分が、0.00074〜0.13w/v%であることが好ましく、0.0074〜0.11w/v%であることがより好ましく、0.019〜0.074w/v%であることがさらにより好ましい。この範囲であれば、旨味、香味に優れた清酒となる。
本発明において、エキス分は、清酒に含まれる不揮発性成分を指す。具体的には、清酒から揮発成分であるアルコールおよび水等を除いたものであり、タンパク質、アミノ酸、脂質、有機酸、糖類、多糖類、食物繊維、灰分等を含む画分である。本発明において、エキス分濃度とは、清酒100mL中に含まれる不揮発性成分のグラム数をさす。また、国税庁が定めるところによる、清酒のアルコール分濃度と日本酒度から下記の式で算出することもできる。
エキス分濃度=(S−A)×260+0.21
(式中、Sは比重(15/4℃)を表し、以下の式で算出される。
S=1443/(1443+日本酒度)
式中、Aは、アルコール分濃度を比重(15/15℃)に換算して求める。)
市販の清酒および醸造酒の酒質の分析を行った。各種パラメータは、独立行政法人酒類総合研究所が定める「酒類総合研究所標準分析法」(平成22年11月4日、http://www.nrib.go.jp/data/nribanalysis.htm)の「3.清酒」の規定に基づいて分析した。具体的には、アルコール度数は、「3−4 アルコール分 A)−2 振動式密度計法」、日本酒度は、「3−3 比重(日本酒度) B)振動式密度計法」、アミノ酸度は、「3−6 アミノ酸」、酸度は、「3−5 総酸」、エキス分は、「3−7 エキス分」に基づいて行った。
エキス分からタンパク質を控除した値(エキス分−タンパク質)を「簡易算定糖質」とした。糖質は、エキス分から、タンパク質、脂質、食物繊維および灰分を控除した値である。清酒において、脂質、食物繊維、および灰分は、糖質とタンパク質と比較して無視できる量しか含まれず、「エキス分−タンパク質」は、間接的に糖質を示すパラメータとして使用できる。さらに、エキス分、タンパク質および簡易算定糖質について、アルコール度数1度当たりの値を求めた。
各実施例における清酒中のプリン体含有量は、過塩素酸により加水分解した後に、LC−MS/MS(液体クロマトグラフ−質量分析法)を用いて、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、及びキサンチンの合計濃度を定量する方法(日本食品分析センター:「酒類のプリン体の微量分析のご案内」)に基づいて測定した(日本食品分析センターへの委託分析をも含む)。
未処理清酒として、糖質濃度5.66g/dL、プリン体濃度2.9mg/dL、アルコール度数19.5度、日本酒度+1.3、酸度1.76、アミノ酸度1.30である清酒を準備した。
また、活性炭は、市販の醸造用活性炭Aを用いた。この活性炭の比表面積は、1100〜1200m2/gである。
この程度の活性炭を用いた処理により、苦味、渋み、酸味などの雑味の原因となる種々の成分が吸着されて、香味が向上することが知られている(「日本酒用資材Q&A」、p106、著者:醸造用資材規格協議会編、発行者:(財)日本醸造協会(1998年);「清酒製造技術」p.338、著者・発行者:(財)日本醸造協会(1998年))。
なお、一般に、清酒を多量の活性炭で処理すると、炭臭が強くなることは良く知られている(非特許文献1)。
(ア)月桂冠社製「山田錦純米」、(イ)月桂冠社製「糖質ゼロ」、及び(ウ)醸造アルコール水を、下記のように混合して、各種糖質濃度の清酒を得て、これを活性炭処理に供した。
サンプル1:(ア)100%
サンプル2:(ア):(イ)=2:1(容量比)
サンプル3:(ア):(イ)=1:2(容量比)
サンプル4:(イ)100%
サンプル5:(イ):(ウ)=1:1(容量比)
サンプル6:(ウ)100%
また、活性炭は、「(1)一般の清酒の活性炭処理」に用いたものと同じ市販の醸造用活性炭Aを用いた。
また、活性炭処理前後の清酒を熟練したパネル3名が官能評価した。官能評価は、最大5点、最低1点として点数化することにより行った。点数が大きい程香味が良いことを示す。
結果を以下の表2に示す。プリン体濃度及び糖質濃度の項目の括弧内の数値は、アルコール度数1度に換算した値である。また、官能評価点数の変化は、平均値±標準偏差である。
未処理清酒として、アルコール度数20.9、日本酒度33.2、酸度0.97、アミノ酸度1.19、糖質濃度0.63g/dL、プリン体濃度2.2mg/dLの低糖質清酒を用いた。
また、活性炭は、市販の醸造用活性炭Aを用いた。
また、通常の活性炭処理として、活性炭使用量を、未処理清酒1L当たり活性炭を0.56gとした他は、上記と同様にして活性炭処理清酒(通常処理清酒)Cを得た。
得られたCおよびDの清酒について、官能評価を行うため、アルコール度数13.2度に調製した。
その結果、正答数は4であり、5%の有意水準により、CとDの区別は不可であった。この結果は、多量の活性炭を用いた処理によりプリン体を低減させても、清酒の香味がほとんど変化しなかったことを示している。
再現性を確認するため試験を行った。未処理清酒として、アルコール度数20.9、日本酒度33.4、酸度1.03、アミノ酸度1.09、糖質濃度0.63g/dL、プリン体濃度2.1mg/dLの低糖質清酒を用いた。
市販の糖質ゼロと表示されている低糖質清酒について、測定を行った。月桂冠社製、白鶴社製、及びいそのさわ社製の製品は、全て、糖質濃度が0.5g/dL未満であり、かつプリン体濃度0.5mg/dLを超えていた。また、これらの製品は全て、アルコール度数1度当たりの糖質濃度が0.037g/dL未満であり、かつプリン体濃度0.037mg/dLを超えていた。
清酒におけるアルコール度数に対し、糖質濃度およびプリン体濃度は比例関係にあることが知られている。
例えば、アルコール度数14度相当の清酒を7度程度まで加水希釈した場合、糖質濃度およびプリン体濃度は、それぞれ半分になる。
Claims (9)
- 日本の酒税法で定める清酒であって、プリン体濃度が0.5mg/dL以下であり、かつ糖質濃度が1.5g/dL以下である、低プリン体及び低糖質清酒。
- エキス分濃度が0.01〜1.75w/v%である請求項1に記載の清酒。
- アルコール度数1度当たりのプリン体濃度が0.037mg/dL以下であり、かつアルコール度数1度当たりの糖質濃度が0.11g/dL以下である、請求項1又は2に記載の清酒。
- アルコール度数1度当たりのエキス分濃度が0.00074〜0.13w/v%である、請求項1〜3の何れかに記載の清酒。
- アルコール度数7〜16、酸度0.2〜3、かつアミノ酸度0.2〜3である請求項1〜4の何れかに記載の清酒。
- 糖質濃度1.5g/dL以下の低糖質清酒と活性炭とを接触させる工程を含む、プリン体濃度が0.5mg/dL以下である低プリン体及び低糖質清酒の製造方法。
- 低糖質清酒1Lに対する活性炭の使用量の合計が0.1〜20gである、請求項6に記載の方法。
- 低糖質清酒と活性炭とを複数回接触させる、請求項6又は7に記載の方法。
- 請求項1〜5の何れかに記載の低プリン体及び低糖質清酒を製造する、請求項6〜8の何れかに記載の方法。
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