JP5822103B2 - 液晶表示装置用視野角向上フィルム、視野角向上機能付保護フィルム及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置用視野角向上フィルム、視野角向上機能付保護フィルム及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示装置の液晶層より観察者側に設置される視野角向上フィルム、視野角向上機能付保護フィルム、及び液晶表示装置に関し、特に視野角の向上と正面観察による画像の黒ずみの低減という二律背反事象を高度なレベルで満足させたものに関する。
液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を活かしてフラットパネルディスプレイとして多用され、その用途は携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、テレビなどの情報用表示デバイスとして年々拡大している。
しかしながら、液晶表示装置は、CRTに比べて視野角が狭いという問題がある。かかる問題に対して、特許文献1では、入射光を散乱透過させる機能を有する光拡散性フィルムを液晶表示画面上に設けることが提案されている。このフィルムは、屈折率の異なる透明樹脂を海島構造とした組成物を溶融押出してシート状にし、さらに延伸することによって得られるが、特許文献1の図3及び4に示すフィルムの散乱透過光の強度分布から、いずれの場合も視野角の向上と黒ずみの低減を両立していないことが示唆されている。
また、特許文献2では、波長により異なる散乱角度分布を有し、かつフィルム面に対し方位角が90度異なる2方向で散乱光分布が異なる分光異方性散乱フィルムが提案されている。このフィルムは、特許文献1と同様に視野角向上に優れた効果を発揮するが、特許文献2の図3(b)に示すフィルムの散乱光分布から、黒ずみの低減がやはり不十分であることが示唆されている。
さらに、特許文献3では、単一の熱可塑性樹脂からなり、内部に微細な多数の空孔を含有する部分を有する透過光散乱制御フィルムが提案されている。このフィルムは、溶融製膜したポリカーボネートを延伸処理し、溝状の亀裂による光の散乱を利用したものであるが、特許文献3の図13のフィルムの光散乱強度角度依存性から、拡散度が不足しており、黒ずみの低減は良好であるが、視野角向上効果が十分でないことが示唆されている。
さらに、特許文献4では、ポリメタクリル酸メチルPMMAとスチレン−アクリロニトリル共重合体SANを混合溶解し、流延、乾燥させて得られた光散乱シートが提案されている。このフィルムは、屈折率が互いに異なる複数の樹脂で構成された相分離構造を有し、かつスピノーダル分解により形成された共連続相構造を有するが、特許文献4の図4のフィルムの光散乱強度角度依存性から、拡散度が大きく、黒ずみの低減効果は不足していることが示唆されており、特許文献4にも記載されているように視野角の変化による明るさを均一にする効果にとどまる。
また、レンズフィルムを用いた技術が多く開示されている。例えば、特許文献5において開示されている技術については、その図8及び9のフィルムの透過光の拡散度分布から、特許文献1と同じことが示唆されている。すなわち、図8の方向は、拡散度が高いので視野角向上効果は優れているが、黒ずみの低減が劣り、一方、図9の方向は、拡散度が低いので黒ずみの低減は良好であるが、視野角向上効果が劣る。
上記のように、従来の液晶表示装置の光拡散フィルムは、視野角向上と黒ずみの低減のいずれか一方の特性を満足したものはあるが、両特性をともに高度なレベルで達成したものは未だ存在しないのが現状である。
また、液晶表示装置の表示画面は汚れ易かったり傷が付き易いという問題を有する。そのために、液晶表示装置の表示画面の破壊、汚れおよび傷つき防止等をする液晶表示装置用の保護フィルムが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
また、液晶表示装置の表面に設置し、表示画面の可視範囲をコントロールし、画面の略正面からは画像が見えても、斜め横からは画像が見えないようにする、いわゆる覗き見防止機能を有した保護フィルムが開示されている(例えば、特許文献6参照)。
上記のごとく液晶表示装置は、CRTに比べて視野角が狭いという問題がある。例えば、カーナビの場合は運転者の斜め方向に設置されていることが多く、視野角の改善が求められている。また、例えば、携帯電話の表示情報の高機能化等により、多人数で表示画面を見るような使い方が増えてきており、上記の覗き見防止機能とは逆に視野角向上に対する要求が強まっている。このような背景により、視野角向上機能が付いた液晶表示装置用の保護フィルムが強く望まれている。
特開平7−114013号公報 特開2004−341309号公報 特開平10−206836号公報 特開2002−221608号公報 特開2000−56694号公報 特開2010−145976号公報
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、視野角の向上と正面観察による画像の黒ずみの低減を高度なレベルで両立させた、液晶表示装置の液晶層より観察者側に設置される視野角向上フィルム、及び液晶表示装置の表示画面表面に着脱自在に設置でき、液晶表示装置の欠点である視野角の狭さを改善し、かつ、液晶表示装置の表示画面の保護をする機能を有した視野角向上機能付保護フィルムを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の成型方法を使用して、平行光線透過率及び拡散度(A)などを特定の範囲に制御することにより、二律背反事象である視野角向上と黒ずみの低減を高度なレベルで達成できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(i)〜(xiii)の発明である。
(i)少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂からなる混合物を溶融押し出し成型して得られる、液晶表示装置の液晶層より観察者側に設置される視野角向上フィルムであって、下記(1))の条件を同時に満足することを特徴とする視野角向上フィルム:
(1)平行光線透過率が5〜90%である;
(2)主拡散方向の拡散度(A)が1〜15度である
(3)主拡散方向の拡散度(B)が140〜175度である。
(ii)主拡散方向の拡散度比が0.25〜15%であることを特徴とする(i)に記載の視野角向上フィルム。
(iii)主拡散方向の拡散度(A)が1〜10度であることを特徴とする(i)又は(ii)に記載の視野角向上フィルム。
(iv)主拡散方向の拡散度(B)と主拡散方向と直交する方向の拡散度(B’)との比(拡散度(B)/拡散度(B’))が1.2〜6.0であることを特徴とする(i)〜(iii)のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
(v)少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂とエチレン及び/又はブテンが含まれたポリオレフィン樹脂よりなることを特徴とする(i)〜(iv)のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
(vi)少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂が、環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂であることを特徴とする(i)〜(iv)のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
(vii)無延伸であるか、または10倍以下の延伸倍率で延伸されていることを特徴とする(i)〜(vi)のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
(viii)視野角向上フィルムの観察者側の表面にハードコート層、反射低減層および防眩層より選ばれた機能性層が少なくとも一層積層されてなることを特徴とする(i)〜(vii)のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
(ix)(i)〜(viii)のいずれかに記載の視野角向上フィルムと自己粘着層とが積層されてなることを特徴とする視野角向上機能付保護フィルム。
(x)(i)〜(vii)のいずれかに記載の視野角向上フィルムを、片面が自己粘着層からなり、もう一方の面が感圧粘着層からなる両面粘着フィルムの感圧粘着層を介して積層してなることを特徴とする視野角向上機能付保護フィルム。
(xi)自己粘着層が柔軟ポリマーからなることを特徴とする(ix)または(x)に記載の視野角向上機能付保護フィルム。
(xii)液晶層より観察者側に(i)〜(ix)のいずれかに記載の視野角向上フィルムを設置して構成されることを特徴とする液晶表示装置。
(xii)液晶表示装置の表示画面表面に(ix)〜(xi)のいずれかに記載の視野角向上機能付保護フィルムを、自己粘着層を介して着脱自在に貼着してなることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の視野角向上フィルムは、直進透過性と拡散透過性の両方の特性を兼備した配光分布パターンを有しているので、視野角の向上と正面観察による画像の黒ずみの低減という二律背反事象を高度なレベルで満足させた液晶表示装置を提供することができる。
また、本発明の視野角向上機能付保護フィルムは自己粘着層が積層されているので、この自己粘着層を介して液晶表示装置の表示画面表面に視野角向上機能付保護フィルムを簡便に、かつ自己粘着層と表示画面の界面に空気を噛み込むことなく容易に固定できる。その上に視野角向上機能が付与されているので、固定された液晶表示装置の視野角を向上することができる。また、例えば、視野角向上機能付保護フィルムの表面が汚れたり、あるいは傷が付いたりした場合に容易に取り外しができる。さらに、この取り外しの場合に、上記固定が自己粘着層で行われているので、例えば、感圧粘着層で固定した場合に起こる粘着層の表示画面への移行による表示画面の汚染をせずに行なうことができる。さらに、該自己粘着層は、柔軟ポリマーからなるので、表示画面に外力が掛っても自己粘着層の変形による緩和作用により表示画面の破壊を抑制することができる。
本発明の視野角向上フィルムの好ましい配光分布パターンの一例を示す図である。
(視野角向上フィルムの特性)
本発明の視野角向上フィルムは、下記の(1)〜(2)の条件を同時に満足することを特徴とする:
(1)平行光線透過率の平均値が5〜90%である;
(2)主拡散方向の拡散度(A)が1〜20度である。
上記の平行光線透過率は、8〜90%が好ましく、10〜90%がより好ましく、20〜70%がさらに好ましく、40〜70%が特に好ましい。平行光線透過率は、光直進透過性の指標であり、本発明では、後述の実施例に記載の方法で測定して得られる。具体的には、平行光線透過率は、フィルムの巻き方向を垂直方向及び水平方向にそれぞれヘーズ測定器の試料台に固定して測定して得られる測定値の平均値で表示する。フィルムの巻き方向を垂直方向及び水平方向で測定したのは、該方向で光学特性が大きく変化することがあるためである。平行光線透過率が上記下限未満では、黒ずみ低減が低下することとなり、一方、上記上限を越えると、視野角向上効果が低下することとなり、好ましくない。
上記の主拡散方向の拡散度(A)は、1〜15度が好ましく、1〜10度がより好ましく、1〜6度が特に好ましい。拡散度(A)は、一般に広く採用されている拡散度の指標であり、本発明では、後述の実施例に記載の方法で測定して得られる。拡散度(A)を上記下限未満にすることは技術的に困難である。一方、拡散度(A)が上記上限を越えると、黒ずみ低減が悪化するので、好ましくない。
また、本発明の視野角向上フィルムは、視野角向上の点で、主拡散方向の拡散度比が0.25〜15%であることが好ましく、0.30〜12%がより好ましく、0.40〜10%がさらに好ましく、1.0〜10%が特に好ましい。拡散度比は、視野角向上と黒ずみ低減の二律背反事象のバランスをとるための指標であり、本発明では、後述の実施例に記載の方法で測定して得られる。拡散度比が上記下限未満では、視野角向上が低下することとなり、一方、上記上限を越えると、黒ずみ低減が低下することとなり、好ましくない。
また、本発明の視野角向上フィルムは、上記の主拡散方向の拡散度(B)が140〜175度であることが好ましく、150〜175度がより好ましく、155〜175度がさらに好ましい。拡散度(B)は、一般には使用されていない拡散度の表示指標であり、本発明者等が、視野角向上効果の指標になることを見出して新たに創出した指標である。拡散度(B)は、本発明では、後述の実施例に記載の方法で測定して得られる。拡散度(B)が上記下限未満では、視野角向上効果が不足となり、一方、上記上限を越えると、黒ずみ低減が低下することなり、好ましくない。
また、本発明の視野角向上フィルムは、主拡散方向の拡散度(B)と主拡散方向と直交する方向の拡散度(B’)との比(拡散度(B)/拡散度(B’))(異方性ともいう)が1.2〜6.0であることが好ましく、1.3〜6.0がより好ましい。上記下限未満では、異方性付与の効果が低下するので好ましくない。一方、上記上限を越えることは、技術的に困難である。
本発明の視野角向上フィルムの目的は、視野角向上と黒ずみ低減という二律背反事象を高度なレベルでバランスよく両立することにある。視野角向上を図るためには、高い拡散性が求められる。一方、黒ずみ低減に対しては、高い直進透過性が求められる。これらの特性は、一般的には、それぞれ二律背反的な挙動を示す。この二律背反事象のバランスを取るには、上記特性を満たすことが好ましい。
視野角向上のためには、高い拡散度が必要であることが従来から知られている。しかし、本発明では、かかる従来の知見と異なり、一般に広く採用されている拡散度の指標である拡散度(A)に関しては、上述のように、むしろ低い領域で、かつ特定範囲にすることを好ましいとしていることは驚くべきことである。即ち、上記特性を付与するのに必要な高拡散性と高直進透過性を両立させるには、従来の知見とは逆の対応が必要である。
一方、平行光線透過率及び拡散度(A)を上記範囲に設定しただけでは、黒ずみ低減については有効であるが、拡散透過性が低く、視野角向上が不足し、上記特性を満たすことができない。視野角向上と黒ずみ低減の二律背反事象の両立を図るには、上記二つの特性に加えて、さらに上記の主拡散方向の拡散度比を上記範囲にすることを同時に満たす必要がある。主拡散方向の拡散度比は、主拡散方向における配光分布パターンの裾野広がりの尺度である。従って、拡散度比も一種の拡散度の大きさを示した尺度と見なすことができる。拡散度比を上記範囲に設定することにより初めて視野角向上と黒ずみ低減の二律背反事象の両立を図ることができる。前述した特許文献で開示されている技術については、そこに記載されている配光分布パターンより、それぞれ、いずれの方向についても上記特性を満たしていないことが示されている。さらに、主拡散方向の拡散度(B)を上記範囲にすることで、上記二律背反事象の両立が安定化できる。
上記の光学特性を満たすのに好ましい配光分布パターンの一例を図1に示す。
また、異方性付与により、特定方向への光の拡散度を高めることができる。一方、異方性を付与しても、例えば、直進透過性の指標である平行光線透過率等の特性はフィルム方向による違いが、拡散度に比べると小さい。従って、特定方向へ光を集光することができることになる。そのために、視野角向上と黒ずみの二律背反事象のバランスをより高いレベルでとることができる。
視野角向上のために異方性付与が有効であることは、多くの特許文献で開示されているが、異方性を評価する拡散度は、一般に広く採用されている拡散度の指標である拡散度(A)でなく、本発明者等が新たに見出した拡散度の指標である拡散度(B)を用いて判定して初めて有効である。上記した好ましい配光分布パターンの場合は、拡散度(A)では、たとえ異方性が付与されていても、方向による拡散度の差異が出ない場合がある。
この配光分布パターンを達成する方法は、特に限定されないが、例えば、二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂が海/島構造よりなる場合は、島成分単位をできるだけ細くかつ長く特定方向に配向させるのが好ましい。
(視野角向上フィルムの製造方法)
次に、本発明の視野角向上フィルムの製造方法について説明する。本発明の視野角向上フィルムは、少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂の混合物を溶融押し出し成型することによって得られる。少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂の混合物の存在形態は、上述の光学特性を満たせば特に限定されず、連続相及び分散相としてそれぞれの樹脂が独立して存在するいわゆる海/島構造であってもよいし、両樹脂が共連続相を形成した構造であってもよい。両樹脂の界面における光の屈折や散乱により上述の特性を制御することができる。
本発明においては、溶融押し出し成型法を採用しているので、経済的に有利である。また、溶融押し出し成型法は、塗工法と異なり、溶剤を使用しないので、環境にも優しい。さらに、溶融押し出し成型法は、光拡散性を付与するために、非溶融性微粒子を含有させる必要がないので、製膜工程における溶融樹脂の濾過フィルターの目詰まりが低減でき、生産性が優れるとともに、得られるフィルムの清澄度も高い。
溶融押し出し成型法による製膜方法としては、特に制限されず、例えば、Tダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。また、未延伸のままのフィルムでもよく、延伸処理を行ってもよい。また、本発明の視野角向上フィルムは、単層であってもよいし、二層以上の多層構成であっても構わない。多層構成の場合は、少なくとも一層が上記の構成よりなる視野角向上フィルムからなる層であれば、他の層は、かかる特性を有しない単なる透明層であってもよい。また、全層が視野角向上層の構成であってもよい。上記多層構成の場合は、多層共押出し法で製造してもよいし、押出しラミネート法やドライラミネート法で実施してもよい。
(非相溶性樹脂)
本発明の視野角向上フィルムは、少なくとも二種の非相溶性(互いに溶け合わない)のポリオレフィン系樹脂からなる混合物を使用して得られることが好ましい。通常、ポリオレフィン系樹脂は、芳香環を有していないので、紫外線照射による劣化を受けにくいという特長を有する。そのため、紫外線照射による黄化が抑制されるので、光拡散フィルムの構成材料として好適である。
上記ポリオレフィン系樹脂は、その70モル%以上が、オレフィン系モノマーから構成されれば特に限定されない。好ましくは、オレフィン系モノマーの割合は90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上である。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂及びポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂あるいはこれらの共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂にカルボキシル基、エステル基及びヒドロキシル基等の官能基が導入された変性ポリオレフィン系樹脂も好適に使用することができる。また、ポリオレフィン系樹脂は、アクリル酸やメタクリル酸及びこれらのエステル誘導体等の芳香環を有しないモノマーの共重合体であっても構わない。
本発明においては、環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組み合わせ、あるいはポリプロピレン系樹脂とエチレン及び/又はブテンが含まれたポリオレフィン樹脂との組み合わせが、上記の特性が得られやすいので好ましい実施態様である。さらに、この組み合わせは、耐光性や経済性の点からも好ましいと言える。上記組み合わせに、さらにナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂を組み合わせても良い。
環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネンやテトラシクロドデセン等の環状のポリオレフィン構造を有するものが挙げられる。例えば、(1)ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体を、必要に応じてマレイン酸付加、シクロペンタジエン付加のごときポリマー変性を行なった後に、水素添加した樹脂、(2)ノルボルネン系モノマーを付加型重合させた樹脂、(3)ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーと付加型共重合させた樹脂などを挙げることができる。重合方法及び水素添加方法は、常法により行なうことができる。
これらのものはガラス転移温度を高くすることができ、ダイ内でのシェアやドラフトにより細くなった島成分が冷却中に速やかに固化され、安定した特性を出しやすくなると考えられる。
ガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である。上限はモノマー種により自ずと決まるが(環状モノマー100%のTg)、好ましくは230℃以下、さらに好ましくは200℃以下、特に好ましくは190℃以下である。上記上限を超えると、溶融押し出し時に高温が必要となり、着色することがあったり、未溶解物が発生することがある。なお、ガラス転移温度の値はISO11357−1,−2,−3に準拠して10℃/minの昇温速度で測定した値である。
環状ポリオレフィン系樹脂の環状成分の含有量は、好ましくは70〜90質量%、さらに好ましくは73〜85質量%である。特にノルボルネン系の場合はこの範囲が好ましい。特にエチレンを共重合させている環状ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂との親和性が高く、所望の特性を達成するためには好ましい。エチレンの含有量は、好ましくは30〜10質量%、さらに好ましくは27〜15質量%である。
ポリエチレン系樹脂としては、単一重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。共重合体の場合は50モル%以上がエチレン成分であるのが好ましい。該ポリエチレン樹脂の密度や重合方法等も限定されないが、密度が0.909以下の共重合体の使用が好ましい。例えば、オクテンとの共重合体が挙げられる。重合方法はメタロセン触媒法及び非メタロセン触媒法のいずれでも構わない。
ポリプロピレン系樹脂としては、単一重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。共重合体の場合は、50モル%以上がプロピレン成分であるのが好ましい。該樹脂の製造方法、分子量等は、特に限定されないが、耐熱性等の点から結晶性の高いものが好ましい。具体的には、結晶性は、示差走査熱量計(DSC)による融解熱で判断され、融解熱が65J/g以上のものが好ましい。
エチレン及び/又はブテンが含まれたポリオレフィン系樹脂としては、ホモポリエチレン樹脂、ホモポリブテン樹脂、及びこれらの樹脂の他のオレフィン系モノマーとの共重合体、アクリル酸やメタクリル酸及びこれらのエステル誘導体との共重合体等が挙げられる。他のオレフィン系モノマーとの共重合体の場合は、ランダム、ブロック及びグラフト共重合体のいずれでもよい。また、EPラバー等の分散体でも構わない。該樹脂の製造方法や分子量等も特に限定されない。例えば、上記したポリエチレン系樹脂やエチレンとブテンの共重合体の使用が好ましい。
ナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂は、ポリマーの結晶/非晶構造がナノオーダーで制御され、該結晶がナノオーダーで網目構造を有する熱可塑性のポリオレフィン系エラストマーであり、例えば、三井化学社製のノティオ(商標登録)が挙げられる。従来のポリオレフィン系エラストマー樹脂は、結晶サイズがミクロンオーダーであるのに対して、ナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂は、結晶サイズがナノオーダーで制御されているという特徴を有する。このため、従来のポリオレフィン系エラストマー樹脂に比べて、透明性、耐熱性、柔軟性、ゴム弾性などに優れている場合が多い。従って、該ナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂を配合することによって、得られるフィルムの外観を向上できる場合がある。
環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂との組み合わせの場合は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を海相とし、かつ該海相のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートを島相の環状ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートよりも高くすることが好ましい。
環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂の組み合わせの場合は、全樹脂量中に環状ポリオレフィン系樹脂が10〜60質量%配合されているのが好ましく、さらに好ましくは10〜50質量%である。上記範囲が、後述のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を海相とする実施態様に対して好ましい。上記構成と逆の構成である環状ポリオレフィン系樹脂を海相とした場合は、ダイス内でのシェア、海相の柔軟性や流動性が関係して、所望した光学特性、特に、異方性度の高い視野角向上フィルムが得にくい。
上記の少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂の配合割合は、それぞれ質量比で10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、30/70〜70/30の割合が更に好ましい。上記の少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂は、それぞれの樹脂を製膜工程で配合してもよいし、予め混練法等で事前に配合した形で用いてもよい。
本発明においては、三種以上の樹脂を配合してもよいし、それぞれの樹脂の馴染み性向上のための相溶化剤や分散径調整剤等の添加剤を併用しても構わない。また、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤や帯電防止剤等の添加剤を配合してもよい。また、上記の光学特性を阻害しない範囲であれば、無機粒子やポリマービーズ等の微粒子を添加してもよい。
上記の少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートは、上記の光学特性を満たせば特に限定されない。それぞれの熱可塑性樹脂は、230℃で測定したメルトフローレートが0.1〜100、好ましくは0.2〜50の範囲で適宜選択される。
上記の少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂の混合物を溶融押し出し成型する方法においては、例えば、海/島法で実施する場合は、前述のごとく、島成分の形状に異方性を付与するのが、上記光学特性を付与する点において、好ましい。島成分の形状を細長くした糸状の形状が好ましい。島成分の長さ/島成分の幅の比は、5倍以上が好ましく、8倍以上がより好ましい。細長い糸状形状の形成により、直進透過性の低下を抑制し、島成分の配向方向と直交した方向の拡散透過度を高めることができる。
このような形状の島構造を形成するためには、海成分樹脂と島成分樹脂の溶融粘度に差を付けるのが好ましい。特に、海成分よりも島成分の溶融粘度を低くするのが好ましい。このためには、例えば、メルトフローレートの差を付けるのが好ましく、海成分より、島成分の方のメルトフローレートを高くするのが好ましい。また、海成分樹脂と島成分樹脂の剛性に差を付けるのも好ましい。特に、海成分よりも島成分の剛性を低くするのが好ましい。
(製膜方法)
上記溶融押し出し成型法による製膜方法としては、特に制限されず、例えば、Tダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。また、未延伸のままのフィルムでも良く、延伸処理を行っても良い。
上記溶融押し出し成型法は、一般に、押し出し機で溶融した樹脂をダイからシート状に押し出して、該シートを冷却ロールに密着させ冷却固化させて製膜する。冷却ロールへの密着は、一般に広く用いられている押し圧ロールで押さえ付けて行っても良いが、異方性を付与するという点においては、上記の冷却ロールへの密着時に、該密着部の入り口部分に液溜りゾーン(バンクと称されることもある)が形成されないことが好ましい。該液溜りゾーンの形成は、冷却ロールへの密着時に圧接された場合、即ち、強い圧力で押さえられた時に発生するので、該密着時の密着圧力を低くするのが好ましい。例えば、一般に広く用いられている押し圧ロールで圧接して密着させるという方法は避けた方がよい。
弱い圧力で密着させる方法であれば限定されないが、例えば、押し出し機で溶融した樹脂をダイからシート状に押し出して、該シートをガス圧による押さえ方法及び/又は吸引法及び/又は静電気密着法で密着させ冷却固化させて製膜されてなることが好ましい。該方法により、異方性を有する視野角向上フィルムを安定して得ることができる。
上記のガス圧による押さえ方法及び/又は吸引法及び/又は静電気密着法で密着させ冷却固化させる方法は限定されない。例えば、ガス圧による押さえ方法としては、例えば、空気等のガス圧で押さえ付ける、いわゆるエアーナイフ法等の方法、減圧ノズルで吸引して密着させるバキュームチャンバー法、静電気力で密着させる静電気密着法等が挙げられる。該方法は単独で用いても良いし、複数の方法を併用しても良い。得られるフィルムの厚み精度を高めることができる点で、後者で実施するのが好ましい。
本発明の視野角向上フィルムは、無延伸法及び延伸法のいずれで製造しても良い。例えば、光拡散層にポリエステル系樹脂を用いた場合は、一軸延伸をするのが好ましい。延伸倍率は2倍以上が好ましい。上限は限定されないが、10倍未満が好ましい。これにより、島相が延伸方向に引き伸ばされ細長い構造になり、該島相の配向方向と直交した方向の光拡散性が著しく向上し、異方性で、かつ高拡散性が確保できる。
無延伸法で製造する場合に、溶融押し出しされたシートを冷却個化する前に伸長する方法、即ち、ドラフト率を高める方法で製造しても良い。
上記の少なくとも二種の非相溶性の熱可塑性樹脂の混合物は、それぞれの熱可塑性樹脂を製膜工程の押出し機などで配合してもよいし、予め混練法等で事前に混合物とした形で用いてもよい。
本発明の視野角向上フィルムの厚みは、10〜500μmが好ましく、20〜500μmがより好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
(ハードコート層等の機能性層の積層使用)
本発明の視野角向上フィルムや視野角向上機能付保護フィルムでは、視野角向上フィルムの観察者側の表面に、ハードコート層、反射低減層および防眩層より選ばれた機能性層が少なくとも一層積層されてなることが好ましい。上記機能性層はそれぞれ単独の構成でも良いし、一つの機能性層が複数の機能を兼ね備えていても良い。
ハードコート層の積層により視野角向上フィルム表面の耐傷付き性が向上する。また、反射低減層及び/または防眩層の積層により、液晶表示装置を外光が映り込む環境で使用しても、外光の映り込みが低減され、画像の視認性が向上する。また、明るい環境で使用しても、視野角向上効果の低減が見られなくなる。反射低減層や防眩層は、その表面が反射防止機能を持てばよく、例えば、アンチグレアータイプ、アンチリフレクションタイプ及びその両機能を併有したタイプ等が使用できる。特に、後二者の使用が好ましい。
上記機能性層の積層は、視野角向上フィルムの表面に直接積層しても良いし、上記機能性層を有する、TACやPET等のプラスチックフィルムと積層して用いても良い。後者の方が広く市場に流通している製品を使用して実施できるので好ましい場合がある。後者の機能性層を有するフィルムの積層方法は、粘着剤あるいは接着剤で固定するのが好ましいが、単に重ね合わせて治具で固定しても良い。
接着剤や粘着剤は、視野角向上フィルムと機能性層を有したフィルムとが固定できれば限定されないが、光学用のものを用いるのが好ましい。
(視野角向上機能付保護フィルム)
本発明によれば、上記視野角向上フィルムと自己粘着層とが積層されてなる視野角向上機能付保護フィルムも提供される。
自己粘着層は視野角向上フィルムの表面に直接形成しても良いし、他の基材フィルムの表面に形成して、該自己粘着層積層フィルムと視野角向上フィルムを積層しても良い。特に、後者の方法が、汎用性が高く、かつ選択幅が広げられるので好ましい。後者の方法の場合は、両面粘着層よりなる、いわゆる両面粘着フィルムに視野角向上フィルムを貼着して自己粘着層を形成するのが良い。該両面粘着フィルムは、両面とも自己粘着層として、片面の自己粘着層で視野角向上フィルムを固定しても良いが、片面は、例えば、アクリル系等の感圧粘着層を形成し、該感圧粘着層側に視野角向上フィルムを貼着する方法が、視野角向上フィルムを強固に固定できる点や経済性の点で好ましい。
該両面粘着フィルムを用いて視野角向上機能付保護フィルムを作製する場合の両面粘着フィルムの種類や製造方法も限定されないが、例えば、特開2009―73937号公報で開示されている方法で得られる両面粘着フィルムの使用が、自己粘着層の自己粘着特性に優れ、かつコストパフォーマンス等に優れるので好ましい。
また、例えば、特開2009−299021号公報等において開示されている非晶質のポリオレフィン系樹脂層を前記した視野角向上フィルムと直接積層する方法も経済性等の点より好ましい。上記積層方法は限定されない。例えば、共押し出し法や押し出しラミネート法が挙げられる。
(自己粘着層)
本発明における自己粘着性とは、被着面への貼り付けの際、外から圧力を掛けなくても、粘着できる性質を意味する。
自己粘着層は、複数回貼着および剥離を繰り返すことができれば限定されないが、柔軟ポリマーからなることが、貼着及び剥離を繰り返してもその貼着性能や剥離性能の変化が小さく、かつ、剥離した場合に表示画面表面に該自己粘着層の成分が転写して表示画面を汚染させる現象が起こりにくいので好ましい。
柔軟ポリマーは、非架橋ポリマーであっても架橋ポリマーであっても構わない。また、ゲル体であっても良い。ポリマーの種類も限定されない。例えば、ポリオレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー及びシリコーン系ポリマー等が挙げられる。ポリオレフィン系ポリマー及びポリオレフィン系ポリマーと他のポリマーとの組成物及びシリコーン系ポリマーが、上記特性がより優れているので好ましい。
シリコーン系ポリマーの種類や架橋方法も限定されないが、例えば、特開2009―113420号公報で開示されている方法が好ましい。また、付加型シリコーンポリマーを使用することが好ましい。
上記柔軟ポリマーよりなる自己粘着層は、以下の測定方法で評価される表層ダイナミック硬度が0.01〜100mN/μmであることが好ましく、0.03〜80mN/μmであることがより好ましい。
上記の表層ダイナミック硬度が0.01mN/μm未満では剥離が困難になって前記のリペアー性が低下し、反対に100mN/μmを超えると、固定力が不足する。
〔表層ダイナミック硬度〕
島津製作所製の島津ダイナミック超微小硬度計DUH202型を用い、試験モード:モード3(軟質材料試験)、圧子の種類:115、試験加重:1.97mN、負荷速度:0.0142mN/秒、保持時間:5秒の条件で測定した。試料はスライドガラス上にエポキシ接着剤で固定し、測定台にセットした。本測定法で評価されるダイナミック硬度は、試料の表面からの深さによって異なる測定値が得られる。表面から3μmの深さの測定値を表層硬度とした。
また、上記柔軟ポリマーよりなる自己粘着層は、その表面の平均表面粗度(Ra)が、0.12μm以下、好ましくは0.08μm以下、特に好ましくは0.05μm以下に設定されることが好ましい。これによって自己粘着層の自己粘着性による実用的な固定力、すなわち表面タック力が発現する。上記の平均表面粗度(Ra)が0.12μmを超えると、自己粘着性が発現せず、自己粘着による固定が不可能になる。なお、上記平均表面粗度(Ra)は、以下の方法で測定された値である。
〔平均表面粗度(Ra)〕
小坂製作所製SE−200型表面粗度計を用い、縦倍率:1000、横倍率:20、カットオフ:0.08mm、測定長:8mm、測定速度:0.1mm/分の条件で測定した。
(液晶表示装置及び視野角向上フィルムあるいは視野角向上機能付保護フィルムの使用方法)
本発明によれば、液晶層より観察者側に上記視野角向上フィルムや視野角向上機能付保護フィルムを設置して構成される液晶表示装置も提供される。
液晶表示装置としては、アクティブマトリクス駆動、単純マトリクス駆動等のツイストネマチック、スーパーツイストネマチック、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等の全てのものが使用できる。偏光板を用いた液晶表示装置の場合は、本発明の視野角向上フィルムは液晶層より観察者側にあればよく、偏光板より内側でも外側でもよいが、偏光板より外側の方が、視野角向上フィルムによる偏光斑の発生が抑制されるので好ましい。本発明の視野角向上フィルムの液晶表示装置への設置方法としては、例えば反射損失の少ない接着剤等によって液晶層基板、偏光板、位相差板等にできるだけ密着させて貼り合わせることが好ましいが、単に重ね合わせて治具で固定しても良い。
また、視野角向上機能付保護フィルムの液晶表示装置の表示画面表面への貼着は、視野角向上機能付保護フィルムの自己粘着層を介して実施される。従って、視野角向上機能付保護フィルムが着脱自在に表示画面表面に固定できる。また、表示画面の保護機能が発現される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能である。なお、実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。また、実施例中で「部」、「%」とあるのは断りのない限り、それぞれ「質量部」、「質量%」を意味する。なお、本実施例においては、本発明の特性を満たさない比較例のフィルムも便宜上、視野角向上フィルムと称する。
1.平行光線透過率
日本電色工業株式会社製ヘーズ測定器「NDH−2000」を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。
フィルムの巻き方向を垂直方向及び水平方向にそれぞれ上記測定器の試料台に固定して測定し、それぞれ3回の測定で得られた測定値の平均値を用い、さらに両方向の測定値の平均値を求めて表示した。垂直方向及び水平方向の両方で測定するのは、フィルムの巻き方向を垂直方向にした場合と水平方向にした場合とでは平行光線透過率が大きく変わることがあるためである。
なお、フィルムの両面の表面粗さに差がある場合は、実際に視野角向上性能を評価する時と同じ方向に光が通過するような方向で固定して測定した。
2.拡散度B
自動変角光度計(GP−200:株式会社村上色彩研究所製)を用いて測定を行った。
透過測定モード、光線入射角:0°(試料面に対して上下、左右共に直角になる角度)、受光角度:−90°〜90°(赤道線面上の角度)、フィルター:ND10使用、光束絞り:10.5mm(VS−1 3.0)、受光絞り:9.1mm(VS−3 4.0)、SENSITIVITY:950、HIGH VOLTON:600及び変角間隔0.1度の条件で、−90度から+90まで受光器を移動させて測定することにより得た、透過光の変角光度曲線のピーク立ち上がり角度とピークの終了の角度との間の角度の度数を求めた(図1参照)。該ピークの立ち上がり及び終了の角度は、該部分を10倍のルーペで観察して、該ピークの線が消えた最先端の角度をそれぞれの角度とした。該対応をすれば明確な判定ができる。
なお、受光器を移動させる面を赤道面と定義した。
上記測定をフィルムの巻き方向が試料固定台の上下方向と平行方向及び水平方向になるように固定して測定し、該角度の大きい方の値を拡散度Bとした。
なお、フィルムの両面の表面粗さに差がある場合は、実際に視野角向上性能を評価する時と同じ方向に光が通過するような方向で固定して測定した。
該拡散度(B)の大きい方を主拡散方向とした。
該測定に際しては、試料の測定の前に、きもと株式会社製の光拡散フィルムであるライトアップフィルム(商品登録)100DX2フィルムをフィルムの巻き方向が試料固定台の上下方向と平行方向になり、かつ拡散層側が出光側になるように試料固定台に固定して、上記と同じ条件で変角光度測定を実施した。該測定において、変角光度曲線のピークトップの高さがフルスケールに対して、80%を超えるか、あるいは70%未満であった場合は、該値がフルスケールに対して70〜80%になるようにSENSITIVITYあるいはHIGH VOLTONダイヤルの数値の微調整を行った。
3.拡散度A
拡散度Bと同様に、自動変角光度計(GP−200:株式会社村上色彩研究所製)を用いて測定を行った。
上記の拡散度Bの測定で求めた主拡散方向に試料を固定し、SENSITIVITY及びHIGH VOLTON以外は、拡散度Bと同じ条件において測定をした。
透過光の変角光度曲線のピークトップの値がフルスケールに対して20〜80%の範囲になるようにSENSITIVITY及びHIGH VOLTONの設定を調整し、拡散度Bと同様にして透過光の変角光度曲線を求めた。
得られた透過光の変角光度曲線のピークの高さの半分の高さにおける角度の幅(半値幅)の角度を拡散度Aとした(図1参照)。
平行光線透過率の高い試料の場合は、測定感度を低下させても変角光度曲線のピークトップがトレードオフとなり頭頂のピークが出ないことがある。この場合は、SENSITIVITY:150及びHIGH VOLTON:500において測定してフルスケールに対して50%の高さのピーク幅を拡散度Aとした。
なお、拡散度Aの値が小さい場合は、10倍のルーペを用いて半値幅を求めた。
4.拡散度比
上記の拡散度Aの測定で求めた変角光度曲線の−30度及び0度における透過光度を測定し、下記式(1)により算出し、%表示をした。
−30度における透過光度/0度における透過光度×100 (1)
−30度における透過光度が非常に低い場合は、10倍のルーペを用いて高さを求めた。
なお、−30度とは、ピークの立ち上がり側の中心よりの角度である。殆どの試料は対象形となっており、+30度もほぼ同じ値になる。
また、上記のごとく頭頂のピークが出ない場合は、SENSITIVITY:150及びHIGH VOLTON:500において測定して、−30度における透過光度を−30度の透過光度とし、フルスケールの高さを0度の透過光度として算出した。
5.異方性
上記2で得た主拡散方向の拡散度B及び主拡散方向と直交方向の拡散度B’の比(拡散度B/拡散度B’)を異方性とした。
6.視野角向上効果
Acer社製のTN方式の液晶モニター(V173A)を台の上に水平に設置し、該液晶モニターの表面に、試料フィルムを重ね合わせあるいは粘着剤で固定し、コスモ電子社製の信号発生器(型式:CM50)で視野角判定用のカラーバーを表示し、暗室で液晶モニターの正面及び左右約60度の角度より観察し、両観察による色相やコントラストの差を官能評価してランク付けを行った。
ランク付けは、5段階に分けた標準試料との比較により判定した。10名で判定し、平均値で表示した。各ランクの中間のものは、0.5を用いて判定した。例えば、ランク2と3の中間のものは2.5とした。
ブランク(パネルのみ)を1とした。ランクの数値が高い方が優れている。
ランク3以上を実用性ありと判断した。
なお、該評価は、試料を、光拡散フィルムの主拡散方向が、液晶モニターの長辺と平行になるように重ね合わせて設置あるいは貼り付けて行った。重ね合わせて設置する場合に、フィルムがカール等で浮き上がる場合は、四隅をテープで固定して評価をした。
7.黒ずみ
視野角向上効果と同様の方法で白地部分を略正面より観察した時の黒ずみを官能評価してランク付けを行った。ランク付けは、6段階に分けた標準試料との比較により判定した。2名で判定し、平均値で表示した。各ランクの中間のものは、0.5を用いて判定した。例えば、ランク2と3の中間のものは2.5とした。
ブランク(パネルのみ)を6とした。ランクの数値が2以上を実用性ありとして判断した。ランク3以上がより好ましい。
該特性は、液晶パネルの色温度等の変更により改善できる。
8.総合評価
視野角向上効果判定ランクが3以上でありかつ黒ずみランクが2以上であるものを実用性ありと判断した。また、それらのランクの合計の数値が6以上であるものを実用的に非常に優れていると判断した。
(実施例1)
環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013F−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))50質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM)D9100.05 メルトフローレート:2.4(230℃))65質量部とを、池貝鉄工社製PCM45押出機を用いて樹脂温度250℃にて溶融混合してTダイで押出し、鏡面の冷却ロールで冷却することにより厚み120μmの視野角向上フィルムを得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本実施例で得られた視野角向上フィルムは、視野角向上に優れており、かつ黒ずみの程度が低く高品質であった。
(比較例1)
2台の溶融押し出し機を用い、第1の押し出し機にてポリプロピレン樹脂WF836DG3(住友化学社製、住友ノーブレン)100質量部を溶融して基層Aとし、第2の押し出し機にてポリプロピレン樹脂WF836DG3(住友化学社製、住友ノーブレン)17質量部とプロピレン・エチレン共重合体 HF3101C(日本ポリプロ社製)83質量部を、溶融混合して光拡散層Bとし、ダイス内にてA/Bとなるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、20℃のキャスティングロールで冷却することにより未延伸シートを得た。次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速差を利用して延伸温度120℃で4.8倍に延伸し、引き続いてテンタ―式延伸機により、165℃で加熱後、155℃の延伸温度で横方向に9倍延伸した。次いで166℃で熱固定を行って、A/B構成の厚みがそれぞれ順に22.2μm、2.8μmである視野角向上フィルムを得た。巻き取り直前において基層A表面にコロナ処理を行った。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本比較例で得られた視野角向上フィルムは、黒ずみは僅かであり高特性であるが、視野角向上効果が劣っていた。
(比較例2)
2台の溶融押し出し機を用い、第1の押し出し機にて、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013F−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))60質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9100.05 メルトフローレート:2.4(230℃))40質量部を基層Aとし、第2の押し出し機にて、ナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、ノティオ PN3560)が表層となるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、鏡面の冷却ロールで冷却することにより総厚み180μmの視野角向上フィルムを得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。層厚み構成は20/140/20(μm)であった。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本比較例で得られた視野角向上フィルムは、黒ずみは僅かであり高特性であるが、視野角向上効果が劣っていた。
(比較例3)
環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6015S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:0.41(230℃))50質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))50質量部を池貝鉄工社製PCM45押出機を用いて樹脂温度250℃にて溶融混合してTダイで押出し、梨地加工した冷却ロール(Ra=0.70)で冷却することにより厚み200μmの視野角向上フィルムを得た。上記冷却ロールの反対面は粘着防止加工された鏡面の押さえロールを用いた。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本比較例で得られた視野角向上フィルムは、視野角向上効果は極めて良好であるが、黒ずみ低減効果が著しく劣っていた。
(比較例4)
片面が平均表面粗さRa0.56μmでエンボス加工(梨地タイプ)された厚みが250μmのポリカーボネートフィルムを視野角向上フィルムとした。
該視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
該視野角向上フィルムは、全特性共に、反エンボス加工面から入光する方向で評価した。
本比較例の視野角向上フィルムは、視野角向上効果が劣っていた。
(比較例5)
片面が平均表面粗さRa0.97μmでエンボス加工(梨地タイプ)された厚みが100μmのポリエステルフィルムを視野角向上フィルムとした。
該視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
該視野角向上フィルムは、全特性共に、反エンボス加工面から入光する方向で評価した。
本比較例の視野角向上フィルムは、比較例1で得られた視野角向上フィルムと同様に、視野角向上効果が劣っていた。
(比較例6)
厚み250μmの高透明性ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 コスモシャインA4300)の片面に、平均粒径が3μmの真球状のアクリル樹脂粒子(東洋紡績社製 タフチック(TM)FHーS300)50質量部とポリウレタン樹脂50質量部の混合部が乾燥後厚みで30μmになるように、塗工機を用いて、塗布および乾燥をすることにより視野角向上フィルムを得た。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
該視野角向上フィルムは、全特性共に、反コート面から入光する方向で評価した。
本比較例の視野角向上フィルムは、視野角向上効果は良好であるが、黒ずみが強く、黒ずみ低減効果が劣っていた。
(比較例7)
真空乾燥機にて180℃3時間乾燥し、水分を十分に除去した実質的に無滑剤のポリエチレンテレフタレート樹脂95質量部(東洋紡績社製 RE553)、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(出光興産社製 ザレック(TM)300ZC)5質量部及び極性基変性の水添ポリマー(JSR社製 ダイナロン(TM)4630)5質量部の混合物を単軸押出機に供給、280℃で溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ、未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向へ温度103℃で長手方向に5.0倍延伸し、厚み50μmの視野角向上フィルムを得た。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本比較例で得られた視野角向上フィルムは、黒ずみが強く、黒ずみ低減効果が著しく劣っていた。
(実施例2)
2台の溶融押し出し機を用い、第1の押し出し機にて、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))35質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))65質量部を基層Aとし、第2の押し出し機にて、ポリプロピレン系の接着性樹脂(アドマー(TM)QF551 三井化学社製 メルトフローレート:5.7(190℃))が表層となるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、鏡面の冷却ロールで冷却することにより総厚み56μmの視野角向上フィルムを得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。層厚み構成は8/40/8(μm)であった。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本実施例で得られた視野角向上フィルムは、実施例1で得られた視野角向上フィルムより、視野角向上効果はやや劣るが、黒ずみが改善されており、実施例1で得られた視野角向上フィルムと同様に視野角向上効果と黒ずみ低減効果の両特性が共に優れていた。
(実施例3)
2台の溶融押し出し機を用い、第1の押し出し機にて、環状ポリオレフィン系樹脂(TOPAS(TM)6013S−04 Topas Advanced Polymers社製 メルトフローレート:2.0(230℃))60質量部とエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9100.05 メルトフローレート:2.4(230℃))40質量部を基層Aとし、第2の押し出し機にて、エチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))が表層となるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、鏡面の冷却ロールで冷却することにより総厚み120μmの視野角向上フィルムを得た。上記冷却時の冷却ロールへのフィルムの密着はバキュームチャンバーを用いて行った。層厚み構成は10/100/10(μm)であった。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本実施例で得られた視野角向上フィルムは、実施例2で得られた視野角向上フィルムと同様に視野角向上効果と黒ずみ低減効果の両特性が共に優れていた。
(実施例4)
実施例2の方法において、層厚み構成を30/140/30(μm)にしてフィルムの層厚みが200μmになるように変更する以外は、実施例2と同様の方法で視野角向上フィルムを得た。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本実施例で得られた視野角向上フィルムは、実施例1で得られた視野角向上フィルムより黒ずみが少し高いが視野角向上効果は実施例1で得られたフィルムよりも優れていた。
(実施例5)
ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)65質量部にエチレンとオクテンよりなるブロック共重合樹脂(ダウ・ケミカル社製 INFUSE(TM) D9817.15 メルトフローレート:26(230℃))35質量部を、60mmφ単軸押出機(L/D;22)内で樹脂温度240℃にて溶融混合してTダイで押出した後、20℃のキャスティングロールで冷却することにより未延伸シートを得た。次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速差を利用して延伸温度118℃で4.5倍に延伸し、引き続きその片面にコロナ処理をして厚み200μmの視野角向上フィルムを得た。
得られた視野角向上フィルムの特性を表1に示す。
本実施例で得られた視野角向上フィルムは、実施例1で得られた視野角向上フィルムと同様に視野角向上効果と黒ずみ低減効果の両特性のバランスがとれていた。
(実施例6及び実施例7)
実施例1及び実施例2の視野角向上フィルム表面にクレハエラストマー社製のハード加工されたアンチリフレクションタイプのディスプレイ用保護フィルムを貼着して、機能性層が積層された視野角向上フィルムを得た。
実施例1及び実施例2と同様の方法で視野角向上性能を評価した。実施例1及び実施例2と同等の結果が得られた。さらに、反射防止効果が付加されるので、上記液晶パネルを明るい環境において観察しても視野角向上効果の低下が見られなかった。また、外光の映り込む場所で使用しても外光の映り込みが抑制されるので画像の視認性が向上した。また、ハード加工がされているので傷が付き難くなった。
(実施例8及び実施例9)
実施例1及び実施例2の視野角向上フィルム表面にクレハエラストマー社製のハード加工されたアンチグレアータイプのディスプレイ用保護フィルムを貼着して、機能性層が積層された視野角向上機能付保護フィルムを得た。
実施例1及び実施例2の同様の方法で視野角向上性能を評価した。実施例1及び実施例2と同等の結果が得られた。さらに、反射防止効果が付加されるので、上記液晶パネルを明るい環境において観察しても視野角向上効果の低下が見られなかった。また、外光の映り込む場所で使用しても外光の映り込みが抑制されるので画像の視認性が向上した。また、ハード加工がされているので傷が付き難くなった。
(実施例10〜実施例14)
特開2009―73937号公報の実施例1の段落0204〜段落0205に記載されたとおりに製造した片面が自己粘着層で反対面がアクリル系粘着層よりなる、光学用の両面粘着フィルム(基材フィルムの厚みは38μmに変更した)のアクリル系粘着層側のセパレートフィルムを剥がし、該アクリル系粘着層表面に、それぞれ実施例1〜実施例11の視野角向上フィルムを貼着することにより、視野角向上機能付保護フィルムを得た。
なお、上記光学用の両面粘着フィルムの自己粘着層表面の表層ダイナミック硬度は0.09mN/μmであった。また、平均表面粗度(Ra)は、0.04μmであった。
得られたそれぞれの視野角向上機能付保護フィルムの自己粘着層側のセパレートフィルムを剥がし、上記の視野角向上効果の評価法に用いたAcer社製のTN方式の液晶モニター(V173A)の表示画面表面に光拡散フィルムの主拡散方向が液晶モニターの長辺と平行になるような方向で貼着し、上記の視野角向上効果の評価法に準じて視野角向上性能を評価した。それぞれ実施例1〜実施例11の視野角向上フィルムで得られた結果と同等の視野角向上性能が発現され、視野角向上性能が優れていた。また、自己粘着層で表示画面表面に貼着されるので、貼着性に優れており、空気の噛み込みなしに貼着できた。例えば、少量の空気の噛み込みがあった場合も経時で空気が抜けて行く。また、自己粘着層はリペアー性を有しているので、簡単に取り外せ、再度貼着することもできた。一旦、取り外したときには、表示画面には全く糊残りはなく、表示画面の汚染は認められなかった。さらに、自己粘着層はクッション性を有するので表示画面の保護機能を有していた。
(実施例15及び実施例16)
実施例10及び実施例11の視野角向上機能付保護フィルムの視野角向上フィルム表面にクレハエラストマー社製のハード加工されたアンチリフレクションタイプのディスプレイ用保護フィルムを貼着して、機能性層が積層された視野角向上機能付保護フィルムを得た。
実施例10及び実施例11と同様の方法で視野角向上性能を評価した。実施例10及び実施例11と同等の結果が得られた。さらに、反射防止効果が付加されるので、上記液晶パネルを明るい環境において観察しても視野角向上効果の低下が見られなかった。また、外光の映り込む場所で使用しても外光の映り込みが抑制されるので画像の視認性が向上した。また、ハード加工がされているので傷が付き難くなった。
(実施例17及び実施例18)
実施例10及び実施例11の視野角向上機能付保護フィルムの視野角向上フィルム表面にクレハエラストマー社製のハード加工されたアンチグレアータイプのディスプレイ用保護フィルムを貼着して、機能性層が積層された視野角向上機能付保護フィルムを得た。
実施例10及び実施例11と同様の方法で視野角向上性能を評価した。実施例10及び実施例11と同等の結果が得られた。さらに、反射防止効果が付加されるので、上記液晶パネルを明るい環境において観察しても視野角向上効果の低下が見られなかった。また、外光の映り込む場所で使用しても外光の映り込みが抑制されるので画像の視認性が向上した。また、ハード加工がされているので傷が付き難くなった。
Figure 0005822103
本発明の視野角向上フィルムは、直進透過性と拡散透過性の両方の特性を兼備した配光分布パターンを有しているので、視野角の向上と正面観察による画像の黒ずみの低減という二律背反事象を高度なレベルで満足させた液晶表示装置を提供することができる。
また、本発明の視野角向上機能付保護フィルムは、上記の視野角向上機能を有した上に、自己粘着層が積層されているので、液晶表示装置の表示表面上に着脱自在に貼着することができる。従って、市販されている液晶表示装置の表示画面表面に貼着することにより、液晶表示装置の視野角向上が図れる上に、さらに表示画面の保護機能を付与することができる。

Claims (12)

  1. 晶表示装置の液晶層より観察者側に設置される視野角向上フィルムであって、前記視野角向上フィルムが、少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂の混合物からなり、前記視野角向上フィルムは、前記少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂のそれぞれが連続相及び分散相として独立して存在する構造、又は前記少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂のそれぞれが共連続相を形成した構造を有すること、及び前記視野角向上フィルムが、下記(1)〜(3)の条件を同時に満足し、レンズフィルムではないことを特徴とする視野角向上フィルム:
    (1)平行光線透過率が5〜90%である;
    (2)主拡散方向の拡散度(A)が1〜15度である;
    (3)主拡散方向の拡散度(B)が140〜175度である。
  2. 主拡散方向の拡散度比が0.25〜15%であることを特徴とする請求項1に記載の視野角向上フィルム。
  3. 主拡散方向の拡散度(A)が1〜10度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の視野角向上フィルム。
  4. 主拡散方向の拡散度(B)と主拡散方向と直交する方向の拡散度(B’)との比(拡散度(B)/拡散度(B’))が1.2〜6.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
  5. 少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂とエチレン及び/又はブテンが含まれたポリオレフィン樹脂よりなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
  6. 少なくとも二種の非相溶性のポリオレフィン系樹脂が、環状ポリオレフィン系樹脂とポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
  7. 視野角向上フィルムの観察者側の表面にハードコート層、反射低減層および防眩層より選ばれた機能性層が少なくとも一層積層されてることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の視野角向上フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の視野角向上フィルムと自己粘着層とが積層されてることを特徴とする視野角向上機能付保護フィルム。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の視野角向上フィルムを、片面が自己粘着層からなり、もう一方の面が感圧粘着層からなる両面粘着フィルムの感圧粘着層を介して積層してることを特徴とする視野角向上機能付保護フィルム。
  10. 自己粘着層が柔軟ポリマーからなることを特徴とする請求項またはに記載の視野角向上機能付保護フィルム。
  11. 液晶層より観察者側に請求項1〜のいずれかに記載の視野角向上フィルムを設置して構成されることを特徴とする液晶表示装置。
  12. 液晶表示装置の表示画面表面に請求項10のいずれかに記載の視野角向上機能付保護フィルムを、自己粘着層を介して着脱自在に貼着してることを特徴とする液晶表示装置。
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