JP5821567B2 - 表面処理方法 - Google Patents
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また、特許文献1に開示の方法においては、下記化学式に示す脱水縮合反応の促進は行われないため、ケイ素酸化物の被膜と母材の表面との結合力は十分とは言えなかった。
を備えることを特徴とする。
被処理部材の表面を改質して撥水性及び撥油性を付与するために、撥水性及び撥油性を有する撥水撥油性被膜を被処理部材の表面に被覆する表面処理が施される。しかしながら、このような撥水撥油性被膜は強度が低く、耐久性が不十分である場合があるため、そのような場合には、優れた表面性能(すなわち撥水性及び撥油性)が長期間にわたって維持されず、表面性能が低下するおそれがあった。
ここで、被処理部材の表面に優れた撥水性及び撥油性を付与する表面処理の方法について、図1を参照しながら説明する。本実施形態の表面処理は、金属(鉄,鋼,アルミニウム等)、樹脂(ゴム,プラスチック(例えば4,6−ナイロン、6,6−ナイロン)等)、ガラス、セラミック等で構成された被処理部材10の表面に優れた撥水性及び撥油性を付与する表面処理であって、下記のような3つの工程からなる。
次に、第二工程は、80℃以上100℃以下の被処理部材10に、2種の溶液を順次接触させることにより、被処理部材10の表面に金属酸化物からなる中間層20を形成する第一反応工程である。
被処理部材10は80℃以上100℃以下に加熱する必要があるが、80℃未満であると、第一の溶液の揮発成分の揮発に時間を要し、被処理部材10の表面から固形分が流出してしまうおそれがある。一方、100℃超過であると、金属アルコキシドの加水分解反応が十分に進行する前に第一の溶液の揮発成分が揮発してしまうため、金属アルコキシドの加水分解反応により生じた水酸基(OH基)と被処理部材10の母材との反応性が低下して、中間層20と被処理部材10の母材との化学結合が不十分となるおそれがある。その結果、撥水撥油性被膜が被処理部材10から脱落してしまうおそれがある。
すなわち、シリコンとフッ素化炭化水素基とを備えるフッ素系シランカップリング剤と、水と、炭素数が1個以上6個以下のアルコールと、を含有し且つpHが6以下である第三の溶液を、中間層20に接触させた上、pHが11以上13以下である第四の溶液をさらに接触させると、フッ素系シランカップリング剤の加水分解反応が生じて、水酸基が生成する。そして、さらにフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応により生じた水酸基と、中間層20の表面に存在する水酸基との間で脱水縮合反応が生じて、中間層20の上に撥水撥油層30が形成する。つまり、フッ素系シランカップリング剤が中間層20に化学結合することにより、撥水撥油層30が形成される。このようにして、中間層20の上に撥水撥油層30が積層された2層構造の撥水撥油性被膜が、被処理部材10の表面に被覆される。
金属アルコキシドの種類は、アルコキシ基の炭素数が1個以上6個以下のものであれば特に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,テトラメトキシチタネート,テトラエトキシチタネート,テトラプロポキシチタネート,テトラブトキシチタネート,トリメトキシアルミネート,トリエトキシアルミネート,トリプロポキシアルミネートがあげられる。
これらの金属アルコキシドや金属のハロゲン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
さらに、金属酸化物粒子に起因して中間層20の表面が凹凸状となるため、中間層20の表面積が大きい。その結果、撥水撥油層30の表面積も大きくなるとともに、高密度な撥水撥油層30が形成されることとなるので、撥水撥油層30の撥水性及び撥油性が高まるとともに、撥水撥油層30が中間層20に強固に結合する。
以下に、実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。高炭素クロム鋼第2種(SUJ2)製の平板(以降は鋼板と記す)の表面に、撥水性及び撥油性を有する撥水撥油性被膜を被覆する表面処理を施して、各種溶媒との接触角を測定した。なお、鋼板の寸法は、縦40mm、横50mm、厚さ1mmである。また、この鋼板は、熱処理により硬さをHRC60に調整してある。さらに、表面処理を施す鋼板の表面は、ラップ加工(超仕上げ加工)及びバフ研磨により平均表面粗さ(Ra)を0.001μmとしてある。
さらに、第三の溶液に相当する溶液Cは、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン16.0質量%、水5.5質量%、エタノール78.5質量%を混合し、塩酸によりpHを3.0に調整し、3時間静置したものである。
なお、溶液A及び溶液C(第一及び第三の溶液)のpHは、金属アルコキシドやフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応が最も促進されるpH3に調整した。また、溶液B(第二及び第四の溶液)のpHは、前記脱水縮合反応が最も促進されるpH12に調整した。
(実施例1)
鋼板をメタノール中で超音波洗浄し、乾燥させた。そして、クリーンオーブン中に5分間保持して、鋼板を80℃に加熱した。次に、80℃に加熱した鋼板を、約25℃の前記溶液Aに浸漬し引き上げた。すると、溶液Aの揮発成分が速やかに揮発するとともに、テトラエトキシシランの加水分解が促進されてシラノールになり、続いてシラノールの脱水縮重合によりシリカとなった。
溶液Aに浸漬する前にクリーンオーブンにて鋼板を加熱する温度を、80℃から100℃に変更した点を除いては、実施例1と同様に表面処理を施して、鋼板の表面に撥水撥油性被膜を被覆した。
(比較例1)
鋼板をメタノール中で超音波洗浄し、乾燥させた。そして、20℃の鋼板を、約25℃の前記溶液Aに浸漬し引き上げた。すると、溶液Aの揮発成分が揮発するとともに、テトラエトキシシランが加水分解されてシラノールになり、続いてシラノールの脱水縮重合によりシリカとなった。
溶液Aに浸漬する前にクリーンオーブンにて鋼板を加熱する温度を、80℃から40℃に変更した点を除いては、実施例1と同様に表面処理を施して、鋼板の表面に撥水撥油性被膜を被覆した。
(比較例3)
溶液Aに浸漬する前にクリーンオーブンにて鋼板を加熱する温度を、80℃から60℃に変更した点を除いては、実施例1と同様に表面処理を施して、鋼板の表面に撥水撥油性被膜を被覆した。
溶液Aに浸漬する前にクリーンオーブンにて鋼板を加熱する温度を、80℃から120℃に変更した点を除いては、実施例1と同様に表面処理を施して、鋼板の表面に撥水撥油性被膜を被覆した。
実施例1,2及び比較例1〜4においては、図1に示すように、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が鋼板の表面に対して化学結合された状態で形成され、その上に、フルオロアルキルトリシロキサンの単分子膜(撥水撥油層)が化学結合された状態で形成されている。
接触角の測定結果を表1及び図2のグラフに示す。なお、実施例1,2及び比較例1〜3の蒸留水の接触角は、撥水撥油性被膜の撥水性の高さから水滴が転がって鋼板の上に留まらなかったため、測定できなかった。ただし、図2のグラフにおいては、便宜上、実施例1,2及び比較例1〜3の蒸留水の接触角を180degとしてある。
80℃又は100℃に加熱した鋼板に溶液Aを接触させることにより、金属アルコキシドの加水分解が促進されて、金属ヒドロキシドが多量に生成されるので、金属ヒドロキシドの脱水縮合反応も促進されて、緻密なシリカ被膜が形成される。シリカ被膜の表面は水酸基を有しているため、この水酸基もシリカ被膜の表面に密に形成され、その結果、この水酸基と反応してシリカ被膜の上に形成される撥水撥油層も密に形成される。
なお、撥水撥油層が形成される反応は水酸基同士の脱水縮合反応であるため、シリカ被膜に未反応の金属アルコキシドが残留している場合には、撥水撥油層が形成される反応において、残留する金属アルコキシドが反応することはない。よって、金属アルコキシドの加水分解反応を促進することは、より緻密な撥水撥油性被膜を形成するために効果的である。
20 中間層
30 撥水撥油層
Claims (3)
- 撥水性及び撥油性を有する撥水撥油性被膜を被処理部材の表面に被覆する表面処理方法であって、
前記被処理部材を80℃以上100℃以下に加熱する加熱工程と、
80℃以上100℃以下の前記被処理部材に金属アルコキシドを接触させて、前記金属アルコキシドの加水分解反応及び脱水縮合反応を生じさせ、金属酸化物からなり前記被処理部材の母材と化学結合している中間層を前記被処理部材の表面に形成する第一反応工程と、
シリコンとフッ素化炭化水素基とを備えるフッ素系シランカップリング剤を前記中間層に接触させて、前記フッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応を生じさせ、前記中間層の上に撥水撥油層を積層して2層構造の前記撥水撥油性被膜を形成する第二反応工程と、
を備えることを特徴とする表面処理方法。 - 前記第一反応工程において、金属酸化物粒子を含有する金属アルコキシドを前記被処理部材に接触させることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
- 前記第一反応工程及び前記第二反応工程において、前記加水分解反応及び前記脱水縮合反応をpHの制御によって促進することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表面処理方法。
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