JP2012035411A - 表面改質構造 - Google Patents

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加奈子 森
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敦 横内
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Abstract

【課題】優れた耐久性を有する表面改質被膜を備えた表面改質構造を提供する。
【解決手段】純鉄板10に、テトラエトキシシランと水とエタノールと平均一次粒径が30nmのシリカ粒子とを含有し、塩酸によりpHを3.0に調整された溶液Aを塗布した後、溶液B(pH12の水酸化ナトリウム水溶液)をさらに塗布した。すると、純鉄板10の表面には、表面が凹凸状をなす中間層20が形成された。次に、この純鉄板10を、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランと水とエタノールとを含有し、塩酸によりpHを3.0に調整された溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら純鉄板10を引き上げて、溶液B中に30分間浸漬した。すると、中間層20の上に撥水撥油層30が形成された純鉄板10が得られた。
【選択図】図1

Description

本発明は、母材の表面を改質する表面改質構造に関する。
表面の改質方法としては、例えば以下のような方法が知られている。まず、特許文献1には、シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応により、ケイ素酸化物の被膜を母材の表面に化学結合させて被覆する方法が開示されている。この方法においては、下記化学式に示す加水分解反応を、塩酸によって促進させている。
Figure 2012035411
また、特許文献2には、フッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応により、フッ素化炭化水素基を有する撥水撥油性被膜を母材の表面に化学結合させて被覆する方法が開示されている。特許文献2に開示の方法においては、上記化学式に示す加水分解反応を、塩酸及びアミン系触媒によって促進させている。また、撥水撥油性被膜を高温で焼成することにより、母材との結合力を向上させている。
特開平10−94484号公報 特開平11−158648号公報
しかしながら、特許文献1,2に開示の方法で得られた被膜は、耐久性が不十分である場合があった。
また、特許文献1に開示の方法においては、下記化学式に示す脱水縮合反応の促進は行われないため、ケイ素酸化物の被膜と母材の表面との結合力は十分とは言えなかった。
Figure 2012035411
さらに、特許文献2に開示の方法においては、焼成によって撥水撥油性被膜と母材の表面との結合力を向上させるが、樹脂製部材に対してその方法を適用した場合には、高温への暴露によって樹脂製部材が変形等の損傷を受けるおそれがあった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、優れた耐久性を有する表面改質被膜を備えた表面改質構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る表面改質構造は、母材の表面に被覆されて前記母材の表面を改質する表面改質被膜を備える表面改質構造において、前記表面改質被膜は前記母材と化学結合しており、且つ、プラズマ処理が施されていることを特徴とする。
上記のような本発明に係る表面改質構造においては、前記表面改質被膜は、金属酸化物からなり前記母材と化学結合している中間層と、前記中間層の上に積層された撥水撥油層との2層構造を有していることが好ましい。
また、前記中間層は金属酸化物粒子を含有しており、それにより前記中間層の表面に凹凸が形成されていることが好ましい。
さらに、前記中間層は、金属アルコキシドの加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであり、前記撥水撥油層は、シリコンとフッ素化炭化水素基とを備えるフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであることが好ましい。
さらに、前記加水分解反応及び前記脱水縮合反応は、pHの制御によって促進されていることが好ましい。
本発明の表面改質構造は、優れた耐久性を有する表面改質被膜を備えているので、優れた表面性能が長期間にわたって発揮される。
表面改質被膜の構造を説明する概念図である。
本発明に係る表面改質構造の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、表面改質処理が施されて表面に形成された表面改質被膜(中間層及び撥水撥油層)の構造を説明する概念図である。
部材(本発明の構成要件である母材に相当する)の表面を改質して所定の表面性能を付与するために、表面改質被膜を被覆する表面改質処理が施される。例えば、部材の表面に撥水性及び撥油性を有する表面改質被膜を被覆して、部材の表面に撥水性及び撥油性を付与する表面改質処理が知られている。
しかしながら、このような表面改質被膜は強度が低く、耐久性が不十分である場合があるため、そのような場合には、優れた表面性能が長期にわたって維持されず、表面性能が低下するおそれがあった。
このような場合には、表面改質被膜を部材の表面に被覆する際に、表面改質被膜を部材の表面に化学結合させるとともに、被覆された表面改質被膜にプラズマ処理を施すとよい。化学結合により表面改質被膜が部材の表面に強固に結合することに加えて、プラズマ処理により表面改質被膜の強度が高くなるため、表面改質被膜の耐久性が向上する。その結果、優れた表面性能が長期にわたって発揮される。
ここで、部材の表面に優れた撥水性及び撥油性を付与する表面改質処理の方法について、図1を参照しながら説明する。本実施形態の表面改質処理は、金属(鉄,鋼,アルミニウム等)、樹脂(ゴム,プラスチック等)、ガラス、セラミック等で構成された部材の表面に優れた撥水性及び撥油性を付与する表面改質処理であって、下記のような3つの工程からなる。
まず、第一工程は、2種の溶液を順次接触させることにより、部材10の表面に金属酸化物からなる中間層20を形成する工程である。
すなわち、シリコン,チタン,及びアルミニウムのうち少なくとも1種の金属と炭素数が1個以上6個以下のアルコキシ基とを備える金属アルコキシドと、水と、炭素数が1個以上6個以下のアルコールと、平均粒径が1nm以上200nm以下の金属酸化物粒子と、を含有し且つpHが6以下である第一の溶液を部材10に接触させて、第一の溶液の溶質及び固形分を部材10の表面に付着させる。そして、そこにpHが11以上13以下である第二の溶液をさらに接触させると、反応が生じて、前記金属の酸化物(すなわち、シリコン,チタン,及びアルミニウムのうち少なくとも1種の金属の酸化物)からなる中間層20が、部材10の表面に対して化学結合された状態で形成する。
この化学結合は、部材10の表面に存在する水酸基を介して行われる。よって、表面に存在する水酸基が少ない部材10(例えば樹脂製の部材)に対しては、第一工程の前に、部材10の表面に親水化処理を施して、水酸基の数を増加させることが好ましい。親水化処理の種類は特に限定されるものではないが、例えば、プラズマ処理,グロー放電,コロナ放電,紫外線照射等により表面に水酸基を形成する処理があげられる。
次に、第二工程は、部材10の表面に形成された中間層20に2種の溶液を順次接触させることにより、中間層20の上に撥水撥油層30を形成する工程である。
すなわち、シリコンとフッ素化炭化水素基とを備えるフッ素系シランカップリング剤と、水と、炭素数が1個以上6個以下のアルコールと、を含有し且つpHが6以下である第三の溶液を、中間層20に接触させた上、pHが11以上13以下である第四の溶液をさらに接触させると、中間層20とフッ素系シランカップリング剤との反応が生じて、中間層20の上に撥水撥油層30が形成する。
次に、第三工程は、部材10の表面に形成された中間層20と撥水撥油層30からなる表面改質被膜に、プラズマ処理を施す工程である。プラズマ処理により、表面改質被膜の強度が向上する。プラズマ処理の条件は、表面改質被膜の強度が向上するように適宜設定すればよい。なお、プラズマ処理の圧力条件は特に限定されるものではなく、大気圧でもよいし、減圧でもよい。
第一工程において、第一の溶液のpHを6以下とすることにより、金属アルコキシドの加水分解が促進される。また、第二の溶液のpHを11以上13以下とすることにより、金属アルコキシドの前記加水分解により生じた水酸基(OH基)と、部材10の表面に存在する水酸基(OH基)との脱水縮合反応が促進される。その結果、中間層20は、部材10の表面に対して化学的に強固に結合された状態で形成される。
さらに、第一工程においては、中間層20が部材10の表面に形成する際に、第一の溶液に含有されている金属酸化物粒子が部材10の表面に結合するため、高密度な中間層20が形成される。また、金属酸化物粒子に起因して、中間層20の表面が凹凸状となるため、中間層20の表面積率(表面が平滑面である場合の表面積に対する比率)が大きくなる。そうすると、第二工程で積層される撥水撥油層30の表面積率も大きくなるとともに、高密度な撥水撥油層30が形成されることとなるので、撥水撥油層30の撥水性及び撥油性が高まるとともに、撥水撥油層30が中間層20に強固に結合する。なお、このような効果を得るためには、前記表面積率は1.1以上であることが好ましい。表面積率が1.1以上であれば、水や潤滑油(例えばポリα−オレフィン)との接触角が90deg以上の撥水撥油性を得ることができる。
金属アルコキシドの種類は、アルコキシ基の炭素数が1個以上6個以下のものであれば特に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,テトラメトキシチタネート,テトラエトキシチタネート,テトラプロポキシチタネート,テトラブトキシチタネート,トリメトキシアルミネート,トリエトキシアルミネート,トリプロポキシアルミネートがあげられる。
また、金属アルコキシドは、上記のようなアルコキシ基のみを備えるものに限らず、アルコキシ基とアルキル基又はハロゲン基とを備えるものを用いてもよい。例えば、上記の各種金属アルコキシドが備える複数のアルコキシ基のうち1〜3個(金属がアルミニウムの場合は1〜2個)が、炭素数が1個以上6個以下のアルキル基(例えばメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基)やハロゲン基(例えばフッ素,塩素,臭素,ヨウ素)に置き換わったものを用いてもよい。
具体的には、モノメチルトリメトキシ金属化合物,モノメチルトリエトキシ金属化合物,モノエチルトリメトキシ金属化合物,モノエチルトリエトキシ金属化合物等のモノアルキルトリアルコキシ金属化合物があげられる。また、ジメチルジメトキシ金属化合物,ジメチルジエトキシ金属化合物,ジエチルジメトキシ金属化合物,ジエチルジエトキシ金属化合物等のジアルキルジアルコキシ金属化合物があげられる。さらに、トリメチルメトキシ金属化合物,トリメチルエトキシ金属化合物,トリエチルメトキシ金属化合物,トリエチルエトキシ金属化合物等のトリアルキルアルコキシ金属化合物があげられる。さらに、モノハロトリアルコキシ金属化合物,ジハロジアルコキシ金属化合物,トリハロモノアルコキシ金属化合物があげられる。
さらに、金属アルコキシドの代わりに金属のハロゲン化合物を用いることも可能である。すなわち、シリコン,チタン,アルミニウムのフッ化物,塩化物,臭化物,ヨウ化物である。具体例としては、テトラクロロシランがあげられる。
これらの金属アルコキシドや金属のハロゲン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
さらに、第一の溶液には、炭素数が1個以上6個以下の低級アルコールを使用するが、低級アルコールを含有することにより金属アルコキシドの溶解性が高められ、安定した溶液が得られる。低級アルコールの例としては、メタノール,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,ブタノール,ヘキサノール,シクロヘキサノールがあげられるが、エタノールがより好ましい。
さらに、金属酸化物粒子の種類は特に限定されるものではなく、シリカ,チタニア,アルミナの他、マグネシア,酸化カルシウム,酸化亜鉛等の微粒子を使用することができる。ただし、金属酸化物粒子の金属種は、金属アルコキシドや金属のハロゲン化合物が備える金属の種類と同一であることが好ましい。すなわち、金属酸化物粒子としては、シリカ,チタニア,アルミナが好ましい。
金属酸化物粒子の平均粒径(平均一次粒径)は、1nm以上200nm以下であることが好ましい。1nm未満であると、前述の表面積率を大きくする効果が小さくなり、200nm超過であると、金属酸化物粒子が部材10の表面から脱落しやすくなる。このような不都合がより生じにくくするためには、金属酸化物粒子の平均粒径は2nm以上100nm以下であることがより好ましく、2nm以上80nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上50nm以下であることが特に好ましい。
また、第一の溶液中の金属酸化物粒子の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、高密度な中間層20が形成されにくくなり、5質量%超過であると、部材10の表面に金属酸化物粒子が過度に重なった状態で堆積することとなり、それに伴って金属酸化物粒子が部材10の表面から脱落しやすくなる。
金属酸化物粒子の形状は特に限定されるものではなく、球形,矩形,扁平形,繊維状,ウィスカー状等のものを問題なく使用することができる。例えば、繊維状のものであれば、繊維長が1nm以上200nm以下のものを使用するとよい。また、異なる形状の複数種の金属酸化物粒子を混合して用いることもできる。さらに、金属酸化物粒子は多孔質であってもよい。
第一の溶液の組成の一例を示すと、1質量%以上10質量%以下の金属アルコキシドと、1質量%以上20質量%以下の水と、30質量%以上95質量%以下のアルコールと、0.1質量%以上5質量%以下の金属酸化物粒子とを混合し、塩酸等の酸によりpHを6以下に調整したものがあげられる。この場合は、酸以外の成分を予め混合し、金属酸化物粒子が均一になるように数十分間〜数時間撹拌した後に、最後に酸を用いてpHの調整を行うことが好ましい。
第二の溶液は、pHの条件が満たされていれば特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩を含有する水溶液が好ましい。例えば、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩,炭酸水素塩の水溶液や、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液が好適であり、水酸化ナトリウム水溶液が特に好適である。なお、各種のpH緩衝剤を併用してもよい。
次に、第二工程において、第三の溶液のpHを6以下とすることにより、フッ素系シランカップリング剤の加水分解が促進される。また、第四の溶液のpHを11以上13以下とすることにより、フッ素系シランカップリング剤の前記加水分解により生じた水酸基(OH基)と、中間層20の表面に存在する水酸基(OH基)との脱水縮合反応が促進される。その結果、撥水撥油層30は、中間層20の表面に対して化学的に強固に結合された状態で形成される。
フッ素系シランカップリング剤の種類は、シリコンとフッ素炭化水素基とを備えているならば特に限定されるものではないが、フッ素系シランカップリング剤の具体例としては、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロトリクロロシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロドデシルトリエトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシランがあげられる。
さらに、第三の溶液には、炭素数が1個以上6個以下の低級アルコールを使用するが、低級アルコールを含有することによりフッ素系シランカップリング剤の溶解性が高められ、安定した溶液が得られる。低級アルコールの例としては、メタノール,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,ブタノール,ヘキサノール,シクロヘキサノールがあげられるが、エタノールがより好ましい。
さらに、第四の溶液は、pHの条件が満たされていれば特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩を含有する水溶液が好ましい。例えば、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩,炭酸水素塩の水溶液や、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液が好適であり、水酸化ナトリウム水溶液が特に好適である。なお、各種のpH緩衝剤を併用してもよい。
このような表面改質処理が施された部材10は、表面改質被膜により優れた撥水性及び撥油性が付与されている。また、この表面改質被膜は、部材10の表面に化学的に強固に結合された状態で形成されていることに加えて、プラズマ処理により高強度化されているので、優れた耐久性を有している。よって、優れた撥水性及び撥油性が長期間にわたって発揮される。
さらに、金属酸化物粒子に起因して中間層20の表面が凹凸状となるため、中間層20の表面積が大きい。その結果、撥水撥油層30の表面積も大きくなるとともに、高密度な撥水撥油層30が形成されることとなるので、撥水撥油層30の撥水性及び撥油性が高まるとともに、撥水撥油層30が中間層20に強固に結合する。
さらに、高温での焼成ではなく、酸やアルカリを用いたpH制御によって表面改質処理を行うので、高温への暴露によって変形等の損傷を受けるおそれがある樹脂製部材に対しても、本実施形態の表面改質処理を施すことができる。
〔実施例〕
以下に、実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。種々の材質からなる平板に、種々の表面改質処理を施して、水又は潤滑油との接触角を測定した。
まず、第一〜第四の溶液に相当する溶液A〜Dについて説明する。第一の溶液に相当する溶液Aは、テトラエトキシシラン6.1質量%、水6.1質量%、エタノール87.0質量%、平均一次粒径が30nmのシリカ粒子0.8質量%を混合し、塩酸によりpHを3.0に調整して、30分間放置したものである。
また、第二及び第四の溶液に相当する溶液Bは、pH12の水酸化ナトリウム水溶液である。さらに、第三の溶液に相当する溶液Cは、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン16.0質量%、水5.5質量%、エタノール78.5質量%を混合し、塩酸によりpHを3.0に調整して、3時間放置したものである。
さらに、第一の溶液に相当する溶液D(ただし金属酸化物粒子は含有していない)は、テトラエトキシシラン6.1質量%、水6.1質量%、エタノール87.8質量%を混合し、塩酸によりpHを3.0に調整して、30分間放置したものである。
なお、溶液A,C,DのpHは、金属アルコキシドやフッ素系シランカップリング剤の前記加水分解反応が最も促進されるpH=3に調整した。また、溶液BのpHは、前記脱水縮合反応が最も促進されるpH=12に調整した。
これらの溶液を用いて種々の表面改質処理を行い、16種の平板(実施例1〜8及び比較例1〜8)を得た。以下に、各平板に施した表面改質処理の内容を説明する。なお、実施例の各樹脂製平板については、表面改質処理の前処理として、プラズマ処理による親水化処理を施してある。これにより、樹脂製平板の表面に多数の水酸基を形成させた。
まず、実施例1の表面改質処理について説明する。純鉄板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られた純鉄板の表面には、フッ素化炭化水素基を有する撥水撥油被膜(撥水撥油層)が形成されていた。
次に、実施例2の表面改質処理について説明する。純鉄板を約25℃の溶液Dに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られた純鉄板の表面には、表面が平滑なシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、この純鉄板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成された純鉄板が得られた。
次に、実施例3の表面改質処理について説明する。純鉄板に約25℃の溶液Aを塗布し、さらに約25℃の溶液Bを塗布した。そして、30分間放置した後、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られた純鉄板の表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、この純鉄板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成された純鉄板が得られた。
次に、実施例4の表面改質処理について説明する。純鉄板に約25℃の溶液Aを塗布し、さらに約25℃の溶液Bを塗布した。そして、30分間放置した後、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力300Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られた純鉄板の表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、この純鉄板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力300Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成された純鉄板が得られた。
次に、実施例5の表面改質処理について説明する。ガラス板に約25℃の溶液Aを塗布し、さらに約25℃の溶液Bを塗布した。そして、30分間放置した後、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られたガラス板の表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、このガラス板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成された純鉄板が得られた。
次に、実施例6の表面改質処理について説明する。プラズマ処理による親水化処理を施したポリアミド66板(以降はPA66板と記す)に、約25℃の溶液Aを塗布し、さらに約25℃の溶液Bを塗布した。そして、30分間放置した後、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られたPA66板の表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、このPA66板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成されたPA66板が得られた。
次に、実施例7の表面改質処理について説明する。プラズマ処理による親水化処理を施したポリアミド46板(以降はPA46板と記す)に約25℃の溶液Aを塗布し、さらに約25℃の溶液Bを塗布した。そして、30分間放置した後、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られたPA46板の表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、このPA46板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成されたPA46板が得られた。
次に、実施例8の表面改質処理について説明する。プラズマ処理による親水化処理を施したポリエチレンテレフタレート板(以降はPET板と記す)に約25℃の溶液Aを塗布し、さらに約25℃の溶液Bを塗布した。そして、30分間放置した後、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られたPET板の表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、このPET板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノールで洗浄した。エタノールが乾燥したら、出力600Wの大気圧プラズマを30秒間照射して、プラズマ処理を施した。そして、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成されたPET板が得られた。
次に、比較例1の表面改質処理について説明する。純鉄板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られた純鉄板の表面には、フッ素化炭化水素基を有する撥水撥油被膜(撥水撥油層)が形成されていた。
次に、比較例2の表面改質処理について説明する。純鉄板を約25℃の溶液Dに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られた純鉄板の表面には、表面が平滑なシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、この純鉄板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成された純鉄板が得られた。
次に、比較例3の表面改質処理について説明する。純鉄板に約25℃の溶液Aを塗布し、さらに約25℃の溶液Bを塗布した。そして、30分間放置した後、エタノール中で超音波洗浄を行った。得られた純鉄板の表面には、表面が凹凸状をなすシリカ被膜(中間層)が形成されていた。
次に、この純鉄板を約25℃の溶液Cに浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、速やかに約25℃の溶液B中に入れ浸漬した。30分間浸漬したら引き上げて、エタノール中で超音波洗浄を行った。すると、シリカ被膜の上に撥水撥油層が形成された純鉄板が得られた。
実施例2〜8及び比較例2,3においては、図1に示すように、シリカ被膜(中間層)が平板の表面に対して化学結合された状態で形成され、その上に、フルオロアルキルトリシロキサンの単分子膜(撥水撥油層)が化学結合された状態で形成されている。そして、実施例3〜8及び比較例3では、シリカ被膜の表面は凹凸状をなしているが、実施例2及び比較例2では、シリカ被膜の表面は平坦である。
また、実施例1及び比較例1においては、シリカ被膜は存在せず、平板の表面にフルオロアルキルトリシロキサンの単分子膜が直接的に化学結合された状態で形成されている。 なお、比較例4〜8の平板は、表面改質処理を全く施していないものである。比較例4は純鉄板、比較例5はガラス板、比較例6はPA66板、比較例7はPA46板、比較例8はPET板である。
これら実施例及び比較例の平板について、その表面と水又は潤滑油との接触角を測定した。水は蒸留水であり、潤滑油は100℃における動粘度が8mm2 /sのポリα−オレフィン油(PAO)である。
また、接触角の測定は、表面改質処理を施したままの平板(比較例4〜8については未処理の平板)に加えて、表面改質処理の後にJIS番号8029の引き剥がし試験を10回実施した後の平板についても行った。
測定方法は以下の通りである。すなわち、平板の表面に水又は潤滑油を滴下して、その液滴と平板の表面との接触角を測定した。雰囲気温度は25℃であり、接触角の測定は水又は潤滑油の滴下20秒後に行った。
結果を表1に示す。なお、表1の「初期の接触角」とは、表面改質処理を施したままの平板(比較例4〜8については未処理の平板)について測定した接触角である。また、実施例3〜8の水の接触角は、撥水性の高さから水滴が転がって平板の上に留まらなかったため、測定できなかった。
Figure 2012035411
表1の結果から分かるように、実施例1〜8は、プラズマ処理を施していない比較例1〜3や表面改質処理を施していない比較例4〜8と比べて、優れた撥水撥油性を有していた。また、実施例2〜8は、中間層が形成されていない実施例1と比べて、優れた撥水撥油性を有していた。さらに、実施例3〜8は、金属酸化物粒子を含まない中間層が形成されている実施例2と比べて、優れた撥水撥油性を有していた。
10 部材
20 中間層
30 撥水撥油層

Claims (5)

  1. 母材の表面に被覆されて前記母材の表面を改質する表面改質被膜を備える表面改質構造において、前記表面改質被膜は前記母材と化学結合しており、且つ、プラズマ処理が施されていることを特徴とする表面改質構造。
  2. 前記表面改質被膜は、金属酸化物からなり前記母材と化学結合している中間層と、前記中間層の上に積層された撥水撥油層との2層構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の表面改質構造。
  3. 前記中間層は金属酸化物粒子を含有しており、それにより前記中間層の表面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の表面改質構造。
  4. 前記中間層は、金属アルコキシドの加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであり、前記撥水撥油層は、シリコンとフッ素化炭化水素基とを備えるフッ素系シランカップリング剤の加水分解反応及び脱水縮合反応により生成したものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の表面改質構造。
  5. 前記加水分解反応及び前記脱水縮合反応は、pHの制御によって促進されていることを特徴とする請求項4に記載の表面改質構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106277839A (zh) * 2015-05-15 2017-01-04 中国科学院理化技术研究所 一种具有超双疏自清洁及减反增透性能的复合薄膜及其制备方法
JP2021038471A (ja) * 2012-03-26 2021-03-11 シルコテック コーポレーション コーティングされた物品及び化学蒸着方法
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