JP2019064892A - エアロゲル複合体パウダー及び撥水材 - Google Patents

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Abstract

【課題】撥水性と水への分散性を両立し、密着性及び柔軟性に優れる撥水パウダーを提供すること。【解決手段】エアロゲル成分とシリカ粒子とを含有し、上記エアロゲル成分が、エポキシ基、メルカプト基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも一種の極性基を有する、エアロゲル複合体パウダー。【選択図】図1

Description

本開示は、エアロゲル複合体パウダー及び撥水材に関する。
従来、ガラス、プラスチックス製品などの透明性を有する基材に撥水性能を付与することは、水滴の付着を最小限に抑え視界を確保する目的から、多くの製品に要求されている。通常、撥水性能は、基材の表面に撥水性に優れたコーティング材により被膜(以下、「撥水膜」という)を形成することにより得られるものである。撥水膜とは、一般的に、水の接触角が90°以上になる被膜のことをいう。
撥水膜を形成する材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びその誘導体が知られている。しかしながら、PTFEは、硬化させるための温度が数百度以上であるため、適用する箇所及び基材が限定されている。
また、特許文献1及び2には、フルオロアルキルシランを用いて撥水膜を形成することが記載されている。
また、特許文献3及び4には、含フッ素ナノ粒子の分散液を用いて撥水性を付与することが記載されている。
特開2002−105661号公報 特開2000−81214号公報 特開2016−44092号公報 特許第5996056号公報
フルオロアルキルシランから形成される撥水膜は、基材への密着性が充分ではないため、フルオロアルキルシランを基材に塗布して、柔軟性に優れる撥水膜を形成することは難しい。撥水性を有するパウダーを用いて撥水性を付与することもできるが、水への分散に難があるため、有機溶剤を使用する必要があり、環境負荷が大きい。また、水に分散できるパウダーは、撥水性に乏しいことが一般的である。そのため、撥水性と水への分散性とを両立し、密着性及び柔軟性に優れる撥水材料が求められている。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、撥水性と水への分散性を両立し、密着性及び柔軟性に優れる撥水パウダーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のエアロゲル複合体パウダーが、水への分散が可能で、優れた密着性、柔軟性及び撥水性を発現できることを見出し、本発明の完成に至った。
本開示は、エアロゲル成分とシリカ粒子とを含有し、エアロゲル成分が、エポキシ基、メルカプト基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも一種の極性基を有する、エアロゲル複合体パウダーを提供する。本開示に係るエアロゲル複合体パウダーは、水への分散が可能で、優れた密着性、柔軟性、及び撥水性を有する。
エアロゲル複合体パウダーは、エアロゲル成分及びシリカ粒子より形成された三次元網目骨格と、細孔とを有することができる。これにより、柔軟性や撥水性を更に向上し易くなる。
エアロゲル複合体パウダーは、シリカ粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であってもよい。このようなエアロゲル複合体パウダーは、柔軟性や撥水性を更に向上し易くなる。
シリカ粒子の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができる。また、シリカ粒子は、非晶質シリカ粒子であってもよい。さらに、非晶質シリカ粒子は、溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
エアロゲル複合体パウダーは、シラン粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であってもよい。
エアロゲル成分は、一般式(1)で表される構造を有していてもよい。式(1)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。
また、エアロゲル成分は、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、橋かけ部は下記一般式(2)で表される構造を有していてもよい。式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。
さらに、エアロゲル成分は、下記一般式(3)で表されるラダー型構造を有していてもよい。式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1〜3000の整数を示し、bは1〜50の整数を示す。
本開示において、エアロゲル複合体パウダーの平均粒子径D50は1〜1000μmとすることができる。これにより、被着体の被処理面への撥水膜の形成性及び密着性が更に向上する。
本開示はまた、上記エアロゲル複合体パウダーを含む、撥水材を提供する。
本発明によれば、撥水性及び柔軟性に優れたエアロゲル複合体パウダー及びそれを用いた撥水材を提供することができる。本発明のエアロゲル複合体パウダーは、低温で被処理面に撥水性を付与することができるので、耐熱性を有しない被着体にも優れた撥水性を付与することができる。また、このエアロゲル複合体パウダーは柔軟性や被着体への密着性に優れ、撥水性の機能を長期間維持することができる。さらに、水にも分散することから、有機溶剤を使わずに環境負荷の低減が可能となる。
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーの微細構造を模式的に表す図である。 粒子の二軸平均一次粒子径の算出方法を示す図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。
ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。「A又はB」とは、A及びBのいずれか一方を含んでいればよく、両方を含んでいてもよい。本実施形態で例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<エアロゲル複合体パウダー>
狭義には、湿潤ゲルに対して超臨界乾燥法を用いて得られた乾燥ゲルをエアロゲル、大気圧下での乾燥により得られた乾燥ゲルをキセロゲル、凍結乾燥により得られた乾燥ゲルをクライオゲルと称するが、本実施形態においては、湿潤ゲルのこれらの乾燥手法によらず、得られた低密度の乾燥ゲルを「エアロゲル」と称する。すなわち、本実施形態においてエアロゲルとは、広義のエアロゲルである「Gel comprised of a microporous solid in which the dispersed phase is gas(分散相が気体である微多孔性固体から構成されるゲル)」を意味するものである。一般的にエアロゲルの内部は網目状の微細構造となっており、2〜20nm程度のエアロゲル粒子(エアロゲルを構成する粒子)が結合したクラスター構造を有している。このクラスターにより形成される骨格間には、100nmに満たない細孔がある。これにより、エアロゲルは、三次元的に微細な多孔性の構造をしている。なお、本実施形態におけるエアロゲルは、例えば、シリカを主成分とするシリカエアロゲルである。シリカエアロゲルとしては、例えば、有機基(メチル基等)又は有機鎖を導入した、いわゆる有機−無機ハイブリッド化されたシリカエアロゲルが挙げられる。なお、本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダー(粉末状(パウダー状)エアロゲル、ということもできる)は、上記エアロゲルの特徴であるクラスター構造を有しており、三次元的に微細な多孔性の構造を有するパウダーである。
本実施形態のエアロゲル複合体パウダーは、エポキシ基(例えば、グリシドキシ基)、メルカプト基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも一種の極性基(以下、場合により「特定の極性基」という。)を有するエアロゲル成分を含有する。エアロゲルに特定の極性基を導入することで、水への分散が可能で、優れた密着性、柔軟性、及び撥水性を発現できる。
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーは、エアロゲル成分及びシリカ粒子を含有するエアロゲル複合体であってもよい。なお、必ずしもこれと同じ概念を意味するものではないが、本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーは、三次元網目骨格を構成する成分としてシリカ粒子を含有するものである、と表現することも可能である。本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーは、後述するとおり撥水性と柔軟性とに優れている。特に、柔軟性が優れていることにより密着性が優れる撥水パウダーとして好適に用いることができる。なお、このようなエアロゲル複合体パウダーは、エアロゲルの製造環境中にシリカ粒子を存在させることにより得られるものである。そしてシリカ粒子を存在させることによるメリットは、エアロゲル複合体パウダー自体の撥水性、柔軟性等を向上できることのみならず、後述する湿潤ゲル生成工程の時間短縮、あるいは洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能であることにもある。なお、この工程の時間短縮及び工程の簡略化は、柔軟性が優れるエアロゲル複合体パウダーを作製する上で必ずしも求められることではない。
本実施形態において、エアロゲル成分とシリカ粒子との複合化態様は様々である。例えば、エアロゲル成分は膜状等の不定形であってもよく、粒子状(エアロゲル粒子)であってもよい。いずれの態様においても、エアロゲル成分が様々な形態になりシリカ粒子間に存在しているため、エアロゲルの骨格に柔軟性が付与されていると推察される。
まず、エアロゲル成分とシリカ粒子の複合化態様としては、不定形のエアロゲル成分がシリカ粒子間に介在する態様が挙げられる。このような態様としては、具体的には、例えばシリカ粒子が膜状のエアロゲル成分(シリコーン成分)により被覆された態様(エアロゲル成分がシリカ粒子を内包する態様)、エアロゲル成分がバインダーとなりシリカ粒子同士が連結された態様、エアロゲル成分が複数のシリカ粒子間隙を充填している態様、これらの態様の組み合わせの態様(クラスター状に並んだシリカ粒子がエアロゲル成分により被覆された態様等)、など様々な態様が挙げられる。このように、本実施形態においてエアロゲル複合体パウダーは、三次元網目骨格がシリカ粒子とエアロゲル成分(シリコーン成分)から構成されることができ、その具体的態様(形態)に特に制限はない。
一方、後述するように、本実施形態においてエアロゲル成分は、不定形ではなく図1のように明確な粒子状となってシリカ粒子と複合化していてもよい。
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーにおいてこのような様々な態様が生じるメカニズムは必ずしも定かではないが、本発明者は、ゲル化工程におけるエアロゲル成分の生成速度が関与していると推察している。例えば、シリカ粒子のシラノール基数を変動させることによってエアロゲル成分の生成速度が変動する傾向がある。また、系のpHを変動させることによってもエアロゲル成分の生成速度が変動する傾向がある。
このことは、シリカ粒子のサイズ、形状、シラノール基数、系のpH等を調整することにより、エアロゲル複合体パウダーの態様(三次元網目骨格のサイズ、形状、化学構造等)を制御できることを示唆する。したがって、エアロゲルの密度、気孔率等の制御が可能となり、エアロゲルの断熱性、柔軟性、樹脂の耐浸透性等を制御することができると考えられる。なお、エアロゲル複合体パウダーの三次元網目骨格は、上述した様々な態様の一種類のみから構成されていてもよいし、二種以上の態様から構成されていてもよい。
以下、図1を例にとり、本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーについて説明するが、上述のとおり本開示は図1の態様に限定されるものではない。ただし、上記いずれの態様にも共通する事項(シリカ粒子の種類、サイズ、含有量等)については、以下の記載を適宜参照することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーの微細構造を模式的に表す図である。図1に示されるように、エアロゲル複合体10は、エアロゲル成分を構成するエアロゲル粒子1が部分的にシリカ粒子2を介して三次元的にランダムに連なることにより形成される三次元網目骨格と、当該骨格に囲まれた細孔3とを有する。この際、シリカ粒子2はエアロゲル粒子1間に介在し、三次元網目骨格を支持する骨格支持体として機能していると推察される。したがって、このような構造を有することにより、エアロゲルとしての断熱性及び柔軟性を維持しつつ、適度な強度がエアロゲルに付与されることになると考えられる。すなわち、本実施形態において、エアロゲル複合体パウダーは、シリカ粒子がエアロゲル粒子を介して三次元的にランダムに連なることにより形成される三次元網目骨格を有していてもよい。また、シリカ粒子はエアロゲル粒子により被覆されていてもよい。なお、上記エアロゲル粒子(エアロゲル成分)はケイ素化合物から構成されるため、シリカ粒子への親和性が高いと推察される。そのため、本実施形態においてはエアロゲルの三次元網目骨格中にシリカ粒子を導入することに成功したと考えられる。この点においては、シリカ粒子のシラノール基も、両者の親和性に寄与していると考えられる。
エアロゲル粒子1は、複数の一次粒子から構成される二次粒子の態様を取っていると考えられており、概ね球状である。エアロゲル粒子1の平均粒子径(すなわち二次粒子径)は2nm〜50μmとすることができるが、5nm〜2μmであってもよく、又は10nm〜200nmであってもよい。エアロゲル粒子1の平均粒子径が2nm以上であることにより、柔軟性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなり、一方平均粒子径が50μm以下であることにより、断熱性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなる。なお、エアロゲル粒子1を構成する一次粒子の平均粒子径は、低密度の多孔質構造の2次粒子を形成し易いという観点から、0.1nm〜5μmとすることができるが、0.5nm〜200nmであってもよく、又は1nm〜20nmであってもよい。
シリカ粒子2としては特に制限なく用いることができ、例えば、非晶質シリカ粒子が挙げられる。非晶質シリカ粒子としては、溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。これらのうち、コロイダルシリカ粒子は単分散性が高く、ゾル中での凝集を抑制し易い。なお、シリカ粒子2としては、中空構造、多孔質構造等を有するシリカ粒子であってもよい。
シリカ粒子2の形状は特に制限されず、球状、繭型、会合型等が挙げられる。これらのうち、シリカ粒子2として球状の粒子を用いることにより、ゾル中での凝集を抑制し易くなる。シリカ粒子2の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができるが、5〜300nmであってもよく、又は20〜100nmであってもよい。シリカ粒子2の平均一次粒子径が1nm以上であることにより、適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなる。一方、平均一次粒子径が500nm以下であることにより、撥水性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなる。
エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)とシリカ粒子2とは、水素結合又は化学結合の態様を取って結合していると推測される。この際、水素結合又は化学結合は、エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)のシラノール基又は極性基と、シリカ粒子2のシラノール基により形成されると考えられる。そのため、結合の態様が化学結合であると、適度な強度をエアロゲルに付与し易いと考えられる。このことから考えると、エアロゲル成分と複合化させる粒子として、シリカ粒子に限らず、粒子表面にシラノール基を有する無機粒子又は有機粒子も用いることができる。
シリカ粒子2の1g当りのシラノール基数は、10×1018〜1000×1018個/gとすることができるが、50×1018〜800×1018個/gであってもよく、又は100×1018〜700×1018個/gであってもよい。シリカ粒子2の1g当りのシラノール基数が10×1018個/g以上であることにより、エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)とのより良好な反応性を有することができ、耐収縮性に優れるエアロゲル複合体パウダーを得易くなる。一方、シラノール基数が1000×1018個/g以下であることにより、ゾル作製時における急なゲル化を抑制し易くなり、均質なエアロゲル複合体パウダーが得易くなる。
本実施形態において、粒子の平均粒子径(エアロゲル粒子の平均二次粒子径及びシリカ粒子の平均一次粒子径)は、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」と略記する。)を用いてエアロゲル複合体の断面を直接観察することにより得ることができる。例えば、三次元網目骨格からは、その断面の直径に基づきエアロゲル粒子又はシリカ粒子個々の粒子径を得ることができる。ここでいう直径とは、三次元網目骨格を形成する骨格の断面を円とみなした場合の直径を意味する。また、断面を円とみなした場合の直径とは、断面の面積を同じ面積の円に置き換えたときの当該円の直径のことである。なお、平均粒子径の算出に当たっては、100個の粒子について円の直径を求め、その平均を取るものとする。
なお、シリカ粒子については原料から平均粒子径を測定することが可能である。例えば、二軸平均一次粒子径は、任意の粒子20個をSEMにより観察した結果から、次のようにして算出される。すなわち、通常水に分散している固形分濃度が5〜40質量%のコロイダルシリカ粒子を例にすると、コロイダルシリカ粒子の分散液にパターン配線付きウエハを2cm角に切ったチップを約30秒浸した後、当該チップを純水にて約30秒間すすぎ、窒素ブロー乾燥する。その後、チップをSEM観察用の試料台に載せ、加速電圧10kVを掛け、10万倍の倍率にてシリカ粒子を観察し、画像を撮影する。得られた画像から20個のシリカ粒子を任意に選択し、それらの粒子の粒子径の平均を平均粒子径とする。この際、選択したシリカ粒子が図2に示すような形状であった場合、シリカ粒子2に外接し、その長辺が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形L)を導く。そして、その外接長方形Lの長辺をX、短辺をYとして、(X+Y)/2として二軸平均一次粒子径を算出し、その粒子の粒子径とする。
(パウダーの形状)
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーの形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状であってよい。本実施形態におけるエアロゲル複合体パウダーは、後述の通りパウダー化するために粉砕を行っているため、通常、パウダーの形状は表面に凹凸のある不定形の形状となる。もちろん、球状等のパウダーでもよい。また、パネル状、フレーク状、繊維状であってもよい。パウダー形状は、SEMを用いてエアロゲル複合体パウダーを直接観察することにより得ることができる。
(パウダーの平均粒子径)
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーの平均粒子径D50は、1〜1000μmとすることができるが、3〜700μmであってもよく、又は5〜500μmであってもよい。エアロゲル複合体パウダーの平均粒子径D50が1μm以上であることにより、分散性及び取り扱い性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなる。一方、平均粒子径D50が1000μm以下であることにより、分散性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなる。パウダーの平均粒子径は、粉砕方法及び粉砕条件、ふるい又は分級の仕方により適宜調整することができる。
パウダーの平均粒子径D50は、レーザー回折・散乱法により測定することができる。例えば、溶媒(エタノール)に、エアロゲル複合体パウダーを濃度0.05〜5質量%の範囲内で添加し、50Wの超音波ホモジナイザーで15〜30分振動することによって、パウダーを分散する。その後、分散液の約10mL程度をレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置に注入して、25℃で、屈折率1.3、吸収0として粒子径を測定する。そして、この粒子径分布における積算値50%(体積基準)での粒径を平均粒子径D50とする。測定装置としては、例えばMicrotrac MT3000(日機装株式会社製、製品名)を用いることができる。
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーにおいて、細孔3のサイズ、すなわち平均細孔径は5〜1000nmとすることができるが、25〜500nmであってもよい。平均細孔径が5nm以上であることにより、柔軟性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなり、また、1000nm以下であることにより、撥水性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなる。
エアロゲル複合体パウダーについての、3次元網目状に連続した細孔(通孔)の平均細孔径、密度及び気孔率は、DIN66133に準じて水銀圧入法により測定することができる。測定装置としては、例えば、オートポアIV9520(株式会社島津製作所製、製品名)を用いることができる。
[圧縮弾性率]
本実施形態のエアロゲル複合体パウダーの25℃における圧縮弾性率は、2.0MPa以下とすることができ、1.5MPa以下であってもよく、1.3MPa以下であってもよく、1.0MPa以下であってもよい。圧縮弾性率が2MPa以下であることにより、撥水パウダーを被処理体に定着させる際、充分な密着性を確保することができる。なお、圧縮弾性率の下限値は特に限定されないが、例えば、0.05MPaとすることができる。圧縮弾性率は、微小圧縮試験機「MCT−510」(株式会社島津製作所製、製品名)を用いて測定することができる。
<エアロゲル成分の具体的態様>
本実施形態のエアロゲル複合体パウダーは、シロキサン結合(Si−O−Si)を含む主鎖を有するポリシロキサンを含有することができる。エアロゲルは、構造単位として、下記M単位、D単位、T単位又はQ単位を有することができる。
上記式中、Rは、ケイ素原子に結合している原子(水素原子等)又は原子団(アルキル基等)を示す。M単位は、ケイ素原子が1個の酸素原子と結合した一価の基からなる単位である。D単位は、ケイ素原子が2個の酸素原子と結合した二価の基からなる単位である。T単位は、ケイ素原子が3個の酸素原子と結合した三価の基からなる単位である。Q単位は、ケイ素原子が4個の酸素原子と結合した四価の基からなる単位である。これらの単位の含有量に関する情報は、Si−NMRにより得ることができる。
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーにおけるエアロゲル成分としては、以下の態様が挙げられる。これらの態様を採用することにより、エアロゲル複合体パウダーの断熱性及び柔軟性を所望の水準に制御することが容易となる。
(第一の態様)
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーのエアロゲル成分は、下記一般式(1)で表される構造を有することができる。本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーのエアロゲル成分は、式(1)で表される構造を含む構造として、下記一般式(1a)で表される構造を有することができる。

式(1)及び式(1a)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。ここで、アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。なお、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。pは1〜50の整数を示す。式(1a)中、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。式(1a)中、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)又は式(1a)で表される構造をエアロゲル成分としてエアロゲル複合体パウダーの骨格中に導入することにより、柔軟なエアロゲル複合体パウダーとなる。このような観点から、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしては、それぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。式(1a)中、pは2〜30とすることができ、5〜20であってもよい。
(第二の態様)
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーのエアロゲル成分は、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、かつ橋かけ部が下記一般式(2)で表される構造を有することができる。このようなラダー型構造をエアロゲル成分としてエアロゲル複合体パウダーの骨格中に導入することにより、耐熱性と機械的強度を向上させることができる。なお、本実施形態において「ラダー型構造」とは、2本の支柱部(struts)と支柱部同士を連結する橋かけ部(bridges)とを有するもの(いわゆる「梯子」の形態を有するもの)である。本態様において、エアロゲルの骨格がラダー型構造からなっていてもよいが、エアロゲル成分が部分的にラダー型構造を有していてもよい。
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としては、例えば、フェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。なお、式(2)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記の構造をエアロゲル成分としてエアロゲル複合体パウダーの骨格中に導入することにより、例えば、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有する(すなわち、下記一般式(X)で表される構造を有する)エアロゲルよりも優れた柔軟性が得られる。シルセスキオキサンは、組成式:(RSiO1.5を有するポリシロキサンであり、カゴ型、ラダー型、ランダム型等の種々の骨格構造を有することができる。下記一般式(X)にて示すように、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有するエアロゲルでは、橋かけ部の構造が−O−(構造単位として上記T単位を有する)であるが、本態様に係るエアロゲル複合体パウダーでは、エアロゲル成分の橋かけ部の構造が上記一般式(2)で表される構造(ポリシロキサン構造)であってよい。ただし、本態様のエアロゲル複合体パウダーにおけるエアロゲル成分は、一般式(2)で表される構造に加え、さらにシルセスキオキサンに由来する構造を有していてもよい。
式(X)中、Rはヒドロキシ基、アルキル基又はアリール基を示す。
支柱部となる構造及びその鎖長、並びに橋かけ部となる構造の間隔は特に限定されないが、耐熱性と機械的強度とをより向上させるという観点から、ラダー型構造としては、下記一般式(3)で表されるラダー型構造を有していてもよい。
式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1〜3000の整数を示し、bは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としては、例えば、フェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。なお、式(3)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(3)中、aが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様にcが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
なお、より優れた柔軟性を得る観点から、式(2)及び(3)中、R、R、R及びR(ただし、R及びRは式(3)中のみ)としては、それぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(3)中、a及びcは、それぞれ独立に6〜2000とすることができるが、10〜1000であってもよい。また、式(2)及び(3)中、bは、2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
(第三の態様)
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーは、シリカ粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物(ゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥して得られるもの:ゾル由来の湿潤ゲルの乾燥物)であってもよい。なお、これまで述べてきたエアロゲル複合体パウダーも、このように、シリカ粒子と、ケイ素化合物等を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥することで得られるものであってもよい。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、後述のポリシロキサン化合物以外のケイ素化合物(シリコン化合物)を用いることができる。すなわち、上記ゾルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物(以下、場合により「ケイ素化合物群」という)を含有することができる。ケイ素化合物における分子内のケイ素数は1又は2とすることができる。
加水分解性の官能基を有するケイ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキルケイ素アルコキシドが挙げられる。アルキルケイ素アルコキシドは、耐水性を向上する観点から、加水分解性の官能基の数を3個以下とすることができる。アルキルケイ素アルコキシドとしては、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアルキルジアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルモノアルコキシシラン、ジアルキルモノアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシラン等が挙げられ、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びエチルトリメトキシシランが挙げられる。加水分解性の官能基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。
縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、シランテトラオール、メチルシラントリオール、ジメチルシランジオール、フェニルシラントリオール、フェニルメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、n−プロピルシラントリオール、ヘキシルシラントリオール、オクチルシラントリオール、デシルシラントリオール及びトリフルオロプロピルシラントリオールが挙げられる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる極性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)を更に有していてもよい。極性基としては、例えば、エポキシ基、メルカプト基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアミノ基が挙げられる。エポキシ基は、グリシドキシ基等のエポキシ基含有基に含まれていてもよい。水への分散性の点から、極性基としては、エポキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアミノ基が好ましい。
加水分解性の官能基の数が3個以下であり、極性基を有するケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等も用いることができる。
また、縮合性の官能基を有し、極性基を有するケイ素化合物として、ビニルシラントリオール、3−グリシドキシプロピルシラントリオール、3−グリシドキシプロピルメチルシランジオール、3−メタクリロキシプロピルシラントリオール、3−メタクリロキシプロピルメチルシランジオール、3−アクリロキシプロピルシラントリオール、3−メルカプトプロピルシラントリオール、3−メルカプトプロピルメチルシランジオール、N−フェニル−3−アミノプロピルシラントリオール、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシランジオール等も用いることができる。
さらに、分子末端の加水分解性の官能基が3個以下のケイ素化合物であるビストリメトキシシリルメタン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリメトキシシリルヘキサン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等も用いることができる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーを作製するにあたり、ケイ素化合物は、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物を含むことができる。すなわち、上記のケイ素化合物を含有するゾルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種(以下、場合により「ポリシロキサン化合物群」という)を含有するゾルであってよい。
ポリシロキサン化合物等における官能基は、特に限定されないが、同じ官能基同士で反応するか、又は、他の官能基と反応する基とすることができる。加水分解性の官能基としては、例えば、アルコキシ基が挙げられる。縮合性の官能基としては、水酸基、シラノール基、カルボキシル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。水酸基は、ヒドロキシアルキル基等の水酸基含有基に含まれていてもよい。なお、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる前述の極性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)を更に有していてもよい。これらの官能基及び極性基を有するポリシロキサン化合物は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。これらの官能基及び極性基のうち、例えば、エアロゲル複合体パウダーの柔軟性を向上する基としては、アルコキシ基、シラノール基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられ、これらのうち、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基はゾルの相溶性をより向上することができる。また、ポリシロキサン化合物の反応性の向上の観点から、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜6とすることができるが、エアロゲル複合体パウダーの柔軟性をより向上する観点から2〜4であってもよい。
ヒドロキシアルキル基を有するポリシロキサン化合物としては、例えば、下記一般式(A)で表される構造を有する化合物が挙げられる。下記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、上記一般式(1)及び式(1a)で表される構造をエアロゲル複合体パウダーの骨格中に導入することができる。
式(A)中、R1aはヒドロキシアルキル基を示し、R2aはアルキレン基を示し、R3a及びR4aはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、nは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としては、例えば、フェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。なお、式(A)中、2個のR1aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR2aは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(A)中、2個以上のR3aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR4aは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルを用いることにより、柔軟なエアロゲル複合体パウダーをさらに得易くなる。このような観点から、式(A)中、R1aとしては炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基等が挙げられ、当該ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、式(A)中、R2aとしては炭素数が1〜6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、式(A)中、R3a及びR4aとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(A)中、nは2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
上記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物としては、市販品を用いることができ、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003等の化合物(いずれも、信越化学工業株式会社製)、XF42−B0970、Fluid OFOH 702−4%等の化合物(いずれも、モメンティブ社製)などが挙げられる。
アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物としては、例えば、下記一般式(B)で表される構造を有するものが挙げられる。下記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、上記一般式(2)で表される橋かけ部を有するラダー型構造をエアロゲル複合体パウダーの骨格中に導入することができる。
式(B)中、R1bはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、R2b及びR3bはそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、R4b及びR5bはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、mは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としては、例えばフェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。なお、式(B)中、2個のR1bは各々同一であっても異なっていてもよく、2個のR2bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR3bは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(B)中、mが2以上の整数の場合、2個以上のR4bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR5bも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物又はその加水分解生成物を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルを用いることにより、柔軟なエアロゲル複合体パウダーをさらに得易くなる。このような観点から、式(B)中、R1bとしては、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルキル基又はアルコキシ基としては、メチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R2b及びR3bとしては、それぞれ独立に炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R4b及びR5bとしては、それぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(B)中、mは2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
上記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物は、例えば、特開2000−26609号公報、特開2012−233110号公報等にて報告される製造方法を適宜参照して得ることができる。
なお、アルコキシ基は加水分解するため、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物はゾル中にて加水分解生成物として存在する可能性があり、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物とその加水分解生成物とは混在していてもよい。また、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物において、分子中のアルコキシ基の全てが加水分解されていてもよいし、部分的に加水分解されていてもよい。
これらの加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
上記ゾルに含まれるケイ素化合物群の含有量(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物の含有量、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物の含有量の総和)は、ゾルの総量100質量部に対し、5〜50質量部とすることができるが、10〜30質量部であってもよい。5質量部以上にすることにより良好な反応性を得易くなり、また、50質量部以下にすることにより良好な相溶性を得易くなる。
上記ゾルが、ポリシロキサン化合物を更に含有する場合、ケイ素化合物群の含有量及びポリシロキサン化合物群の含有量(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物の含有量、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物の含有量の総和)の総和は、ゾルの総量100質量部に対し、5〜50質量部とすることができるが、10〜30質量部であってもよい。含有量の総和を5質量部以上にすることにより良好な反応性をさらに得易くなり、また、50質量部以下にすることにより良好な相溶性をさらに得易くなる。この際、ケイ素化合物群の含有量とポリシロキサン化合物群の含有量との比は、0.5:1〜4:1とすることができるが、1:1〜2:1であってもよい。これらの化合物の含有量の比を0.5:1以上とすることにより良好な相溶性をさらに得易くなり、また、4:1以下とすることによりゲルの収縮をさらに抑制し易くなる。
上記ゾルに含まれるシリカ粒子の含有量は、ゾルの総量100質量部に対し、1〜20質量部とすることができるが、4〜15質量部であってもよい。シリカ粒子の含有量を1質量部以上にすることにより適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなり、含有量を20質量部以下にすることによりシリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなり、断熱性に優れるエアロゲル複合体パウダーが得易くなる。
(その他の態様)
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーのエアロゲル成分は、下記一般式(4)で表される構造を有することができる。本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーは、シリカ粒子を含有すると共に、エアロゲル成分として下記一般式(4)で表される構造を有していてもよい。
式(4)中、Rはアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては、炭素数が1〜6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーのエアロゲル成分は、下記一般式(5)で表される構造を有することができる。本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーは、シリカ粒子を含有すると共に、エアロゲル成分として下記一般式(5)で表される構造を有していてもよい。
式(5)中、R10及びR11はそれぞれ独立にアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては、炭素数が1〜6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。
本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーのエアロゲル成分は、下記一般式(6)で表される構造を有することができる。本実施形態のエアロゲル複合体パウダーは、シリカ粒子を含有すると共に、エアロゲル成分として下記一般式(6)で表される構造を有しいてもよい。
式(6)中、R12はアルキレン基を示す。ここで、アルキレン基としては、炭素数が1〜10のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としては、エチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
<エアロゲル複合体パウダーの製造方法>
次に、エアロゲル複合体パウダーの製造方法について説明する。エアロゲル複合体パウダーの製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
すなわち、本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーは、ゾル生成工程と、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る湿潤ゲル生成工程と、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換する洗浄及び溶媒置換工程と、洗浄及び溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程と、乾燥により得られたエアロゲル複合体ブロックを粉砕するブロック粉砕工程とを主に備える製造方法により製造することができる。
また、ゾル生成工程と、前記湿潤ゲル生成工程と、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを粉砕する湿潤ゲル粉砕工程と、前記洗浄及び溶媒置換工程と、前記乾燥工程とを主に備える製造方法により製造してもよい。
得られたエアロゲル複合体パウダーは、ふるい、分級等によって大きさを更に揃えることができる。パウダーの大きさが整うと、取り扱い性を高めることができる。なお、「ゾル」とは、ゲル化反応が生じる前の状態であって、本実施形態においては上記ケイ素化合物群と、場合によりポリシロキサン化合物群と、シリカ粒子とが溶媒中に溶解又は分散している状態を意味する。また、湿潤ゲルとは、液体媒体を含んでいながらも、流動性を有しない湿潤状態のゲル固形物を意味する。
以下、本実施形態に係るエアロゲル複合体パウダーの製造方法の各工程について説明する。
(ゾル生成工程)
ゾル生成工程は、上述のケイ素化合物と、場合によりポリシロキサン化合物と、シリカ粒子又はシリカ粒子を含む溶媒とを混合し、加水分解させてゾルを生成する工程である。本工程においては、加水分解反応を促進させるため、溶媒中にさらに酸触媒を添加してもよい。また、特許第5250900号公報に示されるように、溶媒中に界面活性剤、熱加水分解性化合物等を添加することもできる。さらに、熱線輻射抑制等を目的として、溶媒中にカーボングラファイト、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、銀化合物、チタン化合物等の成分を添加してもよい。
溶媒としては、例えば、水、又は、水及びアルコール類の混合液を用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、ゲル壁との界面張力を低減させる点で、表面張力が低くかつ沸点の低いアルコールとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
例えば溶媒としてアルコール類を用いる場合、アルコール類の量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量1モルに対し、4〜8モルとすることができるが、4〜6.5であってもよく、又は4.5〜6モルであってもよい。アルコール類の量を4モル以上にすることにより良好な相溶性をさらに得易くなり、また、8モル以下にすることによりゲルの収縮をさらに抑制し易くなる。
酸触媒としては、フッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、臭素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等の無機酸類;酸性リン酸アルミニウム、酸性リン酸マグネシウム、酸性リン酸亜鉛等の酸性リン酸塩類;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、アゼライン酸等の有機カルボン酸類などが挙げられる。これらの中でも、得られるエアロゲル複合体パウダーの耐水性をより向上する酸触媒としては有機カルボン酸類が挙げられる。当該有機カルボン酸類としては酢酸が挙げられるが、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸等であってもよい。これらは単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
酸触媒を用いることで、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の加水分解反応を促進させて、より短時間でゾルを得ることができる。
酸触媒の添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、0.001〜0.1質量部とすることができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等を用いることができる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含む化合物、ポリオキシプロピレン等の親水部を含む化合物などを使用できる。ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含む化合物としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシプロピレン等の親水部を含む化合物としては、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体等が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノ酸系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、アミンオキシド系界面活性剤等が挙げられる。アミノ酸系界面活性剤としては、例えば、アシルグルタミン酸等が挙げられる。ベタイン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。アミンオキシド系界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
これらの界面活性剤は、後述する湿潤ゲル生成工程において、反応系中の溶媒と、成長していくシロキサン重合体との間の化学的親和性の差異を小さくし、相分離を抑制する作用をすると考えられている。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、あるいはケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の種類並びに量にも左右されるが、例えば、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、1〜100質量部とすることができる。なお、同添加量は5〜60質量部であってもよい。
熱加水分解性化合物は、熱加水分解により塩基触媒を発生して、反応溶液を塩基性とし、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を促進すると考えられている。よって、この熱加水分解性化合物としては、加水分解後に反応溶液を塩基性にできる化合物であれば、特に限定されず、尿素;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド;ヘキサメチレンテトラミン等の環状窒素化合物などを挙げることができる。これらの中でも、特に尿素は上記促進効果を得られ易い。
熱加水分解性化合物の添加量は、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を十分に促進することができる量であれば、特に限定されない。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合、その添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対して、1〜200質量部とすることができる。なお、同添加量は2〜150質量部であってもよい。添加量を1質量部以上とすることにより、良好な反応性をさらに得易くなり、また、200質量部以下とすることにより、結晶の析出及びゲル密度の低下をさらに抑制し易くなる。
ゾル生成工程の加水分解は、混合液中のケイ素化合物、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子、酸触媒、界面活性剤等の種類及び量にも左右されるが、例えば20〜60℃の温度環境下で10分〜24時間行ってもよく、50〜60℃の温度環境下で5分〜8時間行ってもよい。これにより、ケイ素化合物及びポリシロキサン化合物中の加水分解性官能基が十分に加水分解され、ケイ素化合物の加水分解生成物及びポリシロキサン化合物の加水分解生成物をより確実に得ることができる。
ただし、溶媒中に熱加水分解性化合物を添加する場合は、ゾル生成工程の温度環境を、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制してゾルのゲル化を抑制する温度に調節してもよい。この時の温度は、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制できる温度であれば、いずれの温度であってもよい。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合は、ゾル生成工程の温度環境は0〜40℃とすることができるが、10〜30℃であってもよい。
(湿潤ゲル生成工程)
湿潤ゲル生成工程は、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る工程である。本工程では、ゲル化を促進させるため塩基触媒を用いることができる。
塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ炭酸水素塩;水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物;メタ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウム等の塩基性燐酸ナトリウム塩;アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−メトキシアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン類;モルホリン、N−メチルモルホリン、2−メチルモルホリン、ピペラジン及びその誘導体、ピペリジン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体等の含窒素複素環状化合物類などが挙げられる。これらの中でも、水酸化アンモニウム(アンモニア水)は、揮発性が高く、乾燥後のエアロゲル複合体パウダー中に残存し難いため耐水性を損ない難いという点、さらには経済性の点で優れている。塩基触媒は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
塩基触媒を用いることで、ゾル中のケイ素化合物、ポリシロキサン化合物及びシリカ粒子の脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応を促進することができ、ゾルのゲル化をより短時間で行うことができる。また、これにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。特に、アンモニアは揮発性が高く、エアロゲル複合体パウダー中に残留し難いので、塩基触媒としてアンモニアを用いることで、より耐水性の優れたエアロゲル複合体パウダーを得ることができる。
塩基触媒の添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、0.5〜5質量部とすることができるが、1〜4質量部であってもよい。0.5質量部以上とすることにより、ゲル化をより短時間で行うことができ、5質量部以下とすることにより、耐水性の低下をより抑制することができる。
塩基触媒は必ずしも必要というわけではなく、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等の水溶液が塩基性を示すシラン化合物等を用いる場合は、塩基触媒を用いずに湿潤ゲルを作製することもできる。
湿潤ゲル生成工程におけるゾルのゲル化は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。ゲル化温度は、30〜90℃とすることができるが、40〜80℃であってもよい。ゲル化温度を30℃以上とすることにより、ゲル化をより短時間に行うことができ、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。また、ゲル化温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制し易くなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
湿潤ゲル生成工程における熟成は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。熟成により、湿潤ゲルを構成する成分の結合が強くなり、その結果、乾燥時の収縮を抑制するのに十分な強度(剛性)の高い湿潤ゲルを得ることができる。熟成温度は、30〜90℃とすることができるが、40〜80℃であってもよい。熟成温度を30℃以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、熟成温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制し易くなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
なお、ゾルのゲル化終了時点を判別することは困難な場合が多いため、ゾルのゲル化とその後の熟成とは、連続して一連の操作で行ってもよい。
ゲル化時間と熟成時間は、ゲル化温度及び熟成温度により異なるが、本実施形態においてはゾル中にシリカ粒子が含まれていることから、従来のエアロゲルの製造方法と比較して特にゲル化時間を短縮することができる。この理由は、ゾル中のケイ素化合物群、ポリシロキサン化合物群が有するシラノール基又は反応性基が、シリカ粒子のシラノール基と水素結合又は化学結合を形成するためであると推察する。なお、ゲル化時間は10〜120分間とすることができるが、20〜90分間であってもよい。ゲル化時間を10分間以上とすることにより均質な湿潤ゲルを得易くなり、120分間以下とすることにより後述する洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能となる。なお、ゲル化及び熟成の工程全体として、ゲル化時間と熟成時間との合計時間は、4〜480時間とすることができるが、6〜120時間であってもよい。ゲル化時間と熟成時間の合計を4時間以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、480時間以下にすることにより熟成の効果をより維持し易くなる。
得られるエアロゲル複合体パウダーの密度を下げたり、平均細孔径を大きくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で高めたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で長くしてもよい。また、得られるエアロゲル複合体パウダーの密度を上げたり、平均細孔径を小さくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で低くしたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で短くしてもよい。
(湿潤ゲル粉砕工程)
湿潤ゲル粉砕工程を行う場合、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを粉砕する。粉砕は、例えば、ヘンシャル型ミキサーに湿潤ゲルを入れるか、又はミキサー内で湿潤ゲル生成工程を行い、ミキサーを適度な条件(回転数及び時間)で運転することにより行うことができる。また、より簡易的には密閉可能な容器に湿潤ゲルを入れるか、又は密閉可能な容器内で湿潤ゲル生成工程を行い、シェイカー等の振盪装置を用いて、適度な時間振盪することにより行うことができる。なお、必要に応じて、ジェットミル、ローラーミル、ビーズミル等を用いて、湿潤ゲルの粒子径を調整することもできる。
(洗浄及び溶媒置換工程)
洗浄及び溶媒置換工程は、前記湿潤ゲル生成工程又は前記湿潤ゲル粉砕工程により得られた湿潤ゲルを洗浄する工程(洗浄工程)と、湿潤ゲル中の洗浄液を乾燥条件(後述の乾燥工程)に適した溶媒に置換する工程(溶媒置換工程)を有する工程である。洗浄及び溶媒置換工程は、湿潤ゲルを洗浄する工程を行わず、溶媒置換工程のみを行う形態でも実施可能であるが、湿潤ゲル中の未反応物、副生成物等の不純物を低減し、より純度の高いエアロゲル複合体パウダーの製造を可能にする観点からは、湿潤ゲルを洗浄してもよい。なお、本実施形態においては、ゲル中にシリカ粒子が含まれている場合、後述するように洗浄工程後の溶媒置換工程は必ずしも必須ではない。
洗浄工程では、前記湿潤ゲル生成工程又は前記湿潤ゲル粉砕工程により得られた湿潤ゲルを洗浄する。当該洗浄は、例えば水又は有機溶媒を用いて繰り返し行うことができる。この際、加温することにより洗浄効率を向上させることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶媒を使用することができる。有機溶媒は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
後述する溶媒置換工程では、乾燥によるゲルの収縮を抑制するため、低表面張力の溶媒を用いることができる。しかし、低表面張力の溶媒は、一般的に水との相互溶解度が極めて低い。そのため、溶媒置換工程において低表面張力の溶媒を用いる場合、洗浄工程で用いる有機溶媒としては、水及び低表面張力の溶媒の双方に対して高い相互溶解性を有する親水性有機溶媒が挙げられる。なお、洗浄工程において用いられる親水性有機溶媒は、溶媒置換工程のための予備置換の役割を果たすことができる。上記の有機溶媒の中で、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。なお、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等は経済性の点で優れている。
洗浄工程に使用される水又は有機溶媒の量としては、湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換し、洗浄できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3〜10倍の量とすることができる。洗浄は、洗浄後の湿潤ゲル中の含水率が、シリカ質量に対し、10質量%以下となるまで繰り返すことができる。
洗浄工程における温度環境は、洗浄に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、メタノールを用いる場合は、30〜60℃程度の加温とすることができる。
溶媒置換工程では、後述する乾燥工程における収縮を抑制するため、洗浄した湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒に置き換える。この際、加温することにより置換効率を向上させることができる。置換用溶媒としては、具体的には、乾燥工程において、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥する場合は、後述の低表面張力の溶媒が挙げられる。一方、超臨界乾燥をする場合は、置換用溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ジクロロジフルオロメタン、二酸化炭素等、又はこれらを2種以上混合した溶媒が挙げられる。
低表面張力の溶媒としては、20℃における表面張力が30mN/m以下の溶媒が挙げられる。なお、当該表面張力は25mN/m以下であっても、又は20mN/m以下であってもよい。低表面張力の溶媒としては、例えば、ペンタン(15.5)、ヘキサン(18.4)、ヘプタン(20.2)、オクタン(21.7)、2−メチルペンタン(17.4)、3−メチルペンタン(18.1)、2−メチルヘキサン(19.3)、シクロペンタン(22.6)、シクロヘキサン(25.2)、1−ペンテン(16.0)等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン(28.9)、トルエン(28.5)、m−キシレン(28.7)、p−キシレン(28.3)等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン(27.9)、クロロホルム(27.2)、四塩化炭素(26.9)、1−クロロプロパン(21.8)、2−クロロプロパン(18.1)等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル(17.1)、プロピルエーテル(20.5)、イソプロピルエーテル(17.7)、ブチルエチルエーテル(20.8)、1,2−ジメトキシエタン(24.6)等のエーテル類;アセトン(23.3)、メチルエチルケトン(24.6)、メチルプロピルケトン(25.1)、ジエチルケトン(25.3)等のケトン類;酢酸メチル(24.8)、酢酸エチル(23.8)、酢酸プロピル(24.3)、酢酸イソプロピル(21.2)、酢酸イソブチル(23.7)、エチルブチレート(24.6)等のエステル類が挙げられる(かっこ内は20℃での表面張力を示し、単位は[mN/m]である)。これらの中で、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン等)は、低表面張力でありかつ作業環境性に優れている。また、これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン等の親水性有機溶媒を用いることで、上記洗浄工程の有機溶媒と兼用することができる。なお、これらの中でも、さらに後述する乾燥工程における乾燥が容易な点で、常圧での沸点が100℃以下の溶媒を用いてもよい。上記の溶媒は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
溶媒置換工程に使用される溶媒の量としては、洗浄後の湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3〜10倍の量とすることができる。
溶媒置換工程における温度環境は、置換に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、ヘプタンを用いる場合は、30〜60℃程度の加温とすることができる。
なお、本実施形態においては、ゲル中にシリカ粒子が含まれている場合、上述のとおり溶媒置換工程は必ずしも必須ではない。推察されるメカニズムとしては次のとおりである。すなわち、従来であれば乾燥工程における収縮を抑制するため、湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒(低表面張力の溶媒)に置き換えていたが、本実施形態においてはシリカ粒子が三次元網目状の骨格の支持体として機能することにより、当該骨格が支持され、乾燥工程におけるゲルの収縮が抑制される。そのため、洗浄に用いた溶媒を置換せずに、ゲルをそのまま乾燥工程に付すことができると考えられる。このように、本実施形態においては、洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能である。ただし、本実施形態は溶媒置換工程を行うことを何ら排除するものではない。
(乾燥工程)
乾燥工程では、上記のとおり洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥させる。これにより、エアロゲル複合体ブロック又はパウダーを得ることができる。すなわち、上記ゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥してなるエアロゲルを得ることができる。
乾燥の手法としては特に制限されず、公知の常圧乾燥、超臨界乾燥又は凍結乾燥を用いることができる。これらの中で、低密度のエアロゲル複合体ブロック又はパウダーを製造し易いという観点からは、常圧乾燥又は超臨界乾燥を用いることができる。また、低コストで生産可能という観点からは、常圧乾燥を用いることができる。なお、本実施形態において、常圧とは0.1MPa(大気圧)を意味する。
エアロゲル複合体ブロック又はパウダーは、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥することにより得ることができる。乾燥温度は、置換された溶媒(溶媒置換を行わない場合は洗浄に用いられた溶媒)の種類により異なるが、特に高温での乾燥が溶媒の蒸発速度を速め、ゲルに大きな亀裂を生じさせる場合があるという点に鑑み、20〜150℃とすることができる。なお、当該乾燥温度は60〜120℃であってもよい。また、乾燥時間は、湿潤ゲルの容量及び乾燥温度により異なるが、4〜120時間とすることができる。なお、本実施形態において、生産性を阻害しない範囲内において臨界点未満の圧力をかけて乾燥を早めることも、常圧乾燥に包含されるものとする。
エアロゲル複合体ブロック又はパウダーは、また、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、超臨界乾燥することによっても得ることができる。超臨界乾燥は、公知の手法にて行うことができる。超臨界乾燥する方法としては、例えば、湿潤ゲルに含まれる溶媒の臨界点以上の温度及び圧力にて溶媒を除去する方法が挙げられる。あるいは、超臨界乾燥する方法としては、湿潤ゲルを、液化二酸化炭素中に、例えば、20〜25℃、5〜20MPa程度の条件で浸漬することで、湿潤ゲルに含まれる溶媒の全部又は一部を当該溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換した後、二酸化炭素を単独で、又は二酸化炭素及び溶媒の混合物を除去する方法が挙げられる。
このような常圧乾燥又は超臨界乾燥により得られたエアロゲル複合体ブロック又はパウダーは、さらに常圧下にて、105〜200℃で0.5〜2時間程度追加乾燥してもよい。これにより、密度が低く、小さな細孔を有するエアロゲルを更に得易くなる。追加乾燥は、常圧下にて、150〜200℃で行ってもよい。
(ブロック粉砕工程)
ブロック粉砕工程を行う場合、乾燥により得られたエアロゲル複合体ブロックを粉砕することによりエアロゲル複合体パウダーを得る。例えば、ジェットミル、ローラーミル、ビーズミル、ハンマーミル等にエアロゲル複合体ブロックを入れ、適度な回転数と時間で運転することにより行うことができる。
以上の工程により得られるエアロゲル複合体パウダーは、水への分散性、柔軟性、密着性及び撥水性を活かし、様々な用途に適用することができる。また、エアロゲルは気孔率が高いために、優れた物理特性を有し、建築、自動車、家電製品、半導体、産業用設備等の分野における断熱材、音響調節材料、発光太陽光集光器、ガスフィルター、触媒及び支持体材料として利用することもできる。例えば、エアロゲル複合体パウダーの分散液を塗布することで、撥水パウダーとして利用することができる。
<エアロゲル複合体パウダーを用いた撥水処理方法>
次に、本実施形態のエアロゲル複合体パウダーを、撥水パウダーとして用いた撥水処理方法について説明する。撥水パウダーを用いた撥水処理方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法により被着体に撥水処理を施すことができる。
撥水処理は、撥水パウダーを被着体の被処理面に直接、接触させてもよいし、撥水パウダーを含む撥水処理液を被着体の被処理面に接触させてもよい。本実施形態の撥水パウダーは、柔軟性を有しているため、撥水パウダーを被着体の被処理面に配置して、撥水部を被処理面に形成することができる。
本実施形態の撥水パウダーを含む撥水処理液として用いた被着体の撥水処理は、撥水処理液の作製工程、塗布工程と、洗浄工程と、乾燥工程とを主に備える方法により行ってもよい。以下、本実施形態に係る撥水処理液を用いた撥水処理方法の各工程について説明する。
(撥水処理液の作製工程)
本実施形態に係る撥水処理液は、撥水パウダーを溶媒中に分散させて作製することができる。当該撥水処理液を用いることで、目的とする被着体の被処理面へ均一に撥水部を形成することができる。撥水部は、撥水パウダーから形成された撥水膜及び撥水粒子の少なくとも一方を含む形態であってもよい。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶媒を使用することができる。有機溶媒は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
(塗布工程)
塗布工程とは、撥水処理液を被処理面に塗布する工程である。また、場合により、塗布後に被処理面を乾燥して溶媒を揮発させてもよい。本工程によって、被処理面に撥水部を形成することができる。撥水処理液は、被処理面の全体に塗布してもよく、被処理面の一部に選択的に塗布してもよい。
撥水部の厚さは、1〜500nmとすることができるが、20〜200nmであってもよい。1nm以上とすることにより、より優れた撥水性を達成することができ、500nm以下とすることにより、より優れた柔軟性を達成することができる。
塗布方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、フローコート法、バーコート法及びグラビアコート法が挙げられる。特に、スプレーコート法は、凹凸のある被処理面にも、均一な厚さで撥水部を形成でき、生産性が高く、撥水パウダーの使用効率が良いので好ましい。塗布方法は、単独で又は2種類以上を併用してもよい。
撥水処理液をあらかじめ他の基材(フィルム、布等)に塗布又は含浸させてから被処理面に接触させて転写することにより、被処理面に撥水部を形成してもよい。塗布方法は、撥水処理液の使用量、被処理面の面積、特性等に応じて自由に選択することができる。
被処理面を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、金属、セラミックス、ガラス、プラスチックス、及び、これらを組合せた材料(複合材料、積層材料等)が挙げられる。撥水処理液は、紙、繊維、布、不織布、ゴム、皮等にも適用できる。撥水処理液を塗布した後に被処理面を乾燥して溶媒を揮発させる場合、被処理面を構成する材料は、水溶性有機化合物、水溶性無機化合物等であってもよい。これらのうちでも、被処理面を構成する材料は、ガラス、プラスチックス等の透明な材料であることが好ましい。
金属としては、例えば、ステンレス、アルミ、銅、亜鉛めっき鋼板及び鉄が挙げられる。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、チタン酸バリウム、窒化ホウ素及び窒化珪が挙げられる。ガラスとしては、例えば、通常のソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス及びアルミノシリケートガラス等が挙げられる。プラスチックスとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリフェニレンカーボネート等の芳香族ポリカーボネート系樹脂、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の芳香族ポリエステル系樹脂が挙げられる。
水溶性有機化合物としては、例えば、グルコース、スクロース、でんぷん、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール及びメチルセルロース等が挙られる。水溶性無機化合物としては、例えば、水ガラス、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム及び硫酸化合物が挙げられる。
撥水処理液を塗布した後、被処理面を乾燥して溶媒を揮発させることによって、撥水部の密着性を更に向上させることができる。この際の乾燥温度は、特に制限されず、被処理面の耐熱温度により異なるが、例えば、60〜250℃であってもよく、120〜180℃であってもよい。上記温度を60℃以上とすることにより、より優れた密着性を達成することができ、250℃以下とすることにより、熱による劣化を抑制することができる。
(洗浄工程)
洗浄工程は、塗布工程で得られた撥水部が形成された被処理面を洗浄する工程である。本工程を施すことにより、撥水部中の未反応物、副生成物等の不純物を低減し、より純度の高い撥水膜部を得ることができる。
洗浄工程は、例えば、水及び/又は有機溶媒を用いて繰り返し行うことができる。この際、加温することにより洗浄効率を向上させることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶媒を使用することができる。上記の有機溶媒は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒は、一般的に水との相互溶解度が極めて低い。そのため、水で洗浄した後に、有機溶媒を用いて洗浄する場合は、水に対して高い相互溶解性を有する親水性有機溶媒が好ましい。上記の有機溶媒の中で、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。なお、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等は、経済性の点で優れている。
洗浄工程に使用される水及び/又は有機溶媒の量は、撥水部を十分に洗浄できる量とすることができ、例えば、撥水部の総質量に対して。3〜10倍の量であってもよい。洗浄は、被処理面の含水率が、10質量%以下となるまで繰り返すことができる。
洗浄温度は、洗浄に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、メタノールを用いる場合は、30〜60℃程度であってもよい。加温することにより洗浄効率を向上させることもできる。
(乾燥工程)
乾燥工程とは、洗浄工程により洗浄された撥水部が形成された被処理面を乾燥させる工程である。
乾燥の手法としては、特に制限されないが、例えば、大気圧下における公知の乾燥方法を用いることができる。乾燥温度は、被処理面の耐熱温度及び洗浄溶媒の種類により異なる。溶媒の蒸発速度が充分に速く、撥水部の劣化を防止し易い観点から、乾燥温度は、例えば、20〜250℃であってもよく、60〜180℃であってもよい。乾燥時間は、撥水部の質量及び乾燥温度により異なるが、例えば、1〜24時間であってもよい。
被処理面における撥水パウダーの付着量は、1mm四方あたり1個以上であることが好ましい。1個以上とすることにより、より優れた撥水性を達成できる。なお、撥水パウダーの付着量は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて算出することができる。例えば、平均粒径100nmの撥水パウダーの場合、平均粒径の100倍の長さ(1.0×10−2mm)を1辺とする正方形の面積A(1.0×10−4mm)を設定する。その正方形の中にある粒子の数B(個)を測定し、B/Aを算出する。これを10回繰り返し、得られたB/Aの平均値を粒子の付着量とする。
撥水パウダーにより被処理面に形成される撥水部は、より優れた撥水性を達成できることから、エアロゲルとすることができる。ここで形成されるエアロゲルは、ナノメートルサイズの微細孔を有する多孔質体である。エアロゲルは、その表面に水酸基が少ないこと、微細孔に水が入り込み難いことから、優れた撥水性を示すと考えられる。また、エアロゲルは、空隙率が大きいため、エアロゲルである撥水部の屈折率が小さく、透明性が高い撥水部を得ることができると考えられる。
本実施形態の撥水パウダーを用いた上述の撥水処理方法によって、優れた撥水性と柔軟性とを有する撥水部を被処理面に形成することができる。このような撥水部が形成された撥水構造体は、優れた撥水性と耐久性とを発現することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の一側面は、エアロゲル複合体パウダーを含む、撥水材であってよい。撥水材の形態は特に限定されず、例えば、上述の撥水パウダー、撥水処理液、又は撥水膜であってよい。
次に、下記の実施例により本開示をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明をいかなる意味においても制限するものではない。
(実施例1)
[撥水パウダー1の作製]
ポリシロキサン化合物としてカルビノール変性シロキサン「X−22−160AS」(信越化学工業株式会社製、製品名)を40.0質量部、ケイ素化合物としてメチルトリメトキシシラン「LS−530」(信越化学工業株式会社製、製品名:以下『MTMS』と略記)を30.0質量部、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン「KBM−303」(信越化学工業株式会社製)を30.0質量部、PL−2L(扶桑化学工業(株)製、球状のコロイダルシリカ、平均一次粒子径:20nm)を100.0質量部、水を40.0質量部及びメタノールを80.0質量部混合し、これに酸触媒として酢酸を0.10質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルに、塩基触媒として5質量%濃度のアンモニア水を40.0質量部加え、60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル1を得た。
湿潤ゲル1をプラスチックス製ボトルに移し、密閉後、エクストリームミル(アズワン株式会社製、MX−1000XTS)を用いて、27000rpmで10分間粉砕し、粒子状の湿潤ゲル1を得た。得られた粒子状の湿潤ゲル1をメタノール2500質量部に浸漬し、60℃で12時間かけて洗浄を行った。この洗浄操作を、新しいメタノールに交換しながら合計3回行った。次に、洗浄した粒子状の湿潤ゲルを、低表面張力溶媒であるヘプタン2500質量部に浸漬し、40℃で12時間かけて溶媒置換を行った。この溶媒置換操作を、新しいヘプタンに交換しながら合計3回行った。洗浄及び溶媒置換された粒子状の湿潤ゲルを、常圧下にて、40℃で96時間乾燥し、150℃で2時間更に乾燥した。乾燥したゲルを、ふるい(東京スクリーン株式会社製、目開き45μm、線径32μm)にかけ、上記一般式(1)で表される構造及びエポキシ基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー1を得た。
[撥水処理液1の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー1を5.0g、汎用撹拌機BL−600(新東科学株式会社製、製品名)を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液1を得た。
[撥水構造体1]
撥水処理液1に、スライドグラスS7213(松浪硝子工業株式会社製、製品名)を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体1を得た。
(実施例2)
[撥水パウダー2の作製]
ST−OZL−35(日産化学工業(株)製、球状のコロイダルシリカ、平均一次粒子径:100nm)を143.0質量部、水を57.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにポリシロキサン化合物Aを40.0質量部及びMTMSを30.0質量部、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン「KBM−803」(信越化学工業株式会社製)を30.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃で8時間ゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(2)及び(3)で表される構造を含むラダー型構造並びにメルカプト基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー2を得た。
なお、上記「ポリシロキサン化合物A」は次のようにして合成した。まず、撹拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコにて、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン「XC96−723」(モメンティブ社製、製品名)を100.0質量部、メチルトリメトキシシランを181.3質量部及びt−ブチルアミンを0.50質量部混合し、30℃で5時間反応させた。その後、この反応液を、1.3kPaの減圧下、140℃で2時間加熱し、揮発分を除去することで、両末端2官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン化合物A)を得た。
[撥水処理液2の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー2を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液2を得た。
[撥水構造体2]
撥水処理液2に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体2を得た。
(実施例3)
[撥水パウダー3の作製]
PL−5L(扶桑化学工業(株)製、繭型のコロイダルシリカ、平均一次粒子径:50nm)を100.0質量部、水を70.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部混合し、これにX−22−160ASを20.0質量部、MTMSを30.0質量部、ビストリメトキシシリルヘキサンを20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル3−1を得た。3−アミノプロピルトリメトキシシラン「KBM−903」(信越化学工業株式会社製)を30.0質量部、水を30質量部混合し、25℃で2時間反応させてゾル3−2を得た。得られたゾル3−1にゾル3−2を加え、60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(1)で表される構造、及びアミノ基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー3を得た。
[撥水処理液3の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー3を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液3を得た。
[撥水構造体3]
撥水処理液3に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体3を得た。
(実施例4)
[撥水パウダー4の作製]
PL−2Lを100.0質量部、水を100.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部混合し、これにポリシロキサン化合物Aを20.0質量部、MTMSを30.0質量部及びビストリメトキシシリルヘキサンを20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル4−1を得た。N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン「KBM−603」(信越化学工業株式会社製)を30.0質量部、水を30質量部混合し、25℃で2時間反応させてゾル4−2を得た。得られたゾル4−1にゾル4−2を加え、60℃でゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(2)及び(3)で表されるラダー型構造、及びアミノ基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー4を得た。
[撥水処理液4の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー4を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液4を得た。
[撥水構造体4]
撥水処理液4に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体4を得た。
(実施例5)
[撥水パウダー5の作製]
PL−5Lを100.0質量部、水を100.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにX−22−160ASを20.0質量部、ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部及びMTMSを30.0質量部、KBM−803を30.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃で8時間ゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(1)で表される構造と上記一般式(2)及び(3)で表されるラダー型構造、及びメルカプト基とを有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー5を得た。
[撥水処理液5の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー5を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液5を得た。
[撥水構造体5]
撥水処理液5に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体5を得た。
(実施例6)
[撥水パウダー6の作製]
ST−OZL−35を143.0質量部、水を57.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部混合し、これにジメチルジメトキシシランKBM−22(信越化学工業株式会社製、製品名:以下『DMDMS』と略記)を20.0質量部、ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部及びMTMSを30.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル6−1を得た。KBM−903を30.0質量部、水を30質量部混合し、25℃で2時間反応させてゾル3−2を得た。得られたゾル6−1にゾル3−2を加え、60℃でゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(2)及び(3)で表されるラダー型構造並びにアミノ基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー6を得た。
[撥水処理液6の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー6を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液6を得た。
[撥水構造体6]
撥水処理液6に、スライドグラスS7213を5分間ディップした。その後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥し撥水構造体6を得た。
(実施例7)
[撥水パウダー7の作製]
PL−2Lを100.0質量部、水を100.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部混合し、これにポリシロキサン化合物Bを40.0質量部及びMTMSを30.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル7−1を得た。KBM−603を30.0質量部、水を30質量部混合し、25℃で2時間反応させてゾル4−2を得た。得られたゾル7−1にゾル4−2を加え、60℃でゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(2)及び(3)で表されるラダー型構造並びにアミノ基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー7を得た。
なお、上記「ポリシロキサン化合物B」は次のようにして合成した。まず、撹拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコにて、XC96−723を100.0質量部、テトラメトキシシランを202.6質量部及びt−ブチルアミンを0.50質量部混合し、30℃で5時間反応させた。その後、この反応液を、1.3kPaの減圧下、140℃で2時間加熱し、揮発分を除去することで、両末端3官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン化合物B)を得た。
[撥水処理液7の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー7を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液7を得た。
[撥水構造体7]
撥水処理液7に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体7を得た。
(実施例8)
[撥水パウダー8の作製]
ST−OZL−35を143.0質量部、水を57.0質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにポリシロキサン化合物Aを20.0質量部、DMDMSを20.0質量部及びMTMSを30.0質量部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−5103」(信越化学工業株式会社製)を30.0質量部、加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃で8時間ゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(2)及び(3)で表されるラダー型構造並びにアクリロイル基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー8を得た。
[撥水処理液8の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー8を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液8を得た。
[撥水構造体8]
撥水処理液8に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体8を得た。
(実施例9)
[撥水パウダー9の作製]
PL−5Lを100.0質量部、水を100.0質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにポリシロキサン化合物Aを20.0質量部、DMDMSを20.0質量部及びMTMSを30.0質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業株式会社製)を30.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃で8時間ゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(2)及び(3)で表されるラダー型構造並びにメタクリロイル基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー9を得た。
[撥水処理液9の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー9を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液9を得た。
[撥水構造体9]
撥水処理液9に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体9を得た。
(実施例10)
[撥水パウダー10の作製]
ST−OZL−35を143.0質量部、水を100.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部混合し、これにDMDMSを20.0質量部、ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部及びMTMSを50.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル10−1を得た。KBM−903を10.0質量部、水を30質量部混合し、25℃で2時間反応させてゾル3−2を得た。得られたゾル10−1にゾル3−2を加え、60℃でゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、上記一般式(2)及び(3)で表されるラダー型構造並びにアミノ基を有するエアロゲル成分を含有する撥水パウダー10を得た。
[撥水処理液10の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記撥水パウダー10を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで撥水処理液10を得た。
[撥水構造体10]
撥水処理液10に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、撥水構造体10を得た。
(比較例1)
[比較撥水パウダー1の作製]
水を200.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを100.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃で8時間ゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、比較撥水パウダー1を得た。
[比較撥水処理液1の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記比較撥水パウダー1を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで比較撥水処理液1を得たが、後述の分散性評価がCであったため、撥水構造体の作製はできなかった。
(比較例2)
[比較撥水パウダー2の作製]
水を200.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにテトラエトキシシラン(TEOS)を100.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃で8時間ゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、比較撥水パウダー2を得た。
[比較撥水処理液2の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記比較撥水パウダー2を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで比較撥水処理液2を得たが、後述の分散性評価がCであったため、撥水構造体の作製はできなかった。
(比較例3)
[比較撥水パウダー3の作製]
ST−OZL−35を143.0質量部、水を100.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部、尿素120.0質量部混合し、これにDMDMSを20.0質量部、ポリシロキサン化合物Aを20.0質量部及びMTMSを60.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾルを得た。得られたゾルを60℃で8時間ゲル化した後、80℃で48時間熟成して湿潤ゲルを得た。その後は、実施例1と同様にして、比較撥水パウダー3を得た。
[比較撥水処理液3の作製]
水400.0g及びメタノール200.0gの混合溶媒に対し、上記比較撥水パウダー3を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで比較撥水処理液3を得たが、後述の分散性評価がCであったため、撥水構造体の作製はできなかった。
(比較例4)
[比較撥水処理液4の作製]
メチルエチルケトン(MEK)600.0gに対し、上記比較撥水パウダー1を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで比較撥水処理液4を得た。
[比較撥水構造体4]
比較撥水処理液4に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、比較撥水構造体4を得た。
(比較例5)
[比較撥水処理液5の作製]
MEK600.0gに対し、上記比較撥水パウダー2を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで比較撥水処理液5を得た。
[比較撥水構造体5]
比較撥水処理液5に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、比較撥水構造体5を得た。
(比較例6)
[比較撥水処理液6の作製]
MEK600.0gに対し、上記比較撥水パウダー3を5.0g、汎用撹拌機BL−600を用いて300rpmで1時間攪拌することで比較撥水処理液6を得た。
[比較撥水構造体6]
比較撥水処理液6に、スライドグラスS7213を5分間ディップした後、ディップ処理したスライドグラスを常圧下にて、120℃で1時間乾燥して、比較撥水構造体6を得た。
各実施例及び比較例における、Si原料の種類及び添加量を表1にまとめて示す。
[各種評価]
各実施例及び比較例で得られた撥水パウダーについて、以下の条件に従って評価した。評価結果を表2に示す。
(1)圧縮弾性率
測定装置として、微小圧縮試験機「MCT−510」(株式会社島津製作所製、製品名)を用いた。平行に配置した上圧盤及び下圧盤の間に、撥水パウダーをセットし、負荷速度0.0892mN/秒で圧縮を行った。測定は、4.9mN超の負荷をかけた時点又は測定サンプルが破壊した時点で終了とした。圧縮弾性率は、圧縮ひずみ及び圧縮応力から以下のようにして算出した。
ここで、圧縮ひずみεは、次式より求めることができる。式中、Δdは負荷による測定サンプルの厚みの変位(mm)を示し、d1は負荷をかける前の測定サンプルの厚み(mm)を示す。
ε=Δd/d1
また、圧縮応力σ(MPa)は、次式より求めることができる。式中、Fは圧縮力(N)を示し、Aは負荷をかける前の測定サンプルの断面積(mm)を示す。
σ=F/A
圧縮弾性率E(MPa)は、例えば、圧縮力が0.1〜0.2Nの範囲において、次式より求めることができる。式中、σは圧縮力が0.1Nにおいて測定される圧縮応力(MPa)を示し、σは圧縮力が0.2Nにおいて測定される圧縮応力(MPa)を示し、εは圧縮応力σにおいて測定される圧縮ひずみを示し、εは圧縮応力σにおいて測定される圧縮ひずみを示す。
E=(σ−σ)/(ε−ε
(2)撥水処理液の分散性評価
撥水処理液中の撥水パウダーが液面に浮遊しているかを目視で判断し、粒子の大部分が溶媒で濡れた場合を「A」、溶媒に濡れずに浮遊している粒子が少量ある場合を「B」、大部分の粒子が溶媒に濡れずに浮遊している場合を「C」とした。
(3)接触角の測定
各実施例及び比較例で得られた撥水構造体を、105℃で1時間乾燥し、測定サンプルとした。次に、協和界面科学(株)製の接触角計DMs−401を使用して、超純水の液滴2μLを滴下し、5秒後の接触角を測定した。測定は5回行い、平均値を水接触角とした。
(4)耐摩耗性試験
耐磨耗試験は、クレシア(株)製キムタオルを撥水構造体表面に複数回擦りつけ、その後、105℃で1時間乾燥し、測定サンプルとした。ここでのキムタオルの接触面積は、20mm×50mm、加重0.1Kg/cmとした。次に、協和界面科学(株)製の接触角計DMs−401を使用して、超純水の液滴2μLを滴下し、5秒後の接触角を室温で測定した。測定は5回行い、平均値を水接触角とした。
表2から、実施例の撥水パウダーは、比較例の比較撥水パウダーと比較し、水系溶媒への分散性が高いこと確認できる。また、実施例の撥水パウダーから形成された撥水部を有する撥水構造体は、比較例4,5の撥水構造体と比較し、水接触角が大きく、良好な撥水性を示すと共に、優れた柔軟性を有することが確認できる。また、耐摩耗性試験の結果から明らかなように、実施例の撥水構造体は、比較例の撥水構造体と比較し、耐久性に優れ、良好な撥水性を維持することができる。さらに、実施例6と比較例6を比較すると、反応性基であるアミノ基の導入により、水系溶媒への分散性と撥水性が両立し、耐磨耗試験により密着性も向上していることが確認できる。
1…エアロゲル粒子、2…シリカ粒子、3…細孔、10…エアロゲル複合体、L…外接長方形。

Claims (12)

  1. エアロゲル成分とシリカ粒子とを含有し、
    前記エアロゲル成分が、エポキシ基、メルカプト基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも一種の極性基を有する、エアロゲル複合体パウダー。
  2. 前記エアロゲル成分及び前記シリカ粒子より形成された三次元網目骨格と、細孔とを有する、請求項1に記載のエアロゲル複合体パウダー。
  3. シリカ粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、前記加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物である、請求項1又は2に記載のエアロゲル複合体パウダー。
  4. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が1〜500nmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアロゲル複合体パウダー。
  5. 前記シリカ粒子が非晶質シリカ粒子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアロゲル複合体パウダー。
  6. 前記非晶質シリカ粒子が溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項5に記載のエアロゲル複合体パウダー。
  7. シリカ粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、前記加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエアロゲル複合体パウダー。
  8. 前記エアロゲル成分が、一般式(1)で表される構造を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエアロゲル複合体パウダー。

    [式(1)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。]
  9. 前記エアロゲル成分が、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、前記橋かけ部が下記一般式(2)で表される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエアロゲル複合体パウダー。

    [式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。]
  10. 前記エアロゲル成分が、下記一般式(3)で表されるラダー型構造を有する、請求項9に記載のエアロゲル複合体パウダー。

    [式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1〜3000の整数を示し、bは1〜50の整数を示す。]
  11. 平均粒子径D50が1〜1000μmである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエアロゲル複合体パウダー。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のエアロゲル複合体パウダーを含む、撥水材。
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