JP5818854B2 - 安全弁 - Google Patents

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Description

この発明は、安全弁に関し、特に、火災発生時等に容器内圧力が上昇し過ぎることを防止するため、容器に取り付けられて温度が上昇した場合に容器内のガスを開放する安全弁に関する。
このような安全弁として、高温時に融解する可溶体を有し、可溶体の融解に伴って可動栓体が移動することで、容器内のガスを開放する安全弁が知られている(特許文献1)。
従来の安全弁の1例を図3に示す。
この従来の安全弁(41)は、可溶合金(可溶体)(11)、可溶合金(11)の融解に伴って移動する移動体(43)および移動体(43)を可溶合金(11)に向けて付勢する圧縮コイルばね(13)を有する円筒状筐体(42)と、筐体(42)の右端部に固定されて下方にのびる本体(3)と、上端部が筐体(42)内に突出するように本体(3)内の可動栓体配置通路(5)に配されて移動体(43)の移動に伴って移動する可動栓体(4)と、可動栓体配置通路(5)に通じ可動栓体(4)の移動によって開放される逃がし通路(6)とを備えている。
安全弁(41)は、本体(3)が容器に取り付けられて使用されるもので、例えば火災が発生して高温となり、可溶合金(11)が所定温度で融解し、これに伴って、圧縮コイルばね(13)で左方に付勢された移動体(43)が左方に移動し、これに伴って、可動栓体(4)が移動可能となり、容器内圧力で可動栓体(4)が上方に移動させられ、これにより、容器内のガスが本体(3)の可動栓体配置通路(5)および逃がし通路(6)を経て抜け出すようになされている。
この従来の安全弁(41)では、融解した可溶合金(11)の排出口(44)が、筐体(42)の周壁(42a)を貫通するように設けられており、融解した可溶合金(11)は、この排出口(44)を通って筐体(42)の外に排出される。
特開2008−202736号公報
上記従来の安全弁(41)では、筐体(42)に設けられている排出口(貫通孔)(44)を通して外部から安全弁(41)内に水や砂塵等が侵入するおそれがあり、この場合には、安全弁(41)の作動不良の要因となる。そこで、可溶合金製のピンで排出口(44)を塞ぐようになされているが、この場合には、コスト高の要因となる。
この発明の目的は、容器に取り付けられて温度が上昇した場合に容器内のガスを開放する安全弁において、安全性を確保してコストを低減したものを提供することにある。
この発明による安全弁は、可溶体、可溶体の融解に伴って移動する移動体および移動体を可溶体に向けて付勢する圧縮コイルばねを有する円筒状筐体と、筐体に固定された本体と、本体内の可動栓体配置通路に配されて移動体の移動に伴って移動する可動栓体と、可動栓体配置通路に通じ可動栓体の移動によって開放される逃がし通路とを備えている安全弁において、移動体は、圧縮コイルばねが嵌められた軸部と、圧縮コイルばねで付勢されて可溶体に当接するフランジ部とからなり、移動体のフランジ部に、融解した可溶体を圧縮コイルばね配置空間に排出するための貫通孔が設けられていることを特徴とするものである。
貫通孔は、例えば、直径1.5mmとされて、周方向に等間隔で4つ設けられているものとすればよいが、これに限定されるものではなく、貫通孔の径および数は適宜な値に設定することができる。
この発明の安全弁によると、安全弁が取り付けられている容器の周囲の温度が可溶体の融解温度を超えた場合、可溶体が融解し、これに伴って、移動体が移動して、可動栓体が移動可能となり、容器内圧力で可動栓体が移動させられて、容器内のガスが本体の可動栓体配置通路および逃がし通路を経て抜け出すようになされており、これによって、容器の破裂が防止される。
融解した可溶体は、移動体のフランジ部に設けられた貫通孔を通って、圧縮コイルばね配置空間に排出される。すなわち、融解した可溶体の排出先として、圧縮コイルばね配置空間を利用することで、融解した可溶体の通路が安全弁の内部に形成され、これにより、筐体の周壁を貫通するように設けられていた従来の排出口は不要となり、排出口から水や砂塵等が侵入することはなく、安全弁の作動不良の要因が除去される。このため、可溶合金製のピンで排出口を塞ぐことも不要となり、コストを低減することができる。
貫通孔の圧縮コイルばね配置空間に開口する縁部に、座ぐりが形成されていることが好ましい。すなわち、融解した可溶体の通路の出口部分が大きくなされていることが好ましく、このようにすることで、融解した可溶体を確実に排出することができる。
移動体の軸部のフランジ部側端部に、貫通孔に連通する環状溝が形成されていることがより好ましい。このようにすると、融解した可溶体の排出先である圧縮コイルばね配置空間の空間部分が大きくなり、融解した可溶体をより確実に排出することができる。
この発明の安全弁によると、筐体の周壁を貫通する貫通孔をなくすことができるので、水や砂塵が侵入しやすい環境下で使用した場合であっても、水や砂塵の侵入が防止される。このため、従来必要とされていた可溶合金製のピンで貫通孔を塞ぐことが不要となり、コストを低減することができる。
図1は、この発明による安全弁の実施形態を示す断面図で、通常状態(閉状態)を示している。 図2は、図1の安全弁の作動状態を示している。 図3は、従来の安全弁を示す断面図で、通常状態(閉状態)を示している。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下および左右は、図の上下および左右をいうものとする。この上下は、容器の上面に安全弁を取り付ける場合を基準としているが、この上下は便宜的なものであり、安全弁は、この基準とした状態から上下が逆になったり横になったりして取り付けられることがある。
図1および図2は、この発明の安全弁の1実施形態を示している。図1は、安全弁の雰囲気温度が所定値以下の通常状態、すなわち、通路が閉鎖された状態を示している。図2は、異常が発生して安全弁(1)が作動した状態を示している。
この発明による安全弁(1)は、可溶合金(可溶体)(11)、可溶合金(11)の融解に伴って移動する移動体(12)および移動体(12)を可溶合金(11)に向けて付勢する圧縮コイルばね(13)を有する円筒状筐体(2)と、筐体(2)の右端部に固定されて下方にのびる本体(3)と、上端部が筐体(2)内に突出するように本体(3)内の可動栓体配置通路(5)に配されて移動体(12)の移動に伴って移動する可動栓体(4)と、可動栓体配置通路(5)に通じ可動栓体(4)の移動によって開放される逃がし通路(6)とを備えている。
安全弁(1)は、本体(3)が容器に取り付けられて使用され、異常時に作動するもので、異常は、例えば火災が発生して高温となった場合などで、この場合、可溶合金(11)が所定温度で融解し、これに伴って、圧縮コイルばね(13)で左方に付勢された移動体(12)が左方に移動し、これに伴って、可動栓体(4)が移動可能となり、容器内圧力で可動栓体(4)が上方に移動させられ、これにより、容器内のガスが本体(3)の可動栓体配置通路(5)および逃がし通路(6)を経て抜け出すようになされている。
本体(3)は、容器の取付け形状に応じて、その形状が決定されるもので、図1および図2には、その要部だけが示されている。
筐体(2)の右端部は底壁(2b)によって閉鎖されている。筐体(2)の左端部には、キャップ(14)が嵌め入れられて固定されている。
移動体(12)は、左右にのびる軸部(21)と、軸部(21)の左端に設けられたフランジ部(22)とを有している。
可溶合金(11)は、円板状とされて、キャップ(14)の右面と移動体(12)のフランジ部(22)の左面との間に配されている。
筐体(2)内には、移動体(12)のフランジ部(22)の外径に対応する径を有する大径円筒面(23)が左端から右方にのびるように形成され、移動体(12)の軸部(21)の外径に対応する径を有する小径円筒面(24)が大径円筒面(23)の右端に連なって設けられている。
筐体(2)の右端部には、下方にのびる通常時可動栓体位置決め通路(26)が周壁(2a)を貫通して設けられている。周壁(2a)の通常時可動栓体位置決め通路(26)の開口縁部には、周壁(2a)から下方にのびる円筒状突出部(27)が設けられている。円筒状突出部(27)は、本体(3)の上面に設けられた環状の嵌合凹所(28)の上部に嵌め合わされている。筐体(2)の周壁(2a)の右端部の内周上面には、小径円筒面(24)を介して可動栓体配置通路(26)に対向する作動時可動栓体位置決め凹所(29)が設けられている。
圧縮コイルばね(13)は、大径円筒面(23)内に嵌められて、左端が移動体(12)のフランジ部(22)の右面で受け止められ、右端が大径円筒面(23)と小径円筒面(24)との境界の段差面(25)で受け止められている。大径円筒面(23)と移動体(12)の軸部(21)との間が圧縮コイルばね配置空間(30)になっている。
可動栓体(4)は、可動栓体配置通路(5)および通常時可動栓体位置決め通路(26)内に移動可能に嵌め入れられており、その外周には、シール用リング(31)が嵌められている。可動栓体(4)は、移動体(12)の軸部(21)の右端部に当接させられており、これにより、可動栓体(4)の上方への移動が阻止されている。可動栓体(4)に設けられたシール用リング(31)は、可動栓体配置通路(5)の内周面に密着しており、これにより、通常時における可動栓体配置通路(5)からのガスの漏れが防止されている。
移動体(12)が左方に移動して、可動栓体(4)の上方への移動が可能となった場合、可動栓体(4)は、容器内圧力によって上方に移動させられる。
逃がし通路(6)は、本体(3)上面の嵌合凹所(28)の下部に連なって可動栓体配置通路(5)に対して直交する方向にのびるように形成されている。したがって、可動栓体(4)の下端が嵌合凹所(28)の下部内まで移動すると、逃がし通路(6)を介して、容器内のガスが開放される。
この実施形態の安全弁(1)では、図3に示した従来の安全弁に対し、筐体(42)に設けられている排出口(貫通孔)(44)が無しとされて、排出口となる複数の貫通孔(35)が移動体(12)のフランジ部(22)に形成されている。貫通孔(35)は、周方向90°おきに計4つ設けられている。貫通孔(35)の径は、1〜2mm程度、例えばφ1.5mmとされる。
フランジ部(22)は、圧縮コイルばね(13)を受け止めており、フランジ部(22)の右側には、圧縮コイルばね配置空間(30)があることから、貫通孔(35)は、圧縮コイルばね配置空間(30)に通じている。
貫通孔(35)の圧縮コイルばね配置空間(30)に開口する縁部に、座ぐり(36)が形成されている。また、移動体(12)の軸部(21)のフランジ部側端部に、貫通孔(35)に連通する環状溝(37)が形成されている。
安全弁(1)および容器が高温となると、可溶合金(11)が所定温度で融解して、貫通孔(35)を通過して圧縮コイルばね配置空間(30)に排出される。この際、融解した可溶合金(11)は、図2に符号(11’)で示すように、貫通孔(35)の座ぐり(36)の部分に広がった後、環状溝(37)内に流入する。これにより、融解した可溶合金(11’)の流れは、圧縮コイルばね(13)によって妨げられることはなく、確実に圧縮コイルばね配置空間(30)に排出される。
こうして、上記実施形態の安全弁(1)によると、筐体(2)に外部に開口する貫通孔を設けることなく、可溶合金(11)の排出のための通路(貫通孔(35)、座ぐり(36)および環状溝(37)からなる通路)が形成されている。この安全弁(1)では、筐体(2)の周壁(2a)を貫通して外部に開口する貫通孔がないことから、水や砂塵が侵入しやすい環境下で使用した場合であっても、水や砂塵の侵入が防止され、このため、従来必要とされていた可溶合金製のピンで貫通孔(44)を塞ぐことが不要となり、コストを低減することができる。
なお、上記実施形態の安全弁(1)について、130℃に熱したグリセリンに浸漬して、作動するまでの時間を測定したが、本発明品と図3に示した従来品とで作動時間の差はなかった。また、移動体(12)には、圧縮コイルばね(13)の弾性力(約30kg)が作用しているので、可溶合金(11)がクリープにより、移動体(12)の貫通孔(35)に入り込んでいくと、誤作動のおそれがあるが、このような誤作動がないことも確認された。
(1):安全弁、(2):筐体、(3):本体、(4):可動栓体、(5):可動栓体配置通路、(6):逃がし通路、(11):可溶合金(可溶体)、(12):移動体、(13):圧縮コイルばね、(21):軸部、(22):フランジ部、(30):圧縮コイルばね配置空間、(35):貫通孔、(36):座ぐり、(37):環状溝

Claims (3)

  1. 可溶体、可溶体の融解に伴って移動する移動体および移動体を可溶体に向けて付勢する圧縮コイルばねを有する円筒状筐体と、筐体に固定された本体と、本体内の可動栓体配置通路に配されて移動体の移動に伴って移動する可動栓体と、可動栓体配置通路に通じ可動栓体の移動によって開放される逃がし通路とを備えている安全弁において、
    移動体は、圧縮コイルばねが嵌められた軸部と、圧縮コイルばねで付勢されて可溶体に当接するフランジ部とからなり、移動体のフランジ部に、融解した可溶体を圧縮コイルばね配置空間に排出するための貫通孔が設けられていることを特徴とする安全弁。
  2. 貫通孔の圧縮コイルばね配置空間に開口する縁部に、座ぐりが形成されていることを特徴とする請求項1の安全弁。
  3. 移動体の軸部のフランジ部側端部に、貫通孔に連通する環状溝が形成されていることを特徴とする請求項1または2の安全弁。
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