1.遊技領域を有する遊技盤が設けられた本体枠と、その本体枠の前面側で開閉可能に設けられ且つ前記遊技領域を臨む窓部を有する前面枠とを備えた遊技機において、
前記窓部よりも前方へ張り出し且つ少なくとも一部が透明とされた張出し部を有すると共に内部に中空部が設けられた中空筒部材と、
その中空筒部材の中空部内で移動可能に設けられた演出用可動体と、
その演出用可動体を前記中空筒部材の中空部内で双方向に駆動する駆動源と
を備えたことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、演出用可動体が移動可能に設けられる中空筒部材の張出し部が窓部よりも前方へ張り出して形成されているので、遊技機上で演出用可動体の移動空間を大きく確保することができる。そして、演出用可動体が駆動源によって駆動されると、中空筒部材の内部に形成された中空部内を双方向に移動する。このとき、張出し部の透明部分において、例えば、演出用可動体が中空筒部材の中空部内を一端と他端との間でダイナミックに往復移動する様子を遊技者に視認させることができ、これにより遊技の興趣を高揚させることができる。さらに、演出用可動体が張出し部の中空部内で双方向に移動動作する様子は、遊技機の斜め或いは横方向からも視認可能であるため、遊技ホールにおいて周囲の遊技者から注目を集めたり、店員が当該遊技機の遊技状態を察知して、札を立てたり、遊技球貯留箱(いわゆるドル箱)を用意する等の作業をすることもできる。
2.前記駆動源は、前記演出用可動体の外部に設けられ、前記演出用可動体に外力を加えて前記中空筒部材の中空部内を移動させるように構成されたことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、演出用可動体の外部に設けられた駆動源によって演出用可動体に外力を加えることにより、演出用可動体を中空筒部材の中空部内で双方向に移動させることができる。また、演出用可動体に駆動源を設ける必要がないので、演出用可動体の構成を簡単化することができる。
3.前記駆動源は、前記中空筒部材の中空部内に風を発生させる送風機であり、
前記演出用可動体は、風力によって移動可能であることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
手段3によれば、送風機が中空筒部材の中空部内に風を発生させると、演出用可動体は、風力によって中空筒部材の中空部内を双方向に移動し、その様子が張出し部の透明部分を通して遊技者によって視認される。
4.前記中空筒部材の中空部内を互いに逆方向に送風する一対の送風機が設けられたことを特徴とする手段3に記載の遊技機。
手段4によれば、一対の送風機が中空筒部材の中空部内を互いに逆方向に送風するので、演出用可動体を中空筒部材の中空部内で双方向に移動させることができる。
5.前記駆動源は、前記前面枠上に配設されたことを特徴とする手段2乃至4のいずれかに記載の遊技機。
手段5によれば、駆動源が前面枠上に配設されているので、張出し部に駆動源の重量負担がかからず、張出し部の強度をそれほど高く設定する必要がない。例えば、駆動源としての送風機を前面枠上に配設して、中空筒部材の端部より中空部内へ送風するように構成してもよい。
6.前記駆動源は、前記演出用可動体に内蔵されたことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段6によれば、演出用可動体に内蔵された駆動源の駆動により、演出用可動体を中空筒部材の中空部内で移動させることができる。また、中空筒部材や前面枠側に駆動源を設ける必要がないので、中空筒部材や前面枠の構成を簡単化することができる。
7.前記演出用可動体の位置を検出する位置検出センサを備え、
前記駆動源は、前記位置検出センサによる前記演出用可動体の位置検出結果に基づいて駆動が制御されることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
手段7によれば、位置検出センサが演出用可動体の位置を検出し、その位置検出結果に基づいて駆動源の駆動が制御されることによって、演出用可動体を中空筒部材の中空部内で所定位置に移動させることができる。
8.前記張出し部の前面部に透明表示装置が配設されたことを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
手段8によれば、張出し部の前面部に透明表示装置が配設されているので、演出用可動体の視認性を確保しつつ、張出し部の前面部で演出画面等の表示を行うことができる。また、中空筒部材の中空部内の演出用可動体の移動による演出動作と、透明表示装置による画像表示とを同時に実行することにより、両者が重畳して視認されるので、極めて視覚的効果の高い演出を実現することができる。
9.前記透明表示装置は、透明EL表示装置からなることを特徴とする手段8に記載の遊技機。
手段9において、透明EL表示装置は、自発光するのでバックライトが不要であり、透明性にも優れているので、透明表示装置に適している。
10.前記中空筒部材の中空部内に設けられた前記演出用可動体を外部から視認可能な状態と視認不可能な状態とに切り換える視認状態切替手段を備えたことを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載の遊技機。
手段10によれば、視認状態切替手段によって、中空筒部材の中空部内に設けられた演出用可動体を外部から視認可能な状態と視認不可能な状態とに必要に応じて切り換えることによって、演出可動体の演出動作による視覚的効果をより一層増大させることができる。
11.前記視認状態切替手段は、通常は、前記演出用可動体を視認不可能な状態とし、前記演出用可動体による演出動作が行われている間は、前記演出用可動体を視認可能な状態とすることを特徴とする手段10に記載の遊技機。
手段11によれば、通常は、遊技者が演出用可動体を視認できない状態となっているが、演出用可動体による演出動作が行われている間は遊技者が演出用可動体を視認可能な状態となるので、演出用可動体による演出動作に遊技者の注意を惹きつけることができ、より確実に遊技の興趣の高揚を図ることができる。
12.前記視認状態切替手段は、前記中空筒部材において前記演出用可動体の前方側に設けられるハーフミラーと、前記演出用可動体への照明を点灯と消灯とで切り替え可能な照明装置とからなることを特徴とする手段10又は11に記載の遊技機。
手段12によれば、照明装置が演出用可動体への照明を点灯すると、中空筒部材において演出用可動体の前方側に設けられたハーフミラーを通して演出用可動体が外部から視認可能となる。一方、照明装置が演出用可動体への照明を消灯すると、ハーフミラーが外光を反射するので、演出用可動体は外部から視認不可能となる。
13.前記視認状態切替手段は、前記中空筒部材において前記演出用可動体より前方側に設けられた透過率を変化可能な可変調光手段であることを特徴とする手段10又は11に記載の遊技機。
手段13によれば、中空筒部材において演出用可動体より前方側に設けられた可変調光手段の透過率を上昇させることにより、可変調光手段を通して演出用可動体を視認可能とすることができる。一方、可変調光手段の透過率を低下させることにより、演出用可動体を視認不可能とすることができる。
14.前記可変調光手段は、透明EL表示装置であることを特徴とする手段13に記載の遊技機。
手段14によれば、透明EL表示装置は、透明性に優れているので、画像表示又は発光を行わない透過率の高い状態では、中空筒部材の中空部内の演出用可動体を視認可能とすることができる。一方、透明EL表示装置において画像表示又は発光を行って透過率を低下させた状態では、中空筒部材の中空部内の演出用可動体を視認不可能とすることができる。
15.前記可変調光手段は、エレクトロクロミックであることを特徴とする手段13に記載の遊技機。
手段15によれば、エレクトロクロミックは印加電圧を変えることにより透過率を変えることができるので、透過率の制御が容易であり、可変調光手段として適している。そして、エレクトロクロミックの透過率が高い状態では、中空筒部材の中空部内の演出用可動体を視認可能とし、透過率を低下させた状態では、中空筒部材の中空部内の演出用可動体を視認不可能とすることができる。
16.前記演出用可動体の移動態様によって特定の遊技状態発生の期待度が示唆されるように構成されたことを特徴とする手段1乃至15のいずれかに記載の遊技機。
手段16によれば、演出用可動体の移動位置や移動速度等の移動態様によって特定の遊技状態発生の期待度が示唆されるので、大当り等の特定の遊技状態の発生を期待する遊技者に対する効果的な演出を実現することができる。
17.前記演出用可動体の移動先によって特定の遊技状態発生の期待度が示唆されることを特徴とする手段16に記載の遊技機。
手段17によれば、演出用可動体の移動先によって特定の遊技状態発生の期待度が示唆されるので、遊技者が演出用可動体の移動先に注目するようになり、遊技の興趣が高揚される。
18.前記駆動源を遊技の進行に応じて駆動するように構成されたことを特徴とする手段1乃至17のいずれかに記載の遊技機。
手段18によれば、遊技の進行に応じて駆動源を駆動することにより、演出用可動体が中空筒部材の中空部内を移動する。このとき、張出し部の透明部分において、演出用可動体がダイナミックに移動する様子を遊技者に視認させることができるので、遊技の進行による興趣を高揚させることができる。
19.遊技の進行に応じて演出画面表示を行う演出表示装置を備え、
前記駆動源は、前記演出表示装置による演出画面表示に連動して駆動されることを特徴とする手段18に記載の遊技機。
手段19によれば、演出表示装置が、遊技の進行に応じて演出画面表示を行い、駆動源が、表示装置による演出画面表示に連動して駆動されることにより、演出用可動体が中空筒部材の中空部内を移動する。このとき、演出表示装置による演出画面表示と共に、張出し部の透明部分において演出用可動体がダイナミックに移動する様子を遊技者に視認させることができるので、遊技の進行による興趣をより一層高揚させることができる。
20.前記演出表示装置は、複数の図柄列を変動表示する図柄変動表示装置であることを特徴とする手段19に記載の遊技機。
手段20によれば、図柄変動表示装置による複数の図柄列の変動表示に基づいて遊技が進行し、駆動源が図柄変動表示装置による演出画面表示に連動して駆動されることにより、演出用可動体が中空筒部材の中空部内を移動する。このとき、図柄変動表示装置による演出画面表示と共に、張出し部の透明部分において演出用可動体がダイナミックに移動する様子を遊技者に視認させることができる。例えば、図柄変動表示装置において全ての図柄列の停止時の組合せが大当り図柄の組合せである場合に、図柄変動表示装置で大当り演出画面表示を行うと共に、駆動源を駆動して演出用可動体を中空筒部材の中空部内で往復移動させるように構成してもよい。
21.前記張出し部は、前記前面枠より一部が離間するアーチ状に形成されたことを特徴とする手段1乃至20のいずれかに記載の遊技機。
手段21によれば、張出し部は、前面枠より一部が離間するアーチ状に形成されているので、遊技機上で演出用可動体の移動空間を大きく確保することができる。また、張出し部を軽量化して支持部の負荷を軽減できると共に、遊技領域の上方に張出し部が設けられる構成ではアーチ形中央の上下に開放された部分より光が採り入れられ、遊技領域における明るさが確保されて遊技者は快適に遊技に興ずることができる。
22.前記張出し部の中間部と前記前面枠の前面とを連結する中間連結部が設けられたことを特徴とする手段21に記載の遊技機。
手段22によれば、張出し部の中間部と前面枠の前面とを連結する中間連結部が設けられているので、張出し部が両端部と中間連結部とによって前面枠に対して高い強度で連結される。
23.前記中空筒部材は、略全体が透明とされたことを特徴とする手段1乃至22のいずれかに記載の遊技機。
手段23によれば、中空筒部材の略全体が透明とされているので、中空部内を演出用可動体が移動する全体の様子を、遊技者が容易に視認することができる。
24.前記張出し部と前記前面枠との連結部は下方へ末広がり状に形成されたことを特徴とする手段1乃至23のいずれかに記載の遊技機。
手段24によれば、張出し部と前面枠との連結部は下方へ末広がり状に形成されているので、張出し部が前面枠に対して高い強度で連結される。
25.前記遊技機は、パチンコ遊技機であることを特徴とする手段1乃至24のいずれかに記載の遊技機。
手段25によれば、パチンコ遊技機において、演出用可動体が中空筒部材の中空部内をダイナミックに往復移動する様子を遊技者に視認させることができ、これにより遊技の興趣を高揚させることができる。
以下、本発明の遊技機を具体化した各実施形態について説明する。最初に、第一の実施形態のパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」と称する)1について図面を参照しつつ説明する。パチンコ機1は、内部の遊技球払い出し機構を利用して遊技球の貸し出しを行うCR機と称されるタイプのパチンコ機であり、遊技ホールでは図示しないカードユニットが隣接配置され且つ電気的に接続される。図1は、本実施形態のパチンコ機1を示す斜視図、図2は、パチンコ機1を示す側面図である。尚、図1では、後述する遊技盤5に設けられる部材の内、図柄変動表示装置57のみを図示している。
パチンコ機1は、図1乃至図3に示すように、外枠2と、その外枠2の前部に設けられ外枠2の一側部にて開閉可能に支持され且つ遊技領域14を有する本体枠3とを備えている。外枠2は、パチンコ機1のベースとなる枠であり、板材により全体として矩形状に構成され、本体枠3を矩形開口内にて開閉可能に支持している。また、外枠2前面下部には、合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂からなり、前方へ突出形成された左右一対の脚状部2a,2aが取り付けられている。尚、本実施の形態では、外枠2の上下方向の長さは808mm、左右方向の長さは520mmとなっている。
本体枠3は、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されている。本体枠3の開閉軸線はパチンコ機1の正面から見て左側に上下に延びるように設定されている。尚、外枠2は樹脂により構成されていてもよく、あたかも外枠2及び本体枠3が一体物に見えるように構成されていてもよい。本体枠3には、後述する下皿ユニット51を除く本体枠3の前面側を覆うように、ガラス扉枠4が本体枠3左端の垂直軸心回りに開閉自在に設けられている。尚、ガラス扉枠4が、本発明の前面枠を構成するものである。
本体枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、図3に示すように、遊技盤5が着脱可能に装着されている。尚、図3は、ガラス扉枠4を開放した状態における本体枠3、遊技盤5等を示す正面図である。遊技盤5は、その周縁部が本体枠3の裏側に当接した状態で取り付けられており、図3では、遊技盤5の前面部の略中央部分だけが本体枠3の前面側に露出した状態となっている。この遊技盤5の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは451mmとなっている。また、遊技盤5には、ルータ加工が施されることによって複数の開口部が形成されており、各開口部には、普通入賞チャッカー6、可変入賞装置7、作動チャッカー8、スルーチャッカー10、図柄変動表示装置57等が配設されている。
図柄変動表示装置57は、長方形状を呈する液晶ディスプレイを備え、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の3つの表示列が画面表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が各図柄列毎にスクロールされるように表示画面に可変表示されるようになっている。
図柄変動表示装置57の制御を行う表示制御回路71を搭載した表示制御基板、後述する送風機等の制御を行う演出制御回路72を搭載した演出制御基板、後述するスピーカ59における音声出力の制御を行う音声制御基板等を含む各種の制御基板は、図2に示すように、遊技盤5の背面側に設けた透明樹脂製の裏パック5aによって覆われている。また、パチンコ機1の主制御を行う主制御回路70を搭載したメイン基板はメイン基板ボックス5bに、入賞による遊技球の払い出しや図示しないカードユニットからの貸し出し要求に基づいて遊技球の払い出しを行う払出ユニット5d及び遊技球の発射を行う発射装置31の制御を行う払出発射制御基板は払出発射制御基板ボックス5cにそれぞれ収納されている。
また、可変入賞装置7は、通常、遊技球Bが入賞できない状態又は入賞し難い状態になっている。より詳しくは、作動チャッカー8に対し遊技球Bが入賞することに基づいて、図柄変動表示装置57の液晶表示部の図柄が可変表示される。そして、確定された図柄の組合わせが予め設定した特定の図柄の組合わせとなったこと、ここでは停止した図柄が特定の組み合わせであることを必要条件に特別遊技状態が発生し、可変入賞装置7の大入賞口が所定の開放状態となり(具体的には所定時間、所定回数だけ開く)、遊技球Bが入賞しやすい状態(大当り遊技状態)になるよう構成されている。尚、図柄変動表示装置57において変動表示される複数の図柄列のうち、1つを除く他の図柄列の停止時の組合せが大当り図柄の組合せであるリーチ遊技状態となったときに、図柄変動表示装置57においてリーチ演出画面が表示されると共に、リーチ遊技状態の発生がスピーカ59から出力される効果音によって報知される。
また、周知のとおり、前記一般入賞口6、可変入賞装置7、作動チャッカー8に遊技球Bが入賞することに基づいて、後述する上皿54(場合によっては下皿53)に対し所定数の遊技球が景品球として払い出されるようになっている。また、遊技盤5には、遊技球Bの落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車9等の各種部材(役物)が配設されている。
さて、本体枠3は、図3に示すように、外形が前記外枠2とほぼ同一形状をなす樹脂ベース11と、この樹脂ベース11の最内周側に位置し略円弧状をなすよう一体形成された内レール12と、主として図の左側の内レール12に対し所定間隔を隔てて前記樹脂ベース11に一体形成された外レール13とを備えている。これら内レール12及び外レール13は遊技球発射ハンドル52の回動操作に基づき発射装置31から発射された遊技球Bを遊技盤5上部へ案内する発射路としての役割を主として果たすものである。従って、内レール12と外レール13とが並行する部分(向かって左側の部分)によって、誘導レールが構成されることとなる。
前記内レール12の下端部付近において、遊技盤5には遊技球Bを導出するアウト口25が形成されている。そして、遊技盤5の下部に落下した遊技球の多くは、このアウト口25を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。このような構成の下、本体枠3の内周側の窓孔によって主として遊技領域14の外縁部14aが確定されており、本体枠3に対し遊技盤5が装着された状態にあっては、内レール12及び外レール13が遊技盤5に当接又は近接した状態となる。そして、発射装置31により発射された遊技球Bは、主として外レール13によって遊技盤5の上部へと案内される。また、遊技盤5には、遊技球の払い出しを行う払出口32が設けられ、この払出口32に連通するようにガラス扉枠4側に払出口45が設けられている。
次に、遊技領域14について説明する。本実施の形態では、遊技領域14を、パチンコ機1の正面から見て、内レール12及び外レール13によって囲まれる領域のうち、内外レール12,13の並行部分である誘導レールの領域を除いた略円形状の領域としている。また、パチンコ機1において、外レール13の最上部地点から遊技盤5下部までの間の距離は462mm、外レール13の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は449mmとなっている。また、内レール12の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は432mmとなっている。尚、遊技領域14の形状は、略円形状には限られず、略楕円形状や略矩形状としても構わない。
併せて、図1乃至図3に示すように、ガラス扉枠4の存在していない本体枠3下部は、例えばABS樹脂よりなる下皿ユニット51となっている。下皿ユニット51の右下部からは、遊技球発射用ハンドル52が手前側に延設されている。また、下皿ユニット51のほぼ中央部には球受け皿としての景品球払出用の下皿53が設けられ、その奥にはスピーカ59が配設されている(図3参照)。
次に、ガラス扉枠4について、図4及び図5を参照しつつ説明する。尚、図4は、パチンコ機1においてガラス扉枠4を示す正面図である。図5は、張出し部46を透視して示すパチンコ機1の平面図である。ガラス扉枠4は、図4に示すように、正面視矩形状をなし且つ窓部41が設けられたベース部40と、ベース部40上部より前方へアーチ状に張り出す張出し部46と、ベース部40下部において膨出形成され且つ上皿54が設けられた膨出部47とから構成されている。
ガラス扉枠4のベース部40には、遊技領域14の殆どを外部から視認することができるように略円形状の窓部41が形成されている。また、窓部41の左端と、ガラス扉枠4の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅)は、ガラス扉枠4自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。より詳しくは、ガラス扉枠4が閉じられた状態において、外レール13の左側部は勿論、内レール12の左側部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。すなわち、誘導レールの一部が覆い隠される。このように遊技球Bが一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球Bが遊技領域14に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域14において遊技球Bが視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、ガラス扉枠4の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。
また、ベース部40には、裏側から一対のガラス板42が並行して取り付けられている。ベース部の左右方向の長さは、本体枠3とほぼ同等であり、そのガラス扉枠4によって本体枠3下部に設けられた下皿ユニット51を除く殆どの部分が覆われるようになっている。
張出し部46は、透明樹脂によって一部がベース部40より離間するアーチ状に形成され、装飾部材としての役割を有すると共に、後述する演出用ボール60の移動動作による演出が実行される演出装置としての役割を有している。張出し部46は、図1、図2及び図4等に示すように、ベース部40上部を左右方向に跨ぎつつ前方へ張り出し形成され、張出し部46とベース部40との間には、上下に開放された空間部46hが形成される。張出し部46の左右両端のベース部40との連結部分は、強度を確保するために、下方に向かって末広がり状に形成されている。張出し部46の中央前面では、ベース部40より前方へ数cm〜十数cm程度張り出しており(図2参照)、張出し部46の中央背面とベース部40とは、中間連結部46gによって連結されている。張出し部46の内部には、アーチ状の外形に沿って左端から右端に亘る中空部46aが形成されている(図4等参照)。尚、本実施形態では、張出し部46が本発明の中空筒部材の全体を構成している。
中空部46a内には、軽量な材質(例えば、内部が中空状のプラスチックや発泡性ウレタン等)からなる演出用ボール60が投入されている。尚、演出用ボール60は、装飾性と視認性とを考慮して適切な色に着色したり、模様を付すことが好ましい。中空部46aの左右両端は送風口46e,46fとなっており、送風口46e,46fの後方のベース部40内には、送風口46e,46fより中空部46a内を臨むように送風機55,56がそれぞれ配設されている。送風機55,56は、ファンと、ファンを回転させるモータとから構成された公知の送風機である。左側の送風機55は、中空部46a左端の送風口46eから右側に向かって送風し、右側の送風機56は、中空部46a右端の送風口46fから左側に向かって送風する。演出用ボール60は、軽量であるため、送風機55,56が発生する風力で中空部46a内を左方向又は右方向に転がって移動する。
中空部46aの前方側内壁面には、遊技者からの視線に対して中空部46a内を遮蔽するようにハーフミラー46bが配設されている(図2参照。図1では図示略。)。ハーフミラー46bは半透過性の鏡であり、透明板にアルミを蒸着させた物などを適宜用いれば良い。中空部46aの最上部よりやや前方寄りの内壁面に、複数の白色LED46cが左端から右端へ所定間隔で配列されている。尚、白色LED46cが本発明の照明装置を構成するものである。
中空部46aの後方側内壁面の左端近傍、中央、及び右端近傍にそれぞれ位置検出センサ46i,46j,46kが設けられている。位置検出センサ46i,46j,46kは、公知のフォトインタラプタ等によって構成され、各センサ位置近傍における演出用ボール60の有無を非接触的に検出する。従って、演出用ボール60が中空部46a内の左端近傍に位置する時は位置検出センサ46iにより、中空部46a内中央付近に位置する時は位置検出センサ46jにより、中空部46a内右端近傍に位置する時は位置検出センサ46kによりそれぞれ検出される。
張出し部46の前面に沿って左右に細長い形状の透明EL表示装置46dが配設されている。透明EL表示装置46dは、透明基板上に第1電極、発光層(EL材料)及び第2電極を積層形成し、その積層構造上にもう1枚の透明板を接着したサンドイッチ構造を有する公知の表示装置である。第1電極と第2電極との間に電圧が印加されると、それらの交点に対応する部分の発光層(ELセル)が発光するので、この発光位置を制御することにより、所望の画像を表示できる。また、第1電極及び第2電極は例えばITO(IndiumTin Oxide)の薄膜で透明であり、例えば有機EL材で形成された発光層も薄膜で透明であることから、透明EL表示装置46dの表示部全体が透明となっている。
ベース部40の窓部41下方の下部フレームには上皿54が一体的に設けられており、上皿54の前面を覆うように膨出部47が形成されている。図6(a)は、上皿54付近の上面図であり、図6(b)は上皿54における遊技球の流れを示す上面図である。上皿54は、合成樹脂を成形することによって製造され、図6(a)に示すように、ガラス扉枠4の払出し口45より払い出された遊技球及び遊技者により投入された遊技球を貯留する貯留部54a、払出し口45より払い出された遊技球を貯留部54aへ流入させる流入口54l、及び貯留部54aに貯留された遊技球をガラス扉枠4の供給穴49を通して発射装置31側へ供給する供給口54rを有し、流入口54l及び供給口54rの後端面においてガラス扉枠4にビス等を用いて取り付け固定されている。
上皿54の貯留部54aは、流入口54l及び供給口54rに連続する底面部54bと、底面部54bの周囲を取り囲むように立設された前壁部54cと、底面部54bを挟んで前壁部54cと対向するように流入口54lと供給口54rとの間に立設され且つ前壁部54c側へ凸状となるように湾曲形成された後壁部54dとを有している。底面部54bは、左右方向に細長く且つガラス扉枠4から前方へ張り出すように形成されている。また、底面部54b後部の流入口54lと供給口54rとの間には前方側へ凹状をなす凹状輪郭部54uが形成され、上述した後壁部54dは凹状輪郭部54uに沿って立設されている。後壁部54dは、左右方向中央部でガラス扉枠4より数十mm程度(例えば、30〜50mm)前方側へ離間しており、後壁部54d背面とガラス扉枠4前面との間に空間部54hが形成される構造となっている。
貯留部54aの底面部54b上には、後壁部54dの右側に、遊技球を一列に整列させて供給口54rより供給穴49を通して発射装置31側へ流下させる整流部54eが設けられている。整流部54eには、遊技球を後述する直線部54fへ誘導するための傾斜壁54kが、直線部54fを挟んで前壁部54c側及び後壁部54d側に形成されており、遊技球の流路が徐々に狭まる構造となっている。また、整流部54eには、底面部54b上で前後方向に延設され且つ前方側から供給穴49の位置する後方側に向かって下り傾斜する直線部54fが設けられ、この直線部54fの底面に細長い長方形状の金属板54mが装着されている。金属板54mは、遊技球の流れをスムーズにする機能、底面を補強して摩擦による削れを防止する機能、ノイズを防止する機能等を有している。また、金属板54mの下流端側には球抜き穴54jが形成されている。この球抜き穴54jは、通常の状態において直線部54fの底面裏側をスライド自在に設けられる開閉弁54iによって閉塞されており、開閉弁54iが前壁部54cに設けられる球抜きボタン54gの押下操作により移動されたときに、球抜き穴54jが開放されて貯留部54a内に貯留されていた遊技球を図示しない球抜き通路を介して下皿53に移動せしめるものである。
ここで、上皿54の貯留部54aにおける遊技球Bの流れについて、図6(b)を参照しつつ説明する。遊技球Bは、払出口45より払い出されると流入口54lより貯留部54a内に流入し、緩やかに右下がりに傾斜する底面部54bと、前壁部54c及び後壁部54dとに案内されて貯留部54a右側の供給口54rへ向かって転動して整流部54eに到達する。また、遊技者によって遊技球Bが貯留部54a内へ投入された場合も、同様に、底面部54b等に案内されて転動して整流部54eへ到達する。そして、遊技球Bは整流部54eの直線部54fを挟んで両側に設けられた傾斜壁54kによって誘導されて一列に整列されると共に、直線部54f上を下り傾斜する後方側(ガラス扉枠4側)へ転動して金属板54mの下流端より供給穴49へ流下する。供給穴49から図示しない球送り装置へ供給された遊技球は、1個ずつ発射レール33に導かれ、発射装置31によって発射される。
膨出部47前面の右寄り位置には、遊技球の貸し出しに関する操作を行うための貸球操作部66が配設されている。貸球操作部66は、図1、2及び図4に示すように、遊技球の貸し出し可能状態をランプによって示す貸出ボタンランプ66a、遊技球の貸し出しを行うための貸出ボタン66b、プリペイドカードの返却を行うための返却ボタン66c、プリペイドカードの残り度数を表示する度数表示LED66dとを備えている。
膨出部47下端の左右両側には、図4に示すように、下方へ延設された一対の延設部48,48が設けられている。本体枠3を外枠2側へ閉じた際に、延設部48,48が、外枠2下部前面の左右に設けられた脚状部2a,2a上面にてそれぞれ当接支持される(図1参照)。
次に、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出動作について、リーチ遊技状態を例として、図7乃至11を参照しつつ説明する。通常の遊技状態では、図8(a)、(b)に示すように、白色LED46cは消灯され、遊技者からは張出し部46の中空部46a内は視認不可能であり、透明EL表示装置46dの画面表示が視認される。図柄変動表示装置57において変動表示される複数の図柄列のうち、1つを除く他の図柄列の停止時の組合せが大当り図柄の組合せであるリーチ遊技状態が発生すると、主制御回路70から表示制御回路71及び演出制御回路72へ遊技進行情報としてリーチの種類情報を含むリーチ信号がそれぞれ送出される(図7参照)。表示制御回路71は、リーチ信号が入力されると、図柄変動表示装置57において、リーチの種類に対応したリーチ演出画面を表示する(図9(b)参照)。
また、演出制御回路72は、リーチ信号が入力されると、位置検出センサ46i〜46kにより演出用ボール60が中空部46a内の左端、中央、右端のいずれにあるかを検出した後、送風機55,56を駆動させて送風を開始する。演出用ボール60は送風機55又は56の風力によって中空部46a内を転がり、中央の位置検出センサ46jによって演出用ボール60が検出された時点で送風を停止する。このとき、演出用ボール60は、中空部46a内の中央に位置している。
続いて、白色LED46cが点灯され、中空部46a内の演出用ボール60はハーフミラー46bを通して、前方の遊技者から視認可能となる。また、演出制御回路72は、透明EL表示装置46dの左上部に「ハズレゾーン」、右上部に「当りゾーン」との文字をそれぞれ表示させる(図9参照)。以下、透明EL表示装置46dに「ハズレゾーン」と表示されている張出し部46左側の領域をハズレゾーン、透明EL表示装置46dに「当りゾーン」と表示されている張出し部46右側の領域を当りゾーンと称する。そして、左右の送風機55,56の駆動を交互に繰り返すことにより、演出用ボール60を左右に数回往復移動させた後、リーチの種類によって予め決められた位置へ最終的に移動させて、送風機55,56の駆動を停止する。
例えば、リーチの種類が、Aリーチ、Bリーチ、Cリーチの3種類が存在するものとし、各リーチの大当り発生に対する期待度が、Aリーチは「期待度小」、Bリーチは「期待度中」、Cリーチは「期待度大」のように設定されているとする。そして、Aリーチが発生した場合、演出用ボール60が左右に数回往復移動した後、最終的に張出し部46左側のハズレゾーンへ移動して停止する(図10(a)参照)。Bリーチが発生した場合、演出用ボール60は、左右に往復移動した後に張出し部46中央で停止する(図10(b)参照)。Cリーチが発生した場合、演出用ボール60は、左右に往復移動した後に張出し部46右側の当りゾーンへ移動して停止する(図10(c)参照)。
続いて、図柄変動表示装置57において変動中の図柄列が停止される。このとき、停止時の組合せが大当り図柄の組合せである場合は、大当り遊技状態が発生する。ここで、図11は、Cリーチの発生に続いて大当り遊技状態が発生した直後の状態を示す図であり、演出用ボール60は張出し部46右側の当りゾーン内に停止し、図柄変動表示装置57には大当り演出画面が表示されている。一方、停止時の組合せが大当り図柄の組合せ以外である場合は、通常の遊技状態に戻る。続いて、演出制御回路72は、白色LED46cを消灯する。これにより、ハーフミラー46bが外光を反射して中空部46a内は遊技者から視認不可能な状態となる。また、透明EL表示装置46dには装飾用の画像が表示される(図8参照)。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態のパチンコ機1によれば、演出用可動体としての演出用ボール60が移動可能に設けられる張出し部46が窓部41よりも前方へ張り出してアーチ状に形成されているので、パチンコ機1上で演出用ボール60の移動空間を大きく確保することができる。そして、送風機55,56からの送風によって、演出用ボール60は、中空部46a内を双方向に移動する。このとき、透明樹脂からなる張出し部46において、演出用ボール60が中空部46a内を左右両端間でダイナミックに往復移動する様子を遊技者に視認させることができ、これにより遊技の興趣を高揚させることができる。さらに、演出用ボール60が張出し部46の中空部46a内で双方向に移動動作する様子は、パチンコ機1の斜め或いは横方向からも視認可能であるため、遊技ホールにおいて周囲の遊技者から注目を集めたり、店員が当該パチンコ機1の遊技状態を察知して、札を立てたり、遊技球貯留箱(いわゆるドル箱)を用意する等の作業をすることもできる。
また、駆動源としての送風機55,56が演出用可動体としての演出用ボール60の外部に設けられ、演出用ボール60に外力を加えて中空部46a内を移動させるように構成されているので、演出用ボール60が駆動源を内蔵する必要がなく、演出用ボール60の構成を簡単化することができる。また、一対の送風機55,56が中空部46a内を互いに逆方向に送風するので、演出用ボール60を中空部46a内で双方向に移動させることができる。さらに、送風機55,56がガラス扉枠4のベース部40上に配設されているので、張出し部46に送風機55,56の重量負担がかからず、張出し部46の強度をそれほど高く設定する必要がない。
また、演出用ボール60の位置を検出する位置検出センサ46i,46j,46kを備え、送風機55,56は、位置検出センサ46i〜46kによる演出用ボール60の位置検出結果に基づいて駆動が制御されることによって、演出用ボール60を中空部46a内で所定位置に移動させることができる。
また、張出し部46の前面部に透明EL表示装置46dが配設されているので、演出用ボール60の視認性を確保しつつ、張出し部46の前面部で演出画面等の表示を行うことができる。また、中空部46a内の演出用ボール60の移動による演出動作と、透明EL表示装置46dによる画像表示(例えば、「ハズレゾーン」、「当りゾーン」の表示)とを同時に実行することにより、両者が重畳して視認されるので、極めて視覚的効果の高い演出を実現することができる。特に、透明EL表示装置46dは、自発光するのでバックライトが不要であり、透明性にも優れているので、透明表示装置に適している。
また、中空部46a内に設けられた演出用ボール60を外部から視認可能な状態と視認不可能な状態とに切り換える視認状態切替手段として、中空部46aにおいて演出用ボール60の前方側に設けられるハーフミラー46bと、演出用ボール60への照明を点灯と消灯とで切り替え可能な白色LED46cとを備えているので、白色LED46cが演出用ボール60への照明を点灯すると、ハーフミラー46bを通して演出用ボール60が外部から視認可能となる。一方、白色LED46cが演出用ボール60への照明を消灯すると、ハーフミラー46bが外光を反射するので、演出用ボール60は外部から視認不可能となる。よって、演出用ボール60の視認状態の切り換えにより、演出動作による視覚的効果をより一層増大させることができる。特に、通常は、遊技者が演出用ボール60を視認できない状態となっているが、演出用ボール60による演出動作が行われている間は遊技者が演出用ボール60を視認可能な状態となるので、演出用ボール60による演出動作に遊技者の注意を惹きつけることができる。また、演出用ボール60の移動先によって大当り遊技状態発生の期待度が示唆されるので、遊技者が演出用ボール60の移動先に注目するようになり、遊技の興趣が高揚される。
また、張出し部46は、ガラス扉枠4のベース部40より一部が離間するアーチ状に形成されているので、軽量化により支持部の負荷を軽減できると共に、遊技領域14の上方に張出し部46が設けられる構成によってアーチ形中央の上下に開放された部分(空間部46h)より光が採り入れられ、遊技領域14における明るさが確保されて遊技者は快適に遊技に興ずることができる。
また、張出し部46の中間部とガラス扉枠4のベース部40前面とを連結する中間連結部46gが設けられているので、張出し部46が左右の両端部と中間連結部46gとによってベース部40に対して高い強度で連結される。特に、張出し部46とガラス扉枠4のベース部40との連結部分は下方へ末広がり状に形成されているので、張出し部46がベース部40に対して高い強度で連結される。
また、張出し部46の略全体が透明とされているので、中空部46a内を演出用ボール60が移動する全体の様子を、遊技者が容易に視認することができる。
次に、本発明の第二の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、第一の実施形態における演出用ボール60が中空部内46a内を風力で往復移動する構成に代えて、フィギュアが張出し部46の中空部46a内を自走して往復移動する構成としたものである。尚、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、それらの部材についての詳細な説明は省略する。また、図12(a)は大当り発生直後における本実施形態のパチンコ機101の上半部を示す正面図であり、図12(b)はカッパフィギュア61の動作を示す正面図である。図13は、本実施形態の演出制御時の信号の流れを示すブロック図である。
本実施形態のパチンコ機101では、図12(a)に示すように、カッパフィギュア61が、張出し部46の中空部46a内に載置されている。カッパフィギュア61は、大当り演出画面に登場するカッパを模したボディ61aと、ボディ61aの下部に複数の車輪61bとを備えると共に、車輪を回転させるモータと、モータに電源を供給する電池と、制御信号を無線受信する受信器(いずれも図示せず)とを内蔵している。そして、カッパフィギュア61は、内蔵する受信器が演出制御回路72から受信した制御信号に基づいてモータを駆動して車輪61bを回転させることにより、中空部46a内を左右に移動することができる。
次に、パチンコ機101における遊技の進行に伴う演出動作について、大当り遊技状態を例として説明する。図柄変動表示装置57における全ての図柄列の停止時の組合せが大当り図柄の組合せである大当り遊技状態が発生すると、主制御回路70から表示制御回路71及び演出制御回路72へ遊技進行情報として大当り信号がそれぞれ送出される(図13参照)。表示制御回路71は、大当り信号が入力されると、図柄変動表示装置57において大当り演出画面を表示し(図12(a)参照)、続いて、大当りのラウンドが進行する毎に各ラウンドの演出画面を表示する。
また、演出制御回路72は、大当り信号が入力されると、白色LED46cを点灯する。これにより、ハーフミラー46bを介して中空部46a内が遊技者より視認可能な状態となる。また、演出制御回路72は、左走行信号を無線送信する(図13参照)。カッパフィギュア61は、内蔵する受信器において左走行信号を無線受信すると、モータを駆動して車輪61bを左回りに回動させる(図12(b)参照)。これにより、カッパフィギュア61は、左方へ走行を開始する。尚、カッパフィギュア61は、初期状態では、中空部46a内の略中央で停止しているものとする。そして、左側の位置検出センサ46iによってカッパフィギュア61が検出されると、演出制御回路72は、右走行信号を無線送信する(図13参照)。カッパフィギュア61は、受信器において右走行信号を無線受信すると、モータを駆動して車輪61bを右回りに回動させ、右方へ走行を開始する(図12(b)参照)。そして、右側の位置検出センサ46kによって、カッパフィギュア61が検出されると、演出制御回路72は、左走行信号を無線送信する。このようにして、大当り遊技状態が継続している間、中空部46a内で往復移動を繰り返す(図12(a)参照)。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態のパチンコ機101によれば、透明樹脂からなる張出し部46において、演出用可動体としてのカッパフィギュア61が中空部46a内を左右両端間でダイナミックに往復移動する様子を遊技者に視認させることができ、これにより遊技の興趣を高揚させることができる。
また、カッパフィギュア61に駆動源としてのモータが内蔵されているので、張出し部46やベース部40側に駆動源を設ける必要がなく、ガラス扉枠4側の構成を簡単化することができる。
また、演出表示装置としての図柄変動表示装置57が、遊技の進行に応じて演出画面表示を行い、カッパフィギュア61のモータが演出画面表示に連動して駆動されることにより、カッパフィギュア61が張出し部46の中空部46a内を移動する。このとき、図柄変動表示装置57による演出画面表示と共に、張出し部46の透明部分においてカッパフィギュア61がダイナミックに双方向へ移動する様子を遊技者に視認させることができるので、遊技の進行による興趣をより一層高揚させることができる。
尚、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
例えば、前記第一の実施形態では、張出し部46の中空部46a内に設けられた演出用ボール60の視認状態を切り替えるための視認状態切替手段を、ハーフミラー46bと白色LED46cとから構成したが、透過率を変化可能な可変調光手段により構成してもよい。張出し部46において演出用ボール60より前方側に設けられた可変調光手段の透過率を上昇させることにより、可変調光手段を通して演出用ボール60を視認可能とすることができる。一方、可変調光手段の透過率を低下させることにより、演出用ボール60を視認不可能とすることができる。
より具体的には、透明EL表示装置46dを可変調光手段として用いる構成としてもよい。透明EL表示装置46dは、透明性に優れているので、画像表示又は発光を行わない透過率の高い状態では、張出し部46の中空部46a内の演出用ボール60を視認可能とすることができる。一方、透明EL表示装置46dにおいて画像表示又は発光を行って透過率を低下させた状態では、張出し部46の中空部46a内の演出用ボール60を視認不可能とすることができる。
或いは、エレクトロクロミックを可変調光手段として用いる構成としてもよい。エレクトロクロミックは印加電圧を変えることにより透過率を変えることができるので、透過率の制御が容易であり、可変調光手段として適している。そして、エレクトロクロミックの透過率が高い状態では、張出し部46の中空部46a内の演出用ボール60を視認可能とし、透過率を低下させた状態では、張出し部46の中空部46a内の演出用ボール60を視認不可能とすることができる。
また、前記第一の実施形態では、演出用ボール60の移動先によって大当り遊技状態発生の期待度を示唆する構成としたが、これには限られず、例えば、演出用ボール60の移動速度等の他の移動態様によって期待度を示唆する構成としてもよい。
また、前記各実施形態では、張出し部46が本発明の中空筒部材の全体を構成する例を示したが、中空部46aを張出し部46から後方のベース部40又は本体枠3に跨って形成し、張出し部46が中空筒部材の一部を構成するようにしてもよい。
また、前記各実施形態では、照明装置として白色LED46cを用いた例を示したが、電球や蛍光灯を用いて構成しても構わない。さらに、透明表示装置として透明EL表示装置46dを用いた例を示したが、透明液晶表示装置を用いて構成しても構わない。