本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関するものである。
パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機には、遊技内容に関連したデザインを有する装飾部材等を付すことにより、当該遊技機に演出効果を付与したものがある。さらに、このような装飾部材の外部または内部に光源を配置して該装飾部材に光を照射することによって、装飾効果を高めるようにしたものもある。さらにまた、装飾部材を可動に構成することにより演出効果を高めることもなされている。
このような遊技機としては、例えば、以下の文献に記載のものが挙げられる。
特開2007−125276号公報
特開2004−24479号公報
特開2004−261426号公報
しかしながら、例えば特許文献1に記載の遊技機のように、装飾部材よりも前方に光源を配置して該装飾部材に前方から光を照射するようにした場合、この光源が前方に配置されるぶん、前後方向における装飾部材の設置スペースが制限されることとなり、該装飾部材自体の寸法も限定されデザインの自由度も低下する。特に、装飾部材を可動に構成しようとした場合には該装飾部材の動作が制限されて迫力に乏しいものとなる。
一方、装飾部材の内部に光源を配置して該装飾部材に内側から光を照射するようにした場合、該装飾部材の内部に光源の設置スペースが必要となり、そのぶん、該装飾部材の前後方向の寸法が増大せざるを得ずデザインの自由度も低下し、また、例えば装飾部材に屈曲や収縮といった動作を表出させようとした場合には内部の光源が干渉して該装飾部材の動作が困難となりやすく、このため例えば特許文献2に記載の遊技機のように内部の光源に干渉しない範囲で装飾部材に動作させる必要があるといったように、装飾部材の動作が制限されることともなる。またこの場合、装飾部材の形状が複雑となるほど、例えば上下左右の周縁部等の狭小な部位には光源を配置することが困難となり、このため該装飾部材の全体において光の照射による装飾効果を得ることは困難である。
また、装飾部材を包囲する周囲部においても光の照射による装飾効果を得ようとした場合、上記のように装飾部材の内部に設置した光源によっては周囲部に光を照射することは困難であり、装飾部材の前方に設置した光源によっても周囲部で十分な装飾効果は得難く、このため周囲部に光を照射するためにさらに光源を配置することが必要となってそのぶんコストの増大ともなる。
これに対し、例えば特許文献3に記載の遊技機のように、装飾部材の背面側(裏側)に光源を配置した場合、上記特許文献1や特許文献2に記載の遊技機の場合に比して、装飾部材の寸法やデザインの自由度が低下することも少なく、装飾部材の動作も制限されずにすむ。
ところが、上記のように装飾部材の背面側(裏側)に光源を配置すると、光源が装飾部材の位置よりも後退するため装飾部材と光源との一体感が損なわれ、特に装飾部材の前後方向の寸法すなわち厚みが大となるほど、装飾部材の前端部分と光源との距離がそれだけ大となって、該前端部分において光の照射による装飾効果が薄くなり外観あるいは見栄えも損なわれることとなる。
本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、装飾部材の寸法やデザインの自由度を低下させることが少なく、装飾部材の動作も制限されずに多様な動作表現が可能であって、また、少ない光源によって装飾部材の全体および周囲部において効率よく光の照射による装飾効果を得ることが可能であり、かつ、装飾部材と光源との一体感が損なわれることも装飾効果が薄れることもなく外観あるいは見栄えも良好に維持することができる遊技機を提供することを目的とする。
本発明によれば、装飾部材の寸法やデザインの自由度を低下させることが少なく、装飾部材の動作も制限されずに多様な動作表現が可能であって、また、少ない光源によって装飾部材の全体および周囲部において効率よく光の照射による装飾効果を得ることが可能であり、かつ、装飾部材と光源との一体感が損なわれることも装飾効果が薄れることもなく外観あるいは見栄えも良好に維持することができる遊技機が得られる。
遊技機は、手段1として、
外部から視認し得る位置に装飾演出を行うための装飾部材を備えた遊技機であって、
前記装飾部材が可動に構成され、
前記装飾部材に光を照射するための光源が該装飾部材よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設され、
前記装飾部材に、
前記光源から発した光を所定の透過度で透過させる第1光透過領域と、
前記光源から発した光を前記第1光透過領域よりも低い透過度で透過させ得る第2光透過領域と、
が、前記第1光透過領域が第2光透過領域に挟まれるようにして形成されていることを特徴とする。
なお本発明において、「第1光透過領域が第2光透過領域に挟まれるようにして形成されている」とは、例えば装飾部材を正面視上下方向または左右方向に3つの帯域に分割した場合に、第1光透過領域が中央の帯域に形成され、第2光透過領域がその上下または左右の両側の帯域に形成された態様や、後述する手段2のように第1光透過領域を上下左右から包囲して第2光透過領域が形成された態様等を含意する。
上記手段1に係る遊技機によれば、装飾部材に光を照射するための光源が装飾部材よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設されているので、該光源によって装飾部材の寸法やデザインが制限されることが少なく、装飾部材の寸法やデザインの自由度を確保することができる。特に、装飾部材の前方に光源を設置する場合のように前後方向における装飾部材の設置スペースが制限されることもないため、装飾部材の厚さまたは奥行をやや大きく設定することもでき、また逆に、装飾部材の内部に光源を設置する場合のように装飾部材の寸法が光源によって不可避的に増大するといったこともないため、装飾部材を薄型のものとすることもできる。また、装飾部材の動作が光源によって制限されることもないため、多様な動作表現が可能となってそのぶん良好な演出効果が得られる。
また、後方に所定の距離をおいた位置から光が照射されるため、光の照射範囲内に装飾部材の全体が収まることが可能となり、狭小な部位の有無といった装飾部材の形状の如何に関わらず、装飾部材の全体がまんべんなく照映することが可能となる。
また、装飾部材に光を照射するための光源によって、装飾部材の全体だけでなくこれを包囲する周囲部にも光を照射することができ、このとき、後方から光が照射されるため、例えば前方から光が照射される場合に比して、周囲部がより効果的にあるいはより高輝度に照映することが可能となり、この周囲部に光を照射するためにさらに光源を配置することも不要である。
さらにこのとき、装飾部材に第1光透過領域と該第1光透過領域よりも低輝度で照映し得る第2光透過領域とが形成されているので、第1光透過領域が第2光透過領域よりも相対的に高輝度で照映し、第2光透過領域が相対的に低輝度で照映することとなる。即ち、装飾部材のうちで、照映する輝度にコントラストが生じることとなり、これにより、光が照射された装飾部材が、単調に照映するのではなく、遠近感のような視覚効果を有した状態で照映することとなる。したがって、距離をおいた位置から装飾部材に光が照射されるようになっていても、光の照射による装飾効果がその距離のぶん薄れるということもなく、装飾部材の全体において効果的に装飾効果を得ることができる。
また、第1光透過領域が第2光透過領域に挟まれるようにして形成されていることにより、光源から光を照射すると、間に挟まれた第1光透過領域が両側の第2光透過領域よりも高輝度で照映するので、装飾部材を正面からみた場合に第1光透過領域からの光が視覚的に強調され、より手前寄りの位置から照射されているかのように見えることとなる。つまり、装飾部材よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設された光源から照射されている光が、実際の位置よりも前方の位置から、即ち、あたかも装飾部材の内部から照射されているかのような視覚効果を生じることとなる。したがって、光源が装飾部材よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設されて装飾部材の寸法やデザインの自由度が確保されていながら、なおかつ装飾部材の内部から光が照射されているかのような効果的な発光態様が得られる。したがって、装飾部材と光源との一体感が損なわれることも装飾効果が薄れることもなく、むしろ装飾部材と光源との一体感や装飾効果が向上し、外観あるいは見栄えもより一層良好とすることができる。
なお、光源は装飾部材よりも後方に所定の距離をおいた位置であれば任意の位置に配設してよいが、当該光源から光が最も高輝度に照射される方向を第1光透過領域に向けて配設するようにすると、第1光透過領域が最も高輝度で照映するため望ましい。
また、本発明にかかる遊技機は、手段2として、前記手段1の遊技機において、
前記第1光透過領域が装飾部材の正面視中央部に形成され、第2光透過領域が装飾部材の正面視周縁部に形成されていることを特徴とする。
なお本発明において、「第1光透過領域および第2光透過領域が装飾部材の正面視中央部および周縁部にそれぞれ形成されている」とは、例えば、第1光透過領域が装飾部材の正面視中心付近に形成され、この第1光透過領域を上下左右から包囲して第2光透過領域が形成された態様を含意する。
上記手段2に係る遊技機によれば、第1光透過領域を包囲して第2光透過領域が正面視周縁部に形成されていることにより、第1光透過領域の全体が周囲の第2光透過領域よりも視覚的に強調されることとなって装飾効果がより向上する。
また、本発明にかかる遊技機は、手段3として、前記手段1または手段2の遊技機において、
前記装飾部材が遊技機の前後方向に一定の厚さを有し、第1光透過領域が前方寄りの位置に、第2光透過領域が後方寄りの位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
上記手段3に係る遊技機によれば、第1光透過領域が正面から視て手前寄りに位置するため視覚的により強調され、そのぶん装飾効果もより向上する。また、後述するように第1光透過領域および第2光透過領域を吹き付け塗装により形成しやすいという利点もある。
また、本発明にかかる遊技機は、手段4として、前記手段1から手段3のいずれかの遊技機において、
前記光源の正面視において上下左右を含む周囲部の少なくとも一部に、光拡散部が配置されていることを特徴とする。
なお、「光源の正面視において上下左右を含む周囲部の少なくとも一部」とは、遊技機の正面視において光源の上下左右を含む周囲部の少なくとも一部としても、あるいは装飾部材の正面視において光源の上下左右を含む周囲部の少なくとも一部としてもよい。
上記手段4に係る遊技機によれば、光源から周囲部にむかって照射された光が光拡散部を透過することにより拡散して比較的に薄弱となり、これによって、光源から前方にむかって照射された光、即ち装飾部材に照射された光が相対的により強調されることとなってより効率よく装飾効果を得ることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段5として、前記手段4の遊技機において、
前記光拡散部が、少なくとも一部で多重に配置されていることを特徴とする。
上記手段5に係る遊技機によれば、光源から周囲部にむかって照射された光が、多重に配置された光拡散部を透過することによりさらに薄弱となり、これによって、装飾部材に照射された光が相対的にさらに強調されることとなってさらに効率よく装飾効果を得ることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段6として、前記手段5の遊技機において、
前記多重に配置された光拡散部が、光の拡散方向をずらすようにして配置されていることを特徴とする。
なお、「多重に配置された光拡散部が、光の拡散方向をずらすようにして配置されている」とは、例えば多重に配置された光拡散部がそれぞれ一方向に延びる突条で構成され、これら突条が互いに交差するようにして形成された態様を含む。
上記手段6に係る遊技機によれば、多重に配置された光拡散部が、光の拡散方向をずらすようにして配置されていることにより、簡単な構成で光拡散効果をさらに良好とすることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段7として、前記手段1から手段6のいずれかの遊技機において、
前記光源とは別に、周方向に光を照射するための光源が配設されていることを特徴とする。
なお、「周方向」とは、遊技機の内側における任意の位置から遊技機の周縁部にむかう方向を意味する。
上記手段7に係る遊技機によれば、装飾部材に光を照射するための光源とは別の光源により周方向に光を照射することにより、装飾部材に照射された光が周方向に照射された光に対しより効果的に差異化されることとなり、これによりさらに効率よく装飾効果を得ることができる。特に、前記したように装飾部材の内部から光が照射されているかのような視覚効果がより強調される。
また、本発明にかかる遊技機は、手段8として、前記手段7の遊技機において、
前記周方向に光を照射するための光源から前方へむかう光を遮蔽するための遮光板が配設されていることを特徴とする。
周方向に光を照射するための光源から照射された光は、該光源が向いている側のおよそ90°程度(該光源の正面に対して片側45°程度ずつ)の角度範囲にわたって照射され、この角度範囲以外にも多少漏れ出るが、上記手段8に係る遊技機によれば、光源から前方へむかう光が遮光板により遮蔽されてこれより前方へは照射されないこととなる。これにより、装飾部材に照射された光が周方向に照射された光に対しさらに効果的に差異化されることとなり、これによりさらに効率よく装飾効果を得ることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段9として、前記手段7または手段8の遊技機において、 前記周方向に光を照射するための光源が、装飾部材に光を照射するための光源からの光とは異なる色の光を照射するように制御する制御装置を備えることを特徴とする。
上記手段9に係る遊技機によれば、周方向に光を照射するための光源から照射された光と、装飾部材に光を照射するための光源から照射された光との色が異なるものとなるように制御することにより、これらの光をより明確に差異化することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段10として、前記手段7から手段9のいずれかの遊技機において、
前記周方向に光を照射するための光源が、装飾部材に光を照射するための光源の発光とは異なるタイミングで発光し得るように制御する制御装置を備えることを特徴とする。
上記手段10に係る遊技機によれば、周方向に光を照射するための光源の発光のタイミングと、装飾部材に光を照射するための光源の発光のタイミングとを異なるものとなるように制御することにより、これらの発光態様をより明確に差異化することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段11として、前記手段1から手段10のいずれかの遊技機において、
前記装飾部材が、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて動作を制御されるものであることを特徴とする。
本発明にかかる遊技機は、装飾部材が動作し得る構成となっているが、上記手段11におけるように、装飾部材の動作を、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて開始させたり、あるいは例えば通常よりも大きく動作させたり、動作周期を小さくしたりするなどのように種々の態様に制御することにより、遊技の興趣を高める演出を効果的に行うことができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段12として、手段1から手段11のいずれかの遊技機において、
遊技機がパチンコ機であることを特徴とする。
パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて有価物体の一例である球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カード書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
パチンコ機にあっては、装飾部材に光を照射するための光源が該装飾部材よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設され、該装飾部材に、第1光透過領域と、該第1光透過領域よりも低輝度で照映し得る第2光透過領域とが、上記第1光透過領域が第2光透過領域に挟まれるようにして形成されているので、装飾部材の寸法やデザインの自由度を低下させることが少なく、装飾部材の動作も制限されずに多様な動作表現が可能であって、また、少ない光源によって装飾部材の全体および周囲部において効率よく光の照射による装飾効果を得ることが可能であり、かつ、装飾部材と光源との一体感が損なわれることも装飾効果が薄れることもなく外観あるいは見栄えも良好に維持することができるパチンコ機が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段14として、手段1から手段13のいずれかの遊技機において、
遊技機がスロット機であることを特徴とする。
スロット機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。
この場合、有価物体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
スロット機にあっては、装飾部材に光を照射するための光源が該装飾部材よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設され、該装飾部材に、第1光透過領域と、該第1光透過領域よりも低輝度で照映し得る第2光透過領域とが、上記第1光透過領域が第2光透過領域に挟まれるようにして形成されているので、装飾部材の寸法やデザインの自由度を低下させることが少なく、装飾部材の動作も制限されずに多様な動作表現が可能であって、また、少ない光源によって装飾部材の全体および周囲部において効率よく光の照射による装飾効果を得ることが可能であり、かつ、装飾部材と光源との一体感が損なわれることも装飾効果が薄れることもなく外観あるいは見栄えも良好に維持することができるスロット機が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段15として、手段1から手段14のいずれかの遊技機において、
遊技機がパチンコ機とスロット機を融合させた遊技機であることを特徴とする。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、有価物体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機にあっては、装飾部材に光を照射するための光源が該装飾部材よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設され、該装飾部材に、第1光透過領域と、該第1光透過領域よりも低輝度で照映し得る第2光透過領域とが、上記第1光透過領域が第2光透過領域に挟まれるようにして形成されているので、装飾部材の寸法やデザインの自由度を低下させることが少なく、装飾部材の動作も制限されずに多様な動作表現が可能であって、また、少ない光源によって装飾部材の全体および周囲部において効率よく光の照射による装飾効果を得ることが可能であり、かつ、装飾部材と光源との一体感が損なわれることも装飾効果が薄れることもなく外観あるいは見栄えも良好に維持することができる、パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機が得られる。
以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の斜視図である。図1、2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
また、内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、図示しない樹脂ベースと、この樹脂ベースの後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できる。特に、下皿15を形成する表面層と下皿奥方の前面パネル部分とを難燃性のABS樹脂にて成形している。このため、この部分は燃えにくくなっている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
次に、図3〜図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図3は遊技盤30の構成を示す正面図であり、図4は、収容部の入口61付近を模式的に示す図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動口33、第2の始動口34(スルーゲートで構成)、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33、第2の始動口34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、図4に示すように一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、収容部の入口61が配置されている。収容部の入口61については、後に言及する。収容部の入口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
上記特別図柄表示装置38は、第1の始動口33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置41は第2の始動口34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
上記特別図柄表示装置38は2色のLED38a,38bで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。各LED38a,38bは、例えば赤色と緑色との可変表示がなされるようになっている。
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
上記普通図柄表示装置41は、普通図柄用のランプ41a,41bを備えている。この実施例では、普通図柄用のランプ41aは、例えば、装飾図柄表示装置42の表示両面の上方に設けられ、その外観形状は「○」形状となっている一方、普通図柄用のランプ41bは、ランプ41aの右上側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置41は、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えばランプ41a、41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、ランプ41a,41bが交互に光り、ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、ランプ41a,41bは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置38が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。なお、レールユニット50はフッ素樹脂を添加して成形されているので、遊技球の摩擦抵抗を少なくできる。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図3の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図3の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図5はパチンコ機10の背面図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板(装置)、電源監視基板(装置)、及びサブ制御基板(装置)を一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板(装置)、発射制御基板(装置)及び電源基板(装置)を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更に、これに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板と、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御と音声ランプ制御とを司るサブ制御基板とを有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。この基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックス263が封印される。
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
次に、前記第2制御基板ユニット202は、払出制御基板、発射制御基板、電源基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記発射制御基板により遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われ、上記電源基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース280内に収納されており、上記電源基板は、透明樹脂材料等よりなる電源基板ケース281内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース314内に収納され、上記発射制御基板は透明樹脂材料等よりなる図示しない発射制御基板ケース内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
上記払出制御基板は状態復帰スイッチ321と電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチ388の左方には、前面枠開検出スイッチ389が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチ389からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図6を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置38は上記したように特別図柄表示ランプ38a,38bで構成されており、普通図柄表示装置41は上記したように普通図柄表示ランプ41a,41bで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
ここで、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置38で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、特別図柄表示装置38の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、特別図柄表示ランプ38a,38bの色変化(赤色・緑色の変化)や点滅等の点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動口33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、特別図柄が揃っている場合、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが同一色の点灯状態となっているときは大当たりとなり、変動表示の停止時に特別図柄が揃っていなければ、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが異色の点灯状態となっているときは、外れとなり、始動口33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動口33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、本形態では、変動表示の停止時において、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色の点灯状態であれば、特定図柄(確率変動図柄)とみなされ、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色の点灯状態であれば、非特定図柄(非確率変動図柄)とみなされる。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
次いで、普通図柄表示装置41の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、普通図柄表示ランプ41a(外観が○形状)と、普通図柄表示ランプ41b(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動口34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、表示ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置38の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置38の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置38が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せ(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で点灯する場合)によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で点灯する場合)をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置38における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、2つの表示ランプ38a,38bで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置38による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動口34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動口34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動口33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、図7乃至図10に示すように、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。図7は、可変入賞装置32の平面図であり、図8は、その正面図であり、図9は、その側面図であり、図10は、その背面図である。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ収容部の入口61からの入球を収容部70に収容し、該収容部70に設けた排出部71から検出センサ72に至って検出するように構成されている。
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動口33(33a及び33b:図3及び図4参照)が設けられ、前記始動口33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記収容部の入口61から収容部70に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサ72により検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
(特徴構成)
本実施形態のパチンコ機10においては、図3および図4に示すように、可変表示装置ユニット35に装飾部材401が設けられている。図12は可変表示装置ユニット35の上面図、図13は可変表示装置ユニット35の正面図、図14は可変表示装置ユニット35の右側面図、図15は可変表示装置ユニット35の背面図、図16は可変表示装置ユニット35の斜視図、図17は可変表示装置ユニット35の分解斜視図、図18は図13のA−A部断面図である。
可変表示装置ユニット35は、図3および図4に示すように、遊技領域の中央部に配置され、遊技領域内の大きな面積を占める大型の役物となっており、電動役物ユニットあるいはセンター役物とも称される。この可変表示装置ユニット35は、図13および図16に示すように、装飾図柄表示装置42を中央に備え、該装飾図柄表示装置42の上辺部、下辺部、左辺部および右辺部をセンターフレーム43で包囲するようにして構成され、センターフレーム43は、装飾図柄表示装置42を収容する概略横長の楕円形状の外形を有している。センターフレーム43の外周にはネジ孔を有するフランジ43Fが設けられており、木ネジ等により遊技盤30上に固定されるようになっている。
センターフレーム43は、図17に示すように、装飾図柄表示装置42が配置される横長の長方形状の開口を内側に有し概略横長の楕円形状の外形を有する台枠421の前面に、該台枠421の上部および右側部に対応する概略鉤形状を有する内部枠材422、該内部枠材422と同様の概略鉤形状を有する第1装飾枠材423、台枠421の左側部に対応する第2装飾枠材424、台枠421の外周部に対応する概略楕円形状を有する前枠材425、台枠421の下端縁に対応する円弧形状を有するステージ部材426、装飾部材401等の部材を取り付けて構成されている。
図13に示すように、上記前枠材425の上端縁の右側部分は、概略楕円形状の外周よりも外方へ膨出して膨出部371を形成している。
この膨出部371には、4個の表示装置371A、371B、371C、371Dが左から順に配置されている。左から1番目の表示装置371Aは、縦2個、横2個の計4点のLEDで構成され、このうち左側の縦2個のLEDが、上下の一方のみあるいは両方を点灯することにより3通りに点灯表示し、これにより大当たりとなる確率が低確率、中確率および高確率のいずれであるかを表示するようになっており、右側の縦2個のLEDが、これらの点灯状態に点滅状態を加えて組み合わせることにより、特別図柄に関する保留球の個数を表示するようになっている。なお、台枠421の下部には、装飾図柄表示装置42の下辺に沿って右端部に配列された4個のランプよりなる保留ランプ800aが配置されており、この保留ランプ800aによっても上記特別図柄に関する保留球の個数が表示されるようになっている。左から2番目の表示装置371Bは、数個(7ないし9個)のLEDのセグメントから構成され、特別図柄の種類を表示するようになっている。この左から2番目の表示装置371Bの表示内容は、装飾図柄表示装置42によっても表示される。左から3番目の表示装置371Cは、同じく数個のLEDのセグメントから構成され、当りのラウンド数を表示するようになっている。左から4番目の表示装置371Dは、上、左下および右下の計3点のLEDで構成され、このうち左下のLEDが、青または赤に点灯して当り外れを表示する普通図柄表示装置となっており、上および右下のLEDが、点灯状態と点滅状態との組み合わせにより、普通図柄に関する保留球の個数を表示するようになっている。
上記膨出部371を含め前枠材425のほぼ上半部における外周縁には、図16にも示すように、前方へ延出する鍔部372が設けられている。センターフレーム43の上方へ飛来した遊技球は、上記鍔部372上を転動して右下または左下へ流下する。また、上記第1装飾枠材423の上部には、動作しない固定装飾部427が配置され、装飾図柄表示装置42の直上部における最前面部の装飾となっている。
上記ステージ部材426には、図16に示すように、全体的に下方に凹むように湾曲する概略円弧状の中ステージ374および下ステージ379が形成されている。該中ステージ374の中央部すなわち下端部は上方に若干隆起し、その頂部に、内奥側へ向けて下傾する溝状誘導部374aが形成され、この隆起部分の左右両側部に、前面側へ向けて下傾する溝状誘導部374b、374bがそれぞれ形成されている。また、上記中ステージ374中央部の溝状誘導部374aの内奥側端に当接する壁面部(遊技盤30に平行な壁面部)をなす前記台枠421の前面部には、下方へ延びる坑道375が設けられて該溝状誘導部374aと連通し、該坑道375の下端部は、図17に示すように前記前枠材425の下端中央に形成された溝425aと連通している。さらにこの溝425aは前方へ延びて、前面下端部の排出口376に連通している。
上記中ステージ374の前側には、若干の段差を介して一段下方に、下ステージ379が形成されている。該下ステージ379は、前記中ステージ374と同様に、全体的に概略円弧状で中央部が上方に若干隆起し、この隆起部分の左右両側部に、前面側へ向けて下傾する溝状誘導部379b、379bがそれぞれ形成されている。ただし、隆起部分の頂部は前記中ステージ374の場合とは異なり、下方へ陥入する凹部379aが形成され、この凹部379aの底部は前方へむけて下傾している。
前記台枠421の前面部において、上記ステージ部材426の内側に当接する壁面部の上端部には、上ステージ378が形成されている。該上ステージ378は、両側から中央へかけてわずかに下傾しながら直線的に延びる斜面で構成され、中央部は下方に陥入して、前述の坑道375となっている。上ステージ378の前側端縁にはガイドレール378aが設けられている。
前記前枠材425の鍔部372の左下部には切欠380が形成され、該切欠380に対応して、前枠材425の内側に入球部材391が配置されている。該入球部材391には、上記切欠380に連通し後方へ延びる内腔が形成され、該内腔は前記第2装飾枠材424の内部に形成された球誘導路に連通している。第2装飾枠材424の下端部には、中ステージ374へ向けて開口する袖開口377が設けられており、該袖開口377は前記第2装飾枠材424内の球誘導路に連通している。
上記切欠380から入球部材391に入球した遊技球は、第2装飾枠材424の内部の球誘導路内を流下し、上記袖開口377から中ステージ374へ案内される。袖開口377から出てきた遊技球は、中ステージ374上を右方へ向かって転動し、その途上で前記溝状誘導部374b、374bから下ステージ379の溝状誘導部379b、379bを経て前面側へ転落したり、あるいはごく稀に中央部でうまく溝状誘導部374aに案内されて坑道375に入り、排出口376から前面側へ排出され、直下に位置する第1の始動口33に高確率で入球することもあるが、大部分は中ステージ374の右端まで到達する。中ステージ374の右端部には、前後に下傾する湾曲面(図示せず)が形成されており、この湾曲面上で遊技球が前後に振り分けられ、大部分は前方に振り分けられる。後方に振り分けられた遊技球は、前記上ステージ378に乗って左方へ帰還し、中央の坑道375に入り、排出口376から前面側へ排出される。前方に振り分けられた遊技球は、前記下ステージ379に乗って左方へ帰還し、該下ステージ379上を往復するが多くはその途上で溝状誘導部379b、379bに案内されて前面側へ転落し、あるいは稀に中央部で凹部379aに入って前面側へ排出され、直下に位置する第1の始動口33に高確率で入球する。
装飾部材401は、図13、図16および図17に示すように、概ね「海老」の形状を模した、やや細長に延びて緩やかに弧状に湾曲する外形(全長概略23cm、最大幅概略4.5cm)を有し、表面全体には(図示されていないが)夥しい微細な突起が連続して稠密に形成された樹脂製の部材となっており、センターフレーム43の外周に沿って、右側部から上端近傍にかけて、内側に湾曲した体勢で配置されている。また、図18に示すように、装飾部材401は概略円弧状の断面形状を有して遊技機の前後方向に一定の厚さ(概略2cm)を有するものとなっており、また、内部が空洞となっている。
装飾部材401には、幅方向に延びる赤い縞状の模様が長さ方向に沿って数箇所に配されるとともに、地の部分には全体的に黄色がかった彩色がなされているが、この地の部分の黄色の彩色は、図13に模式的に示すように、長さ方向に沿って延びる幅方向中央の帯域においては淡白で、両側縁に沿って延びる幅方向両側の帯域においては上記幅方向中央の帯域よりも濃厚となっている。これにより、装飾部材401の幅方向中央の帯域が、光を所定の透過度で透過させ得る第1光透過領域401Aとなっており、装飾部材401の幅方向両側の帯域が、光を第1光透過領域401Aよりも低い透過度で透過させ得る第2光透過領域401Bとなっている。
このとき、前記したように装飾部材401は概略円弧状の断面形状を有して遊技機の前後方向に一定の厚さを有しているので、第1光透過領域401Aは前方寄りの位置に、第2光透過領域は後方寄りの位置にそれぞれ形成されている。
上記第1光透過領域401Aおよび第2光透過領域401Bの着色は、装飾部材401に側方から塗料を吹き付けることで、スプレーに近い側部分、即ち、第2光透過領域401Bが自然と濃くなり、離れた中央部分、即ち、第1光透過領域401Aが薄くなるようにした塗膜により形成されている。この塗装方法は、本実施例の装飾部材401のように概略円弧状(半円形状、楕円形状等)といった、中央部分が前方に突出し、両側部分がこれよりも漸次後退した形状を有する装飾部材に適用すると、第1光透過領域および第2光透過領域を形成しやすく好ましい。
装飾部材401よりも背面側(遊技盤30側)には、図17および図18に示すように、光源40Lが配置されている。この光源40Lは、遊技盤30に平行に設置された基板40Sの前面上に、3色発光可能なLEDを、装飾部材401の概略長手方向に沿って、適宜間隔をおいて多数を1列に配列するようにして構成されている。図17に示すように、光源40Lは、装飾部材401の湾曲形状に追随し、かつ第1光透過領域の形成位置に対応するように、上下方向にやや長く延びるとともに上部が左方へ屈曲する形状に配列され、また基板40Sもこれに対応して、上下に長く延びて上端部が左方へ屈曲する部分と、これよりさらに左方へ延びる部分との2部分に分割構成されている。上記光源40Lにより、装飾部材401よりも後方に所定の距離(約1.5cm)をおいた位置から該装飾部材401に光が照射されるようになっている。
光源40Lの周囲部には、図18に示すように、光拡散部40D、40E、40Nが配置されている。
光源40Lの正面視において上下左右を含む周囲部のうち、屈曲形状の内側部を覆う位置に設けられた光拡散部40D、40Nは、前記第1装飾枠材423および内部枠材422にそれぞれ設けられている。第1装飾枠材423は、図17に示すように、装飾図柄表示装置42の上辺および右辺に沿って延びる上部片および右側片を一体的に有する概略鉤形状の部材で、透明樹脂よりなり、装飾図柄表示装置42の上辺および右辺に対向する内側面には、図18に示すように、多数の線条を束ねた形状を有する突条が、緩やかに蛇行し所々で絡み合いながら、上部片および右側片の長さ方向に(即ち第1装飾枠材423の形状に沿って鉤形状をなす方向に)延びるように形成されており、この突条が光を拡散する機能を奏する。該第1装飾枠材423の内側面は光源40Lの内側部を覆う位置に配置されており、この第1装飾枠材423の内側面に形成された突条が光拡散部40Dを構成している(以下、この第1装飾枠材423に設けられた光拡散部40Dを第1光拡散部40Dとも称す)。また、前記第2装飾枠材424も同様に透明樹脂よりなり、内側面には上記第1装飾枠材423と同様の突条が形成されていて、前記第1装飾枠材423の突条は、この第2装飾枠材424の突条とともに、装飾図柄表示装置42の上辺および左右両辺における装飾をなす意匠ともなっている。
また、第1装飾枠材423の前面部は、装飾図柄表示装置42の上辺および右辺に沿って延びる鉤形状の内側縁と、センターフレーム43の外周に沿った楕円の一部をなす外側縁とからなる外郭を有し、右側部から上部にかけて、装飾部材401の平面形状に対応する形状を有する基台面部423Sが形成されている。この基台面部423Sは前面および背面の両面が平面となっており、これにより光源40Lからの光が基台面部423Sで拡散することなく透過して装飾部材401の第1光透過領域401Aに効果的に照射されるようになっている。一方、第1装飾枠材423の前面部における基台面部423S以外の部分には、内側面から連続するようにして、ほぼ全体に前記突条が形成されている。したがって、図18に示すように、基台面部423Sの右側縁に沿って円弧状に延びる小幅の部分にも突条が形成されていて、この部分に形成された突条も光を拡散する機能を奏するようになっており、これにより光拡散部40Eが構成されている(以下、この基台面部423Sの右側縁に沿って設けられた光拡散部40Eを第2光拡散部40Eとも称す)。
内部枠材422は、図17に示すように、前記第1装飾枠材423と同様に、装飾図柄表示装置42の上辺および右辺に沿って延びる上部片および右側片を一体的に有する概略鉤形状の部材で、透明樹脂よりなり、内側面には、図18に示すように、前記と同様の突条が上部片および右側片の長さ方向に延びるように形成されている。該内部枠材422の内側面は、前記第1装飾枠材423の内側面よりも外側の位置であって光源40Lの内側部を覆う位置(即ち第1装飾枠材423と光源40Lとの間の位置)に配置されており、この内部枠材422の内側面に形成された突条が光拡散部40Nを構成している(以下、この内部枠材422に設けられた光拡散部40Nを第3光拡散部40Nとも称す)。また、内部枠材422の前面部には、前記基板40Sを収容し得る形状の凹部422aが形成されており、この凹部422aに基板40Sが嵌着され支持固定されるようになっている。
上記第1光拡散部40Dおよび第3光拡散部40Nにより、光源40Lの内側部を覆う位置で光拡散部が多重に(二重に)配置された構成となっている。さらに、上記第1光拡散部40Dを構成する突条と第3光拡散部40Nを構成する突条とは位相がずれるように、即ち、これらの突条が延びる軌道が互いに一致することなく交差するようにして配置されており、これにより、光の拡散方向も互いにずれるようになっている。即ち、多重に配置された第1光拡散部40Dおよび第3光拡散部40Nが、光の拡散方向をずらすようにして配置された構成となっている。
また、図13に示すように、前記前枠材425の内側面には、内外方向に沿って多数の突条が形成され、さらにその表面が金色の皮膜層により被覆されて光拡散部40Hが構成されており、上記光源40Lから照射された光のうち、装飾部材401よりも外側へむかって進んだ光がこの光拡散部40Hで拡散され、これにより、装飾部材401が視覚的により強調される構成となっている。
台枠421の右側部には、図18に示すように、前記光源40Lとは別の光源(以下、副光源とも称す)40Bが配置されている。この副光源40Bは、台枠421の右側部において、前記センターフレーム43の開口の内側面よりも外側の位置に、該センターフレーム43の開口の内側面に平行に配置された基板40Tの内側面上に、装飾図柄表示装置42の右辺に沿って上下方向に多数(6個)のLEDを1列に配列するようにして構成されている。この副光源40Bにより、周方向(この場合は台枠421の右側部から該台枠421の内方すなわちパチンコ機10の中央へ向かう方向)に光が照射されるようになっている。
上記副光源40Bの前側には遮光板40Pが配置されている。この遮光板40Pは、副光源40Bから前方へむかう光を遮蔽するためのものであり、該副光源40Bが搭載されている基板40Tの前側縁から内側(左側)へむけて垂直な体勢をなして配置された、上下方向に帯状に長く延びる不透明樹脂よりなるプレートとなっている。副光源40Bからの光は、内側方向(左側方向)だけでなく前後方向も含むほぼ90°程度(副光源40Bの正面に対して片側45°程度ずつ)の角度範囲にわたって照射され、この角度範囲以外にも多少漏れ出るが、このうち、前方へ向かう光が上記遮光板40Pにより遮蔽されるようになっている。これにより、副光源40Bから照射された光と前記光源40Lから照射された光とが、遮光板40Pを挟んで前後に隔離されてより確実に差異化されるようになっている。
上記副光源40Bも前記光源40LもいずれもRGB3色発光LEDで構成されているが、上記副光源40Bは、前記光源40Lからの光とは異なる色の光を照射するように制御され、この制御は、前記サブ制御装置262のROM551に記憶された制御プログラムにより実行されるようになっている。これにより、これら副光源40Bおよび光源40Lからそれぞれ照射された光がより確実に差異化されるようになっている。
上記副光源40Bは、前記光源40Lの発光とは異なるタイミングで発光し得るように制御され、この制御は、前記サブ制御装置262のROM551に記憶された制御プログラムにより実行されるようになっている。これにより、これらの発光態様がより明確に差異化されるようになっている。上記光源40Lおよび副光源40Bは、それぞれ、一定間隔をおいて一定時間ずつ間欠的に点灯するように制御され、光源40Lおよび副光源40Bのそれぞれの点灯間隔および点灯時間は互いに異なるように設定されていて、これにより光源40Lおよび副光源40Bの発光態様が明確に異なる構成となっている。また、上記副光源40Bは、前記光源40Lの発光と同一色で同期させて発光し得るようにも制御され、これにより副光源40Bおよび光源40Lの発光を一体的とすることができ、さらに、副光源40Bおよび光源40Lの発光のタイミングが同期したりずれたりするように制御されることで、少ない光源によってより多彩な発光態様を得ることができる。
装飾部材401は、図17および図18に示すように、該装飾部材401の平面形状に対応する形状を有する透明樹脂よりなる支持板428の前面上に支持固定されている。支持板428の背面には、ほぼ中央部の外側寄りの位置から後方に垂直に突出する案内ピン428aが形成され、この案内ピン428aは、前記第1装飾枠材423の基台面部423Sのほぼ中央部に穿設された長孔423aを通して、後述する駆動手段429のアーム429aに連結されている。また、支持板428の背面には、一方端部に位置する1点およびこれよりも中央寄りに位置する1点からそれぞれ後方に垂直に突出する突起(図示せず)が形成され、これら突起は前記第1装飾枠材423の基台面部423Sの一方端部およびこれよりも中央寄りにそれぞれ穿設された長孔423bを通して、その先端部が、これら両突起の間隔以上の長さを有する連結部材430bに固定されている。支持板428の背面における他方端部に位置する1点およびこれよりも中央寄りに位置する1点からも、それぞれ後方に垂直に突出する突起(図示せず)が形成され、これら突起は前記第1装飾枠材423の基台面部423Sの他方端部およびこれよりも中央寄りにそれぞれ穿設された長孔423cを通して、その先端部が、これら両突起の間隔以上の長さを有する連結部材430cに固定されている。上記基台面部423Sに穿設された合計5個の長孔423a、423b、423cはそれぞれ、正面視左下から右上にやや長く延びる長孔(長さ約9mm)となっており、上記支持板428の背面に突設された案内ピン428aおよび突起がそれぞれ、上記各長孔423a、423b、423cに沿って斜方向に往復動し得るようになっている。
上記支持板428は、装飾部材401の第1光透過領域に対応する領域が前面および背面の両面共に平面に成形されており、これにより、光源40Lからの光が支持板428で拡散することなく透過して装飾部材401の第1光透過領域401Aに効果的に照射されるようになっている。
上記支持板428は、装飾部材401を支持する機能を主として有するものであるが、併せて、案内ピン428aおよび両端部の突起が形成されることで、装飾部材401にこれらの突起物を形成することを省略でき、これにより、突起物の形成によって装飾部材401の第1光透過領域の光透過性が損なわれ輝度が低下するといった不具合を回避する機能も奏する。また、装飾部材401の剛性を補強する機能も奏し、これにより装飾部材401を薄く成形することもできるので、そのぶん装飾部材401のデザインの自由度を確保することができ、成形時間も短縮できる。
上記支持板428の前面には、図18に示すように、装飾部材401の第2光透過領域に対応する位置であって支持板428の周縁よりやや内側寄りの位置に、該周縁に沿って延びるリブ428Eが形成されている。このリブ428Eは、支持板428を補強するように機能する上、装飾部材401の第2光透過領域に対応する位置に形成されることで、第2光透過領域の輝度を低下させ、これにともなって第1光透過領域の輝度を相対的に向上させるようにも機能するものとなっている。
駆動手段429は、前記アーム429aとモータ429bとを含んで構成されている。アーム429aは、一方端部に案内溝429cが形成されて前記案内ピン428aがスライド自在に挿通され、この一方端部よりやや中央寄りの位置に軸孔429dが穿設され、他方端部よりやや中央寄りの位置にカム溝(図示せず)が形成された構成となっている。上記軸孔429dにはボルトが挿通されて前記第1装飾枠材423の外周縁に配設されたネジ孔423dに裏側から螺入されて固定され、これにより、図17中の矢印A1に示すように、前後方向に延びる軸を中心としてアーム429aが回動自在に第1装飾枠材423に軸支される。また、上記案内溝429cは、軸孔429dを中心とする円周方向および径方向に対して傾斜する方向に延びる長孔となっている。モータ429bには、前後方向に延びるカムピン(図示せず)が連結され、このカムピンは前記アーム429aのカム溝に挿通されている。モータ429bを回転させると、該モータ429bの回転軸を中心としてカムピンが回転し、これにともなってアーム429aが矢印A1に示すように軸孔429dを中心として左右に往復するように回動する。このアーム429aの回動により、上記案内溝429cに挿通された案内ピン428aが駆動されて前記基台面部423Sの長孔423aに沿って往復動する。このとき、前記支持板428の両端寄りの4点に形成された突起もそれぞれ前記基台面部423Sの長孔423b、423cに沿って往復動するように規制されているため、支持板428の全体が、上記長孔423a、423b、423cの長さ方向に沿って斜め方向に往復動する。この支持板428の往復動により、装飾部材401が正面視左下方向および右上方向にやや小幅に往復するようにして揺動し、これによって演出効果が高められるようになっている。
上記駆動手段429は、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御されるようになっている。前記したように、始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、特別図柄や装飾図柄の変動表示が開始され、一定時間の経過後に停止して、大当たりであるか外れであるかの結果が表示されるが、上記駆動手段429は、この変動表示の開始および停止にともなって作動を開始および停止するように制御される。これにより、上記装飾部材401の動作が、前記した興趣演出の一態様として行われ、変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させるように演出がなされる。
(作用)
上記パチンコ機10によれば、外部から視認し得る位置に装飾演出を行うための装飾部材401を備えた構成において、上記装飾部材401が可動に構成され、上記装飾部材401に光を照射するための光源40Lが該装飾部材401よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設され、上記装飾部材401に、上記光源40Lから発した光を所定の透過度で透過させる第1光透過領域401Aと、上記光源40Lから発した光を上記第1光透過領域401Aよりも低い透過度で透過させることにより上記第1光透過領域401Aよりも低輝度で照映し得る第2光透過領域401Bとが、上記第1光透過領域401Aが第2光透過領域401Bに挟まれるようにして形成されているので、光源40Lが装飾部材401から離れて位置するため装飾部材401の寸法やデザインが光源40Lにより制限されることが少なく、装飾部材401の寸法やデザインの自由度が確保されている。特に、装飾部材の前方に光源を設置する場合のように前後方向における装飾部材401の設置スペースが一定以下となるように制限されることもないため、装飾部材401の厚さまたは奥行をやや大きく設定することもでき、また逆に、装飾部材の内部に光源を設置する場合のように光源によって装飾部材401の寸法が一定以上となるように不可避的に増大するといったこともないため、装飾部材401を薄型のものとすることもできるといったように、設計変更の自由度も高い。また、装飾部材401の動作が光源によって制限されることもないため、多様な動作表現が可能となってそのぶん良好な演出効果が得られる。上記装飾部材401は前述の通り斜方向にスライド動作するように構成されているが、この装飾部材401のスライド動作は光源40Lによりなんら制限されることもなく、さらには装飾部材401をスライド動作だけでなく回動動作や屈曲動作、伸縮動作等の任意の動作が可能なように構成するといったように自在に設計変更することもできる。
また、後方に所定の距離をおいた位置から光が照射されるため、光の照射範囲内に装飾部材401の全体が収まっており、装飾部材401の形状の如何に関わらず、装飾部材401の全体がまんべんなく照映することが可能となっている。特に、上記装飾部材401は「海老の尾」の部分を模した狭小な上端部を有する形状となっているが、この狭小部も含めて装飾部材401の全体がまんべんなく照映するようになっている。
また、装飾部材401に光を照射するための光源40Lによって、装飾部材401の全体だけでなくこれを包囲する周囲部にも光を照射することができ、このとき、後方から光が照射されるため、例えば前方から光が照射される場合に比して、周囲部がより効果的にあるいはより高輝度に照映することが可能となり、この周囲部に光を照射するためにさらに光源を配置することも不要となっている。
さらにこのとき、装飾部材401に第1光透過領域401Aと第2光透過領域401Bとが形成されているので、第1光透過領域401Aが相対的に高輝度で照映し、第2光透過領域401Bが相対的に低輝度で照映することとなる。即ち、装飾部材401のうちで、照映する輝度にコントラストが生じることとなり、これにより、光が照射された装飾部材401が、単調に照映するのではなく、遠近感のような視覚効果を有した状態で照映することとなる。したがって、距離をおいた位置から装飾部材401に光が照射されるようになっていても、光の照射による装飾効果がその距離のぶん薄れるということもなく、装飾部材401の全体において効果的に装飾効果を得ることができる。
また、第1光透過領域401Aが第2光透過領域401Bに挟まれるようにして形成されていることにより、光源40Lから光を照射すると、間に挟まれた第1光透過領域401Aが両側の第2光透過領域401Bよりも高輝度で照映するので、装飾部材401を正面からみた場合に第1光透過領域401Aからの光が視覚的に強調され、より手前寄りの位置から照射されているかのように見えることとなる。つまり、装飾部材401よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設された光源40Lから照射されている光が、実際の位置よりも前方の位置から、即ち、あたかも装飾部材401の内部から照射されているかのような視覚効果を生じることとなる。したがって、光源40Lが装飾部材401よりも後方に所定の距離をおいた位置に配設されて装飾部材401の寸法やデザインの自由度が確保されていながら、なおかつ装飾部材401の内部から光が照射されているかのような効果的な発光態様が得られる。したがって、装飾部材401と光源40Lとの一体感が損なわれることも装飾効果が薄れることもなく、むしろ装飾部材401と光源40Lとの一体感や装飾効果が向上し、外観あるいは見栄えもより一層良好となっている。
また、装飾部材401が遊技機の前後方向に一定の厚さを有し、第1光透過領域401Aが前方寄りの位置に、第2光透過領域401Bが後方寄りの位置にそれぞれ形成されているので、第1光透過領域401Aが正面から視て手前寄りに位置するため視覚的により強調され、そのぶん装飾効果もより向上している。また、前記したように第1光透過領域401Aおよび第2光透過領域401Bを吹き付け塗装により形成しやすいという利点もある。
また、光源40Lが、装飾部材401の第1光透過領域の形成位置に対応するように配置されているので、第1光透過領域が効果的に照映し得る構成となっている。
また、上記光源40Lの正面視において上下左右を含む周囲部のうち、屈曲形状の内側部を覆う位置に光拡散部40D、40Nが、屈曲形状の外側部(装飾部材401の右側縁)に沿った位置に光拡散部40Eがそれぞれ配置されているので、光源40Lから周囲部にむかって照射された光が光拡散部40D、40E、40Nを透過することにより拡散して比較的に薄弱となり、これによって、光源40Lから前方にむかって照射された光、即ち装飾部材401に照射された光が相対的により強調されることとなってより効率よく装飾効果を得ることができる構成となっている。
また、上記光拡散部40D、40Nが、光源40Lの内側部を覆う位置で多重に(二重に)配置されているので、光源40Lから周囲部にむかって照射された光が、多重に配置された光拡散部40D、40Nを透過することによりさらに薄弱となり、これによって、装飾部材401に照射された光が相対的にさらに強調されることとなってさらに効率よく装飾効果を得ることができる構成となっている。
また、上記多重に配置された光拡散部40D、40Nが、光の拡散方向をずらすようにして配置されているので、簡単な構成により光拡散効果がさらに良好となっている。
また、装飾部材401に光を照射するための上記光源40Lとは別に、周方向に光を照射するための副光源40Bが配設されているので、この副光源40Bにより周方向に光を照射することにより、装飾部材401に照射された光が周方向に照射された光に対しより効果的に差異化されることとなり、これによりさらに効率よく装飾効果を得ることができる。特に、前記した通り本パチンコ機10においては装飾部材401の内部から光が照射されているかのように発光させる構成となっているので、上記のように装飾部材401に照射された光が周方向に照射された光に対しより効果的に差異化されることで、装飾部材401の内部から光が照射されているかのような視覚効果がより強調される構成となっている。
また、周方向に光を照射するための副光源40Bから照射された光は、該副光源40Bが向いている側のほぼ90°程度(正面に対して片側45°程度ずつ)の角度範囲にわたって照射され、この角度範囲以外にも多少漏れ出るが、このとき、上記周方向に光を照射するための副光源40Bから前方へむかう光を遮蔽するための遮光板40Pが配設されているので、副光源40Bから前方へむかう光が遮光板40Pにより遮蔽されてこれより前方へは照射されないこととなる。これにより、装飾部材401に照射された光が周方向に照射された光に対しさらに効果的に差異化されることとなり、これによりさらに効率よく装飾効果を得ることができる構成となっている。
また、上記周方向に光を照射するための副光源40Bが、装飾部材401に光を照射するための光源40Lからの光とは異なる色の光を照射するように制御する制御装置(サブ制御装置262)を備えるので、これら副光源40Bおよび光源40Lのそれぞれからの光をより明確に差異化することができる構成となっている。
また、上記周方向に光を照射するための副光源40Bが、装飾部材401に光を照射するための光源40Lの発光とは異なるタイミングで発光し得るように制御する制御装置(サブ制御装置262)を備えるので、これら副光源40Bおよび光源40Lのそれぞれの発光態様をより明確に差異化することができる構成となっている。
また、上記装飾部材401が、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて動作を制御される構成となっているので、例えば、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて装飾部材の動作を開始させたり、あるいは通常よりも大きく動作させたり、動作周期を小さくしたりするなどのように種々の態様に制御することにより、遊技の興趣を高める演出を効果的に行うことができる。
(変更態様)
前記実施形態のパチンコ機10には、各種の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態においては、装飾部材401が正面視左右方向に3つの帯域に分割され、第1光透過領域401Aが中央の帯域に形成され、第2光透過領域401Bがその左右両側の帯域に形成された構成となっていたが、これらの帯域が上下方向に配列される構成としてもよく、あるいは、例えば図19に模式的に示すように、第1光透過領域411Aが装飾部材411の正面視中心付近に形成され、この第1光透過領域411Aを上下左右から包囲するように第2光透過領域411Bが形成されるようにし、これにより第1光透過領域411Aおよび第2光透過領域411Bが装飾部材411の正面視中央部および周縁部にそれぞれ形成されている構成としてもよい。この構成によれば、第1光透過領域411Aの全体が周囲の第2光透過領域411Bよりも視覚的に強調されることとなって装飾効果がより向上する。なおこの図19に示す例では、図示を明確化するために装飾部材411を簡略な六角形状の外形を有するものとしているが、本実施形態や前記実施形態に例示したような第1光透過領域および第2光透過領域の配置構成は、言うまでもなく、任意の形状を有する装飾部材に適用することができる。
さらには、例えば装飾部材を正面視上下方向または左右方向に2つの帯域に分割した場合に、第1光透過領域および第2光透過領域がその上下または左右の両側の帯域にそれぞ
れ形成される構成としてもよい(図示せず)。
また、前記実施形態においては、同色の彩色に中央部と両側部とで濃淡の差を設けることによって装飾部材401に第1光透過領域401Aと第2光透過領域401Bとが形成されているが、光透過性に差を設けることが可能であれば上記のような態様に限定されず、これ以外にも、例えば中央部と両側部とで異なる色相の彩色とし、中央部を透明に近い色、両側部を不透明に近い色とした態様等も可能である。
また、前記実施形態においては、装飾部材401において第1光透過領域401Aと第2光透過領域401Bとが形成された黄色の地の部分の上に、さらに赤い縞状の模様が形成されていたが、このように、第1光透過領域および第2光透過領域が形成されていれば、これにさらに別の彩色を施した模様等を付加してもよい。さらにはまた、第1光透過領域および第2光透過領域に、光透過性の異なる別の1またはそれ以上の領域を形成するようにして、あわせて3以上の光透過領域を形成するようにしてもよい。
また、前記実施形態においては、装飾部材401に側方から塗料を吹き付けて中央部分の塗膜が薄く、両側部分の塗膜が厚くなるようにすることによって第1光透過領域401Aおよび第2光透過領域401Bが形成されているが、第1光透過領域および第2光透過領域の形成方法としては、これ以外にも、以下のように各種の方法が適用できる。例えば、中央部分をマスクを配置して覆った状態で塗料を吹き付け、中央部分に塗膜が形成されないようにするマスク塗装を用いてもよい。このマスク塗装によれば、装飾部材との間に間隔をおいてマスクを配置するようにすることで、濃淡が段階的に変化するグラデーションを表現した塗装も可能であり、装飾部材とマスクとの間隔を変えることにより濃淡の度合いを調節することができる。また例えば、塗装対象部分が平面状である場合にはインクジェット印刷も好適に用いることができる。また例えば、予め着色を施した透明フィルムをインサートとしてインサート成形により装飾部材を成形するようにしてもよく、これによれば、フィルムに着色するため、特に装飾部材が複雑な形状である場合ほど、第1光透過領域および第2光透過領域を容易に形成することができて有利である。また例えば、第1光透過領域および第2光透過領域の各領域ごとに段階的に成形していくか、あるいは各領域ごとに個別に成形した部品を組み立てるようにして装飾部材を構成するようにしても、第1光透過領域および第2光透過領域を容易に形成することができる。また例えば、中央部分が薄く、両側部分が厚くなるように有色樹脂を成形することにより装飾部材を構成してもよく、これによっても第1光透過領域および第2光透過領域の形成が容易である。
また、前記実施形態においては、光源40Lと装飾部材401との間の距離は約1.5cmに設定されていたが、光源と装飾部材との間の距離は、光源の種類や装飾部材の寸法、動作範囲等に応じて適宜範囲内に設定すればよい。例えば前記実施形態の場合、光源40Lと装飾部材401との間の距離は0.5〜3cm程度、好ましくは1〜2cm程度であることが望ましい。光源40Lと装飾部材401との間の距離が0.5cm以上であれば、装飾部材401の全体や周囲部に十分に光を照射することができ、一方、3cm以下であれば、光源40Lが装飾部材401から過度に離れて装飾部材401における輝度が不十分となることもなく、十分な装飾効果が確保できる。
また、前記実施形態においては、第1装飾枠材423の前面部に平面状の基台面部423Sが形成され、また支持板428にも平面部が形成されていたが、この基台面部423Sないし支持板428の平面部にかえて、装飾部材401の平面形状に対応する形状を有する開口部をそれぞれ穿設するようにしてもよく、これによれば第1装飾枠材423の前面部ないし支持板428における光透過性をさらに良好とすることができる。
また、前記実施形態においては、光源40Lの上下左右を含む周囲部のうち、屈曲形状の内側部を覆う位置に光拡散部40D、40Nが、屈曲形状の外側部に沿った位置に光拡散部40Eがそれぞれ配置された構成となっていたが、光拡散部は光源の周囲部のうち任意の位置に配置することができ、例えば光源の周囲部の全体に配置するようにしてもよい。
また、前記実施形態においては、光拡散部40D、40Nが、光源40Lの内側部を覆う位置で多重に(二重に)配置された構成となっていたが、光拡散部は、例えば光源の内側部および外側部を覆う位置、あるいは光源の周囲部の全体を覆う位置で多重に配置するようにしてもよい。また、光拡散部は二重に配置する以外にも三重以上に配置するようにしてもよい。
また、光源による発光態様としては、例えば、一定の光を継続的に照射する、点滅させる、一定間隔をおいて間欠的に発光させる、途中で色を変えるようにして発光させる、発光輝度を漸次または段階的に増減させる、等のパターンやあるいはこれらの組み合わせといった種々の態様とすることができ、さらには例えば、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて発光態様を上記のような各種の態様に制御することにより、興趣演出に変化を付与することができる。
さらにまた、前記実施形態のように装飾部材に光を照射するための光源の他に別の光源が配置されるような場合には、これらの光源の発光態様が互いに異なるようにすることにより、これらの光源からの発光をより明確に差異化することができる。
また、駆動手段の作動は、前記実施形態では、変動表示の開始および停止にともなって装飾部材401が動作の開始および停止をするように制御されるようになっていたが、これ以外にも様々な態様に制御することが可能である。パチンコ機10における遊技状態は、遊技領域における入賞口への遊技球の入球に基づいて、数種に異なる状態に変移する。即ち、変動表示開始前の「初期状態」、変動表示開始後であってリーチ状態も大当たり状態も発生していない「通常状態」、「リーチ状態」、「大当たり状態」等に変移するが、このように遊技状態が変化する幾度かのタイミングのうちのいずれかのタイミングを任意に選択し、この選択したタイミングに応じて駆動手段429を作動させるようにすることができる。例えば、リーチ状態の開始および終了にともなって装飾部材401が動作の開始および停止をするように制御したりするようにしてもよい。また、例えば、初期状態または通常状態で装飾部材401の動作を通常運転として開始しておき、リーチ状態の開始にともなって、上記通常運転よりも装飾部材401を揺動させる振幅を増大させたり、装飾部材401を揺動させる周期を小さくしたりするなどのように異なる態様で駆動手段429を作動させ、リーチ状態の終了にともなって通常運転に復帰するように制御するようにしてもよく、あるいはこれに加えて、大当たり状態の開始にともなって、上記装飾部材401の揺動の振幅や速度をさらに増大ないし減少させるといったように、遊技状態の変移に応じて作動態様を多段階に変化させるように制御するようにし、これにより興趣演出にさらに変化を付与するようにしてもよい。さらには、例えば、ノーマルリーチ(大当たりとなる確率が低確率であるリーチ状態)、スーパーリーチ(大当たりとなる確率が中確率であるリーチ状態)、プレミアムリーチ(大当たりとなる確率が略100%の高確率であるリーチ状態)等のリーチの種別によって、装飾部材401の揺動の振幅や周期を段階的に変えるように制御するようにしてもよい。
あるいはまた、駆動手段429の作動を上記のように制御せず、例えば、入賞口への遊技球の入球には無関係に、一定時間継続して、あるいは所定間隔をおいて間欠的に駆動手段429を作動させるようにする、といった稼動態様も可能であり、これによれば駆動手段429を作動させるための制御機構を省略できるといった利点もあるが、上記のように興趣演出として遊技領域における入賞口への遊技球の入球に応じて作動を制御するようにすることにより、遊技の興趣を高める演出を効果的に行って遊技性をさらに向上させることができる。
また、駆動手段としては、前記実施形態では、専ら装飾部材401を揺動動作させるために設けられた駆動手段429としていたが、例えば、他の役物を駆動させるための駆動手段と兼用するようにしてもよい。
また、前記実施形態においては、装飾部材401がセンターフレーム43の前面部に設置されており、この配置によって、視覚的効果も大となっているが、装飾部材は外部から視認し得る位置であれば任意の位置に設置することができ、例えば図1および図2に示す窓部101の上方の適宜位置等に設置するようにしてもよい。
また、前記実施形態においては、パチンコ機10が例示されていたが、遊技機としては、パチンコ機以外にも、スロット機、パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機も例示される。
スロット機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。
この場合、有価物体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、有価物体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。