JP5817213B2 - 中間転写ベルトとその製造方法、及び画像形成装置 - Google Patents

中間転写ベルトとその製造方法、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に使用する中間転写ベルトとその製造方法、及び中間転写ベルトを用いた画像形成装置に関するものである。
複写機、レーザープリンタなど電子写真方式の画像形成装置は、近年フルカラー化、高品質化の要求が強くなっている。
今日、電子写真方式の画像形成装置は、多くの場合、帯電したトナーを感光体上の静電潜像に供給し、静電潜像を顕像にする現像過程を経て形成したトナー像を中間転写体に一次転写した後、転写材(普通紙等)に二次転写し、更に定着して最終画像を形成するものである。
中間転写体としては、基体に無端のベルトを使用した中間転写体ベルト、あるいは基体に金属ロールを使用した中間転写体ロールが知られている。いずれにしろ、転写工程では中間転写体にトナー像を一次転写するための転写帯電、転写材に二次転写後に中間転写体に残ったトナーを除去するためのゴムブレードなどによるクリーニング等、様々な機械的及び電気的外力が加えられる。
中間転写体として中間転写ベルトを使用した場合、中間転写ベルトには高画質化、高速化を達成するための代表的な項目として以下に示すものが知られている。
1)中間転写体の表面に感光体から転写されて形成されたトナー画像の転写材(例えば紙)への高転写率が要求されている。
2)中間転写体の高耐久性が要求されている。
3)フィルミングが発生しないことが要求されている。
このため、表面層の耐久性を向上させる対策が検討されてきた。
例えば、安定したトナークリーニンク性能を発現するため、基層上に塗布により設けられた、導電性粒子を含む厚さ0.5μmから3μmの樹脂硬化膜を具備する中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ブレードによる耐摩耗性、擦り傷に対する耐久性は確かに向上するが、転写率、クリーニング性が劣ることが判った。
耐摩耗性、フィルミング現象等の問題の対策として、(a)樹脂製の基材層、(b)ゴム弾性樹脂を含む弾性層、及び(c)フッ素樹脂及び層状粘土鉱物を含む表面層であって、層状粘土鉱物の配合割合が0.1質量%から5質量%であり、表面層の厚みが0.5μmから4μmである3層構成の中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、特許文献2に記載の技術は、表面層の樹脂が架橋されておらず、さらに層状粘土鉱物が化学的に結合していないため強度が低く、耐久性に劣ることが判った。
ベース層、弾性層及び表面層の少なくとも3層構成を有し、表面層が、フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムを1質量部より多く、5質量部以下の割合で含むゴムラテックスと硬化剤とを有するものであるか、又は、フッ素樹脂とシリコン成分とを含有する水系ウレタン樹脂と硬化剤とを有し、また、その表面層における表面エネルギーが20mN/mから40mN/mであり、且つ、ナノインデンターで測定した3μm押し込み時硬度が0.1MPaから1.5MPaの中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、特許文献3に記載の技術は、表面層が樹脂成分のみで構成されているため物理的な耐キズ性が劣り、比較的強い応力が加わった際は耐久性が低いことが判った。
上記に示すように基材表面に、異なる表面層によって表面硬度を増加させたり、フッ素やシリコン成分などによって機能性を向上させると、剥がれや割れ、傷による耐久性が著しく減少してしまう。
また最近では転写性や高画質化のため、中間層として弾性層を設置し機能向上を行う方策もとられることがある。しかし、この構成をとるとより割れや剥がれには不利になる。
この様な状況から、中間転写ベルトとしての機能を保ちながら、耐久性に優れた表面層を有する中間転写ベルトの開発が望まれている。
特開2007−183401号公報 特開2009−258715号公報 特開2010−15143号公報
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、二次転写における転写率向上及び、駆動時の曲げ応力や清掃部材によるストレスによって発生するクラックを抑制し、また耐摩耗性に優れた表面層を有する中間転写ベルトとその製造方法、及びそれを用いた画像形成装置を提供することである。
(1)
電子写真感光体上に形成されたトナー像を、中間転写ベルトに一次転写した後、該トナー像を中間転写ベルトから記録媒体へ二次転写する画像形成装置に用いる中間転写ベルトにおいて、該ベルトは少なくとも2層以上の層構成を持ち、表面層が活性エネルギー線硬化型樹脂含有層であり、前記表面層の厚みは1.0μm以上3.0μm以下であり、該表面層の直下の層の表面が十点平均粗さRzjis:0.3μm以上、3.0μm以下の凹凸構造を持ち、且つ、表面層と表面層の直下層とで形成される界面に存在する凹凸形状を観測したとき、観測長50μm当たりの凸部の総数に対して丸みを有する凸部数の割合が、2/3以上であり、
前記観測長50μmは、前記中間転写ベルトの前記界面が見える側断面をレーザー顕微鏡で1500倍に拡大した写真画像の前記界面方向における任意の位置間の距離であり、
前記凸部の総数は、前記写真画像内で一番高い位置に存在する凸部の頂点を凸H、該凸Hの位置から積層方向に対して1.5μm低い位置を測定対象ラインとしたとき、該測定対象ライン以上に存在する凸部の数を指すものであり、
前記丸みを有する凸部は、下記に規定される直径Rの円Xを上記写真画像における前記直下の層側の領域で前記界面に沿って転がしたとき、前記円Xの面積の20%以上がはみ出す突起を有さないか、または1個所有するものを指し、
前記直径Rは、前記凸Hと前記界面における一番低い位置に存在する凹部の最下点凹Lをはさむ2本の平行線の間隔をLとしたときにL/10で表されることを特徴とする中間転写ベルト。

前記表面層の直下の層が、弾性層であることを特徴とする(1)記載の中間転写ベルト。

電子写真感光体上に形成されたトナー像を、中間転写ベルトに一次転写した後、該トナー像を中間転写ベルトから記録媒体へ二次転写する画像形成装置に用いる中間転写ベルトの製造方法において、表面が十点平均粗さRzjis:0.3μm以上、3.0μm以下の凹凸構造を持ち、且つ、観測長50μm当たりの凸部の総数に対して丸みを有する凸部数の割合が、2/3以上である層の直上に、表面層として活性エネルギー線硬化型樹脂含有層を塗設することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。

(1)又は(2)記載の中間転写ベルトを用いていることを特徴とする画像形成装置。
本発明により、二次転写における転写率向上及び、駆動時の曲げ応力によって発生するクラックを抑制し、また耐摩耗性に優れた表面層を有する中間転写ベルトとその製造方法、及び画像形成装置を提供することができる。
本発明における一番高い凸部の頂点を凸を説明する図。 本発明における凸部の丸みの測定法を説明する図。 本発明における凸部の丸みの測定法を説明する図。 本発明の中間転写ベルトを使用した画像形成装置の一例を示す概略断面構成図。
中間転写ベルトの表面に表面層を設けることで転写機能を向上させるために有効な表面層の特性を見出した。
表面層に有効な特性とは、表面層に接触する対象物に対して、表面層は点接触となるような粗面を持ち、面が変形しないような硬度を持っていることである。さらに、表面張力がより小さくなるように表面エネルギーは低くすることで、より付着力が小さくなることにより、さらに良い特性となる。
しかしながら、実際の画像形成装置内においてベルト基材はフレキシブルに駆動し、さまざまなストレスがベルト表面層に加わる。そのため、表面層を意図的に硬くしたり、粗くすると、表面層は割れや剥がれが進行しやすい構成になってしまう。
そこで本発明は中間転写の機能を向上するとともに、品質問題となりうる割れや剥がれを簡単に抑制することが可能な中間転写ベルトの開発を目指した。
本発明の中間転写ベルトとその製造方法、及びそれを用いた画像形成装置につきさらに説明する。
前記した通り、中間転写ベルト表面を高硬度にすることで、転写率を向上させ、耐久性にも優れた中間転写ベルトが得られる。また、紙種への対応性を向上させるために、基体と表面層の間に弾性中間層を持つ中間転写ベルトもすでに存在する。しかし、フレキシブルであるベルトの表面に硬い表面層を設けると、曲げ応力に耐えられず、クラックや割れなどが発生する。なお、クラックとは表面層を貫く深い亀裂をいい、割れとは表面層に出来た割れ目や削れを指す。
そこで、検討を重ねた結果、基体面上に成形時、または成形後により凹凸を形成し、その上に表面層を形成することで、表面層が割れにくい構造とすることが出来た。高硬度表面層が塗布されている中間転写ベルトを曲げた時、曲げ応力が発生し、それに耐えられない表面層は割れる。基体側に、凹凸構造を作製することで、曲げ応力は分散され、表面層はより割れにくくなる。従来技術としては、その目的は異なるが基体層の粗さを規定したものなどは存在した(特開2007−25096号公報)。しかし、本発明における凹凸形状は表面層の直下に形成されたものであり、先端部が丸みを持った、特定範囲の凹凸であるが、従来技術にはこの様な規定はなく、無論これらの凹凸が中間転写ベルトのクラックや割れの防止に有効との示唆はない。
本発明の中間転写ベルトの代表的な構成を示せば図1の如くである。図1(A)は、ベルト基体層1の表面に凹凸を有しその上に表面層2を有する構成であり、この場合には表面層と界面を形成する層とは基材層を指す。これに対し図1(B)には、基体層1の下に中間層(弾性層)3を有する中間転写ベルトの例を示すが、この場合には表面層と界面を形成する層とは中間層(弾性層)3を差し、その表面層との界面の凹凸が問題となる。
本発明において、角がない凹凸構造を基体と表面層の間に形成すれば、力が掛かっても分散され応力集中がより少なくなり、クラックや割れに対して有効であることがわかった。凹凸構造形成方法としては、表面層との界面を形成する層に、もしくは界面を形成する層の成形時の金型等に、ブラスト処理等を行うことで容易に形成することが出来る。ブラスト処理とは、処理対象物に目的に応じて選択したメディアを高圧エアーを用いて高速で吹き付けて、処理対象物の表面に選択したメディアに応じた加工痕跡を作る加工を言う。
基体層や中間層表面に特定の粗さを付加させる方法としては、金型成形やロール成形時に金型面に意図的に粗さを付加させる処理、例えばブラスト処理やエッチング処理、研磨処理などを行う。また成形品に直接、ブラスト処理、エッチング処理、研磨処理などを行ってもよい。
ブラスト方法の種類は、ショットブラスト、エアーブラスト、ウェットブラストがあるが、ショットブラストか、エアーブラストが適している。ブラスト処理加工による表面加工装置としては、特に限定はなく、市販のショットブラスト、エアーブラスト等の装置の使用が可能である。例えば、(株)不二製作所製 ニューマブラスター等が挙げられる。また、ブラストと同様な効果が得られるものに、放電加工、セラミック溶射などがあり、これらを単独あるいは複数の方法を併用にて代用してもよい。
表面粗さ(十点平均粗さRzjis)は、JIS B0601:’94の方法に準じ、測定基準長20μmにて測定した。
表面粗さ測定機は評価型表面粗さ測定機 サーフテスト(株式会社ミツトヨ製)を使用して測定することができる。
〔凹凸構造確認方法〕
測定機器はレーザー顕微鏡VK−9500(キーエンス社製)を用いた。
また倍率は15000倍とし、任意の50μmにおいて測定線上の凹凸構造の粗さプロファイルによって確認を行った。
〔凹凸構造部の丸み形状付与方法〕
凹凸構造の丸みについては、金型若しくは金型により作製された表面を10〜100nmの微粉の鋼球によるサンドブラストを行い、凹凸部の平滑化を行うことが出来る。)ビーズを用いたサンドブラスト処理加工により形成された加工痕(球形のくぼみ)出来る鋭利な稜線を取り除くために、微粉鋼球でのブラスト加工を行い、凸形状頭部の鋭利な部分が応力を集中しない丸みを帯びた表面形状に加工することができる。
ブラスト処理加工条件としては、加工装置と加工対象物との距離は、微粉鋼球の密度の粗密ムラ、加工の効率等を考慮し、50mmから150mmが好ましい。メディア吹き付け口から噴射された微粉鋼球による加工対象物の表面上の加工領域の幅を示す。幅は、微粉鋼球の密度の粗密ムラ、加工の効率等を考慮し、10mmから100mmが好ましい。微粉鋼球を供給する供給管から微粉鋼球吹き付け装置に供給される微粉鋼球の吹き付け量は、表面粗さ、微粉鋼球の密度の粗密ムラ、加工の効率等を考慮し、400g/minから1300g/minであることが好ましい。
微粉鋼球の加工対象物への吹き付け圧は、微粉鋼球の密度の粗密ムラ、加工の効率等を考慮し、0.1MPaから1.2MPaが好ましい。表面加工している時、加工対象となる金型や表面層との界面を形成する層の移動速度は、加工面の粗密ムラ、加工の効率等を考慮し、5mm/secから50mm/secが好ましい。
又、表面層と界面を形成する層の表面に球形の粒子を分布させて、所定の滑らかな凹凸構造を作ることも出来る。
〔凸部丸み測定方法〕
具体的な凸部の丸みの測定は、下記の方法を用いた。
尚、凸部とは表面層と表面層の直下層とで形成される界面形状において、表面層を上層、表面層の直下層を下層となるように写真を撮影した場合、界面の形状が山となっている部分を凸部と表現し、凸部の頂頭部付近を凸部と表現する。また、界面の形状が谷となっている部分を凹部と表現する。
凸部の形状は、詳細に見ると鋭く細かい突起が多数あるもの、比較的滑らかな表面を有するもの等があり、これは凹凸部を作製する過程によって異なった形状となる。
本発明において、凹凸形状の、特に凸部の形状は滑らか曲線を描くことが必須である。
測定に当たっては、先ず、中間転写ベルトの表面層と表面層の直下層とが積層された積層面に対して、ミクロトームを用いて垂直に切断し、表面層と直下層との界面が見える側断面をレーザー顕微鏡VK−9500(キーエンス社製)で、1500倍に拡大した写真を10枚撮影する。
界面は表面層に用いる材料が比較的、無色透明であり、直下層が基体や弾性層である場合は有色であるので、界面の見極めは上記測定器を用いれば、より明確に認識可能である。
そして、界面方向の任意の距離50μmの中で、前記凸部の頭部が角ばっている凸部の有無を測定する。測定する凸部は上記記載のレーザー顕微鏡VK−9500(キーエンス社製)の画像計測ツールを用い、図1に示すように、写真画像内で一番高い凸部の頂点を凸とし、凸の位置から積層方向に対して、1.5μm低い位置を測定対象ラインとし、前記ライン以上に存在する凸部を測定した。
次いで、この写真像に存在する界面の凹凸形状において、図2(a)に示すように上記レーザー顕微鏡の画像計測ツールを用いるなどして、積層方向に対して、一番高い位置に存在する凸部の頂点凸と、一番低い位置の存在する凹部の最下点凹を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔をLとするとき、L/10を直径Rとする円を写真像に描写し、界面に対し、1点で界面に沿って転がした場合に、当該円Xが界面から実質的にはみ出さない(円X内に界面が入らない)場合を「角のない丸みのある凸部」と言う。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円の面積が20%以上となるように存在する突起が1箇所以下である場合を言う。(図2(b)もしくは、図2(c))
界面に沿って円Xを転がす方法として、図3(a)のように表面層領域側を転がす方法(界面上を転がす)と、図3(b)のように表面層の直下層領域側を転がす方法(界面の下側を転がす)の2通りの選択があるが、本発明は角のない、丸みのある凸部を特徴としているため、本発明での測定は図3(b)のように表面層の直下層領域側を転がす方法を選択した。
丸みのある凸部の割合は、上記丸み測定によって定義された丸みのある凸部の数を、撮影した全ての写真に存在する、上記測定対象ライン以上に存在する凸部の全数で割ることで算出した。
上記測定において、実質的に角がないサンプルが本発明において好ましく、全く角がないものがさらに好ましいものといえる。
〔基体層〕
中間転写ベルト基体層に使用する材料としては、ポリカーボネート樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアルキレンフタレート、PC(ポリカーボネート)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂にカーボンブラック等の導電性材料を分散させた材料等が知られている。
〔表面層〕
代表的な例としては下記の如く作製した表面層である。
紫外線や電子線等の活性エネルギー線照射により重合(硬化)し樹脂となる重合性モノマーを用いる。重合性モノマー(活性エネルギー線硬化型モノマー)として、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマー等を用いるのがよく。多くの場合、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム等の金属酸化物微粒子をメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、sec−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等の溶媒に、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等でメヂィア分散した液にイルガキュアー379等の光重合開始剤を添加して塗布液を造る。スプレー塗布方法、超音波アドマイザー等の吐出ノズルを用いて均一な塗膜を形成し、紫外線を発生する低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の光源にて硬化する。
〔活性エネルギー線硬化型モノマー〕
活性エネルギー線硬化型モノマーは、炭素・炭素二重結合を有する各種モノマーを用いることが出来る。
特に、紫外線や電子線等の活性エネルギー線照射により重合(硬化)し樹脂となるラジカル重合性モノマーが好適であり、特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。中でも、少ない光量或いは短い時間での硬化が可能であることからアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するアクリル系モノマーが特に好ましい。
本発明においては、これらのラジカル重合性モノマーを単独で用いても、混合して用いてもよい。
以下にラジカル重合性モノマーの内、アクリル系モノマーの一例を示す。アクリル系モノマーとは、アクリロイル基(CH=CHCO−)又はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有する化合物である。又、以下に示すAc基数(アクリロイル基数)とはアクリロイル基又はメタクリロイル基の数を表す。
Figure 0005817213
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但し、上記においてR及びR′はそれぞれ下記で示される。
Figure 0005817213
本発明に使用することが出来る活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線等で、形成された活性エネルギー線硬化型樹脂を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましい。特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。スポット状の活性エネルギー線を照射するには紫外線レーザーを使用することが好ましい。
又、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50keVから1000keV、好ましくは100keVから300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
更に中間転写ベルトの表面層上には必要に応じて極く薄い離型層をコートしてもよい。このコートに用いる材料としては、ETFE、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これらに限定されるものではない。
〔反応性金属酸化物微粒子〕
本発明に使用することが好ましい反応性の金属酸化物微粒子は、ラジカル重合性官能基を有する化合物により表面処理された金属酸化物微粒子を言い、金属酸化物微粒子をラジカル重合性官能基を有する化合物で表面処理することにより得ることが出来る。
本発明に用いられる金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物微粒子であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の金属酸化物微粒子が例示されるが、中でも、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫等の粒子が好ましく、特にアルミナ、酸化錫が好ましい。
これらの金属酸化物微粒子は、気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法等の一般的な製造法で作製されたものが用いられる。
〔表面層形成用塗布液の調製方法〕
次に、表面層形成用塗布液の調製方法を説明する。表面層形成用塗布液は活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、反応性金属酸化物微粒子12.5体積部から400体積部と、フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂25体積部から300体積部を反応性金属酸化物微粒子が、活性エネルギー線硬化型モノマーとフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂と反応性金属酸化物微粒子の合計に対して、10体積%以上50体積%以下に調製した後、湿式メディア分散型装置で分散することで調製することが可能である。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて解砕・分散する工程を有する装置であり、例えば、縦型・横型、連続式・回分式等、種々の様式が採用出来る。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用出来る。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。又、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用出来るが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
分散の終点は、分散液を、PETフィルム上にワイヤーバーで塗布した液を自然乾燥後、405nmの光透過率の1時間前との変化率が3%以下となる分散状態が好ましい。更に望ましくは、1%以下が好ましい。
以上の様な分散処理により、表面層形成用塗布液を得ることが出来る。
〔トナー現像剤と現像方式〕
本発明に用いられるトナーは、特に限定されるものではなく、公知のいずれのものを用いてもよい。即ち、トナー用結着樹脂は、ポリエステル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂のいずれを用いたものでもよく、着色剤は現在使用可能な市販のものを用いたものでよい。また、トナー中には離型剤、荷電制御剤等を含有させたもの、シリカ微粒子等を外添剤として加えたものを用いることが出来る。
現像方式も1成分系現像、2成分系現像のいずれをも用いることができる。
〔中間層(弾性層)〕
本発明における中間転写ベルトに設けてもよい中間層(弾性層)に用いる弾性材料あるいは樹脂としては、当該技術において公知の材料を用いることができる。
弾性材料としては、ゴム、エラストマー、樹脂等が使用可能である。例えば、ゴム、エラストマーとしては、天然ゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンコポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、水素化ニトリルゴム及び熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系及びフッ素樹脂系)等から1種類又は2種類以上を使用することができる。
又、上記中間層に使用可能な樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ケトン樹脂、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体及びスチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体及びスチレンアクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂及びアクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂及び変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等から1種類あるいは2種類以上を用いることができる。
これらにより中間層(弾性層)を作製する方法についても基体層を形成する方法等を用いることができる。
前記中間層の弾性率は、20%圧縮時で10〜300Mpa程度が好適である。また、中間層の硬度はJIS−A硬度で10度〜70度が好適である。
上記表面層の弾性率は、20%圧縮時で300〜1000Mpa程度が好適である。
また、中間転写ベルトの電気抵抗を調整するために、前述したゴムおよび樹脂に各種導電剤を添加することも可能である。導電剤としては、カーボン、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化チタン等の金属酸化物、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含硼素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等から1種類あるいは2種類以上を用いることができる。このように導電剤を添加する場合も、中間転写ベルト10の体積抵抗率が10〜1014Ωcmの範囲になるように調整するのが好ましい。
〔画像形成装置〕
図4は、中間転写体として本発明の中間転写ベルトを使用した画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。
フルカラー画像形成装置は、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体形成ユニット7と、転写材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての定着装置24とを有する。フルカラー画像形成装置1の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体1Y、1M、1C、1Kに形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。
又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。
又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。
又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成ユニット10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体として無端の中間転写ベルト70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端の中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の記録媒体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、転写材P上にカラー画像が一括転写される。
カラー画像が転写された転写材Pは、熱ローラ定着器270が装着された定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、二次転写ローラ5Aにより記録媒体(転写材)Pにカラー画像を転写した後、記録媒体(転写材)Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の1次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
二次転写ローラ5Aは、ここを記録媒体(転写材)Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、中間転写ベルト70に圧接する。
又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体形成ユニット7とを有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端の中間転写ベルト70、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとを有している。
筐体8の引き出し操作により、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
この様に感光体1Y、1M、1C、1Kの外周面上を帯電、露光し外周面上に潜像を形成した後、現像によりトナー像(顕像)を形成し、無端ベルト状の中間転写ベルト70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録媒体(転写材)Pに転写し、定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。尚、本発明で像形成時とは潜像形成、トナー像(顕像)を記録媒体Pに転写し最終画像を形成することを含む。
トナー像を記録媒体Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、各感光体1Y、1M、1C、1Kに配設されたクリーニング手段6Y、6M、6C、6Kで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
上記カラー画像形成装置では、中間転写体をクリーニングするクリーニング手段6Aのクリーニング部材として、弾性ブレードを用いる。又、各感光体に脂肪酸金属塩を塗布する手段(11Y、11M、11C、11K)を設けている。
次に本発明を代表的な実施態様を示して更に説明するが、無論、本発明の態様はこれらに限定されるわけではない。尚、文中「部」とは「質量部」を示す。
実施例1
〔中間転写ベルトの作製〕
図1に示す基体層、(中間層)、表面層の構成を有する中間転写ベルトを以下に示す方法で作製した。
中間転写ベルトの基体層の材質は、導電性フィラーとしてカーボンを分散したポリイミド樹脂(PI)である。
(無端ベルト状基体層の準備)
3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産社製ユーワニスS(固形分18質量%))に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加した。この組成物を2分割後、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPa、最小面積が1.4mmで衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
カーボンブラック入りポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する展開層とした。さらに250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間当てた後、150℃にて60分間加熱した。その後、360℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に360℃で30分加熱して溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を図った。その後室温に戻し、金型から剥離し、総厚0.1mmの無端ベルト状基体層を作製した。
〔凹凸付与方法〕
表面層と界面を形成する面の狙いの表面粗さRzは、所定の表面粗さを得るために、成型時の金型表面に対して1.0μm径のビーズを用いてサンドブラスト処理を行った。
ビーズを用いたサンドブラスト加工条件
ビーズ吹き付け装置のビーズ吹き出し口と、加工対象物との距離:120mm
加工領域の幅(ビーズ吹き付け幅):50mm
吹き付け量:900g/min
吹き付け圧:0.4MPa
吹き付け角度:90°
吹き付け装置の移動速度:15m/sec
〔表面層〕
金属酸化物微粒子(酸化アルミニウム:テイカ社製) 100部
アクリル系モノマー(フルシェードRS:東洋インキ社製) 50部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 2000部
これをサンドミル分散した後、下記光重合開始剤を添加して表面層塗布液を形成した。
光重合開始剤(イルガキュアー379:チバガイギー社製) 5部
上記の塗布液をスプレー装置(ワイディー・メカトロソリューションズ社製)にてスプレー塗布した。これを下記条件で紫外線照射し中間転写ベルト1を作製した。
紫外線照射装置(パルスドキセノン紫外線照射装置:アイグラフィッック社製)
(中間転写ベルト2〜5の作製)
サンドブラスト時のビーズの径を2.0、6.0、10及び12μmと変えて金型表面のサンドブラスト処理を行い、各々中間転写ベルト2〜5を作製した。
(中間転写ベルト6〜13の作製)
中間転写ベルト1〜5作製に用いた金型と同様に作製したが、表面を100nm以下の微粉の鋼球によるサンドブラストを行い、中間転写ベルト1〜5作製時の加工条件と同様に作製し、凹凸部の平滑化を行った後に用いて、中間転写ベルト6〜13を作製した。
(中間転写ベルト14〜21の作製)
中間転写ベルト1と同様に無端ベルト状基体層を作製後に下記弾性層を塗設し、他は中間転写ベルト6〜13と同様にして、中間転写ベルト14〜21を作製した。
〔弾性層(中間層)〕
弾性層を設定する場合は、導電性フィラーとしてカーボンブラックを10質量%含有させたNBR(平均膜厚50μm)を用いた。
〔表面形状の測定〕
試料自体の表面粗さ(十点平均粗さRzjis)は、JIS’94の方法に準じて測定した。
表面粗さ測定機は評価型表面粗さ測定機 サーフテスト(株式会社ミツトヨ製)を使用して測定した。
又、凸部の丸みの測定は、前記の方法を用いた。
即ち、図2(a)に示すように上記レーザー顕微鏡の画像計測ツールを用いるなどして、積層方向に対して、一番高い位置に存在する凸部の頂点凸Hと、一番低い位置の存在する凹部の最下点凹Lを2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔をLとするとき、L/10を直径Rとする円を写真像に描写し、界面に対し、1点で界面に沿って転がした場合に、当該円Xが界面から実質的にはみ出さない(円X内に界面が入らない)場合を「角のない丸みのある凸部」と言う。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円の面積が20%以上となるように存在する突起が1箇所以下である場合を言う。(図2(b)もしくは、図2(c))
界面に沿って円Xを転がす方法として、本発明での測定は図3(b)のように表面層の直下層領域側を転がす方法を選択した。
丸みのある凸部の割合は、上記丸み測定によって定義された丸みのある凸部の数を、撮影した全ての写真に存在する、上記測定対象ライン以上に存在する凸部の全数で割ることで算出した。
上記中間転写ベルト1〜22の表面特性を纏めて示す。
尚、中間転写ベルト22とは、中間転写ベルト8と同様に作製したが、表面層は活性エネルギー線硬化型樹脂ではない、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)層を塗布したものである。
Figure 0005817213
〔性能評価〕
中間転写ベルト1〜22について下記試験を行った。
(耐クラック性)
クラックの発生は、10、20、30mm径のステンレス素管に巻きつけ、曲げて基体層や表面層に曲げ応力を与え、これを10回繰り返して表面状態の変化を確認した。
工業用光学顕微鏡を用いて100倍に拡大し、表面を観察しクラックの有無を評価した。
○○:全くクラックが認められない
○:10mm径の場合はわずかにクラック発生したが、実用上問題はない
△:20mm径の場合はわずかにクラック発生した。
×:20mm径の場合にもクラックが発生し、実用上問題がある。
××:30mm径の場合にもクラックが発生し、実用上明らかに問題がある。
(耐久性)
耐摩耗、耐キズ性の評価方法
作製した中間転写ベルトをコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500(レーザー露光・反転現像・中間転写ベルト使用のタンデムカラー複合機)を用い、中間転写ベルト1〜15を装填し、20℃、50%RHでYMCK各色印字率2.5%のA4画像を中性紙に100万枚印刷出力し、中間転写ベルトの表面状態の傷等により発生する画像不良を評価した。
耐久性の評価ランク
◎:100万枚印字後に画像不良発生なし
○:100万枚印字後に画像不良1箇所以上から6箇所未満発生
△:100万枚印字後に画像不良6箇所以上から11箇所未満発生
×:100万枚印字後に画像不良11箇所以上発生
結果は以下の通りである。
Figure 0005817213
本発明内の中間転写ベルト10〜11及び18〜20はいずれの特性も良好であることがわかる。
実施例2
中間転写ベルト11と19と同様に作製したが、表面層の膜厚を0.7、1.0、2.0、3.0及び3.3μmと変更して特性(耐クラック性と耐摩耗性)を調べた。
評価基準は上記した通りである。
中間転写ベルト11−1〜11〜5及び19−1〜19−5として結果を下記に示す。
Figure 0005817213
膜厚が1.0μm以上、3.0μm以下の範囲ではいずれの特性もよいが、それを外れると耐クラック性、耐摩耗性のいずれかがやや劣化することがわかる。
1 基体層
2 表面層
3 弾性層(中間層)
7 無端ベルト状中間転写体形成ユニット
70 中間転写ベルト

Claims (4)

  1. 電子写真感光体上に形成されたトナー像を、中間転写ベルトに一次転写した後、該トナー像を中間転写ベルトから記録媒体へ二次転写する画像形成装置に用いる中間転写ベルトにおいて、該ベルトは少なくとも2層以上の層構成を持ち、表面層が活性エネルギー線硬化型樹脂含有層であり、前記表面層の厚みは1.0μm以上3.0μm以下であり、該表面層の直下の層の表面が十点平均粗さRzjis:0.3μm以上、3.0μm以下の凹凸構造を持ち、且つ、表面層と表面層の直下層とで形成される界面に存在する凹凸形状を観測したとき、観測長50μm当たりの凸部の総数に対して丸みを有する凸部数の割合が、2/3以上であり、
    前記観測長50μmは、前記中間転写ベルトの前記界面が見える側断面をレーザー顕微鏡で1500倍に拡大した写真画像の前記界面方向における任意の位置間の距離であり、
    前記凸部の総数は、前記写真画像内で一番高い位置に存在する凸部の頂点を凸H、該凸Hの位置から積層方向に対して1.5μm低い位置を測定対象ラインとしたとき、該測定対象ライン以上に存在する凸部の数を指すものであり、
    前記丸みを有する凸部は、下記に規定される直径Rの円Xを上記写真画像における前記直下の層側の領域で前記界面に沿って転がしたとき、前記円Xの面積の20%以上がはみ出す突起を有さないか、または1個所有するものを指し、
    前記直径Rは、前記凸Hと前記界面における一番低い位置に存在する凹部の最下点凹Lをはさむ2本の平行線の間隔をLとしたときにL/10で表されることを特徴とする中間転写ベルト。
  2. 前記表面層の直下の層が、弾性層であることを特徴とする請求項1記載の中間転写ベルト。
  3. 電子写真感光体上に形成されたトナー像を、中間転写ベルトに一次転写した後、該トナー像を中間転写ベルトから記録媒体へ二次転写する画像形成装置に用いる中間転写ベルトの製造方法において、表面が十点平均粗さRzjis:0.3μm以上、3.0μm以下の凹凸構造を持ち、且つ、観測長50μm当たりの凸部の総数に対して丸みを有する凸部数の割合が、2/3以上である層の直上に、表面層として活性エネルギー線硬化型樹脂含有層を塗設することを特徴とする中間転写ベルトの製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の中間転写ベルトを用いていることを特徴とする画像形成装置。
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