JP5816706B2 - 測定治具 - Google Patents
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Description
一方、演算に用いられるブーム、アーム、バケット、および各シリンダの長さが設計値である場合、それらの実際の長さは製造上および組立上の寸法公差による誤差を含むことから、演算された位置座標と実際の刃先の位置座標とは必ずしも一致せず、刃先の位置検出の精度低下をもたらす。このため、刃先の位置検出の精度を向上させるためには、実際の位置計測で得られる位置座標に基づき、演算に用いられるパラメータを所定の較正値で較正しなければならず、位置計測といった較正作業を行う必要がある。
また、刃先の位置計測にあたっては、プリズムミラー(以下、単にプリズム)を刃先近くに取り付けて位置計測を実施する。すなわち、トータルステーションからプリズムに向けてレーザ光を投射し、プリズムからの反射光を計測するのである。
ここで、「プリズムミラーを前記被取付部に取り付ける」とは、作業者等の人手によりプリズムミラーや取付部材を支えることなく、当該プリズムミラーを被取付部に取り付けることをいう。
本発明によれば、プリズムミラーの回動点は、ミラー中心と一致していることで、計測点とも一致することになるから、プリズムミラーを回動させても、トータルステーション、ミラー中心、および計測点間相互の位置関係は変化しない。従って、一見してトータルステーションからミラー中心を視準できない場合には、プリズムミラーを所定方向に回動させ、ミラー中心を視準できるように調整すればよい。そして、この際には、ミラー中心を最低限視準できればよいので、プリズムミラーをトータルステーションに必ずしも厳密に正対させる必要がなく、位置調整を容易にできる。従って、計測位置が広範囲にわたって存在しても、プリズムミラーを回動させることで、計測点を確実に計測できる。
本発明によれば、取付部材と被取付部とが確実に当接しているかの確認や、計測点と被取付部とを一致させたい場合の一致状態の確認を、開口部を通して簡単にできる。
本発明によれば、取付部材ひいては測定治具全体を磁石を用いて被取付部に容易に取り付けることができ、設置作業を迅速に行える。
本発明によれば、上述した各作用効果を奏するうえ、長孔を利用することにより、開口部を通しての視認結果に応じて支持手段を取付部材に対して位置調整できる。
図1には、油圧ショベル100に本実施形態に係る測定治具30を取り付け、この測定治具30およびトータルステーションTSを用いて較正作業を実施している様子が示されている。
図1において先ず、建設機械としての油圧ショベル100は、車体1と作業機2とを有する。車体1は、旋回体3とキャブ4と走行装置5とを有する。旋回体3は、走行装置5に旋回可能に取り付けられている。旋回体3は、図示しないエンジンや油圧ポンプなどの装置を収容している。旋回体3の後部側には、RTK−GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite Systems、GNSSは全地球航法衛星システムをいう)用の2つのアンテナ21、22が設けられている。キャブ4は旋回体3の前部に載置されている。走行装置5は左右の履帯5A,5Bを有しており、履帯5A,5Bが回転することにより油圧ショベル100が走行する。
ブーム6の基端部は、ブームフートピン13を介して車体1の前部に回動可能に取り付けられている。すなわち、ブームフートピン13は、ブーム6の旋回体3に対する回動中心に相当する。
アーム7の基端部は、アームフートピン14を介してブーム6の先端部に回動可能に取り付けられている。すなわち、アームフートピン14は、アーム7のブーム6に対する回動中心に相当する。
アーム7の先端部には、バケットフートピン15を介してバケット8が回動可能に取り付けられている。すなわち、バケットフートピン15は、バケット8のアーム7に対する回動中心に相当する。
ここで、情報化施工を実施するためには、油圧ショベル100のバケット8の刃先中央Qの位置座標を逐次演算によって検出する必要がある。刃先中央Qの位置とは、ブーム6およびアーム7の長手方向に沿った中心線と、バケット8に設けられたツース8Aの先端を通り、かつバケット8の回動軸に平行な線との交点として定義される位置である。そして、油圧ショベル100のブーム6の長さ、すなわちブームフートピン13からアームフートピン14までの長さ、アーム7の長さ、すなわちアームフートピン14からバケットフートピン15までの長さ、バケット8の長さ、すなわちバケットフートピン15からバケット8の刃先中央Qまでの長さが、演算上必要なパラメータとして用いられる。また、ブームシリンダ10のストローク長さ、アームシリンダ11のストローク長さ、およびバケットシリンダ12のストローク長さについても、演算上必要なパラメータとして用いられる。
そして、トータルステーション座標系では、車体1の前方側がX軸(正側)、車体前方を向いて右手外方側がY軸(正側)、上方側がZ軸(正側)として設定されている。トータルステーションTSは、ブームフートピン13からX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に所定距離だけ離間した位置に設置される。
以下には、較正作業の実測で用いられる測定治具30について詳細に説明する。
図2には、バケット8の刃先Pに取り付けられる測定治具30の分解斜視図が示されている。図3には、測定治具30をトータルステーションTS側から見た場合の正面図が示されている。図4には、測定治具30の平面図が示されている。図5には、測定治具30の側面図であり、図4の矢印V側から見た矢視図が示されている。
具体的に測定治具30は、トータルステーションTSからの投射光を反射するプリズムミラー(以下、単にプリズム)40と、プリズム40を支持する支持手段としての角度調整機構50と、角度調整機構50を介してプリズム40を刃先Pに取り付ける取付部材60とを備える。
プリズム40は、三角錐状に3つのプリズムを組み合せて反射面としたプリズム本体41と、プリズム本体41を覆う外装部材42とを備える。
プリズム本体41の三角錐状部分の頂点は、トータルステーションTSを通して視準されるミラー中心MCになっている。また、ミラー中心MCは、本実施形態での計測点MPと一致している。ミラー中心MCは、較正作業時の実測において、トータルステーションTSを通して視準される点であり、計測点MPは、トータルステーションTSを用いて計測される点のことである。
従って、プリズム40のミラー中心MCと計測点MPとが一致していることにより、両者間に従来のようなオフセット量が存在せず、計測位置を異ならせてもミラー中心MCに対して計測点MPが位置ずれしない。
角度調整機構50は、プリズム40が支持される第1回動ブラケット51と、第1回動ブラケット51が支持される第2回動ブラケット52と、第2回動ブラケット52が支持される支持ブラケット53とを備え、全体で自在継手の構造を成す。
第1回動ブラケット51の両側部51D,51Dには、第2回動ブラケット52を貫通する第1軸部材54,54が挿通されている。第1軸部材54によりプリズム40は、第1回動軸R1を回動中心として、第1回動ブラケット51ごと第2回動ブラケット52に回動自在に支持される。なお、本実施形態では、第1軸部材54の先端が円錐とされ、鋲状に形成されているが、第1軸部材54の形状はこれに限定されず、任意である。
第2回動ブラケット52の上側部52Bには、支持ブラケット53を貫通する第2軸部材55が挿通されている。第2軸部材55によりプリズム40は、第2回動軸R2を回動中心として、第1、第2回動ブラケット51,52ごと支持ブラケット53に回動自在に支持される。
また、第1、第2回動軸R1,R2はミラー中心MCの位置で交差している。このため、プリズム40は、ミラー中心MCすなわち計測点MPを回動点RPとして回動することになる。この結果、プリズム40を回動させても、トータルステーションTS、ミラー中心MC、および計測点MP間相互の位置関係は変わらない。
支持ブラケット53の鉛直部53Bには、鉛直方向(Z軸方向)に沿って長形状とされた一対の長孔53Cが設けられている。これらの長孔53Cに挿通されるボルト56によりプリズム40は、第1、第2回動ブラケット51,52および支持ブラケット53ごと上下位置を調整可能に取付部材60に取り付けられる。
図6に示すように、測定治具30からプリズム40を外した状態で開口部53Dをのぞき込むと、開口部53Dの中心で取付部材60とツース8Aの先端との実際の当接部分を確認可能である。両者が開口部53Dの中心で当接していることはすなわち、刃先Pが計測点MPに対し、X軸方向やZ軸方向に位置ずれしていないことを意味する。なお、計測点MPは、刃先Pに対してY軸に沿って位置ずれしているだけであるから(図4参照)、計測点MPの位置座標のY座標の値を変えるだけで、任意のツース8Aでの刃先Pひいては刃先中央Qの位置座標を算出することができる。
取付部材60は、正面視にてL字形状とされ、底面部61と鉛直面部62とを有する。取付部材60の角度調整機構50側の端面には、角度調整機構50の支持ブラケット53をボルト止めするためのボルト孔63が設けられている。取付部材60の底面部61には、ツース8Aの下面と対向する上面側に複数の磁石64がボルト66にて取り付けられている。これらの磁石64の磁着力により、取付部材60ひいては測定治具30全体を鉄製のツース8Aに容易に取り付けることが可能である。
取付部材60の鉛直面部62の一方の鉛直面は、ツース8Aの刃先Pが当接する当接面65である。当接面65での当接状態が開口部53Dを通して視認される。
以下には、トータルステーションTSおよび本発明の測定治具30を用いた計測点MPの計測手順について簡単に説明する。
先ず、トータルステーションTSを油圧ショベル100に対して所定距離だけ離れた位置に設置するとともに、プリズム40を取り除いた状態の測定治具30を刃先Pに取り付ける。この際の所定距離としては、厳密な距離ではなく、大凡の距離でよい。また、測定治具30において、開口部53Dをのぞき込み、ツース8Aの刃先Pが開口部53Dの中心で取付部材60に当接しているかを確認する。位置していない場合には、長孔53Cを利用し、取付部材60に対する支持ブラケット53の上下位置を調整したり、取付部材60の当接面65に確実に当接させたりして、当接状態を確実に確保する。
そして、実測によって得られた各計測位置での計測点MPの位置座標のデータは、図示しない制御装置に出力され、そのデータに基づいて制御装置にて較正値が自動的に演算される。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、計測点MPと刃先PとがY軸に沿って位置ずれしていたが、加えてX軸やZ軸に沿って位置ずれしてもよい。両者の位置関係は計測位置が異なっても変化しないため、較正値を演算する上で何ら不都合を生じさせるものではないからである。なお、計測点MPと刃先Pとが一致していても、勿論よい。
また、プリズム40を角度調整機構50のような機構に支持させるのではなく、例えばY軸方向に正面(ガラス面42A)が向いた状態から回動しないよう、取付部材60に固定してもよい。このような場合でも、ミラー中心MCと計測点MPとが一致していることで、本発明の目的を達成できる。しかし、プリズム40を何らかの角度調整機構に支持させ、回動点RP、ミラー中心MC、および計測点MPを一致させることで、前記実施形態で説明したように、計測位置を広範囲にわたって移動させても確実に対応できるため、そうすることが好ましい。
Claims (3)
- 被取付部に取り付けられ、トータルステーションと共に計測点の位置計測に用いられる測定治具であって、
前記トータルステーションからの投射光を反射するプリズムミラーと、
前記プリズムミラーを前記被取付部に取り付ける取付部材とを備え、
前記プリズムミラーのミラー中心と前記計測点とが一致しており、
前記プリズムミラーは、前記取付部材に支持手段を介して取り付けられるとともに、前記支持手段に対して所定方向に回動自在に支持され、前記支持手段に対して着脱自在に設けられ、
前記プリズムミラーの回動点と前記ミラー中心とが一致しており、
前記支持手段には、前記プリズムミラーが外された状態で前記取付部材と前記被取付部との互いの当接位置を視認可能な開口部が設けられる
ことを特徴とする測定治具。 - 請求項1に記載の測定治具において、
前記取付部材には、前記被取付部に磁着する磁石が設けられている
ことを特徴とする測定治具。 - 被取付部に取り付けられ、トータルステーションと共に計測点の位置計測に用いられる測定治具であって、
前記トータルステーションからの投射光を反射するプリズムミラーと、
前記プリズムミラーが支持される支持手段と、
前記支持手段を前記被取付部に取り付ける取付部材とを備え、
前記プリズムミラーは、前記支持手段に対して所定方向に回動自在に支持され、
前記プリズムミラーのミラー中心と前記計測点とが一致し、
前記プリズムミラーの回動点と前記ミラー中心とが一致し、
前記支持手段には、前記プリズムミラーが外された状態で前記取付部材と前記被取付部との互いの当接位置を視認可能な開口部と、鉛直方向に長い長孔が設けられ、
前記長孔に挿通されるボルトにより前記支持手段が前記取付部材に取り付けられる
ことを特徴とする測定治具。
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