JP6826062B2 - 計測治具 - Google Patents

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Description

本発明は計測治具に関する。
近年,ICT(Information and Communication Technology :情報通信技術)を建設施工に適用して,多様な情報を効率的に活用して施工の合理化を図る情報化施工の普及が進められている。作業機械である油圧ショベルには,多関節型のフロント作業装置を構成するバケットの実際の位置と角度を計測し,その計測結果を反映したバケットの画像を予め入力した設計図(目標施工面)とともにキャブ内の表示装置に並列表示することで,オペレータの操作を誘導するマシンガイダンスシステムを搭載したものがある。また,予め入力した設計データと計測したバケットの実際の位置と角度を制御装置(コントローラ)に入力し,バケット先端が目標施工面に近づくと,所定の距離以上は近接しないようにフロント作業装置の動作を制限制御するマシンコントロールシステムを搭載したものがある。
このような情報化施工で使用される作業機械には,車体本体の位置,姿勢,向きの情報や,フロント作業装置の各部材の角度の情報を用いて,基準となる座標系におけるフロント作業装置の各部(例えばバケット爪先)の位置を推定する機能がある。情報化施工が正しく実施されるためには,この位置推定機能が高精度である必要がある。位置推定機能の精度を向上するためには,位置推定に用いる演算パラメータを設定し,その演算パラメータが適切か否かを確認する較正作業を事前に実施する必要がある。演算パラメータの設定および確認には,作業機械上の所望の計測点の位置をトータルステーションと呼ばれる測量機器で求め,その位置が利用される。トータルステーションによる位置計測を効率よく行うためには作業機械上の所望の計測点にプリズムミラーと呼ばれる計測ターゲットを適切に取付ける必要がある。
このような計測ターゲットを作業機械に取付ける治具として,特許文献1にあるような治具が知られている。特許文献1に記載の治具は,プリズムミラーと,プリズムミラーを被取付け部(例えばバケット爪先)に取付ける取付け部材とを備えている。取付け部材には,取付け部材と被取付け部との当接位置を視認可能にする開口部が設けられ,正しく取付けられているかの確認が可能となっている。また,プリズムミラーは取付け部材に対し回動自在かつ着脱自在な支持手段で支持され,プリズムミラーの回動点とミラー中心および計測点とが一致している。これにより,トータルステーションに対してプリズムミラーを正対させる必要が無く,また治具を取付けた後にトータルステーションからミラー中心が視認できないような場合でも,プリズムミラーを回動させることで計測可能となる。そして,取付け部材と被取付け部の固定に磁石を用いることにより設置作業が迅速になること,またプリズムミラーの支持手段と取付け部材との取付け位置を長穴およびボルトにより調整可能となることが例示されている。
国際公開第2015/040726号パンフレット
トータルステーションを用いてフロント作業装置上の計測点の位置を計測するにあたり,計測点は様々な種類のフロント作業装置上の様々な位置に割り当てられる。例えば,バケットの先端位置に計測点が割り当てられることが一般的であるが,バケットの先端形状は使用するバケットの種類によって様々な形状を取り得る。また,バケットの先端に限らず,例えばブームとアームを連結するピンの位置が計測点となることもある。このように,様々な計測点にプリズムミラーを取付ける必要がある。
例えば,バケットの先端に計測点を割り当てた場合,フロント作業装置に種々の姿勢をとらせてトータルステーションで計測点(バケット先端)の位置を計測することがある。この場合,計測作業の効率化の観点からは,バケット先端に計測治具を介してプリズムミラーを取付けたままフロント作業装置を動作できることが好ましい。すなわちフロント作業装置の動作時に生じる振動や加速度を受けてもプリズムミラーの位置ズレや脱落が生じない計測治具が好ましい。この点に関し,特許文献1の治具の取付け部材は,L字型の部材であり,その上面に取付けた複数の磁石を介してバケットの爪(被取付け部材)の背面に結合されているのみである。そのため,フロント作業装置を動作させた際に生じる力(例えば遠心力)で取付け部材が容易に位置ズレしたり脱落したりする虞がある。
その一方で,プリズムミラーを爪先に取付けた状態で地面などの障害物に誤って爪先を接触させてしまう可能性もある。この場合,プリズムミラーと爪先の結合が強固過ぎると障害物と爪の接触時の衝撃荷重がダイレクトにプリズムミラーに作用して容易に破損する可能性がある。すなわちプリズムミラーと爪先の結合を単純に強化するだけでなく,このような場合にプリズムミラーが破損する可能性を低減する仕組みが必要である。
本発明の目的は,プリズムミラーの取付け対象(計測対象物)が動作してもプリズムミラーの位置ズレや脱落がし難く,かつ,取付け対象に衝撃荷重が作用した際のプリズムミラーの破損の可能性を低減できる計測治具を提供することにある。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが,その一例を挙げるならば,単一平面上で動作する計測対象物に取付けられ,トータルステーションとともに計測点の位置計測に用いられる計測治具において,前記トータルステーションからの投射光を反射するプリズムミラーを保持し,前記プリズムミラーの軸方向におけるミラー頂点側に配置され凸部が設けられた第1面を有するターゲット部材と,前記凸部に係合される凹部が設けられた第2面を有する取付け部材と,前記単一平面と前記第2面が平行に配置されるように前記取付け部材を前記計測対象物に固定する固定部材と,前記第1面と前記第2面を隣接して対向配置させて前記凸部を前記凹部に係合させた状態で前記ターゲット部材を前記取付け部材に対して着脱可能に結合する結合部材とを備えることを特徴とする。
本発明によれば,プリズムミラーの取付け対象が動作してもプリズムミラーの位置ズレや脱落がし難く,また,取付け対象に衝撃荷重が作用した際のプリズムミラーの破損の可能性を低減できる。
本発明の実施形態に係る計測治具が適用される油圧ショベルの外観を示す図である。 コントローラによるバケット先端の位置推定に用いられる要素と,車体座標系(XYZ座標系)及びトータルステーションの座標系(UVW座標系)を説明する図である。 本発明の実施形態に係る計測治具の斜視図である。 ターゲット部材50の端面56側の平面図である。 図4中のV断面におけるターゲット部材50の断面図である。 プリズムミラー51の構造の説明図である。 プリズムミラーの入射面に対し垂直に入射する光線とその反射の特性を説明する図である。 プリズムミラーの入射面に対し斜めに入射する光線とその反射の特性を説明する図である。 バケット先端に取付けられる取付け部材60と高さ調整シム72の一例を示す図である。 バケット先端に取付けられるクランプ71の一例を示す図である。 取付け部材60の位置合わせの説明図である。 フロント作業装置1Aを回動させた時にターゲット部材50に掛かり得る力の説明図である。 フロント作業装置1Aを回動させた時にターゲット部材50に掛かり得る力の説明図である。 ブームフートピン用の取付け部材60A及び固定部材70Aの斜視図である。 図14中の矢印XV方向における取付け部材60Aと固定部材70Aの矢視断面図である。 ブームフートピン用の取付け部材60Bの斜視図である。 取付け部材60Bを用いてブームフートピン35にターゲット部材50を取り付けた状態における取付け部材60Bとターゲット部材50の断面図である。
以下,本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお,以下では,作業装置の先端の作業具(アタッチメント)としてバケット10を備える油圧ショベルを例示するが,バケット以外のアタッチメントを備える作業機械で本発明を適用しても構わない。さらに,単一平面上で動作する複数のフロント部材(アタッチメント,アーム,ブーム等)を連結して構成される多関節型の作業装置を有するものであれば油圧ショベル以外の作業機械への適用も可能である。
以下の説明では,同一の構成要素が複数存在する場合,符号(数字)の末尾にアルファベットを付すことがあるが,当該アルファベットを省略して当該複数の構成要素をまとめて表記することがある。例えば,2つのポンプ2a,2b,が存在するとき,これらをまとめてポンプ2と表記することがある。
<油圧ショベル>
図1は本発明の実施形態に係る計測治具が取付けられる油圧ショベルの構成図である。図1において,油圧ショベル1は,多関節型のフロント作業装置1Aと,車体1Bで構成されている。車体1Bは,左右の走行油圧モータ3a(図示せず),3bにより走行する下部走行体11と,下部走行体11の上に取付けられ,旋回油圧モータ4により旋回する上部旋回体12とからなる。
フロント作業装置1Aは,それぞれ回動する複数のフロント部材(ブーム8,アーム9及びバケット10)を連結して構成されている。ブーム8,アーム9及びバケット10は,ブーム8,アーム9及びバケット10の車体1Bの幅方向における中心を通過する同一平面上でそれぞれ回動動作する。本稿ではこの平面を動作平面と称することがある。これにより上部旋回体12の旋回角を固定した場合,フロント作業装置1A上の任意の点は,フロント作業装置1Aを動作させることで単一の平面上を移動することとなる。
ブーム8の基端は上部旋回体12の前部においてブームフートピン(ブームピン)を介して回動可能に支持されている。ブーム8の先端にはアームピン(ブーム先端ピン)を介してアーム9が回動可能に連結されており,アーム9の先端にはバケットピン(アーム先端ピン)を介してバケット10が回動可能に連結されている。これら複数のフロント部材8,9,10は複数の油圧アクチュエータである油圧シリンダ5,6,7によって駆動される。具体的には,ブーム8はブームシリンダ5によって駆動され,アーム9はアームシリンダ6によって駆動され,バケット10はバケットシリンダ7によって駆動される。
ブーム8,アーム9,バケット10の姿勢に関する物理量である回動角度α,β,γ(図2参照)を測定可能なように,ブーム8にブーム角度センサ30,アーム9にアーム角度センサ31,バケットリンク13にバケット角度センサ32が取り付けられ,上部旋回体12には基準面(例えば水平面)に対する上部旋回体12(車体1B)の傾斜角θ(図2参照)を検出する車体傾斜角センサ33が取付けられている。なお,本実施形態の角度センサ30,31,32は慣性計測装置(IMU)であるが,それぞれロータリーポテンショメータや重力方向に対する傾斜角を検出する傾斜角センサなどに代替可能である。また,車体傾斜角センサ33についても重力方向に対する傾斜角を検出可能なセンサに代替しても良い。
上部旋回体12に設けられた運転室内には,走行右油圧モータ3a(下部走行体11)を操作する走行右レバー23aと,走行左油圧モータ3b(下部走行体11)を操作するための走行左レバー23bと,ブームシリンダ5(ブーム8)及びバケットシリンダ7(バケット10)を操作するための操作右レバー1aと,アームシリンダ6(アーム9)及び旋回油圧モータ4(上部旋回体12)を操作するための操作左レバー1bが設置されている。以下では,走行右レバー23a,走行左レバー23b,操作右レバー1aおよび操作左レバー1bを操作レバー1,23と総称することがある。
上部旋回体12に搭載された原動機であるエンジン18は,油圧ポンプ2a,2bとパイロットポンプ(図示せず)を駆動する。油圧ポンプ2a,2bはレギュレータによって容量が制御される可変容量型ポンプであり,パイロットポンプは固定容量型ポンプである。油圧ポンプ2およびパイロットポンプはタンク(図示せず)より作動油を吸引する。
油圧ポンプ2から吐出された圧油は,流量制御弁(図示せず)を介して走行右油圧モータ3a,走行左油圧モータ3b,旋回油圧モータ4,ブームシリンダ5,アームシリンダ6,バケットシリンダ7に供給される。供給された圧油によってブームシリンダ5,アームシリンダ6,バケットシリンダ7が伸縮して,ブーム8,アーム9,バケット10がそれぞれ回動し,バケット10の位置及び姿勢が変化する。また,供給された圧油によって旋回油圧モータ4が回転して,下部走行体11に対して上部旋回体12が旋回する。そして,供給された圧油によって走行右油圧モータ3a,走行左油圧モータ3bが回転して,下部走行体11が走行する。
ブーム8,アーム9及びバケット10の姿勢とフロント作業装置1Aの姿勢は図2の車体座標系(ローカル座標系)上に定義できる。図2の車体座標系(XYZ座標系)は,上部旋回体12に設定された座標系であり,ブームフートピンの中心軸の中心を原点とし,ブームフートピンの中心軸に沿ったY軸,上部旋回体の旋回軸に沿ったZ軸,これらY軸及びZ軸に直交するX軸を持つ,右手直交系の座標系である。このときY軸は紙面から垂直に立ち上がる方向が正となる。X軸に対するブーム8の傾斜角をブーム角α,ブーム8に対するアーム9の傾斜角をアーム角β,アーム9に対するバケット爪先の傾斜角をバケット角γとした。重力方向に対する車体1B(上部旋回体12)の傾斜角を傾斜角θとした。ブーム角αはブーム角度センサ30により,アーム角βはアーム角度センサ31により,バケット角γはバケット角度センサ32により,傾斜角θは車体傾斜角センサ33により検出される。図2中に規定したように,ブームフートピン中心とブーム先端ピン中心を結んだ線分の長さ,ブーム先端ピン中心とアーム先端ピン中心を結んだ線分の長さ,アーム先端ピン中心とバケット先端中央を結んだ線分の長さをそれぞれL1,L2,L3とすると,車体座標系におけるバケット爪先中央の位置座標,ブーム8,アーム9及びバケット10の姿勢および作業装置1Aの姿勢はL1,L2,L3,α,β,γで表現できる。
油圧ショベル1には,プロセッサ(CPU等)と記憶装置(ROM,RAM等)を備えるコントローラ(図示せず)が搭載されている。コントローラは,各センサ30,31,32の検出信号を入力して上記の角度α,β,γを演算し,その演算した角度α,β,γと寸法L1,L2,L3から車体座標系におけるバケット爪先中央の位置座標を演算する位置推定機能を具備している。コントローラで算出された位置情報はマシンガイダンスシステムやマシンコントロールシステム等に利用される。なお,コントローラが演算する位置情報はバケット爪先中央に限らず,油圧ショベル1上の任意の点に設定可能である。
<計測治具>
図3は本発明の実施形態に係る計測治具40の斜視図である。トータルステーションでバケット10の爪先の位置を計測する場合(すなわち,計測対象物がバケット10の爪先の場合),計測治具40はバケット10が有する複数のツース(爪)10A(図1参照)の先端に取付けることができる。図3は複数のツース10Aのうちトータルステーションに最も近いツース10Aの先端に計測治具40が取付けられた状態を示している。
図3に示す計測治具40は,トータルステーションからの投射光(例えばレーザー)を反射するプリズムミラー51(図5参照)を内部に保持する略円筒状のターゲット部材50と,ターゲット部材50を取付けるための略L字型の板部材である取付け部材60と,取付け部材60を計測対象物(例えばツース10A)に固定するための固定部材70(クランプ71及び高さ調整シム72)と,ターゲット部材50を取付け部材60に対して着脱可能に結合するための結合部材80とを備えている。
ターゲット部材50は略円筒状のケーシング53を有する。ケーシング53の軸方向における一方の端面55にはプリズムミラー51が収納される凹部(図5参照)がプリズムミラー51の形状に合わせて形成されている。当該凹部に収納されたプリズムミラー51はケーシング53の端面55の内側に嵌合されるリング状のフレーム52(図5参照)により固定されている。
図4はケーシング53の軸方向における他方の端面(第1面)56の平面図である。図5はターゲット部材50の断面図であり,図4中の矢印Vは図5の断面図の切断面を示している。図5に示すように,プリズムミラー51は,その中心軸51bがケーシング53の端面56と直交するようにケーシング53内に保持されている。ケーシング53の端面56の中心にはプランジャ54が設けられている。
プランジャ54は,取付け部材60に対するターゲット部材50(すなわちプリズムミラー51)の位置決めをするための部品である。本実施の形態のプランジャ54は,いわゆるボールプランジャであり,ピン部材として球体のボール(凸部)54aと,ボール54aが収納される凹部54cの軸方向にボール54aを進退可能に保持するスプリング(ばね部材)54bを有している。凹部54cはボール54aとスプリング54bが収納される円筒状の溝である。ボール54aはスプリング54bにより保持されている。スプリング54bが自然長のとき,ボール54aは端面56から一部が突出するように保持されており端面56上の凸部となっている。端面56からのボール54aの突出量はスプリング54bにより調節可能である。円筒状の凹部54cの中心軸はプリズムミラーの中心軸51bと一致し,凹部54cの中心軸上にはボール54aの中心が位置する。ボール54aの径と凹部54cの径は略同じであり,ボール54aは自身の中心の位置を凹部54cの中心軸上に保持しながら当該中心軸に沿って凹部54c内を摺動できる。ボール54aを凹部54cの内部に押し込む方向の外力がボール54aに作用すると,スプリング54bがボール54aを凹部54cの外部に押し出す向きの復元力を発生する。
プランジャ54の外周には4つの円盤状の永久磁石(例えばネオジム磁石)80が等間隔で配置されている。本実施形態ではケーシング53の端面56に対向配置される取付け部材60の材料が鉄,コバルト,ニッケル等の強磁性体となっており,この4つの磁石80がターゲット部材50と取付け部材60の結合部材80を構成している。各磁石80はケーシング53の端面56に設けた略円盤状の凹部に収納されており,当該凹部に収納されたときの各磁石80の上面(端面56側の面)は端面56とともに概略平面を形成している。なお,図示した磁石80の形状や数は一例に過ぎず任意の形状や数を選択できる。
プリズムミラー51は,プリズムミラー51の中心軸51b上においてミラー頂点51aと対向する面を入射面51cとし,その入射面51cに入射した光線を,入射した方向に反射する特性を持つ光学機器である。本実施形態のプリズムミラー51は,3枚の平面を互いに直角に組み合わせたコーナーキューブプリズムであり,当該3枚の平面の交点がミラー頂点51aとなっている。プリズムミラー51の中心軸51bはミラー頂点51aを通る。プリズムミラー51の内部はガラスで充填されている。
プリズムミラー51のミラー頂点51a側の部分は,図6に示すように,前述の3枚の平面の内壁がミラー状になった立方体の1つの角を切り取ったような形状(コーナーキューブ)をしている。ただし,本実施形態では,円筒状のケーシング53内に収納するためにコーナーキューブの底面側(入射面51c側)の側面を円筒状に切削しているため,図6のような4面体形状とはなっていない(図5参照)。
図7に図6のコーナーキューブをミラー頂点と中心軸を通過する面で切断した断面図を示す。図7において,入射光線と反射光線のそれぞれの光路は平行であるが,光路間の距離は入射光線の入射位置によって異なり,反射点がミラー頂点に近いほど入射光線と反射光線の光路が近くなる。一方で,プリズムミラーがガラスで充填されていることから,トータルステーションからの入射光線が入射面に斜めに入射した場合,光線の屈折が生じる。すなわち,図8のように,入射面に対する入射光線の入射角が大きくなるほど,ミラー頂点で反射する場合の光線の見かけの光路が実際の光路から離れるため,トータルステーションがみかけのミラー頂点の方向にミラー頂点があると判断してしまい,ミラー頂点の座標値について計測誤差が発生する。
油圧ショベルの計測点(例えばツース10Aの先端)は所定の動作平面上に限定されるものの一般的に広い領域内を動き得る。そのため,トータルステーションからの入射光がプリズムミラーの入射面に常に垂直に入射するようトータルステーション及びプリズムミラーを配置することは非常に手間のかかる作業となる。
このような入射角の問題に対し,様々な入射角でミラー頂点に向かって入射した光線の見かけの光路が集中するミラー中心(図8参照)と呼ばれる点が存在することが知られており,このミラー中心の位置を計測するように調整する機能がトータルステーションに備えられている。従って,ミラー頂点ではなくミラー中心を計測することで,プリズムミラーの入射面に対するトータルステーションからの入射光の入射角度がトータルステーションの座標計測結果に与える影響を低減することが可能となる。これにより,トータルステーションとプリズムミラーを組み合わせて迅速かつ正確に計測可能となる。ただし,ミラー中心はプリズムミラーの内部に存在するため,フロント作業装置1Aの外縁部に割り当てられた計測点にミラー中心を直接設置することは不可能である。しかし,後述するような座標変換を行うことでミラー中心の問題は解消される。
取付け部材60は,図9に示すような所定の厚みの長方形状の板部材をその長軸方向の途中で90度折り曲げたようなL字型の板部材(例えば鉄製)であり,固定部材70(クランプ71及び高さ調整シム72)による固定時にフロント作業装置1Aの動作平面に沿って配置される縦板部60aと,縦板部60aに略直角で交わる横板部60bとから成る。固定部材70による固定時,縦板部60aの外側面(第2面)60a1はターゲット部材50の端面56と隣接して対向配置され,縦板部60aの内側面60a2はツース10Aの幅方向に配置される2つの側面のうち一方の側面と隣接して対向配置される。
縦板部60aにはターゲット部材50のプランジャ54の固定溝となる貫通孔(凹部)61が設けられている。貫通孔61は縦板部60aの外側面60a1上にプランジャ54のボール54aが係合される円形の輪郭を形成している。当該円形の径はボール54aの径より小さく設定されている。本実施形態の貫通孔61は円筒状に形成されており外側面60a1に現れる円形と同一の径を軸方向に有している。ボール54aが係合される固定溝(凹部)の機能のみを具備する観点に基づけば貫通孔61は有底状の凹部に代替可能である。ただし,プランジャ54用の固定溝を貫通孔61とすると,当該貫通孔61の中心に計測点(例えばツース10Aの先端)が位置するように取付け部材60を計測対象物に固定することが容易となり,その結果プリズムミラー51の中心軸51bを当該計測点と同一直線上に配置することが容易となる。
本実施形態の固定部材70はクランプ71と高さ調整シム72である。
図3,9に示した高さ調整シム72は,計測対象物の厚み(例えばツース10Aの先端の厚み)と,横板部60bの内側面60b2から貫通孔61の中心までの距離を考慮して,取付け部材60を測定対象物に固定した場合に計測点が貫通孔61の中心に位置するように設定された所定の厚み及び形状を有する板部材である。図示した高さ調整シム72は一例に過ぎずその厚みや形状は計測対象物に応じて変更することできる。図示の例では高さ調整シム72をツース10Aと取付け部材60の間に配置しているが,取付け部材60のみで計測点が貫通孔61の中心に配置できる場合には高さ調整シム72は省略可能である。
図10はクランプ71の概略構成図である。図示のクランプ71は,略C字型に屈曲したクランプ本体71aと,クランプ本体71aにおける上側の先端部に設けられた孔であって当該孔の内側にねじ溝が切られている雌ねじ部71bと,雌ねじ部71bに挿入される雄ねじであって軸部の外周面上にねじ溝が切られた締め付けネジ71cと,締め付けネジ71cの軸方向における一方側の端部(すなわち下端)に設けられた可動口金部71dと,締め付けネジ71cの軸方向における他方側の端部(すなわち上端)に設けられた貫通孔71eに挿入されたハンドル部71fと,クランプ本体71aにおける下側の先端部に設けられた固定口金部71gを備えている。
可動口金部71dと固定口金部71gは互いに対向する面がそれぞれ平坦面となっている。可動口金部71dは締め付けネジ71cのネジ先に対して揺動自在に取付けても良い。貫通孔71eは締め付けネジ71cの軸方向に直交する方向を軸方向とする円筒状の孔である。貫通孔71eに挿入されたハンドル部71fを締め付けネジ71cの周方向に回転させると締め付けネジ71cがその軸方向に沿って進退して可動口金部71dと固定口金部71gの距離が増減される。
<確認作業>
本実施形態の計測治具40とトータルステーションを用いて,油圧ショベル1のコントローラによる位置推定機能が正しく機能しているかを確認する確認作業について説明する。
一般的なトータルステーションでは,任意の点を原点にでき,重力方向を軸の一つに持つ直交座標系(例えばグローバル座標系)が利用できる。トータルステーションから任意の計測点又はその近傍に取付けたプリズムミラー51に向けてレーザー(投射光)を照射し,その反射光を利用してトータルステーションから見た当該計測点の距離と角度(鉛直角・水平角)を計測することで,当該座標系(例えばグローバル座標系)における計測点の座標値を算出することが可能である。
トータルステーション本体の向きを自動的に調整するサーボモータを搭載したトータルステーションでは,入射光と反射光の光路差を監視することで,入射光線がミラー頂点で反射する向きにレーザーを自動的に向けることができる。このようなトータルステーションを用いれば,例えば,フロント作業装置1Aの姿勢,すなわち計測点であるツース10Aの位置が変わるごとにトータルステーションの向きを計測員が調節する必要が無くなるので,位置計測の効率が向上する。
一般に,トータルステーションの座標系は車体座標系とは一致しない。そのため,トータルステーションの計測結果と,車体座標系での推定位置とを比較するためには,適切な座標変換を行う必要がある。ここではトータルステーションの座標系をUVW座標系とする。UVW座標系は,U軸,V軸及びW軸で定義される右手直交系の座標系である。W軸は重力方向と平行であり,W軸の負の方向を重力方向とする。このときU軸,V軸はともに水平面上に設定されるが更なる設定の詳細は後述する。
計測点の位置計測の準備として,まず,油圧ショベル1(下部走行体11)を可能な限り平坦かつ硬い地面に置く。ただし,地面に傾斜角θがある場合には,上部旋回体12の左右方向の傾斜,すなわち水平面(U−V平面)に対するY軸の傾斜が0度となる旋回角度まで上部旋回体12を旋回させて静止する。このようにすることで,車体座標系のY軸が水平となり,座標変換が容易となる。
トータルステーションは,ブームフートピンの軸方向における端面が視認可能な位置,すなわち車体右側に設置する。
次に,図2に示すように,トータルステーションの座標系のV軸が車体座標系のY軸と平行になるように,トータルステーションの座標系(UVW座標系)を設定する。なお,トータルステーションの座標系の原点は任意の点として良い。
以上のように2つの座標系(XYZ座標系,UVW座標系)を設定することにより,フロント作業装置1Aを動かした場合にフロント作業装置1A上の任意の点が通り得るX−Z平面はトータルステーションの座標系のU−W平面と平行になる。つまり,フロント作業装置1Aを動かしてもフロント作業装置1A上の任意の点のV軸方向の座標値が変化することが無いため,V軸方向に関する計測結果を無視でき,U−W平面上の計測結果のみに着目すれば良い。これによりトータルステーションの座標系と車体座標系との間の座標変換が原点の平行移動とY軸周りの角度θ分の回転移動のみで可能となる(図2参照)。
また,このとき,計測点とミラー中心のずれはV軸方向のみに制限される。計測点とミラー中心とのずれをV軸方向のみに制限しておけば,計測点とミラー中心のずれを無視してトータルステーションの計測結果と推定結果(すなわちコントローラによる演算結果)との比較を行うことが可能となる。
(プリズムミラー51の中心軸51bの計測点への固定方法)
本実施形態では計測点を,(1)車体右端に位置するツース10Aの先端におけるツース厚み方向の中心点TM(図11参照)と,(2)ブームフートピンにおける車体右側端面の中心点に設定する。以下,計測治具40を用いてプリズムミラー51の中心軸51bを計測点に固定する方法を説明する。
(ツース10Aへの固定)
ツース10Aの先端へのターゲット部材50(プリズムミラー51)の固定について説明する。まず,ツース10Aの先端への取付け部材60の固定について説明する。図3に示すように,車体右端に位置するツース10Aの先端において,ツース10Aと取付け部材60の間に適切な厚み及び形状を有する高さ調整シム72を配置し,取付け部材60の縦板部60aが車体右側に,横板部60bがツース10A及び高さ調整シム72の下方に位置するように取付け部材60を配置する。この状態で,クランプ71の可動口金部71dをツース10Aの上方に,クランプ71の固定口金部71gを取付け部材60の横板部60bの下方に配置する。そして,可動口金部71dと固定口金部71gの距離が減少する方向にハンドル部71fを回転し続けるとクランプ71の発生する締め付け力により取付け部材60がツース10Aの先端(すなわちバケット10の先端)に強固に固定される。
この際,作業者は取付け部材60の縦板部60aの外側面60a1がX−Z平面(すなわちフロント作業装置1Aの動作平面)と平行に配置されるように取付け部材60を固定する。これによりプリズムミラー51の中心軸51bがX−Z平面とU−W平面に直交するように取付け部材60を配置できる。また,作業者は取付け部材60の貫通孔61を介してツース10Aの中心点(すなわち計測点)TMと貫通孔61の中心HMの位置関係を目視しながら,図11に示すようにツース10Aの中心点TMと貫通孔61の中心HMが一致するように取付け部材60を固定する。これによりプリズムミラー51の中心軸51bがツース10Aの中心点TMを通過する位置に取付け部材60を配置できる。その結果,計測点TMとミラー中心の位置ズレはY軸とV軸方向のみに制限できる。
取付け部材60の固定が完了したら,取付け部材60の外側面60a1にターゲット部材50を取付ける。その際,外側面60a1に設けられた貫通孔(凹部)61に対してプランジャ54のボール54aを係合させながらターゲット部材50の端面56を外側面60a1に当接させる。この貫通孔(凹部)61とボール54aの係合により,ターゲット部材50の外側面60a1に沿った移動(すなわち,X−Z平面とU−W平面に沿った移動)が拘束される。また,プランジャ54のスプリング54bの復元力とボール54aの凹部54cの内壁面に沿った摺動の作用により貫通孔(凹部)61とボール54aが係合を保持した状態で外側面60a1と端面56が当接される。これにより互いに充分に接近した取付け部材60とターゲット部材50は,ターゲット部材50の端面56に配置された4つの永久磁石80の発生する磁力で結合される。この結果,貫通孔(凹部)61の中心HMとプリズムミラー51のミラー頂点51aと中心軸51bが同一直線上に配置される。すなわち貫通孔(凹部)61の中心HMと同軸上にプリズムミラー51の中心軸51bを容易に配置できる。またスプリング54bの復元力の作用によりターゲット部材50を取付け部材60にガタつき等がなく安定した状態で取付けることができる。
なお,このようにフロント作業装置1Aの外縁部にターゲット部材50が取付けられる場合には,ターゲット部材50の外周に,ミラー中心の計測が妨げられない程度の大きさの緩衝材を取付けることが好ましい。これによりフロント作業装置1Aが地面等に接触した際のプリズムミラー51の破損の可能性を低減できる。
(ブームフートピンへの固定)
次にブームフートピンにおける車体右側端面の中心点へのターゲット部材50(プリズムミラー51)の固定について説明する。図16はブームフートピン35へのターゲット部材50の固定方法の一例を示す図であり,図17はブームフートピン35の中心軸37を含む面によるブームフートピン周辺の断面図である。一般的に,フロント作業装置1Aの各部を連結する各ピン(ブームフートピン,アームピン,バケットピン)は磁着可能な素材(すなわち強磁性体)でできている。また,ピン端面は極めて平坦かつピンの中心軸37と直交しており,ピン端面の中心にはピンの加工に用いられるセンタ穴が凹部として残っていることが多い。そして,センタ穴にはピンの中心軸37と同じ中心軸を有するネジ穴(雌ねじ部)36が追加工されている場合があり(すなわちネジ穴36はピン端面の中心に位置する),そのネジ穴36の径がターゲット部材50のボール54aの径より大きい場合がある。この場合のブームフートピン35へのターゲット部材50の固定方法としては,ブームフートピン35に強磁性体からなる取り付け部材60Bを介してターゲット部材50を固定するものがある。取り付け部材60Bは,ブームフートピン35の軸方向端面(例えば車体右側端面)に当接される端面60a2と,端面60a2から突出して設けられたネジ部(雄ねじ部)65と、ネジ部65の中心軸と直交する平坦な面でありターゲット部材50の端面56が当接される端面60a1と、ターゲット部材50のプランジャ54のボール54aが係合される円形の輪郭を端面60a1上に有する凹部61Aを備えている。ネジ部65と凹部61Aの中心軸は同一軸線上に配置されており,ネジ穴36とネジ部65を螺合させることで取り付け部材60Bをブームフートピン35に固定した状態ではブームフートピン35の中心軸37はネジ部65と凹部61Aの中心軸と同一軸線上に配置される。取り付け部材60Bがブームフートピン35に固定された後,ターゲット部材50のボール54aが凹部61Aに嵌まるようにターゲット部材50が取り付け部材60Bの端面60a1に取付けられる。その際,プランジャ54の機能によりターゲット部材50を取付け部材60Bにガタつき等がなく安定した状態で取付けることができるとともにプリズムミラー51の中心軸51bが動作平面に直交しかつ計測点を通過するように容易に位置決めできる。ブームフートピン35の中心軸37は車体座標系のY軸と一致し,ブームフートピン35の中心軸37とプリズムミラー51の中心軸51bが一致することで,ピン端面の計測点とミラー中心とのずれはY軸とV軸方向のみに制限される。なお、ブームフートピン35の端面に設けられたセンタ穴やネジ穴36がプランジャ54のボール54aと係合可能な径を有する場合には,ブームフートピン35における車体右側端面を取付け部材60の外側面60a1,同端面に残るセンタ穴又はネジ穴36を取付け部材60の貫通孔61(凹部)とみなし,ターゲット部材50のボール54aがセンタ穴又はネジ穴36に嵌まるようにターゲット部材50をブームフートピン35の端面に取付けることができる。
(座標値の比較)
上記のようにターゲット部材50をツース10Aの先端(バケット先端)とブームフートピン35に固定し,それぞれの場合においてトータルステーションの座標系(UVW座標系)におけるプリズムミラー51のミラー中心の座標値をトータルステーションで計測する。ターゲット部材50をツース10Aの先端に固定した場合にはフロント作業装置1Aに所望の姿勢をとらせて座標値を計測する。ここでは計測したトータルステーションの座標系(UVW座標系)におけるツース10Aの先端の座標を(Xbk,Ybk,Zbk),ブームフートピン35の端面の中心の座標を(Xo,Yo,Zo)と表記する。また,フロント作業装置1Aが同じ姿勢のときにコントローラで演算した車体座標系(XYZ座標系)のX−Z平面におけるバケット先端の推定位置を(XbkE,ZbkE)と表記する。上部旋回体12の前後方向の傾斜角(X−Z平面における傾斜角)をθと表記する。なお,ブームフートピン35の軸方向の中心は車体座標系(XYZ座標系)の原点に一致する。
この時,コントローラによるバケット先端の推定位置(XbkE,ZbkE)は,次式によりトータルステーションの座標系のU−W平面上の点(XbkE’,ZbkE’)に変換できる。
XbkE’=XbkE×COS(θ)+ZbkE×SIN(θ)+Xo
ZbkE’=−XbkE×SIN(θ)+ZbkE×COS(θ)+Zo
トータルステーションの座標系のU−W平面において,バケット先端位置のトータルステーションによる計測結果(Xbk,Zbk)とコントローラによる推定結果(XbkE’,ZbkE’)とを比較することで,コントローラの位置推定機能の正しさを確認することができる。
<作用・効果>
フロント作業装置1Aに様々な姿勢をとらせてコントローラの推定機能の正しさを確認するにあたり,計測治具40をフロント作業装置1Aに取付けた状態のままフロント作業装置1Aをその動作平面上(すなわち,車体座標系におけるX−Z平面上)で回動動作させることがある。
(プリズムミラー51の位置ズレ・脱落防止)
取付け部材60については,クランプ71によりツース10Aに強固に固定されているためフロント作業装置1Aを回動動作させても動くことはない。
ターゲット部材50については,図12及び図13に示すように,まず,フロント作業装置1A(バケット10)の回動動作によりX−Z平面に平行な力91が働く。このとき,取付け部材60の外側面60a1はクランプ71によりX−Z平面に平行に固定されているため,その力91は外側面60a1に平行な力としてターゲット部材50に働く。しかし,プランジャ54のボール54aと貫通孔61の係合によりターゲット部材50の外側面60a1に沿った移動は拘束されている。そのため,作業装置1Aの回動動作によりX−Z平面に平行な力91が作用してもプリズムミラー51の位置がずれることがない。また,フロント作業装置1Aの回動動作中,フロント作業装置1Aの動作平面(X−Z平面)に垂直な方向の力(Y軸方向の力)92,すなわち外側面60a1に垂直な力はほとんど生じない。すなわち,結合部材である磁石80が発生する結合力に抗してターゲット部材50を取付け部材60から離そうとする方向の力はほとんど生じないため,人力で着脱可能な磁力程度でも十分に固定でき,プリズムミラー51の位置がずれることはない。したがって,本実施の形態の計測治具40によれば,プリズムミラー51の取付け対象(計測対象物)であるフロント作業装置1Aが回動動作してもプリズムミラー51の位置ズレや脱落の発生を防止できる。
(衝撃荷重作用時のプリズムミラー51の破損可能性の軽減)
また,確認作業中にフロント作業装置1Aを回動動作した際,バケット先端が誤って地面等の障害物に接触する虞がある。しかし,ターゲット部材50については,結合部材である磁石80により取付け部材60と着脱可能に結合されている。そのため,バケット10が地面等に接触するなどして大きな衝撃荷重が取付け部材60に作用した場合には,取付け部材60の変形や地面等から受ける力によりターゲット部材50が取付け部材60から脱落しやすい。これにより取付け部材とターゲット部材が着脱不能に構成されている場合と比較して,障害物との接触時に作用する衝撃が緩和されてプリズムミラー51の破損の可能性を低減できる。
なお,取付け部材60についてはクランプ71によりバケット先端に強固に固定されているためバケット10の障害物接触時の衝撃を受けて破損する可能性が高いものの,取付け部材60自体は単純な構造であるため交換は容易であり経済的損失も少ない。
<ブームフートピンに取付ける場合の計測治具の変形例>
ブームフートピン35の端面のすぐそばにカバー39(図14参照)等の障害物があり,取り付け部材60Bを介してターゲット部材50をブームフートピン35(図14参照)に取付けられない場合や,取付けられてもトータルステーションから視認できない場合等がある。そのような場合には,図14に示すようなブームフートピン用の取付け部材60A及び固定部材70Aを別途用意することで対応可能となる。
図14は取付け部材60Aと固定部材70Aの斜視図であり,図15は図14中の矢印XV方向における取付け部材60Aと固定部材70Aの矢視断面図である。本実施形態の計測治具は,ターゲット部材50と,取付け部材60Aと,固定部材70Aと,ターゲット部材50の端面56に設けられた結合部材としての永久磁石80(図示せず)を備える。このうちターゲット部材50と磁石80については先の実施形態と同じなので説明は省略する。
取付け部材60Aは,外側面60a1を有する円盤状の板部材(例えば鉄製)であり,先の例の取付け部材60と同様に固定部材70Aによりフロント作業装置1Aの動作平面と平行に保持される。円盤状の取付け部材60Aの中心には貫通孔61が設けられている。なお,本実施形態では計測点と貫通孔61の中心の位置合わせは貫通孔61の内部を目視して実施する必要は無いので,凹部で形成しても良い。
固定部材70Aは,ブームフートピン35の軸方向端面にあるネジ穴36に対し嵌合するネジ部65を介して固定されるピン接合部76と,ピン接合部76との間に架け渡された回動軸77aを中心にブームフートピン35の中心軸37周りに滑らかに回動可能に構成された回動部材77と,回動部材77の中心軸(回動軸心)に直交する軸を共有し,回動部材77の上下にそれぞれ取付けられた四角柱状の部材であるオフセット部材75,79と,オフセット部材79の下端に取付けられたおもり78を有する。
ピン接合部76は、ブームフートピン35が結合される側に図17の取り付け部材60Bの端面60a2と同様の端面を有し、ブームフートピン端面にあるネジ穴36と嵌合可能なネジ部65を備える。回動軸77aは,ピン接合部76をブームフートピン35に結合させた状態でブームフートピンの中心軸37と回動軸77aの中心軸が一致するようにピン接合部76によって保持されている。オフセット部材75は,ブームフートピン35の傍のカバー等の障害物39より外側に取付け部材60Aが位置するような充分な軸方向長さを有しており,オフセット部材75の上端には取付け部材60Aが取付けられている。取付け部材60Aの外側面60a1は回動軸77aの中心軸と直交しており,貫通孔61の中心軸は2つのオフセット部材75,79の中心軸と直交している。
おもり78の重心はオフセット部材75,79の中心軸を通るよう取付けられている。また,ターゲット部材50を取付け部材60Aに取付けたときのターゲット部材50,取付け部材60A及び固定部材70Aからなる質点系の重心が回動軸77aの中心軸に対してターゲット部材50の中心軸51bと反対側に位置するようにおもり78の重量及び形状が設定されている。これにより固定部材70Aはオフセット部材75,79の中心軸が鉛直に保持された状態で静止し,取付け部材60Aに取付けられたターゲット部材50のプリズムミラー51の中心軸がブームフートピンの中心軸37の鉛直上方に常に位置することになる。
したがって,図14,15に示した計測治具を用いれば,ブームフートピン35の中心軸37を鉛直上方に一定距離だけオフセットした点の位置をトータルステーションにより計測可能となる。そして,その計測結果のW座標から貫通孔61と回動軸77aの中心軸間の距離Dw(図15参照)を減じることでブームフートピンの位置を容易に求めることができる。すなわち本実施形態の計測治具によれば,ブームフートピン35の端面の近傍に障害物がある場合にもトータルステーションの座標系(UVW座標系)におけるブームフートピンの位置を計測できる。
<その他>
ターゲット部材50の周囲に,プリズムミラー51のミラー中心の計測を遮らない程度の緩衝材を取付けても良い。これにより,ターゲット部材50が地面等に衝突した際の衝撃を緩和し,プリズムミラー51が破損する可能性を低減することができる。
取付け部材60とターゲット部材50を紐状の連結部材で連結しても良い。これにより,ターゲット部材50が意図せず取付け部材60から外れてしまった場合に,ターゲット部材50が地面に落下してプリズムミラー51が破損することを防ぐことができる。
本発明は,上記の実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば,本発明は,上記の実施形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず,その構成の一部を削除したものも含まれる。また,実施形態に係る構成の一部を他の構成に置換,または,他の構成を追加することも可能である。
上記の実施形態では,磁石80をターゲット部材50の端面56に設けたが,この構成に代えて,磁石80を取付け部材60の外側面60a1側に設けて,ターゲット部材50の端面56を強磁性体で構成しても良い。また,結合部材80は,上記した永久磁石の他に,平面ファスナー,接着剤,両面テープ等でも代用できる。
1A…フロント作業装置,8…ブーム,10…バケット,10A…ツース,35…ブームフートピン,36…ネジ穴,40…計測治具,50…ターゲット部材,51…プリズムミラー,51b…プリズムミラーの中心軸,54…プランジャ,54a…ボール(凸部),56…ターゲット部材の一方の端面(第1面),60,60A,60B…取付け部材,60a1…取付け部材の外側面(第2面),61…貫通孔(凹部),61A…凹部,65…ネジ部,70,70A…固定部材,71…クランプ(固定部材),72…高さ調整シム(固定部材),75…オフセット部材,76…ピン接合部,77…回動部材,78…おもり,80…永久磁石(結合部材)

Claims (5)

  1. 単一平面上で動作する計測対象物に取付けられ,トータルステーションとともに計測点の位置計測に用いられる計測治具において,
    前記トータルステーションからの投射光を反射するプリズムミラーを保持し,前記プリズムミラーの軸方向におけるミラー頂点側に配置され凸部が設けられた第1面を有するターゲット部材と,
    前記凸部に係合される凹部が設けられた第2面を有する取付け部材と,
    前記単一平面と前記第2面が平行に配置されるように前記取付け部材を前記計測対象物に固定する固定部材と,
    前記第1面と前記第2面を隣接して対向配置させて前記凸部を前記凹部に係合させた状態で前記ターゲット部材を前記取付け部材に対して着脱可能に結合する結合部材とを備えることを特徴とする計測治具。
  2. 請求項1の計測治具において,
    前記結合部材は磁石であることを特徴とする計測治具。
  3. 請求項1の計測治具において,
    前記凹部は前記第2面上に形成された円形の輪郭を有しており,
    前記凸部は前記プリズムミラーの軸方向に進退可能に前記ターゲット部材に保持されたピン部材であり,
    前記ターゲット部材は,前記ピン部材の先端が前記プリズムミラーの中心軸上に位置するように前記プリズムミラーを保持していることを特徴とする計測治具。
  4. 請求項3の計測治具において,
    前記凹部は貫通孔であることを特徴とする計測治具。
  5. 請求項1の計測治具において,
    前記固定部材は,
    ネジ穴と嵌合可能なネジ部を有するピン接合部と,
    前記ピン接合部に対して所定の回動軸を中心に回転自在に保持された回動部材と,
    前記回動部材と前記取付け部材を連結するオフセット部材と,
    前記回動部材に取付けられたおもりとを備え,
    前記おもりの重量及び形状は、前記ターゲット部材を前記取付け部材に取り付けたときの前記ターゲット部材、前記取り付け部材及び前記固定部材からなる質点系の重心が、前記回動軸に対して前記ターゲット部材の中心軸と反対側に位置するように設定されていることを特徴とする計測治具。
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