JP6292562B1 - 水平認識装置の設置装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡単な構成で、簡易に水平認識装置を設置することができる、水平認識装置の設置装置を提供する。【解決手段】 バケットに取り付けられる第1の勾配表示器1aと、水平認識装置102に取り付けられる第2の勾配表示器3と、第1の勾配表示器1aと第2の勾配表示器3とを連結する連結器2とを備えると共に、第1の勾配表示器1aには、設計法面勾配に対応した、連結器2の取り付け方向が表示され、かつ、第2の勾配表示器3には、設計法面勾配に対応した、水平認識装置102の連結器2に対する設置方向が表示されている構成とした。この場合、水平認識装置の設置装置を補強爪が装着されたバケット115に取り付けるようにすると、硬い土質でもある程度、当該バケット115で対応が可能であり、掘削部材の交換頻度を削減できる。【選択図】 図1

Description

本発明は、土工事の情報化施工システムにおける、水平認識装置の設置装置に係り、特に、異なる設計法面勾配に対応して、土工機械の掘削部材の勾配を変更する際、或いは、土質の変化に対応して、掘削部材自体を取り替える際、水平認識装置の設置作業を、大幅に省力化した、水平認識装置の設置装置に関するものである。
近年、土木建設工事の効率化と品質向上、及び、熟練技術者不足等の観点から、土木建設工事の情報化施工が推進されている。
この土木建設の情報化施工として、建設ICT(情報通信技術)を導入した施工法が研究開発されている。
この建設ICTを導入した施工法として、第1の従来技術を図26を用いて説明する。
図26は、第1の従来技術の土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。
先ず、図26を用いて、第1の従来技術の土工事の情報化施工システムの概略構成を説明する。
当該システムの主要構成は、図26に示すように、トータルステーション109、光反射装置101、各角度センサー111a〜d、モニター112と、土工機械116である。
また、第1の従来技術では、光反射装置101は、機体背面に取り付けられている。
なお、土工機械116には、パワーショベル、バックホー、ブルドーザー等があるが、図26には、3Dマシンガイダンス付きのバックホーを用いた例が示されている。
また、同図には、土工機械116の掘削部材として、バケット115を用いた例が示されている。
図26において、115aは、土工機械116のバケット115の刃先で、114aは、土工事の対象となる法面114の計画高さ、114bはバケット刃先115aと計画高さ114aとの差異である。
また、モニター112は、土工機械116の運転席側に取り付けられ、バケット刃先115a位置での計画高さ114aが記憶されている記憶機能と、現況地盤高さを算出する機能とを備えたコンピュータを内蔵している。
以上の構成で、第1の従来技術の土工事の情報化施工システムの基本動作を、図26を用いて説明する。
先ず、トータルステーション109から、光反射装置101に向けて、水平距離、垂直距離を測定するための光波117が照射され、光反射装置101内に組み込まれたプリズムに入射するとともに、このプリズムから光波117が平行に反射される。
この反射された光波117は、再度、トータルステーション109に入射し、検出される。
トータルステーション109は、距離を測る光波測距儀と、角度を測るセオドライトとを内蔵しており、光反射装置101までの水平距離と垂直距離、及び、角度を同時に観測する。
この光反射装置101までの距離と角度を元に、光反射装置101の三次元座標を算出する。
なお、トータルステーション109が内蔵している光波測距儀は、トータルステーション109から照射され、光反射装置101内のプリズムから反射されて、再度トータルステーション109に返ってきた光波117の位相差を利用して距離を測定する。
次に、トータルステーション109は、光反射装置101を自動追尾する機能を備えており、光反射装置101の三次元座標をリアルタイムで測定する。
この光反射装置101の三次元座標は、無線118により、運転席側のモニター112に送信される。
また、モニター112内のコンピュータでは、計測された光反射装置101の三次元座標及び各角度センサー111a〜dと、土工機械116の部材長から、間接的に土工機械116のバケット刃先115a位置を算出し、バケット刃先115a位置での設計高114aとの差異114bをモニター112に表示する。
これにより、モニター112内のコンピュータの記憶機能に予め記憶されていたバケット刃先115aの設計図面上の計画高さ114aと、前記の方法で算出されたバケット刃先115aの現況地盤高さとの差をモニター112に表示させ、当該表示に合わせてオペレータが法面114の整形作業を行う。
なお、第1の従来技術では、光反射装置101に代えて、GPS受信機で、当該GPS受信機の三次元座標を測定し、各角度センサー111a〜dと、土工機械116の部材長から間接的に土工機械116のバケット刃先115a位置を算出する構成のものもある。
ところで、この第1の従来技術の土工事の情報化施工システムでは、上述したように、各角度センサーと、土工機械の各部材長から間接方式で、土工機械のバケット刃先位置を算出していたが、この算出方法では、角度センサーが複数個有り、また、図示しないストロークセンサーも合わせると、バケット刃先位置までの累計誤差が大きくなり、バケット刃先の位置を高精度で算出するのが困難であるという問題があった。
例えば、第1の従来技術において、GPS受信機で三次元座標を測定する構成の場合は、GPS受信機で既に3cm程度の誤差があり、これに、上記した累計誤差として、1〜2cm程度の誤差が加わる。
また、トータルステーションで光反射装置の三次元座標を測定する構成の場合でも、1〜2cm程度の累計誤差が生じてしまう。
更に、第1の従来技術では、土工機械移動時には旋回して、一度、機体座標をリセットする必要があった。
また、第1の従来技術の土工事の情報化施工システムでは、図26に示すように、多数の構成要素を必要とし、大がかりな装置となるため設置が困難で、施工コストが増大するという問題があった。
そこで、第1の従来技術の上記課題を解決した、第2の従来技術の土工事の情報化施工システムが開発されている(特許文献1)。
以下、第2の従来技術の土工事の情報化施工システムを図27を用いて説明する。
図27は、第2の従来技術の土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。
第2の従来技術の土工事の情報化施工システムの主要構成は、図27に示すように、第1の従来技術同様、トータルステーション109、光反射装置101、モニター112と、土工機械116である。
一方、第2の従来技術では、光反射装置101は、バケット115の勾配を、設計法面114の勾配としたときに、バケット刃先115aの鉛直上方となるように取り付けられている。
第2の従来技術の土工事の情報化施工システムの基本動作は、第1の従来技術同様に、トータルステーション109から、光反射装置101に向けて、水平距離、垂直距離を測定するための光波117が照射され、光反射装置101の三次元座標を算出する。
この光反射装置101の三次元座標は、無線118により、運転席側のモニター112に送信される。
一方、第2の従来技術では、光反射装置101が、バケット刃先115aの鉛直上方にあることで、光反射装置101とバケット刃先115aの平面座標は共通しており、バケット刃先115aの鉛直方向座標は、光反射装置101との鉛直間距離を差し引く補正により、直接的に算出することができる。
以下、第2の従来技術でも、第1の従来技術同様に、バケット刃先115aの位置での設計高114aとの差異114bをモニター112に表示し、モニター112内のコンピュータの記憶機能に予め記憶されていたバケット刃先115aの設計図面上の計画高さ114aと、前記の方法で算出されたバケット刃先115aの現況地盤高さとの差をモニター112に表示させ、当該表示に合わせてオペレータが法面114の整形作業を行う。
従って、第2の従来技術では、光反射装置101の三次元座標から、バケット刃先115aの三次元座標を直接的に算出できるため、第1の従来技術の課題であった、各角度センサーと、土工機械の部材長から間接的に土工機械116のバケット刃先115a位置を算出までの累計誤差が大きいという問題を解決することができる。
また、第1の従来技術は、大がかりな装置のため設置が困難で、施工コスト費用が増大するという問題があったが、第2の従来技術では、必要な構成数を削減できるので、設置が簡易であり、施工コストの増大を抑えることができる。
ところで、第2の従来技術では、バケット刃先115aの正確な三次元座標を算出するためには、バケットの刃先115a位置の鉛直上方に、光反射装置101が位置した状態で、この光反射装置101の三次元座標の測定を行わなければならない。
しかし、その際、オペレータの運転席側から、バケット刃先115a位置の鉛直上方に、光反射装置101が位置するかどうかを目視で確認することが難しく、法面114の仕上げ面が、設計勾配になるように高精度で作業することが困難であるという問題があった。
この第2の従来技術の課題を解決するために、第3の従来技術として、光反射装置が、バケットの刃先の鉛直上方とすることができ、また、バケット仕上げ面の勾配が、オペレータの運転席から目視で確認できる、水平認識装置が開発されている(特許文献2)。
この第3の従来技術の水平認識装置について、図28乃至図30を用いて説明する。
図28は、従来技術の水平認識装置の構成を示す側面図である。
図29は、従来技術の水平認識装置の構成を示す正面図である。
図30は、従来技術の水平認識装置の基本動作を説明するための一部正面図である。
先ず、第3の従来技術の水平認識装置102の構成について、図28及び図29を用いて説明する。
従来技術の水平認識装置102の主要構成は、図28及び図29に示すように、略L字型の水平表示器103と、この水平表示器103を収容保持する収納容器104であり、収納容器104の上面には、光反射装置101を固定する固定部が形成され、光反射装置101は収納容器104上部に固定され、固定後は水平認識装置102と一体的に動くようになる。
また、105は、水平認識装置102を土工機械の掘削部材の所定の位置に取り付るための取付部材である。
水平表示器103は、蝶番103aを介して、収納容器104内部に、所定の範囲、回転自在となるように保持されている。
また、水平表示器103の水平部103b側の上面は、垂直部103c側の背面に取り付けられた錘103dにより、常時、水平を保持するように工夫されている。
これにより、水平認識装置102を取り付けた土工機械の掘削部材の勾配が、施工中に変動し、それに連動して、水平認識装置102が傾斜しても、水平表示器103の水平部103bは、常に、水平を保つことができる。
また、図29に示すように、収納容器104の側面部には、水平部103bが上下に振れる間隙が設けられている。
図28及び図29に示すように、水平表示器103の水平部103bの側面端部には、中央認識線107が表示されている。
また、収納容器104の間隙の上部には、中央認識線107と同色で同形の上認識線106が、同じく下部には、中央認識線107と同色で同形の下認識線108がそれぞれ表示されている。
更に、水平認識装置102の正面は、運転席側に向けられ、これらの認識線106〜108の相対位置が、オペレータの運転席から目視できるようなっている。
次に、第3の従来技術の水平認識装置102の基本動作について、図28乃至図30を用い、図27を参照して説明する。
先ず、法面を整形する土工事開始前に、図30(a)に示すように、水平認識装置102の中央認識線107が、上下それぞれの認識線106、108の丁度中間となる状態で、バケット刃先115aが光反射装置101の鉛直下となるように、この水平認識装置102を設置する。
中央認識線107は、上記したように、常時、水平方向を示すように構成されているが、収納容器104がバケット115に固定されており、施工中のバケット115の勾配変化に連動して収納容器104の傾斜が変動するため、図30(b)、(c)に示すように、中央認識線107は、上下認識線106、108間を上下に変位する。
なお、図30(b)はバケット115が、水平認識装置102を設置した時よりも、運転席側に傾斜している状況を示しており、逆に、図30(c)はバケット115が、水平認識装置102を設置した時よりも、運転席と反対側に傾斜している状況を示している。
従って、図30(a)に示すように、中央認識線107が、上下認識線106、108の丁度中間にあれば、水平認識装置102は、設置時の初期状態であることが視認でき、オペレータは、バケット115の勾配が設計法面勾配であること、及び、バケット刃先115aが光反射装置101の鉛直下にあることを認識でき、この状態で、水平認識装置102に固定した光反射装置101の三次元座標を測定すると、光反射装置101の鉛直座標から鉛直間距離を差し引く補正だけで、高精度で、バケット刃先115aの三次元座標を算出できる。
従って、第3の従来技術によれば、第2の従来技術の土工事の情報化施工システムの問題であった、オペレータの運転席側から、バケット刃先位置の鉛直上方に、光反射装置が位置するかどうかを視認することが難しく、仕上げ面が設計勾配になるように高精度で作業することが困難であるという問題を解決することができる。
この結果、法面の整形作業後に行っていた測量や、更には、測量の結果を待って、従来行っていた修正作業も不要となり、作業全体の効率化を図ることができる。
また、第2の従来技術の土工事の情報化施工システムでは、法面整形などの仕上げ作業は、バケットの状態と掘削面を交互に見ながら行うので、これと同時に、運転席のモニターを頻繁に見ることは、視線移動が大きくオペレータの負担となり、困難であったが、当該第3の従来技術では、仕上げ面の勾配を運転席から、水平認識装置の3本の認識線の相対位置関係から間接的に目視できるので、視線移動を少なくすることができる。
上記したように、水平認識装置102の設置を適正に行うことで、水平認識装置102の上部に固定された光反射装置101は、バケット115の勾配が設計法面勾配のときに、バケット刃先115aの鉛直上方となるように位置決めすることができる。
そこで、次に、第3の従来技術の水平認識装置102を、土工機械の掘削部材に設置する工程について、図31及び図32を用いて説明する。
図31は、従来技術の水平認識装置を設置する工程の前半を説明するための側面図である。
図32は、従来技術の水平認識装置を設置する工程の後半を説明するための側面図である。
先ず、第3の従来技術の水平認識装置102を、土工機械の掘削部材のバケット115に設置する工程に必要な構成は、図31及び図32に示すように、バケット115の勾配を測定するための市販の勾配定規120、水平認識装置102をバケット115に設置するための略L字形の取付部材105、下げ振り121、取付部材105をバケット115の所定位置に固定するための、シャコマン等の着脱可能な固定部材122である。
図31に示すように、設置工程の前半では、例えば、切り土又は盛土を下から施工する場合では、設計法面勾配が1:Nの時、バケット仕上げ面115bの勾配を勾配定規120で設計法面勾配1:Nに合わせる。
なお、設計法面勾配1:Nは、設計法面勾配の垂直方向の変位に対する水平方向の変位の比であり、1:Nとは、垂直方向に1変位した場合、法面は水平方向にN変位する勾配であることを意味する。
次に、下げ振り121をバケット刃先115aに合わせ、鉛直上に取付部材105が取り付けられる位置に、シャコマン等の着脱可能な固定部材122で、取付部材105を固定する。
また、図32に示すように、設置工程の後半では、バケット刃先115aに合わされた下げ振り121で、光反射装置101の中心が、バケット刃先115aの鉛直上となるように、水平認識装置102を取付部材105に設置する。
次に、図30(a)に示すように、水平認識装置102の側面に表示された中央認識線107が、上下認識線106、108の丁度中間になったところで、シャコマン等の着脱可能な固定部材122により、水平認識装置102を固定する。
従って、当該水平認識装置102の設置工程では、光反射装置102をバケット刃先115aの鉛直上方に正確に設置でき、光反射装置101の三次元座標を測定すると、垂直方向の座標を補正するだけで、高精度で、バケット刃先115aの三次元座標を算出できる。
また、オペレータは運転席から、仕上げ面の勾配を、水平認識装置102の3本の認識線106〜108の相対位置関係から把握できるため、高精度で法面の整形作業をすることが可能となる。
特開平11−94550号 公報 特開2011−17238号 公報
ところで、第3の従来技術による水平認識装置の設置方法には、以下のような問題があった。
この第3の従来技術の問題について、図31及び図32を参照して説明する。
先ず、第3の従来技術による水平認識装置の設置方法では、図31に示すように、バケット仕上げ面115bに勾配定規120を当てて、バケット仕上げ面115bが設計法面勾配1:Nであるかを測定しなければならないが、バケット仕上げ面115bの勾配を正確に計るためには、仕上げ面115bに付着した泥等を完全に撤去して測定する必要があり、勾配の測定に手間がかかるという問題があった。
また、人員としては、勾配定規120を見る側と、土工機械の操作側の二人の人員が必要となる。
更に、取付部材105を取り付けるためには、取付部材105を保持する者と、シャコマン等の着脱可能な固定部材122を止める者との二人の人員が必要である。
即ち、第3の従来技術では、水平認識装置102の設置には、二人以上の人員が必要で、作業工程が多く、設置には時間がかかるという問題があった。
この設置作業は、異なる設計法面勾配1:Nに対応して、バケット115の勾配を変更する都度行わなければならず、また、硬い土質の場合、補強爪付きのバケット115に交換する必要があるが、バケット115の交換の度に、同じ手順で設置する必要があり、水平認識装置102の設置作業の負担が過大になっていた。
本発明は、上記従来の課題を解決し、簡単な構成で、簡易に水平認識装置を設置することができる、水平認識装置の設置装置を提供することを目的とする。
本発明の水平認識装置の設置装置は、請求項1に記載のものは、土工機械の掘削部材に取り付けられる第1の勾配表示器と、土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる第2の勾配表示器と、第1の勾配表示器と前記第2の勾配表示器とを連結する連結器とを備えると共に、第1の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、連結器の取り付け方向、または、分度器目盛が表示され、かつ、第2の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、水平認識装置の連結器に対する設置方向、または、分度器目盛が表示されている構成とした。
請求項2に記載の水平認識装置の設置装置は、土工機械の掘削部材に取り付けられる第1の勾配表示器と、土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる第2の勾配表示器と、第1の勾配表示器と第2の勾配表示器とを連結する連結器と、土工機械の掘削部材に設けられる固定支点とを備えると共に、第1の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、固定支点からの連結器の取り付け方向が表示され、かつ、第2の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、水平認識装置の連結器に対する設置方向が表示されている構成とした。
請求項3に記載の水平認識装置の設置装置は、土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる勾配表示器と、土工機械の掘削部材に設けられる固定支点と、固定支点と勾配表示器を連結する連結器とを備えると共に、土工機械の掘削部材には、設計法面勾配に対応した、固定支点からの連結器の取り付け方向が表示され、かつ、勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、水平認識装置の連結器に対する設置方向が表示されている構成とした。
請求項4に記載の水平認識装置の設置装置は、土工機械の掘削部材に取り付けられる第1の勾配表示器と、土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる第2の勾配表示器とを備えると共に、第1の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、水平認識装置の取り付け方向及び設置位置が表示され、かつ、第2の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、水平認識装置の取り付け方向に対する、水平認識装置の設置方向が表示されている構成とした。
請求項5に記載の水平認識装置の設置装置は、土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる勾配表示器と、設計法面勾配に対応した、水平認識装置の取り付け方向及び設置位置が表示された土工機械の掘削部材とを備えると共に、勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、水平認識装置の取り付け方向に対する、水平認識装置の設置方向が表示されている構成とした。
請求項6に記載の水平認識装置の設置装置は、補強爪が装着された土工機械の掘削部材に取り付ける構成とした。
本発明の水平認識装置の設置装置は、上記のように構成したために以下のような優れた効果を有する。
(1)請求項1乃至5に記載したように構成すると、異なる設計法面の勾配に対応して、土工機械の掘削部材の勾配を変更する際、簡易な調整だけで対応可能なので、第3の従来技術の水平認識装置の設置工程よりも大幅に省力化できる。
(2)請求項1乃至3に記載したように構成すると、土質の変化に対応して、土工機械の掘削部材自体を取り替える際でも、水平認識装置を簡単に付け替えることができるので、大幅に省力化できる。
(3)請求項3に記載したように構成すると、連結器を土工機械の掘削部材に直接固定するのが可能で、固定部材が不要となり、部材を大幅に削減できる。
(4)請求項4に記載したように構成すると、水平認識装置の設置装置の部品点数を減らすことができる。
(5)請求項5に記載したように構成すると、土工機械の掘削部材の製作段階で、土工機械の掘削部材に、基準点からの勾配表示器の取り付け方向及び取り付け位置を表示するように一体的に製作することで、構成が最小とすることができる。
(6)請求項6に記載したように構成すると、硬い土質でもある程度、当該掘削部材で対応が可能であり、掘削部材の交換頻度を削減できる。
本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態における全体構成示す側面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態における一部構成を示す側面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態における一部構成を示す側面図である。 本発明の第1、第2の勾配表示器に表示された取り付け方向、若しくは、設置方向の算出方法を説明するための側面図である。 本発明の第1、第2の勾配表示器に表示された取り付け方向の算出方法、若しくは、設置方向を説明するための連結器の正面図である。 本発明の第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置の組立工程を説明するための分解側面図である。 本発明の第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置の組立工程を説明するための組立完了後の側面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態の構造を説明するための側面図である。 図8のc−c断面図である。 図9のa−a断面図である。 図9のb−b断面図である。 図8のd−d断面図である。 本発明の第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置を刃先に補強爪を取り付けたバケットに適用した構成を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置を刃先に補強爪を取り付けたバケットに適用した構成を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置を刃先に補強爪を取り付けたバケットに適用した構成を示す正面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第2の実施の形態を説明するための側面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第2の実施の形態を説明するための正面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第3の実施の形態を説明するための側面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第3の実施の形態を説明するための正面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第4の実施の形態を説明するための側面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第4の実施の形態を説明するための正面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第5の実施の形態を説明するための側面図である。 本発明の水平認識装置の設置装置の第5の実施の形態を説明するための正面図である。 本発明の第1、第2の勾配表示器またはバケット側面に表示された取り付け方向、若しくは、設置方向の算出方法の説明図である。 本発明の第1、第2の勾配表示器に表示された取り付け方向、若しくは、設置方向の算出方法を説明するため側面図である。 第1の従来技術の土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。 第2の従来技術の土工事の情報化施工システムを説明するための概略構成図である。 第3の従来技術の水平認識装置の構成を示す側面図である。 第3の従来技術の水平認識装置の構成を示す正面図である。 第3の従来技術の水平認識装置の基本動作を説明するための一部正面図である。 第3の従来技術の水平認識装置を設置する工程の前半を説明するための側面図である。 第3の従来技術の水平認識装置を設置する工程の後半を説明するための側面図である。
以下、本発明の水平認識装置の設置装置の、第1乃至第5の各実施の形態について説明する。
ところで、本発明の真の目的は、バケット(土工機械の掘削部材)の勾配が、設計法面勾配の時に、光反射装置を、バケットの刃先位置(標準点)の鉛直上方となるように位置決めすることと、及び、オペレータが運転席側から、バケットの勾配が設計法面勾配であることを視認できるようにすることである。
これは、上述したように、光反射装置は水平認識装置に固定され、一体的に動く関係上、水平認識装置を適正な位置、及び、適正な方向に設置することで達成できるものである。
従って、以下では、水平認識装置を適正な位置、及び、適正な方向に設置することを中心に説明するが、特に、「取り付け方向」との混同を避けるために、適正な方向については、「設置方向」と限定的に表記する。
第1の実施の形態:
本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態について、図1乃至図15を用いて説明するが、以下、第1の実施の形態の基本構成及び基本動作の予備的な説明をした後、順次、水平認識装置の設置装置による適正な位置、及び、適正な方向を算出する方法、組立工程、各構成の詳細な構造について説明する。
先ず、本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態における基本構成について、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は、本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態における全体構成示す側面図である。
図2及び図3は、本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態における一部構成を示す側面図である。
第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置10aの基本構成は、図1乃至図3に示すように、バケット115側に取り付けられる第1の勾配表示器1aと、水平認識装置102に取り付けられる第2の勾配表示器3と、第1の勾配表示器1aと第2の勾配表示器3とを連結する連結器2である。
なお、第2の勾配表示器3を水平認識装置102に取り付けた後は、第2の勾配表示器3と水平認識装置102は一体的に動く構造である。
また、本実施の形態では、水平認識装置102としては、図28及び図29に示した水平認識装置102と同一構成のものを用い、同一の符号番号を付している。
なお、本実施の形態の水平認識装置の設置装置10aを取り付ける土工機械の掘削部材として、図1には、刃先115aに補強爪4が装着されている、バケット115を用いる例が示されている。
図2に示すように、第2の勾配表示器3には、各設計法面勾配1:Nに対応した、水平認識装置102の各設置方向が直線で表示されている。
また、図3に示すように、バケット115側に取り付けられる第1の勾配表示器1aには、各設計法面勾配1:Nに対応した、連結器2の各取り付け方向が直線で表示されている。
なお、この各方向の算出方法については、後に詳細に説明する。
また、本実施の形態では、第2の勾配表示器3には、水平認識装置102の各設置方向が直線で表示され、第1の勾配表示器1aには、連結器2の各取り付け方向が直線で表示されている構成のもので説明するが、この直線表示の代替として、分度器目盛(円の中心から360分割した目印線)を貼り付ける等し、後述する算出方法で計算した、各設計法面勾配1:Nと、これに対応した各取り付け、設置方向を角度で計算し、当該対応表を作成しておき、その対応表と照らし合わせて、連結器2の取り付け方向や、水平認識装置102の設置方向を、分度器目盛に合わせる構成のものでもよい。
以上の構成において、次に、第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置10aの基本動作について、図1乃至図3を用い、図30を参照して、簡単に説明する。
先ず、バケット115側面の所定位置に、第1の勾配表示器1aを取り付け、第1の勾配表示器1aに表示され、所望の設計法面勾配1:Nに対応した直線方向と連結器2の長尺方向の中心線が同方向になるように、連結器2を取り付ける。
次に、第2の勾配表示器3を水平認識装置102に取り付け、更に、連結器2の他方側に第2の勾配表示器3を取り付け、第1の勾配表示器1aと第2の勾配表示器3とを連結する。
また、所望の設計法面勾配1:Nに対応して、第2の勾配表示器3に表示された水平認識装置102の設置方向と、連結器2の長尺方向の中心線とが同方向になるように水平認識装置102を設置する。
なお、設計法面勾配1:Nとしては、平土に対応して0.0(平土は、垂直方向の変位が無いため0.0のみ表記、以下同様)、切土として使用頻度が高い、1:1.08、1:1.0、1:1.2、盛土として使用頻度が高い、1:1.5、1:1.8、1:2.0、1:2.5となる場合に対応した、取り付け方向、若しくは、設置方向がそれぞれ表示されている。
このようにすると、図1に示すように、バケット仕上げ面115bの勾配が、所望の設計法面勾配1:Nとなったときに、水平認識装置102上部に固定された光反射装置101がバケット刃先115aの鉛直上方となり、また、中央認識線107が上下認識線106、108の中間に位置するように設定することができる(図30(a)参照)。
即ち、本実施の形態では、第1、第2の勾配表示器1a、3、連結器2という簡単な構成で、しかも、第1、第2の勾配表示器1a、3と連結器2を、表示された取り付け方向に合わせるという簡易な手順で、水平認識装置102に固定された光反射装置101を、バケット刃先115a位置の鉛直線上に位置決めできるほか、水平認識装置102正面に表示された3本の認識線106〜108により、運転席側からオペレータがバケット仕上げ面115bの勾配が、設計法面勾配1:Nであることを認識することができるようになる。
つまり、本実施の形態の水平認識装置の設置装置10aでは、異なる設計法面の勾配に対応して、バケットの仕上げ面115bの勾配を変更する際、第3の従来技術で説明した水平認識装置102の設置工程よりも大幅に省力化できる。
また、土質の変化に対応して、バケット115自体を取り替える際でも、水平認識装置102を簡単に付け替えることができるので、従来の設置工程よりも大幅に省力化できる。
以上の予備的な説明を踏まえて、次に、図1乃至図3に示した第1、第2の勾配表示器1a、3に表示された取り付け方向若しくは設置方向の算出方法について、図4及び図5を用いて、詳細に説明する。
図4は、第1、第2の勾配表示器に表示された取り付け方向、若しくは、設置方向の算出方法を説明するための側面図である。
図5は、第1、第2の勾配表示器に表示された取り付け方向、若しくは、設置方向の算出方法を説明するための連結器の正面図である。
先ず、第1の勾配表示器3に表示された連結器2の取り付け方向、第2の勾配表示器3に表示された水平認識装置102の設置方向を算出する前提として、図4に示すように、設計法面勾配が1:Nであり、それに合わせて、バケット仕上げ面115bの勾配も1:Nであるとする。
次に、図4及び図5に示すように、第1の勾配表示器1a及び連結器2をバケット115に取り付ける固定支点を「ホ」とし、「ホ」からバケット仕上げ面115bへの垂直線との交点を「ニ」とし、以下、この線分「ホニ」を基準線とする。
図4及び図5に示すように、バケット刃先115a位置を点「イ」とし、その鉛直上方の点「ト」を第2の勾配表示器3及び連結器2の取り付け位置とし、更に、その鉛直上方の点「チ」を光反射装置101の設置位置とする。
ところで、光反射装置101の設置位置「チ」は、第2の勾配表示器3の取付点「ト」の位置を定め、更に、点「ホ」と点「ト」が作る線分「ホト」と、点「ト」と点「リ」が作る水平方向の線分「トリ」と為す角「ホトリ」の角度∠iを算出して、これを第2の勾配表示器3を取り付けた水平認識装置102の設置方向とし、その方向を連結器2の取り付け方向に合わせることで、光反射装置101の設置位置「チ」を一義的に位置決めることができる。
また、光反射装置101の中心軸が鉛直方向となるため、図30(a)に示すように、常時、水平を示している中央認識線107を、上下認識線106、108の中間の位置とすることができる。
即ち、上述したように、水平認識装置102を適正な位置、及び、適正な方向に設置することで、バケット115の勾配が、設計法面勾配1:Nの時に、バケットの刃先115a位置の鉛直上方となるように、光反射装置101を位置付けでき、かつ、オペレータが運転席側から、バケット115の勾配が設計法面勾配1:Nであることを視認できるようになるが、点「ト」の位置が、水平認識装置102を設置する適正な位置であり、∠iが適正な設置方向である。
そこで、以下、点「ト」の位置の算出方法、及び、∠iの算出方法について、順に説明する。
先ず、固定支点「ホ」からの第2の勾配表示器3の取り付け位置、点「ト」の算出方法について説明する。
ここで、点「ト」は、基準線「ホニ」からの連結器2の取り付け方向の角、即ち、点「ニ」、点「ホ」、点「ト」が作る角「ニホト」の角度∠hと、第1及び第2の勾配表示器1a、3の取付点「ホ」、「ト」間距離Lホトを定めることにより、第1の勾配表示器1aの固定支点「ホ」からの相対位置を、一義的に定めることができる。
ところで、第1及び第2の勾配表示器1a、3の取付間距離Lホトについては、バケット115の大きさや形状、光反射装置101を取り付ける位置に対応して、適宜定められる性質のもので、これは、図5に示すように、連結器2の取付間距離Lホトであり、定数として扱える。
従って、基準線「ホニ」からの連結器2の取り付け角度∠hを算出できれば、第1の勾配表示器1aの固定支点「ホ」から、第2の勾配表示器3の取付位置点「ト」の位置を一義的に定めることができる。
従って、次に、∠hの算出方法について説明する。
図4に示すように、∠hと、点「イ」、「ホ」と「ニ」が為す角「イホニ」の角度である∠eと、点「イ」、「ホ」と、点「ホ」からの水平方向の直線と、点「ト」と点「イ」が作る垂直線との交点「ヘ」が為す角「イホヘ」の角度である∠fと、点「ト」、「ホ」と「ヘ」が為す角「トホヘ」の角度である∠gの総和は、全周、即ち360゜である。
従って、∠hは次式で表される。
∠h=360゜−(∠e+∠f+∠g) ・・・・ (式1)
従って、各∠e、∠f、∠gをそれぞれ算出すると、∠hが式1より算出でき、∠hから、基準線「ホニ」からの連結器2の取り付け方向を定めることができる。
そこで、以下、∠g、∠e、∠fをそれぞれ算出する方法について、順に説明する。
先ず、∠gの算出方法について説明する。
図4において、点「ロ」と点「イ」及び点「ハ」が為す角「ロイハ」の角度∠aは、設計法面勾配1:Nを勾配角度に変換したものであり、従って、∠aは、勾配比の逆関数で、次式2で与えられる。
∠a=arctan(1/N) ・・・・ (式2)
また、∠bは、点「イ」と点「ニ」の長さをLイニ、点「ニ」と点「ホ」の長さをLニホとした場合、点「イ」、点「ニ」、点「ホ」で直角三角形を作るので、次式で与えられる。
∠b=arctan(Lニホ/Lイニ) ・・・・ (式3)
なお、Lニホ、Lイニは、固定支点である点「ホ」を定めることによって、一義的に求めることができる定数である。
また、図4に示すように、点「ロ」と点「イ」及び点「ヘ」が為す角「ロイヘ」の角度∠dは、水平線分「イロ」と垂直線分「イヘ」とが為す角度であるので、∠dは90゜である。
点「ホ」と点「イ」及び点「ヘ」が為す角「ホイヘ」の角度∠c、と∠a及び∠bの総和は、∠dの90゜であり、従って、∠cは次式で与えられる。
∠c=90゜−(∠a+∠b) ・・・・ (式4)
また、点「イ」と点「ホ」の長さをLイホとした場合、Lイホは三平方の定理により、次式で与えられる。
Lイホ={(Lニホ)^2+(Lイニ)^2}^1/2 ・・・・ (式5)
なお、ここで、「^2」は2乗を、「^1/2」は1/2乗を意味するものとする(以下同様)。
また、点「ホ」と点「ヘ」の長さをLホヘとした場合、Lホヘは、次式で与えられる。
Lホヘ=Lイホ×sin∠c ・・・・ (式6)
ところで、図4に示すように、点「ト」と点「ホ」及び点「ヘ」で直角三角形を形成し、直角以外の角「ホトヘ」と∠gの和は90゜である。
角「ホトヘ」の角度は、arcsin(Lホヘ/Lホト)で算出できるので、
従って、∠gは最終的には次式7で算出できる。
∠g=90゜−arcsin(Lホヘ/Lホト) ・・・・ (式7)
次に、∠eと∠fの算出方法について説明する。
先ず、∠eについては、図4に示すように、点「イ」と点「ホ」及び点「ニ」で、直角三角形を形成し、直角以外の∠eと∠bの和は90゜であり、∠eは(式2)で求められた∠bから次式で算出できる。
∠e=90゜−∠b ・・・・ (式8)
次に、∠fについては、図4に示すように、点「イ」と点「ロ」が作る線分「イロ」と、点「ホ」及び点「ヘ」を通る直線は、共に水平面に平行であり、この2線分は平行線となっている。
従って、角「イホヘ」と角「ロイホ」は平行線の錯角の関係にあり、角「イホヘ」の角度∠fと、角「ロイホ」の角度(∠aと∠bの和)は等しく、従って、∠fは次式で与えられる。
∠f=∠a+∠b ・・・・ (式9)
以上、説明したように、固定支点「ホ」を定めることにより、各角度∠g、∠e、∠fをそれぞれ算出できるので、式1に代入することにより、最終的に∠hの値が算出でき、線分「ホト」の長さLホトは定数として扱えるので、固定支点「ホ」からの水平認識装置102の適正な設置位置である点「ト」の位置を一義的に算出できる。
次に、第2の勾配表示器3において、水平面に対する水平認識装置102の適正な設置方向である角度∠iを算出する方法について説明する。
図4に示すように、線分「ホヘ」と、点「ト」と点「リ」が作る線分「トリ」は、共に水平方向の線分であり平行関係にある。
従って、∠gと∠iは平行線の錯角の関係であり、等しい角度であり、次式が成立する。
∠g=∠i ・・・・ (式10)
∠gについては、式7において算出されているので、第2の勾配表示器3において、水平方向に対する水平認識装置102の適正な設置方向である角度∠iも式7で算出することができる。
以上の算出方法に基づき、上述したように、設計法面勾配1:Nとしては、平土に対応して0.0、切土として使用頻度が高い、1:1.08、1:1.0、1:1.2、盛土として使用頻度が高い、1:1.5、1:1.8、1:2.0、1:2.5となる場合に対応して、図2に示すように、第2の勾配表示器3には、水平認識装置102の設置方向が、図3に示すように、第1の勾配表示器1aには、連結器2の取り付け方向がそれぞれ直線で表示されている(詳しくは、後の図10参照)。
次に、第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置10の組立工程につき、図6及び図7を用いて説明する。
図6は、第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置の組立工程を説明するための分解側面図である。
図7は、第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置の組立工程を説明するための組立完了後の側面図である。
本実施の形態の水平認識装置の設置装置10aの組立工程は、先ず、図6に示すように、水平認識装置102に第2の勾配表示器3を、角度方向の位置合わせ(例えば、図4に示すように鉛直方向を合わせる)を行って後、取り付け固定する。
次に、バケット115の側面の取り付け位置である固定支点「ホ」に、第1の勾配表示器1aの中心を合わせて、また、基準線「ホニ」に角度方向の位置合わせをして(図4参照)、第1の勾配表示器1aを取り付ける。
次に、固定支点「ホ」、及び、第1の勾配表示器1aの取り付け点「ホ」に、連結器2の取り付け点「ホ」を合わせて、第1の勾配表示器1aに表示され、目的の設計法面勾配1:N(図示のものは1:1.2)に対応した方向に、連結器2の中心線を合わせて取り付ける。
更に、連結器2の点「ト」の位置に、第2の勾配表示器3の取り付け位置の点「ト」の位置を合わせ、第2の勾配表示器3に表示され、目的の設計法面勾配1:Nに対応した水平認識装置102の設置方向を、連結器2の中心線の方向「ホト」に合わせて、水平認識装置102を設置する。
以上の工程で、第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置10aを用いて、水平認識装置102を設置した後、バケット115を設計法面の勾配に徐々に傾斜させて行き、水平認識装置102の中央認識線107が、図30(a)に示すように上下認識線106、108の中間に位置するようにすると、各構成は図4に示した通りの位置関係となり、バケット115を伏せた状態で水平認識装置102を設置したとしても、図7に示すように、バケット115の勾配が目的の設計法面勾配(図示のものは1:1.2)になると共に、光反射装置101の中心が、バケット刃先115a位置の鉛直上方とすることができる。
即ち、水平認識装置102設置時のバケットの勾配に関わらず、予め第1、第2の勾配表示器1a、3に表示された方向に合わせるだけで、所望の勾配としたときに、各構成を目的の位置関係に設置できる。
上記第3の従来技術では、図31に示すように、バケット115を目的の設計法面勾配とするために、勾配定規120で、バケット仕上げ面115bの勾配を測定する必要があった。
しかし、本実施の形態では、第1、第2の勾配表示器1a、3に予め表示された方向に、連結器2や水平認識装置102を設置し、オペレータが運転席から、水平認識装置102の3本の認識線106〜108で視認しながら操作するだけで、バケット115の勾配を目的の設計法面勾配とすることができ、また、水平認識装置102に固定した光反射装置101の中心が、バケット刃先115aの鉛直上方とすることができるので、勾配定規120でバケット115の勾配を測定する必要が無くなる。
従って、設計法面勾配が変更になった際は、第3の従来技術では、二人以上の人員で、多数の作業工程を行う必要があったが、本実施の形態では、連結器2及び第2の勾配表示器3の方向を変えるだけで対応できるので、大幅な省力化が可能である。
次に、第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置10aの各構成の構造について、図8乃至図12を用いて説明する。
図8は、本発明の水平認識装置の設置装置の第1の実施の形態の構造を説明するための側面図である。
図9は、図8のc−c断面図である。
図10は、図9のa−a断面図である。
図11は、図9のb−b断面図である。
図12は、図8のd−d断面図である。
図8及び図9には、第2の勾配表示器3が取り付けられた水平認識装置102、第1の勾配表示器1a、第1、第2の勾配表示器1a、3を連結する連結器2からなる、第1の実施の形態の水平認識装置102の設置装置10aが、刃先に補強爪4を装着したバケット115に、取り付けられた構成のものが示されている。
また、図10に示すように、第1及び第2の勾配表示器1a、3には、それぞれスリットs1、s2が設けられ、このスリットs1、s2に、ボルト及びナットの組合せ5を取り付けることで、第1及び第2の勾配表示器1a、3は連結器2により連結される。
このボルト及びナットの組合せ5を緩めることにより、連結器2の取り付け方向、及び、第2の勾配表示器3に表示された水平認識装置102の設置方向を、設計法面勾配の変更に合わせて自在に調整することができる。
第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置10aは、図9、図11、図12に示すように、各固定部材8a〜8cを介し、ボルト6により、バケット115側面に取り付けられる。
また、図9及び図12には、連結器2を第1の勾配表示器1aに取り付ける際の目安となる補助突起7が示されている。
この補助突起7は、更に、ボルト及びナット5を緩めたときに、この補助突起7を中心に連結器2の取り付け方向を自在に変えられるので、連結器2の方向を、設計法面勾配に対応する方向に、一人の人員で変更することができる。
図10の要部拡大図に示すように、第1の勾配表示器1aには、各設計法面勾配に対応した、連結器2の取り付け方向が直線と数値で表示され、第2の勾配表示器3には、各設計法面勾配に対応した、水平認識装置102の設置方向が、直線11と数値により表示されているのが示されている。
また、図11、図12に示すように、固定部材8aは、第1の勾配表示器1aと固定部材8bを固定し、固定部材8bは、固定部材8aと固定部材8cを固定し、固定部材8cは、固定部材8bをバケット115側面に固定している。
更に、補強部材9は、固定部材8cを補強している。
ところで、図1及び図8では、本実施の形態の水平認識装置の設置装置10aを刃先に補強爪4を装着したバケット115に適用した例で説明し、図3、図6、図7では、刃先に補強爪4を装着しないバケット115に適用した例で説明したが、土工事においては、整形法面の土質の変化に対応して、適宜、バケット115の種類を取り替える必要がある。
そこで以下、刃先に補強爪を装着したバケットに、本実施の形態の水平認識装置の設置装置を適用した構成について言及する。
図13は、本発明の第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置を刃先に補強爪を装着したバケットに適用した構成を示す側面図である。
図14は、本発明の第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置を刃先に補強爪を装着したバケットに適用した構成を示す平面図である。
図15は、本発明の第1の実施の形態の水平認識装置の設置装置を刃先に補強爪を装着したバケットに適用した構成を示す正面図である。
本実施の形態でも、上述した刃先に補強爪4を装着しないバケット115と同様である。
図13乃至図15に示すように、バケット115側面に、第1の勾配表示器1a、連結器2、第2の勾配表示器3、水平認識装置102からなる本発明の水平認識装置の設置装置10aを取り付け、図7と同様に、バケット115の勾配を設計法面勾配1:Nに合わせたとき、光反射装置101は、バケット刃先115aの鉛直上方にあり、しかも水平認識装置102の側面に表示された3本の認識線106〜108は、図30(a)に示すように、中央認識線107が、上下認識線106,108の丁度中間となるように表示されている。
即ち、刃先に補強爪4を装着したバケット115に、本発明の水平認識装置の設置装置10aを適用しても、特に、基本構成、基本動作については変更はないが、刃先に補強爪4を装着することで、硬い土質でも、ある程度、当該バケット115で対応が可能であり、バケット115の交換頻度を削減できるという効果がある。
一方、補強爪4でも対応ができない更に硬い土質(硬岩)で、バケット115の交換が必要な場合があるが、この場合でも、上述した簡単な手順で、本実施の形態の設置装置10aを容易に付け替えることができるので、取り付け作業の負担の大幅な削減が可能である。
以下、本発明の第2乃至第5の実施の形態に付き、順次、説明するが、説明中、勾配表示器に表示される方向、或いは、水平認識装置の取り付け位置の算出方法については、各実施の形態の説明の後に、一括して説明するものとする。
第2の実施の形態:
次に、本発明の水平認識装置の設置装置の第2の実施の形態について、図16及び図17を用いて説明する。
図16は、本発明の水平認識装置の設置装置の第2の実施の形態を説明するための側面図である。
図17は、本発明の水平認識装置の設置装置の第2の実施の形態を説明するための正面図である。
先ず、本発明の水平認識装置の設置装置10bの第2の実施の形態の基本構成について、図16及び図17を用いて説明する。
第2の実施の形態の水平認識装置の設置装置10bは、バケット側壁115dに取り付けられる第1の勾配表示器1bと、水平認識装置102に取り付けられる第2の勾配表示器3、及び、第1の勾配表示器1bと第2の勾配表示器3とを連結する連結器2、この連結器2の取り付け方向を可変に取り付けられる、バケット側面に設けられた固定支点123である。
また、第1の勾配表示器1bは、設計法面勾配1:N(図示のものは1:1.2)に対応して、固定支点123からの連結器2の取り付け方向が表示され、第2の勾配表示器3には、水平認識装置102の連結器2に対する設置方向が表示されている。
更に、図16に示すように、第1の勾配表示器1bは、略円弧状で、固定支点123からの連結器2の取り付け方向が、その中心を通るように、ボルト孔が削孔されている。
このように、ボルト孔が削孔されていることで、ボルトで固定した際には、連結器2の取り付け方向を正確に定めることができ、また、連結器2に水平認識装置102を適正な位置に設置できる。
なお、第1の実施の形態との基本構成上の相違点は、第1の実施の形態では、固定支点「ホ」(図6参照)は、方向を算出する上での基準点としての位置付けであり、必ずしも、構成上の必須要件ではなかったが、第2の実施の形態では、固定支点123は、連結器2の方向を可変に取り付ける機能を有する関係上、構成上の必須要件となっていることである。
図16及び図17に示すように、第1の勾配表示器1bは、バケット側壁115dに固定されているが、本実施の形態では、バケット115側面と連結器2の間隔を開けて、第1の勾配表示器1bは、バケット側壁115dに、溶接またはボルト止めで固定される。
溶接で固定した場合は、バケット115内側にボルトを出さなくてよいという利点があり、ボルトで止めた場合は、第1の勾配表示器1bの取り外しが可能で、ボルト削孔数も最小限とすることができるという利点がある。
以上のように構成すると、第1の実施の形態で説明した組立工程と同様の工程で、水平認識装置102の設置位置及び設置方向を適正とすることができるため、バケットの仕上げ面勾配を設計法面勾配1:N(図示のものは1:1.2)としたときに、光反射装置101の中心が、バケット刃先115aの鉛直上方とすることができ、更に、水平認識装置102の中央認識線107は、上下認識線106、108の中間に位置させることができるので(図30(a)参照)、オペレータは運転席側から容易に設計法面勾配1:Nを認識できる。
従って、本実施の形態の水平認識装置の設置装置10bによれば、簡単な工程で水平認識装置102に固定された光反射装置101の設置位置を位置決めできるので、従来技術に比較して、大幅に省力化できる。
第3の実施の形態:
次に、本発明の水平認識装置の設置装置の第3の実施の形態について、図18及び図19を用いて説明する。
図18は、本発明の水平認識装置の設置装置の第3の実施の形態を説明するための側面図である。
図19は、本発明の水平認識装置の設置装置の第3の実施の形態を説明するための正面図である。
先ず、本発明の水平認識装置の設置装置10cの第3の実施の形態の基本構成について、図18及び図19を用いて説明する。
第3の実施の形態の水平認識装置の設置装置10cは、水平認識装置102に取り付けられる勾配表示器3と、バケット15a側面に設けられた固定支点123と、及び、固定支点123と勾配表示器3とを連結する連結器2である。
また、バケット15a側面には、設計法面勾配1:N(図示のものは1:1.2)に対応して、固定支点123からの連結器2の取り付け方向1cが表示され、固定支点123からの連結器2の取り付け方向が、中心を通るように、ボルト孔が削孔されている。
更に、勾配表示器3には、水平認識装置102の連結器2に対する設置方向が表示されている。
このように、ボルト孔が削孔されていることで、ボルトで固定した際には、連結器2の取り付け方向を正確に定めることができ、また、連結器2に水平認識装置102を適正な位置に設置できる。
なお、本実施の形態と、第2の実施の形態との基本構成上の相違点は、第2の実施の形態では、固定支点123からの連結器2の取り付け方向が表示された第1の勾配表示器が構成要件であったが、本実施の形態では、当該第1の勾配表示器を廃し、バケット15a側面に、直接、固定支点123からの連結器2の取り付け方向1cが表示されていることである。
また、固定支点123からの連結器2の取り付け方向が、その中心を通過するように、ボルト孔が削孔されていることで、連結器2の取り付け方向を正確に定めることができるほか、図19に示すように、連結器2をバケット15aに直接固定するので、固定部材が不要となり、構成を大幅に削減できるという利点がある。
以上のように構成すると、第1の実施の形態で説明した組立工程と同様の工程で、バケットの仕上げ面勾配を設計法面勾配としたときに、水平認識装置102に固定した光反射装置101の中心が、バケット刃先15a2の鉛直上方とすることができ、更に、水平認識装置102の中央認識線107は、上下認識線106、108の中間に位置させることができるので(図30(a)参照)、オペレータは運転席側から容易に設計法面勾配を認識できる。
従って、本実施の形態の水平認識装置の設置装置10cによれば、簡単な工程で、水平認識装置102に固定した光反射装置101の設置位置を位置決めできるので、従来技術に比較して、大幅に省力化できる。
第4の実施の形態:
次に、本発明の水平認識装置の設置装置の第4の実施の形態について、図20及び図21を用いて説明する。
図20は、本発明の水平認識装置の設置装置の第4の実施の形態を説明するための側面図である。
図21は、本発明の水平認識装置の設置装置の第4の実施の形態を説明するための正面図である。
先ず、本発明の水平認識装置の設置装置の第4の実施の形態の基本構成について、図20及び図21を用いて説明する。
第4の実施の形態の水平認識装置の設置装置10dの基本構成は、水平認識装置102に取り付けられる第2の勾配表示器3と、水平認識装置102の取り付け方向及び設置位置を表示する第1の勾配表示器1dである。
また、第1の勾配表示器1dには、各設計法面勾配1:Nに対応して、基準点124からの水平認識装置102の取り付け方向が直線で表示されると共に、水平認識装置102の設置位置の表示として、設置位置がその中心となるようにボルト孔が削孔されている。
これにより、ボルト孔に水平認識装置102を取り付け、ボルトで固定することで、水平認識装置102を適正な位置に設置できる。
また、第2の勾配表示器3には、第1の勾配表示器1dに表示された、水平認識装置102の取り付け方向に対する、水平認識装置102の設置方向が表示されている。
そこで、この水平認識装置102の設置方向を第1の勾配表示器1dに表示された方向に合わせることで、水平認識装置102を適正な方向に設置できる。
なお、第2の実施の形態との基本構成上の相違点は、第2の実施の形態で用いた連結器2の機能を第1の勾配表示器1dに付与することで、部品点数を減らすことができるということである。
以上のように構成すると、第1の実施の形態同様に、バケットの仕上げ面勾配を設計法面勾配としたときに、光反射装置101の中心が、バケット刃先115aの鉛直上方とすることができ、更に、水平認識装置102の中央認識線107は、上下認識線106、108の中間に位置させることができるので(図30(a)参照)、オペレータは運転席側から容易に設計法面勾配を認識できる。
即ち、本実施の形態の水平認識装置の設置装置10dによれば、簡単な工程で光反射装置を設置できるので、従来技術に比較して、大幅に省力化できる。
第5の実施の形態:
次に、本発明の水平認識装置の設置装置の第5の実施の形態について、図22及び図23を用いて説明する。
図22は、本発明の水平認識装置の設置装置の第5の実施の形態を説明するための側面図である。
図23は、本発明の水平認識装置の設置装置の第5の実施の形態を説明するための正面図である。
先ず、本発明の水平認識装置の設置装置10eの第5の実施の形態の基本構成について、図22及び図23を用いて説明する。
第5の実施の形態の水平認識装置の設置装置10eは、水平認識装置102に取り付けられる勾配表示器3と、水平認識装置102の取り付け方向及び設置位置が表示されたバケット15bである。
また、バケット15bの側壁1eには、設計法面勾配1:Nに対応して、基準点124からの、水平認識装置102の取り付け方向が表示されると共に、設置位置の表示として、設置位置がその中心となるようにボルト孔が削孔されている。
これにより、ボルト孔に水平認識装置102を取り付け、ボルトで固定することで、水平認識装置102を適正な位置に設置できる。
また、第2の勾配表示器3には、バケット側壁1eに表示された取り付け方向に対する、水平認識装置102の設置方向が表示されている。
そこで、バケット側壁1eに表示された方向に合わせることで、水平認識装置102を適正な方向に設置できる。
なお、本実施の形態の、第4の実施の形態との基本構成上の相違点は、第4の実施の形態の第1の勾配表示器1dの機能をバケット15bの側壁1eに与えたことである。
即ち、バケット15bの製作段階で、バケット側壁1eを一体的に製作し、基準点124からの勾配表示器3の取り付け方向及び取り付け位置に削孔するようにすれば、構成を最小とすることができる。
以上のように構成すると、第1の実施の形態同様に、バケット15bの仕上げ面勾配を設計法面勾配としたときに、光反射装置101の中心が、バケット刃先15b2の鉛直上方とすることができ、更に、水平認識装置102の中央認識線107は、上下認識線106、108の中間に位置させることができるので(図30(a)参照)、オペレータは運転席側から容易に設計法面勾配を認識できる。
即ち、本実施の形態の水平認識装置の設置装置10dによれば、設置位置をボルト孔に従って変更し、設置方向を合わせるという簡単な工程で光反射装置を設置できるので、従来技術に比較して、大幅に省力化できる。
なお、第2、第3の実施の形態の固定支点は、連結器の方向を可変に取り付ける機能を有する関係上、構成上の必須要件となるが、第4、第5の実施の形態の基準点は、方向を算出する上での便宜上の基準としての位置付けであり、必ずしも、構成上の必須要件ではない。
次に、上記第2乃至第5の実施の形態において、図16、図18、図20、及び、図22に示した、水平認識装置102に取り付ける勾配表示器の取り付け方向、若しくは、連結器の取り付け方向の算出方法、及び、水平認識装置102に取り付ける勾配表示器に表示される水平認識装置の設置方向の算出方法について、図24及び図25を用いて説明する。
図24は、第1、第2の勾配表示器、または、バケットに表示された取り付け方向、及び、設置位置の算出方法の説明図である。
図25は、第1、第2の勾配表示器、または、バケットに表示された取り付け方向、及び、設置位置の算出方法を説明するため側面図である。
なお、上記第2乃至第5の実施の形態において、構成上の相違点はあるが、固定支点123若しくは基準点124からの取り付け方向や取り付け位置の算出方法については、上記第2乃至第5の実施の形態では共通しているので、これらを一括して説明する。
先ず、算出方法の計算式は、第1の実施の形態で説明したものと共通するが、固定支点123若しくは基準点124が、第1の実施の形態から大きく変更されている関係上、図24を用いて、改めて説明する。
先ず、第2、第4の実施の形態の第1の勾配表示器1b、1d、または、第3、第5の実施の形態のバケット15a、15bに表示された、連結材2を取り付ける方向、または、第2、第4の実施の第2の勾配表示器3、第3、第5の実施の勾配表示器3に表示された水平認識装置102の設置位置及び設置方向を算出する前提として、図24に示すように、設計法面勾配が1:Nであり、これに対応して、バケット仕上げ面の勾配も1:Nであるとする。
また、算出の基準となる点は、第2、第3の実施の形態では固定支点123、第4、第5の実施の形態では、基準点124で名称は異なるが、以下は、一括して説明する都合上、点「ホ」という共通する符号を用いる。
点「ホ」からの水平認識装置102の設置位置、点「ト」は、線分「ホト」の長さと∠hで一義的に定められるが、第1の実施の形態同様、線分「ホト」の長さは、定数として扱える(図24では、点「ト」の位置は、点「ホ」から同心円的に分布している)。
従って、線分「ホト」の長さを一定とした場合、点「ト」の位置は、∠hを算出することで、一意に定めることができる。
そこで、水平認識装置を設置する方向となる、∠hの算出方法について説明する。
図24に示すように、∠hと、∠eと、∠fと、∠gの総和は、全周、即ち360゜であり、第1の実施の形態同様次式で表される。
∠h=360゜−(∠e+∠f+∠g) ・・・・ (式1)
∠aは、設計法面勾配1:Nそのものであり、従って、∠aは次式2で与えられる。
∠a=arctan(1/N) ・・・・ (式2)
また、∠bは、線分「イニ」の長さをLイニ、線分「ニホ」の長さをLニホとした場合、次式で与えられる。
∠b=arctan(Lニホ/Lイニ) ・・・・ (式3)
角「ホイヘ」の角度∠c、∠aと∠bの総和は、図24から明らかな通り、∠dの90゜であり、従って、∠cは次式で与えられる。
∠c=90゜−(∠a+∠b) ・・・・ (式4)
また、長さLイホは三平方の定理により、次式で与えられる。
Lイホ={(Lニホ)2+(Lイニ)2}1/2 ・・・・ (式5)
また、長さLホヘは、次式で与えられる。
Lホヘ=Lイホ×sin∠c ・・・・ (式6)
ところで、図24に示すように、点「ト」、点「ホ」、点「ヘ」で直角三角形を形成し、直角以外の∠gと角「ホトヘ」の和は角度90゜であるので、∠gは、角度90゜から、角「ホトヘ」の角度を差し引くことで算出できる。
一方、角「ホトヘ」の角度は、arcsin(Lホヘ/Lホト)で算出できるので、
従って、∠gは最終的には次式7で算出できる。
∠g=90゜−arcsin(Lホヘ/Lホト) ・・・・ (式7)
次に、∠eと∠fの算出方法について説明する。
先ず、∠eについては、図24に示すように、点「イ」と点「ホ」及び点「ニ」で、直角三角形を形成し、直角以外の∠eと∠bの和は90゜であり、∠eは(式2)で求められた∠bから次式で算出できる。
∠e=90゜−∠b ・・・・ (式8)
∠fについては、図4に示すように、線分「イロ」と、線分「ホヘ」は、共に水平面に平行であり、平行線となっている。
従って、角「イホヘ」と角「ロイホ」は平行線の錯角の関係にあり、角「イホヘ」の角度∠fと、角「ロイホ」の角度(∠aと∠bの和)は等しく、従って、∠fは次式で与えられる。
∠f=∠a+∠b ・・・・ (式9)
以上示したように、固定支点「ホ」、または、基準点「ホ」を定めることにより、各角度∠g、∠e、∠fをそれぞれ算出できるので、式1に代入することにより、最終的に∠hの値が算出できる。
次に、水平認識装置に取り付ける勾配表示器において、水平面に対する水平認識装置102の設置方向となる角度∠iを算出する方法について説明する。
図24に示すように、線分「ホヘ」と、線分「トリ」は平行であり、∠gと∠iは平行線の錯角の関係にあり、等しい角度である。
従って、第1の実施の形態で説明したものと同様次式が成立する。
∠g=∠i ・・・・ (式10)
∠gについては、式7において算出されているので、第2の勾配表示器3において、水平方向に対する取り付け角∠iも式7で算出することができる。
以上の算出方法に基づき、設計法面勾配1:Nとしては、平土に対応して0.0、切土として使用頻度が高い、1:1.08、1:1.0、1:1.2、盛土として使用頻度が高い、1:1.5、1:1.8、1:2.0、1:2.5となる場合に対応して、第2、第4の実施の形態では、第2の勾配表示器3に、第3、第5の実施の形態では、勾配表示器3に、水平認識装置の設置方向が直線で表示されている。
また、同じく、第2、第3の実施の形態では、固定支点「ホ」から連結器2の取り付け方向が表示され、第4、第5の実施の形態では、基準点「ホ」からの水平認識装置102の取り付け方向が直線で表示され、その取り付け位置が中心となるようにボルト孔が削孔されている。
この各表示に基づき、上述した工程で各構成を組み立てれば、本発明の目的を達することができる。
本発明の水平認識装置の設置装置は、上記実施の形態のものには限定されず、種々の変更が可能である。
上記各実施の形態では、バケット刃先を標準点として、水平認識装置をバケット刃先の鉛直上方に設置する例で説明したが、この標準点は、バケット刃先に限定されない。
例えば、土工事の内容によっては、図16、図18、図20、図22に示すように、バケット踵115c、15a3、15b3を標準点とした方が都合がよい場合がある。
これに対応して、図24の点「イ」をバケット踵115c、15a3、15b3を標準点として算出した各パラメータを元にして、図16、図18、図20、図22には、バケット踵115c、15a3、15b3を標準点とた場合のボルト孔が外周側に削孔されているのが示されている。
また、上記各実施の形態では、本発明の水平認識装置の設置装置を取り付ける土工機械の掘削部材として、バケットを用いた例で説明したが、掘削部材としては、バケットに限定されず、本発明の水平認識装置の設置装置が取り付け可能な掘削部材なら、本発明が適用できるのは勿論のことである。
バケットの種類も、刃先に補強爪が装着されたもの、装着されないもので説明したが、補強爪の有無に限定されるものではない。
また、上記各実施の形態では、水平認識装置に取り付ける勾配表示器にスリットを形成して、ボルト止めする構成のもので説明したが、このスリットの代わりに、設置方向に対応する位置が中心となるようにボルト孔を削孔して、ボルトで固定するようにしたものも、本発明の範囲に含まれる。
また、上記各実施の形態では、設計法面勾配1:Nとしては、平土に対応して0.0、切土として使用頻度が高い、1:1.08、1:1.0、1:1.2、盛土として使用頻度が高い、1:1.5、1:1.8、1:2.0、1:2.5となる場合に対応した場合で説明したが、設計法面勾配はこの数値に限定されず、様々な勾配に対応可能なのは勿論のことである。
更に、上記各実施の形態では、水平認識装置に取り付けられる勾配表示器には、水平認識装置の各設置方向が直線、または、削孔の中心で表示され、土工機械の掘削部材に取り付けられる勾配表示器、または、掘削部材に直接表示される、連結器、または、水平認識装置の各取り付け方向が直線、または、削孔の中心で表示されている構成のもので説明したが、この表示の代替として、分度器目盛を貼り付ける等し、各設計法面勾配1:Nと、これに対応した各取り付け、設置方向を角度で計算し、当該対応表を作成しておき、その対応表と照らし合わせて、連結器の取り付け方向や、水平認識装置の設置方向を、分度器目盛に合わせる構成としたものも、本発明の範囲に含まれる。
1a、1b、1d:第1の勾配表示器
1c:固定支点からの連結器の取り付け方向
1e:基準点からの水平認識装置の取り付け方向
2:連結器
3:勾配表示器、第2の勾配表示器
4:補強爪
10a〜10e:水平認識装置の設置装置
101:光反射装置
102:水平認識装置
15a、15b、115:バケット(土工機械の掘削部材)
123:固定支点
124:基準点

Claims (6)

  1. 土工機械の掘削部材に取り付けられる第1の勾配表示器と、
    前記土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる第2の勾配表示器と、
    前記第1の勾配表示器と前記第2の勾配表示器とを連結する連結器とを備えると共に、
    前記第1の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、連結器の取り付け方向、または、分度器目盛が表示され、
    かつ、前記第2の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、前記水平認識装置の前記連結器に対する設置方向、または、分度器目盛が表示されていることを特徴とする水平認識装置の設置装置。
  2. 土工機械の掘削部材に取り付けられる第1の勾配表示器と、
    前記土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる第2の勾配表示器と、
    前記第1の勾配表示器と前記第2の勾配表示器とを連結する連結器と、
    前記土工機械の掘削部材に設けられる固定支点とを備えると共に、
    前記第1の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、前記固定支点からの連結器の取り付け方向が表示され、
    かつ、前記第2の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、前記水平認識装置の前記連結器に対する設置方向が表示されていることを特徴とする水平認識装置の設置装置。
  3. 土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる勾配表示器と、
    土工機械の掘削部材に設けられる固定支点と、
    前記固定支点と前記勾配表示器を連結する連結器とを備えると共に、
    前記土工機械の掘削部材には、設計法面勾配に対応した、前記固定支点からの連結器の取り付け方向が表示され、
    かつ、前記勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、前記水平認識装置の前記連結器に対する設置方向が表示されていることを特徴とする水平認識装置の設置装置
  4. 土工機械の掘削部材に取り付けられる第1の勾配表示器と、
    前記土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる第2の勾配表示器とを備えると共に、
    前記第1の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、前記水平認識装置の取り付け方向及び設置位置が表示され、
    かつ、前記第2の勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、前記水平認識装置の取り付け方向に対する、前記水平認識装置の設置方向が表示されていることを特徴とする水平認識装置の設置装置
  5. 土工機械の掘削部材の勾配が施工中に変動し、それに連動して傾斜しても常に水平を保つことができる水平表示器と、トータルステーションからの光を反射する光反射装置とを有する水平認識装置に取り付けられる勾配表示器と、
    設計法面勾配に対応した、前記水平認識装置の取り付け方向及び設置位置が表示された土工機械の掘削部材とを備えると共に、
    前記勾配表示器には、設計法面勾配に対応した、前記水平認識装置の取り付け方向に対する、前記水平認識装置の設置方向が表示されていることを特徴とする水平認識装置の設置装置。
  6. 前記土工機械の掘削部材は、補強爪が装着された土工機械の掘削部材であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の水平認識装置の設置装置。
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