JP5816665B2 - 光アイソレータ - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ加工装置等に用いられる光アイソレータに関する。
レーザ加工装置等では、戻り光を遮断し、光源への悪影響を防ぐために光アイソレータが用いられている。
図6は、光アイソレータの一例を示す。光アイソレータ30は、アイソレータコア31と、アイソレータコア31に磁界を印加する磁性構造体32と、アイソレータコア31を支持する支持体33と、これらを収容する外装体36を備えている。
アイソレータコア31は、光源11からの光が透過する順に、第1偏光子44と、ファラデー回転子45と、波長板46と、第2偏光子47とを備えている。ファラデー回転子45には、ファラデー効果を生じる結晶(ファラデー結晶)が用いられる。
ファラデー効果を生じる結晶としては、TbGa12(TGG)単結晶、YFe12(YIG)単結晶等が用いられる。
高出力のレーザが光源である場合には、アイソレータコア31が光吸収により高熱となってファラデー回転角が小さくなり、戻り光の遮断特性が低下するおそれがある。
アイソレータコア31の温度上昇を回避する技術としては、放熱フィンによりファラデー回転子の放熱を促す(特許文献1参照)、ファラデー回転子を磁石(磁界印加手段)に接触させて伝熱により温度上昇を抑える(特許文献2参照)、放熱板によりファラデー回転子の放熱を促す(特許文献3参照)、冷却媒体を用いてファラデー回転子を冷却する(特許文献4参照)、などが提案されている。
特許第4077867号公報 特開2010−61125号公報 特開2005−25138号公報 特開2009−282310号公報
ファラデー回転角θ(°)は、ファラデー結晶のベルデ定数(°/Oe*cm)をVとし、磁石の磁束密度(Oe)をHとし、ファラデー結晶の長さ(cm)をLとすると「θ=V×L×H」で表される。
特許文献1〜3記載の技術では、放熱または磁性構造体への伝熱により温度上昇の抑制を図るが、光源が高出力のレーザ等である場合にはファラデー回転子の発熱量が大きくなるため十分な温度上昇抑制は困難であった。
磁性構造体が高温となると熱減磁により磁束密度が低くなるため、ファラデー回転角が小さくなる。ファラデー回転角が小さくなるとアイソレーションが減少し、戻り光の遮断特性に影響が及ぶ。また、ファラデー結晶の温度が上昇するとベルデ定数も小さくなるため、アイソレーションが減少する。
このことから、特許文献1〜3の技術では、光源として高出力のレーザ等を用いた場合には、十分な戻り光の遮断特性が得られない。
特許文献4の技術では、ファラデー結晶とともに磁性構造体も冷却できるが、戻り光の入射条件によっては、パッキンの耐久性に問題が生じることが懸念される。また、戻り光により冷却媒体が加熱されることにより十分な冷却が難しくなることもある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、高出力の光源を用いる場合でも十分な温度上昇抑制が可能となる光アイソレータを提供することを目的とする。
本発明は、源からの順方向の光が導入されるファラデー回転子を有するアイソレータコアと、前記ファラデー回転子に磁界を印加する磁界印加手段と、前記ファラデー回転子の熱を伝える1または複数の熱伝導体と、前記順方向とは逆の方向に前記ファラデー回転子を通って前記光源に向かう戻り光を遮る遮光体と、を備え、前記遮光体は、前記光源から前記ファラデー回転子に向かう順方向の光が通過する通過口を有し、前記ファラデー回転子は、前記磁界印加手段から離れて設置され、前記磁界印加手段の前記逆方向側に、断熱手段により前記磁界印加手段から隔てられた空間である熱放出部が確保され、前記熱伝導体は、前記ファラデー回転子および前記第1偏光子に直接または間接に当接し、その一部は、前記断熱手段の前記逆方向側にある前記熱放出部内に配置されている光アイソレータを提供する。
前記熱伝導体は、作動流体を封入した流路を有するヒートパイプであり、前記流路は、少なくとも前記ファラデー回転子に対面する位置から、前記熱放出部内にかけて形成されていることが好ましい。
前記熱伝導体は、少なくとも前記ファラデー回転子の両面にそれぞれ接して設けられていることが好ましい。
前記熱伝導体は、前記遮光体に当接していることが好ましい。
前記磁界印加手段は、スリーブ状に形成され、前記ファラデー回転子は、前記磁界印加手段の内側空間に挿通していることが好ましい。
本発明によれば、高出力の光源を使用した場合でも、ファラデー回転子で発生した熱を熱伝導体により効率よく放出し、温度上昇を抑制することができる。
本発明の一実施形態である光アイソレータの構造を模式的に示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は前面図である。 図1の光アイソレータに用いられるヒートパイプの一例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は前面図である。 光源からの順方向の光の経路を示す図である。 戻り光の光の経路を示す図である。 冷却媒体供給装置を備えた光アイソレータの一例を模式的に示す図である。 従来の光アイソレータの一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)〜図1(c)は、本発明の製造方法の一実施形態の光アイソレータ10を示す図であり、(a)は上面側から見た構造図、(b)は側面側から見た構造図、(c)は前面側から見た構造図である。
光アイソレータ10は、ファイバレーザ等の光源11からの順方向の光L1が導入されるファラデー回転子15を有するアイソレータコア1と、ファラデー回転子15に磁界を印加する磁性構造体2(磁界印加手段)と、ファラデー回転子15の熱を伝える1または複数の熱伝導体3と、逆方向にファラデー回転子15を通って光源11に向かう戻り光(L4)を遮る遮光体4と、断熱壁5(第1断熱手段)と、これらを収容する外装体6とを備えている。
外装体6内において、遮光体4と断熱壁5の間には、熱伝導体3が熱を放出する空間である熱放出部7が確保されている。
以下の説明において、アイソレータコア1と熱伝導体3とをコアユニット13と総称することがある。
光源11からアイソレータコア1に向かう光の方向を順方向といい、その逆の方向を逆方向という。順方向とは図1(a)および図1(b)における右方向であり、前方向ともいう。逆方向とは図1(a)および図1(b)における左方向であり、後方向ともいう。
図1(a)および図1(b)に示すように、アイソレータコア1は、光源11からの順方向の光L1が透過する順に、第1偏光子14と、ファラデー回転子15と、波長板16と、第2偏光子17とを有する。
第1偏光子14および第2偏光子17としては、例えば、複屈折結晶型、偏光ガラス型、金属と誘電体との多層膜型、高屈折率体と低屈折率体の多層膜型などが使用可能であり、特に、複屈折結晶型が好ましい。
複屈折結晶型を採用することによって、このアイソレータコア1を偏光分離型とすることができる。
偏光子14、17の材料としては、例えばイットリウム・バナデート(YVO)が使用できる。
ファラデー回転子15には、テルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)、テルビウム・スカンジウム・ルテチウム・アルミニウム・ガーネット(TSLAG)、イットリウム・鉄・ガーネット(YIG)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット(TAG)、テルビウムガラスなどの、常磁性体である磁気光学材料(ファラデー結晶)が使用でき、特にTGGの使用が好ましい。
ファラデー回転子15は、ファラデー効果により入射光L1の偏光面を回転させる。ファラデー回転子15の長さは、例えば、入射光に対して出射光の偏光面が約45°異なるように設定することができる。
ファラデー回転子15は、磁性構造体2の内側空間20内に配置されると、ファラデー回転子15に効率よく磁界を印加することができる。
波長板16としては、例えば水晶からなる1/2波長板が使用できる。
第1偏光子14と、ファラデー回転子15と、波長板16と、第2偏光子17とはいずれも断面矩形とすることができる。
磁性構造体2は、コアユニット13が挿通する挿通孔2aを有するスリーブ状に形成されている。挿通孔2a内の空間を内側空間20という。図1(c)に示すように、挿通孔2aは、例えば断面矩形とすることができる。また、磁性構造体2の外形(断面形状)も矩形としてよい。
磁性構造体2の挿通孔2aの内径寸法は、コアユニット13の外形寸法より大きくされており、挿通孔2aの内面2bはコアユニット13(アイソレータコア1および熱伝導体3)の外面13aから離れている。
磁性構造体2は、十分な磁気特性が得られれば、その材料は特に限定されない。例えば、ネオジム系磁石が使用できるが、他の材料からなる磁石を使用してもよい。
磁性構造体2の内面2bと、コアユニット13の外面13aとの間には、断熱層9(第2断熱手段)を形成することができる。この断熱層9は、コアユニット13と磁性構造体2との間の熱の出入りを遮断する。
断熱層9は、内面2bと外面13aとの隙間全体に形成することができる。断熱層9としては、例えばセラミックス(アルミナ、炭化ケイ素など)からなる断熱材が使用できる。
断熱層9は、挿通孔2aの内面2bに当接し、かつコアユニット13の外面13aから離れて形成してもよいし、コアユニット13の外面13aに当接し、かつ挿通孔2aの内面2bから離れて形成してもよい。
なお、断熱層9は空気層であってもよい。
図1(a)および図1(b)に示すように、熱伝導体3は、直接または間接にアイソレータコア1に当接しており、ファラデー回転子15の熱を熱放出部7に伝えることによってファラデー回転子15の温度上昇を抑制することができる。
図示例の熱伝導体3は、略長方形の平板状に形成されており、一方の側面3c(内側面)は、第1偏光子14、波長板16、ファラデー回転子15、および第2偏光子17に、面的に当接している。
熱伝導体3は、熱伝導性が高い材料(例えばアルミニウム、銅などの金属)からなる中実構造の板材であってもよいが、伝熱効率を考慮すれば、ヒートパイプを用いることが好ましい。
図2(a)および図2(b)は、ヒートパイプである熱伝導体3の一例であって、図2(a)は、熱伝導体3の平面図であり、図2(b)は、熱伝導体3を前面側から見た図である。
熱伝導体3は、熱伝導性が高い材料(例えばアルミニウム、銅などの金属)からなり、その長さ方向に沿って内部に形成された流路3aに、凝縮性の流体が作動流体として封入されている。
流路3aは、少なくともファラデー回転子15に対面する位置から熱放出部7内にかけて形成することが好ましい。
図2(a)に示す例では、平面視において流路3aの一部はファラデー回転子15と重なる位置にあり、流路3aの他の一部は熱放出部7内に位置している。熱伝導体3の側面3cのうちファラデー回転子15に対面する領域を対面領域3dという。
図示例では、流路3aは、熱伝導体3のほぼ全幅に、ほぼ全長にわたって形成されている。このため、流路3aは、第1偏光子14、波長板16、ファラデー回転子15、および第2偏光子17に重なる位置に形成されている。図示例の流路3aは対面領域3dの全面を含んで形成されているが、対面領域3dの一部領域のみを含んで形成されていてもよい。
熱伝導体3は、高温部で蒸発した作動流体が低温部に流動して放熱・凝縮することにより、作動流体の潜熱として熱の輸送を行うことができる。具体的には、例えばファラデー回転子15で発生した熱により、対面領域3dが高温となると、この対面領域3dの流路3a内の作動流体は、蒸発して熱放出部7内の部分3eに流れ、熱放出部7で放熱・凝縮する。
これによって、ファラデー回転子15で発生した熱を効率よく熱放出部7に伝えることができる。
図1(a)〜図1(c)に示す例では、一対の熱伝導体3が用いられ、これら熱伝導体3、3は、ファラデー回転子15の両側面15d、15dにそれぞれ当接している。
詳しくは、熱伝導体3、3は、光L1の透過方向に延在する長板体であって、アイソレータコア1(第1偏光子14、ファラデー回転子15、波長板16、および第2偏光子17)の一方および他方の側面1d、1dの全面にそれぞれ当接して設けられている(図1(c)参照)。これによって、ファラデー回転子15の熱を効率よく熱放出部7に伝えることができる。
熱伝導体3は、アイソレータコア1の側面1dに、直接、当接した状態で固定されていてもよいし、接着剤によりアイソレータコア1に接着固定してもよい。接着剤によりアイソレータコア1に接着固定する場合には、熱伝導体3は、接着剤を介して間接的にアイソレータコア1の側面1dに当接することになる。
接着剤としては、弾性を有する接着剤(例えばエポキシ樹脂)を用いるのが好ましい。これによって、アイソレータコア1と熱伝導体3との熱膨張係数差により生じる応力を緩和し、偏光消光比が低減するのを防ぐことができる。
また、アイソレータコア1は、例えば角筒状のホルダ(図示略)内に保持させてもよく、この場合には、このホルダを介して熱伝導体3に当接させてもよい。
熱伝導体3は、先端部3bが遮光体4に当接していることが望ましい。これによって、熱伝導体3と遮光体4との間に熱伝導が可能となるため、遮光体4の温度上昇を抑制できる。
なお、図示例では2つの熱伝導体3がそれぞれ側面1d、1dに設けられているが、熱伝導体3は、アイソレータコア1の一方の側面1dにのみ設けてもよい。また、熱伝導体3は、アイソレータコア1の上面1eおよび/または下面1fに設けてもよい。
外装体6は、アルミニウム板などで構成できる。図示例の外装体6は、直方体状に形成されている。
遮光体4は遮光性を有する板材であって、例えばアルミニウムなどの金属、セラミックスなどからなる。遮光体4は、熱放出部7に臨んで形成されている。
遮光体4は、外装体6内において、アイソレータコア1よりも光源11に近い位置に設けられている。遮光体4は、第1偏光子14を経た透過光L4(図4参照)を遮ることができる。
遮光体4に形成された通過口4aは、光源11からアイソレータコア1に入射する入射光L1が通過する開口部である。通過口4aは、例えば平面視円形、矩形等に形成することができる。
遮光体4は熱放出部7に面しているため、遮光体4から熱放出部7への放熱によって、遮光体4の温度上昇を抑えることができる。遮光体4は、入射光L1の透過方向に対して垂直に形成することができる。
断熱壁5は、例えばセラミックス(アルミナ、炭化ケイ素など)からなる断熱材が使用できる。
断熱壁5は、遮光体4から順方向側(図1(a)および図1(b)における右方向側)に離れた位置に設置されて、外装体6内の空間を区画している。断熱壁5より右側(出射側)の空間は、磁性構造体2が収容される磁界印加空間8である。
断熱壁5は、熱放出部7と磁界印加空間8とを空間的に隔てるとともに、互いの熱の出入りを遮断している。
図示例の断熱壁5は、外装体6の内部空間の断面のほぼ全体にわたる板材であり、コアユニット13が挿通する挿通孔5aを有する。断熱壁5は、入射光L1の透過方向に対して垂直に形成することができる。
外装体6の内面のうち熱放出部7に面する部分には、断熱壁5と同様の構成の断熱層12(第3の断熱手段)が形成されている。これによって、熱放出部7は外装体6からの熱的影響を受けなくなる。
なお、第1断熱手段は、図示例に限定されない。例えば、図1(a)〜図1(c)に示す例では熱放出部7と磁界印加空間8とが1つの外装体6内にあるが、熱放出部7と磁界印加空間8とをそれぞれ別の外装体内に形成してもよく、その場合には2つの外装体間にある空気層、または各外装体の壁部が第1断熱手段として機能する。
また、断熱壁5は、磁性構造体2を熱放出部7から隔てるものであればよく、その形態は図示例に限定されない。断熱壁5は、例えば、磁性構造体2の表面に当接して形成されていてもよい。
次に、光アイソレータ10の動作について説明する。
光源11から発せられる光L1の波長は、例えば、900nm〜1100nm(好ましくは1000nm〜1100nm)としてよい。
図3に示すように、光源11からの順方向の入射光L1は、通過口4aを通過して第1偏光子14に入射し、第1偏光子14で互いに直交する2つの偏光成分に分離する。この光は、ファラデー回転子15で偏光角度が光軸回りに約45°、さらに波長板16で偏光角度が約45°回転することにより偏光角度が約90°回転した状態で第2偏光子17を通って再び1つの光線に合成され、出射光L2として出射する。
これに対して、図4に示すように、逆方向の戻り光L3は、第2偏光子17に入射し、第2偏光子17で互いに直交する2つの偏光成分に分離し、波長板16で偏光角度が約−45°回転し、ファラデー回転子15で偏光角度が約45°回転するため、第1偏光子14では1つの光線に合成されず、透過光L4として出射する。
この透過光L4は、遮光体4に遮られるため、光源11には達しない。
光源11が高出力である場合には、光の透過によりアイソレータコア1(特にファラデー回転子15)が高温となることがある。
この場合、アイソレータコア1の熱は熱伝導体3を通して熱放出部7に伝えられ、熱放出部7で放出される。
具体的には、例えばファラデー回転子15が高温となると、ファラデー回転子15に対面する部分(図2(a)の対面領域3d)の熱伝導体3の流路3a内の作動流体は、蒸発して熱放出部7内の部分3e(図2(a)参照)に流れ、熱放出部7で放熱・凝縮する。
これによって、アイソレータコア1(特にファラデー回転子15)の熱を熱放出部7に伝え、効率よく除去することができる。
また、アイソレータコア1は磁性構造体2の内面2bから離れているため、アイソレータコア1から磁性構造体2への熱的影響は小さい。よって、磁性構造体2の温度上昇を抑制し、磁性構造体2の磁気特性の変化を回避できる。このため、アイソレータコア1の特性を良好に維持することができる。
また、熱放出部7と磁界印加空間8とは断熱壁5により隔てられているため、熱放出部7から磁性構造体2への伝熱量を小さくできる。よって、磁性構造体2の温度上昇を抑制し、磁性構造体2の磁気特性の低下を防止できる。
このように、光アイソレータ10では、高出力の光源11を使用した場合でも、アイソレータコア1で発生した熱を熱伝導体3により効率よく放熱し、温度上昇を抑制することができる。
また、透過光L4が当たった遮光体4は高温となることがあるが、遮光体4から熱放出部7への放熱によって、遮光体4の温度上昇を抑えることができる。
熱放出部7には、冷却媒体供給装置のような熱回収機構を設けることによって、熱放出部7で放出された熱を効率良く除去できる。
図5は、冷却媒体供給装置21を用いた光アイソレータの例であり、冷却媒体供給装置21は、冷却媒体(冷却水など)の供給部22を備え、冷却媒体を導入経路23から熱放出部7に導入し、熱放出部7内の冷却媒体を排出経路24から排出できる。供給装置21は、冷却媒体によって遮光体4を直接冷却できる構造を採用することができる。
冷却媒体供給装置21によって、熱放出部7内を効率よく冷却できる。
以下、本発明の実施例について図面を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
図1(a)〜図1(c)に示す光アイソレータ10を作製した。
アイソレータコア1の第1偏光子14および第2偏光子17としては、イットリウム・バナデート(YVO)からなる偏光子を用いた。ファラデー回転子15にはテルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)結晶を使用した。波長板16としては水晶からなる1/2波長板を使用した。
熱伝導体3としては、熱伝導率30000W/(m・K)の平板型ヒートパイプを用いた。熱伝導体3は、熱伝導率4.1W/(m・K)の弾性接着剤(エポキシ樹脂)によりアイソレータコア1に接着固定した。
アイソレータコア1および熱伝導体3は、磁性構造体2の挿通孔2a内に配置した。
この光アイソレータ10に、平均出力80Wのレーザ光を入射光L1として入射させた(図3参照)。
その結果、アイソレータコア1、磁性構造体2、外装体6について、過度の温度上昇は観察されなかった。
(実施例2)
熱放出部7に供給装置21(図5参照)が接続され、連続的に冷却水を熱放出部7に導入できること以外は実施例1と同様の光アイソレータ10を作製した。
光源11(ファイバレーザ)から、アイソレータコア1に、平均出力2000Wのレーザ光を入射光L1として入射させた(図3参照)。熱放出部7内は、冷却水の導入によって、温度を25℃に維持した。
この際、アイソレータコア1、磁性構造体2、外装体6については、過度の温度上昇は観察されなかった。
(実施例3)
熱放出部7に供給装置21が接続され、連続的に冷却水を熱放出部7に導入できること以外は実施例1と同様の光アイソレータ10を作製した。
光源11(ファイバレーザ)から、アイソレータコア1に、平均出力4000Wのレーザ光を入射光L1として入射させた(図3参照)。熱放出部7内は、冷却水の導入によって、温度を25℃に維持した。
この際、アイソレータコア1、磁性構造体2、外装体6については、過度の温度上昇は観察されなかった。
(比較例1)
図6に示す光アイソレータ30を作製した。
アイソレータコア1の偏光子14、17にはYVOを用いた。ファラデー回転子15にはTGG結晶を使用した。波長板16は水晶からなる1/2波長板を使用した。
支持体33としては、熱伝導率237W/(m・K)のアルミニウム板を用いた。支持体33は、熱伝導率1.0W/(m・K)の弾性接着剤(シリコーン樹脂)によりアイソレータコア1に接着固定した。
アイソレータコア1および支持体33は磁性構造体2の挿通孔2a内に配置した。支持体33は挿通孔2aの内面2bに当接させた。
この光アイソレータ30に、平均出力80Wのレーザ光を入射光L1として入射させた。
その結果、外装体6の温度は16度上昇した。この温度上昇はアイソレータコア1のファラデー回転子15における16度以上の温度上昇に起因すると推測できた。また、磁性構造体2についても16度以上の温度上昇があったと推測できた。
実施例1〜3および比較例1の結果より、実施例1〜3の光アイソレータ10では温度上昇を防ぐことができたことが確認できた。
図1等には、偏波無依存型の光アイソレータを例示した。偏波無依存型は、上述のように、逆方向の光を2つの偏光成分に分離して合成させないことにより遮断する構造である。偏波無依存型には、挿入損失を小さくできるという利点がある。
本発明の光アイソレータは、偏波無依存型に限らず、偏波依存型も包含する。偏波依存型は、順方向については、第1および第2偏光子により特定の偏波面をもつ偏光だけを透過させる一方、逆方向については、偏光の性質を利用して第1および第2偏光子により遮断する。
例えば、偏波依存型の光アイソレータでは、順方向の入射光は、第1偏光子と同じ偏光面を有する光のみが第1偏光子を通過し、ファラデー回転子で偏光面が光軸回りに例えば約45°回転したうえ、第2偏光子を通過して出射する。
これに対して、逆方向の戻り光は、第2偏光子と同じ偏光面を有する光のみが第2偏光子を通過し、ファラデー回転子で偏光面が光軸回りに例えば約45°回転し、第1偏光子に達する。この光は、第1偏光子の偏光面に対し略直交する偏光面を有するため大部分が遮断される。
本発明は、レーザ加工システム等に用いられる光アイソレータに適用できる。
1・・・アイソレータコア、2・・・磁性構造体(磁界印加手段)、3・・・熱伝導体、3a・・・流路、3d・・・対面領域、(ファラデー回転子に対面する領域)、4・・・遮光体、4a・・・通過口、5・・・断熱壁(第1断熱手段)、7・・・熱放出部、10・・・光アイソレータ、11・・・光源、15・・・ファラデー回転子、15d・・・ファラデー回転子の側面、20・・・磁性構造体の内部空間。

Claims (5)

  1. 光源からの順方向の光が導入されるファラデー回転子を有するアイソレータコアと、前記ファラデー回転子に磁界を印加する磁界印加手段と、前記ファラデー回転子の熱を伝える1または複数の熱伝導体と、前記順方向とは逆の方向に前記ファラデー回転子を通って前記光源に向かう戻り光を遮る遮光体と、を備え、
    前記遮光体は、前記光源から前記ファラデー回転子に向かう順方向の光が通過する通過口を有し、
    前記ファラデー回転子は、前記磁界印加手段から離れて設置され、
    前記磁界印加手段の前記逆方向側に、断熱手段により前記磁界印加手段から隔てられた空間である熱放出部が確保され、
    前記熱伝導体は、前記ファラデー回転子および前記第1偏光子に直接または間接に当接し、その一部は、前記断熱手段の前記逆方向側にある前記熱放出部内に配置されていることを特徴とする光アイソレータ。
  2. 前記熱伝導体は、作動流体を封入した流路を有するヒートパイプであり、
    前記流路は、少なくとも前記ファラデー回転子に対面する位置から、前記熱放出部内にかけて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ。
  3. 前記熱伝導体は、少なくとも前記ファラデー回転子の両面にそれぞれ接して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の光アイソレータ。
  4. 前記熱伝導体は、前記遮光体に当接していることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光アイソレータ。
  5. 前記磁界印加手段は、スリーブ状に形成され、
    前記ファラデー回転子は、前記磁界印加手段の内側空間に挿通していることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の光アイソレータ。
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