JP2017049560A - ファラデー回転子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光アイソレータの動作温度範囲において所望とするアイソレーション特性の変動が起こり難い低コストのファラデー回転子を提供する。【解決手段】このファラデー回転子は、光が通過する貫通孔を有する筒状磁石体(単数の磁石体)4と該貫通孔内に配置されかつ光が透過する常磁性体から成るファラデー素子1とを備え、ファラデー素子1が弾性接着剤3により固定されていることを特徴とする。弾性接着剤は硬化時並びに硬化後において柔軟性を有し、常磁性体と弾性接着剤の各線膨張係数に多少の差が存在しても常磁性体に歪が起こり難く、常磁性体単体における消光比の低下が防止される。このため、光アイソレータの動作温度範囲(0℃〜60℃)において所望とするアイソレーション特性の変動を抑制できる。【選択図】図3
Description
本発明は、貫通孔を有する磁石体と該貫通孔内に配置されるファラデー素子とを備え、例えば光通信システムやレーザ加工システム等に使用される光アイソレータの一部を構成するファラデー回転子に係り、特に、光アイソレータの動作温度範囲において所望とするアイソレーション特性の変動が起こり難くかつ製造コストの低減が図れるファラデー回転子の改良に関するものである。
ファラデー回転子は、上記ファラデー素子と該ファラデー素子に磁界を加えてファラデー効果を生じさせる磁石体とで構成される機能素子であり、光通信システムやレーザ加工システム等に使用される半導体レーザへの戻り光を遮断して半導体レーザのレーザ発振を安定させる光アイソレータの部品として用いられている。
従来、光アイソレータは、波長1.3 〜1.6μmのレーザを適用する光通信システム分野において多く使用されていたが、近年、波長1μm付近の加工用ファイバーレーザや波長405nmのブルーレイ等、波長1.3 〜1.6μmより短波長のレーザを適用する分野においても使用されるようになってきている。
ところで、適用波長が1μmより短い光アイソレータのファラデー回転子に用いられるファラデー素子としては、一般的にチョコラルスキー法で育成されるテルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)等の常磁性結晶(常磁性体)が使用されている。
そして、TGG等の常磁性体で構成されるファラデー素子を用いた従来のファラデー回転子において、TGG等の常磁性体を上記磁石体の貫通孔内に保持させる手法としては接着剤や半田等を用いる方法が採られており、特に、半田に較べて製造コストの低減が図れる接着剤が主に利用されている。例えば、特許文献1に開示されたファラデー回転子においては、公報の図2および段落0004に接着剤や半田等を用いる方法が記載され、同様に、複数の磁石体が用いられる特許文献2に開示されたファラデー回転子においても、公報に具体的に記載されてはいないが接着剤等を用いて固定する方法が採られている。
しかし、接着剤(例えばエポキシ系の接着剤)を用いてファラデー素子を上記貫通孔内に接着固定する方法は、ファラデー素子が貫通孔内に固定される際、接着剤の硬化収縮に伴う外的圧力がファラデー素子に作用して歪を生じさせるため、ファラデー素子の光学特性に影響を及ぼして所望とするアイソレーション特性が得られなくなる場合があった。
また、ファラデー素子を固定する際、上記外的圧力がファラデー素子に作用しないよう工夫されたとしても、完成された光アイソレータの動作温度範囲(0℃〜60℃)において上記接着剤の熱膨張若しくは収縮に起因してファラデー素子に歪が生じ、所望とするアイソレーション特性が変動してしまう場合が存在した。
このため、接着剤を用いてファラデー素子が上記貫通孔内に固定される従来のファラデー回転子においては、常磁性結晶(常磁性体)から成るファラデー素子の歪に伴うファラデー素子単体における消光比の低下を見込んで材料を選択する必要があり、光アイソレータに求められるアイソレーション特性に較べて消光比がより高い常磁性結晶(常磁性体)を適用せざるを得なかった。
具体的に説明すると、適用波長が1μmより短い光アイソレータのアイソレーション特性は、実用上「27dB以上」であることが望ましいとされている。このため、光アイソレータにファラデー回転子を組み込むときの部品誤差等を考慮すると、上記貫通孔内にファラデー素子が固定された状態で常磁性結晶(常磁性体)単体での消光比は「30dB以上」であることを必要とし、更に、上記接着剤の硬化収縮および熱膨張若しくは収縮に起因したファラデー素子の歪を考慮した場合、ファラデー素子を構成する常磁性結晶(常磁性体)単体での消光比は「35dB以上」であることを必要とされている。
しかし、結晶単体での消光比が「35dB以上」となる結晶性に優れた常磁性結晶(常磁性体)を上述したチョコラルスキー法で育成する場合、結晶性に劣る常磁性結晶が利用できない分、量産性が悪化し、ファラデー素子を構成する常磁性結晶(常磁性体)の単価が割高となってファラデー回転子の製造コストを高くしてしまう問題が存在した。
尚、出願人は、複数の磁石体を適用し、該磁石体の貫通孔内にファラデー素子が浮遊した状態で保持されるファラデー回転子を既に提案している(特許文献3参照)。このファラデー回転子によれば、接着剤を用いた方法に較べてファラデー素子に局所的な外圧が加わらないため、結晶単体での消光比について上記「35dB以上」の材料を選択する必要がなく「30dB以上」の材料で十分なことから、量産性に優れた(すなわち、結晶性が若干劣る)常磁性結晶(常磁性体)の利用が可能となる利点を有している。
但し、特許文献3に記載されたファラデー回転子は、貫通孔内においてファラデー素子が浮遊できる程度の磁界強度を備えた特異な磁石体が必要となるため、ファラデー素子を浮遊させる程度の磁界強度を具備しない単体の筒状磁石体や複数の磁石体が適用される安価なファラデー回転子に特許文献3の保持方法を応用することは困難であった。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、光アイソレータの動作温度範囲において所望とするアイソレーション特性の変動が起こり難く、しかも製造コストの低減が図れるファラデー回転子を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため本発明者は以下のような技術的検討を行った。
まず、TGG等の常磁性結晶(常磁性体)で構成されたファラデー素子が接着剤(例えばエポキシ系の接着剤)を用いて磁石体の貫通孔内に接着固定されたファラデー回転子を組み込んで構成された光アイソレータにおいては、光アイソレータの動作温度範囲(0℃〜60℃)における温度が変化した場合、ファラデー素子を構成する常磁性結晶(常磁性体)と接着剤の各線膨張係数の差による応力が発生する。そして、応力の発生により上記常磁性結晶(常磁性体)に歪が生じて常磁性結晶(常磁性体)単体での消光比の低下が起こり、この結果、ファラデー回転子を組み込んだ光アイソレータのアイソレーション特性が変動してしまうと考えられる。このため、ファラデー素子を構成するTGG等の線膨張係数(略10ppm)と同程度の接着剤を用いた場合に上記課題は解決されると考えられる。しかし、線膨張係数が10ppmと同程度の接着剤(接着樹脂)は皆無であり、如何に線膨張係数の差が小さい接着剤(接着樹脂)を使用したとしても、程度の差こそあれ、応力に伴う常磁性結晶(常磁性体)単体での消光比の劣化を完全に回避することは困難であった。そこで、接着剤の種類について更なる研究を行ったところ、線膨張係数は54ppmとファラデー素子を構成する常磁性結晶(常磁性体)の線膨張係数(略10ppm)からの乖離は大きいが、硬化時並びに硬化後における柔軟性により上記常磁性結晶(常磁性体)へ加わる応力が緩和されるシリコーン樹脂等の弾性接着剤を見出すに至った。そして、シリコーン樹脂等の弾性接着剤を適用して実験を行った結果、ファラデー素子を構成する常磁性結晶(常磁性体)単体での消光比が低下され難くなり、光アイソレータにおけるアイソレーション特性の変動も回避されていることが確認された。本発明はこのような技術的検討を経て完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
光が通過する貫通孔を中心に有する単数若しくは複数の磁石体と、磁石体の貫通孔内に配置されかつ光が透過する常磁性体から成るファラデー素子とを備えるファラデー回転子において、
上記ファラデー素子が弾性接着剤により固定されていることを特徴とするものである。
光が通過する貫通孔を中心に有する単数若しくは複数の磁石体と、磁石体の貫通孔内に配置されかつ光が透過する常磁性体から成るファラデー素子とを備えるファラデー回転子において、
上記ファラデー素子が弾性接着剤により固定されていることを特徴とするものである。
次に、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載のファラデー回転子において、
上記弾性接着剤の硬化時におけるショアA硬度が70以下であることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載のファラデー回転子において、
上記弾性接着剤が、シリコーン系、変成シリコーン系、アクリル系またはウレタン系の弾性接着剤から選択されていることを特徴とし、
また、第4の発明は、
第1の発明に記載のファラデー回転子において、
上記ファラデー素子が、TGG(テルビウム・ガリウム・ガーネット)、TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット)、TSAG(テルビウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット)、TSLAG(テルビウム・スカンジウム・ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)、TCSAG(テルビウム・セリウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット)から選択される常磁性体で構成されていることを特徴とするものである。
第1の発明に記載のファラデー回転子において、
上記弾性接着剤の硬化時におけるショアA硬度が70以下であることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載のファラデー回転子において、
上記弾性接着剤が、シリコーン系、変成シリコーン系、アクリル系またはウレタン系の弾性接着剤から選択されていることを特徴とし、
また、第4の発明は、
第1の発明に記載のファラデー回転子において、
上記ファラデー素子が、TGG(テルビウム・ガリウム・ガーネット)、TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット)、TSAG(テルビウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット)、TSLAG(テルビウム・スカンジウム・ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)、TCSAG(テルビウム・セリウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット)から選択される常磁性体で構成されていることを特徴とするものである。
本発明に係るファラデー回転子によれば、
常磁性体で構成されたファラデー素子がシリコーン樹脂等の弾性接着剤を用いて磁石体の貫通孔内に固定されている。そして、シリコーン樹脂等の弾性接着剤は硬化時並びに硬化後において柔軟性を有しており、常磁性体と弾性接着剤の各線膨張係数に多少の差が存在しても常磁性体に歪が発生し難いため、上記常磁性体単体における消光比の低下を防止することが可能となる。このため、ファラデー回転子が組み込まれた光アイソレータの動作温度範囲(0℃〜60℃)において、所望とするアイソレーション特性の変動を未然に抑制できる効果を有している。
常磁性体で構成されたファラデー素子がシリコーン樹脂等の弾性接着剤を用いて磁石体の貫通孔内に固定されている。そして、シリコーン樹脂等の弾性接着剤は硬化時並びに硬化後において柔軟性を有しており、常磁性体と弾性接着剤の各線膨張係数に多少の差が存在しても常磁性体に歪が発生し難いため、上記常磁性体単体における消光比の低下を防止することが可能となる。このため、ファラデー回転子が組み込まれた光アイソレータの動作温度範囲(0℃〜60℃)において、所望とするアイソレーション特性の変動を未然に抑制できる効果を有している。
更に、ファラデー素子を構成する常磁性体単体における消光比の低下が防止されていることから、消光比の低下を見込んで材料を選択する(すなわち、量産性に劣る割高の常磁性体材料を選択する)必要がないため、ファラデー回転子における製造コストの低減が図れる効果も有している。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて具体的に説明する。
尚、図1(A)は実施の形態に係る円柱状ファラデー素子の側面図、図1(B)はその平面図、図2は実施の形態に係る円柱状ファラデー素子がSUS製シリンダー内に弾性接着剤を用いて固定された状態を示す説明図、図3は円柱状ファラデー素子が内部に固定された上記SUS製シリンダーを筒状磁石体の貫通孔内に嵌入しかつ金属用接着剤を用いて貫通孔内にSUS製シリンダーが固定された実施の形態に係るファラデー回転子の概略構成説明図である。
まず、実施の形態に係るファラデー回転子は、図3に示すように、光が透過する貫通孔を中心に有する筒状磁石体(単数の磁石体)4と、当該筒状磁石体4の貫通孔内に嵌入されたSUS製シリンダー2と、当該SUS製シリンダー2内の中央部に配置された円柱状ファラデー素子1とで構成されており、かつ、上記円柱状ファラデー素子1は硬化時並びに硬化後において10%以上の伸び(すなわち柔軟性)を有する弾性接着剤3によりSUS製シリンダー2内の中央部に接着固定されていると共に、上記SUS製シリンダー2は一般的な金属用接着剤(図示せず)により筒状磁石体4の貫通孔内に接着固定されている。
上記筒状磁石体(単数の磁石体)4として、本実施の形態においては「サマリウムコバルト系磁石」を適用している。但し、他の磁石材料(例えば、ネオジウム鉄ボロン系磁石等)を用いることも可能であり、特許文献2、3に記載された複数の磁石体で構成される複合磁石の適用も可能である。
また、上記円柱状ファラデー素子1は、チョコラルスキー法で育成されたテルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)等の常磁性結晶(常磁性体)が適用されており、その線膨張係数は略10ppmである。尚、TGG以外のファラデー素子としては、例えば、TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット)、TSAG(テルビウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット)、TSLAG(テルビウム・スカンジウム・ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)、TCSAG(テルビウム・セリウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット)等の常磁性結晶(常磁性体)が挙げられ、これら常磁性結晶の線膨張係数も概略10ppmである。
また、硬化時並びに硬化後において10%以上の伸び(すなわち柔軟性)を有する弾性接着剤3としては、弾性接着剤の硬化時におけるショアA硬度(JIS K 6253)が70以下であるシリコーン系(スリーボンド社製 商品名スリーボンド TB1220等)、変成シリコーン系(スリーボンド社製 商品名スリーボンド TB1530、セメダイン社製 商品名セメダイン スーパーX No.8008、セメダイン スーパーXG777等)、アクリル系(スリーボンド社製 商品名スリーボンド TB3955等)、ウレタン系(3M社製 商品名3M ポリウレタン接着剤540、3M ハイブリット接着剤740等)等の弾性接着剤が挙げられる。
そして、図3に示された実施の形態に係るファラデー回転子によれば、常磁性体(TGG)で構成された円柱状ファラデー素子1が弾性接着剤3によりSUS製シリンダー2内の中央部に固定されている。そして、弾性接着剤3は硬化時並びに硬化後において10%以上の伸び(すなわち柔軟性)を有しており、常磁性体(TGG)で構成された円柱状ファラデー素子1と弾性接着剤3の各線膨張係数に多少の差が存在しても円柱状ファラデー素子1に歪が生じ難いため、上記常磁性体(TGG)単体における消光比の低下が防止される。このため、ファラデー回転子が組み込まれた光アイソレータの動作温度範囲(0℃〜60℃)において、所望とするアイソレーション特性の変動を未然に抑制することが可能となる。
更に、硬化時並びに硬化後において10%以上の伸び(すなわち柔軟性)を有する弾性接着剤3を適用した上記ファラデー回転子によれば、円柱状ファラデー素子1を構成する常磁性体(TGG)単体における消光比の低下が防止されることから、消光比の低下を見込んでファラデー素子の材料を選択する(すなわち、量産性に劣る割高の常磁性体材料を選択する)必要がないため、ファラデー回転子における製造コストの低減も図ることが可能となる。
尚、組み立て作業等の簡便化を図る観点から、図3に示す実施の形態に係るファラデー回転子においては円柱状ファラデー素子1がSUS製シリンダー2内に接着固定される構造になっているが、上記SUS製シリンダー2の組み込みを省略し、上記円柱状ファラデー素子1を筒状磁石体4の貫通孔内に接着固定させる構造を採用してもよい。
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
図3に示すように、貫通孔を中心に有する筒状磁石体(単数の磁石体)4と、当該筒状磁石体4の貫通孔内に嵌入されかつ慣用される金属用接着剤(図示せず)を用いて固定されたSUS製シリンダー2と、当該SUS製シリンダー2内の中央部に弾性接着剤を用いて固定された円柱状ファラデー素子1とで構成される実施例1に係るファラデー回転子を製造した。
図3に示すように、貫通孔を中心に有する筒状磁石体(単数の磁石体)4と、当該筒状磁石体4の貫通孔内に嵌入されかつ慣用される金属用接着剤(図示せず)を用いて固定されたSUS製シリンダー2と、当該SUS製シリンダー2内の中央部に弾性接着剤を用いて固定された円柱状ファラデー素子1とで構成される実施例1に係るファラデー回転子を製造した。
尚、上記弾性接着性として、アクリル変成シリコーン樹脂(ショアA硬度43のセメダイン社製 商品名セメダイン スーパーX No.8008)を適用し、当該弾性接着剤を円柱状ファラデー素子1の外周面に塗布した後、SUS製シリンダー2内に挿入してシリンダーの内壁面に接着固定している(図2参照)。
また、上記円柱状ファラデー素子として、結晶単体での消光比が「34dB」で、線膨張係数が略10ppmのテルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)を適用し、また、筒状磁石体(単数の磁石体)としてサマリウムコバルト系磁石を適用した。
[実施例2]
弾性接着剤にショアA硬度58のセメダイン社製 商品名スーパーXG777(アクリル変成シリコーン樹脂)を適用した以外は実施例1と同様にして実施例2に係るファラデー回転子を製造した。
弾性接着剤にショアA硬度58のセメダイン社製 商品名スーパーXG777(アクリル変成シリコーン樹脂)を適用した以外は実施例1と同様にして実施例2に係るファラデー回転子を製造した。
[比較例1]
上記円柱状ファラデー素子1として、結晶単体での消光比が「32dB」、線膨張係数が略10ppmのテルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)を適用した点と、SUS製シリンダー2の組み込みを省略して筒状磁石体4の貫通孔内に上記円柱状ファラデー素子1を接着固定させた構造を採用した点、および、上記弾性接着剤に代えて0℃〜60℃下において線膨張係数が54ppmのエポキシ系接着樹脂(株式会社ダイゾー社製、製品名「NB3200」)を適用した点を除き、実施例1と同様にして比較例1に係るファラデー回転子を製造した。
上記円柱状ファラデー素子1として、結晶単体での消光比が「32dB」、線膨張係数が略10ppmのテルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)を適用した点と、SUS製シリンダー2の組み込みを省略して筒状磁石体4の貫通孔内に上記円柱状ファラデー素子1を接着固定させた構造を採用した点、および、上記弾性接着剤に代えて0℃〜60℃下において線膨張係数が54ppmのエポキシ系接着樹脂(株式会社ダイゾー社製、製品名「NB3200」)を適用した点を除き、実施例1と同様にして比較例1に係るファラデー回転子を製造した。
[比較例2]
上記エポキシ系接着樹脂として、0℃〜60℃下において線膨張係数が82ppmのエポキシ系樹脂(株式会社ダイゾー社製、製品名「NB3100」)を適用した以外は比較例1と同様にして比較例2に係るファラデー回転子を製造した。
上記エポキシ系接着樹脂として、0℃〜60℃下において線膨張係数が82ppmのエポキシ系樹脂(株式会社ダイゾー社製、製品名「NB3100」)を適用した以外は比較例1と同様にして比較例2に係るファラデー回転子を製造した。
[ファラデー素子単体の消光比測定試験]
次に、図4に示す測定系を用いて、実施例1〜2および比較例1〜2に係るファラデー回転子における円柱状ファラデー素子単体の消光比を計測した。
次に、図4に示す測定系を用いて、実施例1〜2および比較例1〜2に係るファラデー回転子における円柱状ファラデー素子単体の消光比を計測した。
尚、上記測定系は、ファラデー回転子が収容される恒温槽(図示せず)と、当該恒温槽を中央にしかつ収容されたファラデー回転子の光軸上に配置されたグラントムソンプリズム5a、5bと、上記グラントムソンプリズム5aの恒温槽とは反対側に配置されたレーザ光源6、および、上記グラントムソンプリズム5bの恒温槽とは反対側に配置された光検出器7とで構成されている。
そして、実施例1〜2および比較例1〜2に係るファラデー回転子を上記恒温槽の中央に順次収容し、恒温槽の温度を0℃〜60℃まで変化させ、実施例1〜2および比較例1〜2に係るファラデー回転子における円柱状ファラデー素子単体の消光比を計測すると共に、最も低下した値を以下の表1に示す。
[確 認]
表1に示されているように弾性接着剤が適用された実施例1〜2に係るファラデー回転子における円柱状ファラデー素子単体の固定後における消光比について低下が認められなかった(共に34dBのまま)のに対し、0℃〜60℃下において線膨張係数が54ppmのエポキシ系接着樹脂を適用した比較例1および0℃〜60℃下において線膨張係数が82ppmのエポキシ系樹脂を適用した比較例2においては消光比の低下(比較例1は32dBから28dB、比較例2は32dBから22dB)が確認された。
表1に示されているように弾性接着剤が適用された実施例1〜2に係るファラデー回転子における円柱状ファラデー素子単体の固定後における消光比について低下が認められなかった(共に34dBのまま)のに対し、0℃〜60℃下において線膨張係数が54ppmのエポキシ系接着樹脂を適用した比較例1および0℃〜60℃下において線膨張係数が82ppmのエポキシ系樹脂を適用した比較例2においては消光比の低下(比較例1は32dBから28dB、比較例2は32dBから22dB)が確認された。
[実施例1〜2に係るファラデー回転子の機械的強度試験(振動、衝撃試験)]
次に、従来の接着剤(例えばエポキシ系接着剤)に代えて上記弾性接着剤が適用された実施例1〜2に係るファラデー回転子について、円柱状ファラデー素子の固定強度が実用上足りているか否か確認するため、米国防総省規格に基づく機械的強度試験(振動、衝撃試験)を行った。
次に、従来の接着剤(例えばエポキシ系接着剤)に代えて上記弾性接着剤が適用された実施例1〜2に係るファラデー回転子について、円柱状ファラデー素子の固定強度が実用上足りているか否か確認するため、米国防総省規格に基づく機械的強度試験(振動、衝撃試験)を行った。
(振動試験)MIL-STD-883 Test Method 2007 Condition A
試験条件:
ファラデー回転子を単振動で振動させることができる振動板に取り付け、ピーク加速度が20G(Gは重力加速度)となる単振動で振動させる。振動数は20〜2000Hzでほぼ対数的に変化させる。
試験条件:
ファラデー回転子を単振動で振動させることができる振動板に取り付け、ピーク加速度が20G(Gは重力加速度)となる単振動で振動させる。振動数は20〜2000Hzでほぼ対数的に変化させる。
そして、20〜2000Hzまでの全振動数範囲の通過および20Hzへの復帰は4分以上であることとし、このサイクルは、X、Y、Zの3方向に対して各4回(計12回)振動させた。
(衝撃試験)MIL-STD-883 Test Method 2002 Condition A
試験条件:
ファラデー回転子を試験具に固定し、加速度500Gの条件で行った。
試験条件:
ファラデー回転子を試験具に固定し、加速度500Gの条件で行った。
尚、衝撃試験はX、Y、Zの各方向(6方向)についてそれぞれ5回行っている。
[確 認]
振動、衝撃試験を行った後、円柱状ファラデー素子の固定ずれや破損を調べたところ、円柱状ファラデー素子の固定ずれや破損は確認されず十分な接着強度が確保されていることが確認された。
振動、衝撃試験を行った後、円柱状ファラデー素子の固定ずれや破損を調べたところ、円柱状ファラデー素子の固定ずれや破損は確認されず十分な接着強度が確保されていることが確認された。
本発明に係るファラデー回転子によれば、当該ファラデー回転子が組み込まれる光アイソレータの動作温度範囲(0℃〜60℃)において所望とするアイソレーション特性の変動を抑制できると共に低コストで製造できるため、適用波長が1μmより短い光アイソレータに適用される産業上の利用可能性を有している。
1 円柱状ファラデー素子
2 SUS製シリンダー
3 弾性接着剤
4 筒状磁石体(単数の磁石体)
5a グラントムソンプリズム
5b グラントムソンプリズム
6 レーザ光源
7 光検出器
2 SUS製シリンダー
3 弾性接着剤
4 筒状磁石体(単数の磁石体)
5a グラントムソンプリズム
5b グラントムソンプリズム
6 レーザ光源
7 光検出器
Claims (4)
- 光が通過する貫通孔を中心に有する単数若しくは複数の磁石体と、磁石体の貫通孔内に配置されかつ光が透過する常磁性体から成るファラデー素子とを備えるファラデー回転子において、
上記ファラデー素子が弾性接着剤により固定されていることを特徴とするファラデー回転子。 - 上記弾性接着剤の硬化時におけるショアA硬度が70以下であることを特徴とする請求項1に記載のファラデー回転子。
- 上記弾性接着剤が、シリコーン系、変成シリコーン系、アクリル系またはウレタン系の弾性接着剤から選択されていることを特徴とする請求項1または2に記載のファラデー回転子。
- 上記ファラデー素子が、TGG(テルビウム・ガリウム・ガーネット)、TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット)、TSAG(テルビウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット)、TSLAG(テルビウム・スカンジウム・ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)、TCSAG(テルビウム・セリウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット)から選択される常磁性体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のファラデー回転子。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015175144A JP2017049560A (ja) | 2015-09-04 | 2015-09-04 | ファラデー回転子 |
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---|---|---|---|
JP2015175144A JP2017049560A (ja) | 2015-09-04 | 2015-09-04 | ファラデー回転子 |
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