JP4884836B2 - ファラデーローテータ及びそれを用いたレーザシステム - Google Patents

ファラデーローテータ及びそれを用いたレーザシステム Download PDF

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本発明は、入射光の偏光面を回転させるファラデーローテータ及びそれを用いたレーザシステムに関するものである。
近年、励起用レーザダイオードの技術進歩や、レーザ材料、レーザ媒質の熱効果の制御方法の進歩によって、固体レーザを用いた産業用、科学技術用のレーザシステムの高平均出力化が実現されており、例えば平均出力1kW級、定光出力(CW出力)10kW級のレーザシステムが報告されている。このようなレーザシステムは、下記非特許文献1に記載のように、レーザ発振器、レーザガラスをレーザ媒質として有するレーザ増幅器、空間フィルター、ミラー、レンズ、ポッケルスセル、ファラデーローテータ等で構成されている。これらのうち、ファラデーローテータは、下記非特許文献2に記載のように、ファラデー媒質に磁界を加えることによってその媒質を通過する光の偏光面を回転させる光学素子であり、偏光を利用した各レーザ増幅器間の戻り光の防止用や多重パス増幅における偏光制御用に用いられる。このファラデーローテータは、偏光子を含んで構成されて光を一方向にのみ伝搬させるためのファラデーアイソレータとして使用されている。
T. Kawashima, T. Kanabe, H. Matsui, E. Eguchi, M. Yamanaka, Y. Kato,M. Nakatsuka, Y. Izawa, S. Nakai, T.Kanzaki and H. Kan, "Design and performance ofa Diode-Pumped Nd: Silica-Phosphate Glass Zig-Zag Slab Laser Amplifier forInertial Fusion Energy", Jpn. J. Appl. Phys. 40, p.6415 (2001) E. Hecht, "Optics", 4th ed., Addison Wesley, San Francisco, 2002, Chap. 8, p.367
ところで、上述したレーザシステムにおいては、高出力化に伴って光透過型の光学素子においてレーザ光のエネルギーが吸収され、それによって光学素子の媒質内における内部発熱が生じる。その結果、レーザシステムにおいて、光学素子の発熱による熱膨張や、光学素子の屈折率の熱依存性による屈折率分布等に起因した熱効果が問題になる。このような熱効果としては、熱レンズ効果、熱複屈折率効果、熱変形、熱応力破壊等が挙げられる。熱レンズ効果は、媒質内に生じる温度分布によって媒質内の屈折率が空間分布を持つ現象である。熱複屈折効果は、熱応力により媒質が光学的異方性(複屈折性)を有し、これによりレーザ材料の主軸方向とこれに直交する方向の屈折率が異なり、直交する2つの方向の位相速度の差が原因で偏光解消が生じてしまう現象である。このような熱複屈折効果は、偏光の回転を利用したMOPA(Master Oscillator Power Amplifier)のようなレーザシステムにおいては、システム損失の増大を招いてしまう。
なお、吸収係数が10−3/cm程度と高く、線膨張係数が高く、かつ、屈折率の熱依存性を持つ材料で構成されるファラデーローテータ及びファラデーアイソレータにおいては、上記熱効果の影響が大きい。例えば、非特許文献1に記載のレーザシステムにおいては、出力として8.5J×0.5Hzの高パルス出力が達成されている一方、平均出力としてはわずか4.25Wしか得ることができない。これは、レーザシステム中のファラデーローテータにおける熱効果の影響によるところが大きい。特に、ファラデーローテータにおいてはレーザ材料やレーザ媒質等に比して発生する熱量が小さいため熱レンズ効果よりも熱複屈折率効果による影響を大きく受けてしまう。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、入射光の高出力化に起因する熱効果の影響を効率的に低減することが可能なファラデーローテータ及びそれを用いたレーザシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のファラデーローテータは、磁気光学効果を有する磁気光学材料からなり、入射光の入射方向に垂直な方向に沿った断面が矩形状に形成されたファラデー媒質と、ファラデー媒質の断面の一方の対辺側の側面全体に亘って接して設けられた冷却部と、ファラデー媒質の断面の他方の対辺側の側面全体に亘って接して設けられた非磁性の断熱部材と、ファラデー媒質に入射方向に沿って磁界を印加する磁界発生部とを備える。
或いは、本発明のファラデーローテータは、磁気光学効果を有する磁気光学材料からなり、入射光の入射方向に垂直な方向に沿った断面が矩形状に形成されたファラデー媒質と、ファラデー媒質の断面の一方の対辺側の側面全体に亘って接して設けられた冷却部と、ファラデー媒質の断面の他方の対辺側の側面全体に亘って接して設けられた非磁性の熱源と、ファラデー媒質に入射方向に沿って磁界を印加する磁界発生部とを備える。
このようなファラデーローテータによれば、ファラデー媒質内において、入射光に垂直であって、かつ、断熱部材或いは熱源が接する対辺に平行な方向に沿って温度勾配が生じ、冷却部が接する対辺に平行な方向には温度勾配が生じない。これにより、ファラデー媒質内の屈折率分布も、断熱部材或いは熱源が接する対辺に平行な方向に沿ってのみ生じることになるので、その対辺に平行或いは直交する方向に偏光面を有する入射光(直線偏光の光)が入射した場合に、ファラデー媒質を透過して印加磁界により偏光面が回転されて出力される際に、得られる偏光面が所望の方向から変化しにくくなり、偏光解消を抑えることができる。その結果、高出力化された入射光のエネルギー損失を低減することができる。
断面の一方の対辺は長辺であり、断面の他方の対辺は短辺であることが好ましい。この場合、ファラデー媒質の体積に対する冷却面積の比率を大きくすることができ、ファラデー媒質内の屈折率を一方向に効果的に分布させることができるので、高出力化された入射光のエネルギー損失をより一層低減することができる。
本発明のレーザシステムは、上述したファラデーローテータと、ファラデーローテータに入射するレーザ光を生成するレーザ発振器と、レーザ光を外部に出力する出力部とを備える。
このようなレーザシステムによれば、入射光を高エネルギー化してもファラデーローテータにおける熱複屈折率効果の影響を抑えることができ、全体のシステム損失を低減することができる。
本発明によれば、入射光の高出力化に起因する熱効果の影響を効率的に低減することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るファラデーローテータの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面は説明用のために作成されたものであり、説明の対象部位を特に強調するように描かれている。そのため、図面における各部材の寸法比率は、必ずしも実際のものとは一致しない。
図1は、本発明の好適な一実施形態であるファラデーローテータの斜視図、図2(a)及び(b)は、図1に示すファラデーローテータの正面図及び背面図である。ファラデーローテータは、ファラデー効果を利用して直線偏光の偏光面を旋光角θだけ回転させる光学素子である。本実施形態では、ファラデーローテータの旋光角θは45°である。これらの図に示すファラデーローテータ1は、ファラデー媒質2と、そのファラデー媒質2の外側に設けられた冷却部3、断熱部材4、及び永久磁石(磁界発生部)5とを備えている。
ファラデー媒質2は、磁気光学効果(ファラデー効果)を有する磁気光学材料であるTb(テリビウム)ドープガラス、テリビウムガリウムガーネット(TGG)結晶やTGGセラミック等によって略立方体形状に形成されており、長手方向に対して垂直な方向の断面が矩形状を成しており、その断面はアスペクト比が2以上になるような長辺(一方の対辺)及び短辺(他方の対辺)によって規定されている。図1においては、ファラデー媒質2の長手方向に沿った方向をZ軸方向とし、ファラデー媒質2の断面長辺側の側面に垂直な方向をX軸方向、ファラデー媒質2の断面短辺側の側面に垂直な方向をY軸方向とする。
このファラデー媒質2のYZ平面に平行な両側面、つまり、ファラデー媒質2のZ軸方向に垂直な方向の断面長辺側の両側面2a,2bには、それぞれ、その面2a,2b全体に亘って接合された状態で冷却部3が取り付けられている。冷却部3は、内部に冷却媒体が循環可能な中空構造を有し、略平板状に形成された樹脂材料等の非金属材料によって構成される。冷却部3の前面(−Z方向側の端面)には、内部の中空構造に接続されて冷却媒体を流入させるための一対の導入パイプ6が、外部に突出して設けられ、その背面(+Z方向側の端面)には、内部の中空構造に接続されて冷却媒体を流出させるための一対の排出パイプ7が、外部に突出して設けられている。導入パイプ6及び排出パイプ7は、図示しないチラー装置に接続されている。このチラー装置によって、水(HO)、液体窒素、液体ヘリウム、フッ素系不活性液体、重水素デカリン等の冷却媒体が、導入パイプ6から冷却部3の中空部を経て、排出パイプ7まで続く流路に循環される。このような構成により、冷却部3は、ファラデー媒質2の両側面2a,2bにおいて発生する熱を吸収してファラデー媒質2の両側面2a,2bを冷却する。なお、導入パイプ6から排出パイプ7に続く流路における接続部分は、外部への冷却媒体の液漏れを防止するためにオーリングによってシールされている。
上述のファラデー媒質2はその光の入射面と出射面は大気雰囲気にさらされているが、例えばファラデー媒質2を、その入射面及び出射面に対応する領域に光学ウィンドウが設けられた容器内に収容し、容器内を真空に保つか、もしくは窒素充填することにより、ファラデー媒質の温度をさらに293Kから70K程度に冷却可能な構造とすることも可能である。このような構成とすることによって低温での熱伝導率とベルデ定数が増加し、熱効果の低減に有効である。
また、ファラデー媒質2のXZ平面に平行な両側面、つまり、ファラデー媒質2のZ軸方向に垂直な方向の断面短辺側の両側面2c,2dには、それぞれ、その面全体に亘ってシート状の非磁性材料からなる断熱部材4が接合されている。断熱部材4としては、例えば、ポリウレタン、テトラフルオロエチレン等の熱伝導率が0.5W/cmK以下の断熱材が用いられる。このような断熱部材4は、ファラデー媒質2内においてy軸方向への熱の輸送を防止するように作用する。
さらに、上記のファラデー媒質2、冷却部3、及び断熱部材4の外側には、中空四角柱状の希土類磁石等の永久磁石5が設けられている。この永久磁石5は、ファラデー媒質2の側面2a,2b,2c,2d全体を、冷却部3及び断熱部材4を挟んで覆うように設けられて、ファラデー媒質2の全体にZ軸方向に沿った磁界を印加する。このような永久磁石5の代わりに、超伝導マグネットのような永久磁石以外の磁界発生手段を用いてもよい。
以上説明したファラデーローテータ1には、Z軸方向に沿ってファラデー媒質2の中央部にX軸又はY軸に平行な偏光面を有する直線偏光の入射光Oinが入射される(図1)。入射された入射光Oinは、ファラデー媒質2を透過して出射光Ooutに変換されて、ファラデー媒質2の背面からZ軸に平行な方向に出射され、印加磁界により出射光Ooutの偏光面は入射光Oinの偏光面に対してZ軸を中心にして旋光角θ=45°だけ回転される。ここで、この旋光角θはθ=VHL(V:ベルデ定数、H:永久磁石5による印加磁界の静磁束密度、L:ファラデー媒質2の長手方向に長さ)であり、所望の旋光角θ=45°が得られるようにV、H、Lが調整されている。
このとき、冷却部3、及び断熱部材4の作用により、ファラデー媒質2内において、入射光Oinに垂直であって、かつ、断熱部材4が接する側面2c,2dに平行な方向(X軸方向)に沿って温度勾配が生じ、冷却部3が接する側面2a,2bに平行な方向(Y軸方向)の温度勾配は、X軸方向の温度勾配に比して小さくされる。これにより、ファラデー媒質2内の屈折率は、X軸方向に分布し、Y軸方向においてはほぼ一定になるので、X軸方向に偏光面を有する入射光Oin(直線偏光の光)が入射した場合には、偏光面に沿った方向にのみ屈折率分布が生じることになる。また、Y軸方向に偏光面を有する入射光Oin(直線偏光の光)が入射した場合には、偏光面に沿った方向の屈折率分布はほぼ一定である。従って、X軸或いはY軸に平行な偏光面を有する入射光Oinがファラデー媒質2を透過して、印加磁界により偏光面が回転されて出力される際に、出射光Ooutが直線偏光から円偏光或いは楕円偏光に変化しにくくなり、偏光解消を抑えることができる。その結果、高出力化された直線偏光の入射光Oinから直線偏光の出射光Ooutを得る際のエネルギー損失を低減することができる。
図3は、ファラデーローテータ1に直線偏光のレーザ光を入射させた場合の偏光解消度(Depolarization Retio)を示すグラフである。図3の横軸は入射レーザ光のパワー(電力)を示し、縦軸は偏光解消度を示している。実線が本実施形態における測定結果であり、点線は従来のロッド型のファラデー媒質及び磁石から構成されるファラデーローテータにおける測定結果である。この結果を見ると、従来例のファラデーローテータにおいては入射レーザ光のパワーが300Wで約10%の損失が発生しているが、本実施形態におけるファラデーローテータ1においては、偏光解消度が1/100程度に改善されていることがわかる。このように、ファラデーローテータ1においては、入射レーザパワーが大きくなっても熱効果の影響を効率的に低減することができた。
また、ファラデー媒質2のZ軸に垂直な方向の断面が、アスペクト比が2以上になるように形成されているので、ファラデー媒質2の体積に対する冷却面積の比率を大きくすることができ、ファラデー媒質2内の屈折率を一方向に効果的に分布させることができるので、高出力化された入射光Oinのエネルギー損失をより一層低減することができる。
次に、上述したファラデーローテータ1を用いたファラデーアイソレータ21の構成について説明する。
図4は、ファラデーアイソレータ21の構成を示す斜視図である。ファラデーアイソレータ21は、レーザ発振器等の光源から入射光が入射した場合に、その入射光によって生じる反射光を光源側に戻ることを防止するための光学素子である。同図に示すように、ファラデーアイソレータ21は、ファラデーローテータ1と、ファラデーローテータ1の後段に配置された45度の偏光回転子であるクオーツローテータ24と、ファラデーローテータ1及びクオーツローテータ24とを端面側から挟むように配置された入射側ポラライザ22及び出射側ポラライザ23とから構成されている。
同図においてZ軸に沿って入射光Oinが入射するとした場合、ファラデーローテータ1は、永久磁石5による印加磁界がZ軸に平行になり、かつ入射光Oinがファラデー媒質2の端面の中心部に入射するように配置される。ここで、図1と同様に、ファラデー媒質2の断面長辺側の側面に垂直な方向をX軸方向、ファラデー媒質2の断面短辺側の側面に垂直な方向をY軸方向とする。
入射側ポラライザ22及び出射側ポラライザ23は、ある方向の直線偏光のみを透過させることができる板状の光学素子である。入射側ポラライザ22は、ファラデーローテータ1の入射側において、Z軸と垂直に交わるようにファラデーローテータ1に離間して設けられ、Y軸方向の直線偏光のみを透過させる。また、クオーツローテータ24は、入射光の偏光面を光の進行方向に向かって時計回りに45度回転させる。一方、出射側ポラライザ23は、クオーツローテータ24の出射側において、Z軸と垂直に交わるようにファラデーローテータ1及びクオーツローテータ24に離間して設けられ、Y軸方向の直線偏光のみを透過させる。
このようなファラデーアイソレータ21においては、Y軸方向の直線偏光が入射光Oinとして+Z方向に進行すると、入射側ポラライザ22を透過した後にファラデーローテータ1の入射側端面に入射する。そうすると、入射光Oinがファラデーローテータ1を透過する間に、偏光面が+Z方向に向かって反時計回りに45°回転されて、直線偏光の出射光Ooutとしてファラデーローテータ1の出射側端面から出射される。そして、出射光Ooutは、クオーツローテータ24を透過することにより再びY軸方向の直線偏光に戻され、出射側ポラライザ23を透過して+Z方向に進行する。このとき、何らかの要因により、出射光Ooutが反射されて戻り光として戻ってくると、その出射光Ooutは、出射側ポラライザ23、クオーツローテータ24及びファラデーローテータ1を透過する間に、−Z方向に向かって時計回りに90°偏光面が回転され、X軸方向の直線偏光として入射側ポラライザ22に入射する。そのため、出射光Ooutは、入射側ポラライザ22によって遮られるので光源方向に戻ることが防止される。つまり、ファラデーアイソレータ21は、Z軸に沿った光路において+Z方向にのみ光を伝搬させることができる。
以上説明したファラデーローテータ1及びファラデーアイソレータ21は、レーザシステムに使用することができる。図5は、ファラデーローテータ1及びファラデーアイソレータ21a,21bを有する多重パス増幅方式のMOPAレーザシステム100の構成を示す図である。
MOPAレーザシステム100は、複数の反射板によって構成される光路上に、ファラデーローテータ1及びファラデーアイソレータ21a,21bの他、レーザ発振器111、前置増幅器112、空間フィルター113a,113b、レーザ増幅器114a,114b、拡大光学系115、及び出力用ポラライザ(出力部)116を備えている。
直線偏光である被増幅レーザ光を生成するレーザ発振器111から、被増幅レーザ光が前置増幅器112に入射され、その被増幅レーザ光は、前置増幅器112によって増幅される。増幅された被増幅レーザ光は、ファラデーアイソレータ21aを透過して空間フィルター113aに入射する。ファラデーアイソレータ21aは、レーザ光のレーザ発振器111側への逆行によるレーザ発振器111や前置増幅器112の損傷を防止する。空間フィルター113aは、レーザ光のビームパターンを光学像として転送(像転送)する役割を担う。
その後、被増幅レーザ光は、レーザ増幅器114aに入射する。レーザ増幅器114a,114bは、固体レーザ媒質117a,117bと固体レーザ媒質117a,117bを挟むように配置された一対の励起光源118a,118bを有し、励起光の照射に応じて反転分布を形成し、特定の波長の光を誘導放出することができる。励起光源118a,118bは、励起光を生成して固定レーザ媒質117a,117bに照射して固定レーザ媒質117a,117bを励起する。例えば、固体レーザ媒質117a,117bは、長尺のスラブ形状を有するNd添加ガラスである。レーザ増幅器114aに入射したレーザ光は、固定レーザ媒質117aの一方の端面に対して斜めに入射し、固体レーザ媒質117aの両側面で繰り返し反射されながらジグザグ光路上を進行する。レーザ光がジグザグ光路に沿って伝播する間誘導放出が生じ、レーザ光が増幅される。レーザ光は固体レーザ媒質117aの他方の端面から出射し、ミラーによって反射されて再びレーザ増幅器114aに入射し増幅される。
このようにしてレーザ増幅器114を2回透過して増幅された被増幅レーザ光は、再び空間フィルター113aを通過した後、拡大光学系115に入射する。拡大光学系115は、被増幅レーザ光のビーム径を拡大するための光学系である。拡大光学系115を通過した被増幅レーザ光は、次に、ファラデーアイソレータ21bを透過する。ファラデーアイソレータ21bは、レーザ光の拡大光学系115側への逆行を防止する。ファラデーアイソレータ21bから出射されたP波のレーザ光は、出力用ポラライザ(出力部)116に入射する。出力用ポラライザ116は、P波を透過させる性質を有するので、レーザ光は出力用ポラライザ116を透過して、空間フィルター113を通過した後、再びレーザ増幅器114aに入射し増幅される。そして、レーザ増幅器114aから出射されたレーザ光は、空間フィルター113a、レーザ増幅器114bを経由して、空間フィルター113bを往復した後、レーザ増幅器114bに戻される。その後、レーザ光は空間フィルター113a、レーザ増幅器114aを通った後、ファラデーローテータ1に入射する。ファラデーローテータ1によって45°偏光面が回転されたレーザ光が、空間フィルター113bを通ってミラーで反射されることによって、再度ファラデーローテータ1に入射する。これによりS波に変換されたレーザ光が、レーザ増幅器114a,空間フィルター113a、レーザ増幅器114b、及び空間フィルター113bの経路を1往復した後、最後に空間フィルター113bを経由してS波として出力用ポラライザ116に入射する。
以上のように、レーザ発振器111によって生成されてからレーザ増幅器114a,114bによって合計10回増幅されたレーザ光が、S波を反射する性質を有する出力用ポラライザ116において反射されて出力される。
このようなレーザシステム100によれば、被増幅レーザ光の出力を大きくして高エネルギー化しても多重パス増幅方式における偏光制御用のファラデーローテータ1、及び逆行する光の抑止用のファラデーアイソレータ21a,21bにおける熱複屈折率効果の影響を抑えることができ、全体のシステム損失を低減することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、ファラデーローテータ1の断熱部材4の代わりに、或いはこれに加えて、非磁性材料からなる熱源を用いてもよい。このような熱源としては、導電性のプラスチックシートや、内部に温水等の熱媒体を有するシート部材が好適に用いられる。このような熱源を用いることで、断熱部材では熱流束の制御が不十分な場合でも、充分な温度分布の制御が可能になる結果、ファラデーローテータ1の熱効果の影響を抑えることができる。
本発明の好適な一実施形態であるファラデーローテータの斜視図である。 (a)は、図1に示すファラデーローテータの正面図、(b)は、図1に示すファラデーローテータの背面図である。 図1のファラデーローテータに直線偏光のレーザ光を入射させた場合の偏光解消度を示すグラフである。 図1のファラデーローテータを用いたファラデーアイソレータの構成を示す斜視図である。 図1のファラデーローテータを用いたレーザシステムの構成を示す図である。
符号の説明
1…ファラデーローテータ、2…ファラデー媒質、2a,2b,2c,2d…側面、3…冷却部、4…断熱部材、5…永久磁石(磁界発生部)、100…レーザシステム、111…レーザ発振器、116…出力用ポラライザ(出力部)、Oin…入射光、Oout…出射光。

Claims (4)

  1. 磁気光学効果を有する磁気光学材料からなり、入射光の入射方向に垂直な方向に沿った断面が矩形状に形成されたファラデー媒質と、
    前記ファラデー媒質の前記断面の一方の対辺側の側面全体に亘って接して設けられた冷却部と、
    前記ファラデー媒質の前記断面の他方の対辺側の側面全体に亘って接して設けられた非磁性の断熱部材と、
    前記ファラデー媒質に前記入射方向に沿って磁界を印加する磁界発生部と、
    を備えることを特徴とするファラデーローテータ。
  2. 磁気光学効果を有する磁気光学材料からなり、入射光の入射方向に垂直な方向に沿った断面が矩形状に形成されたファラデー媒質と、
    前記ファラデー媒質の前記断面の一方の対辺側の側面全体に亘って接して設けられた冷却部と、
    前記ファラデー媒質の前記断面の他方の対辺側の側面全体に亘って接して設けられた非磁性の熱源と、
    前記ファラデー媒質に前記入射方向に沿って磁界を印加する磁界発生部と、
    を備えることを特徴とするファラデーローテータ。
  3. 前記断面の前記一方の対辺は長辺であり、
    前記断面の前記他方の対辺は短辺である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のファラデーローテータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のファラデーローテータと、
    前記ファラデーローテータに入射するレーザ光を生成するレーザ発振器と、
    前記レーザ光を外部に出力する出力部と、
    を備えることを特徴とするレーザシステム。
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