JP5815441B2 - スイッチング半導体装置の制御装置 - Google Patents

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本発明はスイッチング半導体装置の制御装置に関する。
3相インバータなどを構成するIGBT(insulated gate bipolar transistor)やMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)などのスイッチング半導体装置を制御するための制御装置の電源は、各相間で相互に独立している。この電源は、例えば特許文献1の図2に開示されるように、絶縁トランスを使ったDC/DCコンバータで生成されることが一般的である。
特開2010−283987号公報
一般的に絶縁トランスを用いたDC/DCコンバータ(フライバック方式、フォワード方式など)で生成される電圧の精度は、およそ±10%程度のばらつきを持つ。従って、スイッチング半導体装置の制御装置が15Vで動作するのであれば、DC/DCコンバータからは15V±1.5Vの精度の電圧が供給されることとなる。
制御装置に供給される電源電圧がこの精度である場合、下限値は13.5Vとなるが、この電圧でスイッチング半導体装置のゲートを制御すると、ターンオンのスピードが遅くなり、スイッチング損失が増大する。また、オン電圧(コレクタ-エミッタ間電圧、またはドレイン-ソース間電圧)が増加して、通電時のDC損失(オン電圧×通電電流)も増加する。
逆に15V±1.5Vの精度での上限値は16.5Vとなり、この電圧でスイッチング半導体装置のゲートを制御すると、ターンオンのスピードが早くなり、リカバリサージが増大し、場合によってはブレークダウンが生じる可能性がある。
このため、3相インバータなどの半導体装置モジュールの設計では、電源電圧の上限値、下限値での特性に適合するように半導体装置モジュールを調整していた。例えば、発熱余裕度を確保するためにチップサイズを大きくしたり、サージ電圧を抑制するためにスイッチングスピードを遅く設定しており、半導体装置モジュールの容積の増大やコストの増加につながっていた。
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、スイッチング半導体装置を制御する制御装置の電源電圧の精度を向上させて、半導体装置モジュールの容積の増大やコストの増加を抑制することを目的とする。
本発明に係るスイッチング半導体装置の制御装置は、スイッチング半導体装置のオン、オフ動作を制御する制御装置であって、第1の電源電圧を与える第1の端子に一方の主電極が接続された第1導電型の第1のトランジスタと、第2の電源電圧を与える第2の端子に一方の主電極が接続され、他方の主電極が、前記第1のトランジスタの他方の主電極に接続された第2導電型の第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとの接続ノードと前記第2の端子との間に接続され、前記接続ノードに与えられる第3の電源電圧を分圧する分圧抵抗と、前記分圧抵抗によって分圧された分圧電圧と、参照電源から与えられる参照電圧とを比較し、比較結果に基づいた信号を前記第1および第2のトランジスタの制御電極に与えて前記第1および第2のトランジスタを相補的に制御するコンパレータと、前記第3の電源電圧を動作電源として動作し、前記スイッチング半導体装置の制御信号を出力するドライブ回路とを備え、前記コンパレータは、前記第3の電源電圧が所定値よりも高くなった場合に前記第1のトランジスタをオフ、前記第2のトランジスタをオンし、前記第3の電源電圧が前記所定値以下となった場合に前記第1のトランジスタをオン、前記第2のトランジスタをオフするように前記信号を出力することで、前記第3の電源電圧を前記所定値に保つ。
本発明に係るスイッチング半導体装置の制御装置によれば、第3の電源電圧が所定値に保たれるので、第1の電源電圧の電圧精度が低い場合であっても、スイッチング半導体装置の制御信号を出力するドライブ回路の動作電源の電圧精度を高めることができ、スイッチング半導体装置のスイッチング損失や通電時のDC損失を低減でき、またサージ電圧を抑制できるので、スイッチング半導体装置を含む半導体装置モジュールの容積の増大やコストの増加を抑制することができる。
3相インバータの構成を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態の制御装置の構成を示す図である。
<実施の形態>
<装置構成>
まず、3相インバータの構成について図1を用いて説明する。図1に示すように3相インバータIVは、電源PWから電源電圧VCCが与えられる電源線Pと、接地電位に接続される電源線N間に直列に接続された3つのインバータIV1〜IV3で構成されている。なお、PN線間にはコンデンサC1が接続されているが、これは電源PWから供給される電流を平滑化するためのものである。
インバータIV1は、電源電圧VCCが与えられる電源線Pと、接地電位に接続される電源線N間に直列に接続されたIGBT1および2と、IGBT1および2にそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD1およびD2を備えている。なお、IGBT1および2の接続ノードはU相出力となり、インダクタンス負荷L1に接続されている。
なお、IGBT1および2のゲートにはそれぞれ制御装置CC1およびCC2から制御信号が与えられる構成となっており、制御装置CC1およびCC2には、それぞれ電源P1およびN1から動作電源が供給される構成となっている。
インバータIV2も同様の構成であり、電源線P−N間に直列に接続されたIGBT3および4と、IGBT3および4にそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD3およびD4とを備えている。なお、IGBT3および4の接続ノードはV相出力となり、インダクタンス負荷L2に接続されている。
なお、IGBT3および4のゲートにはそれぞれ制御装置CC3およびCC4から制御信号が与えられる構成となっており、制御装置CC3およびCC4には、それぞれ電源P2およびN1から動作電源が供給される構成となっている。
インバータIV3は、電源線P−N間に直列に接続されたIGBT5および6と、IGBT5および6にそれぞれに逆並列接続されたフリーホイールダイオードD5およびD6とを備えている。なお、IGBT5および6の接続ノードはW相出力となり、インダクタンス負荷L3に接続されている。
なお、IGBT5および6のゲートにはそれぞれ制御装置CC5およびCC6から制御信号が与えられる構成となっており、制御装置CC5およびCC6には、それぞれ電源P3およびN1から動作電源が供給される構成となっている。
ここで、電源P1〜P3は、それぞれが独立した電源であるが、電源N1は共通の電源であり、電源P1〜P3およびN1は、絶縁トランスを用いたDC/DCコンバータによって実現される電源である。
次に、本発明に係る実施の形態の制御装置の構成について説明するが、以下の説明では、図1に示したインバータIV1を例に採って説明する。
図2はインバータIV1におけるインバータ部分の構成と、制御装置CC1の構成を示している。なお、制御装置CC2については制御装置CC1と基本的には同じであるので、図示は省略している。
図2に示すように、制御装置CC1は、電源P1から電源電圧VD1(18V±1.5V)が供給される端子T1にコレクタが接続されたトランジスタQ2と、トランジスタQ2のエミッタにエミッタが接続されたトランジスタQ1とでインバータIVXが構成され、トランジスタQ1とQ2との接続ノードN1がインバータIVXの出力ノードとなる。なお、電源電圧VD1を18Vとするのは、トランジスタQ2のベース-エミッタ間での電圧降下(例えば0.6V)とマージンを考慮してのことである。
そして、インバータIVXの出力が電源電圧VD2(15V±0.5V)としてドライブ回路DCおよび出力バッファDBの動作電源として与えられる構成となっている。ここで、トランジスタQ2はNPN型バイポーラトランジスタであり、トランジスタQ1はPNP型バイポーラトランジスタである。なお、電源電圧VD2は端子T3から取り出すことができる。
ドライブ回路DCは、入力信号INをインバータによって反転して出力する回路である。なお、入力信号INは図示されない外部回路から与えられるパルス信号であり、この信号に基づいてIGBT1のオン、オフ制御を行う。
ここで、制御装置CC1は、インバータIV1の高電位側のIGBT1を制御するため、接地電位からは絶縁されたフローティングの電位を基準電位COMとしている。このため、入力信号INも外部回路からレベルシフト回路(図示せず)を介してレベルシフトされて与えられることとなる。
なお、制御装置CC2は、インバータIV1の低電位側のIGBT2を制御するので、接地電位を基準電位COMとし、入力信号INをレベルシフト回路(図示せず)を介して与える必要はない。
出力バッファDBは、ドライブ回路DCの出力を増幅してIGBT1のゲートに与えるための構成であり、反転出力と、非反転出力とを有している。出力バッファDBの非反転出力は、抵抗Rg1を介してIGBT1のゲートに接続され、出力バッファDBの反転出力は、抵抗Rg2を介してIGBT1のゲートに接続されている。なお、抵抗Rg1は、は、IGBT1のオン時のスイッチングスピードを設定する抵抗であり、抵抗Rg2は、IGBT1のオフ時のスイッチングスピードを設定する抵抗である。
IGBT1とIGBT2との接続ノードは、インダクタンス負荷L1に接続されると共に、ドライブ回路DCの接地端子GNDに接続されている。なお、ドライブ回路DCの接地端子GNDは、制御装置CC1の基準電位COMを与える基準端子T2に接続されている。なお、制御装置CC1は、インバータIV1の高電位側のIGBT1を制御するため、接地電位からは絶縁されたフローティングの電位を基準電位COMとしている。このため、ドライブ回路DCの接地端子GNDは、名称通りの接地電位を供給するものではない。
なお、制御装置CC2は、インバータIV1の低電位側のIGBT2を制御するので、接地電位を基準電位COMとすることとなる。
基準端子T2には、トランジスタQ1のコレクタが抵抗R11を介して接続されている。また、接続ノードN1と基準端子T2との間には、電源電圧VD2を分圧するための分圧抵抗R1およびR2が直列に接続されている。そして、抵抗R1とR2の接続ノードは、コンパレータCP1の非反転入力(+)に接続され、コンパレータCP1の反転入力(−)には参照電源Vref1の正極が接続され、参照電源Vref1の負極は基準端子T2に接続されている。
そして、コンパレータCP1の出力は抵抗R10を介してトランジスタQ1およびQ2のベースに与えられる構成となっている。
このような構成の制御装置CC1においては、トランジスタQ1およびQ2によるプッシュプル動作で電源電圧VD2の電圧を制御することで、電源電圧VD2の電圧精度を高めることができる。
<動作>
以下、トランジスタQ1およびQ2によるプッシュプル動作について説明する。端子T1に供給された電源電圧VD1(18V±1.5V)は、トランジスタQ2がオンしている状態ではインバータIVXの出力ノードN1に出力されるが、ここで、出力ノードN1の電圧は、参照電源Vref1の参照電圧との比較により制御されることとなる。
すなわち、電源電圧VD2は抵抗R1およびR2により、例えば10分の1に分圧され、コンパレータCP1の非反転入力に与えられる。一方、コンパレータCP1の反転入力には、参照電源Vref1の参照電圧が入力され、コンパレータCP1において分圧された電源電圧VD2と参照電圧との比較が行われる。ここで、参照電圧は、例えば1.5V±0.05Vの電圧精度を有しており、これがコンパレータCP1のしきい値電圧となり、結果的に電源電圧VD2の電圧精度を高めることとなる。
このような構成において、電源電圧VD1が変動して18Vを超えた場合、例えば+1V変動して19Vに上昇した場合、それに応じてコンパレータCP1の非反転入力に与えられる分圧も上昇する。その場合、コンパレータCP1のしきい値電圧よりも高くなり、コンパレータCP1がトランジスタQ1およびQ2に対して高電位(「H」)信号を出力し、トランジスタQ2がオフしてトランジスタQ1がオンすることとなる。この結果、出力ノードN1の電流がトランジスタQ1を介して流出し(プル動作)、出力ノードN1の電圧が低下して、ドライブ回路DCや出力バッファDBの電源電圧は低下する。
そして、出力ノードN1の電圧が低下し、18V以下となると、コンパレータCP1の非反転入力に与えられる分圧も低下する。その結果、コンパレータCP1のしきい値電圧以下となると、コンパレータCP1がトランジスタQ1およびQ2に対して低電位(「L」)信号を出力することで、トランジスタQ1がオフしてトランジスタQ2がオンすることとなる。この結果、出力ノードN1にはトランジスタQ2を介して電流が流入し(プッシュ動作)、出力ノードN1の電圧が上昇し、ドライブ回路DCや出力バッファDBの電源電圧が上昇する。
このように、電圧精度の高い参照電源Vref1を用いて、コンパレータCP1によりトランジスタQ1およびQ2によるプッシュプル動作を制御することで、インバータIVXの出力ノードN1の電圧、すなわち、電源電圧VD2の電圧精度を15V±0.5Vに追随性良く保つことができる。
例えば、電源電圧VD1が仮に+1V変動した場合、電源電圧VD2の追随性が悪いと16VでIGBTを駆動する期間が長くなり、IGBTのスイッチング時のサージ電圧が大きくなり、場合によっては耐圧を超えてブレークダウンを起こす可能性があるが、本発明に係る制御装置では、このような問題を防止できる。
また、電源電圧VD1が仮に−1V変動した場合、追随性が悪いと14VでIGBT1を駆動する期間が長くなり、この期間IGBTのスイッチング時の損失が大きくなり、自己発熱により耐熱を超えてIGBTが焼損する可能性があるが、本発明に係る制御装置では、このような問題を防止できる。
また、コンパレータCP1は、出力ノードN1の電圧の変動に追随できる性能が要求されるが、その性能はIGBTの動作周波数に基づいて決定される。すなわち、IGBTの動作周波数は一般的に1kHz〜20kHzであり、仮に20kHzの場合は1周期は50μsecとなる。
ここで、コンパレータCP1のスルーレート(最大応答速度)を10V/μsecとすれば、ほぼ1μsecで追随できることとなり、コンパレータCP1の性能としては充分と言える。
また、トランジスタQ1およびQ2によるプッシュプル動作を行うので、プル動作は回路の消費電流のみに依存する場合に比べてプル動作による電圧降下の速度を速めることができ、電圧変動に対する追随性を高めることができる。
すなわち、トランジスタQ1を設けない場合、回路の消費電流による電圧降下しか起きない。例えば、電源PWの平滑用のコンデンサC1の容量(C)を10μF、回路の消費電流(I)を40mA、電圧変動(ΔV)を1Vとすると、変動時間(t)は、ΔQ=C・ΔV、ΔQ=I・tより、t=C・ΔV/I=10μF×1V/40mA=250μsecとなり、電圧変動分の電圧を降下させるには250μsec要することとなる。
上述したIGBTの1周期は最大で50μsecなので、追随できず上述した問題を解消できない。
なお、参照電源Vref1の電圧精度は、1.5V±0.05Vとしたがこれに限定されるものではなく、さらに高精度の電源を用いることで電源電圧VD2の電圧精度を高めても良い。また、電源電圧VD2の電圧精度を上記の値に維持できるのであれば反対に電圧精度の低い電源を用いても良い。現実的には参照電源Vref1の電圧精度は、例えば±3%〜±5%の範囲とすれば良い。このような電圧精度とすることで、電源電圧VD2の電圧精度を±3%〜±5%に保つことができる。
また、電源電圧VD2は抵抗R1およびR2により、10分の1に分圧されものとしたがこれに限定されるものではなく、より低い電圧に分圧しても良いし、より高い電圧に分圧しても良い。
<効果>
以上説明したように、本発明に係る実施の形態の制御装置によれば、電源電圧VD2の電圧精度を15V±0.5Vに保つことにより、インバータIV1を構成するIGBT1のスイッチング損失や通電時のDC損失を低減でき、またサージ電圧を抑制できるので、半導体装置モジュールの容積の増大やコストの増加を抑制できる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
Q1,Q2 トランジスタ、Vref1 参照電源、CP1 コンパレータ。

Claims (2)

  1. スイッチング半導体装置のオン、オフ動作を制御する制御装置であって、
    第1の電源電圧を与える第1の端子に一方の主電極が接続された第1導電型の第1のトランジスタと、
    第2の電源電圧を与える第2の端子に一方の主電極が接続され、他方の主電極が、前記第1のトランジスタの他方の主電極に接続された第2導電型の第2のトランジスタと、
    前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとの接続ノードと前記第2の端子との間に接続され、前記接続ノードに与えられる第3の電源電圧を分圧する分圧抵抗と、
    前記分圧抵抗によって分圧された分圧電圧と、参照電源から与えられる参照電圧とを比較し、比較結果に基づいた信号を前記第1および第2のトランジスタの制御電極に与えて前記第1および第2のトランジスタを相補的に制御するコンパレータと、
    前記第3の電源電圧を動作電源として動作し、前記スイッチング半導体装置の制御信号を出力するドライブ回路と、を備え、
    前記コンパレータは、
    前記第3の電源電圧が所定値よりも高くなった場合に前記第1のトランジスタをオフ、前記第2のトランジスタをオンし、
    前記第3の電源電圧が前記所定値以下となった場合に前記第1のトランジスタをオン、前記第2のトランジスタをオフするように前記信号を出力することで、前記第3の電源電圧を前記所定値に保つことを特徴とする、スイッチング半導体装置の制御装置。
  2. 前記参照電源の電圧精度は±3%〜±5%の範囲に設定される、請求項1記載のスイッチング半導体装置の制御装置。
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