JP5810985B2 - 湿式多板クラッチ - Google Patents

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Description

本発明は、複数のインナプレートと複数のアウタプレートとの摩擦接合部分に潤滑油が供給されるよう構成された湿式多板クラッチに関する。
湿式多板クラッチにおいて、交互に配置された複数のインナプレートと複数のアウタプレートとは、ピストンの進退によって積層方向に押圧されることで、互いに摩擦接合する。インナプレートとアウタプレートとが接合していない非接合状態から、両者が摩擦接合する接合状態へ移行する際には、両者が摩擦摺動する。接合部に供給される潤滑油は、摩擦摺動する接合部の焼き付きを防いでいる。
そして、潤滑油の油温が低いときには、接合部への潤滑油の供給量は少なくてもよいが、油温が高いときには、接合部への潤滑油の供給量を多くする必要がある。なぜならば、焼き付きはプレート温度が高いほど生じやすく、接合時の摩擦熱を潤滑油にて冷却することで焼き付き防止をしているためである。したがって、潤滑油温が低い時は少ない給油量でプレート冷却ができるが、油温が高い時は多量の給油が必要である。
そこで、特許文献1に開示された湿式多板クラッチは、熱変形部材を利用して、油温が高いときには、接合部への潤滑油の供給量が多くなるよう構成している。すなわち、熱変形部材をピストンとアウタプレートとの間に介在させて、油温に応じてピストンのストローク量が変化するようにして、油温が低いときよりも高いときに、接合部への潤滑油の供給量が多くなるようにしている。具体的には、油温が高いときにピストンのストローク量が小さくなり、ピストンがインナプレートとアウタプレートとを押し付けた状態においても、接合部への潤滑油の供給路の一部が閉じないようにして潤滑油の供給量が多くなるようにしている。
特開昭64−26030号公報
しかしながら、特許文献1に記載の湿式多板クラッチにおいては、非接合状態において、潤滑油の供給路が全開の状態となるため、潤滑油がアウタプレートとインナプレートとの間に多く供給される構成となっている。その結果、アウタプレートとインナプレートとの間に、潤滑油を介した引き摺り損失(ドラグトルク)が生じてしまう。すなわち、非接合状態においては、プレート間にある潤滑油をインナプレートとアウタプレートとの回転数差によりせん断するため、潤滑油の量が多いと、引き摺り損失が大きくなり、クラッチの効率を低下させることとなる。
また、熱変形部材がピストンとアウタプレートとの間に介在した構成においては、ピストンがアウタプレートを押圧する際に、その押圧力によって熱変形部材が変形してしまい、潤滑油の供給量の正確な制御ができなくなるおそれがある。また、ピストンの押圧力によっては、熱変形部材が破壊されてしまうおそれも考えられる。
また、潤滑油の油温に応じて熱変形部材の長さが変化するため、ピストンのストローク量が変化する。それゆえ、このストローク量の変化も考慮したクラッチの切換え制御を行う必要があり、制御が複雑となるという問題もある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、非接合状態における引き摺り損失を防ぐことができ、潤滑油の供給量の制御が容易であると共にクラッチ切換え制御が容易である湿式多板クラッチを提供しようとするものである。
本発明の第1の態様は、シャフトに取り付けられたインナドラムと、
該インナドラムに対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられた複数のインナプレートと、
上記インナドラムに対して相対的に回転可能に取り付けられたアウタドラムと、
該アウタドラムに対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられるとともに上記インナプレートと交互に配置された複数のアウタプレートと、
該アウタプレート及び上記インナプレートを軸方向に押圧してこれらを摩擦接合させるピストンと、
該ピストンによる押圧時に上記複数のインナプレート及び上記複数のアウタプレートの軸方向の摺動を制限する摺動規制手段と、
上記インナドラムの内側に配置されて該インナドラムの内周面に外周面を対向させるとともに、上記ピストンに接続されて該ピストンと連動して軸方向にスライドするよう構成されたスライドドラムと、
該スライドドラムの内側に潤滑油を供給する油供給路と、
上記スライドドラムを径方向に貫通したスライド通油孔と、
上記インナドラムを径方向に貫通したインナ通油孔とを備え、
上記アウタプレートと上記インナプレートとが互いに離間した非接合状態よりも、上記ピストンの押圧によって上記アウタプレートと上記インナプレートとが摩擦接合された接合状態の方が、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成されており、
上記インナドラムの内側には遊星歯車機構が形成されており、該遊星歯車機構は、上記インナドラムに固定されたリングギアと、該リングギアの内側に配されて該リングギアと噛合する複数のピニオンギアと、該複数のピニオンギアを軸支して上記リングギアに対して相対的に回転可能なキャリアと、上記複数のピニオンギアと噛合して上記シャフトに軸支されると共に該シャフトと共に回転するよう構成されたサンギアとを備え、上記シャフトは、回転運動の運動エネルギーを蓄積可能なフライホイールと接続されていることを特徴とする湿式多板クラッチにある(請求項1)。
本発明の第2の態様は、シャフトに取り付けられたインナドラムと、
該インナドラムに対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられた複数のインナプレートと、
上記インナドラムに対して相対的に回転可能に取り付けられたアウタドラムと、
該アウタドラムに対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられるとともに上記インナプレートと交互に配置された複数のアウタプレートと、
該アウタプレート及び上記インナプレートを軸方向に押圧してこれらを摩擦接合させるピストンと、
該ピストンによる押圧時に上記複数のインナプレート及び上記複数のアウタプレートの軸方向の摺動を制限する摺動規制手段と、
上記インナドラムの内側に配置されて該インナドラムの内周面に外周面を対向させるとともに、上記ピストンに接続されて該ピストンと連動して軸方向にスライドするよう構成されたスライドドラムと、
該スライドドラムの内側に潤滑油を供給する油供給路と、
上記スライドドラムを径方向に貫通したスライド通油孔と、
上記インナドラムを径方向に貫通したインナ通油孔とを備え、
上記アウタプレートと上記インナプレートとが互いに離間した非接合状態よりも、上記ピストンの押圧によって上記アウタプレートと上記インナプレートとが摩擦接合された接合状態の方が、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成されており、
上記インナドラムの内側には遊星歯車機構が形成されており、該遊星歯車機構は、上記インナドラムに固定されたリングギアと、該リングギアの内側に配されて該リングギアと噛合する複数のピニオンギアと、該複数のピニオンギアを軸支して上記リングギアに対して相対的に回転可能なキャリアと、上記複数のピニオンギアと噛合して上記シャフトに軸支されると共に該シャフトと共に回転するよう構成されたサンギアとを備え、上記シャフトは、回転運動の運動エネルギーを蓄積可能なフライホイールと接続されていることを特徴とする湿式多板クラッチにある(請求項3)
上記湿式多板クラッチにおいては、上記非接合状態よりも上記接合状態の方が、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さくなる。そのため、上記接合状態において上記インナプレートと上記アウタプレートとの接合部に充分に潤滑油を供給しつつ、上記非接合状態において上記接合部への潤滑油の供給量を抑制することができる。
すなわち、上記接合状態において、スライド通油孔とインナ通油孔との間の流通抵抗を小さくすることができるため、接合部への潤滑油の供給量を多くすることができ、潤滑油を通じて接合部における摩擦熱を充分に放熱し、プレートの焼き付を防止することができる。その一方で、上記非接合状態において、スライド通油孔とインナ通油孔との間における潤滑油の流通抵抗を大きくして、インナプレートとアウタプレートとの間に供給される潤滑油の量を抑制することができる。その結果、インナプレートとアウタプレートとの間の回転数差により生じる潤滑油のせん断量が減少し、引き摺り損失の発生を抑制することができる。
また、上記スライド通油孔を設けたスライドドラムは、上記ピストンに接続されている。そのため、ピストンが軸方向にスライドしたとき、スライド通油孔とインナ通油孔との相対位置が変化して、スライド通油孔とインナ通油孔と間における潤滑油の流通抵抗が変化するよう構成することができる。それゆえ、接合状態と非接合状態との切換え時におけるピストンの進退に連動して、接合部への潤滑油の供給量を変化させることができる。これにより、潤滑油の供給量の調整のために特に新たなアクチュエータを採用する必要がなく、潤滑油の供給量を容易に制御することができる。
また、上記のような潤滑油の供給量の調整のための機構は、ピストン自体の構造や、ピストンとアウタプレート及びインナプレートとの間の構造的関係に影響を与えるものではない。そのため、上記機構を設けることによりクラッチ切換え制御が特に複雑になることもない。
以上のごとく、本発明によれば、非接合状態における引き摺り損失を防ぐことができ、潤滑油の供給量の制御が容易であると共にクラッチ切換え制御が容易である湿式多板クラッチを提供することができる。
参考例1における、湿式多板クラッチの非接合状態の断面説明図。 参考例1における、湿式多板クラッチの接合状態の断面説明図。 図2のIII−III線矢視断面説明図。 参考例2における、湿式多板クラッチの近接状態の断面説明図。 参考例2における、湿式多板クラッチの制御方法のフロー図。 実施例1における、湿式多板クラッチの非接合状態の断面説明図。 参考例3における、湿式多板クラッチの低温時の断面説明図。 参考例3における、湿式多板クラッチの高温時の断面説明図。 参考例4における、湿式多板クラッチの接合状態の断面説明図。 実施例2における、湿式多板クラッチの接合状態の断面説明図。 実施例2における、遊星歯車機構の軸方向に直交する断面の説明図。
上記湿式多板クラッチは、例えば、車両における動力伝達手段として用いられる。
また、上記湿式多板クラッチは、例えば、上記アウタドラムを駆動側とし、上記インナシャフトを従動側として、上記アウタドラムの駆動力をインナドラムへ伝達する構成としてもよい。あるいは、上記アウタドラムは固定されており、上記シャフトの回転を制動するブレーキとして、上記湿式多板クラッチを構成してもよい。
また、上記インナドラムは、上記シャフトに固定されて該シャフトとともに回転する構成としてもよいし、上記シャフトに対して回転可能に取り付けられている構成としてもよい。
また、「周方向」、「軸方向」、「径方向」とは、特に断らない限り、上記シャフトの周方向、軸方向、径方向を意味するものとする。
また、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間における上記潤滑油の流通抵抗は、例えば、径方向における上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との重なり面積を変化させることにより、変動させることができる。すなわち、上記非接合状態においては、径方向における上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との重なり面積が小さくなるようにし、上記接合状態においては、径方向における上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との重なり面積が大きくなるようにしてもよい。
つまり、上記非接合状態よりも上記接合状態の方が、径方向における上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との重なり面積が大きくなるよう構成してもよい(請求項)。この場合には、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間における上記潤滑油の流通抵抗を容易かつ確実に変化させることができる。
あるいは、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間における上記潤滑油の流通抵抗は、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間の距離を変化させることにより、変動させることもできる。すなわち、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔とが互いに径方向に重ならない場合であっても、両者間の距離を短くすることで、流通抵抗を小さくすることができる。具体的には、上記非接合状態においては、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との距離が長くなるようにし、上記接合状態においては、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との距離が短くなるようにしてもよい。
また、第1の発明においては、上記スライドドラムと上記ピストンとの間には、温度に応じて軸方向に寸法が変化する熱変形部材が介在し、上記接合状態において、上記熱変形部材の温度が高いときの方が、上記熱変形部材の温度が低いときよりも、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成されている。
この場合には、上記インナプレートと上記アウタプレートとの接合部の温度が高いときに、接合部への潤滑油の供給量をより多くすることができる。これにより、接合部における焼き付きをより効果的に防ぐことができる。
また、上記熱変形部材は、上記スライドドラムと上記ピストンとの間に配されており、ピストンとアウタプレート及びインナプレートとの間の構造的関係に影響を与えるような位置に配されているわけではない。そのため、熱変形部材の寸法変化に伴いピストンのストロークを調整する必要はない。また、ピストンが熱変形部材を押しつけることもないため、押圧力による熱変形部材の変形や破損、それに伴うピストンのストロークの変動を招くおそれもない。
また、上記油供給路は、上記シャフトの内部に設けられた空洞部と、該空洞部から上記シャフトの外側へ連通した吐出孔とからなることが好ましい(請求項)。この場合には、上記湿式多板クラッチの構造を簡素化すると共に、省スペース化を図ることができる。
また、第1の発明において、上記インナドラムの内側には遊星歯車機構が形成されており、該遊星歯車機構は、上記インナドラムに固定されたリングギアと、該リングギアの内側に配されて該リングギアと噛合する複数のピニオンギアと、該複数のピニオンギアを軸支して上記リングギアに対して相対的に回転可能なキャリアと、上記複数のピニオンギアと噛合して上記シャフトに軸支されると共に該シャフトと共に回転するよう構成されたサンギアとを備え、上記シャフトは、回転運動の運動エネルギーを蓄積可能なフライホイールと接続されている構成としてもよい(請求項)。
この場合には、上記湿式多板クラッチを利用して、上記フライホイールへの運動エネルギーの蓄積、及びフライホイールからの運動エネルギーの取り出しを円滑に行うことができる。
また、非接合状態において、インナプレートとアウタプレートとの間への潤滑油の供給量を抑制することにより、潤滑油を介してインナプレート及びインナドラムに作用するブレーキトルクを抑制することができる。これにより、リングギアにブレーキトルクが作用し難くなり、キャリアとシャフトとの間の動力の伝達を抑制することができる。その結果、遊星歯車機構を含む湿式多板クラッチにおけるエネルギー損失を低減することができる。
また、上記非接合状態には、上記インナプレートと上記アウタプレートとが軸方向に比較的離間した離間状態と、該離間状態よりも近接した近接状態とがあり、該近接状態においては、上記離間状態よりも、上記スライド通油孔と上記インナ通油孔との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成してもよい(請求項6)。この場合には、上記非接合状態から上記接合状態への移行を円滑に行うことができる。すなわち、非接合状態から接合状態に移行する際に、アウタプレートとインナプレートとの間に潤滑油を介して作用するドラグトルクを徐々に大きくすることができる。
参考例1
上記湿式多板クラッチの実施例につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例の湿式多板クラッチ1は、シャフト11に取り付けられたインナドラム2と、該インナドラム2に対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられた複数のインナプレート3と、インナドラム2に対して相対的に回転可能に取り付けられたアウタドラム4と、該アウタドラム4に対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられた複数のアウタプレート5とを有する。
図1、図2に示すごとく、複数のアウタプレート5は、複数のインナプレート4と交互に配置されている。
また、湿式多板クラッチ1は、アウタプレート5及びインナプレート3を軸方向に押圧してこれらを摩擦接合させるピストン6と、該ピストン6による押圧時に複数のインナプレート3及び複数のアウタプレート5の軸方向の摺動を制限する摺動規制手段12とを有する。
さらに、インナドラム2の内側には、スライドドラム7が配置されている。スライドドラム7は、インナドラム2の内周面に外周面を対向させるとともに、ピストン6に接続されて該ピストン6と連動して軸方向にスライドするよう構成されている。
また、湿式多板クラッチ1は、スライドドラム7の内側に潤滑油を供給する油供給路13と、スライドドラム7を径方向に貫通したスライド通油孔71と、インナドラム2を径方向に貫通したインナ通油孔21とを備えている。
湿式多板クラッチ1は、図1に示すような、アウタプレート5とインナプレート3とが互いに離間した非接合状態S1と、図2に示すような、ピストン6の押圧によってアウタプレート5とインナプレート3とが摩擦接合された接合状態S2とを取り得る。そして、図1に示す非接合状態S1よりも、図2に示す接合状態S2の方が、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間における潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成されている。
本例においては、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間における潤滑油の流通抵抗は、径方向におけるスライド通油孔71とインナ通油孔21との重なり面積を変化させることにより、変動させることができる。すなわち、非接合状態S1においては、径方向におけるスライド通油孔71とインナ通油孔21との重なり面積が小さくなるようにし、接合状態S2においては、径方向におけるスライド通油孔71とインナ通油孔21との重なり面積が大きくなるようにしている。
つまり、図1に示すごとく、非接合状態S1においては、ピストン6に接続されたスライドドラム7が後退した状態にあり、このとき、スライドドラム7に形成されたスライド通油孔71が、その外周側にあるインナドラム2に形成されたインナ通油孔21と、径方向に殆ど重なっていない。これに対し、図2に示すごとく、接合状態S2においては、ピストン6に接続されたスライドドラム7が前進した状態にあり、このとき、スライドドラム7に形成されたスライド通油孔71が、その外周側にあるインナドラム2に形成されたインナ通油孔21と、径方向に重なっている。これにより、非接合状態S1よりも、接合状態S2の方が、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間の流通抵抗が小さくなり、潤滑油がスライド通油孔71とインナ通油孔21とを介して、インナプレート3とアウタプレート5との接合部15に供給されやすくなる。
ここで、スライド通油孔71及びインナ通油孔21は、図3に示すごとく、周方向に複数個形成されている。それゆえ、インナドラム2とスライドドラム7との回転の位相差によっては、スライド通油孔71とインナ通油孔21とが径方向に重なったり重ならなかったりするし、重なる場合にもその重なり面積が変動することとなる。そこで、上記重なり面積は、インナドラム2とスライドドラム7とが相対的に回転したとき、スライド通油孔71とインナ通油孔21とが径方向に重なる面積が最大となるときの面積を意味するものとする。したがって、本例においては、インナ通油孔21とスライド通油孔71との軸方向における形成領域がオーバーラップする長さが、上記非接合状態S1よりも上記接合状態S2の方が長くなるようにしてある。
なお、インナ通油孔21とスライド通油孔71との間には、潤滑油がある程度流通できるクリアランスが形成されており、インナ通油孔21とスライド通油孔71とが互いに径方向に重ならない状態においても、流通抵抗が大きくなるだけであり、潤滑油の流通が遮断されるわけではない。
また、インナ通油孔21及びスライド通油孔71は、上述のごとく、周方向に複数個形成されていると共に、軸方向にも複数個形成されている。ただし、インナ通油孔21及びスライド通油孔71の形成個数や配置は、特に限定されるものではない。
スライドドラム7の内側へ潤滑油を供給する油供給路13は、シャフト11の内部に設けられた空洞部131と、空洞部131からシャフト11の外側へ連通した吐出孔132とからなる。吐出孔132は、スライドドラム7の内側に向かって複数個開口している。
インナドラム2は、シャフト11に対して固定されており、シャフト2と共に回転するよう構成されている。インナドラム2は、軸方向の前端側においてシャフト11に固定されており、後端側において開口している。この開口側から、スライドドラム7が、インナドラム2の内周側に挿入配置されている。スライドドラム7は、後端部においてピストン6に固定されている。ピストン6は、軸方向に進退するように作動する。それゆえ、スライドドラム7はピストン6に伴って進退し、インナドラム2に対して軸方向に移動する。
なお、本例においては、軸方向において、ピストン6がアウタプレート5及びインナプレート3を押圧する方向を「前」、その反対方向を「後」として説明する。
ピストン6は、スライドドラム7との接合部よりも外周側において、後端のアウタプレート5を押圧する。これにより、交互に配された複数のアウタプレート5と複数のインナプレート3とが互いに近付き、接触し、摩擦接合する。
図3に示すごとく、インナプレート3は、その内周側に形成された内周スプライン部32において、インナドラム2の外周面に形成された外周スプライン部22と噛合している。これにより、インナプレート3は、インナドラム2に対して、周方向には固定され、軸方向には摺動できるように保持されている。
なお、インナ通油孔21は、外周スプライン部22のスプライン歯221の間において、貫通形成されている。
アウタプレート5は、その外周側に形成された外周スプライン部52において、アウタドラム4の内周面に形成された内周スプライン部42と噛合している。これにより、アウタプレート5は、アウタドラム4に対して、周方向には固定され、軸方向には摺動できるように保持されている。また、図2に示すごとく、アウタドラム4は、前端のアウタプレート5の前面に当接するように、摺動規制手段12を設けてなる。摺動規制手段12は、アウタドラム4における内周スプライン部42に嵌合配置された円環状部材からなる。
アウタドラム4には、インナプレート3とアウタプレート5との接合部15に供給された潤滑油を排出するためのアウタ通油孔41が複数形成されている。図3に示すごとく、アウタ通油孔41は、アウタドラム4における内周スプライン部42のスプライン歯421の間において、貫通形成されている。
本例の湿式多板クラッチ1は、車両における動力伝達手段として用いられる。そして、アウタドラム4を駆動側、インナドラム2を従動側とし、湿式多板クラッチ1を接合状態S2としたときにアウタドラム4の駆動力がインナドラム2を介してシャフト11に伝わる構成となっている。
すなわち、アウタドラム4の駆動力をシャフト11に伝達しない場合には、図1に示すごとく、湿式多板クラッチ1を非接合状態S1とする。つまり、ピストン6を後退させておき、インナプレート3とアウタプレート5とを離間させておく。これにより、アウタドラム4の回転駆動力は、インナドラム2に伝わらず、シャフト11に伝わらない。
ただし、インナプレート3とアウタプレート5との間に多くの潤滑油が供給されていると、潤滑油を介してインナプレート3とアウタプレート5との間にドラグトルクが作用して、インナプレート3がアウタプレート5に引き摺られて回転することが考えられる。そこで、上記湿式多板クラッチ1においては、ドラグトルクを抑制すべく、非接合状態S1において、潤滑油がインナプレート3とアウタプレート5との接続部15に供給され難いようになっている。つまり、ピストン6が後退しているとき、ピストン6に固定されたスライドドラム7におけるスライド通油孔71が、インナドラム2に設けたインナ通油孔21からずれて、両者間における潤滑油の流通抵抗が大きくなっている。その結果、接続部15に供給される潤滑油の量は少なくなり、インナドラム2がアウタドラム4の回転に引き摺られ難くなる。
この非接合状態S1から、図2に示すごとく、ピストン6を前進させることにより、アウタプレート5とインナプレート3とを軸方向にスライドさせ、両者を摩擦接合する。これにより、アウタドラム4の回転駆動力がインナドラム2に伝わり、インナドラム2がアウタドラム4と共に回転する。これにより、アウタドラム4側の回転駆動力がシャフト11に伝達される。
この接合状態S2においては、ピストン6の前進に伴い前進したスライドドラム7に形成されたスライド通油孔71が、インナ通油孔21と径方向に重なり、両者間における潤滑油の流通抵抗が小さくなる。その結果、油供給路13よりスライドドラム7の内側に供給された潤滑油は、スライド通油孔71及びインナ通油孔21から、インナプレート3とアウタプレート5との接合部15へ供給されやすくなる。これにより、インナプレート3とアウタプレート5との摩擦によって生じる熱を逃がしやすくなり、接合部15の焼き付きを防いでいる。
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記湿式多板クラッチ1においては、非接合状態S1よりも接合状態S2の方が、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間における潤滑油の流通抵抗が小さくなる。そのため、接合状態S2においてインナプレート3とアウタプレート5との接合部15に充分に潤滑油を供給しつつ、上記非接合状態S1において上記接合部15への潤滑油の供給量を抑制することができる。
すなわち、上記接合状態S2において、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間の流通抵抗を小さくすることができるため、接合部15への潤滑油の供給量を多くすることができ、潤滑油を通じて接合部15における摩擦熱を充分に放熱することができる。その一方で、上記非接合状態S1において、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間における潤滑油の流通抵抗を大きくして、インナプレート3とアウタプレート5との間に供給される潤滑油の量を抑制することができる。その結果、インナプレート3とアウタプレート5との間に、潤滑油を介した引き摺り損失が生じることを抑制することができる。
また、上記スライド通油孔71を設けたスライドドラム7は、ピストン6に接続されている。そのため、ピストン6が軸方向にスライドしたとき、スライド通油孔71とインナ通油孔21との相対位置が変化して、スライド通油孔71とインナ通油孔21と間における潤滑油の流通抵抗が変化するよう構成することができる。それゆえ、接合状態S2と非接合状態S1との切換え時におけるピストン6の進退に連動して、接合部15への潤滑油の供給量を変化させることができる。これにより、潤滑油の供給量の調整のために特に新たなアクチュエータを採用する必要がなく、潤滑油の供給量を容易に制御することができる。
また、上記のような潤滑油の供給量の調整のための機構は、ピストン6自体の構造や、ピストン6とアウタプレート5及びインナプレート3との間の構造的関係に影響を与えるものではない。そのため、上記機構を設けることによりクラッチ切換え制御が特に複雑になることもない。
また、油供給路13は、シャフト11の内部に設けられた空洞部131と、該空洞部131からシャフト11の外側へ連通した吐出孔132とからなる。これにより、湿式多板クラッチ1の構造を簡素化すると共に、省スペース化を図ることができる。
以上のごとく、本例によれば、非接合状態における引き摺り損失を防ぐことができ、潤滑油の供給量の制御が容易であると共にクラッチ切換え制御が容易である湿式多板クラッチを提供することができる。
参考例2
本例は、図4、図5に示すごとく、アウタドラム4側の駆動力をシャフト11に徐々に伝達することができるよう構成した湿式多板クラッチ1の例である。
すなわち、本例においては、非接合状態S1に、インナプレート3とアウタプレート5とが軸方向に比較的離間した離間状態S11(図1参照)と、該離間状態S11よりも近接した近接状態S12(図4)とを設け、近接状態S12においては、離間状態S11よりも、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間における潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成している。
図4に示す状態が、上記近接状態S12であり、この状態においては、スライド通油孔71とインナ通油孔21との重なり面積が離間状態S11(図1参照)よりも大きい。すなわち、近接状態S12は、離間状態S11よりも、ピストン6を前進させて、インナプレート3とアウタプレート5との間隔を狭めている。これに伴い、スライドドラム7が前進し、スライド通油孔71がインナ通油孔21に接近し、両者が径方向に部分的に重なる。これにより、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間における潤滑油の流通抵抗が小さくなり、インナプレート3とアウタプレート5との間に潤滑油が供給されやすくなる。
これにより、アウタプレート5とインナプレート3との間にドラグトルクが発生し、アウタドラム4の回転に引き摺られるようにして、インナドラム3が回転し、シャフト11が回転する。
かかる現象を利用して、図5に示すような動力の制御が可能となる。
すなわち、例えば、シャフト11にトルクを伝達する要求がないとき、つまり要求トルクTが所定値T1未満の場合は、湿式多板クラッチ1を離間状態S11とする。これにより、インナプレート3とアウタプレート5との間への潤滑油の供給量を抑制して、引き摺り損失を防ぐ。
そして、接合状態S2では伝達不可能な微小トルクをシャフト11に伝達する要求があるとき、つまり要求トルクTが所定値T1以上でありかつT2未満である場合は、湿式多板クラッチ1を近接状態S12とする。ここで、T2>T1である。またT2は接合状態S2において発生させることのできる最小トルクであり、潤滑油の温度により変化する。特に潤滑油が低温(氷点下)時において、T2は常温(20℃程度)時に比べ数倍大きくなる。
これにより、インナプレート3とアウタプレート5との間への潤滑油の供給量を多くして、ドラグトルクを発生させる。ただし、インナプレート3とアウタプレート5とは摩擦接合されていないため、シャフト11に伝達されるトルクは比較的小さい。
より大きなトルクをシャフト11に伝達する要求があるとき、つまり要求トルクTが所定値T2以上である場合は、接合状態S2(図2)とする。これにより、インナドラム2がアウタドラム4と共に回転し、シャフト11に大きなトルクが伝わることとなる。
その他は、参考例1と同様である。また、また、図4、図5に用いた符号のうち、参考例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、参考例1と同様の構成要素等を表す。
本例の場合には、非接合状態S1(離間状態S11)から接合状態S2へ移行する際に、上記近接状態S12において、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間の潤滑油の流通抵抗が小さくなるようにしておくことができる。これにより、非接合状態S1(離間状態S11)から接合状態S2への移行時に、シャフト11に伝達されるトルクを段階的に大きくすることができる。すなわち、非接合状態S1から接合状態S2に移行する際に、アウタプレート5とインナプレート3との間に潤滑油を介して作用するドラグトルクを徐々に大きくすることができる。それゆえ、非接合状態S1から接合状態S2への移行を円滑に行うことができる。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
実施例1
本例は、図6に示すごとく、油供給路13をシャフト11の内部ではなく、シャフト11とスライドドラム7との間に配置した例である。
つまり、油供給路13は、スライドドラム7の内側に後方から挿入配置された油供給管130の内部に設けられた空洞部131と吐出孔132とからなる。
その他は、参考例1と同様である。また、図6に用いた符号のうち、参考例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、参考例1と同様の構成要素等を表す。
本例の場合には、シャフト11の内部に空洞部を設ける必要がないため、シャフト11を中実体とすることができる。それゆえ、シャフト11の強度を保ちやすい。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
参考例3
本例は、図7、図8に示すごとく、スライドドラム7とピストン6との間に、温度に応じて軸方向に寸法が変化する熱変形部材16を介在させた例である。
つまり、本例の湿式多板クラッチ1においては、スライドドラム7の後端部が、熱変形部材16を介してピストン6に固定してある。熱変形部材16は、インナドラム2やアウタドラム4、スライドドラム7などの湿式多板クラッチ1を構成する主な部材よりも熱膨張率の高い部材によって構成することができる。これにより、熱変形部材16は、温度が高くなると他の部材よりも大きい比率で膨張し、軸方向の寸法が大きくなる。熱変形部材16は、例えば、樹脂(ゴム)、亜鉛合金、バイメタル等、熱膨張率(線膨張係数)がスライドドラム7やピストン6で使用される金属材料(アルミ合金・鉄鋼等)と比較して大きい部材等によって構成することができる。
そして、接合状態S2において、図8に示す熱変形部材16の温度が高いときの方が、図7に示す熱変形部材16の温度が低いときよりも、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間における潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成してある。つまり、熱変形部材16の温度が低い場合には、図7に示すごとく、熱変形部材16の長さは短く、スライド通油孔71がインナ通油孔21に対して後方にずれており、両者の重なり面積が小さくなっている。ただし、非接合状態S1(図1参照)に比べると、重なり面積は大きくなるようにしてある。
これに対し、熱変形部材16の温度が高くなると、図8に示すごとく、熱変形部材16が膨張し、ピストン6の位置が変化しないにもかかわらず、スライドドラム7は前進する。これにより、スライド通油孔71の位置がインナ通油孔21に対して一致し、両者の重なり面積が大きくなる。これにより、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間における潤滑油の流通抵抗が小さくなり、インナプレート3とアウタプレート5との接合部15への潤滑油の供給量が多くなる。
熱変形部材16の温度は、その周囲の温度と共に変動するため、インナプレート3やアウタプレート5等の温度が高くなったときに、熱膨張部材16の温度も高くなる。それゆえ、インナプレート3やアウタプレート5の温度が高いときに、図8に示すごとく、潤滑油の流通抵抗が小さくなって、接合部15への潤滑油の供給量が自動的に増えることとなる。
その他は、参考例1と同様である。また、図7、図8に用いた符号のうち、参考例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、参考例1と同様の構成要素等を表す。
本例の場合には、インナプレート3とアウタプレート5との接合部15の温度が高いときに、接合部15への潤滑油の供給量をより多くすることができる。これにより、接合部15における焼き付きをより効果的に防ぐことができる。
また、熱変形部材16は、スライドドラム7とピストン6との間に配されており、ピストン6とアウタプレート5及びインナプレート3との間の構造的関係に影響を与えるような位置に配されているわけではない。そのため、熱変形部材16の寸法変化に伴いピストン6のストロークを調整する必要はない。また、ピストン6が熱変形部材を押しつけることもないため、押圧力による熱変形部材16の変形や破損、それに伴うピストン6のストロークの変動を招くおそれもない。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
参考例4
本例は、図9に示すごとく、スライドドラム7の内側空間70を、軸方向の前後から遮蔽する構造を設けた例である。
すなわち、スライドドラム7の前端部には、内側空間70を覆うような前方蓋部72を設けている。これにより、内側空間70を前方から遮蔽している。また、ピストン6におけるスライドドラム7との接続部を、さらにシャフト11側へ延長させた延設部61によって、内側空間70を後方から遮蔽している。ただし、前方蓋部72も、延設部61も、内側空間70を完全に遮蔽するわけではなく、シャフト11との間にクリアランスを設けて配置されている。また、スライドドラム7は回転をしない構成となっている。
その他は、参考例1と同様である。また、図9に用いた符号のうち、参考例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、参考例1と同様の構成要素等を表す。
本例の場合には、油供給路13からスライドドラム7の内側空間70へ供給された潤滑油がスライドドラム7の前方や後方において出入りすることを防ぐことにより、潤滑油が内部空間70に滞留しやすくなる。これにより、インナドラム2の回転に伴い潤滑油が攪拌されることにより生じる損失であるオイル攪拌損を低減することができる。これにより、インナドラム2の回転損失を低減して、動力伝達効率を向上させることができる。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
実施例2
本例は、図10、図11に示すごとく、遊星歯車機構8と組み合わせて、車両のエンジン・タイヤ間をつなぐ動力伝達軸(以下ドライブトレーンと呼称する)と、フライホイールとの間の動力伝達を切換えることができるよう構成した湿式多板クラッチ1の例である。
すなわち、本例の湿式多板クラッチ1においては、図10に示すごとく、インナドラム2の内側には遊星歯車機構8が形成されている。
遊星歯車機構8は、図11に示すごとく、リングギア81と、複数のピニオンギア82と、キャリア83と、サンギア84とを備えている。リングギア81は、インナドラム2に固定されている。ピニオンギア82は、リングギア81の内側に配されて該リングギア81と噛合している。キャリア83は、複数のピニオンギア82を軸支してリングギア81に対して相対的に回転可能となっている。サンギア84は、複数のピニオンギア82と噛合してシャフト11に軸支されると共にシャフト11と共に回転するよう構成されている。
そして、シャフト11は、回転運動の運動エネルギーを蓄積可能なフライホイール(図示略)と接続されている。
キャリア83は、図10に示すごとく、ドライブトレーン(図示略)に歯車・ベルト・プーリ等で接続される本体軸部831と、該本体軸部831の前端部から径方向に設けられたアーム部832と、該アーム部832から前方へ向かって突出した複数の軸芯部833とを有する。該軸芯部833にピニオンギア82が回転可能に軸支されている。
本例においては、インナドラム2は、シャフト11に固定されておらず、ボールベアリング等の軸受111を介して軸支されている。つまり、インナドラム2は、シャフト11に対して相対的に回転自在に設けられている。また、インナドラム2は、インナプレート3を保持する外筒部23と、前端に配された前板部24と、外筒部23よりも内周側において前板部24から後方へ突出した円環状の内筒部25とを有する。この内筒部25の内周面に、リングギア81が形成されている。また、前板部24に対する内筒部25の付け根付近に、潤滑油が通過できるように構成された開口部251が形成されている。また、外筒部23の後端に、内側へ突出した内方突板部231が設けてある。また、外筒部23に設けられたインナ通油孔21は、内周側の開口端に向かって拡開したテーパ部を備えている。
また、インナドラム2の外筒部23と内筒部25との間に、スライドドラム7が配置されている。スライドドラム7の前端には、その内側と外側との双方に突出した前端突板部73が設けてある。前端突板部73は、潤滑油がスライド通油孔71以外の部分を通ってスライドドラム7の内周側の空間から外周側の空間への移動することを抑制する機能を有する。
また、上記内方突板部231は、潤滑油がインナ通油孔21以外の部分を通ってインナプレート3とアウタプレート5との接合部15に移動することを抑制する機能を有する。
また、ピストン6は、電磁石43の磁力によって前進することができるよう構成されている。すなわち、アウタドラム4の一部に固定された電磁石43に対して後方に対向配置されたアーマチャ62が、ピストン6の後端部に固定されている。これにより、電磁石43のコイルに通電することにより生じる電磁石43の磁力によってアーマチャ62が前方へ引き寄せられ、ピストン6が前進する。そして、このピストン6に押されて、アウタプレート5とインナプレート3とが摩擦接合する。
また、複数のインナプレート3の間、及び複数のアウタプレート5の間には、それぞれウェーブワッシャ33、53が介設されている。これらのウェーブワッシャ33、53によって、複数のインナプレート3と複数のアウタプレート5とが互いに離れる方向に付勢されており、ピストン6の押圧力が作用しないときには、インナプレート3とアウタプレート5とが接触しないようにしてある。
これにより、電磁石43への通電、非通電によって、アウタプレート5とインナプレート3との接合状態S2と、非接合状態S1とを切換えることができる。そして、接合状態S2においては、参考例1と同様に、ピストン6に固定されたスライドドラム7におけるスライド通油孔71が、インナ通油孔21と径方向に重なり、非接合状態S1よりも、潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成されている。
また、アウタドラム4は、車両に対して固定されており、回転することはない。
このように構成された湿式多板クラッチ1は、ドライブトレーンとフライホイールとの間の動力伝達を制御することができる。つまり、例えば、ドライブトレーンの運動エネルギーをフライホイールに伝えるにあたっては、湿式多板クラッチ1を接合状態S2とする。これにより、インナドラム2に固定されたリングギア81にトルクが付加されその反力として、キャリア83の回転がピニオンギア82、サンギア84を介して、シャフト11に伝わり、シャフト11が回転することとなる。これにより、シャフト11に接続されたフライホイールが回転し、フライホイールに運動エネルギーが蓄積されることとなる。
そして、ドライブトレーンの運動エネルギーをフライホイールに伝えないようにする際には、湿式多板クラッチ1を非接合状態S1とすることにより、リングギア82は、自由に回転するため、キャリア83の回転はシャフト11に殆ど伝わらない。したがって、ドライブトレーンとフライホイールとの間の運動エネルギーのやり取りはなくなる。
逆に、フライホイールからドライブトレーンへの運動エネルギーの伝達、非伝達についても、上記と同様に、湿式多板クラッチ1を接合状態S2としたり、非接合状態S1としたりすることにより、切換えることができる。
その他は、参考例1と同様である。また、図10、図11に用いた符号のうち、参考例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、参考例1と同様の構成要素等を表す。
本例の場合には、湿式多板クラッチ1を利用して、フライホイールへの運動エネルギーの蓄積、及びフライホイールからの運動エネルギーの取り出しを円滑に行うことができる。
そして、本例においても、非接合状態S1においては、接合状態S2よりも、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間の潤滑油の流通抵抗が大きくなるよう構成してあるため、非接合状態S1において、インナプレート3とアウタプレート5との間への潤滑油の供給量を抑制することができる。これにより、潤滑油を介してインナプレート3及びインナドラム2に作用するブレーキトルクを抑制することができる。これにより、非接合状態S1において、リングギア81にブレーキトルクが作用し難くなり、キャリア83とシャフト11との間の動力の伝達を抑制することができる。その結果、遊星歯車機構8を含む湿式多板クラッチ1におけるエネルギー損失を低減することができる。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
なお、実施例1、2においては、アウタドラム4が回転駆動される構成を示したが、アウタドラム4が車両に対して固定されていて回転しない構成とすることにより、湿式多板クラッチをブレーキシステムに用いることもできる。また、インナドラム2が回転駆動されアウタドラム4が従動側となる構成とすることもできる。
また、実施例1、2において、スライド通油孔71とインナ通油孔21との間の潤滑油の流通抵抗は、スライド通油孔71とインナ通油孔21との重なり面積によって変動させる構成を示したが、流通抵抗の変動の仕方は、これに限られるものではなく、スライド通油孔71とインナ通油孔21との距離によって変動させることもできる。つまり、例えば、接合状態S2においても非接合状態S1においても、スライド通油孔71とインナ通油孔21とが径方向に重ならないようにしつつも、接合状態S2においては、スライド通油孔71とインナ通油孔21との距離を、非接合状態S1よりも短くすることで、流通抵抗を小さくすることができる。
1 湿式多板クラッチ
11 シャフト
12 摺動規制手段
13 油供給路
2 インナドラム
21 インナ通油孔
3 インナプレート
4 アウタドラム
5 アウタプレート
6 ピストン
7 スライドドラム
71 スライド通油孔
S1 非接合状態
S2 接合状態

Claims (6)

  1. シャフト(11)に取り付けられたインナドラム(2)と、
    該インナドラム(2)に対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられた複数のインナプレート(3)と、
    上記インナドラム(2)に対して相対的に回転可能に取り付けられたアウタドラム(4)と、
    該アウタドラム(4)に対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられるとともに上記インナプレート(3)と交互に配置された複数のアウタプレート(5)と、
    該アウタプレート(5)及び上記インナプレート(3)を軸方向に押圧してこれらを摩擦接合させるピストン(6)と、
    該ピストン(6)による押圧時に上記複数のインナプレート(3)及び上記複数のアウタプレート(5)の軸方向の摺動を制限する摺動規制手段(12)と、
    上記インナドラム(2)の内側に配置されて該インナドラム(2)の内周面に外周面を対向させるとともに、上記ピストン(6)に接続されて該ピストン(6)と連動して軸方向にスライドするよう構成されたスライドドラム(7)と、
    該スライドドラム(7)の内側に潤滑油を供給する油供給路(13)と、
    上記スライドドラム(7)を径方向に貫通したスライド通油孔(71)と、
    上記インナドラム(2)を径方向に貫通したインナ通油孔(21)とを備え、
    上記アウタプレート(5)と上記インナプレート(3)とが互いに離間した非接合状態(S1)よりも、上記ピストン(6)の押圧によって上記アウタプレート(5)と上記インナプレート(3)とが摩擦接合された接合状態(S2)の方が、上記スライド通油孔(71)と上記インナ通油孔(21)との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成されており、
    上記スライドドラム(7)と上記ピストン(6)との間には、温度に応じて軸方向に寸法が変化する熱変形部材(16)が介在し、上記接合状態(S2)において、上記熱変形部材(16)の温度が高いときの方が、上記熱変形部材(16)の温度が低いときよりも、上記スライド通油孔(71)と上記インナ通油孔(21)との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成されていることを特徴とする湿式多板クラッチ(1)。
  2. 請求項1に記載の湿式多板クラッチ(1)において、上記インナドラム(2)の内側には遊星歯車機構(8)が形成されており、該遊星歯車機構(8)は、上記インナドラム(2)に固定されたリングギア(81)と、該リングギア(81)の内側に配されて該リングギア(81)と噛合する複数のピニオンギア(82)と、該複数のピニオンギア(82)を軸支して上記リングギア(81)に対して相対的に回転可能なキャリア(83)と、上記複数のピニオンギア(82)と噛合して上記シャフト(11)に軸支されると共に該シャフト(11)と共に回転するよう構成されたサンギア(84)とを備え、上記シャフト(11)は、回転運動の運動エネルギーを蓄積可能なフライホイールと接続されていることを特徴とする湿式多板クラッチ(1)。
  3. シャフト(11)に取り付けられたインナドラム(2)と、
    該インナドラム(2)に対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられた複数のインナプレート(3)と、
    上記インナドラム(2)に対して相対的に回転可能に取り付けられたアウタドラム(4)と、
    該アウタドラム(4)に対して周方向に固定され軸方向に摺動可能に設けられるとともに上記インナプレート(3)と交互に配置された複数のアウタプレート(5)と、
    該アウタプレート(5)及び上記インナプレート(3)を軸方向に押圧してこれらを摩擦接合させるピストン(6)と、
    該ピストン(6)による押圧時に上記複数のインナプレート(3)及び上記複数のアウタプレート(5)の軸方向の摺動を制限する摺動規制手段(12)と、
    上記インナドラム(2)の内側に配置されて該インナドラム(2)の内周面に外周面を対向させるとともに、上記ピストン(6)に接続されて該ピストン(6)と連動して軸方向にスライドするよう構成されたスライドドラム(7)と、
    該スライドドラム(7)の内側に潤滑油を供給する油供給路(13)と、
    上記スライドドラム(7)を径方向に貫通したスライド通油孔(71)と、
    上記インナドラム(2)を径方向に貫通したインナ通油孔(21)とを備え、
    上記アウタプレート(5)と上記インナプレート(3)とが互いに離間した非接合状態(S1)よりも、上記ピストン(6)の押圧によって上記アウタプレート(5)と上記インナプレート(3)とが摩擦接合された接合状態(S2)の方が、上記スライド通油孔(71)と上記インナ通油孔(21)との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さくなるよう構成されており、
    上記インナドラム(2)の内側には遊星歯車機構(8)が形成されており、該遊星歯車機構(8)は、上記インナドラム(2)に固定されたリングギア(81)と、該リングギア(81)の内側に配されて該リングギア(81)と噛合する複数のピニオンギア(82)と、該複数のピニオンギア(82)を軸支して上記リングギア(81)に対して相対的に回転可能なキャリア(83)と、上記複数のピニオンギア(82)と噛合して上記シャフト(11)に軸支されると共に該シャフト(11)と共に回転するよう構成されたサンギア(84)とを備え、上記シャフト(11)は、回転運動の運動エネルギーを蓄積可能なフライホイールと接続されていることを特徴とする湿式多板クラッチ(1)。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式多板クラッチ(1)において、上記非接合状態(S1)よりも上記接合状態(S2)の方が、径方向における上記スライド通油孔(71)と上記インナ通油孔(21)との重なり面積が大きくなるよう構成されていることを特徴とする湿式多板クラッチ(1)。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式多板クラッチ(1)において、上記油供給路(13)は、上記シャフト(11)の内部に設けられた空洞部(131)と、該空洞部(131)から上記シャフト(11)の外側へ連通した吐出孔(132)とからなることを特徴とする湿式多板クラッチ(1)。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿式多板クラッチ(1)において、上記非接合状態(S1)には、上記インナプレート(3)と上記アウタプレート(5)とが軸方向に比較的離間した離間状態(S11)と、該離間状態(S11)よりも近接した近接状態(S12)とがあり、該近接状態(S12)においては、上記離間状態(S11)よりも、上記スライド通油孔(71)と上記インナ通油孔(21)との間における上記潤滑油の流通抵抗が小さいことを特徴とする湿式多板クラッチ(1)。
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