以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明するが、本発明の実施形態は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に説明する実施形態では、複数の画面共有端末を含む画面共有システムとして、複数の遠隔会議クライアントと、遠隔会議クライアント間の通信を仲介する遠隔会議サーバとを含み構成される遠隔会議システムを一例として説明する。
図1は、本実施形態による遠隔会議システムが実現されたネットワーク環境を示す図である。図1に示すネットワーク環境10は、ネットワーク12を介して相互に接続される遠隔会議サーバ14と、複数の遠隔会議クライアント20a〜20dとを含んで構成される。遠隔会議クライアント20は、それぞれ、ディスプレイおよびタッチパネルを備えており、タッチパネルを介しての入力操作が可能なように画面をディスプレイ上に表示する。
遠隔会議クライアント20が表示する画面は、複数の遠隔会議クライアント20間において双方向で共有することが可能とされている。以下、共有される画面を共有画面という。上記遠隔会議システムにおいて、一の遠隔会議クライアントで行われた共有画面への書き込み内容は、同一の画面共有セッションに参加する他の遠隔会議クライアント20へと伝播され、これにより画面の共有が実現される。また、図1に示す遠隔会議システムでは、さらに、遠隔会議クライアント20間でカメラ映像や音声を双方向に通信できるよう構成されている。
遠隔会議サーバ14は、遠隔会議クライアント20間のデータ送受信を仲介するサーバ機能を有する。このとき、手書きストローク、図形、テキストなどの描画オブジェクトは、背景画像とは個別に送受信される。そして、遠隔会議クライアント20側で、1以上の描画オブジェクトを背景画像に合成し、ディスプレイに表示させる表示画像データを生成する。このように、一般に更新頻度の高くかつ情報量が小さい性質を有する描画オブジェクトを背景画像とは別個に送受信することにより、効率的な遠隔会議クライアント間の画面共有を実現することが可能となる。
上記構成により、会議資料などのコンテンツを多拠点に配置された遠隔会議クライアント20間で共有することができ、また、多拠点から同時に書き込みを行うことで、コンテンツを協同的に編集することが可能となる。なお、上記遠隔会議クライアント20は、説明する実施形態では、それぞれ別のロケーションに設置されるものとするが、それぞれ任意のロケーションに設けることができる。したがって、複数の遠隔会議クライアント20が同一ロケーションに設置されることは妨げられない。
また、遠隔会議システムにおいて、上記描画オブジェクトは、各拠点において同時に作成、変更、削除され得る。本実施形態の遠隔会議システムは、このように多拠点で同時編集する場合に、描画オブジェクトの作成元の主体が認識しないうちに勝手に描画オブジェクトに対し操作が行われていたという事態を防止するべく、操作通知機能を備える。本操作通知機能では、描画オブジェクトに対して作成元の主体以外の主体が何らかの操作を行ったときに、操作内容が作成元の主体に向けて通知される。さらに、本実施形態の遠隔会議システムでは、上記事態が生じることを予防するために、遠隔会議クライアント20の画面上に描画オブジェクトの作成主体を表す作成主体表示機能を備える。
上記ネットワーク12は、特に限定されるものではないが、イーサネット(登録商標)やTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)などによるLAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)や専用線を使用して接続されるWAN(Wide Area Network)などとして構成される。しかしながら、ネットワーク12は、特に限定されるものではなく、図示しないルータを介して接続されるインターネットなどを含んでいてもよい。さらに、上記ネットワーク12は、有線若しくは無線またはこれらの混合のネットワークとして構成することができる。
以下、図2および図3を参照して、本実施形態における遠隔会議クライアント20の構成について説明する。図2は、本実施形態による遠隔会議クライアントのブロック構成図である。図2に示す遠隔会議クライアント20は、主として、制御装置としてのコンピュータ装置22と、ディスプレイ24と、該ディスプレイ24の前面に設けられたタッチパネル26と、座標検出装置用コントローラ30とを含む。
ディスプレイ24は、上記コンピュータ装置22の表示画面を表示する表示装置である。ディスプレイ24は、特に限定されるものではないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネル・ディスプレイとして構成することができる。
タッチパネル26は、所定の物体(例えば、操作者の指や専用ペンなど)との接触位置または接近位置を検出する座標検出装置である。タッチパネル26は、上記所定の物体の接触位置または接近位置の座標を検出することにより、画面上への描画オブジェクトの書き込みや、上記コンピュータ装置22の各種操作をコンピュータ装置22に伝達する。座標検出方式としては、特に限定されるものではないが、マトリクス・スイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、電磁誘導方式、静電容量方式、赤外線イメージセンサ方式などを挙げることができる。
座標検出装置用コントローラ30は、タッチパネル26に関し、操作者の指や専用ペンなどが接触または近接されるタッチ面上の座標位置の演算を行う。コンピュータ装置22は、座標検出装置用コントローラ30からの座標位置情報の入力を受けて、タッチパネル26を介して入力された描画オブジェクトをディスプレイ24に描画する処理など、システム全体の制御を行う。
図3は、図2に示したコンピュータ装置22のハードウェア構成図を示す。図3に示すコンピュータ装置22は、パーソナル・コンピュータなどの汎用コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)40と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)44と、キーボード46と、マウス48と、HDD(Hard Disk Drive)50と、グラフィック・ボード52と、ネットワークI/F54と、外部機器接続I/F56とを備える。これらの各ハードウェア要素は、バス58を介して接続される。
CPU40は、システムの全体制御を司る制御装置である。ROM42は、BIOS(Basic Input Output System)およびブートプログラムを記憶する。RAM44は、CPU40の作業領域を提供する1次記憶装置である。HDD50は、オペレーティング・システム(OS)、遠隔会議アプリケーション、各デバイスドライバおよびワードプロセッサ・表計算ソフトなどの各種アプリケーション・プログラムなどを記憶する2次記憶装置である。CPU40は、上記ROM42やHDD50に格納される各プログラムを読み出し、RAM44上に展開し、各プログラムを実行することにより、詳細は後述する画面共有機能、操作通知機能および作成主体表示機能を有する遠隔会議アプリケーションを動作させる。
キーボード46は、文字、数値、各種指示等の入力を行うために、マウス48は、カーソルやポインタの移動や範囲選択等を行うために用いられる入力装置である。グラフィックス・ボード52は、ディスプレイ24と接続され、ディスプレイ24に対する画像の表示を制御する。コンピュータ装置22とディスプレイ24とは、VGA(Video Graphic Array)、DVI(Digital Visual Interface)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、Display Port(登録商標)などの適切な映像出力インタフェースを介して接続される。ネットワークI/F54は、コンピュータ装置22により遠隔会議クライアント20をネットワーク12に接続させるインタフェース機器である。外部機器接続インタフェース56は、コンピュータ装置22と、コントローラ30など外部機器とを接続する。
なお、説明する実施形態では、図2に示したように、コントローラ30は、コンピュータ装置22から独立させた構成とされているが、他の実施形態では、コンピュータ装置22中にコントローラ30を内蔵させてもよい。さらに他の実施形態では、コンピュータ装置22自体にコントローラ30の機能を備えさせるようにすることもできる。
また、説明する実施形態では、上記コンピュータ装置22、ディスプレイ24およびタッチパネル26が一体化された遠隔会議デバイスとして説明している。しかしながら、他の実施形態では、コンピュータ装置、ディスプレイおよびタッチパネルがそれぞれ集合して構成されたシステムとして遠隔会議クライアントを実装してもよい。さらに、利用者に提供する態様としては、ディスプレイおよび該ディスプレイの前面に設けられるタッチパネルを備える電子黒板装置と、利用者が保有するコンピュータ装置にインストールする遠隔会議アプリケーションのプログラムとを含む電子黒板システムとして提供されてもよい。
さらに、説明する実施形態では、表示装置としてディスプレイ24を例に、座標検出装置としてディスプレイ24に取り付けられたタッチパネル26を例に説明しているが、これらに特に限定されるものではない。他の実施形態では、ディスプレイ24に代えてプロジェクタ装置を用い、座標検出装置をスクリーン投影面に取り付けてもよく、如何なる表示装置、如何なるポインティング・データを取得可能な入力装置を備える装置として構成することができる。また、遠隔会議デバイスは、ディスプレイ、タッチパネルおよびコンピュータが一体化したタブレット型コンピュータなどの携帯情報端末として実装してもよい。
以下、図4を参照して、第1の実施形態において実現される画面共有機能、操作通知機能および作成主体表示機能の詳細について説明する。図4は、遠隔会議システムにおいて実現される機能ブロック図を示す。図4は、遠隔会議サーバ14の機能ブロックと、遠隔会議クライアント20の機能ブロックとを示す。なお、図4には、同一画面共有セッションに参加する遠隔会議クライアント20aおよび20bが示されている。
遠隔会議サーバ14は、遠隔会議サーバ・アプリケーションを実装し、上記画面共有機能に関連して、描画オブジェクト情報通知部110と、描画オブジェクト情報通信部112とを含む。描画オブジェクト情報通信部112は、遠隔会議サーバ14が備えるNICなどを用いて、ネットワーク12上の遠隔会議クライアント20と描画オブジェクトの通信を行うための手段である。描画オブジェクト情報通信部112は、各遠隔会議クライアント20のIPアドレスなどの通信を確立させるための通信情報を管理する。
描画オブジェクト情報通知部110は、画面共有セッションを管理しており、上記描画オブジェクト情報通信部112により、一の遠隔会議クライアント(例えば20a)から送信された描画オブジェクトを受信して、同一画面共有セッションに参加する他の遠隔会議クライアント(例えば20b)に転送する。同一画面共有セッションに参加する遠隔会議クライアント20に対し描画オブジェクトを転送することにより、遠隔会議クライアント20間の画面共有が実現される。その他、遠隔会議サーバ14は、同一セッションに参加する遠隔会議クライアント20間で音声、映像などの通信を行う機能を備えるが、詳細な説明は割愛する。
遠隔会議クライアント20は、コンピュータ装置22上で動作する遠隔会議クライアント・アプリケーションを実装する。遠隔会議クライアント20は、上記画面共有機能に関連して、描画オブジェクト情報通信部120と、描画オブジェクト編集部122と、描画オブジェクト情報保存部124と、画像変換部126と、イベント検出部128と、オブジェクト操作通知部130とを含む。
描画オブジェクト情報保存部124は、遠隔会議クライアント20間で共有される描画オブジェクトを保存する。本実施形態において、共有画面は、背景画像と、0または1以上の描画オブジェクトの集合とを含むコンテナ・オブジェクトによって管理される。図5は、本実施形態における共有画面のコンテナ・オブジェクトのデータ構造を示す。
図5に示すコンテナ・オブジェクト150は、該コンテナ・オブジェクトを識別するコンテナ識別情報152と、更新時刻154と、背景画像データ156と、書き込みデータ158とを含む。コンテナ識別情報は、例えば共有されるコンテンツが複数ページからなる場合に、各ページを識別するための情報である。例えば、コンテンツは、複数のコンテナ・オブジェクトの前後関係が定義され、複数のスライドが連結されるプレゼンテーション形式として構成されてもよいし、その他、階層構造やネットワーク構造など他のデータ構造を採用してもよい。なお、説明する実施形態では、説明の便宜上、共有画面が単一のページからなる場合について説明する。
上記背景画像データ156は、その上に描画オブジェクトが書き込まれる下地となる画像であり、例えば、白地、黒地、フレーム付き画像、絵柄、図柄、写真その他の如何なる画像とすることができる。上記背景画像データ156のフォーマットは、特に限定されるものではなく、ビットマップ、JPEG、GIF、TIFFなどの如何なるラスタ・グラフィックスを採用することができ、ベクタ・グラフィックスのフォーマットも妨げられない。
書き込みデータ158は、複数の描画オブジェクト160a〜160zの集合として構成され、各描画オブジェクト160は、複数の属性情報を含み構成される。描画オブジェクトの属性情報は、主として、描画オブジェクトを記述する属性情報と、描画オブジェクトの作成元の主体を識別する主体識別情報とを含む。描画オブジェクトを記述する属性情報としては、図5に示すように、描画オブジェクトの種類(手書きストローク、図形、テキストなど)を表す属性値162a、描画オブジェクトの色を表す属性値162b、描画オブジェクトの位置データを保持する属性情報162c、描画オブジェクトのサイズを表す属性値162dなど、描画オブジェクトの形状および性質を記述する属性情報を含む。描画オブジェクト160は、さらに、オブジェクト操作通知機能の利用の要否を記述する通知要否属性値162fなど、管理用属性情報を含むことができる。
主体識別情報は、図5のデータ構造では、作成元属性値162eとして管理される。作成元属性値は、好適には、当該遠隔会議クライアント20を装置固有に識別するクライアント識別子、遠隔会議クライアント20の利用者を固有に識別する利用者識別子、遠隔会議クライアント20が設置されるロケーションを識別するロケーション識別子を挙げることができる。さらに、同一の遠隔会議クライアント20においても、ペン毎に利用者を識別可能であったり、特許文献2の技術のように撮影像から利用者を識別可能である他の実施形態では、遠隔会議クライアント20で使用されるペンを識別するペン識別子、該ペンに紐付けられる利用者識別子、または撮影像から識別された利用者識別子としてもよい。
上記通知要否属性値162fは、オブジェクト操作通知機能を適用するか否かを指定するものである。各描画オブジェクト160の通知要否属性値162fは、例えば、すべてについて「要」としたり、通知要否を切り替えるツールメニューやパレットをタッチするなどの操作に応じて設定したりすることができる。これにより、例えば、利用者は、自身が重要と認識するコメントを書き込む際に、通知要に設定するパレットをタッチしてから、描画オブジェクトを作成することにより、その重要なコメントが勝手に消されていたという事態を好適に防止することができる。
再び図4を参照すると、描画オブジェクト情報通信部120は、ネットワークI/F54などを用いて、ネットワーク12上の遠隔会議サーバ14と描画オブジェクトの通信を行うための手段である。描画オブジェクト情報通信部120は、遠隔会議サーバ14のIPアドレスなどを含む、遠隔会議サーバ14との通信を確立させるための通信情報を管理する。描画オブジェクト情報通信部120は、当該遠隔会議クライアント20において作成、変更または削除された描画オブジェクトを遠隔会議サーバ14へ送信する。描画オブジェクト情報通信部120は、また、他のクライアント20において作成、変更または削除された描画オブジェクトを、遠隔会議サーバ14を経由して受信する。
描画オブジェクト編集部122は、当該遠隔会議クライアント20のタッチパネル26を介して描画オブジェクトの作成、変更または削除の操作が行われると、該描画オブジェクトの情報を、描画オブジェクト情報保存部124に保存し、描画オブジェクト情報通信部120により遠隔会議サーバ14へ送信させる。描画オブジェクト編集部122は、また、描画オブジェクト情報通信部120により遠隔会議サーバ14から他のクライアント20で追加、変更、削除された描画オブジェクトの情報を受信して、描画オブジェクト情報保存部124に保存する。
なお、上記描画オブジェクトの作成とは、共有画面に新たな描画オブジェクトを追加することをいう。描画オブジェクト編集部122は、描画オブジェクトの作成が行われると、描画オブジェクト情報保存部124に新規保存を行う。上記描画オブジェクトの変更とは、共有画面中の描画オブジェクトの位置移動、リサイズ、回転、変形、歪み、属性(色、線種、筆、太さなどを含む。)の変更、前景後景の移動、描画オブジェクトに対する追記、部分削除、部分移動など種々の変更操作をいう。描画オブジェクト編集部122は、描画オブジェクトの変更が行われると、描画オブジェクト情報保存部124に上書き保存を行う。
また、描画オブジェクトの削除とは、共有画面から既存の描画オブジェクトを取り除くことをいう。描画オブジェクト編集部122は、描画オブジェクトの削除が行われると、既存の描画オブジェクトに削除フラグを設定して上書き保存し、または描画オブジェクト事態を消去する。また、描画オブジェクトが遠隔会議サーバ14に送信されるタイミングは、特に限定されるものではない。例えば手書きストロークを描画してペンアップするなど描画オブジェクトに対する操作が一通り完了した時に送信する構成としてもよい。あるいは、描画オブジェクト操作中に一定インターバル毎の状態を送信する構成としてもよい。
イベント検出部128は、座標検出装置を介して行われた共有画面に対する入力操作に応答して、事前登録されたイベントを検出し、対応する処理を呼び出す手段である。なお、本遠隔会議アプリケーションにおいては、描画オブジェクトに対する操作、パレットの選択、画面の切り替えなど種々のイベントに応答して種々の処理が行われるが、本イベント検出部128は、操作通知機能および作成主体表示機能に関連する事前登録されたイベントを検出して、操作通知機能および作成主体表示機能を呼び出す手段である。なお、操作通知機能および作成主体表示機能に関連して、どのようなイベントが登録されるかについては、詳細を後述する。
オブジェクト操作通知部130は、イベント検出部128により操作通知機能に関連して事前登録された操作イベントが検出されたことに応答して呼び出され、メッセージを発行する発行手段である。メッセージは、該操作イベントに対応する描画オブジェクトの作成元属性値に応じた遠隔会議クライアント(例えば20b)に対し発行される。また、メッセージの内容は、当該遠隔会議クライアント(例えば20a)に関連する主体が、メッセージ送信先の他の遠隔会議クライアント(例えば20b)に関連する作成主体により作成された描画オブジェクトに対して行う操作内容を通知するものである。
なお、オブジェクト操作通知部130が発行するメッセージは、描画オブジェクトの通信とは別経路で、遠隔会議サーバ14を経由して、または経由せず直接に送信することができる。しかしながら、メッセージの送信方法は、特に限定されるものではなく、描画オブジェクトの通信とともに、描画オブジェクトの属性情報に乗せて送信してもよい。
画像変換部126は、共有画面を規定するコンテナ・オブジェクトに従って、ディスプレイ24に表示させる表示画像データを生成する手段である。画像変換部126は、描画オブジェクト情報保存部124に保存されている描画オブジェクト群160a〜160zを読み出し、背景画像に合成することによって、表示画像データを生成する。また、画像変換部126は、ツールメニュー、パレットなど電子黒板アプリケーションで必要なGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)部品の表示処理を行う。
本実施形態の画像変換部126は、さらに、イベント検出部128により作成主体表示機能に関連して事前登録されたイベントが検出されたことに応答して、事前指定された表示条件にて作成主体を表す付加表示を行う。なお、付加表示の具体例および事前指定される表示条件については詳細を後述する。
本実施形態の画像変換部126は、さらに、上記操作通知機能に関連し、他の遠隔会議クライアント(例えば20b)から上記メッセージを受信したことに応答して、事前指定された表示条件にて、操作内容を表す画面表示をディスプレイ24の画面上に行う。上記操作内容を表す画面表示は、メッセージ送信元の遠隔会議クライアント(例えば20b)に関連する主体が、当該遠隔会議クライアント(例えば20a)に関連する主体により作成された描画オブジェクトに対して行う操作内容を示すものである。これにより、作成元主体が認識しないうちに勝手に他の主体により描画オブジェクトに対し操作が行われていたという事態が発生することを低減することができる。
以下、図6〜図9を参照して、作成主体表示機能についてより詳細に説明する。図6は、第1の実施形態における作成主体表示機能の設定画面を例示する。なお、以下の説明では、各主体は、遠隔会議クライアント20自身を指し、設置される拠点名により表されるものとする。図6に示す拠点表示設定画面200は、複数のセクション202〜206と、OKボタン208と、キャンセルボタン210とを含む。拠点表示設定画面200は、例えば、当該遠隔会議クライアント20のシステム管理画面などから呼び出される。
拠点表示設定画面200中の第1のセクション202は、拠点表示処理を呼び出すために登録される1以上の主体表示イベントを設定するセクションである。登録可能な主体表示イベントとしては、図6にチェックボックスとして示すように、オブジェクト作成中212a、オブジェクト作成完了時212b、アイドル時212c、オブジェクト・ポインタオーバ時212d、描画中ストローク接近時212e、消去モード時212f、消去モード中オブジェクト・ポインタオーバ時212g、描画オブジェクト消去時212h、選択モード時212i、およびオブジェクト選択時212jを挙げることができる。
オブジェクト作成中212aは、描画オブジェクトが作成されているときに発生するイベントである。オブジェクト作成完了時212bは、例えばペンアップされて描画オブジェクトの作成が完了したときに発生するイベントである。アイドル時212cは、一定期間入力操作が行われなかったときに発生するイベントである。オブジェクト・ポインタオーバ時212dは、ポインタが、描画オブジェクトが描画されている領域と重なったときに発生するイベントである。描画中ストローク接近時212eは、描画中のストロークが、特定の描画オブジェクトが描画されている領域の所定範囲内に近づいたときに発生するイベントである。
消去モード時212fは、ツールメニュー等により消去モードが選択されたときに発生するイベントである。消去モード中オブジェクト・ポインタオーバ時212gは、消去モード中、ポインタが描画オブジェクトの描画されている領域と重なったときに発生するイベントである。描画オブジェクト消去時212hは、描画オブジェクトを消去したとき発生するイベントである。選択モード時212iは、ツールメニュー等により選択モードが選択されたときに発生するイベントである。オブジェクト選択時212jは、描画オブジェクトが選択されたときに発生するイベントである。
なお、作成主体表示機能を呼び出すために事前登録される主体表示イベントは、特に限定されるものではなく、図6に例示されるイベントの他にも、位置移動モード、リサイズ・モードなど他のモードに移行されたこと、他のモード中に描画オブジェクトが選択されたこと、他のモード中に描画オブジェクトに対する操作が確定したことをそれぞれイベントとして登録してもよい。
拠点表示設定画面200中の第2のセクション204は、拠点表示を行う表示条件として表示方法を事前指定するセクションである。事前指定可能な表示方法としては、オブジェクトの色変更214a、オブジェクトへのピン表示214bおよび拠点情報のパネル表示214cが例示される。オブジェクト色変更214aは、オブジェクト本来の色を、拠点に対応付けられる色に変更して表示する表示方法である。オブジェクトへのピン表示214bは、拠点に対応付けられる色のピンを付して表示する表示方法である。拠点情報パネル表示214cは、拠点を表す拠点情報をパネル表示する表示方法である。なお、上記拠点情報は、ここでは拠点名を用いているが、拠点の利用者名など主体を明示する他の情報を用いてもよい。また、拠点情報に付随して、作成時刻など他の属性値を付加表示に含めてもよい。
拠点表示設定画面200中の第3のセクション206は、拠点表示を行う表示条件として表示位置を事前指定するセクションである。事前指定可能な表示位置としては、特定オブジェクトに関連付けられるオブジェクト始点216a、オブジェクト終点216b、オブジェクト中心216cおよびオブジェクト重心216dを挙げることができる。オブジェクト始点216aおよびオブジェクト終点216bは、それぞれ、描画オブジェクトの位置データにおける始点座標および終点座標を基準に表示位置が決定される。オブジェクト中心216cおよびオブジェクト重心216dは、位置データを構成する座標点の配列から計算された中心点および重心点を基準に表示位置が決定される。
事前指定可能な表示位置としては、さらに、画面に関連する画面上中央218a、画面下中央218b、画面右中央218c、画面左中央218d、画面右上218e、画面左上218f、画面右下218gおよび画面左下218hを挙げることができる。
なお、第3のセクション206の選択可能な選択肢は、第2のセクション204で選択されたオプションに応じて変更してもよい。例えば、オブジェクトへのピン表示214bは、特定の描画オブジェクトに関連付けて表示することが好ましいことから、特定オブジェクトに関連して表示する選択肢216a〜216dの中から選択するようにすることができる。また、オブジェクト色変更214aは、オブジェクトに固定されていることから、第3のセクション206を使用しないようにすることもできる。
第1のセクション202で事前登録する1以上のイベントが選択され、第2のセクション204で事前指定する表示方法が選択され、第3のセクション206で事前指定する表示位置が選択された上で、OKボタン208がタッチされると、設定内容に応じて主体表示イベントの事前登録および表示方法・表示位置の事前指定が完了する。なお、ここで設定される内容は、遠隔会議クライアント20間で共有してもよいし、共有せずに各遠隔会議クライアント20で独立して設定されてもよい。
上述した事前登録可能な主体表示イベントは、特定の描画オブジェクトに対するイベントと、特定の描画オブジェクトとは直接関係のないイベントとに分類することができる。図6中、アイドル時212c、消去モード時212f、選択モード時212iは、ツールメニューやパレットに対するイベントであり、特定の描画オブジェクトと直接関係のないイベントに該当する。以下、図7および図8を参照して、特定の描画オブジェクトに対するイベントに対する処理フロー、および描画オブジェクトと直接関係のないイベントに対する処理フローについて、それぞれ説明する。
図7は、事前登録された描画オブジェクトに対する主体表示イベントに応答して実行される拠点表示処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は、イベント検出部128が事前登録されたイベントを検知したことに応答して、ステップS100から開始される。ステップS101では、画像変換部126は、検知された事前登録イベントに対応する描画オブジェクトについて、描画オブジェクト情報保存部124から作成元属性値を取得する。ステップS102では、画像変換部126は、検知された事前登録イベントに対応する描画オブジェクトの作成元属性値を用いて、作成元を表す付加表示を事前指定された表示方法にて表示位置に表示させる。
ステップS103では、表示解除イベントの発生を待ち受け、表示解除イベントが通知されるまでの間(NOの間)、ステップS103をループさせる。ここで、表示解除イベントとは、上記付加表示を消去するイベントであり、特に限定されるものではないが、所定のタイマーが満了したこと、ポインタオーバが解除されたこと、またはモードが切り替わったことなどを例示することができる。例えば、事前登録イベント「オブジェクト・ポインタオーバ時」であれば、当該描画オブジェクトの描画領域からポインタが放れたタイミングを表示解除イベントとすることができる。その他、イベント「消去モード時」であれば、消去モードとなってから一定時間経過したタイミング、消去モードから他のモードに切り替わるタイミングを表示解除イベントとすることができる。
ステップS103で、イベント検出部128から表示解除イベントの発生が通知された場合(YES)は、ステップS104へ処理を進める。ステップS104では、画像変換部126は、上記付加表示をフェードアウトするなど付加表示を解除する処理を行い、ステップS105で、本事前登録イベントに対応した処理を終了させる。
図9(A)および(B)は、図7に示す処理により表示される共有画面を例示する。図9(A)は、事前登録イベント「消去モード中オブジェクト・ポインタオーバ時」に応答して、表示方法「拠点情報パネル表示」にて、表示位置「画面左下」に付加表示を行うという設定において表示される画面を例示する。図9(A)に示す画面230は、ツールメニュー232a〜232cのうちの消去モード232bが選択され、ポインタ236が手書き描画オブジェクト234の描画領域に重なっている状態を示す。図9(A)には、事前登録イベントに対応して、手書き描画オブジェクト234の作成元を示す拠点表示パネル238が表示されている。
図9(B)は、事前登録イベント「オブジェクト選択時」に応答して、表示方法「オブジェクト色変更」にて付加表示を行うという設定において表示される画面を例示する。図9(B)に示す画面240は、ツールメニュー242a〜242cのうちの選択モード242cが選択され、手書き描画オブジェクト244が選択され強調表示246がなされている状態を示す。図9(B)には、事前登録イベントに対応して、手書き描画オブジェクト244のストローク線248の色が、手書き描画オブジェクト244の作成元を示す色に変更されている。図9(A)および(B)に示す追加表示により、操作者は、特定描画オブジェクトを選択した際などに、特定描画オブジェクトの作成元を把握することができる。
図8は、事前登録された描画オブジェクトと直接関係のない主体表示イベントに応答して実行される拠点表示処理を示すフローチャートである。図8に示す処理は、イベント検出部128が事前登録されたイベントを検知したことに応答して、ステップS200から開始される。ステップS201〜ステップS204のループでは、描画オブジェクト毎にステップS202およびステップS203の処理が実行される。なお、該ループでは、共有画面に現在表示されているすべての描画オブジェクトを対象としてもよいが、最も新しく作成されたものから所定順位以内の描画オブジェクトのみを付加表示の対象としてもよい。
ステップS202では、画像変換部126は、描画オブジェクト情報保存部124から各描画オブジェクトの作成元属性値を取得する。ステップS203では、画像変換部126は、各描画オブジェクトの作成元属性値を用いて、作成元を表す付加表示を事前指定された表示方法にて表示位置に表示させる。
ステップS201〜ステップS204のループを抜けると、ステップS205へ処理が進められる。ステップS205では、画像変換部126は、表示解除イベントの発生を待ち受け、表示解除イベントが通知されるまでの間(NOの間)、ステップS205をループさせる。ステップS205で、イベント検出部128から表示解除イベントの発生が通知された場合(YES)は、ステップS206へ処理を進める。ステップS206では、画像変換部126は、上記付加表示を解除する処理を行い、ステップS207で、本事前登録イベントに対応した処理を終了させる。
図9(C)は、事前登録イベント「消去モード時」に応答して、表示方法「オブジェクトへのピン表示」にて、表示位置「オブジェクト終点」に付加表示を行うという設定において表示される画面を例示する。図9(C)に示す画面250は、ツールメニュー252a〜252cのうちの消去モード252bが選択された状態を示す。図9(C)には、事前登録イベントに対応して、2つの手書きオブジェクト254a,254bに対応して、作成元に対応する色の2つのピン表示256a,256bが一斉表示されている。
図9(C)に示すピン表示により、操作者は、消去モードなどを選択した際に、表示中の各描画オブジェクトの作成元を把握することができる。なお、図8に示す処理フローは、描画オブジェクトに関連づけて表示する表示方法および表示位置が指定される場合に好適に用いることができる。
以下、図10〜図12を参照して、オブジェクト操作通知機能について、より詳細に説明する。図10は、第1の実施形態におけるオブジェクト操作通知機能の設定画面を例示する。オブジェクト操作通知設定画面260は、例えば遠隔会議クライアント20のシステム管理画面などから呼び出される。また、説明する実施形態において、オブジェクト操作通知設定画面260は、操作内容の通知を受信し、表示を行う通知受信側としての設定画面である。通知発行側としては、オブジェクト操作通知の可能性のある操作イベントが予め登録されており、通知受信側で、オブジェクト操作通知設定画面260を用いて、通知表示を実施する所望の通知受信イベントを登録するものとする。
図10に示すオブジェクト操作通知設定画面260は、複数のセクション262〜266と、OKボタン268と、キャンセルボタン270とを含む。第1のセクション262は、オブジェクト操作通知を行うために登録される1以上の通知受信イベントを設定するセクションである。登録可能な通知受信イベントとしては、図10にチェックボックスとして示すように、オブジェクト選択通知受信時272a、オブジェクト消去通知受信時272b、オブジェクト編集通知受信時272c、消去モード中オブジェクト・ポインタオーバ通知受信時272dを挙げることができる。
オブジェクト選択通知受信時272aは、当該遠隔会議クライアント20が作成元である描画オブジェクトに対し、他のクライアントにより選択操作が行われた場合になされる通知を受信したことに応答して発生するイベントである。オブジェクト消去通知受信時272bは、当該遠隔会議クライアント20が作成元である描画オブジェクトに対し他のクライアントにより消去操作が行われた場合になされる通知を受信したことに応答して発生するイベントである。
オブジェクト編集通知受信時272cは、当該遠隔会議クライアント20が作成元である描画オブジェクトに対し他のクライアントにより編集操作(リサイズ、位置移動などを含む。)が行われた場合になされる通知を受信したことに応答して発生するイベントである。消去モード中オブジェクト・ポインタオーバ通知受信時272dは、当該遠隔会議クライアント20が作成元である描画オブジェクトに対し他のクライアントにおいて消去モード中に描画領域にポインタを重ねられた場合になされる通知を受信したことに応答して発生するイベントである。
なお、オブジェクト操作通知機能を呼び出すために事前登録される通知受信イベントは、特に限定されるものではなく、その他、描画中のストロークが描画オブジェクトに接近したこと、描画オブジェクトにストロークが重ね書きされたこと、あるいは描画オブジェクトが変形されたこと、その色が変更されたこと、追記されたこと、部分削除されたこと、部分移動されたことなど、描画オブジェクトに対するあらゆる編集操作に対応する通知を受信したことを上記イベントとして登録することができる。
第2のセクション264は、操作内容の表示を行う表示条件として表示方法を事前指定するセクションである。事前指定可能な表示方法としては、図10に示す例では、操作内容パネル表示274が例示される。操作内容パネル表示274は、描画オブジェクトに対し操作が行われている旨のメッセージを事前指定位置にパネル表示する表示方法である。その他、図示しないが、ダイアログ表示、描画オブジェクトに紐付けたポップアップ表示など他の表示方法を選択肢に含めてもよい。
第3のセクション266は、操作内容の表示を行う表示条件として表示位置を事前指定するセクションである。事前指定可能な表示位置としては、画面に関連して表示される、画面上中央276a、画面下中央276b、画面右中央276c、画面左中央276d、画面右上276e、画面左上276f、画面右下276gおよび画面左下276hを挙げることができる。その他、図6に示すような特定オブジェクトに関連付けて表示させる選択肢があってもよい。
第1のセクション262で事前登録する1以上のイベントが選択され、第2のセクション264で事前指定する表示方法が選択され、第3のセクション266で事前指定する表示位置が選択され、その後OKボタン268がタッチされると、設定内容に応じて通知受信イベントの事前登録および表示方法・表示位置の事前指定が完了する。なお、ここで設定される内容は、遠隔会議クライアント20間で共有してもよし、各遠隔会議クライアント20で独立して設定されてもよい。
図11は、第1の実施形態における、事前登録されたイベントに応答して実行されるオブジェクト操作通知処理および操作通知表示処理を示すフローチャートである。図11に示す処理は、イベント検出部128が事前登録されたイベントを検知したことに応答して、ステップS300から開始される。ここで、検知されるイベントは、オブジェクト操作通知の可能性のある種々の操作イベントである。なお、図11において、ステップS300〜S308の処理は、通知発行側の処理フローを示し、ステップS400〜S404の処理は、通知受信側の処理フローを示す。
ステップS301では、オブジェクト操作通知部130は、検知された操作イベントに対応する描画オブジェクトの通知要否属性値162fを参照し、ステップS302で、通知が必要か否かを判定する。ステップS302で、通知が必要であると判定された場合(YES)は、ステップS303へ処理を進める。ステップS303では、オブジェクト操作通知部130は、上記描画オブジェクトの作成元属性値162eを参照し、ステップS304で、作成元が当該遠隔会議クライアント20と異なるか否かを判定する。ステップS304で、異なる作成元の描画オブジェクトであると判定された場合(YES)は、ステップS305へ処理を進める。
ステップS305では、オブジェクト操作通知部130は、検知された操作イベントに対応する描画オブジェクトの作成元属性値162eに応じて、対応する遠隔会議クライアント20に対し、当該描画オブジェクトに対する操作内容を通知するメッセージを送信し、ステップS306へ処理を進める。
ステップS302で通知が不要と判定された場合(ステップS302:NO)およびステップS304で作成元が当該遠隔会議クライアント20であると判定された場合(ステップS304:NO)は、ステップS306へ直接進められる。ステップS306では、描画オブジェクト編集部122は、上記描画オブジェクトに対し上記操作内容による操作を反映し、描画オブジェクト情報保存部124の保存される内容を更新する。ステップS307では、画像変換部126は、描画オブジェクト情報保存部124の更新された内容で画面表示を更新し、ステップS308で、本操作イベントに対応する処理を終了させる。これにより、描画オブジェクトの変更または削除が反映される。
一方、通知受信側の遠隔会議クライアント20は、通知発行側のステップS305に示す通知のメッセージの送信に対応して、該メッセージを受信する。ステップS400〜ステップS404の処理は、通知受信側のイベント検出部128が事前登録された通知受信イベントを検知したことに応答して、ステップS400から開始される。ここで、検知される通知受信イベントは、図10に示すオブジェクト操作通知設定画面260にて事前登録された通知表示を実施する通知受信イベントである。
ステップS401では、画像変換部126は、受信した通知のメッセージが含む描画オブジェクトに対して行われた操作内容を表す付加表示を、事前指定された表示方法にて表示位置に表示させる。ステップS402では、表示解除イベントが通知されるまでの間(NOの間)、ステップS402をループさせる。表示解除イベントは、上記操作内容を表す付加表示を消去するイベントであり、特に限定されるものではないが、所定のタイマーが満了したこと、上記付加表示に確認ボタンがあるのであれば該確認ボタンがタッチされることなどを挙げることができる。
ステップS402で、イベント検出部128から表示解除イベントの発生が通知された場合(YES)は、ステップS403へ処理を進める。ステップS403では、画像変換部126は、付加表示を解除する処理を行い、ステップS404で、本通知受信イベントに対応した処理を終了させる。
図12(A)〜(C)は、オブジェクト操作通知機能により各拠点で表示される共有画面を例示する。図12(A)は、拠点Aで識別される遠隔会議クライアント20aの共有画面280Aを示す。拠点Aは、ここでは、操作主体であり、通知発行側のクライアントである。図12(B)は、拠点Bで識別される遠隔会議クライアント20bの共有画面280Bを示す。拠点Bは、描画オブジェクト284の作成元であり、通知受信側のクライアントである。図12(C)は、拠点Cで識別される遠隔会議クライアント20cの共有画面280Cを示す。拠点Cは、描画オブジェクト284の作成元でもなく、通知発行側でもなく、同一画面共有セッションに参加する他のクライアントである。
図12に示す例は、事前登録イベント「オブジェクト消去通知時」に応答して、表示方法「操作内容パネル表示」にて、表示位置「画面左下」に付加表示を行うという設定において表示される画面を例示するものである。図12(A)に示す共有画面280Aは、ツールメニュー282a〜282cのうちの消去モード282bが選択され、ポインタ286により手書き描画オブジェクト284の一部が消去されている状態を示す。図12(A)に示す共有画面280Aには、さらに、拠点表示機能により手書き描画オブジェクト284の作成元を示す拠点表示パネル288が表示されている。
一方、図12(B)に示す共有画面280Bでは、オブジェクト操作通知機能により、拠点Bで作成された描画オブジェクト284が拠点Aにより消去されている旨を示す拠点表示パネル290が表示されている。図12(C)に示す共有画面280Cには、消去されているオブジェクト284のみが表示される。
上述したように、第1の実施形態による遠隔会議システムにおいては、複数の遠隔会議クライアント20で同時編集する場合において、描画オブジェクトに対する操作が行われた際に、該描画オブジェクトの作成元に対応する遠隔会議クライアントに対し、操作内容が通知される。このため、作成元の主体が認識しないうちに勝手に他の主体により描画オブジェクトに対し操作が行われていたという事態が発生することを防止することができる。
さらに、第1の実施形態による遠隔会議システムにおいては、遠隔会議クライアント20の画面上に描画オブジェクトの作成主体を表示する作成主体表示機能を備えている。このため、作成元の主体に認識させないうちに不意に描画オブジェクトに対し操作を行ってしまうという事態が生じることを予防することができる。
なお、上述した実施形態では、イベントの事前登録に関し、通知受信側として、オブジェクト操作通知設定画面260を用いて、通知表示を実施する通知受信イベントを登録するものとして説明した。この場合、通知発行側としては、オブジェクト操作通知の可能性のあるすべての操作イベントが予め登録される。しかしながら、他の実施形態では、通知発行側として、オブジェクト操作通知を実施する操作通知イベントを事前登録する態様としてもよい。この場合、通知受信側としては、通知されるすべての通知受信イベントに応答して通知表示を実施するものとして事前登録される。
以下、上記オブジェクト操作内容を作成元に知らしめるオブジェクト操作通知機能をさらに推し進めて、描画オブジェクトに対する操作を行う際に、作成元に編集許可を申請することを特徴とする第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成を備えているため、以下、相違点を中心に説明する。また、第1の実施形態と同様の機能を有する各部については、同一符番を付して参照する。
以下、図13を参照して、第2の実施形態において実現される編集許可申請機能の詳細について説明する。図13は、第2の実施形態による遠隔会議システムにおいて実現される機能ブロック図を示す。図13は、遠隔会議クライアント20の機能ブロックを示すが、遠隔会議サーバ14の機能ブロックは、第1の実施形態と同一である。
遠隔会議クライアント20は、第1の実施形態と同様に、描画オブジェクト情報通信部120、描画オブジェクト編集部122、描画オブジェクト情報保存部124、画像変換部126およびイベント検出部128を含む。第2の実施形態による遠隔会議クライアント20は、第1の実施形態のオブジェクト操作通知部130に代えて、編集許可判定部132および編集許可通知部134を含む。描画オブジェクト情報通信部120、描画オブジェクト情報保存部124およびイベント検出部128のはたらきは、第1の実施形態と同様であるため詳細な説明を割愛する。
図14は、第2の実施形態における描画オブジェクトのデータ構造を示す。図14に示す描画オブジェクト160は、通知要否属性値162fに代えて、編集可否を作成元主体に申請する必要があるか否かを示す編集可否属性値162gを含む。描画オブジェクト160の編集可否属性値162gは、例えば、すべてについて「不可」としたり、編集可否を切り替えるツールメニューやパレットをタッチするなどの操作に応じて設定したりすることができる。例えば、利用者は、自身が重要と認識するコメントを書き込む際に、編集不可に設定するためのパレットをタッチしてから、描画オブジェクトを作成することにより、その重要なコメントが勝手に消されてしまうこと防止することができる。
再び図13を参照すると、イベント検出部128は、編集許可申請機能に関連する事前登録されたイベントを検出して、編集許可申請機能を呼び出す手段である。描画オブジェクト編集部122は、当該遠隔会議クライアント20のタッチパネル26を介して描画オブジェクトの作成、変更または削除の操作が行われると、実行許可を確認し、描画オブジェクト情報保存部124に操作後の描画オブジェクトを保存し、描画オブジェクト情報通信部120により遠隔会議サーバ14へ送信させる。
編集許可判定部132は、イベント検出部128により編集許可申請機能に関連して事前登録された操作イベントが検出されたことに応答して呼び出される。編集許可判定部132は、上記操作イベントに対応する描画オブジェクトの作成元属性値に応じた遠隔会議クライアント(例えば20b)に対し、メッセージを発行する。上記メッセージは、当該遠隔会議クライアント(例えば20a)に関連する主体が、他のメッセージ送信先の遠隔会議クライアント(例えば20b)に関連する作成主体により作成された描画オブジェクトに対して行う操作の許可を申請するものである。
編集許可判定部132は、上記操作イベントに対応する描画オブジェクトの編集可否属性値162gを参照して、編集可否属性値162gに「不可」が設定されているときは許可の申請を行う。編集許可判定部132は、申請に対し許可が回答された場合は、描画オブジェクト編集部122に対し実行許可を与える。一方、編集可否属性値162gに「可」が設定されていたときは上記許可の申請を行わずに、描画オブジェクト編集部122に対し実行許可を与える。
編集許可通知部134は、他の遠隔会議クライアント(例えば20b)からメッセージを受信したことに応じて呼び出され、画像変換部126により当該遠隔会議クライアント(例えば20a)の操作者に許可を求める許可申請画面表示を表示させる。編集許可通知部134は、操作者による許可申請画面表示を介した許可の指示に応答して、メッセージ送信元の遠隔会議クライアント(例えば20b)に対し、操作の許可を与える通知を行う。
第2の実施形態の画像変換部126は、上記編集許可申請機能に関連して、他の遠隔会議クライアント(例えば20b)から上記メッセージを受信したことに応答して、事前指定された表示条件にて、許可申請画面表示をディスプレイ24の画面上に行う。上記許可申請画面表示は、メッセージ送信元の遠隔会議クライアント(例えば20b)に関連する主体が、当該遠隔会議クライアント(例えば20a)に関連する主体により作成された描画オブジェクトに対して行う操作の許可を求めるものである。これにより、作成元主体の許可無く勝手に描画オブジェクトに対し操作が行われていたという事態が発生することを低減することができる。
以下、図15〜図18を参照して、編集許可申請機能について、より詳細に説明する。図15は、第2の実施形態における編集許可申請機能の設定画面を例示する。図15に示す編集許可確認設定画面300は、複数のセクション302〜306と、OKボタン308と、キャンセルボタン310とを含む。
編集許可確認設定画面300は、遠隔会議クライアント20のシステム管理画面などから呼び出される。なお、説明する実施形態において、編集許可確認設定画面300は、申請受信側の遠隔会議クライアント20の設定画面である。申請発行側の遠隔会議クライアント20には、編集許可申請の可能性のある操作イベントが予め登録されており、申請受信側で主体的に、編集許可確認設定画面300を用いて、操作者に対する許可の確認を実施する申請受信イベントを登録するものとする。しかしながら、他の実施形態では、第1の実施形態におけるオブジェクト操作通知機能と同様に、申請発行側が主体的に、編集許可確認を実施する操作イベントを事前登録してもよい。
図15に示す第1のセクション302は、編集許可確認を行うために登録される1以上の申請受信イベントを設定するセクションである。登録可能な申請受信イベントとしては、特に限定されるものではないが、図15にチェックボックスとして示すように、オブジェクト消去申請受信時312a、オブジェクト移動申請受信時312b、オブジェクト変形申請受信時312cなどを挙げることができる。
オブジェクト消去申請受信時312a、オブジェクト移動申請受信時312bおよびオブジェクト変形申請受信時312cは、それぞれ、当該遠隔会議クライアント20が作成元である描画オブジェクトに対し、他のクライアントにより消去操作、位置移動操作および変形操作(リサイズなど)が行われた場合になされる申請を受信したことに応答して発生するイベントである。
第2のセクション304は、編集許可確認表示を行う表示条件として表示方法を事前指定するセクションである。事前指定可能な表示方法としては、図15には、ダイアログ表示314aおよびパネル表示314bが例示されている。ダイアログ表示314aおよびパネル表示314bは、描画オブジェクトに対する編集操作の許可を求めるメッセージをダイアログ表示およびパネル表示する表示方法である。その他、図示しないが、描画オブジェクトに紐付けたポップアップ表示など他の表示方法を選択肢に含めてもよい。
第3のセクション306は、表示条件として表示位置を事前指定するセクションである。事前指定可能な表示位置としては、画面に関連して表示される位置316a〜316hを挙げることができる。その他、図6に示すような特定オブジェクトに関連付けて表示させる選択肢があってもよい。また、上記ダイアログ表示314aを画面中央に表示するようにする選択肢があってもよい。
第1のセクション302で事前登録する1以上のイベントが選択され、第2のセクション304で事前指定する表示方法が選択され、第3のセクション306で事前指定する表示位置が選択された上で、OKボタン308がタッチされると、設定内容に応じて申請受信イベントの事前登録および表示方法・表示位置の事前指定が完了する。
図16および図17は、第2の実施形態における、事前登録されたイベントに応答して実行される編集許可申請処理および編集許可確認表示処理を示すフローチャートである。図16に示す処理は、イベント検出部128が事前登録されたイベントを検知したことに応答して、ステップS500から開始される。ここで、検知されるイベントは、編集許可申請の可能性のある操作イベントである。なお、図16に示すステップS500〜S511の処理は、申請発行側の処理フローを示し、図17に示すステップS600〜S606の処理は、申請受信側の処理フローを示す。
ステップS501では、編集許可判定部132は、検知された操作イベントに対応する描画オブジェクトの編集可否属性値162gを参照し、ステップS502で、編集不可であるか否かを判定する。ステップS502で、編集不可であると判定された場合(YES)は、ステップS503へ処理を進める。ステップS503では、編集許可判定部132は、上記描画オブジェクトの作成元属性値162eを参照し、ステップS504で、作成元が当該遠隔会議クライアント20と異なるか否かを判定する。ステップS504で、異なる作成元の描画オブジェクトであると判定された場合(YES)は、ステップS505へ処理を進める。
ステップS505では、編集許可判定部132は、上記描画オブジェクトの作成元属性値162eに応じて、対応する遠隔会議クライアント20に対し、当該描画オブジェクトに対する操作の許可を申請するメッセージを送信する。ステップS506では、編集許可判定部132は、メッセージ送信先の遠隔会議クライアント20から、申請に対する回答を受信する。ステップS507では、編集許可判定部132は、回答が許可であるか却下であるかを判定する。ステップS507で、回答が却下であった場合(NO)は、ステップS512へ処理を進め、画像変換部126は、編集操作が却下された旨をディスプレイ24に表示し、操作を反映せずにステップS511で本処理を終了させる。
一方、ステップS507で、回答が許可であった場合(YES)は、ステップS508へ処理を進める。また、ステップS502で申請が不要と判定された場合(ステップS502:NO)およびステップS504で作成元が当該遠隔会議クライアント20であると判定された場合(ステップS504:NO)は、ステップS508へ直接進める。
ステップS508では、編集許可判定部132は、実行許可を描画オブジェクト編集部122に与える。ステップS509では、描画オブジェクト編集部122は、上記描画オブジェクトに対し上記操作内容による操作を反映し、描画オブジェクト情報保存部124の内容を更新する。ステップS510では、画像変換部126は、画面表示を更新し、ステップS511で、本編集操作イベントに対応する処理を終了させる。
一方、申請受信側の遠隔会議クライアント20は、申請発行側のステップS505に示す申請のメッセージの送信に対応して、該メッセージを受信する。図17に示すステップS600〜ステップS606の処理は、申請受信側のイベント検出部128が事前登録された申請受信イベントを検知したことに応答して、ステップS600から開始される。ここで、検知される申請受信イベントは、図15に示す編集許可確認設定画面300にて事前登録された確認画面表示を実施する申請受信イベントである。
ステップS601では、画像変換部126は、描画オブジェクトに対する操作の許可を確認する画面表示を、事前指定された表示方法にて表示位置に表示させる。ステップS602では、操作者による指示を待ち受け、許可の指示が返答された場合(YES)には、ステップS603へ処理を進める。一方、ステップS602で、却下の指示が返答された場合(NO)には、ステップS604へ処理を進める。
ステップS603では、編集許可通知部134は、申請元の遠隔会議クライアント20に対し、許可の回答を送信し、ステップS605へ処理を進める。一方、ステップS604では、編集許可通知部134は、申請元の遠隔会議クライアント20に対し、却下の回答を送信し、ステップS605へ処理を進める。ステップS605では、画像変換部126は、上記確認表示を消去する処理を行い、ステップS606で、本申請受信イベントに対応した処理を終了させる。
なお、図17に示す処理フローは、図15に示す編集許可確認設定画面300にて事前登録された申請受信イベントに対する処理の流れを説明するものである。編集許可申請の可能性のある申請受信イベントのうち、図15に示す編集許可確認設定画面300にて事前登録されなかったイベントについては、作成者による確認を求めずに編集を許可する権原を得るなどとすることができる。これにより、作成元の暗黙的な許可を確認した上で描画オブジェクトの変更または削除が反映されることになる。
図18(A)および(B)は、編集許可申請機能により作成元の遠隔会議クライアント20で表示される画面を示す。図18(A)は、パネル表示の例であり、図18(B)は、ダイアログ表示の例である。図18(A)に示す共有画面320では、編集許可申請機能により表示パネル322が表示されている。表示パネル322は、手書き描画オブジェクトの消去が拠点Bから申請されている旨のメッセージ324と、許可または却下を指示するためのボタン326,328を含む。図18(B)に示す共有画面330も同様に、編集許可申請機能によりダイアログ332が画面中央に表示されている。ダイアログ332は、手書き描画オブジェクト284の消去が拠点Bから申請されている旨のメッセージ334と、許可または却下を指示するためのボタン336,338を含む。
上述したように、第2の実施形態による遠隔会議システムにおいては、複数の遠隔会議クライアント20で同時編集する場合において、描画オブジェクトに対する操作が行われようとした際に、該描画オブジェクトの作成元に対応する遠隔会議クライアントに対し、操作の許可の申請が行われる。このため、作成元の主体が許可しないのに勝手に他の主体により描画オブジェクトに対し操作が行われていたという事態が発生することを防止することができる。
なお、説明する実施形態では、編集不可の描画オブジェクトについては、所定の編集操作が行われるたびに許可を申請するものとして説明してきた。しかしながら、一度編集が許可された描画オブジェクトは、再度の確認を必要としない場合も多いため、一度許可された描画オブジェクトの編集可否属性値を「編集可」に書き換える構成としてもよい。さらに、編集許可確認画面において、許可および却下に加えて、許可と共に編集可に書き換える指示を与えるボタンを設けてもよい。また、上述した第2の実施形態は、オブジェクト操作通知機能に代えて、編集許可申請機能を備えるものとして説明したが、さらに他の実施形態では、オブジェクト操作通知機能および編集許可申請機能の両方の機能を備える実施形態としてもよい。この場合、例えば編集許可申請が不要とされる場合にオブジェクト操作通知を行う態様とすることができる。
以上説明した実施形態によれば、描画オブジェクトに対して作成元の主体以外の主体が何らかの操作を行ったときに、作成元主体が認識しないうちに勝手に描画オブジェクトに対し操作が行われていたという事態を防止することができる画面共有システム、画面共有端末、電子黒板システムおよびプログラムを提供することができる。
なお、上述まで説明してきた実施形態では、遠隔会議システム10は、複数の遠隔会議クライアント20と、遠隔会議サーバ14とを含むクライアント−サーバ・システムで構成されるものとして説明してきた。しかしながら、他の実施形態では、図19に示すように、遠隔会議システム60は、ネットワーク62を介してピア・ツー・ピアで接続される複数の遠隔会議端末70からなるシステムとして構成してもよい。
また、上述した実施形態では、画面共有端末として、ディスプレイ、タッチパネルおよびコンピュータ装置を含み構成される遠隔会議クライアントを用いて説明してきた。しかしながら、画面共有端末は、外部のディスプレイおよびタッチパネルに接続可能で、上述した遠隔会議クライアント・アプリケーションが稼働するコンピュータ装置として提供することもできる。
さらに、上記機能部は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)、などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、ブルーレイディスク、SDカード、MOなど装置可読な記録媒体に格納して、あるいは電気通信回線を通じて頒布することができる。
これまで本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。