本発明は、上記課題に対し、以下の手段を以って解決しようとする。
課題Aに対し本発明では、議論の構造化、構造化された議論の視覚的表示、この視覚的表示を通じた操作を中心としたいくつかのメカニズムにより、その解決を図る。具体的には、請求項1、請求項2、段落0141に記載された各手段により、この課題を解決する。
課題Bに関しては、課題Bの問題が発生する要因を分析した各課題を解決する下記の手段を総合的に適用することにより、その解決を図る。
課題B1に対し本発明では、各参加者が新しい発言(要素)を自由に追加することができるようにした上で、要素に対するコントロールを行う権限の管理を行い、既存の要素に関しては、関連する要素に対するコントロールを行う権限を保持する参加者間でのミクロな合意ベースでの編集(構造化等)を可能とすること等により、この課題を解決する。具体的には、請求項1、段落0075、段落0098に記載された各手段により、この課題を解決する。
課題B2に対し本発明では、参加者に対し自由に発言できる環境を提供すると供に自分の発言に対する責任を負うことを要求し、発言間の構成に関しては、関係する発言に対する責任を負う者の間でのコンセンサスにより決定されるようにすることにより、この課題を解決する。これにより、ドキュメントや議論の全体としての秩序や整合性を維持しながら、参加者が個人として言うべきことはきっちり言える環境を提供し、参加者が、自律、分散、協調しながら、ドキュメントや議論全体を発展させていくメカニズムを提供する。具体的には、段落0075、段落0090、段落0098、請求項2、段落0128に記載された各手段により、この課題を解決する。
課題B3に対し本発明では、自分の発言に対するコントロールを行う自由と責任を継続的に付与し、自分の発言が修正されるべきであるとの指摘や提案を受ければ、その指摘や提案を検討した上で発言の内容に反映し、またドキュメントや議論の内容が再構成されれば、それに応じて自分の発言の位置付けを再検討した上で発言の内容に反映することができるようにしておくことにより、この課題を解決する。具体的には、段落0090、段落0098、請求項2乃至3に記載された各手段により、この課題を解決する。
課題B4に対し本発明では、ドキュメントを構成する各要素に意味的位置付け、意味的性質、論理的性質等を示す属性を付与し、各要素を要素間の関係を定義する情報により構造化するアーキテクチャと、これを制限する制約条件とにより、ドキュメントや議論の性質に適した、これを構造化するためのフレームワークを提供することにより、この課題を解決する。具体的には、請求項1、段落0107、段落0113、段落0110、段落0137、段落0139に記載された各手段により、この課題を解決する。
課題B5対し本発明においては、オブジェクト層とコミュニケーション層が分離されておらず、議論の場が編集中のアウトプットそのものであり、ドキュメント編集や議論からアウトプットを得る際に期待されない内容面でのロスが発生することはない。具体的には、段落0110、段落0113に記載された各手段により、この課題を解決する。
課題B6に対し本発明においては、要素間の関係により定義される構造を支持構造として捉え、各要素(発言)に対する発言者が重視する度合いを支持構造のなかに集約し、競合する複数の要素から特定の要素が選定される際には、高く支持される支持構造を獲得した要素が選定されるメカニズムを採ることができるようにすることにより、この課題を解決する。具体的には、段落0107、請求項2などに記載された各手段により、この課題を解決する。
課題B7に対し本発明においては、ドキュメント編集や議論のアウトプットが活用されるプロセスを明確に設計しておくことを想定し、アウトプットが何らかの方法で活用される過程における情報を、アウトプットに関連するステイタス情報としてモニタリングし、議論の参加者や議論の閲覧者にフィードバックするメカニズムを用いることができるようにして、参加者の議論に参加するインセンティヴを直接または間接的に喚起することを可能とすることにより、この課題を解決する。ここで、議論に参加するインセンティヴを「間接的に喚起する」というのは、議論を閲覧するインセンティヴを高めることにより議論の閲覧者を増やし、多くの人に閲覧される環境を実現することにより議論に参加することのインセンティヴを喚起することをいう。具体的には、段落0115、段落0117、段落0131、請求項3、段落0137、段落0139に記載された各手段により、この課題を解決する。
以下において、各請求項の記載に基づく解決手段について、その詳細を整理する。
本発明において、請求項1及び以下の請求項に記載のドキュメント入力編集システムとは、少なくとも、ユーザがドキュメントに含まれる要素を入力または特定する機能と、要素の内容及び属性並びに要素間の関係性を編集する機能を具備するシステムをいう。また、ここでいう要素は、ドキュメントに含まれ、ドキュメントを構成する情報であり、文章、発言等ひとまとまりのテキストデータ(タグ等を用いて、フォント、字飾り等の情報が埋め込まれたものを含む)として記録される情報、及び表、グラフ、画像、映像、音声、アニメーション等ひとまとまりのデータ(ファイル、オブジェクト等の形態によるものを含む)として記録される情報を含むことができる。各要素は、各ドキュメントにおいて、その内容の範囲を特定し、他の要素と明確に区別される情報が保持されることにより定義される(具体的にはデータベース、タグ等を用いて実装される)。
請求項1に記載の発明は、ネットワーク上で機能し、複数ユーザの参加が可能なドキュメント入力編集システムであって、該ドキュメント入力編集システムで取り扱われるドキュメントに関する情報を管理するドキュメント情報管理手段と、該ドキュメントに含まれる要素に関する情報を管理する要素情報管理手段と、該ドキュメントに含まれる任意の要素と他の要素との関係を定義する情報(以下、「関係定義情報」)を管理する関係定義情報管理手段と、ユーザ・アカウント情報を管理するユーザ管理手段と、以下に示す少なくともいずれかの手段を用いた操作を行うユーザを識別または認証するユーザ識別認証手段と、ユーザによる操作を通じてドキュメントに含まれる要素を入力または特定する要素入力特定手段と、少なくともいずれかのユーザによる操作を通じて該要素の内容を編集する要素内容編集手段と、少なくともいずれかのユーザによる操作を通じて該要素または該要素の他の要素に対する関係の属性を入力または特定する要素属性入力特定手段と、該関係定義情報管理手段において管理される関係定義情報に基づき該ドキュメントに含まれる各要素をツリー状に構造化された状態で表示する構造表示手段と、要素及び要素間の構造を視覚的(グラフィカル)に表示するユーザ・インタフェース(以下、「GUI」)と、少なくともいずれかのユーザによる該構造表示手段によって表示される要素に対する操作を通じて該要素の他の要素との関係を入力または編集する要素関係入力編集手段と、該ドキュメントに含まれる各要素に関し、当該要素に対する処分を決定する権限(以下、「要素支配権」)を保持するユーザを特定する要素支配ユーザ特定情報を管理する要素支配ユーザ特定情報管理手段と、要素内容編集手段、要素属性編集手段、要素関係入力編集手段の少なくともいずれかを用いた編集操作において、編集対象となる要素または該編集操作に関連する要素が、該編集操作の操作者が要素支配権を保持しない要素である場合、該要素の要素支配権を保持するユーザに、該編集操作の内容について承認を求める承認要求手段と、該承認要求手段が機能するのに応じて、概要その要素支配権を保持するユーザに、該編集操作の内容に応じて承認又は拒絶の意思を特定させる承認拒絶手段と、該ドキュメント入力編集システムにおいて編集操作可能な状態にあるドキュメント(以下、「編集ドキュメント」)を、要素の属性及び関係定義情報並びに該関係定義情報に基づく要素の構造化のパターン等の情報を対象とする明確な規則、または該情報に応じて与えられる明確な規則に沿って、計算機上の処理、特別な権限(以下、「ドキュメント取りまとめ権限」)が与えられたユーザの操作、またはこの両方によって実行されるプロセスによって、整理することにより定義されるドキュメント(以下、「完成ドキュメント」)を作成する完成ドキュメント作成手段と、を具備し、該要素関係入力編集手段は、該GUIにおいて、関係元の要素と関係先の要素の両方もしくは少なくとも一方または要素間の関係を示す表示部を、ポインティング・デバイスによって操作されるポインタの位置及び該ポインティング・デバイスを通じて与えられるイベントによって特定することによって、該編集に必要な情報が与えられるものであり、該完成ドキュメント作成手段において、編集ドキュメントに含まれる各要素(以下、「編集要素」)のうち、完成ドキュメントに含まれる要素(以下、「完成要素」)として取り上げる、または完成要素を作成するための素材とされる編集要素を選定する基準(以下、「要素選定基準」)として、選定の候補となる各編集要素に付随する任意の情報、該編集要素と直接または間接的に関係付けられた要素に関する情報、該関係定義情報に基づく要素の構造化のパターンに関する情報とのうち少なくともいずれかの情報またはこれに基づき計算される情報を評価の対象とする基準が用いられ、該プロセスが該要素選定基準に沿ったものとなるよう制約を受けていることを特徴とするドキュメント入力編集システムである(図1)。
ドキュメント情報管理手段と、要素情報管理手段と、関係定義情報管理手段とは、少なくとも各管理手段が管理の対象とする情報を保持するための記録手段を備えていることが必要であり、通常はデータベースを用いて実現されることが想定されるが、これに限定することなく、XML等のタグ言語を用いて記述されたファイル、或いはその他のスタイルにおいて記録された特別なデータファイルとして実現されることも可能である。なお、ドキュメント情報管理手段と、要素情報管理手段と、関係定義情報管理手段とは、同一のデータベースを用いて実現しても構わない(小規模なシステムとして実装する場合にはむしろ同一のデータベースにおいて、異なるテーブルとして実装するのが通常の設計である)(図2)。いっぽう、ドキュメント情報管理手段と、要素情報管理手段と、関係定義情報管理手段とを、異なるデータベースにおいて実現する場合には、保持するデータの整合性を維持するため、少なくとも、ドキュメント情報管理手段と要素情報管理手段との間、及び要素情報管理手段と関係定義情報管理手段との間において、相互に連携を取ることが期待される。
請求項1の記載による「複数ユーザの参加が可能」であることは、この入力及び編集のうち少なくともいずれかの操作を行うことのできるユーザが、複数(2人、3人、4人、または5人以上)存在することをいう。
また「ドキュメントに含まれる要素を入力または特定する」という文言における「入力する」及び「特定する」の意味は以下の通りである。「入力する」とは、該ドキュメント入力編集システムにおいて編集されるドキュメントに含まれるべき要素を、該ドキュメント入力編集システムを構成し、ユーザが利用するインタフェース(クライアント・コンピュータ等。ただし、コンピュータに限らず、携帯電話、PDA、カメラ、ボイス・レコーダ等、ユーザ・インタフェースと通信手段を備えた他の種類に分類される装置であっても構わない)における何らかの入力手段(キーボード、ポインティング・デバイス、マイク、カメラ、タッチパネル等)を通じて新たに入力することとする。「特定する」とは、該ドキュメント入力編集システム内に存在する情報(該ドキュメント入力編集システムにおいて扱われる既存のドキュメントや該ドキュメントの構成要素等)、もしくは該ドキュメント入力編集システムの外部に存在し、対象として特定することが可能な任意の既存の情報(記事、論文、書籍、レポート、写真、映像、音声等の各種情報の一部もしくは全て)を特定する情報を付与することとする。
また、請求項1に記載の「いずれかのユーザ」とは、該ドキュメント入力編集システムを利用するユーザの部分集合に該当するユーザであり、各操作の対象となる要素を入力または編集したユーザ、該要素と一定の関係(対象要素の親要素または子要素、対象要素と親要素や子要素を共有する要素などとの関係(一次的関係)、対象要素と一次的関係にある要素との間で一次的関係にあり、対象要素及び対象要素との間で一次的関係に該当する要素を除く要素との関係(二次的関係)、対象要素と二次的関係にある要素との間で一次的関係にあり、対象要素及び対象要素との間で一次的関係または二次的関係に該当する要素を除く要素との関係(三次的関係)、同様に四次的関係、以下同様、及び、規則的に定められるこれらの部分集合、など)(以下、「一定関係」)にある要素を入力または編集したユーザ、特定の権限が付与されたユーザ等が該当し得る。
ここで、要素または該要素の他の要素に対する関係の「属性」とは、各要素または各要素の他の要素に対する関係に付随し、当該要素の種類、位置付け、特徴等を示す情報を指すものとする。各要素に必ずひとつずつ与えられるものとは限らず、複数付与されることや、何も付与されないことも想定される。属性は、入力(例えば、名前を自由につけて属性を定義すること)や特定(例えば、予め準備されたリストから選択すること)により与えられるようにしておくことが想定される。またはこの組み合わせとして、通常はリストから選択して特定するが、適当な属性がリストに存在しない場合には新たに定義を付与する、といった方法で与えることができるようにしておくこともできる。また、「編集」とは、いずれかのユーザが、対象となるドキュメントにおいて、既に保持されている情報を元にして、これに対する修正(要素の内容や属性の修正、要素間の関係の修正を含む)、新たな要素の追加(要素の入力や特定を含む)、及びこれらを複合的に組み合わせた操作をいう。また、該属性を、要素毎にではなく、関係毎に付与するようにしておくことも想定される。属性は、要素に付随する情報として持たせることも可能であるが(図5−A)、関係定義情報に付随する情報として持たせることも可能である(図5−B)。
また請求項1に記載の「ドキュメントに含まれる任意の要素と他の要素との関係を定義する情報」(関係定義情報)を、データベース(以下、「DB」)において実装する設計方法としてはいくつかの方法が考えられる。例えば、該ドキュメントに含まれる要素の内容等(当該要素の属性を含むこともできる)を定義するテーブルとは別に、任意の要素間の関係性を定義するリレーション・テーブルを用いて実装する方法が考えられる(図6−A、図6−B)。また、相互に関係を持つ少なくとも2つの要素において、少なくとも1つの要素を関係元要素、他の要素を関係先要素として取り扱うことを想定し、関係元要素の内容等を定義する行において、該関係元要素と関係を有する該関係先要素との関係を定義する情報を保持するという方法も考えられる(図6−C)。或いは、関係元要素と関係先要素の双方において、該関係元要素と該関係先要素との間の関係に関する情報を保持するという方法も考えられる。これらは、DBの設計方法の例であり、他にも様々な設計方法が可能である。また、各要素は他の要素との関係を保持することができるが、全ての要素が他の要素に関連付けられていることは必要ではなく、ドキュメントに含まれる要素の一部は一時的または継続的に独立して存在しても構わない。他の要素に関連付けられるための条件が満たされない場合、継続的に独立して存在し続けることになる。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、少なくともいずれかのユーザによる操作を通じて該要素の属性を編集する要素属性編集手段を具備することができる(図3、図4)。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、属性が、他の要素との関係における意味的位置付けを示す情報であることができる。
ここで「他の要素との関係における意味的位置付け」とは、閲覧者が要素を解釈する際に、解釈の対象となる要素によって指示される内容が他の要素との関係においてどのような類のものであるかを定義する、解釈上の助けとなる情報であり、見出し、小見出し、本文といった、単なる構造的位置付け(内容に関わらず与えられる、文章構造上の位置付けを定義する情報)とは区別したものである。意味的位置付けの例としては、支持、反論、コメント、対案等が挙げられる。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、属性が、該属性が与えられた要素の意味的性質を示す情報であることができる。
ここで「意味的性質」とは、閲覧者が要素を解釈する際に、解釈の対象となる要素によって指示される内容がそれ自体においてどのような類のものであるかを定義する、解釈上の助けとなる情報である。文章中の位置付けにかかわらず付与することができる属性情報であるという点において上記「意味的位置付け」とは異なる。意味的性質の例としては、事実、法律、要望、問題、認識、提案等が挙げられる。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、属性が、他の要素との関係における論理的性質を示す情報であることができる。
ここで「他の要素との関係における論理的性質」とは、対象要素が他の要素との関係において持つべき論理構造上の位置付けを解釈するために与えられる情報である。論理的性質の例としては、仮説、真、偽、原因、結果、必要条件、充分条件、前提、根拠等が挙げられる。前提や知識を共有しない複数の参加者により展開されるドキュメント入力編集システムにおいては、同じ要素に対して相反する複数の属性が、各参加者の解釈を特定する情報として、多重にまたは同時に設定され、またそれによって複数の解釈体系が構成されることが想定される。このように属性の多重性を適用した場合には、どの解釈体系において、どの構造がロジックとして破綻しているのかということを明確化して示すといった機能を有するアプリケーションを構築することができる。
なお一部の属性に関しては、意味的位置付け、意味的性質、論理的性質のうち複数のいずれとしても扱うことが可能なものも存在する。また、意味的位置付けを示す属性情報、意味的性質を示す属性情報、論理的性質を示す属性情報は同じ要素に対して重複して付与することも可能である。また、他の要素との関係の変化に応じて、ある種類の属性情報(例えば、意味的性質を示す属性情報)を付与していた要素に別の種類の属性情報(例えば、意味的位置付けを示す属性情報)を付与しなおす操作を行うことも想定される。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、複数の要素の関係がツリー構造として定義される特徴を有する。
なお「ツリー構造」とは、グラフ理論において定義される木の構造を適用したデータ構造であり、各要素(ノードと呼ばれる)が枝分かれした階層構造のなかに位置付けられることにより構成される。要素と要素の関係を枝(エッジ)ともいう。直接接続されたノード間の関係を親子関係と呼び、「ルート」(親要素を持たず、ツリー構造の頂点に位置付けられるノード)に近い側のノードを「親」、ルートから遠い側のノードを「子」と呼ぶ。一般的なツリー構造においては、ルート以外の全てのノードはただひとつの親との関係を持つ。各ノードはひとつまたは複数の子を持つことができ、子を持たないノードは、ツリー構造の末端に位置付けられ、「リーフ」と呼ばれる。ルートを除く全てのノードから親ノードの方向に関係を辿るとルートに到達する。ノードAから親ノードの方向に関係を辿ってルートに到達するまでの間にノードBが位置する場合、ノードAをノードBの「先祖」と呼び、ノードBをノードAの「子孫」と呼ぶ。また、親を共有する任意のノードを「兄弟」と呼ぶ。(当業者であれば、一般的なツリー構造、及びこれを変形したものに関するバリエーションに関する知識を有するものとして、ここではこれ以上の詳細の記述を省略する。)
要素間の関係が循環する(親ノードの方向にずっと関係を辿っていくと元のノードに到達する)ことはないなど、ツリー構造においては、ツリー構造の定義に該当するための条件が存在し、段落0062に記載のドキュメント入力編集システムにおける複数の要素の関係はこれを満たしているものと期待される。ただし、様々な類の関係が多重に与えられるケースも想定されるが、その場合には必ずしもツリー構造の定義に該当するための条件を満たすとは限らない。しかしながら、特定の条件を満たす関係のみを考慮した場合に、ツリー構造を保持しているという場合には、各要素をツリー構造として表示する処理が可能であるため、段落0062に記載のドキュメント入力編集システムに該当するものとする。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、要素が他の複数の要素に関係付けられることができることができる。
「要素が他の複数の要素に関係付けられること」を可能とするためには、リレーショナル・データベースを用いて、要素間の関係に関するデータを保持するテーブルを要素自体に関するデータを保持するテーブルとは別に定義するなど、システム設計上の工夫をすることが必要となる(図8)。このとき、要素間の関係に対しては、方向性の有無、循環性の有無、重み付けの有無、要素間の入出力を伝播させる機能の有無、構造パターンによる制約の有無等、様々な制約条件を設定することが想定される。これにより、グラフ理論(ノードとエッジの集合で構成されるグラフに関する研究領域)において研究される様々なタイプのグラフ構造(或いはネットワーク構造)を取り扱うことが可能となる。様々なバリエーションが考えられるものの、この制約条件は、それぞれのドキュメント入力編集システムにおいて取り扱われるドキュメントや議論の性質を考慮した、どうシステム上でのルールとして適切なものを付与することができるようにしておくことが期待される。
なお、段落0062の記載を継承し、段落0065に記載に該当するドキュメント入力編集システムの場合、ある要素が複数の親要素を保持することができることをいうものとする。通常のツリー構造は、ルート要素以外の全ての要素は親要素との関係を必ずただ一つ保持するものとしてデータ構造を定義することができる。一部の要素が複数の親要素との関係を保持することにより、同じ要素群においてツリー構造が多重に存在することができる。なお、この場合、子要素との関係は考慮に含めずにデータ構造を解釈した記述であることを確認する。子要素との関係を考慮に入れる場合、ルート要素とリーフ要素以外の全ての要素は、ただ1つの親要素との関係と1つ以上の子要素との関係を保持するため、複数の要素に関係付けられていることになるが、段落0062の記載を継承し、段落0065に記載に該当するドキュメント入力編集システムの場合、各要素の親要素に対する関係のみが複数保持されることを意図したものであり、子要素との関係はカウントせずに解釈するものとする。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、要素及び要素間の構造を視覚的(グラフィカル)に表示するユーザ・インタフェース(以下、「GUI」)を具備し、要素の他の要素との関係を入力または編集する要素関係入力編集手段は、該GUIにおいて、関係元の要素と関係先の要素の両方もしくは少なくとも一方または要素間の関係を示す表示部(ライン、エリア等)を、ポインティング・デバイスによって操作されるポインタの位置及び該ポインティング・デバイスを通じて与えられるイベントによって特定することによって、該編集に必要な情報が与えられるものである特徴を有する。
ここで「ポインティング・デバイス」とは、コンピュータのディスプレイで表示される情報に対し、座標や対象を特定する機能を有する装置であり、マウスやトラックパッド、トラックボール、スティック型ポインティング・デバイス、タッチパネル等が例として挙げられる。「ポインティング・デバイスを通じて与えられるイベント」の例としては、ドラッグ、ドロップ、クリック等、及びこれらの組み合わせによる操作(ドラッグ・アンド・ドロップ操作等)が挙げられる。
なお、請求項1に記載のGUI上における、要素の他の要素との関係を入力または編集するための操作の例としては、関係元となる要素をドラッグ操作で関係先となる要素の上に動かしドロップ操作を行う等の操作が挙げられる。例えば、既に他の要素に関係付けられている要素或いはどの要素とも関係付けられていない要素(以下、「要素A」)を、既に存在する別の要素(以下、「要素B」)の子として位置付ける(即ち、要素Aの要素Bに対する関係を付与する)際に、ユーザが要素Aをドラッグして要素Bの上に持っていってポインタをリリースすると、システム上では、要素Aが要素Bの子となるように、要素Aの他の要素に対する関係を定義する関係定義情報を編集するといったプロセスが処理されるようにしておくことができる(図10)。或いは、既に他の要素との関係が定義されている要素Cの関係先要素との関係を切断する際に、ユーザが要素Cを右クリックすると「親要素との関係を切断する」といったメニューを表示し(或いは、ユーザが要素Cの親要素に対する関係を示すラインを右クリックすると「この関係を切断する」といったメニューを表示し)、ユーザがこのメニューを選択すると、システム上では、要素Cの親要素に対する関係が切断されるよう、要素Cの他の要素に対する関係を定義する関係定義情報を編集するといったプロセスが処理されるようにしておくことができる(図11)。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、複数のドキュメントを同時に開いた上で、異なるドキュメントに含まれる要素間の関係を入力または編集することを可能とする異文書要素間関係入力編集手段と、いずれかのドキュメントに含まれる要素(または要素セット)の帰属を他のドキュメントに変更することを可能とする要素帰属先文書変更手段と、いずれかのドキュメントに含まれる要素(または要素セット)のコピーを他のドキュメントに含まれる要素として作成することを可能とする要素異文書複製手段と、いずれかの要素(または要素セット)を複数のドキュメントに同時に帰属させることを可能とする要素複数文書同時帰属手段とのうち、少なくともいずれかを具備することができる(図12)。
このとき、特定の対象となる要素は必ずしも1つだけでなくてもよい。特別な操作(例えば、GUI上で指定されたエリアに含まれる要素を選択状態とする方法、Ctrlキー等を押しながらGUI上でポインタを合わせてクリックすると選択状態である要素の一覧に加えられるようにする方法等)で複数の要素を同時に特定した上で、これらの複数の要素を一度に同様の編集操作の対象とすることも想定される。
なお、段落0071の記載においては、要素を操作の対象として挙げているが、該要素だけでなく、該要素を特定することまたは該要素を含む範囲を特定することによって指定されうる、関係付けられた複数の要素(以下、「要素セット」)を一括して操作の対象とすることも想定される(なお、該要素セットに含まれる要素の範囲は、該要素と一定関係にある要素として指定されうる。例えば、要素間の構造がツリー構造として定義される場合のシンプルな例を挙げれば、特定された要素の下位(子孫)に位置づけられる全ての要素を含め、要素セットとして扱うことができる)。その際には、該要素セットが該要素セットの内容や構造を維持したまま、関係付け、帰属変更、コピー作成、同時帰属等されることが想定される。
これにより、各ドキュメントの構成を維持したまま、このドキュメントに含まれる情報を、他のドキュメントから参照し、または他のドキュメントに取り込むことを可能とし、ドキュメントに含まれるリソースの有効活用や最適配置を促進する。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、該ドキュメントに含まれる要素によって構成される情報の全体的構造を表示する全体的構造表示手段と、該全体的構造の一部である局部的構造を表示する局部的構造表示手段とを具備し、該局部的構造表示手段において表示される局部的構造の該全体的構造におけるポジションを特定する情報を該全体的構造表示手段において表示する機能と、該全体的構造表示手段において特定されたポジションまたは範囲に位置する要素を含む局部的構造を該局部的構造表示手段において表示する機能とのうち、少なくともいずれかを具備することができる。
即ち、全体的構造と局部的構造を別のフィールドで表示し、該全体的構造のなかでの該局部的構造のポジションまたは範囲を示す情報を、該全体的構造を表示する手段において表示する機能と、全体的構造のなかで特定されたポジションに位置する要素を含む局部的構造を、該局部的構造を表示する手段において表示する機能とのうち、少なくともいずれかを具備するものである。言うまでもないが、局部的構造表示手段において表示される局部的構造およびこれを構成する各要素の情報は、全体的構造表示手段上で表示されるよりも詳細なものであることが期待される。
「該全体的構造のなかでの該局部的構造のポジションまたは範囲を示す情報を、該全体的構造を表示する手段において表示する機能」を実装する場合、局部的構造表示手段に表示される局部的構造が移動すると、これに応じて全体的構造表示手段において表示される範囲の位置も移動することが期待される(図13−A)。このとき、全体的構造表示手段上で新たに任意の範囲(例えば、ポインタをドラッグした両端を対角線とする長方形に含まれる範囲)を指定した場合に、この範囲に含まれる局部的構造を局部的構造表示手段に表示するようにしておくこと(図13−B)や、形状と大きさが固定された範囲を特定するエリアをポインタによるドラッグ&ドロップ操作で移動することにより特定された局部的構造を局部的構造表示手段に表示するようにしておくこと、等により、局部的構造表示手段と全体的構造表示手段の連携による操作のユーザビリティを向上させることが期待される。
また「全体的構造のなかで特定されたポジションに位置する要素を含む局部的構造を、該局部的構造を表示する手段において表示する機能」を実装する場合、例えば、全体的構造表示手段上で表示される全体的構造に含まれる要素をクリックすると、クリックされた要素をルートに見立て、この要素に直接的または間接的に関連付けられた要素をこの要素にぶら下げて構成されるツリー構造を、局部的構造表示手段において表示するようにしておく等の方法が考えられる(図13−C)。
なお「全体的構造」とは、必ずしも該ドキュメントに含まれる要素によって構成される情報の全体をカバーするものではなく、局部よりも全体に近いマクロな範囲の情報をカバーするものも含むものとする。また、全体的構造表示手段は、全体的構造を必ずしも一画面で表示できる必要はなく、画面をスクロールする等の操作を通じて容易な操作で全体的構造が確認できるものであれば構わない。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、少なくとも該ドキュメントに含まれる要素を特定することが可能な入力情報を与えることにより、該要素と特定の関係にある他の要素の表示/非表示を切り替える特定関連要素表示切替手段を具備することができる。
なお、特定される要素は必ずしもひとつでなくても構わない。即ち、「少なくとも該ドキュメントに含まれる要素を特定することが可能な入力情報」には、ただひとつの要素を特定する情報だけでなく、要素を検索する情報、要素の種類や範囲を指定する情報など、要素の集合を定義する情報が含まれる。例えば、ある属性を持つ全ての要素を特定し、それらの要素の子として位置付けられる要素(属性により範囲を制限することも可)の表示を消す(非表示にする)といった操作等を可能とすることが想定される(図15)。
「該要素と特定の関係にある他の要素」とは、該要素を特定することを通じて特定される範囲に含まれる要素の集合を指すものである。例えば、複数の要素の関係がツリー構造として定義される場合には、特定された要素の下位(子孫)に位置付けられる全ての要素を表示/非表示の切り換えの対象として扱うことが想定される(図14)。複数の要素の関係がネットワーク構造として定義される場合には、特定された要素と直接接続された要素と間接的に接続された要素(範囲を制限する情報を与えることが期待される。例えば、「特定された要素と直接接続された要素およびこれに直接接続された要素」、など)を表示/非表示の切り換えの対象として扱うことが想定される。その他、任意の参照関係に基づく範囲指定、要素の内容や属性の同一性や類似性、相違性、関連性等に基づく範囲指定、要素に関する履歴情報に基づく範囲指定、これらを複合的に用いた範囲指定等により、表示/非表示の切り換えの対象となる要素を確定することが想定される。例えば、「質問」という属性を保持する全ての要素を対象として特定し、その全ての要素の子としてぶら下がっている各要素のうち、「回答」という属性を持ち、過去7日以内に入力または編集された要素を、最近入力または更新されたものから順に3つまでを表示する、といった操作を可能とすることが想定される。
また、表示/非表示の切り換えの対象とされる要素の表示/非表示に関するステイタスを明確にするための情報を表示する仕様を持たせておくことも想定される。例えば、切り換えの対象とされる要素が、表示されている状態では「−」(マイナス)記号を含むアイコンを表示し、表示されていない場合には「+」(プラス)記号を含むアイコンを表示し、存在しない場合にはこれらのアイコンを表示せず、表示/非表示に関するステイタスの変化に応じてこのアイコンを切り替えるという仕様を採用することが可能である(図16)。このとき、「少なくとも該ドキュメントに含まれる要素を特定することが可能な入力情報」は、これらのアイコンをクリックする操作により与えられることが想定される。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、要素に付随する任意の情報のうち少なくともいずれかの照合を行うことにより、要素を検索する要素検索手段を具備し、該要素検索手段を通じて抽出された要素(以下、「抽出要素」)のみ、もしくは、該抽出要素及び該抽出要素と特定の関係にある要素のみ、を構造化された状態で表示する抽出関連要素構造表示手段、または、該要素検索手段を通じて抽出された抽出要素を強調して表示する抽出要素強調構造表示手段、のうち少なくともいずれかを具備することができる。
例えば、抽出関連要素構造表示手段が用いられる際の処理プロセスの例としては、ユーザが検索語を入力して検索ボタンを押した際に、全ての要素の内容を検索し、検索語にマッチする用語を含む要素(類義語、反義語等、検索語と関係する用語にマッチする用語を含む要素を含めることも想定される)を抽出し、抽出された要素のみを構造表示手段に表示するといったプロセスが挙げられる(図17−A)。或いは、ユーザが特定の属性(例えば「問題」)を指定し、これに該当する属性を持つ全ての要素(要素が属性を複数保持することができる場合は、第一属性、第二属性等、マッチングの対象とする属性を制限することも想定される。また異なる属性が細分化や関係付等で整理されている場合は、例えば「問題」という属性を指定した際に、「問題」に関係する他の属性、「深刻問題」、「通常問題」、「軽度問題」等が付与された要素を併せてマッチングの対象とすることも想定される。さらに、同じ要素にプライオリティの異なる複数の属性が与えられる場合や、何らかの形で各属性に重要性等の程度が付与されている場合には、このプライオリティや程度を、抽出要素を表示する際の順序決定に用いる等の応用も想定される)を抽出し、この抽出された要素の親に該当する要素及びこの抽出された要素に関連付けられた特定の属性(例えば「解決案」)が付与された要素と併せて、構造表示手段に表示するといったプロセスが挙げられる(図17−B)。また、抽出要素強調構造表示手段が用いられる際の処理プロセスの例としては、このように抽出された要素を強調した上で、抽出されていない要素と併せて表示するといったプロセスが挙げられる(図17−C、図17−D)。
「要素に付随する任意の情報」の例としては、要素の内容、属性、関係定義情報、入力日時、更新日時、データベースにおいて整理される際のID等が挙げられる。また「抽出要素を強調して表示する」とは、抽出要素を示す情報を、通常もしくは他の要素と比較して異なる表示形式(例えば、別色、太字、異なるフォント、下線、点滅等)で表示することである。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、要素の表示順序または表示位置の決定または調整に影響を及ぼすソーティング条件情報を入力または特定するソーティング条件情報入力特定手段を具備することができる。
例えば、複数の要素の関係により構築される構造がツリー構造の場合、同じ親を共有する兄弟要素を表示するときの表示順序を設定するための手段として用いられることが想定される。「ソーティング条件情報」の例としては、入力や編集がなされた日時による時系列の順、他の要素との間に保持する関係の数の順、参照される頻度の順、重要性や支持の大きさを示す値(要素毎に与えられる値)の大きい順、(複雑または曖昧な検索情報が入力される場合には)その検索条件との一致度が高い順、等を指定するソーティング条件情報が考えられる。
段落0084に記載の「要素検索手段」で用いられる検索条件情報を入力または特定する手段や、段落0087に記載の「ソーティング条件情報入力特定手段」は、これらの条件を入力するためのテキスト・フィールドや、予め定められた条件情報を特定するリストやボタン、複合的に定められる複雑な条件情報を入力するために複数の入力手段を組み合わせたパネル等として実装されることが想定される(図18)。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、該ドキュメントに含まれる各要素に関し、当該要素に対する処分を決定する権限(以下、「要素支配権」)を保持するユーザを特定する要素支配ユーザ特定情報を管理する要素支配ユーザ特定情報管理手段を具備し、かつ、要素内容編集手段、要素属性編集手段、要素関係入力編集手段の少なくともいずれかを用いた編集操作において、編集対象となる要素または該編集操作に関連する要素が、該編集操作の操作者が要素支配権を保持しない要素である場合、該要素の要素支配権を保持するユーザに、該編集操作の内容について承認を求める承認要求手段と、該承認要求手段が機能するのに応じて、概要その要素支配権を保持するユーザに、該編集操作の内容に応じて承認又は拒絶の意思を特定させる承認拒絶手段と、を具備する特徴を有する。
要素支配ユーザ特定情報管理手段において管理される要素支配ユーザを特定する情報は、要素の内容を記録するテーブルと同じテーブルにおいて保持されていても、要素の内容を記録するテーブルとは異なるテーブルにおいて保持されていても構わない(図19−A、図19−B)。
編集対象となる要素が、編集操作者が要素支配権を保持しない要素である場合に、該要素の要素支配権を保持するユーザに承認を求めるプロセスと、編集操作に関連する要素が、編集操作者が要素支配権を保持しない要素である場合に、該要素の要素支配権を保持するユーザに承認を求めるプロセスとは、順を追って処理しても、同時に処理しても構わない(図20では順を追って処理するプロセスを例として記載している)。
ここで「当該要素に対する処分」とは、当該要素または当該要素の付随する任意の情報の更新、複製、削除等の処理をいうものであり、要素内容編集手段、要素属性編集手段、要素関係入力編集手段等を用いて実行される処理を含む。要素支配ユーザ特定情報管理手段においては、要素毎に設定される各ユーザの要素支配権を、処分の内容毎に設定するようにしておくことも想定される(図19−C)。また、通常、要素支配権は要素毎にそれぞれ1人のユーザに独占的に付与されるものと想定することができるが、これは必須ではない。また、管理的な役割を担うユーザには、該ユーザが管轄するドキュメントに含まれる全ての要素(他のユーザが要素支配権を保持する大部分の要素を含む)に対する一定水準の要素支配権を、要素毎に保持される要素支配権と併せて付与しておくことも想定される。
また「編集操作の内容について承認を求める承認要求手段」は、少なくとも、編集操作を行うユーザ(編集操作ユーザ)が承認を求める編集内容を入力するためのインタフェースと、編集の対象となる要素の要素支配権を保持するユーザ(要素支配ユーザ)に該編集内容を提示し、要素支配ユーザがこれに対する承認の可否を入力するためのインタフェースと、これらのインタフェースを通じた入出力情報を処理するプログラムとが存在することによって実現される。ただし、「編集操作ユーザが承認を求める編集内容を入力するためのインタフェース」は、通常の編集操作を入力する画面があれば充分であり、編集対象となる要素または編集操作に関連する要素が、編集操作ユーザが要素支配権を保持する要素でない場合に、要素支配ユーザに対し、該編集操作の内容について承認を求める処理を実行するようにしておくことにより実現することができる。なお「編集の対象となる要素の要素支配権を保持するユーザ(要素支配ユーザ)に該編集内容を提示し、要素支配ユーザがこれに対する承認の可否を入力するためのインタフェース」は、該ドキュメント入力編集システムに含まれるものであっても構わないし、該ドキュメント入力編集システムとは別に存在するものであっても構わない。該ドキュメント入力編集システムに含まれるものである場合には、例えば、各ユーザ個人向けのものとして準備される画面において、ユーザ自身が要素支配権を保持する全ての要素に関する編集の提案(承認を求める要求)の一覧を表示する画面と、この一覧を構成する各提案を選択することにより開くことのできるその提案の詳細について表示する画面とを提供し、そのなかで必要な情報や機能を配置しておくことにより実現される(図21)。また、該ドキュメント入力編集システムとは別に存在するものである場合には、該編集内容を伝える情報(テキストや画像などにより与えられる)と、該編集操作への承認の可否を指定するための情報(これはURL等のリンク情報として与えられ、少なくとも該ドキュメント入力編集システム及び該編集操作を特定する情報が必要であり、承認の可否を指定するためのコマンド機能を有する情報を含むことができる)とを含むメッセージを、本人が使用するメール・ソフトやメッセンジャー・ソフトを通じて表示することができれば、この条件を満たす。このメールやメッセンジャーのソフトウェアから承認の可否を直接入力できるようにしておくことが可能である。或いは、メールやメッセンジャーのソフトウェアで受け取ったメッセージの内容を確認したあと、一度該ドキュメント入力編集システムにおける各ユーザ個人向けのものとして準備された画面を開いた上で、詳細を確認したり、商人の可否を指定したりすることができるようにしておくことも可能である。
あるユーザによるある要素に対する編集操作において、この要素の要素支配権を保持する他のユーザ(要素支配ユーザ)に編集内容に関する承認を求める要求に対し、この要素支配ユーザからの承認の反応が得られた場合に、システムは、この編集操作によって予約された更新処理を実行し、拒絶の反応が得られた場合には、この編集操作によって予約された更新処理を破棄することが期待される。また、この要求に対し、一定期間内にこの要素支配ユーザからいずれの反応も得られなかった際には、承認の反応が得られたものと見做し、この更新処理を実行するようにしておくことも考えられる(図20)。
さらに、該承認要求手段に付随する機能として、編集操作ユーザが承認を求める際の画面において該編集操作の意図などについてのコメントを別途要素支配ユーザに対するメッセージとして入力し、要素支配ユーザがこれに対する承認の可否を入力する際の画面にこのメッセージを表示できるようにしておくこと(図22)や、要素支配ユーザが承認の可否を入力する際の画面において承認の可否の理由についての説明や編集操作ユーザからのメッセージへの返答を編集操作ユーザに対するメッセージとして入力し、編集操作ユーザが承認の可否を確認する画面にこのメッセージを表示できるようにしておくこと、などが可能である。その際には、各要素について、過去になされた編集内容に関する情報(編集操作者に関する情報を含む)に加え、編集操作ユーザから要素支配ユーザへのメッセージや、要素支配ユーザから編集操作ユーザへのメッセージの履歴情報が閲覧できる機能を提供することが可能である(図23)。
通常の能力を有する多くの利用者の参加する議論の場において、最初から精度の高い情報が、精度の高いポジションにおいて、精度の高い属性値が付与されたうえで入力されることを期待するのは困難である。現実世界においても、参加者の主体性が認められる会議であれば、多くの議論は提案と調整の繰り返しのプロセスを経て展開されるのが通常である。その際、各発言の内容および位置付けを、相互のコンセンサスを確認しながら、柔軟に調整するしくみがなければ、議事を効率的かつ効果的に進めることは困難となる。この問題に対し、各要素に対する要素支配権を設定したうえで、要素の内容や属性、要素間の構成の調整には関係する要素に対する要素支配権を保持するユーザの承認が必要とされるメカニズムを用いることにより、ドキュメントや議論の全体としての秩序や整合性を維持したまま、参加者個人の意見を議論のなかに取り込み、各要素の内容、属性、関係等を柔軟に更新することを可能とするメカニズムを提供する。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、要素入力特定手段、要素属性入力特定手段、要素内容編集手段、要素属性編集手段、要素関係入力編集手段等を用いることにより可能となる各操作の権限がユーザ毎に付与されることができる。
即ち、ユーザ毎に操作権限を設定することができるものである。操作権限をユーザ毎に設定する場合のユーザ情報を記録するデータ構造としては、各操作権限を個別に設定する場合や、権限レベルを設定することにより各操作権限を設定する場合等が想定される(図24)。これにより、ユーザの能力、資格、貢献度、当事者度、信頼度、誓約事項等に応じて、各ユーザに実行可能な操作を別々に設定することが可能となる。これは、会議、ドキュメント編集等におけるコミュニケーション、コラボレーションを円滑かつ効果的に進行させる上で重要な要件になると考えられる。
さらに、各操作の対象となるドキュメントや要素の範囲を制限した上で各権限を付与するとより効果的に機能する。例えば、ドキュメント毎に異なるルールを設定し、これに対する誓約を行ったユーザが一定の権限を取得するしくみや、自身が要素支配権を保持する要素と特定の関係にある要素という範囲においてのみ特定の権限を行使することができるしくみ等として運用することができる。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、該要素関係入力編集手段によって定義される各要素の他の要素との関係により構成される構造が、各要素に付随する任意の情報または既に与えられている要素間の関係に基づく全体的もしくは局部的な構造化状況に関する条件によって制約されていることができる。
ここで「各要素に付随する任意の情報」とは、当該関係の関係元または関係先となる要素に付随する、要素の内容、属性、関係定義情報、入力日時、更新日時、データベースにおいて整理される際のID等を示す情報をいう。例えば、親子関係という構造に該当する2つの要素においては、親要素の関係定義情報は子要素の関係定義情報よりも新しく更新されたものであってはならないという制約(即ち、各要素は該要素の関係定義情報よりも古い関係定義情報を有する要素の親になるという関係の構造を構成することはできないという制約)等がこれに該当する。また「既に与えられている要素間の関係に基づく全体的もしくは局部的な構造化状況に関する条件」には、要素間の関係性があるパターン(或いはテンプレート)に収まることや、ある要素と関係付けられる要素数等に関する条件等が含まれる。例えば、予め定められた全体的または局部的な構造のパターンがあり、一度あるパターンが満たされた構造は一定水準において固定され、特別な場合を除き、編集の対象とすることができないという制約等がこれに該当する(なお、ここで「特別な場合」とは、ドキュメントの編集を円滑に進めるために必要な一定の状況が満たされた場合などであり、例えば、固定された構造の部分構造と置き換えるべき構造を、固定された構造の外側で編集し、固定された構造の部分構造よりもこれと置き換えるべき構造がある評価基準において一定以上高い評価を得た場合といったものが想定される)。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、各要素が、該要素と他の要素との関係において特定条件を満たした際に、予め定義されたルールに従い、該要素の属性、該要素の他の要素との関係、またはこの両方を自動的に変化させる要素関係自動編集手段を具備することができる。
即ち、要素が他の要素との関係において特定条件を満たすことをトリガーとして、要素の属性、他の要素との関係、またはこの両方を、予め定義されたルールに従い、自動的に変化させる手段を具備するものである。ここで「自動的に」とは、特段の操作を行わなくてもその変化が発生することをいう。なお、この「特定条件」及び「ルール」は、当該要素に与えられる属性毎に、または当該要素に与えられる属性と当該要素と特定の関係にある他の要素に与えられる属性とのパターン毎に、異なるものを定義することができる。
ここに記載のルールの例としては、「説明」という属性が与えられる要素Aの下に、「換言」という属性が与えられる要素Bがぶら下がっている状況において、要素Bの支持指数(その要素の内容がどの程度のユーザの支持を獲得するものであるかを示すものとして要素毎に設定される尺度。各ユーザが各要素に対し支持/不支持を明示的に示すことにより計算される変数として実装することや、子や子孫の数や内容、属性等に応じて計算される変数として実装することが想定される)が要素Aの支持指数を上回った際に、要素Bと要素Aのポジションが自動的に入れ替わり、要素Bに「説明」という属性が与えられ、要素Aに「換言」という属性が与えられ、要素A及び要素Bにぶら下がっている各要素は元々ぶら下がっている要素に付随して移動する(各要素の属性毎に、要素の移動に付随して移動するか、元々ぶら下がっていたポジションに新たに移動してきた要素にぶら下がるようにするか、全てどちらか一方にぶら下がるようにするか、が決定されるという仕様でも構わない)、というものが考えられる(図17−A)。
或いは、「説明」という属性が与えられる要素Aの下に、新たに「要約」という属性が与えられる要素Bをぶら下げるオファー(編集操作(ここでは「ぶら下げ」)に関する承認を求める処理)が行われた際、このオファーが承認されると、この承認によって実行される編集操作の後、要素Aと要素Bのポジションが入れ替わり、要素Bに「説明」という属性が与えられ、要素Aに「詳細」という属性が与えられ、要素A及び要素Bにぶら下がっている各要素は全て要素Bの下にぶら下がる、というものが考えられる。ここに記載したものはごく一部の例であり、他にも様々なルールを設定することが想定される(図17−B)。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、ドキュメントに含まれる複数の要素のなかで、存続するまたは有効である要素を選定する際に、特定の要素を選定する基準(以下、「要素選定基準」)として、選定の候補となる各要素に付随する任意の情報、該要素と直接または間接的に関係付けられた要素に関する情報、関係定義情報に基づく要素の構造化のパターンに関する情報とのうち少なくともいずれかの情報またはこれに基づき計算される情報を評価の対象とする基準が用いられることを特徴とすることができる。
例えば、複数の要素が競合する場合(記載内容が重複するため同時に存続させる(或いは有効とする)と議論の焦点が定まらず支障をきたす場合等)には、競合する各要素の支持指数(その要素の内容がどの程度のユーザの支持を獲得するものであるかを示すものとして要素毎に設定される尺度。各ユーザが各要素に対し支持/不支持を明示的に示すことにより計算される変数として実装することや、各要素の子や子孫に位置する要素の数や内容、属性等に応じて計算される変数として実装することが想定される)や支持構造(その要素がどのような要素間の構造において支持されているのか)を計算し、その数値が最も高いもの(または支持構造が最も高い評価を得る要素)を存続させるまたは有効とすることにより、ドキュメント(或いは議論)の内容を効果的或いは効率的に整理することを可能とする。
なお「要素に付随する任意の情報」の例としては、要素の内容、属性、関係定義情報、入力日時、更新日時、データベースにおいて整理される際のID、請求項2に定義される要素ウェイト情報等が挙げられる。また「該要素と直接または間接的に関係付けられた要素に関する情報」とは、その要素に直接または間接的に関連付けられた要素の数や、関係付けられた各要素についての上記「要素に付随する任意の情報」に準拠する情報等である。また「関係定義情報に基づく要素の構造化のパターンに関する情報」とは、構造化状況のパターン毎に設定される数値(固定値またはパターン自体以外の基準で調整される基準値)等が想定される。また「これに基づき計算される情報」とは、例えば、その要素と一定の関係にある各要素(直接または間接的に関係付けられた要素のうち特定の条件に該当する要素)について、属性毎に設定される定数と要素ウェイト情報の積を計算し、それらの和として得られる数値等である。例えば、複数の要素が競合する場合にはこの数値が大きいものを選定する等の形で基準が設定される。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、該ドキュメント入力編集システムにおいて編集操作可能な状態にあるドキュメント(以下、「編集ドキュメント」)を、要素の属性及び関係定義情報並びに該関係定義情報に基づく要素の構造化のパターン等の情報を対象とする明確な規則、または該情報に応じて与えられる明確な規則に沿って、計算機上の処理、特別な権限(以下、「ドキュメント取りまとめ権限」)が与えられたユーザの操作、またはこの両方によって実行されるプロセスによって、整理することにより定義されるドキュメント(以下、「完成ドキュメント」)を作成する完成ドキュメント作成手段を具備し、該完成ドキュメント作成手段において、編集ドキュメントに含まれる各要素(以下、「編集要素」)のうち、完成ドキュメントに含まれる要素(以下、「完成要素」)として取り上げる、または完成要素を作成するための素材とされる編集要素を選定する基準(以下、「要素選定基準」)として、選定の候補となる各編集要素に付随する任意の情報、該編集要素と直接または間接的に関係付けられた要素に関する情報、該関係定義情報に基づく要素の構造化のパターンに関する情報とのうち少なくともいずれかの情報またはこれに基づき計算される情報を評価の対象とする基準が用いられ、該プロセスが該要素選定基準に沿ったものとなるよう制約を受けている特徴を有する(図26)。
請求項1に記載の「明確な規則」は、例えば、「編集ドキュメントにおける属性PE1の要素は、そこで定義されるロジックが成立するために必要な条件が、該要素に関連付けられた要素において、排他的かつ網羅的に設定された時点で完成ドキュメントに組み込まれる」、「属性PE2の要素は完成ドキュメントに必ず組み入れられる」といった規則や「属性PE4の要素は条件C1を満たさなければ完成ドキュメントに組み入れることはできない」、「属性PE5の要素は完成ドキュメントに組み入れることはできない」といった規則などのように定義される。「要素の属性及び関係定義情報並びに該関係定義情報に基づく要素の構造化のパターン等の情報を対象とする明確な規則」とは、該情報に適用される規則であり、また「該情報(要素の属性及び関係定義情報並びに該関係定義情報に基づく要素の構造化のパターン等の情報)に応じて与えられる明確な規則」とは、該情報の内容に応じて設定される明確な規則(適用の対象は問わない)である。
請求項1に記載の該編集ドキュメントを「整理する」プロセスとしては、該編集ドキュメントに含まれる要素または情報を予め定められたフォーマット(以下、「完成ドキュメント・フォーマット」)に収納し、該完成ドキュメント・フォーマットに収納した内容を確定することにより実行すること等が想定される。なお、該編集ドキュメントに含まれる編集要素または情報を完成ドキュメント・フォーマットに収納する際には、完成ドキュメントに含まれる要素として取り上げるもしくは完成ドキュメントに含まれる要素を作成するための素材とされる編集要素に関する内容の全てを収納するようにしておいても、或いはその内容の一部を収納するようにしておいても構わず、また、元の内容をそのまま収納しても、或いは何らかの修正を加えた上で収納しても構わない。いずれにせよ、完成ドキュメントに含まれる要素として取り上げる編集要素または完成ドキュメントに含まれる要素を作成するための素材とされる編集要素と、この編集要素を元に作成された完成ドキュメントに含まれる要素との対応関係が明確化されることが期待される(図27)。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、該規則が、該完成ドキュメントを構成する各要素と該編集ドキュメントを構成する各要素との対応関係、または該完成ドキュメントを構成する要素間の構造と該編集ドキュメントを構成する要素間の構造との対応関係に関する規則として与えられることができる。
ここで「該完成ドキュメントを構成する各要素と該編集ドキュメントを構成する各要素との対応関係」に関する規則とは、例えば「編集ドキュメントにおける属性PE6の要素は完成ドキュメントにおける属性PC5の要素に変換される」といった規則や「完成ドキュメントにおける属性PC6の要素として組み込むことができるのは編集ドキュメントにおける属性PE7またはPE8の要素のみである」といった規則である。また、「該完成ドキュメントを構成する要素間の構造と該編集ドキュメントを構成する要素間の構造との対応関係」に関する規則とは、例えば「編集ドキュメントにおける属性PE9の要素に属性PE10の要素が少なくとも1つ以上関係付けられていて、その属性PE10の各要素に属性PE11、PE12、PE13の要素がそれぞれ少なくとも1つ以上関係付けられている場合に、この属性PE9、PE10、PE11、PE12、PE13の各要素はそれぞれの関係(構造)を維持したまま完成ドキュメントに組み込まれ、各要素の属性がPC9、PC10、PC11、PC12、PC13に変換される」といった規則(この規則を適用した完成ドキュメントの作成例を図28に示す)や「その際、特定の条件に該当する場合には、属性PE9の要素には少なくとも複数の属性PE10の要素が関係付けられていなければならない」といった規則である。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、完成ドキュメントが、少なくとも1つ以上の質問と該質問に付随するそれぞれ複数の選択肢とに適用することが可能な要素または情報を含むドキュメント(以下、「質問ドキュメント」)であることができる。
「質問ドキュメント」とは、選択肢が複数ある質問が複数並び、そのまままたは必要に応じてコンピュータ上で自動的にもしくは人為的に加工することによりアンケート等の質問に用いることができるドキュメントである(選択肢は、各質問においてひとつだけ選択するタイプのものでも、複数選択するタイプのものでも構わない)。例えば、編集ドキュメントにおいて、属性「論点」の要素が属性「質問」の要素にそれぞれ変換され、前記属性「論点」の各要素に関連付けられていた属性「考え方」の要素が前記属性「質問」の各要素に関連付けられた属性「選択肢」の要素にそれぞれ変換され、前記属性「考え方」の各要素に関連付けられていた属性「賛成根拠」の要素が前記属性「選択肢」の各要素に関連付けられた属性「利点」の要素にそれぞれ変換され、前記属性「立場」の各要素に関連付けられていた属性「反対根拠」の要素が前記属性「選択肢」の各要素に関連付けられた属性「欠点」の要素にそれぞれ変換され、(場合によっては、前記属性「立場」の各要素に関連付けられていた属性「コメント」の要素が前記属性「選択肢」の各要素に関連付けられた属性「補足」の要素にそれぞれ変換され、)編集ドキュメントにおけるその他の属性の要素を取り上げる対象から外す、ことにより定義された完成ドキュメントである(図26)。或いは、「論点」という属性が与えられた複数の要素と、前記「論点」という属性が与えられた各要素に関連付けられた「考え方」という属性が与えられたそれぞれ複数の要素とにより構成される完成ドキュメント(前の例に習いさらに「賛成根拠」「反対根拠」「コメント」等の要素が含まれていても構わない)であって、これをコンピュータ上で自動的にもしくは人為的に加工してアンケート等の質問に用いることができるというものもこれに含まれる。
段落0115に記載のドキュメント入力編集システムは、該ドキュメント入力編集システムに接続されたネットワーク及び該ネットワーク上の計算機を通じて、該質問ドキュメントに基づき生成された文書または該質問ドキュメント(以下、「アンケート文書」)を用いて、該ネットワーク上の計算機を操作可能な計算機ユーザを対象としたアンケートを実施するアンケート実施手段、または該アンケート実施手段を具備するシステムにアンケート文書を提供するアンケート文書提供手段を具備することを特徴とすることができる(図29、図30)。
ここで「該ドキュメント入力編集システムに接続されたネットワーク及び該ネットワーク上の計算機」とは、例えば、該ドキュメント入力編集システムと接続されたサーバ/クライアント・システムとして構成されるコンピュータ・ネットワーク・システム等である。該ドキュメント入力編集システムまたは該ドキュメント入力編集システムにネットワーク接続されたサーバは、該ネットワークを通じて該ネットワーク上のコンピュータに該アンケート文書を送信し、該コンピュータは該サーバの要求に応じて該コンピュータの利用者に該アンケート文書を提示し、該アンケート文書への回答を求め、該利用者の該アンケート文書に対する回答に関する情報(以下、「回答情報」)の入力を受け付け、該回答情報を該サーバに送信し、該サーバは該コンピュータから該回答情報を受信し、該サーバと該コンピュータは必要に応じてこうした通信を繰り返し、該サーバは該コンピュータから送信された該回答情報を記録手段(データベース等)に記録し、必要に応じて集計等の処理を行う。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、該完成ドキュメント作成手段において、編集ドキュメントに含まれる各要素(以下、「編集要素」)のうち、完成ドキュメントに含まれる要素(以下、「完成要素」)として取り上げる、または完成要素を作成するための素材とされる編集要素を選定する基準(以下、「要素選定基準」)として、選定の候補となる各編集要素に付随する任意の情報、該編集要素と直接または間接的に関係付けられた要素に関する情報、該関係定義情報に基づく要素の構造化のパターンに関する情報とのうち少なくともいずれかの情報またはこれに基づき計算される情報を評価の対象とする基準が用いられ、該プロセスが該要素選定基準に沿ったものとなるよう制約を受けている特徴を有する。
即ち、編集ドキュメントに含まれる全ての要素(編集要素)が完成ドキュメントに含まれる要素(完成要素)として取り上げられ、或いは完成要素を作成するための素材とされるわけではなく、こうした取り扱いを受ける要素と受けない要素があり(例えば、完成ドキュメントにおけるある属性の要素に直接関係付けられる各編集要素の内容は重複してはならないという制限がある場合など)、こうした取り扱いを受ける編集要素を選定する際には基準(要素選定基準)があり、その要素選定基準として、編集要素に付随する任意の情報、該編集要素と直接または間接的に関係付けられた他の編集要素に関する情報、関係定義情報に基づく編集要素の構造化のパターンに関する情報、或いはこれらの情報に基づき計算されて得られる情報が用いられるということである。例えば、複数の編集要素が競合する(完成要素または完成要素を作成するための素材とされる編集要素として同時に選定することができない)場合には、競合する各編集要素の支持指数(その編集要素の内容がどの程度のユーザの支持を獲得するものであるかを示すものとして編集要素毎に設定される尺度。各ユーザが各編集要素に対し支持/不支持を明示的に示すことにより計算される変数として実装することや、各編集要素の子や子孫に位置する編集要素の数や内容、属性等に応じて計算される変数として実装することが想定される)や支持構造(その要素がどのような編集要素間の構造において支持されているのか)を計算し、その数値が最も高いもの(または支持構造が最も高い評価を得る要素)を完成要素として取り上げる、或いは完成要素を作成するための素材とする編集要素として選定する、といった基準を設けておくこと等が考えられる。
なお「編集要素に付随する任意の情報」の例としては、編集要素の内容、属性、関係定義情報、入力日時、更新日時、データベースにおいて整理される際のID、請求項2に定義される要素ウェイト情報等が挙げられる。また「該編集要素と直接または間接的に関係付けられた要素に関する情報」とは、その要素に直接または間接的に関連付けられた要素の数や、関係付けられた各要素についての上記「編集要素に付随する任意の情報」に準拠する情報等である。また「関係定義情報に基づく要素の構造化のパターンに関する情報」とは、構造化状況のパターン毎に設定される数値(固定値またはパターン自体以外の基準で調整される基準値)等が想定される。また「これに基づき計算される情報」とは、例えば、その要素と一定の関係にある各要素(直接または間接的に関係付けられた要素のうち特定の条件に該当する要素)について、属性毎に設定される定数と要素ウェイト情報の積を計算し、それらの和として得られる数値等である。例えば、複数の要素が競合する場合にはこの数値が大きいものを選定する等の形で基準が設定される。
請求項2に記載のドキュメント入力編集システムは、ユーザが自身の入力または編集した要素に関する情報を管理または確認するために用いられる表示フィールド(以下、「自己入力編集要素表示手段」)と、編集ドキュメントまたは完成ドキュメントの内容を確認するために用いられる表示フィールド(以下、「ドキュメント内容表示手段」)とのうち、少なくともいずれかの表示フィールドを具備し、該表示フィールドの少なくともいずれかにおいて、ユーザが自身または他のユーザの入力または特定した要素に対し重み付け情報(以下、「要素ウェイト情報」)を設定する要素ウェイト情報設定手段を具備し、該要素選定基準として、該要素ウェイト情報またはこれを用いた計算により求められる数値を評価の対象とする基準を用いることを特徴とする。
ここで「要素ウェイト情報」の例としては、自身の関心の度合い、重視する度合いなどを適用することが想定される。また、要素ウェイト情報に特別な意味を持たせたり(例えば、各要素のユーモア性、深刻性、緊急性、個人性、公共性等の度合いを示すウェイトを設定する等)、同じ要素に複数の要素ウェイト情報を設定したりすることができるようにしておくことも想定される。
編集ドキュメントの内容を確認するために用いられる表示フィールドは、通常具備されている構造表示手段に機能を付加したものでも構わない。例えば、特定の要素を右クリックすると、「要素ウェイト情報」を設定するというメニューが出てきて、これを選ぶと、要素ウェイト情報を数値入力やリストからの選択にて要素ウェイト情報を設定するためのインタフェースが表示される、等の機能が備わっていれば請求項2に記載の要素ウェイト情報設定手段を具備するものといえる。
なお、請求項2においては、要素ウェイト情報を設定する要素ウェイト情報設定手段を具備することのみを要件としているが、要素ウェイト情報を用いて各表示フィールドに表示される要素をソーティング(並び替え)して表示することを可能とする要素ソーティング手段を具備することや、各表示フィールドにおいて要素を表示する際に要素ウェイト情報の内容を表示する要素ウェイト情報表示手段を具備すること、各表示フィールドにおいて要素を表示する際に要素ウェイト情報が特定の条件を満たす要素のみを表示する特定ウェイト条件要素表示手段を具備すること、各表示フィールドにおいて要素を表示する際に要素ウェイト情報が特定の条件を満たす要素を強調して表示する特定ウェイト条件要素強調表示手段を具備すること、なども想定される。
請求項2に記載のドキュメント入力編集システムは、段落0107または段落0110に記載の要素選定基準として、請求項2に記載の要素ウェイト情報またはこれを用いた計算により求められる数値を評価の対象とする基準を用いることを特徴とする。
例えば、要素選定基準(ドキュメントに含まれる各要素のうち、存続するもしくは有効である要素を選定する際、または完成要素として取り上げるもしくは完成要素を作成するための素材とされる要素を選定する際の選定基準)として、各要素に対し各ユーザが重視する度合いを示す要素ウェイト情報を用いた計算により各要素の指示指数を計算し、これにより得られた数値を評価の対象とする基準を挙げることができる。評価の対象となる数値(支持値)の計算方法の例としては、選定の候補となる要素毎にその要素に対し各ユーザが設定する要素ウェイト情報の和(以下、「直接支持値」)を計算し、子を持たない要素に関してはその要素の直接支持値をその要素の支持値とし、子を持つ要素に関しては、全ての子要素の支持値の合計とその要素の直接支持値の和を以ってその要素の支持値とする、といったものが考えられる(子の支持が親の支持に加算されていく構造)。このとき、要素選定基準は、競合する複数の要素のうちの特定の要素を選ぶ際には支持値の高いものを選定するといったものにしておく。またこの計算方法において、属性の種類によって、親要素の支持値を計算する際に、子要素の支持値を加算しなかったり(例えば「コメント」等、親要素に対し賛成も反対もしない内容を示す要素であることを示す属性の場合)、子要素の支持値の正負を反転させて加算したり(例えば「反論」、「疑問」等、親要素に対し反対する内容を示す要素であることを示す属性の場合)、することも想定される。なお、要素ウェイト情報を「1」等の定数に統一しておけば、よりシンプルな形で実装することも可能である。
請求項2に記載のドキュメント入力編集システムは、ユーザ毎に設定される議決権に関する情報(以下、「ユーザ議決権情報」)を記録するユーザ議決権情報記録手段を具備し、該要素選定基準として、該ユーザ議決権情報記録手段において保持されるユーザ議決権情報またはこれを用いた計算により求められる数値を評価の対象とする基準が用いられることができる。
ここで「ユーザ議決権情報」とは、議決権の有無を示すboolean値、所持する票数を表す整数などにより表現されることが想定される(ただし、これに限らず、計算可能な実数であれば、整数でない値や負の値を含め、どんな数字でも構わない)。或いは、「状況1においてはX、状況2においてはY」といった条件分岐設定等を含む情報でも、ロジカルに定義されるものであれば「ユーザ議決権情報」として用いることができる。請求項2と段落0128の記載を同時に満たすドキュメント入力編集システムである場合、該要素選定基準として、該要素ウェイト情報と該ユーザ議決権情報とを用いた計算により求められる数値を用いることができる。
評価の対象となる数値の計算方法の例としては、選定の候補となる要素毎にその要素に対し各ユーザが設定する要素ウェイト情報とそのユーザのユーザ議決権情報を表す値の積の和(以下、「直接支持値」)を計算し、子を持たない要素に関してはその要素の直接支持値をその要素の支持値とし、子を持つ要素に関しては、全ての子要素の支持値の合計とその要素の直接支持値の和を持ってその要素の支持値とする、といったものが考えられる。このとき、要素選定基準は、競合する複数の要素のうちの特定の要素を選ぶ際には支持値の高いものを選定するといったものにしておく。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、完成ドキュメントまたは該完成ドキュメントに基づき作成された情報もしくは該完成ドキュメントに関連付けられた情報に対し付与されるステイタス情報を参照するステイタス情報参照手段と、該ステイタス情報参照手段を通じて獲得されたステイタス情報または該ステイタス情報を用いて作成された情報をユーザに提示するステイタス情報提示手段とを具備することができる。
即ち段落0131に記載のドキュメント入力編集システムは、完成ドキュメントまたは該完成ドキュメントに基づき作成された情報もしくは該完成ドキュメントに関連付けられた情報に対し付与されるステイタス情報のトレイサビリティを確保したものである。ここで「該完成ドキュメントに基づき作成された情報」とは、該完成ドキュメントから直接作成された情報(以下、「一次的作成情報」)のみならず、一次的作成情報に基づき作成された情報(以下、「二次的作成情報」)、二次的作成情報に基づき作成された情報(以下、「三次的作成情報」)、以下同様に定義される多次的作成情報も含むことができるものとする。
また「ステイタス情報」とは、完成ドキュメントまたは該完成ドキュメントに基づき作成された情報もしくは該完成ドキュメントに関連付けられた情報(以下、「対象情報」)のステイタスを示す情報であり、対象情報がどのような状態であるか、対象情報がどの段階にあるか、対象情報にどのようなイベントが発生したか、対象情報がどのように処分されたか、等といった情報が該当しうる。例えば、該完成ドキュメントが社会問題を整理したものである場合、その社会問題を解決するための政策案、その政策案を具体化した法案、その法案が制定された法律(これらのドキュメントも本発明に記載のドキュメント入力編集システムにおいて入力編集による議論を経たものであることも考えられる)等が対象情報となりうる。このとき、その法案が、議論されている状態、既に取りまとめられた状態、審議中の状態、成立した(または棄却された)状態等を示す情報がステイタス情報である。
また「ステイタス情報を用いて作成された情報」とは、ステイタス情報と他の情報との両方を用いて作成された情報も含まれ、またステイタス情報の内容に応じて他の情報を加工、修正、選定、吟味等したうえで確定される情報も含まれる。
請求項3に記載のドキュメント入力編集システムは、完成ドキュメントまたは該完成ドキュメントに基づき作成された情報もしくは該完成ドキュメントに関連付けられた情報に対し付与されるステイタス情報もしくは該ステイタス情報の変化を検出するステイタス情報変化検出手段と、該完成ドキュメントに含まれる材料を提供した編集ドキュメントに含まれる要素を入力もしくは特定したユーザ(以下、「入力特定ユーザ」)または該入力特定ユーザを指定する別のユーザ(以下、「指定ユーザ」)に対し、該ステイタス情報変化検出手段において検出された変化が予め定められた条件に該当する場合もしくは他の条件において該ユーザ(入力特定ユーザまたは指定ユーザ)の指定する条件が満たされた場合において、または特定のルールによって与えられるタイミングもしくは該ユーザ(入力特定ユーザまたは指定ユーザ)の指定するタイミングにおいて、該ステイタスまたは該変化に関する通知を行うステイタス情報通知手段と、を具備することを特徴とする。
ここで「ステイタス情報変化検出手段」は、段落0131に記載の「ステイタス情報参照手段」と関連するが、完成ドキュメントまたは該完成ドキュメントに基づき作成された情報もしくは該完成ドキュメントに関連付けられた情報(以下、「対象情報」)のステイタスを示す情報を、ただ参照することではなく、その変化を検出できることが求められる。例えば、該ステイタス情報参照手段は、対象情報に該当するある法案が、議論されている状態、既に取りまとめられた状態、審議中の状態、成立した(または棄却された)状態等を示す情報がステイタス情報を参照するものであることに対し、ステイタス情報変化検出手段は、その法案が、取りまとめられたとき、審議に入ったとき、成立したとき、棄却されたとき等にその変化を検出するものである。定期的(例えば10分おき)にステイタス情報を参照し、参照されたステイタス情報が前回参照したときと異なるとき、これを変化として検出する、という形で実装しても構わないし、対象情報を管理するシステムが対象情報のステイタス情報に変化があった場合にこれを該ドキュメント入力編集システムに通知し、この通知を受信することを以って該ステイタス情報の変化を検出する、という形で実装しても構わない。また、「ステイタス情報通知手段」は、段落0131に記載の「ステイタス情報提示手段」と関連するが、該ステイタス情報提示手段は、ユーザの求めに応じて提示する場合に活用されることも想定されるが、該ステイタス情報通知手段は、ユーザの求めの有無に関わらず、与えられた条件が整った際にユーザに通知をするものである。
請求項1乃至3に記載のドキュメント入力編集システムは、編集等されるドキュメントが、政策または社会問題に関わる議論、認識、考えかた、立場、主張等を整理するものであることを特徴とすることができる。
政策または社会問題に関わる議論、認識、考えかた、立場、主張等を整理するには、価値観や認識、経験等を共有しない参加者が、互いの意見に耳を傾けながら、利害の対立を解決する困難なプロセスが要求される。各請求項に記載した、ミクロなコンセンサスを通じて各要素の内容と要素間の関係により構成される構造を洗練しつつ、多数の利用者からの支持が得られる要素や少数の利用者からでも強い思いが込められた要素を尊重するメカニズムにより、このプロセスを実現する。
請求項1に記載のドキュメント入力編集システムは、完成ドキュメントとして、特許文献特開2005−353018「多様なアクター間の政策コミュニケーションと政治参加を支援するための情報基盤システム」に記載された政策コミュニケーション・システムにおいて取り扱う、政策議題、または、インターネット利用者もしくは政治家(候補者を含む)を対象とする政策アンケート文書(支持、反対、重視等する政策のリストを作成するための項目を提供する文書)を提供することを目的とすることを特徴とすることができる。
特許文献特開2005−353018に記載の一部の請求項においては、該政策議題または該政策アンケート文書を、政策議題募集手段等を用いてインターネットを通じて獲得することが想定されているが、本発明の段落0139に記載のドキュメント入力編集システムにおいて得られた完成ドキュメントは、該政策議題募集手段等を用いて獲得されるものと併せて、またはこれに代替するものとして用いることが想定される。従って、特許文献特開2005−353018に記載の政策コミュニケーション・システム、及び該政策コミュニケーション・システムより、該政策議題または該政策アンケート文書を獲得するためのメカニズム(政策議題募集手段等で構成される)を省略した政策コミュニケーション・システムが、段落0139に記載のドキュメント入力編集システムが完成ドキュメントを提供する対象となりうるものとする。
請求項1に記載されたドキュメント入力編集システムにおいて入力、編集等されたドキュメントを、請求項1に記載された該ドキュメント入力編集システムと同様の構造、レイアウト、またはデザインにおいて、表示する入力編集ドキュメント表示手段を具備する、入力編集ドキュメント閲覧システムを構成することができる。
該入力編集ドキュメント表示手段により閲覧されるドキュメントとしては、編集ドキュメント、完成ドキュメント、及びこれを元に作成されたドキュメントが該当しうる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に記載されたドキュメント入力編集システムの各手段として機能するコンピュータ・プログラムである。
本発明の主要な効果は、複数の参加者を前提としたドキュメント編集または議論の場において、多様な情報が複雑に絡み合った情報量が膨大なドキュメントまたは議論の内容をユーザが短時間で的確に把握するのを容易とすること、及び、意見や立場の異なる多数の参加者が参加する議論の過程で体系だった知識を整理するのを可能とすること、である。請求項毎の主要な効果を以下に示す(ただし発明の効果の多くは前の文脈のなかで既に述べており、ここでは各請求項の主要な効果のみ取り上げ、既述事項の一部は割愛する)。
請求項1に記載の発明は、関係定義情報による議論の構造化と、構造表示手段による構造化された議論の視覚的表示、及びこの視覚的表示を通じた操作を可能とすることにより、多様な情報が複雑に絡み合ったドキュメントまたは議論の内容をユーザが短時間で的確に把握し、ドキュメント編集や議論に参加することを容易とする。
段落0054に記載の構成は、要素属性の編集を可能とすることにより、一度入力された要素の位置付けに違和感が持たれた際にこれを見直すことを促し、ドキュメント内容の最適化を促進する。
段落0055に記載の構成は、各要素に意味的位置付けを付与することにより、多様でかつ複雑に絡み合った情報を整理することを可能とする。
段落0057に記載の構成は、各要素の意味的性質を定義することにより、多様でかつ複雑に絡み合った情報を整理することを可能とする。
段落0059に記載の発明は、各要素の論理的性質を定義することにより、多様でかつ複雑に絡み合った情報を整理することを可能とする。
段落0062に記載の特徴は、各要素間の関係をツリー構造として定義することにより、多様でかつ複雑に絡み合った情報を整理することを可能とするドキュメントのフレームワークを提供する。
段落0065に記載の構成は、要素が他の複数の要素に関係付けられることを可能とすることにより、同じリソースが異なる文脈のなかで参照されることを可能とし、ドキュメント編集や議論が一層柔軟に進められることを可能とする。
段落0068に記載の特徴は、要素及び要素間の構造を視覚的に表示し、この視覚的表示上での要素間の関係を編集することを可能とすることにより、多様な情報が複雑に絡み合ったドキュメントまたは議論の内容に対する修正操作を容易とする。
段落0071に記載の構成は、ドキュメントに含まれる要素または要素セットを複数のドキュメントの間で柔軟に活用することを可能とすることにより、リソースの有効活用、及び、柔軟なドキュメント編集や議論を可能とする。
段落0075に記載の構成は、全体的構造と局部的構造とを別に表示し、各表示手段の連携を図ることにより、ドキュメントの内容を柔軟に閲覧することを可能とするナビゲーション機構を提供する。
段落0080に記載の構成は、一部の要素の表示/非表示を切り替える手段を提供することにより、閲覧者が閲覧したい情報のみを表示することを可能とする。
段落0084に記載の構成は、ドキュメントに含まれる要素を検索し、抽出された情報のみを表示したり、強調したりして表示することを可能とし、閲覧者が閲覧したい情報を効果的に閲覧することを可能とする。
段落0087に記載の構成は、ドキュメントに含まれる要素の表示順序または表示位置の決定または調整に影響を及ぼすソーティング条件情報を入力または特定する手段を備えることにより、各要素の表示順序や表示位置をユーザの期待通りに調整することを可能とし、多様な情報が複雑に絡み合った情報を、ユーザが各自の視点から思い通りに閲覧することを可能とする。
段落0090に記載の特徴は、各要素に対する要素支配権を設定することにより、各ユーザが、自ら要素支配権を保持する要素(主として、自分の入力または編集した要素)に関して、責任を持って継続的にコミットすることを促す。要素の内容や属性、要素間の構成の調整には、関係する要素に対する責任を負う者の間でのコンセンサスが要求されるメカニズムを用いることにより、ドキュメントや議論の全体としての秩序や整合性を維持したまま、参加者個人の意見を議論のなかに取り込むための決定的なメカニズムを提供する。
段落0098に記載の構成は、ユーザ毎に操作権限を設定することができるようにすることにより、ユーザの能力、資格、貢献度、当事者度、信頼度、誓約事項等に応じて、各ユーザに実行可能な操作を別々に設定することを可能とし、各ユーザの役割に応じた参加を可能とし、会議やドキュメント編集等におけるコミュニケーションやコラボレーションを円滑かつ効果的に進行させる効果が期待される。
段落0101に記載の構成は、新たに付与される要素間の関係を、各要素に付随する任意の情報または既に与えられている要素間の関係に基づく構造化状況に関する条件によって制約することにより、情報を効果的に整理することを促進し、また既に完成度が高まった情報が容易に破壊されることを防止し、ドキュメントや議論の構造化を生産的に進めることのできる環境を提供する。
段落0103に記載の構成は、特定の条件が満たされた際に、要素の属性または要素間の関係を自動的に編集する手段を備えることにより、ドキュメント編集や議論における情報の効率的な整理を可能とする。
段落0107に記載の構成は、ドキュメントに含まれる複数の要素のなかから、要素選定基準に基づき、存続するまたは有効である要素を選定する手段を備えることにより、各要素が要素選定基準で重く評価されるよう修正されるインセンティブを働かせながら、複数の要素の間に存在する内容の重複や矛盾等を整理することを促し、発散しがちな議論やドキュメントを収束させることを可能とする。
請求項1に記載の発明は、ドキュメント編集または会議のアウトプットとして完成ドキュメントを整理することを前提とすることにより、ドキュメント編集または会議に目的意識、参加インセンティヴ、及び緊張感を持たせ、目に見える具体的な成果が得られることを可能とする。また、完成ドキュメントを整理する過程に明確な秩序を持たせることにより、公平な条件のもと、多くの参加者の立場が集約されたアウトプットを得ることを可能とする。また、ドキュメント編集や議論のプロセスがアウトプットを得るプロセスそのものであり、アウトプットの内容が直接ドキュメント編集や議論の内容を示し、ドキュメント編集や議論からアウトプットを得る際に期待されない内容面でのロスが発生することはない。
段落0113に記載の構成は、完成ドキュメントを構成する各要素と編集ドキュメントを構成する各要素との対応関係、または完成ドキュメントを構成する要素間の構造と編集ドキュメントを構成する要素間の構造との対応関係に関する規則を、完成ドキュメントを作成する過程で適用される規則として用いることにより、編集ドキュメントの内容を完成ドキュメントに直接組み込みつつ、完成ドキュメントの性質に合致したスタイルのドキュメントを作成することを可能とする。以って、ドキュメント編集や議論の過程で整理されたリソースを、ドキュメント編集や議論の終了後においても、効果的に活用することを可能とする。
段落0115に記載の構成は、質問と質問に付随するそれぞれ複数の選択肢とに適用することが可能な要素または情報を含むドキュメントを完成ドキュメントとして得ることにより、議論やドキュメント編集の結果導かれた内容について、議論に参加していない人を含む他者の意思を確認したり、これに関する特定のコミュニティの中での意思決定を支援したりするための素材を提供することを可能とする。
段落0117に記載の構成は、質問と質問に付随するそれぞれ複数の選択肢とに適用することが可能な要素または情報を含むドキュメントを完成ドキュメントとして得たうえで、これに基づくアンケート文書を用いたアンケートを実施することを可能とし、議論やドキュメント編集の結果導かれた内容について、議論に参加していない人を含む他者の意思を確認したり、これに関する特定のコミュニティの中での意思決定を支援したりすることを可能とする。
段落0119に記載の特徴は、ドキュメントに含まれる複数の要素のなかから、要素選定基準に基づき、完成ドキュメントに組み入れる要素を選定する手段を備えることにより、各要素が要素選定基準で重く評価されるよう修正されるインセンティヴを働かせながら、複数の要素の間に存在する内容の重複や矛盾等を整理することを促し、発散しがちな議論やドキュメントを収束させることを可能とする。
請求項2に記載の発明は、ユーザが自身または他のユーザの入力または特定した要素に対し要素ウェイト情報を設定することを可能とすることにより、各ユーザが要素毎に重視する度合いを設定し、この度合いに応じて各ユーザに表示される情報を調整したり、各ユーザの思い入れの強さをドキュメント全体の構成に反映させたりすることを可能とする。とりわけ、利用者自身のための情報整理を目的として各要素に付与される重み付け情報を、利用者間で共有されるドキュメント全体のなかでの情報整理のために活用することにより、各利用者が自ら重視する以上に大きな重み付けが全体的な意思決定や調整の場面においていたずらに付与されるのをなくし、意思決定や調整の内容のバランスや秩序が維持されることを可能とする(ここで、「利用者」は議論への参加者とは区別して用いられており、議論への参加者を含むが、直接議論に参加しない利用者も含むことができる)。
請求項2に記載の発明は、ユーザが自身または他のユーザの入力または特定した要素に対し設定する要素ウェイト情報またはこれを用いた計算により求められる数値を評価の対象とする基準を、要素選定基準として用いることにより、ユーザ個々人の思い入れの強さをドキュメント全体の構成に反映することを可能とする。
段落0128に記載の構成は、要素選定基準として、ユーザ議決権情報を用いることにより、議論やドキュメント編集の内容に関連する当事者や、意思決定に特別な影響を及ぼすべきユーザの判断を重く扱うなど、ユーザの立場や考えかた、投入するコスト等に応じた意思決定への参加を可能とする。株主会議等のように、参加者毎に議決権が異なるコミュニティにおける新たな会議方法として適用することも効果的であると期待される。
段落0131に記載の構成は、完成ドキュメントまたは該完成ドキュメントに基づき作成された情報もしくは該完成ドキュメントに関連付けられた情報に対し付与されるステイタス情報を参照し、ステイタス情報またはこれを用いた情報をユーザに提示する手段を備えることにより、ドキュメント編集または議論の内容に関するトレイサビリティを実現し、ドキュメント編集または議論された内容に関する継続的なコミットメントやそれに関する事後的なフォローを可能とする。アウトプットが何らかの方法で活用される過程における情報を、アウトプットに関連するステイタス情報としてモニタリングし、議論の参加者や議論の閲覧者にフィードバックするメカニズムを用いることができるようにして、参加者の議論に参加するインセンティヴを直接または間接的に喚起する。
請求項3に記載の発明は、完成ドキュメントまたは該完成ドキュメントに基づき作成された情報もしくは該完成ドキュメントに関連付けられた情報に対し付与されるステイタス情報もしくは該ステイタス情報の変化を検出し、ユーザに通知する手段を備えることにより、ドキュメント編集または議論の内容に関するトレイサビリティを実現し、ドキュメント編集または議論された内容に関する継続的なコミットメントやそれに関する事後的なフォローを可能とする。アウトプットが何らかの方法で活用される過程における情報を、アウトプットに関連するステイタス情報としてモニタリングし、議論の参加者や議論の閲覧者にフィードバックするメカニズムを用いることができるようにして、参加者の議論に参加するインセンティヴを直接または間接的に喚起する。
段落0137に記載の構成は、政策または社会問題に関わる議論、認識、考えかた、立場、主張等を整理するドキュメントを取り扱う対象とし、価値観や認識、経験等を共有しない参加者が、互いの意見に耳を傾けながら、利害の対立を解決する困難なプロセスを可能とする。
段落0139に記載の構成は、政策コミュニケーション・システムにおいて取り扱うことが可能な政策議題または政策アンケート文書を完成ドキュメントとして得ることにより、中立、公平、かつ的確な政策議題または政策アンケート文書を準備することが容易でなかったという、従来の政策コミュニケーション・システムにおける問題を解消することを可能とする。
段落0141に記載の構成は、ドキュメント入力編集システムにおいて入力、編集等されたドキュメントを、該ドキュメント入力編集システムと同様の構造、レイアウト、またはデザインにおいて、表示する手段を提供することにより、多様な情報が複雑に絡み合った情報量が膨大なドキュメントまたは議論の内容を短時間で的確に把握することを可能とする。また、議論やドキュメント編集の過程自体にコミットしない環境においてもドキュメントの内容を分かりやすく確認することを可能とする。