JP5810163B2 - 打錠用杵 - Google Patents

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Description

本発明は、粉体(顆粒または粉末)材料を圧縮成型するための打錠機に用いられる打錠用杵に関し、より特定的には、生産用打錠機による打錠特性をよりスケールの小さい打錠機で模擬するために用いられる打錠用杵に関する。
打錠用粉体を圧縮成型して錠剤を製造する打錠部が外周に沿って複数配置された回転盤(ターンテーブル)と、打錠用粉体を蓄える定量器と、定量器内に配置され、その回転によって打錠用粉体を回転盤上に供給させる回転翼とを備えたロータリー打錠機(以下、単に打錠機と記載する)が公知である。このような打錠機では、回転盤が1回転する間に、打錠部への打錠用粉体の充填、打錠用粉体の計量、打錠用粉体の圧縮成型、及び圧縮成型された錠剤の取出といった工程が連続的に実施される。こうして製造された錠剤は、ベルトコンベアなどによって搬出される。
このような打錠機を用いて錠剤を製造する場合、打錠部において上下方向に配置された一対の杵セット及び筒状の臼を用いて打錠される。この杵セットは、下端に打錠面を備え上方から加圧ロールによる押圧を受ける上杵と、上端に打錠面を備え下方から加圧ロールによる押圧を受ける下杵とから構成され、上杵の打錠面と下杵の打錠面とが対向した状態で配置される。上杵及び下杵は、加圧ロールによって互いに近づく方向に押圧され、臼に充填された粉体を圧縮する。このような杵セット及び臼の組み合わせが、打錠機の製造能力に従って所定の数だけ配置されている。
ところで、このような打錠機においては、打錠条件や打錠用粉体の特性により、キャッピング(錠剤上面の剥離)、ラミネーション(層間剥離)、ステッキング(杵付着)等の打錠障害が発生する場合がある。このような打錠障害は歩留まりを低下させるため、打錠障害を回避するための様々な手法が提案されている。特許文献1は、耐久性と剥離性とに優れた打錠機用の杵を開示する。また、特許文献2は、低融点の生理活性成分を配合した錠剤を打錠する場合にステッキングを防止する打錠機用の杵を開示する。
特開2006−315076号公報 特開2008−074719号公報
医薬品開発においては、固形製剤、特に錠剤を開発する場合、打錠機の製造規模の違いにより、崩壊特性又は溶出特性(これらをまとめて「錠剤特性」と記載する場合がある)が異なる、いわゆるスケール効果を経験することがよくある。これは、製剤開発施設において小規模生産用の打錠機(以下「試験機」という)を用いて打錠処方を決定して、生産施設において大規模生産用の打錠機(以下「生産機」という)を用いて実際に製品を打錠すると、処方は同一でも錠剤特性が異なる錠剤が製造されることを意味する。加えて、製剤開発施設において小規模生産用の打錠機を用いた場合には良好に打錠を行うことができた場合でも、同じ打錠処方で大規模生産用の打錠機を用いて打錠したときに初めて、キャッピング、ラミネーション又はステッキングなどの打錠障害が発生することがある。
また、商業生産ではPTP包装と容器包装が一般に採用されているが、PTP充填装置の錠剤充填シュートには「だるまシュート」と「Rシュート」の2種類があり、錠剤厚さが一定でない錠剤には「だるまシュート」が、厚さが制御されている錠剤には「Rシュート」が適用される。充填性の観点ではRシュートの方が充填トラブルは少ないが、Rシュートの場合は許容範囲が中心錠剤厚さ±0.1mmであることから錠剤厚さをシビアに制御する必要がある。しかしながら、商業生産されると製剤設計で予想していた錠剤厚さと異なることを経験しており、製剤設計の段階で商業生産における錠剤厚さを事前に評価することは意義がある。
したがって、試験機での打錠時には、生産機の打錠条件にできるだけ近い条件で打錠を行うことが好ましい。
上述した生産機及び試験機の基本的な構造は同じであって、杵セットの設置本数及び回転半径が異なる。理想的には、錠剤の開発スケジュールにおける早期段階から生産機を用いて打錠実験を行うことにより、課題の抽出及び製剤設計の改良を行うことが好ましい。しかしながら、この場合には大量の打錠用粉体が必要となるが、開発早期から生産機で実験できるほどの大量の原薬を合成することは現実的でない。そうすると、開発スケジュールの後期までは試験機で打錠処方を開発しておいて、大量の打錠用粉体を準備することができる後期において、生産機を用いて開発した打錠処方で打錠することになる。このように開発スケジュールにおける後期になって初めて生産機で打錠すると、スケール効果が発現してしまい、問題がある製剤特性及び良好でない打錠特性を備えた錠剤が製造されて、その解決に開発者が翻弄されたり、開発スケジュールが遅延したりする。
上述したスケール効果や打錠障害の原因の1つとして、生産機と試験機との総圧縮時間の差が考えられる。試験機のターンテーブルの半径は、生産機のターンテーブルの半径より小さいため、試験機と生産機とで同じ回転数でターンテーブルを回転させると、圧縮成型時間は生産機より試験機の方が長くなる。これは、回転数が同じであると、回転半径が小さい試験機では、杵セットが配設された位置における周速度が小さく、試験機の総圧縮時間が生産機の総圧縮時間よりも長くなるためである。
そこで、総圧縮時間を生産機と試験機とで同じにすることでスケール効果を最小限にすることが考えられる。このためには、試験機のターンテーブル回転数を上昇させて、試験機の周速度を生産機の周速度と等しくすれば良い。しかしながら、この方法では、試験機のターンテーブル回転数を相当高い回転数(例えば生産機の4倍)まで上昇させる必要があり、試験機の能力では不可能である。すなわち、周速度を一致させることにより総圧縮時間を生産機と試験機とで同じにすることで、生産機の打錠条件を模擬する手法は、現実的でなく、上述した問題を解決することができない。
それ故に、本発明の目的は、打錠機を改造することなく、試験機で生産機の打錠状態を模擬することを可能とする打錠用杵を提供することである。
本発明は、一対の杵から構成される杵セットの複数組を同一中心で回転させながら、加圧ロールを用いて一対の杵を互いに近づく方向に加圧することによって打錠を行う打錠機で使用する棒状の打錠用杵に関する。本発明に係る打錠用杵は、粉体を圧縮するための打錠面を一方端部に有する棒状部材と、棒状部材に接続されるベース部と、ベース部の端面の一部から突出する金属製の、ベース部と一体となる突出部とを含み、突出部に平坦面が設けられるヘッドとを備える。平坦面の径方向の寸法は、ヘッドの径の5%以上35%以下である。
本発明によれば、平坦面の径方向の寸法に応じて、打錠機の回転数を上げることなく、圧縮停滞時間を小さくすることができるので、生産スケールの打錠機における打錠状態を、より規模の小さな打錠機で模擬することが可能となる。
図1は、打錠機の外観を示す図である。 図2は、図1に示す打錠機の内部構造を示す斜視図である。 図3は、打錠機による打錠工程を示す展開図である。 図4は、打錠機の圧縮時間を説明するための図である。 図5は、図1の打錠機の予圧ロールと本圧ロールとの間における下杵の支持方法を示す斜視図である。 図6は、図1の打錠機の予圧ロールと本圧ロールとの間における下杵の支持方法の他の例を示す斜視図である。 図7は、第1の実施形態に係る上杵の側面図(A)及び断面図(B)である。 図8は、第1の実施形態に係る下杵の側面図(A)及び断面図(B)である。 図9は、図7に示した上杵の斜視図である。 図10は、図8に示した下杵の斜視図である。 図11は、第1の実施形態に係る打錠用杵のヘッド部分の拡大図(A)及び断面図(B)である。 図12は、生産機用の下杵のヘッドを拡大した斜視図(A)及び断面図(B)である。 図13は、図9、11及び12に示した形状のヘッドを有する打錠用杵と加圧ロールとの接触状態を模式的に示す図である。 図14は、下杵が予圧ロールから下杵支持部材へと乗り移る様子を示す図である。 図15は、第2の実施形態に係る打錠用杵のヘッド部分の斜視図(A)及び断面図(B)である。 図16は、生産機用の打錠用杵のヘッド部分の斜視図(A)及び断面図(B)である。 図17は、図15に示した形状のヘッドを有する打錠用杵と加圧ロールとの接触状態を模式的に示す図である。 図18は、第3の実施形態に係る打錠用杵のヘッド部分を示す斜視図である。 図19は、第4の実施形態に係る打錠用杵のヘッド部分を示す斜視図である。 図20は、第5の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。 図21は、第5の実施形態の変形例に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。 図22は、第6の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。 図23は、第7の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。 図24は、第8の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。 図25は、第9の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。 図26は、第10の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。 図27は、第11の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。 図28は、打錠圧の違いが及ぼす錠剤厚さへの影響を示すグラフである。 図29は、打錠圧を変えて化合物Aの粉体を打錠した錠剤の厚さと硬度の関係を示すグラフである。 図30は、打錠圧を変えて化合物Bの粉体を打錠した錠剤の厚さと硬度の関係を示すグラフである。 図31は、打錠圧を変えて化合物Cの粉体を打錠した錠剤の厚さと硬度の関係を示すグラフである。 図32は、杵の接触面長さを変えた際の打錠圧の違いが及ぼす錠剤厚さへの影響を示すグラフである。 図33は、第1の実施形態に係るヘッドを備え、かつ杵ヘッドの曲率半径を変えた杵である。 図34は、杵ヘッドの曲率半径を変えた杵で打錠圧の違いが及ぼす錠剤厚さへの影響を示すグラフである。 図35は、図15に示した打錠用杵の打錠特性を評価するために用いた杵の断面図である。 図36は、図15に示した打錠用杵で打錠圧の違いが及ぼす錠剤厚さへの影響を示すグラフである。 図37は、杵の段差を変えた際に打錠圧の違いが及ぼす錠剤厚さへの影響を示すグラフである。
<打錠機の構成>
図1は、打錠機の外観を示す図であり、図2は、図1に示す打錠機の内部構造を示す斜視図である。本発明に係る打錠用杵の説明に先立って、打錠機の基本的な構成を説明する。以下において説明する打錠機は、回転式粉体材料圧縮成型機である。打錠機には、動軸に配置される上杵及び下杵からなる杵セットが複数取り付けられる。
以下の説明においては、このような杵セットの下杵についてのみ言及する場合があるが、基本的に同じ構造を備える上杵についても下杵の構成が適用される。さらに、上述したように、生産機及び試験機の基本的な構造は同じであって、杵セットの本数及び回転半径が異なる。より具体的には、生産機に取り付けられる杵セットの本数は試験機の本数より多く、生産機の杵セットの回転半径が試験機の杵セットの回転半径よりも大きい。
図1の外観側面図及び図2の斜視図に示すように、打錠機100は、回転軸フレーム120内に回転可能に設けられる立シャフト(図示せず)と、表面及び裏面がほぼ平坦な一枚の円板からなる回転盤140と、下杵保持部150と、上杵保持部130とを備える。なお、打錠機100の基本的構成は、既に公知であり、上杵200と下杵300とにより、臼に充填した粉体材料を圧縮成型する。ここで、圧縮成型される対象は医薬品に限定されるものではなく、本発明は、食品、電池等の医薬品以外を打錠する技術への適用も可能である。
図2(A)に示すように、回転盤140は、外周部分に近い部分においてその周方向に、所定の間隔をあけて複数の貫通孔142を有する(図示の都合上、貫通孔142は1ヶ所のみ明示)。これらの貫通孔142には、錠剤の原料として投入ホッパー110から投入された粉体材料が充填される臼とともに、上杵200の下端部分及び下杵300の上端部分が挿入可能である。上杵200及び下杵300から構成される杵セットが、予圧ロール400及び本圧ロール500(これらをまとめて「加圧ロール」と記載する場合がある)の間を通過することにより貫通孔142に充填された粉体材料を予備圧縮及び本圧縮して、錠剤に成型する。なお、予圧ロール400及び本圧ロール500は、上下一対に設けられている。上側の予圧ロール400及び本圧ロール500は上杵200のヘッドに当接して上杵200を下側へ押圧し、下側の予圧ロール400及び本圧ロール500は下杵300のヘッドに当接して下杵300を上側へ押圧する。なお、図2では上側の予圧ロール400及び本圧ロール500を図示していない。本発明に係る打錠用杵は、予圧ロール400及び本圧ロール500に当接する部分となるヘッド形状に特徴がある。
上杵保持部130は、平坦な上面を有した円盤であって、その周方向に間欠的に配置される複数の上杵200を上下動可能に保持する。上杵保持部130と回転盤140との位置関係は、貫通孔142の中心軸と上杵200の中心軸とが一致するように決定される。
下杵保持部150は、平坦な上面を有した円盤であって、その周方向に間欠的に配置される複数の下杵300を上下動可能に保持する。下杵保持部150と回転盤140との位置関係は、貫通孔142の中心軸と下杵300の中心軸とが一致するように決定される。
図3は、打錠機による打錠工程を示す展開図である。図3に示すように、打錠機100は、回転盤140が1回転する間に、(1)粉体材料の充填、(2)圧縮成型、(3)成型された錠剤の取出しを含む一連の作業を連続的に行う。圧縮成型工程では、杵セットは、予圧ロール400及びこれに隣接して設けられた本圧ロール500から順に圧力を受け、臼に充填された粉体材料を圧縮成型する。
図4は、打錠機の圧縮時間を説明するための図である。打錠用杵のヘッドには、加圧ロールに接触する平坦面が設けられている。打錠機による総圧縮時間は、打錠用杵のヘッドの一部が加圧ロールに当接してから、平坦面が加圧ロール上に乗り上げるまでの動圧縮時間と、打錠用杵の平坦面が加圧ロールの周面上に乗り上げてから、平坦面が加圧ロールの周面と非接触となるまでの圧縮停滞時間とからなる。図4に示すように、動圧縮時間には打錠圧が上昇し、圧縮停滞時間には打錠圧は略一定となる。生産機と試験機とで回転数(角速度)を同じにした場合、打錠用杵の回転半径の差に起因する周速度の差によって、生産機における動圧縮時間及び圧縮停滞時間は、試験機と比べて短くなる。
図5は、図1の打錠機の予圧ロールと本圧ロールとの間における下杵の支持方法を示す斜視図である。打錠機100においては、下杵300が予圧ロール400から離れてから本圧ロール500へ乗り移るまでの間、下杵300の下端面の位置が下杵支持部材600によって維持され、下杵が落下することが防止されている。
図5に示すように、下杵支持部材600は、予圧ロール400の周面に接触しないように、かつ、本圧ロール500の周面に接触しないように設けられる。この下杵支持部材600は、予圧ロール400の周面から本圧ロール500の周面までの間に設けられた、下杵300の下端面が描く回転軌跡を包含する平板状の部材である。下杵支持部材600の上面は、予圧ロール400の上端とほぼ同レベルに設定されている。また、回転板140の径方向においては、下杵支持部材600は、下杵300の下端面を支持するのに十分な大きさを備え、予圧ロール400及び本圧ロール500の回転の障害とならない位置に設けられている。図に示すように、下杵300は、回転盤140が回転することによって、予圧ロール400から下杵支持部材600へ受け渡される。
下杵300の下端面が予圧ロール400の周面に乗り移ると、下杵300は、予圧ロール400から所定の押圧力を受ける。これにより、粉体材料が予備圧縮される。その後、下杵300が予圧ロール400から下杵支持部材600へ受け渡される。下杵300は、下杵支持部材600の表面を摺動した後、本圧ロール500の周面に乗り移る。下杵300の下端面が本圧ロール500の周面に乗り移ると、下杵300は、本圧ロール500から所定の押圧力を受ける。これにより、粉体材料が本圧縮されて錠剤が成型される。
上述したように、下杵支持部材600は、予圧ロール400及び本圧ロール500の回転の障害とならないよう、それぞれの周面との間に間隙が生じるように配置されている。予圧ロール400の上端と下杵支持部材600の上面とはほぼ同一レベルではあるが、この間隙部分に位置する予圧ロール400の周面と下杵支持部材600との間には段差がある。この段差があることにより、予圧ロール400から下杵支持部材600へと下杵300が乗り移る際に下杵300が跳ねてしまう可能性がある。そこで、本発明では、下杵300が跳ねてしまうという問題を回避できるように、ヘッド形状が設計されている。
図6は、図1の打錠機の予圧ロールと本圧ロールとの間における下杵の支持方法の他の例を示す斜視図である。下杵支持部材800は、下杵700の下端面の一部のみを支持する点で、図5に示した下杵支持部材600とは相違する。具体的に、図6に示すように、下杵支持部材800は、予圧ロール400の周面に接触しないように、かつ、本圧ロール500の周面に接触しないように設けられる。下杵支持部材800は、円弧を描くレール上の部材であり、下杵700の下端面のうち、回転盤140の回転中心側の一部のみを支持する。下杵支持部材800は、予圧ロール400及び本圧ロール500の回転の障害とならないように設けられている。
下杵700の下端面が予圧ロール400の周面に乗り移ると、下杵700は、予圧ロール400から所定の押圧力を受ける。これにより、粉体材料が予備圧縮される。その後、下杵700が予圧ロール400から下杵支持部材800へ受け渡される。下杵700は、下杵支持部材800の表面を摺動した後、本圧ロール500の周面に乗り移る。下杵700の下端面が本圧ロール500の周面に乗り移ると、下杵700は、本圧ロール500から所定の押圧力を受ける。これにより、粉体材料が本圧縮されて錠剤が成型される。
上述したように、下杵支持部材800は、予圧ロール400及び本圧ロール500の回転の障害とならないよう、それぞれの周面との間に間隙が生じるように配置されている。予圧ロール400の上端と下杵支持部材800の上面とはほぼ同一レベルではあるが、この間隙部分に位置する予圧ロール400の周面と下杵支持部材800との間には段差がある。ただし、下杵支持部材800は、下杵700の下端面の外周部のみを支持しているため、図の例とは異なり、予圧ロール400から下杵支持部材800へと下杵700が乗り移る際に下杵700が跳ねるという問題は生じにくい。
ここで、生産機として用いられる打錠機の回転半径Rは生産数量に依存するが、一般的に130〜300mmであり、加圧ロール半径r1は、100〜130mmであり、回転数の最大値Nは、60〜110rpmである。また、一般的に試験機として用いられる打錠機の回転半径Rは、50〜150mmであり、加圧ロール半径r1は、30〜95mmであり、回転数の最大値Nは、40〜80rpmである。ただし、生産機として用いられる打錠機のうち、回転半径が130〜150mm程度のものは、試験機としても用いられる場合がある。本発明の意図は打錠工程のスケール効果を試験機で明らかにすることである。
<打錠用杵の構成>
以下、本発明の第1の実施形態に係る打錠用杵を説明する。上杵及び下杵の打錠面形状が異なる場合があるが、ヘッドの構成は同一であるので、以下に説明する打錠用杵のヘッドは、上杵及び下杵の両方に適用できる。
(第1の実施形態)
図7は、第1の実施形態に係る上杵の側面図(A)及び断面図(B)であり、図8は、第1の実施形態に係る下杵の側面図(A)及び断面図(B)である。また、図9は、図7に示した上杵の斜視図であり、図10は、図8に示した下杵の斜視図である。なお、以下において、打錠用杵の断面図は、打錠用杵の中心軸を含む縦断面を表す。また、図9に示す破線は等高線を表す。
図7及び9を参照して、上杵200は、打錠面232が形成された棒状部材220と、棒状部材220に接続されるヘッド210とを備える。打錠面232は、棒状部材220の一方端部に形成された凹面であり、臼に充填された粉体を圧縮するためのものである。ヘッド210は、棒状部材220の他方端部に接続され、加圧時に加圧ロールに接触する平坦面214を有する。平坦面214は、上杵200の中心軸と直交する面である。上杵200は、例えば、円柱形状の金属部材を切削加工することによって作製できる。また、棒状部材220には、上杵200の回転を阻止するためのキーを嵌合させるキー溝222が形成されている。
図9に示すように、ヘッド210は、棒状部材220と同軸の円柱形状を有する、金属製のベース部211と、ベース部211の端面218の一部から突出する、金属製の突出部212とを含む。突出部212は、円錐台に近似する凸部の一部を切り欠いた形状を有している。より詳細には、突出部212は、ヘッド210の端面218から先細りであり、平坦面214と、円錐面の一部よりなる曲面215と、ベース部211の端面218に対して傾斜する傾斜面216とを有する。平坦面214は、圧縮停滞時間に加圧ロールの周面から押圧を受ける部分である。打錠用杵の径方向における平坦面214の寸法は、平坦面214と試験機の加圧ロールとの接触時間、すなわち試験機における圧縮停滞時間が、生産機における圧縮停滞時間とほぼ等しくなるように設定することができるし、総圧縮時間をほぼ等しくなるように設定することもできる。
図8及び10を参照して、下杵300は、打錠面332が形成された棒状部材320と、棒状部材320に接続されるヘッド310とを備える。上杵200と同様に、打錠面332は、棒状部材320の一方端部に形成された凹面であり、臼に充填された粉体を圧縮するためのものである。また、棒状部材320には、上杵300の回転を阻止するためのキーを嵌合させるキー溝322が形成されている。
図11は、図8及び10に示した打錠用杵のヘッド部分の拡大図(A)及び断面図(B)である。図11において、破線は等高線を表す。ヘッド310は、棒状部材320と同軸の円柱形状を有するベース部311と、ベース部311の端面318の一部から突出する突出部312とを含む。突出部312は、円錐台に近似する凸部の一部を切り欠いた形状を有している。より詳細には、突出部312は、ヘッド310の端面318から先細りであり、平坦面314と、円錐面の一部よりなる曲面315と、ベース部311の端面318に対して傾斜する傾斜面316とを有する。平坦面314は、圧縮停滞時間に加圧ロールの周面に乗り上げて押圧を受ける部分である。打錠用杵の径方向における平坦面314の寸法d1は、平坦面314と試験機の加圧ロールとの接触時間、すなわち試験機における圧縮停滞時間が、生産機における圧縮停滞時間とほぼ等しくなるように設定することができるし、総圧縮時間をほぼ等しくなるように設定することもできる。
ここで、下杵300の移動方向における平坦面314の寸法は、ヘッド310のベース部311の直径の5%以上35%以下に設定されている。より好ましくは、上杵300の移動方向における平坦面314の寸法は、ヘッド310のベース部311の直径の5%以上25%以下である。更に好ましくは、上杵300の移動方向における平坦面314の寸法は、ヘッド310のベース部311の直径の5%以上20%以下である。尚、図11では、下杵300のヘッド部分を代表して説明したが、図7及び9に示した上杵200のヘッド形状は、下杵300のヘッド形状と同じである。したがって、上杵200の移動方向における平坦面214の寸法は、ヘッド210のベース部211の直径の5%以上35%以下に設定されている。より好ましくは、上杵200の移動方向における平坦面214の寸法は、ヘッド210のベース部211の直径の5%以上25%以下である。更に好ましくは、上杵200の移動方向における平坦面214の寸法は、ヘッド210のベース部211の直径の5%以上20%以下である。、
図12は、生産機用の下杵のヘッドを拡大した斜視図(A)及び断面図(B)である。図12に示すように、ヘッド360は、円柱形状のベース部361と、ベース部361の端面の全体から突出する順テーパー状の突出部363とを有する。突出部363は、略円錐台形状であって、下杵350の中心軸と直交する平坦面364と、ベース部361の外周縁と平坦面364とを滑らかに接続する曲面365とを有する。平坦面364は、圧縮停滞時間に加圧ロールに乗り上げて押圧を受ける面である。ここで、平坦面364の径方向の長さd1は、ヘッド360のベース部361の直径の39%〜50%程度である。
図13は、図9、11及び12に示した形状のヘッドを有する打錠用杵と加圧ロールとの接触状態を模式的に示す図である。図13において、実線は、下杵と加圧ロールとが最初に接触する位置を示し、破線は、下杵の平坦面が加圧ロール上に乗り移った位置を示す。また、図13においては、図12に示した生産機用の杵を示しているが、図9及び11に示した打錠用杵は、図12に示した打錠用杵と共通する曲面を有するため、以下の説明が同様に当てはまる。
上述したように、打錠機における総圧縮時間は、圧縮力が上昇する動圧縮時間と、圧縮力が略一定の圧縮停滞時間とに分解でき、次の数式によって表される。なお、次式右辺の第1項が動圧縮時間であり、第2項が圧縮停滞時間である。
Figure 0005810163
ここで、
N:ターンテーブル回転数(rpm)、
R:打錠用杵の中心軸の回転半径(mm)、
d1:打錠用杵の移動方向における平坦面の長さ(mm)、
d2:打錠用杵と加圧ロールとの接触点から、加圧ロールの中心軸を含む鉛直面までの距離(mm)
である。
また、数1で用いられるd2は、次の数式によって求められる。
Figure 0005810163
ここで、
r1:加圧ロールの半径(mm)、
r2:打錠用杵のヘッドの曲面の曲率半径(mm)、
ΔT:打錠用杵と加圧ロールとが最初に接触した状態から、打錠用杵の平坦面が加圧ロールに乗り上げるまでの鉛直方向における圧縮距離(mm)
である。
試験機の総圧縮時間と、生産機の総圧縮時間とを合わせるためには、まず、生産機及び生産機で用いる打錠用杵のパラメータを用いて、生産機の総圧縮時間を求める。次に、試験機のパラメータを用いて、求めた生産機の総圧縮時間と等しくなるような試験機用杵の平坦面の長さd1を計算により求める。移動方向における平坦面の寸法が、求めた長さd1となるように作製した打錠用杵を用いることによって、試験機の回転数を生産機と同じにしたままで、生産機と同じ総圧縮時間を実現することができる。
さらには、試験機と生産機の動圧縮時間および圧縮停滞時間を合わせるためには、まず、生産機及び生産機で用いる打錠用杵のパラメータを用いて、生産機の圧縮停滞時間を求める。次に、試験機のパラメータを用いて、求めた生産機の圧縮停滞時間と等しくなるような試験機用杵の平坦面の長さd1を計算により求める。加えて生産機の動圧縮時間を求め、試験機のパラメータを用いて、求めた生産機の動圧縮時間と等しくなるような試験機用杵の打錠用杵のヘッドの曲面の曲率半径r2を計算により求める。このような打錠用杵を用いることによって、試験機の回転数を生産機と同じにしたままで、生産機と同じ動圧縮時間および圧縮停滞時間を実現することができる。
具体的な打錠用杵の作製方法としては、図12に示した生産機用の下杵350の突出部363の一部を切削する方法がある。このような作製方法に限定されるものではなく、円柱形状の金属部材を切削加工して図11に示すヘッド形状を実現しても良いが、従来の杵を利用することにより、試作機用の杵の製造を容易かつ安価に実現できる。
<動作>
次に、本実施の形態に係る上杵200及び下杵300を用いた場合の、打錠機100の動作について説明する。
打錠機100において、上杵200及び下杵300から構成される杵セットを所定の数だけ打錠機100の回転盤140に設置して、粉体材料(打錠用粉体)を投入用ホッパー110から投入して打錠準備を行う。
打錠機100を起動して回転盤140が回転して、打錠機100が安定して作動すると、充填位置に回転移動してきた臼に粉体材料が充填される。下杵300は下側の予圧ロール400の位置まで回転移動して、下杵300のヘッド310の平坦面314が下側の予圧ロール400の周面に乗り移り、下側の予圧ロール400から所定の押圧力を受ける。下杵300と対になっている上杵200は同じように上側の予圧ロール400の位置まで回転移動して、上杵200のヘッド210の平坦面214が上側の予圧ロール400の周面に乗り移り、上側の予圧ロール400から所定の押圧力を受ける。この結果、上杵200と下杵300との間で、粉体材料が予備圧縮される。
予備圧縮が終わると、下杵300が予圧ロール400から下杵支持部材600へ受け渡される。下杵支持部材600の表面を摺動した下杵300は、本圧ロール500の周面に乗り移り、本圧ロール500から所定の押圧力を受ける。これにより、粉体材料が本圧縮されて打錠が完了する。
本実施形態では、上杵200及び下杵300を用いた試験機での総圧縮時間と、上杵250及び下杵350を用いた生産機での総圧縮時間とをほぼ同じにできるので、試験機で生産機の打錠状態をより正確に模擬することができる。さらには、上杵200及び下杵300を用いた試験機での圧縮停滞時間と、上杵250及び下杵350を用いた生産機での圧縮停滞時間とをほぼ同じにできるので、試験機で生産機の打錠状態をより正確に模擬することもできる。
図14は、下杵が予圧ロールから下杵支持部材へと乗り移る様子を示す図である。上述したように、予圧ロール400の周面と下杵支持部材600との間の間隙部分には段差がある。生産機用の下杵350におけるヘッド360の曲面365と、本実施の形態に係る下杵300におけるヘッド310の曲面315とが同じ形状である。したがって、図14(A)〜(C)に示すように、下杵支持部材600の端縁部分に接触した曲面315によって下杵300がガイドされるので、下杵300を緩やかに下杵支持部材600上に乗り移らせることができ、下杵300の跳ね上がりを防止できる。
<その他の実施形態>
以下、本発明の第2〜第11の実施の形態について説明する。以下の各実施形態では、上杵及び下杵のヘッド形状が異なるのみで、他の構成は同じである。したがって、以下においては、各実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明する。また、以下の説明で説明するヘッド形状は、上杵及び下杵の両方が備えているものである。
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係る打錠用杵のヘッド部分の斜視図(A)及び断面図(B)であり、図16は、生産機用の打錠用杵のヘッド部分の斜視図(A)及び断面図(B)である。
本実施形態に係る打錠用杵のヘッドは、ベース部311と、第1テーパー部321と、第2テーパー部322とを含む。ベース部311は、棒状部材と同軸の円柱形状を有する。第1テーパー部321は、ベース部311と同軸の略円錐台形状を有し、ベース部311の端面全体に接続されている。第1テーパー部321は、順テーパー形状であり、円錐面に近似する曲面323と、平坦な端面324とを有する。第2テーパー部322は、ベース部311と同軸の略円錐台形状を有し、第1テーパー部321の端面32の中心部から突出している。第2テーパー部322は、順テーパー形状であり、円錐面に近似する曲面325と、圧縮停滞時間に加圧ロールと接触する平坦面314とを有する。第1テーパー部321から連続して形成される端面324及び平坦面314はいずれも、棒状部材の中心軸と直交する平面上にあり、両者の間には高さd3の段差が設けられている。尚、本実施形態では、第1テーパー部321と第2テーパー部322とが突出部を構成する。また、ベース部311と、第1テーパー部321と、第2テーパー部322とは、いずれも金属によって形成されている。
一方、図16に示す生産機用の打錠用杵のヘッドは、棒状部材と同軸の円柱形状を有するベース部371と、ベース部371の端面全体から突出する突出部373とを有する。突出部373は、ベース部371と同軸の略円錐台形状であり、円錐面に近似する曲面375と、平坦面374とを有する。
本実施形態に係る打錠用杵の平坦面314の径方向の寸法d1は、第1の実施形態と同様に、平坦面314と試験機の加圧ロールとの接触時間、すなわち試験機における圧縮停滞時間が、生産機で生産機用の杵を使用した場合の圧縮停滞時間とほぼ等しくなるように設定できる。本実施形態では、平坦面の大きさを生産機用杵より小さくすることによって、生産機における圧縮停滞時間を模擬することに加えて、ヘッドに段差を設けることによって、生産機における動圧縮時間の再現も図られている。以下、この点を更に説明する。
図17は、図15に示した形状のヘッドを有する打錠用杵と加圧ロールとの接触状態を模式的に示す図である。前述したように、打錠機における総圧縮時間は、圧縮力が上昇する動圧縮時間と、圧縮力が略一定の圧縮停滞時間とに分解でき、次の数式によって表される。なお、次式の第1項が動圧縮時間であり、第2項が圧縮停滞時間である。
Figure 0005810163
ここで、
N:ターンテーブル回転数(rpm)、
R:打錠用杵の中心軸の回転半径(mm)、
d1:打錠用杵の移動方向における平坦面の長さ(mm)、
d2:打錠用杵と加圧ロールとの接触点から、加圧ロールの中心軸を含む鉛直面までの距離(mm)
である。
また、数3で用いられるd2は、次の数式によって求められる。
Figure 0005810163
ここで、
r1:加圧ロールの半径(mm)、
ΔT:打錠用杵と加圧ロールとが最初に接触した状態から、打錠用杵の平坦面が加圧ロールに乗り上げるまでの鉛直方向における圧縮距離(mm)、
d3:ヘッド部に設けられた段差高さ(mm)
である。
試験機の動圧縮時間と、生産機の動圧縮時間とを合わせるためには、まず、生産機及び生産機で用いる打錠用杵のパラメータを用いて、生産機の動圧縮時間を求める。次に、試験機のパラメータを用いて、求めた生産機の動圧縮時間と等しくなるような試験機用杵の段差高さd3を計算により求める。さらには、生産機及び生産機で用いる打錠用杵のパラメータを用いて、生産機の圧縮停滞時間を求め、次に試験機のパラメータを用いて、求めた生産機の圧縮停滞時間と等しくなるような試験機用杵の移動方向における平坦面の長さd1を計算により求める。d1となる平坦面314と第1テーパー部321の端面との段差が求めた高さd3となるように作製した打錠用杵を用いることによって、試験機の回転数を生産機と同じにしたままで、生産機と同じ動圧縮時間と圧縮停滞時間を実現することができる。
ここで、平坦面314と第1テーパー部321との段差の高さd3は、0mmより大きく4mm以下に設定される。この範囲内でも、0.5mm以上3mm以下であることが杵形状から好ましく、1mm以上2.5mm以下であることがより好ましい。
具体的な打錠用杵の作製方法としては、図16に示した生産機用の突出部373の一部を切削すれば良い。従来の杵を利用することにより、試作機用の杵の製造を容易かつ安価に実現できる。
本実施形態に係る打錠用杵を試験機で使用すれば、生産用杵を生産機で使用したときと略等しい動圧縮時間及び圧縮停滞時間を実現できるので、試験機を用いてより生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
(第3の実施形態)
図18は、第3の実施形態に係る打錠用杵のヘッド部分を示す斜視図である。
図18に示すように、下杵3000のヘッドは、棒状部材と同軸の円柱形状を有するベース部311と、ベース部311の端面3012の中心部から突出する突出部3013とを有する。突出部3013には、平坦面3014が形成されている。なお、図18に示すヘッドにおける点線は等高線を示している。
本実施形態においても、図18に示すヘッドの平坦面3014の径方向の寸法は、試験機で使用した際の圧縮停滞時間が、生産機で生産用杵を使用したときの圧縮停滞時間と略等しくなるように設定されている。したがって、本実施形態に係る打錠用杵によっても、試験機において生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
(第4の実施形態)
図19は、第4の実施形態に係る打錠用杵のヘッド部分を示す斜視図である。
図19に示すように、下杵3100のヘッドは、棒状部材と同軸の円柱形状を有するベース部311と、ベース部311の端面3112上の帯状領域から突出する突出部3113とを有する。突出部3113は、台形の横断面形状を有し、平坦面3114を有する。なお、図19に示すヘッドにおける点線は等高線を示している。
本実施形態においても、図19に示すヘッドの平坦面3114の径方向の寸法は、試験機で使用した際の総圧縮時間、もしくは、動圧縮時間および/または圧縮停滞時間が、生産機で生産用杵を使用したときの総圧縮時間、もしくは、動圧縮時間および/または圧縮停滞時間と略等しくなるように設定されている。したがって、本実施形態に係る打錠用杵によっても、試験機において生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
(第5の実施形態)
図20は、第5の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。なお、図20〜27においては、ベース部材の端面に相当する位置が破線で示されている。
本実施形態に係る下杵3200は、第3の実施形態(図18)に係るものと同一形状のヘッドと、環状の弾性部材3220とを備える。弾性部材3220は、平坦面3014を含む平面とベース部材311の端面3012との間の空間において、金属製の突出部3013の側面と、ベース部材311の端面3012とを覆うように取り付けられている。本実施形態では、平坦面3014と、弾性部材3220の外面とは略同一面を構成している。弾性部材3220は、例えば、軟質ゴムによって形成できる。ただし、加圧ロールと弾性部材3220との接触によって、圧縮停滞時間に影響しない限り、軟質ゴム以外の材料で弾性部材3220を形成しても良い。本実施形態に係る打錠用杵によれば、弾性部材3220を設けることによって、加圧ロールから下杵支持部材への乗り移り時の跳ね上がりを緩和することが可能となる。なお、軟質ゴムが加圧ロールと接触している際には打錠圧力は小さく、粉体は成型されないが、加圧時に加圧ロールに接触してほぼ一定の打錠圧力を発生する平坦面で粉体が成型される。
図21は、第5の実施形態の変形例に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。
図21に示す下杵3300のヘッドは、図20の例と同様に、第3の実施形態に係るものと同一形状のヘッドと、環状の弾性部材3320とを備える。ただし、図21に示す弾性部材3320は、図20に示す弾性部材3220と形状が異なる。具体的には、弾性部材3320は、円錐台形状を有し、平坦面3014と同一面を構成する平面と、円錐面とを有する。弾性部材3320を取り付けることにより、ヘッド形状は、生産機用の打錠用杵のヘッド形状とほぼ同じとなる。
(第6の実施形態)
図22は、第6の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。なお、以下の説明においては、上述した実施の形態と同じ構成要素については同じ参照符号を付して、繰り返しの説明を省略する。
図22に示すように、下杵3400のヘッドは、円柱形状のベース部311と、ベース部311の端面から突出する突出部312と、円滑凸部3418とを有する。突出部312は、平坦面314と、平坦面314に接続される曲面315及び円滑斜面3416とを有する。円滑凸部3418は、平坦面314よりも低く形成されている。本実施形態に係る打錠用杵によっても、試験機と生産機とで総圧縮時間、もしくは、動圧縮時間および/または圧縮停滞時間を合わせることができるので、試験機において生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
(第7の実施形態)
図23は、第7の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。
図23に示すように、この下杵3500のヘッドは、円柱形状のベース部311と、ベース部311の端面から突出する突出部312とを有する。突出部312は、平坦面314と、平坦面314及びベース部311に接続される曲面3515及び円滑斜面3516とを有する。本実施形態に係る打錠用杵によっても、試験機と生産機とで総圧縮時間、もしくは、動圧縮時間および/または圧縮停滞時間を合わせることができるので、試験機において生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
(第8の実施形態)
図24は、第8の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。
図24に示すように、この下杵3600のヘッドは、円柱形状のベース部311と、ベース部311の端面から突出する突出部312とを有する。突出部312は、平坦面314と、平坦面314及びベース部311の外周部に接続される傾斜面3612及び3616を有する。本実施形態に係る打錠用杵によっても、試験機と生産機とで総圧縮時間、もしくは、動圧縮時間および/または圧縮停滞時間を合わせることができるので、試験機において生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
(第9の実施形態)
図25は、第9の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。
図25に示すように、この下杵3700のヘッドは、円柱形状のベース部311と、ベース部311の端面から突出する突出部312とを有する。突出部312は、平坦面314と、平坦面314及びベース部311の外周縁に接続される円滑曲面3712及び3716を有する。本実施形態に係る打錠用杵によっても、試験機と生産機とで総圧縮時間、もしくは、動圧縮時間および/または圧縮停滞時間を合わせることができるので、試験機において生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
(第10の実施形態)
図26は、第10の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。
図26に示すように、下杵3800のヘッドは、第8の実施系形態(図24)に係る下杵3600の平坦面314を棒状部材の中心軸側に平行移動させたものである。具体的には、下杵3800のヘッドは、円柱形状のベース部311と、ベース部311の端面318から突出する突出部312とを有する。突出部312は、平坦面314と、平坦面314及びベース部311に接続される傾斜面3812及び316を有する。本実施形態に係る打錠用杵によっても、試験機と生産機とで総圧縮時間、もしくは、動圧縮時間および/または圧縮停滞時間を合わせることができるので、試験機において生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
(第11の実施形態)
図27は、第11の実施形態に係る打錠用杵のヘッドを示す断面図である。
図27に示すように、下杵3900のヘッドは、円柱形状のベース部311と、ベース部311の端面318から突出する突出部312とを有する。突出部312は、平坦面314と、平坦面314及びベース部311に接続される円滑曲面3912及び3916を有する。本実施形態に係る打錠用杵によっても、試験機と生産機とで総圧縮時間、もしくは、動圧縮時間および/または圧縮停滞時間を合わせることができるので、試験機において生産機に近い打錠状態を模擬することが可能となる。
以下、試験機で生産機の打錠状態を模擬した実施例を、比較例及び対象例と共に説明する。
(粉体の製造)
化合物A0.8kg、賦形剤66.4kg、結合剤1.2kg、崩壊剤7.2kgを混合し、4.8%結合剤水溶液25.2kgを添加して造粒した。さらに、流動層乾燥機を用いて乾燥して、整粒機で整粒した。一方、賦形剤23.3kg、崩壊剤23kg、色素0.23kgを混合した後、整粒品と滑沢剤1kgを追加して滑沢混合して打錠用粉体を製造した。
化合物B11kg、賦形剤33kg、安定化剤55kg、結合剤6.6kg、崩壊剤11kgを混合し、溶媒40kgを加えて造粒した。さらに、流動層乾燥機を用いて乾燥して、整粒機で整粒した。その後結合剤6.6kg、崩壊剤7.5kgを加えて混合した後、滑沢剤1.3kgを加えて滑沢混合して打錠用粉体を製造した。
化合物C50.0kg、賦形剤72.0kg、崩壊剤7.5kgを混合した後に、12.3%結合剤水溶液36.7kgを加えて造粒した。さらに、流動層乾燥機を用いて乾燥して、整粒機で整粒した。この操作を2回繰り返して268kgの顆粒を製造し、さらに、崩壊剤30kg、滑沢剤2kgを加えてタンブラー混合機で混合して打錠用粉体を製造した。
<A.図11に示した打錠用杵の評価>
以下、試験機で生産機の打錠状態を模擬した実施例を、比較例ととともに説明する。
(実施例1)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
(比較例1)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、図12に示すヘッドを備えた生産機用の上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠あたり144mgで打錠した。
(対照例1)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、図12に示すヘッドを備えた生産機用の上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、38本仕立ての生産機にセットして、1錠あたり144mgで打錠した。
これらの打錠条件を表1に示す。
Figure 0005810163
図28に、打錠圧の違いが及ぼす錠剤厚さへの影響を、図29に、平均厚さと平均硬度との関係を示す。生産機では打錠圧を1500kgfとしても厚さは2.7mm以上にしかならない(対照例1)が、試験機を用いて生産機用杵で打錠すると1200kgfで打錠しても約2.6mmの厚さになる(比較例1)。しかし、実施例1で示すように試験機を用い、表1に示すように総圧縮時間が生産機と同じになるように第1の実施形態(図11)に係るヘッドを備えた上杵及び下杵を用い、打錠すると1200kgfで打錠しても錠剤厚さは2.7mmと、生産機で得られる厚さとほぼ同じになった。また、図29に示すように、試験機と生産機用杵を用いて打錠すると錠剤の厚さと硬度は、生産機と生産機用杵を用いて得られたそれらとは異なった錠剤特性になった。しかし実施例1で得られた錠剤は生産機と生産機用杵を用いて得られた錠剤特性に近似した。
(実施例2)
化合物Bの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径6.5mm 曲率半径6.5mm)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり120mgで打錠した。
(比較例2)
化合物Bの打錠用粉体を用いて、図12に示すヘッドを備えた生産機用の上杵及び下杵(杵先端直径6.5mm 曲率半径6.5mm)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠あたり120mgで打錠した。
(対照例2)
化合物Bの打錠用粉体を用いて、図12に示すヘッドを備えた生産機用の上杵及び下杵(杵先端直径6.5mm 曲率半径6.5mm)を、45本仕立ての生産機にセットして、1錠あたり120mgで打錠した。
これらの打錠条件を表2に示す。
Figure 0005810163
図30に、化合物Bを含有した打錠用粉体を用いて打錠した際の平均厚さと平均硬度との関係を示す。実施例2で示すように試験機を用い、表2に示すように総圧縮時間を生産機での総圧縮時間に近似させたら、試験機と第1の実施形態(図11)に係るヘッドを備えた上杵及び下杵を用いて打錠すると錠剤の厚さと硬度は、生産機と生産機用杵を用いて得られたそれらと近似した錠剤特性になった。一方、比較例2で得られた錠剤は生産機と生産機用杵を用いて得られた錠剤特性に近似しなかった。このように第1の実施形態(図11)に係るヘッドを備えた上杵及び下杵を用いれば、いろいろな打錠用粉体に対して生産機で得られる錠剤特性に近似する錠剤を得ることができた。
(実施例3)
化合物Cの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径9.5mm 曲率半径9.5mm)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠あたり300mgで打錠した。
(比較例3)
化合物Cの打錠用粉体を用いて、図12に示すヘッドを備えた生産機用の上杵及び下杵(杵先端直径9.5mm 曲率半径9.5mm)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠あたり300mgで打錠した。
(比較例4)
化合物Cの打錠用粉体を用いて、図12に示す生産機用のヘッドを備えた上杵(杵先端直径9.5mm 曲率半径9.5mm)と、図11に示す第1の実施形態に係るヘッドを備えた下杵(杵先端直径9.5mm 曲率半径9.5mm)とを、15本仕立ての試験機にセットして、1錠あたり300mgで打錠した。
(比較例5)
化合物Cの打錠用粉体を用いて、図11に示す第1の実施形態に係るヘッドを備えた上杵(杵先端直径9.5mm 曲率半径9.5mm)と、図12に示す生産機用のヘッドを備えた下杵(杵先端直径9.5mm 曲率半径9.5mm)とを、15本仕立ての試験機にセットして、1錠あたり300mgで打錠した。
これらの打錠条件を表3に示す。
Figure 0005810163
化合物Cの打錠用粉体は、図12に示す生産機用の打錠用杵を用いて試験機で打錠してもキャッピングのような打錠障害は発生せず、同じ打錠用杵を用いて生産機で打錠すると、キャッピングが発生することが予め分かっている。すなわち、スケール効果が発現することが明らかな打錠用粉体を用いて、本実施の形態に係る打錠機用の杵を評価する。図31に示すように、錠剤厚さと硬度との関係は、実施例3及び比較例3〜比較例5で同じ傾向が見られた。このことは第1の実施形態(図11)に係るヘッドを備えた上杵または下杵を用いて打錠しても錠剤厚さと硬度との関係には影響しないことを示すが、キャッピング発生の有無については評価できていない。
次に、打錠特性について評価した。実施例3及び比較例3〜比較例5で打錠した錠剤を用いて落下試験を実施して、キャッピング発生の有無を評価した。具体的には、この落下試験は、1回20錠を2mの高さから落下させて大理石と衝突させて発生する錠剤の変化を目視で観察した。なお、落下回数は10回である。この結果を表4に示す。
Figure 0005810163
試験機で打錠した錠剤に、生産機で打錠した錠剤と同様のキャッピングが発生したので、生産機の打錠状態を正確に模擬できていることになり、試験結果としては良好であると言える。
表4に示すように、比較例3のように上下の杵とも生産機用の杵を用いて試験機で打錠した場合、キャッピングは全く発生していない。これは、試験機において、生産機の打錠状態を適切に模擬できていないことを示す。これに対して、実施例3においては、3回ともキャッピングが発生している。すなわち、圧縮停滞時間が短くなるように平坦面を小さくした打錠用杵を上杵及び下杵の両方に用いると、生産機におけるキャッピングの発生を模擬することができた。なお、比較例4及び比較例5では、上下の一方の杵のみを第1の実施形態に係る打錠用杵に変更したものであるが、キャッピングはほぼ発生していない。これは、上杵及び下杵の両方に第1の実施形態に係る打錠用杵を用いなければ、生産機の打錠状態を正しく模擬できないことを示す。
次に、杵の接触面長さ(底面径)を変化させた場合の錠剤厚さの違いについて評価した。その結果、生産機の圧縮停滞時間と同じ圧縮停滞時間以下になるように杵の接触面長さを設定すれば生産機での錠剤厚さを推定することができることがわかった。
(実施例1)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッド(杵の接触面長さ6.7mm)を備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
(実施例4)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッド(杵の接触面長さ5.0mm)を備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
(実施例5)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッド(杵の接触面長さ4.0mm)を備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
(実施例6)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッド(杵の接触面長さ2.4mm)を備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
(実施例7)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッド(杵の接触面長さ1.6mm)を備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
これらの打錠条件を表5に示す。
Figure 0005810163
図32に、実施例1及び4〜7、比較例1に係る打錠用杵を試験機で用いた場合の、打錠圧と錠剤厚さとの関係を示す。
次に、図11で動圧縮時間を生産機と同じになるようにするには表6のように杵ヘッドの曲率半径r2を大きくすることで対応できる。以下に動圧縮時間を変えた場合の結果を示す。動圧縮時間を短くすることで平均厚さも若干厚くなることが確認できた。
(実施例1)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、第1の実施形態(図11)に係るヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。ただし、杵ヘッドの曲率半径は20mmとした。
(実施例8)
化合物Aの打錠用粉体を用いて、図33に示す形状のヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。ただし、杵ヘッドの曲率半径は40mmとした。
これらの打錠条件を表6に示す。表6に示されるように、杵ヘッドの曲率半径r2を変えることによって、圧縮停滞時間を生産機と同じにしつつ、試験機での動圧縮時間を生産機での動圧縮時間に近づけることができた。また、計算例1に示すように、計算上は、生産機と同じ動圧縮時間及び圧縮停滞時間になる杵を設計することもできる。
Figure 0005810163
図34に、実施例1及び8、比較例1に係る打錠用杵を試験機で用いた場合の、打錠圧と錠剤厚さとの関係を示す。実施例1と実施例8では圧縮停滞時間を生産機と同じにし、且つ、実施例8では杵ヘッドの曲率半径r2を変えることによって、実施例1よりも試験機での動圧縮時間を生産機の動圧縮時間に近づけたことで、実施例8の錠剤厚さは実施例1の錠剤厚さより更に大きくなった。以上のことから、試験機での圧縮停滞時間と動圧縮時間をできる限り生産機での値に近づけることにより、生産機で得られる錠剤厚さにさらに近似できると考えた。
<B.図15に示した打錠用杵の評価>
図35は、図15に示した打錠用杵の打錠特性を評価するために用いた杵の断面図である。
(実施例9)
図35(A)に示すヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径6mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして打錠を行った。図35(A)に示すヘッドは、平坦面の寸法が生産機用杵より小さく、かつ、段差が設けられている。化合物Aの打錠用粉体を用いて、第の実施形態(図35()に係るヘッド(杵の接触面長さ4.76mm)を備えた上杵及び下杵を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり123mgで打錠した。
(比較例6)
図35(B)に示すヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径6mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして打錠を行った。化合物Aの打錠用粉体を用いて、図35(B)に示すヘッド(生産機用杵:接触面長さ10mm)を備えた上杵及び下杵(直径6mm)を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり123mgで打錠した。
これらの打錠条件を表7に示す。
Figure 0005810163
図36に、実施例9及び比較例6に係る打錠用杵を試験機で用いた場合の、打錠圧と錠剤厚さとの関係を示す。実施例9では、圧縮停滞時間が生産機における圧縮停滞時間と同じとなるように設定され、さらに、動圧縮時間が生産機における動圧縮時間と近い値に設定されている。このことから分かるように、インターナショナルタイプの杵では圧縮停滞時間のみを同じにしても生産機における打錠厚さの変化を推測することはできず、動圧縮時間も近似させるとよい事を見つけた。
次に、化合物Aの打錠用粉体を用いて杵の段差が動圧縮時間に影響していることを確認することを目的に実施例10、11の実験を行った。
(実施例10)
図35(A)に示すヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして打錠を行った。図35(A)に示すヘッドは、平坦面の寸法が生産機用杵より小さく、かつ、段差が1mm設けられている。化合物Aの打錠用粉体を用いて、第の実施形態(図35()に係るヘッド(杵の接触面長さ4.88mm、杵の段差1mm)を備えた上杵及び下杵を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
(実施例11)
図35(A)に示すヘッドを備えた上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして打錠を行った。図35(A)に示すヘッドは、平坦面の寸法が生産機用杵より小さいが、段差が2mm設けられている。化合物Aの打錠用粉体を用いて、第の実施形態(図35()に係るヘッド(杵の接触面長さ4.88mm、杵の段差2mm)を備えた上杵及び下杵を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
(比較例7)
図35(B)に示すヘッドを備えた生産に用いる上杵及び下杵(杵先端直径7.5mm:平型)を、15本仕立ての試験機にセットして打錠を行った。化合物Aの打錠用粉体を用いて、上杵及び下杵を、15本仕立ての試験機にセットして、1錠当たり144mgで打錠した。
これらの打錠条件を表8に示す。
Figure 0005810163
図37に、実施例10及び11、比較例7に係る打錠用杵を試験機で用いた場合に、打錠圧の違いが及ぼす錠剤厚さへの影響を示す。図37に示す結果から、生産機用杵を用いて試験機で打錠した場合と比べて、実施例10に係る打錠用杵を用いて試験機で打錠を行った場合の錠剤厚みが大きくなり、実施例11に係る打錠用杵を用いて試験機で打錠を行った場合の錠剤厚みが更に大きくなることがわかる。この結果により、試験機と生産機とで圧縮停滞時間を揃え、動圧縮時間を近似させるほど生産機の打錠状態の再現性がより一層高まることが確認された。
本発明は、生産規模の打錠機の打錠状態を模擬するために、ラボスケールの打錠機で使用する打錠用杵に利用できる。
100 打錠機
200 上杵
300、700 下杵
400 予圧ロール
500 本圧ロール
600、800 下杵支持部材

Claims (5)

  1. 一対の杵から構成される杵セットの複数組を同一中心で回転させながら、加圧ロールを用いて前記一対の杵を互いに近づく方向に加圧することによって打錠を行う打錠機で使用する棒状の打錠用杵であって、
    粉体を圧縮するための打錠面を一方端部に有する棒状部材と、
    前記棒状部材に接続されるベース部と、前記ベース部の端面の一部から突出する金属製の、前記ベース部と一体となる突出部とを含み、前記突出部に平坦面が設けられるヘッドとを備え、
    前記平坦面の径方向の寸法は、前記ヘッドの径の5%以上35%以下である、打錠用杵。
  2. 前記ベース部は、前記棒状部材と同軸の円柱形状を有し、
    前記突出部は、円錐台の一部を切り欠いた形状を有し、円錐面の一部よりなる曲面と、前記平坦面と、前記ベース部の端面に対して傾斜する傾斜面とを含む、請求項1に記載の打錠用杵。
  3. 前記ベース部は、前記棒状部材と同軸の円柱形状を有し、
    前記突出部は、
    前記ベース部と同軸の円錐台形状を有し、前記ベース部の端面に接続される順テーパー状の第1テーパー部と、
    前記第1テーパー部と同軸の円錐台形状を有し、前記第1テーパー部の端面の中央部から突出する順テーパー状の第2テーパー部とを含み、
    前記第2テーパー部の端面が前記平坦面である、請求項1に記載の打錠用杵。
  4. 前記第1テーパー部の端面を含む平面から前記平坦面までの高さが、0mmよりも大きく4mm以下である、請求項3に記載の打錠用杵。
  5. 前記平坦面の径方向の寸法は、生産スケールの打錠機における打錠時の総圧縮時間または圧縮停滞時間ならびに/または動圧縮時間と、前記生産スケールの打錠機より杵セットの回転半径が小さい試験用の打錠機における打時の総圧縮時間または圧縮停滞時間ならびに/または動圧縮時間とがほぼ等しくなるように設定される、請求項1に記載の打錠用杵。
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