JP5809775B2 - 口腔洗浄用発泡性固形製剤 - Google Patents

Description

本発明は不溶性繊維成分と発泡成分を含有し、舌上で作用させることを特徴とする口腔洗浄用発泡性固形製剤に関し、特に不溶性繊維成分がミカン科植物及び／又はバラ科リンゴ属植物及び／又はツバキ科植物由来であり、発泡成分が炭酸塩である口腔洗浄用発泡性固形製剤に関する。

近年口中ケア市場は年々伸長しており、舌苔の除去による口臭防止をうたった商品が増加している。なお、口臭は一般に生理的口臭、食事由来の口臭、疾病由来の口臭に分類される。このうち生理的口臭の主原因は舌苔であることが知られている。舌苔は口腔内の老廃物タンパクや菌などから構成されている。

食品でこれまで舌苔を除去する手段としては、酵素により分解する方法（特許文献１）が知られている。しかしながら、これは効果が得られるまで時間を要することが難点であった。また、物理的に舌苔を除去するものとして、不溶性植物繊維を固形基材に配合させることにより固形基材の溶解によってその表面に繊維の突起が形成されそれによって舌苔を除去する口腔用固形組成物が報告されている（特許文献２）。

一方、高濃度の発泡性成分と口臭防止成分として銅クロロフィリンナトリウム等を配合させて口臭効果を高めたことが報告されている（特許文献３）。しかしながら、これらの製剤は舌苔除去としては十分な効果が得られなかった。

また、ユズ繊維をざらつき素材として配合したキャンディの口臭抑制と舌苔除去効果についても報告されている（非特許文献１）。

再公表特許第ＷＯ２００３／０９０７０４号公報 特開２００５−２８１２３０号公報 特開平１０−２３６９３５号公報 日歯周誌 ４８（３）、第１８２−１９１頁、２００６

本発明は生理的口臭の主原因である舌苔を効果的に除去し、且つ即効性のある口腔洗浄用発泡性固形製剤を提供することにある。

上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、不溶性植物繊維と発泡成分を錠剤、トローチ剤、キャンディ、錠菓などの固形製剤に含有し、舌上で作用させることにより、製剤表面に形成される微細な突起によって生理的口臭の主原因である舌苔を物理的に舌から分離させ、さらに発泡成分の発泡効果によって分離した舌苔物を効果的に回収除去することにより、従来の舌苔除去剤等と比較し、著しく高い舌苔除去効果を有すると共に口臭除去効果が即効性を有し長時間にわたり持続的に発現することを確認し、本発明品を完成させた。

すなわち本発明は、主に、１〜２重量％のユズ由来の不溶性植物繊維と５〜１０重量％の炭酸水素ナトリウムと甜茶抽出物とポリフェノールオキシダーゼとを含有する口腔洗浄用発泡性固形製剤の構成を有する。

本発明により、従来になく飛躍的に即効性を有し、且つ効果的に舌苔が除去される口腔洗浄用発泡性固形製剤を提供することができる。

特に、本発明の不溶性植物繊維と発泡成分を配合した口腔洗浄用固形組成物によると、固形製剤の表面に形成された不溶性天然繊維の微細な突起により物理的に舌苔が掻き出され、更に、発泡成分を併用することにより掻き出された舌苔が効率よく回収することができ舌表面及び口腔内を清潔に洗浄するよう物理的に作用し、口腔での応用直後からすぐに効果を発揮し、且つ長時間にわたり口臭除去効果を持続させることが可能である。また、本発明は不溶性植物繊維を使用することで、口腔内に好ましい感触を与え、発泡成分を使用することでより清涼感が増すため呈味性も良好である。また、本発明品の原料となる植物および発泡成分は、いずれも食品素材やハーブティ、天然添加物として古くより用いられているものであり、その安全性について全く問題はなく、呈味性に関しても好ましいものである。更に、追加的に酵素、好適には酸化酵素を配合させることにより、口臭除去効果をさらに高めることができた。

従って、本発明品である口腔用固形組成物を使用することにより、口臭を手軽にかつ素早く効果的に除去することが可能である。また、キャンディ、錠剤、錠菓は携帯性に優れ、時間を気にせずにいつでも摂取し、効果をすぐに体感ができることから舌ブラシなどの方法よりも優れている。

以下に、本発明について詳細に説明する。

本発明の口腔洗浄用発泡性固形製剤は、トローチなどの錠剤、キャンディ、飴などの口腔内で溶解させて服用する固形製剤であって、医薬品、医薬部外品又は食品に分類されるものである。このうち、トローチなどの錠剤の形態が特に好ましい。

種々検討を行った結果、不溶性植物繊維と発泡成分を固形製剤に配合し、舌上で作用させることにより、基材表面に形成される微細な突起によって生理的口臭の主原因である舌苔を物理的に掻き取り、さらに掻き出された舌苔を、発泡成分によって更に効果的に物理的な回収を行うことで舌苔量を低減させ、従来の舌苔除去組成物と比較し、著しく高い舌苔除去効果が即効性を持って発現することを確認し、結果的に口臭除去効果を得ることができ本発明品を完成させた。更に、固形製剤に、酵素を配合させることにより、口臭除去効果を高めることができた。

ここで、不溶性植物繊維としては、種々検討を行った結果、果実等由来の天然植物繊維を用いることにより、舌苔除去効果、口臭除去効果、口腔内での感触等の面から適していることが見出された。この不溶性植物繊維は、植物の果皮、葉、果肉、果実、材、樹皮、根、好ましくは果実を乾燥し、ミルなどにより粉砕後篩分けして得られた天然の不溶性植物繊維であり、不溶性植物繊維の成分としては不溶性セルロース及び不溶性ペクチン等が挙げられる。なお「不溶性」とは、口腔内に含んだ場合、唾液に溶けないか或いは溶け難い性質を意味する。

本発明のミカン科植物果実としては、イヨカン（Citrus iyo）、ウチムラサキ（Citrus grandis）、ウンシュウミカン（Citrus unshu）、オオベニミカン（Citrus tangerina）、オレンジ（Citrus sinensis）、カボス（Citrus sphaerocarpa）、キシュウミカン（Citrus kinokuni）、グレープフルーツ（Citrus paradis）、サンボウカン（Citrus sulcata）、シーカーシャー（Citrus depressa）、シトロン（Citrus medica）、スダチ（Citrus sudachi）、タチバナ（Citrus tachibana）、ダイダイ（Citrus aurantium）、ナツミカン（Citrus natsudaidai）、ネーブル（Citrus sinensis）、ハッサク（Citrus hassaku）、ヒュウガナツ（Citrus tamurana）、ベルガモット（Citrus bergamia）、ポンカン（Citrus reticulata）、ユズ（Citrus junos）、ライム（Citrus aurantifolia）、レモン（Citrus limon）、キンカン（Fortunella japonica）などが挙げられ、バラ科リンゴ属植物としては、セイヨウリンゴ、オオウラジロノキ、エゾノコリンゴなどが挙げられ、ツバキ科植物としては、緑茶、烏龍茶及び紅茶（Camellia sinensis）などが挙げられ、特に好ましくは、ユズである。

不溶性植物繊維は果皮、葉、果肉、果実、材、樹皮、根、好ましくは果実を熱風送風乾燥法などにより乾燥処理を行なった後、粉砕し、篩分けを行うことで得られる。不溶性植物繊維の粒度が細かすぎる場合には食感は良いが抵抗感（舌苔除去能力）が小さく、粒度が粗すぎる場合には異物感が強く使用に適さない。したがって、好ましくは粒径が約１〜２００μｍの範囲が好ましい。

不溶性植物繊維の配合量は、固形製剤中に乾燥粉末を約０．１〜１０．０重量％含有するとよい。特に嗜好性の面を考慮すると約０．５〜２．０重量％が好適である。

また、本発明に用いる発泡成分としては、炭酸塩を含有する炭酸ガス発生成分が好ましい。炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられるが、このうち炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。

発泡性成分の配合量は、良好な発泡性により十分に舌苔を除去するためには製剤中約１〜１５重量％であるが、特に３．０〜１０．０重量％が好ましい。

また、本発明の口腔用洗浄固形製剤に、適宜酵素を配合することができる。酵素としては、酸化酵素が好適に使用できる。酸化酵素の例としては、ポリフェノール酸化酵素が挙げられる。配合量としては、好適には、製剤中約０．０１〜１．０重量％が好ましい。

また、本発明の口腔洗浄固形製剤には、適宜一般的な消臭剤を追加的に使用することが可能であり、特に天然由来の消臭物を使用できる。天然消臭物としては、ツバキ科植物の緑茶、烏龍茶及び紅茶（Camellia sinensis）、バラ科キイチゴ属植物の甜茶（Rubus suavissimus）、ラズベリー（Rubus idaeus）、フトモモ科植物のユーカリ（Eucalyptus globulus）などが呈味性や効果の点で消臭成分原料として適当であるが特に規定はない。これらの植物の果皮、葉、果肉、果実、材、樹皮、根、好ましくはその葉を乾燥させたものを従来行われている抽出方法、抽出溶剤により調製して、製剤中に適宜配合することができ、例えば、約０．０１〜０．５重量％の範囲で配合することができる。

上記成分以外には通常の製剤化に用いられる蔗糖、ぶどう糖、乳糖、澱粉、デキストリン類等の糖類、還元麦芽糖、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコール類、セルロース類、食物繊維、ビタミン類やカフェイン等の目的に即した成分、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム等の甘味料、および、クエン酸等の酸味料を適宜配合することができる。

本発明の口腔洗浄用固形製剤の形態としては錠剤が好ましく、常法に従って製造することができる。本発明の口腔洗浄用固形製剤は、口腔内で効果的に作用させるため、直接口に投入し、舌の上にて口中で溶解させながら舌苔を掻き出し、更に発泡させることが必要である。

以下に実施例を挙げて、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

以下に、試験例を示して本発明の口腔洗浄用固形製剤について詳細に記載する。
［試験例１］

この試験は、本発明の口腔洗浄用固形製剤の舌苔除去効果と強い口臭除去効果を調べるために行った。

（１）試料の調製：この試験には次の試料を使用した。
１）試料１：ユズ完熟果の搾汁処理により得られるユズ果汁搾汁残渣５０ｇを温風の通風により乾燥させ乾燥物１０．４ｇを得た。本乾燥物をミルにより粉砕し粒径が約１〜２００μｍ（平均５０μｍ）の不溶性植物繊維を調製した。次に、甜茶乾燥葉粉末１０ｇに５０％エタノール１００ｍｌを加え、還流冷却器で１時間還流しながら抽出した。得られた抽出液を濾別し、溶媒を除去した後、凍結乾燥することにより抽出物として天然消臭物を２．３９ｇ得た。上記不溶性植物繊維を１．０重量％、発泡成分として炭酸水素ナトリウムを５．０重量％および酸化酵素を０．１重量％、天然消臭成分として甜茶抽出物を０．１重量％配合し、更に、以下の表４に記載の各成分を配合して錠剤(１．５ｇ、直径１９ｍｍ)を調製した。
２）試料２：試料１のうち不溶性植物繊維、発泡成分ともに配合しない錠剤を調製した。
３）試料３：試料１のうち、不溶性植物繊維を１．０重量％添加し、発泡成分を添加しない錠剤を調製した。
４）試料４：試料１のうち、不溶性植物繊維を１．０重量％添加し、発泡成分を３．０重量％添加した錠剤を調製した。
５）試料５：試料１のうち、不溶性植物繊維を１．０重量％添加し、発泡成分を１０．０重量％添加した錠剤を調製した。
６）試料６：試料１のうち、発泡成分を５．０重量％添加し、不溶性植物繊維を添加しない錠剤を調製した。
７）試料７：試料１のうち、不溶性植物繊維の配合量を０．５重量％に変更した錠剤を調製した。
８）試料８：試料１のうち、不溶性植物繊維の配合量を２．０重量％に変更した錠剤を調製した。
９）試料９：試料１のうち、天然消臭物を添加しない錠剤を調製した。
１０）試料１０：試料１のうち、酸化酵素を添加しない錠剤を調製した。
１１）試料１１：発泡成分の比較対照物として、試料１のうち、タンパク質分解酵素を３．０重量％配合し、不溶性植物繊維及び発泡成分を添加しない錠剤を調製した。
１２）試料１２：発泡成分の比較対照物として、試料１のうち、タンパク質分解酵素を３．０重量％添加し、発泡成分を添加しない錠剤を調製した。
１３）試料１３：不溶性植物繊維の比較対照物として、試料１のうち、口臭防止成分の銅クロロフィリンナトリウムを０．２重量％添加し、不溶性植物繊維及び発泡成分を添加しない錠剤を調製した。
１４）試料１４：不溶性植物繊維の比較対照物として、試料１のうち、口臭防止成分の銅クロロフィリンナトリウムを０．２重量％添加し、不溶性植物繊維を添加しない錠剤を調製した。

（２）試験方法
パネラー１０名により、舌苔除去効果と強い口臭除去効果について次のとおり試験を行なった。試験当日、朝食及び歯磨きを行わない状態のパネラーの舌苔量及び口臭を測定し、続いて調製した錠剤１粒を舌上で適度に擦る様に作用させながら無くなるまで噛まずに摂取し、再び舌苔量及び口臭を測定した。舌苔量は、舌を写真撮影することで視覚により錠剤摂取前後の変化を観察し、表１の基準で分類した。評価データはパネラー１０名の平均で示した。口臭は、錠剤を舐める直前、舐めた直後、１時間後、２時間後に呼気を３Ｌ容量のにおい袋に採取し、官能パネラー５名が臭気を以下の表２に示したように判定し平均化した。錠剤摂取後の使用感は、摂取後に各パネラーが表３に示したように判定し平均化した。結果を表４に示す。

（３）試験結果
表４の如く、不溶性植物繊維と発泡成分を配合した試料１は、不溶性植物繊維および発泡成分をいずれか、あるいは両方とも含まない試料２、３および６に比べ、顕著な舌苔除去効果を示した。また、試料１、４、５の結果から、発泡成分は３．０〜１０．０重量％が好ましい。また、試料１、７、８の結果から、不溶性植物繊維は約０．５〜２．０重量％が好適である。また、天然消臭成分を含まない試料９が同等の舌苔除去効果を示したことから、舌苔除去効果は不溶性植物繊維と発泡成分によると考えられる。また、試料１と１０の対比から、消臭効果は、酸化酵素を添加した方がより強かった。また、試料１２の結果から、タンパク質分解酵素にも同様の効果が見られたが、試料１と試料１２の対比から、タンパク質分解酵素よりも本発明の発泡成分の方が舌苔除去効果がより強かった。

また、試料１と試料１４との対比から、銅クロロフィリンナトリウムよりも本発明の不溶性植物繊維の方が、舌苔除去効果が強かった。

また、口臭については、試料９の結果から、天然消臭物を含まなくとも不溶性植物繊維と発泡成分を含むことにより口臭除去効果は発現した。試料１と１０との比較により、酸化酵素を添加した方がより口臭除去効果に即効性があった。同様に、試料３と試料１３との対比から、銅クロロフィリンナトリウムよりも本発明の不溶性植物繊維の方が、口臭除去効果において、摂取直後から効果が表れていた。更に、本発明の製剤の不溶性植物繊維および発泡成分の両者が適切に含まれる試料１は摂取直後において、顕著に口臭除去効果が高く、即効性に優れ、２時間後においても効果が維持されていた。また、試料６の結果から発泡成分のみでは、摂取直後は、口臭除去効果を示すが、１時間後では、効果は薄れ、２時間後では、顕著に薄れた。

以上の試験結果から舌苔除去効果を有する不溶性植物繊維と発泡成分を含むことで口臭除去効果が認められ、さらに発泡成分を併用することで使用直後において顕著に優れた口臭除去効果及び持続効果を示すことが認められ、口腔内に与える感触が好ましいことが判明した。更には、酸化酵素を含むことにより、より優れた消臭効果が得られた。

以上の試験結果から得られた本発明の口腔洗浄用発泡性固形製剤における実施例を記載して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
［実施例１］

ユズ完熟果の搾汁処理により得られるユズ果汁搾汁残渣５０ｇを温風の通風により乾燥させ乾燥物１０．４ｇを得た。本乾燥物をミルにより粉砕し粒径が約１〜２００μｍ（平均５０μｍ）の不溶性植物繊維を得た。次に、発泡成分の炭酸水素ナトリウムを添加した。次に、酸化酵素のポリフェノールオキシダーゼを添加した。次に、甜茶乾燥葉粉末１０ｇに５０％メタノール１００ｍｌを加え、還流冷却器で１時間還流しながら抽出した。得られた抽出液を濾別し、溶媒を除去した後、凍結乾燥することにより抽出物を２．３９ｇ得た。さらに以下に記載の各成分を配合して錠剤を調製した。

錠剤１ （重量％）
還元麦芽糖 ７０．７
食物繊維 １０．０
不溶性植物繊維（ユズ由来） １．０
炭酸水素ナトリウム ５．０
甜茶抽出物 ０．１
着色料 ０．５
乳化剤 １．５
酸味料 １０．０
甘味料 ０．１
酵素（ポリフェノールオキシダーゼ） ０．１
香料 １．０

この錠剤は舌苔除去効果および口臭防止効果の即効性および持続性並びに呈味性のいずれにおいても優れていた。

本発明の口腔洗浄用発泡性固形製剤は、前記のとおり、強い舌苔除去効果と即効性のある口臭除去効果並びに呈味性を有する携帯性に優れた口腔用固形組成物として利用可能である。

Claims (1)

1. １〜２重量％のユズ由来の不溶性植物繊維と５〜１０重量％の炭酸水素ナトリウムと甜茶抽出物とポリフェノールオキシダーゼとを含有する口腔洗浄用発泡性固形製剤。