JP3406712B2 - 口腔用発泡性固形組成物 - Google Patents
口腔用発泡性固形組成物Info
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Description
て口腔内に清涼感を付与し、医薬部外品、化粧品、食品
等の分野において有用な口腔用発泡性固形組成物に関す
る。
口臭を予防するためには、殺菌剤、消炎剤、血行促進剤
等の薬効成分を配合した粉歯磨剤や口中清涼剤等の口腔
用固形組成物が使用されている。
しては、歯垢中の細菌の関与が判明している。また、舌
苔中の細菌も関与していることが明らかになりつつあ
り、舌苔を除去することが、歯垢形成抑制(ジャーナル
オブ アメリカン デンタルアソシエーション J.A.
D.A. 87, 134-9, 1973.)、う蝕の原因菌の減少(アク
タ オドントロジィカ スカンジナビカ Acta Odonto
l. Scand. 42, 157-63,1983.、カリエス リサーチ Ca
ries Res. 18, 386-90, 1984.)、口臭予防(インター
ナショナル デンタル ジャーナル Internat. Dent.
J. 28, 309-19,1978. 、日本歯周病学会会誌 18, 1-1
2, 1976.)に有用であるとされている。更に消化器系疾
患患者に舌苔量が多いことが知られており、舌粘膜抵抗
性と消化器系粘膜抵抗性とに関連があると考えられてい
る(日本口腔外科会雑誌 31, 1659-87, 1975.)。
腔疾患や口臭の予防効果を得るためにも、口腔用固形組
成物を舌上で直接溶解せしめて舌苔や舌粘膜に薬用成分
を作用させることが重要であるとされ、このためには発
泡性の口腔用固形組成物が薬用成分の到達性等に優れて
いると考えられる。例えば特開昭55-74778号公報、特開
昭61-207322号公報、特開昭63-264518号公報、特表平2-
504030号公報、特開平3-279321号公報、特開平4-327526
号公報等に口腔用発泡性固形組成物が提案されている。
成物はl−メントールに代表される清涼剤を含有し、冷
涼でスッキリさせる香味を感じさせることはできるもの
の、実質的な冷却作用は有さず、また充分な清涼感を得
るべく配合量を増やしすぎると舌の苦味や喉のいがらっ
ぽさを引き起こし、かえって清涼感が得られないという
欠点を有していた。このことは、口腔用発泡性固形組成
物の日常的な長期間にわたる使用を妨げるものであり、
結果として本来の効果が充分に得られなかった。
に直接作用して、優れた清涼効果を有すると共に、舌の
苦味や喉のいがらっぽさを生じない口腔用発泡性固形組
成物の開発が望まれていた。
発明者らは鋭意検討した結果、口腔内で溶解時に二酸化
炭素を発生する特定の発泡剤、口腔内で溶解時に吸熱反
応を起こす特定の吸熱剤及びl−メントールのデンプン
分解物による包接又は吸着物の特定量を組み合わせて用
いれば、上記課題を解決できることを見出し本発明を完
成した。
(C): (A) 口腔内で溶解時に二酸化炭素を発生する発泡剤 0.5〜40重量% (B) 口腔内で溶解時に吸熱反応を起こす吸熱剤 50〜98重量% (C) l−メントールのデンプン分解物による包接又は吸着物 l−メントールの量として0.02〜20重量% を含有し、前記成分(A)の発泡剤は、炭酸塩と有機酸
の組合わせであり、前記成分(B)の吸熱剤は、結晶状
キシリトール、結晶状ソルビトール、結晶状エリスリト
ールから選ばれる1種又は2種以上の結晶状アルコール
類であることを特徴とする口腔用発泡性固形組成物を提
供するものである。
剤は、口腔内で溶解時に二酸化炭素を発生するもので炭
酸塩と有機酸との組み合わせである。ここで、代表的な
炭酸塩としては炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸アンモニウム等が挙げられ、また有機酸として
はリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハ
ク酸、フマール酸等が挙げられる。これらの炭酸塩及び
有機酸はそれぞれ1種又は2種以上の混合物として用い
ることができる。
とが反応することにより、有機酸の持つ水素原子が炭酸
塩を還元し、その結果有機酸塩が生じ、炭酸塩は水と二
酸化炭素を放出する。口腔内のような水分が存在する環
境では、この反応は促進され、放出される二酸化炭素に
よる発泡が生じる。
物全量中に0.5〜40重量%配合される。(A)成分の配合量
が1重量%未満では充分な清涼効果が得られず、また40
重量%を超えると香味が損われる。炭酸塩は組成物全量
中に0.2〜16重量%、特に1〜10重量%配合されるのが
好ましく、有機酸は組成物全量中に0.3〜24重量%、特
に1.5〜15重量%配合されるのが好ましい。
の吸熱剤は、口腔内で溶解時に吸熱反応を起こすもの
で、結晶から非結晶に変化する時に吸熱反応を起こし、
舌上を冷却することができる、結晶状キシリトール、結
晶状ソルビトール、結晶状エリスリトールの結晶状糖ア
ルコール類である。結晶状ソルビトールは結晶型がα
型、β型、γ型、δ型、ε型が知られており、何れも使
用可能であるが、特にγ型が工業的に製造されているも
のであり、入手が容易なため好ましい。また、結晶状キ
シリトールは抗う蝕原性であることから好ましい。具体
的には、例えば、結晶状ソルビトールとしてはソルビッ
トDP50(東和化成社製)、結晶状エリスリトールと
してはエリスリトール粉末(日研化学社製)、結晶状キ
シリトールとしてはXYLITOL CM(ザイロフィ
ン社製)、キシリットP(東和化成社製)などが挙げら
れる。これらの(B)成分は1種又は2種以上の混合物と
して用いることができる。
物全量中に50〜98重量%配合される。(B)成分の配合量
が50重量%未満では充分な清涼効果が得られず、また98
重量%を超えると他成分の配合量が少なくなるため香味
が損われる。
包接又は吸着物は、l−メントールをデンプン分解物で
包接又は吸着して得られるものであるが、ここで、l−
メントールとしては、l−メントールを含有する天然精
油及び合成品のいずれも使用することができる。天然精
油の例としては、ペパーミント油、スペアミント油、ハ
ッカ油等が挙げられる。また、合成品は、常温で固体結
晶のl−メントールが市販品として入手容易であるた
め、これを口腔内への適用可能な有機溶剤や液状油性物
質で溶解したものを使用するのが好ましい。l−メント
ールの溶解に用いる有機溶剤や液状油性物質としては、
口腔用として適用可能なものであれば特に限定されるも
のではなく、例えば上述のペパーミント油、スペアミン
ト油、ハッカ油等の他、レモン油、オレンジ油、グレー
プフルーツ油、セージ油、ローズマリー油、ユーカリ
油、ウィンターグリーン油、チョウジ油、タイム油等の
天然精油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イ
ソプロピルエステル、2−オクチルドデカノール、エタ
ノール、プロピレングリコール等の油剤が挙げられる。
これらの口腔内への適用可能な有機溶剤や液状油性物質
は1種又は2種以上の混合物として用いることができ
る。
いられるデンプン分解物は特に限定されるものではない
が、例えば包接作用があるものとして、α型、β型、γ
型のシクロデキストリンやマルトシルシクロデキストリ
ン等が挙げられる。吸着作用があるものとして、デキス
トリンや還元デンプン分解物(別名:還元デキストリ
ン、水素添加デンプン水解物、オリゴ糖アルコール混合
物)が挙げられる。具体的な商品として、シクロデキス
トリン:セルデックス(日食加工社製)、多孔質デキス
トリン:オイルキュ−50(日澱化学社製)、パインフ
ロー(松谷化学社製)、難消化性デキストリン:パイン
ファイバー(松谷化学社製)、還元デンプン分解物:H
−PDX(松谷化学社製)、多孔質還元デンプン分解物
が挙げられる。本発明においては特に多孔質デキストリ
ンや多孔質還元デンプン分解物が、安価でl−メントー
ルの吸着性が良く好ましい。これらは1種又は2種以上
の混合物として用いることができる。特に多孔質還元デ
ンプン分解物は、ほとんどの口腔内細菌に代謝されず、
う蝕原性が低いことから好ましい。
デンプン分解物で包接又は吸着する方法としては、既知
の方法のいずれをも用いることができるが、l−メント
ールをその0.5〜50重量倍のデンプン分解物で包接又は
吸着するのが好ましい。この方法をより具体的に示す
と、例えば、ペパーミント油25重量%、多孔質デキスト
リン75重量%の組成物をヘンシェルミキサーに代表され
るミキサー等によって混合撹拌し、多孔質デキストリン
にペパーミント油を吸着させ、同時に整粒する吸着整粒
法、あるいは、ペパーミント油20重量%、β−シクロデ
キストリン70重量%、エタノール5重量%、精製水5重
量%からなる組成物をミキサー等で混練後、乾燥する包
接乾燥法等が挙げられるが、本発明においては特に、前
者の吸着整粒法を用いるのが好ましい。
l−メントールの配合量で異なるが、一般使用量の範囲
内では、かくして得られる(C)成分の包接又は吸着物は
組成物全量中にl−メントールの量として0.02〜20重量
%、好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1〜
1重量%配合される。(C)成分の配合量がl−メントー
ルの量として0.02重量%未満では充分な清涼効果が得ら
れず、また20重量%を超えると香味が損われる。また、
(C)成分の包接又は吸着物自体は本発明の口腔用発泡性
固形組成物全量中に0.04〜40重量%、特に0.2〜20重量
%配合されるのが好ましい。
必須成分以外に、従来の口中清涼剤や薬用歯磨や薬用洗
口液における薬用成分を配合することができる。具体的
には、アスコルビン酸、トコフェロール、リボフラビン
等のビタミン類;塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザル
コニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウ
ム、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン等の
殺菌剤;デキストラナーゼ、プロテアーゼ、リゾチーム
等の酵素類;グリチルリチン酸類、銅クロロフィンナト
リウム、アセンヤク、ショウキョウ等の植物成分や生薬
類;フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム
等のフッ素剤などが挙げられる。これらの薬用成分は一
種又は二種以上を併用することができ、薬学上許容でき
る範囲内の量を用いることができる。
は(B)成分の吸熱剤としての結晶状糖アルコール以外の
甘味料を配合することができ、かかる甘味料としては、
パラチノース、パノース、マンニトール、マルチトー
ル、ラクトース、オリゴ糖等の糖類やサッカリン、アス
パルテーム、ステビアエキス等が挙げられる。シューク
ロース、グルコース、フラクトース等の糖類を配合する
ことも可能であるが、これらはう蝕原性が知られている
ため、あまり好ましくない。
は、通常の口腔用組成物に添加される任意成分、例え
ば、デンプン、デキストラン、結晶セルロース等の賦形
剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレング
リコール、アラビアゴム、カラギーナン、ペクチン、ア
ルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、
カゼインナトリウム等の結合剤、その他通常の製剤化に
用いられる滑沢剤、界面活性剤、研磨剤、矯味剤、香料
等も適宜配合することができる。
により製造され、医薬部外品、化粧品、食品の分野に用
いられる。またその態様も、口中清涼剤、洗口剤、歯磨
剤等とすることができ、さらにその剤型も、トローチ
剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤等、様々な剤型を選択す
ることができる。
形機能を有する打錠機で製造可能であり、目的に応じて
成分ごとの多層錠にすることもできる。また、各成分に
順次、次層の成分をコーティングしていくことにより、
多層の丸剤とすることもできる。この際に、炭酸塩及び
有機酸は、これらを別々の層に多層にすることができ
る。更に好ましい態様としては、炭酸塩層と有機酸層の
間に、これらと反応しない成分の層を有する3層以上の
多層としたものである。また、炭酸塩及び/又は有機酸
はコーティングして用いることもできる。ここで用いら
れるコーティング剤としては、例えばポリエチレングリ
コール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキ
シメチルセルロースナトリウムなどの水溶性ポリマー等
が挙げられる。コーティングは、上記ポリマーを溶融、
噴霧する、上記ポリマー水溶液を噴霧後、乾燥するなど
の常法によって行なうことができる。なお、これらのコ
ーティング剤のコーティング量は、有機酸あるいは炭酸
塩に対し、通常2〜100重量%、好ましくは2〜50
重量%程度が好ましい。
別な処理(例えば、炭酸塩又は有機酸の疎水性コーティ
ング)をしない場合には、空気中の水分によっても徐々
に反応が進行してしまうため、製造後は速やかにアルミ
ピロシート等の非透湿性包材で密封することが好まし
い。
上で溶解時に(A)成分の発泡剤により二酸化炭素を発生
しながら(B)成分の吸熱剤が口腔内に直接作用すること
で冷却作用を示すと共に、(C)成分のデンプン分解物に
よる包接又は吸着物中のl−メントールが揮発性を抑制
されながら徐々に溶解して口中に作用することで相乗的
な清涼効果を示す。従って、本発明の口腔用発泡性固形
組成物は優れた清涼効果を有すると共に、l−メントー
ル等による舌の苦味や喉のいがらっぽさを生じず、医薬
部外品、化粧品、食品等の分野において有用である。
が、本発明はこれによって何ら限定されるものではな
い。
1に示す成分を撹拌混合後、打錠機で1錠が20φ,2g
の錠剤を圧縮成形してトローチ剤を得た。これを専門の
フレーバリストに舌上で溶解してもらい、香味の官能評
価(全体的な清涼感、舌上の感じ、喉の感じ)を下記基
準により行った。その結果を表2に示す。
全体的な清涼感、舌上の感じ、喉の感じ共に優れている
ことわかる。
ト社製)を用い、結晶状ソルビトール(20メッシュ)を
核として、1層成分、2層成分、3層成分の順に微量の
1重量%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧し
て乾燥させながらコーテイングし、造粒した。その後、
乾熱乾燥機で水分を除去して丸剤を得た。これは、口腔
内適用時に咀嚼して使用される。尚、下記組成中、吸着
多孔質還元デンプン分解物は、l−メントールをエタノ
ールに溶解後、多孔質還元デンプン分解物(平均分子量
約1000,DE約2,吸油度:サラダ油で約150
%)と共にヘンシェルミキサーで撹拌し、吸着させなが
ら整粒調製したものを用いた。吸着多孔質還元デンプン
分解物の各成分の内訳は、組成全量に対して多孔質還元
デンプン分解物デキストリン3.5重量%、l−メントー
ル1.0重量%、エタノール0.5重量%である。
ポリエチレングリコール処理クエン酸は、クエン酸にポ
リエチレングリコールをヘンシェルミキサーで撹拌吸着
させたものを用いた。ポリエチレングリコール処理クエ
ン酸の各成分の内訳は、組成全量に対してポリエチレン
グリコール1.0重量%、クエン酸5.0重量%である。ま
た、下記組成中、包接シクロデキストリンは、l−メン
トールをペパーミント油に溶解後、若干の水とα−シク
ロデキストリン(セルデックスA−100,日食加工社
製)、β−シクロデキストリン(セルデックスB−10
0,日食加工社製)と共にヘンシェルミキサーで撹拌
後、乾燥させることで包接したものを用いた。包接シク
ロデキストリンの各成分の内訳は、組成全量に対してα
−シクロデキストリン0.7重量%、β−シクロデキスト
リン1.5重量%、l−メントール0.4重量%、ペパーミン
ト油0.4重量%である。
Claims (3)
- 【請求項1】 次の成分(A)、(B)及び(C): (A) 口腔内で溶解時に二酸化炭素を発生する発泡剤 0.5〜40重量% (B) 口腔内で溶解時に吸熱反応を起こす吸熱剤 50〜98重量% (C) l−メントールのデンプン分解物による包接又は吸着物 l−メントールの量として0.02〜20重量% を含有し、前記成分(A)の発泡剤は、炭酸塩と有機酸
の組合わせであり、前記成分(B)の吸熱剤は、結晶状
キシリトール、結晶状ソルビトール、結晶状エリスリト
ールから選ばれる1種又は2種以上の結晶状アルコール
類であることを特徴とする口腔用発泡性固形組成物。 - 【請求項2】 炭酸塩と有機酸を別々の層に多層にした
ものである請求項1記載の口腔用発泡性固形組成物。 - 【請求項3】 炭酸塩及び/又は有機酸をコーティング
して用いる請求項1記載の口腔用発泡性固形組成物。
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