JP5807840B2 - 導電層付き単結晶ダイヤモンドおよびそれを用いた工具 - Google Patents

導電層付き単結晶ダイヤモンドおよびそれを用いた工具 Download PDF

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Description

本発明は、単結晶ダイヤモンドを工具に利用する分野に関するものである。
切削工具の分野において、ある一定量が磨り減ったら、電気的な信号によって自動的に知らせたりできる寿命検出機構を持つものがある(特許文献1)。また、工具の刃先を損傷させないために削り始めのどの時点で被削材に当たったかなどもわかる接触検出機能を持つものもある(特許文献2)。精密加工の切削工具として単結晶ダイヤモンドを用いたものがあるが、ダイヤモンドは基本的に絶縁体であるので、上記検出の機能を持たせることはできなかった。しかしながら、導電性の単結晶ダイヤモンドができれば、電気的なコンタクトを実現するので、上記検出機能を実現する単結晶ダイヤモンド工具が作製できる。高価な単結晶ダイヤモンドの破損を防いだり、効率よく寿命を検知したりすることが可能となる。
従来使用されている単結晶ダイヤモンドは、天然あるいは高圧合成法の単結晶ダイヤモンドあるいは気相合成で形成した単結晶ダイヤモンド、または、それらの基板の上に気相合成法で形成された単結晶ダイヤモンドのいずれかであったが、ほとんどは絶縁性のものである。
導電性を有するダイヤモンドは天然では稀少であり、また、高圧合成法により導電性のダイヤモンドを形成する場合においても、成長セクタの影響で、大型のダイヤモンドを均質に成長させることは簡単ではなかった。このため、気相合成法によって導電性を付与したダイヤモンドを合成することが、大型のものや均質なものを作製するのに最も有効な手段である。
しかしながら、気相合成法によって容易にダイヤモンドに導電性を付与する手段はボロンをドーピングすることであるが、必ずしも工具に使えるような厚い板状のダイヤモンドを形成することに適しているわけではない。厚い板状のダイヤモンドを形成するのには、時間を要したり、その分コストがかかったり、途中で一部でも多結晶になってしまえば、もはや単結晶として利用できなくなったりするからである。
特開平08−141804号公報 特開2002−120129号公報
本発明は単結晶ダイヤモンドの一部に導電性を付与しつつ、上記課題が解決する構造を提供するものである。すなわち、寿命検出機構、接触検出機構を備えた工具の刃先として利用可能な、導電層を有する単結晶ダイヤモンドを提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意探求を重ねた結果、単結晶ダイヤモンドの成長中にある一定の短い時間内にボロンを含むガスを混入し、ボロンドープ層を層状に形成することが有効であることを見出した。また、ボロンドープ層の変わりにイオン注入層を形成することにより単結晶ダイヤモンドの内部に導電層を形成しても良い。その場合には、導電層はダイヤモンドの格子が損傷し、グラファイト成分による層が導電層を成していても構わない。
ダイヤモンドの構造において、ボロンをドープした層を積層させるという構造は以前にも報告がある。例えば、特開平07−069795号公報では、ボロンドープ層を層状に形成し、分離する方法が報告されている。しかしながら、最終的に分離することを目的としており、層状のもののままの応用(特に工具応用など)についてどのように使えばよいかの示唆はない。
また、単純に導電層が層状に形成されているだけでは、本発明の課題解決の十分条件ではない。すなわち、外部に電気的信号を取り出す構造が必要である。そのために、層状の導電層は単結晶ダイヤモンドの端面に露出していることが必要であり、更に表面や側面の導電層ともコンタクトが取れていることが好ましい。
いずれにしても、外部からそれぞれの主要な導電層に電気的コンタクトが取れて、再研磨などで再生する場合にも、初めから作り直す必要のない構造であることが好ましい。すなわち、ボロンドープを行うことによって得られた導電層を層状に形成することで、断面は金太郎飴のように同じ層状の導電層が端面に顔を出すことになることが好ましい。
具体的には、本発明及び本発明に関連する発明は以下の通りである。
(1)少なくとも一つ以上の層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該単結晶ダイヤモンドの側面まで前記導電層が貫通していることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンド。
なお、本発明に係る導電層付き単結晶ダイヤモンドにおいては、外部に電気的なコンタクトが可能な部位(導電層の単結晶ダイヤモンドの側面に現れている部分)が具備されている。
(2)前記単結晶ダイヤモンドの表面に、導電層が形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
上記の、単結晶ダイヤモンドの表面に形成されている導電層(以下、表面導電層ともいう)の厚さは、0.2μmより薄く、より好ましくは0.05μmより薄いものが適している。
(3)前記単結晶ダイヤモンドの側面に、導電層が形成されており、該単結晶ダイヤモンドの側面の導電層は主面の最表面あるいは最下面に届いており、かつ単結晶ダイヤモンドの内部の導電層と電気的に接触しており、外部からの電気的コンタクトが可能であることを特徴とする上記(1)に記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
(4)前記単結晶ダイヤモンドの導電層以外の部分が窒素を添加された単結晶ダイヤモンドであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
(5)少なくとも2つ以上の層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は単結晶ダイヤモンドの側面まで貫通しているとともに、層状の導電層の間隔は50μm〜900μmであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
(6)前記単結晶ダイヤモンドの内部の導電層はイオン注入を行うことによって得られた導電層であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
(7)前記単結晶ダイヤモンドの内部の導電層はボロンドープを行うことによって得られた導電層であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
(8)前記単結晶ダイヤモンドの表面に形成されている導電層は、単結晶ダイヤモンドをアニールすることによって得られたグラファイト層であるか、あるいは金属薄膜であるか、あるいは単結晶ダイヤモンド表面を水素終端することによって形成された導電層であるか、あるいはボロンドープを行うことによって得られた導電層のいずれかであることを特徴とする上記(2)、(4)〜(7)のいずれかに記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
(9)前記単結晶ダイヤモンドの側面に形成されている導電層は、単結晶ダイヤモンドをアニールすることによって得られたグラファイト層であるかあるいは、金属薄膜のいずれかであることを特徴とする上記(3)〜(7)のいずれかに記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
(10)一つの層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該導電層は単結晶ダイヤモンドの側面まで貫通しており、該導電層はボロンドープ層であるかあるいはイオン注入により形成されたグラファイト層であり、単結晶ダイヤモンドの導電層以外の部分には窒素が含まれており、単結晶ダイヤモンドの表面は絶縁体であることを特徴とした上記(1)に記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
なお、上記において絶縁体であるとは、室温で高抵抗であるか、もしくは200〜400℃で内部導電層よりも高抵抗であることを意味する。高抵抗というのは、導電層と比較して抵抗が大きいことをいうのであり、例えば、表面導電層や内部導電層はそれぞれ単独で導通した際に100Ω以下になるように設定することが好ましいので、この場合には、窒素添加層(単結晶ダイヤモンド部分)は1kΩ以上あると利用できる。ばらつきの安全をみて10kΩ以上あることがより好ましい。しかしながら、表面導電層は後述するように薄くする必要もあるので、100Ωを超えて10kΩ以下の設定になってしまうこともある。その場合は、窒素添加層は100kΩ以上、好ましくは1MΩ以上に設定することが必要である。抵抗値は重要であるが、一意的に決めるのではなく、導電層の状況に合わせて設定できることがよい。
また、前記単結晶ダイヤモンドの表面は室温で高抵抗であるが、光励起によって抵抗値が下がり、該光励起に伴う抵抗値の変化を検出できることが好ましい。
(11)前記単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層の少なくとも1つを用いて、通電して加熱することができ、該加熱に伴う電気抵抗値の変化を検知できることを特徴とする上記(1)又は(10)に記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
(12)少なくとも、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
(13)少なくとも、上記(2)、(4)〜(9)のいずれかに記載の導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されており、単結晶ダイヤモンドの表面に形成された導電層は支持体とは別の電気的に絶縁された端子に接合されていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
(14)少なくとも、上記(1)又は(10)に記載の導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されており、単結晶ダイヤモンドの刃先となる部分には紫外線あるいはレーザー光線が照射される構造となっていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
(15)少なくとも、上記(1)、(10)、(11)のいずれかに記載の導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されており、単結晶ダイヤモンドの刃先には別々に2つの端子が接続されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層の少なくとも1つを通電することによって加熱する構造を備えていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
本発明の導電層付きの単結晶ダイヤモンドを切削工具として利用すると、通電状態のON、OFFの機能を発揮し、切削工程の初期の刃先を損傷させる間違いや何回使ったかなどの途中の刃先管理ができるようになるだけでなく、例えば、チャージアップを防止しして、何かのゴミがかむことを防いだりできる。通電して、ある一定の温度に制御することもでき、高温での加工に利用することができる。また、導電性部分は一般的に黒いので、本来の機能をなくすことなく、層状の一部に模様や字を書くこともでき、上部から見て、簡単に識別することができる効果がある。
本発明に係る導電層付き単結晶ダイヤモンドの構成の一例の概略を表す図である。 本発明に係る導電層付き単結晶ダイヤモンドの使用例の概略を表す図である。 本発明に係る導電層付き単結晶ダイヤモンドの特徴を説明する概略図である。 本発明に係る工具の一例の概略を表す図である。 実施例3において作製した工具の概略を表す図である。 実施例1において作製した工具の概略を表す図である。 実施形態4において説明した本発明の工具の概略を表す図である。 実施形態4において説明した本発明の工具の概略を表す図である。 実施例4において作製した工具の概略を表す図である。 実施例4において作製した工具の使用状態の概略を表す図である。 実施例4において作製した工具の抵抗変化の概要を表す図である。
本発明は、以下の部分が特徴となっている。
すなわち、本発明に係る導電層付き単結晶ダイヤモンドは、少なくとも一つ以上の層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該単結晶ダイヤモンドの側面まで前記導電層が貫通していることを特徴とする。なお、本発明に係る導電層付き単結晶ダイヤモンドにおいては、外部に電気的なコンタクトが可能な部位が具備されている。具体的には、前記導電層の単結晶ダイヤモンドの側面に現れている部分は、外部部材との電気的なコンタクトが可能な部位である。また、後述するように、単結晶ダイヤモンドの外部(表面あるいは側面)に備えられる導電層によっても外部部材との電気的なコンタクトをとることができる。図1に単結晶ダイヤモンドの内部に導電層としてイオン注入層、ボロンドープ層を設けた例を示す。
更に、層状の内部導電層が少なくとも1層あること、内部導電層を窒素添加層で挟む構造であること、導電層を単結晶ダイヤモンドの表面あるいは側面にも配置すること、導電層が外部への電気的コンタクトを実現すること、外部からの光照射や、電流導入を実現することなどであり、これらの構成の少なくとも2つ以上の組み合わせによって、本発明の課題をより良好に解決できる。
なお、本発明において、グラファイトの文言については、結晶質のグラファイトに限らず、炭素のsp結合が多く存在する層や成分を指している。多く存在するという意味はsp結合がパーコレーションなどし、電気的に結合した層を含んで指しているので、10%や20%の存在においても含まれる。電気的特性を評価し、抵抗値が低くなっていることによって検知できる。
以下、本発明の具体的な実施の形態を以下に述べる。
(実施形態1)
まず、基板として単結晶ダイヤモンドを準備する。当該単結晶ダイヤモンドは、天然の単結晶ダイヤモンド、あるいは高圧合成法により形成した単結晶ダイヤモンドあるいは、気相合成法で形成した単結晶ダイヤモンドのいずれであっても良い。そして、基板として板状の形状をしており、裏表に平坦研磨が成されているものを使用する。
次に気相合成法で単結晶ダイヤモンド上にダイヤモンドのホモエピタキシャル成長を行う。一定膜厚を形成したら、続いてボロンドープ層を一定膜厚形成する。初期のホモエピタキシャル成長やボロンドープ層の上に行うホモエピタキシャル成長は、成長パラメータ(α)が2以上の値になる成長条件を使うことが好ましい。
ここで、成長パラメータ(α)とは、(100)面方位の成長速度をV1とし、(111)面方位の成長速度をV2としたとき、α=√3×(V1/V2)で定義される値である。
窒素を添加した条件を使うことは成長パラメータが大きくでき、好ましい。
また、ボロンドープ層は形成する層のボロンドープ量が多いほどより薄い層で高い導電性を有するようにできるので好ましいが、ボロンドープ量が多すぎて結晶が大きく乱れると好ましくない。このため、ボロンドープ量は2×1019cm-3〜1×1022cm-3が好ましく、より好ましくは7×1019cm-3〜5×1021cm-3である。
ボロンドープ層は薄い方が簡単に形成でき、また、その上のホモエピタキシャル膜を乱さないので好ましい。しかし、あまり薄いと外部からのコンタクトが困難になるので、適当な厚さがある方が好ましい。すなわち、ボロンドープ層の厚さは、0.05μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜5μmがより好ましい。
また、ボロンドープ層を形成するかわりに、上記の単結晶ダイヤモンド基板にイオン注入を行うことにより導電層を形成してもよい。そして、上記のように気相合成法でダイヤモンド膜をエピタキシャル成長させることにより、内部に導電層を有する単結晶ダイヤモンドを作製することができる。
ボロンドープ層は1回だけ形成してもよいし、多数回形成してもよい。多数回ボロンドープ層を形成する場合は、一つのボロンドープ層ともう一つのボロンドープ層の間は少なくとも50μm以上、多くとも900μm以下で形成されることが好ましく、80μm以上、500μm以下の範囲であることがより好ましい。その間の層には窒素が微量添加(0.1〜100ppm、好ましくは1〜50ppm、更に好ましくは10〜50ppm)されていることが好ましい。
単結晶ダイヤモンドの上面部分(最表面部分)は窒素添加層で終了している構造の方が良い。また、後述するように、最表面部分には、非常に薄い(0.01μm以下の)グラファイト層か、あるいは水素終端の導電層か、あるいはボロンドープを行うことによって得られた導電層か、あるいは金属薄膜が形成されていることが好ましいが、別の手段を準備できる場合は必ずしもなくとも良い。
上記特徴の構造のダイヤモンドの利用方法について以下に述べる。
まずは一番簡便な方法で、単結晶ダイヤモンドの最表面に導電層が形成されていない場合から説明する。その構造としては、単結晶ダイヤモンドの基板を準備し、イオン注入を0.01〜1μmもしくはボロンドープ層を0.1〜10μm程度形成して、導電層を形成したものを利用する。イオン注入の場合は、例えば、Bイオン、Pイオン、ArイオンもしくはCイオンを200keV〜8MeVで1015〜1016cm-2オーダー注入すると、ダイヤモンドの内部に黒いグラファイト層が形成される。エネルギーを変えて多段注入すると注入幅が制御できる。最表面はダイヤモンドの単結晶構造を維持しているので、この上にダイヤモンドを合成するとエピタキシャルに成長させることができる。結果として、全体として単結晶ダイヤモンドに導電層を内部に形成できたものを作製できる。
ボロンドープの場合は、基板の上にダイヤモンド合成条件中にホウ素原子が含まれているジボランやトリメチルホウ素などのガスを用いるとドーピングできる。約0.1〜10μmほど成長させた後に、ボロン含有ガスの添加をやめ、別の合成条件に設定を変えるとボロンドープ層の上に絶縁性の単結晶ダイヤモンドが合成できる。
導電層を作製する場合以外のCVD合成条件としては窒素を添加することが好ましい。導電層および絶縁層の合成条件は、成長パラメーター(α)が2以上の値になる条件が、単結晶がきれいに成長できて好ましい。
絶縁層部分は室温で抵抗率が106Ωcm以上となることが好ましいが、刃先から内部導電層を経由して、工具までの抵抗が1kΩ以上あれば利用でき、好ましくは10kΩ以上である。内部導電層から工具までの抵抗は数Ω以下なので、ほぼ刃先部分の抵抗である。
基板の板厚が0.2mm〜0.9mmで、導電層上部の板厚が同じく0.2mm〜0.9mm程度が好ましい。合計の板厚は0.5〜1.9mmの範囲がこの構造では使いやすくてよい。
このような板状の単結晶ダイヤモンドを切削工具の形状に加工し、工具本体に取り付ける。取り付ける際には活性銀蝋材などの金属を使用するので、後ろの部分で端面に露出している内部導電層に接触している構造とした。
イオン注入やボロンドープ層形成の際、あるいはその後のエピタキシャル成長の際に導電層が端面(単結晶ダイヤモンドの側面)に露出していないことがしばしばあるが、レーザーカットなどにより、最終的に導電層が端面に露出した構造としておくことが重要である(図3参照)。
切削加工時に刃先の先端に230nmより短波長の紫外線や波長450nmより短い光やそれらの波長のレーザーを照射し、被削材との間にバイアスをかけておくと、接触したときに導電層を介して、通電し、刃先が被削材に接触したことが電気的にわかる(図4参照)。
刃先となる単結晶ダイヤモンド部分に不純物があまり添加されていない場合は230nmより短波長の紫外線が好ましく、窒素が添加されている場合は530nmより短い波長の光を照射すると効果がある。接触を感知した後は光の照射を絶ってもよく、その際抵抗は高くなるが、そのまま切削を継続すればよい。
そして、切削を継続することにより刃先の摩耗の進行が内部導電層のところまでくると、内部導電層に電気的接触の信号が検出され、刃先部分の所定の量が切削に費やされたことが分かる(図5参照)。刃先となる単結晶ダイヤモンドの最表面から内部の導電層までの厚さを、被削材をきれいに削れる所定量に設定したり、寿命に設定したりしておくと便利に使える。
適用される導電層付き単結晶ダイヤモンドのサイズは、特に限定は無い。工具として使用されるサイズに合わせて必要なサイズで適用できる。例えば、2mm角〜6mm角が一般的であるが、6mm角〜12mm角やモザイク状に接合した基板においては10mm角〜25mmやそれ以上も可能である。
(実施形態2)
次に実施形態1の導電層付き単結晶ダイヤモンドに、更に単結晶ダイヤモンド表面に導電層を形成した場合の実施形態を述べる。
単結晶ダイヤモンドの表面に導電層としてグラファイト層を形成する場合には、単結晶ダイヤモンドを低真空中1200℃以上で、熱アニールすることでダイヤモンド表面に形成することができる。あるいは炭素含有のターゲットをスパッタリング蒸着することでも作製可能である。なお、単結晶ダイヤモンドの側面に形成されたグラファイトは、工具への加工仕上げによって除去でき、最表面のグラファイトのみを残すことができる。
内部にある導電層の形成方法などの他の部分は、実施形態1と同じ方法である。
前述のように単結晶ダイヤモンドの最表面にグラファイト層が形成されていると、実施形態1で述べたように光を当てることや、実施形態5で説明するように加熱することは不要である。電圧を印加した状態で、工具が被削材に接触すると電気が流れて通電する(図6参照)。
なお、工具の刃先となる部分にグラファイト層が形成されていても、極薄いグラファイト層であれば切削加工時に直ぐに除去され、切削加工自体は単結晶ダイヤモンドの母体部分が担うので、工具の切削性能には関係がない。また、工具の寿命が来た際には、実施形態1と同様に内部導電層に通電して検知できる。
グラファイト層を形成する代わりに、単結晶ダイヤモンド表面に水素プラズマ処理を施して単結晶ダイヤモンド表面を水素終端すること、あるいは単結晶ダイヤモンド表面に金属薄膜を形成すること、あるいは単結晶ダイヤモンドの表面を、ボロンドープを行うことによって得られた層にすることによっても導電層を形成することができる。なお、ボロンドープ層は前記の内部導電層と同様にして形成することができる。
水素プラズマ処理は、100%水素中で、マイクロ波あるいは高周波でプラズマを発生させ、600℃〜1,100℃の基板温度に維持することにより行われる。ガス圧力は10〜200Torrが好ましいが、プラズマが発生すれば、1〜500Torrでも問題は無い。ただし、基板温度が高い状態(500℃以上)で、大気中あるいは酸素中に取り出すと水素プラズマ処理の効果が消失するのでよくない。真空中で冷却して取り出すことが必要である。
水素プラズマ処理で形成した導電層はグラファイト膜による表面導電層と同様に利用することができる。また、工具の切削加工性能には何の支障もない。
また、グラファイト層や水素終端した導電層の代わりに、金属薄膜を形成してもよい。金属薄膜としては、Ti、Au、Al等が好ましく、この中でTiがより好ましく、Tiをコーティングした後に、300℃〜600℃で3〜10分間アニールし、その後、酸処理でTiを除去した後に残ったTiC膜が最も好ましい。
このような表面導電層の厚さは、0.2μmより薄く、より好ましくは0.05μmより薄いものが適している。これは、内部の硬度と異なる表面導電層の厚さが厚い場合には被切削材表面に縞模様として残ってしまうが、薄い場合には初期の一瞬でなくなり、この問題を避けることができるからである。
(実施形態3)
次に実施形態1の導電層付き単結晶ダイヤモンドに、更に単結晶ダイヤモンドの側面にグラファイト膜を形成した場合の実施形態を述べる。
実施形態1と同じように導電層を単結晶ダイヤモンドの内部に形成し、実施形態2と同じように熱アニールすることでグラファイト層を形成することができる。ただし、グラファイト層を形成してから側面の加工は行わない。側面を工具に仕上げてからグラファイト層を形成する。また、実施形態2とは異なり、グラファイト層を形成してから、単結晶ダイヤモンドの最表面を平坦加工し、表面部分のグラファイト層を除去する。グラファイトはやわらかいので、ダイヤモンドを加工する砥石で加工しなくとも除去される。
単結晶ダイヤモンドの側面に形成されたグラファイトは、切削開始時に被削材に接触する瞬間の信号を検出するのに利用することができる。実施形態2とは違って、加工している間中、信号は出っ放しとなるが、印加電圧をオフしておけば問題は無い。
(実施形態4)
次に単結晶ダイヤモンドの内部の導電層を多層に形成した場合の実施形態を述べる。
実施形態1と同じように導電層を単結晶ダイヤモンドの内部に形成するが、これを複数回繰り返して多層に形成しておく。一つの導電層ともう一つ次の導電層の間は工具寿命と判断する厚さ分(A)と加工代分を取っておくと寿命の検知と同一単結晶の再利用が連動してよい(図7a、図7b参照)。前記厚さAは50μm〜900μmが好ましい。
その他の機能は実施形態1や2と同じにしておけばよい。
(実施形態5)
実施形態1では、被削材との接触時に紫外線照射することにより信号を検知できることを示しているが、実施形態5では単結晶ダイヤモンドの内部導電層の両端に端子を設ける形態を説明する。
実施形態1と同様な単結晶のサンプルを準備し、導電層付きの単結晶ダイヤモンドを作製する。
そして、内部導電層に通電できるように2端子を接続できるように工具を作製する。これにより、切削を開始する直前に通電し、ダイヤモンドチップの温度を上昇させることができる。このとき、内部導電層にバイアスを掛けると、被削材に接触したときに電流が検知され導通させることができる。この現象を利用すると、刃先と被削材の接触を検知することができる。また、切削を開始した後は通電を切って、通常の切削工具として切削加工を行うことができる。
更に、途中で切削を中止し、その後に再度切削を始める際にも、初期と同様の手順で、被削材と工具との接触時の導通を検知できる。これは単結晶ダイヤモンドの内部導電層への通電により、チップ温度が上昇し、チップの抵抗を小さくして、バイアスを印加することで、被削材との通電を確認できるためであると考えている。これは単結晶ダイヤモンド全てを導電性にしなくとも、同じ効果を引き出したことに他ならない。切削が始まれば、通電を切れば、通常の切削工具として使える。
さらに、実施形態1でも説明したが、内部導電層に被削材が到達した際に電気信号を検知することができ、これにより工具の寿命を判断することができる。また同様に、切削時は摩擦熱でダイヤモンド単結晶チップの温度が若干上昇し、周辺に若干ともキャリアが拡散するので、内部導電層に被削材が到達しなくとも、かなり近づいた時点で検知するようにすることもできる。
(実施形態6)
実施形態1および2において、ある一定の切削量を終えたチップは信号を検知して、寿命を知らせる機能があったが、切子が側面について導通し、誤検知する可能性がある。しかしながら、これはソフト上で導通の時間の変化量を分析すれば除外できるので、本質的な問題ではない。
具体的には、瞬間的に導通したことを示す信号はしばらくの時間は切削状態を保持し、ある一定時間が同じ状態が続くかを確認した後に停止する工夫をすればよい。また、あるいは予めある一定以上の工具寿命があることは分かっているので、それまでは誤動作であると判断することもできる。すなわち寿命の時間管理とセンシング管理の併用をすればよい。
以上のように、単結晶ダイヤモンドの内部に層状に導電層が形成されており、外部から接続して電気信号を検知できるようにすると、被削材との接触時の検知ができたり、寿命の検知を自動的に行うことができたりする。
また、単結晶ダイヤモンドの最表面にグラファイト層や他の導電層を形成して組み合わせることで、初期の接触センサー機能も盛り込むことができる。単結晶ダイヤモンドの側面にグラファイト層を形成することによっても、初期接触センサーを備えた工具として利用することができるものである。
さらに、単結晶ダイヤモンド全体が導電体である場合でも、被削材との接触時の検出は同様な効果があるが、本発明では被削材の接触検知と寿命の検知が両方できるようになるので、より優れた機能といえる。それは、光照射や加熱効果で、通常のオフ状態では絶縁であるが、オンにして部分的にあるいは全体に導電状態を作り出すことによって、その両方を実現できることが特徴となるものである。
本発明における特徴をまとめておくと、単結晶ダイヤモンドの全てが導電性を有しているものと比較すると、初期加工時の接触センサーの機能はどちらにもあるが、寿命検知機能との両立は本発明の構造のみにある。切削性能は全てが導電性のものは不純物の影響で全てが絶縁性の物と比べると若干やわらかくなる影響を受けるが、本発明の構造は全てが絶縁性のものと同等である。
次に絶縁性の単結晶ダイヤモンドの表面全体に金属層を形成したものと比べると、やはり接触センサーと寿命検知の両立性は本発明の構造のみにある。切削性能は通常の絶縁性の単結晶ダイヤモンドと同等なのは本発明の構造である。金属層を形成したものは、金属層の切削抵抗や磨耗量において、大きく影響を受けるが、本発明の構造ではほとんど影響を受けない。
図2に本発明に係る導電層付き単結晶ダイヤモンドの使用例の概略をまとめる。
本発明の単結晶ダイヤモンドは、内部導電層は基本的に一つであるが、近接して、2層以上を形成して1層の代わりにすることができる。すなわち、2層以上の内部導電層の機能をひとまとめにして、1層と同じ機能にすることもできるからである。
しかしながら、これだけでは新しい機能の追加にはならない。さらに新しい機能(再研磨で再利用を容易にするという機能)を追加するためには、2つの導電層間の絶縁層(単結晶ダイヤモンド部分)の厚さを少なくとも100μm以上にしなければならないし、導電層は100μm未満にすることが必要である。
以下、実施例に基いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
3mm角300μmtと6mm角500μmtと6mm角900μmtの高圧合成のダイヤモンドの基板を用意し、その上にマイクロ波プラズマCVD法でダイヤモンドをエピタキシャルに合成した。
最初の5μmは、メタンガスがメタンガス/水素ガス比で9%となるようにガスを導入し、窒素ガスも窒素/メタンガス比で1000ppmとなるようにし、マイクロ波パワー6kW、全圧力100Torrで合成を行った。次の2μmはメタンガス/水素ガス比7%とし、ジボランを水素に対して1000ppm導入した。他の条件は同じで、プラズマを停止することなく行うことができた。次の500μm、800μm、及び950μmは最初の窒素を添加したときと同じ条件で合成を行った。
合成後、端面をレーザーカットし、ボロンをドーピングした層を端面に露出させた。全体として、3mm角、0.8mmt、1.1mmt、及び1.25μmtの単結晶ダイヤモンドと、6mm角、1.0mmt、1.3mmt、及び1.45mmtの単結晶ダイヤモンドと、6mm角1.4mmt、1.7mmt、及び1.85mmtの単結晶ダイヤモンドを作製することができた。
通常の単結晶ダイヤモンドと同様にバイト形状に仕上げて、刃先としてロウ付けして切削工具を作ることができた。5×10-3Torr以下の真空中で、1200℃で10分アニールして、単結晶ダイヤモンドの表面にグラファイト膜を形成した。側面のグラファイトは刃先の加工をする際に機械加工で除去した。ロウ付けは中間のボロンドープ層と接触するようにし、工具本体に接触させた。表面はピンで別途コンタクトした。表面と内部導電層には導通がなかった。上記内容は図6に図示した通りである。
切削開始時に、接触する瞬間に工具のピン経由の導通が検知され、初心者が行ってもチップに破損以上の圧力を加えることなく、破損することはなかった。加工初期には内部導電層経由の導通は無いままであった。切削途中はピン経由の導通は継続したままであり、一度切削をやめた後に、刃先を再度当てるときにも接触が確認され、破損して失敗することはなかった。工具性能は通常の単結晶ダイヤモンドとなんら変わるところがなかった。切削が進んで内部導電層経由の導通が確認された時点で、信号が入り切削をやめる操作に移行した。
上記サンプルは、刃先を基板の高圧合成法により合成した単結晶側(以下、高圧単結晶側という)にしたときも、刃先をCVD法により合成した単結晶側(以下、CVD単結晶側という)にしたときも同様に同じ機能を達成した。
高圧単結晶側にした場合、基板厚が300μmtと500μmtと900μmtの場合で、それぞれの厚さ分だけ切削を停止する信号が発生する時間がかかったのは予想通りの結果であった。CVD単結晶側にした場合は、同様な厚さなので、大きくは変らなかった。高圧単結晶とCVD単結晶では大きな違いは見られなかったが、6mm角の結晶で比べるとCVD単結晶の方が、磨耗の偏りが小さかった。これは窒素の分布状態が違っているためである、すなわちCVD単結晶は窒素濃度の分布が小さいためであると考えられた。磨耗の偏りが小さいと被削材の研磨痕もなくきれいに仕上げることができた。
基板のサイズを8mm角や12mm角に変えても同様に適用でき、複数枚接合した16mm角や25mm角のモザイク基板においても同様基本的な動作(接触センシング、寿命検知)について確認できた。このような大きめのサイズやモザイク基板は天然や高圧合成ダイヤでは困難なので、CVD基板を利用した。
[実施例2]
実施例1と同じ形状の基板を用意して、イオン注入を行った。注入条件はカーボン原子を3MeVおよび200keVで注入した。注入ドーズ量は1×1015cm-2および8×1015cm-2であった。
その後、マイクロ波プラズマCVD法により、ダイヤモンドをエピタキシャルに成長させた。条件はメタンガスがメタンガス/水素ガス比で9%となるガスを導入し、窒素ガスも窒素/メタンガス比で1000ppmとなるようにし、マイクロ波パワー6kW、全圧力100Torrで行った。
その他は、実施例1と同じように工具を作製し、工具使用時の動作試験を行ったが、ほとんど同じ結果が得られ、同じように利用することができた。
[実施例3]
実施例1と同様の単結晶のサンプルを準備した。すなわち、内部に導電層をもった単結晶ダイヤモンドを作製した。
そして、実施例1とは異なり、当該内部に導電層をもった単結晶ダイヤモンドの表面にグラファイト層を形成せずに工具を作製した。その代わりに、工具を利用する際に、刃先に200〜250nmの波長の紫外線を照射して、キャリアを誘起した(図4参照)。その状態で内部導電層にバイアスを掛けることにより、被削材に接触させると同時に導通が確認された。それを信号として、被削材に近づけることを停止した後、適度な応力が発生するまで極ゆっくり進めてゆくと、切削がスムースに進められた。
この手順に従うと刃先を破損することがなく切削することができた。また、紫外線を照射した状態では導通はしたままであったが、紫外線をきると導通はなくなった。切削を連続に継続している間は接触しているかどうかの信号は不要なので、紫外線を切っても問題はなかった。切削を一時中断して、再度切削を開始するときは、再度紫外線を照射すると同様に繰り返すことができた。
刃先が高圧合成単結晶ダイヤモンド側の場合もCVD単結晶ダイヤモンド側の場合も同じように接触を検出することができた。
また、紫外線の代わりに530nmよりも短波長のレーザー光線に換えて行ったが、高圧合成Ibタイプの単結晶ダイヤモンドが刃先の場合に接触を感度よく検知できた。一方、CVD単結晶ダイヤモンドの場合には、あまり感度が良くなかったので、検知の増幅を行った。これにより感度良く検知できるようになった。
また、ボロンドープ層の代わりに、実施例2と同様にイオン注入層を形成することで導電層付き単結晶を形成しても、同じように紫外線照射やレーザー光線照射が利用することができた。
実施例1と同様に、工具の摩耗が進むと内部導電層と被削材とが接触し、信号が検知された(図5参照)。切削時は摩擦熱で単結晶ダイヤモンドチップの温度が若干上昇し、周辺に若干ともキャリアが拡散するので、内部導電層に被削材が到達しなくとも、かなり近づいた時点で検知するようにできた。
[実施例4]
実施例3と同様にして導電層付き単結晶ダイヤモンドのサンプルを準備した。ここでは、紫外線照射ではなく、内部導電層に通電できるように2端子を接続できるように工具を作製した(図8参照)。
切削を開始する直前に通電し、ダイヤモンドチップの温度を上昇させた。そして、内部導電層にバイアスを掛けることにより、刃先が被削材に接触したときに電流が検知され導通した。この時のチップの温度は100℃以上であれば電流を増幅して微小検出すれば有効に検出可能であった。更に、チップの温度を300℃以上にすることで検出を楽に行うことができた。この現象を利用して、通電で接触を検知することができた。
また、切削を開始した後に通電を切ると通常の切削状態となり、別段問題がなかった。途中で切削を中止した後に再度切削を始める際にも、同様に通電し、接触時の導通を利用することが繰り返し行えた。これは導通により、チップ温度が上昇し、内部導電層と刃先部分との抵抗が小さくなったことによるものであると考えている。これは単結晶ダイヤモンド全てを導電性にしなくとも、同じ効果を引き出したことに他ならない。切削が始まれば、通電を切れば、通常の切削工具として使える。
また、実施例3と同様に、被削材が内部導電層に到達すると信号を検知でき、これにより切削を終了した。また同様に、切削時は摩擦熱で単結晶ダイヤモンドチップの温度が若干上昇したので、内部導電層に被削材が到達しなくとも、かなり近づいた時点で検知することができた(図9参照)。
摩擦熱で加熱される温度は周辺からの放熱もあり小さいので、図8での通電時の加熱とは明確に温度が異なる。従って、抵抗の違いによって明確に差をつけられる(図10参照)。
[実施例5]
まず、実施例1および実施例2と同じように、ボロンドープ層又はイオン注入層を有するサンプルの単結晶ダイヤモンドを作製した。グラファイトも同様に作製したが、側面のグラファイトは除去せず、表面のグラファイトは研磨で削除した。
できたダイヤモンドチップは側面に導電性をもっているので、切削を開始時、被削材に刃先が接触したときに電気的に検知できることは実施例1および実施例2と同様であった。しかしながら、導通が継続しているので、終了時の電子信号の変化は特に検出されなかった。
すなわち本実施例は、初期の接触のみを検出するものである。ただし、内部導電層がある場合では、ない場合と比較して安定して接触の導通が検出されたので、内部導電層が有効であることがわかった。なお、内部導電層を形成しない場合としては、従来の単結晶ダイヤモンドを使用した。
[実施例6]
実施例1と同様にして導電層付き単結晶ダイヤモンドのサンプルを準備したが、実施例1で作製したグラファイト層は形成しなかった。その代わり、単結晶ダイヤモンドに水素プラズマ処理を行った。水素プラズマ処理は水素100%中で、マイクロ波出力3kW、基板温度800℃で行った。この処理で単結晶ダイヤモンドの形状が変化することはなかった。単結晶ダイヤモンドの側面は導電層とはならなかった。
実施例1と同じように工具を作製したところ、被削材との接触の検知を行うことができた。一度、切削を終了して、再度切削を始める場合は、水素プラズマ処理を再度行った方が有効に検知できた。
[実施例7]
実施例1と同じ基板を用意し、その上にマイクロ波プラズマCVD法でダイヤモンドをエピタキシャルに合成した。
最初の5μmはメタンガスがメタンガス/水素ガス比で9%となるようにガスを導入し、窒素ガスも窒素/メタンガス比で1000ppmとなるようにし、マイクロ波パワー6kW、全圧力100Torrで、室温で絶縁性のダイヤモンドの合成を行った。次の2μmはメタンガス/水素ガス比7%とし、ジボランを水素に対して1000ppm導入した。他の条件は同じで、プラズマを停止することなく室温で導電性のダイヤモンドの合成を行うことができた。次に最初の条件で、300μm合成を行った後に、2μmボロンドープ層を先ほどと同じ条件で形成した。その後、300μm(絶縁層)、2μm(導電層)、300μm(絶縁層)、2μm(導電層)と繰り返し、合計915μm形成し、基板とあわせて、1.2mmおよび1.4mmの厚さの導電層付き単結晶ダイヤモンドを得た。
表面のグラファイトは実施例1と同様にして形成した。
この導電層付き単結晶ダイヤモンドを使って、工具を作製し、実施例1同じ評価を行った。その結果、切削時の接触の検知は同様に実行でき、破損することはなかった。切削の一時中断や切削時の工具性能も同じ結果となった。
切削を実行中、被削材がチップの表面から第1層目の内部導電層に達したところで、導通し、第1回目の寿命あるいは切削消耗期限の到達が検知できた。そこで、単結晶ダイヤモンドチップを工具から取りはずして再度研磨を行い、新しい工具として再生した。最初の基板より薄い基板であったが、それと同様に最初から本発明の工具の特徴(被削材との接触検知、寿命検知)を再現した。積層した層の回数だけ同じように再研磨し、使用することができた。
3回目には、最表面のグラファイトを形成せずに、実施例3や実施例4のように紫外線やレーザー光線、あるいは通電加熱の方法で、接触検知を試みたが、前例と同様に検知することができた。
絶縁層を300μmから500μm、900μmと変えて行っても、同様にうまくいったが、100μmにすると薄すぎるので、研磨の平行度が導電層の平行度と異なったり、導電層の平坦性が悪かったりすると、2回目、3回目の研磨がうまくいかなかった。一方、内部導電層も100μm以上となると、再研磨時の時間がかかるとか、平行度や平坦性が悪い場合の加工がうまくいかなかった。せいぜい50μm以下、好ましくは10μm以下が工具用チップ作製の点でよかった。

Claims (7)

  1. 少なくとも一つ以上の層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該単結晶ダイヤモンドの側面まで前記導電層が貫通しており、
    前記単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層の少なくとも1つを用いて、通電して加熱することができ、該加熱に伴う電気抵抗値の変化を検知できることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンド。
  2. 一つの層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該導電層は単結晶ダイヤモンドの側面まで貫通しており、該導電層はボロンドープ層であるかあるいはイオン注入により形成されたグラファイト層であり、単結晶ダイヤモンドの導電層以外の部分には窒素が含まれており、単結晶ダイヤモンドの表面は絶縁体であり、
    前記単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層の少なくとも1つを用いて、通電して加熱することができ、該加熱に伴う電気抵抗値の変化を検知できることを特徴とした請求項1に記載の導電層付き単結晶ダイヤモンド。
  3. 少なくとも、一つ以上の層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該単結晶ダイヤモンドの側面まで前記導電層が貫通している導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されており、単結晶ダイヤモンドの刃先となる部分には紫外線あるいはレーザー光線が照射される構造となっていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
  4. 少なくとも、一つの層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該導電層は単結晶ダイヤモンドの側面まで貫通しており、該導電層はボロンドープ層であるかあるいはイオン注入により形成されたグラファイト層であり、単結晶ダイヤモンドの導電層以外の部分には窒素が含まれており、単結晶ダイヤモンドの表面は絶縁体である導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されており、単結晶ダイヤモンドの刃先となる部分には紫外線あるいはレーザー光線が照射される構造となっていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
  5. 少なくとも、一つ以上の層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該単結晶ダイヤモンドの側面まで前記導電層が貫通している導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されており、単結晶ダイヤモンドの刃先には別々に2つの端子が接続されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層の少なくとも1つを通電することによって加熱する構造を備えていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
  6. 少なくとも、一つの層状の導電層が主面にほぼ平行に形成されており、該導電層は絶縁性の単結晶ダイヤモンドの内部に形成されており、該導電層は単結晶ダイヤモンドの側面まで貫通しており、該導電層はボロンドープ層であるかあるいはイオン注入により形成されたグラファイト層であり、単結晶ダイヤモンドの導電層以外の部分には窒素が含まれており、単結晶ダイヤモンドの表面は絶縁体である導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されており、単結晶ダイヤモンドの刃先には別々に2つの端子が接続されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層の少なくとも1つを通電することによって加熱する構造を備えていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
  7. 少なくとも、請求項1又は請求項2に記載の導電層付きの単結晶ダイヤモンドとそれを支える支持体とを具備し、単結晶ダイヤモンドと支持体とは導電性の接合材で接合されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層と支持体とは接触している接合材を介して電気的に接続されており、単結晶ダイヤモンドの刃先には別々に2つの端子が接続されており、単結晶ダイヤモンドの内部に形成された導電層の少なくとも1つを通電することによって加熱する構造を備えていることを特徴とする導電層付き単結晶ダイヤモンドを用いた工具。
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