JP5807443B2 - 有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法及び電子機器 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法及び電子機器に関するものである。
近年、情報機器の多様化等に伴い、消費電力が少なく軽量化された平面表示装置のニーズが高まっている。このような平面表示装置の一つとして、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置が知られている。有機エレクトロルミネッセンス装置は、画素電極と対向電極の間に有機発光層を備えた構成となっている。
一方、有機エレクトロルミネッセンス装置の薄型化を図るために、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成された素子基板の上にカラーフィルター層を形成する技術がある。例えば、特許文献1の有機エレクトロルミネッセンス装置においては、素子基板の有機エレクトロルミネッセンス素子が形成された側に、上面が平坦な透明保護層が形成されており、当該透明保護層上にカラーフィルター層が形成されている。
特開2001−126864号公報
有機エレクトロルミネッセンス装置の高精細化が進むに従って画素サイズが小さくなる。また、カラーフィルター層は透明保護層に対して所定の密着力が必要とされる。
しかしながら、透明保護層の上面が平坦な場合、透明保護層とカラーフィルター層との密着力が低下し、カラーフィルター層が透明保護層から剥がれてしまう惧れがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、カラーフィルター層の剥離を抑制することが可能な有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供することを目的とする。また、信頼性に優れた電子機器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、基板と、前記基板上に形成された第1電極と、前記第1電極の前記基板とは反対側に形成された有機発光層と、前記有機発光層を挟んで前記第1電極と対向して形成された第2電極と、前記第2電極の前記有機発光層とは反対側に形成された封止層と、前記封止層の前記第2電極とは反対側に形成されたカラーフィルター層と、を含み、前記封止層の前記第2電極と反対側の面には、前記基板に垂直な方向から見たときに前記第1電極と重なる領域に、凹凸が形成されており、前記カラーフィルター層は、前記封止層の前記凹凸上に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、カラーフィルター層が封止層の凹凸上に形成されているため、カラーフィルター層の一部が封止層の凹凸に入り込んでくさびを打ち込んだような状態で抜けにくくなる、いわゆるアンカー効果(投錨効果)が生じる。よって、カラーフィルター層の剥離を抑制することが可能な有機エレクトロルミネッセンス装置が得られる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置において、第1の画素と、第2の画素とを含み、前記第1の画素及び前記第2の画素は前記第1電極を含み、前記カラーフィルター層は、前記第1の画素に対応する第1の領域に設けられ、第1の色を透過する第1の着色層と、前記第2の画素に対応する第2の領域に設けられ、第2の色を透過する第2の着色層とを含み、前記封止層の凹凸は、前記第1の領域に設けられた第1の凹凸と、前記第2の領域に設けられた第2の凹凸とを含み、前記第1の凹凸と前記第2の凹凸との大きさが互いに異なっていてもよい。
この構成によれば、凹凸の深さが深いほど着色層の密着性は向上するので、着色層の密着性に応じて凹凸の大きさを異ならせることでカラーフィルター層の密着性を適切に調整することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記第1の領域に形成された第1の凹部と、前記第2の領域に形成された第2の凹部とを含み、前記第1の凹部及び前記第2の凹部には前記凹凸が形成されており、前記カラーフィルター層は前記第1の凹部及び前記第2の凹部に形成されていてもよい。
この構成によれば、カラーフィルター層の一部が凹部に入り込んで抜けにくくなる。よって、カラーフィルター層の剥離を抑制することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記第1の凹部の深さと前記第2の凹部の深さとが互いに異なっていてもよい。
この構成によれば、カラーフィルター層には互いに深さの異なる凹部によるアンカー効果が付与される。したがって、カラーフィルター層の剥離を抑制することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記第1の着色層の厚さと前記第2の着色層の厚さとが互いに異なっていてもよい。
この構成によれば、カラーフィルター層の厚さを各色の着色層ごとに変化させることで、各色の着色層を各色の色再現性に適した厚さとすることができる。よって、最適な色バランスを有する有機エレクトロルミネッセンス装置が得られる。
また、前記第1の着色層の上面の高さと前記第2の着色層の上面の高さとが等しくてもよい。
この構成によれば、第1の着色層の上面の高さと同じ高さで第2の着色層が形成されている。よって、第2の着色層を形成しやすくなる。
また、前記カラーフィルター層の前記封止層と反対側の面は、平坦であってもよい。
この構成によれば、カラーフィルター層の上面が平坦に形成されている。よって、カラーフィルター層上に成膜しやすくなる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記封止層は無機材料からなり、前記カラーフィルター層は有機材料からなっていてもよい。
カラーフィルター層が透明保護層の平坦面に形成される場合において、封止層が無機材料からなり、カラーフィルター層が有機材料からなる(封止層の形成材料とカラーフィルター層の形成材料とが異なる)場合、封止層の形成材料とカラーフィルター層の形成材料とが同じ場合に比べて、封止層とカラーフィルター層との密着力が低下する。
これに対し、本発明の構成によれば、カラーフィルター層が封止層の凹凸上に形成されており、有機材料からなるカラーフィルター層の一部が無機材料からなる封止層の凹凸に入り込む。そのためアンカー効果(投錨効果)が生じ、カラーフィルター層の剥離を抑制することが容易となる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に有機発光層を形成する工程と、前記有機発光層上に第2電極を形成する工程と、 前記第2電極上に封止層を形成する工程と、前記封止層上にカラーフィルター層を形成する工程と、を含み、前記カラーフィルター層を形成する工程は、前記封止層上において、前記基板に垂直な方向から見たときに前記第1電極と重なる領域に、ドライエッチングを施して凹凸を形成する工程と、前記封止層の前記凹凸上に前記カラーフィルター層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
この製造方法によれば、カラーフィルター層を形成する工程の前に、封止層においてカラーフィルター層の形成領域にドライエッチングを施して凹凸を形成している。そのため、カラーフィルター層が封止層の凹凸上に形成され、カラーフィルター層の一部が封止層の凹凸に入り込んでくさびを打ち込んだような状態で抜けにくくなる、いわゆるアンカー効果(投錨効果)が生じる。よって、カラーフィルター層の剥離を抑制することが可能な有機エレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。また、ドライエッチングを用いることで、適切なスケールで凹凸を形成することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、第1の画素と、第2の画素とを含み、前記第1の画素及び前記第2の画素は前記第1電極を含み、前記カラーフィルター層は、第1の色を透過する第1の着色層と、第2の色を透過する第2の着色層とを含み、前記凹凸を形成する工程は、前記封止層上の前記第1の画素に対応する第1の領域に、第1のドライエッチングを施して第1の凹凸を形成する工程と、前記封止層上の前記第2の画素に対応する第2の領域に、第2のドライエッチングを施して前記第1の凹凸とは大きさの異なる第2の凹凸を形成する工程と、を含み、前記カラーフィルター層を形成する工程は、前記封止層の前記第1の領域に前記第1の着色層を形成する工程と、前記封止層の前記第2の領域に前記第2の着色層を形成する工程と、を含んでいてもよい。
この製造方法によれば、凹凸の深さが深いほど着色層の密着性は向上するので、着色層の密着性に応じて凹凸の大きさを異ならせることでカラーフィルター層の密着性を適切に調整することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記凹凸を形成する工程は、前記封止層上に、ドライエッチングを施して凹部を形成する工程と、前記封止層の前記凹部に前記凹凸を形成する工程と、を含んでいてもよい。
この製造方法によれば、カラーフィルター層の一部が凹部に入り込んで抜けにくくなる。よって、カラーフィルター層の剥離を抑制することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記凹部を形成する工程は、前記封止層上の前記第1の領域に、第1の凹部を形成する工程と、前記封止層上の前記第2の領域に、前記第1の凹部とは異なる深さの第2の凹部を形成する工程と、を含み、前記カラーフィルター層を形成する工程は、前記第1の凹部に前記第1の着色層を形成する工程と、前記第2の凹部に前記第2の着色層を形成する工程と、を含んでいてもよい。
この製造方法によれば、カラーフィルター層には互いに深さの異なる凹部によるアンカー効果が付与される。したがって、カラーフィルター層の剥離を抑制することができる。
また、前記有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第1の着色層の厚さと前記第2の着色層の厚さとは互いに異なり、前記凹部を形成する工程は、前記カラーフィルター層を形成する工程において前記第1の凹部に形成される前記第1の着色層の上面の高さと前記第2の凹部に形成される前記第2の着色層の上面の高さとが等しくなるように、前記第1の凹部の深さと前記第2の凹部の深さとを調整してもよい。
この製造方法によれば、第1の着色層の上面の高さと同じ高さで第2の着色層が形成される。よって、第2の着色層を形成しやすくなる。
本発明の電子機器は、前記有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器によれば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えているので、信頼性に優れた電子機器を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置を示す断面図である。 同、有機エレクトロルミネッセンス装置の要部断面図である。 同、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造工程についての説明図である。 図3に続く説明図である。 図4に続く説明図である。 図5に続く説明図である。 図6に続く説明図である。 図7に続く説明図である。 本発明の第2実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置を示す要部断面図である。 電子機器の一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造における縮尺や数等が異なっている。
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置1を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置1は、基板本体上に形成された図示しない各種配線、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと称する。)、及び各種回路によって発光層(有機発光層)を発光させる、TFTアレイ基板11を備えている。なお、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置1は、スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス方式のものであるが、これに限らず、単純マトリクス方式を採用した構成においても本発明を適用させることができる。
本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス装置1は、いわゆる「トップエミッション構造」の有機エレクトロルミネッセンス装置である。トップエミッション構造では、光を素子基板10側ではなく対向電極14側から取り出すため、素子基板10に配置された各種回路の大きさに影響されず、発光面積を広く確保できる効果がある。そのため、電圧及び電流を抑えつつ輝度を確保することが可能であり、発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)12の寿命を長く維持することができる。
有機エレクトロルミネッセンス装置1は、素子基板10と、素子基板10上の発光素子12の露出する部位全体を覆って形成された電極保護層17と、電極保護層17上に形成された有機緩衝層18と、電極保護層17上に有機緩衝層18の露出する部位全体を覆って形成されたガスバリア層19と、ガスバリア層19上に形成されたカラーフィルター層20と、を備えている。
なお、上記の電極保護層17、有機緩衝層18及びガスバリア層19に換えて、ポリシロキサン、ポリシラザンといった無機材料を塗布して形成した無機膜によって封止層を形成してもよい。また、有機エレクトロルミネッセンス装置1において、素子基板10の外周部に沿って配置された周辺シール層と、周辺シール層の内部に形成された充填層と、周辺シール層を介して素子基板10と貼り合わされた保護基板と、を備えていてもよい。
素子基板10は、TFTアレイ基板11と、画素電極13と対向電極14との間に有機発光層15を挟持した複数の発光素子12と、発光素子12(画素電極13)を区切る画素隔壁16と、を有している。複数の発光素子12の各々が、有機エレクトロルミネッセンス装置1の画素を構成する。
本実施形態において、画素電極13は、仕事関数が5eV以上の正孔注入効果が高い材料によって形成されたものである。このような材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物が用いられる。なお、本実施形態ではトップエミッション方式が採用されているため、画素電極13は透光性を備える必要がない。したがって、本実施形態では、前記ITOからなる透明導電層の下側に、Al等の光反射性金属層が形成されて積層構造とされ、この積層構造によって画素電極13が形成されている。
有機機能層15は、本実施形態では低分子系の有機エレクトロルミネッセンス材料からなる有機発光層を含んで形成されたものである。このような有機機能層15としては、例えば画素電極側から正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層が順次積層された構造が知られており、さらに正孔輸送層や電子輸送層を省略した構造や、正孔注入層と正孔輸送層との両方の機能を備えた正孔注入・輸送層を用いたり、電子注入層と電子輸送層との両方の機能を備えた電子注入・輸送層を用いた構造などが知られている。本発明では、このような構造のうち適宜な構造が選択され、形成されている。
また、有機機能層15の材料としては、それぞれ公知のものを用いることができる。
例えば、有機発光層の材料としては、本実施形態では白色発光する有機発光材料として、スチリルアミン系発光材料などが用いられる。
さらに、正孔注入層の材料としては、トリアリールアミン(ATP)多量体などが用いられ、正孔輸送層の材料としては、TDP(トリフェニルジアミン)系のものなどが用いられ、電子注入・輸送層の材料としては、アルミニウムキノリノール(Alq3)などが用いられる。
有機機能層15上には、該有機機能層15を覆って、対向電極14が形成されている。対向電極14を形成するための材料としては、本実施形態はトップエミッション構造であることから光透過性を有する材料である必要がある。対向電極14の形成材料としては、透明導電材料が用いられる。透明導電材料としては、ITOが好適とされるが、これ以外にも、例えば酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide:IZO/アイ・ゼット・オー(登録商標))等を用いることができる。なお、本実施形態では、対向電極14の形成材料として、ITOを用いる。
また、対向電極14は、電子注入効果の大きい(仕事関数が4eV以下)材料が好適に用いられる。例えば、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、リチウム金属、又はこれらの金属化合物である。金属化合物としては、フッ化カルシウム等の金属フッ化物や酸化リチウム等の金属酸化物、アセチルアセトナトカルシウム等の有機金属錯体が該当する。また、透明なITO、酸化錫などの金属酸化物導電層を積層することで電気抵抗の低減を行うことが好ましい。なお、本実施形態では、フッ化リチウムとマグネシウム−銀合金、ITOの積層体を、透明性が得られる膜厚に調整して用いるものとする。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置1では、前記の画素電極13と有機機能層15と対向電極14とにより、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成されている。すなわち、画素電極13と対向電極14との間に電圧が印加されると、画素電極13から正孔注入層に正孔が注入され、正孔輸送層を介して有機発光層に輸送される。また、対向電極14から電子注入層に電子が注入され、電子輸送層を介して有機発光層に輸送される。すると、有機発光層に輸送された正孔と電子とが再結合することにより、有機発光層が発光するようになっている。
有機発光層から画素電極側に射出した光は、前記した透明導電層を透過して光反射性金属層に反射され、再度有機発光層側に入射するようになっている。なお、対向電極14は半透過反射膜として機能するので、所定範囲の波長以外の光は光反射性金属層側に反射され対向電極14と光反射性金属層との間で往復する。このようにして、対向電極14と光反射性金属層との間の光学的距離に対応した共振波長の光だけが増幅されて取り出される。すなわち、対向電極14と光反射性金属層とを含んだこれらの間が共振器として機能するようになっており、発光輝度が高くしかもスペクトルがシャープな光を射出させることが可能になっている。ここで、前記光学的距離は、対向電極14と光反射性金属層との間に含まれる層の光学的距離の和によって求められ、各層の光学的距離は、その膜厚と屈折率との積によって求められる。
TFTアレイ基板11上には、発光素子12を保護する電極保護層17が形成されている。
電極保護層17は、透明性や密着性、耐水性、ガスバリア性を考慮して珪素酸窒化物などの珪素化合物で構成することが望ましい。
なお、本実施形態においては、電極保護層17を単層で形成しているが、複数層で積層してもよい。例えば、低弾性率の下層と高耐水性の上層とで電極保護層17を構成してもよい。
電極保護層17上には、発光素子12の形成領域を覆って有機緩衝層18が形成されている。
有機緩衝層18は、画素隔壁16の形状の影響により、凹凸状に形成された電極保
護層17の凹凸部分を埋めるように配置されている。有機緩衝層18の上面は略平坦に形成されている。有機緩衝層18は、TFTアレイ基板11の反りや体積膨張により発生する応力を緩和する機能を有する。また、有機緩衝層18の上面が略平坦化されるので、有機緩衝層18上に形成される硬い被膜からなる後述するガスバリア層19も平坦化される。したがって、応力が集中する部位がなくなり、これにより、ガスバリア層19でのクラックの発生が抑制される。さらに、画素隔壁16を被覆して凹凸が埋められることで、ガスバリア層19上に形成されるカラーフィルター層20の膜厚均一性を向上させることにも有効である。
有機緩衝層18は、硬化前の原料主成分としては、減圧真空下でスクリーン印刷法により形成するために、流動性に優れ、かつ溶媒や揮発成分の無い、全てが高分子骨格の原料となる有機化合物材料である必要があり、好ましくはエポキシ基を有する分子量3000以下のエポキシモノマー/オリゴマーが用いられる(モノマーの定義:分子量1000以下、オリゴマーの定義:分子量1000〜3000)。例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマーやビスフェノールF型エポキシオリゴマー、フェノールノボラック型エポキシオリゴマー、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキレートなどがあり、これらが単独もしくは複数組み合わされて用いられる。
また、エポキシモノマー/オリゴマーと反応する硬化剤としては、電気絶縁性や接着性に優れ、かつ硬度が高く強靭で耐熱性に優れる硬化被膜を形成するものが良く、透明性に優れ、かつ硬化のばらつきの少ない付加重合型がよい。例えば、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの酸無水物系硬化剤が好ましい。さらに、酸無水物の反応(開環)を促進する反応促進剤として1,6−ヘキサンジオールなど分子量が大きく揮発しにくいアルコール類を添加することで低温硬化しやすくなる。これらの硬化は60〜100℃の範囲の加熱で行われ、その硬化被膜はエステル結合を持つ高分子となる。さらに、酸無水の開環を促進する硬化促進剤として、芳香続アミンやアルコール類やアミノフェノールなどのアミン化合物を微量添加することで、低温硬化しやすくなる。
有機緩衝層18上には、有機緩衝層18を被覆し、かつ電極保護層17の終端部まで覆うような広い範囲で、ガスバリア層19が形成されている。
ガスバリア層19は、酸素や水分が浸入するのを抑制するためのもので、これにより酸素や水分による発光素子12の劣化等を抑えることができる。ガスバリア層19は、透明性、ガスバリア性、耐水性を考慮して、好ましくは窒素を含む珪素化合物、すなわち珪素窒化物や珪素酸窒化物などによって形成される。
また、本実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス装置1をトップエミッション構造としていることから、ガスバリア層19は光透過性を有する必要がある。したがってガスバリア層19の材質や膜厚を適宜に調整することにより、本実施形態では可視光領域における光線透過率を例えば80%以上にしている。
ガスバリア層19の有機緩衝層18と反対側の面(表面)には、基板11に垂直な方向から見たときに画素電極13と重なる領域に、凹凸を有する凹凸面19Sが形成されている。ここで、「凹凸」とは、光の波長に影響を与えない程度(光を散乱させない程度)のナノレベルの大きさ(例えば1以上10nm以下)の微細な凹凸を意味する。例えば、ガスバリア層19の表面に微細な凹凸が付されているか否かについては、透過電子顕微鏡(TEM)等を用いて確認することができる。
ガスバリア層19の表面には、基板11に垂直な方向から見たときに画素電極13と重なる領域に、各々の画素に対応して、凹凸面19Sを底部に有する凹部19Tが形成されている。凹部19Tは、第1の凹部19T1と、当該第1の凹部19T1よりも大きい深さの第2の凹部19T2と、当該第2の凹部19T2よりも大きい深さの第3の凹部19T3と、を有している。ガスバリア層19には、第1の凹部19T1と第2の凹部19T2と第3の凹部19T3とがこの順に隣り合うように形成されている。
ガスバリア層19において凹部19Tが形成されていない部分の厚さは、例えば400nm〜800nmの範囲になっている。ここで、「ガスバリア層19において凹部19Tが形成されていない部分の厚さ」とは、素子基板10の上面に対して直交する方向におけるガスバリア層19において凹部19Tが形成されていない部分の長さ(ガスバリア層19において凹部19Tが形成されていない部分の下面と上面との間の距離)である。
ガスバリア層19において凹部19Tが形成されている部分の厚さは、例えば200nm程度になっている。ここで、「ガスバリア層19において凹部19Tが形成されている部分の厚さ」とは、素子基板10の上面に対して直交する方向におけるガスバリア層19において凹部19Tが形成されている部分の長さ(ガスバリア層19において凹部19Tが形成されている部分の下面と凹部19Tの底部との間の距離)である。なお、凹部19Tの底部は、図2(b)に示すように、凹凸面19Sの凹面とする。
ガスバリア層19において凹部19Tが形成されたとしても、ガスバリア層19において凹部19Tが形成されている部分の厚さが少なくとも200nm程度確保されていれば、ガスバリア性等の機能が保たれる。
ガスバリア層19の凹凸面19Sには、カラーフィルター層20が形成されている。カラーフィルター層20は、着色層として、赤色画素に対応して形成された赤色着色層20Rと、緑色画素に対応して形成され、当該赤色着色層20Rよりも厚さの大きい緑色着色層20Gと、青色画素に対応して形成され、当該緑色着色層20Gよりも厚さの大きい青色着色層20Bと、を有している。赤色着色層20R、緑色着色層20G、青色着色層20Bは、この順に隣り合うように配列形成されている。
赤色着色層20Rは、ガスバリア層19の第1の凹部19T1に形成されている。緑色着色層20Gは、ガスバリア層19の第2の凹部19T2に形成されている。青色着色層20Bは、ガスバリア層19の第3の凹部19T3に形成されている。
各着色層20R,20G,20Bは、透明バインダー層に顔料または染料が混合された材料で構成されている。各着色層20R,20G,20Bの幅は10μm程度であり、発光素子12の画素電極13と同じ幅に各層調整されている。各着色層20R,20G,20Bの膜厚は、発光素子12から発せられる光を着色するために所定の厚さが必要とされ、例えば1.2μm〜1.5μmの範囲となっている。各着色層20R,20G,20Bの膜厚は、ホワイトバランスを考慮して各色毎に調整されている。各着色層20R,20G,20Bにより、発光層15の発光光が、着色層20R,20G,20Bの各々を透過し、赤色光、緑色光、青色光の各色光として観察者側に射出するようになっている。このように、有機エレクトロルミネッセンス装置1においては、発光層15の発光光を利用し、かつ、複数色の着色層20R,20G,20Bによってカラー表示を行うようになっている。
図2(a)は、本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置1の要部断面図である。図2(b)は、本実施形態に係るガスバリア層19に形成された凹部19Tのうち第1の凹部19T1の拡大図である。
なお、図2(a)、(b)において、符号DRは赤色着色層20Rの厚さであり、符号DGは緑色着色層20Gの厚さであり、符号DBは青色着色層20Bの厚さであり、符号TRは赤色着色層20Rの高さであり、符号TGは緑色着色層20Gの高さであり、符号TBは青色着色層20Bの厚さである。
ここで、「着色層の厚さ」とは、素子基板10の上面に対して直交する方向における着色層の長さ(着色層の下面と上面との間の距離)である。なお、着色層の下面は、図2(b)に示すように、凹凸面19Sの凹面とする。
「着色層の上面の高さ」とは、素子基板10の上面に対して直交する方向における着色層の上面の高さ(有機緩衝層18の上面と着色層の上面との間の距離)である。
図2(a)に示すように、カラーフィルター層20は、着色層として、赤色着色層20Rと、当該赤色着色層20Rよりも厚さの大きい緑色着色層20Gと、当該緑色着色層20Gよりも厚さの大きい青色着色層20Bと、を有している。
本実施形態において、赤色着色層20Rは、下部がガスバリア層19の第1の凹部19T1に入り込んだ状態で形成されている。緑色着色層20Gは、下部がガスバリア層19の第2の凹部19T2に入り込んだ状態で形成されている。青色着色層20Bは、下部がガスバリア層19の第3の凹部19T3に入り込んだ状態で形成されている。
本実施形態において、発光素子12は、平面視において各着色層20R,20G,20Bと重なるように配置されている。発光素子12は、平面視において各着色層20R,20G,20Bの境界部とは重ならないように配置されている。
本実施形態においては、第1の凹部19T1の深さよりも第2の凹部19T2の深さのほうが大きくなっており、第2の凹部19T2の深さよりも第3の凹部19T3のほうが大きくなっている。ここで、「凹部の深さ」とは、素子基板10の上面に対して直交する方向における凹部の長さ(凹凸面19Sの凹面とガスバリア層19の上面との間の距離)である。
赤色着色層20Rの厚さDRよりも緑色着色層20Gの厚さDGのほうが大きくなっており、緑色着色層20Gの厚さDGよりも青色着色層20Bの厚さDBのほうが大きくなっている。赤色着色層20Rの上面の高さTRと、緑色着色層20Gの上面の高さTGと、青色着色層20Bの上面の高さTBとが、互いに等しくなっている。
すなわち、各着色層20R,20G,20Bの厚さDR,DG,DBに対応して各凹部19T1,19T2,19T3の深さが調整されており、各着色層20R,20G,20Bの上面の高さTR,TG,TBが互いに等しくされている。
なお、本実施形態においては、各着色層20R,20G,20Bの厚さの関係が、赤色着色層20Rの厚さDR<緑色着色層20Gの厚さDG<青色着色層20Bの厚さDBとなっている例を示しているが、これに限らず、着色層ごとに所望の厚さとすることができる。
図1に戻り、カラーフィルター層20の下層には、発光層15がTFTアレイ基板11の全面に形成され、また、発光層15が絶縁性を有する画素隔壁16に区分され、複数の発光素子12として構成している。そのため、画素電極13と対向位置にある発光層15は発光領域となり、画素隔壁16と対向位置にある発光層15は、非発光領域となる。したがって、ガスバリア層19の表面に形成されたカラーフィルター層20においては、発光素子12と対向位置にある着色層20R,20G,20Bのみから発光光を取り出せるようになっている。
なお、各着色層20R,20G,20Bの配列は任意でよく、例えば各着色層20R,20G,20Bをストライプ状に形成してカラーフィルター層20を構成してもよいし、各着色層20R,20G,20Bをモザイク状に形成してカラーフィルター層20を形成してもよい。さらに、着色層20R,20G,20BのR,G,Bの基本色の他に、目的に応じてライトブルーやライトシアン等を加えても良い。
(有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法)
次に、図3〜図8を参照して本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス装置1の製造方法を説明する。図3〜図8は、有機エレクトロルミネッセンス装置1の製造工程についての説明図である。
まず、図3(a)に示すように、素子基板10上に電極保護層17、有機緩衝層18及びガスバリア層19が形成された、カラーフィルター層20が形成される土台を用意する。
当該土台の形成方法とは、まず、電極保護層17を素子基板10上の発光素子12の露出する部位全体を覆って形成する。
具体的には、電極保護層17については、窒素を含む珪素化合物、すなわち珪素窒化物や珪素酸窒化物などを、ECRスパッタ法やイオンプレーティング法等の高密度プラズマ成膜法により成膜する。なお、透明無機材料としてのSiO などの無機酸化物やLiFやMgF等のアルカリハライドを、真空蒸着法や高密度プラズマ成膜法により積層してもよい。なお、透明無機材料としてのSiO などの無機酸化物やLiFやMgF等のアルカリハライドを、真空蒸着法や高密度プラズマ成膜法により積層してもよい。
次に、有機緩衝層18を電極保護層17上に形成する。
具体的には、減圧雰囲気下でスクリーン印刷を行った有機緩衝層18を、60〜100℃の範囲で加熱して硬化させる。
次に、ガスバリア層19を有機緩衝層18上に形成する。
具体的には、ECRスパッタ法やイオンプレーティング法などの高密度プラズマ成膜法で形成する。また、形成前には、酸素プラズマ処理によって密着性を向上させると信頼性が向上する。
次に、ガスバリア層19の上面に凹凸を有する凹凸面19Sを形成する。
具体的には、ドライエッチング(アッシング)を施して、ガスバリア層19の上面に凹凸面19Sを形成する。
ところで、上面が平坦な透明保護層上にカラーフィルター層が形成された構成がある。有機エレクトロルミネッセンス装置の高精細化が進むに従って画素サイズが小さくなり、カラーフィルター層は透明保護層に対して所定の密着力が必要とされる。しかしながら、透明保護層の上面が平坦な場合、透明保護層とカラーフィルター層との密着力が低下し、カラーフィルター層が透明保護層から剥がれてしまう惧れがある。
そこで、本発明においては、アッシングを用いてガスバリア層19の上面を荒らして凹凸を有する凹凸面19Sを形成し、当該ガスバリア層19の凹凸面19Sにカラーフィルター層20を形成している。
具体的には、図3(b)に示すように、ガスバリア層19の上面に、保護レジスト21を塗布する。
次に、図3(c)に示すように、フォトマスク21Mを介して、保護レジスト21を露光してUV硬化させ、不溶化させる。
次に、図3(d)に示すように、現像液により保護レジスト21の不要な部分を除去した後、残った保護レジスト21をベークにて硬化させる。これにより、ガスバリア層19の上面に、開口部21Tを有する保護レジスト21が形成される。
次に、図4(a)に示すように、ガスバリア層19の上面に保護レジスト21の上方からアッシングを施す。これにより、ガスバリア層19においては保護レジスト21の開口部21Tから露出した部分のみにアッシングが施される。
ここで、「アッシング」とは、ガスを高周波等でプラズマ化し、そのプラズマを利用してガスバリア層の表面を剥離すること(プラズマアッシング)を意味する。ガスを可視光線、マイクロ波等の非電離放射線でプラズマ化し、フォトレジストをプラズマ中に置くと、フォトレジストがプラズマ中のラジカルと結合して蒸発し剥離される。
なお、アッシングは反応性ガスエッチングを用いてもよいし、必要な量を掘れない場合には反応性イオンエッチングを用いてもよい。また、使用するガスとしては酸素が好ましい。反応性イオンエッチングにおいて、エッチング対象がSiO等のシリコン系材料である場合には、CFやSF等を酸素と併せて用いてもよい。
次に、現像液により保護レジスト21を除去する。これにより、図4(b)に示すように、ガスバリア層19の上面に第1の凹部19T1が形成される。第1の凹部19T1の底部には第1の凹凸面19S1が形成される。
次に、フォトリソグラフィー法を用いて赤色着色層20Rを形成する。具体的には、図4(c)に示すように、ガスバリア層19の上面に、赤色着色層用のカラーレジスト20REを塗布する。
次に、赤色着色層用のフォトマスク30Rを介して、カラーレジスト20REを露光してUV硬化させ、不溶化させる。
次に、図4(d)に示すように、現像液によりカラーレジスト20REの不要な部分を除去した後、残ったカラーレジスト20REをベークにて硬化させる。これにより、ガスバリア層19の第1の凹凸面19S1に、赤色着色層20Rが形成される。
次に、ガスバリア層19の上面に、赤色着色層20Rと隣り合う位置に緑色着色層20Gを形成する。
具体的には、図5(a)に示すように、ガスバリア層19上の赤色着色層20Rを覆うように、保護レジスト22を塗布する。
次に、図5(b)に示すように、フォトマスク22Mを介して、保護レジスト22を露光してUV硬化させ、不溶化させる。
次に、図5(c)に示すように、現像液により保護レジスト22の不要な部分を除去した後、残った保護レジスト22をベークにて硬化させる。これにより、ガスバリア層19上の赤色着色層20Rを覆って、開口部22Tを有する保護レジスト22が形成される。
次に、図5(d)に示すように、ガスバリア層19の上面に保護レジスト22の上方からアッシングを施す。これにより、ガスバリア層19においては保護レジスト22の開口部22Tから露出した部分のみにアッシングが施される。
ここで、アッシングの処理条件(例えばアッシングの強度、処理時間)を調整して凹部の掘り込み量を調整する。本実施形態では、第2の凹部19T2に形成される緑色着色層20Gの高さが、第1の凹部19T1に形成された赤色着色層20Rの高さと等しくなるように調整する。例えば、アッシングの処理条件を調整して、赤色着色層20Rの厚さに対して緑色着色層20Gの厚さが大きい分(DG−DR)だけ、第1の凹部19T1の深さよりも第2の凹部19T2の深さのほうが大きくなるようにする。
次に、現像液により保護レジスト22を除去する。これにより、図6(a)に示すように、ガスバリア層19の上面の第1の凹部19T1の隣り合う位置に第2の凹部19T2が形成される。第2の凹部19T2の底部には第2の凹凸面19S2が形成される。
次に、フォトリソグラフィー法を用いて緑色着色層20Gを形成する。具体的には、図6(b)に示すように、ガスバリア層19の上面に、緑色着色層用のカラーレジスト20GEを塗布する。
赤色着色層20Rを隔壁として、緑色着色層20用のカラーレジスト20GEを塗布する。本実施形態においては、緑色着色層20用のカラーレジスト20GEの上面の高さを、赤色着色層20Rの高さと一致させる。
次に、緑色着色層用のフォトマスク30Gを介して、カラーレジスト20GEを露光してUV硬化させ、不溶化させる。
次に、図6(c)に示すように、現像液によりカラーレジスト20GEの不要な部分を除去した後、残ったカラーレジスト20GEをベークにて硬化させる。これにより、ガスバリア層19の第2の凹凸面19S2に、緑色着色層20Gが形成される。上述したアッシングの処理条件の調整により、緑色着色層20Gの高さは、赤色着色層20Rの高さと一致する。
次に、ガスバリア層19の上面に、緑色着色層20Gと隣り合う位置に青色着色層20Bを形成する。
具体的には、図6(d)に示すように、ガスバリア層19上の赤色着色層20R及び緑色着色層20Gを覆うように、保護レジスト23を塗布する。
次に、図7(a)に示すように、フォトマスク23Mを介して、保護レジスト23を露光してUV硬化させ、不溶化させる。
次に、図7(b)に示すように、現像液により保護レジスト23の不要な部分を除去した後、残った保護レジスト23をベークにて硬化させる。これにより、ガスバリア層19上の赤色着色層20R及び緑色着色層20Gを覆って、開口部23Tを有する保護レジスト23が形成される。
次に、図7(c)に示すように、ガスバリア層19の上面に保護レジスト23の上方からアッシングを施す。これにより、ガスバリア層19においては保護レジスト23の開口部23Tから露出した部分のみにアッシングが施される。
ここで、アッシングの処理条件(例えばアッシングの強度、処理時間)を調整して凹部の掘り込み量を調整する。本実施形態では、第3の凹部19T3に形成される青色着色層20Bの高さが、第1の凹部19T1に形成された赤色着色層20Rの高さ及び第2の凹部19T2に形成された緑色着色層20Gの高さの双方の着色層の上面の高さと等しくなるように調整する。例えば、アッシングの処理条件を調整して、緑色着色層20Gの厚さに対して青色着色層20Bの厚さが大きい分(DB−DG)だけ、第2の凹部19T2の深さよりも第3の凹部19T3の深さのほうが大きくなるようにする。
次に、現像液により保護レジスト23を除去する。これにより、図7(d)に示すように、ガスバリア層19の上面の第2の凹部19T2の隣り合う位置に第3の凹部19T3が形成される。第3の凹部19T3の底部には第3の凹凸面19S3が形成される。
次に、フォトリソグラフィー法を用いて青色着色層20Bを形成する。具体的には、図8(a)に示すように、ガスバリア層19の上面に、青色着色層用のカラーレジスト20BEを塗布する。
具体的には、赤色着色層20R及び緑色着色層20Gの双方の着色層を隔壁として、青色着色層用のカラーレジスト20BEを塗布する。本実施形態においては、青色着色層用のカラーレジスト20BEの上面の高さを、赤色着色層20Rの高さ(緑色着色層20Gの高さ)と一致させる。
次に、青色着色層用のフォトマスク30Bを介して、カラーレジスト20BEを露光してUV硬化させ、不溶化させる。
次に、図8(b)に示すように、現像液によりカラーレジスト20BEの不要な部分を除去した後、残ったカラーレジスト20BEをベークにて硬化させる。これにより、ガスバリア層19の第3の凹凸面19S3に、青色着色層20Bが形成される。上述したアッシングの処理条件の調整により、青色着色層20Bの高さは、赤色着色層20Rの高さ及び緑色着色層20Gの高さの双方の着色層の上面の高さと一致する。
これにより、ガスバリア層19の上面の凹凸面19Sにカラーフィルター層20が形成される。
以上の工程を経ることにより、前述した本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス装置1を得ることができる。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置1及び有機エレクトロルミネッセンス装置1の製造方法によれば、カラーフィルター層20がガスバリア層19の凹凸面19Sに形成されているため、カラーフィルター層20の一部がガスバリア層19の凹凸に入り込んでくさびを打ち込んだような状態で抜けにくくなる、いわゆるアンカー効果(投錨効果)が生じる。よって、カラーフィルター層20の剥離を抑制することができる。また、ドライエッチングを用いることで、ガスバリア層19の表面に適切なスケールで凹凸を形成することができる。
また、カラーフィルター層20の一部が凹部19Tに入り込んで抜けにくくなる。よって、カラーフィルター層20の剥離を抑制することができる。
また、カラーフィルター層20には互いに深さの異なる凹部によるアンカー効果が付与される。したがって、カラーフィルター層20の剥離を抑制することができる。
また、カラーフィルター層20の厚さを各色の着色層20R,20G,20Bごとに変化させることで、各色の着色層20R,20G,20Bを各色の色再現性に適した厚さとすることができる。よって、最適な色バランスを実現することができる。
また、赤色着色層20Rの上面の高さTR及び緑色着色層20Gの上面の高さTGと青色着色層20Bの上面の高さTBとが互いに等しくなっている。よって、青色着色層20Bを形成しやすくなる。なお、本明細書において、「着色層の上面の高さが互いに等しい」とは、製造プロセス上生じる誤差を含む。
また、カラーフィルター層20の上面が平坦に形成されているので、カラーフィルター層20上に成膜しやすくなる。
カラーフィルター層がガスバリア層の平坦面に形成される場合において、ガスバリア層が無機材料からなり、カラーフィルター層が有機材料からなる(ガスバリア層の形成材料とカラーフィルター層の形成材料とが異なる)場合、ガスバリア層の形成材料とカラーフィルター層の形成材料とが同じ場合に比べて、ガスバリア層とカラーフィルター層との密着力が低下する。
これに対し、本実施形態の構成によれば、カラーフィルター層20がガスバリア層19の凹凸面19Sに形成されており、かつ、ガスバリア層19が無機材料からなり、カラーフィルター層20が有機材料からなるため、有機材料からなるカラーフィルター層20の一部が無機材料からなるガスバリア層19の凹凸に入り込みやすくなる。そのためアンカー効果(投錨効果)が生じやすくなる。よって、カラーフィルター層20の剥離を抑制することが容易となる。
なお、本実施形態においては、トップエミッション構造の有機エレクトロルミネッセンス装置1を例に挙げて説明したが、これに限らず、ボトムエミッション構造の有機エレクトロルミネッセンス装置においても本発明を適用可能である。例えば、ボトムエミッション構造の有機エレクトロルミネッセンス装置は、素子基板の有機エレクトロルミネッセンス素子が形成された側とは反対側に、カラーフィルター層が形成される。
本実施形態においては、ガスバリア層19の上面に凹部19Tが形成されている構成を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ガスバリア層19の上面に凹部19Tが形成されていない構成であってもよい。ガスバリア層19の上面に、凹凸面19Sが形成されている構成であればよい。
(第2実施形態)
図9は、図2に対応した、本発明の第2実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置2を示す断面図である。図9(a)は、本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置2の要部断面図である。図9(b)は、本実施形態に係るガスバリア層29に形成された凹部29Tの拡大図である。
図9(a)、(b)に示すように、本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置2は、ガスバリア層29に互いに異なる大きさの凹凸を有する凹凸面29S1,29S2,29S3が形成されている点で上述の第1実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置1と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図9(a)に示すように、有機エレクトロルミネッセンス装置2は、素子基板10と、素子基板10上の発光素子12の露出する部位全体を覆って形成された電極保護層17と、電極保護層17上に形成された有機緩衝層18と、電極保護層17上に有機緩衝層18の露出する部位全体を覆って形成されたガスバリア層29と、ガスバリア層29上に形成されたカラーフィルター層20と、を備えている。
本実施形態において、ガスバリア層29の有機緩衝層18と反対側の面(表面)には、基板11に垂直な方向から見たときに画素電極13と重なる領域に、凹凸を有する凹凸面29Sが形成されている。
ガスバリア層29の表面には、基板11に垂直な方向から見たときに画素電極13と重なる領域に、凹凸面29Sを底部に有する凹部29Tが形成されている。凹部29Tは、第1の凹部29T1と、当該第1の凹部29T1よりも大きい深さの第2の凹部29T2と、当該第2の凹部29T2よりも大きい深さの第3の凹部29T3と、を有している。ガスバリア層29には、第1の凹部29T1と第2の凹部29T2と第3の凹部29T3とがこの順に隣り合うように形成されている。
ガスバリア層29の凹凸面29Sには、カラーフィルター層20が形成されている。赤色着色層20Rは、ガスバリア層29の第1の凹部29T1に形成されている。緑色着色層20Gは、ガスバリア層29の第2の凹部29T2に形成されている。青色着色層20Bは、ガスバリア層29の第3の凹部29T3に形成されている。
本実施形態において、赤色着色層20Rは、下部がガスバリア層29の第1の凹部29T1に入り込んだ状態で形成されている。緑色着色層20Gは、下部がガスバリア層29の第2の凹部29T2に入り込んだ状態で形成されている。青色着色層20Bは、下部がガスバリア層29の第3の凹部29T3に入り込んだ状態で形成されている。
なお、本実施形態においては、赤色着色層20Rの色材料よりも緑色着色層20Gの色材料のほうがガスバリア層29に対する密着力の強い色材料からなっている。また、緑色着色層20Gの色材料よりも青色着色層20Bの色材料のほうがガスバリア層29に対する密着性が高い色材料からなっている。
本実施形態においては、第1の凹凸面29S1の凹凸の大きさよりも第2の凹凸面29S2の凹凸の大きさほうが小さくなっている。第2の凹凸面29S2の凹凸の大きさよりも第3の凹凸面29S3の凹凸の大きさのほうが小さくなっている。本実施形態においては、凹凸面毎に凹凸の大きさが異なっている。なお、本明細書において「凹凸の大きさが異なる」とは、ガスバリア層29上に形成された凹凸の、平均の深さが異なることを言う。
次に、図9(b)を参照して本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス装置2の製造方法を説明する。
なお、ガスバリア層の上面に、アッシングを施す際の処理条件以外は、上述した第1実施形態における有機エレクトロルミネッセンス装置1の製造方法(図3(a)〜図8(b))と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図9(b)に示すように、アッシングの処理条件(例えばアッシングの強度、処理時間)を調整して凹部に形成される凹凸の大きさを調整する。例えば、アッシングの処理条件を調整して、第1の凹部29T1に形成される凹凸の大きさよりも第2の凹部29T2に形成される凹凸の大きさの方が小さくなるようにする。また、第2の凹部29T2に形成される凹凸の大きさよりも第3の凹部29T3に形成される凹凸の大きさの方が小さくなるようにする。
以下、ガスバリア層29の上面の凹凸面29Sにカラーフィルター層20を形成する工程、を経ることより、前述した本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス装置2(図9(a)参照)を得ることができる。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置2及び有機エレクトロルミネッセンス装置2の製造方法によれば、凹凸の深さが深いほど着色層の密着性は向上するので、着色層の密着性に応じて凹凸の大きさを異ならせることでカラーフィルター層20の密着性を適切に調整することができる。
(電子機器)
次に、前記実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた電子機器の例について説明する。
図10(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた表示部を示している。
図10(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた表示部を示している。
図10(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図10(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理本体、符号1206は有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた表示部を示している。
図10(a)〜(c)に示す電子機器は、先の実施形態に示した有機エレクトロルミネッセンス装置が備えられたものであるので、表示特性が良好な信頼性に優れた電子機器となる。
なお、電子機器としては、上記以外にも、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、テレビ、ビューファインダー型またはモニター直視型のビデオテープレコーダー、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネル、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などを挙げることができる。
1,2…有機エレクトロルミネッセンス装置、10…素子基板、12…発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)、15…発光層(有機発光層)、19…ガスバリア層(封止層)、19S…凹凸面、19S1…第1の凹凸面、19S2…第2の凹凸面、19S3…第3の凹凸面、19T…凹部、19T1…第1の凹部、19T2…第2の凹部、19T3…第3の凹部、20…カラーフィルター層、20R…赤色着色層、20G…緑色着色層、20B…青色着色層、1000…携帯電話(電子機器)、1100…腕時計型電子機器(電子機器)、1200…携帯型情報処理装置(電子機器)、DR…赤色着色層の厚さ、DG…緑色着色層の厚さ、DB…青色着色層の厚さ、TR…赤色着色層の上面の高さ、TG…緑色着色層の上面の高さ、TB…青色着色層の上面の高さ

Claims (11)

  1. 基板と、
    前記基板上の第1領域に設けられた第1電極と、
    前記基板上の第2領域に設けられた第2電極と、
    前記第1電極及び前記第2電極の前記基板とは反対側に形成された有機発光層と、
    前記有機発光層を挟んで前記第1電極及び前記第2電極と対向して形成された第電極と、
    前記第電極の前記有機発光層とは反対側に形成された封止層と、
    前記封止層の前記第3電極と反対側の面における、前記基板に垂直な方向から見たときに前記第1電極と重なる領域に形成された第1の凹凸と、
    前記封止層の前記第3電極と反対側の面における、前記基板に垂直な方向から見たときに前記第2電極と重なる領域に形成された第2の凹凸と、
    前記第1の凹凸上に形成されるとともに、第1の色を透過する第1の着色層と、前記第2の凹凸上に形成されるとともに、第2の色を透過する第2の着色層と、を有するカラーフィルター層と、
    を含み、
    前記第1の凹凸と前記第2の凹凸との大きさが互いに異なることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記第1の領域に形成された第1の凹部と、前記第2の領域に形成された第2の凹部とを含み、
    前記第1の凹部には前記第1の凹凸が形成されており、
    前記第2の凹部には、前記第2の凹凸が形成されており、
    前記第1の着色層は前記第1の凹部に形成されており、
    前記第2の着色層は前記第2の凹部に形成されていることを特徴とする、請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記第1の凹部の深さと前記第2の凹部の深さとが互いに異なることを特徴とする、請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記第1の着色層の厚さと前記第2の着色層の厚さとが互いに異なることを特徴とする、請求項ないし3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記第1の着色層の上面の高さと前記第2の着色層の上面の高さとが等しいことを特徴とする、請求項ないし4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 前記カラーフィルター層の前記封止層と反対側の面は、平坦であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  7. 前記封止層は無機材料からなり、前記カラーフィルター層は有機材料からなることを特徴とする、請求項1ないしのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  8. 基板上の第1領域に第1電極を形成する工程と、
    基板上の第2領域に第2電極を形成する工程と、
    前記第1電極及び第2電極上に有機発光層を形成する工程と、
    前記有機発光層上に第電極を形成する工程と、
    前記第2電極上に封止層を形成する工程と、
    前記封止層に対して第1のドライエッチングを施して、前記基板に垂直な方向から見たときに前記第1電極と重なる領域に、第1の凹凸を形成する工程と、
    前記封止層に対して第2のドライエッチングを施して、前記基板に垂直な方向から見たときに前記第2電極と重なる領域に、前記第1の凹凸とは大きさの異なる第2の凹凸を形成する工程と、
    前記第1の凹凸上に第1の着色層を形成する工程と、
    前記第2の凹凸上に第2の着色層を形成する工程と、を含むことを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  9. 前記第1の凹凸を形成する工程において、前記封止層上の前記第1の領域に、第1の凹部を形成し、
    前記第2の凹凸を形成する工程において、前記封止層上の前記第2の領域に、前記第1の凹部とは異なる深さの第2の凹部を形成し、
    前記第1の着色層を形成する工程において、前記第1の凹部に前記第1の着色層を形成し、
    前記第2の着色層を形成する工程において、前記第2の凹部に前記第2の着色層を形成することを特徴とする、請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  10. 前記第1の着色層の厚さと前記第2の着色層の厚さとは互いに異なり、
    前記第1の凹部に形成される前記第1の着色層の上面の高さと前記第2の凹部に形成される前記第2の着色層の上面の高さとが等しくなるように、前記第1の凹凸及び前記第2の凹凸を形成する工程において、前記第1の凹部の深さと前記第2の凹部の深さとを調整することを特徴とする、請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  11. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする、電子機器。
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