JP2010267543A - 有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】耐屈曲性が高く耐久性を向上させた封止層を備え、高い信頼性を実現した有機EL装置を提供する。
【解決手段】素子基板20Aと、素子基板20Aに設けられた陽極10と、該陽極10に対向する陰極11との間に発光層12を挟持し、素子基板20A上に配置された複数の発光素子21と、複数の発光素子21の表面全面を覆って設けられた電極保護層17と、を備え、電極保護層17は、六方晶構造の結晶構造を含む窒化ホウ素を形成材料とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器に関するものである。
情報機器の多様化等に伴い、消費電力が少なく軽量化された平面表示装置のニーズが高まっている。この様な平面表示装置の一つとして、有機発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置(以下「有機EL装置」という)が知られている。
有機EL装置は、有機材料を含む材料で形成された発光素子を備えている。この発光素子は基本的な構成として、陽極と陰極との間に有機発光層(発光層)が挟持される構成となっている。更にこれらの基本構成に加えて、発光素子には、陽極からの正孔注入をより容易に行うために陽極と発光層との間に配置される正孔注入層や、陰極からの電子注入をより容易に行うために陰極と発光層との間に配置される電子注入層など、様々な機能を担う機能層が付加され、これらの機能層の効果により高い輝度や高い発光効率を実現している構成のものが多い。
これら発光層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成に用いられる材料は、大気中の水分や酸素と容易に反応し劣化するものが多い。これらの層が劣化すると、有機EL装置に、いわゆる「ダークスポット」と呼ばれる非発光領域が形成されてしまい、発光素子としての性能が低下する。そのため有機EL装置においては、水分や酸素等の浸入を防ぐために、防湿性に優れた薄膜や絶縁層などの封止層で発光素子を封止する構造が提案されている(たとえば特許文献1から3参照)。
特開平7−169567号公報 特開2000−348859号公報 特開2006−185719号公報
上述した封止層では、透明で透湿性の低い無機化合物を形成材料とする層(無機化合物層)を用いて外部雰囲気からの水分浸入を遮断している。ところが、このような無機化合物層は高密度、高ヤング率、高膜応力を備えているため脆く破損しやすいという課題がある。封止層が覆う有機発光素子の周辺には、発光素子間に設けられた画素隔壁や、発光素子に接続された配線、などに起因する凹凸形状が形成されており、無機化合物層はこのような凹凸部で特に破損しやすい。
無機化合物層の破損を抑制する方法としては、層厚を制御することが考えられる。しかし、無機化合物層を厚膜化して破損を防ごうとすると、成膜時の残留応力が大きくなって反りやクラックの原因となりやすく、かえって性能を低下させるおそれがある。一方で、無機化合物層を薄膜化して封止層に柔軟性を与えると、残留応力を開放することができ残留応力に起因する破損を抑制することができるが、微細な異物混入による封止層のピンホールが発生しやすくなる、封止層の強度が不足する、といった理由のために、やはり破損しやすくなる。また、フレキシブルディスプレイのようにパネル自体を屈曲しやすくすると、破損の確立は非常に大きくなる。
ひとたび封止層が破損すると、破損部分から連続して水分が浸入し、発光素子が劣化し続けることになる。すると、封止層の破損部分にダークスポットが発生するのみならず、破損部分を中心としてダークスポットが成長し、非発光部分を周囲に広げてしまうため、製品寿命が著しく短くなってしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、封止層の形成材料として好適な材料を用いることにより、耐屈曲性が高く耐久性を向上させた封止層を備え、高い信頼性を実現した有機EL装置を提供することを目的とする。更に、このような有機EL装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、基板と、前記基板に設けられた陽極と、該陽極に対向する陰極との間に有機発光層を挟持し、前記基板上に配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子の表面全面を覆って設けられた封止層と、を備え、前記封止層は、六方晶構造の結晶構造を含む窒化ホウ素を形成材料とする層を有することを特徴とする。
六方晶構造の結晶構造を有する窒化ホウ素は、ファンデルワールス力で弱く結合した複数の層が積層した結晶構造を有している。このような結晶構造の窒化ホウ素で形成された層に応力が加わると、結晶内においてファンデルワールス力で結ばれた層間で滑り、層の面方向に応力を分散させる。そのため、六方晶構造の結晶構造を有する窒化ホウ素で形成された層は屈曲性に優れた層となる。また、窒化ホウ素はバンドギャップが広いため透明性に優れるとともに、積層構造を形成する各層では、ホウ素−窒素の共有結合が網目状に形成されているためガスバリアー性が高い。したがって、良好な耐屈曲性、透明性、ガスバリアー性を有し、信頼性が高い有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することができる。
本発明においては、前記封止層は、前記複数の発光素子の表面全面を覆って形成され、前記複数の発光素子の周辺で前記基板と当接する電極保護層を有し、前記電極保護層は、前記陰極に接して該陰極の全面を覆って設けられた、六方晶構造の結晶構造を含む窒化ホウ素を形成材料とする第1無機層を有することが望ましい。
この構成によれば、電極保護層の形成面が有する凹凸や、電極保護層の下層の構成が熱膨張する際の膨張率の差に起因する電極保護層の破損を抑制して、良好に発光素子への水分や酸素の侵入を防止し、良好な封止が可能となる。例えば、有機エレクトロルミネッセンス装置が複数の発光素子を備える場合、各発光素子間は樹脂隔壁で仕切られることが多いが、このような樹脂隔壁の存在による凹凸や、樹脂隔壁と電極保護層との熱膨張率の差による電極保護層の破損を防ぐことが出来る。
本発明においては、前記第1無機層の全面を覆って設けられ、窒素を含有するケイ素化合物を形成材料とする第2無機層を有することが望ましい。
この構成によれば、第1無機層と第2無機層とが協働して陰極の保護と大気中の酸素や水分の浸入防止とを行うため、良好な封止が可能となる。また、互いに接する第1無機層と第2無機層とがいずれも窒素原子を含むこととなるため、両層の界面における密着性が高まり、界面での破損を抑制することができる。
本発明においては、前記第2無機層は、窒化シリコンまたは酸窒化シリコンを形成材料とすることが望ましい。
これらの形成材料を用いると、高いガスバリアー性、耐水性、耐熱性を有する第2無機層を形成することができる。
本発明においては、前記電極保護層は、前記第1無機層と前記第2無機層とが交互に積層された構造を有することが望ましい。
この構成によれば、第1無機層よりも相対的に破損しやすい第2無機層が、第1無機層によって挟持される構造となる。そのため、第2無機層に応力が伝わる前に、上層または下層に配置された第1無機層が応力を分散させることができ、第2無機層の破損を効率的に抑制することができる。
本発明においては、前記第1無機層は前記第2無機層より厚く設けられていることが望ましい。
この構成によれば、第2無機層が変形可能な変形量よりも、第1無機層が変形可能な変形量を確実に多くすることができるため、第2無機層が破損に至る前に第1無機層が多くの応力を吸収して変形し、第2無機層の破損を抑制することができる。
本発明においては、前記封止層は、前記電極保護層上に形成され、前記複数の発光素子を覆う有機緩衝層と、前記有機緩衝層の全面を覆って形成され、前記複数の発光素子の周辺で前記電極保護層と当接するガスバリアー層と、を有することが望ましい。
この構成によれば、発光素子や配線に由来して電極保護層の表面に反映される凹凸を、有機緩衝層が緩和し、さらに、有機緩衝層によって平坦化された表面にガスバリアー層を形成することができる。したがって、凹凸部での応力集中によるガスバリアー層の破損を抑制することができるとともに、電極保護層とガスバリアー層とが協働して酸素や水分の浸入防止を確実に行うことができる。
本発明においては、前記ガスバリアー層は、六方晶構造の結晶構造を含む窒化ホウ素を形成材料とすることが望ましい。
この構成によれば、耐屈曲性に優れ破損し難いガスバリアー層とすることができ、信頼性の高い封止層を備える有機エレクトロルミネッセンス装置とすることができる。
本発明においては、前記窒化ホウ素のヤング率が100GPa以下であることが望ましい。
この構成によれば、圧縮や引張りに強い第1無機層またはガスバリアー層とすることができ、封止性能が高く信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス装置とすることができる。
また、本発明の電子機器は、上述の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする。
この構成によれば、長寿命な有機EL装置を備え信頼性に優れた電子機器を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る有機EL装置を模式的に示す断面図である。 本発明で用いる六方晶構造の窒化ホウ素の結晶構造を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL装置を模式的に示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る有機EL装置を模式的に示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る有機EL装置を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態における電子機器を示す図である。
[第1実施形態]
以下、図1を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る有機EL装置1について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
図1は、有機EL装置1を模式的に示す断面図である。本発明における有機EL装置は、いわゆる「トップエミッション方式」の有機EL装置である。トップエミッション方式は、光を有機EL素子が配置された基板側ではなく対向する基板側から取り出すため、発光面積が素子基板に配置された各種回路の大きさに影響されず、発光面積を広く確保できる効果がある。そのため、電圧及び電流を抑えつつ輝度を確保することが可能であり、発光素子の寿命を長く維持することができる。
図に示すように、有機EL装置1は、複数の発光素子21が配置された素子基板(基板)20Aと、複数の発光素子21を覆って積層して形成される電極保護層(封止層)17と、この素子基板20Aの複数の発光素子21が配置された面に対向配置された封止基板31と、を備えており、これら素子基板20Aと封止基板31とは、シール層33および接着層34とを介して貼り合わされている。
以下、各構成要素について順に説明する。
(素子基板)
素子基板20Aは、基板本体20と、基板本体20上に形成された各種配線やTFT素子を備える素子層14と、を備えている。
基板本体20は、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えばアルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、また熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらにはそのフィルム(プラスチックフィルム)などが挙げられる。透明基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。本実施形態では、基板本体20の材料としてガラスを用いる。
基板本体20上には、駆動用TFT123や不図示の各種配線が形成されており、これらの構成を無機絶縁膜で覆った素子層14が形成されている。素子層14を覆う無機絶縁膜は、例えば酸窒化シリコンで構成されている。
素子基板20A上には、素子基板20Aが備える配線やTFT素子等に由来する表面の凹凸を緩和するための平坦化層16と、平坦化層16上に配置される発光素子21からの射出光を封止基板31側に反射する金属反射層15と、が形成されている。平坦化層16は、絶縁性の樹脂材料で形成されている。形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、材料には例えば感光性のアクリル樹脂や環状オレフィン樹脂などを用いることができる。
金属反射層15は、配線と製造工程を兼ねて設けられ、配線材料と同じ例えばアルミニウムやチタン、モリブデン、銀、銅などの金属またはそれらを組み合わせた合金材料で形成されている。そのため、光を反射する性質を備えている。本実施形態ではアルミニウムで形成されている。金属反射層15は、後述する発光素子21と基板本体20との間で発光素子21に平面的に重なるように配置されている。
平坦化層16上であって、金属反射層15と平面的に重なる領域には、発光素子21が配置されており、隣り合う発光素子21の間および発光素子21と基板本体20の端部との間には隔壁13が形成されている。換言すると、発光素子21は隔壁13によって区画されている。隔壁13は平坦化層16と同様に絶縁性の樹脂材料で形成されており、形成方法はフォトリソグラフィーを用いるため、材料には例えば感光性のアクリル樹脂や環状オレフィン樹脂などが用いられている。
(発光素子)
発光素子21は、陽極10と陰極11に発光層(有機発光層)12が挟持されて構成されており、隔壁13に囲まれた平坦化層16上に設けられている。発光素子21の厚みは200nm〜500nm程度であり、隔壁13とは1μm以上の厚み(高さ)差を有している。
陽極10は、平坦化層16上に形成され、素子基板20Aが備える駆動用TFTに接続されている。また陽極10は、仕事関数が5eV以上の正孔注入効果の高い材料が好適に用いられる。このような正孔注入効果の高い材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物を挙げることができる。本実施形態ではITOを用いる。なお、陽極10は必ずしも光透過性を有する必要は無く、アルミニウム等の光を透さない金属電極としてもよい。その場合には、陽極10が光を反射し先述の金属反射層15の機能を兼ね備えるため、金属反射層15は設けなくても良い。
発光層12は、白色に発光する白色発光層を採用している。本実施形態では、この白色発光層は低分子系の発光材料を用いて真空蒸着法を用いて形成されている。白色の発光材料としては、スリチルアミン系発光層にアントラセン系のドーパントをドーピングした層(青色)と、スリチルアミン系発光層にルブレン系のドーパントをドーピングした層(黄色)と、を同時に発光させて白色発光を実現している発光材料を挙げることができる。
ここでは低分子系の発光材料を用いているが、高分子系の発光材料を用いて発光層を形成することとしても良い。また、各層の構成を変化させ、赤色、緑色、青色の3色を同時に発光させて白色発光を取り出す3層構造とすることも可能である。また発光素子21は、発光層12として、赤色発光層を有する赤色発光素子と、緑色発光層を有する緑色発光素子と、青色発光層を有する青色発光素子と、を有するようにしても良い。
なお、陽極10と発光層12との間に、トリアリールアミン多量体(ATP)層(正孔注入層)、トリフェニルジアミン系誘導体(TPD)層(正孔輸送層)、発光層12と陰極11との間にアルミニウムキノリノール(Alq3)層(電子注入層)、LiF(電子注入バッファー層)をそれぞれ成膜し、各電極からの電子および正孔の注入を容易にさせる構成とすることが好ましい。
陰極11は、発光層12と隔壁13との表面を覆って、最も外側(素子基板20Aの外周部に近い側)に配置された隔壁13の頭頂部に至るまで延在して形成されている。陰極11の形成材料には、電子注入効果の大きい(仕事関数が4eV以下)材料が好適に用いられる。例えば、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、リチウム金属、又はこれらの金属化合物である。金属化合物としては、フッ化カルシウム等の金属フッ化物や酸化リチウム等の金属酸化物、アセチルアセトナトカルシウム等の有機金属錯体が該当する。これらの材料を用いる場合には、金属材料は真空蒸着法、金属化合物はECRプラズマスパッター法やイオンプレーティング法、対向ターゲットスパッター法などの高密度プラズマ成膜法を用いて陰極11を形成することができる。
また、素子基板20A上であって、素子基板20Aの外周部近傍の平坦化層16が形成されていない領域には陰極配線22Aが形成され、陰極配線22Aと陰極11とは補助配線24により接続され導通している。また、補助配線24を設けずに、陰極11が直接陰極配線22Aと接することとしても良い。
陰極配線22Aは、陰極11を不図示の電源まで通電させることを目的として形成されており、主に素子基板20Aの外周部付近に設けられる。陰極配線22Aの形成材料には、アルミニウム−シリコン合金や、チタン、タングステン、モリブデン、タンタルなどの金属が用いられ、これらの材料を単層、もしくは多層に積層して形成したものが用いられる。
(封止層)
素子基板20A上には、素子層14に接し、陰極11の端部を含めて表面全面を覆う電極保護層17が形成されている。電極保護層17は、酸素や水分が浸入するのを防止するためのもので、これにより酸素や水分による発光素子21の劣化等を抑えることができる。本実施形態の電極保護層17は、六方晶構造の結晶構造を含む窒化ホウ素を形成材料とする層(第1無機層17a)である。
まず、従来封止層の形成材料として用いられてきたケイ素化合物は、高いヤング率を示し、圧縮や引張りに弱いことが知られている。例えば、窒化シリコンのヤング率は300GPa、酸化シリコンのヤング率は100GPaであり、酸窒化シリコンのヤング率は含有する酸素と窒素の量比により、100GPaから300GPaの間の値をとる。対して、窒化ホウ素は、ヤング率が52GPaであり、従来の形成材料を用いた場合と比べて柔軟で圧縮や引張りに強い封止層とすることができる。
また、窒化ホウ素の密度は2.3g/cmであり、酸化シリコン(密度:2.2g/cm)と同等のガスバリアー性を得ることができる。さらに、窒化ホウ素の線膨張係数は4ppm/℃と小さく、熱変形率が小さいため、耐熱性に優れる電極保護層17とすることができる。
図2は、六方晶構造の窒化ホウ素の結晶構造を示す模式図である。六方晶構造の窒化ホウ素は、ホウ素原子(符号B)および窒素原子(符号N)と、その間の共有結合(図中において実線で示す)と、からできた六角形の格子構造が網目状の面構造を形成し、層状に積層した結晶構造を有する。各層の六角形の格子では、ホウ素原子と窒素原子が交互に正六角形の頂点に配置しており、各原子間は共有結合で結合している。また、層間においては、共有結合よりも弱いファンデルワールス力(図中において破線で示す)により、ホウ素原子と窒素原子との間で結合している。ファンデルワールス力で結ばれた各層は、層間で面方向に滑りやすく、屈曲性に優れた膜となる。
このような六方晶構造を有する材料としては、グラファイトが知られているが、窒化ホウ素はバンドギャップが約6eVとグラファイトと比べて広く、透明性が得られやすいという特長を有している。
このような、六方晶構造の窒化ホウ素は、PVD(物理気相成長法)やCVD(化学気相成長法)を用いて形成することができる。これらのうち、反応性の原料ガスを用いないPVDのほうが、工程負荷が少なく好ましい。
まず、窒化ホウ素は、ホウ素を真空蒸着やスパッター法、イオンプレーティング法により昇華させ、雰囲気ガスである窒素ガスと反応させることで形成することができる。また、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマやICP(誘導結合型プラズマ)、SWP(表面波プラズマ)、ホロカソード圧力勾配型プラズマガンを用いた高密度プラズマ、などを用いたPVD方式が好ましい。反応ガスとして窒素ガスを使用することにより、酸素プラズマが生じた場合に起こる膜応力の上昇を抑えることができる。
このような窒化ホウ素の形成の際、反応温度を制御することにより、六方晶構造を有する窒化ホウ素とすることができる。目的とする六方晶構造の窒化ホウ素を得るためには、バルクのホウ素を加熱して形成する場合には、2000℃程度の反応温度を必要とするが、上述のプラズマPVD方式を採用すると、1000℃程度の反応温度でも六方晶構造の形成ができる。相対的に反応温度が低いと六方晶構造とアモルファス(非晶質)が混在するような状態の窒化ホウ素となり、反応温度が2000℃を超えると高ヤング率の立方晶構造の窒化ホウ素となりやすい。
電極保護層17の膜厚は、400nmより厚く5000nmよりも薄いことが好ましい。400nm以下であると、電極保護層17を形成する面に存在する異物や、隔壁13に起因する凹凸などに対する被覆性が悪く、ピンホールの発生などにより封止性能が十分ではない。また、5000nm以上であると、高コストとなるために好ましくない。
このような電極保護層17では、六方晶構造の窒化ホウ素の各層が層間で面方向に滑りやすい。そのため電極保護層17は、応力が加わっても電極保護層17の内部で面方向に滑ることで応力を分散させることができ、優れた耐屈曲性や、変形しても良好に回復する優れた復元性を有する。
このような電極保護層17は、全てが六方晶構造の窒化ホウ素であることが良いことは言うまでもないが、六方晶構造と非晶質構造とが混在しているような六方晶構造が崩れた結晶構造を含むこととしても構わない。このような構造でも、部分的に含まれる六方晶構造の部分が伸縮や応力を緩和することができ、電極保護層全体で応力を分散させることができるため、優れた耐屈曲性を発現することができる。六方晶の比率の指標としては、ヤング率が100GPa以下とする。六方晶比率が高ければ52GPaに近づき、非晶質や立方晶の比率が高くなると100GPaを超えるようになる。
(封止基板)
素子基板20Aに対向して、封止基板31と、封止基板31上に形成されたカラーフィルター層32と、を備えている。
封止基板31は、発光素子21から射出される光を透過する光透過性と、薄膜封止層を保護する強度とを備えた基板であり、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂等の光透過性を備えた有機高分子(樹脂)を用いて形成することができる。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。中でも、透明性の高さと透湿性の低さ、低線膨張係数による反りにくさから、特にガラス基板が好適に用いられる。また、紫外線を遮断または吸収する層や、光反射防止膜、放熱層などの機能層が形成されていても良い。
封止基板31上には、カラーフィルター層32が形成されている。カラーフィルター層32には、透過光を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの光に変調する着色層32aがマトリクス状に配列形成されている。着色層32aは、アクリル樹脂などの樹脂層に、赤色、緑色、青色を示す顔料または染料を混合して形成されている。また、必要に応じてライトブルーやライトシアン、白などの着色層32aを備えることとしても良い。
この着色層32aの各々は、白色の光を射出する発光素子21に対向して配置されている。これにより、発光素子21から射出された光は着色層32aの各々を透過して、赤色光、緑色光、青色光として観察者側に射出され、フルカラー表示を行うようになっている。
また、隣り合う着色層32aの間および着色層32aの周囲には、光漏れを防ぎ視認性を向上させるブラックマトリクス層32bが形成されている。ブラックマトリクス層32bは黒色に着色された樹脂で形成されている。
カラーフィルター層32は、着色層32aが0.5μm以上2μm以下の範囲で各色に適した厚みに調整されている。また、ブラックマトリクス層32bは、1μm程度の厚みを有している。
(接着層・シール層)
接着層34は、素子基板20Aに対向配置された封止基板31を固定し、カラーフィルター層との離間距離を一定に保ち、かつ外部からの機械的衝撃に対して緩衝機能を有し、薄膜封止層を保護する機能を備える。
接着層34の形成材料は、透光性を有し接着機能を備えた有機材料(透明接着剤)が好ましく、更には、流動性に優れ、溶媒のような揮発成分を持たないものが良い。このような形成材料としては、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの樹脂接着剤を用いることができるが、耐熱性や耐水性を考慮すると、エポキシ系接着剤が好適である。
好ましくはエポキシ基を有する分子量3000以下のエポキシモノマー/オリゴマーが用いられる。ここでは、分子量1000未満のものをモノマー、分子量1000以上3000以下のものをオリゴマーとしている。このような形成材料としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマーやビスフェノールF型エポキシオリゴマー、フェノールノボラック型エポキシオリゴマー、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキレートなどがあり、これらが単独もしくは複数組み合わされて用いられる。
また、接着層34の形成材料には、添加剤として、エポキシモノマー/オリゴマーと反応する硬化剤が含まれる。この硬化剤としては、電気絶縁性に優れ、かつ強靭で耐熱性に優れる硬化皮膜を形成するものが好適に用いられ、透明性に優れ且つ硬化のばらつきの少ない付加重合型が良い。例えば、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、またはそれらの重合物などの酸無水物系硬化剤が好ましい。また、芳香族アミンや脂肪族アミンなどのアミン硬化剤を用いても良い。これらの硬化剤を加えた接着層34の形成材料は熱硬化性樹脂として振る舞う。
また、通常、接着層34を形成するための材料には、基板間の距離を制御するための所定粒径の球状粒子(スペーサ)や、粘度を調整するため燐片状や塊状の無機材料(無機フィラー)などの充填物が混合されていることが多い。しかし、これらの充填物は貼り合わせ圧着時に電極保護層17を損傷させるおそれがあるため、本実施形態ではこれらの充填物が混入していないシール層形成材料を用いる。
接着層34の形成材料は、塗布時の粘度が100〜1000mPa・s(室温)であることが好ましい。理由は、貼り合わせ後の空間への材料充填性を考慮したもので、加熱直後に一度粘度が下がってから硬化が始まる材料が好ましい。また、含水量は1000ppm以下に調整された材料であることが好ましい。
接着層34は、ロールコート法、スクリーン印刷法、またはディスペンス法などの塗布法を用いて上述の形成材料を塗布して形成する。素子基板20Aまたは封止基板31のいずれか一方に接着層34の形成材料を塗布した後に、両者のアライメントを行い、減圧雰囲気下で加圧貼り合わせを行った後に80〜120℃の範囲で加熱することにより、接着層34を介して両者を固定する。
光反応型の開始剤が添加されている場合、硬化速度が速い形成材料を用いる際には、貼り合わせ後に紫外線の照射を行う。一方、硬化速度が遅い形成材料を用いる際には、貼り合わせ前に紫外線の照射を行って硬化反応を開始しておくと良い。
また接着層34の周囲には、素子基板20Aと封止基板31との貼り合わせにおけるアライメント位置の固定、接着層34のはみ出し防止、装置内部への水分浸入防止、などを確実なものとするために、接着層34と異なる材料からなるシール層33を設けることとしても良い。シール層33を設ける場合には、電極保護層17のクラックや剥離等の損傷を防ぐため、シール層33が有機緩衝層18の周縁端部に重なるように設けられていると良い。
シール層33の形成材料は、紫外線によって硬化して粘度が向上する樹脂材料で構成されている。例えば、接着層の形成材料として示した分子量3000以下のエポキシモノマー/オリゴマーを挙げることができ、これらが単独もしくは複数組み合わされて用いられる。
また、シール層33の形成材料には、エポキシモノマー/オリゴマーと反応する硬化剤が含まれる。この硬化剤としては、ジアゾニウム塩、ジフェニルヨウドニウム塩、トリフェルスルフォニウム塩、スルホン酸エステル、鉄アレーン錯体、シラノール/アルミニウム錯体など、主に紫外線照射によりカチオン重合反応を起こさせる光反応型開始剤が好適に用いられる。これらの硬化剤を加えたシール層33の形成材料は光(紫外線)硬化性樹脂として振る舞う。
シール層33の形成材料の塗布時における粘度は、10Pa・s以上200Pa・s以下(室温)であることが好ましい。また、紫外線照射後に徐々に粘度が上昇するようにカチオンホールド剤と呼ばれる添加剤を用いると、貼り合わせ後の光照射工程を削除することができる上に、シール層33の形成材料が流動しにくくなるため貼り合わせ工程が容易になる。更に、1mm以下の細いシール幅でもシール層33の断裂を防ぎ、貼り合わせ後の充填剤のはみ出しを防ぐことができるため好ましい。また、含水量は1000ppm以下に調整された材料であることが好ましい。
なお、シール層33の形成材料には、接着層の形成材料と同様の理由によりスペーサや無機フィラーなどの充填剤が混入していないものを用いる。
本実施形態の有機EL装置1は、以上のような構成となっている。
以上のような構成の有機EL装置1によれば、電極保護層17は、高いガスバリアー性を備えるとともに、屈曲性に優れた六方晶構造の窒化ホウ素を主な形成材料としているため、耐久性を兼ね備えた層となっており、信頼性の高い有機EL装置1とすることができる。
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る有機EL装置2の説明図である。本実施形態の有機EL装置2は、第1実施形態の有機EL装置1と一部共通している。異なるのは、電極保護層17が、六方晶構造を有する窒化ホウ素を形成材料とする第1無機層17aと、ケイ素化合物を形成材料とする第2無機層17bと、の2層により構成されていることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
第1無機層17aは、第1実施形態で示した六方晶構造を有する窒化ホウ素を形成材料とする電極保護層17と同様の構成を採用することができ、上述の方法にて形成することができる。
第2無機層17bは、素子層14に接し、第1無機層17aの端部を含めて第1無機層17aの表面全面を覆って形成されている。第2無機層17bは、第1無機層17aと協働して、発光素子21に酸素や水分が浸入するのを防止するために設けられており、窒素を含むケイ素化合物(酸窒化シリコン、窒化シリコン)を形成材料としている。
第2無機層17bの形成材料として窒素を含むケイ素化合物を用いると、高いガスバリアー性、耐水性を電極保護層17に付与することができ、好ましい。また、互いに接する第1無機層17aと第2無機層17bとがいずれも窒素原子を含むこととなるため、両層の界面における密着性が高まり、界面での破損を抑制することができる。
第2無機層17bは、上述の第1無機層17aと同様の形成方法を用いて形成することができる。PVD方式を採用する場合には、原料としてケイ素(Si)や一酸化ケイ素(SiO)を用い、雰囲気ガスに窒素を用いる。
PVD法で形成されたケイ素化合物は、結合内に水素を含まないため、共有結合率が高く、高密度(2.2g/cm〜3.0g/cm)、高ヤング率(100GPa〜300GPa)の非常に堅くて緻密な被膜となる。さらに、線膨張係数は3ppm/℃と小さく、熱変形率が小さいため、耐熱性に優れる。そのため、化学的安定性や耐水性に優れる第2無機層17bとなるが、一方で脆く割れやすくなりやすい。
しかし、本実施形態の構成では、第2無機層17bの下層に、第2無機層17bよりも相対的に柔軟な第1無機層17aが形成されている。そのため、第2無機層17bに加わる応力を第1無機層17aが分散させることができ、破損を防ぐことができる。
第2無機層17bの膜厚は、50nm以上400nm以下であることが好ましい。50nmよりも薄いと形成される第2無機層17bに欠損が生じ易く、400nmを超えると割れやすくなるため好ましくない。第2無機層17bの膜厚は、第1無機層17aの膜厚よりも薄くなるように設定されており、上述の第1無機層17aによる第2無機層17bの破損抑制を良好に機能させることができる。もちろん、画素隔壁が省略または高さが小さいなど応力がかからず割れにくいような表面形状の場合は、第2無機層17bの膜厚よりも第1無機層17aの膜厚の方が薄いこととすることもできる。
以上のような構成の有機EL装置2によれば、電極保護層17がより耐久性を備えた層となっているため、より信頼性の高い有機EL装置2とすることができる。
なお、本実施形態では、第2無機層17bは窒素を含むケイ素化合物を形成材料とすることとしたが、他にも、例えば酸化シリコンを形成材料として用いることが可能である。
[第3実施形態]
図4は、本発明の第3実施形態に係る有機EL装置3の説明図である。本実施形態の有機EL装置3は、第2実施形態の有機EL装置2と一部共通している。異なるのは、電極保護層17が、六方晶構造を有する窒化ホウ素を形成材料とする第1無機層17aと、ケイ素化合物を形成材料とする第2無機層17bと、が交互に積層する積層構造となっていることである。したがって、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図に示すように、電極保護層17は、2層の第1無機層17aの間に第2無機層17bを挟持する3層構造となっている。そのため、接着層34の熱膨張により第2無機層17bに加わる応力を、接着層34と第2無機層17bとの間に設けられた第1無機層17aが分散させることができ、良好に破損を抑制することができる。
以上のような構成の有機EL装置3によれば、電極保護層17がさらに耐久性を備えた層となっているため、さらに信頼性の高い有機EL装置3とすることができる。
なお、本実施形態では電極保護層17が3層構造であることとしたが、さらに複数層が繰り返し積層する構成であっても良い。
[第4実施形態]
図5は、本発明の第4実施形態に係る有機EL装置の説明図である。本実施形態の有機EL装置は、第1実施形態の有機EL装置1と一部共通しており、陰極11を封止する封止構造が異なる。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図に示すように、本実施形態の有機EL装置4は、電極保護層17を覆う有機緩衝層18と、有機緩衝層18をさらに覆うガスバリアー層19とを有している。
有機緩衝層18は、隔壁13の形状の影響により凹凸状に形成された陰極11の表面の凹凸を埋め、起伏を緩和するように配置される。この有機緩衝層18は、素子基板20Aの反りや体積膨張により発生する応力を緩和し、隔壁13からの陰極11や発光層12の剥離を防止する機能を有する。また、有機緩衝層18の上面の起伏が緩和されるので、後述するガスバリアー層19に応力が集中する部位がなくなり、クラックの発生を防止することができる。有機緩衝層18のヤング率は、0.1GPa以上5GPa以下の範囲であると好適である。
有機緩衝層18の形成材料としては、流動性に優れ且つ溶媒や揮発成分の無い、全てが高分子骨格の原料となる有機化合物材料であることが好ましく、その様な形成材料としてエポキシ基を有する分子量3000以下のエポキシモノマー/オリゴマーを好適に用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマーやビスフェノールF型エポキシオリゴマー、フェノールノボラック型エポキシオリゴマー、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキレートなどがあり、これらが単独もしくは複数組み合わされて用いられる。
また、有機緩衝層18の形成材料には、エポキシモノマー/オリゴマーと反応する硬化剤が含まれる。このような硬化剤としては、電気絶縁性や接着性に優れ、かつ硬度が高く強靭で耐熱性に優れる硬化被膜を形成するものが好適に用いられ、透明性に優れ且つ硬化のばらつきの少ない付加重合型が好ましい。例えば、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの酸無水物系硬化剤が好ましい。これらの硬化剤を加えた有機緩衝層18の形成材料は優れた熱硬化性樹脂として振る舞う。
これらの酸無水物系硬化剤は、水分子と反応してカルボン酸を生じると、上述のエポキシモノマー/オリゴマーと反応しなくなるため、有機緩衝層18の形成材料は、含水率10ppm以下に調整されていることが望ましい。
さらに、酸無水物の反応(開環)を促進する反応促進剤として1,6−ヘキサンジオールなど分子量が大きく揮発しにくいアルコール類やアミノフェノールなどのアミン化合物を微量添加することで低温硬化しやすくなる。これらの硬化は60〜100℃の範囲で加熱することで行われ、その硬化被膜はエステル結合を持つ高分子となる。
有機緩衝層形成材料の粘度は、2000mPa・s(室温:25℃)以上が好ましい。塗布直後に発光層12へ浸透して、ダークスポットと呼ばれる非発光領域を発生させないためである。また、これらの原料を混合した緩衝層形成材料の粘度としては、4000mPa・s以上10000mPa・s以下(室温)が好ましい。この範囲の粘度に調節することで、気泡の発生を抑制することができる。
有機緩衝層18は、減圧雰囲気下における真空スクリーン印刷法を用いて上述の形成材料を塗布して形成する。減圧雰囲気下で塗布することにより有機緩衝層18への水分混入を抑制し、且つ塗布時に発生する気泡の除去を行う。
また、有機緩衝層18の最適な膜厚としては、3μm以上5μm以下が好ましい。有機緩衝層18の膜厚が厚いほうが異物混入した場合等にガスバリアー層19の破損を防ぎやすいが、有機緩衝層18を合わせた層厚が5μmを超えると、着色層32aと発光層12の距離が広がって装置側面に逃げる光が増えるため、光を取り出す効率が低下するためである。
有機緩衝層18の上には、有機緩衝層18の端部を含め全面を被覆するガスバリアー層19が形成されている。ガスバリアー層19は、酸素や水分が浸入するのを防止するためのもので、これにより酸素や水分による発光素子21の劣化等を抑えることができる。ガスバリアー層19は、透明性、ガスバリアー性、耐水性を考慮して、上述の第1無機層17aと同じ六方晶構造を有する窒化ホウ素や、第2無機層17bと同じ窒素を含むケイ素化合物、すなわち窒化シリコンや酸窒化シリコンなどを用いて形成される。各々の形成材料に適した膜厚は上述の第1無機層17a、第2無機層17bと同様の構成を採用することができる。
以上のような構成の有機EL装置4によれば、封止層がさらに耐久性を備えた層となっているため、さらに信頼性の高い有機EL装置4とすることができる。
[電子機器]
次に、上述の実施形態に示した有機EL装置を備えた電子機器の例について説明する。図6(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図6(a)において、携帯電話50は表示部51を備えている。表示部51には、本発明に係る有機EL装置を備えている。
図6(b)は、ワードプロセッサー、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図6(b)において、情報処理装置60は、キーボードなどの入力部61、表示部62、筐体63を備えている。また表示部62には、本発明に係る有機EL装置を備えている。
図6(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図6(c)において、時計70は表示部71を備えている。表示部71には、本発明に係る有機EL装置を備えている。
図6(a)〜(c)に示す電子機器はいずれも、先述の実施形態に示した有機EL装置が備えられたものであるので、高品位な表示が可能であり信頼性に優れた電子機器とすることができる。
なお、電子機器としては、前記電子機器に限られることなく、種々の電子機器に適用することができる。例えば、デスクトップ型コンピューター、液晶プロジェクター、マルチメディア対応のパーソナルコンピューター(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャー、テレビ、ビューファインダー型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダー、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
上記実施形態においては、トップエミッション方式の有機EL装置としたが、ボトムエミッション方式を採用することとしても構わない。
1〜4…有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)、10…陽極、11…陰極、12…発光層(有機発光層)、17…電極保護層(封止層)、17a…第1無機層、17b…第2無機層、18…有機緩衝層(封止層)、19…ガスバリアー層(封止層)、20A…素子基板(基板)、21…発光素子、50…携帯電話(電子機器)、60…情報処理装置(電子機器)、70…時計(電子機器)、

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板に設けられた陽極と、該陽極に対向する陰極との間に有機発光層を挟持し、前記基板上に配置された複数の発光素子と、
    前記複数の発光素子の表面全面を覆って設けられた封止層と、を備え、
    前記封止層は、六方晶構造の結晶構造を含む窒化ホウ素を形成材料とする層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記封止層は、前記複数の発光素子の表面全面を覆って形成され、前記複数の発光素子の周辺で前記基板と当接する電極保護層を有し、
    前記電極保護層は、前記陰極に接して該陰極の全面を覆って設けられた、六方晶構造の結晶構造を含む窒化ホウ素を形成材料とする第1無機層を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記第1無機層の全面を覆って設けられ、窒素を含有するケイ素化合物を形成材料とする第2無機層を有することを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記第2無機層は、窒化シリコンまたは酸窒化シリコンを形成材料とすることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記電極保護層は、前記第1無機層と前記第2無機層とが交互に積層された構造を有することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 前記第1無機層は前記第2無機層より厚く設けられていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  7. 前記封止層は、前記電極保護層上に形成され、前記複数の発光素子を覆う有機緩衝層と、
    前記有機緩衝層の全面を覆って形成され、前記複数の発光素子の周辺で前記電極保護層と当接するガスバリアー層と、を有することを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  8. 前記ガスバリアー層は、六方晶構造の結晶構造を含む窒化ホウ素を形成材料とすることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  9. 前記窒化ホウ素のヤング率が100GPa以下であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする電子機器。
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